研究環境基盤部会(第117回) 議事録

1.日時

令和6年1月29日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 各作業部会からの報告
  2. 中規模研究設備の整備について
  3. その他

4.出席者

委員

観山正見部会長、勝悦子委員、井上邦雄委員、井野瀬久美惠委員、関沢まゆみ委員、永田敬委員、中野貴志委員、長谷部光泰委員、森初果委員

文部科学省

奥野大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、柳澤大学研究基盤整備課長、柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官、山本大学研究基盤整備課長補佐、高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官、内野研究環境課課長補佐、熊谷基礎・基盤研究課加速器科学専門官、その他関係者

5.議事録

【観山部会長】  ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会(第117回)を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議は、文部科学省のユーチューブチャンネルでの配信という形で、公開での開催としておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、それでは、事務局より、本日の委員の出欠、配付資料の確認をお願いいたします。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局でございます。
 それでは、まず委員の先生方の御出席状況について御説明します。本日は、原田委員、治部委員、松岡委員、吉田委員、渡辺委員が御欠席となっております。
 また、前回の会議以降に事務局の出席者に異動がありましたので、御紹介させていただきます。
 令和5年9月1日付で大学研究基盤整備課長に着任した柳澤でございます。
 本日の資料につきましては、議事次第に記載のとおり、資料1から6、参考資料1から3となります。事前に各委員にお送りしておりますが、不備等ございましたら、随時チャット機能などで事務局までお知らせください。
 また、音声等に不都合などがありました場合も、随時事務局までチャット機能などでお知らせいただければと思います。
 事務局からは以上になります。
 
【観山部会長】  それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 議題(1)「各作業部会からの報告について」になります。
 本部会の下には、参考資料1にある作業部会が設置されておりますが、作業部会において取りまとめられたものがありますので、本日報告いただきたいと思います。
 それでは、まず、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会からの報告事項について、事務局より説明をお願いいたします。
 
【高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官】  担当専門官の高橋と申します。それでは、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会における審議状況について、資料1-1に基づきまして報告をさせていただきます。
 1ページ目、今画面に投映している部分です。こちら、作業部会の方で、今期、つまり今年度に入ってからの動きということで、ダイジェストで1枚にまとめております。大きく2部構成になっておりまして、上段が大規模フロンティア促進事業の進捗管理についてということです。それから、下段が「ロードマップ2023」の策定についてということで、まず初めに上のフロンティア事業の進捗管理についてでございます。推進中のプロジェクトに関しては、10年間の年次計画を策定してPDCAサイクルを回して進めておりますが、今年度、あらかじめ設定されていた所要の評価を実施したというものでございます。1、2、3と番号を振っておりますけれども、1ポツにありますのが事業移行評価ということで、対象計画としましては、「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」通称、古典籍事業と呼んでいるものでございますけれども、こちらは10年間の年次計画が終了いたしますので、事業移行評価というものを実施しまして、令和6年度から後継計画に移行することを決定してございます。それから、2ポツ、進捗評価とありますのが、対象といたしまして、「高輝度大型ハドロン衝突型加速器による素粒子実験」、通称、ハイルミと呼んでいますけれども、こちらはもともと定めてあった中間的評価の年度が到来いたしましたので、進捗評価を実施したというものでございます。注記に書いておりますけれども、コロナの関係で全体計画が少し遅れたということもありまして、年次計画を一部変更してございます。3ポツ、期末評価ということで、2つの計画名、記載ございますけれども、「30メートル光学赤外線望遠鏡計画の推進」、TMT計画、それから、「超高性能プラズマの定常実験の実証」、LHD計画、こちら2つが10年間の計画期間終了してございますので、期末評価のタイミングとなっております。TMTにつきましては、夏、8月に報告書を取りまとめておりまして、LHDの方は年度内に評価を実施する予定となってございます。今申し上げたそれぞれの報告書本体につきましては、今回、参考資料2-1から2-3ということで配付してございますので、追って御参照いただければと思います。
 それから、下段です。「ロードマップ2023」の策定についてということで、こちらは前期、前年度から審議を進めてこられているものでして、前期において、一昨年末、策定方針というものを取りまとめいただいておりまして、ちょうど1年前の1月の本部会にも報告をさせていただいたところです。今年度はその策定方針を踏まえて実際に公募と審査を実施していただきまして、「ロードマップ2023」を策定いただいたという形になっております。その下、4点ほどポイント記載ございますので、紹介させていただきます。1ポツ目、国として大型プロジェクトの優先度を明らかにする観点からロードマップを策定した。2点目、ロードマップの策定に当たっては、対象を実施期間が5から10年程度、予算規模がおおむね数十億から2,000億程度の研究計画を対象とした。3点目、公募の結果、申請のあった47の計画について、作業部会において、幅広い専門家によるきめ細かい審査を実施し、12計画を掲載いたしました。それから4点目、「ロードマップ2023」には、各掲載計画の基礎的な情報のほかに、審査の過程で指摘された主な優れている点や課題・留意点等を掲載してございます。
 次のページです。2ページ目になりますけれども、今回掲載された12計画の概要を少し分かりやすい形で載せておりますので、御参照いただければと思います。計画名の横にアスタリスクつけておりますのが、前回つくった3年前の「ロードマップ2020」から継続での掲載計画となっております。つまり、この5計画を差し引くと、新規で7計画、今回掲載されているという結果になってございます。
 次の資料、資料1-2に「ロードマップ2023」の本文も添付してございます。時間の都合もありますので、ポイントだけ簡単に紹介させていただきたいと思います。
 次のページ、目次がございまして、こちらに全体の構成がございますが、「はじめに」から始まりまして、1ポツ、学術研究の大型プロジェクトについて、こちらではロードマップの策定の意義や効果といった事柄を記載してございます。それから、2ポツ目で「ロードマップ2023」の策定に当たっての経緯が記載されているというところです。
 今ちょうど画面映っておりますけれども、2ポツの「『ロードマップ2023』の策定について」というところ、ページは8ページ目になりますけれども、こちらにポイントを記載してございますので、こちらをちょっと読み上げさせていただきます。
 まず、一番上からです。これまでのロードマップは、日本学術会議によるマスタープランを踏まえて策定を行ってきましたが、今回、学術会議の方でマスタープランを策定しないとされた状況を踏まえまして、本作業部会において独自の方針に基づき公募を行い、ロードマップを策定することとした。
 そこから、次のパラグラフ、4行ほど下がっていただきまして、ロードマップの基本的性格や役割についてはこれまでのロードマップを踏襲する一方で、対象計画について、より実現性の高い優れたプロジェクトを選定するために、予算規模を明示するということとともに、施設の設置場所が決定していることや、提案者を部局長以上とすること等の要件を新たに設けた。
 その下のパラグラフです。評価の観点ですけれども、学術研究を取り巻く状況・課題等を踏まえて、新たに「科学目標」や「若手研究者等の人材育成」を加えた10の観点を設定してございます。このパラグラフ、4つほど行を下がっていただきまして、「さらに」から始まる文章ですけれども、研究者コミュニティーの合意だけでなくサポートが得られる体制が構築されていることですとか、産業界への波及効果等についても評価において考慮すべきポイントとして追加した。「加えて」ということで、申請に当たっては関連学会等からのサポートレターの提出を必須としたという、これらがポイントになってございます。
 その下、(2)です。「掲載計画の審査」とありますが、公募を行った結果、47件の申請がありまして、その下のパラグラフです。「審査は」というところですが、書面審査及びヒアリング審査により実施され、多様な提案に対する適切な評価を実施するために、書面評価には作業部会委員だけでなく幅広い分野の専門家にも参画を求め、きめ細かい審査を実施した。18計画に対してヒアリング審査を行い、12計画を掲載することとした、ということで経緯を紹介させていただきました。
 次のページから実際に掲載された12計画の表が続いておりまして、表の作りとしましては、左から、研究分野、計画名称、計画概要、実施主体、所要経費、計画期間、主な優れている点、主な課題・留意点といった事柄を並べてございます。
 これが12計画並んでおりまして、次の項目に移りまして、通し番号15ページの4ポツで、今後の大型プロジェクトの推進に向けてということで、昨今の学術動向ですとか推進中のプロジェクトの状況を踏まえて、留意すべき点というのを整理してございます。時間の都合上、文章はそれぞれ読み上げませんけれども、項目のみ紹介させていただきますと、5点ほど指摘してございまして、丸1 としまして、明確な科学目標及びマイルストーンの設定が必要であるということを指摘してございます。丸2 といたしまして、適切な人員計画と若手研究者の人材育成が重要である。それから、次のページに移りまして、丸3 リスクマネジメントの強化、丸4 適切な老朽化対策と安全管理、丸5 国民の理解を得るための取組の推進、こういった点を大型プロジェクトの推進に当たっての留意点ということで指摘してございます。
 それから、2つ先のページ、18ページ以降です。こちらからは「ロードマップ2023掲載計画の概要」ということで、各計画1枚で概要を、今回申請いただいた機関にも協力いただきながら、なるべく分かりやすくということに留意してまとめた資料が続いております。なるべく図ですとか写真を多く使っていただいて、国民の皆さんに見ていただいても分かりやすいようにという観点で、機関の方々に御協力いただいたものですので、こちらもまた改めて御参照いただければと思います。
 この資料が続いて、最後、31ページ目からです。参考資料といたしまして、作業部会の位置づけですとか、委員名簿、さらには審査に御協力いただいた協力者の方々の名簿、それから審議経過等を参考に並べ添付してございますので、こちらも追って御参照いただければと思います。
 ロードマップの説明、以上でございますが、事務局といたしましては、今後、概算要求をはじめとする各種政策に本ロードマップを十分に活用させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局から、以上でございます。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問などありましたらお願いいたします。
 47件の申請があったということで、随分大変だったんじゃないかと思いますが、審査の状況等は円滑に進んだのでしょうか。
 
【高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官】  観山部会長、どうもありがとうございます。申請数もさることながら、今回、文科省で直接公募して審査するという初の試みでしたので、その都度、例えば公募の仕方ですとか審査の仕方、それからヒアリング審査の進め方に至るまで、細かいところどころでそれぞれ先生方にきめ細かく御相談させていただきながら進めてきたという経緯がございまして、先生方にも大分御尽力いただいて、本当にありがたいなと思っております。今日、中野先生も作業部会から出られていますので、もし何かコメント等ありましたらいただければと思います。
 
【観山部会長】  はい。よろしくお願いします。
 
【中野委員】  もちろん、今までの選考とは違って、新しい方法を取ったので大変なところはありましたが、報告書にもありますように、いろいろな分野の先生方に書面審査で御協力いただきまして、そういう面では、先ほど高橋専門官から説明あったように、きめ細やかな選考ができたのではないかと思っております。時間が足りなかったであるとか、議論が不十分であったとか、そういうことはなかったかと思います。
 以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。今後もこういう形で取り組んでいただければとおもいます。よろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。共同利用・共同研究拠点等に関する作業部会からの報告事項について、事務局より説明をお願いいたします。
 
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  担当しております、課長補佐の山本でございます。それでは、資料2、通しで47ページから御説明をさせていただきます。
 今主査からありました、本作業部会につきましては、共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関しまして、まず、その制度設計でありますとか、また認定・評価について、専門的な見地から調査・審議を行うこととされております。そういう観点で、制度の概要は御案内のとおりでございますが、左下にありますように、科学技術・学術審議会の方で専門的な意見を聴取し、特に今回のメインとなります新しい新規認定あるいは中間的な評価に関して文部科学大臣に対して報告をするということでございます。
 その観点で、今、制度につきましては、右側にありますように、この作業部会においていろいろ審議を重ねていただきまして、単独型から、現在では研究力強化の観点からネットワークということで、大学の枠を超えた研究機関間のネットワークを組むでありますとか、直接の対象にはなりませんけれども、学問動向から大学共同利用機関でありますとか国立研究開発法人との連携というような仕組みも設けられているところでございます。また、国際共同利用・共同研究拠点につきましては、平成30年度から制度が開始されている状況でございます。
 次のページ、第4期、令和4年度から認定を踏まえまして、今、現存の国立大学等における拠点の一覧になっております。下の方には私立大学、公立大学も同じく記載をさせていただいているところでございます。
 現状、12期開始の際にこちらの作業部会としてまず目下することといたしまして、今後控えます中間評価と新規認定ということで、49ページになりますけれども、スケジュールとして、これまで12期に行ってきたことを説明させていただきます。基盤部会の方から命を受けまして、作業部会におきまして数回審議を行い、中間評価の要項及び新規認定の要項に関しまして、各現場の御意見も踏まえながら、作業部会で審議を重ねてまいりました。現在12月8日に実際の各大学への通知及び申請受付を開始しているところでございます。新規認定に関しましては、事前相談の期間ということで今設けておりまして、様々な大学から既に多くの申請の相談をいただいているところでございます。公募の締切りにつきましては、2月22日となっております。今後の審議の予定といたしましては、実際、各大学からの申請を踏まえまして、中間評価及び新規認定につきましては、作業部会において審議を行うとされております。実際の審議、特に新規認定に関しましては、令和7年度の概算要求に反映することもありまして、令和6年度の6月から7月には、まず新規認定の候補を決定させていただくスケジュールと考えているところでございます。
 既にもう要項につきましては公表しておりますが、審議の中身として一部、50ページ以降でございますが、今回の主な中間評価及び新規認定に関しまして、従来との違いも含め、簡単に説明させていただきます。
 まず、新規公募につきましては、先ほどの国際拠点につきましては平成30年度からということになりますので、実際、この拠点の申請につきましては、国立大学に関しましては中期目標計画期間と連動する形になっておりまして、国際拠点につきましては中期目標期間の途中から第3期始まっているところでございます。そういうこともありまして、これまでは共同利用拠点と国際拠点につきましては別々の公募となっておりました。今回、新規認定につきまして、一般の拠点につきましても中間的に公募を行うということでアナウンスさせていただいておりますので、今回初めて制度としては国際拠点と共同利用拠点を同時に行うということになっております。そういったこともありまして、実際に、3つ類型ありますけれども、拠点の認定を有しない研究施設が拠点の新規認定を申請する、その際に、国際拠点の認定も申請するか否かというような段階的な審議を行う形になってございます。そういった観点で、より国際拠点の定義でありますとか国際拠点をどう審議するかということを主にこの作業部会で議論いただきまして、一般の拠点との違いも含めまして、丁寧に審査するような形での制度設計をしているところでございます。
 また、いろいろ様々委員の方からも御意見をいただきまして、次のページ以降になりますけれども、調書につきましてでありますとか、特に先ほど申しました国際性の観点の記載をきちっとデータ的に示す、根拠を示すでありますとか、丁寧な審査を行うべく様々な観点から審議をいただきまして、そういったことを既に制度の中に組み入れ、公募しているという状況でございます。いろいろ大学のほうでも今御検討いただいているところでございますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 事務局から、以上でございます。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問等ありましたらよろしくお願いいたします。勝先生、どうぞ。
 
【勝委員】  御説明ありがとうございます。1点だけちょっとお伺いしたいのは、予想制約もあると思うので、今回の新規の応募等含めて、どれぐらいの新陳代謝を予定されているのか、予算自体も教えていただければと思います。
 以上です。
 
【観山部会長】  事務局、よろしくお願いします。
 
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  事務局でございます。
 今の観点でいいますと、先ほど申したとおり、一般の拠点は通常、中期目標計画期間と連動して入れ替わりが起こるということになりますと、実は令和4年度に既存の当時79拠点がきちっと拠点認定に移行できるかということで、期末評価とともに新規の評価をしております。そういう観点で、実際の継続ができるか否かという母数が79拠点ということがありまして、実際には数拠点入れ替わりということで、5拠点ほど新規が生まれております。ただ、今回、中間的に一般の拠点を行いますので、その中間評価というのはどちらかというと、入替えというよりは、実際この6年間の途中でどういった活動が行われるかという進捗を確認してエンカレッジしていくという側面もありますので、先生の御質問に答えるといたしますと、そこまでの新陳代謝が既存の拠点に関して期の初めより行われるかというと、そういった実績は、そこまでは行われません。ですので、実際予算にどう反映するかということを考えますと、やはり絶対評価という観点ではなく、相対的に評価する部分を設けた形で候補をつくるという状況でございます。この制度上は学問的な観点から認定の候補を選択しますので、もしくはその実際の候補の数によって概算要求を行うというようなスケジュールになっておりますので、我々としては、学問的な観点からの認定の候補をきちっと踏まえてむしろ概算要求を頑張っていきたいということでございます。
 以上でございます。
 
【観山部会長】  よろしいでしょうか。
 
【勝委員】  はい。ありがとうございました。
 
【観山部会長】  ほかにいかがでしょうか。
 
【長谷部委員】  機能強化ですとか、あとは中間評価、期末評価させていただいて、なかなか各共共拠点の皆様、資料を作るのがすごく大変だなと感じまして、ぜひ資料の簡略化というか、より簡素化して、時間がなるべくかからないような形にすると、今も随分努力されていると思うんですが、その点ぜひお願いいたします。
 
【観山部会長】  よろしくお願いします、事務局。
 よろしいでしょうか。
 それでは、次に、大強度陽子加速器施設評価作業部会からの報告事項について、これも事務局からよろしくお願いします。
 
【内野研究環境課課長補佐】  科学技術・学術政策局研究環境課の内野でございます。資料は、メインには資料3-1に基づいて御説明を差し上げたいと思います。
 参考1のほうに大強度陽子加速器施設評価作業部会の設置が書かれておりますけれども、こちらの右側に米印で量子科学技術委員会と原子力科学技術委員会と合同設置となっております。これは、このJ-PARCという施設が、学術研究だけではなくて、様々、原子力に関する研究開発であるとか、あとは量子ビームの共用といったようなミッションを担っているということから、昨年の11月に共同設置をいただいたというものであります。11月、12月と集中的な議論を行いまして、この1月10日に報告書をおまとめいただいたところでございますので、その内容について御報告さしあげたいと思っています。
 資料は、資料の3-1と3-2がございます。資料3-1が、資料3-2を、報告書の本体を説明した概要になっております。資料3-1に基づいて御説明をさしあげたいと思います。
 まず、このJ-PARCは施設運営に係る事業になりますので、終期というものがないものになります。ですので、5年間を目安に中間的に評価を行う必要があるというふうに文科省の評価指針で書かれておりますので、前回、平成30年から5年間たったということで、今回中間評価を行ったというものになっております。
 2ポツのところ、前回の評価事項に対する対応状況ということで、前回の評価で、こういったことをやるべきであるというようなことが書かれたことに対しては、おおむね着実に対応がなされているということであります。例えばということで、下に4つポツがありますけれども、特に一番下、老朽化対策に合わせた省電力化を図ると。ここはまさに中野委員にも強調いただいたところでございまして、老朽化だけではなくて、省エネ機器を入れていくというような取組が大変重要であるということもございまして、そういったことをしっかりできているということでありました。
 3ポツでございますが、他方、指摘事項に対してはおおむね着実に対応しているんだけれどもということで、昨今の経済状況とか様々な課題というのが認められてきているので、今後の対応が必要であるということが3ポツのところに書かれているというところであります。例えば人員の確保が必要とか、あとは高放射化物を使う施設ですので、それに特有な技術を獲得する必要があるであるとか、あとは、目標の強度を既に達成しつつある中で、さらに将来計画(青写真)を具体化していく必要とか、それに当たっては若手にとって魅力のあるものにしていく必要があるということ。それから、ユーザーの利便性というものは引き続き重要なんだけれども、サイバーセキュリティーと相反する要素になりますので、そこをどうバランスを取っていくかということ。それから、利用体系とかそういったものも充実させるであるとか、あと、共用施設ですので利用料を取っていくことになりますけれども、そういったものをしっかり獲得していくということ。それから、中性子・ミュオン利用については窓口機能みたいなものを設けているんですが、ほかの量子ビーム、例えば放射光、こういったものに広げていくということ等々について今後課題があるよねということが議論されています。
 4ポツ、次のページでございますが、評価指標についても検討するということになっておりましたけれども、これは設置主体が大学共同利用機関だけではなくて、独立行政法人であるJAEAもございますので、様々なレイヤーの評価指標も留意しながらモニタリングが必要だねということを書いています。
 最後、ここが5年後への指摘事項になっていくわけなんですが、MLF、物質・生命科学実験施設のターゲットステーション2、これはあくまで例示ですけれども、次の施設を拡張していくような将来計画についても、しっかりその実現に向けた議論を具体的に進めましょうと。そのときに、若手にとって魅力的なビジョンというものを示すことが必要ですよねと。それによって、技術継承の問題、こういったものにも対応していくような取組が必要ですということ。昨今、2ポツのところですが、燃油が高騰していて、予算に非常に直接影響があるというところですので、財源の多様化というものを進めていくということ。それから、ユーザーの利便性をさらに向上していくということが必要ですねということです。それから、最後ですけれども、中性子線施設であるとかミュオン施設とか、この量子ビームというのは、例えばGX社会の実現とか、半導体あるいは水素のように、国の戦略分野に対して直接的ないし間接的に貢献できる分野です。ですので、産業界における中性子利用のさらなる裾野拡大を図っていくとか、あとは、ほかの計測手法との融合・連携を通じて社会実装を進めていくということで国民生活に還元を図ることが重要ですねということを書いております。
 最後が、次回の中間評価は5年後の2028年頃を予定しているということを書いています。
 こういったような内容が実際に文章になっているものが、こちらの資料3-2になります。
 私からの説明は以上でございます。部会長にお返しします。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明に対して、御質問等ありましたら、御意見ありましたら、挙手をお願いできれば。中野委員。
 
【中野委員】  委員で参加していましたが、非常に限られた予算や老朽化、電気代の高騰など様々な環境条件の変化の中でも、すばらしい成果を上げてきていると思います。先ほどの報告書の中にもありましたが、老朽化対策、機能強化、技術継承、そして人材育成は、ばらばらではなく、密接に関連しているということが感じられました。厳しい財政状況の中でも新たな機能を少しずつ加えていくことによって、施設の価値を高め、老朽化対策にもなり、人材育成と技術継承も促進されると理解しました。予算を極限まで絞ってしまうと、様々な問題が生じるという印象を持ちました。次の中規模施設のところでも出てくるかと思いますけれども、やはり施設というのは常に少しずつ改善していくことが非常に重要だなというのを委員会で感じました。
 以上です。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございました。
 よろしいでしょうか。それでは、また何かありましたら、最後にいただければと思います。
 それでは、今日の中心課題であります議題(2)「中規模研究設備の整備について」に移りたいと思います。
 昨年6月に中規模研究設備の整備に関する論点整理を取りまとめたところですけれども、その後の動きとして、事務局から、中規模研究設備に関する調査の実施について説明をいただきます。
 また、現在、研究大学コンソーシアムにおいて中規模研究設備の整備に関する検討が進められているとのことでございますので、本部会における議論を深めるために、その議論の状況について御紹介いただきたいと思います。
 本日は、研究大学コンソーシアムから、門松全体会議議長、那須全体会議副議長、井本運営委員会委員長に御出席いただいていますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず事務局から説明をお願いいたします。
 
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  事務局でございます。それでは、資料4-1、通し番号79ページから御説明をさせていただきます。
 先般、部会の委員の先生方にお取りまとめいただきました論点整理の概要ということで、資料4-1を示させていただいております。6月にお取りまとめいただきましたけれども、それ以降、いろいろな大学あるいは企業の皆様とか、いろいろな反響があり、また、この研究基盤を取り扱う様々なセクターからも、色々な議論が始まっていると伺っているところでございます。その中で、その現状と課題ということを、少しおさらいですが、なかなか大学ごとの整備の整備計画であります設備マスタープランにおいては、こういった大学の枠を超えた利用が想定されますような全国的な観点での中規模研究設備の要望が可視化されにくいという議論をいただいておりました。
 そういったことの中で、検討の方向性として、当面の検討といたしまして、既存の予算の枠組みの中でも、全国的な観点からの選定など、中規模研究設備の整備の仕組みを検討ということで、少し後ほど予算の説明の中で触れさせていただきますが、こういった御意見をいただいております。また、正に中規模研究設備といいましても、様々な要因があります。整備状況でありますとか、それを取り巻く装置の開発の現状など、あと国際的な動向などあります。そういったところについて、まずは国としてきちっと調査を実施してはどうかといただいております。後ほどこの調査のところについては触れさせていただきます。
 こういったところでお話をいただいた中で、中長期的な検討事項として、基本的には大学等で策定するマスタープランにおいて、中規模研究設備が明確に位置づけられるように検討するとともに、複数大学間の連携による整備の仕組みを検討とされております。全国的な観点から、また国において、各大学等の設備マスタープラン等を踏まえた整備方針を策定することを検討とされております。我々といたしましては、まず、これは中規模設備といいましても、整備のみならず、運用の観点がございます。技術職員の問題もありますので、まずは実施主体である大学において、この中規模設備という存在を改めて認識いただいて、今後のニーズ等も可視化されるという意味で、設備マスタープランにおいて、きちっと学内での議論をしていただきたいということで議論いただいたと認識しております。ただ一方で、大学をもちろん主体にした上での中規模設備ということでございますけれども、それにどういった形で国が関わって、どういうふうにそれを大学の要望として受け止めて考えていくかということが、今回の調査結果も踏まえまして、戦略的・計画的な整備方針を策定する一助になると考えているところでございます。現在、来年度の要求も見据えていろいろ御相談いただいている中には、例えば、従来は大学単位で使用するヘリウム装置につきましても、全国の大学、各大学にすべて存在するものではありませんので、それを地域の観点なり、そういった周りの大学と共にどう活用し利用していくかというような大学の枠を超えた連携の仕組みを考えている大学でありますとか、また、技術職員の観点からも、そういった専門的な人材をどう育成して、どう可視化していくのかというような全国的な展開をどう考えるかというような取組も我々の方に御相談を受けております。こういったことも含めまして、この議論を深めていきたいと考えているところでございます。
 そういった中で、2ページになりますけれども、調査項目として、現在、実際の委託調査ということで、委託業者を選定し、調査を開始しているところでございます。そういった中で、「全国的な観点からの研究力の分析」という項目を設け、中段にありますように、中規模設備に関しての、分野ごとでありますとか、金額、整備状況でありますとか、また更新に関しての課題でありますとか、また、海外ではどのような方針をつくっているのかという国際動向でありますとか、あと技術職員の現状と課題といったようなところも含めまして調査を行うこととしております。こういった中で、この場を借りて、いろいろ大学の方にもこれから御負担の面もあるかと思いますが、やはり大学のほうでこういった問題を捉えていただいて、現状どういうふうに自らの大学に中規模設備が存在し運用されているかということは、やはり大学の方に調査しないと我々は把握できませんので、それを踏まえた形での調査ということで、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 事務局からは以上でございます。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。
 先ほどの学術研究の大型プロジェクトに関しては、日本の中で1つとかいうレベルのものでございますので、全国の大学が関係するということで、法人化した後においても現状のプログラムで動いているかと思うんですけれども、中規模設備に関しては、法人化された大学の主体性を尊重する形の下で整備が行われています。しかし、中規模設備も数億円から数十億円レベルなので、なかなか一大学では難しいものもある中、複数の大学で協力して整備したいとか、共同利用・共同研究拠点で整備したいとかありますが、利用者が他大学の研究者にも関わることなどから、一大学内での順位という意味では下がってしまう場合もあると聞きます。また、技術的なサポートの問題とかありますので、本日は研究大学コンソーシアムから来ていただいておりますので、続けて説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【研究大学コンソーシアム(門松全体会議議長)】  どうぞよろしくお願いします。今、全体会議の議長をしております。本日は、岡山大学の学長で全体会議の副議長をしております那須先生、それから、自然科学研究機構の理事の、今、運営委員会の委員長をしていただいています井本先生、この3人で参加させていただいております。私からまず研究コンソーシアムのイントロダクションをした後、井本先生に我々の今議論していることを少し御報告させていただきたいと思います。
 研究大学コンソーシアム、御存じの先生が多いと思いますけれども、これは平成29年8月に発足したものでして、もともと研究大学強化促進事業という事業で22機関採択していただきましたが、これの発展形が今現在の姿であります。現在は41機関で、特に研究担当理事あるいは副学長という執行部の先生方の集まりになっております。下にありますように、全体会議としては、タスクフォース、連絡会、それからMIRAI-DXといったものを下の方に下部機関として置いておりまして、特にタスクフォースはテーマごとに議論しております。全体としては、情報の共有、意見交換、それから提言ということになりますが、特にMIRAI-DXについては、URA共同のDXプラットフォームとしての機能を担ってもらっています。
 ごく簡単に参画大学の様子をお示ししておりますが、全体会議の議長は私、それから副議長が岡山大学の那須先生、そして幹事機関が自然科学研究機構ということで、RU11を含み、それよりもっと多い、大きな範囲で、日本の研究力の実質的な中核となる、地域を代表する機関が入っていると見ていただくと幸いです。
 それで、本日の議題に関係することなのですけれども、全体会議の下に、先ほども申しましたように、タスクフォースを右の方のように置いていまして、幾つかのテーマに沿ってタスクフォースを置いていますけれども、中でも、大学間連携による研究基盤強化タスクフォース、この下に中規模研究設備及び支援体制に関するワーキンググループというのを設けまして、ここで議論した内容を本日、参考までに御報告させていただきます。
 次のページからは井本先生にバトンタッチしたいと思います。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  自然科学研究機構の井本です。
 まず、中規模研究設備の整備に関して、引き続き御検討いただいている研究環境基盤部会の委員の皆様並びに大学研究基盤整備課の皆様に感謝申し上げます。
 研究大学コンソーシアムでは、昨年6月の研究環境基盤部会の論点整理を踏まえ、ワーキンググループを設置し、検討しております。論点整理では、具体的検討課題として、赤の線が引いてありますように、複数大学の連携による整備の仕組み、各大学の設備マスタープランを踏まえた整備方針、安定的な予算の枠組み、技術職員、維持・管理の仕組みを挙げていただきました。ワーキンググループでは、この論点整理に沿って検討を進めているところです。今回の発表は、提案の骨子案という中間報告ですが、本部会での議論の材料としていただければ幸いです。
 中規模研究設備を定義するには、設備の価格から分類する方法もありますが、ワーキンググループでは、果たす役割から、A「トレンドを捉える」、最先端研究の推進、B「トレンドを作る」、新規技術・設備の開発、C「トレンドを支える」、基盤的技術の提供の3つに分類しました。ここでいうトレンドとは、流行というよりは、最先端の研究動向といった意味で使っており、先導的な開発を含むものです。Cの基盤的整備はこれまであまり取り上げられてきませんでしたが、例えばヘリウムの液化装置などを想定しております。
 さて、現行の予算システムでは、各大学が大学の戦略に基づいて整備マスタープランを作成し、予算を要求するシステムとなっています。このシステムは、1つの大学が責任持って整備し、大学の戦略の下に進めるには適しています。しかし、中規模研究設備のように研究や開発技術の動向を踏まえた整備が必要な場合、個別の大学で設備を先行して整備し、さらに共同利用の体制を整え、学外の研究者も含めた多くの研究者をサポートすることは困難です。この問題点を解決していくには、1番目の現行の仕組みを拡張して、法人の枠を超えた予算要求をする仕組みを設けていくことが考えられます。また、それに加えて、新たに研究動向を反映して戦略的に設備を整備する仕組みを設けることが必要と考えます。
 前のページの課題を基に、研究大学コンソーシアムのワーキンググループでは、従来の個別大学の枠を超えて大学連携による要求が可能となる要求枠の拡大と、国が戦略的に設備を整備する新たな予算の枠組みの両輪で、継続的に整備する体制を提案いたします。両輪の後者の方、国による戦略性に基づく新たな予算枠としては、中規模研究設備ロードマップといったものを策定し、戦略的整備枠を新設するという提案です。この提案ロードマップの検討に当たっては、具体的に検討の1から4の視点が重要なポイントとなります。
 現在、国においては、国際卓越研究大学や地域中核・特色ある研究大学その他、様々な研究を推進するための事業や施策が行われています。この中にあって、中規模研究設備は、幅広い研究者に利用されるものであり、これらの諸政策の設備的基盤となるものです。学術研究や研究開発を推進する上で、研究設備の整備は不可欠です。現在、研究設備の高度化、高額化が進む中で、中規模研究設備においても、大型プロジェクトと同様の手法で、計画的かつ戦略的に整備することが必要であると考えます。学術研究の大型プロジェクトは、その性質上、基本構想を策定し、その上で戦略的・計画的にプロジェクトを推進しています。そこで、中規模研究設備に関しても同様に、中規模研究設備ロードマップを策定し、その上で戦略的に整備することを提案するものです。中規模研究設備を含め、ニーズと戦略の両輪で共同利用基盤を確立することは、人材育成や人材の流動性の促進にもつながるものです。海外の事例としては、韓国でZEUS(Zone of research Equipments Utilization Service)と呼ばれる共同利用・設備共用のための研究設備基盤プラットフォームを全国的に整備し、全ての研究者に研究インフラを提供するための戦略的な設備整備が進められています。
 以下の検討1から4については、スライドに示しますが、時間の関係上、ごく簡単に触れさせていただきます。
 検討の1番目として、中規模研究設備は、その特徴から、1つの大学ではなく、組織を超えた枠組みで、コンソーシアム等で予算を要求する仕組みが必要です。
 次のページ、検討の2番目で、地域ごと、整備戦略ごとに中規模研究設備の拠点を整備し、地域全体、ひいては全国の研究者が活用できる、共同利用できる体制が必要です。
 次、3番目。現在、装置が高度化しており、単に設備を設置するだけでは有効な活用はできません。全国の研究者が利用可能な体制とは、実験のコンサルテーションから実験サポート、実験結果の分析、成果サポートから広報に至るまで一貫したサポート体制が必要です。また、我が国が科学技術での主導的な地位を回復していくには、並行して企業との連携による中規模研究設備の技術開発を行っていくことが必要です。
 中規模研究設備には継続的な運営維持が必要なことは言うまでもありません。継続的な運営があってこそ、アカデミアと産業界が連携した技術開発あるいは人材育成につながっていくと考えられます。
 研究大学コンソーシアムのワーキンググループでは、本日御紹介した内容をさらに検討を進め、大学の執行部とも協議を重ね、本年3月までにまとめを作成する予定です。
 私の発表は以上ですが、岡山大学の那須学長に追加の発言をお願いいたします。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  岡山大学学長の那須です。簡単に追加をさせていただきます。
 私は地域の中核大学における研究担当理事として、コンソーシアムのメンバーとして、そして大学の研究環境の高度化基盤整備に関わり、昨年4月に学長に就任しております。私が追加したいのは、特に人材育成という観点で、将来を担う学部学生、大学院生、若手研究者にとって、これまで以上に中規模先端設備へのアクセシビリティーを高め、サポート体制を充実すること、組織を超えて取組をすることは、裾野を広げた次世代人材育成の観点から、非常に重要と考えております。若いときからいろいろな機械にアクセスできるということ、特に先端の機器に若いときから触れることで研究の醍醐味を味わうことは、決してアカデミアだけではなく、産学官を含めた、これら若い人たちの以後のキャリアパス形成に私は非常に重要であるというふうなことを追加として強調したいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
 
【観山部会長】  どうも3人の方、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、それから御意見などありましたらお願いいたします。中野先生。
 
【中野委員】  御説明ありがとうございます。質問があります。御説明の中で韓国の例が挙げられましたが、我が国にも共同利用・共同研究拠点という優れた制度がございます。今回話題の中規模設備を持つ施設や、それを共同利用に供している施設の中には、共同利用・共同研究拠点に認定されているところが多いと思います。今後またはこれまで、これらの拠点やそれらを束ねる拠点協議会との連携や議論はどのように行われてきたのか、今後の予定についてお伺いしたいです。
以上です。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  大学の附置研・センター長会議及び共同利用・共同研究協議会の会長の方とは連絡を取っております。確かに、共同利用・共同研究拠点とか、いろいろな共同利用施設はあるわけですけれども、全体的に見て、設備の高度化というのが全体的に遅れている状況にあるのも事実です。中野先生、よく御存じだと思うのですけれども、そこを何とかしたいということです。実際こういうシステムが立ち上がった場合、共同利用・共同研究に慣れたところ、そういう現在拠点であるところでないとなかなかできないというのも事実であると思うのですけれども、今回の論点としては、まず、もっと広い観点から、もう少し中規模研究施設の整備を進めないと日本はとても戦えませんよと、そういうのが主眼、一番の論点となっております。
 
【観山部会長】  中野委員。
 
【中野委員】  ありがとうございます。問題意識は多分共有しておると思いますので、今後も引き続き連携、密接にしていけたらと思います。
 以上です。
 
【観山部会長】  どうもありがとうございます。
 では、続いて長谷部先生、お願いいたします。
 
【長谷部委員】  大変詳しい、また現状を十分に把握されて、それで、これまでの共同利用のいろいろな御経験を反映させた、すばらしい取りまとめだったと思います。御説明の中で研究設備基盤プラットフォームの重要性というのをおっしゃっていましたけれども、そのプラットフォームと中規模研究設備ロードマップの関係はどのようにお考えでしょうか。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  その辺りはまだ十分議論はされていないとは思いますけれども、必要なものをリストアップしたら、必要なものでプラットフォームをつくるとして、それを公募して、すぐにそれが実現できるとは思いません。やはり10年20年のスパンをかけて全体的に整備していくということになると思うのですけれども、そこの優先順位をどういうふうにつけていくかということに関しては、大型のプロジェクトを見習ったようなシステムが適切ではないかというのを現在考えているところです。
 
【長谷部委員】  ロードマップとしては、プラットフォームを提案するような形というのをイメージされているのですか。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  やはり、かなり具体的な装置、それから、それのサポート体制、人員を含めたようなものを提案するのがいいのではないかなと私は思っています。そこも今後の議論すべきところだと思います。
 
【長谷部委員】  ありがとうございました。
 
【観山部会長】  では、永田先生、お願いします。
 
【永田委員】  資料の92ページを拝見して、方向性はよく分かりますし、幾つかの大学が連携しながら、地域的あるいは戦略ごとに整えていくという考え方もよく理解できるんですけれど、ここに書かれているように、大学共同利用機関、それから共共拠点、各大学の中で大学共同利用機関は大型の、単独の大学では整備できない設備をそろえる、あるいは貴重な資料をそろえるということで、共同利用・共同研究に資する形でやってきたわけですけれど、徐々に中規模の部分も抱えなければいけないぐらいの状況になってきているというのが現状だと思います。例えば自然科学研究機構の川合機構長の話を時々伺うことがあるのですけれど、やはり共同利用・共同研究で使いに来る研究者のニーズを見ると、必ずしも大規模だけではなくて、中規模を抱えなきゃいけなくなってきている。そうすると、92ページのようなコンソーシアムをつくって、複数の大学がある戦略で取りに行く。それから、共同利用機関もある。共共拠点もある。このすみ分けと役割分担あるいは連携のあり方を整理しておかないといけないのではないか。一体どういう風にやったら最も効果的あるいは効率的になるかということについて何かお考えでしょうか。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  まだその辺りは十分議論できていません、正直なところ。ただ、どの程度の人がどの程度必要なものかによって変わってくるのではないかと思います。使う人が非常に多いけれども、割に近くにあった方がいいようなもの、日本に1つあればいいようなもの、いろいろあると思うのですが、恐らく汎用性が高くて地域ごとに必要なもの、それから全国に1つか2つあればいいもの、その辺りでかなり連携の仕方が変わってくるのではないかなと想定はしています。ただ、どこかの大学にぽんと押しつけるというのは多分無理な話で、かなりきめの細かい制度設計を今後考えていく必要があると考えています。
 
【永田委員】  サポートができる技術職員の体制も含めて考えたときに、相当それもきちんとやらないと効果的にならないだろうと。そうだとすると、私自身が総研大にいて、手前みそになってはいけないのですけれど、大学共同利用機関がもうちょっとイニシアチブを取ってやっていく部分があるような気がしていて、井本さんがおられるので多分大丈夫だと思うのだけれど、そういうところで考えると、ある種の整理をしておいた方がいいかなという気がしたので。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  ただ、例えば生命系の大学共同利用機関は3つしかないわけですけれども、それで全国のライフサイエンスを面倒見るというのはとても無理なわけで。
 
【永田委員】  やはり地域性もあるし。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  当然のことながら、ほかのシステム、具体的には共同利用・共同研究拠点というのがかなり有効な手段だと考えています。そのほかに新たにネットワークをつくってということも十分あるわけで、特に地域の場合は、そのようなことを試みられていること、始めようとしておられる大学群がかなりあると聞いていますので、この議論が進めば、そういうところも議論が進んでいくのではないかと思います。
 
【永田委員】研究領域ごとに何かそういう体制をつくっていくというのが効果的なのでしょうか。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  どこか国が一括的にやるという覚悟を示すなら、それはそれでいいと思うのですけれども、韓国などは国策としてかなり強力に進めているようです。韓国語、ハングル読めないので、あまり細かいところは読めないのですけれども、国の組織がかなりいろいろ各大学の設備を把握してやっているようです。ただ、日本ですぐそれをやるというのは恐らく困難だと考えますので、当面はやはりコンソーシアム、ネットワークを形成して、そこが中心となってやっていくという形を取らざるを得ないのではないかと思います。
 
【永田委員】  はい、ありがとうございます。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  その辺りは那須先生は随分お考えあると思います。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  ありがとうございます。私は地域の中核大学ということで、先ほど議論がありました、研究テーマごとのプラットフォームのほかに、やはりどうしても裾野という観点で、地域性というのは、幾らリモートがあったとしても、やはり回避できない部分があります。そういう意味で、中国地区はかなり以前からDNAの解析とかをネットワーク組んだりということもできておりますし、このたび私ども、クライオ電顕を独自予算で購入しまして、これは中四国初なのです。自前のお金で整備して、それで概算要求をいただいて、人をつけて、それで中四国で使えるようにしよう。さらには、東京大学には5つか6つありますので、今度、地域中核で一緒に東京大学と連携して、クライオ電顕について裾野を広げて、レベルを上げていこうと、そういう試みをやることで、多くの方がクライオ電顕にアクセスできる、割とthresholdを低くしてアクセスできる。そうすることによって、いろいろな研究、やってみたかった研究がどんどんできるというようなことを今始めたばかりでございます。参考になればと思います。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。中野委員、どうぞ。
 
【中野委員】 中規模施設は、作っただけでは持続しないと思います。定期的な改善と老朽化対策が必要です。この点について、先ほどからプラットフォームやコンソーシアムの概念が出ていますけれども、大学の枠を超えた予算執や人材育成について、新しいアプローチを取り入れる議論はされていますか。特に、開発中のプロジェクトに人材を集めることによって一気に育てるとか、従来では難しい仕組みの導入について議論されているでしょうか。
 以上です。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  過去10年余り、施設、ある程度高額な設備の導入というのはほとんど補正予算頼みだったと思います。ということは、長期的な計画はなかなか立てられないし、開発にも手が回らない。今回提案しているのは、ある程度継続的なもので、ずっと永遠にということではなくて、例えば5年評価で10年、スクラップ・アンド・ビルドというようなことを前提としての継続的な設備の配置なわけですけれども、そういうふうな、ある程度継続性が確保されることによって、人材育成、技術開発等も伴ってできるものと考えているところです。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  よろしいでしょうか。
 
【観山部会長】  はい、どうぞ。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  私ども、そういった観点で、いわゆる若い人のキャリアパスということで、今、産学官と申しましたが、そういった博士後期の方々が、アカデミアだけではなく、日本の機器メーカーにもどんどん入っていく、そういったキャリアパスをしっかりつくって、今ちょうどそういう機器メーカーの方たちともそれぞれの課題を持ち寄って検討して、ここに今日あります「トレンドを作る」という、そういう観点もやはり私ども必要であると感じて、大学という枠を超えた形でやれる仕組みができればなと思って、今、いろいろな試行錯誤といいますか、メーカーの方々とディスカッションしているところです。
 以上です。
 
【中野委員】  ありがとうございます。機器の機能強化というのは、それに携わる人、その人の価値も上げていくという側面ありますので、それが継続的に実施できるような体制ができると非常にすばらしいと思います。
 以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 今の那須先生の人材育成の点は非常に重要であると思います。例えば大学院生等々の、キャリアパスとして学内エンジニアとして生きていくというふうなことはあり得るかと思うのです。しかし、個々の大学が人件費総枠の中で技術職員に対して高いコストがなかなか確保できないとかという問題があるのではないでしょうか。それから、私もよく言うのですが、日本の企業で、博士課程卒の高度な研究者や技術者を使って、今一つイノベーションできていないのではないかが、多くのプロジェクトでの問題ではないかということを言ってきました。だんだん認識が伝わってきていますけれども、急速に今すぐ変わるわけではないのも現状ですが、トレンドを作っていただきたいと思います。一方、大学の中でそういう非常に高度なレベルの技術者というか、エンジニアを確保するという状況というのはどうなっているのですか。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  私がお話ししましょうか。
 
【観山部会長】  はい。どなたでも結構です。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  これはやはり大学、人材育成というのは非常に重要視していまして、それは人材、博士課程後期の学生さんがどういうところへ行くかということで、私ども、今、技術職員80名を全部束ねて総合技術部をつくって、東京工業大学と一緒に、それらの人々をテクニカルカレッジということで技術を上げていっています。そういう方々がそういうところにどんどん、機器の改良とか開発、そういったところに入っていく、そういうモチベーションが持てるように、いろいろ職階も全部つくりました。
 
【観山部会長】  そうですか。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  はい。そういうことでモチベーションを上げて、そういうところに行く。さらに、そこに、技術職員の姿を見て、博士後期の人たちがそちらにも行こうとするし、そういう高度な人たちが機器のメーカーの方々とブレーンストーミングをすると、人事交流もすると、私はそういうことがやりたいなと思っています。
 
【観山部会長】  そうですか。非常にすばらしいことで、それはもう本当に広く広がったらいいと思います。
 永田先生、どうぞ。
 
【永田委員】  今、お話を伺っていてふと思い出したんですけど、例えば総研大と一緒にやっている宇宙研などでは、ディテクターの開発などで、企業の方が博士後期課程の社会人学生として総研大に来て、会社との共同開発を学位論文研究の課題にしながらやっているというのがあるのです。そういうことを考えると、先ほどおっしゃっていたような、中規模のものを開発する、あるいはメンテナンスする、あるいは性能をよくしていくというコンソーシアムの中に企業が一緒に入り込んでいてもいい。そういう関連企業を巻き込んだ形の仕組みが作られるというようなのがもっと望ましいかなと思ったのですけれど、那須先生、どうでしょう。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  もう私は、これはちょっと言い方があれですけれど、やはりしっかりメイド・イン・ジャパンをつくりたいので、技術で勝負すると。
 
【永田委員】  そのためには、国内の企業がそこで連携していて、一緒に育つと。
 
【研究大学コンソーシアム(那須全体会議副議長)】  特にありましたニーズという観点では、やはりメーカーの方々の現場のニーズを知った上で開発するとか、より機器の高度化を目指すとか、本当の産学一体となった、そういうものを今着手しつつあるというところでして、あるべき姿を追求していきたいなと思っております。いずれにしても、私、技術系の職員たちがしっかりやりがいを持ってそういったところに打ち込んでもらいたいなと、そういう環境をつくりたいと思っています。
 
【観山部会長】  ほかにいかがでしょうか。
 では、私の方から。井本先生からお話あった中規模設備の話で、中規模の枠が別にあるかというところで、私も非常に理解するところでございますけれども、ただ、どうですかね。永田先生もちょっとおっしゃっていたかと思うのですけれど、今は運営費交付金という形で各大学に配分されていて、各大学からいろいろな要求があります。それから、共同利用とか地域的な大学の連携にこういう枠をつくって設備とか人材を確保してという要求もあります。どう言ったらいいのですかね。大規模の方はもう1つしかないとかいうレベルなので、割と簡単かと思うのです。一方で、各法人にそれぞれの裁量の中でやってくださいという運営費交付金のあり方と、中核とか地域連携だとかでやるという、どちらが効率的なのですかねと言われたときに、しっかりと答えが出せますか。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  効率性をすぐ判断するのは難しいと思いますけれども、予算の枠が限られているときに、やはり優先順位をつけるというのが、みんながある程度関与できて納得するシステムというのが必要なのではないかと思います。違う分野を比較するというのは基本的に非常に難しい話なわけですけれども、それは、予算枠が限られている以上、やっていかざるを得ない。そこを誰が責任持ってやるかという話だと思います。
 
【観山部会長】  今のところ、個々の大学からという予算要求の方向性しかないので、結構自由度が狭められているということは確かにありますね。ただ、今すぐにそういう枠組みをつくって、こちらの方がいいのだというのを示すことはなかなか難しいと思いますが、必要性は大変重要だと理解します。そこのところはまたしっかりと議論していただければとおもいます。大学の予算要求に関して責任ある学長さんも含まれていますのでよろしくお願いします。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  はい。是非よい方法を考えていただければと思います。
 
【観山部会長】  門松先生、どうぞ。
 
【研究大学コンソーシアム(門松全体会議議長)】  すみません、一言だけ申し添えたいと思うのですけれども、ここにおられる先生方、大学の先生がほとんどだったと思うので、内情はよく御存じだと思うのですけれど、大学の概算要求で取れる機器の線というのはかなり細っているのが現状だと思います。それで、また大学ごとということは当然あり得ると思うのですけれども、基本やはり、今日の議論は、根っこは結構つながっているところがあって、例えばコアファシリティーのこと、それから人材の流動性、インフラの整備というのは全部つながっている気がします。特に諸外国、欧米と比べたときに、日本の研究人材の流動性が極めて低いのは、落下傘で下りて、そこで研究できるという環境がほとんどできていないということだと思うのです。ですから、基本的にはやはり、共用で使える設備が、大学であれ、何かのコンソーシアムであれ、近くにあるということはすごく重要で、言葉を換えると、コアファシリティー、共同利用あるいは人材流動性、こういうもののためには、どういう形態であれ、インフラを整備するような予算システムというのがしっかり確立されている必要があるように思います。そういう意味では海外は、ヨーロッパもアメリカも、やはり1,000万円以上ぐらいの中規模研究設備の予算枠というのがしっかり取られているということがあると思うのです。日本の場合、それがなかなか細っているという現状があるのかなというのが少し気になっています。
 すみません。以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。
 中野委員、どうぞ。
 
【中野委員】 度々すみません、中野ですけれど、それに加えて、やはり維持・管理費がなかなか確保できないというのは非常に大きな問題です。設備は補正予算で措置されることが多いですが、建設後の維持には、非常に苦労します。補正予算だけ不足する場合、真水の運交金をつぎ込む必要が生じ、状況はさらに厳しくなります。中規模施設や設備の建設と維持は一体に考えるべきで、適切な維持管理により人材育成や利用促進が進むことを理解し、長期的なプロジェクトとして取り組むべきだと思います。
 以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。
 事務局において、先ほど調査を始めておられるとあったのですが、その調査の中で、海外のいろいろな中規模レベルの状況について調査するというのはできているのですか。
 
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  事務局でございます。
 先ほど御説明したとおり、今ちょっと事例もコンソーシアムの方からいただきましたが、アメリカでありますとかドイツにもそういう仕組みがあるということも議論の中に前回ありましたので、そこも含めて調査させていただきたいということになっております。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。
 それから、もう一つの点としては、今発言されているのは、理系、工学系の方が多いと思いますが、やはりこういう問題を、ちょっと規模の差はあると思いますが、全体の問題とするためには、人文系とか社会科学の分野の方はどのような感じなのかということはどうなのでしょうかね。
 
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  こういった中規模の今議論をしているということを色々な審議会でも御紹介させていただく際には、やはり人文社会系の機器についても高度化しており、そういったことで、非常に中規模の議論にそぐう部分があるというお話も伺っております。そのため、調査に関しては、分野別という観点も入れて調査しようと思っておりますので、人文系の動向も含めて確認していきたいと思っております。
 以上でございます。
 
【観山部会長】  人文・社会科学の先生もおられると思いますが、何か御発言とか御質問ありませんでしょうか。
 
【関沢委員】  よろしいでしょうか。
 
【観山部会長】  どうぞ、どうぞ。はい。
 
【関沢委員】  これから海外の調査なども行うということなのですが、これまでの議論を聞いていると、日本の予算と海外の予算がかなり違うというところがありまして、海外の調査をしたときに、予算が十分なところの仕組みを調査するにしても、それを日本にどういうふうに当てはめていくのかと、そういうところはどのようなところで留意されているのか、それをもし分かれば伺えればと思います。よろしくお願いします。
 
【観山部会長】  事務局、何かありますか。
 
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  事務局の方から、先生おっしゃった部分で、まず、そういった予算の枠組みとか、海外がどういう形でこの中規模に関して、国としてというか、大学セクターからもと思いますけれども、その現状をまずは把握したいということでございますが、御意見あったように、把握した上で、では日本としてどうしたらいいのかというところは、もちろん調査結果をこの審議会に諮らせていただくときに、我々もそれをどこまでかみ砕いた形で調査を把握できるかということもありますけれども、今の御指摘は非常に重要なところだと思います。ただ一方で、それイコール、予算の枠がそれで足りないので、予算の枠を設けたらいいことで、解決するのかというところもあろうかと思いますので、まず、どういったところを国、海外では重点的にこの中規模の方を議論して政策にやっているかというところを、まずは枠組みをきちんと把握したいところから始めていきたいところでございます。
 以上でございます。
 
【関沢委員】  枠組みの把握ということはすごく分かるし、重要なことだと思うのですが、今回は中規模研究設備の新設の仕方のようなお話しいただきましたが、実際、そのメンテナンスというか、維持・管理に非常に苦労している大学が多いわけで、そうしますと、やはりこの調査とか、いろいろな議論のもう一つの両輪として、予算の確保ということもお願いしたいと思って聞いておりました。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。そういうことも含めて、当部会も事務局と連携を強めていきたいと思っております。
 ほかにいかがでしょうか。
 中規模設備に関して、開発というところの視点がちょっとありましたけれども、製品を簡単に買ってくるだけというところと、製品を買ってきても、メーカーとかといろいろ連携して改良したり、新しいものをつくっていくとか、ソフトの開発をするとかあります。これもちょっと分野で差がいろいろあろうかと思うのです。そういうところもちょっと細かく、綿密に調べていかないと、実態がなかなか分からないのではないかなと思うのです。とにかくお金があって、とにかく新製品を二、三年ごとにどんどん買っていったらいいというようなところもないわけではないと思うのですが、それではなかなか世界には勝てないと思います。また、日本のメーカーとかを育てるということもなかなか難しい状況もあるのではないでしょうか。、少しそういう観点も必要ではないかなと思います。これは今後の課題だと思っておりますが、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 
【森委員】  すみません、先ほどのトレンドを捉える、作る、支えるというところで、よろしいですか。
 
【観山部会長】  はい、どうぞ。
 
【森委員】  基盤を支えるという部分も含めて考えるという中で、最近やはり液体ヘリウムが非常に枯渇していて、NMR等、色々な装置を維持して研究するのも大変な状況です。ヘリウムの液化装置に加え、ヘリウムの備蓄、また再利用するところには技術の開発がまだまだあり、リサイクル率を上げていけばヘリウムはまた有効に利用することができます。利用したヘリウムガスを液化する技術開発を会社と一緒に行うなど、基盤のところもしっかり支えながら先端科学を推進していかないとやはりサイエンスはもたないと思っており、基盤技術開の重要性も感じております。
 以上です。
 
【観山部会長】  ありがとうございます。大変重要な指摘だと思います。
 よろしいでしょうか。
 
【井野瀬委員】  すみません、井野瀬です。1ついいですか。
 
【観山部会長】  はい、井野瀬先生、どうぞ。
 
【井野瀬委員】  先ほど観山先生が、「人文学、社会科学も」と言ってくださったので、それに力を得て。先ほど御報告いただいた井本先生、那須先生のお話、特に那須先生が「人材育成に力を入れたい」というお話で人事交流、人と交流する場をつくっていくというような意味をコンソーシアムに含めているところが、私はとても重要なことだと思いました。私は人文学(歴史学)ですが、AIの時代になっても、結局基本的なところで試されるのはひと、人間の力だと思いますし、今はそういった視点からの研究も進んでいます。ですので、成果公表、広報を含めた、広い意味でのサポート体制を組んでいくというところに、コンソーシアムでなければ会えないような「人間関係」を組み込んでいただければ有り難い。「結局つまるところ、人間」という意味からみると、最後ページ、一番最後の「中間規模研究設備のワーキンググループ」に、4機構の中で人間文化研究機構がないということが気になりました。分野間のどこかで化学反応を起こすかもしれないということを考えると、人という部分を明確に入れ込んでいただければと思って聞いておりました。
 以上です。
 
【観山部会長】  私もちょっとそれは気になりましたけれども。
 
【研究大学コンソーシアム(井本運営委員会委員長)】  人間文化研究機構は、このワーキンググループには入っていただいておりませんが、研究大学コンソーシアムには入っていただいておりますし、人文系の方のワーキンググループ、個別に立ち上げているところでもありますので、しっかり活躍していただいております。
 
【井野瀬委員】  ありがとうございます。安心いたしました。
 
【観山部会長】  では、よろしいですかね。
 それでは、研究大学コンソーシアムの皆様、どうもありがとうございました。是非検討を進めていただきまして、また附置研・センター会議とか、ほかの協議会ともしっかりと連携を持っていただいて、よろしく調査等々にも御協力いただければと思います。今日はどうも本当にありがとうございました。貴重な御意見をありがとうございます。
 それでは、最後に、(3)「その他」の議事でございますけれども、共同利用・共同研究システム形成事業「学際領域展開ハブ形成プログラム」と令和5年度補正予算及び令和6年度予算案について、事務局より説明をお願いいたします。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局でございます。まず、私から、今年度から開始いたしました共同利用・共同研究システム形成事業の「学際領域展開ハブ形成プログラム」について、令和5年度の採択状況と令和6年度予算案について御報告させていただきます。資料5をお願いいたします。
 資料5、105ページになりますけれども、こちらに本事業の概要を記載しております。本事業については、各研究分野で形成された共同利用・共同研究体制について、分野の枠を超えた連携による、新しい学際研究領域のネットワーク形成・開拓を促進することで、我が国における研究の厚みを大きくすることを目的とするものでして、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点等がハブとなって行う学際共同研究や組織・分野を超えた研究ネットワークの構築・強化・拡大を支援するものとなっております。
 最初に、令和5年度の採択状況について御報告させていただきます。令和5年度につきましては、1件当たり5,000万円程度の規模で、4から8件程度採択予定として公募を行っておりましたけれども、申請につきましては48件ございました。審査に当たりましては、文部科学省において審査委員会を設置いたしまして、本部会の部会長である観山先生に委員長を務めていただいたのをはじめとしまして、基盤部会の関係委員の先生方に御協力いただき、これまでの共同利用・共同研究体制の実績も踏まえつつ、新しい学際領域の開拓、新しいネットワークの形成といった観点から総合的に審査いただきました。非常に意欲的な取組を数多く提案いただきましたが、予算の範囲もございますので、審査結果を踏まえまして、令和5年度は、106ページにございますけれども、こちら8件の機関を採択いたしました。個々の採択された内容につきましては、次のページ以降にあります概要資料を後ほど御覧いただければと思いますけれども、各取組におきましては、多様な分野の融合、異なる研究領域において強みを有する機関によるネットワークの形成に向けた新しい取組を進めていただいております。これらの採択された取組については、5年目終了時を目途に中間評価を実施しまして、最長10年間の支援を行うこととなっております。取組状況については、今後、適宜フォローアップしていきたいと考えております。
 続きまして、令和6年度予算案について御報告いたします。ページが戻ってしまって恐縮ですけれども、予算事業の概要である105ページをまた御覧ください。本事業につきましては、以前から基盤部会の先生方からも応援いただいておりますけれども、関係する研究機関や研究者からの期待も大変大きいところでございまして、私ども担当としましても、令和6年度についても何とか新規採択ができるように要求を行っておりました。令和6年度予算案につきましては、大変厳しい予算事情の下ではあったんですけれども、要求どおり、新規採択2件分の1億円が増となっておりまして、今年度からの継続分に係る4億円を加えまして、計5億円が学際領域展開ハブ形成プログラムの事業として計上されております。
 6年度の公募につきましては、ページ飛んでいただいて、115ページにありますスケジュールで進めることを想定しております。こちらは令和5年度と同様に、1件当たり5,000万円程度を基準に公募させていただく予定です。公募スケジュールに対しましては、2番のところですけれども、令和6年3月下旬をめどに公募を開始し、5月下旬に公募締切りを予定しております。また、申請件数の把握のために5月上旬に申請意向表明を行っていただく予定としております。その後、6月から8月にかけて審査を行っていただき、9月に採択結果の公表、10月に事業開始を予定しております。また、3月下旬の公募開始期間までは事前相談を受け付けておりまして、文部科学省のホームページでも周知しております。
 以上になります。
 続きまして、予算案の説明に移ります。
 
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  それでは、資料6、通し番号156ページということで御説明させていただきます。
 まず、令和5年度の補正予算ということで、特に大学関係の最先端設備ということでございます。118ページでございます。先ほど中規模の議論もありましたけれども、基盤部会の方からの論点整理にありますが、既存の制度として、運営費交付金の概算要求の中での基盤的な設備に併せまして、こういった最先端研究設備の枠組みがございます。主として大型プロジェクトの年次計画に基づくものを整備してきておりますけれども、様々、中規模の議論もありまして、まだ明確な枠組みということにはなっておりませんが、そういった今後の整備の方針の一助になる形で、例えば右の下の方、先ほどヘリウム装置の重要性のような話もありましたけれども、やはり我々としても、これまで整備した状況もいま一度確認しましたが、各大学にヘリウム装置があるわけではないという状況の中で、老朽化でありますとか、あるいは、ある大学が地域の拠点として周辺大学にそういった低温下の環境を提供しているというような事例もあります。そういった中で、特に各大学に閉じない形でのヘリウム装置の活用を考えていただいている大学に、共通基盤の研究設備という形で整備を始めたところでございます。そういった観点で、今後、国の整備方針でありますとか大学のきちっとした整備方針に基づいた形でこういったところがどうやって仕組みとして可視化できるか、引き続き検討してまいりたいと思います。
 次のページは、補正予算で先ほど大学の、こちらはどちらかというと研究基盤の強化ということでございますが、こういった予算も補正予算で対応してきたところでございます。
 次の本予算でございます。6ページ以降、主に運営費交付金を中心に御説明を今日はさせていただきます。
 121ページが具体的な運営費交付金の全体像でございます。右の方に、大学の枠を超えたところで、共同利用・共同研究拠点の強化につきましては、55億円ということで強化、増額を図っているところでございます。また、中心の方にあります教育研究組織の改革というところで85億円ということで、昨今、大学の御要望としては、研究組織の改革に関しての取組も増えておりますので、こういったところを中心に整備を行っているところでございます。
 具体的に組織整備のところにつきましては少し御紹介したいと思います。7ページ、122ページ以降、それぞれのテーマに沿った形で、こういった取組が大学の方でなされております。例えばデジタル・グリーンでいいますと、各大学で、主として研究の面で申し上げますと、量子でありますとか半導体に関しての取組を全学挙げて研究組織として可視化して、産業界も含め、取組をしていこうというような取組が増えてきております。最終的には、こういったことが可視化されることで、大学の枠を超えて横の色々なつながりが生まれてくればいいかなと考えているところでございます。
 また、それぞれ各大学の取組ありますけれども、地方創生ということで124ページでも様々な取組が行われております。
 また、SDGsということで、125ページの方でいいますと、こちらも各大学の特色・強みを生かして、こちらは大学に閉じず、全国的な観点でのSDGsに資するようなものも多々、多く生まれてきております。
 また、時間の関係で飛ばしますが、129ページということで、各大学の研究力強化ということで、特色・強みを可視化するということでの研究組織のみならず、全学的な研究マネジメントをいま一度研究組織の位置づけも含めて捉え直すような取組も、三重大学でありますとか山梨大学を含め行われているところでございます。
 最後でございますが、こちら、130ページは先導的な研究基盤・連携体制の構築ということで、こちらの研究基盤部会で12期の当初の議論で、この期どういうことをやるかということで御提案いただいた中には、学術研究の進展や国際的な研究動向に応じた、全国的な観点から推進すべき学術研究基盤の整備ということで、その研究基盤の一つに中規模設備がありますが、もう一つの方向性としていただいておりましたのは、研究または技術の発展・継承に向けた、大学の枠を超えて取り組む組織・分野の連携・融合というようなことをいただいております。先ほど様々、コンソーシアムの話とか、大学の枠を超えたところを、人材育成であり技術者の育成でありますとか、研究開発も含めた、研究基盤に関しての大学間の連携の重要性をいろいろ御指摘いただいたと認識しております。そういった中で、運営費交付金の仕組みを通じまして、大学間の研究基盤に関する連携ということも少しずつ進んできているところでございます。例えば右上の北海道大学につきましては、各大学のURAのマネジメントを、北海道大学のみならず、北海道地域全域に広げてネットワークを組んで、道内の大学の研究力向上や大学間の連携の一助にするためのURAのマネジメントを強化するといったことが行われています。また、左側の長崎大学におかれては、感染症に関しての人材を、流動研究者制度等を用いながら、全国の感染症研究者を育成するような基盤にしていくようなマネジメントも始まっております。こういったことで、先ほどヘリウムに関してでありますとか、技術者養成でありますとか研究開発も含め、こういった運営費交付金の中でも、大学間の連携の仕組みを今後の概算要求も含めてもう少し仕組みとして明示して、こういった取組を引き続き御支援できるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以降、あと共同利用・共同研究拠点の拠点の強化、あるいは大型プロジェクトの資料がついております。引き続き、こういった大学の枠を超えたところの予算につきましても取り組んでまいりたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
 
【観山部会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ありましたら挙手をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。学際ハブについては非常にたくさんの応募があって、50件近かったと思うのですが、8件選んだのですけれども、さらに2件、頑張っていただいて、新たに公募ができるということですが、ニーズからいうと、もうちょっと頑張っていただいてもよろしいかと思いますので、事務局、よろしくお願いいたします。
 よろしければ、少し時間は早いのですけれども、これで終了としたいと思いますが、よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、本日の議事は以上になります。
 最後に、事務局から連絡事項等ありましたら、よろしくお願いいたします。
 
【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局でございます。
 次回の会議の日程につきましては、後日、事務局より委員の皆様に御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【観山部会長】  それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうも御協力、御参加ありがとうございました。失礼いたします。
 
―― 了 ――
 

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