研究環境基盤部会(第115回) 議事録

1.日時

令和5年6月27日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 中規模研究設備の整備等に関する論点整理(案)
  2. その他

4.出席者

委員

観山正見部会長、勝悦子委員、井上邦雄委員、井野瀬久美恵委員、関沢まゆみ委員、中野貴志委員、長谷部光泰委員、吉田和弘委員、渡辺美代子委員、森初果委員

文部科学省

森研究振興局長、黒沼大学研究基盤整備課長、柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官、山本大学研究基盤整備課長補佐、その他関係者

5.議事録

【観山部会長】  それでは、ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会(第115回)を開催いたします。委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の会議は、文部科学省のユーチューブチャンネルでの配信という形で、公開での開催といたしますのでよろしくお願いします。
 まず、事務局より、本日の委員の出欠、配付資料の確認をお願いいたします。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局になります。
 本日は、永田委員、原田委員、松岡委員、治部委員が御欠席となっております。
 続きまして、配付資料の確認をいたします。本日の資料につきましては、事前にお送りしておりますが、議事次第に記載のとおり、資料1と参考資料になっております。不備等ございましたら、随時チャット機能などで事務局までお知らせください。
 また、本日もウェブ会議により開催することとしております。委員の皆様におかれましては、御発言に当たってはZoomの挙手ボタンを押していただき、部会長からの指名の後、御発言をお願いいたします。御発言の都度、まず、お名前をお願いいたします。御発言は、聞き取りやすいようゆっくりとお願いいたします。発言されないときは、マイクをミュートにしていただくようお願いします。資料を参照される際は、資料番号、ページ番号など該当箇所をお示しいただければと思います。よろしくお願いします。

【観山部会長】  それでは、本日の議事に移りたいと思います。本日は、中規模研究設備の整備に関する論点整理を行いたいと思いますのでよろしくお願いします。事務局において、これまでの基盤部会の議論を踏まえた論点整理案を用意してもらっていますので、まずは説明をお願いします。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  それでは、資料1を御覧ください。資料1について、前回会議の資料から追加等を行った点を中心に御説明させていただきたいと思います。
 それでは、冒頭2ページ目になりますが、今回、論点整理としておまとめいただくに当たりまして、議論の対象とした中規模研究設備について、記載を追加させていただいております。
 続いて、3ページにあります(2)中規模研究設備の特徴や重要性では、前回の内容をベースに、中規模研究設備について、最先端の研究設備と汎用性が高い先端設備の2つの区分があることを説明しており、前者については、前回、御議論のあった装置開発についても追記しております。
 続いて4ページ、(3)中規模研究設備の整備に関連する制度では、前回の資料とほぼ同じ内容ではございますが、最後に、大型研究設備についてのロードマップ策定に関する記述を追加しております。
 続いて、5ページの(4)大学等における設備整備の課題につきましては、前回の内容をベースとしまして、装置開発を行う人材の育成の問題や整備に関する海外メーカーへの依存についての内容を追記してございます。
 続きまして、6ページからは、検討の方向性として記載しております。これまでの御議論を踏まえて、当面の検討課題と中期的な検討課題に分けてまとめさせていただきました。
 まず、当面の検討事項として、次の3点を記載しております。現行の設備整備に関する予算の枠組みの中で、全国的な観点からの選定など、中規模研究設備の整備の仕組みについて検討することが必要である。今後の中規模研究設備の整備の検討に向けて、まずは我が国における中規模研究設備の整備状況や国際的な動向、装置開発の現状などの調査を実施する必要がある。なお、調査に際して、これまでの国内外の研究動向を踏まえた装置開発や中規模研究設備の整備・運用を行ってきた大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点の取組や事例を踏まえることが考えられる。また、科研費等におきましても、設備購入に当たり、合算使用などの制度を有していることから、中規模研究設備の整備を促進する、さらなる柔軟な仕組みを検討することが考えられる。
 続きまして、7ページでは、中期的な検討事項としてまとめさせていただいております。まず、1つ目といたしまして、国立大学等が策定する「設備マスタープランにおいて、中規模研究設備が明確に位置づけられるよう検討するとともに、複数大学間の連携による整備の仕組みを検討することが必要と考える。また、全国的な学術研究基盤整備の観点から、国において、各大学等における設備マスタープランや今回行う調査を踏まえた戦略的・計画的な整備方針を策定することを検討すべきである。併せて、今後策定する整備方針を踏まえた毎年度の計画的な整備を可能とする安定的な予算の枠組みについても検討を進めることが必要である。中規模研究設備の整備・運用に際しては、研究開発を伴う技術職員の配置や維持・管理費の措置などの課題についても検討が必要である。
 最後になりますけれども、8ページに、設備整備に関連する課題といたしまして、技術職員につきましては、エンジニア、テクニシャン、それぞれの議論がございましたので、それぞれの異なる役割や課題については区分して記載しております。また、装置開発の技術に関して、異分野間・組織間の連携を促す仕組みが必要であることも追記させていただきました。また最後に、機器の利用に際しての課金や共用の方法について、まとめて記載させていただいております。
 事務局からの説明は以上になります。よろしくお願いします。

【観山部会長】  それでは、本日は資料1の論点整理案に沿って、中規模研究設備の整備について、現状と課題と今後の検討の方向性をまとめて御議論いただいて、その後、設備整備に関する課題について御議論いただきたいと思います。
 それでは、まず第1の現状と課題、2、今後の検討の方向性について、御意見がありましたら御発言願います。特に今後の検討の方向性については、前回の会議を踏まえて整理されておりますので、御意見もいただければと思います。
 それでは、どうぞ御意見いただければと思います。
 まず、書きぶりで私が思ったのは、3ページ、丸の2番目、「中規模研究設備は、多様な人材や産業を惹きつけ、世界最先端の研究成果を生み出す源泉となるものであり、学術における大規模プロジェクトは、中規模研究設備を活用した研究からスタートすることが多い」。こちら、別に内容については問題じゃないんですが、「世界最先端の研究成果を生み出す源泉となるものであり」、「また」とか、何か後ろのほうに結局引っ張られそうな気がして、大規模プロジェクトのために中規模計画があるんだという感じではなくて、分野によっては中規模研究設備で世界最先端の研究成果を生み出す源泉となるものであると書いてあるから、そうでもないんですけれども、文章を切ったほうがいいのではないかなという感じがします。ちょっとこれは分野によって全然違うステージなので。大体、最初の2ページ目に、中規模計画としては数億円から数十億円規模の設備群を想定するというふうにありますから、そういうことで分けたほうがいいのではないかなと思います。また、これを見ると理系しか関係しないように思われるかもしれませんけれども、文系においても、例えば考古学における年代測定とか、そういった面ももちろん入ってきていると思いますので、理系に限ったものではないのですが、いかがでしょうか。これに付け足すものもあっていいと思いますし、文章を変えたほうがいいというのもありますし、いかがでしょうか。
 中野さん、どうぞ。

【中野委員】  賛成します。2つの文に分けることに賛成します。そのほうがよいと思います。

【観山部会長】  ありがとうございます。
 重要な点は、枠組みができるかどうかは別としても、調査をして、どういう状況にあるのかということはしっかりと見いださなきゃいけない。6ページの検討の方向性の部分ですけれども、6ページの丸3番です。特に検討の方向性については、前回から書き入れてもらったものが多いです。御意見いただければと思います。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  観山部会長、勝委員と吉田委員から手が挙がっております。

【観山部会長】  では、勝委員、吉田委員の順番でお願いします。

【勝委員】  ありがとうございました。
 私も文言の部分と、それからデータなんですが、以前に、たしか法人化になってから、かなり予算自体、非常に低減したというようなのを見たような記憶があります。やはりデータがあれば、まず、そのデータをいただきたいなというのが1点です。
 それから4ページの(3)の丸ポツの2番目で、過去には予算の枠組みがあったが、現在ではそのような枠組みがないということが書かれているんですが、これはいつ頃どのように変わったかということ、ファクトを教えていただければなと思います。
 それから5ページ目の丸ポツの3番目です。こちら前回もちょっと議論があり、一番最後の文章で、「大学等においては、設備整備について企業との連携にも取り組んでいるが、分野によっては装置開発を行う人材は育成されにくい分野もあり」、何かここ、人材に変わってしまっているんですが、「整備に関して海外メーカーに依存せざるを得ない状況もあり、企業との連携も限定的になっている」というような文言なんですが、こちらについても、何が書きたいのかよく理解できないところがあるので、それについても明記するべきかと思います。前回も議論になったように、これは非常に喫緊の課題であると思うので、これからどのようなステップで改革を進めていくのかということについては、タイムスパンも考えて、今日の議論はここで取りまとめをして、じゃあ、その次のステップは何なのかというところを明確にして、いつ頃までに何をやるかということも考えていく必要があるのではないかなと思いました。
 以上です。

【観山部会長】  どうも、非常に重要な視点をありがとうございます。
 まず、中規模計画に関して、事例は書いてありますけれども、予算のデータについて示すことができますか。事務局。

【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  事務局でございます。
 参考資料の7ページ、今、画面表示しておりますが、以前、御説明した左側のオレンジの領域の部分につきましては、大型プロジェクトと違う枠組みとして、少し小さいんですが、上の白い丸ポツの2つ目の下に、当初予算で、例えば先導的研究設備、高度化設備というような、設備のある程度の規模感に応じた枠組みがあったということは、今お示ししているところでございます。それが法人化によって全てというわけではないんですが、仕組みが変わって、現状ではそういう仕組みが、中規模をターゲットにした枠組みというよりは、もう設備という一元的な補助金になっておりますので、その中で大型プロジェクトも中規模も一応、整備はできる枠組みはありますが、特化したものがないという書き方になっております。一方で、以前、御説明したとおり、大型プロジェクトのマネジメントがきちっと今、進行している中で、その補助金の措置というのは大型プロジェクトに限られている傾向があるという御説明をさせていただいたところでございます。
 以上でございます。

【観山部会長】  まず、勝先生、予算のデータと、それから予算の枠組みについては、今、示されたということでよろしいでしょうか。

【勝委員】  そうですね。制度が変わったのは、それは法人化以降に変わったという理解でいいんでしょうか。この辺のファクトが分かるような書きぶりにしてもいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  書きぶりについては工夫をさせていただきたいと思います。基本的には、補助金自体も法人化によって補助金の名前なども変わっており、枠組みはどこまで精緻に組むかというところが変わっておりますが、法人化によって何か制度が変わったというものではございませんので、その点を含めて書きぶりは工夫したいと思います。
 ありがとうございます。

【観山部会長】  それから5ページの丸3番目、下から4行目、「大学等においては、企業との連携に取り組んでいるが、分野によっては装置開発を行う人材が育成されにくい分野もあり」というのは、大学等において主に物理系においては、研究設備について企業との連携等に取り組んでいるけれども、例えば生命系や、そういった分野については、なかなか機械を実際に作るということがなく、国際的に標準的な機械が承認されないとなかなかついていけないという話を私もしましたし、いろいろな人がコメントされた部分があったと思います。ちょっと文章がよく分からないと思いますので、こちらについて、事務局が整理していただいたほうがいいと思います。大学と分野ということではなくて、主に物理系、生物・生命系というところかもしれません。その分野を明示するのがいいのかは検討させていただきたいと思います。
 それから、最後、今後どうするのかというスケジュールを示すべきであるというのは、これは非常に重要な指摘です。こちらについては事務局、最後の辺に今後のスケジュールのところで示すことができますでしょうか。例えば調査を行っていって、どの程度の期間をかけて、調査の対象はどういうふうにして、それから調査結果を基に最終的な予算の枠組みができるんだったら、その枠組みとかそういうことを、どのように今後進めていくのかというのは、何月ということだけではなくていいと思いますけれども、筋道は最後にしっかりと示しておいたほうがいいと思います。何か一応、報告書案をまとめたんだけれども、それでおしまいということになりかねないので。
 事務局、いかがでしょうか。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局です。
 2の検討の方向性で、当面の検討事項と中期的な検討事項に分けて記載させていただいておりますが、当面の検討事項については、今年度から来年度ぐらいにかけてを想定しており、その当面の検討事項にあります調査の内容を踏まえまして、中期的な検討事項を検討するということを考えております。中期的な検討事項につきましても調査内容を踏まえてということなので、具体的に何年ということを、今、明示はできないんですけれども、速やかに検討を進められればと考えております。
 まず、当面としまして、今年度、現行の予算の枠組みの中で対応できることを検討することと、調査を実施することと、それから科研費の柔軟な仕組みの検討ということを早期に進めたいと考えております。
 以上です。

【観山部会長】  では、その最後の当面の課題、約1年以内に調査と科研費とそれからもう一つ、それを書き加えて、それを踏まえて中期的なものを示すというふうな箇条書にするような形にしてもらえればと思います。
 吉田先生ですが、中野さんの関連ですか。

【中野委員】  はい、関連でございます。

【観山部会長】  どうぞ。

【中野委員】  勝委員がおっしゃったタイムスケジュールについて、当面と中期的というところなんですけれども、今、事務局の御回答を聞きまして、もうちょっと早めていただけないかというのが意見でございます。もちろん、拙速は避けなければいけないんですが、現場というのはかなり困っております。調査に1年、2年かけて、それから検討して、3年、4年で新しい制度ができるということですと、もう現場は疲弊してしまうのではないかと思います。もう少し早めていただけないのかなというのと、それから当面のことを検討しながら中期的なことも同時に検討できるのではないかと思います。せっかくここでいろいろと検討事項というのを、検討の方向性というのが現部会で出てきたわけですから、そういうことも議論を始めて良いのではないかなというのが意見です。
 以上です。

【観山部会長】  今の御意見、いかがでしょうか。
 私ももう少し、確かに事務局が言われたよりは早くしないと、なかなかこの意見のまとめの効果が見えなくなるんじゃないかという心配があります。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】 
 事務局としても、調査の結果を全部踏まえてから中期的な検討というよりは、調査と並行してできることは進めていきたいと思っておりますし、当面の検討事項の中でも当然、中野委員がおっしゃるように中期的なことも考えながら検討する必要があると思いますので、そこは並行して考えたいと思っております。まず、当面の検討事項については、具体的に1年程度で実施したいと思いますが、それ以外についても並行して検討を進めていきたいと思います。

【観山部会長】  非常に積極的な御回答をしてくださっています。
 それでは、吉田先生、どうぞ。

【吉田委員】  ありがとうございます。
 私は、先ほど来、問題になっておりました安定的な予算の枠組みというところで確認の質問ですが、6ページの当面の検討事項というところの最初の丸のところを見てみますと、今、事務局のほうからもコメントがありましたが、「現行の設備整備に関する予算の枠組みの中で」というのが気になっておりまして、これは現行の予算の規模の中で整備を行うことになったときには、その他の大規模フロンティア事業とか大学の基盤的設備の整備、こういうところに極めて大きな影響を与えるのではないかと危惧しております。ですから今回のこの文言のところには、予算の規模についてというのはあえて触れていないという認識でいいのか、いかがでしょうか。

【観山部会長】  事務局、どうでしょうか。

【吉田委員】  これは私どもとすれば、今までの枠以外にプラスアルファ、アドオンした形の予算を組んでいただけると非常に助かるかなと思います。難しいでしょうけれども。

【観山部会長】  これ、この前からあるとおり、大規模フロンティア事業に関しては、往々にして全国の大学、これは国公私立も含めて、例えば措置だとか、プロジェクトだとか、とにかく全部が関係して1個だけというようなものに関しては、フロンティア事業ということで選定をして、そしてロードマップを作っているわけですが、中規模研究設備に関しては、1つの大学や複数の大学、それから共同利用研究所、共共拠点とかという形になりますので、法人化された場合に、例えば岐阜大学からのいろいろな順位が出ていくのにもかかわらず、何か割と下のほうの順位のところにポンとつけるというのはなかなか難しいので、それが「予算の枠組みの中で」ということではないかと思いますが、それは単純になかなか壊せない法人化というものですので、それをどうやってうまくやるのかというのは、検討することが必要であるけれども、非常に難しいと思います。
 事務局、私の説明で間違っていないでしょうか。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  ありがとうございます。
 今年度できるかどうかは別として、今、吉田委員、それから部会長がおっしゃられたことも検討していきたいとは思っていますが、今年度に関しては、既に各大学から予算調書も取ってしまっているので、例えば複数大学で共同しての予算要求を受け付けるべきだという御提案もいただいていましたが、今年度やるのは厳しいかなという意味で、今年度については、既存の予算の仕組みを使いつつ、その中で何かできないかというのを今年度もやっていきますというのを当面の課題として書いたつもりでございます。

【観山部会長】  そういう意味ですか。当面課題だという。検討。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  そうですね。新しい予算枠のようなものについては中期的なところに、支援の方法、安定的な枠組みについて検討を進めると書いていますけれども、これは、正直どういう予算要求ができるのかというのは、その年の財源の空き状況によりますので、そのタイミングを見ながらということにはなるんですが。そちらについては、今年度かどうか分かりませんけれども、検討していくということで、中期的なところに書かせていただいたという、そんな実情でございます。

【吉田委員】  承知しました。

【観山部会長】  調査をして、特に日本では、1大学ではなかなか厳しいけれども、近隣の大学が協力して、ある最先端装置を入れれば、国際的に非常に競争力が高くなるとかいうような調査結果。だから、今はそれができていないから、なかなか最先端研究ができていないというような調査結果があれば、そういったことも踏まえて、何らかの予算措置というか予算の要求の仕方みたいなものができないという状況になる可能性もある。しかし、当面のという、今、今年度の状況では、それはもうなかなか、そういう調査結果もありませんので、それは難しい。
 長谷部さん、どうぞ。

【長谷部委員】  前回の議論でもありましたが、学際ハブというのが、何かこのプログラムと一緒になるといいなという話があったと思いますが、文科省としては、学際ハブを例えば拡張するといった方針、今もう、今のままの学際ハブの予算枠でずっとこのまま続けていくというお考えなんでしょうか。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局です。
 学際ハブの予算につきましては、今年度予算の編成の過程で要求額からは規模が小さくなったということはありますけれども、事務局としては今後もこの取組を活性化するために引き続き充実を図りたいと考えております。
 今年度の事業については、現在公募中で、今月末に締め切り、その後、審査を行う予定となっています。今後のこの部会においても、学際ハブの事業をどのように発展させていくかということについて御意見をまた別途いただきたいと考えております。

【長谷部委員】  ぜひよろしくお願いいたします。

【観山部会長】  今年度に公募しているのは、額が少し予算要求段階から縮小されて、コーディネーションに係る事務経費、人材を雇用するような予算だったらできるような状況なんですけれども。やはり、学際的なもので新しい、非常にうまい装置、それこそ中規模レベルの装置を入れて、どんどんそういう分野を発展させようということにはちょっとなかなかできない形になっているので、そこら辺はぜひ、我々の委員会の指示も踏まえながら、ぜひ頑張っていただければと思っています。
 まず、渡辺委員、よろしくお願いします。

【渡辺委員】  ありがとうございます。
 5ページ目の3段落目の話に戻って大変恐縮なんですけれども、1つは、皆さんがおっしゃっていたように、「設備整備について企業との連携も取り組んでいるが」というところは、やはり「一部」というふうに書いていただいたほうがいいと思います。
 その次のところで、「分野によっては装置開発を行う人材が育成されにくい分野もあり」ということで、前回、生物系と物理系では随分違うというお話はありましたが、物理系でも、やはりこの問題は抱えていると思うので、この書きぶりだと、分野によっては、もう全然問題ありませんとも捉えられるので、そうでなくて、程度の差は分野によってあるけれどもというような形に書いていただいたほうがいいと思います。
 それから、この書き方だと、人材が育成されにくいから企業との連携も限定的になっているという原因と結果のようになっていますが、考え方によっては、やはり装置開発企業との連携が弱いために人材も育成されにくいという関係もあると思うので、原因と結果よりも、その2つの課題がありますというふうに書いていただいたほうが分かりやすいのではないかと思います。
 それから、そちらに関係して、8ページ目なんですが、8ページ目の最初のところで技術職員について書いてあり、それはとても重要なことだと思いますが、次の2つ目の、「また、装置開発を行う習慣のない研究分野」というところで、こちらも、やはり産学の連携が十分にできていないということがすごく問題であり、特に装置メーカーとの連携がもっと強くなれば、本当に日本の装置メーカーも強くできるし、研究自体も非常に強くなるという議論があったと思いますので、そういう書き方にしていただいたほうが、これまでの議論を反映していただくことになると思います。
 以上です。

【観山部会長】  最後、非常に重要な指摘かと思います。産学の連携が少ない分野というのは、これは歴史的なものなんでしょうか。

【渡辺委員】  歴史的なものもあるし、分野の特性もあります。例えばこの間も、生物系の方は、やっぱり装置開発だとか、そういうのがあまり得意でない方が多いとか、そういう特性もあるとは思うんですけれども、歴史的に、昔は結構、産学連携で装置開発も一緒にやってきたものが、今はやはり弱くなりつつある、昔よりは。そういうのもあると思うので、そこをもう少し強化していただくことも1つの課題ではないかと思います。

【観山部会長】  ありがとうございました。
  関沢委員、お願いします。

【関沢委員】  では、先に失礼いたします。
 先ほど学際ハブの話が出たのですが、やはり学際ハブ、今、公募しているのは10年間ということでありますが、そして今年度はやはり人件費が主になっていくのかなと思っているところです。やはり中規模設備などを、設置していただかないと、なかなか学際ハブという理想に近づけないのではないかなということは思っているところです。今この当面の検討事項を見ましても、若干スピード感のない課題が並んでいますので、何か新しい中ででも、そういった設備の予算をつけられるように何とかできないかなというようなことを考えたところです。
 以上です。

【観山部会長】  非常に重要な視点だと思います。なかなか予算の要求の結果、そういう状況になったので、もともと文科省としては、中規模施設ができるような提案として出していたんですが、やっぱりしっかりとした調査とかを踏まえた予算要求をしていただいて、確保するという必要があるかと思います。まず、ハブをつくろうというものには人が要るだろうと。確かにそうです。コーディネーションする人が要るということは事実ですが、それだけで何か物ができるかというと、それはなかなか難しいという状況が分かっていただかないと困る状況です。ありがとうございます。
 森先生、どうぞ。

【森専門委員】  ありがとうございます。
 3ページのところに中規模研究設備の重要性が書かれていると思います。「多様な人材や産業を惹きつけ、世界最先端の研究成果を生み出す源泉となる」ということですけれども、そこには次世代の人材育成の重要性ということをしっかり言及したほうがいいのかなと思いました。やはり人材育成にとっては、最先端の研究をしながら大学では人材育成をしているわけで、そのところで研究環境が整って、中規模設備が整い、最先端の研究ができるような環境が整ったときに、やはり次世代の学部生、大学院生、それから若手研究者が育っていく。それは日本にとってはとても重要なことであるということで、やはり教育というか、次世代育成というか、そういうところがつながってくるということをもう少し強調してもいいのかと思いました。
 以上です。

【観山部会長】  ありがとうございます。それはぜひ適切な形で入れていただいて。
 一応、現状と課題、それから今後の検討の方向性でお話しいただきましたけれども、最後にその他、何かございますでしょうか。
 人材育成というと技術者の育成、エンジニアとテクニシャンの育成というのは非常に重要な課題であって、我々のほうからもぜひ強調したいところですが、人材育成は別の委員会で議論しているところもあり、こちら側だけの意見でというのはなかなか済まないようですので、少し軽めに書いてあるんではないかと思います。
 最後に、渡辺先生が言われた、産業界との連携が非常に少ない。それから、特に戦略的に日本の産業とかという観点で言うと、医療機器についても、生命ゲノム解析機器だとか、割と大量に出ているものが、外国製を結構使っているという現状があって、非常に、何かゲノムに関しても、日本の研究者が最初の時期は頑張ったんだけれども、結局、製品化でいくと海外のメーカーに独壇場を握られていると。結構それが大量に必要だというような状況を見ると、それを今から挽回することは難しいと思いますが、今後新しい状況の中で、いろいろな分野で産業との連携というのがもう少しできないかなという感じがありますが、これはなかなか難しいんでしょうか。私は専門ですが、専門も最近、物理に近くなって、観測装置なんかはほとんど、自分たちで作らないと世界最高のものができないとかいう形で、工場とか開発センターなんかで作っているわけなんですが、随分以前は、望遠鏡とかそういうものは買ってきていたんです。カンサイとかという国際的なメーカーから。一部、今でも非常に購入しているものもありますけれども、どこかがやり出さないことには、なかなか現状は変えられないんじゃないかなという。
 中野さん、手が挙がっておりますね。どうぞ。

【中野委員】  この部会で議論すべきことかどうか分からないんですが、やはり欧米と比べて日本が弱いのはVC、ベンチャーキャピタルだと思います。スタートアップを立てろという号令はあるし、それからスタートアップを立てるためのギャップファンドとかそういうのも大学で整備されてきているんですが、立てた後、ハンズオンで育てるという仕組みがきちんとできていないので、大体、志半ばで諦めるとか、うまくいかないということが非常に多いような感じがします。ただ、アカデミアだけでなくて、産業界だけでなくて、そこをつなぐ部分ですね、そこの強化というのが非常に重要ではないかと感じます。
 以上です。

【観山部会長】  ありがとうございます。
 渡辺さん、どうぞ。

【渡辺委員】  ありがとうございます。
 今、中野先生の御発言に賛同する意見ですが、本当におっしゃるとおり、やはり測定装置に関しても、ベンチャーキャピタルを育てるようなことをしていかないと、なかなか新しい装置というのも開発されないので、やはりそこがすごく重要ではないかと思います。日本の大学発ベンチャーで成功しているところを見ると、ほとんどソフト系で、要するに設備投資しないでうまくいくようなところはいいんですが、そうではないところがなかなか伸びていかないので、やはりそこは国としてきちんと支援していく。そういうことは本当に若い人たち、大学から出ていく若い人たちの育成にもつながるので、そこがすごく大事ではないかと思います。
 以上です。

【観山部会長】  海外、アメリカ、ヨーロッパではどうやっているんですかね。ベンチャーキャピタルを育てるようなファンドみたいなものがあるんですね。もちろん日本にもありますけれども、なかなか……。それこそユニコーン企業。
 中野さん。

【中野委員】  欧米のVCというのは、まず資金を市場から入れていて、日本の大学にあるVCというのは国から資金を得ていますけれども、まず民間から大量の資金を得ていて、その上で、VCが、もう大学を回っています。いろいろな先生のところに回って、シーズがないかというのを常にウォッチして、あれば、それを、どういったらいいか、企業化するためのCEOとか、そういうのも全部連れてくるというのが普通になっています。日本の場合は、シーズを持っている先生が、そのまま立ち上げないと、誰も手を挙げないというような状況になっているので、やはりそこのところは、CEOを見つけてきて、送り込んで、ハンズオンで育てるというVCがたくさんいるという状況が全然違うと思います。
 それは、国の施策で、そこを強化できるのかどうかというのは分からないですが、そこを強化しない限り、研究者とそれから経営者というのを両立させるというのはスーパーマンじゃないとできないので、イノベーションといって力を入れれば入れるほど、基礎の力も落ちてしまうということになりかねないので、そこの強化というのは本当に大事だと思います。
 以上です。

【観山部会長】  私が言うと、別の方向に引っ張っていますけれども、現状、確かにアメリカに近いラインでは、非常にそういう、民間の投資家が大学のいろいろな発表会に出て、これはいけそうだといったら、随分、数社というか数人から金が入って、1億、10億ぐらいは簡単に入って、それでやらせてみるという感じがありますよね。そういう風土がやはり日本には、企業はすごく1990年ぐらいからシュリンクしているので、なかなかそういう企業というか人がいないんでしょうね。お金は結構あるんでしょうけれども。
 ほかに、この現状と課題、それから今後の方向性について、大体よろしいでしょうか。
井野瀬先生、どうぞ。

【井野瀬委員】  冒頭で観山先生が触れていただいたんですが、文系、人文学・社会科学、無関係じゃないよというふうに言ってくださったんですが、やはり、どこか置いてけぼり感というか、ついていけない感というか、それが何だろうということを考えることが、ひょっとしたら重要かなと思いました。先ほどから、先生もゲノム解析とか1つ事例を出されましたけれども、ゲノム解析が、奴隷貿易の1つの過去と大きくつながって、人の移動ですね、奴隷貿易をはじめとする人の移動とつながって、すごく分析されているのが、今、欧米の状況でして、それが各企業のリスク管理とも関わって、歴史的な、今いろいろ世界で噴出している文化財の問題も含んだリスク管理、今まで問題にならなかったようなことを考えないといけない。過去が突然飛び出してくるというような状況において、ゲノム解析であるとか、あとは気候変動とかそういうの、様々なビッグデータが文系とうまく手を結んで、研究展開していっているというのがあるわけです。そのソフトなどでも、大学が連携して、例えば奴隷の航海という、slave voyageというのがアメリカの大学連携ですし、あるいはレガシープロジェクトというのがイギリスの連携でやっているんですが、そういった大きな話に、現代の様々なリスク、社会課題を実は解決していくという大きなところに、人文学・社会科学も引っ張り上げていくようなことが、今回のこのテーマの中にもないと、私が感じている、そして何かできないかなとずっと考えているような、そういう刺激にこれがなってくれればいいなというふうに、どこかそういう機材を使うのは、自分たちと違うと思っているところがあるんですが、そうではないというところに入る余地を少し入れていただくような文言的、あるいは想像できるような事例などがあればなと思いました。
 以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。
 多分、書いてはいないけれども、理系中心の話と取られると、人文学・社会学の先生方は、関係ないなと思われるのが非常にあるので。分かりました。先生が言われる点は、少しどこかにうまく触れられたらいいと思います。
 ありがとうございました。
 フロンティア事業でも国文研を中心とした古典籍の大きなプロジェクトも走りましたので、ぜひ日本の文系、社会学系の分野もほかと連携して、学際ハブの話が出ましたけれども、ぜひそういう文系とデータ解析だとか、そういう部分は随分期待しているところです。なかなか人の予算ぐらいしかつかなかったということで、ちょっと残念ですが。今後、それは頑張っていただきたいと思います。

【井野瀬委員】  よろしくお願いします。
 何かこういう機会に、ともかく入れ込んでいくというか、自分たちと関係しているというところに、少し意識していただけると入りやすいかなとも思いますので、よろしくお願いいたします。

【観山部会長】  そうですね。
 調査をお願いするのに、この前、最初に来ていただいた協議会とか、そういうふうな中にも投げたと思います。そういう中には人文系・社会学系の研究所もありますので、そういうところからぜひ、そういう具体的なデータとして挙げていただければと思っております。
 ありがとうございました。
 ほかには。勝先生、どうぞ。

【勝委員】  1点だけ。先ほどの論点整理なんですけれども、これは対外的に公表されるんでしょうか。もし対外的に公表されるのであれば、先ほどのデータとか、やはりそういったものは入れておくべきなのではないかと思いますが、こちらの取扱いを教えていただければと思います。

【観山部会長】  事務局、お願いします。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局です。
 今回、この部会で論点整理をまとめていただけましたら、事務局において文部科学省のホームページなどで公表したいと考えております。その際に、本日、参考資料でも配付しておりますけれども、関連するデータなども参考につけた形で公表できるようにしたいと思います。

【勝委員】  ありがとうございます。

【観山部会長】  だから本文のほうにも適切な形で参考資料のデータ、先ほど勝委員が質問された予算のデータだとか、それから予算の枠組みなんかについては、先ほど山本さんが説明されたような部分を参照してもらうようなところをつけておいたほうがよろしいですね。実際、そうしないと、何がどうなのかなかなか分からない人が多いと思います。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 今日は、2時間取っていますけれども、時間が早く終わってもいいのではないかと思っておりますので、もしもよろしければ、また何か思いつかれたところがありましたら、事務局のほうにメールで言っていただければと思いますが。
 それでは、今回はたくさんの御意見をいただきましたので、本日いただいた意見については、部会長、私のほうに一任していただければと思います。事務局とよく相談いたしまして、整理ができ次第、それをまた委員の方々にお送りさせていただきますので、また、それに御意見があれば反映させていただきたいと思いますので。
 以上で、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に、今後のスケジュールについて事務局から連絡をお願いいたします。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  事務局です。
 本日は、ありがとうございます。次回の基盤部会の日程につきましては、後日改めて事務局より調整させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【観山部会長】  それでは、大分早いですけれども、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうも御参加いただきましてありがとうございました。どうぞ御退室いただければと思います。
 
―― 了 ――
 

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研究振興局大学研究基盤整備課

企画指導係
電話番号:03-5253-4111(内線4169)

(研究振興局大学研究基盤整備課)