研究環境基盤部会(第112回) 議事録

1.日時

令和5年4月18日(火曜日)16時~18時

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 部会長及び部会長代理の選任について(非公開)
  2. 第12期研究基盤部会における作業部会の設置について
  3. 第12期における調査審議事項について
  4. 全国的な観点からの学術研究基盤の整備について
  5. その他

4.出席者

委員

観山正見部会長、勝悦子委員、原田尚美委員、井上邦雄委員、関沢まゆみ委員、治部れんげ委員、永田敬委員、中野貴志委員、長谷部光泰委員、吉田和弘委員、渡辺美代子委員、森初果委員

文部科学省

森研究振興局長、奥野大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、黒沼大学研究基盤整備課長、柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官、山本大学研究基盤整備課課長補佐、高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【観山部会長】  それでは、改めまして、第12期研究環境基盤部会の第1回の開催に際して、部会長・観山より一言御挨拶申し上げます。
 今期、部会長を引き受けることになりました観山でございます。どうぞ、皆さま、よろしくお願いいたします。
 当部会は、国立大学がそれぞれ法人となって、大学同士が連携することもありますけれども、競争過程にあるという状況の中で、当部会は、大学共同利用機関や共同利用・共同研究機関を支援する、つまり、ある意味で大学が縦のラインだとすると、横串である、コミュニティを支援するということをいろんな形で行っているところでございます。
 それぞれの研究者は各大学に所属しているということも非常に重要なことだと思いますけれども、共共拠点とか、大学共同利用機関を中心に、研究者コミュニティに所属しています。そういう中で研究を推進するといった、大学を超えた研究者の仲間で研究を推進するということが多くの場合見られるのではないかと思います。そういうことで、当部会の役割は、全国の研究者にとって非常に重要あります。
 国立大学と言いましたけれども、公立大学、私立大学についても、特色ある共共拠点のような形で支援しておりますので、どうぞ、委員の皆様、御協力いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局の文部科学省より御挨拶をいただきたいと思います。森研究振興局長からよろしくお願いいたします。

【森研究振興局長】  研究振興局長の森でございます。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、この委員をお引き受けいただきまして、また、会議に御参加いただき、誠にありがとうございます。
 我が国が世界の知を先導し、人類社会の発展に貢献し続けていくためには、大学・大学共同利用機関などの研究機関における研究力の向上が急務となってございます。
 こうした状況を踏まえまして、前期のこの研究環境基盤部会におかれましては、大学共同利用機関及び総合研究大学院大学によります大学共同利用研究教育アライアンスの発足に向けた取組や、発足後の進捗状況等についても御意見をいただいたところでございます。
 現在、我が国の研究力の相対的な低下が指摘される中で、その強化に向けましては、研究基盤の整備など課題が多くございますが、こういった課題に対しまして、一つ一つ丁寧に解きほぐしながら対応していく必要があるかと思っているところでございます。
 今期では、大学共同利用機関の今後の在り方や、学術研究の進展や国際的な研究動向を踏まえた科学技術・学術研究基盤の整備に向けて、さらなる検討をお願いできればと考えております。
 委員の皆様方におかれましては、多大な御負担をおかけすることになるかと思いますけれども、ぜひとも大所高所から御意見、御指導賜ればと思っております。何とぞよろしくお願い申し上げます。

【観山部会長】  森局長、どうもありがとうございました。
 続きまして、第12期の本部会の審議に当たり、特定の事項について調査審議を行うための作業部会の設置についてお諮りしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  それでは、資料3を御覧ください。
 第12期の部会におきましては、第11期と同じく、3つの作業部会を設置したいと考えております。共同利用・共同研究拠点等に関する作業部会と学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会、また、国立大学法人運営費交付金等に関する作業部会の3つの作業部会になります。
 まず、共同利用・共同研究拠点等に関する作業部会におきましては、共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点につきまして、我が国における独創的・先端的な学術研究の推進を図る上で、共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点の制度に関することや、当該制度に基づく認定・評価について、専門的見地から調査審議を行っていただきたいと考えております。
 続きまして、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会におきましては、学術研究の大型プロジェクトについて、我が国における独創的・先端的な学術研究の総合的な推進を図る上で、中長期的な視点も含めた計画的な推進を図るための方策に関して、専門的見地から調査審議を行っていただきたいと考えております。
 3つ目の部会としまして、国立大学法人運営費交付金等に関する作業部会におきましては、運営費交付金等につきまして、我が国における独創的・先端的な学術研究の推進を図る上で、その配分等に関して、専門的見地から調査審議を行っていただきたいと考えております。
 事務局から説明は以上になります。

【観山部会長】  ただいまの説明に関して、何か委員のほうから御質問がありますでしょうか。
 前期から引き続いての作業部会という形でございますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、作業部会の設置については、原案どおりでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【観山部会長】  どうもありがとうございます。
 なお、各作業部会の委員及び主査については、運営規則第4条第3項及び第4項により、部会長である私のほうから指名させていただくことになっておりますので、委員及び主査をお願いする方々には、後日、事務局を通じて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、本部会の調査審議事項について諮りたいと思います。
 今回は第12期初めての会議ですので、併せて、大学等における研究環境の現状について、事務局より説明をお願いしたいと思います。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  それでは、第12期における調査審議事項について御説明いたします。資料4を御覧ください。
 この基盤部会の審議事項といたしまして、前期の部会におきまして、左の赤枠の部分の論点が示されております。1点目につきましては、次期の大学共同利用機関の検証の在り方について、2つ目につきましては、全国的観点から推進すべき学術研究基盤の整備についてとして、我が国全体のバランスを踏まえた中大規模の設備整備、研究又は技術の発展・継承に向けた、大学の枠を超えて取り組む組織・分野の連携・融合、これらをマネジメントする専門性の養成・確保等が挙げられております。
 左の2つの論点のうち、1点目につきましては、検証の周期が中期目標期間(6年間)とされており、前回の検証は令和2年度に実施いただいたところです。このため、今期の研究環境基盤部会においては、まず2点目の論点について審議を行っていただいてはどうかと考えております。また、このほか、この部会において取り上げるべき論点がございましたら、御意見を頂戴できればと考えております。
 続きまして、次のページに、作業部会の論点を挙げさせていただいております。左の赤枠の部分につきましては、先ほどと同様、前回の部会の資料から抜粋したものでございます。国立大学の共同利用・共同研究拠点の中間評価と新規認定について、また、次期ロードマップの策定方針に基づく公募と新たなロードマップの策定、マネジメントに基づく学術研究の大型プロジェクトに関する進捗管理及び所要の評価について挙げていただいております。共同利用・共同研究拠点につきましては、公私立大学についても含めまして、全体として御検討いただきたいと考えております。また、ロードマップ等につきましては、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会において御検討いただきたいと考えております。また、このほか、運営費交付金等に関する作業部会において、予算配分の方針等について御検討いただければと考えております。
 上記のほかに、検討を行うべき論点がございましたら、また、各作業部会での検討に際して、特に留意してもらうべき観点、事項等がございましたら、御意見頂戴できればと考えております。
 説明は以上になります。

【観山部会長】  ありがとうございます。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  それでは、続きまして、この調査審議事項の基礎資料となる情報につきまして、事務局から説明させていただきます。

【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  それでは、資料に基づきまして、13ページ以降でございます。大学等における研究環境の現状ということで、先ほど部会長からもありましたように、大学における枠を超えた横串の部分を中心にということで、研究体制の部分と、研究基盤としての研究設備の部分につきまして、現状の説明をさせていただきます。
 まず、16ページでございます。これまでも、学術分科会や当部会において御議論いただいております。これからの学術研究の推進に向けてということで、(2)で大学・大学共同利用機関の枠を超えた知の融合の推進ということで、共同利用体制の重要性でありますとか、また、真ん中のところ、2、学術研究組織の面におきましては、1つ目、各大学が主体的判断に基づき実施するのが原則としつつも、2つ目、国全体の学術研究の発展の観点から必要な中核的拠点となるべき研究組織については、内外の研究動向や研究者コミュニティの意向を踏まえ、学術政策として重点的に支援を行う必要があるということで、各大学単位でのマネジメントの部分と、それと両輪として、大学の枠を超えた研究組織や基盤についての御意見をいただいているというのが現状でございます。
 そういった中で、17ページで、学術分科会におきましても、平成27年に、そういった横串の部分につきましては、一方で、大学改革が進む中で、共同利用・共同研究という個々の大学の枠を超えた取組が積極的に評価されにくい状況にあるといった御意見もいただいているところでございます。こういったところを背景に、本日、全国的な観点からの学術研究基盤について御議論いただきたいと考えております。
 18ページ以降でございますが、共同利用体制の全体像として、大学共同利用機関法人や共同利用・共同研究拠点を中心に、そのシステムを維持・運営していただいているところでございます。
 20ページでございますが、大学共同利用機関法人については、4法人、17の共同利用機関が設置されており、貴重な研究資源やいろんなデータ、大型の研究設備等を有しておりまして、全国の研究者の研究基盤として、研究の体制の基盤として裨益しているところでございます。
 具体的には、21ページで4法人の構成でありますとか、22ページの大型施設・設備等があります。特に利用につきましては、多数の大学の研究者から活用され、研究力の基盤として機能しているという状況でございます。
 また、23ページには、こういった全国の日本地図の中にいろいろ拠点があり、各所で設備やデータ等で、研究のハブとなって機能しているという状況でございます。
 また、24ページでございますが、共同利用機関法人の活動実績として、右上にありますように、TOP1%の論文やそういった国際共著率といった点も全国平均より上回っておりまして、そういった意味でも、研究力を有した形で様々な研究を進めているという状況でございます。
 また、25ページ、総合研究大学院大学につきましても、大学共同利用機関の施設・設備等を活用しつつ、博士課程の学生の指導を行っておりまして、そういった人材育成にも機能しているという状況でございます。
 また、26ページでございます。これは前回の基盤部会でも議論いただいておりました、大学共同利用研究教育アライアンスについても、様々な異分野融合のシステム、大学院教育や、業務・運営の効率化といったところで、全国の大学に裨益するような形で機能するべく、検討が進んでいるところでございます。
 また、27ページ、28ページにつきましては、大学共同利用機関の検証ということで、各大学共同利用機関が学術研究の動向に対応して、大学における学術研究の発展に寄与しているかどうかということを定期的に検証するということで、令和2年度に行ったものです。29ページでございますが、その結果としては、自己検証のとおり、大学共同利用機関として備えるべき要件に照らして十分な活動を行っていると認められるということで、引き続き、その機能を十分に全国の研究者に発揮いただきたいというところでございます。
 次に、共同利用・共同研究拠点につきましては、31ページで、文部科学大臣認定に基づきまして認定しているところであり、基盤部会でも御議論いただいております。現在では、単独型のみならず、拠点間のネットワークを認定するような拠点ネットワークや大学以外の研究施設を取り入れた連携施設の仕組みもできておりまして、こういった仕組みについては、システムとして様々な形が、この基盤部会の御意見をいただきながら制度設計されているところでございます。
 また、具体的に、32ページでございますが、今、大体全国に国公私立大学で100拠点ぐらいありまして、様々な特色・強みが、こういった拠点として活動いただいているところでございます。
 また、33ページには、様々な大型施設から、後ほど議論します中規模クラスの設備まで、様々な設備や研究資源がありまして、こういったものを全国のコミュニティに利用していただいて、研究を支えているという状況でございます。
 また、活動状況につきましては、34ページにありますように、研究成果でいう論文数でありますとか、研究者の受入れや、そういった海外の研究機関との関係でいきますと、活動は非常に伸びておりまして、そういった意味でも、研究力の一環としても非常に機能しているのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、36ページ、研究力の一つのメルクマールとして、例えば、科研費の獲得であるとか論文数を見ましても、その構成員に比して、全国の各大学自身のいろんな外部資金の獲得でありますとか、研究力のハブとして機能しているのではないかというようなデータも出てきておりますので、こういったところも分析しつつ、共同利用の体制の機能について御議論いただければと思っております。
 次へ行かせていただき、40ページからは、大型プロジェクトということで、先ほど作業部会で次期のロードマップという話もありましたが、42ページで、今「ロードマップ2020」というのができており、2023に向けて、作業部会で御議論いただくということになっております。
 現在進めている取組が44ページにありまして、このような事業を今大型プロジェクトとして、ロードマップを踏まえながら推進しているところでございます。
 45ページは、次期ロードマップの検討ということで、今策定方針ができ、今後、公募に向けて議論が始まるという状況でございます。
 それらを伴って、予算はどうなっているかということで、46ページ以降が、主に運営費交付金等の予算の仕組みについてでございます。
 49ページでございます。こちらが運営費交付金の全体像になっておりまして、大きく基盤部会に関わりますのが、大学の枠を超えた機能として、右にあります共同利用・共同研究拠点の活動に対する支援の部分でありますとか、その下の学術フロンティアということで、大型プロジェクトに対する支援がある一方で、真ん中のところ、主に大学のマネジメントに関係するところでございますが、大学の教育研究組織の改革に対する支援や、教育研究基盤の設備ということで、設備に関係する、そういった予算の枠組が今現状あるという状況でございます。
 また、研究組織の整備につきましては、特に51ページや52ページで事例が出ております。各大学のマネジメントの中での研究組織整備もあれば、大学間の連携による各分野の底上げのような、ネットワークのような取組も増えておりますので、そういったところも、この基盤部会のミッションに照らして御議論いただければ幸いでございます。
 今度、設備に関して特に話をさせていただきますと、55ページ以降が、学術研究設備の整備・運用というところになります。
 56ページが、先ほど運営費交付金の中の仕組みで申し上げた、大学のマネジメントに基づくような教育研究基盤の設備ということで、教育、研究や、障害学生の学習支援でありますとか、大学の教育研究基盤となるような設備の支援の枠組がございます。
 一方で、補助金の部分になりますが、そういった大学というよりは、次のページでございますが、施設整備費補助金という枠組により、先ほどの学術の大型プロジェクトでありますとか、そういった部分の一定の規模の大きなものの設備については、こういった補助金の枠組で現在支援をさせていただいているところでございます。
 こういった中で、大学のマネジメントに関しての設備の部分につきましては、58ページで、その設備のマスタープランでありますとか、昨今では、各大学の中の研究設備を共用して効率的に運用しましょうということです。59ページ、研究設備・機器の共用推進に向けたガイドラインというものを国から示しておりまして、今年度の3月までに、各大学がこのガイドラインに基づいて共用の方針をつくるということにもなっておりまして、各大学においての研究設備のマネジメントはより進んできているという状況でございます。
 説明は以上になります。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。
 あらかじめ送られていた資料とはいいましても、結構大部になりますので、今の短時間の説明では、特に今回から参加された委員にとっては、全体像を理解するのはなかなか難しいと思いますが、何か御意見や御質問がありましたら受けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ございませんでしょうか。
 大学共同利用機関とか、共同利用・共同研究拠点というのは、我が国のユニークなシステムでありまして、以前は附置研とかと呼んでいましたし、それが大きなものは大学共同利用機関になったんですけれども、最初に申しましたとおり、大学の枠を超えた研究者を支援する仕組みということです。先ほどの例にもありましたけれども、大学共同利用機関では24ページ、共共拠点では34~35ページで、実際に論文数とか見ても、そういう支援は結構うまくいっているということが分かると思います。
 この委員の中にも大学共同利用機関や共共拠点の先生もたくさん参加しておられると思いますので、後で一人ずつ御意見や自己紹介いただくところもありますが、よろしいでしょうか。
 
中野委員、どうぞ。

【中野委員】御説明ありがとうございます。
 昨今の動きとして、やはり大学間の競争がかなり激化しているのかなと。大学ファンド、国際卓越研究大学であったり、それから、地域の中核大学では、大学独自の計画によって、優れているところには重点的に支援するというような、そういう取組みが増えてきているんですけど。うまく横串を刺す政策とバランスを取らないと、せっかく今機能している共同利用・共同研究拠点のシステムであるとか、大学間の連携であるとかいうものが弱まるのではないかと危惧します。個人研究においても、競争的資金と基盤的経費のデュアルサポートが重要というのが指摘されていますけど、組織面でも、いわゆる横串の部分と大学レベルでの支援というもののバランスが非常に重要ではないかと思います。その点はどのように対応していかれるつもりかということを聞きたいと思います。

【観山部会長】  事務局、いかがでしょうか。

【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  次の議論にもつながるお話かと思いますので、先ほどの、いろいろこれまで基盤部会や分科会のほうでも、大学の中で考えるべき視点と両輪で、共同利用とか、そういう横串の部分も必要だと言われております。そういった部分で、先ほどの研究組織の面や、これから議論させていただく研究設備の面、そこの部分をまさしくこれから基盤部会のほうで御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

【観山部会長】  重要な指摘だと思います。
 特に、共共拠点の評価の観点として、国立大学、それらの大学は法人として評価が行われているわけで、その評価によって、大学それぞれにいろんな支援とか、その最高のものとしては、国際卓越大学の認定とかがあるわけですが、やはり横串の部分をどのようにうまく評価して浮き立たせるかということが今後の重要な観点だと思いますので、そういう点でもいろんな議論とか、仕組みを考えて提案していただければと思います。
 よろしいでしょうか。
森委員、お願いします。

【森委員】  御説明どうもありがとうございました。
 45ページのところにロードマップというのがあるんですけれど、ロードマップ、今まではマスタープラン、ロードマップだったんですが、学術会議のほうでは、未来の学術振興構想ということになって、独立に2023のロードマップということで、その策定方針については、去年の12月に決定したということで、どういうスケジュールに向けて今期議論するのかという、スケジュール感も含めて教えていただけますでしょうか。

【観山部会長】  事務局、よろしくお願いします。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  
 ロードマップの策定方針は、前期の基盤部会の下の作業部会で御議論いただきましたけれども、今期は、作業部会、今日設置を決めていただいた段階なので、作業部会を、ゴールデンウィーク明けになってしまうと思いますが、5月中に開催しまして、そこで基本方針と公募要領をお認めいただいたら、公募を開始する形になろうかと思っています。そこから1か月強ぐらいは公募期間を取らなければいけないかなと思っていますので、実質的に審査に入っていくのは夏から。今年中ぐらいに策定をしていくスケジュールになろうかと思っています。
 ただ、具体的には作業部会のほうでまた御審議いただきますので、その後、また方針が決まりましたら、委員の皆様にも御報告を適宜させていただければと思います。よろしくお願いします。

【森委員】  どうもありがとうございました。

【観山部会長】  大型プロジェクトに関しては、今までは学術会議でつくっていたマスタープラン、その中の大規模重点分野というような項目に関して、ヒアリング等でロードマップをつくっていたわけですが、学術会議のほうの方向がちょっと変わりましたので、大型の作業部会のほうで、実際に公募されて、それからヒアリング審査するというような状況に変わったという事情があります。それで、関係するところは、スケジュールに関しては非常に関心があるところだと思いますので、そういう質問だったと思います。
 それでは、ありがとうございます。
 本日は、調査審議事項の一つである、全国的な観点から学術研究基盤の整備について、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。それでは、まず事務局より現状について説明をお願いいたしまして、その後、委員お一人ずつ、自己紹介も含めて御発言の機会を設けたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まずは、事務局からお願いします。

【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  ありがとうございます。
 そうしましたら、全国的な観点からの学術研究基盤のうち、研究組織でありますとか、研究設備の面ということで、特に設備の面で御議論させていただきたいと思います。
 まず、事務局のほうから現状を説明させていただきます。
 まず、62ページでございます。基盤部会の下に、法人化直後は、やはり大学の研究設備の現状でありますとか、今どういった状況かという問題意識もありまして、設備の作業部会というのがありまして、そこで当時議論した設備の全体像のイメージになります。
 右側の部分が、主に汎用的な設備という状況で、基盤的な研究設備、汎用的な大型研究設備というようなものになっております。左側の緑の部分が、特に大型プロジェクトに対応するような、100億~数千億ということで、規模の大きな設備のイメージになっております。
 先ほどの現状として説明させていただきました予算の枠組としては、下の赤い矢印で書いておりますが、主に基盤的なところというのは、大学の先ほどの研究マネジメントの一環で、どういった設備を共用したり整備したらいいかという観点での部分で、整備に関しては、運営費交付金の中の教育研究基盤設備の整備ということで、枠組が現状あるという状況でございます。
 一方で、左側の大型の設備につきましては、先ほどの補助金も含め、特に大型プロジェクトにつきましては、ロードマップを踏まえた大規模学術フロンティア事業というようなマネジメントが今ございまして、そのマネジメントの下で、年次計画に基づきまして、こういった設備は整備しているところでございまして、補助金というような枠組は一定程度見えた形であるという状況でございます。
 ただ、一方で、この間にありますような、先ほど先生方から御意見いただいた横串の点で言いますと、こういった中規模クラスの設備については、大学のマネジメントだけでは整備が維持などもしにくい部分であって、一方で、大型プロジェクトのように、マネジメントの明確な整備方針があるかというと、実はないという状況もあります。こういったところについて全国的な観点から議論をさせていただきたいということで、今資料を用意しているところでございます。
 次のページですが、今の図を違う観点で見たものになりますが、先ほどの右下の部分が、主に設備の共用であります。そういったところですと、設備マスタープランと、大学の自助努力や、外部資金でありますとか、そういった大学の中のマネジメントや、研究者の外部資金獲得等を通じた世界で行う部分になっております。こちらについては、当初からある程度目的があって、その目的を終えた段階で、例えば、大学内で共用しようなど、そういったところで考える領域かと思っております。
 ただ、一方で、左の上の部分につきましては、ある程度の規模感で、特に大型プロジェクトにつきましては、はなから全国の研究者のための共同利用を前提として整備段階から整備しておるものでございまして、いわゆる共同利用・共同研究の基盤として整備しているところでございます。
 ただ、一方で、このピンクなどの部分の一定程度の規模の部分で、大型プロジェクトでないような部分については、今整備がどうかというところについて、少しデータを整理しております。
 次のページ、64ページですが、補助金の世界、施設整備費の世界でどのように推移しているかというのをまとめました。主にこの施設整備費は、法人化以前から、大型プロジェクトでありますとか、そういった中規模クラスの設備に対応する予算として枠組がございます。下のグラフを見ていただきますと、法人化前は、特にオレンジの濃いところが、当初予算の中規模クラスの予算の枠組、黄色い部分が、その中規模クラスの補正予算になります。緑色の部分が、大きく大型プロジェクトと見ていただければと思いますが、法人化以前は、補正予算、当初予算も含めて、一定規模の予算がございました。
 ただ、一方で、法人化以降で、法人化以前の予算の枠組というのが変更されたことや、平成24年度から、大規模学術フロンティア促進事業の創設、特に平成20年度以降から、ロードマップという仕組みができておりまして、そういったことも含めますと、大型プロジェクトにつきましては、一定程度の年次計画によるマネジメントを聞いた中での整備というのが進んでおります。そういった観点から、なかなか法人化以降、昨今は、この中規模クラスの研究設備の整備というのが、予算ベースではありますけれども、整備や更新が進んでいないというような状況に今なっております。
 そういったことで、法人化以前の設備の老朽化の対応や、昨今、研究の高度化に伴いまして、研究設備の規模も大型化しているということも伺っており、なお一層こういった整備に対する必要性は加速しているところ、予算の対応がなかなかできていないのではないかというふうな分析が見てとれるという状況です。
 そういったことから、先生方に御議論いただきたいということで、課題を整理させていただきました。65ページでございます。
 学術研究設備については、先ほど御議論いただきましたように、法人のマネジメントの一方で、外部資金の獲得も含めて整理が行われ、また、ガイドラインや、共用のマネジメントということで、大学自身の研究マネジメントもあれば、一方で、外部資金等でなかなか困難な設備、ヘリウムや、大学の中のマネジメントでもなかなか難しい領域もあります。また、研究の高度化ということで、先ほどの中規模クラスのようなものというのは、なかなか予算的な対応も含めて、整備・更新が追いついていないというような状況が見てとれます。
 そういった観点から、少し研究基盤の整備ということで、全国的な観点から、検討・調整を行う必要があるのではないか。また、そういったときに、どういった整備の対象にするなど、どういった整備の在り方を考えるべきかということは、指標もございませんので、そういったところについて、少し観点を示して御議論いただきたいと考えています。
 1つ目、一定規模の設備群が十分に整備・更新できていないのか否かや、大学の研究基盤の中でも、難しい領域の大規模なものや、あと、全国的な観点のものの設備の整備方針が必要ではないか。また、我が国の当該規模の整備状況の把握や、海外の政策動向ということで、海外では、国によっては、中規模クラスの整備方針のようなものを国としてつくっているところもあると伺っておりますので、そういった海外にあって日本にないような設備や、そういった観点も含めまして、整備対象等を検討すべきではないか。また、整備対象につきましては、分野間の相違でありますとか、全国的な観点、また、地域バランス等、どのような観点で進めていく必要があるのかということです。また、こういった中規模クラスの設備につきましては、非常に専門性・先端性はあるということで、技術職員の議論もありますが、研究力の一環で、技術職員の配置についても、こういった学術研究基盤の一環として議論していく必要があるのではないかと考えています。
 これから以降の資料は、現状の把握ということで、国からの整備状況として、2億円以上の設備の整備状況を一応大学単位で並べたものになります。66ページ、超高圧の電子顕微鏡や、小型の放射光、スパコンなど、様々な中規模クラスの設備が現状整備されていたという状況になっております。
 次のページが、法人化以降になりますと、そういった整備の状況が薄れるということです。67ページを見ていただきますと、こういう状況でございます。
 また、設備の現状ということで、大学のほうに調査をさせていただいて、2億円以上のもので、どういうような設備が今整備されているかというのを、現状で、大学からの回答に基づいた形で整理しますと、こういった現状になっております。1番目に、やはり老朽化は平均値2.2ということで、かなり進んでいるということであります。
 一方、こうした2億円以上の設備につきましては、共同利用に供しているということで、100%共同利用に資しているということで、ある程度、大学単位というよりは、皆で使うという視点での整備も、やはりニーズとしてあるのではないかというデータになっています。
 また、地域の観点で、2億円以上のものを整理したものが、次のページになります。国の整備状況と、あくまで大学からの認識のもとでの回答ということで、乖離する部分もデータ上ありますが、大学からの回答に基づいて整理しますと、こういったところになっておりまして、その整備の方針の中で、地域の観点が必要かどうかということも含めた議論が必要かと思います。データとしては、機器別で並べますと、必ずしもバランスが取れているわけでもなく、それが取れる必要かどうかも含めてですが、こういった現状になっており、より設備の整備状況の可視化という調査・分析が必要ではないかというのが現状です。
 事務局からは以上になります。

【観山部会長】  ありがとうございます。
 なかなか最後の辺、いろいろ難しい観点があると思いますが、やっぱり驚くのは、64ページです。大型の予算に関しては、ある程度大型の作業部会がありますので、それが進捗状況とか、新しい部分についてはしっかり見ていますので、年次の上限はありますけれども、ある程度維持しているんです。法人化後、中規模設備などに関しては、もう随分悲惨な状態で、多分それは、運営費交付金の中で、法人ごとに、中規模クラスであれば何とかなるのではないかというような考えもあったのかもしれませんけれども、非常に厳しい状態で、特にそういうものが共共拠点の特色がどのようになっているのかということも、結構特徴あるところではないかと思います。
 それでは、先ほど申しましたように、今日は最初の機会でございますので、各委員の皆様から、自己紹介も兼ねて、自由に御意見について伺いたいと思います。時間が限られておりますので、一人2~3分程度でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 名簿の順に行きたいと思いますので、まず最初に、勝悦子委員、お願いいたします。

【勝部会長代理】  ありがとうございます。
 まず自己紹介からということですので、明治大学の勝と申します。専門は国際金融で、データサイエンス等も少し関わっております。
 学術以外では、長らく大学の行政にもおりまして、国際化を進めてきたというところがございまして、近年では、やはり研究の国際化というのが非常に重要になっているということは指摘できるのではないかなと思います。
 もう一つ、企業の役員もやっておりまして、その点から見ても、やはり今、人材の育成というところでは、企業と大学等の協力ということも非常に重要になっていると認識しております。
 本日、御説明ありがとうございました。
 この基盤部会、先ほど部会長からもお話がありましたけれども、やはり予算制約の中で、リソースが限られる中で、この部会の役割というのは非常に大きくなっているのではないかなと思います。
 私は前期からも務めているんですが、特に共同利用機関が4法人になったというところで、これはその検証というのもやはりきっちり今期はやっておく必要があるのではないかと思います。これはガバナンス上にどういった課題があるのかということも含めて、研究成果というところ。これ、先ほどの資料で、共共拠点については、かなり研究成果が出ているというのが分かったんですけれども、この4法人については、時系列のデータがなかったので、そういったものも見せていただけると、その効果というものが評価できるのではないかなと思います。
 もう1点申し上げたいのは、先ほどもちょっと話に出ていましたけれども、今、日本の大学というのは、大学ファンドというところで、卓越大学というところにかなり資源を集中させるという形になっているわけですが、これは別の会議でも少し申し上げたんですけど、例えば、タイムズ・ハイヤーの大学ランキングを見ますと、日本の特徴というのは、その対象となる研究大学の数が非常に多いというところで、ランクとしてはそれほど高くはないけれども、中規模大学が多く、裾野のところにはたくさんの大学があると。その意味から言うと、特別大きなすばらしい卓越大学だけではなくて、やはりそういった私立大学、公立大学も含めた大学も重視すべきで、それらを中心としたネットワークの構築というのは非常に重要になっていくのではないかというのは1点申し上げたいことでございます。また、共同利用機関についても、昨今では大学との連携も非常に強化されてきているので、これは設備だけではなくて、やはり人的な資源というところでもネットワークの強化というのが必要になってきていますし、その意味で、この基盤部会では、様々な課題についてソリューションを提示していくということが非常に重要になるのではないかなと思っております。
 以上、雑駁ですけれども、感想と自己紹介と申し上げました。よろしくお願いいたします。

【観山部会長】  ありがとうございます。
 事務局、大学共同利用機関に関しては、成果について時系列のものがあまりなかったというのは、また機会を見て説明していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に、原田尚美委員、お願いします。

【原田委員】  ありがとうございます。
 東京大学の大気海洋研究所の原田尚美と申します。今期から初めてこの基盤部会に参加させていただきます。専門は、生物地球化学という分野です。
 これまでの議論を知らないので、無邪気な発言になるかもしれません。この基盤部会、3つの作業部会が引き続き設けられていますが、3つとも、いずれも最先端的な学術研究を推進するという、山の高みを目指すための環境を整える部会というふうに位置づけられているかと思います。この山の高みを目指すためには裾野を広げるということも大変大事かなと思います。つまりは、基礎的・基盤的施設・設備、これにも目を配る必要があるのではないかなと感じております。
 また、2030年が達成目標年となっているSDGsの17の社会課題の中で、実は日本で最も推進が遅れているのが、No.14の海洋なんですね。海洋の生命。No.14の水深の遅れは、実は、世界的にも同じような傾向にありまして、こういった課題解決に学術分野からも喫緊に加速して取り組む必要があるのではないかとも感じております。
 ということで、この大学の研究施設・設備として、こういったNo.14の社会課題解決に貢献する基礎的・基盤的設備の例として、大変多くの大学が所有する臨海実験所ですとか、それから、水産研究施設というものがあります。こういった施設は、人材の育成ですとか、異分野連携の促進に期待される施設である一方で、恐らく予算、あるいは、人員の削減(特に技官など技術系の人員)、施設・設備、研究設備の老朽化ですとか、そういった課題を抱えているというのは共通しているのではないかなと思います。
 したがいまして、大学の個別の問題として片づけるのではなくて、全国の大学の垣根を超えた施設全体を対象として、この部会でも共通の課題解決を検討する時期にあるのではないかなと思う次第です。
 以上です。ありがとうございます。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。
 老朽化の問題というのは、もう本当に大きな問題でして、なおかつ、それに優秀なテクニシャンがなかなかいないという問題があって、両方とも大きな問題だと思います。御指摘ありがとうございました。
 それでは、次、私ですけれども、もともと国立天文台という大学共同利用機関におりましたけれども、この共共拠点とか大学共同利用機関というのは、以前考えられた仕組みで、非常にうまくコミュニティを支えてきた、コミュニティの支援をしてきたと思いますが、最近離れて思うのは、コミュニティの支援というか、新たなコミュニティを創るというか、学際的なコミュニティをどうつくるかというのはなかなか難しいかなと思ってき始めました。
 つまり、既存のコミュニティを大切に支援していくわけなんだけれども、ただ、それはやっぱりある種のコミュニティの一つのエゴと言っては悪いですけれども、学際的な部分になかなか進んでいかないということがあって、文部科学省でもいろいろな仕組みを考えられようとしておられています。コミュニティ同士が融合的なコミュニティをつくっていくだとか、コミュニティ同士の連携みたいなものも今後十分考えなければいけないのではないかと思っております。
 私のほうからは以上にさせていただきたいと思います。
 それでは、井上邦雄委員、よろしくお願いします。

【井上委員】  よろしくお願いします。東北大学ニュートリノ科学研究センターの井上です。ニュートリノの実験的研究を行っております。
 ニュートリノ研究というと、ハイパーカミオカンデとか、スーパーカミオカンデとか、基本的に大型の研究が非常に有名なところです。実際には、今回、中型の研究というものにスポットライトを当てていただいて、非常にありがたいなと思っているんですけれども。共共拠点で行っているような研究というのは非常に成功しているというのはよく実感しておりますが、一方で、やはりコミュニティとしては、何十年前のコミュニティが今ちょっとずつ変わっていきながら成長しているというところでして、実際には、この20年とか、法人化後も新しいコミュニティというのはどんどん生まれてきているわけですし、研究分野も増えてきているわけです。
 特に、私は、科研費の仕組みは非常によく頑張ってできているんだなと思っているんですけれども、新学術領域だとか学術変革というのが、まさにそういった新しい分野の創出だとか、新しいコミュニティの創出というのをうまくやられていると思います。
 ただ、それは、言っても5年の時限が付いているものですから、そこでせっかく生まれたコミュニティというのがその後どう発展していくかというところが、共共拠点ではカバーし切れない部分があるのではないかというところを非常に危惧しております。
 そういうところというのは、やはりもう大学の個性だとか、あるいは、せめて大学間連携ぐらいで支援できる枠組みがあればいいなと思っていたところ、まさに今回そういう話が出ているというところで、新しいコミュニティとか分野に対応できる仕組みというのがうまくできていくのではないかと非常に期待している次第でございます。
 簡単ですが、以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。重要な視点だと思います。
 それでは、関沢まゆみ委員、お願いします。

【関沢委員】  人間文化研究機構の国立歴史民俗博物館の関沢と申します。よろしくお願いします。専門は民俗学です。
 今日の設備のお話とは、自分の研究では遠いところにいるのですけれども、私どもの歴博では、年代分析と考古資料、歴史資料を合わせて、自然科学と人文科学の学際的研究を長く推進してきているところでございます。
 その中で、分析機器の購入とか、更新は本当に切実な課題と感じております。それがないと、せっかく芽が出た研究もなかなか進めないというのを実感しております。
 
 また、これまで3期、特色ある共同利用・共同研究の作業部会のほうでお仕事をさせていただいておりましたけれども、本当に日本で一番の火災の研究とか、日本で一番の風力の研究等をされている機関でも、共同利用に資する機器の種類はあっても、購入してからの年数が結構経っていたりというのを目にすることもありました。コンスタントに計画的に購入・更新ができるようなことを、国立大学では運営費交付金のほうで何か支えられるような仕組みが必要ではないかと考えています。
 もう一つは、やはり機械だけがあっても、人もセットでいないと、十分に共同利用・共同研究に資することができない。技術職員、技官の方が雇用できればいいのですけれども、規模が小さいところですと、それがなかなかかなわない。そして、せっかくいろいろプロジェクト研究員とか補助員でお願いしも、仕事を覚えた頃には、10年縛り、5年縛りでよそに行かなければいけなくなるとか、そういうことも現実的な課題としてありますので、機械、機器と人をセットにしてというところを考えていく必要があるのではないかと考えています。
 以上です。

【観山部会長】  非常に重要な視点だと思います。本当にそれをどういうふうに支援していったらいいのか。多分、中規模とか、それから、人員の問題というのは、もうたくさんあると思うんですよね。それをどういうふうに選択して、どういうふうに支援していくのかというのは、今期の一つの大きな課題ではないかと思いますので、ぜひ、いろんな御意見をいただければと思っております。
 では、永田敬委員、お願いいたします。

【永田委員】  永田でございます。
 総合研究大学院大学の学長として参加させていただいていますが総研大は、御存じのように、大学共同利用機関を基盤としていますので、その意味では、大学共同利用機関と表裏一体、ある種、運命共同体に近いと思っています。昨年度までは、運営費交付金、学術研究関係に関する作業部会で仕事をしていて、そのときから、大学共同利用機関の 施設・設備に関する経費をどういうふうにするかは、結構問題だと思っていました。
 観山先生おっしゃるように、確かに大学共同利用機関、あるいは、共同利用・共同研究という、この仕組み、なかなか他にはない仕組みで、これまでうまく動いてきた部分があると思います。
 私自身も、もう30年以上前に共同利用機関 が立ち上がったときには、大いに施設利用、それから、共同研究で利用させていただいたんですけれども、例えば、国際卓越、あるいは、地域中核も含めてですが、この10年間ぐらい、各大学が、しかも、研究室レベルでかなり大きなお金を動かせる状況になっている。その中で、昔共同利用に頼っていたものが、必ずしもそうではなくなっているという状況があると思います。
 大学共同利用機関が研究を頑張って、先ほどのいわゆるTOP10%等の指標でも高いレベルでやっているんですけど、大学共同利用機関が最初にできたときの各大学に対する共同利用機関の優越性みたいなものは、もうなくなっているのではないかと思うんですね。
 そうすると、一体どこをターゲットにして共同利用・共同研究の施設・設備のリソースをつぎ込んだら、日本全体の研究力が上がるかは、これは結構きちんと設計をしないといけないかなと思っています。例えば、国際卓越レベルの大学が共同利用を使いにくるという気はもうしないんですね。それから、その次にある地域中核・特色ある大学が自分のところで周りを巻き込んで拠点をつくると、そこも多分共同利用・共同研究には入ってこないだろうと。そうすると、一体共同利用・共同研究で強くしていかなければいけないのはどのフィールドのどのレベルか、これをきちんとしておかないと、リソースの突っ込み方を間違えるかもしれないと思っています。これは、今日、基生研の長谷部先生がおられますし、それから、歴博の関沢先生おられますけど、そういうことをある程度設計した上で仕組みをつくっていくというのは非常に大事かなと思っています。
 せっかく観山先生がおっしゃったような共同利用・共同研究拠点も含めて、仕組みを持っているんだけど、一体どこをターゲットにしてやるか。単純な研究者コミュニティだけではなくて、必要があれば、大学との組織的な連携も含めて組んでいかなければいけないと思うんですけど、そうやって強くしていかなければいけないと思うんだけど、そのターゲットとそのやり方をどうするかという設計は、この10年間ものすごく大事なような気がしています。
 なぜこんなことを申し上げるかというと、大学共同利用機関が元気になってくれると、総研大は大変助かるので、こんな話をしていますけれども。でも、私自身はそんな気がしていて、ここでそういう議論が少しできたらよいなと思っています。よろしくお願いいたします。

【観山部会長】  ありがとうございます。
 非常に重要な視点で、確かに大学共同利用機関、例えば、高エネルギー研だとか、天文台とか、そういう超大型のものをつくっている、宇宙研なんかもそうだと思いますけれども、それはそれなりの大学からのいろんな、たとえ国際卓越に認定があっても、その大学の研究者はこれまで通り共同利用にこられると思います。しかし、今ではすごい装置を持っているから共同利用しているというのは、数的にはなかなか少なくなっている状況ではあろうかと思います。それはもう多分事務局も非常によく認識しているところで、さっきありましたように、中規模でどういう形でリソースを配分していくのかというのが、今期の大きな課題ではないかと思います。
 それがある意味で競争力――研究競争力は、私思うに、やっぱり大学院博士課程の研究者の少なさだとか、一人の研究者の研究時間が減少していることがあるんですが。例えば、中規模設備、たとえば1億円、2億円、10億円ぐらいの設備が、海外の研究機関に比べてどうなのかとか、国内でどのように重点化しているのとか、設備の存在についてどういう周知が必要なのかというのは、非常に重要なポイントだと思います。ありがとうございます。
 この件に関しては、事務局も非常に認識は強いと思いますので、今期の大きな検討課題とさせていただきたいと思います。

【永田委員】  ありがとうございます。
 観山先生、もう一つだけ付け加えさせてください。

【観山部会長】  どうぞ。

【永田委員】  実は、大型装置を持っている共同利用機関とも話すことが多いんですけれども、おっしゃったとおり、KEK、あるいは、望遠鏡を持っている天文台というのは、必ず大学は使いにくると。そういうところはいいでしょという話をすると、決してそうではないと。今、そういうところは大型装置を維持・管理するだけで精いっぱいで、昔みたいに、本当に外から使いに来た人ウェルカム、一緒にやろうというのはなかなかできないと言われていて、そういう状況についても研究環境基盤部会で声を上げてくれとも言われているので、すみません、付け加えさせていただきました。

【観山部会長】  はい。それはなかなか厳しいところですが、共同利用というのは、ほかの機関から一緒にそこで研究することによって、新たな知恵とか、新たな学術が生まれてくるということで、単にその研究所なり、そこだけが発展したらいいんだという考え方になると、やっぱり狭くなると思うんですよね。ほかのいろんな人が集まってきて、いろんな知恵があって、いろんなアイデアがあって、新しいものが進むというのがこの仕組みなので、貧すれば鈍するというか、とにかく維持費が足らないので、もう大変だというのはよく分かりますけれども、基本は忘れないでいただきたいと思いますけどね。
 事務局、何かありますか。今期の大きな話題だと思いますけれども。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  貴重な御意見ありがとうございます。
 まさに我々の問題認識というか、今回のこの部会の課題設定として入れていただいたところのポイントをお示しいただいたと思いますので、次回以降の資料の作り方とか議論の持ち方について、御指摘を踏まえて準備したいと思います。

【観山部会長】  よろしくお願いします。
 では、中野貴志委員、お願いします。

【中野委員】  大阪大学核物理研究センターの中野です。前期に引き続いての委員ですが、実は、核物理研究センターのセンター長をもう10年務めておりまして、11年目に入りました。研究はもちろんなんですけれども、マネジメントのほうもかなりの時間を割いていると、そういう状態です。
 本日、中規模の設備とか装置ということが議題の中でかなり大きく扱われていますが、まさしく核物理研究センターが持っているような装置は、数億円程度の中型の設備が多いわけで、それを順次更新していかないと国際的な競争にも勝てないし、それから、人材育成の面でも後れを取るということになります。
 そのような規模の設備整備をするときに、コミュニティに対する支援という観点と、それから、大学の中での機能強化というものの両面性を満たさないと、なかなかそういう中規模のものは改善できないというか、更新することができないということを感じています。
 複数財源を獲得するための苦肉の策として、装置が、大学から見ても魅力的、それから、コミュニティから見ても魅力的という条件を満たそうとしているのですけれども、一方で、それは実は非常にいい面もあるのではないかというふうにこの頃感じています。だから、先ほどの表には、学内での共用、それから、大学の枠を超えた共用というところに線引きがあったわけですけれども、多くの装置がそうではなくて、学内でも共用されるし、大学の枠を超えた共用もされる。それを戦略的に機能強化していくことによって、大学レベルの教育研究も改善できるし、コミュニティの枠を超えた研究も支援できるということが可能ではないかと思います。
 そういう規模の設備は、共共拠点だけではなくて、いろんな大学の中に新たにつくられたり、既に保持されたりして眠っているのではないかということも感じていて、それを大学の中だけではなくて、大学の枠を超えた形で利用することによって、全国の学問レベルはレベルアップすることも可能ではないかと思います。
 その際に、全ての施設とか組織を共共拠点化するというのは、非現実的で、無理なんですけれども、先ほど出てきた全国大学共同利用機関であるとか、既に共共拠点になっているところが、その共同利用・共同研究のノウハウを提供することによって、大学の枠を超えた横串を通すとともに、今は一大学の中の共用だけでとどまっている、そういう施設とか設備、それを全国的な学術のレベルアップのために使えるのではないかなというふうなことを考えております。
 また、大型設備を持つ拠点として感じているのは、技術職員の数の少なさです。もうこれは諸外国と比べて圧倒的に少ないです。これはもう増やしていかないといけないというのは当然なんですが、一方で、同時に、技術職員の待遇改善というものを考えていかないと、なかなか難しいと思います。
 我々の分野でも、途中でアカデミアのキャリアを辞めて技術職員に転ずるという方がたくさんいらっしゃるんですけれども、そういう方々は、俸給表で一番下から始まるんですね。これはもう本当に変えていかないといけないと考えていて、そうでないと、多様なキャリアパスの中で、学術を推進する側、あるいは、支援する側、それがそれぞれが同等でリスペクトし合うというような、そういう環境をつくっていかないと、なかなか学術全体のレベルアップは難しいのではないかなと感じています。
 以上です。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。
 重要な観点で、テクニシャンというか、そういうものの支援職員の少なさ、それから、待遇の問題というのは重要だと思います。ノウハウを大学を超えて提供するというのは、大学共同利用機関、共共拠点の新たな役目ということだと思います。ありがとうございました。
 それでは、長谷部光泰先生、お願いします。

【長谷部委員】  自然科学研究機構基礎生物学研究所の長谷部です。私、助手の頃、東大の理学部附属植物園におりまして、その後、ずっと基礎生物学研究所におりまして、東大植物園もある意味共共拠点というか、共同利用するような機関でしたので、ずっと共同利用だとか共同研究のおかげで、私自身の研究を発展させていただきましたので、この仕組みというのは、先ほど観山先生おっしゃったように、日本の独自のすばらしい仕組みですので、それの改善にお手伝いできればと思っております。
 最初に、永田先生さっきおっしゃった共同研究先なんですが、ターゲットを絞るというのは非常に大事な観点かと思いますが、私の専門とする生物学の場合には、結構大きなものというよりは、ソフトが重要でして、その最先端研究をして、新しい技術だとか新しい材料を開発すると、その共同利用研究が、それこそファンドをもらう大学の先生方からもいっぱい来るんですね。なので、やっぱり共共拠点あるいは、共同利用研の研究のレベルを上げる、世界最先端に持っていくというのが、まず一丁目一番地で大事なことかと思います。
 これは基生研にいらっしゃったノーベル賞を取った大隅先生の場合もそうで、彼の場合、別に大型プロジェクトで購入するような 大型機器は必要ないんですが、オートファジーという現象を見つけて、そうすると、もういろんなところから共同研究がたくさん増えるんですね。それでみんなが一緒に研究レベルを上げるということができたので、まず共同機関の拠点性、その研究力を強化する、そこが大事かと思います。
 先ほど文科省、非常によく御理解いただいている汎用大型研究設備で、生物・生命系はそこが肝でして、そこが本当に全て研究の出発点なんですが、先ほどきれいに法人化のところで、見事に設備費が全部なくなったというのは、私たち、もろに実感していまして、さっきの大隅さんが設備費の予算をマネージする事務をした最後の人で、その後、法人化以降、この設備費がないので、基生研の研究というのは非常に低下しております。これはもう機器を買うのは科研費しかなくて、一部、機構から補助はありますが、それはもちろん数億円規模というのはなかなか難しい状況になっています。なので、研究力の低下の明白な理由の一つは、これは明らかに汎用型研究設備の不足です。
 これは今、中国には圧倒的に負けています。それで、インドにもほぼ負けています。なので、この先、日本の研究力を強化するには、もう十分文科省の方々は認識されておりますが、ここの強化が必要だと思います。
 それで、今、学術変革の学術研究支援基盤形成で、これは非常にいいプログラムで、いろんな大学を支援しているんですが、これは設置のときのいろんな理由から、設備が更新できないという仕組みになっていて、共同利用の枠組をつくるんだけれども、新しい設備は買えないという仕組みになっています。なので、その研究支援基盤のプログラムを生かす上でも、この最先端設備の購入というのが何とか可能にしていただきたいと思います。
 3つ提案したいんですけれども、1つ目は、今申しました汎用大型設備のための予算枠の獲得です。それで、規模としては、3年に一度程度が生物学においては重要だと思います。5年では長すぎて、もう古くなってしまいます。
 それと、あとは、コミュニティのデマンドに基づくというのは、非常に大事な観点かと思います。ですので、コミュニティのデマンドを求めて、その上で申請をするような仕組みにされるといいのかなと思います。
 2番目は、共同利用研の活用ということです。共共拠点というのは、特定の分野を強化するという点で非常にいいですし、一方で、共同利用研というのは、どちらかというと、グローバルな多様な研究者を含んでいます。この2つを上手に分業させて施策を進めるのが大事かなと思います。
 ですので、独立に共共拠点と共同利用研を競争させるというよりは、ある程度共同利用研のグローバル性を利用されて、例えば、分子研でやったように、全国の共同利用機器を共同利用研として把握して、一体日本の中で何が足りないのか、どこを強化したらいいのかというような、そういう全体的な――これにもちろん共共拠点ですとか大学の方々も加わっていただいたらいいと思うんですが、ある意味で取りまとめをするような、そういう役割を共同利用研に与えるというのは、共同利用研の一つの利用の仕方としてあるのではないかなと思います。
 最後が、これも先ほどからいろいろ議論されておりますが、人の問題ですね。僕ら、実際に共同利用研究を大学の先生とやっていると、共同利用研究やりたいけど送る人がいないよ、今、学生だって少ないし、自分は授業があって行くわけにもいかないし、共同利用研があったって、共同利用なんかに行けないよという意見をよく頂くんですね。
 なので、機器の整備とともに、今まで機器をマネージする人、技官クラスのマネージする方というのはそれなりに考慮されてきたんですが、機器を使って共同利用研究者と一緒に研究ができるレベルの人、ですから、少なくとも学位は持っていて、共同利用研究者が一体何をしたいのかというのをお互いにコーディネートして、かつ、共同利用研で共同利用研究者の研究をできるような、かつ、一番大事だと思うんですが、定年制雇用の枠をつくっていただきたいということです。これは任期制にしますと、絶対いい人は来ませんし、安定しませんので、他人の共同研究を手伝おうなんていう気持ちは普通は持たないんですね。なので、定年制できちんとそういう支援をできるような枠組を何らかの形でつくっていただくというのが良いのかと思います。
 以上です。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。非常に具体的な御提案だと思います。
 最初に言われた、汎用型の設備が足らないために日本の研究が遅れているのではないかという部分は、これは結構調査して現実を出していく必要があるのではないかなと思いますけどね。博士課程の学生も含めて、研究者の減少だとか、仕事量の多さとかいうこともあろうかと思いますが、今の具体的な部分というのは、やっぱり重要なところではないかと思いますし、何らかの形で調査をする必要はあるのではないかなと思います。ありがとうございました。
 では、吉田和弘委員、お願いいたします。

【吉田委員】  岐阜大学長を拝命しております吉田と申します。今回から初めてこの部会に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の背景は、消化器外科医でございます。特にがんの研究、それから、治療をやっておりました。2007年に岐阜大学来にまして、昨年度から岐阜大学長を拝命しております。
 御存じのように、岐阜大学、名古屋大学、法人統合、究極の連携なのですけれども、そういう立場から今日ちょっと感じた点をお話しさせていただきます。2つの点、組織と設備というキーワードで、設備のほうからの感想ですけれども、地域性ということと、人材育成という観点からの感想を申し上げます。
 地域性につきましては、中規模って2億円以上ですので、かなりの金額の設備だと思うんですけど、運営交付金で皆が使いたいと、そういう設備であれば、日本全国で複数やっぱり整備していただかないと、地域性ということを考慮したときに、なかなか使いにくいということになるのではないかと。
 それから、提示されておりますように、海外の政策動向、これはぜひ参考にさせていただいて、今後のマネジメントをしていただければと。
 それから、人材育成は、もう皆さんよく言われたように、有効に活用するためには、専門性を生かした技術職員が不可欠で、技術の継承や技術職員のキャリアパスの確保、このためには、技術職員の配置・育成、これはもう必須で、今回の設備整備と併せて、ぜひ議論いただければと思いました。
 前半の組織というところに関しましては、横串、コミュニティというのがキーワードと感じましたが、私としては、今後はネットワーク型の連携拠点形成、オールジャパン体制、こういうのが不可欠ではないかと思います。
 冒頭申しましたように、東海国立大学機構と、究極の法人統合、連携ということから、留意点、課題というのは3つほどありますので、ちょっとお話しさせていただこうと思います。
 大事な点は、組織を超えてできる課題、分野による論点をどう超えるかという観点から、連携がとかく目的になっちゃいますけれども、目指すべき目標に向かって、やはり企画段階からよくコミュニケーションを取ること、これが極めて重要であると実感しております。それにはやっぱりトップのリーダーシップ、これが肝要で、執行部の相互理解、対話、研究レベルの密接な情報共有、これが重要かなというのが第1点。
 2点目としては、実務のところから課題としては、大学間、あるいは、共共拠点の間で、教員と職員の関わり方の仕組みが随分異なっています。そこから生まれるギャップというのは極めて大きくて、これは解決が必要。特に私どものような中規模の大学においては、研究支援の職員、専門員が不十分、研究者の負担がますますかさんできます。こういうことから、ぜひ、そういうギャップを縮めていくことと、それから、国公私で組む場合、やっぱり国からの予算の執行、こういうものが違っていることから、随分実務上の課題があるというふうに私たちは認識しております。この点も重要と。
 3つ目は、横串の評価、これは今回も議論の中に含めていただきましたけれども、果たして小さな大学であったり、あるいは、中にネットワークで構成しているところがどの程度評価されるかと、こういう方法論とか、そういうのもぜひ議論していただければなと思います。
 それから、最後に、大型プロジェクトというところでお話があったと思います。今回、我々も大型プロジェクトに携わらせていただいて感じたことは、今回の論点にあるような、中大規模な設備整備、大学の枠を超えて取り組む組織・分野・連携・融合、これに加えて、この大型プロジェクトというのは、学術において一番需要な点ではあります。とかくそれぞれのパーツ、設備や組織や共共拠点、大型プロジェクトのプロセス、パーツは整っているんですけど、全体を俯瞰するのがなかなか難しかったという点で、ぜひ、大きな絵を描いて、オールジャパン体制での国際競争に立ち向かうと、こういう姿勢を示すことが重要かなと感じました。
 以上でございます。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。実際の御経験から様々な論点を提示いただきまして、ありがとうございました。今期の検討課題と一致するところがたくさんあると思います。ありがとうございました。
 それでは、渡辺美代子委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  渡辺でございます。この部会に初めて参加させていただきます。
 私は若いときに企業で半導体物理の研究をしましたが、その後、企業で研究開発のマネジメントをし、そして、JSTで10年間仕事をしてきました。昨年10月からは、日本大学の常務理事になりました。
 皆さん御存じのとおり、日大は、元理事長が不祥事を起こしたということで、経営陣を一掃するという方針のもと、私のように日大にこれまで一切関わっていない人を経営陣に入れるということで、私がこのように日大の常務理事を務めることになりました。
 今日の議論の本題ですけれども、一番の問題は、やはり日本の研究費が伸びないという、そこが根本的な問題だと思います。それは少子高齢化、日本の経済、GDPが伸びないというところが、これは簡単に解決できることではなく、ある程度宿命とも受け止めることしかないと思います。日本の研究費については、すごく下がっているわけではないけれども、伸びない。一方、世界の主要国の研究費はどんどん伸びていますので、日本の研究の存在がどんどん低くなってしまっている、こういう厳しい状況に日本は一体どうやって対応するのかという課題はすごく大事だと思っています。
 研究力を強化するためには、国内だけで対応していても、これはとても難しいので、国際共同研究を進め、外国人の方をどうやって取り込んでいくのか、こういうところがすごく大事であると感じています。
 本日の御説明していただいた資料でも、大学共同利用機関の法人の活動実績を見ても、成果を出しているところは国際共同研究が多いし、外国人の方もたくさん研究者として活躍いただいている。こういうデータもありますので、世界とどうやって一緒にやっていくか、この戦略をつくりながら、皆さんもおっしゃっているように、どこにフォーカスしていくのか。これをやらないと、どこも大事ですと言っていると、日本が沈んでいってしまうのではないかと考えるので、国際共同研究、外国人を、大事にしながらやっていくことが大事だと思います。
 外国人だけではなくて、皆さんもおっしゃるとおり、技術職員の問題ですとか、設備を考えるときにも、人材をどうするのかということを常に一緒に考えていくことが大事ではないかと思います。
 以上でございます。

【観山部会長】  ありがとうございました。
 国際的な連携、重要な視点で、資金がたくさんあるので当然だと言われますけれども、WPIなんかは、もう40%ぐらい外国人が入ってやるということが常態化していますので、非常に成果も上がっていますし、外国人が入ってくることによって、サイテーションレベルも非常に高くなっているという状況もありますので、日本の力を示すということも重要なんですが、国際的な中で連携を取っていくということが重要な視点だと思います。
 それから、研究費を増やす。もう1990年代から日本状態というのはずっと横ばいでして、企業も大体もう全部そうなんですが、全体の中で研究費の部分ってそんなに大きな額ではないのです。ですから研究費ぐらいは増やして、どんどん成果を上げてもらうような形にしないと、もう全部横ばいというので、ほかの国に抜かれてきているというのが現実です。もっともな御意見だろうと思います。
 それでは、森初果委員、お願いします。

【森委員】  ありがとうございます。東京大学物性研究所の森と申します。
 私は5年間所長を務めたんですけど、今年3月にその任期を終えて、4月から副学長を拝命しております。
 その中で、東京大学物性研究所は、共同利用・共同研究拠点ということで運営しているわけですけれど、専門は物性科学で、科学と物理の境界領域のところをやっております。
 共同利用・共同研究拠点というのは、皆様おっしゃったように、観山先生も最初に御説明なさいましたけれど、やはり日本独特のシステムで、縦軸が、今、法人化後、自律性というのが求められる中、学術の横串というところを非常につないでいる、とても重要なところです。
 共同利用施設専門委員会ということで、毎年2回ずつやっているんですけど、全国のコミュニティから、ぜひ、自分たちが研究をやるためには、共同利用研に頑張ってほしいということをいつもいつも言われていて、共同利用研は、そういう意味で、共同利用研、大学共同利用機関を連携しながらやっていくということで、やはり世界トップを保つためには、学問の多様性というのはとても重要なことだと思いまして、その中で共同利用研の果たす役割というのは重要なのかなと思っております。
 その中で、今日64ページの表を見せていただいて、まさに思っていたことを図表に表していただいたなと思いました。数億円規模が、大学が法人化してから全校でこんなに違うんだということをこんなに如実に見たのは初めてで、まさにそこの物性科学は数億円から数十億円ぐらいのところの、まさに中型の機器を皆さんで共用しながら進めているような学問分野で、物理、化学、工学、材料の分野でございまして、そういうところが今、20~30年経つと、機器を新しくしていかなければいけないというところで、皆さんの悩みの種ということになっているところで、そこのところをきれいにあぶり出していただいたなと思っております。
 その中で、前回のロードマップでは、100億ではなく、それ以下のものも含めて、中規模のものまで含めた募集をされて、そういうところで全国のコミュニティの中で、必要だというところをちゃんと充足されていたというのは非常に大きいのかなと思っております。
 その中で、共同利用の中で中規模の装置を維持していくのに必要なのは、先ほど皆さんが言われたように、人です。うちも400人規模の研究所なんですけれど、その中で30人、共同利用のための技術職員がいるんですけれど、その中の10人、3分の1は、もう学位を持っていらっしゃる方なんですね。そういう方が非常に高度な専門性を持って働いておられるということで、共同利用というのを維持している。いつもいつもR&Dをして、それから、新しい装置ができ上がったところを共同利用に供すということで進んでおりますので、その方たちの働きというのはとても大きくて、そういうキャリアパスというのをこれから構築していくというのはとても重要なのかなと思います。
 あと、大学共同利用機関と共共拠点の中では、連携というのは、新しい学問を目指して、我々、物理が専門とか、化学が専門とか、材料、それから、いろんな意味で情報、あるいは、文系の方と一緒になることもあるわけなんですけど、そのときにとてもそこを結ぶのに重要なので、URAという方が大学の中、あるいは、共同利用研の中におられて、その方たちの働きというのはすごく大きくて、戦略を立てる意味でも、そういう研究者と技術職員でもない、専門性を持った、その方たちは非常にいろんな経験をされているような、学位を持った方たちなんですけれど、そういう方たちを、一時国の政策でURA制度というのができたんですけど、それを継続的に発展させていって活用していく。今、彼らのキャリアパスというのはとても重要になっていると思いますけれど、そういうところも拡充していくことは重要なのかなと思っております。
 それから、最近は共同利用ということなんですけれども、大型の施設など、共用ということもございまして、共用というのは、いろんな方に使っていただくということで、産学連携も含めて使っていただく、お金を払いながら使っていただくということなんですけれど、共同利用というのは、人材を育成しながら、R&Dもやっていくというところで、非常に相補的なところもあるということで、共同利用と共用というのがうまく組み合わさったような形で進んでいくと、非常に大きないろんな施設を皆さんに利用していただきながら、その中での学術の連携というのもできていくのかなと感じている次第です。
 以上です。どうもありがとうございます。

【観山部会長】  どうもありがとうございます。
 最後に共用という部分が出まして、これも重要なことで、私、国立天文台の台長をしていたときに、私どものところに実験施設があるんですが、非常に高度な施設を持っておりまして、そのセンター長にある時、いろんなところから、いろんな中小企業から機具を使わせてもらいたいとか、いろいろ提案があるんだけれども、面倒くさいから全部断ってきたとかいうことを初めて聞いて、「えーっ、そんなことしてたの」ということがありました。確かに、手続だとか、いろんなものが複雑になっていて、お金を取ると、またいろんな責任もあるので、断ってきたというのです。さっき言われた設備の大学間の共用というか、大学の中でのいろんな共同利用とか、そういうものにどうやってやるかというのもあります。一方で、大企業は大きな組織を持っているでしょうけれども、中小の企業で何か試してみたいとかいう部分について、設備の共用という部分に、もうちょっと簡単に入れるような形というのがうまくつくれると、また違った効果が出てくるのではないかなと思いますけれども。ありがとうございました。
 それでは、治部れんげ委員、お願いいたします。

【治部委員】  東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の治部です。今回初めて参加させていただきます。途中まで移動しながらでしたので、カメラオフで失礼いたしました。ただ、お話は全部聞かせていただいております。
 私自身は文系の教養部門に所属しておりまして、主にメディアや政策、経営について、ジェンダー視点で分析するということを専門にしております。文系なものですから、このお話を聞いていて、資料も拝見して、やはり理系の教育にとても巨額なお金がかかるんだなというのが単純に驚いたというか、改めて認識をしたというところがあります。
 この会議自体はお金に関するものなのかなと思ってお聞きをしていたんですけれども、委員の先生方のお話を聞いていて、これは要するに大学経営の話をしているのだなということですが、改めて分かりました。
 経営と言えば、人と物とお金をどのように調達して、どのように上手に使って成果を出すかということかと思うんですけれども。やはり日本は財政厳しい中で、どういうふうに上手に使うかということはとても大きな課題でして、共同利用という形で、既に工夫の積み重ねがあるということは、私は、すみません、全然知らなかったものですから、もう少しこういったことの広報がなされてもいいのではないかなと思いました。
 と申しますのが、恐らくこの話全体で、今、日本の人口が減り、高齢化し、財政が厳しくなっていく中で、どのようにして学術分野に政府の限られた予算を確保していくかという、そういう大きな、ある種競争ということも大事になってくるというときに、もう既にこの分野でできる工夫をしている、かつ、法人化以降、厳しい状態にあるということについて、もう少し解像度高く、一般のというか、納税者に知ってもらうということはとても大事なのではないかなと思っております。
 というのが、私、もともと所職は経済雑誌の記者でしたので、今回のお話というのは、経営の視点からもすごく大事なのだなと思ってお聞きしておりました。とりわけ、人・物・金といったときに、今回、機器をどういった予算規模のものを共同で買うかという話もあったんですけれども、そこに限らず、人の面も大事であるというお話が複数の委員から出ていたと思います。
 特に雇用に関することは、私、大学で働き始めてまだ2年しか経っていないんですけれども、長いこと企業で働いていた者としては、驚くような不安定雇用の蔓延といいますか、びっくりするようなことがあるかと思います。
 学位を持っている方が、かなり長い間、不安定雇用でなくてはいけない、かつ、待遇も、これ、アメリカ等々と比べて低いだけでなくて、インダストリーと比べてもかなり低い金額でお仕事をされているということについて、ちょっと心を痛めているんですけれども。こういった状況ですと、やはり科学や学術に対する愛着とか情熱だけで人を引きつけることはできませんので、本当に日本の科学力というか、研究力を高めるという観点からは、人に対するお金の手当てというものがとても大事だと思いますし、とりわけ、この分野の重要性と、もう既にやれることをやっているのだということを、いかに説得的に伝えていくか、そして、予算全体を確保していくかということが改めて大事だなと思いましたので、ちょっと皆さん方と私、専門が違うんですけれども、そういった観点から、これから意見を述べさせていただけたらと思っております。
 ありがとうございました。

【観山部会長】  ありがとうございました。
 特に広報の点というのは、先生から指摘されて、非常に重要な観点で、我々、研究者のほうは随分やっているつもりになっているんですが、確かに、一般のところから、なかなかどういうことをやっているのかというのが伝わっていないというのは実感するところでございます。
 本当に皆さん、どうもありがとうございました。
 これから、今期2年間ですけれども、ぜひ、いろんな観点、特に設備の問題だとか、支援職員の問題だとか、老朽化の問題だとか、それから、共共拠点においても、特色を持って重点化するという必要も随分あるのではないかという御意見もいただきまして、非常に示唆に富む意見で、今後どうやって整理分けをしてやっていくのかと、たくさんの課題が出ましたので、ちょっと部会長として不安なところがありますけれども、ぜひ、皆様の御協力を得て、非常にうまい仕組みをつくっていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、あまり時間がないんですけれども、その他の報告事項について、事務局から説明をお願いいたします。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  それでは、資料7を御覧ください。
 先ほど委員の先生からも学際領域のネットワークが重要だという御発言がありましたけれども、文部科学省では、今年度から学際領域展開ハブ形成プログラムというものを新規に立ち上げておりますので、その公募に向けた状況について御報告させていただきます。
 次のページを御覧いただきまして、この事業の概要になりますが、共同利用・共同研究システム形成事業ということで、文部科学省では従来、公私立の特色ある共同利用・共同研究拠点に対する支援を行っておりました。この事業において、令和5年度から新たに学際領域展開ハブ形成プログラムを開始することとしております。
 これは全国の研究者が集まる共同利用・共同研究機能を持つ大学共同利用機関や国公私立大学の共同利用・共同研究拠点等がハブとなって行う、異分野の研究を行う大学の研究所や研究機関と連携した学際共同研究、組織・分野を超えた研究ネットワークの構築・強化・拡大を推進することを目的としております。
 令和5年度予算額としましては、前年度予算額から増額分の4億円を、学際ハブ形成プログラムとして積んでおります。
 こちらの「学際領域展開ハブ形成プログラム」公募要領(案)については、現在、まだ調整中でございますけれども、現在考えております内容になります。
 まず申請機関といたしましては、本プロジェクトの中核となる国公私立大学の共同利用・共同研究拠点、大学共同利用機関等としております。
 事業内容については、大学共同利用機関や国公私立大学の共同利用・共同研究拠点等が、従来と異なる研究機関・研究者コミュニティと連携するための「新たなシステム」の形成等に関する計画と、当該計画に基づく新分野への展開、次世代の人材育成、新たな産業連携の創出等に関する構想の実現を推進するものです。
 採択予定件数としては、4~8件程度で、1件当たり5,000万円を基準として、申請内容等を踏まえた事業規模を申請可能とする予定です。
 本プログラムの支援期間は最長10年間、5年目終了時を目途に中間評価を実施する予定です。
 また、関連施策との関係として記載しておりますけれども、国際卓越研究大学に申請中の大学についても、申請機関や参画機関となることは可能としております。ただ、国際卓越研究大学に認定された場合について、助成の対象となる取組と重複する場合には、必要な調整をさせていただくこととしております。
 また、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」についても、並行して申請は可能です。こちらの事業で整備する設備等を本プログラムでも活用し、大学の枠を超えて、より多くの研究者が共同で利用し、共同研究を行う機会を提供するなど、両事業計画間の連携を推奨しております。
 最後に、今後のスケジュールですけれども、4月下旬~5月中旬ぐらいを目途に公募を開始いたしまして、6月末に申請を締め切ります。7月~8月中旬に審査を行い、9月~10月上旬ぐらいに事業開始する予定で進めたいと考えております。
 以上になります。よろしくお願いします。

【観山部会長】  ありがとうございます。
 何か御質問、御意見ございますでしょうか。
 これは国立だけではなく、公立、私立の研究所も参加可能な仕組みになっていますが、資金が5,000万とか、それぐらいですので、コーディネーションのところとかに人材的な部分も展開して、面白いプログラムを展開するというような形になろうかと思いますけどね。
 よろしいでしょうか。中野委員、どうぞ。

【中野委員】  この話が出るたびに毎回同じことを言っているんですけれど、非常にいい事業だと思います。惜しむらくは、予算が少ないというところがあるので、これ、どんどん増やしていただけると非常にありがたいと思います。
 先ほど言った横串というのをまともに取り扱っている事業なので、こういう事業が予算をきっちり取れるようになったらいいなと思っております。
 以上です。

【観山部会長】  期間は決まっていますが、10年というのは、科研費とか比べれば2倍、3倍の期間ですので、割と雇用に関しても、少し安心を持ってできるプログラムではないかと思っております。
 ちょっと時間が迫ってきましたので、以上にいたしましょうか。また、次回、次々回のときに、この議論はさせていただければと思います。
 それでは、時間もありますので、本日はここまでとさせていただきます。
 最後に、今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いいたします。

【柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官】  資料8を御覧ください。
 今後の部会の開催予定といたしまして、5月に関係者からのヒアリング、6月に2回程度意見の整理に向けた議論を行いたいと考えております。
 次回のヒアリングにつきましては、全国的な観点からの学術研究基盤の現状等について、関係団体からヒアリングを行わせていただきたいと考えております。具体的には、国立大学協会や附置研究所・センター長会議、共同利用・共同研究拠点協議会などを想定しておりますけれども、本日の議論も踏まえまして、ヒアリングの実施団体について部会長と相談の上、決定したいと考えております。
 また、次回の会議開催日時については、調整の上、改めて事務局から御連絡させていただきます。よろしくお願いします。

【観山部会長】  今日も出ましたし、出席者には、いろいろな共共拠点の所長さんもおられますけれども、具体的ないろんな問題点をヒアリングして、それぞれの分野での問題点と聞いていただいて、今後の議論の参考にさせていただきたいと思うところでございます。
 どうもありがとうございました。何か最後に一言言いたいという方はおられますか。
 ないようですので、それでは、本日の議事は終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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