研究環境基盤部会(第119回) 議事録

1.日時

令和6年10月21日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 大学共同利用機関の機能強化について
  2. 令和7年度概算要求の状況について
  3. その他

4.出席者

委員

観山正見部会長、勝悦子委員、原田尚美委員、井上邦雄委員、井野瀬久美恵委員、関沢まゆみ委員、永田敬委員、中野貴志委員、長谷部光泰委員、松岡彩子委員、吉田和弘委員、渡辺美代子委員

文部科学省

塩見研究振興局長、柳澤大学研究基盤整備課長、柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官、熊谷大学研究基盤整備課課長補佐、高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【観山部会長】  皆さん、おはようございます。ただ今より、科学技術学術審議会・学術分科会研究環境基盤部会第119回を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日の会議は、文部科学省のYouTubeチャンネルでの配信という形で、公開での開催としておりますので、よろしくお願いいたします。まず、事務局より本日の委員の出欠、配付資料の確認等をお願いいたします。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局でございます。それでは、本日の委員の先生方の御出欠状況になりますが、治部委員、森委員が御欠席となってございます。また、渡辺委員が10時25分頃に退席されると伺ってございます。本日の資料につきましては、議事次第に記載のとおり資料1-1から資料2-2、参考資料1から参考資料5となっております。事前に各委員にはお送りしておりますが、不備等ございましたら随時チャット機能等で事務局までお知らせをお願いいたします。また、音声等に不都合がございます場合も随時事務局まで御連絡をお願いいたします。以上になります。
 
【観山部会長】  それでは、早速本日の議事に入りたいと思います。議題1「大学共同利用機関の機能強化」についてとなります。参考資料1に第12期の本部会の調査・審議事項が記載されておりますが、これでまでは主に、二つ目の○、全国的観点から推進すべき学術研究基盤の整備について、中規模研究設備に関する議論を深め、来年度の概算要求につなげたところであります。本日は、もう一つの調査審議事項である次期の大学共同利用機関の検証の在り方について検討を行いたいと思います。
 大学共同利用機関については、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた議論等、国の研究力強化の検討の中でも取り上げられていますので、まずは関連する動きについて事務局から説明いただき、大学共同利用機関の現在の役割や課題、今後の機能強化の方策について広く意見交換を行いたいと思います。その後、次期検証の実施方法について事務局から説明、それに対する議論という形で進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  それでは、資料1-1を御覧ください。まず資料1-1の2ページですが、最近の動向について御説明する前に、研究環境基盤部会における大学共同利用機関に関する以前の議論について御説明したいと思います。研究環境基盤部会におきましては、これまで共同利用・共同研究体制に関する様々な審議を行っていただいておりますが、直近で部会として取りまとめたものがこの平成30年12月にまとめました「第4期中期目標期間における大学共同利用機関の在り方について」になります。この取りまとめの前には、平成27年1月に共同利用・共同研究体制の強化に向けて審議のまとめ、平成29年2月に今後の共同利用・共同研究体制の在り方について意見の整理を行っていただいております。平成30年の審議のまとめにつきましては、それまでの議論を踏まえて大学共同利用機関が諸外国に比べて相対的に低下傾向にある基礎科学力の復権をけん引する役割を担うため、令和4年度から開始する第4期中期目標期間に向けた取組の方向性をお示しいただいたものになります。
 取組の方向性といたしましては、資料に記載のとおり大きく4点、研究の質の向上、人材育成機能の強化、関係機関との連携、法人の枠組みとして整理されてございます。研究の質の向上では、機構長のリーダーシップを強化するため、産業界等の外部人材活用や機構長裁量経費の充実、研究者の流動性や多様性を高めるためのクロスアポイントや年俸制の推進、またポスドクのキャリアパス支援、厳しい財政状況の下でのマネジメント強化による保有施設・設備の重点化、共用の推進、大学共同利用機関の検証の実施、それを踏まえた機関の在り方の検討、また、人材育成機能の強化では、総研大の人材育成の目的を他の大学では体系的に実施することが困難な研究領域や学問分野の研究人材の育成に特化すること、関係機関との連携では、共同利用・共同研究拠点等とのネットワークによるスケールメリットを生かした研究基盤の構築や、大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点の間の移行のプロセスの明確化等がございました。
 また、一番下の法人の枠組みでは、4機構法人の体制を維持しつつ法人の枠組みを超えた異分野融合や経営の合理化に取り組むため、4機構法人と総研大で構成される連合体を設立することとされてございます。この連合体については、令和4年3月に5法人による一般社団法人大学共同利用研究教育アライアンスが設立されております。
 続きまして、資料1-2の通しで25ページを御覧ください。こちらは、この平成30年の審議のまとめを受けまして、令和2年度に実施した各機関の外部検証の結果に概括になってございます。上段の結果につきましては、全ての機関が要件に照らして十分な活動を行っていること、また、全体として各分野の中核拠点として研究資源の維持・発展に努め、共同利用・共同研究の発展に貢献していること。また、学術や社会的動向に対応した組織の改編等について多くの機関で行われる状況が確認されております。
 一方、今後の課題として指摘されたものの例といたしましては、国内外の動向を踏まえた更なる研究活動、共同利用・共同研究機能の強化、研究者の多様性の向上、コミュニティにより開かれた運営、総研大との連携による大学院教育への貢献、機構長のリーダーシップの一層の強化、限られた財源・人員下での研究資源の共有、効率的・効果的な運営のため法人のリーダーシップによる法人内の各機関の連携や大学、研究開発法人等との組織的連携の強化、異分野融合・新分野の創出等による研究力強化、人材育成の充実、運営の効率化のための法人の枠を超えた連携の推進等があり、それぞれの機関における課題が指摘されていたという状況がございます。
 それでは、資料1-1にまた戻っていただきまして、3ページから、最近の政策動向について御説明させていただきます。まずは第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた動きになります。令和8年度から開始予定の第7期基本計画に向けて、現在当省での議論が開始されており、本年8月に学術分科会としての意見をまとめていただいております。また、9月には科学技術・学術審議会総会において検討が行われてございます。
 4ページは、9月の総会の配布資料から抜粋しました第7期基本計画の検討に向けた基本的考え方で、3つの柱として研究力、国際戦略、人材育成がありまして、研究力の具体策には共同利用・共同研究体制の機能強化も挙げられております。
 続きまして5ページ、こちらが8月にまとめられました学術分科会としての意見のポイントになります。多様で質の高い研究成果を創出する知の基盤の構築に向けて3つの柱立てでまとめられておりまして、3点目の研究大学群の形成の中で共同利用・共同研究体制の機能強化が位置付けられてございます。
 6ページからが該当部分の抜粋になります。「②今後の取組の方向性」を御覧いただければと思いますが、我が国全体の研究力向上のためには、トップ層や上位に続く層の大学の研究力の底上げを図るだけでなく、国立研究開発法人や民間企業等と連携を深め、大学の枠を超えて、全国の国公私立大学等に広く点在する研究者のポテンシャルを引き出し、研究の厚みを大きくすることが必要であり、続いて7ページでございますが、そのような中、我が国では共同利用・共同研究体制が構築されており、研究者コミュニティ全体の研究力をけん引するとともに、当該分野の裾野の拡大、ひいては我が国の学術研究全体の水準の向上に貢献してきたこと、特に学術研究の大型プロジェクトについては、我が国の国際的なプレゼンスを向上させてきたこと、共同利用・共同研究体制の中核を担う大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点について、その特色、強みと課題を改めて確認し、更なる改善と強化を図り、その機能を最大限に発揮できるよう具体的な対応策を検討することが求められるとされております。また、その下の喫緊の対応として挙げられております中規模研究設備の整備と新しい学際研究ネットワークの形成は、今期の基盤部会で御議論いただいてきた内容となっております。
 続いて、8ページを御覧ください。また、これとは別の動きといたしまして、国立大学法人等の第5期中期目標期間に向けた動きの一環で、7月に当省におきまして国立大学法人等の機能強化に向けた検討会が立ち上がっております。この検討会は、国立大学法人と大学共同利用機関法人について法人化20年を経て法人化の成果や課題の現状について分析を行うとともに、国立大学法人、大学共同利用機関法人が全体としてその機能を強化し、その役割をしっかり果たしていくことができるよう、具体的な対応策を検討することを目的としております。
 本年は、2. 検討事項にあります(1)にある現状分析を行う予定となっておりまして、前回9月30日に開催いたしました第3回の会議におきましては、大学の研究力をテーマに議論が行われてございます。
 9ページ以降は、その際に事務局から説明した研究力強化の取組に関する資料のうちの共同利用・共同研究関係の部分の抜粋となります。9ページは大学共同利用機関法人の概要を記載したものになっております。こちらについては御存じの内容が多いかと思いますが簡単に御説明させていただきますと、大学共同利用機関はその成り立ちとして各分野の研究者コミュニティの強い要望により、国立大学の研究所の改組等により設置された個々の大学に属さない大学の共同利用の研究所になります。そのため、研究者コミュニティ全体にとって最適な研究所であるため、法律において教育研究評議会に外部の関連研究者の参画が規定されているとともに、外部研究者が約半数を占める運営会議が人事も含め運営全般に関与しております。また、大規模な客員教員、研究員枠、准教授までは任期制、内部昇格禁止等の流動的な教員組織で構成されています。
 大学共同利用機関では、個々の大学では整備できない大規模な施設・設備や大量の学術データ等の貴重な研究資源を全国の大学の研究者に無償で提供するとともに、公募による共同研究、装置開発支援等の大学に対する技術移転、また、それらを通じた人材育成等、当該分野のCOEとしての役割を担っております。
 10ページは、現在の4法人17機関の構成となります。11ページは、大学共同利用機関が中核となって実施している大型プロジェクトの例でありまして、我が国の国際的な大規模プロジェクトの推進において不可欠な存在となっております。
 12・13ページにつきましては、自然科学研究機構から提供いただいた機構の取組事例となっております。まず12ページですが、機構では研究設備の提供だけでなく研究のコンサル、技術開発、実験等のサポート、さらには成果発表、広報まで、組織として一体的なサポートをし、全国の研究者の研究力向上に貢献されております。
 13ページは、機構における人材育成の状況で、10年間で機構の研究者の約半数超が入れ替わりまして、10年間で機構の研究者数の6倍の若手研究者を育成しております。左下のグラフでは研究所で若手研究者等を育成し、全国の大学に輩出している状況、その右側におきましては技術職員の育成支援の取組が記載されてございます。
 14ページからは、大学共同利用機関とともに共同利用・共同研究体制を支えております共同利用・共同研究拠点に関する状況や成果等に関する資料となっております。
 19ページを御覧ください。こちらは先ほどの第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会の意見でも喫緊の課題とされておりました学際研究ネットワークの構築と中規模研究設備の整備に関する令和7年度概算要求の資料となってございます。これらの状況を踏まえた上で検討会にて御議論いただく際の論点案として示したものが次の20ページになっております。
 こちらを御説明いたしますと、共同利用・共同研究体制を担う大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点について、そのユニークな機能・役割を明確化し、その機能の発揮度を可視化・最大化させるために、大学、大学共同利用機関及び国それぞれに期待されることが何か。また、特に大学共同利用機関については下の二つ目の項目になりますが、その新たなサイエンスを生み出す機能を可視化・強化することが必要ではないか。また、その役割の特殊性を踏まえた基盤的な活動に対する支援や、柔軟な研究領域の設定を可能とするガバナンスやマネジメント、さらにはその機能拡張を支える多様な財源による経営基盤の強化が求められるのではないか。といった点を提示してございます。
 21ページでは、検討会で委員から発言のあった共同利用・共同研究体制に関する主な意見を事務局でまとめておりますので御紹介させていただきます。まず、分野ごとの拠点の求心力を維持するためには、最先端の研究に必要な設備を議論ができる優れた人材がいることが必要であり、大学共同利用機関や国際共同利用・共同研究拠点が国内の学術研究を底支えし、リードしてきました。しかし、国際拠点ではない共同利用・共同研究拠点では、現状の支援の中で新しい研究成果を出すところまで行うのは難しいのではないかという点があり、大学共同利用機関、国際拠点を中核として、拠点を結び付けることで機能が強化されるのではないかとの御意見。
 続いて、大学共同利用機関は、共同研究、大型・最先端の設備の共同利用、その設備を用いた研究支援を行う人材の育成等、様々な役割を行っており、それぞれの機関における役割を明確化することが必要ではないかとの御意見。
 また、共同利用・共同研究拠点について、その仕組みを立ち上げることは簡単ではないこと、更に異分野の研究者との共同研究を進めるための機能の強化が必要であること、また、コミュニティに対する貢献度を踏まえた支援の仕組みを検討すべきではないかとの御意見。
 また、運営費交付金の減少とともに人件費が減少してきており、研究支援人材が削減されてきており、大学共同利用機関が研究支援人材の育成・確保に向けて果たす役割があるのではないかとの御意見がございました。
 このような議論の状況も踏まえまして、今後の第7期科学技術・イノベーション基本計画や第5期中期目標期間に向けた大学共同利用機関の機能強化に関する検討に生かすため、本部会の委員の皆様から大学共同利用機関の現在の役割やその成果や課題、今後の機能強化の方策について幅広に御意見を頂ければと思っております。
 参考資料4には、大学共同利用機関に関する参考資料もございますので、適宜御覧ください。また、本日御欠席の森委員から御意見を頂戴しておりますので、委員の皆様には事前にお送りしてございますが御紹介させていただきます。
 森委員からの御意見といたしまして、「各共同利用・共同研究機関は、国からのサポートに加え、拠点では自助努力を行って、装置の管理・維持・更新を行っています。しかしながら、特に全国共同利用から長年共同利用を推進してきた機関では装置の老朽化が進んでおり、今、共同利用・共同研究拠点が機能強化として見直されようとしているときに、研究設備・機器の更新は喫緊の課題となっており、計画的な支援が必要です。
 また、研究に集中できる環境の整備にもありますように、研究時間の確保という観点では、技術職員等の研究支援スタッフの拡充を含めたこれも計画的な投資が必要と思います。共同利用・共同研究拠点では、これまでも機会があれば若手の職員を採用して育成し、継続的に新規技術を開発・提供しております。
予算にも限りがありますので、機能強化のために設備・機器、職員、環境整備と、特に必要な部分のみに投資することは大変効果的と思います。」との意見を頂戴いたしております。事務局からは以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございました。ただ今の意見を踏まえて、大学共同利用機関の現状や課題、今後の機能強化の方策について御意見を伺いたいと思います。今日は時間を取りまして皆さんから御意見を頂きたいと思いますが、まず、渡辺委員が途中で御退席ということでございますので、まず渡辺先生に口火を切っていただければと思います。よろしくお願いします。
 
【渡辺委員】  御説明、ありがとうございました。論点案を出していただいたので、それについてまず一つ私の意見申し上げます。ユニークな機能・役割を明確化し、その機能の発揮度を可視化・最大化させるということなのですが、可視化する前に最大化ではないかと考えます。内容を充実させてから可視化する、やはりその順番がすごく大事ではないかと思いました。それから、森委員からコメントがあったところに関することなのですが、基本的に研究者が研究時間をなかなか割けないということはもうずっといわれてきていて、そこが根本的な問題だと思います。何か機能や人を増やして研究時間を確保するというよりも、人が幾らでも増える時代ではないので、少し事務の効率化など、今していることをもう少し時間が短くできるような、それは国全体としてもやっていかないと、研究時間は増えないのではないかと思いました。以上です。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございました。それでは、御意見を伺いたいと思いますが。
  
【観山部会長】  まず、私からお話しさせていただきたいと思います。大学共同利用機関、それから共同利用・共同研究拠点、これは思い返すと戦後、我が国が経済的に厳しい状況の中で、大学そのものというよりは、共同利用・共同研究の拠点が全国の研究者のコミュニティの要望の下に作られました。日本の独特なシステムとして発展し、大きな成果を上げてきたと思うのです。考えると1990年から日本の経済力、それから研究力、給料も、もうほとんどプラトーになっています。それはバブルがはじけて非常に皆の気持ちがシュリンクしたという状況があって、ある意味で状況は戦後と似ているのではないかと思うのですよね。国際的に秀でた大学だとかいろいろなピックアップをして、もちろんそういう方向性もよいと思うのですが、やはり新たに共同利用・共同研究の方向に、そんなに大きなお金でなくても、日本の経済力を全部あげるだとか、国立大学の1兆円を1兆5000億にしようとかそういうことではなくても、安価に効果的に随分できる可能性がある部分だと思うのです。まずそこの重点的な配分をしてはどうかと思います。
その先をどういうふうな方向に使うかということでいうと、一つは私はやはりグローバル化ということではないかと思います。
 日本の研究所は、非常にすばらしい研究を進めている、国際的にも認知度が高いと思いますが、私がお付き合いさせていただいている海外の研究所からいうと、何か人種を限ったとかそういう面はほとんどなくて、入れ替わり立ち替わりいろいろな研究者が滞在するというのが日常ですよね。トップも別にアメリカの機関であってもフランスの機関であってもフランス人がやるとかアメリカ人がやるということではないですよね。なので、ある意味で、日本の共同利用・共同研究拠点や大学共同利用機関は基本的にうまくやってきたシステムですが、グローバルというところに相当力を入れて踏み出さないと、やはり世界の中から、取り残される恐れがあります。これはもちろんサイテーションとかそういう競争力の面もありますが、日本の研究所というよりはやはり国際研究拠点だという形で、共同利用・共同研究拠点、それから大学共同利用機関も、十分そういう面は発揮されていますが、足らないところがあると思います。例えば人事面だとかそういう面ではまだまだやはりグローバル化が進んでいないかと思います。そういう意味でいうと、今の給与で欧米の研究者を雇用するのはなかなか難しいわけですので、先ほど言ったように、ある意味でそういう共同利用・共同研究拠点とか大学共同利用機関にある程度の重点的なそういう計画の募集をして、要するに手を挙げさせてそういう経費を付けるとか必要ではないでしょうか。
 もう一つは、今までコミュニティのために支えられた共同利用・共同研究拠点や大学共同利用機関ですが、やはりこれからは新しい学際領域を作っていくという仕組みを共同利用・共同研究拠点とか大学共同利用機関が率先してやらないと、なかなかグローバルな競争に太刀打ちできません。大学の執行部が考えるという方法ももちろんあると思うのですが、研究者の組織の中で新しい方向性を作っていくことも必要です。もちろん一部のところでは秀でた新しい研究領域を作られていますが、ある意味今後の評価の観点ということでは、この点はすごくしっかりと見ていく必要があるのではないかと思います。この点も現状の経費でやりなさいといったらなかなか難しいかもしれませんが、例の学際ハブというので共同利用・共同研究拠点で公募したら非常にたくさんの応募もありましたところですので、是非これを進めていくということが重要ではないかと思います。
 それと、一つは、大学共同利用機関というのはある時期に固まって、まず増えていませんよね。大学共同利用機関法人の設置目的は、大学共同利用機関を設置するということがあるわけなので、私は考えるところでは、いろいろな事情もあるにしても、大学共同利用機関で展開した方がよいのではないかなという機関は結構あると思うので、機構としてはそういう努力もやはりしていただくことは重要ではないかと思います。
 それから4番目、最後になりますが、4法人プラス総合研究大学院大学のアライアンスをいろいろな経緯もあって作ったのですが、アライアンスを作った限りはやはりその成果は必ず求められると思います。私は作るときにも申しましたが、そろそろ中期目標の期間も半ばでございますが、やはり今言いました国際性とか新しい分野だとか、それから総研大が関わっておりますので、そういう教育人材の中でどういう展開が、どういう方向性が今後考えられるかということは是非考えていただければと思います。最初にいろいろなことを言いまして申し訳ありませんが、以上でございます。
では、永田先生からお伺いいたします。
 
【永田委員】  ありがとうございます。今、観山先生がすごく大きな枠組みをおっしゃってくださったので、それに比べると少し部分的に特化したところがある話をさせていただくことになりますが、できれば資料を共有してよろしいですか。総研大は実は大学共同利用機関法人と協力をして、大学院、それから若手の人材育成ということで活動しておりますので、少しそれと関連して、それから先ほどの審議まとめにもあった人的資源ということの中で、研究の質の向上と人材育成両方に関わっていると思うのですが、実は今御覧になっている上のところに表があると思うのですが、これはうちの企画に少しScopus上でざっと当たってもらって、この5年間ぐらいのいわゆる論文指標を出しました。正確に把握しているわけではないので表に出せるような数値ではないのですが、全機構法人で大体5年間で2万7,000近くの論文数で、分野で重みを付けたサイテーションインデックス、それからトップ1%、トップ10%、国際共著率と。この中で、うちは総研大なので、総研大生を著者に含む論文というのは実はそれほど多くなくて、学生数トータルで500人ぐらいで、しかも論文を書くというのは大体後期に相当する部分の200人~250人ぐらいです。その学生が著者に含まれている論文というのを調べてみると、大体全体の7、8%ぐらいなのですが、見ていただくとどのインデックスもかなりよいのですね。これはもちろんとてもよい研究環境の中で学生が学位論文研究をしているということを意味していることになると思うのです。それから、これは4つの機構の中で、人間文化はなかなかScopusに入ってこないので除いてあるのですが、自然科学研究機構、KEK、それから情シス、それからうちはJAXAの宇宙研が入っていますので、そこが入り込んでいるのですが、ここで書かれるうちの学生が著者に含まれた論文のインデックスというのはかなり高い。
 今申し上げたように、よい研究環境の中で育てていただいているという考え方ができるのですが、逆にいうと、こういう若手がきちんと研究力の一部として機能しているということを意味しています。私は少しこれから先の総研大の在り方、あるいは大学共同利用機関法人との共同した人材育成を考える中で、大学院生は育成の対象であると同時に大学共同利用機関の研究力を構成する研究者人材と考えるべきではないかというふうに思っています。ここに早期研究者人材という新しい言葉を入れてしまったのですが、この早期というのは、いわゆるまだ研究者として一人前ではないかもしれないけれども研究にコミットしている人材という意味で早期研究者人材という言葉を付けさせていただいています。現在の研究に例えばこれまで議論してきたような中規模の設備の拡充とか、いろいろな支援をつぎ込むと。それから今ある研究にある程度のリソースをすぐつぎ込むと。これは大事なことなのですが、そこを動かしている一部、それからそれを更に10年先ぐらいまでつないでいく、あるいは展開していく人材を考えると、大学共同利用機関の持続的な研究力の強化には博士後期課程レベルのいわゆる早期研究者人材の確保。これを質・量ともに拡大する仕組みを組み込まないといけないのではないかというふうに考えております。
 例えばどんなことが考えられるかというと、博士後期課程の学生をきちんと研究者として位置付け、社会的にも通用する職業的な身分を付与して、相応の給与で処遇するというようなことによって、いわゆる国際的な研究者人材の獲得競争に勝てる策を打たないと、なかなかよい人材をきちんとアカデミアだけではなく、いわゆるその学術の中に取り込んでいくことが難しいと。日本の研究者人材は将来枯渇するのではないかと思っています。例えば御存じと思いますがドイツのマックスプランクではInternational Max Planck Research Schoolsというのを持っていて、これは実は重力波研究の研究所の例を持ってきたのですが、Gravitation physicsの研究所では月額2,000~2,300ユーロぐらいで、特に博士後期課程に相当する院生をきちんと雇用しています。マックスプランクは学位を出せないので、手近にあるライプニッツとかフンボルトと共同して学位を出すということをやっているのですが、ここでこの20年ぐらいで育ててきたいわゆる博士人材を見てみると、必ずしもアカデミアだけではなくて企業とかいろいろなところできちんと活躍しているというのが分かります。こういう文科省も旗を振って博士人材活躍プランというのを持っていますが、もう少しいろいろなところで博士人材活躍させるというのがあるのですが、大学共同利用機関の研究力強化、それからそれをどう展開していくかというときの人材として、あるいは社会できちんと活躍できる博士人材を国際的な獲得競争に勝ってきちんと入れてくるということを考えると、一番上に書きましたが研究力の向上戦略として比較的早い時期での研究者人材の確保ということを戦略的にやっていかないといけないというような気がしていて、今日お時間を頂いたので発言をさせていただきました。以上です。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございました。非常に重要な視点だと思います。どうも大学院生というのは要するに授業料を払って教えてもらう学生だろうという認識ではなくて研究者なのだと。最近では日本学術振興会の研究員が各大学に雇用されるというような機能もできつつありますので認識も変わりつつあります。ただ、やはり社会的にも随分そういう認識を転換して、やはりもう一人前の研究者であるというような観点を社会全体として見るということは非常に重要な観点だと思いますし、何にせよとにかく博士人材を増やすということに是非今後も努力しなければいけないと思います。それでは、まず関沢委員、お願いいたします。
 
【関沢委員】  最初の観山部会長がおっしゃった学際ハブに関係してなのですが、学際ハブがスタートしましたが、新しい学際領域を作っていく、あと研究連携という点で、丁寧にこれから進捗管理を行いながら支援していくことが重要だと考えております。その中で10個のハブができましたが、残念ながら文系が一つも入っていなかったというところは、原因・理由の分析と、あとやはりこの文理のバランスが取れた研究力を強化していくためには、文系の機関が主導機関となってハブを作っていくということが課題だと認識しております。
 では、そのためにはどうしたらよいかというと、例えば私が所属しております人間文化研究機構、この人文系でも、幅広い分野の方がいらっしゃって、研究の情報を集中的に収集する、そういうURA的な人を各基盤機関に付ける。これは他の機関・拠点についてもそういう方がおられますと、学際ハブなり研究の課題を戦略的に検討ができ、URA同士も横のつながりができていって、次の世代のやはりこの学際領域、学際研究というものを展開していくきっかけになるのではないかと考えております。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございました。確かに文系が中心機関となった提案がもちろんあったのですが、なかなか良い点を取れなかったということで、残念ながら。これは文科省担当課も頑張っておりますので多分まだ公募は続くのではないかと思います。概算要求の結果にも伴いますが、是非いろいろな形で期待と思います。では、文系ということで、井野瀬委員、よろしくお願いします。
 
【井野瀬委員】  ありがとうございます。人間文化研究機構に異動したこともありまして、これから考えなければいけない共同利用機関の問題に関する皆さまの御意見、特に観山部会長が言われた言葉が心に染みました。私自身が大事だと思うのは、大学ではないそのユニークなポジションを、機構がメリットとしてどう生かしていくかということ。そしてそれを「可視化し最大化する」という部分です。先ほど関沢先生が言われましたように、人文学系が機構の一つとして存在し、取組の中に入っているということのメリットを示し、発想上のユニークさがうまく発揮できていない現状をどうするか、が問題なのだと思います。
これを誰が考えるのかと考えたとき、先ほど総研大の永田委員がおっしゃいましたように、博士課程の大学院生を研究者として手厚く遇していくということと表裏の関係ではないでしょうか。人文学系を有するメリット、そこから生まれるユニークさ、それを人間文化研究機構以外の3つの機構が意識していくためにも、研究者であり、社会との接着剤、コーディネーターともなり得る人材育成を柔軟に行い、手厚く遇していくことが重要だと思います。
 この間、私自身の経験ですが、ある日本の大学研究機関で人文学系の研究公募がありました。申請の一つの研究代表者は中国の方であり、共同研究者の中に日本人の若手がほとんど入っていませんでした。この点に関して質問が出ましたが、申請者は、「日本人の若手が今の私には見えない」という返答をされました。これは結構私の気持ちにずしんときました。若手の研究者が見えないから国際的共同研究の射程に入らないと言われてしまうと、私たちはやるべきことをしていない、そこを突かれているような気がしたのです。
 先ほど渡辺委員は「最大化がまず大事」とおっしゃいましたが、上記の経験からも、私は、若手研究者を可視化する、可視化の形をいろいろ考えて、どこからでも見えるようにすることが重要ではないかと思いました。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。それでは、長谷部委員、お願いいたします。
 
【長谷部委員】  ありがとうございます。私は共同利用研の基礎生物学研究所にもう30年近くおりまして、ちょうどノーベル賞を取った大隅先生が赴任された翌年に着任しました。それで、大隅さんがいた頃もずっと研究をしていて、その頃はやはりすごく研究環境がよかったのですね。だけれども2005年ぐらいからどんどん研究環境が悪くなってきて、悪くなってきたというのは、まず人材が定員削減でなくなって、部門数が減りましたし、研究室当たりの人数も減ったし、あと基生研の場合は客員部門が6個あったのが0になったとか、あるいはこれは全国的な問題ですが日本人の学生の学力が低下してきた。それと、設備費が2000年ぐらいまでは研究所に付いていましたが、基本的に設備費がなくなってしまった。後は研究費も減ると。
 この状況では、参考資料に日本の研究力が落ちたとありましたが、それはどう考えても当たり前なのですね。かつグローバリゼーションが進まないというのも、僕らが人事をやっていて希にですが、実際私が関わった人事で、外国のすごく著名な方が応募してくださって通ったのです。ところが、研究所の予算を聞いて着任しないという決断をされて、それは向こうの大学の研究費とは全然桁が違うということなので着任しないという回答でした。
 やはりこの現状で共同利用研でその先端研究、これは先端研究を共同利用研でしなければ先端研究を用いたその共同利用ができないので、通常レベルのものは今は共同利用研なので共同研究はしています。だけれども、各部門の研究というのが結局科研費で自分で設備費を取って、自分で科研費のための研究をやって、そのお古を共同利用に回すという形なので、どうしても共同利用で最先端研究、そのトップ10%になるような共同利用ができないのですね。なので、やはりそこは改善する必要があると。
 ただ、僕もこの部会を含めて文科省のいろいろな仕事をさせていただいて、お金がない、基盤経費を増やすのは難しいというのは非常によく分かっております。少なくとも7期の基本計画におきましては、その共同利用研究。共同利用研究というのは、やはり基盤経費以外にその共同研究をするための経費を増やすという方策。そのときに、共同研究の経費を増やすのに今必要なのは設備。これは中規模設備で設備要求が可能になることを強く希望しますが、それに加えて今は1000万円規模、2000万円規模のいわゆる本来機関で整備すべきものも整備できない状況になっているのです。共同研究費の新しい枠組みを例えば作っていただいて、その中で設備ですとか、あるいはその人材ですよね。それを増強できるような仕組みというのを、この基本計画の中で共同利用研に作るようなことを書き込めないかなと思います。
 今、学術変革の学術研究支援基盤形成、これは非常によく機能していると思うのですが、これは時限で5年ごとに切り替えなければいけないとか、あと設備を整備するための予算として、リースは可能ですが、非常に使い勝手が悪くなっているので、これを更に強化して、例えば基盤経費化するとかして、より共同利用に効率的に利用できるようなことを基本計画に書き込んでいただけるとよいかというふうに個人的に思っています。
 あと、今の基本計画の話もそうなのですが、あと先ほど説明のありました第4期の共同利用研究の在り方の審議ですとか、あるいは文科省の中でのいろいろな調査研究というのは非常によくされていて、すばらしいサプリメントとしての効果があると思うのですね。ただ、もう基礎体力がすごく落ちている我々に実際そのサプリメントというのは余り効果がないのです。逆に労力が増えるだけになってしまっていて。それで、基礎体力を上げるための抜本的な改革を是非将来的にしていただきたいと思います。
 次の中期目標期間は共同利用研をこのまま維持するかと思うのですが、その後でその共同利用機関の今後を考える場合に、やはり今その国際卓越研究大学というのは文科省の大きな賭けだと思いますが、もしそれがうまくいくようならばですが、国際卓越研究大学と例えば共同利用研を連携するとか、そういうようなことも将来的には検討されたらよいのではないかなと思います。以上です。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございました。研究所での経験が非常に長い先生ですので、状況の推移が直接分かる御意見でございます。では、勝委員、お願いいたします。
 
【勝委員】  ありがとうございます。大学共同利用機関、これが4つの法人に分けられたというのは先ほどの説明ですと2018年ということで、そのときの議論にも私は参加したのですが、その当時はやはり17の機関を4つの法人にするということについて本当にそれが合理的かどうかということは大いに議論されていましたが、ただ、確かにエコノミー・オブ・スケールとエコノミー・オブ・スコープと両方のベネフィットがあったのではないかと。これは検証の方に委ねられると思うのですが、特にその研究アドミニストレーションについては経費削減であるとか、あるいは広報の強化であるとか、そういったところで効果があったのではないかというふうに思います。加えて、「新しい知」といいますか、エコノミー・オブ・スコープということから考えると、やはり1法人にいろいろな分野が入っているということになるのでそういった効果ももしあるのであれば、それも是非検証していただきたいなというのが第1点です。
 それから、今後のこの大学共同利用機関に求めたいこととしては、先ほど来議論がありますが、やはり研究基盤としてその人材育成にもっと力を入れていただきたいと思います。というのも、先ほどの資料の16ページに2005年から2015年までの間に論文数、日本がそれほど増えていなくて中国は非常に大きくなっている、あとドイツ等にも負けていると。人口比から見ても日本の落ち目というのは明らかであって、これはやはり先ほど来議論にあるように研究者の絶対数が減っているのだろうと。もちろん研究者の中には企業の方もいらっしゃると思いますが、国立大学で運営費交付金が圧縮されて任期なし人件費が抑制される。そういう中で人材を輩出するという意味での大学共同利用機関の役割というのはもっと大きくなってしかるべきではないかと。やはり研究というのはネットワークなので、大学とのクロスアポイントであるとか、あるいは企業との連携であるとか、そういったところを、先ほどのお話ですと准教授までは任期制ということですので、大学共同利用機関から大学に移る先生もたくさんいるということは先ほどの資料でも分かるので、この辺の役割というものをより強化していって、予算もそれに付けていくということが最も重要なのではないかなというふうに思います。
 それから、卓越大学の話が先ほどありましたが、先日実はスタートアップの方たちと東北大学に訪問していろいろ設備を見せていただいたのですが、サイバーサイエンスセンターであるとか、もう本当に大型で、特に国際的に研究者を受け入れる基盤というものがかなり整っているということも分かりましたし、そこにかなりの予算が付いているということであれば、やはり大学共同利用機関もそういったところとどのように連携していくのかということも今後考えていかなくてはいけないのではないかなと思います。以上でございます。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございます。別の視点から貴重な意見をどうもありがとうございました。それでは、吉田委員、お願いいたします。
 
【吉田委員】  ありがとうございます。私は観山部会長、長谷部委員の広い観点というより割と小さな観点から3つほどお話しさせていただこうと思います。1つは在り方、もう1つは認知度の問題、それからもう1つは人材育成という観点から考えてみました。まず、在り方という点で、共同利用を中心とした拠点と共同研究を中心とした拠点、これの整理というのを一つ考えてみる必要があるのではないかと思います。といいますのが、活動や評価基準、経費の使い方、これが異なるということと、共同利用・共同研究拠点の機能・役割の明確化の一環として、共同利用を中心とした拠点と共同研究、この中心とした拠点を分けたらどうかというのが第1点でございます。その理由の一つとして、評価基準としては評価の実績ということに、要するに数ですよね。これに引っ張られていて、割と質についてはなかなか評価しにくくなっているのではないかというふうに思います。単純に共同利用実績ということであれば数は進みますし、共同研究の場合はなかなか数という意味では短期的には結果が出にくい観点もございます。これらを比較するということもやはり妥当性についても検討する必要があるのではないかなと思います。
 もう1つ、共同研究ということに関して見ますと、予算は毎年のことで繰越しが執行できにくいと。こういう現状もあるように聞いておりますので、共同研究費の流動性を高める必要があるのではないかと。例えば長期の共同研究のできるような基金化をするという方法も一つの方法ではないかというふうに思っております。随分緩和されたともお聞きしておりますが、これらを踏まえて共同利用型と、それから共同研究型、これらの分離について必要かどうかの検討ということも少し考えていただければと思います。
 2番目として、認知度ということについて、大学共同利用の各機関のその存在そのものが、特定の分野のコミュニティでは広まっているものの、少し広い分野で異なると研究者の認知度は必ずしも高くないということも議論になっていると思います。そこで、例えば拠点等がいろいろ公募したりすることを集約化して、ファンディングエージェンシーと連携して公募情報を一気に発信して注目を浴びて、より広く認知してもらうような方法も必要ではないかなというふうに思いました。
 それから、3つ目の人材育成ということにつきましては、先ほど来出ている研究者の育成はもとより、共同利用・共同研究拠点のシステムやネットワークを動かす、こういう人材の確保・育成というのも重要ではないかというふうに思っています。特に私どもはネットワーク拠点でございますので、各現場での意見、決定のやり方、それぞれが異なります。非常に決定がなかなか煩雑になってまいりますので、マネジメント人材の流動性とか、そういうことも含めてやはり人材の育成とマネジメント、こういうことも是非考慮いただければというふうに思います。以上になります。
 
【観山部会長】  新たな観点ありがとうございます。それでは、原田委員、お願いいたします。
 
【原田委員】  ありがとうございます。私からも共同利用・共同研究拠点に期待したいこととして人材育成に関わるところをお伝えしたいと思います。私自身が所属しておりますのは東京大学の大気海洋研究所というところで、単独型の共同利用・共同研究拠点であります。ここにも多くの特色あるユニークな最先端の加速器ですとか非常に高度な分析装置がありまして、そういったものを使いに来られる全国の皆さんにマシンタイム等を提供しているところでありますが、そういった最先端の研究成果を生み出す装置を支える技術的なポストの方々の支援と待遇面というところが必ずしもしっかりと待遇できていない。給与面も、それからポジション的にも、テンポラルなポジションであったりもするわけなので。技術系の職員たちの給与、それから待遇面の向上といった視点の支援を充実させる必要があるのではないかと思います。待遇面等の向上によって、学位を取得した後の人たちのキャリアパスの多様化という点にも貢献していくと思います。
 それから2点目ですが、博士後期課程の学生の手厚い支援についてはよく言われています。ただ、後期の学生だけではなく博士課程全体で前期と後期セットでパッケージとして共同利用・共同研究拠点が持つ魅力を打ち出したようなプログラムを提供していくべきではないかと思います。私自身、今年12月から出発する南極地域観測隊を今取りまとめている最中でありますが、そこに来たいという学生は修士や学部4年生もその極域に魅力を感じて手を挙げる学生が結構いらっしゃるのですね。そういった学生たちに、修士で卒業していくことのないように、博士後期課程までトータルとしてこういうプログラムで学ぶことができますよというような内容を示すようにしております。ですので、共同利用・共同研究拠点は、皆さんがお持ちのユニークな非常に特色あるテーマを生かしながら、前期課程と後期課程をセットにパッケージで若者を引き付けるようなプログラム作りをしっかりと示していただけたらなというふうに思うのです。そうすることで若者人材がより学術面、こういったアカデミアに進みたいということにつながっていくのではないかと思います。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。非常に魅力あるパッケージを提示して、修士、ドクターまで行けるような研究面でも環境面でも非常によいパッケージが一緒にないとなかなか学生はうまくいかないかとは思いますが、非常に重要な視点をどうもありがとうございました。それでは、松岡委員、よろしくお願いします。
 
【松岡委員】  ありがとうございます。先ほど観山部会長がおっしゃったグローバル化の問題について少し考えたことをお話しさせていただけたらと思います。日本でも一部のとても先鋭的な機関ではグローバル化が進んでいて、その組織に普通に海外の方がいらっしゃるようになっているとは思いますが、日本の非常に一般的な研究教育機関ではまだそういう状態に至っていないと思います。
 今日本で私たちが行っている研究自体は非常に国際化が進んでいて、私たちは海外出張にたくさん行っていますし、学生も国際学会に頻繁に出る。又は国際共同研究をしている、日本で国際会議をするという状況にあります。そういう研究の国際化自体は非常に進んでいるのだけれども、組織としての運用とか、教育の場であるとか、そういうところのグローバル化が進んでいないように感じています。これは先ほどから議論されている、私たちが抱えている研究以外の仕事がなかなか減らない、そういう仕事に時間を取られていることと、深い根のところでは少し共通したものがあるのではないかと感じております。教育研究機関の組織運営であるとか、その組織の方針を決める場であるとか、そういうところが、言語の問題もありますが、日本人だけでやる昔のままの形になっている。そういうところが日本の組織がグローバル化していかないことにもつながっているのではないかと思います。
 先ほど外国の研究者の方が日本では研究費が少ないことが理由でなかなか来ていただけないというお話もありましたが、研究組織の方針の決定であるとか、組織の大きな力を使った大規模な研究であるとか、そのようなリーダーシップを取るところに外国から来た方が加わることにはなかなかつながっていないと思います。
 ではどういうことをすればよいかということになりますと、私もこういうことをしましょうと申し上げられるアイデアがなくて申し訳ないのですが、恐らくかなり発想の転換をしないといけない。かなり思い切った改革をしていく。そういうことを考えないとこれより先のより深い意味でのグローバル化は進まないように思います。以上です。
 
【観山部会長】  非常に私個人としては同感するところでございます。人事だとか組織だとか、そういう部分にやはり日本人しか入ってこられないとか、よく言われるのは日本の研究所とか大学の人事というのはどういうふうに決まっているのかというのが外から全然見えないというのをよく聞かれますよね。なので、そこら辺もやはりよりオープンにしていくということが非常に重要で、所長とかそういう人たちも入れるような状況にすれば大分変わると思いますが。どうもありがとうございました。中野委員、お願いします。
 
【中野委員】  ネットワーク形成について少し意見を述べさせていただきたいと思います。今回の学際ハブでも明らかなように、共同利用・共同研究拠点を中心としてネットワークを組んでいくことに対する熱意と取組は非常に多いというのが今回も分かっています。一方で、現在学際ハブあるいはネットワーク型の拠点というのは全て時限付きで、そのネットワークを組んだとしても、継続的な人事や予算の最適化を行うことはできません。諸外国にはそれが可能な例が幾つもあります。例えば先ほど例として挙がったMax Planck Institute(以下、MPI)にしても、個別の研究所は各大学にあってそれがそのMPIにも含まれているという二重の構造を持っており、MPIの研究所を大学の中に持つということが大学にとっても非常に大きなインセンティブとなり、MPIもその大学と連携することで人材育成や研究の面で大きなメリットを得ています。現在、異分野融合やネットワークの形成は非常に注目されている時期なので、制度面で更に一歩進んで、プロジェクトベースではなく、より永続的な組織としてネットワーク形成ができるようになれば、そのネットワークの中で国際共同利用・共同研究拠点や大学共同利用機関がより発展していくのではないかと思います。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。本来、最初に言いましたが機構とか法人にはそういう機能をもっともっと発揮していただきたい、それから、今アライアンスという、大学共同利用機関に限られますが、そういう部分もできましたので、そういう点はもう是非頑張っていただきたいと思います。非常に同感するところがたくさんあります。あと井上委員、お手は挙がっていないのですが。
 
【井上委員】  私は大学に近いので、先ほどの人材育成のことで大学、博士前期課程・後期課程のパッケージとしての魅力的なものというのを言ったときに、大学にいると感じるのは、もはや大学院生というのは多分大学とも取り合いになっているのではないかと思うのです。大学の中でも魅力的なパッケージ、それこそ修士から給料を払うような仕組みというのはどんどん取り込んでいて、それと競合してただ金額を上げていく競争になってしまったら何も面白くないわけですが、やはりその共同利用機関には最先端の研究ができる場所を常に提供していただきたくて、大学で学んで共同利用機関で最先端の研究ができるというようなところがやはり本来、本来というと少し言い過ぎですが、そういうのが大学としては受け入れやすい。そして教育プログラムを組みやすい。かといって実際には大学だけで教育するわけにもいかないということでしたら、大学にも魅力的なパッケージはいっぱい作っているものがあるので、そういうパッケージと協力する形で魅力的なパッケージというのを編み出してほしいなと思います。共同利用機関だけで何か新しいパッケージを作るのではなくて、大学と連携していただきたいなというふうに思います。
 あと、観山部会長の最初の大きな話に少しでも食い込みたくていろいろ考えていたのですが、グローバル化というものについて勝手に思っていることがありまして、グローバル化というのは全然もちろん構わないですし、機関長が別に外国人であっても、それが日本の研究力向上につながっていれば全然構わないのですが、実際には中規模・小規模なところというのは、本当の意味で競争力がないとそもそも外国人も来ないかと思いますが、競争力があるものがグローバルになって世界で勝ち残っていくと。そういうことをちゃんと意識して、単に外国人を入れたら評価が高いというのでは何か世界と同じになるだけで何にも個性はなくて埋没するだけではないかというふうに日頃感じているので、各小規模・中規模の拠点の競争力を強化するというところをすごく意識してほしいと。そんな話の延長線上には多分、中規模施設という話を長谷部先生もおっしゃっていましたが、そういうところはやはり大事だと思っていまして、中規模施設というのを最先端に維持していくというところが大事かと思います。
 実際に私もその中規模施設で頑張っている小規模なグループに関わっているわけですが、そういうときに困るのは、例えば新学術とか学術変革等というのが非常に成果を上げていて、新しい領域を作るのに非常に活躍しているというのはよく分かるのですが、何を言いたかったかというと、そういう研究をしていく上で今でいう基金化というのですか、多年度にわたる経費というのが使えるようになってきたところ。非常に小さな科研費ですが。そういうのは非常に魅力的に感じていまして、中規模施設というのは独自の技術を使って開発しながら作るというところが多くて、補正予算でいろいろ頑張っていただいて、それは付けていただければとても幸せなのだけれども、1年で収まらないと途端にどうしたらよいのかというところで困ってしまうというところがあります。その基金化、予算の多年度化というのは簡単ではないのでしょうけれども、来年度どうなるか、再来年度どうなるかというのがある程度想定できるような運用という。それが多分かつては運営費としてちゃんと手当されていたものが減ってきて競争的資金ばかりになってきたということで、来年は分かっても再来年分からないという状況で、2年計画の調達といいますか設備開発というのはできないというところが非常に難しいかと思います。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございました。非常に重要な視点です。資金の計画性ですよね。その辺はやはり研究者としては1年で終わるものというのはほとんどないので。やはりある意味で中長期の計画が立てられるような計画ができればと思いますよね。どうもありがとうございました。
 以上で今日御出席の方、それからお手紙を残された方の御意見を伺いましたが、更に今までの他の方の御意見を聞いて御発言がある方は手を挙げていただければと思いますが。いろいろな御意見どうもありがとうございました。人材育成だとか学際研究ネットワーク、それから基金の多年度化とか、グローバル化に関してもいろいろな御意見がありましたし、それから設備、これは様々な機関で大中小といろいろなテーマがあって、今我々は中規模設備に関して随分調査もし、概算要求にもつながりましたが、森委員の御意見では老朽化の問題も非常に厳しいですし設備移設に伴う技術系の職員の問題も出てきました。それから、共同利用・共同研究拠点のいろいろな分類に関しても、今は確かに数で割と抑えられている面があって、なかなかその質といいますか内容まで取り組んで全体の状況を見通せるという感じがないことも御指摘いただきましたし、今の資金計画の中長期化みたいなものも非常に重要なテーマでございました。どうもありがとうございました。
 それでは、次に今の御議論に関係するところですが、次期検証の実施方法について、事務局より説明をお願いしたいと思います。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局でございます。それでは、資料1-2に沿って御説明させていただきます。資料1-2、23ページを御覧ください。先ほど御説明させていただきました平成30年の研究環境基盤部会の審議のまとめにおきまして、大学共同利用機関について学術研究の動向に対応し、大学における学術研究の発展に寄与しているか等を定期的に検証することとされました。
 資料下段に記載しておりますが、大学共同利用機関として備えるべき要件といたしまして、運営面、中核拠点性、国際性、研究資源、新分野の創出、人材育成、社会との関わり。この7つの観点が告示により定められており、これに即し適切な指標を設定し、検証を行うこととされております。
 24ページが前回令和2年度に実施した検証の概要になります。趣旨としては、先ほど申し上げたように大学共同利用機関が大学の学術研究の発展、我が国の研究力向上に寄与しているかという観点から定期的に検証すること。また、その結果に基づき、再編・統合等を含め、機関の今後の研究体制強化の在り方を検討するものとされております。検証の基準は、先ほど御説明した要件に対応する主な観点と、これらの観点ごとの指標例をこの研究環境基盤部会で提示し、これを基本としつつ、各機関の判断で独自の指標、ベンチマークを設定することも可能としております。
 検証時期については、検証結果を次期中期目標期間に反映するため、中期目標期間の最後の年度の前々年度終了後に実施することとし、中目期間に合わせて6年ごとに実施することとされております。前回は令和2年3月に検証実施のためのガイドラインを策定いたしまして、その後各機関における自己検証を実施し、各機関から8月末までに自己検証の結果を提出いただいております。また、9月から研究環境基盤部会及びその下に設置した作業部会におきまして外部検証を実施しております。外部検証については、最初の2か月で外部専門家による意見書作成、また、それを参考とした委員による書面検証を実施しておりまして、その後11月から2か月弱で部会での審議を実施し、検証結果を決定し、翌年1月に公表といったスケジュールになっておりました。
 25ページは、先ほど説明した前回の検証結果の概括ですので、その次に進んでいただきまして、26ページを御覧ください。本日御意見いただきたい事項として2点記載させていただいております。検証の具体的な実施方法につきましては、来年ガイドラインを策定する段階で御検討いただく予定ですが、それに先立ちまして次期検証のスケジュールと各機関における自己検証の様式について御意見いただければと思います。
 まず、スケジュールですが、27ページを御覧ください。検証結果を令和10年度から開始する第5期中期目標等に反映させるためには、令和8年度中に検証結果を取りまとめていただくことが必要となります。前回実施した際は、中期目標期間4年目終了後に各機関で自己検証を開始するため、その後の審議会における外部検証の期間が約4か月しか確保できず、各機関の検証結果を踏まえた大学共同利用機関の在り方の検討については十分な検討時間を確保することができなかった状況が見られております。そのため、次期の検証では各機関の自己検証の開始の時期を令和7年度後半等に前倒しし、その期間も4か月から半年程度まで延長し、各機関の検証の時間を確保したいと考えております。そして、令和8年度の夏前からは基盤部会における外部検証を開始し、検証結果を踏まえた議論の時間を確保することが考えられると思っております。ただし、前回の検証でも同じでしたが、一番下に記載しております法人評価の時期と重なるという事情がございまして、各機関の負担を踏まえて実施方法を検討する必要があると考えております。このような点も踏まえまして、次期検証のスケジュールについて御意見を頂ければと思っております。
 もう一点、自己検証の様式については28ページを御覧ください。前回検証時に、今後の検証実施の在り方に関する課題といたしまして、自らの強み、特色と課題を可視化し、研究者コミュニティのみならず社会からの理解を得るための指標の設定や結果の提示。また、関連分野の国際的な研究機関とのベンチマークが挙げられております。前回の検証時の様式を参考に掲載しておりますが、基本的に文章中心で、その中でデータを使いながら、30ページ以内を目安として作成していただいておりました。
 一方、29ページ以降につきましては、こちらは自然科学研究機構から提供いただいた資料になりますが、各機関の現状成果について、グラフ等で分かりやすく可視化された資料を、検証とは別の資料として作成されておりまして、例えば次期検証ではこういった資料をベースに作成してもらうこともあるのではないかと考えております。こちらも踏まえまして自己検証の様式についても御意見を頂ければと思います。
 なお、御参考ですが、外部検証の様式については40ページを御覧ください。機関ごとに総合所見と観点ごとに優れた点や課題、改善点について、だいたい全体として4ページ程度でまとめていただいておりました。前回の検証の様式については参考資料5にあります前回のガイドラインにも掲載しておりますので、適宜御参考いただければと思います。
 また、次期検証の検討を行うに当たりまして、前回検証の改善点につきまして大学共同利用機関協議会において、全機関・機構本部の意見をまとめていただいておりますので御紹介させていただきます。資料1-3を御覧ください。最初の41ページから53ページの部分につきましては、ガイドラインで規定する主な観点や指標例等に関する御意見のため、来年のガイドライン検討の際に御考慮いただきたい点になっております。
 54ページからが本日御検討いただきたい事項に関するものでして、自己検証の様式に関する意見となっております。また、67ページ以降のその他の意見の中にも関連の意見がございますので、まとめて御紹介させていただきます。自己検証の様式に関する意見といたしましては、グラフや図により可視化することは賛成だが、その際の分量や統一的なグラフや図の作成を求めるのではなく、機関の特性に応じたデータを用いることが望ましい。枠線の撤去や全機関統一のルールと裁量部分の明確化をしてほしい。数値だけでは測れない取組の記載ができるようにしてほしい。グラフや図は適宜使用したいが、文章による説明との併用を想定しており、グラフや図は文章による説明の代替にはなり得ないと考えている。グラフや図により実績等を可視化する場合も、指標設定の根拠や示された数値の意味するところを十分に説明できる構成にしてほしいとの御意見がございました。
 続きまして60ページからがスケジュールに関する意見となっております。こちらにつきましては、法人評価の各書類の提出期限が令和8年6月末までに集中するため、業務負担の観点から自己検証結果の提出期限は前回と同様の8月末としてほしい。法人評価の時期をできるだけずらしてほしい。締切りをもっと遅くしてほしい。法人評価のデータを活用できるタイミングにしてほしいといった御意見が複数の機関からございました。また、スケジュールを早めることにより令和7年度の成果が適切に把握できなくなるのではないかといった懸念も示した機関もございました。また、加えましてガイドラインを前回より早く策定し、自己検証の期間を確保してほしいとの意見も複数見られました。こちらの各機関からの御意見も踏まえまして、次期検証のスケジュールと自己検証様式に関する御意見を頂戴できればと考えております。事務局からは以上になります。よろしくお願いします。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。ただ今の次期の検証の在り方、スケジュールだとか、各期間の自己検証の様式等に関して御意見がありましたらどうぞ手を挙げていただければと思います。長谷部委員、次に中野委員の順にお願いいたします。
 
【長谷部委員】  スケジュールについては、これは各機関の意見を聞いてというのがよろしいかと思います。あと、共同利用・共同研究拠点の審査をしているときに思ったのですが、私はこの共同利用・共同研究拠点には加わりませんが、各拠点の方々に評価基準ですとか評価の観点とか、あと審査員が評価するときの書式ですね。そういうものを公開していただけると審査するときにすごく評価がしやすくなると思うので、そちらも検討していただけると、被評価者、評価者の両方にメリットがあるかと思いました。
 後は、内容に関わってしまうかもしれないのですが、前回の検証の後でこの委員会などで問題になった点についても検証に新たに加えられたらよいかなと思ったのですが。例えば先ほど観山部会長がおっしゃっていたアライアンスにおける効果だとか、あと学際ハブでどういう効果があったかとか、あるいはこの部会でしばしば問題になっている技術職員の育成だとか待遇の問題、あと中規模設備ですね。そういうものについても新たに検証内容に加えたらよいのではないかなと思いました。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。それでは、中野委員、お願いします。
 
【中野委員】  私も共同利用・共同研究拠点の方でいろいろ評価される側で経験を積んできた者として意見を述べさせていただきます。定量的な指標がたくさんあると取りまとめに大変です。更に他の評価と時期が重なり、かつ指標が異なる場合には、現場の負担が極めて大きくなります。定量的な指標というのはもう必要最小限にするのがよいのではないかなと思います。
 この点について、以下の二つの理由を挙げたいと思います。第一に、定量的指標は数値として示されていても、その妥当性が判断しにくい。今回の参考資料においても、数値の右肩上がりをもって成果を示す表現がたくさんあります。これは、単に数値の絶対値のみでは、本当によいのか悪いのか分からないような指標が多いことに起因していると思います。そのような指標は最小限にした方がよいのではないかと思います。
 他方、定量的な指標だけではなく、定性的な指標を適切に評価できる評価体制の構築が望ましいのではないかと思います。具体的には、異分野間の協力体制の構築状況や新たな研究領域の萌芽に向けた状況、研究者コミュニティの形成等というのは、定量的指標よりも定性的な記述が適していると思います。また、大学共同利用機関における大型計画の実施や着手状況、また、その進捗状況、さらには大規模設備のみならず中規模設備の整備状況についても、定性的な記述による評価がより適切な場合があるのではないかと思います。具体例として、計画の各段階における達成度や予期せぬ課題、例えば老朽化で故障があったとか、そういう対応の状況、設備状況の戦略性とか、その活用状況等、単純な数字だけでは十分に表現できないと思います。評価というのはアピールする機会でもあることから、これらの要素をきっちり書き込めるようにするのがよいのではないかと思います。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。関沢委員、お願いします。
 
【関沢委員】  検証のスケジュールにつきまして、少し早過ぎるという意見が多数出ているかと思うのですが、やはり現場の負担を考えてスケジュールについては調整をした方がよいというふうに思いました。
 一方、前回できなかった今後の研究体制強化の在り方の検討ということが、どこら辺を目指しているのか。それでこれだけの検討の期間が必要なのかどうかというところをもう一度確認することが必要かなというふうに少し思いました。
 あともう一つは、長谷部委員もおっしゃいましたが、どういう評価の基準で評価をするのか。基準というのは相手方にも公表して、特に自分のところの強みなどを記述する、そういう定性的にやる場合に、それがどういうふうに評価に反映されるのか。数字より難しいところなのですが、参考程度なのか、それともそこをもっと踏み込んでどういう基準で評価していくのか、具体的な可能性としては中野委員が今おっしゃいましたが、そういったところに観点を当てるのか。評価の基準と観点について明確にして検証を行うのがよいと思っております。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。勝委員、お願いします。
 
【勝委員】  先ほども申し上げたのですが、今の資料を見ますとそれぞれの機関の検証というふうに読めたのですが、やはり法人としての検証もすべきではないかなと。これはもちろん財務的なところもありますし、あるいは定性的な部分で広報であるとか、あるいは新たな知であるとか、そういったところもしていくべきではないかなというのが一点と、それから、先ほど来出ていますようにかなり負担が大きくなってしまわないように、やはり法人としてのものと、それから今回の検証等が重複しないように明確にしておく必要があるのではないかなというふうに思います。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。井野瀬委員、お願いします。
 
【井野瀬委員】  私も検証の実施の在り方のところに書いてあります「研究者コミュニティのみならず社会からの理解を得るための指標の設定」という部分が気になりました。今回データ使用の事例として、人間文化研究機構以外のデータ例が引き合いに出されていたと思いますが、例として言語化、文言化するとそれが実践すべき事例と思われてしまいます。そこにそれぞれの機構の特性をどう絡めるかはそれぞれの機構に任せていいように思います。とりわけ人間文化研究機構としての統一データ指標のようなものは出しづらいと思いますので、社会からの理解を得るためという目的を考えると、機構の発想を縛るものにならないかと危惧しました。定量的指標ではなくて定性的な部分に重要なものがあるという御意見が先ほどもありましたが、私も同意見です。指標は、各共同利用機関が何を問題とし、その問題意識の下でどのように今期の活動を展開したのかという「大きな物語」が見えるようなものであるべきではないかと思います。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。皆さんから重要な視点をいろいろと伺いました。事務局の方で今の意見を踏まえて今後の検証の在り方について参考にしてもらえればと思います。一つ私が思ったのは、日本では研究所、大学共同利用機関とか法人の検証というのは行うわけなのですが、最近はリーダーシップの発揮というのを組織に対して求められています。また、ガバナンスとかが求められるのですが、海外の研究所での検証とか評価というときには必ず最初に来るのがリーダーの評価ですよね。つまり、所長がどのように、日本でいうと6年間ですが、やってきたのかという部分は重要な視点を置かれております。共同利用機関、共同利用・共同研究拠点様々に特色があるので、所長のリーダーシップだけではなくて、これは運営委員会だとかそういうものがあって、日本が作り上げた一つのシステムですが、やはりリーダーが適切に運営をしてきたのか、それからいろいろな意見を聞いてコミュニティのために活躍してきたのかというのは、リーダーが大変重要ではないかと思います。その視点をやはり今後は取り入れていくということが結構重要なことではないかと思いますね。日本は割と研究所全体を捉えてその成果とか全体を見るような傾向なのですが、私から見るところ、研究所はこのリーダーがいるからこそこれだけ頑張ってきているとか、この人では何もなくうまく進んできたが、どれだけ発展したのかというような感じもあって、そういう側面も今後の検証では必要ではないかなと思いました。
 それでは、先ほども言いましたように、次回の会議において整理して、第13期の研究環境基盤部会の審議にも引き続きたいと思います。それでは、議題の2番目として、「令和7年度概算要求の状況について」に移りたいと思います。事務局より第7年度概算要求の状況と、関連した令和6年度の学際ハブ事業の採択状況について報告をお願いいたします。
 
【熊谷大学研究基盤整備課課長補佐】  それでは、本部会に関する令和7年度の概算要求の状況について御報告をさせていただきます。文部科学省におきましては、資料の78ページに記載のとおり教育関係予算といたしまして4兆3883億円、資料の80ページに記載のとおり科学技術関係予算といたしまして1兆1820億円、この他金額を示さずに行う事項要求も含めまして8月の末に財務省に対し概算要求を行っております。
 そのうち本部会に関連する要求内容といたしましては72ページを御覧いただきたいのですが、大学共同利用機関法人を含めた国立大学法人等に関する基盤的経費である国立大学法人運営費交付金等につきまして、骨太の方針2024において運営費交付金や私学助成等の基盤的経費を十分に確保するとされたことを踏まえ、令和7年度概算要求については、運営費交付金や施設整備費補助金等を十分に確保すべく、国際頭脳循環の実現や研究力強化等に向けた教育研究組織改革、研究基盤強化に向けた中規模研究設備等の基盤的設備の整備への重点支援等を含め、国立大学法人運営費交付金等として対前年度370億円増となる1兆1205億円を計上しております。
 その中でも特に資料の中ほどに記載しているとおり、我が国全体の研究力強化を実現するため、国の整備方針に基づき大学の枠を超えた組織間連携による我が国の研究基盤の強化に資する汎用性の高い中規模研究設備への支援として、新規に127億円、共同利用・共同研究拠点の活動等への支援として58億円、人類未踏の研究課題に挑み、世界の学術フロンティアを先導するとともに、最先端の学術研究基盤の整備を推進するために238億円等を要求しております。人件費増や昨今の物価上昇による各国立大学法人等の教育研究活動への影響が生じることがないよう対前年度370億円増となる要求をいたしました。国立大学法人等が引き続き我が国の人材育成、学術研究の中核として安定的・継続的に教育研究活動を実施できるよう運営費交付金の確保に全力で取り組んでまいります。
 73ページを御覧ください。国立大学の共同利用・共同研究拠点に対しましては、資料右下に記載のとおり、本部会の下に位置付けられている共同利用・共同研究拠点作業部会において実施している令和7年度からの新規認定や第4期中期目標期間における中間評価結果を拠点に対する認定経費に反映させるべく、それらの状況を踏まえまして対前年度3億円増の58億円を要求しています。
 74ページを御覧ください。世界の学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトの推進については、先ほど御紹介いたしました国立大学運営費交付金で要求を行っている238億円を含め、学術研究の大型プロジェクトを着実に推進していくための経費を併せ447億円を要求しております。ハイパーカミオカンデ計画につきましては、本部会の下に位置付けられている大型プロジェクトの作業部会において本年度進捗確認を実施しておりますが、2027年度からの運転開始に向けて、地下空洞の掘削を終え、令和7年度は大型水槽建設を行う予定となっており、それらに必要な経費を含め、学術研究の大型プロジェクト全体として対前年度107億円増の要求を行っております。
 76ページを御覧ください。我が国の研究力の底上げを図るためには、本部会において、御議論を頂いている共同利用・共同研究体制の強化・充実を図ることが重要であり、そのため、令和5年度より共同利用・共同研究システム形成事業を立ち上げております。そのうち、学際領域展開ハブ形成プログラムについては、大学共同利用機関や国公私立大学の共同利用・共同研究拠点がハブとなって、組織や分野の枠を超えた連携により新しい学際研究領域のネットワーク形成、開拓、促進を図るため、それらの共同研究費、共同研究マネジメント経費等を支援しております。令和7年度概算要求においては、継続事業の実施分と2件の新規採択を行うべく、対前年度1億円増の6億円の要求を行っております。特色ある共同利用・共同研究拠点支援プログラムについては、公私立大学の共同利用・共同研究拠点を対象に、拠点機能の更なる強化を図るため、共同研究者の旅費や運営委員会経費等を支援しております。令和7年度概算要求については、継続事業の実施分と3件の機能強化支援、さらには1拠点当たり上限4000万円の設備強化支援を3件新規に採択すべく、対前年度約1億円増の3億1700万円を要求しております。
 最後に、令和7年度からの新規プログラムとして、大学共同利用機関や国公私立大学の共同利用・共同研究拠点の中核的な機能であり世界最先端の研究成果を生み出す源泉となる中規模研究設備のうち、新規技術開発要素が含まれる最先端の中規模研究設備の整備・更新を支援すべく、1件当たり上限10億円の設備整備、更新費用と開発・管理費用、1件当たり1500万円の支援を2件新規に採択すべく20.3億円を要求しております。
 なお、前回の本部会において御報告をいたしました中規模研究設備の調査結果を踏まえた令和7年度の概算要求の内容について、今一度御説明をさせていただきます。中規模研究設備については、昨年6月本部会で取りまとめられた中規模研究設備の整備等に関する論点整理において、最先端の研究設備と汎用性の高い研究設備があり、前者は当該分野の全国の研究者、後者は大学の研究基盤として、主に学内の研究者の共同利用のニーズが高いとされておりました。
 また、同論点整理においては、2ポツの検討の方向性に記載されておりますとおり、今後の検討に向けて我が国における整備状況や国際的な動向、装置開発の現状等の調査を実施することとされており、こうした状況を踏まえ、現行設備整備に関する予算の枠組みの中で全国的な観点からの選定等、中規模研究設備の整備の仕組みを検討することとされておりました。
 77ページを御覧ください。このため、前回本部会におきまして御報告をさせていただいたとおり、昨年度末当課において実施した調査において、1億円~100億円を中規模設備と定義したとき、各機関においてどの規模の設備がどの程度整備されているのかを調査を実施させていただきました。その際に、左上の円グラフですが、1億円~10億円の規模の設備を整備しているとの回答が9割を占めているといった状況や、右下の棒グラフに関して、低額の設備については年間の運用費が数百万円~1000万円程度であったのに対し、10億円以上の高額設備については数千万円~数億円の年間維持費がかかっているといった状況を確認いたしました。
 76ページに戻っていただき、これらの状況を確認の上、御議論いただいた中規模研究設備のうち最先端の研究設備については、先ほど御説明をいたしました本共同利用・共同研究システム形成事業において、一番下、「③大学の枠を超えた研究基盤設備強化・充実プログラム」として20.3億円を要求しているところです。現在財務省と折衝を行っておりますが、お認めを頂いた場合には、戦略的・計画的な整備方針と選定の方針を皆様の御意見を踏まえまして御議論いただいた上で公募を実施させていただく予定です。
 72ページに戻っていただき、一方で汎用性の高い研究設備に関しては、大学等の共通基盤として大学の枠を超えた組織間の連携による我が国の研究基盤の強化に資するものであり、特に国立大学、大学共同利用機関の汎用性の高い先端設備は、全国的な教育研究の機会均等の確保や地域の活性化への貢献等を果たし、我が国の研究環境の基盤構築・維持に不可欠な存在であること。これらの汎用性の高い中規模研究設備の整備を支援することにより、組織の枠を超えた共同利用・共同研究や、大学間連携による全国や地域を見据えた研究基盤の強化・充実を図り、我が国全体の研究力強化や人材育成に貢献するため、本部会の下に位置付けられた国立大学運営費交付金作業部会において御議論いただいた上で、国立大学運営費交付金において127億円を要求しております。
 令和7年度概算要求におきましては、まずは現行の予算の枠組みの中で支援枠の確保を目指し、中規模研究設備の整備を通じた我が国の研究力の向上を図ってまいりたいと考えております。また、論点整理において長期的な検討課題とされている事項については、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  それでは、続きまして予算事業に関連いたしまして学際領域展開ハブ形成プログラムの令和6年度審議採択について御報告させていただきます。資料2-2を御覧ください。令和6年度につきましては2件の新規採択を行う予定となっておりまして、3月から5月にかけて公募を実施し、7月から8月に審査、その後採択期間を決定し、10月から事業開始となっております。
 令和6年度につきましては、83ページにあるように28件の申請件数の中から名古屋大学宇宙地球環境研究所の宇宙地球環境科学と歴史学・考古学を結ぶ超学際ネットワーク形成と、大阪大学蛋白質研究所の多プローブ×多対象×多階層のマルチ³構造科学拠点形成の2件が採択されております。
 学際ハブ事業につきましては、先ほど御説明したように令和7年度概算要求におきましても引き続き2件の新規採択を行うための経費を要求しております。今後は事業推進委員会におきまして採択機関のフォローアップについても検討いただくことを予定しております。説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。本当に今後も概算要求はいろいろな財政当局との折衝があると思いますが、是非頑張っていただければと思いますので、よろしくお願いします。今の説明に関して何か御質問や御意見がありましたら挙手をお願いしたいところでございますが。中野委員、お願いします。
 
【中野委員】  非常に簡単な質問なのですが、この予算が要求どおり認められた場合、学際ハブの新規採択は何件になる予定なのでしょうか。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  令和7年度予算要求で2件の新規採択を要求してございます。現在継続分といたしまして5年度、6年度で10件採択されておりますので、7年度で2件追加されますと合計で12件となります。
 
【中野委員】  非常に人気が高いので、何とかもう少し増額というのを次年度以降是非よろしくお願いいたします。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  ありがとうございます。頑張らせていただきます。
 
【観山部会長】  私も同感です。こういう公募で、先ほども28件中2件ですので、なかなか厳しいことと、それから関沢委員がおっしゃったとおり、理系が主導して人文系の研究機関とかと一緒になってやるということはあるのですが、やはりこれは非常に多様な形で進めるのがよいと思いますので、是非よい提案を受けたいところですが、文科省ももう少し件数を増やすような形で。やはり新しい方向に動きたいと皆思っているのですよね。今までのやはり共同利用・共同研究拠点とか大学共同利用機関もいっぱいいっぱいなところもあるので、やはりある種の経費が確保されないと、なおかつ今回10年間の計画、これは非常によい視点だと思いますので、こういう長期の経費で割と安定的に新しい分野を作っていくというのをインキュベートするというのは非常によい計画なので、是非財務当局にも御理解いただいて、競争率とかそういう面も紹介いただきながら頑張っていただければと思います。これで本日の議事は以上となります。事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局でございます。本日は御議論いただきましてありがとうございます。本基盤部会の次回の日程につきましては、現在委員の皆様と調整中のため、後日事務局より委員の皆様に御連絡させていただきたいと思います。事務局からは以上になります。
 
【観山部会長】  それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。活発な御意見どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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