研究環境基盤部会(第94回) 議事録

1.日時

平成30年6月7日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 大学共同利用機関の今後の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

稲永忍部会長、松本紘部会長代理、相田美砂子委員、天羽稔委員、井本敬二委員、小長谷有紀委員、小林良彰委員、佐藤直樹委員、瀧澤美奈子委員、橘・フクシマ・咲江委員、藤井良一委員、観山正見委員、森初果委員、八木康史委員、山内正則委員、龍有二委員

文部科学省

磯谷研究振興局長、千原大臣官房審議官(研究振興局担当)、久保大臣官房文部科学戦略官、西井学術機関課長、錦学術研究調整官、早田学術機関課課長補佐、高見沢学術機関課課長補佐、吉居学術機関課連携推進専門官、石橋高等教育局高等教育企画課企画官併高等教育政策室長、大根田高等教育局国立大学法人支援課課長補佐、その他関係者

5.議事録

【稲永部会長】  皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会第94回を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 まずは、事務局から、委員の出欠、配付資料の確認をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  本日は、勝委員、伊藤委員、永田委員、横山委員、松岡委員が御欠席です。
 配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は、議事次第にございますように、資料1及び資料2でございます。また、前回説明させていただきました基礎資料について、今回から緑色の紙ファイルに挟んでおります。不足等ございましたら、事務局までおっしゃってください。
【稲永部会長】  よろしいでしょうか。本日の部会では、前回に引き続き、大学共同利用機関を取り巻く課題について審議したいと思います。
 まずは、事務局から資料の説明をお願いします。
【錦学術機関課学術研究調整官】  資料1、お願いいたします。資料1に基づきまして、前回、5月25日の会議における御意見の内容について御説明申し上げます。幾つか御意見いただきましたけれども、前回配付した資料の論点ごとにそれを整理しております。
 まず1つ目の丸ですけれども、1つの法人である以上、大学共同利用機関法人のガバナンスの強化は非常に重要であると。研究の進展や経営環境の変化に対して、どのように各法人がしっかりと議論して、機構長のガバナンスを発揮するか、ということが重要であると。
 2つ目の丸、人材獲得・育成の観点から、ポスドクの重要性は言うまでもないが、このことについて議論するためには、機構法人が受け入れているポスドクについて、日本人か外国人か、学位の取得機関はどこかなど、もう少し中身を把握して臨むことが必要ではないかという御意見をいただきました。
 これに関連しまして、緑のファイルを御覧いただければと思いますけれども、63ページ、前回のこちらの資料でも、ポスドクのデータは出していたのですけれども、その際は、ポスドクの総人数だけを大体600人程度ということで御紹介しておりましたけれども、前回このような御意見をいただきましたので、下の部分ですね、赤い線で囲んである部分、機構が雇用しているポスドクの属性等について調べましたので、御報告申し上げます。
 機構が直接雇用しているポスドクは532人ということですけれども、学位取得時の所属につきましては、国立が大体7割ほど、公立・私立が合わせて10%ほど、ほかというのは、外国の機関が主ですけれども、20%ほどとなってございます。
 国籍につきましては、日本と外国で3対1ほどになっていると。
 年齢層につきましては、28歳から33歳までが44%、34歳から39歳までが28.2%、40歳以上の方も27.8%おられるといった状況でございます。
 更に左下のところですけれども、ポストドクターの転出状況についてということで、28年度いっぱいで任期が切れたポスドクがその後どこに行ったかというのを調べたものでございます。4機構合わせまして71人おられまして、その行った先としては、マル1が国内大学で36名、マル2が国内研究機関、この中には大学共同利用機関も入りますけれども、12名、マル3が海外として13名、1つ飛ばしましてマル5が民間企業で3名ということで、マル4のその他の7名の部分が任期が切れた時点では行き先が決まっていなかった方ということでございます。
 ポストドクターについて詳細を調べたものでございます。
 資料、お戻りいただきまして、丸の3つ目、機関の構成の在り方についての御意見でございます。大学共同利用機関については、もう少し柔軟に入れ替えができるというようなことを考えた方がよいと。例えば1法人が17機関を設置するというのが乱暴なのであれば、そこに4つのクラスターを設けるというのはどうかといった御提案がありました。
 更にその下、KEKにおける研究については、各国が競争しつつ協調して行うというスタイルが確立しているため、現在のところ、陳腐化するというようなことは起こっていないと考えている。
 更にその下、情報・システム研究機構の大学共同利用機関には、外部委員も含む運営会議など各種委員会が置かれており、コミュニティの要請もそこで聞いていると。各機関は名称こそ変わっていないけれども、社会やコミュニティのニーズに応じて内部組織の組み替えは頻繁に行っていると。
 更にその下、自然機構の大学共同利用機関は、これも同じく、名称は変わっていないけれども、研究内容は変わってきていると。
 おめくりいただきまして、新しい学問分野についてフィージビリティスタディをする組織として新分野創成センターを設けている。ただ、新しい研究組織を作るとなれば、つじつま合わせ的なものでは無理であり、投資が必要であるといった御意見。
 更にその下、人文機構の6機関はそれぞれ研究者コミュニティが異なっているため、それぞれのコミュニティの要望に応じてプログラムを推進している。
 少し飛ばしまして、機構本部に総合人間文化研究推進センターを設け、外部の意見も聞いてプログラムを作り、ネットワーク型で自分たちが有していないリソースや分野も加えて研究している。
 その下の丸、大学共同利用機関にはそれぞれの分野で世界トップレベルであることが求められていると思う。そういった御意見がございました。
 少し飛ばしまして、(2)の人材育成機能の強化のところ、お願いいたします。大学共同利用機関法人と総研大は別法人でありながら、強い連携を求める仕組みとなっており、総研大の教員でありながら大学共同利用機関の研究者でもあるため、様々な課題があると認識している。
 2つ目の丸、総研大は、大学院生の立場では、先端の研究をしているところで研究できるため、非常に魅力的である。研究者の立場では、次世代を育成しないと立ち行かない分野では、次世代を育成するという気持ちを持っている。総研大の在り方については、大学院生と研究者の双方の視点を考慮する必要があるといった御意見です。
 おめくりいただきまして、1つ飛ばして(4)の機構法人の枠組みのところでございます。まず1つ目の御意見として、1法人に17の大学共同利用機関が入っていてはいけないのか。いけないのであれば、その理由が知りたいと。現在の4つの機構法人に分かれていることの価値が知りたいと。新分野を生み出したり、どこかを強くしたりする際に、ヒト、モノ、カネというリソースをスケールが小さい1つの組織から生み出すのは困難。必ずしも1法人化すればよいというわけではないが、スケールメリットというものがあるということに気づくことが必要ではないかと。
 同じような意見として、2つ目の丸、ビジネスの世界における連携の目的は、できるだけコストをかけず最大の結果を出すために、全て自前でやらずに使えるところはお互いに使ってお互いに成長しましょうというもの。企業では、ガバナンスの管轄や全体のポートフォリオを見る組織としてホールディングカンパニーを設けているところが多い。大学共同利用機関についてもそのような組織があった方が優先順位付けや資源分配がやりやすくなるということもあるのではないかと。
 こういった御意見に対しまして、更に、その下ですけれども、現在の4つに分かれた大学共同利用機関の構成がよいのかということについては、継続的に考えていく必要はあるが、1法人化にした場合、適切なガバナンスが可能なのか、法人の中で適切な資源配分が可能なのかという危惧がある。
 KEKとしては、自律的に意思決定できる法人である必要があるため、1法人化にはなじまないと考えている。
 更にその下、1法人化すると効率化できるところはあると思うが、平成16年度に現在の枠組みとなって以来、その枠組みの下で努力して作り上げてきたものがあるということも考慮する必要がある。
 最後ですけれども、1法人化すると、ある意味、17の大学共同利用機関がばらばらに戻るのであり、その場合、目配りの効いた優先順位付けや重点化が本当にできるのかということも考えないといけない。
 ということでございまして、前回の御意見としては以上でございます。
 次、資料2をお願いいたします。前回も同じタイトル、「大学共同利用機関を取り巻く課題について」というタイトルで資料をお配りしておりましたけれども、前回の資料に幾つか追記をしたものがこちらの資料2でございます。
 1枚目の1の「背景」と2の「基本的な方向性」、これは前回お配りした資料と同じでございまして、1枚おめくりいただきまして、裏の2ページからですけれども、3の「検討課題の例」というところ、これは大きくは4つの論点、細かくは8つの論点をお示ししておりまして、前回は「課題の所在」というところまでを書いておったわけですけれども、今回は更にその下に「検討の方向性」というものと、更にかみ砕いて、「考えられる施策の例」というものを追記させていただきました。こちらを中心に今から御説明したいと思っております。
 まず1つ目の「機構法人のガバナンスの強化」の部分でございます。これ、「課題の所在」といたしましては、おさらいではありますけれども、大学共同利用機関はもともと別の組織でありましたけれども、平成16年度の法人化後は17の大学共同利用機関が4つの機構法人を構成しており、それぞれ法人が一体として効率的・効果的に運営することが求められている。このため、各機構法人のガバナンスが重要なわけですけれども、機構法人の成り立ちの経緯から、機構本部が果たすべき役割が不明確となっているのではないかと、そういった問題意識でございます。
 「検討の方向性」といたしましては、各大学共同利用機関の主体的な活動を基礎としつつ、設置者としての機構法人のガバナンス機能を強化する必要がある。
 「考えられる施策の例」としまして、1つ目ですけれども、機構法人の役割を改めて明確化してはどうか。
 2つ目、例えば情報・システム研究機構が戦略企画本部という機構長を支える体制を作られておりますけれども、そういった機構長補佐体制を充実することによって機構長のリーダーシップを発揮できるようにしてはどうかというのが2つ目でございます。
 最後、3つ目ですけれども、現在法律上、外部役員を、外部理事を1人以上置くことになっておりますけれども、そこに更に、産業界ですとか、海外の分野研究者等、様々なバックグラウンドを持った役員を登用することとしてはどうかといったことでございます。
 これが「考えられる施策の例」のところ。
 次、2つ目、「人的資源の改善」の部分でございます。「課題の所在」といたしましては、大学共同利用機関の活性化に向けまして研究者の流動性の確保が必要ではないかと。
 「検討の方向性」、「考えられる施策の例」としましては、機構法人におきまして、ポスドクのキャリアパス支援ですとか、クロスアポイントメント制度の活用等によりまして、多様な学術機関間の流動性を促進してはどうかといったところでございます。
 では、3ページ、次のページをお願いいたします。「物的資源の改善」のところでございまして、課題といたしましては、研究施設・設備の老朽化対策が必要となってきておりますけれども、厳しい財政状況の下、中長期的なマネジメントが困難となっているというものでございます。
 「検討の方向性」としまして、1つ目は、法人や機関の枠組みを超えた施設・設備のマネジメント体制の構築、2つ目として、公的資金に加え、民間資金の活用による多様な整備手法を推進してはどうかということで、「考えられる施策の例」としまして、1つ目は、関連する機構法人や国立大学法人、研究開発法人その他の研究機関との協力による施設・設備の共同運用や維持管理等を促進してはどうかといったことでございます。
 2つ目、技術支援組織の位置付けを明確化し、他の研究機関との連携を促進してはどうかということですが、これ、ちょっと説明が必要になりますけれども、これは具体的に念頭に置いているのは、高エネ機構に、大学共同利用機関ではないのですけれども、それに準ずるものとして加速器研究施設というものと共通基盤研究施設というものが置かれております。これ自体は大学共同利用機関ではなくて、省令上は位置付けられていないものなのですけれども、加速器の建設、運転、放射線防護、データ処理技術の研究を行っておりまして、大学共同利用機関の活動を支える施設でございます。これは機構直轄で設置されておりまして、繰り返しになりますけれども、法令上の根拠はなくて、事実上設置されているものでございます。例えばこういったものを技術支援組織として法令に位置付けて、これらの組織が国の学術政策上、重要なものであるということを明確化してはどうかといったことでございます。
 こういった形で位置付けが明確化されることによりまして、このような技術支援組織が機構外の関係機関との連携も進めやすくなるのではないかということでの御提案でございます。
 次のマル4、大学共同利用「機関の構成の在り方」のところでございます。「課題の所在」といたしましては、前回の繰り返しですけれども、今、4機構、17機関ございますけれども、法人化後は、平成21年度に独法でありました国語研究所、これが人文機構に移管されて以降、それ以外に新設や再編が一切行われていないといった状況でございます。
 一方で近年、自然機構におきましては、アストロバイオロジーセンターですとか、情報・システム研究機構ではデータサイエンス共同利用基盤施設など、省令上の大学共同利用機関ではない研究施設は設置されているというようなことでございますが、繰り返しになりますけれども、大学共同利用機関そのものについては、その顔ぶれに変化がない状況といったところでございます。
 このため、大学等のニーズですとか学術研究の動向に大学共同利用機関が沿っていない可能性があるのではないかといったところが問題意識でございます。
 そこで、「検討の方向性」といたしましては、新たな学際的・分野融合的領域の創出に対応するため、基本的な考え方や移行プロセス等を明確化し、具体的な大学共同利用機関の在り方について、機構法人や学術界の検討を促進してはどうかということで、「考えられる施策の例」として2つ掲げております。
 1点目は、大学共同利用機関を新設するために、そもそも大学共同利用機関が備えるべき要件、これを定めてはどうかと。その上で、新しく大学共同利用機関を新設する際に、その際のプロセスを明確化してはどうかというものが1点目でございます。
 2点目は、既存の大学共同利用機関についての項目でございますが、既存の大学共同利用機関につきまして、一定期間ごとにパフォーマンスですとか学術研究の動向に沿っているか等々について検証すると。一定期間というのは、例えばですけれども、中期目標期間6年ですとか、その倍の12年とか、いろいろ考え方あると思いますけれども、一定期間ごとに検証しまして、その結果を踏まえ、大学共同利用機関の在り方を検討、場合によっては再編・統合といったことも検討してはどうかといったものでございます。
 次、(2)の「人材育成機能の強化」でございます。大学共同利用機関は、総研大の基盤機関としまして、大学院教育を担当し、年間400名ほど指導しております。大学共同利用機関と総研大は法人格が異なりますので、教育力の向上のためには両者の連携強化が必要不可欠となっているといったところが課題の所在でございます。
 「検討の方向性」としまして、1つ目の丸ですけれども、総研大と機構法人が組織的な連携協力体制を強化するための枠組みを導入してはどうか。例えば4機構法人の連携を深めるため、連携のための組織を設けて連携関係を深め、より一層教育力の向上に向けた教育プログラムを共同で開発するようなことをしてはどうかというのが1つ目の丸の部分でございます。
 丸の2つ目は、総研大とは違いますけれども、大学共同利用機関法人は総研大以外にも教育に貢献していまして、連携大学院制度ですとか、特別共同利用研究員制度、こういったものがございますけれども、こういったものをより一層活用して大学の教育研究に対する貢献を促進してはどうかといったところでございます。
 次の(3)の「関係する他の研究機関との連携」。これは2つ論点ございまして、1つ目は、大学の共同利用・共同研究拠点との連携の部分でございます。おめくりいただきまして4ページからですけれども、大学に置かれる共共拠点は、現在、国公私合わせまして105拠点ございます。大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点につきましては、分野が近いものについては、それぞれの連携を深めて、より効果的・効率的に研究を推進することが必要ではないかといった問題意識でございます。
 ですので、検討の方向性としましては、分野ごとに大学共同利用機関と共共拠点との組織的な連携を強化してはどうかといったところでございます。
 「考えられる施策の例」の2つ目のところですけれども、これも説明が必要になりますが、両者の位置付けを明確にしつつ、それぞれの移行を可能化というものでございます。これは分野が近い大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点につきましては、当該分野のコミュニティの議論等を踏まえまして、例えば大学共同利用機関が大学の共共拠点に移行する。逆に大学の共同利用・共同研究拠点が大学共同利用機関に転じるといったことも可能にしてはどうかといった御提案でございます。
 次、マル2の「地方創生やイノベーション創出」の部分でございます。「課題の所在」といたしましては、これからの大学共同利用機関は、その資源を用いまして、学術研究はもちろんのこと、地方創生ですとか、産業界等と連携してイノベーション創出に向けても貢献していくことが求められると考えると。このため、関係者との連携強化が課題になっているということでございまして、「検討の方向性」としましては、産業界や地方自治体も含む多様な関係者と連携して社会の要請に積極的に応えることができる体制を構築してはどうかといったところでございます。
 最後、(4)の「機構法人の枠組み」でございます。「検討の方向性」といたしましては、大学共同利用機関の設置者としてふさわしい枠組みの在り方を検討すると。
 「考えられる施策の例」として2つ書いております。1点目が、4機構法人と総研大、これをその構成員とするネットワークを構築しまして、例えば記載のような業務を一元的に実施する。効果的かつ効率的に機構法人の業務を推進できるようにこういったネットワークを創設して、以下に掲げるような業務を実施してはどうかといったことでございます。1つが、各研究所間の重点的な研究領域の調整、研究者の人事交流、国際共同研究の推進等々を実施してはどうかというのが1つ目の施策でございます。
 2つ目といたしまして、学術研究体制の強化及び管理運営の効率化を図る観点から、機構法人の統合や現在の4機構法人の枠にとらわれない大学共同利用機関の在り方を検討してはどうかというものでございまして、機構法人の統合の部分につきましては、今、4機構法人ありますけれども、前回御意見あったように、例えば1法人化とか、1法人化でなくても3や2ということもあると思います。こういったことを検討するというのが機構法人の統合の部分でございまして、現在の4機構法人の枠にとらわれない大学共同利用機関の在り方を検討というのは、例えば今A法人にB大学共同利用機関がぶら下がっているといった場合に、C法人の方にB機関を移すほうがふさわしいのではないかということがあれば、そういったことも検討してはどうかというのが現在の4機構法人の枠にとらわれない機関の在り方を検討の部分でございます。
 なお書き以降で書いてございますけれども、機構法人の統合、これについて検討をする際には、事務の統合・簡略化など、管理運営の効率化の側面だけではなくて、そもそも大学共同利用機関の分野、目的、形態等の違いですとか、統合した場合に適切なガバナンスがそもそも可能なのかといった点についても留意しつつ検討することが必要ではないかといったことを書かせていただいております。
 資料2については以上でございまして、最後ですけれども、机上資料で、平成30年6月7日研究環境基盤部会欠席委員からの意見の紹介というペーパーを置かせていただいております。これは本日御欠席の勝委員から御意見をいただいておりますので、ここで紹介させていただきます。
 1つ目の丸ですけれども、大学共同利用機関を1法人化することについては、ただ単にミニマムコストということだけでは合理的な理由にならないのではないかと。少なくとも分野の違いに配慮した研究成果の評価の中で最適な組織がどうあるべきかについて議論すべきと。
 2つ目の丸、大学共同利用機関が常設機関であり、常勤研究者の立場が安定していることが基盤研究の質を高めるという側面もある。大学経営や国の財政が厳しい中、外部資金で受け入れた研究者は任期付きとならざるを得ず、不安定な立場にとどまる。
 3つ目、研究者の裾野を広げるためにも、常設である国の機関の研究者の魅力を高めていけば、長い目で見れば日本の研究力の向上につながるのではないか。そのためには、国際学会、研究コミュニティとの連携のみならず、産官学のネットワークの構築、成果の評価、ガバナンス強化が必要となる。
 こういった御意見をいただいておりますので、御紹介させていただきました。事務局からは以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明にありました「大学共同利用機関を取り巻く課題について」に関して意見交換を行いたいと思います。
 意見交換ですが、全体で大きく3つに分けて、まず、先ほどのペーパーの(1)機関における研究の質の向上について議論し、続いて、(2)の人材育成機能の強化と(3)の関係する他の研究機関との連携、この2つを一まとめにして議論をし、最後に、(4)の機構法人の枠組みについて順次意見交換を行いたいと思います。
 それでは、まず、(1)に示しました機関における研究の質の向上について御意見のある方、発言をお願いいたします。
【相田専門委員】  どこの分野に一番関連あるかどうか分からないのですけれども、前回の御発言の中で何カ所か、それぞれのコミュニティがあって、そのコミュニティの先生方のニーズだとか御意見とか御要望だとかという、そういう表現があちこちの機関からあったように思っております。そもそもそれが今の問題の根源ではないかと思っていて、それぞれのコミュニティがあって、そこしか見ていないので。本当は今、全部がガラガラにもちろん混ざり合う必要はないけれども、そういうところから融合研究が出てきているはずなのに、それがうまく回らないようになっているのが問題じゃないかと思うのです。
 なので、そういうような、そもそも自分がいるコミュニティはあってもいいけれども、そこのコミュニティから出ていって、融合できるような、そういうような研究の質の向上ができるような場が必要なのではないかと思うのですけれども。ちょっとこの中のどれにどう関係するのかがはっきり分からないのですけれども、それを強く思います。
【稲永部会長】  どうぞ。
【小林臨時委員】  加えて、この緑のファイルの64ページ、65ページあたりを御覧いただければと思いますけれども、要するに、現状のままでいいという理解でいくのか、現状、基礎財政収支が赤字な中で、一層厳しい状況が将来やってくることは想像に難くないと思います。
 問題は、国立大学法人の方は授業料という収入がありますから、それなりの対応は可能だと思いますが、共同利用機構の方は、運営交付金に頼んでいかざるを得ないという中で、本当に対応していけるのかどうかということです。ここではたまたま自然科学研究機構の施設の老朽化の例が出ていますが、KEKも実は施設が老朽化しているものがあるというふうに私は思います。そういう中で、本当にこれから国際競争に対応していけるのかどうかということを考える必要があると思います。
 一方で、先ほど事務局からも御紹介ありましたが、同じファイルの71ページのように、機関ではないけれども、事実上機関の役割を果たすようなセンターも出てきているけど、現行では機関にはなれないという問題も出てくる中で、本当に今のままでいいのかどうかです。やはりこれからの国際競争力に対応していく中では、少し違うことを考えていく必要があるのではないかと。ただ、それ以上になると、(4)の話に入っていくので、私は少しソフトランディングということを考えていて、実は資料1の(1)のマル4というのは、これは私が申し上げた考えですけれども、今のままでいくのではなくて、1つ、クラスターという形で、要するにばらばらにしてしまうというのではなくて、要するに4機構を4クラスターにすると。そういう中で少し柔軟に融合していけるものは融合していくし、例えば人間文化の中の国語研にしても、あるいは国文学研にしても、情報・システムのところとかなり今一緒に共同でやっているところもありますから、もう少し柔軟にやっていけるような、しかしばらばらにはしないと。人間文化研究クラスターとか、自然研究クラスターとか、高エネルギー加速クラスターとか、そのままでいいところはそのままでやっていくし、そこは自主的な判断で進めていくと。ただ、少しそういうような、もう少し柔軟な形にしていかないと国際競争に太刀打ちしていくのは非常に難しいのではないかと。加えて言うと、原油は上がっていますので、電気代は当然これから上がることが予想されますが、そういう中で授業料を持たないところがきちんとやっていくためにはもう少し柔軟な対応が必要ではないかなと。ただ、その必要はないとおっしゃるのであれば、そこまでだと思いますが、私は少し対応していった方がいいのではないかなと思います。
【稲永部会長】  冒頭で3つに分けて議論をすると申し上げましたが、それらが相互に関連することもあり、今の小林委員の御発言は最後の(4)にかなり近い内容も含まれていたと思います。できるだけ(1)の研究の質の向上に焦点お絞りいただきたいと思います。相田委員の言われたコミュニティに結構縛られ過ぎて、今求められている例えば異分野融合というところへのエネルギーの注ぎ方が弱いのではないかという点に関して、御意見をいただければと思いますが。どうぞ。【観山専門委員】  まずこれ、大学共同利用機関は共同利用・共同研究というのが基本でありますから、基本的にコミュニティが支えられています、コミュニティのためにというものが前提です。ただ、相田先生が言われたとおり、ただ、その分野だけに閉じこもっていれば問題です。今の世界的な大きな競争の中で一番伸びているのは学際的領域が伸びているので、それぞれの研究機関では、新たな分野を創成しています。例えば先ほどの例でいうと、自然科学研究機構ではアストロバイオロジーとか、新しい方向性を出されています。ただ、これ、研究ですので、10年たったら新しい分野が確実に生まれるかどうかというのはなかなか難しいことなので、それは少し研究の中身そのものについては結構な時間をかけないといけません。あるときバッと増える時期もありますけれども、そういう長い目というのは必要だと思いますが、基本がコミュニティの支持が重要です。私もそういう場にいたので、確かにコミュニティはコミュニティのためにある種のエゴもあって、そこら辺は機構長なり研究機関が、機関の長がガバナンスを発揮して、国際的な競争力に勝つような方向性を示すということが機構長や機関長の大きな役目だと思います。
 それからもう一つは、後でも話した方がいいかもしれませんが、やはりそういう新たな分野を育てていくなり力をかけていくということでいうと、機関の数が17で変わっていないということは1つ大きな問題だと思っています。そのときに大学共同利用機関になるメリットを示さなければいけないかと思いますが、既存の共共拠点の中ではわりと国際的にも非常にステータスがあって、1つの大学の中の附置された研究所ではなくて、わりと広い場で頑張っていただく方が適切な機関もあろうかと思います。ただ、法人化して、大学の法人と機構法人と分かれてしまったので、なかなか動きづらいという面はあるのかもしれませんけれども、組織替えの中の1つの大きな要点としては、大学共同利用機関をもうちょっと増やしていってサポートしていくという方向性は是非考えた方がいいのではないかと思います。
【稲永部会長】  ありがとうございます。後半の御意見は(3)のところにかかるので、また改めて御発言いただければと思います。まずは(1)に関して議論を進めたいと思います。山内委員、どうぞ。
【山内臨時委員】  今の相田委員の御発言に関してですが、新しい分野を作りたい、あるいは、その分野に踏み出していきたいというモチベーションは、コミュニティ自身も非常に強く持っておりまして、大学共同利用機関というのは、それをお助けして一緒にその方向に進んでいくというのも大きな機能として持っておりますので、コミュニティとべったりくっついているからそういった方向が阻害されているということは私はないのではないかと思っております。
【稲永部会長】  それでは、佐藤委員、手が挙がっていました。
【佐藤臨時委員】  今の観山委員と山内委員がおっしゃったことに関連することかと思いますが、共同利用機関に限ったことではなくて、共同利用・共同研究拠点もそうだとは思いますが、研究者コミュニティに支えられ、あるいは支えるという、そのvice versaの関係があることは間違いないのですが、一つ最近考えておかなければいけないと思っているのは、研究者コミュニティ自体が、特に歴史のあるコミュニティに関しては、ある意味で硬直化している部分もあるということがございます。ですから、むしろ大学共同利用機関、あるいは共共拠点の方が、その硬直化を何とか融かしていかないと、本当に研究の発展といいますか、本質的な部分というのが停滞したままになるおそれはあるのではないかと考えています。
 以上です。
【稲永部会長】  ほかに御意見。
【小長谷委員】  人文機構については前回お答えしたとおりです。変えてはいけない部分というのは、基礎的な部分ありますので、そこをちゃんとそのまま守るということであり、それと、硬直化することを自ら打破するような、そういう部分というのは、各機関が努力しています。更にまたもう一つ別のレベルで各分野を超えた連携、異分野融合というようなことを自ら推進するために、センターを設置して実施しています。ですので、決してコミュニティベースだからということで直ちに硬直ということにはなっていないのが現状だと認識しております。
【稲永部会長】  どうぞ。
【藤井臨時委員】  コミュニティベースでは確かにそのとおりで、そう成り立ってきているわけですけれども、機構のミッションとして、大学の機能強化の向上への貢献というのが入ったのはすごく大きくて、様々な大学を訪問させていただいておりますが、ニーズは非常にたくさんいろんなところにあって、コミュニティだけではなくて、大学でも、非常に多様なニーズがあるので、もう少しそういう面で我々機構がオープンになって、我々の能力をもっとお見せし使っていただくということで、我々はどちらかというと、データとか施設とかというツールとか資源を提供するというのが大きな役割ですので、それらをオープンサイエンス等で使っていただくことによって新たな分野がかなり創出できるのではないかと思っております。
【稲永部会長】 問題の性質上議論は拡散しがちですが、(1)の研究の質の向上というところにフォーカスを当てて御意見をいただければと思います。では、天羽委員。
【天羽臨時委員】  これは何回も私が言っていることで、同じような繰り返しで申し訳ないですが、やはりリソースとファンディングに限度があると思います。国際競争力に勝っていくという、その国際競争力とは何かというと、やはりスピードです。先ほどいろいろ話がありましたが、研究なので、失敗することもあるし、成功することもあると。確かにそういうような形で、私も研究の場にいたことがあるので理解をしています。ただ言えることは、先ほど言った2つの観点から見てくると、国際的なスピードというのとファンディングという。そうすると、クオンティティとクオリティというのは、これ、両方追求できないのですね。だから、質の向上ということを議論するのであれば、やはりクオンティティではなくて、どこに行くかという。そして、どういうところにフォーカスをするかという。
 ですから、ここで研究の質の向上というふうに先ほど部会長の方から話があったのですけど、これをどこにフォーカスするか、どういった形でどこにテーマをするかというときには、これはやはり機構長の、ものすごくここにしっかりガバナンスを強化した形でのリーダーシップというのが非常に重要になってくると思います。ガバナンスの強化ということと質の向上というのは切り離せないと私は思っているので、そういうところにポイントを置いてみました。
【稲永部会長】  ありがとうございました。龍委員。
【龍専門委員】  機構長のガバナンス強化ということで、財政面、予算面に関して機構長はどのくらいリーダーシップが持てるような状況なのかというのを教えていただきたいのですけれども、ちょっと私、大学はよく分かるんですけれども、こういった機構の場合にどうなっているのか。大学ではかなり学長の予算面でのリーダーシップというのは進みつつあるわけですけれども、これはいかがなのかということ。
 それと、財政面、財政面と、前回から非常に厳しいという話が出ておりますけれども、運営費交付金自体はかなり削られているけれども、先端研究推進費補助金ですか、これがちょうどカバーするような形で、総額としてはそんなに変わっていないのではないかと、そういう印象を受けたのですが、この先端研究推進費補助金というのは、機構長ですとか、そういった方たちが何か力を入れれば、文科省からの重点的な配分ですとか、そういうものがあるのかどうか、これは事務局の方かもしれませんけれども、お聞きしたいと思います。
【稲永部会長】  事務局の方で、お願いします。
【錦学術機関課学術研究調整官】  機構長の裁量が及ぶ予算の部分ですけれども、機構長裁量経費というものが、運営費交付金の基幹経費のうちの5%、ミシン目を入れてお配りしている状態でございまして、例えば情報・システム研究機構であれば、大体5億円程度ですね。それそのものと、あと、競争的資金の間接経費を足されている場合もあるかもしれませんが、そういったものを機構長の裁量で、重点的な分野、必要な分野に投資をしていくということができる状況になってございます。
 今御質問いただきました先端補助金の部分につきましては、これは大規模学術フロンティア促進事業のために使うものとして文科省の方からその業務を指定してお出ししておりますので、その部分について機構長がそれほど裁量を発揮できるかというのはちょっと難しいかもしれませんという、そういった状況でございます。
【龍専門委員】  機構から、あるいは、研究所側からの要望という形ではないと。文科省側から出すという。
【錦学術機関課学術研究調整官】  はい。文科省から出す。
【稲永部会長】  よろしいでしょうか。先ほど天羽委員が言われたところにもっとフォーカスを当てて議論する必要があると思います。研究の質の向上を担保するのは、1つはお金であるかもしれませんが、機構長のリーダーシップも極めて重要と思います。この辺にフォーカスを当てて議論したいと思いますので、御意見をいただけますか。山内委員、どうぞ。
【山内臨時委員】  私もそれに関連して申し上げたいのですが、機構長の選考方法と任期というのも非常に実は大事なパラメータであろうと思っておりまして、実は私、今、機構長という職にありますので、ちょっと申し上げにくい点もあるのですが、その立場を離れての意見とお考えいただければと思いますが、関連分野のバランスをとって選ぶというようなやり方がもしあるとすればですが、身を切るような改革とか、あるいはガバナンスを非常に強く効かせるということはやはりやりづらいのではなかろうかと思います。大学の学長と同様に、機構長の権限も強化されてまいりましたが、選考方法、あるいは任期の考え方というのを工夫する余地がかなりあるのではないかと私は思います。これは決して今の機構長をされている方がちゃんとやっていないということを申し上げているわけでは決してございませんので、未来に向けての意見だとお考えいただければと思います。
【稲永部会長】  大変大事なところだと思いますね。機構長である前に委員であるというお立場を踏まえた御発言、ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。では観山委員。
【観山専門委員】  先ほど言われたとおり、非常に研究の展開というのは、スピード感と、ある種国際的な競争の中で勝ち抜いていくということですが、それは同感だと思います。その中で、先ほどからコミュニティというのは基本的には日本のコミュニティということを指しているわけなのですが、もともとはそれが設立の基本ですけれども、やはり各機関は世界的なレベルでの国際拠点であるべきなので、そういう意味でいうと、例えば具体的な例で言うと、すばる望遠鏡の時間を国際的に公募しているとかですね。つまり、日本のコミュニティにとっては、日本の研究者が使いたいというのは分かりますけれども、それだけであると、やはりコミュニティのエゴで、結局国際的な競争力に負けてしまうというか、大きな場での競争力がなくなってしまうかもしれない。
 だから、そういう形で、各機関、レベルの差はあるのですけれども、ある意味で国際的な拠点であるという認識の下に、外国のいろんな人たち、人材を入れていくだとか、競争の場に更にさらしていくとかいうことを、機構長なり機関長がそういうガバナンスを発揮するということは、実は長い目で見るとコミュニティを育てることにもなるので。
 その中で1つは、私も非常に苦労したところですけれども、外国人の雇用というものがなかなか進まないのは、国際的な場の中での人事的な資料ですね。例えば雇用する場合にどういう条件なのかというのが英文化されて公表されていないというのがまだまだ多いので、やはりそういう部分を、相当国際性というものを各拠点は更に更に考えていただくということが、やはり研究の質の向上をするという。各機関、結構努力されている部分があると思うのですが、まさに更に努力されることが非常に重要な点ではないかと思います。
【稲永部会長】  では、森委員、どうぞ。
【森専門委員】  研究の質の向上ということなのですけれども、研究の質の向上というのは2つの面があって、トップダウンとボトムアップのバランスがいいということがとても大事だと思います。
 ボトムアップということで、先ほどコミュニティからこういう分野融合で新しいものを作るというときにはボトムアップというところを考えなきゃいけないし、芽が出てきたときに、またそれを発展させるというところに関しては、ガバナンスの強化というか、リーダーシップというのがとても大事だということで、やはり両方のシステムが動くような形で考えるというのが重要ではないかなと。研究の質の向上ということでは大事ではないかなと思っております。ということが以上です。
【稲永部会長】  井本委員、どうぞ。
【井本臨時委員】  観山先生、すばるとか、大きい装置を持っておられるのはわりに国際的ということをやりやすいと思うのですけれども、生命科学のようなスモールサイエンスのところだと、大学共同利用機関としては主に国内の研究者に貢献するということがメインになっています。コミュニティに振り回されるというよりは、我々はコミュニティを先導するという感じで、個人の研究者が備えられないような装置をできるだけ早く導入して、国内の研究者が国際的な競争に加われるようにしていくという観点でやっております。確かに予算面から全ての装置を備えることはできないわけですけれども、そこはわりに大学共同利用機関の判断でいろいろ選んでやっていると思います。ですから、むしろコミュニティを先導しているという自負は持っていると思います。
【稲永部会長】  ほかにございますか。どうぞ。
【小林臨時委員】  私は文系なので、文系の分野についてだけ申し上げますと、実は4機構、あるいは全国の共共拠点に依存している割合というのは非常に強いのですが、最近気づくことは、全国の共共拠点の力が、文系に関してということに限定して言えば、落ちていると思います。やはり運営交付金が削られてくると、各大学は学生がいますから、どうしても学部というか、研究科は何とか維持しようとして、その分、しわ寄せが共共拠点に来ているように思います。実際に共共拠点から出てきている論文数とか、インパクトファクターとか、サイテーションインデックスを見ると、文系に関しては落ちています。一方、その分だけ、大学共同利用機構に依存する割合が増えているのですけれども、情報・システムのデータサイエンスのところは非常に枠組みとしては素晴らしいのですが、実は、こう言ったら藤井先生に失礼になるかもしれませんが、コンテンツがないと思います。要するに、システムですから、システムと、そしてコンテンツが入ってくれば、それを解析する能力はあるのだけど、コンテンツがあるわけではなくて、コンテンツは例えば人間文化とか、そういうところにあるわけです。逆に人間文化の方は、それをどうデータとしてオープンにして全国の研究者コミュニティなり大学に提供するかというところは正直言って弱い部分があると思います。やはりそこは融合していただかないと、全国の研究者コミュニティとしてはやはり役に立たないと思いますので。そこの融合が、今の、これまた後のほうの議論と絡んでくるかもしれませんけれども、やはり私は融合していくことが全国の研究の質の向上につながっていくのだと思っています。
【稲永部会長】  ありがとうございます。まず今までの議論を伺うと、それぞれ非常に重要なのですが、大学共同利用機関及び機構法人は、我が国の学術研究のレベルを高めることということについては共通認識がありますが、そのレベル感をどこに設定するかについては御意見に違いがあるように思います。すなわち、国際レベルでトップを走っていくのだというところと、国内レベルでトップというところがあるという違いです。この辺もきちっとしないとなかなか議論がかみ合っていかないのではないかと思います。時間の制約で、まだ御発言あるかと思いますが、次の意見交換の課題、(2)の人材育成機能の強化と(3)の関係する他の研究機関との連携について御意見をいただければと思います。では、相田委員、お願いします。
【相田専門委員】  先ほどのどなたかの御発言とちょっと関係するのですけれども、各大学にある共同利用・共同研究拠点を認定するときの認定されることの要件の1つに、専任教員の数だとか、そういうものがあったと思うのですけれども、それは今でもそうなのでしょうか。つまり、それぞれの大学の中で運営費交付金が下がっているので、教員の数を減らしていくから、そうすると、どうしてもそこのところだけに専任を置くということがだんだん難しくなる。そうなると、1つの大学だけでそれをキープするのは難しくなるので、したがって、いろんなところとの協働の体制をとることは非常に重要だと思うのです。そういうようなことができるような、そもそもの規則のところも変えなきゃいけないのではないかと思うのですけれども、今現在変わっているとかいうこともありますか。
【稲永部会長】  事務局、現状を御紹介いただければと思います。
【錦学術機関課学術研究調整官】  共同利用・共同研究拠点の認定の基準につきましては、告示で規定をしてございまして、直接専任教員の数が何人以上でないといけないとか、そういった具体的な要件はありませんけれども、申請施設が研究実績、研究水準、研究環境等に照らしてその分野において中核的な研究施設であると認められることと要件がありますので、教員の数がどの程度かといったところについてはこういったところで判断するということもあろうかと思いますし、あと、共同利用・共同研究に参加する関連研究者に対し、申請施設の利用に関する技術的支援、必要な情報の提供その他の支援を行うために必要な体制を整備していることという部分もありますので、こういったところで見ていくのかなという気がしています。
【相田専門委員】  きっとそこですよね。そこのところが、そのために何人の人間が必要だというふうに何となく忖度されちゃうものだから、どうしても置かなきゃいけなくなっちゃうということですか。
【錦学術機関課学術研究調整官】  そこはそれぞれの分野ですとか拠点の規模等に応じて審査していくことになるかと思います。
【小長谷委員】  各大学が共共拠点を維持するのが難しくなってきているとか、それから研究力が弱まっているというようなことがあるとすれば、まさにそこにおいて機構法人側、機関側は協力、連携して、そこの質をともに高める方向に努力すべきだと思います。大学に、例えば共同研究の資金を出して共同利用するとか、資料を一緒に使ってもらうだけではなくて、まさにマンパワーそのものが共同利用されるべき対象になってきているという時代というわけですから、それでしたらクロスアポイントとか、授業を代わりに行く代わりに、諸大学からも先生が機関の方に出向いていただいて、研究三昧に徹していただくというような、そういう形も含めて、研究者そのものを最大に利用し合う関係ということをしていただくような形で大学と連携していくというようなことが望ましいかなと思います。
 観山先生がおっしゃったように、機関と拠点を入れ替えるということになると、かなりドラスティックになります。そういうテーマがふさわしい場合もあるかもしれないですけれども、そこへ行き着くまでにまずはやるべき段階というのがあるのではないかと思います。
【稲永部会長】  藤井委員。
【藤井臨時委員】  繰り返しになるかもしれませんけれども、観山先生が言われていたみたいに、本来、大学共同利用機関法人の機関になるようなレベル、規模の研究所は大学の中にもあると思います。そういうところがどういうようなメリットを与えると大学共同利用機関法人に入ってくるのか。例えば各大学にすごく大きな世界的に有名な共共拠点はあるわけですけれども、そういうところが例えば教育の問題とか、そういうことを考えたときに、どのくらい入ってきたいと思っているのかということを、やはりなるべく早く調査して、そういうものがあるのであれば、具体的にどうしたらいいかを進めるべきじゃないかなと思います。候補はあると思うのですけれども、向こうがやりたいと思っているかどうかは分からないと思います。
【稲永部会長】  今の点、視点として大事なところで、先ほど事務局から説明がありましたけれども、今後どういうふうに持っていくかですね。
【天羽臨時委員】  先ほどから藤井先生からの話を聞いているのですけれども、教育という方にちょっとリンクするかもしれませんけれども、例えばここでいう人材育成というふうに観点を立ててくると、今我々の中で面していることというのは、Society5.0と。それで、第4次産業革命という、超スマート社会の方にどんどんどんどん突入していくと。そうすると、2030年、40年になっていって、どういうような能力を持った研究者が望ましいのか。研究だけに没頭するタイプばかりでは困るので、どういうような能力を持った人が今後必要になってくるのでしょうと。そうすると、第4次産業革命になってくれば、明らかに一般的に企業でいうとホワイトカラーはどんどんいなくなると。だから、どんどん減少するけれども、また違った形の知的な戦略を組み立てるような、そういうプランニングをできるような能力を持った人間がものすごく要求されてくると。だから、減るものと増えるものがあるのですけれども、ただ言えることは、国内に行こうが、国際に行こうが同じだと思うのですけれども、やはり第4次産業革命になってくると、研究としても、どうやってビッグデータを使っていくか、どのようにしてAIをうまく使っていくか、それから、IoTをどうするかとか、それは人文とか理系とか全く関係なくて、そういうツールをどういうふうにこなして、それをどういう形でプログラムしていくかというような能力が非常に大事になってくると思います。
 ですから、研究者だからここだけやればいいという議論ではなくて、やはり教育という観点に立つのであれば、またここでいう人材育成の機能の強化ということであれば、そういうことも加味して、また戻るのですけれども、機構長のリーダーシップというのですか、そういう形でいろいろクオリティのことを高めるとみんなリンクしてくるのではないかなと私はすごく思っていて、ですから、Society5.0に合ったような形の人たちを作り上げていくというのは非常に重要なのかなと思っています。
 以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。小林委員、どうぞ。
【小林臨時委員】  今と関連して言えば、アメリカの雇用統計を見ると、二極分化していると思います。要するに、修士課程を出た人間の雇用は非常によくて、もう一つは、高校中退ぐらいの人の雇用がよくて、中間の雇用が悪いのです。
 どういうことかというと、通常の大卒ぐらいの人たちの仕事というのはほとんどAIがやってしまうと。一方で、具体的に言うと、申し訳ないですけれども、例えばブルーカラーでしかできないような仕事は残っているということなのです。
 そうすると、結論として何が言いたいかというと、日本でも、今ちょうど4年生の就職が終わった時期ですけれども、やはり文系でもデータ解析ができるということはほとんどマストになっているのです。データが分析できるということと英語ができるというのは当たり前のことになっていて、それができないと就職がかなり厳しい、思うとおりにいかないということになっています。やはりそういう意味の人間を育てることができるようになっているかどうかというところが重要です。
 緑のファイルで、先ほどどなたか御質問がありましたけれども、例えば75ページなどを見ると、総研大以外のいろんな大学院生を286名、4機構が受け入れて教育をしているということになります。逆に言うと、総研大の方が439名しかいないというところも1つの問題としてはあります。
 だから、やはり全国の共共拠点が、全国の力が落ちているというところが、逆に教育の人材育成というところでも4機構に依存する割合が今後とも増えてくる。しかもそれが従来のような縦割りという形ではなくて、もう少し融合したような形での人材育成を求めてきているのではないかなと思っています。
【稲永部会長】  ほかに御意見は。どうぞ。
【フクシマ臨時委員】  先ほど天羽委員がおっしゃったこと、私も大賛成です。前回の部会で、連携の本来の目的は、全体でリソースのシェアをすることによって、ミニマムコスト・マキシマムリザルトですので、民間では、資源配分のプライオリティー付け等をするためにホールディングカンパニーのような組織を作り、そこが全子会社のポートフォリオを管理するというお話をして、連携の目的をもう一度見直す必要があるのではないかというお話をしました。先ほど小林委員が、今回の御発言ではなくて前回の御発言でおっしゃったことに、大変重要な点がありました。それは、情報・システム機構というのはシステムしかやらないと。コンテンツがないということでした。本来でしたら、まさに天羽委員がおっしゃったような人材を育てるには、システムとコンテンツの両方が必要であり、そのために連携する、それが1つの大きなこの機構の全体の制度の目的ではないかと思います。
 したがって、非常にドラスティックな組織変革となる全機構を一つに統一するということは、研究という領域からすると本当にドラスティック過ぎることは逆にマイナスになることもありますが、まずは、どの機構同士が連携可能であり、いずれ統合も可能かを、段階的に検討する必要もあるのではないかなと思います。
【稲永部会長】  ありがとうございました。天羽委員などがおっしゃっていること等を踏まえますと、共同利用・共同研究体制を強化して、低下しつつある部分を大学共同利用機関4法人がどうやって支援をするかという議論と、先ほど申し上げた、世界のトップをある分野において日本が走っていくときの大学共同利用機関法人の役割についての議論があると思います。とややもすると自然科学系に話の中心がいってしまうのですが、日本文化に関しては世界にもっと発信できるのではないかと思います。人文社会学の方、日本が世界に誇れるものがあると思うのですが、御意見をいただければと思います。
【小林臨時委員】  数少ない文系の人間なので申し上げますと、もう既に成功例が2つ出ていると思います。1つが国語研の日本語コーパスが明らかにそうで、情報・システムさんのかなりの御協力もいただいておりますけれども、これは実際にかなり収入としても入ってきているわけです。日本語コーパスを購入しているところは随分あります。
 もう一つの成功例は、フロンティアでやっている国文学研の日本語典籍です。最初なかなか文理融合という言葉の解釈がこちらと向こうで違ったかもしれませんが、今はかなり一致をしていまして、フロンティアですが、金額はかなり抑えられましたが、結果的には8億5,000万円分の伊勢物語の寄附が入ってきています。今はもうそこの絵にiPadを近づければ、その場面が英語で流れてくるというところまで進んで、かなり海外に対する発信ができています。
 海外に発信しないと海外における日本研究が廃れてきます。彼らはデータがない分野は研究しませんから。昔は、国際比較と言えば、アメリカと日本とヨーロッパだったのです。今はそうではなくて、アメリカとヨーロッパと中国を比較しています。だから、国際共著論文で中国がすごく出ているのは、それは中国政府がものすごくデータをオープンに出しています。中国統計局です。これは国勢調査を含めて、日本の国勢調査の何十倍もの項目を聞いていますから。とにかく日本の国勢調査、小規模調査だと、紙の表裏1枚ですけれども、向こうは一人一人が持っている資格、一人一人の健康状態などを、全部国勢調査で聞いています。私もそのデータ持っていますから、日本研究を辞めて中国研究に変わろうかと思うぐらい、私ですらそう思うのですから、アメリカの大学院生がそう思うのは当然なので、そこのところの発信は今成功例が出てきていますから、これをもっと育てていく。だから、クラスターみたいな形でお互いにもうちょっと共同研究を機構の壁を超えてやりやすくするようにすれば、あとは自主的に進んでいくのではないかなと思っています。
【稲永部会長】  ありがとうございました。どうぞ。
【藤井臨時委員】  いろいろ我々のところの話が出ていますので、1つ付け加えさせていただきますと、データサイエンス共同利用基盤施設というのを本部に作りましたが、これはまさに小林先生おっしゃるように、我々はツールを作ると。これから全国のデータベースを、それを使って利用できるものを作るというのが目的で、3期の後半から4期にかけて全国の大学に展開しようとしておりますので、是非、必ずしもオープンサイエンスは人文だけでなくもちろん社会科学も含めてできますので、頑張りたいと思っています。
 それから、天羽委員のおっしゃいました人材育成ですけれども、これは教育という部分と社会人等の育成というのが両方ありまして、現在のSociety5.0で非常に緊急に要求されているのは、産業界とか社会のデータアナリシスということもありますので、そういう人たちをたくさん教育しなければならないのですけれども、すぐにはできませんので、1つの方法は、そういう人たちを教える先生を更に教えるようなところから始めているというところもございます。現実に社会人の教育もかなり始めておりますので。ただ、規模感がまだ非常に小さいので、今後大きくしていきたいと思っております。
【稲永部会長】  どうぞ。
【小長谷委員】  小林先生が言及してくださった事例の他に、やはり21世紀の産業を牽引しているのは文化だと思います。AIという情報技術をこなしていくのに日本人は日本語で使っていくわけですから、日本文化的な考え方で使うわけですね。言葉の使い方も含めた全体の日本文化自体に対する理解がなければ、未来の産業というのは作っていけなくて、こういうことを研究しているというところは非常に重要だと思います。
【稲永部会長】  ほかに御意見は。
【天羽臨時委員】  いいですか。
【稲永部会長】  天羽委員、次、井本委員、お願いします。
【天羽臨時委員】  先ほど部会長も触れられましたが、日本が世界に誇れるもの、世界に発信できるものというのは、私はもう既にあると思っています。恐らく皆さんも随分気づいていると思うのですけれども、ただ、それを形にしてやっていないだけの話なのですけど、日本のおもてなしというこの文化が世界の中で圧倒的に通じてきていると。今後、第4次産業革命がやってくると、更に高度化したおもてなしが必要になってくるでしょう。それはどうしてかというのを、データサイエンスを使って、ビッグデータを使って、世界に発信するときに、国によって考え方がみんな違うのですね。ただ、日本のものは、今欧米の中だけでもどんどん受け入れられてきていると。そういう実例があるのを統計立ててどうなのか。更にそれを今度、2030年、40年に向かって高度化しようということはもっともっと表に出していく。だから、先ほど言ったクラスターじゃないですけれども、横のそういういろんな話がもっとできて、そこからある形の新しいイノベートというか、新しいプロジェクトやテーマが出てくるというのがもっと必要なのではないのかなという感じはしますけど。
【稲永部会長】  井本委員、どうぞ。
【井本臨時委員】  現在、データ解析、AIを使うとかいうのは、これは当然のことなのですけれども、研究面から言えば、より進んだAIなりデータ解析の方を作っていくこと自身がサイエンスとして求められているので、応用ばかりにとらわれるべきじゃないと私は思っております。
【稲永部会長】  井本委員、先ほどの御意見で、小さいところではなかなか世界と互角にやっていくのは難しいととれるような発言をされていましたが、もう少しその辺のところを補強していただけませんか。
【井本臨時委員】  生命科学でいうと、装置の大型化とか研究規模の大型化というのがかなり進んでいます。一番それをうまく利用しているのは中国かもしれませんけれども、そういう面で日本ではこれまでそれぞれの研究者がばらばらにやっていた。だから、装置が大型化していくと、それに追いつけなくなってきているという現状はあると思います。情報面に関しては、例えば国立遺伝研のインフォマティクスのデータベースというのが研究者を支えているという面もあると思いますけれども、装置の面で若干遅れてきている。それが目立ってきているという現状はあると思います。
【稲永部会長】  やはり連携というのが非常に重要であると。
【井本臨時委員】  はい。連携とともにある程度の投資が必要だと思います。
【稲永部会長】  じゃあ、相田委員。
【相田専門委員】  きょうの緑色の資料の中にそれぞれの研究所とか機構の目指すもののリストがあるのですけれども、融合的なことを、もう始まっているところはあるのだから、これだけの17機関の間の融合的なことの成果が分かるような見せ方もあってもいいと思うのです。それぞれの国立大学でもいろんな分野の先生方がいらして、それぞれの国立大学の中でもいろんな融合研究は進めようとしていますけれども、こちらのこれだけの機関のところは大きな装置もそろっているし、それから、これとこれを融合したらもっと次のものができるというふうな、ちゃんとシーズとそれを使える人たちがそろっているのだから、その人たちが率先して例を示していけば、それを使っているコミュニティの方々も、ああ、その使い方ができるならこういうこともできるというふうにどんどんまた広がっていくと思うので、まずはこの方々の中で例を示すページをまず1個作ったらどうかと思うのですけど。
【稲永部会長】  そういうことも大変大事だと思います。ほかに。
【松本部会長代理】  すいません。全体の議論があっちとこっちと分かれているので、しゃべれなかったのですけれども、まず質の向上のところでどなたかおっしゃったのですけど、このまま行ったらじり貧よねというような感覚を持たれた方多いと思うのですよね。世界の比較をやりますと、トップ10%論文の表がここに出ていますけれども、ドイツとかイギリスとかフランスとか先進諸国に比べて、1、2%、場合によっては3%低いですよね。もちろん高エネ機構みたいに非常に高いパフォーマンスを出しているところもありますけれども。
 質の向上という言う以上、どこを目指すのかということを機構全体で話し合って、うちはこの辺、うちはこの辺というのをしっかりガバナンスできるような体制を作ることが重要だろうと思うのですね。恐らくやっておられるところもあると思いますけど。外部評価委員といっても、外国の方から見たらどう見えるか、コミュニティの国内の委員から見たらどう見えるか、あるいは財政当局から見たらどう見えるかとか等々、いろんな評価指標があると思うのですけれども、そういうものをきっちり出して議論できるような場が17法人の共通事項としてあるのかどうかというのがちょっと気になります。
 それから、人の交流の話ですが、私は昔いろいろな共共拠点を見に行ったことがありますし、大学共同利用機関にお世話になったこともあるのですけれども、当時はわりあい人の行き来があったような、教員の人の行き来が多かったように思いますが、ずっと見ていますと、だんだんそれが低下しているんじゃないかという気がしています。実際、データを見たわけじゃありませんが。
 つまり、大学の人と共同利用機関の人がもう分かれちゃって、共同利用機関の人が、私たちの研究所という、こう言っちゃ怒られますけれども、そういう意識が芽生えてきているのではないかという気がちょっとするのです。そこの改善、やっておられるかもしれませんが、ここをしっかりやらないと大学共同利用機関の価値が落ちると思いますね。これは質の向上にもつながるかもしれません。
 ですから、わりあい厳しい目で評価してくださるようなシステムが必要ですし、17機関、4つの機構に分かれていますけれども、この在り方についてももう一度見直す。全部をやり直す必要はないと思いますけれども、本当にこれでいいのかということをどこかで見直す必要があろうかという印象を私は強く持ちました。
【稲永部会長】  ありがとうございます。以前部会等で共同利用・共同研究拠点の代表からヒアリングを行ったとき、一部の共同利用・共同研究拠点から大学共同利用機関よりも我々の方がレベルが高いというような発言もあったように記憶しています。
 ですから、今松本委員がおっしゃられた、両方の協力、連携を強めて、世界のどこを目指すのかということを今後議論していく必要があると思います。
 では、皆さんの御関心が非常に高い(4)の機構法人の枠組みについてに移りたいと思います。まだありますか。どうぞ。
【フクシマ臨時委員】  先ほど小長谷委員の方から御発言があった例の文化の件ですが、「結局は産業界でも、たとえIoTといっても文化だ」ということをおっしゃいましたが、まさにそのとおりだと思います。実は経済同友会で雇用・労働市場委員会というのがありまして、そこで、AI、IoTがどのように人間の労働の価値に影響を及ぼすかということを検討しました。その結果、これからの産業革命の中で必要なのはどういう人財だろうということを議論して提言をしました。その中で定義をしたのは、これから必要になる人財は、「デジタルプ+α」という定義をしました。アルファの部分は、「その人、その企業、その国でなければできないこと」ということです。これからの人財は、デジタルは当然必要ですが、それに加えてそういうαも両方持ったプロフェッショナル人財が必要になるという定義をしているのですが、そのアルファの定義として、日本の場合でしたら、まさにおもてなしですとか、匠の技術ですとか、左脳ではなく右脳で考える力とか、美意識とか、そういったものが定義されています。一応産業界でもそういう議論があるということを御紹介させていただきました。
【小長谷委員】  ありがとうございます。日本文化について国内でトップということは自動的に世界的にトップということです。
【稲永部会長】  そうだといいと思うのですけど。
【小長谷委員】  大丈夫です。お確かめいただいたらいいと思います。
【稲永部会長】  よろしいでしょうか。次の議論をしたいと思います。(4)の機関法人の枠組みについて意見交換をしたいと思います。先ほど来、それに触れた発言もあったかと思いますが、御意見をお願いします。では、観山委員、どうぞ。
【観山専門委員】  非常に重要な課題だと思うのですけれども、その前に、今4法人になっていますが、高エネ研はちょっと別として、ほかの3法人はそれぞれわりと独立性の高いものから3つの法人に作られたわけですよね。その総括をしないと、つまり、例えばここにあるようないろんな観点が得られていますけれども、その統合化というか、法人化というか、一緒になったわけなので、例えばそれで事務の統合や効率化がなされたのか、それから、研究の状況がどうであったのかということをやはり分析しないと、雰囲気だけで、統括すると効率化するって……。先ほどから非常に産業的な例もありますが、この問題の非常に難しいところは、つまり、例えば産業でいうと、いかに利益を出したかとか、いかに株価が高くなったとかいう、一般的に指標がありますよね。そういう部分が研究という面でいうと、もちろん先ほどから言われているようないろんな国際的なランキングだとか指標というのはありますから、それもあるのですが、そういうもので見るとどうなったのかとか、実際に事務が効率化されたのか、という部分をちょっと踏まえておかないと、単純に1つになれば効率化するだろうと。それは役員の数は少なくなりますよということはあるけれども、それ以上に効率が、あまり言いたくないけれども、非常に手間が増えてきている部分もないわけではないので、そういう部分をよく考えておかないと、単純に気分で流されるというのは非常に危険だと思いますね。1回我々は経験したので、その総括というか、状況を踏まえて、どううまくいったのか、どうデメリットがあったのかということを踏まえながら将来のことを考えないといけないと思います。
【稲永部会長】  確かにそうですね。17機関が4グループの機関法人に分属して、かつてとどう変わったのか、メリット、デメリットの総括というのは十分されていないと思います。ほかには。
【佐藤臨時委員】  今、観山委員がおっしゃったこと、私も全く同感しているところがあります。そうした考えから、一つ提案させていただきたいと思います。以前に各機構には、代表者の方からお話を伺ったということがあったと思います。しかし、もう一つここでは、より現場の方といいますか、現場に近い方といいますか、そういった方からお話を直接伺うというようなことを考えてもいいのではないかと思います。もちろん現場の方なら誰でもいいという話ではないと思いますので、人を選ばないといけないと思いますけれども。なお、例えば、私が今、頭の中にちょっと思い浮かんだのは、自然科学研究機構の研究所で共同利用関係の施設で中核的な役割をずっと果たしてきてこられた方で、今は高エネルギー加速器研究機構の二つの研究所のうちの一方の研究所長になられた方がおられますので、その方あたりからお話を伺ってはどうか、という気がしております。
【稲永部会長】 今後、ヒアリングという機会を設けることについて、後ほど事務局から紹介があるかと思いますが、そういうことも視野に入れたいと思います。枠組みについていかがでしょうか。小林委員。
【小林臨時委員】  17のときと4グループの比較というよりも、それは4機構それぞれ大変な御努力されましたので、17のときよりも4グループになった方がよくなったことの方が多いと思うのですが、問題なのは、現状どういう問題があるのかということの方が私はより問題ではないかと思います。コストを削減するということが議論になりますけれども、それ以上に問題なのは、まず1つは、例えば研究不正の事前防止と事後処理について、これは別にばらばらである必要はあるのかなと。お互いに長所、短所があって、むしろこれ、一緒にやるべきことではないかなというのが1つあります。
 それから、例えば経理の処理であれば、納品検収のやり方も、あるところは1円からやっているし、あるところは一定の額以上でしかやらないと。そこで問題が起きる場合もあります。
 それから、女性研究者の活用についてです。これは、人間文化は利点を持っているし、逆に人間文化にもし弱点があるとしたら、知財とか契約関係については、ちょっとやはり甘いというか、企業側に有利なことをやってしまうところもあると。こうしたことはかなりKEKさんは厳しくやっていらっしゃるので、KEKさんはそういうところは長所である。4機構が持っているお互いの長所、短所ももっとお互いに相互に利用し合うということが私は必要なのではないかなと。それがガバナンスのよりよいところでないかなと。
 あと、外部評価のやり方も、非常に厳しくやっているところもあれば、内々でやっているところもあると思います。具体的にどこという固有名詞は申し上げませんけれども、そういうところはやはりより一緒になる、17のときとの比較というよりも、現状いろんな問題があるので、それが1つになるということのプラスだと思います。
 ただ、いきなり1つにするというのは非常に弊害も出てくるので、まず現実的に考えるとソフトランディングをしていくと。ですから、4機構を例えば4クラスターにして、4機構長がクラスター長になって、少しそこのところが今までよりは自由にアメーバのように自然に流れる方向に流れていくと。そうしないと、例えば4機構よりももっと上の大きな強い権限を持ったところが出来たときに、果たして対抗できるのかなという気もするのです。そういう意味では、私はもう少しハードルの垣根を取り払うということが本気で求められていることではないのかなと思っています。
【稲永部会長】  ほかに御意見は?
【佐藤臨時委員】  今、小林委員がおっしゃった幾つかの具体的な事例は、本当に共通している部分は、という点でいずれも該当するように思います。ですから、そういう点については、一つにまとめてというお考えはよく理解もできますし、必要ではないかと思います。それこそがガバナンスという気がします。
 なお、ちょっとこのところの議論で、ガバナンスとトップのリーダーシップというのがある意味同義のように聞こえる御発言というのもあったように思われます。本来この二つは、もちろん関わりがないわけではありませんが、「ガバナンス=リーダーシップあるいはトップダウン」ということでは絶対なくて、ガバナンスというのは、関係する人たちが、相互作用ですとか、あるいは相互の意思決定というようなことから的確な体制ですとか規範を作っていくということだと思います。その意味で、今、小林委員がおっしゃったことは、数をいくつにするのが適切かという話から離れても、非常に大事な点ではないかと思います。
【稲永部会長】  相田委員、よろしいですか。
【相田専門委員】  お先にどうぞ。
【稲永部会長】  では、天羽委員、どうぞ。
【天羽臨時委員】  私が言ったのは、ガバナンス=リーダーシップとは全く違っていて、トップダウンは全てリーダーがやるべきで、リーダーで一番重要なのは決断力なのですね。当然ガバナンスというのは、チームの中でいろいろなことをやっていくと。それを最終的に決断するのがリーダーで、だから、私が言っているのは、ガバナンスが効いているところだと、リーダーが全て決めるって、これは全く違いますね。やはり重要なのは、下から声を吸い上げて、それをする決断力というのが私はリーダーシップということで言ったので、是非そこは間違えないようにお願いします。
【稲永部会長】  相田委員。
【相田専門委員】  緑色の資料の38ページをさっきからずっと見ていたのですけれども、38ページのところに研究教育職員数というのがありまして、全部で2,023人。それぞれの研究所なりに100人、数百人ぐらいずつ配分されているような感じなのですけれども、この2,000人ぐらいの研究者、あるいは教員がいらして、こういう分野の先生方がいらして、日本、あるいは国際的な研究を牽引するためにこの組織があるわけなので、そういうふうな目で見てみると、4クラスターに分けるという段階を踏んでというのはあるかもしれないけれども、でも、例えばこれの1つの長がいて、それぞれの研究所長が17人いて、それの総合的な会議があって、そこでいろんなどこの分野を強化しようとか、どことどこが今度は融合しようとかという話をする会議がきっとできるに違いないなということをイメージしたときに、4つのクラスターに分けて、その4人の人はどういう役割になるのだろうと思うと、役割はないような気がするのです。
 ですので、段階的にというのはあるかもしれないけれども、17かどうかはともかくとして、こういうような人たちが日本の全体の研究力をどう強化していこうかという視点で、話し合う場の中で4つのクラスターに作る意味はそんなにないのではないかと思います。
 それと、資料2の最後のページの4ページ目の最後の2、3行なのですけれども、確かに効率化の側面だけではなくて、機関の分野などの違いを留意しなければいけないという言葉にはありますが、しかし、機関の分野によって違うから、だから、1つにできないという理由には私はならないと思うのです。分野の違いはそれぞれの研究所の中で、もちろん独自性の高いいろんなことはあるとは思うけれども、日本のこの組織としてどうあるべきかといったときには、分野の違いというのはそんなに表に出てこなくてもいい問題ではないのかなと思います。
【稲永部会長】  いろいろな御意見がクラスターについてあると思います。ほかに在り方について。山内委員、お願いします。
【山内臨時委員】  皆さんの意見、大変ごもっともだと思って今伺っているところなのですが、前回の議論にもありましたけれども、統合には様々なメリットがあると。スケールメリットというのも当然ありますし、資源配分にも自由度が増えるといったようなメリットがあります。ただ、やはり同時にデメリットもあるということは申し上げておかなくてはいけないと思うのですね。デメリットではないにしても、統合を決断する前には、解決にめどをつけておかなければいけない問題というのも多々ございます。
 ということで、機構法人側からの聞き取りも含めまして、少し慎重な議論をお願いしたいと思っております。やり方、いろいろあると思うのですが、1つは、この委員会でやっていただいてももちろん結構ですけれども、小委員会を作って、機構からもヒアリングしていただくというのもあり得ると思いますし、機構側でも、今盛んに議論しておりまして、今後できるだけ早い時期に方向性を出したいと考えておりますので、そういった点を聞いていただくというのも1つのやり方ではないかということがあります。
 是非今後、きちんとした議論を通して、スケールメリットだけではなくて、大学に貢献しつつ、研究所を評価できるという仕組みを目指してまいりたいと思っております。
【稲永部会長】  ほかに。それでは、井本委員。
【井本臨時委員】  機構が出来て十何年かになるわけですけれども、その間にかなり機構本部でやらないといけない仕事というのが増えてきていると思うのですね。不正使用防止とか。最近で一番厄介なのは、情報セキュリティのことですけれども、大学だとある程度の規模があるので、それは可能なのかもしれませんけれども、今、少なくとも自然科学の機構事務局でそれを全部こなすというのは結構アップアップになってきていると思います。4機構が、法人として一緒にならなくても、そのあたりはかなり共通化してやるということを考えないと、機構事務局、どこももたないようになってきているのではないかなという気がしています。
【稲永部会長】  観山委員、どうぞ。
【観山専門委員】  機構の枠組みに関してですけれども、1つになるということも1つの選択ではないかと思いますけれども、ただ、ちょっと前の話とダブるかもしれませんけれども、17が1つになるということで本当にメリットがあるのかというのは、この前言いましたけれども、研究とか、そういう面でどのようにスケールメリットなり、あるのかということ、やはり慎重によく考えないといけないと思うのですね。
 繰り返しになりますが、やはり17がそのまま統合するというのは、それはいいかもしれないけれども、やはりそれだけではなくて、先ほど言いましたように、新たな機関を増やしていくとか、新たな分野を創成するとか、新たな学術の進展のためにこういう形がいいのだという形を相当得ないと、統合というのは1つの選択肢かもしれませんけれども、それだけでは余り変わらないような気がします。たとえば、さっきの繰り返しになりますけれども、新たな機関を増やしていくなり、そういうことも相当考えないと、誘導しないと。
 そのときに、前の状況で言いたかったのは、教育という面が大学の中では非常に強いわけですね。総研大がありますけれども、規模もそんなに大きくないので。大学との連携の中で、もうちょっと機関の先生方が大学と交流するとか。実は総研大、担当していますと、複数担当するというのはある種の自主規制をしていて、例えば総研大の担当の人は東大の併任にならないとか、京大の併任にならないとかいうことがあるのだけれども、もうちょっと能力ある人というのは、相当できる人もいますので、教育というか、学部教育も含めて、授業とか学生を見るということは機関の先生でうまい先生もいますので、もうちょっと大学との理解というか。非常に難しい。そんな大学の中で間に合っていますと、そんな来てもらう必要はないという学長もおられるのですけれども、そういうふうにせずに、機関の融合ができれば、もうちょっと関わるのではないかと思いますけどね。
【稲永部会長】  ほかに。
【フクシマ臨時委員】  ずっと御議論を伺っていますと、統合ということのイメージが幾つかあるのではないかと思います。前回4機構に統合したように、17機構を全部一緒にしてしまうというアイデアをお持ちの方と、そうではなく、小林委員がおっしゃるように、クラスターとして4つに、今の状態で、しかし機能を変えるというお話と、いくつかアイデアがあると思います。前回の委員会で永田委員がおっしゃった17機構を1つにというのは一緒にするという意味だったのではないかと思うのですが、私が申し上げたのは、一緒にするのではなく、ガバナンス機構としてのホールディングカンパニーのようなものを上に作って、機能的にはそこが資源の配分であったり、横串を通す機能であったり、「ここの研究とここの研究は一緒にやったらどうですか」といったことを見るガバナンス機能を持つ組織を置くということです。その組織は、ミニマムなスタッフィングでいいと思うのですけれども、そういうポートフォリオ・マネジメントをする会社をビジネスの世界ではよく作っているので、そんなガバナンス機構のようなものを考えてはいかがかという御提案をしたのですね。ですから、全部一緒にするという統合ではなくて、何かもう少し横串を通せる機能があってもいいのかと思い発言をさせていただきました。それも誤解がないように御説明しました。
【稲永部会長】  ほかに御意見。
【藤井臨時委員】  法人にせよ、クラスターにせよ、グランドデザインを作っていく必要があって、そういうときに共共拠点も含めて、すごい先かもしれませんけれども、やはり連携を強めなきゃいけないと思うのですね。
 先ほど、クラスターに分けるかどうかなのですが、例えば共共拠点等でも、理工と生命、医学、それから人文社会という形でクラスター分けされているということもあって、科学、学術の中で、全部1つに扱えないという部分があることは確かだと思うのです。それは学術会議も含めてありますので、その辺のこともしっかり議論しながらやっていただければと思います。
 ということで、最終的には、共共拠点も含めた連携というのはすごく重要かと思いますので、それはいずれも全国の大学に貢献するというのが目的ですので、そこも含めた形で整合性がとれるように作れたらいいのではないかと思っております。
【稲永部会長】  佐藤委員、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  この議論の中では、言うまでもないこととは思いますが、多様性が担保できるかどうか、それが一番だと考えています。本当に全知全能のような方がいらっしゃって、全てに目配りをして、しかし、本当にそのとき大事なことがこれというふうに分かる方が上に立った場合にはうまくいくのかもしれませんけれども、まずそんなことは期待できないでしょうから、それこそ、少人数で資源配分をといったようなときに、本当に多様性がそこで担保できるのかどうか、そういったところに一番関心といいますか、注意を払う必要があるのではないかと思います。簡単ですけれど、以上です。
【稲永部会長】  ほかに御意見ございますか。相田委員。
【相田専門委員】  この資料の中に、それぞれの研究所の事務職員の数のリストが、さっきから探しているのですけれども、何ページかにありましたか。先ほどの38ページは研究職員の数なのですが。
【錦学術機関課学術研究調整官】  この資料の中には入れておりません。
【相田専門委員】  事務的な効率化だけが全てではないとは言うものの、やはりそのデータもないとイメージがつかめないので。
【稲永部会長】  それは次回以降に用意していただきます。それでよろしいですね。天羽委員、どうぞ。
【天羽臨時委員】  相田委員、私もさっきから探していたのですけれども、なかったのですね。要するに、事務の人をこうだ、こうだという話ではなくて、例えば機構法人の在り方と。先ほどのフクシマ委員が言うのと少し似ているのですけれども、ただ、縦と横ということを考えないといけないのではないかなと。縦というのは、17プラス新しいもの。先ほど観山委員がおっしゃったような、そういうことを考えていくところと、それが縦ですね。スペシフィックな成果を出していくところ。横串は、例えばファンクショナルエクセレンスとか、先ほど言ったような、サイバーセキュリティの問題をしっかりやるところ、知財をしっかりやるところ、あとは先ほど言った教育をやるところ、これは全部横串で、17の方に全部行くと。要するに、幾つかのファンクショナルエクセレンスとオーガニゼーションエフェクティブネスという言葉を僕はよく使うのですけれども、これを全部横串で運営するには、事務の方が、今、どういうふうに、何人ぐらいいらっしゃっていて、どういうプロフェッションを持っているのかなと。そういうことがある程度分かってくれば、縦と横というのが非常にうまくできるのではないかなと。法人化しているか云々という議論よりも、どうやって運営するのですかといった場合、それが非常にいいのではないかなと。だから、クラスターとか、別に17あっていいと思うのですけど。
 ただ、先ほど言ったように、じゃあ、それを全体的な予算でどこをどういうふうにするかという、ある戦略的な方向とか、新しい分野を決定するようなところというのは、もしかすると小委員会、理事会なのか、形は分からないですけれども、そういうふうな小委員会が決めるべきでしょう。でも、その小委員会の構成というのは、例えば知財を全て横でマネージしている人とか、教育を全てマネージする人とか、プロジェクトをやる人とか、いろいろ違った観点を持っている人たちがマネージして、その下にプロジェクトをやって、それから横串でプロフェッショナルの人を全部見ていくというのも1つの考えかな、と思います。だから、縦と横ということなのですけどね。これを1個1個でやっていくと、かなりしんどいのではないかなという感じもしますけどね。
【稲永部会長】  きょう御発言いただいていない方いかがですか。
【八木専門委員】  おおむね皆さんの御意見と同じなのかもしれませんが、やはり大学共同利用というものが独立してそれだけがあるわけではなくて、実際にはちゃんと大学というものがあり、また共共拠点もあり、それは全ての関係性というのは明確にしていく必要があるでしょうし、各17の機関ごとの特性というのも十分に分析する必要はあるとは思います。
 多分、民間と特に大学とかこういう機関の大きな違いって、そこにいる人の職種というものが、大学の場合ですと、大きくは事務と教員という2つのクラスのケースが多いと思うのですね。企業はその間にもう一つスタッフ的な役割の人がいて、マネジメントをする人材がいると思うのですけれども、比較的この部分がそんなに強くないのかなと思っています。そういう実際にいる人材との兼ね合いにおいて、組織として、どうやると一番うまく動くのかというのは考える必要がありますし、それともう一つ、最終的にそこにいる研究者の方々の、往々に組織を変えていって起きることが、研究者の研究時間がどんどん減っていくということがあるので、その視点でも組織を変えたときの課題というのを見ておく必要があるのかなというのは私としては思います。
【稲永部会長】  ほかに御意見ありますか。
【瀧澤臨時委員】  私、久しぶりにきょう出席しましたので、皆さんの御意見を傾聴していたのですが、前回部会の発言の意見のまとめの中に、今の連携のところで、例えば3ページ目の(4)のマル2で、先ほどフクシマ先生がおっしゃった、ホールディングカンパニーを設けて、優先順位付けや資源分配がやりやすくなるという、非常に肯定的な意見がある一方で、同じテーマに関して、一番下では、1法人化するとある意味17の機関がばらばらに戻るというような、非常に否定的な、かなり感情的に振り幅のあるところで皆さん議論をされているなというのを感じておりました。
 ということであれば、そこを統一していかないと、どんな仕組みを作ってもなかなかうまくいかないのではないかなと思います。現に4機関あるわけですから、そこで各々の皆さん、トップの方々の顔もよく皆さん相互に御存知でいらっしゃるわけですし、その中の仕組みもある程度把握されていることですから、できるところから共有化して効率化していくことをまずやってみて、そこで段階を置いて、学びの中でどうした方向がいいのかというのをお互いに共通化していけばいいのではないかなと感じました。以上です。
【稲永部会長】  ほかに。松本委員、どうぞ。
【松本部会長代理】  この組織の作り方というのはそう簡単にいかないということは明らかで、皆さんもそのように思っておられて、私もそう思いますけれども、17個ある研究所というのは、実態の運営に近いのではないかと思うのですね。機構が載っていますけれども、もちろん機構によって多少違いはあるとは理解していますけれども。恐らく17がベースで、どなたかおっしゃったように、そういう人たちが来ていろいろ意見を言うと。じゃあ、機構が何のためにあるのかということが、もう一度問い直されるのというのがこのペーパーにありましたけれども、全体でくくったときの、もしくくれるとすれば、共通項を、横軸、縦軸でもよろしいですけれども、くくり出したときのメリットって当然ありますよね。それが今現在の機構ではどうなって、そういうことをやっているのか、やっていないのか、本当に研究所単独の集まりみたいなものになっているのかというのを知りたいですね。
 もう1点知りたいのは、共共拠点との関係図みたいなものは、どなたかも発言されましたが、例えば人間文化研究機構、自然科学研究機構、それぞれありますけれども、4つありますけれども、それぞれの研究所の下に、あるいは横に共共拠点がどれぐらいの種類、全国であるのかとか、そういうことをしっかりしたマップを作った上で議論しないと、これだけいじっても余り成果はないような気がするのですね。
 それから、もう一つは、これは大学共同利用機関という名前になっているのですけれども、これ、研究という言葉が入っていないのですけど、個々の研究は、研究所は研究所になっていますから、恐らく研究が主体だろうと思うのですけれども、どちらに重きを置くのかというのは、17の研究所、全部違うと思うのですね。共同利用に重きが置かれるところとテーマの研究そのものを追求したいというのは違うと思うのですね。
 ですから、一概にはできないので、もうちょっと全体の俯瞰図、マップというのですかね、研究重点型、共同利用重点型、論文も共同利用論文というのは余りはっきり出ていないので、どれぐらいここが使われているのか、共同利用として利用されているのか、ページめくってみたのですけれども、あまり分かりませんでした。そういう資料をそろえた上で組織としての在り方を議論していただきたいと思います。私は個人的には、先ほど言われた天羽先生のような考え方が普通の最も効率いいやり方ではないかという気はいたしました。
【稲永部会長】  ありがとうございました。1つ私の意見を言わせていただくと、大学に勤めるよりも、理研に勤めるよりも、大学共同利用機関に勤める方が研究者として生き生きとしてられるというような他との比較優位性も大学共同利用機関にどう担保していったらいいのかということも大事ではないかと思いますが、今後そういうところもお考えいただければと思います。
【松本部会長代理】  ちょっとその件でいいですか。理研のことをおっしゃいましたので、一言。理研は、数からいうと3,000人ぐらいですから、これ全部合わせたぐらいの研究者の数がいるのですね。それよりも少し多いかもしれません。その中でガバナンスをどうするかという問題は大変難しくて、全分野入っていますので、ほとんどこれを束ねたものと同じようなやり方なのですね。今おっしゃったように、理研よりも共同利用機関にいたらいいという点で、明らかなことは、共同利用機関ですから、その背景に大学群がいると。そこに学生がいる。若手研究者がしょっちゅう来ているというのがメリットだと思います。理研はそういうところは弱いです。
 ただ、事務官とか、あるいは、いろんな情報のガバナンス等々についての悩みがこういうところにはあるのですね。大学はもっとありますけど、理研はその辺はほとんどありません。事務官が非常に優秀です。研究者と同等に活躍しますので。
 どこをメリットとするかというのは、それぞれの研究者が選ぶことで、共同利用機関だったら、学生ですかね。装置がいいということはもちろん当然あるのですけど、装置の良さでいうと、理研も悪くはありませんので。
【稲永部会長】  松本先生、ありがとうございます。大学、理研、それから大学共同利用機関、それぞれの存在意義を明確に抑えれば、大学共同利用機関法人の強化には、どういうような体制がいいのかという議論進んでいけるのではないかと思います。
 きょうはこの辺で議事を終了したいと思います。きょういただいた議論につきましては、事務局の方でまた、大変でしょうが、おまとめいただいて、次回以降の意見交換にさせていただきたいと思います。
 最後に、今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  次回の部会につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
 また、机上の資料につきましては、郵送させていただきますので、御希望される方は机上にお残しいただければと思います。
 以上です。
【稲永部会長】  事務局、他には。
【錦学術機関課学術研究調整官】  具体的にはまた部会長と御相談ですけれども、今のところ事務局として考えているイメージとしましては、7月中に機構長の方からヒアリングができればと思っておりますし、あと、先ほど佐藤委員から御提案いただきましたけれども、より現場に近い方もそこに含めるのか、それはまた別途の機会にするのかということもまた部会長と相談して決めていきたいと思います。
【稲永部会長】  ありがとうございました。それでは、本日の議事はこれにて終了したいと思います。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局学術機関課

企画指導係
電話番号:03-5253-4111(内線4169)