研究環境基盤部会(第104回) 議事録

1.日時

令和元年12月17日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 「大学共同利用機関の検証ガイドライン」の骨子案等について
  2. 「連合体(仮称)」の検討状況について
  3. ロードマップ2020の検討状況について
  4. 国公私立大学の共同利用・共同研究拠点制度について
  5. その他

4.出席者

委員

観山正見部会長、家泰弘委員、大滝義博委員、栗原和枝委員、小長谷有紀委員、小林良彰委員、徳宿克夫委員、鍋倉淳一委員、藤井良一委員、松岡彩子委員、森初果委員、山本佳代子委員、龍有二委員

文部科学省

村田研究振興局長、西井学術機関課長、降籏学術機関課学術研究調整官、吉居学術機関課課長補佐、小林学術機関課課長補佐、二瓶学術機関課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【観山部会長】 ただいまより、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会、第104回を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、本日も御多忙のところ出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず事務局より、本日の委員の出欠、配付資料の確認をお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 本日は、井野瀬久美恵委員、勝悦子委員、佐藤直樹委員、竹山春子委員、橘・フクシマ・咲江委員、永田恭介委員、八田英二委員、樋口知之委員、八木康史委員が御欠席でございます。
本日の配付資料の確認をさせていただきます。お手元にきょうの配付資料をお配りさせていただいておりますが、議事次第に沿って御紹介をさせていただきます。4ポツ目に配付資料とございます。枝番が多くて恐縮でございますが、配付資料1-1から1-4、資料2-1、2-2、資料3、資料4-1、資料4-2、資料5、資料6-1、6-2の各資料を配付しております。
また、委員の皆様には机上配付資料といたしまして、フラットファイルで、第9期研究環境基盤部会で取りまとめました第4期中期目標期間における大学共同利用機関の在り方についての審議のまとめの本文と、大学共同利用機関関係基礎資料集を置かせていただいておりますので、適宜御参照いただければと存じます。
配付資料の不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございます。
本日は、まず「大学共同利用機関の検証ガイドライン」の骨子案について取り扱いたいと思います。「大学共同利用機関の検証ガイドライン」の骨子案及び検証の観点・指標例については、今期の大学共同利用機関改革に関する作業部会において、私が作業部会の主査として検討を進めてまいりました。本日は事務局より、作業部会において検討されている「大学共同利用機関の検証ガイドライン」の骨子案及び検証の観点・指標例の検討について、まず説明をお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 それでは、配付資料1-1から1-4まで御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料1-1をお願いいたします。こちらは、大学共同利用機関として備えるべき要件ということで、A4の1枚紙でございますが、今年7月の研究環境基盤部会での御意見を踏まえて修正させていただいたものでございます。大学共同利用機関として備えるべき要件といたしまして、1ポツの基本的事項、そして具体的に2ポツ目の項目別整理ということで、「運営面」から「社会との関わり」といった7つの項目から、それぞれ大学共同利用機関として備えるべき要件としてまとめさせていただいたものでございます。
7月時点では、一番下にございます「社会との関わり」というところで、広く成果等を発信して、社会の多様な課題解決に向けてとあったところでございますが、一方的な成果の発信だけでなく、社会との協働ということを明確にすべきであるという御指摘を頂いたことを受けまして、こちらに「社会と協働し」という点を追加いたしまして、備えるべき要件を修正させていただいたところでございます。
これを基にしまして、現在、大学共同利用機関改革に関する作業部会におきましては、各大学共同利用機関の備えるべき要件を基にして、各大学共同利用機関が自己検証をするためのガイドラインを作成するためにご議論頂いているところでございます。作業部会におきまして御意見を頂いたりヒアリングなどを行ったりしながら、ガイドラインの骨子案と主な観点や指標について、検討を進めているという状況でございます。
資料1-2をお願いいたします。これまでの検討の経過ということで、今年の9月下旬から11月上旬にかけまして、改革作業部会におきましてヒアリングを実施いたしました。この資料では、ヒアリングにおきましてどのような意見が出されていたのかという辺りを、簡単に御紹介させていただければと思います。
まず、2の主な意見概要のところでございますが、大学共同利用機関が行う検証の進め方について、最初の丸のところからでございますが、大学共同利用機関が行う自己検証においては、各機関が実施する多様な取組や特性を適切・的確に検証できるよう、指標については各機関の特性に合わせて設定したり、選択制にしたりするようにしてほしいという意見がございました。
また、この自己検証を実施する時期におきましては、国立大学法人評価の実施時期や項目等ができるだけ重複しないように配慮すべきであるという御意見を頂戴しております。
次に、この検証結果については、それぞれの機関の相互の優劣を相対的に比較するものではなく、絶対評価とするという視点が重要であるという御意見を頂きました。
また、人文・社会科学系と自然科学系の研究機関については、研究の在り方が大きく異なる点に留意が必要であるという御意見を頂いております。
また、この自己検証をする点における指標については、我が国固有の共同利用機関を評価するためには、大学の研究所を評価する指標では適さないのではないかといった御意見を頂戴いたしました。
また、この検証につきましては、大学の学術発展に資するための大学の共同利用の研究所であることを際立たせるような指標であるべきであり、ベンチマークの設定等を含めた適切な指標を考えるべきであると御意見を頂いております。
そして、科学技術・学術審議会が実施する外部検証におきましては、専門性や分野の特性に配慮して適切に評価できるよう、多様な研究分野から有識者を選定するといった体制強化についての御指摘を頂いております。
また、決められた指標を滞りなく達成することが重視されるのではなく、各機関が取り組むプラスの評価を積極的に取り入れることが大事だという意見を頂いております。
2ページ目に移りますが、これまでの過去の取組内容を現状把握として評価するだけではなく、今後の共同利用機関のよりよい発展を導くために、未来に向かった長期的視点による検証であることが重要であるという御意見を頂きました。
また、その強みだけではなく、各機関の特性に応じた観点や指標に基づいて説明することで、各機関の強みや弱みの明確化といった新たな気付きが生まれるという考えが重要であるといった御意見を頂いたところでございます。
これを具体的にどのように検証していくのかといった主な観点や指標の例ということで御意見を頂いたところについては、最初の丸にありますように、各分野に求められるものは多様であるため、評価の観点というのは、各機関に共通するものと機関独自のものを設定することが必要であるという御意見を頂いております。
また、2つ目でございますが、それぞれの観点の優先順位、また具体的な指標は、各大学共同利用機関の固有性に鑑みて各機関が設定できるようにすべきであるという御指摘を頂きました。
また、それぞれの機関の特性によって主な観点や指標の重みはそれぞれ異なるということで、一律的な適用をすべきではないといった御指摘を頂いているところでございます。
その次でございますが、多様な学術動向を踏まえて、新たなコミュニティを生み出しているという点を評価すべきであり、こういったコミュニティの意向を踏まえる体制があるかどうかに加えて、適宜コミュニティの意見を適切に反映できているか、また確認できるようになっているかといった視点も重要であるということを御指摘いただいております。
先ほども全体のところにもございましたが、人文・社会科学分野の場合、自然科学系と活動内容が大きく異なるため、この指標例については考慮が必要であるといった、10%論文などに係る御意見などを頂いたところでございます。
また、学際的・融合的領域に関する指標においては、社会から見た新たな価値創出という側面を含んでおり、こういった学際的・融合的領域が指標に反映されるまでには、かなり相当の時間が掛かっていくといった辺りに留意が必要であるということを御指摘いただいたところでございます。
また、先ほどの備えるべき要件のところにもございましたが、社会との関わりにつきまして、必要な情報を発信するのみではなく、社会との協働や共創を通じて、新たな研究の展開につなげていくといったことも重要であるという御意見を頂いたところでございます。
そして、その次でございますが、挙げられている指標例というのは例示であり、各機関の特性に応じて、各機関において指標等を設定して、各機関がどれだけ学術に貢献しているのか、また、今後どのような学術への貢献をしていこうとしているのかを説明するよう、将来に向けた前向きな評価ができるような指標例にすべきであるという御指摘を頂いたところでございます。
最後でございますが、各機関の取組の結果だけではなく、それに至ったプロセスについても視点に入れるべきであるという御指摘でございました。
その次のページは、このヒアリングを行った日と、具体的に有識者の方から御意見を頂いた一覧でございます。全ての大学共同利用機関17機関からと、それぞれの分野に関わる有識者の先生方からヒアリングを実施したということで、ご覧いただければと存じます。
そして、このようなヒアリングなども受けまして、現在改革作業部会で検討している骨子案と、主な観点と指標の例ということでご覧いただきたいと思います。資料1-3をお願いいたします。この資料1-3は、現在、改革作業部会におきまして御審議いただいている途中段階のものでございまして、今後変更することがあり得るものでございますが、現時点のものということで御紹介をさせていただきたいと思います。
「大学共同利用機関の検証ガイドライン」の検証の趣旨のところでございますが、昨年12月に基盤部会でおまとめいただきました「審議のまとめ」に基づきまして、各大学共同利用機関が、中期目標開始12年間の存続を基本とすることを踏まえながら、学術研究の動向に対応して、大学における学術研究の発展に寄与しているか、また、大学共同利用機関制度が我が国の研究力向上に資するものとなっているかどうかを定期的に検証し、その結果に基づきまして、再編・統合等を含めた今後の体制強化の在り方について検討するというのが、この検証の趣旨でございます。
そして、このガイドラインの位置付けでございますが、先ほどご覧いただきました備えるべき要件を踏まえながら、検証の観点、参照すべき指標を、ガイドラインという形で示すというのが、このガイドラインとしての位置付けでございます。
検証の主体別の構成のところでございますが、審議のまとめを踏まえまして、この検証は、大学共同利用機関及び大学共同利用機関法人が行います自己検証と、これに基づきまして科学技術・学術審議会が実施する外部検証により行うとしており、自己検証のところについては、その下の丸1のところでございますが、各大学共同利用機関は、各大学共同利用機関法人の支援の下、ガイドラインに基づいて自己検証を実施するとしております。そして、必要に応じて委員会などの独自の体制を構築したり、海外の研究機関に属する研究者等の意見を聴取するとしながら、自己検証を行うとしているところでございます。
そして、丸2の外部検証のところでございますが、各大学共同利用機関が実施をした自己検証の検証結果報告書に基づきまして、科学技術・学術審議会が、各大学共同利用機関がどのような強みや弱みを認識しているかといった自己検証の妥当性について、外部検証を実施するとしております。その体制につきましては、改革作業部会の委員を中心に、専門性や分野融合等に配慮して、所要の専門委員を加える体制とするという方向性を位置付けているところでございます。
2ページ目に移ります。実際に検証を行う際の基準でございますが、先ほどの資料1-1でご覧いただきました大学共同利用機関が備えるべき要件、こちらは文部科学省が定めるものでございますが、この要件につきまして、改革作業部会が策定します各要件に対応する主な観点や指標例を基本としながら、検証を行うとしているところでございます。
2つ目の丸にございますが、主な観点につきましては、次の行になりますが、共同利用・共同研究を通じて全国の研究者コミュニティに貢献する機能を有しているか確認できるよう、審議のまとめの関連する記述が含まれるように設定し、観点ごとの重み付けや優先順位については、機関ごとに判断することとするとしたところでございます。
また、その次の丸でございますが、提示の指標例については、各大学共同利用機関の特性に応じつつ、客観的に検証できるよう、大学共同利用機関の目的とする各研究分野や機能の違いに配慮しながら、各機関の判断で独自の指標やベンチマークによることを可能とするとしているところでございます。
そして、その次でございますが、大学共同利用機関が検証を実施する際には、これまでの業績に対する検証の結果のみならず、今後の目指すべき方向性についても分析をするとしているところでございます。
5ポツの、この自己検証を行う時期についてですが、まず検証の周期につきましては、審議のまとめに基づきまして、大学共同利用機関法人の中期目標期間に合わせて、6年ごとに自己検証を実施するとしているところでございます。
そして、検証を行う時期についてですが、この直後の中期目標期間の開始に向けまして、国立大学法人法に基づいて文部科学大臣が行う組織及び業務の全般にわたる検討や、その後の中期目標の策定などのためのスケジュールと調整をしていくとしております。なお書きのところですが、大学共同利用機関法人の4年目終了時の評価の時期と重複しがちになりますので、極力この時期を避けるなどの負担の軽減にも配慮するとしているところでございます。
その次のページの3ページ目に移らせていただきますが、この自己検証をした結果については、各大学共同利用機関におきまして検証結果報告書を作成いたしまして、文部科学省に提出をするとしているところでございます。
この報告書を作成する際には、大学共同利用機関等における関係データの収集や書類の作成といった負担の軽減に配慮するために、大学共同利用機関法人の4年目の終了時評価の際に活用するデータ、また各大学共同利用機関法人における共同利用・共同研究等の実績を示すといった既存のデータを可能な限り活用するとして、負担軽減に向けた配慮といったところを示しているところでございます。
なお、この7ポツの検証の結果のところについては、1つ目の丸にありますように、1で示しましたように本検証については、各大学共同利用機関が今後中長期的に大学共同利用機関として求められる役割を担うことが可能かどうか、また、大学における学術研究の発展、我が国の研究力向上に貢献していけるかといった、将来に向けた検証を行うといったことであって、再編等を含めて今後の体制強化の在り方を明らかにするものであり、それぞれの大学共同利用機関の間の相互の優劣を相対的に比較するものではないというところを、こちらに示したところでございます。
こうした趣旨を踏まえまして、検証の実施に当たりましては、備えるべき要件の項目ごとに、過去・将来の観点や取組の結果のみならず、プロセスの観点から分析をした上で、当該大学共同利用機関の今後期待する事項や、解決すべき課題などを提示し、必要があれば、再編・統合等を含む今後の体制強化の在り方等について総括をするとしたところでございます。
そして、本検証の透明性や正確性を確保するために、検証の結果の決定に先立ちまして、大学共同利用機関の意見申し立ての機会を付与するとしているところでございます。
8ポツ目は、審議のまとめにおいても触れて頂いた大学の共同利用・共同研究拠点との関係ということですが、まず1つ目の丸のところで、この自己検証を行いながら、大学共同利用機関から大学の共同利用・共同研究拠点への移行について、検証の過程で、大学共同利用機関としての在り方や、拠点へ移行することによって、特定の大学が有する特色や強みとの相乗効果等が明らかになる可能性があるところですが、具体的な移行については、この自己検証とは別に、審議のまとめに基づきまして、実際に国立大学法人から移行に係る要望が示された後に、科学技術・学術審議会においてコミュニティの意向、また各共同利用・共同研究機関、機関法人といった辺りの意向も踏まえつつ、その是非を検討するとしたところでございます。
また、拠点から大学共同利用機関への移行に関しましても、審議のまとめにおいて触れているところですが、文部科学省から、定期的に拠点に対して大学共同利用機関への移行に係る要望を調査すると、審議のまとめでされており、具体的に要望が示された場合には、備えるべき要件を満たしているか、コミュニティからの意向があるかなどについて、本ガイドラインを活用しながら、科学技術・学術審議会において別途検討するとしているところでございます。
また、最後の丸のところでございますが、大学共同利用機関や拠点間の関係については、組織の移行のみならず、関係する研究分野の研究機関のネットワークを形成し、相互補完的に協力して研究を推進する連携可能性があるといった辺りにも留意をすべきということを示しているところでして、具体的には、大学共同利用機関から大学共同利用・研究拠点への移行、またその逆についての手続についての記載をしたところでございます。
以上、ガイドラインの骨子ということで、基本的な考え方をまとめまして、具体的な主な観点と指標の例について、今現在検討を行っているのが、資料1-4の資料でお示しする主な観点と指標例の案でございます。こちらも作業部会で現在検討中のもので、今後変更するということがあり得るという状況のものでございます。
一番上に運営面とありまして、大学共同利用機関として備えるべき要件を記載しており、備えるべき要件が満たされているかどうかといった辺りを、主な観点という項目と、主な観点を確認する趣旨で指標の例をそれぞれ示しているものでございます。
こちらは先ほどのヒアリングや検討状況の審議における御意見などでも申し上げましたが、17の大学共同利用機関の特性に応じまして、独自の観点や指標、ベンチマークを設定できるようにするといったことや、相対評価ではなく、絶対評価でするものであり、それぞれの各大学共同利用機関の特性が生かせるよう、ここの主な観点や指標の例というのは独自に設定したりすることができるということを、今後具体的に盛り込んでいくという方向で検討を進めているところでございます。
2ページ目、3ページ目に、中核拠点性に関する主な観点や指標例、以下、国際性、研究資源、新分野の創出、人材育成、社会との関わりという順に示してございまして、この主な観点では、一見すると、過去のこれまでの既存の取組を中心とした観点ではないかという御意見も頂戴しているところでございますが、この点につきまして、8ページ目の最後のところに米印を付けさせていただいておりますが、各大学共同利用機関が実施する検証に当たっては、1から7における主な観点に基づく検証に加えて、今後の目指すべき方向性についても分析することとするとしておりまして、今後の大学共同利用機関が、その機能を果たすことができるかどうかという観点、指標例ということで、今後更に検討を進めていくことにしているところでございます。
今後につきましては、引き続きこの改革作業部会におきまして、今御報告申し上げました骨子案と主な観点などを基にしながら、具体的にガイドラインの案を策定いたしまして検討を行っていく予定にしているところでございます。そして、今年度中までに具体的にガイドラインを策定いたしまして、来年度からそれぞれの各大学共同利用機関、大学共同利用機関法人における自己検証ができるよう、準備を進めていくというスケジュールで考えているところでございます。
資料1-1から資料1-4につきまして、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【観山部会長】 ありがとうございました。
それでは、御意見を伺いたいと思いますが、主査として1点だけ、最後に言われたとおり、この検証というのは、過去のいろいろな大学共同利用機関として、我が国の大学をはじめとする学術の進展に、いかに寄与しているかということが大きな観点でございますが、今後6年、12年に向けて、どのような展望を持っているのかということも、私どもがウオッチしなきゃいけないところだと思っておりますので、その部分も一つの大きな検証の役割だと思っておるところでございます。
それでは、いかがでしょうか。御自由に御意見いただければと思いますが。
小林さん。
【小林臨時委員】 大変適切な内容だと思います。相対評価をするのではなくて、それぞれが独自の指標を立てて、自己達成をどう達成していくという意味では、大変前向きだと思います。
ただ、資料1-4の運営面の主な観点の3つ目の丸のところになりますが、これについては独自ではなくて、全ての機関に入れていただきたいというところになります。平成26年の文科大臣決定以降、不正行為若しくは研究費の不正使用は、当該研究者個人の責任だけではなく、その本人が所属する機関の管理責任も問うということになっております。そういう意味では、ここでは「体制が整備されていること」とだけ書いてあります。そうすると、自己検証で、「うちはこういうプログラムを持っています」で終わってしまうので、ここは是非、「体制が整備され、適切なコンプライアンスが確保されていること」まで踏み込んでいただきたいのです。
そうしていただければ、自己検証するときに、体制が整備されているだけではなくて、もし不幸にして、万が一何かそういう事案が起きたときには、このようにきちんと対応しましたというところまで書くと。そういう意味では、このところはそこまで踏み込んでいただきたい。ですから、これについての指標というのは、是非全ての機関で入れていただければと思います。
以上です。
【観山部会長】 ありがとうございます。重要な指摘だと思います。これは、機関は法人の中に入っておりますので、法人におけるコンプライアンスの仕組みと並びに、各大学共同利用機関でしなければいけないことをきっちりと整理していただいて、今、小林委員が言われたような形で示していただくということが適切な状況だと思います。
ほかにいかがでしょうか。これはまだ最終の状況ではありませんで、各委員からの御意見、それから、この指標例とか骨子案を、各機関にも御意見を頂いてブラッシュアップしていくということで、今年度末を目途にまとめていきたいと思っておりますので、是非また御意見がありましたら、お寄せいただければというところでございます。
【栗原部会長代理】 全体を拝見しますと、主な観点は当然、非常にきちっとまとめていただいていると思いますが、指標例が非常に機械的な、定量的指標が挙げられていまして、これはもちろん、基盤としては大事な数字だと思いますが、もう少し生きている活動が見えるような表現はないのかというのが、ちょっと気になりました。
それで、プロセスという言葉が出ていますが、実際の指標例の中に出ていません。例えばそれぞれの機関の目標に対してどう対応しているのかということについて、定性的な指標もあってもいいと思うのですが、新しいコミュニティーがどうできているかとか、研究をどう牽引しているかとか、いろいろあると思います。
それぞれの組織の目標があると思うので、それに対して定性的に書いてもらうのがよいと思いますが、具体的であることが重要だと思いますので、定性的な場合、非常にすぐれたと言われたら、どうすぐれたのかとか、世界的な位置付けだとか、あるいは日本の中でどのようにという、定性的なだけど具体的なものを受け入れるような、何かそういう枠組みがないと、また数字のテーブルを書くのかという感じになるのではないかと思います。
社会との関わりなんかも、どのようにやっているのか、先ほどからプロセスという言葉が何回か出ていますが、それをどのようにそれぞれの観点に、全部には難しいかもしれませんが、それぞれの機関の目標とか特徴に応じた部分に何か定性的な形をお考えいただけるといいなと思いました。特に、何が大事かということを、はっきりと言っていただくのが大事なんじゃないかなと思います。
【観山部会長】 ありがとうございます。この指標例に関しては、ヒアリングした全機関と、それから有識者から御意見を頂いて、非常によかったと思っています。ですが、17機関、すごくバラエティーがありますので、文系、社会系から、自然科学、それから生命科学に関してもありますので、なかなか一般にまとめ切れない部分があって、最初のページぐらいの運営面とか、そういう部分は割と簡単ですが。
【栗原部会長代理】 そうですよね。
【観山部会長】 システムとして、うまく整えられているのかという部分はありますが、今言われるとおり、生きた形で各研究所の活動を示してほしいというのは、基本的には各機関が、どう自分たちの強み、それから弱みを示すか。弱みは余り見せないかもしれませんけれども、強みを、この指標例というか、項目を参考にして出していただくということを、強く訴えておりますので、これは各機関が大学共同利用機関として、我が国の学術にどう貢献したかというのを見せる場だと思っておりますので、その点は各機関に適切に伝えたいと思っております。
【栗原部会長代理】 そういう意味では、主な観点の下に指標がありますから、これは主に定量指標が書かれていますが、それと並んで定性的な指標も書いてもいいというふうにしていただいて、だけど具体的に書いてほしいということを要望されたらいかがかと思います。
【観山部会長】 なるほど。ありがとうございます。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 部会長、よろしいですか。
【観山部会長】 どうぞ。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 ありがとうございます。今、部会長から御説明を頂きましたように、この作業部会の中でも、栗原先生がおっしゃったことと正に同じ御指摘をいただいておりまして、具体的には、定性的なものも含めて、各大学共同利用機関がアピールしたい、又はここが強みであるということを、積極的に入れられるようにすべきだという御意見を頂いております。本日お示しさせていただいていた資料では、その辺りがうまく表現し切れていないところでございますが、引き続きの検討の中で、しっかりと打ち込んでいきたいと事務局で思っているところでございます。御指摘いただきありがとうございます。
【観山部会長】 徳宿委員。
【徳宿専門委員】 今の意見に私も賛成なのですが、多分その辺は、資料1-3の検証の基準というところの指標4の3番目に書かれているところですかね。「また、提示の指標例については、特性に応じつつ、客観的に検証できるよう」にと書いてあって、独自の指標が入れられると、ここで書いてあるのだと思いますが、ただ、何でもやっていいよという感じではなくて、やはり栗原先生のおっしゃったような、何か観点をもう少し具体的に膨らまして書いておくとよいのではないかと私も思いました。何にせよ、大学共同利用機関からいろいろ意見を聞いていただいて、私は非常にいいものになっていると思います。
【観山部会長】 貴重な御意見をありがとうございます。山本委員。
【山本臨時委員】 質問です。大変恐縮ですけれども、この土台のところをもう一度お願いしたいと思っています。今、検証のやり方をいろいろ議論している前段階として、今までの検証、中計との絡みがどうだったかと。それに対して、今どうしようとしているのかという、すいませんが、確認です。
それから、検証というのは評価というのと大変似ているものなのかなと思いますが、評価という言葉ではなくて、検証としている理由ですとか、違いですとか、あれば教えてください。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 まず、中期計画との関係でございますが、現在、既に各大学共同利用機関法人の方では、国立大学法人法に基づいた法人評価を実施していただいています。この法人評価の中で、当然その法人を評価するに当たっては、それぞれの法人の下で活動している大学共同利用機関の取組を評価した上で、法人評価もするようになっているところでございますが、その辺りについては、これまで手順が明示されてきていなかったことがありまして、それぞれの大学共同利用機関においてしっかりと、評価というよりも、自分たちの取組について自己点検をし、次の中期目標や未来に向かって、大学共同利用機関としての役割が果たせるかどうかという観点から検証すべきということが、去年の12月に審議のまとめにおいておまとめいただきました。その審議のまとめにおける表現から、自己評価ではなく、自己検証ということで、言葉を使い分けているということで今に至っているという状況でございます。
【山本臨時委員】 ありがとうございます。
【観山部会長】 ありがとうございました。それでは、議論は一応、この件に関してはここまでとさせていただきまして、引き続き、大学共同利用機関改革に関する作業部会において検討していく予定でありますし、その結果は適宜こちらにお示しして、御意見を頂くということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
続きまして、議題の2、「連合体」、これは、この前の期のまとめに書かれているところでございますが、「連合体(仮称)」の検討状況について取り扱いたいと思います。連合体の具体化に向けては、現在4機構と総合研究大学院大学において検討を進めていただいているところでございますけれども、大学共同利用機関改革に関する作業部会においても、適宜ヒアリングなど、フォローアップをしているところです。
本日は、連合体の現在までの検討の状況について、本日出席していただいております藤井委員から、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【藤井専門委員】 どうもありがとうございます。今、御紹介がありましたように、4機構法人と総研大で、連合体の設立準備委員会を作り、精力的に検討してきているところで前回の基盤部会でも簡単に御報告したところでございます。資料2-1と2-2を使い御説明さしあげたいと思います。
まず、2-1でございますけれど、ここには設立の理念、検討に当たっての考え方が、まず述べてございます。前回の基盤部会等でも御指摘ありましたように、研究所と法人、それからこの連合体との関係等を明らかにしながら進めるようにという御指導もいただき、それに沿ったものでございます。
大学共同利用機関が社会の変化や学術研究の動向に対応しながら、その機能を十分に発揮して、我が国の学術の発展、それから大学の機能強化等に資するために共同利用・共同研究を行っているわけですが、その4機関法人と総研大で構成する連合体を創設しまして、機関の力、ポテンシャルを利用して、異分野融合と、国際化の更なる促進、産業界との連携促進による研究力の強化、それから、大学共同利用機関の特色を生かした大学院教育の充実と若手研究者育成、これは総研大関係でございますが、そのための運営の効率化を図るということでございます。
機関法人は4つの特色ある領域を運営しておりますので、それを生かして、各分野の研究機関を統括して、効率的に研究を進めるということを目的に、その機能を果たしていくということでございます。ということで、この連合体は、特に異分野融合、それから新分野融合に対して大きな力点を持つということでございます。
検討に当たっての考え方ですが、意思決定ができる組織とすること。これは当然のことでございますが、それを行うということと、繰り返しになりますが、異分野融合と新分野創成の研究に取り組むということでございます。
4法人に加えて総研大が入りますのが、非常に大きな特色でございますが、総研大が主導して、大学院教育・研究人材育成の機能強化につながる取組を実施することで、総研大が教育に関しては大きなイニシアチブを持つことになります。
共通化することで効率化が図れる業務のみを連合体で行い、5法人の業務に屋上屋を架すものについては連合体に移行せず効率化を図っていくということを基本としたいと思っております。
その下に4ページにわたって大きな表がございますが、まず立て付けとしましては、各々の区分として、運営の役割とか研究力の強化という項目があり、横は機関、総研大でいいますと専攻、それから法人、連合体という形で、各々の役割を区分して記述してございます。
大部でございますので御説明いたしませんが、項目としては、運営の役割、その下に研究力の強化というのがございまして、研究連携のための基本方針というのがあります。先ほども申し上げましたが、一番右側を見ていただきますと、5法人連携による文理を包含する幅広い分野を共同利用・共同研究を通じて連携させることによって、新たな学術分野の創成と、それを担う次世代研究者を育成するというのを大きな目的としておりまして、そのために、その下にあります新興・融合分野の創出。これにつきましては、後でPPTを使って御説明いたします。
次のページをごらんいただきますと、分野を横断する共通知であるデータサイエンス推進。これは、特に情報・システム研究機構のデータサイエンス共同利用基盤施設を中心とした、融合連携のシステムでございます。
その下に、これも後ほど御説明いたしますが、大学も視野に入れた技術支援・機器共用の体系化についても、連合体で取りまとめてまいります。
それから、研究教育活動のグローバル展開、若手人材育成、そして、次のページの一番下の、大学法人との幅広い連携構築とIRによる研究機能強化、これも後ほど個別に説明させていただきます。
次のページを見ていただきますと、産学官連携ポテンシャルの可視化と活性化が、研究力強化の大きなメニューになっておりまして、これについて検討を進めているところでございます。
次の3番目が、大学院教育の充実ということで、ここでは国際・国内の共同学位プログラム、学生のリクルート、渉外・ファンドレイジング、学生支援・留学生支援、それから若手研究者人材育成ということで、これは特別研究員という制度を作るということですが、これにつきましては、また後ほど個別に御説明したいと思います。このようなプログラムを考えまして、大学院教育の充実と促進・拡大を考えているところであります。これらは連合体で行うのが非常に有効だと考えております。
最後のページでございますが、業務の効率化に関する取組でございまして、法務業務、男女共同参画、研修等、様々な総務関係、財務関係、それから施設関係等につきまして、今現在行っているものをどのように連合体で扱うかということを示してあります。先ほども申し上げましたように、屋上屋を重ねるようなものは、現状のところで行うということでありまして、共通化することによって、その下の組織では実施する必要ない、基本的にはそういうものだけを抜き出すという方針で進めております。
先ほどお話がありましたけれども、研究不正の対応や、情報セキュリティ、広報等も、この中で検討しておりますし、施設関係も、施設マネジメントも含めて検討しているところでございます。
これが今まで検討してきております全体のアウトルックでございます。本日はその中の幾つかについて、具体的にどのような検討が進んでいるかということを、資料2-2を用いて説明させていただきたいと思います。資料2-2は、連合体の設立準備委員会でまとめたものでございます。
まず、1枚めくっていただきますと、連合体組織の検討でございます。大学共同利用機関・SOKENDAI連携推進協会というのは少し長いので、今後考えていくということになっておりますが、今は仮称で呼んでおります。現在考えておりますのは、連合体を一般社団法人として立ち上げることでありまして、この5つの法人が社員となり社員総会を構成するということでございます。
その下に理事会を置き、日常の様々な運営をここでしっかりと実施していく、指揮するということでございます。基本的には5法人の長が兼務するということと、常勤理事を置くことを現在考えております。その下に事務局、各法人からの出向になると思いますが、比較的小規模な事務局を置くということを考えております。
それから、先ほどリストで御説明いたしましたが、研究力の強化や、大学院教育等の様々なプロジェクトが走りますので、それをしっかりと所掌する企画会議を立ち上げ、その計画と運営を行ってまいりたいと考えております。その中には評価の検討部会のような、全体を評価するものも入れたいと考えております。
それから、この一般社団法人をしっかりと外から見ていただき、いろいろな御教示を頂くということも考えておりまして、それは右側にあります連携推進評議会と呼んでおります組織を立ち上げて、いろいろな御意見を頂くということを考えております。これは外部有識者で構成し、国大協や私大協、それから産業界から代表の方を出していただき御意見を頂くということを現在考えております。
法人の形態につきましては、一般社団法人を考えておりますが、そのほかのものも比較検討しておりますが、今のところ、一般社団法人が最も合っていると考えこの一般社団法人で進めているところでございます。
次のページをごらんください。連合体で実施する事業例として、研究力強化の最初のもので、先ほどの2-1のリストの最初の部分でございます。新興・融合分野の創出で、これは基本的には、研究力強化の柱になるものでございます。
実際、新興・融合分野の創出を行っていくために、広い公募による萌芽的新興・融合分野の支援や、連合体主導による新分野の育成支援等、ここではオープンラボを設置して研究者を集約することを考えております。オープンラボは機関に実験室等を設置いたしますが、実際に様々な方が集まって、研究や作業をすることができるものを考えております。
現状でございますが、既に4機構連携によって、異分野融合・新分野創成委員会を設置して、試行的に様々なプロジェクトを行っております。コロキウムを共同で実施することもございますが、機関をまたぐ異分野融合研究等を行っております。例えば、遺伝研と科博で行っておりました縄文人についての研究は、2018年に新学術領域研究にヤポネシアゲノムとして採択されておりまして、現在、歴博や大学も共同で入って進めております。
例えばこういうものを、連合体では、異分野融合としてすぐれた計画を選び出して実施していく。そして、その芽を育てていくということを行いたいと思っております。枠組みを用意し、優れた提案が出てきた時に、機関・大学共同の異分野融合研究を促進するという形にしたいと思っております。これにつきましては、連合体スタートと同時に、その機能を移管して実施しますが、現在それも拡充しつつ、準備していきたいと思っております。
次のページをごらんください。分野を横断する共通知であるデータサイエンスの推進でございます。連合体が主体となり、現在、情報・システム研究機構にあるデータサイエンス共同利用基盤施設(DS施設)をコアとして、4機構傘下の各分野において作られるビッグデータの共有と解析を推進するデータセンターを組織整備して、分野横断的な共通知としてデータサイエンスを推進するというものでございます。
具体的には、データ集約センターのような組織を各機関に作りまして、ROISのDS施設と連携させるということが1点。それから、現在非常に必要とされておりますデータサイエンスを総研大の共通科目として、情報に明るい研究者の育成を図るということを考えております。
検討状況でございますが、現在DS施設では、先ほども申し上げましたが人間文化研究機構と共同で文理融合課題に取り組んでおります。それから、本年度からは国立天文台のデータセンターと連携し、新たな情報処理手法の導入等を開始しております。大学等とも連携して、幅広い分野のデータを対象としていくのが今後の予定でございます。
今後の予算ですが、DSに関しては情報・システム研究機構が要求する形にはなりますが、連合体の中に組織として持ち出して、そこでみんなで共通して連携していきたいと考えています。
次のページをごらんください。大学法人との幅広い連携構築とIRによる研究機能強化という例でございます。共同利用・共同研究の推進と関連する課題を解決するために、特に大学執行部の方々の意向を反映させる全国的な大学連携プラットフォームを立ち上げるということを考えております。例えば、研究大学コンソーシアムの後継事業があれば、その事務機能を担うということも考えております。それから、大学執行部との組織的対話を通じて、大学共同利用機関の機能を更に向上させ、大学の機能強化に活用していただけるようにしていきたいと考えております。
現在の状況ですが、4機構において大学執行部との対話の場が構築されておりますので、これらを連合体で、より拡大していくことを考えております。それから、大学の共同利用機関法人の評価指標等で、既に4機構が共同して指標等を作っておりますので、こういう活動も今後更に加速していきたいと考えております。
次のページをごらんください。大学院教育でございますけれども、ここでは、幾つか項目を先ほど申し上げましたが、特別研究員制度の設置について御説明したいと思います。これは総研大の学位プログラムと基盤機関における雇用を組み合わせるということで、優秀な若手人材に、より安定した環境を与えると。研究に専念できるような環境を整備すると。それで優秀な人材を輩出するということを目的としたものでございます。
5年一貫制の博士課程の後期の3年と学位取得後の2年間を合わせた5年間について、支援を行うということでございまして、その間、共同利用機関にそのポストを設置する、用意するということでございます。特別研究員に採用された者は、社会人学生として総研大に在籍するということで、博士取得後は、学籍は離れますけれども、共同利用機関研究員として任期を務めるというものでございます。
本制度は、日本学術振興会のPDに類似しているわけですけれども、学振が奨励金を支給する制度であるのに対して、この制度は雇用を行うということ。それから、博士課程の後期3年と、その後の2年を一体化するということで、非常に学生に対しては大きなメリットがあると。優秀な学生をエンカレッジするには大きなメリットがあると考えております。
主体は、連合体において若手人材育成事業として、連合体が行っていきたいと考えております。それから実施方法も、機関ごとに分けるのではなくて、連合体が全体で募集して、機関の区別とは関係なく、すぐれた者を採用するということでございますし、募集も一括して連合体が行うということでございます。
事業経費としましては、初年度は1億円を考えておりますけれども、5年間積み上がっていきますので、最終年度は5億円の規模になると考えております。学生に対しましては、1人当たり350万円パー年という形で、研究費も支給するということを考えております。このためには、現在の大学院の学生支援経費に加えて、新規の資金調達も必要ということで、この検討も行っているところでございます。
それから、PDに関しましては日本国籍が必要ですけれども、本制度は国籍を問わないということで、国際化に関しても幅を広げていきたいと考えております。
少し長くなりましたけれども、最後に業務運営のページをごらんください。連合体における業務運営の効率化に関する取組ということで、ここでは研修業務について説明したいと思います。
現在までの流れは、本年の2月に、4機構で実施している業務内容の一覧化をして、その後に共通化業務の洗い出し、それから6月には共通化検討の対象事項リストの調整等を行ってきております。真ん中の左側にありますように、対象事項リストとしての例を挙げてございますけれども、男女共同参画とか、研修とか、調達・契約、不正使用防止等が、すぐにでも実施に移せるというものとしてリストアップされておりまして、部分的にはもう実施されておるところでございます。
それで、今年度の第2・四半期におきましては工程表を作成しまして、調整を行っておりまして、令和元年度の末には企画・指揮命令系統等も明確化して、現状の人員と予算の把握等も行い、課題調整、工程表の見直し等を行う予定でございます。
右側の方に行きまして、令和2年度に関しましては共同業務の試行、これは、当座は神谷町の3法人で行いまして、令和3年度はそれを5法人に拡大していくということで、令和4年度には連合体の中で共通事務の実施を本格的に行うということになります。
ということで、一番下のところにございますように、例えば4機構の広報とか、個人情報保護とか、男女共同参画というものについて、連合体の中で共通化して、順次移管していくということを検討しているということでございます。以上でございます。
【観山部会長】 どうもありがとうございました。
これに関しても、大学共同利用機関改革に関する作業部会でもいろいろお聞きして、意見交換をしながら進めているところでありますが、前回からのものに比べて随分議論が進んでいるという状況を、感想として持ちました。
それでは、いかがでしょうか。今の報告に関して御意見等を伺えればと思いますけれども。
家委員。
【家臨時委員】 ありがとうございます。いろいろ検討が進んでいるようですけれども、お聞きしていて一番イメージが湧かなかったのは、全国的な大学連携プラットフォームですけれども、ここは一体何をやる組織で、どういうメンバーシップなのでしょうか。
【藤井専門委員】 3番目のところでございますか。
【家臨時委員】 そうですね。3番目の、「大学連携プラットフォームを立ち上げ」と書いてあるのですが。
【藤井専門委員】 今でも実際にはいろいろな大学の先生方に集まっていただいて、御意見等を聞いたりしているのですけれども、そういうものをもう少し幅広く大きくして、大学執行部の意向を反映させるようなプラットフォームを作ろうということですけれども、どういった規模にするかとかは、まだ検討しているところなので、具体的なことは今、申し上げられませんけれども、公式にそういう場を設けるということ自体が非常に重要ですので、それを設けて、例えば研究大学コンソーシアムみたいなものがあるわけですけれども、それが期限が終わると終わってしまうのですが、そういうものも例えば引き継いで拡大して、大学の先生方の執行部の御意見を聞けるような体制を作りたいということかと思います。
【家臨時委員】 今の各共同利用機関に研究教育運営協議会があると思うのですけれども、そういうものとは別のものですか。
【藤井専門委員】 はい。
【家臨時委員】 決定権を持つものでしょうか。
【藤井専門委員】 決定権といいますか、様々な御意見を聞いて、それを必要なものに関しては法人に、又は機関にしっかりと伝えて、対策を取っていくということになるかと思います。
【家臨時委員】 懇談会的な位置付けと思ってよろしいのでしょうか。
【藤井専門委員】 はい、そのように思います。
【観山部会長】 ほかにいかがでしょうか。松岡委員。
【松岡臨時委員】 ありがとうございます。今の大学法人との連携ということでお聞きしていて、全体的に連合体という形を持つことによって、大学共同利用機関自体の研究を、もっとプロモートする、幅を広げるということは、すごく前半の方はお話が具体的で、大学共同利用機関では、それがあるのですが、大学の研究にフィードバックさせるというお話が、余りそういうことはやっていらっしゃるのか、やっていらっしゃらないのか、ちょっとその辺が曖昧に聞こえましたので。
【藤井専門委員】 どうもありがとうございます。ここの立て付けとして、研究所、機関のミッションとファンクションというのは、そのまま保たれるので、特に個別のコミュニティーとか、それに関係する大学の機能強化に資する共同研究に関しては、その専門性があってコミュニティーにサポートされている機関が行うということでございます。
ただ、例えば、今までですとコミュニティーに資する対応しか見えていなかったものが、今回、機関法人でも見せますし、その上にさらに、全ての4機構法人を連合体で見せることになるので、大学の方たちから見ると、全部のラインナップが見えるということになりますので、更にビジビリティーが上がって利用していただけるということと、それから、今までですといろいろなニーズというのが、私も大学を20機関・大学ぐらい回っているんですけれども、我々に対する要望は頂けるのですが、全体に対する要望というのはなかなか頂けないので、今後はそういう全部の4機構、総研大も入れた中での大学・機関の御要望とか、そういうものをお聞きすることができることになると思いますので、今までよりは比較的、より総合的なものが聞けるのではないかなと思っています。
【松岡臨時委員】 連合体になったからって、無理に新しいものを作る必要はないと思うのですけれども、大学から見てここまでだったものが、もっと向こうの連合体を含めたものが見えて、それがいいことにつながるようでしたら、是非くみ上げていただけたらと思います。ありがとうございます。
【観山部会長】 今の点、お二人の方から御意見・質問があった点は重要な点で、連合体というふうに、大学共同利用機能を連合するようなシステムができると、それぞれの機関はそれぞれのコミュニティー、大学におられるコミュニティーと非常に強いパイプを持っておられるわけですが、ただ、17機関全体、それから法人、総研大を含めても、大学の中ではコミュニティーは小さな組織ですよね。
そうすると、やはり大学の、例えば大学執行部と相当の意見交換をしながら、大学共同利用機関の在り方を続けていかないと、いけないと思います。大学にとって、このシステムというのがいいものかどうかというのが、大学執行部にも、各機関に対応している方々は非常に有効に使われていると思うのだけれども、日本の学術の全体の発展において、どういう形が本当にいいのかということは、よくよく意見交換しなければいけないという発想が、多分この中にあるのだと思います。
小林委員。
【小林臨時委員】 全体として、4機構がそれぞれ持っている強み、人間文化研究機構の男女共同参画であるとか、KEKの調達・契約であるとか、そういうのをお互いにシェアしていくという意味では、現在の機構長連絡会議をかなり機能強化したものとなっていると思います。
1点、不正使用防止が優先順位を2にしているのは、これは前の大臣のイニシアチブからいうと、厳格な評価ということになっていますから、余り世間的に見た目はよくないかなという気はしますが。また、総研大が入ることによって、大学共同利用機関の特別研究員制度ができたというのも、非常にすばらしいことだと思います。
ただ一方で、そもそもこの議論が起きた当初というのは2つ問題がありまして、一つは、なかなか厳しい財政環境の中で、新しい研究機関を4機構法人のどこかが作ろうとしても、それはちょっと難しい状況にあると。そうすると、大胆なスクラップ・アンド・ビルドというのも、4機構全体で考えていく必要があるのではないのかというのが1点。
それから、もう少し直近の現実的な話をしますと、実はどこも施設ができて40年、50年たっているところが多くて、施設が老朽化している。あるいは、現在のスペックであれば、国際的な競合になかなか厳しいと。どうしてもそれを高度化していかなくてはいけないと。それを当然、1法人の予算の中でやっていくことは難しいと。ある程度プールをして、持ち回り的に、今回は情シスのこういうものに使って、次はKEKのこういうものに使って、次は人間文化で、次は自然科学と。そういうこともやっていかないと、毎年大型の補正予算が来て、どこかがやってくれるということは、なかなか今後は期待しにくい。
そうなってくると、パワーポイントの2ページ目のところの、こういう形の一般社団法人にしたときに、連合体が本当にこの5つの、多分機構長が社員で出てくるのでしょうか、連合体が各機構に対して、そういうイニシアチブを持つことができるのかどうかですね。
つまり、この5つの法人の運営費交付金が連合体に一括して入ってくると。それをここで話し合って分けるというのであれば、かなり強いイニシアチブを発揮できると思いますが、それぞれの運営費交付金はそれぞれの5法人に入っていきます。お金を少しずつ連合体に、わずかだけ出し合って、そこで何かやっていくというと、実は機構長連絡会議を機能強化したような形で終わらないかという不安があるのですが、その辺はどうお考えですか。例えば施設の老朽化というのは、今後連合体として、どのように対応されていくお考えなのでしょうか。
【藤井専門委員】 どうもありがとうございます。2つの御質問を頂いたと思っていまして、スクラップ・アンド・ビルドの話が一つあると思います。そもそもは、新たな研究所ができていないみたいな、基盤部会ではそれが大きな問題点だったと思うのですけれども、今回スクラップ・アンド・ビルドにつながるのかどうかは別としまして、例えばデータサイエンスの部分なんかに関しましては、各々のところがやっていたものを、連合体の場に持っていって連合させる、一つにしていくという動きもありますし、そのほかでも連合体に出てくるものが、今後あると思うのですね。
そういう意味からすると、新たな組織立てになってくると。今までは機関に閉じる、又は法人に閉じていたものが、4機構・総研大の中の位置付けとして、本当に一体化するということはあると。そういう意味でのビルドというのは、まずあると考えています。
それから、2点目ですけれども、御指摘のとおり、予算というのは法人に、今のところは入るわけで、法人の中から機関に配分されるという仕組みは、そのまま変えようがないわけでございますけれども、先ほどおっしゃったようなことは、恐らく調整機能はこの連合体が持つことができるのではないかと思います。ですから、例えばそういう枠組みがあったときに、どこが先に使うのかとか、又はそのバンチングを掛けることがもしできるようなものがあるとしたら、それに関する協議、調整は、連合体でできるので、今までよりは非常に融通が利く形に持っていくことができると考えています。
私の個人の意見なので、連合体の設立準備委員会の意見ではございませんけれども、そのように考えています。
【観山部会長】 今、小林委員から質問があった第2点目は非常に重要な観点で、これは前期のまとめにも、いろいろな議論があって、ああいうまとめになった状況なので、そこの点はやはり4法人と総研大が、今のこの連合体という形が、次期の6年間としては一番適切な形であって、うまくいくのだということを示していただかないと、それは大きな宿題として残っているのだと思います。これは様々な委員の御意見もあったと思いますので、それをよく踏まえて、今後の連合体の設計に生かしていただければと思っております。
特に、今言われた老朽化という点は、割と考えやすいところではないかとは思います。考えやすいというのは、簡単だということとは全然違いますけれども。
【藤井専門委員】 それでは、よろしいですか。
【観山部会長】 はい。
【藤井専門委員】 恐らく考えられるとは思うのですけれども、例えば各々の機構が持っている、また施設とか、そういう予算とか要求とかというものを、文科省側としてバンチングを掛けて、使ってもいいですよという仕組みがあれば、できると思います。今のように個別にあるとすると、そこをまたいで一緒にするとかというのは可能かどうか、ちょっと分からないので、恐らくそういう文科省の方とも相談しながら、できるかどうかは決めなきゃいけないと思います。
【観山部会長】 そうですね。そうだと思います。
山本委員。
【山本臨時委員】 パワーポイントの方の3番の、先ほどの続きですね。大学法人との連携について。これはとてもすばらしいのではないかなと私としては思いました。というのは、今までは特定分野の学術コミュニティーにおいて、大学と機関が共同研究してきた。それが、その学術コミュニティーでは非常に評価されているけれども、一般社会に知られていない、余り共同利用機関のことは知られていないということの一因であると。非常に特化しているということだと思います。
それに対して、一方で各国立大が今、当局での予算が厳しくて、疲弊していて、個々の大学でやれること、いろいろな改革をして、外部資金を取っていったりしているのですけれども、そこを横断しての問題を解決してくれるようなところがないと思うのですね。国立大学協会だって、そんなに力がないし。そのときに、こちらの連合体がそういった大学法人全体をカバーすることで、課題解決ができるとなると、俄然みんな、こちらを向いてくれると思います。
一般社会の方も、国立大学についての関心は、例えば自分の子供の教育ですとか、教育研究のことも含めて関心が高いことですから、非常に存在価値が上がるのかなと思いました。
具体的にはというのは、いろいろお話を聞きながら、ということですが、研究大学コンソーシアムというところも非常に具体的に分かると思います。現に自然科学機構がやって、リードしていらっしゃいますし、こういった形でほかの課題解決でも、連合体が資することができるというアピールは、すごくやっていけるといいなと、本当にこれからですけれども、思いました。
特に、高等局系の話と科技系の話というのが分断されてきたのが、今、いろいろな形で融合しながら力を出そうとしているわけで、その意味でも、非常に象徴的な形になるのではないかと思いました。
以上です。
【藤井専門委員】 どうもありがとうございます。
【観山部会長】 どうも貴重な意見をありがとうございました。
じゃ、短く、すいません。
【龍専門委員】 先ほど藤井委員から、既に異分野融合・新分野創成委員会というのが立ち上がって、実際にもう行われているというお話がありました。こういう連合体を作ることによって、更にその部分を強化できるというのは、評価すべき、支援していくべき内容かなと思っております。
以上です。
【藤井専門委員】 どうもありがとうございます。
【観山部会長】 ありがとうございました。
それでは、時間の関係もありまして、次の議題に移らせていただきたいと思います。
連合体の検討状況については、引き続き大学共同利用機関改革に関する作業部会においてフォローアップをするとともに、この部会においても適宜、状況の確認をする機会を持ちたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題3、ロードマップ2020の検討状況について取り扱いたいと思います。本部会に設置された学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会からの主査でいらっしゃる小林委員から、作業部会におけるロードマップ2020の検討状況について、御報告をお願いいたします。
【小林臨時委員】 学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会の主査を務めております小林です。本年度は、まず、すばる望遠鏡とTMT計画の進捗評価、そして、ハイパーカミオカンデ計画の着手に向けた事前評価を実施しました。学術研究の大型プロジェクトについては引き続き、本作業部会において適切な進捗管理に努めていきたいと思っております。
また、前回の基盤部会でも報告いたしましたが、本作業部会では、日本学術会議が策定する研究者コミュニティーの総意としての計画である大型研究計画に関するマスタープランを参考に、優先順位を明らかにする観点から、学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想、通称「ロードマップ」を策定しております。現在、日本学術会議においてマスタープラン2020の審議がなされているところと承知しておりますが、当部会では本年秋以降、次期ロードマップの策定、ロードマップ2020になりますが、に係る審議を進めてまいりました。
このたび12月10日に開催した当作業部会において、学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想、ロードマップ策定方針について、案を取りまとめたところです。現在、パブリックコメント、意見募集を行っておりますので、12月25日までにお寄せいただいた意見を踏まえて、年内に策定方針を固めてまいりたいと思っております。
なお、ロードマップ2020の審議対象は、マスタープラン2020の重点大型研究計画、これは来月明らかになると伺っておりますが、に掲載された計画のうち、作業部会の書面審査の結果、ロードマップ独自の観点から、すぐれた計画を対象とすること。さらには、それ以外にマスタープラン2020の重点大型研究計画、ヒアリングの対象となった計画のうち、作業部会の書面審査の結果、ロードマップ独自の観点から特段にすぐれた計画があれば、それも対象とすることとしております。
なお、資料3をごらんいただければと思います。これがロードマップ2020の策定方針です。時間の都合上、ごく概略だけ申し上げますが、評価の観点、2ページ目をごらんいただきますと、まず、計画の学術的意義というのが加わっております。独創的な探求力により新たな知を開拓できる挑戦性、あるいは総合性、融合性、それから世界に通用する卓越性を獲得できるかという国際性です。
そして、研究者コミュニティーの合意を得ているのかどうか。これは学術会議のマスタープランというところで、信頼できるところはあろうかとは思いますが、海外の研究者コミュニティーもどう思っているのかというところもあろうかと思います。
それから、計画の実施主体が明確になっているかどうか。幅広い大学の研究者が参加できるような共同利用体制が取れているかどうか。建設、運用、あるいは予算、人員計画等々の計画の妥当性があるかどうかということ。そして、重要な点になりますが、今やらなければ、もう駄目だということです。国際競争との関係における緊急性があるかどうか。これをやれば世界トップレベルになり、我が国の強みを更に伸ばすことができるという戦略性を持てるかどうか。そして、社会・国民からの支持。これは社会・国民、大きな公費を使いますから、全体の支持だけではなくて、例えば大型施設を建設する場合は、その地元地域社会の行政及び住民の理解や支持が得られるかどうか。そういう観点から見ていくということになります。
来年早々、日本学術会議でマスタープラン2020が策定され、明らかになり次第、ロードマップ2020の審査を取り進めるべく、引き続き準備を進めていくつもりでございます。本作業部会の進捗は、今後も適切なタイミングで本部会へ報告をさせていただきます。
以上です。
【観山部会長】 ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、御意見・御質問ありましたら、どうぞ。よろしいですか。
【藤井専門委員】 1つ。本日の資料の4ページの上のところですけれども、終期到来後のことが書いてございまして、フロンティア事業とは異なる枠組み、学術研究基盤事業(仮称)への移行も提案するということで、これは非常に重要なポイントなので、是非具体化をしていただけるといいなということ、是非やっていただきたいということです。
【観山部会長】 全く同意見です。マスタープラン、ロードマップというのは、非常に重要な仕組みであって、学術会議という学術を専門にするコミュニティーからのしっかりした議論を基にマスタープランが作られて、ロードマップの方は様々な観点を入れて、今、小林委員が言われたような観点を一々見ながら、次期に国として推進すべき計画はどういうことであるかということを示すということです。当面はフロンティア事業というのが予算的な対象ですけれども、ただ、マスタープランもロードマップも、それ以外の予算においても、適切に評価されたことの効果は今までも結構出ておりますので、そういうことも踏まえて、今、藤井委員が期待されているようなところも頑張っていただければと思っております。徳宿委員。
【徳宿専門委員】 これは非常によくまとまっていて、クリアなドキュメントだと思いますが、私も今のところはちょっと引っ掛かりまして、後継計画として、新しいようなものの移行も提案するということですが、ただ、ここの書き方で、高い優先度が認められないものをやるという形に読めるのですが、これはもうちょっとポジティブな形で、こういうものを作っていくという形にはならないかという議論はないのですかね。
つまり、大きな建設期と大きな運転期というのは明確に分かれていて、建設期のときにやる観点と、運転期の観点というのは、違うというところがあるわけです。だから、運転のところの後継していくところというのを、もうちょっとポジティブに考えて、きちんと事業としていくという形に持っていけるといいのではないかと思うのですが、その辺はどういう具合に議論されているのでしょうか。
【小林臨時委員】 まだ学術研究基盤事業というものが、財務当局が認めているというわけではありませんので、そこへ踏み込んだ議論というのはなかなか難しいのですけれども、恐らくこの中身というのは、3つぐらいのものが入ってくるのではないかと考えられます。
1点は、今御指摘のとおり、もう建設は終わったと。あとは運用していくと。だから、それほど大きな額ではないけれども、やはりある程度必要になってくるというものがあると思います。
もう一つは、実はかなり、それの大きな高度化、大きな作り直すということを要求したのだけれども、優先順位としては、ほかに比べると、そこまでではないと。そうすると、少し小幅な高度化で抑えていただくというものがあるかもしれません。あるいは、長寿命化していくというのもあるかもしれません。
3番目になりますが、常に議論になることですが、大型の研究計画と、基盤整備に関するものというのが出てきます。基盤整備に関するものというのは、どうしても必要なものですね。つまり、KEKにしても、あるいは東大の宇宙線研にしても、いろいろなすばらしい研究があっても、そういうものをつなぐデータの動脈みたいなものがないと、実は研究は行き詰まってしまうわけです。ですから、常に申し上げているのは、研究が心筋梗塞を起こさないように、動脈硬化を起こさないように。
これがいつもほかの研究計画と競合して、勝つか勝たないか分からないという状況の中で、いつもやっているわけです。もし万が一、これが採択されないと、実はほかを採択しても、うまくいかないということもあります。以前も、これは本当に比較できるのかということで、何か別枠が要るのではないかということですが、もうそこまで突っ込んだ議論はしておりますが、肝心の予算を認めていただかないと、それ以上話が進められないというところです。
でも、今の御意見も踏まえて、あるいはパブコメの御意見も踏まえて、そこが3つぐらいのもののうちの、ある部分については書かれているけれども、別の部分については書かれていないとしたら、少しそこは検討させていただきたいと思っております。
【観山部会長】 ほかにいかがでしょうか。
栗原委員。
【栗原部会長代理】 今の点、やはり非常に重要だと思うので、現在フロンティア事業で進められているものは、そう簡単にぱっと中断できるようなものはないのではないかと思うのですが、もちろん、新しい提案も出てこないのは大変困ることではあるのですが、何とか良い継続の形が必要ということは、誰も思っていることだと思いますが、意見として言わせていただきました。何かいい方策があればと思います。
【小林臨時委員】 全ては事務局に頑張っていただいて、財務当局との交渉を頑張っていただきたいということに尽きます。
【栗原部会長代理】 少しでもそういう気持ちが伝わったらということで発言させていただきました。
【観山部会長】 本当に文部科学省に頑張っていただいて、この大型プロジェクトに関しては、様々なすばらしい施設を作っていただいたと思っておりますけれども、その結果、非常に輝かしい成果が出てきておりますが、これをどう継続していくか、さらに、新しい計画をどう生み出すかというのは、やはり大きな部分は予算に掛かっておりますので、是非頑張っていただければと思っております。
【西井学術機関課長】 頑張るというふうに精神的に申し上げれば、そうであればよろしいのですけれども、お話に出ておりますように、マスタープランからも新たな計画が御提案されてきますので、それを新しい学問の動向を踏まえてロードマップに反映させて、それを予算化させていくということも非常に重要でございます。
一方で、後継計画となっておりますのは、既に何年来、小林先生の大型の作業部会の中で御議論いただいて、今ある現行の計画の継続発展形、10年間の年次計画で事業は完結するというふうに、一昨年でしょうか、ルールが新たに変わりまして、その一方で、現行計画を更に発展させていくような計画があるのであれば、更にそれをつなげていこうという形で、この意味で、後継計画として、ロードマップの審査、評価の中で、高い評価を得ているものについては、積極的にこれを取り上げていくわけでございます。
一方で、継続発展をしないのだけれども、いわば、新たな学理は生み出さないのだけれども、ある種、基盤的なものというのがあるのではないだろうかと。それは、今まで整備してきた大型施設の機能を、ここに書かせていただいているように、共同利用とかそういった観点から、基盤として今後も維持していこうと。それは、いわばマスタープランであるとかロードマップというような、あるいはフロンティア事業の年次計画の中の評価とは切り離して、ある意味、安定的に資金供給していく必要があるのではないかということも検討いただいてまいりました。
そういう両方のバランスを、全体のパイの中で、新規のものと従来あるものを、どういった形で割り振っていくのかどうかということは、いろいろな形で調整をさせていただくことが必要であり、より説得力のある意義というのを説明させていただく意味でも、この中身については、またこの基盤部会でございますとか、大型の作業部会の中で御議論を頂いて、それを踏まえて対応したいと思っています。
【観山部会長】 ありがとうございます。栗原委員。
【栗原部会長代理】 今の点、掛け合いみたいになりますが、そういう意味では、やはり事業者の方々が新しい視点なり、基盤的な意味というものをきちっと理解いただいて、それを提示いただくというのが非常に大事なことだと思うので、そういうことを是非お願いしたいと思います。
【観山部会長】 鍋倉委員。その次、森委員。
【鍋倉臨時委員】 ちょっと具体的な言葉についてですけれども、大型プロジェクトということですが、この中で施設とか、そういうことの建設というのが、結構前面に出ていると思うんですね。大型プロジェクトというのは大型施設だけではなくて、大きな規模感というものが必要なものもあると思うので、少しここで観点というところに設備とか設備終了をというのは、そこだけではなくて、いろいろな多様な大型という形を観点に入れていただければ有り難いと思います。
【小林臨時委員】 それについては、既にロードマップは大型施設だけではなくて、施設建設を伴わない大型研究計画も、従来から採択しておりますので、ここも大型施設建設を伴うものだけしか駄目とは一切書いてございません。従来も採択しておりますし、今後のその方針は変わらないと思います。
【観山部会長】 では、森委員。
【森専門委員】 今もありますように、大型施設と基盤施設の整備というところで、両方のバランスをどう取るかということで、栗原委員からもありましたように、事業主からしっかり提示していくということですが、各機関では、財源の多様化も含めて自助努力もしておりますので、色々な事情聴取をしていただいて、そこで調整をしていただくということをお願いしたいと思っています。以上です。
【小林臨時委員】 それに対する回答になるかどうか分かりませんが、従来の策定方針と比べていただくと、従来、大型というのが100億以上というのがかなり書いてあったのです。今回そういうことは書いてございません。それは、従来であれば旧帝大の総長裁量経費は4億5億あったと思いますが、今は多分、1億ぐらいでしょうか。そうすると、100億まで行かなくても、10年で例えば40から50億ぐらいのものが、従来はこういうところへは持ってこなくても大学の中で取れたものが、今はそれでは取れなくなって、当然科研でも賄えなくて、しかし今やらないと、世界のトップから滑りおりるというものも、たくさん出てきています。
そういうことを踏まえて、100億という数字を入れていないというところも御理解いただきたい。ですから、そういうものも当然、マスタープランの重点に乗るかどうかというところによりますけれども、それを、公平公正な立場から審査をしていくということになります。
【森専門委員】 ありがとうございます。
【観山部会長】 よろしいでしょうか。マスタープランが来年の1月に公表されるということでございますので、それからロードマップについての議論が始まって、最終的には来年末ぐらいにロードマップを発表ですかね。
【小林臨時委員】 もう少し早いですかね。
【小林学術機関課課長補佐】 そのぐらいまでに。
【観山部会長】 そうですか。それは結構なことでございます。
どうもありがとうございました。それでは、議題4として、国公私立大学の共同利用・共同研究拠点制度について取り扱いたいと思います。まず、事務局より説明をお願いいたします。
【吉居学術機関課課長補佐】 御説明いたします。国公私立大学の共同利用・共同研究拠点制度について、まず私から、国立大学の共共拠点制度について、現在の状況を御説明したいと思います。資料4-1と4-2でございますが、4-2のスケジュールからごらんください。
資料4-2は、スケジュールをまとめたものでございます。上段、中段、下段と3段になっておりまして、上段が現在やっております共同利用・共同研究拠点に係る審議。そして、中段と下段は参考でございますが、中段が第4期の中期目標・中期計画の策定に向けた動き。それから下段が、運営費交付金に係る検討の動きをまとめてございます。どれも一番右側に、令和4年度から第4期と書いてありますが、この第4期のスタートに向けて、それぞれ議論を進めているというものでございます。
一番上段の共同利用・共同研究拠点に係る審議でございますが、一番終わりの方、令和3年度の真ん中頃に太枠で、期末評価の結果通知というのと、新規認定の結果通知というのがありますが、この2つが一番大きな結果でございまして、第3期の終了としての拠点の期末評価、それから第4期のスタートに向けた新規拠点の認定という2つのことをやらなければいけません。
それに向けまして現在は、左の方に横長の大きい箱がございますが、作業部会における審議というのを現在行っているところでございまして、来年の秋頃には期末評価、それから新規拠点の公募、この2つの要綱についてまとめたいと考えてございます。それに向けて、現在は1か月から2か月に1度ぐらいの頻度で作業部会を開催しているところでございます。
続きまして、資料4-1をごらんください。拠点制度の評価、それから新規認定ということを併せて、充実に向けてと呼んでおりますが、それに向けての議論の論点を、まずまとめたものでございます。
1ページ目は、1、2、3、4と箱が4つ並んでございますが、政府のいろいろな方針の中における共同利用・共同研究に係る記述を抜粋したものを、箱の中に記載しております。
1番目は、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会というところで議論されている、中間まとめの内容でございまして、2021年の4月から第6期の科学技術基本計画がスタートしますが、その新しい基本計画に向けての議論を行っている会議の中間報告の中に、この箱の中にあるような記述、それからキーワードが記載されているということでございます。
2つ目は、文科省から今年の6月に示されました国立大学の改革方針ということで、第4期の中期目標期間に対して、中期目標・中期計画をどのように考えて作っていくかという議論をしているものでございます。
3番目は、本日の議題にもございましたが、こちらの研究環境基盤部会で議論しております大学共同利用機関の在り方と、共同利用・共同研究拠点の関係、在り方についての論点でございます。
一番下の4番目は、経済財政運営と改革の基本方針2019、今年の夏の概算要求に向けての政府方針、それから研究力向上改革2019、文部科学省が今年まとめました研究力向上のためのプランにおける、共同利用・共同研究の記述をまとめたものでございます。
1ページおめくりいただきまして、2ページ。ローマ数字の2でございますが、そういった大きな政府の方針を踏まえまして、共同利用・共同研究拠点制度をどのように充実させていったらいいかということで、観点の例を挙げてございます。7つございますが、中核拠点性の強化、世界水準の研究環境の確保、国際化の推進、異分野融合と新分野創出の促進、人材育成機能の強化、社会や地域との連携、多様な研究機関との連携の促進という視点を挙げてございます。
そして、次のローマ数字の3でございますが、もう少し具体的な論点として挙げたものでございまして、まず1番、厳格な評価と手厚い支援ということで、丸1、認定・評価基準の明確化。単独の研究施設における複数の研究拠点や特定の学部・研究科附属の拠点の取り扱いなど、中間評価のプロセスで明らかとなった事項の検討。
丸2、中間・期末評価について。相対評価の実施方法や評価資料における用語の定義の明確化、提出資料の精選等による評価負担の軽減。国際共同利用・共同研究拠点の評価の実施方法。
3つ目、評価結果の資源配分への反映。「厳格な評価と手厚い支援」の考え方による評価結果の資源配分への反映、認定の取り消しなどについて、検討を進めるべきだというふうに挙げております。
それが厳格な評価と手厚い支援ということでございますが、最後の3ページ、拠点の機能強化。これから更に拠点の機能を強めていく上で、どういったことが考えられるかという視点でございますが、主なものを御説明いたします。
一番上の丸、ネットワーク化による機能強化を促すため、ネットワーク型拠点の活用を促すための要件等の明確化、必要な支援を、どのように行っていくか。
それから、2の一番下の丸でございますが、拠点の強みを活かした国立大学法人の機能強化に対する貢献への評価ということで、拠点研究所だけの強化ではなくて、それを通じて大学への機能強化に対する貢献をどのようにしていくのか、それをどう評価するのかといった視点の議論も、これから予定してございます。
それに当たっての留意点でございますが、3番、2022年以降の新規認定の取り扱いというところで、2つ目の丸、過去の研究環境基盤部会において、拠点数はむやみに増やさないという旨の方針が確認されておりますので、この方針を踏まえることが必要としております。
現在、このような議論を行っております。以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございます。資料5に。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 部会長、よろしいですか。
【観山部会長】 はい。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 資料5も併せて御説明させていただきます。公私立大学を対象といたしました国際共同利用・共同研究拠点の認定につきまして、御報告をさせていただきたいと思います。資料5をお願いいたします。
まず、この国際共同利用・共同研究拠点制度につきましては、平成30年度に創設をしたものでございます。順番が前後して恐縮ですが、2ページ目の国際共同利用・共同研究拠点制度の概要をご覧いただきたいと思います。
国際共同利用・共同研究拠点につきましては、大学に附置される研究施設のうち、国際的な研究活動の中核としての機能を備えて、学術研究の発展に特に資するものということで、学校教育法施行規則に位置付けまして、国際共同利用・共同研究拠点として文部科学大臣が認定をする制度であるということで、既に国立大学につきましては下の表の中にあります6つの研究機関を、国際共同利用・共同研究拠点として認定しているところでございますが、公私立の大学の研究施設につきまして、このたび立命館大学の立命館大学アート・リサーチセンターを新たに認定いたしました御報告でございます。
1枚目にお戻りいただければと思います。公私立大学の国際共同利用・共同研究拠点につきましては、特色ある共同利用・共同研究拠点に関する専門委員会におきまして審議を頂きまして、本部会の八田委員に主査をお務めいただいているところでございます。本日、八田委員が御欠席のため、審査の状況につきましては事務局から御報告をさせていただきます。
こちらの1ポツの認定の経過というところにありますように、真ん中のところに「これまでの審議経過」とございますが、今年の6月から7月上旬にかけまして公募を行いまして、その後、8月上旬から9月上旬にかけて、専門委員会におきまして書面審査、そして9月30日に専門委員会でヒアリング審査を行った後、認定候補を決定いたしまして、下のところにあります立命館大学アート・リサーチセンターを認定候補として選定されたところでございます。
拠点の認定理由について、2ポツのところにございますが、立命館大学アート・リサーチセンターは、浮世絵や古典籍のデータベース化を進めまして、こちらを情報活用のために研究基盤や共同研究として、研究を行っているということ、既に共同利用・共同研究拠点として活動をしているところでございます。
今回の国際共同利用・共同研究拠点になった理由ですが、そこの四角の中でございますが、文化情報学、また情報学、地理学、芸術学、歴史学、文化財学分野における国際的な中核拠点といたしまして、保有する文化研究資源のデジタル化の技術を活かした、日本文化や日本の芸術を対象とした文化研究資源のデジタル・アーカイブ、またその共同研究や海外の博物館・美術館との活発な活動というものが、今後また高く見込まれるということが、今回の認定された理由として挙げられたところでございます。
こちらの認定につきましては、文部科学省におきまして最終的な確認を行った後、10月23日付けで文部科学大臣の認定を行ったところでございます。この新たに発足いたしました国際共同利用・共同研究拠点が、本制度の趣旨に沿って国際的な研究環境の整備に貢献していくよう、また本部会の皆様におかれても御指導いただければと思います。ちなみに、3ページ目に、この立命館大学アート・リサーチセンターの拠点のポンチ絵を参考にお付けしておりますので、御参照いただければと存じます。
御報告は以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの国立大学の共共拠点制度の充実に向けてということと、公私立大学を対象とした国際共同利用・共同研究拠点の認定についてという報告に関しまして、御質問・御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
家委員。
【家臨時委員】 質問です。資料4-1の3ページの2ポツの2つ目の丸のところに、大学以外の研究機関(「連携施設」)と書いておりますけれど、これは何を想定していますか。大学共同利用機関ですか。
【吉居学術機関課課長補佐】 そうです。大学共同利用機関などです。
【家臨時委員】 民間は想定していない?
【吉居学術機関課課長補佐】 それもあり得ます。
【家臨時委員】 あり得るという。
【吉居学術機関課課長補佐】 研発法人など、要するに、拠点に現在認定されていないところとの連携です。
【家臨時委員】 研発法人。民間は想定しているのですか。
【吉居学術機関課課長補佐】 想定しております。
【家臨時委員】 そこは何も制限はないということですね。
【観山部会長】 それでは、小林委員。
【小林臨時委員】 資料4-1の2ページのところになりますが、観点の例のところで、是非加えていただきたいことがございます。先ほども大学共同利用機関で申し上げましたが、コンプライアンスの確保というのは、できれば4番と5番の間ぐらいに入れていただきたいと思います。これは現行の研究者の問題だけではなくて、そこで育つ若手に対する人材育成にも絡むところであります。
先ほども4機構17機関で、何で申し上げたかというと、17機関が4機構の法人の中心のそばに全部があるわけではないわけです。例えば情シスであれば、本部は神谷町。それで統数研は立川にあって、遺伝研は三島にあります。その納品検収を立川でやって、一部持っていくわけではないわけですね。やはり現場でやっているわけです。
ということは、同じようなことで、特に共共拠点の場合、その共共拠点が所属する大学の本部の近くにある場合は、そっちでやるのでしょうけれども、離れている場合はそちらでやる場合もあるので、そういう意味では、やはりコンプライアンスの確保というのはどうしても入れておいていただきたいと思います。そのすぐ下、数行下に、厳格な評価と書いてございますので、それも踏まえて。
国立大学法人評価の総会の方も、公開ですから申し上げていいと思いますが、コンプライアンスを新しい項目に入れるべきではないかという御意見が出ました。従来は業務運営と財務、あとは、研究教育は注目事項という形で取り上げていましたが、業務運営にコンプライアンスを入れることがなかなかうまくいかない。ほかの業務運営はうまくいっていても、それ一つあって、どう評価するかですけれども、コンプライアンスを一つ取り出して、別にしたらどうかという意見もあったということですから、少なくとも共共拠点は通常の運営費交付金以外に特別加算をしておりますから、ほか以上にコンプライアンスは重視されるべきだと思います。
【観山部会長】 どうも貴重な御意見をありがとうございました。
【小長谷委員】 資料5で御説明いただいた件です。国際共同利用・共同研究拠点に私立からも認定されてよかったと思います。けれども、制度上の枠組みは、国立と私立と分けてある上に、国際とそうでないものとが分けられるようになり、さらにネットワーク型と何々型というふうに型まで分けられていますから、その間の協力関係というのが非常に薄くなってしまうというか、ウオッチしにくい関係になってしまいやすいと思います。いわゆる縦割りの弊害ですね。
実際には、例えば国立の共同利用機関では歴博とか国文研が同じようなことをしていますし、いわゆる共共拠点では神奈川大学が図像研究を推進していて、図像のデータベースを持っています。それ以外にも、拠点にならなくても、法政大学が日本文化のイメージ研究に強いとか、要するに、デジタル化は複数の研究所で推進されています。
最ももったいないお金の使い方は、同じもののデジタル化ですね。そういうことにならないように、それぞれの強みを生かしてすみ分けが必要です。すみ分けようと思ったら、ふだんから連携関係を持っておいていただいた方が良いでしょう。それこそが共同利用・共同研究の重要なポイントで、少ない資源をうまく使うための仕組み、長年やってきている仕組みです。ですので、こういう類似の研究のネットワークを、ネットワーク型とか何々型とか、そういう制度を変えてしまうような仕組みのことではなくて、運用面での連携関係を支援するような仕組みというのがあれば、良いと思います。研究資金の投資ではなく、そういう支援の仕方というのもあるのではないかと思います。よろしくお願いします。
【観山部会長】 重要な視点、ありがとうございます。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 小長谷先生、ありがとうございます。先生がおっしゃる問題意識を事務局でも持っておりまして、きょうの資料4-1で御説明させていただいた、2の拠点機能の強化で、先ほども少し話題にしていただきました2つ目の丸のところで、大学以外の研究機関との連携も含むとしておりまして、多様なネットワーク化を促すために必要な支援、こういった支援にはいろいろなやり方がございますが、その中には制度的な縦割りをどう乗り越えて、日頃からの活発な学術らしさを、より日頃の取組として生かせるか、そのためにはどのようなことが考えられるかということも、こちらの作業部会で検討していきたいという問題意識でいるところでございます。
【観山部会長】 栗原委員。
【栗原部会長代理】 私も全く同じことを申し上げようと思っていたので、フロンティア事業の中の国文学資料館のいろいろな古典籍のアーカイブス化も、特に崩し字の解読システムなんかも、多分あそこもやっておられると思うので、そういう意味では、できれば最初の議論になった連合体等の仕組みの中で、そういうネットワークのようなものが作られていくと、大変よろしいかなと思って伺いました。
【観山部会長】 ありがとうございました。
それでは、時間が迫ってきましたので、ここまでとしたいと。
課長。
【西井学術機関課長】 今の共同利用・共同研究拠点の関係は、明日ございますので、引き続き作業部会を開催させていただきまして、その場では共同利用・共同研究拠点の関係者の方々から、現状であるとか、先日の論点についての御意見等を聴取する予定でございますので、作業部会に所属されておられる先生方におかれましては、明日もどうぞよろしくお願いいたします。
【観山部会長】 続きまして、議題5、その他について取り扱いたいと思います。事務局より関係の資料について説明をお願いいたします。
【小林学術機関課課長補佐】 それでは、資料6-1及び資料6-2に基づきまして、現在文部科学省の中で議論がなされております第6期の科学技術基本計画に向けた中間取りまとめがなされておりますので、その内容を御説明させていただきたいと思います。
資料6-1は中間取りまとめの概要になってございます。タイトルといたしましては、知識集約型の価値創造に向けたイノベーション政策を展開していくということで、資料の構成といたしましては、まず現状認識から始まりまして、こういった現状認識を踏まえて、どういった目指すべき方向性を文部科学省として打っていくのかといった作りになっております。
冒頭の現状認識でございますけれども、まず1つ目の矢印といたしまして、デジタル革命の進展により知識集約型社会への大きな転換が行われている。つまり、「モノ」から「コト」への転換が加速していると書いております。また、もう一つの認識といたしまして、これまで培ってきた科学的伝統や研究開発投資による蓄積が礎とはなっておりますけれども、我が国の国際的な地位といたしましては、近年相対的に低下傾向があり、そういったものを現状認識として、記載がなされております。
そのため、こうした社会をSociety 5.0と位置付けておりますが、Society 5.0の実現に向けてということで、大きく3本の柱で政策を打っていこうとしております。1つ目としては、知識集約型の価値創造システムの構築。2つ目としては、我が国の社会課題の解決と世界の持続的発展への貢献。そして3つ目としては、人間主体のインクルーシブ社会の実現となっております。
具体的にはどういった方向性があるかというのが、最後の枠に書いておりますが、例えば第2章関係としては、「知」の創造大国ニッポンへということで、価値創造の源泉となる基礎研究・学術研究の卓越性と多様性の強化をしていくということ。また、その下、大学及び国研を新たな価値創造の原動力にしたい。つまり、知識集約型の価値創造に向けた大学や国立研究開発法人の役割を拡張していきたい。そういったことが記載されているところでございます。この第2章、第3章辺りについては、後ろの面で更に詳しく書いてあるので、御紹介させていただきます。
裏面に飛びまして、第2章といたしまして、更に主な具体的な取組として、矢印で5つほど分化されております。冒頭から申し上げれば、競争的研究費や民間資金などの多様な財源を活用した若手学生への経済的支援の抜本的充実に始まりまして、最後の矢印としては、研究設備・機器の戦略的な整備、集約・共用の促進、ラボから組織へ。また、技術職員の活躍促進などが具体的な取組として記載されているところです。
また、第3章の大学・国立研究開発法人の役割の拡張といたしましては、主な具体的取組として、記載されているような産学連携活動の進化など、大学発ベンチャーの創出の促進などが記載されているところでございます。またその他、第4章から第6章までも、記載のとおりの政策を記載されているところでございます。
また、今後のスケジュールといたしまして、資料6-2でございますけれども、現在、先ほど御説明させていただいたものが10月24日に取りまとめられた中間取りまとめになります。この後、12月18日から来年に向けてヒアリング等を実施いたしまして、来年の3月に最終的な取りまとめを本委員会として行いまして、最終的には2020年度を目途に、CSTIで第6期の基本計画の答申案が取りまとめられると聞いております。以上でございます。
【観山部会長】 どうもありがとうございました。
以上で本日の議題は全て終了いたしましたけれども、大滝委員、何かこの際、御意見ありましたら。
【大滝専門委員】 先週、共同利用機関の研究所長の方とお話をする機会がありました。その中で、次から次へと新しい課題がでてきて、現場ではその対応にどんどん追い立てられている状況にあり、その結果として研究者はほとんど研究時間がなくなり、非常に憔悴し切っている方もいるとのことでした。このような一連の流れの中で、国は共同利用機関に何を求めているのか、研究所長も少し悩み始めているようです。今までは大学の支援を行うことが主でしたが、その後、教育にも力を入れることが求められ、この頃は産学連携にも力を入れる必要が叫ばれています。それに加えて社団法人ができる訳で、これらにどのように対処していくかを求められているのです。
私はライフサイエンスが専門ですので、その立場から見ますと、融合連携をやれといっても、例えば医療分野をやろうと思ったら、実はこの5つの機関だけでは臨床情報を持つところもありませんから、やれといっても、融合分野の研究ができないのではないかと疑問に思うのです。この参加機関だけでできる領域はある意味、偏ったところになるのではないかと考えるのです。これで世界と面と向かって競争していくことができるのかと私自身は非常に悩んでいます。今日もお話を聞いていて、本当にどのような形が良いのか、現場の意見を含めて考えないといけないのではないかと思えるのです。勿論、計画がここまで進んでいる中で、ストップもできない故、先程からすごく悩んで聞いておりました。
現場の状況も考えなかったら、真に日本の知の集積にならない。最先端にいる共同利用機関の研究者は、その分野で世界と対峙していただかなきゃいけない。本当にオールジャパンの体制というのをもうちょっと考えてやらないと、結局、中にいる人たちが振り回されてしまうのではないか。次から次へといろいろな課題が出されて、本当にもう研究する時間がなくなっちゃいましたというのが先週お聞きしたお話でした。
ここでどう考えるかというのは非常に難しいのですけれども、ある意味、元に戻って考える機会が必要なのではないかと私自身は思います。
【観山部会長】 非常に重要な視点を頂きまして、どうもありがとうございます。ただ、多分いろいろな御意見があると思いますけれども、時間が来ましたので、これは継続的な議題として、また議論させていただければと思っております。
それでは、最後に事務局より連絡事項があればお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 次回の研究環境基盤部会の日程等につきましては、委員の皆様と調整の上、御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構ですし、机上に置いていただければ、郵送させていただきます。なお、机上配付のファイルについては、このままお残しください。
以上でございます。
【観山部会長】 本日の会議はこれで終了いたします。委員の皆様、御協力どうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局学術機関課

企画指導係
電話番号:03-5253-4111(内線4169)