研究環境基盤部会(第103回) 議事録

1.日時

令和元年7月9日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「大学共同利用機関として備えるべき要件」(案)について
  2. 「連合体」の検討状況について
  3. 本部会に設置された主な作業部会の検討状況について
  4. 共同利用・共同研究体制にかかる最近の動向について
  5. その他

4.出席者

委員

観山正見部会長、大滝義博委員、栗原和枝委員、小長谷有紀委員、小林良彰委員、橘・フクシマ・咲江委員、徳宿克夫委員、永田恭介委員、八田英二委員、樋口知之委員、藤井良一委員、松岡彩子委員、森初果委員、八木康史委員、山本佳代子委員

文部科学省

村田研究振興局長、西井学術機関課長、降籏学術機関課学術研究調整官、吉居学術機関課課長補佐、小林学術機関課課長補佐、二瓶学術機関課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【観山部会長】 時間になりましたので,ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会を開催いたします。
委員の先生におかれましては,本日も御多忙の中,御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
最初に,事務局に人事異動がありましたので,紹介をお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 それでは,事務局から,人事異動がございましたので,御紹介をさせていただきたいと思います。
本日付けで研究振興局長の異動がございまして,研究振興局長の村田局長でございます。
【村田研究振興局長】 おはようございます。たった今,大臣から辞令を頂戴しまして,本日付けで研究振興局長を拝命いたしました村田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の先生方におかれましては,大変お忙しい中,本部会に御出席を賜りまして,まことにありがとうございます。先生方には,申し上げるまでもないことでございますが,我が国の研究力向上をめぐる課題については様々な指摘がございます。国際的な水準から少し伸び悩んでいる部分もあるのではないかということをはじめ,いろいろな御指摘をされておりますが,我が国が世界の知を先導して,人類社会の持続的発展に貢献し続けるためには,大学共同利用機関をはじめとする研究機関における研究力の向上ということが極めて大切であります。
こうした中で,今年3月から御議論をいただいております第10期の研究環境基盤部会におきましては,第9期に取りまとめをいただきました,今後の大学共同利用機関の在り方に関する「第4期中期目標期間における大学共同利用機関の在り方について(審議のまとめ)」を踏まえ,共同利用・共同研究体制の強化をはじめ、我が国の研究力向上に向けた様々な課題につきまして,御審議を賜っているところでございます。
委員の先生方には,御多忙のところ,大変な御負担をお掛けするわけでございますけれども,引き続き,大所高所の視点から御指導、御鞭撻を賜りますように,切にお願いを申し上げまして御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【観山部会長】 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 引き続きまして,4月1日付けの人事異動について御紹介をさせていただきます。
学術機関課課長補佐,吉居でございます。
【吉居学術機関課課長補佐】 吉居です。よろしくお願いします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 同じく学術機関課課長補佐の小林でございます。
【小林学術機関課課長補佐】 小林です。よろしくお願いします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 学術機関課連携推進専門官の二瓶でございます。
【二瓶学術機関課連携推進専門官】 二瓶でございます。よろしくお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 そして私,学術機関課学術研究調整官の降籏と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
なお,本日は欠席でございますけれども,4月1日付けで大臣官房審議官として増子審議官が着任しておりますので,御報告申し上げます。以上でございます。
【観山部会長】
それでは事務局より,本日の委員の出欠,配付資料の確認をお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 本日は,家泰弘委員,井野瀬久美恵委員,勝悦子委員,佐藤直樹委員,竹山春子委員,鍋倉淳一委員,龍有二委員が,御欠席との御連絡を頂いております。
続きまして,本日の配付資料の確認をさせていただきます。
本日はペーパーレス会議ということで実施させていただいております。机の上にノートパソコンと,タブレットの左上に机上配付資料と書いてある端末が置かれていると思います。委員の皆様の机上には,端末の使い方ということで1枚紙が置かれていると思いますけれども,こちらをごらんいただければと思います。手で拡大や縮小,メモの書き込みもできますので,書き込みをされましたら,後ほどメールでファイルをお送りさせていただきますので,御活用いただければと存じます。
ノートパソコンにつきましては,左下に1ページ,「議事次第」と書いてある中に,配付資料一覧がございますが,資料1-1から資料1-4,資料2,資料3-1,資料3-2,資料4-1,資料4-2までがノートパソコンに入っておりまして,タブレット端末には机上配付資料1,机上配付資料2を収納しております。
もし,タブレットについての不明点や操作ができなくなったなどございましたら,事務局の方にお知らせ頂ければと思いますのでよろしくお願いいたします。
本日の配付資料等の御説明は以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございます。
それでは最初の議題として,まず,「大学共同利用機関として備えるべき要件」について,取り扱いたいと思います。
「備えるべき要件(案)」については,今期の大学共同利用機関改革に関する作業部会において,私が作業部会の主査として検討を進め,去る6月25日に作業部会において,主査一任ということで,その後,作業部会としての案を取りまとめたところでございます。
まず,事務局より,作業部会において検討された「備えるべき要件(案)」について,説明をお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 議事次第以下に資料がまとまって入っております。下の方に移していただきますと,資料1-1から始まり,右下に大きな文字で通しのページ番号を付させていただいておりますので,こちらで御説明させていただければと思います。
資料1-1をお願いいたします。こちらは,前期の研究環境基盤部会でお取りまとめいただきました,第4期中期目標期間における大学共同利用機関の在り方についての審議まとめでございます。こちらを用いながら背景などを説明させていただければと存じます。
先ほど,観山部会長からお話がございましたけれども,「備えるべき要件」につきましては,この研究環境基盤部会の下に設置された「大学共同利用機関改革に関する作業部会」を,5月下旬と6月下旬に開催して御審議を頂いたところでございます。
背景につきましては,先ほども村田局長の挨拶の中にもありましたが,我が国の研究力向上について,諸外国に比べて国際的に相対的な低下傾向にある中,大学共同利用機関の特長を最大限に生かして,我が国の基礎科学力の復権のけん引とすることが求められ,大学共同利用機関法人には,時代の要請に応じまして,新たな学問分野の創出に戦略的に取り組むことが必要であるということ。そして大学共同利用機関法人が設置する大学共同利用機関につきまして,各研究分野の動向や研究者のニーズ,将来性などを踏まえまして,その在り方について検討が必要ということを審議まとめで示していただいたところでございます。
大学共同利用機関法人につきましては,平成16年に法人化されたものでございますが,大学共同利用機関につきましては,一定の変化はその後あるものの,名称や目的というのは変わっていないという状況でございます。
その中で,資料1-1のマル4の「これらを踏まえ」というところにつながっていくわけでございますが,今申し上げましたような背景を踏まえまして,国においては,「大学共同利用機関として備えるべき要件」を明らかにした上で,各大学共同利用機関につきまして,中長期的な構想,これは中期目標期間の2期分に相当する12年間存続することを基本としながら,下線部にありますが,学術研究の動向に対応して,大学における学術研究の発展に資するものになっているかなどを定期的に検証する体制を整備する。そして,この検証結果に基づいて,再編や統合等を含めた大学共同利用機関の在り方というものを検討することが必要という御指摘を頂いているところでございます。
そして,「大学共同利用機関として備えるべき要件」といたしまして,「審議のまとめ」では,下の四角囲いにありますような六つの項目,具体的には,開かれた運営体制の下に,研究者コミュニティー全体の意見を取り入れて運営されているといった運営面に関する観点,また,二つ目の各研究分野に関わる大学や研究者コミュニティー全体を先導し,最先端の研究を行う中核的な学術研究拠点であるという中核拠点性,三つ目として,国際的な学術研究拠点として,我が国の窓口としての機能を果たしていることという国際性,四つ目の点といたしまして,個々の大学では整備・運営が困難な最先端の大型装置や貴重な学術データといった研究資源を保有しながら,共同利用・共同研究に供しているかといった研究資源の観点,そして,時代の要請や学術研究の動向に対応して,新たな学問分野の創出や発展に戦略的に取り組んでいるかといった新分野の創出といった観点,そして,若手研究者の育成に貢献しているかといった人材育成,この六つの観点をお示しいただきまして,これらについて,更に科学技術・学術審議会の意見を賜るとされているところでございます。
次のページにスクロールをしていただきまして,「審議のまとめ」におきましては,右下,3ページと書いてあるところでございますけれども,検証については科学技術・学術審議会が行うとしておりまして,その体制についても,各大学共同利用機関の研究成果や将来性を専門的,客観的に評価できる研究者を含んだ有識者で構成することが適当であるとした上で,検証の周期は中期目標の6年間として,次のプロセスで検証するということで,マル1からマル4のプロセスをお示しいただいたところでございます。
まず,マル1ということで,科学技術・学術審議会において,大学共同利用機関が備えるべき要件を踏まえて,検証の観点や参照すべき指標等を示した「ガイドライン」を策定するということで,改革作業部会においては,まず,マル1の大学共同利用機関が備えるべき要件につきまして,案をおまとめいただいたという状況でございます。
大学共同利用機関が備えるべき要件の次としまして,マル1にありますが,「ガイドライン」を策定し,これを踏まえて,マル2にあります,各大学共同利用機関法人におきまして自己検証を実施する。
そして,マル3にありますように,自己検証の結果を踏まえて,科学技術・学術審議会において分科会や部会における審議などを踏まえつつ検証を実施し,この検証の結果を,文部科学大臣が行う組織及び業務の全般にわたる検討の内容に反映させて,次期の直近の中期目標期間に向けて備えるというような形になっているところでございます。
その次の資料1-2をごらんいただきたく存じます。先ほど,四角囲いでごらんいただきました,「審議のまとめ」を基にしまして,大学共同利用機関改革に関する作業部会におきまして,取りまとめていただいた案というものが資料1-2でございます。
改革作業部会では,基本的な事項と2,項目別整理ということで,二つに大きく分けて整理していただきまして,「1,基本的事項」のところにつきましては,法令等に規定される研究分野や目的などにつきまして,大学における学術研究の発展に資するための大学の共同利用の研究所であること,こちらは法律で定められているものでございますが,これを押さえることを基本としまして,具体的な項目別につきまして,2のところで,今ごらんいただきました運営面,中核拠点性,国際性,研究資源,新分野の創出,人材育成,かような観点につきまして審議の方を,議論を深めていただきまして,「審議のまとめ」から,より細かくより詳細な観点から御議論を頂いているところでございます。
「審議のまとめ」から,この項目別のところに一つ追加したものがありまして,一番下の「社会との関わり」という部分でございますけれども,広く大学共同利用機関としての成果などを発信して,社会の多様な課題解決に向けて取り組んでいることという,成果を発信しているということの関わりにつきまして,新たに項目を一つ追加しまして,おまとめを頂いたところでございます。
これを形にしたものとして,次の資料1-3,右下のページでは5ページ目をごらんいただきたく存じますが,左側に,資料1-2でお示しをしました,改革作業部会でおまとめいただいた「備えるべき要件(案)」でございます。右側におきまして,「審議のまとめ」で示された,六つの項目について示していただいておりまして,「審議のまとめ」から追加・変更があった部分につきまして,下線でお示しをさせていただいているところでございます。
項目別整理について御説明させていただきますと,運営面につきましては,国内外の,海外の研究者コミュニティーというものも含めた方がというような御意見を踏まえて文言を追加いただくとともに,中核拠点性につきましては,長期的かつ多様な視点から,基礎となる学術研究や最先端の学術研究などを行うということで,最先端の研究を行うということだけではなくて,基礎となる学術研究も取り組んでいるというあたりを中核拠点性のところで加えていただいているところでございます。
国際性につきましては,国際共同研究を先導するなどの国際的な学術研究拠点としての機能を果たしているかということで,我が国の窓口としての機能を果たすというところから,言葉を詳細にしたところでございます。
その次の研究資源につきましては,最先端の大型装置や貴重な学術資料・データなどの卓越した学術研究基盤を保有するだけでなく,これらを拡充して,国内外の研究者コミュニティーの視点から,持続的,発展的に共同利用・共同研究に供しているかどうかを詳細に示したところでございます。
新分野の創出につきましては,「時代の要請」という言葉につきまして,「社会の変化」に言葉を換えているところでございます。
人材育成については,若手研究者には大学院生を含むということで,若手研究者を,幅広く人材育成に努めているといったところを新たに表現しているところでございます。人材育成のみならず,若手研究者の活躍機会の創出に貢献をしているといったところについても付記をしているところでございます。
最後に,社会との関わりというところで,先ほどのご説明の通り,一つ新しく項目を立てさせていただいているところでございます。
続きまして,次の資料1-4をお願いいたします。大学共同利用機関法人や大学共同利用機関等の法令における位置付けでございますけれども,現行,国立大学法人法におきましては,大学共同利用機関法人の定義や名称,それから研究分野を,法律のレベルで定めているところでございます。
大学共同利用機関法人が設置いたします大学共同利用機関の名称や目的につきましては,右側に移りまして,省令であります国立大学法人法施行規則で定めているところでございます。
共同利用・共同研究拠点と国際共同利用・共同研究拠点につきましては,省令レベルで認定制度を定めているところでございまして,共同研究拠点の認定の基準,いわば要件につきましては,一番右側にございますが,共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点の認定等に関する規程(告示)ということで,認定基準レベルのところを告示でお示しをしているという状況でございます。
従いまして,今回は,「備えるべき要件」につきまして,この法令等で位置付けるとしているところでございますが,改革作業部会におきましては,現行の位置付けに鑑みまして,告示レベルで備えてはどうかといった議論を頂いたところでございます。
駆け足で恐縮でございますが,御説明は以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございました。
改革に関する作業部会の主査として,基本的には,前期の研究環境基盤部会の要件を,四つの機構長並びに総研大の学長も出席されたところで,もちろん外部の委員もおられましたけれども,まとめたところでありまして,趣旨は変わっておりません。ただ1点,広報というか,社会への還元については,やっぱりこれは非常に重要なことだということで,1点付け加えたというところであります。
それでは,ただいまの説明に基づいて,「大学共同利用機関として備えるべき要件」につきまして,御意見がありましたらお願いいたします。
フクシマ委員。
【フクシマ専門委員】 意見というよりは質問なのですが,前回,部会に出席できませんでしたので,議事録を拝読させていただきました。たしか部会長が,「ポリシーを明確に設定すべきではないか」という御意見を出されていたかと思いますが,今回の修正には,基本的事項のあたりに何かポリシーに関する文言が出るのでしょうか。そのポリシーに沿った形の要件になっているか検討する必要があるかと思います。非常に重要なことだなと思いましたので。
【観山部会長】 どうぞ。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 今,フクシマ委員が御指摘頂いたポリシーというのは,連合体に関する御意見かと存じます。前回の,「大学共同利用機関として備えるべき要件」と別に,この次に現状を御報告させていただきたく存じますが,4機構と総研大の方での連合体をまとめるという議論をしておりまして,「備えるべき要件」の審議とはまた別に行っていただいております。
少し先取りになりますが,連合体のポリシーのところについては,そうした御意見を作業部会でも頂いておりまして,現在,関係の先生方で,修正というか,その意見を踏まえて検討を進めていただいている状況でございます。
また,詳細につきましては御説明させていただければと存じます。
【フクシマ専門委員】 なぜここで聞かせていただいたかといいますと,基本的には,「大学共同利用機関の連合体というのがこれから進むべき道だ」という理解の下に,今まで議論をさせていただいてきています。その前提で,連合体が大学の利用機関全体の統括機能としてあり,そこが各機構の認定をしたり,評価をしたりするときの要件を検討しているとの理解でいましたので,ここで確認をさせて頂いた方が良いと思いました。議事録を見たとき,部会長のご指摘は重要な御意見で,ポリシーというものが,まず,連合体としてもあるべきで,それが,その下にある各機構にも適応されるべきだと思ったものですから,伺わせていただきました。
でも,今のご説明で理解しましたので,大丈夫です。
【観山部会長】 次の議論で,それは議論が出てくると思いますので,よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。松岡委員。
【松岡臨時委員】 ちょっと私の理解不足で,字面だけの問題だったら大変申し訳ないんですけど,やはり質問で,教えていただければと思います。
基本的事項のところに,法令等で規定される研究分野及び目的等と,この法令について余りちゃんと理解していないのですけれども,このことからは,大学共同利用機関の扱う分野というものがどこか法令にちゃんと書かれているものかというふうに,ここの部分からは想像しました。一方,新分野の創出ということで,社会の変化や学術研究の動向に応じて,新たな学問分野の創出というものが,期待されるものとしてあります。
なぜ今,この質問をしているかというと,新たに創出する学問分野というものが,法令等で規定される研究分野というものに何か拘束を受けるようなことになるのかどうかというところが,今後,大学共同利用機関に期待するものを,審査なり何なりするのに関係するのかなと思ったので,そこの関係について,法令等で規定される研究分野と創出すると期待される研究分野の関係について,何か整理があれば教えていただければと思います。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 参考資料2をご覧頂きたいと思います。タブレット端末の左側に,タグがあると思います。そこから下の方に進んでいただきますと,参考資料2「大学共同利用機関等に係る主な関係法令等について」がごらんいただけるかと思いますが,こちらをお願いしてもよろしいでしょうか。
参考資料2で関係の法令ということで,大学共同利用機関の一覧についての法令の条文でございます。第2条の第4項を見て頂きますと,この法律において「大学共同利用機関」とは,別表第2の第2欄に掲げる研究分野について,大学における学術機関の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所をいうという文言がごらんいただけると思います。
これを,指先で下の方に繰っていただきますと,右下に93ページと書いてあるところでございますが,法律レベルでは,大学共同利用機関の法人の名称と,真ん中に研究分野とごらんいただけると思いますが,この部分で法律の研究分野を定めているところでございます。
同じページの下のところに,国立大学法人法施行規則と書かれているのがごらんいただけるかと存じますが,更にページを1枚めくっていただきますと,こちらは省令になりますけれども,別表第一で,それぞれの大学利用機関法人が設置した大学共同利用機関,全部で17の機関がございますが,こちらの利用機関とその大学共同利用機関の目的が定められておりまして,これに基づいて,現在,それぞれの大学共同利用機関で様々な取組をしていただいているということでございます。
基本的事項のところに示したのは,いわば,当然といえば当然ですが,こうした法令に規定されている研究分野や目的について,ちゃんとやっているということを示しているものでございまして,まず,1の基本的事項については,そういった観点で確認の意味で示しているものでございます。
松岡委員からお尋ねを頂きました新分野の創出のところでございますけれども,御案内のとおり,世の中や社会の変化は早く,研究動向もどんどん進化をしているところでございまして,これまでの研究領域のみならず,研究領域を横断するなど,融合された新しい学問分野の創出や展開が非常に期待され,大学共同利用機関においてもそういうことも目指して取組むことが,大学共同利用機関として求められているのではないかという観点で,今回,項目を立てたものでございまして,法律に抵触しているとか,していないといけないとか,そういったものを示しているということではないということで,設置の趣旨や内容を押さえつつ,新しい分野を開拓しながら,また,必要に応じて法令などの見直しを図っていくといった検証の視点として,今回,要件をお示ししたと,このように御理解いただければ幸いでございます。
【松岡臨時委員】 余り法令とかに縛られずに,自由な発想で新分野をいうことが望ましいと思うので,大変よく分かりました。ありがとうございます。
【観山部会長】 ほかに。永田委員。
【永田専門委員】 すみません,久しぶりに出て,勝手なことを言わせていただきます。備えるべき要件のところの最後の「社会との関わり」なんですが,今までなくて,追加としてこれを扱うというのは大変結構なことですが,社会との関わりというのは,二つあります。社会からの要請に応えて課題解決をすると書いてありますけれども,社会と協働するという部分が書いていないと思います。
なぜそんなことを言っているかというと,これから12年間というタームで研究を進めていかれる中で,最も厳しいのが多分,教育や基礎研究に対する社会からの投資だと思います。基本的に,社会からといっても企業が多いわけでしょうけれども,投資やドネーションという意味合いでは,極めてこの国の作りというのは,教育研究に直接企業がお金を出したり,本当にここで扱っている大学共同利用機関は皆,基礎研究をやっていると思うんですけど,そこに対してお金を出すという意識は余りないわけです。
12年間のうちに,そういうチャレンジを是非ともしてほしいなと思います。応用研究だとか開発研究だからお金を出すのではなくて,我が国の基礎研究を支える当該機関に社会がマインドセットとして,基礎研究やそういうものにお金を十分出していいんだというチャレンジを是非ともやっていただきたいと思うが故に,社会との関わりというのは多様な,課題解決だけではなくて,社会と協働する,あるいは社会から,今,具体的な支援を受けるといったものが入っていってほしい。
往々にして,社会との関わりと言えば,応用研究,すぐ出口の見えた研究で,それらについては,社会はようやく少しは理解してきているのかもしれません。それよりもっと大切なのは,基礎研究や人を育てることにどれだけ投資やドネーションができるかということなので,あえて,12年間ですから,12年間のうちに社会のマインドを変えるぐらいの気持ちで,要件を入れてもいいのかなと。金をよこせと書くのは品が悪い。社会との関わりで,社会と協働し,社会の多様な問題解決をするぐらい書いてもいいのではないかなと思います。
【観山部会長】 非常に重要な御指摘,ありがとうございました。
確かにそうですね。米国とか海外の場合には非常にそういう基礎研究に対して,ドネーションというか支援の形が随分あって,実は日本の大学共同利用機関も,ドネーションとかいろんな形がありますけれども,実績があるところもあるのですけれども,今の御指摘は非常に重要なことだと思います。
ほかに。樋口さん。
【樋口専門委員】 ちょっと十分に追い付いていないんですが,運営面で,各研究分野「における国内外の」と追記があるんですけれども,そこの意図というか,趣旨というのは一体どういうものなのか,教えていただければと思うんですけれども。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 ここの部分は,当初,各分野の研究者コミュニティーの意見を取り入れながら運営するという趣旨で御議論を頂いたところでございます。この点は,改革作業部会の中の御議論で,国際的な観点も非常に強くなってきているという議論の流れから,研究者コミュニティーについても,国内だけのコミュニティーの意見を取り入れて運営するのみならず,海外の研究者コミュニティーの意見というものも,運営面の観点から取り入れるべきではないかといった御意見を頂戴しました。
一方で,海外の研究者コミュニティーの意見を取り入れてとなりますと,どこまでそれをやればよいのかという御指摘もありまして,そういった観点から,多様な国内外の研究者コミュニティーの意見を踏まえた運営を,こういったコミュニティーの意見を踏まえながら運営されているとしてはどうかということで,今の案に至ったという経緯でございます。
【樋口専門委員】 分かりました。
【観山部会長】 よろしいですか。確かに研究者によっては,国際性というのはレベルの差がいろいろあると思うんですけれども,ただ,今の状況で,国際的な協力の中で,各機関が活躍していただくというためには,踏まえてという形で進めるのがよかろうということでございました。
いかがでしょうか。ほかに。徳宿委員。
【徳宿専門委員】 「備えるべき要件」のところは,非常にいろいろ考慮していただいて,よくなっていると思います。私の問は,その前のページ,3ページの最後の今後というところです。今,最後のパラグラフのところのマル1でこの要件を作ったわけだと思いますが,その次のマル2のところに,「この後,ガイドラインができた上で,このガイドラインに基づき,海外の研究機関に属する研究者からの意見を聞き,自己検証を実施する。」とあります。 研究者の意見を聞いた上で自己検証するということだと思うのですが,このままだと単数だか複数だかも分からないのですが,これは複数に聞いて,その中に海外の人は必ず入れろというような趣旨なんでしょうか。
【観山部会長】 事務局。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 今の徳宿先生の御指摘は,正に今後,改革作業部会の方で議論をしていきたいと思っているところでございまして,もし本日,「備えるべき要件」を御了承いただきましたら,次は,マル1にございます,「ガイドライン」の策定の議論を,改革作業部会の方で具体的に進めてまいりたいと思います。
恐らく同時並行になると思いますが,その際に,このガイドラインによって,どのように検証を進めていくのかという議論も併せてしていく予定にしておりまして,その中で,ただいま徳宿先生から御指摘を頂きました,海外の研究者からの意見を聞く際には一体どのような形があり得るのか,必要なのか,可能なのかという御議論いただくのかと考えていたところでございます。
【徳宿専門委員】 分かりました。今後ということで理解しました。海外の人に聞くというのは非常に大事だと思いますが,国内の人に聞くのも大事だということはありますので,その辺はバランスが必要かと思います。
【観山部会長】 それは常識的に考えて,バランスをとりながらだと思います。
まだ御意見はあると思いますけれども,この議論については終了させていただきたいと思います。大筋ではこの方向でお認めいただいたということでよろしいでしょうか。
ただ,頂いた御意見は非常に重要なものがありましたので,必要に応じて修正を図ることとして,最終的には,「大学共同利用機関として備えるべき要件」については,部会長である私に御一任いただければと思いますが,よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【観山部会長】 ありがとうございます。それでは,そのように進めさせていただきたいと思います。
また,事務局から説明がありました,「備えるべき要件」の法令等への位置付けにつきましては,事務局において,これは非常に技術的な検討を頂きながら進めていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,先ほども少し議論になっておりました,議題(2)「連合体」の検討状況について,取り扱いたいと思います。
「連合体」の具体化に向けては,現在,4機構及び総合研究大学院大学において検討を進めていただいているところでございますけれども,大学共同利用機関改革に関する作業部会においても,適宜ヒアリングを行いながらフォローアップをしているところです。
本日は,「連合体」の現在の状況についての報告を,事務局より,まずお願いいたします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 それでは引き続きまして,資料2,右下のページ番号でいくと7ページの資料をお願いします。「「連合体」設立に向けた検討の方向性」というタイトルのものでございます。
ただいま観山部会長の方からも御説明がありましたが,この「連合体」につきましては,現在,四つの大学共同利用機関法人と国立大学法人総合研究大学院大学で「連合体」を設立して,この5法人が連携を深めることによって,異分野融合の推進や新分野創成といった研究力の強化,大学院教育の充実及び運営の効率化を図るという設立の趣旨を目指しまして,現在,御検討を頂いているという状況でございます。
6月下旬の改革作業部会におきまして,4機関法人と総研大に現状の御報告を頂いたところでございますが,本日は,その御報告いただいたものをベースにしまして,現状の御報告について事務局からご説明をいただきたいと思います。
まず,設立の趣旨のところについては,今,御説明申し上げたとおりでございまして,組織の構成としましては,その下にあるように,四つの機構と総研大が一般社団法人を立ち上げることを含めてご検討をいただいておりまして,それぞれの機構と大学が社員として横並びで位置付けられることで検討を進めていただいているところであります。また,理事会や,業務部門,管理部門といった組織の案についても検討いただいている状況でございます。
次のページに移っていただきまして,検討すべき取組ということで,大きく三つ上げております。
まず,一つ目が運営の効率化に向けた取組ということで,各大学共同利用機関法人と総研大が共同で取り組むことで効率化が見込まれる業務として,例示としまして,広報,IR,評価,施設・設備のマネジメント,それから,調達・契約,法務,知的財産,男女共同参画に係る取組,研究不正への対応,情報セキュリティー,職員研修,産業界連携・地方貢献活動といった窓口の設置,こうした観点が運営の効率化に向けて有効なのではないかということで,現在,100以上にわたる項目を上げて検討をされていると伺っております。
真ん中の研究力の強化に向けた取組でございますが,研究連携促進のための基本方針というものを策定しまして,異分野融合による研究領域の拡大,新分野の創成に向けた研究プロジェクトについて検討を進めていただいております。また,国際化を促進するために,海外リエゾンオフィスや外国人研究者の相談窓口の共同設置といった取組について検討するとされております。また,ポスドクやキャリアパスの支援といった若手研究者の育成につきまして,連合体としての取組を検討するとされているところでございます。
一番下の大学院教育の充実でございますが,総研大の大学院教育に関しまして,基盤機関である大学共同利用機関が有する海外研究機関のネットワークを生かしながら,国際共同学位プログラムを策定する。そして,留学生のリクルートなどについて,現在,検討を頂いているというところでございます。
こうした主に三つの検討すべき取組を検討するために,次のページをごらんいただきたく存じますが,一番上の白抜きになっておりますが,設立準備委員会というものを5法人共同で設置を頂いておりまして,ここに,4機構と大学学長で準備委員会を構成していただいております。
その中で,組織検討ワーキング,業務運営検討ワーキング,研究力強化検討ワーキング,大学院教育検討ワーキングと四つのワーキンググループを立ち上げまして,今,御説明申し上げました組織検討の観点,それから,業務運営検討ワーキングでは業務の連携・効率化に向けて指揮の命令系統や業務の総ざらい点検を行って,更にこのワーキングの中で,総務部会,財務部会,研究協力部会,施設部会の四つの部会を更に設けて,全法人が参画の下,それぞれのワーキングで検討していただいているということでございます。
あと,研究力強化検討ワーキングや大学院教育検討ワーキングといったところで,大学院教育の改善・充実等のワーキングをそれぞれ立ち上げて,それぞれに全ての法人関係者が入りまして現在,検討されているという状況でございます。
この資料の最後,次のページで,「連合体」設立に向けたスケジュールということでお示しを頂いておりますけれども,一番上の部分が,この基盤部会の下で設置をした改革作業部会のスケジュールでございます。
改革作業部会におきまして,「連合体」の検討状況につきましてヒアリングを都度行う。また,課題を御指摘いただいたものを検討するというような予定にしておりまして,上から2段目のところが,「連合体」設立準備委員会,いわば,一番上の親会議の部分でございますが,これをほぼ月1回,設立準備委員会という形と同等の機構長ミーティングで,設立準備委員会と構成員が同じ,機構長が集まった会議において,それぞれのワーキンググループなどの進捗状況,又は,課題についての共有化を図りながら,状況の進捗管理をされる。
また,それぞれの組織検討ワーキングの中におきましては,現在7月でございますけれども,組織検討ワーキングの中では,秋ぐらいをめどに課題・解決策,体制を検討した上で,年度内を基に業務実施体制を検討し,来年度には定款や内規といった具体的な組織作りの検討準備を進めていく。
また,業務運営の方につきましては,9月ぐらいをめどに課題の共通化を整理しながら,工程表を作成しつつ,体制・規程などを検討しながら,都度,工程表といったものを見直しながら改善を図っていく取組を進め,20年度には,共同業務で先行して実施できるものについては先行して実施をしていくという状況と予定されております。
研究力強化検討ワーキングと大学院教育検討ワーキングでは,年内をめどに基本方針を策定し,各事業の体制などの検討を進めていくというような形で検討を進めるということでございます。
いずれにしましても,「連合体」を正式に立ち上げるのは2022年度の第4期中期目標のスタートの段階から,「連合体」を設立して実施をするということでございますが,前倒しできるところについては前倒しをしながら進めていただくということで検討いただいているという状況でございます。
御説明は以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございました。
「連合体」につきましては,本日出席いただいております藤井委員が,情報・システム研究機構の機構長として参画されておりますので,何かコメントがありましたら,よろしくお願いします。
【藤井専門委員】 どうもありがとうございます。先ほど,フクシマ委員からもポリシーのお話が出まして,現在,在り方のところで出ました三つの大きな課題を中心に議論しておりますけれども,それは,今,御報告がありましたように,ある程度スピーディーに,それから,包括的にやっているというのが現状でございます。
一方で,前回,観山部会長から御指摘のあった,ポリシーの件についても検討を進めております。そこでは,いわゆる構造としましては,連合体,法人,その下にあります研究所群というのがあるわけですけれども,その関係を整理するということと,連合体でなければできないことはどういうことなのか,研究力強化とかそういうことも含めて整理しているところであります。
基本的には,屋上屋を架さないというのが絶対条件でございますので,機関でできることは機関で,法人でできることは法人で,ただ,この基盤部会で過去2期にわたって,機関法人と,それから,機関に対して求められている新規の科学の導入とかありますので,それがいかにできるかということを中心にまとめようとしているところでございます。
総研大等につきましても,事務組織とも関係しますので,総合的にやらなければいけないということがありまして,組織のワーキンググループはそういうものを見ながら進めるということになっておりますけれども,各機関が今,非常に準備を進めているということです。
本当は内容をお示ししないと分からないと思うんですけれども,ちょっときょうはそれをお示ししませんけれども,そういう状況でございます。
【観山部会長】 こういうとき,小さいことから議論を始めると幾らでもあるんですけれども,まず,上でポリシーを決めて,そして,今言われたように,連合体,それから,機構,それから,機関,研究所,3段階になるので,きっちりと項目を整理していただいて,まず,そのマトリックスを作ってもらって,その後,個別の議題を議論していただかないと,細部から始めると多分ぐちゃぐちゃになるんじゃないかということを指摘させていただいたところでありました。随分,それについては機構長,学長を中心に進めておられるようでありますので,成果をここでもまた御紹介することがあると思いますので,よろしくお願いいたします。
ほかに何か御意見ありますでしょうか。どうぞ。
【大滝専門委員】 先ほどからの流れと,それから,連合体というのがどうもしっくり,私の考え方が間違っているのかもしれないんですけれども,基本的には,先ほどの要件の中で,今まで大学の共同研究利用機関という形で進んできたんですけれども,ある意味,国立大学法人の評価委員会に出ていても,まずは大学の評価がずっとあって,最後にちょっと付け足しで共同利用機関の評価をするというような流れが,この10年間やってきて,ただ,実際にこの中を構成している研究所群を見ますと,実は日本を代表して世界と競争している研究所なので,今までの流れ,大学の共同利用機関という言葉自体が,僕はちょっと今まで一段,支援機関のような形で皆さん,一般の人が聞くと,大学が主体であって,1校では持てないような機械を持って,それを大学の先生方が使いに来て,それでやっているような形からスタートしているような感じがして仕方ないんですが,今や世界は変わっていて,利用はもちろんしてもらうんですけれども,基本は,各機関が日本を代表する,一番世界と戦っている研究所だと思うので,今までの考え方を変えなければいかんなと私自身は思っているんですね。
そういう意味で,本当に連合といっても,一体,今までの過去の大学利用機関に対して何を期待しているのというのをもう一度,僕自身は,考えないといけないんじゃないか。たまたまほかの省庁なんですが,いわゆる国立の大学と国立の研究機関と企業の研究機関,これは一体どういう役割があるんだろうというのを1年間,議論したことがあったんです。実際には,明確な結論は出ないまま終わってしまったんですけれども,正にそのときの感じが非常に今回もしていまして,いわゆる大学があって,今までは共同利用という形でいたものが今度,連合体を作るとなると,実は,いろいろな最先端の新しい大学を作ったような形になっちゃうようなことはないのか。
そうすると,今までの大学の利用,いわゆるここでいう,大学や研究者コミュニティー全体を先導して最先端の研究を行う中核的な学術研究拠点であることという,ここでも要件として言っているものが,本当にできるのと。確かに異分野融合は重要なんですが,これは当たり前のことであって,わざわざ異分野融合と日本では言うと,みんな異分野融合をやらなければいけないような感じになってしまう人たちが意外と多いので,それは研究者間で異分野融合をやればいいわけで,こうやって連合体をわざわざ作らなければいけないのか,そちらのところで,経営は非常にやりやすくなるかもしれないけど,むしろそこの煩雑さが増えて,世界の各分野でとがった研究をやっている先生方が,かえってそれを阻害されることはないのかということに,私自身はちょっと懸念を持っています。
ですから,そういう意味で,もう一回,この機関に対して何を期待するのということを一回議論した方が本当はいいなと思って,時間的に今回,間に合わないと思うんですけれども,それはちょっと感じました。
【観山部会長】 非常に重要な指摘,ありがとうございました。
藤井委員もおっしゃっていたように,屋上屋を架して,研究者がしっかりとやっていく時間や労力をとられると,全然意味がないです。ただ,連合体を作ることによって,各機関,各機構ではできなかった部分を相当補強するというか,随分できる部分があるようなので,そこに期待しています。きょうはちょっと抽象的なお話だけなので,具体性を持って示されないと、議論が進まないのではと思います。その点は十分気を付けて議論を進めていただければと思っております。非常に大切な御指摘,ありがとうございました。
藤井先生。
【藤井専門委員】 どうもありがとうございます。先ほど申し上げた,研究所と法人と連合体をしっかり役割を分けるというのは,正に先生おっしゃるとおりで,最も重要なのは機関の研究であることは間違いなくて,そこの先端性を阻害するようなものであれば全く無意味だと思っております。
一方で,新分野創成と融合は,もちろんできることはできるんですが,やはり機関が違うとなかなかできなかったというのが現状です。試行的に行った,法人間でやりました融合研究で,いい課題があったということもありますけれども,新分野創成の方に,大きな枠組みの中に移行したものもあるということで,そのような仕組みを作って,できる形を作るということ自体が非常に融合を進めるということもありますので,そういうところに特化した形で進めていきたいと思っております。
【観山部会長】 永田先生。
【永田専門委員】 似たような結論ですが,少し考え方が違うところもあります。各機関は本当に先端的な研究を頑張っていらっしゃる,これは全面的に認め得るところです。連合体を作るということに僕は疑問を持っています。しかし,作られるのであれば,それはやっぱりポリシーというか,基本的に何のためにというのがないといけないと考えます。
具体的に考えたら,連合体がなし得るオリジナリティーのある研究とは何なのか,つまり,機関でもないし,機構でもなくて,その全部が集まったときのオリジナルな研究ができなかったら,やる必要はないだろうと思います。そういうものがもしちゃんと打ち出せるのなら,連合体の意味はあるだろうと思います。法体系として,現在の4機構というものを変えないのであれば,連合体でなし得ることをもう一度,しっかり考える必要があるだろう。
もともと,第9期のときにも申し上げていましたけれども,私としては1機構,全機関でいいじゃないかと考えています。機構をこんな分ける必要はないだろうと僕はずっと言っていたわけです。それぞれがどういうふうにしてお互いに連携し合っていくのかというのがなかなか難しいというのであれば,こういうやり方もないとは思いませんが,しっかりと連合体がなし得るオリジナリティーを打ち出してほしいなと思います。
それで,研究力の強化は当然,個々の機関もそうですし,機構もそうだと思うし,教育についても,強化をするか,拡充するか,あるいは革新をするというのも重要だと思います。そのときに,屋上屋を架しているように見えるところが,僕には1か所あって,それは総研大の中の研究科なんです。総研大の中に研究科がある限り,つまり研究科というのは,機構単位になっている部分がほとんどですよね。だから,いっそのこと,総研大を1研究科にすればいいんじゃないかなと考えています。
ですから,機関・機構の方では,研究者としてがんがんと先端研究を行い,誰かと組んでやるのはいいけれども,教育という現場の方においては,もう少し明確にオリジナリティーが出せるんじゃないかと思うんですね。そういう意味合いで,機関というのは教員の所属であり,教員のアイデンティティーを保つ場所で,総研大というのは教育の場所であって学生の所属の場所ということです。新たに総研大の1大学に,1研究科を置き,学位プログラムなり専攻という単位で設置し,入りたくない先生は当該プログラムに入らなければよくて,教育の義務もなくなります。本当に必要な学位プログラムなり,専攻という単位で物を考え直せば,そこの場は明らかに学生のためですから,学際性であるとか,融合性であるとか横断性というのは必要でしょうからという研究科体制にすれば,おのずと生まれるのかなと思っています。
【観山部会長】 ありがとうございました。
総合研究大学院大学ですからね。総合になるようにすべきですね。
どうぞ。
【山本臨時委員】 私の方も総研大についてなんですが,8ページの下の方で,大学院教育について書いてあります。これについて伺います。
国際共同学位プログラムで,留学生も呼び寄せるというふうに書かれています。現状では,やはり一般社会からすると,総研大の仕組みは非常に分かりにくいかと思います。外国では更に情報が少ないという中で,どうやって引き付けるのかなということを感じました。
思うに,もちろんそれぞれの研究所として世界レベルの研究をしているという,その力があって,そこで学位が取れるんだよというアピールなのかなと思うんですが,どんなぐあいかなと思いました。
藤井先生あたりが多分,実感としてお分かりになると思うので,お願いいたします。
【藤井専門委員】 きょう,総研大の責任の方が来られていないので,私見という形になるわけですけれども,特に共同学位プログラムというのは,今おっしゃったみたいに,非常に最先端の研究等もされている中で,入ってくる学生さんの希望に応じたプログラムを作っていって,その学生さんが能力を最大限に発揮,伸ばせるようにするというのがお考えだと思います。
そのときに,国内はもちろんのことですけれども,国外からも需要があるということもあって,そこにも門戸を開きたい。その場合に,共同学位というと設置基準に掛かるようなものもあるわけですけれども,ヨーロッパでは比較的簡単にといいますか,シンプルな形でやるということもあるので,そういうものを導入しようとされていると感じております。
ですので,従来,今までやってきているものとそれとの整合性みたいなものについて,私自身がちょっと理解しているわけではないんですけれども,そういう形でやろうとしているように思います。十分じゃないと思いますが,済みません。
【山本臨時委員】 ありがとうございます。
【観山部会長】 では,最後に。
【栗原部会長代理】 この連合体については,もちろん運営等のメリットはあると思うのですけれども,あとは,ブランドとして,そういう集団が非常に高いレベルの研究をやっているというようなことが,もし何年後かに認知されれば,そういう意味での,むしろ総研大も含めて,存在感を増すようなものになれば非常に結構だと思います。
先ほど最初に意見を言われた大滝先生と同じような印象を私も持っているのですけれども,個々の機構のミッションというのを,何のためにやっているのかという,その時点での目標の見直しをされた上で,融合は検討されないと,何となく分からなくなってしまうような,特にスモールサイエンス系のものは非常にフレキシブルなので,逆に,まとまりがなくなることを危惧しますので,そのあたり,きちんと見直されるのは非常に重要だと思います。
融合に関しては,例えば情報・システム研究機構のようなところが,今,基盤として活躍できるので,目に見えた形での融合テーマというのはクリアに出てくるのではないかと期待しております。
以上です。
【観山部会長】 これも重要な指摘で,ありがとうございました。
きょう頂いたいろいろな意見を,この下の作業部会でも議論いたしますし,藤井委員もそれを通じて,機構長,総研大の学長ともよく議論して頂きたいと思います。連合体を作るということは,すぐに合体するのではなくて,連合体,法人,機構,機関とあるわけなので,そこの性格をよく出しながら,案を一緒にまとめていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【小長谷委員】 簡単に一言だけよろしいでしょうか。既存の研究所の連合体ですから,どうしても調整型で議論が進むと思います。それは仕方がないことだと思うんですけれども,やはり新しいこういう組織ができるからには,現在でき得ない国際共同研究の仕組み,すなわち,今,日本にはない,しかし世界にはあって,本当にすぐれた共同研究をしている仕組みは幾つもあるので,今ない新しい研究の仕方に取り組むというところを是非お願いしたいと思います。個々の機関ではできないことですから。そうでないと取り残されていってしまいます。スモールサイエンスも今,全然違う姿になっているので,是非新しい試みに挑戦していただきたいと思います。お願いします。
【観山部会長】 ありがとうございました。
それでは,連合体の検討状況については,引き続き,大学共同利用機関に関する作業部会においてフォローアップをするとともに,この研究環境基盤部会においても適宜状況を確認してまいりたいと思いますので,どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
それでは次に,議題(3)本部会に設置された主な作業部会の検討状況について,取り扱いたいと思います。
まずは,学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会について御説明を頂き,その後,意見交換をしたいと思います。
主査の小林委員より,概要の説明をお願いします。
【小林臨時委員】 学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会の主査を務めております小林です。
この作業部会の審議すべきことは,大きく分けて2点ございます。1点は,現在進行中の大型研究に関する評価ということがあります。進捗評価並びに期末評価。もう1点は,次の大型研究計画,具体的に言うとロードマップ2020ということになりますが,この策定をどのように行うのか,並びに,実際に策定をするということ,この2点がございます。
まず,前半の方から申し上げますと,大型研究に関する作業部会で,現在進行中の計画に対する評価をどう行うのかということを議論した上で,本年4月より月1回の頻度で作業部会を開催して,現在進行している「古典籍」,「アルマ」,「SINET」,「Bファクトリー」,「スーパーカミオカンデ」並びに「KAGRA」を実施する五つの研究機関から,現在の進行状況及びマネジメント体制,あるいは国内外の研究コミュニティーの状況,国際協力の在り方などについて御説明いただくとともに,委員の間との質疑応答を行いました。
また,科学官である高エネルギー研究機構の三原教授から,海外における大型研究施設等の動向としてGSO,Group of Senior Officialsの取組について御報告を頂いております。
また,進捗評価という点では,この夏に,国立天文台の「すばる」と「TMT」の進捗評価を行う予定でおります。
もう1点,後段の次の大型研究プロジェクトにつきましては,巨額の経費を要するということから,何よりも研究者コミュニティーにおける合意,支持があるということが必要条件になります。と同時に,国としての戦略性,あるいは緊急性,いわゆる国としての学術政策と十分にマッチさせた上で進めるということが重要になります。
この観点から,従来もそうでありましたけれども,学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会としては,日本学術会議が策定する研究者コミュニティーの総意としての計画であるところの大型研究計画に関する,いわゆるマスタープランを参考にしてまいりました。ロードマップ2010,2012,2014につきましては,その中の重点大型研究計画に選定されたものをロードマップの候補として審議をいたしました。2017年については,それに加えて,大型研究計画のヒアリングの対象になったものも加えて審議をいたしました。2020について何を候補とするかについては,今後審議を進めていくということになります。
同時に,ロードマップの策定に関しましては,ロードマップに掲載されるプロジェクトの考え方,いわゆる先行計画,後継計画,新規計画の考え方をどのようにするのか,あるいは,そこにどういう優先を付けるのかということも審議を進めていく必要があります。
また,今まで支援してきたプロジェクトが終期を迎えて,ロードマップには掲載しないけれども重要なものについては,学術研究基盤事業として国が支援を継続すべきかどうかということについても,今後,審議を進めていかなければならないと考えております。
いずれにしましても,マスタープラン2020が,2020年の年明け頃に策定される予定と伺っておりますので,それを受けて順次,ロードマップ2020の方の策定に入っていきたいと思います。
詳細については,後ほど事務局の方から御説明をいただけるものと思っております。以上です。
【観山部会長】 ありがとうございました。
続いて,事務局より詳細の説明をお願いいたします。
【小林学術機関課課長補佐】 ありがとうございます。先ほど,委員である小林先生の方からも非常に詳細に,また,的確な御説明を頂きましたので,事務の方といたしましては,エビデンスを追加するような形で,資料3-1に基づきながら御説明をさせていただきたいと思います。時間も差し迫っておりますので,5分程度で御説明をさせていただきたいと考えております。
資料3-1の,ページ番号で申し上げれば12ページ目からの御説明をいたしますが,本作業部会ですが,小林委員を主査といたしまして,また,松岡委員を主査代理といたしまして,現在,審議を行っているところでございます。
13ページのところですが,先ほど御説明がありましたが,本部会で進めている学術研究の大型プロジェクトの推進を,具体的にどういう仕組みで行っているのかを図示しております。
冒頭のえんじ色のところで,まず,マスタープランといったものが日本学術会議で策定されますので,それを参考に,優先度を明らかにする観点から,ロードマップという形で,大型の作業部会の中で計画を選定していく。
また,予算要求に当たりましては,ロードマップで高く評価されたプロジェクトにつきまして事前評価を行った上で,当課が実施しております大規模学術フロンティア促進事業,これも後ほど御説明いたしますが,その中で,厳格な進捗管理の下,10年間として支援をしているところでございます。
次の14ページでございますが,これまでの策定状況,マスタープランとロードマップの関係性ですが,これまで4度,マスタープランが策定されておりますので,それに基づきましてロードマップも4度,策定ないし小改訂を行っているところでございます。次のマスタープラン2020が来年1月頃,策定予定ですので,それが策定次第,本部会においてもロードマップを策定したいと考えております。
続きまして,15ページでございますけれども,これまでの審議の経過を記載しております。これも先ほど小林先生より御説明いただいたんですけれども,これまで,第10期といたしましては,合計3回実施しております。
第1回は,2か月前の4月23日に行いまして,そこでは,二つ目の丸にありますように,10期の作業部会において,どういった検討課題,具体的には,ロードマップを今後どういう形で作り上げていくのか,考えられる論点といったものを事務局の方で説明いたしました。これは別添1を参照なので,後ほど御説明させていただきます。
第2回といたしましては,学術研究のプロジェクトを実施している東京大学,情報学研究所,また,三原科学官からは,GSOという海外における大型研究施設の動向についても御説明を頂きました。また,これまでもフロンティア事業の評価といったものは非常に厳格に行っているところでございますけれども,さらなる評価の仕組みを考えるべしということで,ほかの事業でどういった評価が行われているのかもお調べして,議論を頂いたところです。こちらも,別添2で後ほど御説明させていただきます。
第3回ですけれども,引き続き,大型プロジェクトについて3点ほど,機関から発表いただくとともに,本部会のもう一つの大きな論点でもございます,現在行っているフロンティア促進事業の進捗評価といたしまして,「すばる」と「TMT」に関しまして,進捗評価を実施することについて審議をいたしました。
続きまして,16ページでございますけれども,ここでは,当課が実施しております,学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトが一体どういったものを指すのかを図示しております。右上に,金額ですけれども,今年度の予算額といたしましては,約360億円になっております。
具体の中身を17ページで図示しておりますけれども,ざっと見ていただければと思いますが,左上の「日本語の歴史的典籍」から始まりまして,「すばる」,「アルマ」,「TMT」といった世界の望遠鏡関係のもの,また,右側の方に移りますれば,「SINET」であるとか「スーパーカミオカンデ」といったところまで,幅広く支援をしているところでございます。
18ページ目は,予算額の推移でございますけれども,2006年,2010年ぐらいの450億円をピークといたしまして,2019年は,先ほど申し上げました358億6,500万となっております。ここは2018年から見比べれば,V字回復のような形をとっているんですけれども,増えているオレンジ色のところですが,ちょっと細かくて恐縮ですが,米印のところに書いておりまして,国土強靱化に係る臨時・特別措置分がオレンジ色のところになっておりまして,これは基本的には単年度予算だと言われております。なので,2020年以降は,また,この予算措置について実施していきたいと考えております。
また,19ページ以降は,細かい話になりますので,割愛させていただきまして,先ほど,後ほど御説明させていただくと申し上げた,別添1の23ページ目のところから御説明をさせていただきます。
別添1ですけれども,タイトルにありますとおり,学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想,いわゆるロードマップの策定に向けた,これまで第9期で行われた主な議論とその結果残っている論点,これを第10期の中でやっていかなければいけないと考えております。
具体的な論点,先ほど小林先生からもありましたけれども,例えば,「2.ロードマップ策定の目的」にある(2)のところですが,ロードマップに掲載される計画の種類といたしましてマル1からマル4,先行計画,後継計画,未実現計画,新規計画と呼んでおりますけれども,それらについて十分な比較や検討を実施した上で,ロードマップに掲載すべきではないか,そういった検討が必要である。
また,例えば後継計画につきましては,先行計画の単純な延長ではなくて,最先端の学術目標を新たに設定し,継続的・発展的に行うものに限定すべきではないか。また,先行計画について,終期到来後,後継計画として高い優先度が認められないものの,引き続き国が実施すべきものについては,例えば学術研究基盤事業というような形で国が支援を検討すべきじゃないか,そういった検討が必要ではないかといったものを事務局から提案させていただいております。
また,「3.ロードマップ策定の頻度・時期」の二つ目ですけれども,これまでロードマップといったものは大体3年に一度の頻度で改訂していたんですけれども,今後は,マル1からマル3を枠で囲ってありますとおり,例えば6年ごとに策定し,3年目には改訂を行うこととするのではいかがでしょうか。また,マル2といたしましては,策定によりロードマップに掲載された計画の認められる期間,有効期間を6年としてはいかがでしょうか。また,改訂においては,その有効期間を3年としてはいかがでしょうか。こういったものを幅広く議論しているところでございます。
また,「4.審査手続」ですけれども,例えば,二つ目の丸にありますとおり,ここはマスタープラン掲載計画の取扱いなんですが,具体的にマスタープランからロードマップに活用する範囲といたしましては,前回の場合であれば,マスタープランの重点大型研究計画を基本としつつ,重点大型研究計画のヒアリング対象計画を対象にしておりました。こうした過去の経緯を踏まえまして,次回のロードマップの策定方針については何を対象範囲とするのか,そういった検討が必要ではないかといった議論を行っております。
また,七つ目の点以降ですけれども,フロンティア事業の進捗管理についてもしっかりやっていかなければならない。事前・進捗・期末評価,多々評価がございますけれども,より効果的,また,厳格な評価を実施していくべきではないか,そういったものを論点として掲げさせていただいているところでございます。
事務局からは以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございました。
ただいまの説明に関して,質問,御意見はありますでしょうか。
大型プロジェクトの評価というか,フロンティア事業の進捗管理ということが非常に重要だと思いますが,だんだん,分野にもよりますけれども,国際事業というものが増えてきて,その研究機関だけではなくて国際的な協力の下にというか,話合いの下に進める大型計画も増えてきております。例えば,私が知っている状況で言うと,アメリカなんかは,NSFの担当官が会議に出てきて,どういう形でその案が作られていくのか,それから,自国の経費とか物について,しっかりとウオッチするということもやっているようですので,そういうことも少しずつ必要なのかもしれないなと,ちょっと感想を持ったところです。
よろしいですか。それでは,どうぞよろしく御議論いただければと思います。
次に,共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会について御説明を頂き,その後,意見交換をしたいと思います。
主査の八田委員より,概要の説明をまずお願いいたします。
【八田専門委員】 今期の共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会における主な調査審議事項は,第4期中期目標期間,これが2022年度から2028年度でございますけれども,これに向けた拠点制度の改善方策の検討,そしてもう一つ,第3期中期目標期間における期末評価の実施方針の検討,この二つが調査審議事項となっております。
本年5月20日に開催されました第1回作業部会では,第4期中期目標期間,これは22年から28年度でございます。これに向けた拠点制度の改善方策の検討を審議するために,まずは論点の一つでございます,拠点間や他の研究所等との連携によるネットワーク化を図るための改善方策について,ネットワーク型拠点である物質・デバイス領域共同研究拠点,単独型拠点としてプロジェクトベースの連携を行っておられる東京大学物性研究所をお招きして,その取組を紹介していただくとともに,意見交換を実施させていただきました。
物質・デバイス領域共同研究拠点と東京大学物性研究所,この二つの拠点からは,ネットワーク化のメリットとして,共同利用・共同研究による異分野融合の推進などの研究面に加えて,スケールメリットを生かした柔軟な資源配分,あるいは,施設・設備の効率的な整備・運用などの運営面についても十分御説明を頂きました。
詳細については,また,事務局からお願いしたいと思います。
【観山部会長】 それでは,事務局からお願いします。
【吉居学術機関課課長補佐】 補足説明をさせていただきます。資料3-2,33ページをごらんください。
第10期の拠点作業部会におきます主な調査審議事項でございます。34ページでございます。今ほど主査からもお話がございましたが,大きく丸が二つございまして,一つ目が,第4期中期目標期間に向けた拠点制度の改善方策の検討,それから,下の方に丸がございます,第3期中期目標期間における期末評価の実施方針の検討という二つでございます。
一つ目の改善方策の検討におきましては,その下に点がございますが,拠点間や他の研究所等との連携によるネットワーク化を図るための改善方策,国際共同利用・共同研究拠点制度の改善方策,認定基準の改善・明確化,新規認定の規模・分野の考え方などの視点で議論を深めていきたいと考えております。
5月20日の第1回作業部会におきましては,この審議事項につきまして確認し,特にネットワーク化を図るための改善方策につきまして,青い矢印のところでございますが,二つの研究拠点からヒアリングを行いました。5研究所から構成されるネットワーク型拠点として認定されております物質・デバイス領域共同研究拠点,それから,単独型拠点として認定されてプロジェクトベースで連携を行っております東京大学物性研究所から,御発表いただきました。第1回のヒアリングでは,それぞれネットワークを組むことによるメリットにつきまして主に御発表いただきましたので,その御紹介をさせていただきます。
次の35ページをごらんください。日本地図が二つ書いてございますが,まずは物質・デバイス領域共同研究拠点についてでございます。
異分野融合の取組としまして,複数研究所へのアクセス機能付与という点が紹介されております。左の日本地図,単独拠点の場合は全国からの公募を行いますが,例えば東北大学の多元物質科学研究所を例にしますと,一方向の共同研究が推進されるという図式になります。
一方,右側の地図,ネットワーク型拠点におきましては,複数の拠点に全国からアクセスが可能でございまして,ネットワークを組んでいる大学の研究所と共同研究を行うことができます。それから,そのほかの研究所の設備を利用するということも可能となります。こういったメリットが紹介されました。
続きまして,36ページをごらんください。スケールメリットを生かした柔軟な資源配分についてということでございます。5研究所が連携することで,装置・人・場所のシェアリングが可能になります。
1,装置につきましては,5研究所の豊富なラインアップから,研究所間での装置利用の融通が可能となります。
2,人につきましては,当該拠点におきましては教員が約500人,技術職員,事務職員がそれぞれ約200人と非常に大きな組織となります。卓越したリーダー数が必然的に多くなりまして,異分野融合や新領域の開拓が自発的に形成されることが期待されます。
3,場所につきましては,実験室,工場などが共用されるなど,装置や人材・知見のシェアが可能となります。
それでは続きまして,38ページ,東京大学物性研究所の取組の紹介でございます。
単独拠点の東京大学物性研究所は,大阪大学大学院理学研究科先端強磁場科学研究センターとプロジェクトベースでの連携を行っていらっしゃいます。施設・設備の効率的な整備・運用などの共同利用を通じて,全国のコミュニティーを対象とした共同研究を展開されておりまして,この連携はパルス強磁場コラボラトリーと呼ばれております。
次の39ページでございます。論点整理でございますが,強磁場コラボラトリーの連携によりまして,共同利用に際しての手続が一元管理され,コンサルティングにより利用者に適切な実験環境が提供され,効率的な設備利用が促進されております。
また,両施設において使用されるマグネットを共通化して整備の効率化を図るほか,測定技術の交流も促進されているということでございました。
一番下の点でございますが,これらの中規模施設において世界と戦うために,両施設が相補的な役割の下に連携することで,個々の研究機関では実現できない研究基盤を構築して,幅広い強磁場コミュニティーのニーズに応えられる研究基盤を提供されているということでございます。
次に,40ページでございます。物性研究所における世界最高の超強磁場と阪大先端強磁場科学研究センターにおける複合極限条件下の強磁場測定の融合による多角的な物性研究が実施されるなど,両研究所におけるネットワークで異分野融合の取組も推進されております。これに伴いまして,研究者の流動,学生の交流も行われております。
以上が,二つの拠点から発表されたネットワークの主なメリットとなります。
最後,41ページ,拠点の一覧でございますが,現在認定されております拠点の一覧です。右下に小さい表がございますが,一番右下に108という数字がございますけれども,現在,108の拠点が認定されて,活動されております。この日本地図の一番右側の方に,16大学6ネットワーク拠点24研究機関と書いてございますが,この部分がネットワーク型拠点として認定されている拠点でございます。
第10期の拠点の作業部会におきましては,ただいま御説明しましたようなネットワーク化の推進などを含めまして,議論いただく予定でございます。
事務局からは以上です。
【観山部会長】 ありがとうございました。
森委員が,物性研の所長として,この会に参加していただいておりますので,何か補足がありましたら。
【森専門委員】 ありがとうございます。事務局から御説明がございましたように,物性研では今,「強磁場コラボラトリー」ということで物性研,阪大,そして金研が連携をして,パルスと定常強磁場のコラボラトリーという連携した共同利用・共同研究を進めております。
連携のメリットについてですが,物性研では物性物理のユーザーが中心であるのに対して,阪大は錯体化学や無機化学など,化学の方がユーザーであり,金研は,材料分野のユーザーが多く,多様な分野の利用者が,強磁場の共同利用・共同研究を行い,分野の融合ができるところが良い点であると思います。
あと,我々物性研と阪大はパルス強磁場ですが,金研は定常強磁場ということで,お互いに技術提供,情報交換および共有できるところが利点と感じております。
また,連携に当たって配慮しているところは,やはりユーザーの方が使いやすい,ユーザーフレンドリーな共同利用であることです。強磁場利用にあたり,コンサルティングをさせていただいておりますが,さらに,実験のコーディネーティングということで,共同利用・共同研究を益々発展させていきたいと思っております。
また,連携を進めるに当たっての課題でございますけれども,共同利用を阪大と一緒に進めることによって,件数も50%増えました。来所される方も増えて,非常に良い共同研究,共同利用ができておりますが,研究の環境整備ということも考えていかなければならないと思っております。共同利用に対応するスタッフも増やすこと,装置の管理をすることなど,計画的に考えていかなくてはならない課題だと思っております。
以上です。
【観山部会長】 ありがとうございました。
それでは,ただいまの説明に関して,御質問や御意見がありましたら,いかがでしょうか。
八木委員。
【八木専門委員】 今の森委員からのお話では,主にメリットが述べられていましたが,ネットワーク型拠点自体の抱えている課題もあるかと思います。そういう課題を,解決できる仕組みを,この部会で議論して,よりよいネットワーク型拠点が作られること,ネットワーク型を加速できるようなことを是非意識していただいた方がいいんじゃないかなと思います。
ネットワーク型拠点は,結構,予算が厳しい中でやってます。また,多くの共同利用や共同研究の推進は,若い人たちを疲弊している部分もあります。このような,実際抱えている課題を解決することを,是非,御検討いただけた方がいいんじゃないかと思っております。
【観山部会長】 そうですね。森先生,今,何かコメントありますか。
【森専門委員】 最後に課題と申し上げたのですけれど,共同研究が増えた分だけ,対応する現場の人員,装置の環境整備を,限られた予算の中で工夫をしていかなければいけないというところが課題です。
【観山部会長】 ネットワークを組んだことによるアウトプットやアウトカムを示していただいて,それと,それに掛けた負荷というか,リソースとのバランスを見ながら,ネットワーク型がどのように進化していくのかというのを,こちらでも検証していかなければいけないと思います。
【八木専門委員】 ネットワークの形態も,徐々に多様化してきていると思います。多様な形態を受け入れることができれば,新たなチームもできてくると思いますし,まだまだ改善できる部分はあるんだろうと思っています。
私自身もずっとネットワーク型拠点を,初期のときに自分が拠点長として動かしてきましたので,課題自身はいろいろ感じていた部分もあります。是非,御検討をお願いいたします。
【観山部会長】 ありがとうございます。
では,樋口さん。
【樋口専門委員】 ちょっと質問なんですけれども,36ページに,「持てる装置や人材・知見のシェアが可能」ということで,それはそうだと思うんですが,私も常々いろいろ苦労しているので,この知見のシェアというのに何か具体的な策とか,アイデアとか,やっていらっしゃるんだったら,教えていただければと思いますが。
【森専門委員】 物性研から阪大に助教が出張し,実際に,マグネット制作の知見をシェアしたり,実際マグネットを持ち込んだりしております。若い現場の方々が行き来することが非常に効果的のようです。
【樋口専門委員】 学生とか若手研究者の巡回研究室みたいなものを実現されているということですか。
【森専門委員】 おっしゃるとおりです。若手の大学院生,それから,助教クラス若手研究者が,物性研から阪大へ,また阪大から物性研へ1週間から1か月,内容によっては長期に出張していることもあります。
【樋口専門委員】 地道にそういうことは非常に大切なことだと思うんですが,それを,せっかく連携してネットワークを組んだときに,どうスケールさせていくのかというのは,もうちょっと工夫が更に必要になってくるかなと思います。
【森専門委員】 おっしゃるとおりだと思います。今度は, 3つの研究の現場,2拠点と1研究科を核として,ネットワーク型で連携しようと思っております。物性研も,東北大金研と共同利用申請ウェブを同様のシステムにするように今,変えているところです。そのようなソフト面での工夫によって,共同利用の運営,活動,成果のまとめが,効率的に連携して進められると考えております。その中で,技術,研究面においても,連携,ネットワーク化をどのように進めたらよいか,答えが出てくると思います。
【観山部会長】 研究者の流動化というのは多分,一緒に共同研究をやることで,いろんな相手も分かったりして,流動化が促進されているということも非常に重要なポイントですよね。
よろしいでしょうか。
それでは,議題(4)として,「共同利用・共同研究体制にかかる最近の動向について」,取り扱いたいと思います。
事務局より,関係の資料について説明をお願いします。
【小林学術機関課課長補佐】 それでは,資料4-1に入る前に,先ほど私が御説明させていただきました,資料3-1の18ページのところの説明でミスがありましたので,この場で訂正をさせていただきたいと思います。
具体的には,18ページ目のところの2019年度予算で,オレンジ色のところの4,663が,ここで私,国土強靱化に係る臨時・特別措置分だと言ってしまったんですけれども,正確には,施設・設備の整備に係る経費が4,663でありまして,そのうち,およそ15億円が国土強靱化に係る臨時・特別措置分だということでした。この場で修正をさせていただきます。
それでは,資料4-1の42ページから御説明させていただきます。
ページをおめくりいただきまして,43ページで,今回の目次ですけれども,大きく二つに分けております。
まず1点目は,主な政府関係文書,骨太の方針から,文科省が出しました研究力向上改革2019,その中で,今,御議論いただいております共同利用研究機関が,どういった位置付けがなされているのかを御説明させていただきたいと思います。
また,2021年度から次期第6期の科学技術基本計画が策定されますので,その中で,同じように,どういった位置付けがなされているのか,こちらについても御説明をさせていただきたいと思います。
まず,45ページ目からですけれども,こちらは,大学共同利用機関に関する政府方針における記載についてということで,まず,上のところ,経済財政運営と改革の基本方針2019,これがいわゆる骨太の方針と言われているものですけれども,下線部を引かせていただきました。冒頭のところで申し上げれば,世界の学術フロンティアなどを先導する国際的なものを含む大型研究施設の戦略的推進が位置付けられております。また,4行ほど下っていきまして,研究設備・機器などの計画的な共用の推進,こういったものも明確に位置付けられているところでございます。
また,次の枠囲い,成長戦略フォローアップ,これがいわゆる成長戦略と言っているものですけれども,その中でも,2行目のところで,先ほど御議論いただきました国際化,ネットワーク化などによる共同利用・共同研究体制の強化という言葉が入っております。また,二つ目のところですと,先端的な大型研究施設・設備,また,Society5.0時代にふさわしい研究環境を目指す「ラボ改革」,このラボ改革の説明は後ほどさせていただきますが,「ラボ改革」を行う,そういった記載になっております。
また,ページを移動していただきまして46ページ目のところ,統合イノベーション戦略2019,こちらも同じく閣議決定物でございますけれども,その中のところで言うと,成長戦略と同じ文言で,国際化・ネットワーク化などによる共同利用・共同研究体制の強化,また,下に下っていただければ,世界の学術フロンティアを先導する大型プロジェクト,SINETなどの学術情報基盤など,世界水準の先端的な大型研究施設・設備や研究機器の戦略的整備・活用が位置付けられているところでございます。
以上が閣議決定に記載されているところでございまして,また,47ページ目以降は,研究力向上改革2019といったものを,今年4月に柴山文部科学大臣より御説明させていただきました。
48ページ目のところで,まず,概要が書いてございますけれども,冒頭の枠囲いの中で,この改革2019を取りまとめるに至った経緯といったものが2行で書かれております。諸外国に比べ研究力が相対的に低迷する現状を一刻も早く打破するために,研究「人材」,「資金」,「環境」の改革を,「大学改革」と一体的に展開する,そういったものを目的といたしましてこのプランが策定されました。
具体的なストーリーですけれども,左から右に流れるようになっておりまして,まず左のところで,日本の研究者を取り巻く主な課題といたしまして,大きく3点に分けて記載をしております。
まず,冒頭の枠囲いでいいますと,人材関係で,博士課程への進学者が減少しているのではないか,また,下の枠で言うと,今度は資金の関係ですが,若手が自立的研究を実施するための資金の確保が課題ではないかといったものが記載されています。また,最後の枠囲いでありますと,例えば,研究に充てる時間割合が減少している。また,その下で言うと,研究組織内外の設備・機器の共用などが後れているのではないか。こういった課題に端を発しまして,大きな改革を打っていこう,そういったものでまとめております。
具体的には,研究人材の改革であれば,若手研究者の「安定」と「自立」の確保,「多様なキャリアパス」による「流動性」,「国際性」の促進などを通じまして,研究者をより魅力ある職に就かせるべきではないのか。また,研究資金の改革でございますと,裾野の広い富士山型の研究資金体制を構築し,「多様性」,「挑戦的」かつ「卓越」した研究を支援すべきではないか。また,研究環境の改革といたしましては,先ほど申し上げました,研究室単位を超えて研究環境の向上を図る,これを「ラボ改革」と称していますが,「ラボ改革」を通じ研究効率を最大化し,より自由に研究に打ち込める環境を実現すべきではないか。
こういった改革に合わせまして,それら全てを横串的に通す大学改革といったものを一体的に推進することで,我が国の研究力の国際的地位をV字回復いたしまして,イノベーションを生み出し続ける社会へ,そういったものになっていけばいいんじゃないかと記載をしております。
先ほど申し上げました,研究「人材」,「資金」,「環境」の改革の具体的な中身が,49ページ目以降に記載されているところでございます。
まず,49ページ目ですと,これは研究人材改革の論点に当たります。どういった課題が,人材に関して現在,認識しているのかをまとめております。一番上の枠囲いの中でいいますと,研究者のライフサイクルの各ステージで,多様な以下の課題が存在しています。全体を通じて,多様かつ柔軟なキャリアパスを提示することが必要ではないか。例えばマル1,博士課程への進学者の減少や,緑色のマル1ダッシュ,マル2,マル3にあるような研究者ポストの不安定性,キャリアパスの多様性の不足,こういったものが足りていないのではないのかといったものが論点として掲げられました。
そのため,50ページ目で,研究人材改革を打って出るんですけれども,具体的にどういった改革を行うのかといったものが記載されているところでございます。一番大きいところで申し上げれば,緑色の若手研究者に対しまして,「安定」と「自立」を確保すること,また,中堅研究者,シニア研究者に対しても,研究に専念できる環境の整備を行っていくこと,そういったための,これらの好循環によって人材改革の実現を目指すと記載されております。
また,次の51ページで,今度は,研究資金改革の論点,主な課題が記載されているところでございます。冒頭の枠囲いで言うと,研究者の継続的な挑戦を支援するため,それぞれの研究フェーズに応じた資金制度の改革・連携が必要ではないかといったものがうたわれているところでございます。
52ページ,そのために,では具体的にどういった改革を実施していくのかですけれども,裾野の広い富士山型の研究資金体制を構築し,多様性,挑戦的かつ卓越した世界水準の研究を支援すべきではないか。その中で,ちょっとビジーな資料で,拡大していただければと思うんですが,一番下のところで,基盤的経費と競争的資金によるデュアル・サポートを通じた多様性の確保の中で,大学共同利用機関の話や,また,共同利用・共同研究拠点の強化・充実,これが後々の成長戦略や骨太の方にも入っていったという経緯になるんですけれども,こういったものが文科省の議論の中でもまとめられているところでございます。
また,53ページ目は,今度は研究環境改革,ラボ改革の論点でございますけれども,真ん中の青いところで,研究環境に関する現状やり課題を記載しております。大きく二つの観点で,まず,一つ目が事務負担の観点です。研究費に関する手続におけるさらなる負担軽減・利便性向上が必要ではないかといったものや,もう一つの論点といたしましては,研究設備・機器などの観点です。例えば,スペース配分の硬直化や施設の機能劣化が,研究設備・機器などの整備・運用の支障になっているのではないか。こういった観点の下,最後のオレンジのところですけれども,研究時間の抜本的拡充と研究効率の最大化を同時に達成していく必要があるといった認識に至っております。
そのため,54ページ目といたしまして,具体的な改革,「ラボ改革」といたしまして,副題「Society5.0時代にふさわしい研究環境へ」ということで,全ての研究者に開かれた研究設備・機器などの実現を行っていく。その中で,緑色のところですけれども,大型・最先端の設備に誰でもアクセス可能にすべきといったところで,大学共同利用機関の話や,また,共同利用・共同研究拠点の強化・充実,そして,拠点のネットワーク化に向けた支援方策の検討を行っていくべき,また,大規模学術プロジェクトの厳格な進捗管理,優先順位,新陳代謝の促進の必要,こういったものが記載されているところでございます。
続きまして,55ページ目以降ですが,こちらは今正に省内で議論している,次期の第6期科学技術基本計画に向けた主な議論の状況について,簡潔に御説明させていただきます。
56ページ目が,現在の検討状況を1枚にまとめている資料でございます。まず,現状認識といたしましては,点がたくさん並んでおりますが,例えば,デジタル革命やグローバル化が進展することで,知識集約型への大転換が加速している。また,イノベーション創出のプロセスも変化を続けており,社会システム全体にパラダイムシフトがもたらされている,こういった現状認識をしているところです。
そのために,下の矢印に入っていくんですが,今後,局所最適からの脱却とシステム全体を見据えた抜本的対策といったものが,文科省の総合政策特別委員会という委員会の中で議論がなされております。
基本理念,大きく二つですが,まず,一つ目の黄色いところで言うと,価値創造の源泉となる基礎研究の卓越性と多様性の戦略的な維持・強化が必要,そのために目指すべき方向性がマル1からマル5,打たれているわけですが,マル3のところ,後ほど詳細に説明しますが,世界最高水準の研究環境の実現の中で,大学共同利用研究に係る記載といったものがなされているところです。
また,右側のもう一つの理念といたしまして,社会のパラダイムシフトに柔軟に対応し,科学技術イノベーションシステムの構築が必要,その中のマル2,デジタル革命による研究開発の推進の中でも,大学共同利用研究に係る記載がなされているところでございます。
57ページ目で,まず一つ目,世界最高水準の研究環境の実現の中で,どういった記載,検討が今なされているのかですけれども,ここもちょっと字が小さくてあれなんですが,最先端の研究施設・設備,研究支援体制を備えた研究拠点の中長期的・戦略的整備が必要といたしまして,大学共同利用機関などの共同利用・共同研究体制などの数億から数十億円の最先端の研究設備・機器を備えた拠点のオールジャパンでの中長期的・戦略的配置が必要だと記載がされているところでございます。
また,59ページ目のデジタル革命による新たな研究開発の推進の中でも,共同利用・共同研究拠点に係る記載がございまして,例えば,「あるべき姿」の中であれば,共同利用・共同研究拠点やプラットホーム事業,コアファシリティーなどをデータ基盤整備・共有の基盤として活用するのがあるべき姿ではないかといった記載がされているところでございます。
これは正に現在,議論中でございまして,今後のスケジュールを62ページ目に記載しておりますけれども,まず,文科省の中で,総合政策特別委員会といたしまして,2020年3月の最終取りまとめを目指しているところです。その後,右側にある内閣府のCSTIにこれを渡しまして,CSTIでは2020年6月頃に中間取りまとめを予定している。そして,6期基本計画といたしましては,2021年から始動していくという流れになっております。
また,最後,63ページのところですが,総合政策特別委員会のみならず文科省の中のいろいろな審議会でも,第6期基本計画の策定に向けた議論が行われております。その中で,学術分科会の意見としてまとめているものを御紹介させていただきます。
一番上にポイントが二つ書いてあるんですけれども,学術振興を,イノベーション政策を支える柱の一つとして位置付けるべきである。また,もう一つのポイントとして,有為な研究人材の育成と多様で質の高い研究成果の創出のために,研究者の挑戦的な意欲を喚起する環境を構築すべきである。
具体的に,1番と2番といった形で書かれているんですが,2番の2030年の世界に向けた学術研究推進の方向性といたしまして,大きく3点,ポイントが出されているんですが,一番右端の基盤的インフラの充実といったところで,研究活動を継続的に行う場の提供,組織の枠を超えた,質の高い研究リソースを提供する研究基盤である共同利用・共同研究体制の強化が必要であるというふうに明確に位置付けられているところでございます。
ここのところは,具体的には64ページ以降がこの本文になるんですが,本文の中の最後の81ページ目以降に,学術研究を支える基盤インフラの充実といたしまして,約2ページにわたって共同利用研究の話が記載されているところでございます。
事務局からは以上でございます。
【観山部会長】 ありがとうございました。
ただいまの説明に関して,何か御質問や御意見はありますでしょうか。多分,いろいろあると思うんですけれども,よろしいですか。
これは,先ほどのタイムスケジュールがありましたけれども,CSTIとして来年6月ぐらいまでにまとめるという方向性で,文部科学省としてもそれに向けて,総合委員会でしたか,それを中心に検討を進めておられるところでございます。
それでは,どうもありがとうございました。本日の議題は全て終了いたしましたが,最後に,事務局より連絡事項がありましたら,よろしくお願いします。
【降籏学術機関課学術研究調整官】 ありがとうございました。
次回の研究環境基盤部会の日程などにつきましては,後日,調整の上,御連絡させていただきますので,よろしくお願いいたします。
なお,本日の資料につきましては,ペーパーレス会議で出ていた電子ファイルで,また後日,委員の皆様にメール送信させていただければと思います。なお,書き込みされた委員の方におかれましては,書き込んだデータを併せて送らせていただければと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【観山部会長】 本日の会議はこれで終了いたします。
委員の皆様,御協力どうもありがとうございました。またどうぞよろしくお願いいたします。

―― 了 ――

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