研究環境基盤部会(第121回) 議事録

1.日時

令和7年4月18日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 部会長及び部会長代理の選任等について【非公開】
  2. 第13期研究環境基盤部会における作業部会の設置について
  3. 第13期研究環境基盤部会における調査審議事項について
  4. その他

4.出席者

委員

梶田隆章部会長、大竹尚登委員、木部暢子委員、原田尚美委員、飯田順子委員、市川温子委員、河原林健一委員、小関忠委員、関沢まゆみ委員、永田敬委員、中野貴志委員、荒砂茜委員、山田弘司委員、渡辺美代子委員

文部科学省

俵大学研究基盤整備課長、山村大学研究基盤整備課学術研究調整官、熊谷大学研究基盤整備課課長補佐、高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

・議事のはじめに委員の互選により、梶田委員が部会長に選任された。
・続いて梶田部会長により、原田委員が部会長代理に指名された。
(以上の議事録は、人事に係る案件のため非公開。) 

【梶田部会長】  それでは、今期第1回の開催に際しまして、部会長として一言、挨拶を申し上げます。
 第13期の研究環境基盤部会の部会長を務めさせていただきます、梶田です。専門は宇宙線物理学です。今回、新任でいきなり部会長ということで戸惑っておりますが、そういうことで、まずこの部会は何をするところだろうと思いまして、本日の資料を見させていただいたところ、第13期研究環境基盤部会における当面の調査審議事項(案)として、5項目が書かれており、特に大学共同利用機関及び共同利用・共同研究拠点を中核とした共同利用・共同研究体制の機能強化に関すること、また、大学共同利用機関の検証に関することの2項目が、本部会名と共に書かれており、本部会が直接関わることと理解いたしました。
 この2項目は、まさに日本の研究環境をよりよくしていくという上で非常に重要な点と思います。特に、大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点のシステムがよりよいものになっていくということが、日本の研究力の向上に不可欠な1つのポイントであると思っており、その意味で、この部会は極めて重要な役割を持っているかと思います。
 今後、皆様と力を合わせて、研究環境基盤部会として日本の研究力の強化に資するような検討をしっかり進めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局の文部科学省から御挨拶をいただきたいと思います。俵大学研究基盤整備課長からお願いいたします。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。俵です。4月1日に着任をしました。梶田先生、部会長を引き受けていただき、ありがとうございます。また、ほかの先生方も委員をお引受けいただき、本当にありがとうございます。
 僕自身は3月まで、高等教育局の医学教育課にいました。そこでは、医学研究を中心に、どんなことが研究力強化のためにできるかを、研究振興局ライフサイエンス課とも一緒に考えてきました。
 この背景には、医学部、あるいは大学病院の医師の先生方は、診療に非常に忙しく時間を取られていて、研究時間が十分に取れていない、そんな課題がありました。例えば助教の先生でいうと、全体の時間のうち70%が診療、教育研究が25%程度。それぐらいしか研究はできていない、そんな状況がありました。
 また、1週間にどれほど研究をやっているか、これも調査をしたところ、5時間以内にとどまっているのが50%以上を超えている。その状況に加えて、昨年度から医師の働き方改革ということが進んで、ますます研究時間が取れなくなってくる。この課題を何とか乗り越えようということで、先生方とも一緒に支援方策について考えてきました。
 そのときに、これは医学だけではなくて、研究全体に通じる話だなというふうに思っていました。研究時間が取れなくなっている、これは多分共通していると思います。また、ほかの国と比べてということになりますが、Top10%論文数、これは増えていると思いますが、ほかの国と比べると相対的に低下している。これを何とか、研究振興局でも、先生方と力を合わせて取り組んでいきたいというふうに思います。
 先ほど、梶田先生から、この部会での検討内容を紹介いただきました。2点挙げていただきましたが、まさに大学共同利用機関や、大学の共同利用・共同研究システムをどのようにつくっていけるか、これを先生方と一緒に考えていって、具体的な政策につなげていきたいと思います。短期的には、来年度、概算要求につながるような議論をいただいて、僕らとしても具体化していきたいと考えていますので、ぜひお力をいただければというふうに思います。よろしくお願いします。
 
【梶田部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、第13期の本部会の審議に当たり、特定の事項について調査審議を行うための作業部会の設置について、お諮りしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  説明させていただきます。資料2、9ページ目を御覧ください。今期につきましても、12期と同じく、3つの作業部会を設置したいと考えております。まず、共同利用・共同研究拠点等に関する作業部会でございます。こちらにつきましては、共同利用・共同研究拠点、また、国際共同利用・共同研究拠点につきまして、我が国における独創的・先端的な学術研究の推進を図る上で、その拠点制度に関することや、当該制度に基づく認定・評価につきまして、専門的見地から調査審議を行っていただきたいと考えております。
 続きまして、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会でございますけれども、こちらは、大型プロジェクトにつきまして、中長期的な視点も含めた計画的な推進を図るための方策に関しまして、進捗管理や評価も含め、専門的見地から調査審議を行っていただきたいと考えております。
 最後に、国立大学法人運営費交付金等に関する作業部会でございますけれども、こちらにつきましては、運営費交付金等のうち学術研究に関するものにつきまして、その配分等に関して専門的見地からの調査審議を行っていただきたいと考えております。
 これらに関する施策等につきましては、後ほど改めてお時間を頂戴して説明をさせていただきますけれども、部会の設置につきまして、まずは事務局からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。ただいまの説明に関して、何か御質問、その他御発言がありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。作業部会の設置につきましては、原案のとおりでよろしいと、そういう理解でよろしいですかね。では、そのように進めさせていただきます。ありがとうございました。
 なお、各作業部会の委員及び主査につきましては、運営規則第4条第3項及び第4項により、部会長である私が指名させていただくということになっております。委員及び主査をお願いする方々には、後日、事務局を通じて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 次に、本部会の調査審議事項について諮りたいと思います。また、調査審議事項の基礎資料となる情報につきましても、事務局から併せて説明をお願いいたします。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  資料3、11ページ目を御覧ください。まず5つ、調査事項として上げさせていただいてございますけれども、上2つにつきましては、当部会中心に御審議を進めていただくもの、下3つにつきましては、作業部会中心に御審議をいただくものでございます。
 1つ目の丸に関するものといたしまして、先に12ページのほうを御覧いただければと思います。こちらは、第12期の最後に配付をさせていただいた資料でございます。共同利用・共同研究体制の機能強化に向けまして、委員の皆様からの御意見をまとめたものでございます。こちらにつきまして、今後議論をより深めていっていただければというふうに考えております。
 現在、トップ層や上位層に位置する大学の研究力強化に向けた取組が行われておりますが、日本におきましては、それらの大学以外にも広く意欲・能力がある研究者が所属しているという特徴が見られます。
 この研究者のポテンシャルやパフォーマンスを最大限引き出すためには、大学共同利用機関や同様の機能を有する共同利用・共同研究拠点がより貢献できるものがあるのではないか、つまり、研究のネットワークのハブとしての機能をより一層強化する必要があるのではないかと考えてございます。
 その機能強化を図る方策といたしまして、下の方に4つ、大きく分類して例示を書かせていただいてございますけれども、こういったものに関しまして、今期より検討を深め、政策的にどのような方針を打ち出していけるかを御議論いただき、考えをまとめていきたいと考えてございます。そちらが1点目でございます。
 11ページに戻りまして、2つ目の丸でございますけれども、こちらは大学共同利用機関法人の下には、17の大学共同利用機関がございますが、平成30年の当部会の審議まとめにおいて、学術研究の動向に対応し、大学における学術研究の発展に資するものとなっているかを定期的に検証することとされています。
 そして、その周期といたしまして、大学共同利用機関法人の中期目標期間の最後の年度の前々年度に自己検証の実施をし、その結果を踏まえまして、部会において検証を実施するとされてございますので、その検証をどう実施していくというところから御審議をいただければと考えています。
 先に13ページの当部会のスケジュールですが、今申し上げた2つの事項が、一番上で書かせていただいているものです。下のほうは、関連する会議の審議等のスケジュールですが、こういった会議、また、第5期中期目標の始まりというところも意識をしながら、先生方にも御審議をしていただければと考えています。
 11ページに戻ります。3つ目の丸以降の作業部会ですが、先ほど申し上げたこととも重複いたしますが、1つ目の共同利用・共同研究拠点として、国立大学と公私立大学に分けて文部科学大臣認定をしてございますが、この認定の在り方に関することや、評価の実施、また、新たな拠点の認定等を行っていきたいと考えています。
 4つ目の学術研究の大型プロジェクトの推進に関することは、プロジェクトに関する進捗管理等について検討を行っていきたいと思います。
 最後の国立大学法人運営費交付金の配分に関することといたしまして、こちらも作業部会におきまして、予算配分の方針等について御検討をいただければと考えています。
 ここまでが13期で御審議をいただきたいと思っている内容です。
 続きまして、部会長のほうから、基礎となる情報についてもということでしたので、資料4につきましても、併せて御説明をします。資料4の16ページ目を御覧ください。16ページでございますが、共同利用・共同研究システムについて、1枚でまとめさせていただいたものです。青枠にございますとおり、個々の大学では整備できない最先端、大規模な施設・設備や大量のデータ、貴重な資料等を提供することを通じまして、国内外の大学の枠を超えた共同研究を促進するものでございます。
 このシステムを担うものといたしまして、大きく2つございます。それが下にございます大学共同利用機関、そして国公私立大学の研究施設を文部科学大臣が認定いたします共同利用・共同研究拠点でございます。
 18ページのところをお願いします。まずは、大学共同利用機関法人についてです。現在、大きく4法人ございますけれども、その下に17の共同利用機関が設置をされています。貴重な研究資源や様々なデータ、大型の研究設備等を有してございまして、全国の研究者の研究基盤として裨益をしています。
 具体的には、19ページを御覧ください。4法人の構成でありますとか、また、その次、20ページでございますけれども、共同利用に供している大型施設・設備等を御紹介してます。
 また、設備を有しているのみではなくて、21ページですが、研究支援体制という意味でも、一気通貫して組織として一体的にサポートし、研究力の向上に寄与しているところです。
 22ページから24ページは、活動状況について数字で記載をさせていただいてございますので、また後ほど御覧ください。
 25ページでは、大学共同利用機関におきましては、研究のみではなく、人材育成や研究者のキャリアアップにも資するよう取り組んでいることを記載しています。
 また、26ページでは、4法人と総合研究大学院大学の運営の効率化や、異分野融合研究の推進、大学院教育の充実を図るため、2022年3月に一般社団法人大学共同利用研究教育アライアンスを設立しています。この取組も、平成30年に当部会の審議を受けて実施をしてきたものでございます。
 27ページです。総合研究大学院大学ですが、大学共同利用機関を基盤としてできた大学院です。真ん中に入学者数とございますけれども、そこに記載のコースですが、こちらは基本的にいずれかの大学共同利用機関が基盤となってございまして、次世代の研究者の育成を目指して取り組んできています。
 次に、共同利用・共同研究拠点の御説明をさせていただきます。29ページを御覧ください。個々の大学の枠を超えた共同利用・共同研究、こちらは、従来、国立大学の全国共同利用型の附置研究所、また、研究センター、大学共同利用機関を中心に推進をされてきましたけれども、国公私立を問わず、大学の研究ポテンシャルを活用して、研究者が共同で研究を行う体制の整備を行ってきてございます。その拠点となるところを、文部科学省が大臣認定をしているところです。
 30ページです。拠点の中でも、特に国際的にも有用であるというところを国際研究拠点として認定をして、活動促進をしているところです。
 31ページです。こちらは、今、拠点として認定しているところを日本地図で記載をさせていただいています。下のほうに表がございますけれども、現在、国立大学が78拠点、公私立大学が27拠点ございます。
 32ページから34ページです。拠点の活動実績や活動状況、公私立大学の特色ある取組なども紹介をしてございますので、また、後ほど御覧ください。
 続きまして、36ページです。先ほど申し上げました、共同利用・共同研究体制を整備促進するために予算的な支援も行っています。
 そして、37ページです。こちらが国立大学の予算の内容となってございます。拠点に対するものといたしましては、真ん中ほどで58億円という数字を記載しています。
 また、38ページです。当該予算に関連し、令和7年度予算案の概要も右下のほうに書かせていただいています。
 39ページです。大型プロジェクトに関するものです。こちら、作業部会の設置をさせていただきますけれども、世界の学術研究を先導するとともに、国内外の優れた研究者を結集し、研究拠点を形成する。また、国内外の研究機関に対しまして、研究活動の共通基盤を提供するということで、このプロジェクトを推進してきました。
 具体例として、以下3つ挙げさせていただいてございまして、さらに次のページ、40ページでは、現在、予算措置をして支援を行っているものを列記させていただいています。
 41ページです。こちらが共同利用・共同研究システムの強化・充実を図る事業でございます。マル1は、異分野の研究を行う大学の研究所や研究機関と連携した学際共同研究、また組織・分野を超えた研究ネットワークの構築・強化・拡大を推進するものです。42ページのほうに、現在の支援内容の一覧を添付してございます。
 マル2は、先ほどの共同利用・共同研究拠点のうち、公私立大学の拠点の更なる強化を図るものです。
 マル3は、第12期の部会でも御審議をいただきました最先端の中規模研究設備の整備によりまして、共同利用・共同研究体制の強化・充実を図るものです。
 長くなりましたけれども、このような現在までの取組というものを踏まえまして、先ほど11ページ目で御説明をいたしました事項につきまして、今期、御審議をいただければというふうに考えています。
 私からは以上でございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。では、今の説明に関しまして、まず御質問等あれば、お願いいたします。
 では、まず中野委員、お願いします。
 
【中野委員】  御説明ありがとうございました。第12期に引き続いての委員なのですが、やはり次の12ページにありますように、機能強化が求められる事項で、真っ先に先端的な研究を行うための中規模研究設備等の基盤の更新というのが出てまいります。
 41ページに、その施策として、今回、大学の枠を超えた研究基盤設備強化・充実プログラムということで、令和6年度の補正予算で10億円、5億円×2件というかたちで、中規模施設・設備の更新、アップグレードに対して予算を措置していただいた。これは非常にありがたいのですが、まず、これは補正予算ですので繰越しが認められません。非常に厳しい条件の下でこの公募を行ったわけですけれども、大体どれくらいの件数の応募がありそうか。 今日が締切りだということは知っていますが、締切り前で、はっきりとは分からないかもしれませんが、大体どれくらいの件数の応募がありそうかということを、お伺いしたいと思います。それによって、施行する上でかなり厳しい条件でも、どれくらいの共同利用・共同研究拠点がこのような予算を必要としているかということが、大体分かるのではないかと思います。
 以上です。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  すみません、梶田先生、よろしいでしょうか。
 
【梶田部会長】  お願いいたします。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。今日、締切りなのですが、恐らく40件ぐらいの提案をいただけるのではないかというふうに思っています。
 
【中野委員】  ありがとうございます。それだけ、ある意味、口を開けて待っているところが多数あるということですので、今回の補正のみならず、ぜひ当初予算化も実現していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。では、続きまして、原田委員、お願いします。
 
【原田委員】  ありがとうございます。私も41ページです。特色ある共同利用・共同研究拠点支援プログラム、拠点機能のさらなる強化と書かれていますが、金額を見ると、残念ながら、前年度に対してほぼ半減というところが非常に気になりました。これに関して、もし何か御事情がありましたら、教えていただけたらと思います。
 
【梶田部会長】  お願いいたします。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。この部分を見ると半減していて、全体の予算の中でどれぐらい確保していくかという中での予算の検討になるので、去年、最終的にはこういった額になってしまったということであります。
 ここの支援に関しても重要であると考えていますので、次の予算要求に向けては、改めて検討していきたいと思っています。
 
【原田委員】  ぜひお願いいたします。ありがとうございました。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 関沢委員、お願いいたします。
 
【関沢委員】  私も、今の特色ある共同利用・共同研究拠点支援プログラムの予算が半額になっていることに、非常に危機感を持っております。「特色ある~」の場合には、毎年度、こちらから予算をつけられる拠点ばかりじゃなくて、大学の自助努力でやられているところも多いので、それにつきましては、資料36ページに、一部の拠点について補助金により支援というふうに、一部の拠点についての支援にとどまっているというのがこれまででしたので、私立の場合には、建学の精神に基づく共同利用・共同研究ということ、公立の場合には地域との連携といったことを掲げておりますので、ぜひもう少し手厚くできたらというふうに思っているところです。
 以上です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございます。では、文科省のほうから何かありますでしょうか。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。先生方のこうした声を力にして、来年度要求を考えていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。ほかに、何か御発言ありますでしょうか。よろしいですか。
 では、ありがとうございました。本日は、最初のこの部会ですので、この機会に委員の皆様から自己紹介も兼ねて、自由に御発言をお願いしたいと考えております。そう言いながら、時間が限られているということもありまして、1人3分程度で、資料1-1の名簿順にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、まず大竹委員のほうから、何か御発言をお願いできればと思います。
 
【大竹委員】  ありがとうございます。東京科学大学、Science Tokyoの理事長を務めております、大竹尚登と申します。今期から、この部会に参加させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私自身も、研究所にいたこともあって、共共拠点については大変お世話になりました。共共拠点、やはり日本の力であると、先ほどそういうお話があったとおりで、非常に大切な機能だと私も思っております。その中で、60とか、70とか、それぐらいの共同研究が走っている中で、どうしても予算としてはかなり小さいかなというのが正直なところです。それぞれの大学等の手弁当でやっている部分というのは、非常に強いかなというのが現状かと思っています。
 これから、この共共拠点を強化するのであれば、もうちょっとリソースが必要なのかなというふうに思いますし、また、違うやり方もあり得るのかなと。例えば産学のコンソーシアムを組むとか、そういったやり方もあるのかもしれませんので、セカンドフェーズというか、次の段階に入れると、より強化することができるのではないかと期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、木部委員のほうからお願いいたします。
 
【木部委員】  人間文化研究機構の機構長をしております、木部と申します。人間文化研究機構というのは、今、ご説明いただきました大学共同利用機関の1つで、4つのうち、唯一の人文系の大学共同利用機関ということになります。今回、検証を受けるということになりますので、それを機に、大学共同利用機関がどういうふうに研究力強化のために貢献できるかということを考える必要があるかなというふうに思っております。
 それから、大学共同利用機関と共共拠点、この関係がもう一つ整理されていないところがあるというふうに、日頃思っております。人文系の共共拠点の中も幾つかありますけども、これからどういう形で連携できるか、共共拠点は大学に所属していますけども、組織の枠を超えて、大学の共共拠点と大学共同利用機関とがどういうふうに協働できるか、協力できるかということを整理する必要があるというふうに常日頃思っております。この機会にそれについて考えていきたいと思っております。よろしくお願いします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。では、続きまして、原田委員、お願いいたします。
 
【原田委員】  ありがとうございます。東京大学の大気海洋研究所というところに勤めております。第12期から引き続いて、この部会の委員として参画させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私が所属している大気海洋研究所は共同利用拠点の1つになっております。研究船を持っておりまして、温暖化などの気候変動、海洋環境変動の研究拠点として活動しています。気候変動という世界共通の課題解決に取り組んでいます。気候変動は、地域の社会に災害という形でも非常に大きな影響をもたらしますので、住民や地域社会との密接な連携が重要です。防災の観点から、今後、さらに地域社会との連携強化の必要があり、社会科学分野の先生方とも連携しながら、地域の社会課題解決というところにも貢献していきたいと思っているところです。
 恐らく共同利用・共同研究拠点の中には、そういった地域社会との連携、あるいは自然科学と社会科学の融合を根差したような研究拠点への発展を考えていらっしゃる方もあると思います。そのような観点での議論を深めていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 では、続きまして、荒砂委員、お願いいたします。
 
【荒砂委員】  荒砂でございます。私、東海大学でURAをしております。今期から、この部会に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、バックグラウンドとしては、結晶学、鉱物学で、金沢大学で学位を取得しました後、URAになりました。金沢大学の後に、数年URA業務を行った後、東海大学に異動し、現在に至ります。URAとして、機器共用の全学の施策ですとか、あとはコロナ禍には特に機器の遠隔化などを一気にやったりとか、あとは機器の試作には技術職員さんが欠かせませんので、そういった方々のスキルアップ、また、スキル評価、待遇改善などに携わってまいりました。
 先ほどの御説明の中で、5億円規模の中規模設備のお話もありまして、URAという視点からは非常にありがたい施策と思う一方で、大学内の共同利用機器といったところは、基盤設備から充実化させていく必要があると思っています。また、そこの部分の老朽化といったところも非常に厳しい問題として、現状あります。
 そういったところから、基盤設備から中規模設備導入、維持管理の一体的な流れ、そういったところも、皆様と一緒に議論をさせていただければなと思っています。
 また、研究力強化の観点から、機器の評価といったところ、パフォーマンス、こういったところにも個人的には注目しておりまして、また皆様と議論させていただければなと思っております。よろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、飯田委員、お願いいたします。
 
【飯田委員】  ありがとうございます。島津製作所の飯田でございます。今期、臨時委員を拝命いたしました。私は、大阪大学の特任教授、また、今年、京都大学の特任教授を拝命させていただいておりまして、産学連携、産学共創に携わるところで、少しでも役に立ちたく思っているところです。
 会社では、最先端研究に使われる装置の開発、並びに開発に関わる共同研究を国内・海外の大学、企業の研究者の方々と共に進めてまいりました。科学技術における日本のプレゼンスの低下、並びに研究力に関しまして多くの議論がなされています昨今、研究力の土台に関わる課題の1つといたしまして、最先端を競う研究で使われる計測分析機器の多くを欧米等に頼っているという現状があると考えております。島津製作所並びに、この計測分析機器の業界団体であります日本分析機器工業会が、業界団体としても非常に強い危機感を持っているところです。
 この最先端計測機器を所轄いただきます、研究環境基盤部会ではなく研究開発基盤部会の昨年11月の部会にて、その1つの提案として、世界で勝てる最先端の計測機器の開発に、共同利用とDX、自動化を活用して、人・物・情報が集まる拠点というものを提案させていただきました。これは、本日、この研究環境基盤部会のミッションとして重要であると御説明いただきました共同利用・共同研究拠点というところにまさに通じるものと思っておりまして、先生方の御意見等をよく拝聴して、機器メーカーの立場からも、日本の科学技術力、学術力の強化アップに少しでも貢献したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、市川委員、お願いいたします。

【市川委員】  東北大学理学研究科の市川と申します。私、共同利用・共同研究拠点とかではないので、先ほどの話など知らないことがあって、ついていくのが大変ですが、研究としては、素粒子物理学実験をしているので、高エネルギー加速器研究機構及び東京大学宇宙線研究所の観測装置などを、これまで使わせていただいていました。
 本当は、研究のことだけをしていたくて、こういうお仕事にはできるだけ逃げたいところはあるんですけれども、最近、身の回りで、外国と一緒にやっていて研究力が落ちているなという危機感、あと、若手が育っていくのかという非常に大きな危機感があって、幾つかのこういうお仕事を、今しています。
 1つは、学術会議のほうで研究力強化の分科会に参加していて、その中でも、研究力が落ちていることについていろいろな原因があって、こういう施設という問題もありますが、私が本当に今非常に興味を持って危機的に感じているのが、若手が有期雇用ばかりになって、アカデミアになかなか魅力を感じてもらえなくなってしまっているということ、それから、シニアは研究時間をなかなか確保できません。
 一方、外国のほうでは、シニアスタッフの周りに非常に専門職的な人を持ったエンジニアが配置されていて、すごく戦略的にいろいろなことが進んでいるということを見て、日本、まずいなあと思っていたりします。
 あるいは、つい最近、中国に出張して、中国のスケールと、スピードと、活気というのが全然日本と違うのではないかというのを身近に感じていて、そういう身近に感じているところで、いろいろな危機感を感じており、それで渋々ながらも、こういうところに参加して、やれることはないかなというふうに思っています。
 あと、共同施設などについても、さまざまな機器が非常に老朽化していて、しんどいというのも感じているので、できることをここでさせていただければなと思います。よろしくお願いします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、河原林委員のほうからお願いいたします。
 
【河原林委員】  河原林でございます。私も第13期からなんですけども、前の期と前々期から、共共拠点のほうには関わっていまして、審査等をさせていただきました。
 私は、NII、国立情報学研究所所属ではあるんですけど、東大の情報理工のプロフェッサーでもあって、クロスで、今東大からここに参加させていただいています。それで、大学と共共拠点、NIIから両方を見て、いろいろ感じることがあるんですけど、今日は1点だけ。
 まず、NIIほか2点なんですけど、NIIに関して言いますと、SINETは多分ここでずっと審査していただいて、ある意味別枠にしていただいたという形で、これは非常にすばらしいことだったのかなと。多分、梶田先生のところでもいろいろと引いて、いろいろさせていただいたと思うんですけど、SINETのような学問の基幹みたいなもの、あれは大動脈みたいなものなので、これは絶対やらなきゃいけないということで、いろいろと御配慮いただいて非常によかったと思います。
 一方で、私は高等局のほうの、いわゆる大学院の情報系の拡大、これは大学院生は拡大しているのに、現在、また学部生の拡大のほうも、多分各大学が今やっていると思います、情報系のほうで。そういうようなところを見ていて、拡大していくのは、当然やらなきゃいけないし、多分、東大を含めて、京大、ほかの大学も学部も含めてやるのだと思うんですけど。一方で、例えば去年、AIが物理も、科学も、ノーベル賞を取っているような状況で、あのような研究を本当に日本でできるのかと言われると、大学単体では恐らくできないです。このような共共拠点を使っても、恐らく厳しいと思います、予算的に。となると、何をやらなきゃいけないかというと、NIIなどの持っているアセットと、日本全国のものを、例えばSINETで使ってとかいうことをしない限りは、恐らく日本の体力では現状、厳しいという感じだと思います。
 そういうことを、研究環境とか、そういうものを全部うまくつなげる、情報系の力を全部使うような形にするためには、どこで、誰を議論していいのか、少しよく分からないです。多分ここなんでしょうね、恐らくそういう議論をやるべきなのは。なので、現在のスキームだけではなくて、何か情報系のほうにシフトしている、AIのほうにシフトしているときに、それに日本がついていけるような形の共同研究の在り方というのは、やっぱり考えないと、永遠に日本から、去年みたいなノーベル賞のようなことは出ないのではないかと、すごく危惧をしています。
 なので、例えばNIIの位置づけを、今、一応、一研究所ではあるんだけども、本当にそれで何かできないのかと言われたら、それは厳しいのかもしれないし、そういうことを含めて、組織を含めて、何か変えていかないと厳しいのかなと。多分、そういうことをこういうところで議論しなければいけないのかなと思いますので、ぜひ何かあったら、皆さんのほうで何かいただければと思います。
 以上です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 では、続きまして、小関委員のほうからお願いいたします。
 
【小関委員】  高エネルギー加速器研究機構の小関と申します。今期から部会に参加させていただきます。
 大学共同利用機関であるKEKで最も重要な研究基盤である粒子加速器の研究に長く関わってまいりました。最近の学術の状況を見ると、大学共同利用機関や大学の共共拠点がそれぞれの先端的な基盤設備をフルに活用して果たしていくべき役割が非常に大きいということを改めて感じております。
 大学共同利用機関も共共拠点も、それぞれ各分野における最先端の研究基盤を運用しつつ、国内外の研究者とともに成果を上げてきたわけですが、それぞれの機関が持っている独自性とか、その強みをもっともっと生かしていく、そういう施策がますます重要だなと感じています。
 加えて、基盤設備という観点から言いますと、大学共同利用機関にとっても、基盤設備のさらなる高度化や老朽化対策が本当に重要な課題になっておりまして、ぜひこの機会にその辺のことも議論させていただけると、ありがたいと思っています。
 よろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、関沢委員、お願いいたします。
 
【関沢委員】  人間文化研究機構国立歴史民俗博物館の関沢まゆみでございます。専門は民俗学です。
 私は、前期からお世話になっているのですけれども、前期、学際ハブとか、J-PEAKSとか、いろいろな取組を始めたところで、それがこれからどういう成果をもたらしていくのか、連携して何ができるか、予算的なバックアップをしながら見ていくこと研究力強化の大きな下支えになると思っています。
 私自身、大学共同利用機関に所属しておりますので、今期の議論はぜひ積極的に参加したいと思っているところです。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続いて、永田委員、お願いいたします。
 
【永田委員】  総研大の永田でございます。総合研究大学院大学は、大学共同利用機関を基盤にして博士人材を育成しているという点で、大学共同利用機関を中心にした研究力強化とは極めて密接に結びついています。このところの動きを見ていて、国際卓越、J-PEAKSがあって、その次に、恐らく大学共同利用機関、あるいは共共拠点を中心にして、研究強化のための群をつくっていくという、そういう戦略が今回の参考資料の22ページに示されているのですが、先ほど中野委員もおっしゃっていた、例えば共共拠点に対する中規模設備整備の予算額がもうちょっと必要だという議論もあるんですけど、国際卓越、J-PEAKSと来て、だんだん予算の総額が減っているように見えます。
 何を言いたいかというと、もうちょっと大きな予算を大学共同利用機関に突っ込めるような仕組みをつくっておかないといけないのではないか。そういう意味で、どういう形で概算要求を打っていくかという仕組みの議論を、もう少ししなきゃいけないだろうと思っています。
 それとは別に、総研大の学長としてどうしても考えていただきたいのは、研究振興局の方々とも時々お話をするのですが、現在いるプレーヤーと、現在ある研究課題に金を突っ込むだけじゃなくて、次のプレーヤーに金を突っ込んでいかないと、10年先は続かない。そういう意味では、きちんとした人材のエコシステムをつくって、若い人を流し込みながら、それを出していくという仕組みを一緒に組み込んでいかないと、多分、10年先の研究力強化には繋がらないだろうと思っています。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続いて、中野委員、お願いいたします。
 
【中野委員】  私も、12期から引き続いての委員ですが、大阪大学核物理研究センター長を、実は今年で13年目になります。かなり長い間センター長を務めておりますが、この10年ぐらい振り返ってみても、「ずっと苦しかった。」というのが率直な実感で、全然楽になっていません。
 その間、日本の論文数は世界3位から5位に下がってしまいました。ただ、私、物理学者ですので、時間の順方向に起こったことは、時間の逆方向、つまり逆転も可能だと考えています。今、しっかり手を打てば、再び3位まで盛り返すことも不可能ではないと思っています。もちろん、様々な投資が必要になります。市川さんがおっしゃったように、若手のポストが少なく、基盤的経費もどんどん減っている。そして何より、日本社会全体が少子高齢化に直面しており、研究者の数そのものが減りつつあります。
 こうした状況の中で、どうやって復活させていくか。そのためには、まず研究基盤をきっちり整備し、その上に、新しいアイデアを入れることで復活への道筋が見えてくるのではないかと思います。
 ただし、その研究基盤も、今まさに手を入れないと、本当に陳腐化、老朽化して、お荷物になってしまいかねない状況に差しかかっていると思います。老朽化するのは、施設だけではありません。それを支えている人材も年齢を重ねており、本当の意味での開発力が日本から失われるのではないかという危惧を強く持っております。だからこそ、この第13期が盛り返すきっかけになるように願いながら、私も議論に加わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続いて、山田委員、お願いいたします。
 
【山田委員】  ありがとうございます。大学共同利用機関である、自然科学研究機構の核融合科学研究所の所長を務めております、山田弘司です。今期より、この研究基盤部会に参加することになりました。よろしくお願いいたします。専門は、核融合プラズマを磁場で閉じ込める実験の研究です。
 本部会が扱う大学共同利用機関や共共拠点からは、実に多くの魅力ある提案や、挑戦したいというような提案があるわけですけども、それがなかなか実施できないという声が現場から上がっているところと考えています。
 もちろん、全部はできないわけですから、我が国として特に長期的なビジョンから、できる限りよりよい・賢い選択をするということに貢献するのがこの部会の役割ではないかと考えています。例えば、大学共同利用機関や共共拠点の大型の研究施設では予算が増大する、また研究のターンアラウンドの時間が延びて、足が伸びてしまうというような問題について、再考していく必要があると考えています。
 今の私の発言は自分の首を絞めるようなところにもつながるわけですが、首が絞まらないように賢いやり方というのを考えていかないといけないと思っています。
 また、共共拠点にあっては、自主自律をうたうそれぞれの大学の機関にあって、その所属の大学のロジックに埋没してしまう、あるいは時間と手間がかかるという問題がございましょう。世界のトップに伍して、スピードで負けないような制度が何とかできないかと感じております。
 以上です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 では最後、渡辺委員からお願いいたします。
 
【渡辺委員】  ありがとうございます。渡辺でございます。私も12期から参加させていただいています。日本の研究力が低下しているというのは、言われて久しくたっているように思いますが、この中で研究環境の基盤を整えるというのは本当に大事なことだと思っています。
 そうなると、全体の予算が減っている中で、国の予算も増えるわけではない。産業界も、グローバル競争の中で日本の企業が苦戦しているという中で、一体どうするのかというのは非常に大きな課題だと思っています。
 研究機関の連携、先ほどネットワークの連携というお話もありましたけれども、そういうものとか、共同利用促進をするなど、とにかく機能強化を大きな工夫で図っていかないと、研究者が必要だというだけでは、なかなか進まないように感じています。
 同時に、税金投入となると、国民の支持というのがどうしても大事なので、国民の方の意見も聞きながら支持いただくようなことも必要で、いろいろなことを同時にやっていくことがすごく大事だと思いますので、是非この部会で皆さんと議論できればありがたいと思っています。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【梶田部会長】  ありがとうございました。
 委員の皆様方のお考えを聞かせていただきまして、ありがとうございました。皆様の意見をお聞きしながら、今期進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、次に、第7期科学・技術イノベーション基本計画が来年度より開始されますが、それに向けました検討状況につきまして、事務局のほうから説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  御説明をさせていただきます。資料5を御覧ください。44ページ目、先に御覧ください。先ほどまでは作業部会における議論を中心に御説明をさせていただきましたけれども、来年度から、第7期の科学・技術イノベーション基本計画が始まるというところで、現在、検討が行われているところです。
 このような中、文部科学省といたしましても、総合科学・技術イノベーション会議基本計画専門調査会におきまして、2月25日にプレゼンテーションをさせていただきました。その内容を、まず冒頭、簡単に御説明をさせていただき、その上で当部会の所掌の範囲における具体的な取組につきまして、考え方を深めていければと考えています。
 まず、45ページです。基本計画は今年度が6期目の最後の年となっています。第4期に、初めてイノベーションという言葉が出てきまして、第5期をSociety5.0という社会像が示されました。そして、第6期では、Society5.0という社会像を実現するための内容を詰めて、具体化し、計画の実行に取り組んできました。
 46ページです。ただ、振り返ると、Society5.0の実現というところは、まだ道半ばで終わっているという認識を持っています。また、足元では、国際情勢がかなり変わってきている、社会構造の変化も加速をしてきているという中で、将来に対する漠然とした不安が高まってきているという状況にもあります。
 Society5.0の実現の鍵となりますのは、先端技術におきましては、その組合せも含め、重要性をますます増していると、そして、各国とも熾烈な研究開発競争を繰り広げているという状況にございます。そういった状況で、これまで以上に科学・技術イノベーション力というものが、国力に直結する時代となります。
 47ページです。こういった足元の中で、この日本が国際社会におきまして、しっかりとプレゼンスを発揮して、Society5.0に合う社会像を築いていくということのためには、まずは、この先端技術における優位性をしっかりと獲得をして、それを確実にイノベーションにつなげていくことが必要不可欠だと思っています。
 また、加えまして、予期せぬ事態にも柔軟に対応していくという視点も重要であり、将来の競争力の源泉に先行投資を行っていけるかどうか、これが我が国の盛衰を大きく左右するために、この2つを両輪として取り組んでいかなければならないと考えています。
 イノベーションは先駆的な研究で支えられており、その研究において、ゼロイチを生み出せるのはアカデミアの嗅覚でしたり、知的好奇心というものにほかならないと認識をしてございます。世界各国がしのぎを削る重要分野、また、予期せぬ未来で重要となり得る分野につきましては、研究によって得られる知がその芽となります。
 その芽を豊富に生み出し続けることが重要であり、そのためにも優秀な研究者のパフォーマンスを最大限引き出すことが重要です。
 48ページです。では、どう築いていくかというところで、文部科学省としては、科学・技術イノベーション全体像の中で、研究環境を改善いたしまして、研究者の知的好奇心に基づく研究によって得られる多様で豊富な知を生み出すエコシステムというものを活性化させることこそが、喫緊の課題であると認識をしてございます。
 さらに、研究と社会、ビジネスというものの距離が非常に近くはなってきているという状況も踏まえ、この得られた知と社会をつないでいくためにも、知の価値化を推進する取組を強化することが必要です。経済安全保障という観点からも、その取組を図っていくことが非常に重要であると考えています。
 49ページに各国の状況を書かせていただいています。
 50ページで、これまで文部科学省におきましても、そこに記載のとおり、様々な取組を推進してきました。
 ただ、51ページです。第7期に向けてということで改めて考えたときに、こういった従来の取組にプラスアルファをして、一層強化をさせていくということこそが重要であるのではないか考えてございます。
 52ページです。そのような認識の下で、今後取り組んでいくべき事項というものを1枚にまとめています。1から5まで施策として掲げています。施策1から3の青のところ、環境、人、国際というところをしっかりと基礎としまして、施策4、そして施策5というところに着実に、また戦略的かつ効率的にしっかりとつなげていくということが必要です。
 そして、当部会においては、特にこのうち施策1のところが大きく関わってきます。次のページ以降で、より詳細のイメージと、現時点で考えられる具体的な取組事項を挙げさせていただいております。
 まず、53ページです。真ん中にございます多様で豊富な知を支える研究基盤の維持・強化は大前提といたしまして、その上で3つの取組を一体的に進めていくということが、知が豊富に生み出され続けるというエコシステムを強化していくということにつながるのではないかと考えています。
 まず、左下から参りますけれども、研究者が研究に専念できるような環境を提供していくことが重要であり、そのために、研究・経営システム改革をしっかりと促進をしていく必要があろうかと思っています。
 そして、その一番上のほうですけれども、組織・分野の枠を超えた研究ネットワークの構築です。高い研究力を持つ研究大学以外にも、我が国では裾野の広い大学にも意欲・能力のある研究者が点在しているという状況を踏まえ、そのポテンシャルを引き出し、また日本全体の研究の質と量の最大化を図ることが必要です。
 そのためには、世界の潮流というものもしっかり踏まえた上で、研究環境の高度化というものを図られていくということが必要であると考えています。
 この第7期におきましては、高度かつ高効率な研究環境を実現すると、そして、それを組織・分野を超えてオールジャパンで活用していくということが、研究パフォーマンスの最大化につながっていくものであると考えています。
 また、右下のほうでございますけれども、多様で豊富な知を生み出していくためには、挑戦的、融合的研究への支援も充実をさせていくことが重要であると考えてございます。
 このエコシステムを進めて強化をしていくことこそが、多様な知の芽を豊富に生み出し続けるということでございますのと、ひいては、それが卓越した技術、またイノベーションへとつながっていくことになろうかと思います。
 そして、54ページ以降ですけれども、要は具体的に何に取り組んでいくのかということです。特に、研究者のポテンシャルですとか、パフォーマンスを最大化していくためには、所属組織や分野を超えて取り組んでいくことが重要でございます。そのためにも、研究大学等を中心とした新たな教養システムの構築ですとか、大学共同利用機関を中心といたしました共同利用・共同研究体制のハブ機能の強化を行うことが必要であると考えています。
 また、研究環境を高度化、高効率化する要素の中では、自動化、自律化、遠隔化といった事項も視野に入れまして、時間と空間という壁をも超えた仕組みを構築していくことも重要な視点となります。
 具体的な取組といたしまして、四角囲みの中に6点を書かせていただいてございます。以降のページで取組、さらに様々記載をさせていただいてございますけれども、本日の説明からは割愛をさせていただこうと思っています。
 主に2月25日にプレゼンテーションさせていただいたもののうち、当部会の関わりが強いところというところで申し上げた説明としては、以上です。64ページをお開きいただき、先ほど申し上げた施策1の組織・分野の枠を超えた研究ネットワークの構築につきまして、何が必要かということをしっかりと打ち出していきたいと思っております。当面、少し駆け足になりますが、当部会が関連する範囲で部会としての考えをまとめていければと思っています。
 スケジュールはまた後ほど御説明をさせていただきます。
 では、具体的に考えていることは何かを、65ページから3枚の紙でまとめています。この資料をベースといたしまして、今後考えを深めていければと思っています。
 まず、65ページです。一部、先ほど申し上げたこととも重複いたしますが、第6期における振り返りと、第7期の提案を書かせていただいています。記載はございませんが、この世界各国がしのぎを削る重要分野、また予期せぬ未来で重要となり得る分野につきましては、いずれも研究者の研究によって得られる知がその芽となるということを、先ほど申し上げさせていただきました。第6期におきましても、そのために研究大学に対する組織全体の機能・強化を図るとともに、研究者個人の研究活動を支えてきました。
 第7期におきましても、これらをはじめとした取組を発展的に展開・強化し、意欲、能力ある研究者のパフォーマンスを最大限引き出す必要がございます。その際には、世界の潮流が変わってきているということも加味をして考えていかなければなりません。
 そのために、第7期におきましては、これまでの取組に加えまして、高効率な研究環境の実現と、それを超えて組織・分野を超えてオールジャパンとして活用すること、また、研究資金改革、こういったものを一体的に行っていくということが、研究者のパフォーマンスを最大限引き出すことに必要だと思ってございます。
 66ページです。それにあたりまして、具体的に課題となっていることして、例えば2つ目でございますが、共用機器を利用するインセンティブの欠如ですとか、共用機器の集約化、老朽化への対応が進んでいないこと。
 また、3つ目では、本部会でも御議論いただきました、中規模研究設備等の先端研究設備の開発整備が遅れていること。そして、4つ目のポツでは、各国ではデータを活用した研究開発の効率化、高速化、高度化が進んでいる中で、我が国におきましては、そうなっていないことなどを挙げさせていただいてございます。
 これらの課題に対応するために、他の部会にまたがるものも含めまして、施策をパッケージで進めていく必要があろうかというふうに考えております。
 まず、具体的に青のところ、マル1でございます。こちら、共用ガイドライン等に基づきまして、研究設備・機器を共用する取組が進んでいる大学等を中心にネットワークを構築いたしまして、民間企業も含めて、所属によらず研究者が先端研究設備・機器にアクセスしやすい環境を整備していきたいと考えています。
 その際、本部会や他の部会でも御議論いただいたとおり、技術専門人材の配置による手厚いサポートですとか、設備の自動化、遠隔化による高効率化・高精度化を図るということに加えまして、並行して老朽した共用機器の更新ですとか、共用の場を活用した先端研究設備等の高度化も図っていくことが必要であるというふうに考えています。
 マル1の取組がより促進されるためにもということで、黒のマル2のところにありますとおり、共用することへのインセンティブなどを競争的研究費とどういうふうに連動させていくかということも考えていきたいと思っています。
 そして、緑のところ、マル3でございます。ここが、当部会と関連が深く、また審議を深めていきたいと考えているところですが、共同利用・共同研究体制の中でも、特に大学共同利用機関では、個々の大学では整備ができないような設備、データ、資料を有しているといったことから、そのポテンシャルを生かし新たな共同利用サービスを実現することにより、この課題や枠組みに貢献していくことができるのではないかと考えてございます。
 具体的には、先端研究設備を集積・統合し、また、自動化、自律化、遠隔化をすることで、遠方からでも意欲ある優れた研究者が時間と空間をも超えて研究環境にアクセスできるようにするということに加えまして、ワンストップ・ワンプレイスでの研究のコンサルテーションですとか、様々な技術、実験支援を一体的に提供いたしまして伴走支援をしていくことで、一気通貫をして迅速な研究成果の創出につなげていくことができるのではないかと思っています。
 また、研究の過程から得られたデータの蓄積ですとか活用によりまして、新たな研究の萌芽を促進していくような仕組みも構築できないかと、今考えているところでございます。
 特にデータについては、赤のマル4のところになります。各国ではデータ駆動型の研究開発が進んでいますが、我が国においても、様々な研究の過程から得られるデータの蓄積、またAIの活用も含めまして、研究サイクルの加速、探索領域の拡大、分野領域を超えた研究強化につなげていくべく、研究データ基盤等を含めた情報基盤の強化を図っていく必要があろうかと思っています。
 67ページは、今申し上げたことを、もう少し分かりやすくイメージ図として作成をしたものですが、こういった研究環境を高効率化していくことで、アカデミアが開かれたハブとなり、研究者だけではない、多様な分野によるネットワークを構築し、チームで協働して新たな知を創出し、社会的価値を顕在化させるという好循環を実現していけるのではないかなと思っています。
 戻りまして、66ページのマル1、マル2につきましては、本部会ではなくて、今後、研究開発基盤部会を中心に検討を進めていくことになりますが、マル3につきましては、先ほど申し上げたとおり、当部会の中でも少し議論を深めていければと、思っています。
 また、冒頭のところで、今期の部会のスケジュールと併せまして、他のいろんな計画ですとか、中期目標ですとか、他の会議体のスケジュールというところもお示しをさせていただきましたが、そういったことも加味しまして、少し早めに検討を行いたいと思っています。
資料6を先に御覧ください。まず、本日、先生方にご意見をいただきしたが、、その上で、5月8日のところで有識者の方々もお招きをして、ヒアリングを行いながら考えをより深めていければなと考えています。
 そして、5月22日、6月24日で、この部会としての意見・方針をまとめていきたいと今考えています。
 私からの説明は、一旦以上とさせていただきますけれども、この後、現時点におきまして、先生方、ぜひお気づきの点等あれば、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。事務局から説明があったとおり、本件につきましては、5月8日のこの部会において、有識者からのヒアリングを行い、議論をさらに深めていきたいと思っておりますが、今日もいろいろと説明をいただきましたので、現時点において、何かお考え、お気づきの点などありましたら、御発言をお願いします。いかがでしょうか。
 中野委員、お願いします。
 
【中野委員】  御説明どうもありがとうございました。もちろん、AIの利用も必要ですし、ネットワークも必要ですし、データ駆動型のサイエンスを進めることも重要だと思います。ただ、そもそもデータを取る設備が古かったり、陳腐化していたりすると、それらの取り組みもあまり意味がないかと思います。「最先端」という言葉が何回も出てきましたが、今、私たちが最先端だと認識しているものは、おそらく10年後には最先端でも何でもなくなっているのではないかと思います。
 学術というのは、どこから最先端が出てくるか分からないです。ですから、様々な分野・場所で足腰を強くしておくことが本当に重要だと思います。そういう意味で、今よかれと思って集中投資をすると、将来の芽を摘んでしまう可能性もあり得る。その点については非常に危惧しています。
 我が国の研究力が下がっているという話が先ほどからありましたが、実際にはそんなに下がっているわけではありません。第2グループ、第3グループに属する裾野の広い多数の研究者が存在しており、そうした方々の論文生産力が非常に高いという御紹介もありました。研究力を「向上させる」のではなく、今ある研究力を「解き放つ」ような施策こそが、今求められているのではないかと思います。
 そのためには、もちろんデータの共有や、遠隔から旅費を使わずに実験できるという仕組みを整えることも有効でしょう。しかし、それだけでは済まないと思います。やはり、お金は必要です。そして、そのお金が本当に必要だということを、どう正当化するか、どう国民に分かってもらうかということも含め、総合的に進めていくことが求められていると考えます。
 以上です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。今の中野委員からの点について、何か文部科学省のほうから御発言はありますでしょうか。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  先生、ありがとうございました。研究力が下がっているというところは、私が強調し過ぎたのかもしれません。まさに先生がお考えのところも大きくあろうかと思ってございますので、今御指摘いただいた観点も踏まえながら、私どももこれからしっかり考えていきたいと思います。ありがとうございました。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、河原林委員のほうから、お願いいたします。
 
【河原林委員】  先ほど私が申し上げたこと、いろいろと回答をいただいているのかなという気はしています。そこに書いてある話は、ほとんど私は当然納得できる話だし、重要な点だというふうに思います。御提案いただいた形ができれば、すばらしいと思っています。
 一方で、少し思っているのは、今そこに書いてあることは正しいのですが、結局のところ、集約だとか、入り口だとか、どこからやればいいのか。今は全部分散し過ぎている感じで、何がどこにあるのかよく分からないし、結局使おうと思っても、いろんなところからやらなければいけないのかなというような形で、正直なところ、組織的にばらばらな気がしています。
 集約する組織をうまくつくって、それを管理できるようにしないと、多分こういうことはうまくいかないんだろうなという気がしています。そういうところまで本当に手を突っ込めるのかなというのが、ちょっと疑問に感じているところです。もちろん、そこに書いてあることは全部正しいと思いますし、そこに予算はつくのかもしれないけれども、もっと効率化するために、スリム化するため、例えば全部うまくつなげるみたいな、いわゆるヘッドクオーターみたいなものが必要になってくるのかなと思っていて、それは誰がやって、どうやるのかとか、そういうことも含めた議論も必要ではないかと思っています。
 そういうところというのはここで話すべきか、それとも、また違うところなのか、そういうことってどういうふうになるんですかね。お答えいただければと思います。
 
【梶田部会長】  お願いします。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  ありがとうございます。確かに、先生がおっしゃるとおりです。ただ、設備を入れましょうという話だけではなく、いろんな要素を含んで、しっかり全体で打ち出していきたいなというふうに考えてございます。先ほどの説明の中でも、当部会だけではなくて、別の部会においてもと申し上げた通り、議論がこの部会から少し外れてくるものも出てくると思います。
 事務局のほうで足並みもそろえながら、中で調整もさせていただきながら、どういう形でやっていくのか、考えていきたいと思ってございます。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  すみません、ちょっと補足します。今、先生にお話しいただいたように、設備に関しては、問題意識としては、科研費で予算を取って設備を導入すると、どうしても個人的な利用が中心になってしまうというところがあって、それをどういうふうに組織として使っていくかということが大事だろうと。これはちょっと遅いかもしれませんが、改めて振り返って考えてみると、そういったところが課題であろうということで、これは先生が言われたことと共通しているかと思います。
 この課題に対して、組織としてどういうふうに研究設備を整備して、みんなで使っていくか、その仕組みを考えていこうということが、先ほどの紙の中にも込められているかなというふうに思います。これ、科学技術・学術政策局と一緒に取り組んでいこうと思っていますので、よく協力をしながら、その仕組みについて考えていきたいと思っています。
 
【河原林委員】  お願いします。どちらかといえば、私はそれ以外にも、多分ナショナルなヘッドクオーターも必要なのかなあという気もしていて、それも含めて御議論いただければなというふうな気がします。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  分かりました。ありがとうございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。続いて、渡辺委員のほうからお願いします。
 
【渡辺委員】  ありがとうございます。第7期の検討状況の説明、最初のところでSociety5.0のお話が出てきて、第5期でSociety5.0が提唱され、第6期でそれの具現化を目指すと。第7期もその延長上というようなお話に聞こえました。AIと人間の関わりはすごく大事なんですが、今、地球環境、環境問題が、全ての科学技術や研究に関わってくる。本当に私たち、生きていけるのかぐらいの状況になりつつある中で、人間とAIだけ考えていいのかという、そういう問題があると思います。
 そういうものを全部別個に、違うところで検討しますというものではなく、科学・技術イノベーション基本計画では全体感を持ちながら、それぞれのところがどうすべきかという視点が重要ではないかなと思います。今日の御説明の中で、そういうのがあまり見えなかったので申し上げます。
 例えば、それぞれの設備にしても、本当に地球環境を考えるなら、エネルギー効率などを真剣に考え、優先度を高くして考えていかなければいけないと思うので、そういう全体感をみんなで共有しながらやっていくということが必要ではないかと思いますけど、そういう議論はされているのかどうか、教えていただけますでしょうか。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  この計画のところで、今プレゼンテーションを文部科学省よりさせていただきましたのが2月25日というところで、これからまた7期のところに具体的な計画が内閣府で進められていくと思うんですけど、今の時点では、先生御指摘のようなところまで、具体的なワードとしてというところないかとは思うんですが、今後の議論の中でというところかなと思います。
 
【高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官】  渡辺先生、補足させていただきますと、基本計画は内閣府のほうで主導して作っています。今日は文科省からの提案ということで御説明させていただきましたけど、それこそ先生がおっしゃるような部分も含めて、あらゆる省庁が科学・技術イノベーションとしてどういうふうにコミットできるかというのを持ち寄って、内閣府で総合調整された上で、基本計画というのが出来上がってきますので、総合的な議論というのは、ぜひそこに御期待いただければと思います。
 
【渡辺委員】  ありがとうございます。とはいえ、やはり文科省が実際にはすごく重要になると思うので、文科省の提案の中にも、総合的な観点を入れながら提案していただくほうがよいと思います。文科省はとても重要な省庁ですので、そういう観点はぜひ入れていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官】  ありがとうございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。続いて、飯田委員、お願いいたします。
 
【飯田委員】  御説明いただきありがとうございました。御説明の中で、純粋な知的好奇心が非常に重要、特にゼロから1にするためには重要であるとのことで、まさにそのとおりだと思って伺っておりました。また、併せて、御説明にありました、社会実装までの時間が短くなっているという点も、世界的に見てそうであろうなと思っています。それを効率的に進める仕組みが、エコシステムであろうと思います。
 そのエコシステムでは、大学を中心にする知の拠点で得られた新しいものが、イノベーションとして社会実装されて、社会を変革する力にするところで、企業も巻き込むことが必要で、そういう意味でこのエコシステムに企業がうまく入る仕組みがあればいいなと思って、聞いていました。
 拠点の老朽化の話も出て参りましたが、拠点の特性、特徴によっては、機器を開発する企業と一緒にコラボレーション、コ・クリエーションというコンセプトで、拠点をつくるということもできるのではないかと思っております。
 例えば、そこでユーザーのニーズを取り入れ、企業は次の開発に生かす等です。そして開発された最先端の機器をまたそこに置くというような仕組みがあり得ると思いますので、具体的に進める方法を考えてみたいなと思って聞いておりました。
 以上です。ありがとうございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。文部科学省のほうから何かコメントはありますか。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございました。企業の方々との連携で、より取組を厚くしていくというのは本当に大事な視点だなというふうに思いました。ぜひ先生からも提案をいただきながら、また、大学や先生方とも協力して、仕組みについて僕らも何ができるか考えていきたいなと思いました。ぜひよろしくお願いします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 市川委員、お願いします。
 
【市川委員】  質問になるのかなと思いますが、2つあり、1つ目が、研究者の能力を最大に引き出すというすばらしいお話の中で、今回、最新の装置を入れて自動測定できるように、空間と時間を超えるというお話がありましたが、分野、あるいは研究者によっては、そういうのが必要、そういうのが助かる場合と、それから、いや、そうじゃなくて、すぐ身近にまあまあな装置があって、それをある時期占有してがんがん使えるということが重要な場合というのがあります。
 どちらが特に大きいのかは分からないんですけど、その個々の研究者のいろんな分野による違いなどを考えたときに、今回、この部会というのは共同利用・共同研究拠点のことを考えるからこの議論をしているのか、それとも、次の方針としては全体の中でこの部分を強化するという話をしているのかというのが、ちょっと分からなかったので、聞いてみたいと思いました。
 私は共同利用・共同研究拠点とそんなに利害関係がないので、そこだけじゃなくて、ほかのところもサポートしてほしいという思いがあって、この質問をしているというのが1つ目です。
 もう一つ目は、データを集約して、みんなが使えるようにするというお話がありましたが、これも、例えば私のいる素粒子原子核、宇宙とかだと、世界ではもうさっさとやられています。恐らくアメリカとヨーロッパが主に資金提供をして、あらゆるデータをものすごいデータベースに入れていて、誰でも簡単にデータを引き出せるようになっているわけです。
 それと独立なものを日本でつくっても、きっとこの分野では使われないし、廃れてしまうと思うので、むしろそこに日本が参加して、今資金繰りが非常に苦しいとアメリカもヨーロッパも言っているので、そういうところに参加して、日本も見えるように、どんどんと人と資源を入れられると、国際的に日本のプレゼンスというのがすごく高まって、尊敬を得ると思うんですけど、そういうこともこのスコープの中には入れられるのかという、その2つが質問です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。では、文部科学省のほうからお願いします。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  まず、1点目のほうにつきましては、先生方がおっしゃる、どこの分野をとか、どこの何を重点的にやっていくというところではなく、重点的に大学共同利用機関における設備の環境とか、そういうものをお話をさせていただいたところでございます。
 それを超えて、66ページにございますとおり、政策全体といたしましては、先生、先ほどおっしゃった分野ごとにとか、共用というところをもう少ししっかり強化をして、大学ネットワークを築きながら、研究のパフォーマンスも上げていけないかということは並行して考えていきまして、全体でパッケージとして考えていければなと思っているところでございます。その中での当部会というところでございました。それが1点目かと思います。
 2点目につきましては、今まだここのところを今後どういうことができるかということを、より詰めていかなければならないなというふうに思っているところでございます。先生の御指摘につきましては、ここの担当するところ、別にございますので、しっかり御意見として伝えさせていただきまして、検討を深めさせていただこうというふうに思います。
 以上でございます。
 
【市川委員】  ありがとうございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。
 永田委員、お願いします。
 
【永田委員】  ありがとうございます。これまで皆さんのお話になったことや文科省の御説明、それはその通りだと思います。確かにそれぞれの拠点やハブになるような処を強くしていく、そこをいつも最先端のことができるようにしていくというのは大事だと思うんです。
 その上で、共同利用・共同研究という目で見たときに、我々が時々感じるのは、共同利用・共同研究をコーディネートしたり、先程のコ・クリエーションもそうなんですけど、デザインしたりする人がいない。それを研究者自らが走り回ってやらなきゃいけないという状況になっているような気がするんです。
 だから、全体を繋いでいったり、あるところとあるものを繋いで新たなものをつくるというようなときに、それぞれの処を強くしていって、それぞれの処を精鋭化していく、これは大事なんだけど、その上で、共同利用や共同研究をデザインして、研究者を繋いでいくような人がいないと、うまく動かないんだろうと思います。
 そういう人材を、我々はどうやって育てていくか。例えば、さっき河原林さんはヘッドクォーターとおっしゃっていたんですけど、ヘッドクォーターだけではなくて、本当の現場に近いところで研究者や研究を繋いでいくような人がいないと、多分うまくいかないんだろうと思います。
 そういう点について、まさに研究環境基盤部会の共同利用・共同研究ということをキーワードにしているところで、こういうシステムが必要だとか、こういう人材が必要だということを打ち出していければいいなという気がしています。

【梶田部会長】  ありがとうございます。文部科学省のほうから何かありますでしょうか。

【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。今先生に指摘いただいたコーディネーターであったり、これは、そのコーディネーターの役割をどういった方が担っていくのがいいのか、まさにここでも議論いただきたいなというふうに思っています。僕らの問題意識としても、設備だけそろえるのでは動かないので、例えば技術者の方であったり、URAの方であったり、そういった方々の力が発揮できるような仕組みを中にも取り入れて、かつ、そういった方々がキャリアパスも念頭に置きながら仕事ができるような、そういった仕組みを取り入れたいということがあります。
 それを、まずこの共同利用機関を中心にできたらいいのではないか、と思っています。もし御意見などあれば、いただければと思います。
 
【梶田部会長】  ありがとうございます。
 永田先生、何かありますでしょうか。
 
【永田委員】  ありがとうございます。本当にそういう人を我々がきちんと育ててこなかった、あるいは、きちんとした業種として研究の現場に位置づけてこなかったということがあると思っています。URAがそれにある程度該当しているとは思いつつ、まだ完全に機能しているような気がしません。これは、荒砂委員あたりがよくお分かりになるかもしれません。
 そういう意味では、本当にそういう人材を我々がきちんと育てていくことを一緒にやっていかないといけないと思っています。そういう取組も、施設設備の強化、あるいは研究拠点の強化と同時に組み込まれて、一緒に提言できる、あるいは予算を一緒に取りに行くというようなことができればいいなと考えているところです。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  よく分かりました。ありがとうございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。そうしたら、手を挙げた順番、ちょっと前後してしまいますが、荒砂委員のほうから何か御発言がありましたら、お願いします。
 
【荒砂委員】  ありがとうございます。今、永田先生からございましたように、御指摘の人材、URAですとか、技術職員たちのところ、ここが期待されていると思います。私、東海大学以外にも、研究基盤協議会というところで理事をしておりまして、その中で、URAさんに研究基盤を中心とした研究環境の施策ですとか、そういったところに関わっていただきたいと思って活動したりしているんですが、まだまだ少ないというのが印象です。
 そして、あと技術職員さんの問題でございますが、今回、お示しいただきました全体像、非常にすばらしいと思っていて、そして、その中でAIという言葉もありますが、自動化にしたって、遠隔化にしたって、そこをセットアップしていくのは技術職員であり、何か問題があれば、対応するのも技術職員、そして現場をつなぐ人材として、永田先生が御指摘いただいたところの技術職員も関わってくるであろうというところ、そういったところから見ています。
 こういう点からいくと、現在、特に3大都市圏以外の大学さんで、例えば技術職員を公募したときに、あまり応募がないというようなこともあるというふうに聞いております。成り手が少なくなってきてしまっているという状況で、そこから、まず技術職員、また、例えば博士を持っている技術職員を増やすとか、高度化、そして、そもそも人材を増やすといったところ、ここら辺もないと、活躍も、配置もなかろうというところが、私の印象としてはあります。
 ぜひ成り手を増やすところ、今、文部科学省様のほうでは博士人材の活躍プランというのを打ち出していらっしゃいますが、そこから増えた博士人材が技術職員になっていただけるような、そういう流れ、仕組み、また、なりたいと思わせるようなところ、そういったところがあるとよろしいんじゃないかなと思っているところでございます。
 すみません、感想のような形ですが、以上でございます。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。文部科学省のほうから何かコメントありますでしょうか。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。より現場に近い方々のお声としてお聞きしました。今の御意見も踏まえながら、仕組みとして、どういうふうに取り入れて育成につなげていくのか、その視点を考えながら取り組んでいきたいと思います。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。続いて、小関委員お願いします。
 
【小関委員】  ありがとうございます。実は永田委員と荒砂委員がおっしゃった内容に近いことを言おうとしていました。今回キーワードとして挙げていただいた、例えば設備の遠隔操作とか、AIを活用した自動化というのは、効率的に成果を生み出すための研究や共同利用のインフラ整備としては良い方向性だと思います。ただし、市川さんも言われたように、サイエンスの分野や、その施設の特性にも依りますが。
 そのときに、既に指摘されているように、現場で実務を担う力のある能力のあるエンジニアの存在が、やはりとても重要です。例えば、大学共同利用機関の装置というのは、ただ単に買物を並べたのではなくて、研究者と技術者が独自に設計、開発して作り上げた非常にユニークな装置群であり、その運用に関わっている極めて技術力の高いエンジニアが大学共同利用機関にはたくさんいると思います。
 自動化でも遠隔化でも、そういったエンジニアがきちんと役割を果たすということがとても重要で、今日御紹介いただいた革新構想においても、優れたエンジニアの雇用や育成をセットで考える必要があるのではないかと思います。
 以上です。似たようなコメントで申し訳ありません。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。木部委員、お願いいたします。
 
【木部委員】  どうもありがとうございます。私も、ここに書いてあることに何の異論もありません。これが実現できればすばらしいと思いますが、1つ疑問に思うというか、お願いしたいのは、いろんなところで組織・分野の枠を超えて、と書かれていますが、どうも人文系、社会系の色が全く見えてこないんです。
 AIのことが後ろのほうの資料にも書かれていますが、これからAI抜きで研究を進めるということは、人文学においてもなくなっていくだろうと思います。人文学においても、AIの機能が非常に必要とされる時代になりました。
 しかし、だからこそ、こういう技術開発すること、技術を適用することが、人間の倫理観とか、哲学とか、あるいは、SDGsや「誰一人取り残されない」ということに照らし合わせて、本当に人間にとって幸せであるかということのバックボーンがないと、単なる技術になってしまうと思うんです。
 ですから、もう少し哲学や倫理の匂いが香るような部分をつくっていただければなと思います。どこというふうにといった具体的なことは、指摘することはできないんですけど。
 以上です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。文科省のほうから、何かコメントなどありますでしょうか。
 
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】  ありがとうございます。先生の御指摘、確かにというところもございますので、そういった要素もこの中で、どうしっかり見せていけるかというところの検討は深めていきたいと思ってございます。重要な御指摘、ありがとうございました。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。ほかに何か御意見などございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 中野委員、お願いしします。
 
【中野委員】  ここでは大学共同利用機関とか、共共拠点の話をしていますが、一方で、現在、一部の大学が強く狙っているのは国際卓越研究大学認定だと思います。そこには非常に大きなお金が流れ込む構造になっています。そうした中で、大学を強化する取り組みである国際卓越研究大学と、共共拠点や大学共同利用機関といった横串を通す取り組みが、全く別部に、ばらばらに進むというのは不健全ですし、非効率だと感じます。
 共共拠点の多くは、コミュニティーに1本軸足を置き、もう1本を大学に置いて活動しています。そうした中で、横串を通すことの重要性について、大学の中でもだんだん認識が高まっていると思います。ですから、国際卓越研究大学やJ-PEAKSで重点的に支援された資金が、自然と横串の機能にも流れていくような仕組み、すなわち、それが大学にとってもインセンティブになるような、ある種のナッジに近いような、背中を押すような施策が講じられれば、全体としてもっと健全な方向に向かうのではないかと思います。
 以上です。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。今の点について、文部科学省のほうから何かコメントありますでしょうか。
 
【俵大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。まさに横串を刺した形での研究、これが大事だということがあると思います。先生から、今それが自然と少しずつ認識されるようになってきたということが、僕らとしても励みになるなと思いました。
 そういったことも念頭に置きながら、支援の在り方、僕らとしても考えていくのが重要かなと思いましたので、ぜひまたよろしくお願いします。
 
【梶田部会長】  ありがとうございました。ほかに何かいかがでしょうか。そろそろ終わりの時間が迫っておりますが、あと1つ、2つは可能かとは思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、いろいろと御意見ありがとうございました。少し定刻より前ですが、以上で本日の議題は全て終了とさせていただきます。この会議、これで終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
 また、次回以降、本格的な議論になるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
―― 了 ――

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