令和7年5月8日(木曜日)15時50分~17時30分
オンライン会議にて開催
梶田隆章部会長、大竹尚登委員、木部暢子委員、原田尚美委員、荒砂茜委員、飯田順子委員、市川温子委員、河原林健一委員、小関忠委員、永田敬委員、中野貴志委員、長谷部光泰委員、山田弘司委員、渡辺美代子委員
俵大学研究基盤整備課長、山村大学研究基盤整備課学術研究調整官、その他関係者
【梶田部会長】では、ただ今より、科学技術・学術審議会 学術分科会研究環境基盤部会(第122回)を開催いたします。委員の先生方におかれましては、ご多忙の中ご出席いただきましてありがとうございます。
まず、事務局より本日の委員の出欠、それから配布資料の確認をお願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】大学研究基盤整備課の山村でございます。
まず、委員の先生方のご出欠の状況でございますけども、本日は関沢委員、そして柳川委員がご欠席となってございます。
また、本日の資料でございますが、議事次第に記載のとおり、資料1、そして資料2、参考資料となっております。事前に各委員にお送りをしてございますけれども、不備等ありましたらチャット機能等で随時事務局までお知らせください。また、音声に不都合がある場合も随時事務局までご連絡いただきますようよろしくお願いいたします。
【梶田部会長】ありがとうございます。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。
議題1、大規模集積研究基盤の整備に関する有識者ヒアリングになります。
大規模集積研究基盤については、前回4月18日の研究環境基盤部会で事務局より概要の説明をいただきました。今回は本部会における議論を深めるため、有識者2名からのヒアリングを行いたいと思います。それぞれの発表ごとにご説明および質疑の時間を設け、その後議論を行います。
まず、小泉周北陸先端科学技術大学院大学副学長よりご説明をお願いいたします。
【小泉先生】よろしいでしょうか。
【梶田部会長】お願いします。
【小泉先生】ありがとうございます。北陸先端科学技術大学院大学の小泉と申します。よろしくお願いいたします。
では、画面を共有させていただきます。
見えていますでしょうか。よろしくお願いいたします。
改めまして、北陸先端科学技術大学院大学の副学長をしております小泉と申します。どうぞよろしくお願いします。この委員会メンバー、いろいろとこれまでもお世話になった先生方がたくさんいる中で、このような話をさせていただくのは大変光栄に思っております。ありがとうございます。
前回この部会で話のありました大規模集積研究基盤、特に共同利用サービスというところに関しまして、私のほうからまず海外研究トレンドを見ながら、こういう在り方が、日本での、日本独自の在り方といったところについてお話を、提案をさせていただいて、ぜひ皆さんとディスカッション、こうあるべきだというよりも、皆さんとディスカッションさせていただければと思っているところです。
最新の海外トレンドというところで話をしていかせていただきますと、これももう釈迦(しゃか)に説法ですけれども、研究は巨大化し、各分野、いろんな分野、全ての分野の研究の論文著者数を例えば見ているものですが、各分野、どの分野で見ても、すみません、あまりにも細かくて全部をちゃんと説明はできないですけれども、人文社会系も含めてあらゆる分野の研究が巨大化し、さらに学際化が進んでいるというところであります。研究チームそのものも、1つの研究室、数人の研究室でというものよりは研究チームも大型化していっているという状況、こういったところが、全世界的にはこういった1つの研究室でやれるだけの研究というよりは、巨大化もしているし、そして1つの分野だけではなく学際化もしているというところが、どの分野でも、人文社会系も含めてどの分野でも見て取れるところだと思っています。
それからもう一つ、昨今の特徴としてはデータ駆動型研究というところが、もちろんAIによる自律型ラボ、AIのサポートも得ながらデータ駆動型での研究というのが進んできていると。特にAIロボットというところの組み合わせで、ここに「While you are sleeping…」っていう、昔のサンドラ・ブロックの映画みたいなタイトル書いていますが、皆さんが寝ている間でも、こうやってAIとロボットを組み合わせればどんどんデータが出てきて、そしてデータ駆動型研究が進んでという好循環によって、これが良い好循環を生んでいって、どんどん研究が進んでいく、これが進んでいるところです。これ、論文数でまた下、見ておりますけれども、データ駆動型研究と見て取れるものといったものがこの10年間で14倍、そして自律型ラボによる研究といったものも、この10年で36倍と書いておりますが、とにかく昨今研究チームも巨大化し、そして学際化もされ、そしてデータ駆動型研究、膨大な研究をどのように分析し、解析していくか、そして自律型ラボといったところも昨今大きく話されているところであります。
こういった状況の中で、例えば世界的にはこういったことを先取りしてというか、この後多分一杉先生が詳しくお話しになると思っておりますけれども、世界では自動化、リモート化によるハイスループット研究施設というものはもう既に造られてきているところです。
例えばリバプール大のところだとマテリアルズ・イノベーション・ファクトリー(MIF)の話とか、例えばカーネギーメロン大学のクラウドラボ、そして、これは実はスピンアウトした形でエメラルドクラウドラボという形でも、これは産業向けにつくられているエメラルドクラウドラボという、本当に完全自動化、完全リモート化でどんどんデータを出していって研究をしていくというハイスループット研究施設といったものが、世界的にはここも巨大化していっているところであります。
こういったラボの特徴としましては、まずは完全自動化・無人化実験ができているような形になっている。ロボットが組み合わさって、ロボティクスを活用しながら行われているという。それから自動化・無人化するだけじゃなくて、遠隔操作もできるというところ、リアルタイムで遠隔で見ていっているという。それから何といってもデータがどんどん出てきますので、データ駆動型研究の基盤としてもこういったところが進んでいっていると。そのデータ駆動型というところでも、単にロボットがあって、自動でできているでしょうだけじゃない。出てきたデータをデータ駆動での新しい研究に結び付けていくところまでできている。それ以外にも、ここに書いているような特徴がさまざま、MIFにしてもエメラルドにしても、それぞれの特徴は濃淡ありつつも、大体こういうふうなラボといったものが世界的には出てきているところだと思っているところです。
ただ、この規模でいこうとすると、完全自動化・遠隔化まですると、数百億円規模、年間でも数十億円の運営費となるわけで、こういったところを日本で全くまねっこしても、物量で戦っても、なかなか難しいところもあると思います。先行している例えば中国とかも、XtalPiとかそういったところがもう既に始めていたりしますので、そういった物量で戦うんじゃなくて、日本は日本のオリジナルな戦い方というか在り方は、この大規模集積研究基盤をつくるにしても、あるのではないかというふうに考えているところです。
そういった中で私のほうから、既に話が前回出ておりますけれども、大学共同利用機関の特徴をうまく活用しながら、それを中心としながら、共同利用サービスという新しいサービスというところの立ち上げるという提案をさせていただければと思っているところです。
大学研究力強化委員会の2~3年前の資料からこれは抜粋しておりますけれども、いわゆる大学共同利用機関、多分このメンバーの中にも大学共同利用機関の方がたくさんいる中で僭越ではありますが、大学共同利用機関、基本的には40~50年たって、それぞれの分野を支えるということで、分野ごとに分野A、分野B、分野C、大学共同利用機関はそれぞれの分野の支える、天文台であれば天文学とか、そういった形で支えるという形でつくられてきたところがありますけれども、これも2~3年前の大学研究力強化委員会でも新たに期待される役割として、それは既に大学共同利用機関法人としては十分に認識されているところだと思いますが、大学を支えるものと、分野を横断していくようなそういった新しい分野を創成したり、融合研究を生み出すんだと、単に分野を支えるだけではない、そういった新たな機能といったものも大学共同利用機関として期待されるところですし、国際卓越、それからJ-PEAKSと続く大学共同利用機関がこういった広く大学を支えるというところは期待されているところだと思っているところです。
大学共同利用機関の特徴としては、これも既にこの部会でも何度も出ている図になりますけれども、大学共同利用機関はこういったコンサルテーション、技術開発から実験、解析、広報に至るまで一気通貫した、こういったコンサルテーションから始まって広報までを一気通貫してサポートするような研究支援体制、全ての大学共同利用機関ではないと思いますけれども、大学共同利用機関においてはこういった一気通貫したサービスといったものが提供されているような、こういったことができているのが大学共同利用機関の特徴だと思っているところです。
例えばこれは基礎生物学研究所の例ですけれども、実際コンサルテーションから始めて後方支援まで、さまざまな段階のさまざまな支援といったものを共同利用、共同研究という中で大学共同利用機関は行ってくれる、こういった特徴を日本の大学共同利用機関は持っているというふうに認識しているところです。
実際、さらにもう一つ、大学共同利用機関法人、これをあえて法人と言いますけれども、特徴としては、これは人材政策課の、私自身が座長を務めるワーキンググループで調査した結果分かったことですけれども、昨年度の調査です。機関当たりの無期雇用、技術職員の数です。大学に比して3倍の無期雇用の技術職員が大学共同利用機関にはおります。これだけ技術といったものが、技術者、技術職員といったものが大学共同利用機関には集中していると。大学に比べて3倍ほどの技術者がいる。こういった充実した技術を提供する基盤にもなっているというところです。
こうした大学共同利用機関のコンサルテーションから一気通貫した研究支援、それから充実した技術、技術職員の体制といったものをうまく活用しながら、日本独自の大規模集積研究基盤といったものを確立するというのが、まずは効率良く進められる部分なのではないかというふうに考えて、提案させていただくところであります。
もう既に、例えば生理学研究所等ではこういったさまざまな電子顕微鏡、クライオだけに限らず、さまざまな電子顕微鏡をうまく組み合わせながら、遠隔で、これはコロナ禍で始めているクラウド化と思いますけれども、遠隔でスタートするというような、こういったことも進められてきておりますので、そういったところも試行的には既に始まっているというふうに考えています。
そうした中、ここで提案させていただければと思うのは、大学共同利用機関を中心とする共同利用サービスの在り方というところを提案させていただければと思います。もちろん大学共同利用機関、重大ミッションとして、運営費交付金の中でこの要件7つが要件として定められておりますので、この要件7つを運営費交付金の中でやっているわけですけれども、これを拡張するというわけではなくて、ここは間違えないでいただきたいんですけども、従来ミッションを拡張する形ではなくて、全く新しい形で新規の新しいミッションとして、従来ミッションを拡張するのではないと、新しい形で共同利用サービスというのを立ち上げるんだといったところが重要なのではないかと思っているところです。
今までお話ししたところで言うと、必要な要素としては研究コーディネーションを、研究の初期、中期、後期に至るまで一気通貫した研究コーディネーションを行っていくと。また、大学共同利用機関はそれぞれ中核となる研究装置を持っていますので、中核研究装置とここでは呼びますけれども、こういったものを新規・更新することによって、最先端の研究支援サービスをすると。そういったものも含めて、こういった中核研究装置も含めて自動化・クラウド化、そして高効率化・ハイスループット化していくことによって、より広範囲で自動化して、さらに高効率な共同利用サービスといったものが実現できていくのではないかというところを提案するわけでございます。
海外と同じようにお金と物量で戦うというのはなかなか厳しい中で、大学共同利用機関が既に持っているこういった機能というものをうまく組み合わせていく。そしてそれをうまく自動化・クラウド化していく。そしてこういったところに例えばAIとかそういったものを組み合わせていくことによって、日本独自の共同利用サービスといったものをつくっていけるのではないか。これを従来ミッションとは違う形で立ち上げていくというのが必要なのではないかというふうに思っているところです。
もう少し、今申し上げたことをもう一回まとめているものが次の図になりますけれども、最先端の研究中核装置の新規・更新、日本にここにしかない中核となる装置というものを各大学共同利用機関は持っていると思います。そして既存の設備群、こういったものを全てラボオートメーション、遠隔化・クラウド化し、新たな共同利用サービスとしてコンサルテーション付きで提供していくんだと。
それだけで、単なる機器貸しになってしまったら駄目で、さらにそこからでいうと、データ駆動型、データインフォマティクスを活用するということで、データ駆動型の研究といったものを進めていくためには、データインフォマティクスを組み合わせていくということが重要だと思っています。こういったものが全てセットになって共同利用サービス。しかも、これは分野に限ったものではないと。分野を横断していくという覚悟が必要なんだと思っています。
それぞれの大学共同利用機関は、分野を背負ってこれまで支援を、共同利用、共同研究を行っていると思いますが、分野の枠を超えて、または、場合によってはやはり各大学共同利用機関同士が連携しながら、自分の分野同士の戦いではなくて、分野の枠を超えた一体的な共同利用サービスといったものがつくれるというところが重要なのではないかと。
さらにそこには、下に書いてありますけれども、研究マネジメント人材だったり技術人材、コンサルテーション、こういったことができる人材といったものが絶対に必要なんだと思っております。そして大学研究者、海外研究者、スタートアップや民間企業も含めて一緒になってこの共同利用サービスといったものを作り上げ、また利用していく。1枚にまとめると、こういった絵といったものを考えていると。
例えばこういった時には、単に設備があっていいというわけだけでなくて、例えばこれはマックス・プランクで、フロリダのInstitute Neuroscienceの顕微鏡サービスの部門責任者をやっている釜澤先生の例ですけれども、こういった研究者がそういった研究開発マネジメント人材として大規模集積研究基盤をリードしていくような、単に設備があればいいと、設備を貸せばいいというだけではない、こういったサービス部門に研究者、研究の素養を持っている研究者がそういったサービス部門のトップを張っていくと。
こういった方々が、URAも含めて研究開発マネジメント人材、URAをはじめとする研究開発マネジメント人材、それから技術人材、そういった人たちが一緒になって大規模集積研究基盤を支えていく、こういった体制を作っていく。そしてまたそういった人材を育てていく必要もあると思いますが、まずは大学共同利用機関においた技術人材も、大学の3倍ほどの技術人材は既におりますので、そして研究者もいますので、こういったところをうまく人材も活用しながら大規模集積研究基盤をつくり上げていく必要があるのではないかというふうに思っています。
共同利用サービス、どういった人が活用するのかなといったら、ペルソナ像をちょっとまとめてみました。例えば若手研究者で、研究室を立ち上げたばかりで、とにかくまずは研究計画からコンサル化が必要だという、そういった人たちのコンサルテーションから始めるという人も必要でしょう。それから、中堅研究者で、既に自分のテーマは成熟しているんだけれども、学際領域に進出したいという人たちが、学際的なテーマを立ち上げるためにコンサルテーションを活用しながら、また現地での測定もしながら、あとは遠隔で実験をしたりということができるような、そういったことも必要でしょう。
それから、スタートアップ・産学連携、そういったところに関わる研究者であれば、もうハイスループットで網羅的なデータ取得をしてきたい、こういった人たちがその共同利用サービスを利用するということは必要だと思いますし、例えばライフイベント期の研究者であれば、育児・介護中の研究者といったものが研究を継続する意味で完全遠隔で測定をしたりとか、オンラインでさまざまなコンサルテーションを行ったり、そういったこともできるような、これ全体を共同利用サービスとして大学共同利用機関が提供していくということができればというふうに思っているところです。
ひいては全体としては先ほど申し上げたように国際卓越、JーPEAKSと、その3番目の矢として大学共同利用機関を含めた、単に国際卓越の選ばれた大学だけでいいのか。そうではない。JーPEAKSも、JーPEAKS 25大学選ばれましたけど、それだけでいいのか。日本の研究力、実は優れた研究をしている研究者、ロングテールの大学にもたくさんいるのが日本の大学の特徴だと思っています。
そういった日本のロングテールの大学群にも優れた研究をしている方々がたくさんいる中で、そういったものを広く全体として支える、そういったものとして研究力強化のエコシステムを確立していくということが重要であり、大学共同利用機関が今までの分野だけを見るというのではなくて、大学の枠を超えて組織として、また分野の枠を超えて、こういった研究力強化エコシステムの中で大学共同利用機関が十分な役割を果たしていく、こういったものが重要なんだろう、日本全体の研究力強化という意味ではそういったところが重要ではあろうかと思います。
そういった意味で、この大規模集積研究基盤、共同利用サービスがこういった研究力強化、日本全体の国際卓越、JーPEAKSと来まして日本全体の研究力強化に資するような、そういった取り組みになることを期待しているところであります。
今後の議論を進める上でのポイントとしまして、今申し上げたように海外の事例と同じ、海外の事例は参考になります。とても参考になりますし、われわれよりもだいぶ先に行っているというのが、正直日本は遅れている、この後一杉先生からその辺りのお話あると思いますけれども、だいぶ日本は遅れていると思います。ただ海外の猿まねをするのではなくて、日本独自の大規模集積研究基盤の在り方といったものを、ぜひ委員の先生方にはここでご議論いただければと思っています。
私自身も18年間大学共同利用機関または大学共同機関法人におりましたので、大学共同利用機関は持ってるポテンシャルはすごいものがあると思っています。この大学共同利用機関が持ってるポテンシャルをうまく、リソースをうまく活用した新しい共同利用サービスを立ち上げていくと。既存の分野を支えるというだけではなくて、分野や組織の枠を超えた多様なユーザーに対して、先ほど申し上げたようなさまざまなペルソナの方々に対して共同利用サービスを提供すると。
それを新しいミッションとして全ての大学共同利用機関がそれをやれというわけではありません。できる分野とできない分野もあると思いますし、大学共同利用機関ごとにできる機関とできない機関はあると思いますけど、ただ、これに挑戦するということであれば、その覚悟を持って共同利用サービスといったものを、分野や組織の枠を超えた共同利用サービスというのを立ち上げていくというのがいいのではないか思います。
そして、ただ単に設備や場を用意するだけではなくて、重要なのは人材だと思います。技術人材、研究者、研究開発マネジメント人材、さまざまな人材、先ほどの釜澤先生のような方が大規模集積研究基盤をリードしていく、そういった人々がいなければ駄目ですし、コンサルテーションを行っていかなきゃいけませんし、そういった人材をまた育てていくということもしていかなきゃいけないと思っているところです。
特に、やはり大学共同利用機関、大学研究力強化委員会でもお話があったように、もちろん大学共同利用機関法人、十分意識されていることだと思いますけれども、分野や機関の枠を超えた取り組みとしていくという、新しいミッションとして、こういったものを取り組んでいくという覚悟は必要なのではないかというふうに思っておりますし、国に対しては、こういったところをただやれと言うだけではなくて、しっかりと予算確保をして、安定した運営体制がなければ、これは1年で終わりとかいったものではありませんので、やるのであれば国としても覚悟を持ってやっていただければというふうに思っているところです。
ぜひ、私のほうからこういった話をさせていただきましたけど、これが正しい、これが正解だというものを示したつもりはありません。皆さんからのご意見をいただきながら、ぜひこの部会でディスカッションしていただければと思っております。
私からは以上になります。ありがとうございます。
【梶田部会長】どうもありがとうございました。
では、ただ今の説明につきまして何かご質問等ありましたらば、皆さんのほうからお願いいたします。
では、長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部委員】基礎生物学研究所におります長谷部です。小泉先生、ありがとうございました。
僕、基生研に、共同利用研にもう30年近くいるんですが、基生研の場合、大隅先生がノーベル賞を取った頃に比べると本当に体力が落ちていて、新しい分野を創成するには共同利用研の体制を根本的に変えたほうがいいという小泉先生の意見に全く賛成です。
それで、先ほどご紹介があった基生研のTSBセンターをつくった時、僕副所長で創出に関わったので、ちょっと手前みそになりますけれども、これ、コンサルティングを含めて共同利用研究、すごくよく機能しています。ただ、一方で、せいぜいインパクトファクター10ぐらいの論文というか、トップ10%の上のほうに来るようなすごい先進性のある論文を作るっていうのはなかなか難しい状況なんです。
これは、共同利用研究をされる方、あるいは共同利用研の人が共同でやって、お互い協働することでアクセラレートする効果はあるんですが、結局共同利用研の研究のレベルを大きく超えることっていうのは難しいんですね。
先ほど小泉先生提案された自律型ロボット、これ、はやりで、あったほうがもちろんいいんですけれども、研究の質を大きく上げる上ではコスパがあんまりよくないのかなという感じがしてまして、これは汎用(はんよう)性が少ないということとか、あと、更新速度がすごい早いのでお金がすごくかかってしまう。なので、例えば中国なんかは本当にお金があるので、地方大学でもクライオ電顕、生理研にあるようなのがみんな地方大学にあるわけで、ほぼ自分の大学にあるものを使っている人たちと遠隔で使う人が対等には戦えないという状況があるんだと思います。
それで、先ほど小泉先生最初のほうにおっしゃってたAIコンサルですね。これはGAFAも含めて今世界中でトレンドになってると思いますし、僕自身も、今一番議論して研究を進めるのを助けてくれるのはGPTさんかなっていう感じもしてまして、それで、今常に使ってるシステム――ただ、今のAIのシステムって研究には特化していないので、それを変えていって、何か共同利用研の中でAIコンサルのシステムをうまく作って、共同利用研究者が、共同利用研の研究者も含めて使えるような、そういう仕組みってできないのかなと思うんですが、そういう点ってどうなんですかね。今の共同利用研で、例えば人材もいませんし、そういうキャパというのは何か可能性って、どう思われます?
【梶田部会長】お願いします。
【小泉先生】小泉です。長谷部先生、ありがとうございます。まさに先生、現場の声、先生が副所長としてやられたところの現場の声に近いところだと思いました。
最後のところに関しては、絶対必要な要素なんだと思っています。例えばそれを基生研はじめ、例えば岡崎3機関だけでやろうとすると難しいところがありますので、そういったところを、例えば情報システム研究機構とか、さまざまな17の機構、機関ありますから、そういったところがうまく連携しながら、必要なんだと思っています。
そして海外の事例を見ても、例えばMIFにしても、それからエメラルドにしても、そこの部分がかなり重要になっていると思っています。そういったAIだったり、データをどうやって分析するかというところのソフト面での開発といったものっていうのは、かなり重要なところになっていて、単に自動化された機械がありますよではなく、むしろそちらが重要なんだというところは、まさに長谷部先生がおっしゃるとおりだと思います。ぜひそういったところを含めて、多分岡崎3機関だけではできない部分だと思いますので、そういったところを何かいい方法で、4法人が集まって考えていただけるといいのかなと思います。すみません、僕も何か他人事になっちゃってますけど、共同利用機関何とかなるだろうと思いますので、ぜひ期待しております。
【長谷部委員】そうですね。今おっしゃったみたいに、今4機構ってあんまりお互いの連携がないようにと言うと怒られるかもしれませんけれども、やはりそこの連携があるとすごくこれから進むと思うので。ありがとうございました。
【小泉先生】ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございました。では、続いて中野委員、お願いいたします。
【中野委員】よろしくお願いいたします。大変面白い話、ありがとうございました。
まず、海外の先行事例に学ぶということなんですけど、ただ、単なる模倣では不十分で、日本独自の方法が必要かと思いますが、日本の実験研究というのは現場の熟練や工夫に強く依存している部分があって、標準化とか自動化になじまない分野も多いのではないかと思います。そこで小泉先生も、全ての分野を一度に扱うのは無理だから、特定の分野からというふうにおっしゃったんですけど、一方で、Strateosの撤退事例がありますけど、これ、創薬に絞ってスケールメリットが出なかったことが撤退の理由とされています。
スケールメリットを出しながら、それでも分野的に無理ない形で段階的に導入するとなると、かなり工夫が必要かと思うんですけど、その辺のところ、どのようなお考えをお持ちか、それが1点目です。もう1点は、やはり日本の独自性というのを出すとなると、コンサルティングとかそういうところに力を入れないといけないということをおっしゃいましたが、日本の場合、URAであるとか高度専門人材などは有期で非常に不安定な雇用形態に置かれている場合が多くて、なかなかこういう長期な事業に対してコミットしにくいという状況がありますが、この点についても制度的な改革が必要だと思いますが、この2点についてお考えをお聞きしたいと思います。
【小泉先生】鋭い指摘をありがとうございます。
まず、確かにおっしゃるとおり、Strateosの場合は特に、多分ベンチャーとかスタートアップにかなり絞った形で創薬で売って、そこでスケールメリットがいかなかったのかなというのは、僕の理解もそのとおりで、僕よりも多分、一杉先生のほうが詳しいと思うので、それ以上は僕はよく分かってないんですけども、そういった意味でも大学共同利用機関のような、既に国として整備されているような、国としてと言うと怒られちゃうのかな、機関をうまく活用しながら、完全にスタートアップやベンチャーだけで、そこで何か回していこうとするとスケールメリット出し切れないと思うんですけれど、うまく大学共同利用機関を、既にありますので、そういった既にあるものを、既にある仕組みを、体制をうまく活用しながら体制作っていくのがいいのかなと。
なので、むしろStrateosとかエメラルドよりは、リバプールのMIFとか、これもごめんなさい、一杉先生のこの後の話に出てくると思いますが、そちらのほうに近い、または、ような考え方のほうがいいのかなとは思いつつ、でも、それでもやはり日本独自といったことを考えると、大学共同利用機関をまずはベースに、うまくそこの持っているリソースを活用するのがいいのかなと思った次第です。
それから後者のほうですが、確かに人材に関してはとても重要だと思っています。僕が別のところで、人材政策課のほうで、まさに研究開発マネジメント人材、いかに有期雇用ではなくて安定した雇用というのをしていくのかということも、今ガイドライン等発表させていただこうと思っています。まさにおっしゃるとおり、そういった人材、研究開発マネジメント人材、先ほどの、または釜澤先生のような人材というのがますます重要になると思いますので、そこの安定した人材の雇用と、それからそういった人材をどんどん育てていくということ、その両面が重要なんだとまさに思います。お答えになっていますでしょうか。
【中野委員】ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございます。では、続きまして河原林委員、お願いいたします。
【河原林委員】NIIの河原林でございます。どうもありがとうございました。
お話されていること、本当に大賛成で、例えばアメリカの例とか、あんまり比較すべきじゃないと思うんですね。彼らは大学単体で、1個で全部できてしまうので、そういうところと比較するのはナンセンスで、中国もそんな感じなので、そうなると、やっぱり日本でこうやって全部データ基盤をつくるっていうのは非常に重要だっていうことを理解しながら、NIIの人間としてちょっと申し上げます。
確かにそれは必要だし、NIIが、データ基盤みたいなことはもう既に進んでるんだろうというふうに、これからも進むだろうと思うんですけれど、まだまだ多分規模が足りないと思ってます。となると、NIIとしてやるっていうのであれば、多分どのぐらいの規模で、あるいはどれぐらいのデータ基盤の規模でやって、人材も含めてどの規模でやってとかっていうことが、多分情報学的な視点以上のところで見ないといけないっていう形になっていて、これはちゃんとそういうことがどれぐらい必要かというのが周辺分野からリクエストがないと厳しい気がするんですね。それを含めて、全体どれぐらいニーズがあるかっていうことを、もうちょっと真面目に見積もり必要。これは予算を含めてという話で、だと思うんです。それはまず1点目としてどれぐらいの、予算とか人材含めて必要なのかっていうことをお尋ねしたいのと、もう一つは、確かに先ほどいろいろとAIの話もありました。それはNIIもいろいろ今やっているんで、きっとどこかがやれと言ったらやっぱりNIIがやることになるんだろうというふうに思うんですが、それを含めると、NIIに何でもやれって言われてると、これでNIIは1つの研究所ですから、実際法人ですらないです。機構の1個下なわけですから、NIIにこれを全部やれっていう体制を作るっていうことが、多分ほぼほぼ難しい気がするんですね。
縦串の下の下のほうにいるような研究所の一個が横串全部持ってけって、それは無理な話な気がするんで、そう含めると、先ほど大学共同利用(機関)の覚悟を持ってっていうふうにおっしゃってますけど、私から言うと、多分大学共同利用(機関)のほうの組織替えを含めてやらなきゃいけないのかなというような気もしてます、現時点で。じゃないと、やっぱりちょっと全部、人材まで引き受けるとか、そういうのはほぼほぼ不可能なので、そうなるとどういう体制で、これは多分日本独自の話になると思います。日本の独自の話で、どういう体制でどういうような法人を含めてやるのが一番ベストなのかというふうに外から、情報側から見れば、私は自分の個人の意見はあるんですけど、そうではなくて、情報の外側から見た時にどういうふうに行われて、ほかの分野なんかの先生方も含めて、その辺のことをまずは先生にお尋ねしたいですし、ほかの委員の先生方からもご意見をいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【梶田部会長】ありがとうございます。
【小泉先生】よろしいでしょうか。ご無沙汰してます。河原林先生、ありがとうございます。
確かにこの議論をすると、どうしてもAIとか、結局岡崎だけでできないでしょう、じゃあどこに頼むのっていうと情報研かなという話で、常に情報研、情報研って出る。また情報システム研究機構という話になってしまうと思いますけれども、じゃ、どのくらいの規模感でどのくらいのことができるのかというところは、すみません、僕自身がエスティメントできてないところがありますので。どうも確かにすごく単純に考えたら情報研、統数研も含めて情報システム研究機構にお願いできればいいんじゃないのっていうことを簡単に言ってしまうところがあるんですけれども、ちゃんとしっかりとした見積もりを取らなきゃいけないと思います。
それから、確かに全部情報研で、おっしゃるとおり、大学共同利用機関、1つの大学共同利用機関である情報研に全てを背負わせるというのはなかなか厳しいというのはおっしゃるとおりだと思いますので、そこも含めてどういった体制を、大学共同利用機関の特徴を生かしつつ、だけれどもそういった要素、情報学的な、情報システム的なところが必要だといった場合にどうすればいいのかっていうのは、ぜひご議論いただければというふうに思ってます。
それがデフェネイトリーに、絶対に必要な要素ではあるので、じゃあそれをどうするのか。情報システム研究機構のほうでもお考えだとは思うんですけれども、多分情報システム研究機構だけで考えるとか、それぞれの機構法人、それぞれ別々に考えるというだけではなくて、多分4つの法人が一緒に考えていかなきゃいけないこと、または法人だけでは足りない部分というのを、先生おっしゃるとおり何かコンプリメンタリーにしていく必要があるんじゃないかというふうには思います。ごめんなさい、答えになってないとは思いますが。
【河原林委員】はい、どうもありがとうございました。ちょっとだけ。私がしつこく懸念してるのは、こういうのが始まって、確かに箱はできるんだけど、ほかのそれぞれの分野から見ると使いにくいっていうことが結構あるんですね。そうすると何が起こるかっていうのは、箱はあるんだけど使えない。じゃあ自分たちでやったほうがいいやっていうことで二重に作っちゃうことが結構多いんで、こういうことをぜひ避けてもらえるようなシステムも必要かなと思いますので、それを含めて議論いただければいいかなと思います。以上です。
【梶田部会長】ありがとうございました。では、渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】ありがとうございます。大変貴重なお話いただきましてありがとうございました。
大学共同機関が従来のミッションに加えて新しいミッションというご提案があったのは、非常に心強く、ここについてお話しさせていただきます。
コンサルができるような、研究をコーディネーションできる人を育てましょうということですけれども、俯瞰的に研究を見れる、また広い研究分野が分かるような人を育てることが必要で、先ほどお話あったように、安定的な雇用を確保するだけではなくて、そういう人をどうやって育てていくのかが大事になるかと思います。
その時に、一回何かの専門分野の研究を経験した人をその広い視点に持っていくのか、それとも最初から学際的な視点を持つ人を育てていくのか、どういう人材の育て方をしたらこういう人が育つのか、お考えがあったら教えていただけますでしょうか。
【小泉先生】ありがとうございます。ご無沙汰しております。確かに難しいですね。そういった意味では、前の部会で、この部会でも議論ありましたけど、やはり永田先生もいらっしゃいますが、総研大がどういった取り組みをするのかというのはすごい重要なところだと思っています。
専門性を追求することも重要ですけども、かなり早い段階から横を見れるような、そういった人材として育てていかないと、なかなか専門性だけでコンサルテーションを広くできるような人材にならないので、専門性を持ちながらも、だけれども、やっぱり早い段階から横が見れるような、そういった人材を育てていく必要があるんではないかというふうに思っているところです。すみません、答えになってないかもしれませんが。
【渡辺委員】どうもありがとうございました。
【梶田部会長】ありがとうございました。申し訳ないんですけど、まだ4名の委員の方から手が挙がってるところなんですが、一応16時30分に次の一杉先生からお話を聞くということにさせていただいているので、最後の意見交換のところでこの件についてご発言いただければと思います。すみません。
では、一杉太郎先生、東京大学 大学院理学系研究科教授からご説明をお願いいたします。
【一杉先生】皆さん、こんにちは。よろしくお願いします。先ほどの議論は大変有意義で、私もいろいろコメントが思い浮かびました。大いに議論しましょう。
私からは、大規模集積研究基盤と自動・自律実験の交差点でどのようなことができるかを議論させていただきます。
重要なことは、研究開発の進め方自体が変わってきているということです。世界で大きな変革が起きています。単なる装置共用ではなくて、研究開発の進め方について革新をリードすることがこの研究基盤に求められています。
私自身はマテリアル分野で研究を進めております。内閣府のマテリアル戦略有識者に任命されており、この3月にマテリアル革新力強化戦略の改訂版をまとめました。これが第7期科学技術・イノベーション基本計画の土台となります。そこでも装置共用や、そのための人材育成、技術職員の処遇、そして自動・自律実験がキーワードになっています。そのような観点から、マテリアル分野から見える現状と展望を話したいと思います。
最初に私自身が、実験室のデジタル化になぜ取り組むのかを述べます。私が考える、研究環境のあるべき姿を説明します。次に世界の動向を話します。私自身が世界のラボを見てきましたので、その報告をします。また、複数の企業においてアドバイザー(コンサルティング)を私が行っていますので、そこでの実感を話します。3つ目が、この研究基盤に対する期待を紹介いたします。先ほど、デジタル化技術をどのようにして段階的に導入するのかという議論がありました。それに対して、実例も話したいと思います。ただ、時間が足りないかもしれません。
はじめに、英国リバプール大グループの動画を示します。文科省の松浦審議官が本年4月の初頭にこの研究所を訪問されています。話を伺うと良いと思います。ここで強調したいのは、研究の進め方に変革が起きているということです。研究を進めるにあたり、時間の使い方も変わってきたことを私自身も強く感じます。自動・自律実験が進められ、非常に多くの実験データが利活用可能になってきています。それから、英国グループでは自動実験装置の供用が始まっています。我々の研究室も供用をスタートしているところです。
私が自動・自律実験に取り組む動機を二つの観点から話します。一つ目が、研究費をどう使うべきかという点です。研究費の使途として、人と物(モノ)にざっくり分けられます。今後、もっと人に投資しなければならないと思います。研究者の待遇改善、国際交流の促進、研究者と伴走する技術職員やURAの雇用等にお金をかけるべきでしょう。
そう考えていくと、どうしても物にかけられるお金が減ってしまう。しかし、研究スピードアップも図らなければならない。そうしないと地球が壊れてしまい、待ったなしです。したがって、自動・自律実験や装置共用が研究スピードアップのためにどうしても必要になってきます。そして、これらが誰でも使えるようにしていくことが非常に重要です。技術の民主化という言葉がよく使われます。自動・自律実験も使いやすくなり、かつ、コストダウンする。そして、誰でも自動・自律実験を使えるようにしなければと思っています。
二つ目の観点は、装置の稼働率を向上させるという点です。1週間には168時間しかありません。平日は5日間×8時間で40時間です。人間が働いている時間のみ装置が稼働するのであれば、一週間の3/4は実験装置が停止していることになります。非常にもったいないことですので、稼働率を上げることが重要です。
稼働率を上げるためには、夜中や土曜日も実験することが必要です。そうすると自動・自律実験と共用が必須になってきます。経済効率の観点からも装置稼働率を上げるのは必要です。
以上の二点が私の問題意識です。次に、世界の動向を話します。私自身、様々な研究機関を見学してきました。大きく2つに分けて話をしていきます。一つ目は小さなループです。今まで述べてきた自動・自律実験は、予測、合成、物性測定のサイクルが非常に速く回っている小さなループです。
二つ目が大きなループです。小さなループから出てきたデータを計算シミュレーション・機械学習と組み合わせ、何を作るべきか、あるいは仮説を作ります。そこにドメイン知識、研究者の勘・コツ・経験を導入してどのような実験をするのか決定して、小さなループをすぐに回すということです。これが大きなループです。ここに生成AIを使って着想を得て、それを反映させることも含まれています。この大きなループの構築が非常に重要です。この2つに分けて話をしていきます。
この両方のループに関して、世界中で巨額の投資が進んでいます。カナダ、アメリカ、ヨーロッパ、それぞれ強みと弱みがあり、それを理解すると、日本としてやるべきことがわかり、チャンスが生まれます。
日本の強みを紹介します。まずは、理化学機器企業の存在感です。マテリアル分野、日本が強いところです。カナダやUK、アメリカは理化学機器企業の巻き込みに苦労しています。しかし、日本は非常にうまくいくという話を後にします。UKではマテリアル産業が強くないので、新しい材料を作ってもそれを受け渡す先がなく、スタートアップの立ち上げが出口戦略になります。しかし、日本では産学連携で様々な企業に技術移転することが可能です。統計によると日本は産学連携が世界の国々に比べて進んでいます。これは大変良いことで、日本の強みです。各国の特徴を見極め、日本で独自のモデルを考えることが重要です。
具体的に各国の拠点を説明します。英国リバプール大は、ユニリーバという企業と組んでいる点が特徴的です。企業が共用施設の安定ユーザーになっています。したがって、所定の収入が見込める体制になっており、非常に良い仕組みだと思います。
Cooper教授がこの拠点を率いています。組織の特徴として、インターディシプリナリー(分野横断)であることが挙げられます。マテリアル(化学・材料)、ロボティクス、コンピューターサイエンスの研究者が一つ屋根の下で研究を共同で進めています。先ほどの議論の中で、学際的か専門的かという話が渡辺委員からありました。Cooperグループもこの後に話すトロントグループも、分野横断的に活動することをミッションとする人がアサインされています。技術の横展開がすでに組み込まれています。そのポジションは博士のキャリアパスになっていて、視野が広い人材が活躍する場です。
博士のキャリアパスを広げることを、英国では政府が仕掛けたとのことです。博士のキャリアとして、専門を極めるポジションに加え、横断的につないでいくタイプのポジションを作って組織的に進めたとのことです。技術職員としても博士が活躍している状況をつくることは、非常に重要と思います。これは後でもう少し述べます。
次に、トロント大学です。トロント大学も、AIとロボット、それからドメインの研究者が一つ屋根の下にいます。7つのプロジェクトがあり、そこにも横との連携を担当する人が参画しています。研究者がたこつぼにはまらないような仕組みを作っています。横をつなぐ人材も含めて、広く人材育成を進めている点は参考にするべきと思いました。
米国も自動・自律実験に非常に力を入れていて、特に半導体関係でプロジェクトがスタートしました。別の分野でも自動・自律に関わるプロジェクトがスタートすると聞いています。特に国立の研究所が力を入れています。
海外をいろいろ見てきて、小さなループの実験技術では日本は十分世界をリードできるというのが実感です。それはなぜかというと、後で述べますが、理化学機器企業が日本にあるからです。自国で実験装置を作ることができるというのは非常に重要です。一方、機械学習を応用した大きなループでは、日本が遅れていると感じます。それは学際的なので、分野横断を日本ではますます進める必要があります。大きなループこれからますます重要になります。
現在、世界の大きな動向として、実験装置をモジュール化していくことが挙げられます。先ほども議論がありましたように、現状ではある特定の実験のみで自動・自律実験が可能です。実験装置がモジュール化していき、それらをplug and playで組み合わせていき、多様な実験に対応できるようにするというのが大きな方向性です。
それを実現するためには「標準化」が非常に重要になってきます。すでに世界では標準化争いが起きています。世界に対してどのような提案が日本からできるかがまさに問われています。標準化を世界でリードするような、そのような拠点を日本で構築することが非常に重要です。
日本の理化学機器企業は日本の宝です。日本の理化学機器企業と組んで迅速に装置を改良することができるので、研究の小回りが利きます。マテリアル分野に有力な理化学機器企業が存在するのは非常に幸せで、それら企業が強くなって世界をリードすれば、日本のマテリアル産業も強くなります。アカデミアとマテリアル産業、そして、理化学機器企業が全部リンクしています。ですから、産学連携を活発にして、皆が発展する仕組みを作る必要がある。それが大規模集積研究基盤の役割です。
日本が世界の頭脳循環に入ることが重要です。日本が世界から無視されるのではなく、しっかりと日本から成果を出し、標準化も提案し、頭脳循環に入ることができる拠点が必要です。
産学連携において産業界の動向に合わせる必要があります。産業界の方々は自動化に非常に興味を持っているという印象です。そして、装置共有にも興味を持っていると印象があります。それから、ロボット産業が強いことも日本の利点です。世界の産業用ロボットの半分は、日本から出荷されています。
以上より、ハードウェア面では強みがあるので、そこを起点として先ほどの二つのループを描いていく戦略が非常に重要です。研究者の勘・コツ・経験を入れていく点が肝で、日本にそれが蓄積されているうちに取り組まねばなりません。
研究基盤のあり方について、私自身がイメージしている良い例があります。TSMCです。
現在、半導体業界では、TSMCに皆頼るようになっています。これは、TSMCが世界の共用研究基盤であると言えます。その共用基盤に皆が半導体製造をお願いする。すると、共用基盤が多くの実験を進め、データ収集・活用し、さらに予測技術が高度化していきます。それらをもとに再び実験を進めて、ループが高速に回って良い製品ができる。結局、皆で施設とノウハウ、知識を共用する拠点になっていると捉えることができます。そして、世界はこの拠点に今や頼らざるを得なくなっている状況です。
今後、日本にこのような拠点をいくつ作れるかということが問われています。それは研究分野毎にできていくでしょう。その拠点に頼めば、ノウハウも人も設備も利用可能となり、世界中から頼られる。このような拠点に育てば良いと思っており、それを構築するのが大きな狙いです。
大規模集積基盤に期待されることを2ページのスライドにまとめます。今、このような研究基盤を構築しようとしても、進められる人材が存在しません。人材育成が急務です。この点は協調領域として、産学官が協力して進めるべきでしょう。協調と競争はしっかり分け、協調できることはみんなで協調することが必要だと思います。国内で競争ばかりしていては、世界に負けてしまいます。この拠点が人材育成の場として活躍するのだと思います。
さらに、自動・自律実験技術の開発を、各大学や各企業でばらばらに進めていたら海外勢に負けてしまいます。海外の投資額は非常に大きいですので、物量で負けてしまう。したがって技術開発面でも協調できるところは協調することが非常に重要です。そうすると、標準化・オープン化が鍵を握ります。plug and playで自動実験装置が接続できるようにすれば、多様な研究に対応できます。
今後、ラボのシステムインテグレータがますます重要になってくるでしょう。今、自動・自律実験が可能な実験室を作りたいと考えても、誰も請け負ってくれません。したがって、現在は自分たちで構築しなければならないのが実情です。
ラボシステムインテグレータとして、特に理化学機器企業に期待しています。理化学機器企業がシステム開発力をつけて発展すると、研究者の言葉でラボの仕様を頼めば構築できるようになるでしょう。そのため、導入のためのハードルが下がります。したがって、ラボのシステムインテグレータを育成しながら進めるのが重要です。ラボシステムインテグレータは高度なドメインの知識を持つ必要があります。そうしないと良い実験室ができません。
以上のように、研究基盤拠点は産業界と連携して、日本全体の基盤を向上させていく視点が必要です。
大型集積研究基盤の機能を2つに分けます。1つは共用施設として自活することが非常に重要と思います。安定なユーザーの獲得が必要で、企業にも利用いただくことが考えられます。私は今、デジタルラボラトリー研究会を立ち上げ、情報交換する場としています。40社以上メンバーがいます。自動・自律実験システムに興味を持つ企業は多数あるので、企業が安定ユーザーになるという点は重要だと思っています。共用施設として自活を目指すためには、経営感覚を持った方がマネジメント運営していただかねばなりません。
それから、技術職員の活躍は必須です。非常に重要です。さらに、博士の活躍の場を広く作らねばなりません。研究者を頂点にした三角形のモデルではよくありません。子どもの頃は科学好きですが、年齢が高くなるとだんだんと科学好きが減っていくのが実情です。そして、博士課程に進学するのは、研究者になるためだという風潮がある。それでは裾野が広がりません。科学好きな人が、年齢が上がるにつれて、増えていくことが理想です。そして、博士課程修了後に様々なキャリアパスがあることをもっと周知すべきです。研究者、技術職員の他に、企業のマネージメント、スタートアップ、教員、官僚や政治家になっても良いでしょう。私は企業にいた時は、マーケティングセールス担当として世界を飛び回っていました。
博士課程で学ぶことの最も重要なことは最先端の知識ではありません。それはいずれ陳腐化します。それよりは、「人類初のことをどのようにして切り拓くのか」という方法を学ぶと理解しています。これはどんな仕事でも活かせます。私がマーケティングセールスをしていたときも、頭の使い方は博士の学生時代と全く同じでした。人類初のことを切り拓く経験と方法を知っている人材は、どのような仕事でもできるでしょう。したがって、博士人材が活躍する場を広げる風潮を作っていく必要があります。それが先ほどの学際的という話にもつながるし、優れた技術職員にもつながると思っています。
もう一つが、共用施設にとどまらず、やはり研究拠点にならなければいけないという点です。先ほども言いましたように、標準化も含めてデジタルのノウハウを集約する必要があります。例として大学の工作室を挙げます。大学の工作室にお願いすると、学生さんのつたない図面でも技術職員がしっかりと手直してくれ、加工されて良い部品ができます。しかし、デジタル化のところは、装置を自動化したいと考えても相談する窓口がありません。したがって、「デジタル化の工作室」、つまり、知識がしっかりと蓄積され、相談できるうえに実際に最先端実験装置開発とシステム構築までできる部門が必要です。各研究機関がそのようなデジタル化の工作室を持つ上、さらに、研究基盤が日本全体の工作室として知識・知見の集積拠点に成長することを期待します。そのような場で生まれた自動・自律実験システムを活用して、ドメイン分野の研究を牽引する役割も拠点には期待されます。
そのためにも、理化学機器企業の力を高めることが重要かと思います。我々の研究室は製品開発を行うテスト場になっています。様々な企業、JEOLさん、リガクさん、島津製作所さん、堀場製作所さん等が装置を持ち寄り、システムを作ってバグ出しやデータ収集・利活用のためのノウハウを獲得するため場となっています。試行錯誤して、その結果を製品に反映させて、それで世界で競争力を増すためのテスト場になっています。このように、集積研究基盤が企業を巻き込み、彼らの力を増していくための場になり、それがひいては日本全体の研究力を増すように設計することが理想です。そして、これを共用することによって、多くの方がその恩恵を受けます。
サイバー空間についても、取り組むべきことが多数あります。これまでリアル空間だけの話をしてきました。リアル空間からクラウド上のデータレイクに、我々は実験装置からダイレクトにアップロードしています。この全体をオーケストレイトするソフトウェアは、経済的な競争力を確保するという観点から日本製であることが必要です。さらに、様々なマイクロサービスと接続し、研究者が実施したいことをフレキシブルに対応できる仕組みを作らなければなりません。
最終的に作るべきことは知識基盤です、強力なChatGPTみたいなものです。大きなループで、どのような材料がいいのか、どんな研究をしたらよいのかを問い合わせると、その回答が出てくるイメージです。それをもとに研究者がさらにアイディアを練るわけです。
この知識基盤を構築するためには大量の質の良いデータが必要です。そのために自動・自律システムがデータを生成します。ですから、研究基盤外からもデータを集めることが重要でしょう。研究基盤は知識基盤の共用、運用も含んでいます。また、各研究者各々がデータレイクやセキュリティー対策をするのは非効率的です。そこで、日本全体として構築して共用していくことが必要です。その共用部分に対して継続した投資が不可欠だと認識しています。これはドメインに限るものではなく、様々な分野で共用できるというビジョンを描いています。世界でもそういうような動きが出ているのが実情です。米国では国立研究所がそのような役割を担っています。
この知識基盤の構築に向けて、データ収集の加速、つまり、実験の加速が不可欠で、拠点は必須と思います。これらは日本独自のデータとしてクローズドなデータとすることが重要です。また、働き方の変化も、私自身が強く実感しているところです。いまや夜中に自動合成して、昼に人間しかできない実験を進め、家に帰る前に再び自動物質合成の仕込みを行い、夜に自動合成するという研究の進め方も実践しています。従来の進め方と大きく変わってきています。それから、日本の人口減少している中、今回の取り組みは「実質的に研究者数を増大する」と言えます。
もう一つ、強調したいことがあります。適切なKPIを設定することです。共用施設として自活するためのKPIと、世界的研究拠点としてのKPIは分けなければなりません。カナダが非常に良い例で、カナダ政府が求めることは、材料としての数値よりも、「研究能力の向上」です。どれだけ人材育成をしたか、どれだけ共用件数を増やしたか、どれだけ共同研究を増やしたかというような項目がKPIになっています。高いインパクトファクターの雑誌に出版することや高い物性値を求めているのではありません。研究能力の向上を重視しています。
研究拠点自体の目標としては、研究者としてもちろん高い物性値を求めます。それは研究者が求めるもので、政府が求めているわけではありません。KPIは、共用施設と研究拠点でしっかりと切り分けなければならないと思っています。
最後に、段階的に自動・自律実験を導入する方策をお話ししたいと思っていました。しかし、もう時間がないので質問があったら答えようと思います。
最後にまとめます。これまでは手こぎボートで目的に向かっていました。このアプローチは今後も極めて重要です。それに加え、現在、機械学習やロボット技術が進展し、目的に速く到達することができるようになってきました。ただ、これだけでは効率向上だけです。研究者としては、もっと大きなことがしたいです。大量データの利活用、人間が今までできなかった実験をロボットで実施する、さらには、研究のワークフロー自体の見直し。それができるようになってきています。そうすると、また新しい発想が生まれるので、そこから学理が生まれてきて、全く違うところに新しい科学発見がある。従来とは全く違うところを目指すという構想を持って、全体設計をしていけたらと考えているところです。以上で終わります。
【梶田部会長】どうもありがとうございました。では、ただ今の説明につきましてご質問などありましたらお願いいたします。市川委員、お願いします。
【市川委員】東北大学の市川と申します。
【一杉先生】はい。よろしくお願いします。
【市川委員】先ほどのお話とも関連して、研究開発とかマネジメント、あるいは今回みたくシステムインテグレータとかデジタルとか、そういう人材が非常に重要だっていうお話があって、そのとおりだと思うんですけれど、そのためには、私自身は大学にいて思うのは、大学で育てるのって、特に理学部だからかもしれないんですけど、研究者であってマネジメント人材ではないっていうスピリットの違いがどうしても出てきちゃっていて、やっぱり社会の中で価値観を、研究者もいいんだけれど、でもマネジメントをするっていうことがとか、あるいはシステムを作るっていうことが、大学の中でも価値観が非常に高くなるように変えていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。
【一杉先生】まさにそうですね。
【市川委員】その時に、いいアイデアなのかどうか分からないんですけど、例えば保険数学だと、アクチュアリーっていうのをつくってすごく魅力的にしてますよね。今回のこういうデジタル、機械学習、AIなのか、あるいは機器をうまくどんどん組み入れてシステムを作るっていうほうなのか分からないんですけど、何らかのそういう資格みたいなものをつくって、すごくアトラクティブにするっていうのはどうなんでしょう。つくっちゃうと、そのうち陳腐化しちゃうといけないので難しいところではあると思うんですけど、どうしたら若者にとって魅力があるものになるのかっていう。
【一杉先生】なるほど。大変良い質問ですね。資格、非常に重要です。その前に、賃金を上げることが必要と思っています。
正直言いますと、情報科学と化学分野の産業では、賃金水準が大違いです。その観点からも考えて、化学・科学の魅力や楽しさをしっかりと伝えると同時に、人への投資を進めなければなりません。そうしないとマテリアル(化学・材料)分野に人材が集まらなくなるという危機感があります。したがって、産業界とアカデミアがしっかりと考えていかねばならないと思います。それから、日本は博士の給料が修士卒と大きな差がつかないというのも課題で、海外と学位に対する考え方が違うところも問題点です。これも産業界と一緒に議論していくことが必要と思います。
もう一点。大学で育成するのは研究者という固定観念を打破しなければならないと思います。博士のキャリアパスを多様化ししなければと思っています。研究者以外の職業でも博士が活躍する機会が多々あります。博士をとったら研究者、という研究者至上主義はよろしくないと思います。政治でも経営でも教員でも様々な職業で博士が活躍するチャンスがあります。ドイツのメルケル首相も博士でしたし。博士号を取ってから様々な道があるということを見せるのが重要です。日本の国会議員に博士が多くいたら、科学をもっとエンカレッジしてくださるかもしれないです。日本全体として科学への興味を増やすためにも、博士が研究だけではなく、もっと広い裾野で様々な分野で活躍していただきたいです。そのようなメッセージが非常に重要かなと思っているところです。
【市川委員】一言だけ言わせてください。それでその、アクチュアリーに対応するような、もしそういう資格みたいなものができた時には、それ、どこかの分野の博士じゃなくて、割といろんな理学、工学、農学、いろんなところの博士が取れるような、そういうシステムにしてるとすごく、それ持ってればどこに行っても困らないとかっていうふうにすると、いろんな、アトラクティブになるんじゃないかなというふうに。
【一杉先生】本当、そうですね。
【市川委員】ありがとうございます。
【一杉先生】ありがとうございます。
【梶田部会長】では、中野委員、お願いします。
【中野委員】どうもありがとうございました。まずは段階的整備という点についてお伺いしたいんですが、もちろんですが、勘・コツ・経験をAIや自律実験に融合するのに適した分野とそうでない分野があると思いますが、導入初期には、どのような研究領域に絞って展開すべきとお考えか。マテリアルサイエンスが例として挙げられていましたが、その見極めのポイント、つまりどういった観点で適性を判断されているのかを教えていただきたいと思います。
【一杉先生】はい。私自身、様々な企業に自動・自律実験システム構築のアドバイスをしています。どのように導入するのか、また自動・自律実験が向いている課題の設定は、毎回直面しています。基礎から応用に渡る企業における研究の、どこから自動化するのかという点について説明します。
おっしゃったように自動・自律実験が合う課題と合わない課題があります。したがって、課題設定が非常に重要です。実験プロセスは一般に多くのプロセスからなるワークフローがあります。最初に自動化すべきは、マニュアルが整備されていて再現性が高い実験手順です。マニュアルがあるということは人間の個性が必要ないということなので、自動化が合います。また、長いワークフローのどれから自動化していくのかという観点では、スループットのボトルネックを見つけて、それを自動化・ロボット化するのが良いと思います。一気にシステム化するのは費用もかかるし、技術的にも難しいので、段階的にやっていくのが必要だと思います。
それから、チームを作ることが重要です。1人で全部対応するのは現実的ではありません。チーム構成を紹介します。5つのタイプのメンバーからなります。一人目がドメインの研究者です。マテリアルやライフサイエンスの研究者です。二人目が企業でしたら生産技術部門の技術者です。企業内で量産工場を造るために生産技術部門があり、ロボットを普段から活用していて、システム化を進めるエンジニアリング部門です。そのようなメンバーが加入すると、プロジェクトが非常に速く進みます。これは大学に存在しないところです。
三人目が、マテリアルインフォマティクスや情報科学に強い人材です。四人目が計測・分析の理化学機器企業です。五人目が物質合成などのハードウェアを製造するメーカーの方です。このようなチームを構成することが重要です。
最初のプロジェクトはドメインの研究者がリーダーですが、次のプロジェクト以降は生産技術部門の方がリーダーとして自動化・自律化を進める企業も出てきています。生産技術部門の方が課題設定の目を身につけると、彼らが自主的に自動化を次々に進めていくという企業もあります。そうなると、研究者は本来の研究に戻り、それら自動化装置のユーザーとなります。
企業における生産技術(エンジニアリング)部門は、大学に存在しません。一番近いのは技術職員です。共用施設の技術職員にとっては、活躍の場になると思います。段階的に進めるにあたり、エンジニアリング部門の活躍は必須です。
【中野委員】ありがとうございます。2つ目の質問ですが、それに深く関連するということが今分かりましたが、こうした取り組みに国費を投入することについては、最終的にどのような形で社会に対してアウトプットあるかという点は非常に重要で、やはり最初から産学連携の視点で考えていかないと難しいのではないかと思っています。今の時点で企業の方々がどの程度こうした取り組みに興味を持っておられて、例えば、国費に対してフィフティー・フィフティー出してもよいというようなな、そうしたモメンタムや企業からの期待が高まっているのかどうか、教えていただきたいと思います。
【一杉先生】ありがとうございます。企業に関しては、私の研究室を2023年に訪問した数は500人程度、延べ200社以上です。企業は非常に興味を持っています。人材獲得難、働き方改革、技術継承の大変さを企業の皆様はひしひしと感じていて、我々の研究会にも企業の方が多数参加しています。
今、実際に私のラボでは、企業にお金を拠出いただいて、協調領域を設定して皆で研究開発を進めています。要するに、ものづくりをするための「はさみ」は、協調領域です。そのはさみで「何を切るのか」は競争領域という整理です。その認識のもと、各社から研究員が集まって研究開発を行う協働ラボを設置しました。
したがって、協調を認識している企業も出てきていて、お金も出す企業があります。私の考えとしては、今回の施策において、企業を巻き込むのはマストですし、それがダイレクトに産業競争力向上につながるように設計しなければなりません。したがって、日本としてのお金の使い方としては非常にポジティブであるというのが印象です。
【中野委員】ありがとうございます。カナダの例を出していただきましたが、CFIという非常に有効なマッチングファンドがあり、企業から出た資金と同額を政府が拠出するような仕組みもあるようですが、日本でそうした制度を導入した場合でも、それぐらい企業は出資するような感触をお持ちでしょうか。
【一杉先生】はい、持っています。企業は人がいない、そして働き方の改革、技術の伝承、属人的な作業の減少、データ活用、研究のスピードアップなどの要因から投資をはじめています。マッチングファンドは重要と思います。
【中野委員】ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございました。渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】ありがとうございます。短く質問いたします、皆さん質問したいみたいなので。
日本が協調を鍵にしていくのは私も大賛成ですけれども、研究の世界は今まで協調というより競争してきたじゃないですか。この文化というか、視点を変えるのは、何をもってできるでしょうか。そのお考えがあったら教えてください。
【一杉先生】これは難しいですね。国からも十分に発信してマインドセットを変えて行くことが重要と思います。少人数の独立したグループだけでは、研究者連合や研究資本があるグループと戦うには限界があるのは事実です。先ほどの小泉先生の発表でも、一つの研究に関わる研究者数が増えているというデータがありました。異分野の融合も進めることも重要なので、みなで協力して研究を進めようという雰囲気作りを望みます。すると、協調することが重要になってきます。
日本のアカデミアはこれからますますシュリンクしていきます。すると、プラットフォームを作って協調できるところは協調し、むだを省かねば世界に勝てません。そのプラットフォームを活用した上で各自のアイデアで競争することになると思います。国からのメッセージは非常に重要だと思います。
【渡辺委員】ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございます。今、もう既に一杉先生のご講演について10分ぐらい質疑応答させていただいてるんですが、小泉先生も最後までお付き合いいただけるということなので、もしよろしければ、ゼネラルに今日の講演について意見交換という形で、最後の5時半まで進めさせていただければと思うんですが、よろしいでしょうか。
【梶田部会長】では、長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部先生】一杉先生のお話、現場で研究者をやっていて、本当にこういうことが実現したらすごくいいなと思って感動して聞かせていただきました。それで、日本の強みとして、企業との連携が鍵だということは全くそのとおりだと思いました。
それで、私、生物の進化とか分類を研究してるんですね。あとは文系のいろんな分野っていうのは、企業との連携が薄いんですけれども、必要な分野、そういう超基礎的な分野については、どんな道筋っていうのがあるかなって、お考えがありましたら教えていただけますか。
【一杉先生】なるほど。基礎から応用まで、自動・自律実験がどの段階に合うのか、経験を先に述べたいと思います。自動・自律実験が合う研究課題と合わない研究課題があります。共用や自動化がフィットする領域とフィットしない領域があります。先生の分野がフィットするのかが分かりませんが、私自身の経験上、一番フィットするのはビジネスのすぐ近くにおける、繰り返し作業です。例えばある製品について、顧客の要望に細かくチューニングして出荷するビジネスです。そのようなビジネスは多数あります。企業内で最適化が繰り返し行われていて、顧客になるべくはやく出荷するビジネスです。そのようなビジネスには大変良くフィットします。
ですから、研究の上流(基礎研究)のところに投入するよりも、製品(ビジネス)に近いところが一番フィットするように思います。基礎研究はまだしばらく人間がやるべき領域と思います。ただ、基礎研究にもルーチンワークがあるので、それに対して自動・自律実験、共用を進めるのは合理的です。どこに自動・自律技術を投入するのかを明確にして議論を進めることが必要です。
先生の研究について、もっと詳しくお聞かせ願いたいところです。繰り返し実験がどの程度あるかのなどの情報があれば、もう少しお話ができます。
【長谷部委員】例えば文系のような領域だと、そういうところに投資していこうっていうような企業っていうのはやはりあるんですかね。
【一杉先生】文系っていうのはたとえばどのようなことを指しているでしょうか。
【長谷部委員】歴史だとか、例えば日本文学だとか。
【一杉先生】それは聞いたことありません。
【長谷部委員】ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございます。では続きまして、山田委員、お願いいたします。
【山田委員】ありがとうございます。国際的な競争力養うために、今日ご議論いただいているようなシステムを作って、研究のともかく効率化、合理化を図って、ターンアラウンドを短くしてスピードアップしないといけないということに関しては、全く異論はございません。一方で、素朴な疑問を覚えるわけです。こういったシステムを構築してる上では、ともすれば、うまくいった事例、あるいはこうしたらうまくいくよというようなものが蓄積されがちで、失敗例については、形式的な知識として蓄積していくことはなかなか難しいと思うんですね。実際にはそういった失敗から飛躍的な仮説が生まれ、新しい発見発明っていうのが生まれるっていうことは事例に事欠かないわけですので、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
【一杉先生】素晴らしい質問と思います。失敗というのはベストではない値のデータを意味していることと思います。そのような失敗データも含めて、全部データは取得して保管しています。そして、それらデータを次の推定に使用しているので、失敗という概念がありません。機械学習の性能を向上するには、ベストなデータとそうではないデータの両方が必要です。それらを全て活用しているので、失敗という概念がないと言えます。
いただいた質問のもう一つの捉え方は、セレンディピティという観点です。例えば、濃度を人間が誤ることや、普段とは違う手順で実験したら偶然良い結果がえられたというケースです。それは引き続き人間が試行錯誤する、それこそ人間がやっていくべき研究だと思います。一方、システム化されたところは機械が実験を行う。人間と機械の役割を分け、人間しかできない実験は人が進め、セレンディピティも大切にしていくのが重要です。人間と機械のバランスが重要と思っています。
小泉さんは何かありますか。
【小泉先生】全く同感です。セレンディピティーを考えると、例えばこれを自動化だけに頼って実験するというのはナンセンスだと思うので、山田先生がおっしゃるとおり、そういったところも大切にしなきゃいけないなと、先生おっしゃるとおり、山田先生がお考えのとおりだと思います。
【一杉先生】機械化を進めると、人間が五感をフル活用する実験がますます重要になってくる感覚があります。それと機械の組み合わせ、つまり、人間と機械の「共生」を進めるためのノウハウ・運用スキルが非常に重要になってくると思います。
【山田委員】十分留意されてることは分かりました。ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございました。飯田委員、お願いします。
【飯田委員】ありがとうございます。非常に示唆に富む気付きの多いお話を小泉先生、一杉先生、ありがとうございました。お伺いしたい点たくさんありますが、一杉先生2点と小泉先生に1点、手短にお願いしたいと思うので、よろしいでしょうか。
【小泉先生】はい。
【飯田委員】ありがとうございます。
まず一杉先生に。博士のキャリアパスに関して、私自身も大変関心を持っているところですが、研究者至上主義のお話があったりする中で、日本の技術開発力を上げていくために、技術職員といわれる方たちのレベルもアップしないといけない、そのために、お給料等待遇のお話もありました。技術職員の方に有期の方も少なくない等いろいろある中、お話しにあったように、予算を確保して報酬を上げ優秀な人をまず集めるという形が今の日本で現実的なのか、どのようなアクションが良いのかを、お伺いしたいと思います。
【一杉先生】なるほど。これは国のやりようだと思います。これは文科省にぜひお願いしたいです。給与や昇進面で、研究者と技術職員が対等というメッセージをはっきり出すことが重要だと思います。そして、技術職員になろうと思う人をつくる。
イギリスで私が聞いた話だと、技術職員やコーディネータ、URAのポジションに若い方が一時期就いて、仕事を試せる制度を作ったとのことです。もし自分に合わないと思えば研究者に戻ってくるパスを作ったそうです。技術職員やURAに自分がフィットすると思えば、そのキャリアで進めば良いし、研究に戻りたいと思ったら戻れるような制度です。
日本の技術職員やURAが、若い方の目標になるように制度設計しなければなりません。経験する機会を作るのは非常に重要と思います。僕だけじゃなくて、小泉さんはどうでしょう。
【小泉先生】同感です。
【飯田委員】ありがとうございました。あともう一つ、一杉先生にですが、理化学機器企業のことについて、ありがとうございました。最先端の開発に巻き込むことが非常に重要だという先生のご指摘ありがたいなと思い伺ったのですが、一杉先生のところでは非常にうまくそういう形が取り込まれている例だと思うのですが、日本として見ると必ずしも十分なレベルにはないのではないかと思っておりまして、そのような取り組みを広げていく、事例を増やすことに対してご意見いただければ、と思いました。
【一杉先生】これは非常に重要なポイントですね。なぜ日本と世界で自動化が進まないのかというと、理化学機器企業がビジネスチャンスといまだ思っていないからだと思います。今回のデジタル化により、彼らが利益が出るような仕組みに持っていかななければなりません。そのようなビジョンを描いて実現しなければなりません。
装置共用すると装置の販売台数が減り、ビジネスとしては売り上げが落ちてしまうと予想できます。そうすると理化学機器企業は協力してくれません。そうならないようビジネスモデル自体を考え直さねばなりません。我々が機器を購入して終わりではなく、メンテナンス費用を支払うような仕組みにしていくことが考えられます。その分、実験装置を安くするなど、研究者と理化学機器企業の両者がハッピーになる仕組みを作っていかねばなりません。そして両者が共存共栄する同じビジョンを見るのが非常に重要だと思います。研究者と理化学機器企業が一緒に前に進んでいくものですから。日本の理化学機器企業として、世界に展開するシナリオ、つまり、強みになるようなビジョンが重要と思います。
【飯田委員】ありがとうございました。小泉先生にお伺いさせていただきたいのですが、中核研究装置による最先端研究支援サービス提供のお話を伺ったのですが、日本全体としてグランドデザインをどう書いて進めていくのか、グランドデザインのようなものが必要ではないか、という印象を持ちましたが、この辺りについてお教えいただければありがたいと思います。
【小泉先生】ありがとうございます。まさにそこが重要で、例えば先ほど、一杉先生がおっしゃってるようなマテリアルサイエンスとかは先行事例だと思います。あと化学、それから創薬に近い化学とかもそうだと思いますが、それ以外日本全体としてどういったところで勝てるのかっていうところを考えながら戦略を立てていく、日本として戦略を立てていくというところは、まさに研究環境基盤部会の先生方で考えていただく部分かなというふうに思っています。それは国でリードしてやっていただかないと。まさにこの部会の先生方で、どの部分で勝てるのかっていうところを考えていただければと思っています。
【飯田委員】ありがとうございました。一杉先生、小泉先生、ありがとうございました。
【梶田部会長】ありがとうございました。河原林委員、お願いします。
【河原林委員】いろいろとお話ありがとうございます。私も全面的に賛成するところですけれども、今回の議論の多分柱はHowだと思うんですね。誰が何をやるか、どうやってやるかっていうのがほぼ全てだと思います。これをやらなきゃいけないっていうの、みんなが分かってるんだけど、どうやればいいか分かってないっていう点からちょっと先生方に質問させていただきたいのの、特に一杉先生の話は非常に面白かったと思うんですけど、グラントエージェント、ファンディングエージェントがやるべき仕事なのと、共同利用がやる仕事なのと、あるいは本当に政府が直下的にやらなきゃいけない仕事っていうのが若干ちゃんぽんしてるような気がしますので、その辺をどのようにやるべきなのか、やらなきゃいけないのは分かってるので、今日本のこの体制としてどうやるべきなのかっていうことは多分議論しなきゃいけないっていうことなので、その辺のことをお答えいただければなと思います。
それから、情報科学の観点から言うと、皆さんいろんな方が情報科学も交ぜなきゃいけないっていうのは、それも分かるんですけど、私も東大の理情の先生でもあるんだけど、理情の学生がじゃあそういうところ手出すかっていうと、NOです、現状では。それはやっぱり、彼らはGAFAだとかそういうところに行っとけば3倍、4倍給料稼げるわけですね。それを捨ててまでやる人はいないです。
となると、本当はわれわれみたいなコンピューターサイエンスみたいな大学院生ではなくて、学際をやるようなMITのCollege of Computingみたいなものすら作らなきゃいけないのかなと私は思っていて、となると、そもそもこの機関じゃなくて高等局まで巻き込まなきゃいけない話なのかなということすら思っています。
そういうことを含めて、人材っていうことに関して現時点で本当にこれでいいのかっていうのも含めてちょっとお話しいただければなと。これは小泉先生もお話ししたいかなと思います。よろしくお願いします。
【一杉先生】大変重要な質問です。後者からまず話させてください。人材育成のほうですね。私は東京科学大学で物質・情報卓越大院の立ち上げに参画しました。ここで物質科学と情報科学の両方を理解する人材育成を試みました。大竹尚登先生も含めて大いに議論しました。情報科学を専門とする学生にマテリアルに興味を持っていただくのは大変です。そこで、もともとマテリアルなどドメイン知識がある学生に、情報科学を学ぶ機会を提供する方向性で進めています。もちろん情報科学の学生にマテリアルの学習機会も提供していますが、そちらは少数です。ですから、縦割りではなく、学際的な学びの仕組みを作ることが非常に重要と思います。その点は、河原林先生がおっしゃるように、大学組織面からの取り組みも望まれます。
東京大学の理学部化学科では、「情報化学」という3年生向け講義をしています。最先端の講義ができる教員が限られるのが問題です。様々な方々の協力を得て、学際的な教育を進めています。なるべく若い学生に、情報科学やロボットを使って自動・自律的に研究を進める方法に触れられるようにと思っています。これら技術を活用して、マテリアルドメインの研究が進められるということを教えています。もちろん、自動・自律実験や機械学習活用の意義がその時には分からない学生がいます。しかし、企業に入ってからやはり重要だと思ったら、その時に高いハードルを感じずに学び直せば良いでしょう。そこまでが大学の役割と理解しています。これあら、まず2つ目の項目に対する回答です。
1個目のところは、グラントのお金の出し方と、実際の施策の対応が必要というのはおっしゃるとおりです。例えば博士の活用だったら政府のメッセージが必要でしたり、いろいろな場合に分けられます。非常に多くの場合分けがあり、全部整理するのは今難しいので、また今度議論させてください。本日は、時間がもう足りないようですので。申し訳ございません。
小泉さん、どうぞ。
【小泉先生】ありがとうございます。まず、Howの部分に関しては、まさにそのとおりだと思います。全員が賛成してるところでどうするのか。ステークホルダーとして考えられるのは、国、それから大学共同利用機関の話を僕のほうからしました。一杉先生からは理化学機器企業という話が出ました。こういったところがステークホルダーになるのはそのとおりだと思うので、じゃ、それをどうやって、国としてやはりリーダーシップを取りながら、予算も確保しながらどうしていくのか、howの部分っていうのは、ぜひ次回の研究環境基盤部会でお話しいただければと思っています。
それから、後者の人材に関しては、すごく昔に河原林先生が、自分のところで育てた人材がどんどんGAFAに取られていくっていうのを言ってたのを覚えてるんですけども、先生が育てられてるような人材というのがこちらに戻ってくるというのは、なかなか難しいとは確かに思います。
なので、僕としては、人材政策課で話をしているような研究開発マネジメント人材を育てていく中で、こういったことをスキルとして持つ人を、さらにそこからいったん研究開発マネジメント人材として育て、そこにスキルを付与していくというような、そういった形ができないかな、または技術者として育ってる方にスキルを付与していくような形ができないかなと思うんですが、どれが正解なのか、ごめんなさい、すぐには分からないところで、そこも議論が必要だと思っています。以上です。
【梶田部会長】ありがとうございました。永田委員、お願いいたします。
【永田委員】ありがとうございます。皆さんこの方向で進める上で何が問題になるかという実質的な議論をされてきたんですけど、人材育成の現場にいる人間として、ちょっと違う観点で、これってサイエンスなのか、単なるテクノロジーなのかという議論があると思っています。例えばマテリアル科学でこれはうまくいくだろうってことは良く判ります。例として、Magneto-optical effectを最大化するような材料を作ってみろって言われたら、きっとできる。だけどサイエンティフィックに考えると、じゃあ何故それがうまくいったのかっていうことを抽出して学理にしなきゃいけないですよね。
それを考えた時に、この手の研究のやり方だといろんな人が必要だと思うんだけど、例えば一杉先生の頭の中で、そういう学理を抽象的に導き出してくる人材と、いわゆるAutomated Research Workflowで動く人っていうのは、同じ人材ですか、それとも違う人材ですか。
【一杉先生】なるほど。大変いい質問で、僕は同じだと思いますね。
【永田委員】同じであったほうがいい。
【一杉先生】はい。研究者としてどのようにして新学理にたどり着くかという観点で、今回の自動・自律実験ツールを使いこなしながら進めるか、自分の今までのやり方で進めるかの違いと思います。自動・自律実験はあくまでツールなので、学理の探求をしたい研究者がこれを使いこなすっていう意味で、同じ人と理解しています。
【永田委員】つまり夜に自動で装置が働いて、昼はちゃんと自分で考えると。
【一杉先生】そうです。まさにそうです。
【永田委員】これから大学院生を育てる時に、どうやってそういうことをやれる人材にするかって結構考えなきゃいけなくて、もし同じ人材だとすると、相当教育の形を変えていかないといけなくなると思って。ちょっとそこがすごく気になったので質問しました。ありがとうございます。
【一杉先生】今の点で補足させてください。実験システムを作る人は別の研究者・集団になると思っています。将来的には、自動・自律実験システムを使いこなして学理を探究する人と、その実験システムを立ち上げる人は一致しない場合があるでしょう。とくに立ち上げる人材には、研究者に加え、エンジニアリング人材の活躍が必須です。先ほどの議論は、使いこなす側の話です。
使いこなす側について、教育面で議論する機会が多々あります。私は新しいタイプの研究人材が出てくると考えています。今の科学は、理論家か実験家に分かれています。将来、今回議論しているような自動・自律実験システムを活用してデータを大量に生成し、そこから真理を導こうとする新しいタイプの人材も出てくると思っています。どのタイプの人材も、皆、学理を探究したいという一念だと思います。また議論させてください。
【永田委員】はい。ありがとうございます。
【一杉先生】ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございました。大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】小泉先生、一杉先生、どうもインスパイアされる話をありがとうございました。私も今のお話の人の役割、あるいは市民の役割、研究者の役割、そしてこのシステムの役割っていうところは一つ大きな命題かなと、先進的なお話だったが故に思いました。
時間もないので質問1つだけ。エコシステムっていう話と、あと自動のシステム化というお話をお二方からいただいた中で、私自身、標準化の部分は一つ大きなハードルかなというふうに思っています。ここについて明確な解があるとは思っていないのですけれども、例えばこうしたらいいとか、あるいはこういうグッドプラクティスがあるというところがあったら教えていただいてよろしいでしょうか。
【一杉先生】はい。私のほうから1つ紹介させてください。標準化は業界団体が主導しています。日本分析機器工業会(JAIMA)に、JEOLさん、リガクさん、堀場製作所さん、島津製作所さんなどが加盟している業界団体です。その業界団体と経産省は、実験室のデジタル化が非常に重要であると認識して、MaiML形式と呼ぶ共通データフォーマットを策定しました。そして、2024年5月にJISに制定されました。現在、実験装置メーカーごとにデータ形式が異なります。したがって、人間がデータをコピー・アンド・ペーストしてエクセルに貼り込まねばなりません。しかし、どの実験装置からもMaiML形式で出力されているので、データ収集が非常に楽になりました。日本から提案できていることは、非常に良いことだと思います。
そのほかに、実験装置同士を接続するために、物理的形状や通信プロトコルも一緒に標準化しなければなりません。ヨーロッパ主導で、日本分析機器工業会も一緒に共通フォーマットを策定しています。このように、日本からも提案することが今ならできます。理化学機器産業に力があるからです。その産業が強いうちは、標準化についてもしっかりと日本からメッセージが発信できると考えています。
【大竹委員】なるほど。ありがとうございます。
【一杉先生】小泉さん、何かありますでしょうか。
【小泉先生】ありがとうございます。まさに国際標準化、国際取りに行くっていう、初めからそこはやっていかなきゃいけないところだと思います。できたところで国際標準取りに行くのではなくて、初めから国際標準を狙いに行くという姿勢が。そこはやはり国としての、文科省としての支援というのも重要だと思っています。以上です。
【一杉先生】今、規格はできました。しかし、それが本当に皆に採用されてはじめて標準と言えます。そうなるように国で支援してほしいです。つまり規格の実証を支援するということです。それがあると世界に対してもアピールでき、大変良いと思います。実際に成功事例が出てきたら、それを見て世界が使うようになります。規格の制定から普及までの橋渡しは非常に重要と思っています。規格作りと本当の標準化(皆が使う)は違うので、ここをつなぐところです。
【大竹委員】ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございました。ほとんどもう終わりの時間なんですけども、今3名の委員の先生方から手挙がってるので、ちょっとだけ時間を延ばして、皆さんのご質問その他をお聞きしたところまででよろしいでしょうか。
【梶田部会長】原田委員、お願いいたします。
【原田委員】ありがとうございます。東京大学の大気海洋研究所の原田と申します。お2人のお話に共通していた人材育成の重要性に関してです。
お一人ずつへの質問ですが、小泉先生のご紹介でありました研究マネジメント人材、フロリダのマックス・プランクの釜澤先生の事例が出ていましたけれども、こういった研究マネジメント人材に有益な研究者ならではの視点として一番重要なことは何かというのが1つ目の質問です。
それから一杉先生のほうにも質問です。ラボシステムインテグレータの育成が今すぐ取り組むべきこととして挙げられていましたけれども、この人材、一体具体的にどこでどのように育成していくのがよいのか、何かアイデアがありましたらお願いいたします。
【小泉先生】まず小泉のほうから。ありがとうございます。多分釜澤先生の場合は、やはり最先端の開発をしていく、彼女のところにさまざまな顕微鏡企業が最先端の、まだ開発中の顕微鏡を持ち込んで、一緒に開発するということを彼女はしています。そういった新しいことに挑戦するという、そういったマインドがやはり重要なところなんじゃないかなというふうに思っています。既存のものを使うというわけじゃなくて、研究者と関わるっていうのは、やはり開発するマインド、新しいものを挑戦するマインド、その挑戦するというマインドが重要なんじゃないかというふうに思っています。以上です。
【原田委員】ありがとうございます。
【一杉先生】化学・マテリアル分野の研究者をラボシステムインテグレータとして育成するのではなく、化学工学や化学システム、生産技術を専門としていた人材をラボシステムインテグレータとして育成するのが良いと思います。ラボシステムインテグレータは、全体システムを作る仕事です。一度、自動・自律実験システムを作る経験をすると、全体システムをどのように作るのか、そして、どのような研究課題に自動・自律実験が適しているのか勘・コツ・経験を得ます。つまり、課題設定の目が養われてきます。実際に、最初のプロジェクトではリーダーが化学・マテリアルの研究者ですが、その際に生産技術部門がそれを学びます。そうすると次のプロジェクト以降は、生産技術部門の人が次のリーダーになっていく実例を複数社で経験しています。そうすると化学・マテリアルの研究者は本来の研究に集中できます。このように、科学者が自動・自律実験システムを構築するというわけではなく、エンジニアリングに強い方がラボシステムをインテグレートしていくイメージを持っています。それが社内の生産技術部門でしたり、化学工学エンジニアリングに強い方が該当します。それらの力があり、かつ、ドメインの知識がしっかりしていないと、良いラボシステムは作ることができません。
今後、理化学機器企業がラボシステムインテグレータになることも考えられます。研究者の言葉で彼らに相談したらシステムを作ってくれようになるでしょう。現状は、システム作りのための専門知識が研究者に要求されます。それがハードルになっています。鍵を握るのはエンジニアリング部門の方で、そのような方と研究者が協力してラボシステムをインテグレートしていくと思っています。
【原田委員】ありがとうございました。
【梶田部会長】では、荒砂委員、お願いいたします。
【荒砂委員】ありがとうございます。東海大学URAの荒砂でございます。一杉先生、小泉先生、ありがとうございました。
一杉先生と小泉先生、1つずつ質問させていただきたいんですけれども、一杉先生、今回先生が進められているような自動化といったところ、進めていくラボの構築といったところ、やはりそこはその自動化の部分も含めると少し時間もかかるようなところだと思うんですが、そういったところ、今、結構短期的な成果が求められるっていう状況において、若い研究者の参入のしやすさっていったところはどのような状況なのか。また、参入してもらうためにはどういった評価、機器開発もそうだと思うんですけど、自動化だとか、こういう仕組みをつくっていくこと自体が評価されるっていうことにならないと、なかなか先生たちが入ってこられないんじゃないかと思うんですが、その辺り、いかがでしょうか。
【一杉先生】非常に大問題です。「仕組み」を作る方が高く評価されるようにしなければなりません。このようなシステムを作るのに最低でも2年かかります。1年間に構想を練って2年目で組み上げる。バグ出しをして安定に動かせるのは3年目。そのような時間スケールです。その時に、今、日本の課題は、その装置を構築して、研究を加速した研究者は高い評価の対象にならない。これは大問題だと思っています。科学研究を加速し、データを出すというところも含めて高く評価されるような仕組みになっていなければなりません。つまり、アカデミアにおいて、「オリジナリティが高いエンジニアリング」に長けた人材を高く評価しなければならないと強く思います。技術職員も該当します。
一般に、最先端計測技術の開発にも当てはまる気がします。ものすごく性能が高い装置を作った方よりも、それを活用して、インパクトファクターが高い論文を書いた人の方が高く評価されています。装置がなければ成果が出ないのですが、装置開発をした人はそれほど高く評価されないと実感しています。人材評価の多様化が非常に重要です。
【荒砂委員】ありがとうございます。
小泉先生、よろしいでしょうか。先ほど原田先生のほうからもありましたけれども、釜澤先生ですね、研究開発マネジメント人材の。私もURAとして思ってるところ、ちょっとありまして、こういった方を、人材を育成していくっていうところ、今いろんな先生からお話があって、なり手を育成していくところがあるんですが、なった後の評価っていうところも結構難しいだろうなと思っていまして、こういった人材、今まで日本にそんなにいないと思うので、教員の評価、技術職員の評価とURAの評価とも違う、もっと第三の評価っていうところは必要であろうと思っています。そこが成り立たないと、なかなか着任した後に思うように輝けないというか、生き生きとできないんじゃないかなと思っていまして、その辺り、今小泉先生、どのようにお考えかお聞かせいただければと思います。
【小泉先生】ありがとうございます。従来の教員の評価の仕方をそのままあてがうこともできませんし、何か違う形で評価していかなきゃいけないと思ってます。まさにそこは僕自身が座長をしてます人材政策課のワーキンググループ、来週の12日に第1回を行いますけれども、そこでも議論していきたいと思っています。まさに評価自身も多様化していかなきゃいけないと思っておりますので、また荒砂先生、いろいろとお考えをお聞かせいただければと思います。
【荒砂委員】ありがとうございました。
【梶田部会長】では、市川委員、お願いします。
【市川委員】小泉先生にお伺いしたいんですけれど、プレゼンの時に、分野の壁を超えるということを強調されていたんですけれど、逆に、今までどうして分野に壁があったとかっていうのが、教えていただくことはできますでしょうか。
【小泉先生】ありがとうございます。そもそも大学共同利用機関というのが、その機関ごとに分野があてがわれたところがあって、この分野はこの分野、例えば天文学なら天文学とか、そういった分野を支えるというところで大学共同利用機関がつくられてきたという経緯があったと思います。長い、そもそも法人化される前から存在していた機関ですので。そこがやはり大きいのかなとは思いますけれども、ただ、ここにいる先生方も、そんなこと、もう過去の40年前、50年前の話であって意味ないだろうということは皆さん思ってると思うので、まさに生まれた経緯は分野から生まれてきてるんですけれども、そこをいかに取っ払っていくかっていうのが重要かなと思っているところです。お答えになってますでしょうか。
【市川委員】分かりました。そうすると、例えば私の知ってる感じだと、高エネルギー加速器研究機構だと、高エネルギー加速器や高エネルギー物理学に関係したことを遂行する研究機構であるっていって、もう設立の中に書かれているので、その外に出ようとすると問題が出てくるんで、そこから書き換えないとちょっと厳しいのかもしれないっていうところがあるんですかね。
【小泉先生】そうですね、国立大学法人法の中にはそこまで書いてないとは思うんですけれども、もうちょっと下のところに潜ると確かに、あまりそこの話をすると怒られちゃうかもしれませんが、多分いろいろと高エネ研はこう、国立天文台は天文学とかいうところの何らかの緩い縛りはあると思います。
ただ、昨今の議論で、大学共同利用機関、または大学共同利用機関法人も分野の枠を超えてということは十分に認識されてると信じているところです。高エネ研はなかなか、だったら物構研とかは、それはもう物構研に限らずさまざまな分野と連携しながらというのを高エネの中でも考えていらっしゃるかなと、ごめんなさい、勝手に物構研の話をするとまた怒られますが、と思ってます。
【市川委員】じゃ、最後に質問、一研究者としてこれに対して要望を、一大学の研究者として要望だけ付け加えさせていただきますと、もう共同機関どことか、どこの大学とか、そんなの全部取っ払って、日本中の大学とか共同利用機関が持っているある程度の機器を、最新であろうと古かろうと、ほかの人も多少使えるような機器は全部データベースに放り込んで、グーグルみたいなところで検索するとパッと出てきて、しかも最近の使用状況っていうのが、AIだと最近この機器は空いてますとか、そんなふうにやれるような世の中になるといい、いろんな問題はあると思うんです、技術的に可能かどうかっていうと、最新の技術では可能だと思うんですけれど、いろんな制約で難しいとは思うんですけど、そんなふうになってもらうと、すごく限られた予算でもいろんな研究がもっと進むようになると思っています。ありがとうございます。
【梶田部会長】ありがとうございました。木部委員、お願いします。
【木部委員】人間文化研究機構の木部でございます。文系なので、どういうふうに文系の研究が参画できるかというのを考えながら今日のお話を伺っていました。先ほどのお話では向き不向きがあるということで、人文系は不向きかなとも思いますが、実は人文機構の6機関は、歴史データだとか、言語データだとか、民族データをたくさん持っていまして、データを通した異分野融合が、特に歴史関係ではかなり進んでいます。例えば、異分野融合研究でこれまでの歴史年代を変えたり、そういう例が実際幾つかあるんですね。
一杉先生のお考えで、人文系のデータはかなり今、整備されつつあるので、そういうもので何か融合的な研究の可能性はないのかということをお伺いします。
【一杉先生】それは大いにあると思います。それも将来的には、ChatGPTみたいな知識基盤の中にそういう人文系のデータがあったら、いろいろやりようがあると思います。
私自身、全く異なる分野同士を掛け合わせたアイデアを出す時に、ChatGPTなどの生成AIを使っています。人文科学の考え方が我々の研究に適用できることを知るきっかけにもなると思います。知識基盤ができ、我々が有効活用できるようになれば、異分野融合はもっと進むと思います。
【木部委員】そうですね。ありがとうございます。そのためには、現在、人文系の研究者が自然系の方と接する機会や場が少ないので、こういう大きなサイクルをつくるためには、場をコーディネートする仕組みと人が必要だと思うんです。そういうものがあれば、人文系の研究者も自然系の発表を聞いて、もしかしたらこういうテーマで連携できるかもしれないっていう発想が浮かぶかもしれない。逆もあるかもしれない。だからそういう場をつくることが大事だというふうに思いました。
【一杉先生】本当にそうですね。私自身、現在、科研費・学術変革(A)の研究代表をしています。そこでは数理科学と材料科学の連携を進めています。数理科学と材料科学でさえも連携が少なく、お互いインスパイアされにくい状況です。おっしゃるとおり、インスパイアされるきっかけを積極的に作らなければなりません。先ほど申しました知識基盤をきっかけとして接点ができる可能性があります。実際、私自身も、自分が知っている分野と知らない分野をかけ合わせたらどのような研究ができるとChatGPTに問い、そこからいろいろとアイデアを得ています。したがって、知識基盤には非常にチャンスはあると思います。
【木部委員】どうもありがとうございました。
【梶田部会長】ありがとうございました。では最後、小関委員、お願いします。
【小関委員】どうもありがとうございます。今日はお2人の先生方に非常に刺激的な話をしていただいてありがとうございました。
僕はKEKの加速器施設におりますけれども、今日のお話で出てきた大規模集積研究基盤の在り方に、大学共同利用機関というのは非常によくマッチしていると改めて感じています。大学共同利用機関の個性や強みを生かす形で、今日ここでご議論いただいたような、何らかの新しい仕組みを大胆に取り入れて高度化するという方向性は、非常に良いとおもいます。
一杉先生に一つだけお聞きしたいんですけど、今日のお話でとても興味深かったのは、東京科学大学で今やっておられるデジタルラボラトリー、産学連携拠点の話です。ここでは、恐らく技術職員の方が非常に重要な役割を担っていると推測します。実際にどういうスキルを持った方がどのくらいの規模で活躍してるかということを教えていただきたいのですが。
【一杉先生】ありがとうございます。技術職員の方は非常に重要な役割を果たしています。現段階では技術職員の方は専門が縦割りになっていて、工作室のメカの技術職員やコンピューターネットワークシステムの運営・管理を進める技術職員などいらっしゃいます。しかし、ラボのデジタル化に貢献する技術を有する技術職員は日本には皆無です。そこで、「デジタル化に対応できる技術職員」を東京科学大学と一緒に育成しているところです。
今回、もともとメカ(機械工作)に強い方をデジタル化に強い人材として育成しています。装置同士を接続する、ロボットが試料をハンドリングするにも、ちょっとしたメカの工夫が重要です。テーパーを切ってあるだけでロボットが試料をハンドリングしやすくなるなど、細かい工夫が多数あります。ロボットを使った実験について、技術職員がまさに活躍してくださっています。従来のメカの方だけでは対応できません。今までの旋盤や加工だけを扱う技術職員ではなく、プログラミングやロボット技術にも強い、新しいタイプの技術職員も育成しなければならない状況です。実際にその技術職員は、ロボットを自分でティーチングして、自動で実験を進める部分を作れるようになりました。今後、研究室から自動化の依頼がきたら、対応できるでしょう。
それからもう一つはソフトウェア、システムの部分です。現在、外部のクラウドにダイレクトにデータをアップロードしています。そのような情報通信システムを作るところも、技術職員の方が活躍してくださっています。エンジニアリングの力が非常に重要なので、技術職員の方が活躍する場が多々あります。
【小関委員】分かりました。どうもありがとうございます。
【梶田部会長】どうもありがとうございました。
では、今日の意見交換はここまでとさせていただきます。
本日の議論を踏まえまして、大規模集積研究基盤の整備に向けた検討を、今後引き続き進めたいと思います。
また、本日は小泉先生、そして一杉先生、ご出席どうもありがとうございました。
最後、事務局から何か連絡事項がありましたらばお願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】事務局より次回の開催予定についてご説明させていただきます。
前回第1回の時にも今後の予定の説明をさせていただきましたけれども、次回、5月22日の10時から12時で、第123回の会議を行いたいと思ってございます。先生方にご意見いただいたこと、また、本日いろいろプレゼンテーションしていただいた内容を、少し事務局のほうで整理をさせていただきまして、本件に関する審議、進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
【梶田部会長】ありがとうございました。
それでは本日の会議はこれで終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました。
企画指導係
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