研究環境基盤部会(第93回) 議事録

1.日時

平成30年5月25日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学共同利用機関の今後の在り方について
  2. 各作業部会の審議状況について
  3. その他

4.出席者

委員

稲永忍部会長、相田美砂子委員、井本敬二委員、勝悦子委員、小長谷有紀委員、小林良彰委員、佐藤直樹委員、橘・フクシマ・咲江委員、永田恭介委員、藤井良一委員、松岡彩子委員、観山正見委員、森初果委員、八木康史委員、山内正則委員、横山広美委員、龍有二委員

文部科学省

磯谷研究振興局長、千原大臣官房審議官(研究振興局担当)、久保大臣官房文部科学戦略官、西井学術機関課長、錦学術研究調整官、早田学術機関課課長補佐、吉居学術機関課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【稲永部会長】  皆さん、こんにちは。ただいまより、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会第93回を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 最初に、事務局に人事異動がありましたので、紹介をお願いいたします。
【早田学術機関課課長補佐】  4月1日付けで大臣官房審議官(研究振興局担当)が千原由幸審議官に代わりましたので、紹介させていただきます。
【千原大臣官房審議官】  千原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【稲永部会長】  続いて、事務局から、委員の出欠、配付資料の確認をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  本日は、松本委員、天羽委員、伊藤委員、瀧澤委員が御欠席です。
 また、八木委員は遅れていらっしゃる予定でございます。
 配付資料の確認をさせていただきます。資料は議事次第にございますように、資料1から資料6までを配付しております。もし不足等ありましたら事務局までおっしゃってください。
 以上です。
【稲永部会長】  お手元にありますか。
 今回の会議では、本部会の第8期に取りまとめました意見の整理における検討事項の一つである大学共同利用機関の在り方について審議を進めたいと考えています。
 まずは事務局から説明をお願いします。
【錦学術機関課学術研究調整官】  私から資料1から4に基づきまして、御説明したいと思います。
 まず冒頭に、大学共同利用機関の改革について今後御議論いただくわけですけれども、まず今現在動いております大学改革の動きにつきまして、簡単に御報告させていただきたいと思います。資料1・2を御用意いただければと思います。
 資料1をおめくりいただきまして、2ページ目ですけれども、平成29年3月6日に文部科学大臣から中教審に対しまして、我が国の高等教育に関する将来構想についてということで、諮問がなされたところでございます。
 この諮問の背景ですけれども、1つ目のポツ、第4次産業革命は、既存の産業構造、就業構造、更には人々の生活を一変させる可能性があると。2つ目、本格的な人口減少社会の到来により、高等教育機関への主たる進学者である18歳人口も大きく減少すると。2005年が137万人、これが2040年には88万人に減少するということが予測されております。こういった状況を踏まえまして、矢印の先の赤字のところですけれども、2040年頃を見据えた高等教育の将来構想について総合的な検討を行ってくださいと、こういった諮問がなされたところでございます。
 スケジュール等につきましては、下の四角囲みのところですけれども、中央教育審議会で議論しているわけですが、中教審の下に大学分科会、更にその下に将来構想部会が設けられまして、永田委員が部会長を努めておられますけれども、そこで議論がなされているところでございます。
 ここで、昨年12月に論点整理が取りまとめられまして、今後は、本年6月を目途に中間まとめ、秋頃を目途に答申を取りまとめる予定と伺っております。
 次は3ページをお願いいたします。これは12月に取りまとめられた論点整理の概要でございます。まず押さえるべきポイントとして、社会全体の構造の変化があると。具体的には、学術研究や教育の発展、第4次産業革命やSociety5.0、人生100年社会、グローバル化、地方創生。こういった社会全体の構造変化の中で、あるべき人材育成、こういった在り方を検討していこうということで、具体的には、下の高等教育における人材育成のところですけれども、人材育成の対象を2つに分けております。1つが、1つ目の四角、18歳で入学する伝統的な学生。2つ目が社会人。この2つ、それぞれの観点から議論が行われております。
 1つ目の18歳で入学する伝統的な学生に関しましては、急速な社会の変化の中で陳腐化しない普遍的なスキル・リテラシーの育成が必要であると。次のポツですけれども、第4次産業革命時代の新たなリテラシーとして、数理・データサイエンス教育を行うことが必要となっているということでございます。
 2つ目の社会人に対しましては、最先端の実践の理論化ですとか、最先端の実践例の提供。こういったことが必要になっているとまとめられてございます。
 次、4ページ、お願いいたします。このような、今申し上げたような人材育成を行うための教育研究体制についてまとめられております。キーワードは多様性ということでございまして、具体的には、下に黒い四角が4つありますけれども、そこで整理されてございます。1つ目の四角は、多様な教育研究分野が必要だと。具体的な施策としては、2つ目のポツがありますけれども、大学間の連携・統合の方策を構築。これは今後、1つの大学で多様な教育研究を行うことが困難になってくると、こういったことを見据えまして、大学間の連携・統合の方策を構築する必要があると言われておりまして、具体的な制度として検討されているものが2つございまして、1つは、1法人が複数の国立大学を設置できる制度の創設。これが検討されてございます。
 もう1つは資料2を御覧いただければと思いますけれども、資料2の3ページ目でございます。大学等連携推進法人(仮称)というものが構想されておりまして、これはこの資料のとおりなのですけれども、地域における国立大学法人、学校法人、公立大学法人の連携を強化するため、これらを一般社団法人の社員としまして、一般社団法人を設立すると。それを文科大臣が認定すると、そういった制度が検討されているものでございます。この社団法人におきまして、それぞれの機能の分担ですとか、連携を推進するための方針を定めて、この当該方針に沿って、事業を推進していくことを想定していると、こういった制度が今、将来構想部会で議論されていると伺っております。
 資料、お戻りいただきまして、先ほどの4ページのところですけれども、2つ目の四角、多様な教員を登用することが必要だと。3つ目、多様な学生を教育する体制が必要である。4つ目、多様性を受け止めるガバナンスが必要であるということで、具体的には1つ目のポツ、他大学、産業界、地方公共団体との恒常的な連携体制の構築が必要であると。大学の経営力強化の観点から、学外理事等の積極的な登用が必要であるといったことがまとめられてございます。
 大学改革の流れにつきましては以上でございまして、次は、大学共同利用機関の概要等について御説明したいと思います。資料3を御用意いただければと思います。
 本日は初回ですので、御案内の方も多いかと思いますけれども、改めまして大学共同利用機関の概要ですとか最新データについて、この資料3を用いて御説明したいと思っております。
 2ページ目というか、右下に2と書いてあるところですけれども、大学共同利用機関法人についてということでございまして、まず大学共同利用機関、これは国立大学法人法に根拠を持つものでございまして、上の右のところに書いてございますけれども、この2条の4項で定義がなされてございます。「大学共同利用機関」とは、大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所であるということでございます。
 さらに、「大学共同利用機関法人」とはということで、その上の第2条第3項というところがございますけれども、これは大学共同利用機関を設置することを目的として、設立される法人を言うと。こういった形で定義されてございまして、現在、4つの大学共同利用機関法人がございます。これは右下のとおりでございまして、人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構、この4つがございます。
 次、おめくりいただきまして、3ページ目、お願いいたします。この大学共同利用機関、大学共同利用機関法人が具体的に何をしているかにつきましては、右の具体的取組内容のところですけれども、大規模な施設・設備や大量のデータ等の貴重な研究資源を全国の研究者に提供している。研究課題を公募し、全国の研究者の英知を結集した共同研究を実施。全国の大学に対する技術移転。狭い専門分野に陥りがちな研究者に交流の場を提供。国際学術協定等により世界への窓口として機能。優れた研究環境を提供し、大学院教育に貢献。総研大の専攻を設置と、こういった取組がなされているところでございます。
 次、4ページ目、大学共同利用機関の構成でございます。大学共同利用機関の構成はこの資料のとおりなのですけれども、平成16年の国立大学の法人化に伴いまして、それまでそれぞれ単独で設置されていました大学共同利用機関については、16年以降は、大学共同利用機関法人が設置することとされたところでございます。現在、御覧のとおり、4つの大学共同利用機関法人が合計17の大学共同利用機関を設置してございます。
 このうち人間文化研究機構の国立国語研究所につきましては、平成21年に独法改革の一環で、独立行政法人国語研究所から大学共同利用機関として移管がされたということでございます。
 次、5ページ、お願いいたします。先ほどの繰り返しになりますけれども、大学共同利用機関の定義は、国立大学法人法の2条の4項に書かれておりまして、大学の共同利用の研究所という形で定義されてございます。
 一方で、大学共同利用機関法人の名称と、そこが担当する研究分野につきましては、左の下の別表第2、国立大学法人法の別表第2で規定されてございまして、それぞれの研究分野、法人の名称と研究分野が規定されているところでございます。
 一方で、大学共同利用機関、これにつきましては、大学共同利用機関法人の研究分野に基づいて設置されておりまして、その名称と目的は、右のところですけれども、国立大学法人法の施行規則、省令で規定されているところでございます。別表第1というところで、17機関の名称と目的が整理されているところでございます。
 次、6ページでございます。大学共同利用機関が有する研究資源ということでございまして、御覧のとおりですけれども、様々な研究装置等を有しておりまして、研究者に対して提供がなされているということでございます。
 資料、かなり飛ばさせていただきまして、35ページ、お願いいたします。今、6ページで御覧いただきましたように、大学共同利用機関は個々の大学では整備が困難な大型施設等を有しておりまして、これらを用いて、大型の学術プロジェクトを実施しているところでございます。
 全部で御覧の10事業が大学共同利用機関におきまして推進されていると、そういった状況でございます。
 次、下の36ページ、お願いいたします。共同研究の実施状況でございます。平成28年度、最新のデータでは、一番右の下のところですけれども、共同研究、全部で4機構併せまして、4,780件実施されてございます。そのうち公募型が4,336ということになってございます。
 次、37ページ、お願いいたします。大学共同利用機関ですので、外部から研究者を受け入れているわけですけれども、その人数がどれほどいるかというデータでございます。平成28年度の実績は、左の下のところですけれども、2万2,703人、これが共同研究者として、大学共同利用機関を活用しているという状況でございます。
 その内訳ですけれども、国立大学の研究者がやはり多くて、半分程度を占めておられますけれども、御覧いただいて分かるように、公立、私立、そのほか民間の研究者も利用されていると。また、その外国の機関に属する研究者も多く活用をされております。特に国立大学につきましては、ほぼ全ての国立大学が活用しているといった状況でございます。
 次、39ページ、お願いいたします。大学共同利用機関法人に対する評価がどういった形で行われているかといった資料ですけれども、法人に対する評価は、国立大学法人の評価委員会におきまして、年度目標と中期目標期間の評価を、年度の評価と中期目標期間の評価を実施いただいているところでございます。
 御覧の資料は、第2期中期目標期間の評価結果ですけれども、ほとんどの項目が「良好」、「おおむね良好」、一部は「非常に優れている」という形で評価されているところでございます。
 次、41ページ、お願いいたします。大学共同利用機関法人の成果の論文数でございます。平成28年度、これを御覧いただきますと、これは共同利用・共同研究による論文数ですけれども、4機構併せまして2,747となってございます。平成26年度までは、共同利用・共同研究による論文以外の論文も含めてデータを出しておりますので、少し大きくなっておりますけれども、共同利用・共同研究による成果の論文数としては、28年度、2,747となってございます。
 次、43ページ、お願いいたします。論文の数を御覧いただきましたけれども、論文の質の部分でございます。トップ10%論文がどれだけの割合あるのかというものでございます。一番左、自然科学研究機構、最新のデータのQ値というところで、09-13と書いてございますけれども、この期間のトップ10%論文の割合は、自然機構が11.6%、高エネ機構が16.6%、情報・システム研究機構が10.1%となってございます。
 次に46ページ、お願いいたします。こちらは大学共同利用機関法人(4法人)に対しまして、運営費交付金がどれだけ付いているのか。その予算額の推移でございます。法人化直後の平成16年度、これは字が小さくて恐縮ですけれども、904億円が4法人合計に対して出されているということでございまして、最新の平成30年度では764億円まで減少しているということでございます。
 ただし、平成27年度のところを御覧いただきますと、一番右側に青い部分がございますけれども、これはある意味、運営費交付金の代わりに、大規模学術プロジェクトに使える補助金が交付といいますか、措置されておりまして、それを含めますと、平成30年度で見ると870億円と。904億円から870億円という形になってございまして、いずれにしろ、減少しているということでございます。
 次、48ページ、お願いいたします。48ページ、大学共同利用機関法人と国立研究開発法人との制度的な比較をしている部分でございます。
 まず根拠法令。大学共同利用機関法人につきましては、国立大学法人法。先ほど御覧いただきましたように、各法人の名称と研究分野は、この法律の別表に規定されていると。あと、法人が設置する大学共同利用機関の名称及び目的は省令に規定されていると。
 一方で、国立研究開発法人は、根拠は独立行政法人通則法。各国立研究開発法人は個別法に規定されているということでございます。
 長の任命に関しては、大きく違いがございまして、大学共同利用機関法人のトップは機構長でございますが、この機構長は、「機構長選考会議」の選考申出に基づきまして、文部科学大臣が任命すると。
 一方で、研発法人につきましては、主務大臣が法人の長を任命するという形になってございます。
 中(長)期目標、これにつきましては、大学共同利用機関法人は、やはりボトムアップの機関であるということに配慮いたしまして、中期目標は、文部科学大臣が、あらかじめ各法人の意見を聞き、その意見に配慮して定め、法人に示すとなってございます。中期目標期間は6年。
 一方で、国立研究開発法人につきましては、中長期目標は、主務大臣が定め、法人に指示すると。中(長)期目標期間は5~7年となってございます。
 一つ飛ばしまして、運営組織でございます。これは基本的な運営組織、大学共同利用機関法人の場合は法律で規定されてございまして、役員会。また、その経営に関する重要事項を審議する経営協議会。教育研究に関する重要事項を審議する教育研究評議会が法律で設置されてございます。
 一方で、国立研究開発法人につきましては、法人の組織・運営・管理は、原則として各法人の裁量という形になってございます。
 基礎データは以上ですけれども、次は資料4を御覧いただければと思います。資料4は、今後の議論の参考となりますように、論点として考えるものを事務局として整理したものでございます。大学共同利用機関を取り巻く課題について(案)という資料でございます。
 まず大学共同利用機関の改革を検討するに当たり、踏まえるべき背景として、1のポツ、背景というところでまとめてございます。
 1点目は、我が国の社会経済的な環境変化ということで、書いてある内容は、先ほど大学改革の流れを御説明する中で触れた部分とほぼ同じでございます。
 2点目、我が国の基礎科学力を巡る状況。1つ目は、研究費・研究時間の劣化による研究の挑戦性・継続性を巡る危機。2つ目は、若手研究者の雇用や研究環境の劣化による次代を担う研究者を巡る危機。3点目は、研究拠点群の劣化による知の集積を巡る危機。こういったことを受けまして、我が国の基礎研究力の国際的なプレゼンスが低下しているといった状況がございます。
 3点目は、大学改革を巡る状況ということで、先ほど御説明したとおりでございます。
 次に、検討の基本的な方向性ということで、2ポツでまとめてございます。
 まず1つ目の丸ですけれども、大学共同利用機関は、大学の共同利用の研究所として、大学では実現困難な高度な人的・物的資源を大学等の利用に供することにより、大学の枠を超えた国際的な共同研究を推進し、新分野の創成を図るとともに、これらを担う若手研究者の育成に貢献する。
 2つ目の丸。こうした大学共同利用機関の特長を最大化し、大学改革の動きと連携しつつ、我が国の基礎科学力の復権を牽引するとともに、イノベーション創出や地方創生など今日の社会経済的な課題に貢献することが課題ではないかと。
 3つ目の丸。現在の4つの大学共同利用機関法人の枠にとらわれず、幅広い観点から、大学共同利用機関の設置状況が最適なものとなっているか検証し、時代の要請に沿った構造とすることを検討することが必要ではないかということでまとめてございます。
 こういった基本的な方向性を踏まえまして、次の2ページですけれども、検討の課題の例を8つ整理してございます。1つ目は、機構法人のガバナンスの強化ということでまとめております。また、法人化後、先ほど御覧いただきましたように、運営費交付金が削減されておりまして、こうした厳しい財政状況の下で、各法人はこれまでよりも効率的・効果的な法人運営が求められております。そのため各機構法人のガバナンス、これが重要と考えられますけれども、大学共同利用機関法人の成り立ちの経緯から、大学共同利用機関法人の本部が果たすべき役割が不明確となっているのではないかと。そのため効果的・効率的な運営体制になっていない可能性があるのではないかと、そういった問題意識でございます。
 このガバナンスの部分に関しまして、ちょっと関連の情報を御説明したいと思いますが、先ほどの資料3を御覧いただければと思います。49ページ、お願いいたします。先ほども御説明しましたけれども、機構長の選考は、機構長選考会議が行っております。そのメンバーを記したものでございまして、このメンバーの構成は、経営協議会のうち、外部委員と、教育研究評議会の評議員、これが同数で構成されているところでございます。
 具体的な機構長の選考のやり方ですけれども、その下の50ページ、御覧いただければと思います。これは人間文化研究機構の例ですけれども、機構長選考会議が行っているということで、その機構長選考会議が機構長に求められる人材像というものを策定するということがまず求められております。これに基づきまして、人文機構では、一次適任者の推薦を求め、その中から投票で二次適任者3名を選考、そこから1名を投票で機構長候補者として選考し、その後、文部科学大臣に申出をすると。文部科学大臣は基本的にはそれに基づいて任命をすると、そういった流れになってございます。
 次、おめくりいただきまして、51ページ、お願いいたします。これは各大学共同研究機関法人の役員を示した資料でございます。まず理事の数ですけれども、これは法人ごとに決められております。監事は2名と法定されているところでございます。ちなみに、理事、監事につきまして、1人以上、外部の者を任命するということも法律で決められておるところでございます。
 次、54ページ、お願いいたします。これは各大学共同研究機関法人の経営協議会の委員を示した資料でございます。経営協議会は経営に関する重要事項を審議するものですけれども、法律により設置されてございます。これは機構内の委員と外部委員で構成されておりますけれども、法律上、外部委員が過半数を占めることというふうにされてございます。
 次、55ページ、お願いします。機構本部の組織がどういった形になっているのかということで、情報・システム研究機構の例を一つ挙げさせていただきました。大体御覧のような組織になってございまして、特に機構長のリーダーシップを強化する観点から、情報・システム研究機構さんの場合は、一番右端のところに戦略企画本部というものがございますけれども、これを第3期から作られておりまして、その機構の本部機能と傘下の4研究所の連携を強化する。こういった取組を戦略企画本部でなされておりまして、機構長を支えて、機構本部の機能を強化しているということでございます。
 また資料4に戻っていただきまして、2つ目の論点でございます。人的資源の改善という部分でございます。課題の所在といたしましては、丸のとおりですけれども、若手研究者の育成や大学等との連携に必要な機構法人や、大学共同利用機関の枠組みを超えた研究者の流動性が低い可能性があるのではないかということでございます。
 これに関連したデータを御説明したいと思いますが、また資料を行ったり来たりして恐縮ですけれども、資料3の58ページを御覧いただければと思います。
 資料3ですけれども、これは4機構法人の常勤の研究教育職員、要は、研究者の人数等を整理したものでございます。平成29年度の数字。小さくて恐縮ですけれども、右下のところでございますが、1,534人となってございます。そのうち女性は11.3%を占めるという形になってございます。
 次におめくりいただきまして、59ページ、お願いいたします。これは研究者の流動の状況を示したものでございます。流動の状況につきましては、平成28年度は、転入と新規採用、入ってきた人の数が、左側の中ほどに150人が転入・新規採用がなされているということでございます。
 一方で、転出は、右のところ、中ほどですけれども、55人となってございます。転入元の65%、転出先の82%が大学となってございます。
 次、60ページ、下のところですけれども、任期制の導入の状況でございます。これは先ほど御覧いただいた常勤の研究者のうち、任期制がどれだけ導入されているかといった資料ですけれども、平成29年度は、一番右の下のところですけれども、29.9%、およそ3割の研究者が任期付きとなってございます。
 次は62ページ、お願いいたします。クロス・アポイントメントの実施状況でございます。4機構とも中期計画のクロス・アポイントメント制度を推進するということがうたわれてございまして、4機構で合計25人にクロス・アポイントメント制度が適用されているということでございます。
 次、おめくりいただきまして、63ページ、これはポストドクターの受入状況でございます。4機構法人で合計で600名程度のポスドクを受け入れているといった状況でございます。
 次、また行ったり来たりで恐縮ですけれども、資料4にお戻りいただきまして、3点目の論点でございます。物的資源の改善ということで、課題の所在といたしましては、厳しい財政状況の下、研究施設・設備の中長期的なマネジメントが困難になっているのではないかということでございます。
 これに関連したデータとしまして、また資料3を御覧いただければと思いますが、64ページでございます。これは老朽化した研究設備の例ですけれども、すばる望遠鏡を例にしましたが、すばる望遠鏡は、建設から約20年が経過しておりまして、経年変化による故障や不具合が発生していると。今後、改修を計画的に実施していくことが必要であるということでございます。
 次、66ページ、御覧いただければと思います。66ページの左のところですけれども、研究施設・設備の中長期的なマネジメントというところで、今、各機構法人では、中長期的な視野の下で、計画的・継続的に設備の整備に取り組むために、設備マスタープランというものを策定いただいているところでございます。これに基づいて、設備の概算要求を受け付けているといった状況でございます。
 次、おめくりいただきまして、67ページ、こういった厳しい状況ですので、法人や大学共同利用機関の枠組みを超えた施設整備のマネジメント体制の構築が必要であるというふうに考えますけれども、既に自然科学研究機構の分子科学研究所ではそういったことに取り組まれておりまして、分子研では、資料のとおりですけれども、72の国立大学と連携しまして、それぞれが持つ設備を相互利用できるような、そういったシステムを構築されてございます。
 論点の3につきましては以上でございまして、また資料4にお戻りいただきまして、4点目の論点、機関の構成の在り方の部分でございます。課題の所在といたしましては、現状の大学共同利用機関の構成が基礎科学力を取り巻く環境変化や大学等のニーズに対応したものとなっていない可能性があるのではないかということでございます。
 資料3の69ページ、御覧いただければと思いますけれども、大学共同利用機関の設立の経緯でございます。大学共同利用機関は、昭和46年に高エネルギー物理学研究所が、日本学術会議の勧告等を踏まえ、設置されたのが最初でございます。その後、この日本学術会議の勧告などを踏まえて、徐々に設立されまして、現在、17機関というのは先ほど申し上げたとおりでございます。
 設立の経緯といたしましては、今の物理学研究所のように、これは新たに設置されたものもございますし、そのほか国立極地研究所ですとか国立遺伝学研究所のように、もともと文部省の所轄研究所だったものが転じたものもございますし、中ほどの核融合科学研究所のように、大学の研究所が転じたものもあります。
 また、先ほど御紹介したように、国立国語研究所のように、独立行政法人から転じたものもございます。いろいろな出自があるわけですけれども、先ほども申し上げましたけれども、この大学共同利用機関については、平成16年の法人化によりまして、機構法人が設置することになっておりまして、4機構法人17大学共同利用機関が今のラインナップになっているということでございます。
 ただ、平成21年に独法の国語研が大学共同利用機関に移ってからは、新設ですとか、再編が行われていないといった状況でございます。
 一方、新しい動きも出てきておりまして、71ページ、御覧いただければと思います。大学共同利用機関というのは、省令で、名称と目的が規定されてございますけれども、この省令上の、大学共同利用機関ではない研究施設が今、新設をされつつございます。
 1つ目が自然科学研究機構のアストロバイオロジーセンターでございまして、これは平成27年度に設置されているところでございます。
 もう1つ、情報・システム研究機構では、データサイエンス共同利用基盤施設というものが平成28年度に設置されております。こういった新しい動きはございますけれども、大学共同利用機関そのものについては、その顔ぶれに変化がないといった状況でございます。
 また資料4にお戻りいただいて、次の論点でございます。5点目の論点です。人材育成機能の強化の部分でございます。まず課題の所在の部分を先に読み上げますけれども、大学共同利用機関法人と法人格が異なる総合研究大学院大学等との連携協力が不十分となっている可能性があるのではないかということでございます。
 これに関連しまして、資料3の73ページを御覧いただければと思います。既に御案内のことかと思いますけれども、総合研究大学院大学という学部を持たない大学院大学がございます。この総研大は、国立大学法人法におきまして、大学共同利用機関法人と連携・協力して、教育研究を行うこととされております。このため、大学共同利用機関は、この総研大の各専攻の基盤機関として位置付けられまして、大学共同利用機関の研究者が総研大の教員として大学院教育を行っております。ここではその最前線の研究者と最先端の設備の下で指導を受けることができるとなってございます。
 右に組織図、書いておりますけれども、例えば人文機構のところで、日本文学研究専攻では、国文学研究資料館が基盤機関となってございまして、そこの研究者が指導に当たっておられるといった関係になってございます。
 それでは、何人ぐらいの方がおられるのかということで、74ページのところですけれども、総研大の学生を大学共同利用機関は439名受け入れておられるということでございます。
 次、おめくりいただきまして、75ページ、お願いいたします。実は大学共同利用機関法人は、この総研大以外にも大学院教育に貢献しておりまして、特別共同利用研究員制度というものですとか、また、その連携大学院制度、こういったことを通じまして、総研大以外の大学とも連携しているところでございます。受け入れている人数は、平成28年度、これは合計しますと286人ということになってございます。
 ですので、論点としては、大学共同利用機関が総研大以外と教育をしていく中で、総研大をどう捉えるかということもあると思いますし、やはりその総研大と大学共同利用機関が別法人ですので、教育力を向上させるためにはこれまで以上に連携を深めていく必要があるのではないかということでございます。
 次、また資料4の(3)関係する他機関との連携のところでございます。マル1、大学の共同利用・共同研究拠点との連携のところでございます。課題の所在といたしましては、一大学を超える共同利用・共同研究体制における機能強化が必要ということでございまして、また、資料3を御覧いただければと思いますが、78ページ、大学共同利用機関とともに共同利用・共同研究体制を担うものとして、大学の共同利用・共同研究拠点というものがございます。これらにつきましては、今、公私立併せまして、54大学に107拠点、これが文部科学大臣の認定を受けているといった状況でございます。
 資料の83ページ、この大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点の連携は、研究を効率的・効果的に進める上で重要であるというふうに考えてございまして、その先行の事例といたしまして、この双方向型共同研究というものがございます。これは核融合研が関係する大学の附置研等と連携しながら研究を進めるものでございます。こういった取組が平成16年度からなされてございます。
 更に人文系でもそういった取組は広がっておりまして、85ページを御覧いただければと思います。人文系共同利用・共同研究拠点等研究力強化ネットワーク(仮称)の構築という部分ですけれども、これは人文機構が人文系の共・共拠点とネットワークを構築するための取組でございまして、将来的にはこのネットワークとして、国際的な大型のプロジェクトを実施する予定であるというふうに聞いてございます。こういった取組がなされているということでございます。
 また、資料4のところの論点に戻りますけれども、(3)のマル2、地方創生やイノベーション創出という部分でございます。課題の所在といたしましては、1つ目の丸ですけれども、多様なステークホルダーとの連携による組織的・戦略的な取組の強化が必要ということでございます。
 資料3は88ページを御覧いただければと思います。こちらは産業界との連携の状況のデータでございますけれども、民間等との共同研究の受け入れ件数は増加傾向にありますけれども、受け入れ金額は減少傾向にあるということを示した資料でございます。
 次は89ページ、御覧いただければと思います。これは自然科学研究機構と高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構の論文のうちの産学連携論文、これの割合を示したものでございます。これは平成19年から23年と、平成21年から25年を比べておりますけれども、この割合も伸び悩んでいると、そういった状況でございます。
 では、90ページ、お願いいたします。一方で、産業界のニーズに応える取組の例として、高エネ機構では、放射光施設における代行測定・解析サービスをスタートさせてございます。これによりまして、企業の技術力向上やイノベーションの創出に寄与しようとしているということでございます。
 最後ですけれども、また資料4に戻っていただきまして、(4)機構法人の枠組みでございます。今申し上げたような論点、課題に対応するために、4機構法人の枠組みの在り方を検討する必要があるのではないかと。現在、4機構法人がありますけれども、今後の学術研究の発展のためにどのような枠組みとすることがふさわしいのか、考えていく必要があるのではないかということでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、まず御質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。御質問、よろしいでしょうか。またこれからの議論の中でも質問ということを含めていただいて結構だと思います。
 それでは、ただいまの説明にありました大学共同利用機関を取り巻く課題に関して、意見交換を行いたいと思います。
 この資料4で両括弧で示した4つのポイント、機関における研究の質向上、それから、人材育成機能の強化、3としまして、関係する他機関との連携、最後の4番として、機構法人の枠組みというふうに整理されていますので、まず1番目の機関における研究の質向上について、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
【観山専門委員】  機構法人のガバナンスの強化ということは非常に重要なことで、経営環境とか研究の進展に基づいて、機構長並びに機構がガバナンスを発揮して、よりよい組織、よりよい研究形態にするということは重要なのです。ここには書かれていませんが、前段に資金が非常に厳しいからガバナンスを強くしなければいけないというふうに言われると、違和感を感じるとの感想を持ちました。
 ガバナンスの強化というのは、一つの法人として成り立った以上は、もちろんいろいろな法人、4つの法人で歴史は大分違うわけなのですけれども、法人として成り立つ限りは、ガバナンスの強化というのは非常に重要な項目だと思いますが、目的や資金の圧縮に対する対応の仕方だけではないと思うので、やはりここに書かれている「研究の進展や経営環境の変化」に対してどのように各機構がしっかりと議論して、機構長のガバナンスを発揮するかということが非常に重要なことだと思います。
 感想に近いですが。
【稲永部会長】  ありがとうございます。この前段の部分というのは非常に大事だと思います。なぜ改革をしなければいけないのかということで、今おっしゃられたのは、その財政基盤が弱くなっていることだけでなく、やはり学術の国際的な動向、変化、それに対応する必要があると。そういう観点から見て、改革も必要であろうということですが、前段の部分について他に御意見ございますでしょうか。はい、どうぞ。勝委員。
【勝委員】  先ほどの説明は非常に分かりやすくて、今置かれている状況は分かったのですが、資料4の2枚目のところで、様々な検討課題があるというお話だったのですが、その中で(1)のマル4ですが、先ほどのガバナンスとも関わるのですが、テーマというか、機関の構成が今の学術的に必要とされていることに対応していない可能性があるということなのですけれども、先ほどの資料のスライドの55に機構本部の組織の例というのがあるのですが、例えばそういった大きな課題というのは、通常どういう機関というか、それぞれのところで話、議論されると思うのですけれども、例えばこれは教育研究評議会であるとかそういったところで、今現在、議論されているのか。その辺の状況を教えていただければと思うのですが。
【錦学術機関課学術研究調整官】  大学共同利用機関そのもの自体の再編にはつながっておらないわけですけれども、各大学共同利用機関はそれぞれおっしゃっていただいたように、評議会ですとか経営協議会も含めまして、いろいろと議論されていまして、その大学共同利用機関の内部組織につきましてはかなり見直しが随時行われておりますので、そういった意味での対応というのは非常に熱心にされているかというふうに思っております。
【勝委員】  それは各大学ではなくて、この大学共同利用機関というものであるとすると、それはやはり外部の方が入ったようなそういったところで議論されているものなのか。あるいは余りそうではなくて、やはり運営の方に傾いたような議論が多いのか、この辺ちょっと教えていただければと。
【錦学術機関課学術研究調整官】  研究者コミュニティの意見を反映する形になっておりまして、各大学共同利用機関には運営会議というものが設けられておりまして、そこには当然、機構内の職員も入っておりますけれども、研究者コミュニティの代表者も入っておりますし、教育研究評議会もこれは大学の場合は、その大学の職員だけが入っている組織なのですけれども、大学共同利用機関法人の場合は、研究者コミュニティの声を聞く必要があるということで、研究者コミュニティの代表の方もこの評議会に入って、重要なことについて話し合われていると、そういった状況でございます。
【勝委員】  それが課題になっているということは、それが反映されていないという認識がおありになるのか。その辺を少し教えていただきたいと思います。
【稲永部会長】  その点に関しては、きょう、委員の中に機構長さんが2人おられますので、まず高エネ研の山内機構長の方から御紹介いただければ。
【山内臨時委員】  大変申し訳ないのですけど、今、勝先生の御質問が聞き取れなかったのですが、申し訳ございません。もう一度お願いできますか。
【勝委員】  済みません。マイクが入ってなかったかもしれないのですけれども、この資料4の2枚目のところに、検討課題が、一覧があるのですけれども、この(1)のマル4のところですか。機関の構成の在り方ということで、環境変化、特に学術のテーマというものについて、そのニーズに対応していないという可能性があるということもあるかと思うのですけれども、そういったものがどういう形でそれぞれの法人で議論されているかというのが今、質問の趣旨でございます。
【山内臨時委員】  私ども高エネ機構に関してお答えしますと、私どもの研究分野というのは非常に一つの研究から答えが出るまでの期間が長くて、物によっては10年超えるようなものも多くございます。一旦、加速器という大きな施設を作りますと、それをいかに有効に利用して、そこで出せるものは全てそこでやってしまうということをやっておりますので、非常に息が長い研究をしております。
 そのために研究計画が陳腐化しているのではないのですかという御指摘もあることはあるのですが、実はこれに関しましては、各国が非常に競争して、非常に大きな加速器の研究施設というのは、いろんな施設を各国で持つということだと、もうできない時代になっておりますので、それぞれが役割分担といいましょうか、いたしまして、競争しつつ、協調しつつやるというスタイルが確立しておりますので、そういったことでもって、研究分野というのは陳腐化するという場合も、それはもちろん考えなければいけないのですけれども、現在のところはそういうことは起こっていないのではなかろうかというふうに思っています。
 だから、国際競争というのは、それを確保する大きなものを持っているだろうと、そういうふうに思っております。
【稲永部会長】  それでは、情報・システムの藤井機構長、お願いします。その後、井本副機構長も行けますか。よろしくお願いします。
【藤井臨時委員】  情報・システムの藤井でございます。今の御質問でございますけれども、機構の中の機関、研究所と機構本部、双方で努力をしているところなのですけれども、まず研究所の機関の方から申し上げますと、先ほどもありましたけど、運営会議の下に、共同利用委員会とか様々な委員会があります。そこでコミュニティベースのリクワイアメントをいただいて、研究所のリーダーシップとガバナンスでそういうものを取捨選択していくと。その運営委員会等は、少なくとも外部の方が多いというような組織でやっております。研究所を見ますと、名前も同じですので、変わってないように見えるかもしれませんけれども、各研究所で内部のセンター等の組み替えが非常に頻繁に行われておりまして、いわゆる社会とかコミュニティのニーズに応じるようにやってきております。それが全てリクワイアメントに応えているかどうかと、それは答えられないところでございますけれども、かなり動いているというふうに思っています。
 それから、機構本部の方では、今、委員長からお話ありましたけれども、教評等の経営協議会の方で中長期目標、それから、新たな試みについては、そこで議論をしていただいて、アクションアイテムを必ず作って、それに対して年内で必ず応えていくというような体制をとっております。
 ということで、そこも外部の方が、コミュニティの方がいらっしゃいますので、そういう形では筋が通っているのではないかなというふうに思っております。
【稲永部会長】  それでは、井本委員、お願いします。
【井本臨時委員】  自然科学研究機構です。自然科学研究機構の機関、天文台、核融合、それから、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所ですけれども、それぞれの研究所は、名前は変わっておりませんが、先ほど藤井機構長が言われたように、研究内容はもう本当にどんどん変わっていっていると思います。ですから、研究所に関連する部分では、研究領域が抜けているということはあまりないように思います。ただ、大学共同利用機関の数は限られていますし、新しい学問分野が出てきていますので、そこを全部カバーできているかというと、できていない部分があると。
 それで、自然科学研究機構では、新分野創成センターという、研究組織というよりは、フィージビリティスタディをする機関と言った方がいいかもしれませんが、そこで新しい研究分野としてどういう分野があるかという検討は行っております。それはある程度年限が来たら、その対象を変えて、検討していくということをやっております。
 ただ、これはあくまでもフィージビリティスタディ的なものであって、新しい研究組織を作るとなれば、やはり単なるつじつま合わせ的なものでは無理で、やはり投資が必要だというふうに思いました。
 以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございます。では、小長谷前人間文化研究機構小長谷元理事、お願いします。
【小長谷委員】  人間文化研究機構です。6機関ございます。6機関それぞれ研究者コミュニティが異なりますので、それぞれの研究者コミュニティの要望に応じてプログラムを推進していきますので、変えてはいけないオーソドックスな部分と、新しい時代の要請に応じた新しい部分と、それぞれの研究機関で対応するという形がまず一つのレベルです。その機関を超えて、更に新しい動きにどうやって対応するかということにつきましては、本文56番のスライドの左上にありますように、総合人間文化研究推進センターというのを作って、そこで自分たちだけでプログラムを作るのではなくて、外部の御意見を頂戴して、プログラムを作り、広領域とかネットワーク型で、自分たちの機関にない人、リソース、分野を加えて、広めの研究をやっていくということを心掛けております。
 フィージビリティスタディーズというよりも、6年間、1期分、そのままやっていくつもりではありますけれども、やはりうまくいかないところには厳しくしていく必要もあるので、PDCAサイクルを相当かっちりとして、ここで外の意見を踏まえながら進めていくという、そういう体制になっています。ですので、これは組織論ではなくて、プログラムレベルで対応するという形になっています。
【稲永部会長】  よろしいでしょうか。そういう体制で学問の見直し、変化に応じた体制の見直しなのですが、もう一つ大事なのは、大学共同利用機関には、それぞれの分野で世界トップレベルを走るという機能が求められていると思うのですね。そういう点から見たら、問題があるのか、ないのかということも議論の一つではないかと思うのですが、例えば高エネ研ではどうでしょうか。
【山内臨時委員】  世界トップレベルであるかどうかというのを指標として、何を持ってきたらいいのかというのは難しい問題だと思いますが、一つは外国から参加している研究者の数、どういった方々が研究所の研究に参加しているかというのが一つの指標になると思いますが、KEKの場合には、全部で恐らくは1,500人ぐらいの方々が参加しております。年間の来訪者数は外国人だけで2万人日ぐらいですね。2万人日というと、大体100人ぐらいの方が常に滞在しているぐらいの勘定になるかと思いますが、そういった数の方々が日々、日本人の研究者と切磋琢磨して研究しているというようなところが一つの指標になるかと思っております。
【稲永部会長】  ありがとうございます。情報・システムではどうでしょうか。
【藤井臨時委員】  今の御質問は恐らく内部の研究者の、いわゆる先導性、先駆性ということと、共同利用の国際性ということの御質問があったと思います。それで、内部ではおのおの非常に特徴ある分野をやっているということがあって、私たちの自負としては、先頭を走っていると考えております。
 これは一つの指標になるかどうか分かりませんけれども、例えば科研費のその分野の取得率というのを見てみますと、非常に高いということがありますので、そういう意味からすると、ある程度いい線をやっているのではないかなというふうには思っております。
 共同利用的には、やはり大型のデータベースとか、オープンサイエンスに貢献するという形で、様々なところと連携はとりつつありますので、これも進展中、発展中であるように思います。
 それからもう一つは、これは世界トップの施設として、例えばSINETのように、自分たちのためではなくて、全国のための施設、それから、情報セキュリティと、これもやはりトップの技術がないとできないことでございますので、そういうところでも貢献しているのではないかと思っております。今後やることはたくさんありますけれども、そういう状況だと思っております。
【稲永部会長】  自然科学の方はいかがでしょうか。
【井本臨時委員】  自然科学研究機構の場合、大型の施設、天文台、核融合というものがあり、これは本当にこういう施設がなければ研究ができない。すばる望遠鏡でもかなりトップレベルの研究が行われているというのは皆さん御承知のとおりだと思います。
 それから、いわばスモールサイエンス的な科学でも、岡崎の3つの研究所は、世界トップと言えるかどうかというのは若干何か、そこまでは言いませんけれども、比較的いい闘いをしていると思います。
 強調したいのは、やはりトップを目指しているとともに、関係研究者コミュニティへかなり貢献しているということだと思います。分子研にはUVSORという放射光の施設がありますし、我々生理研のところでは、いろいろなリソースの提供、それから、大型じゃなしに、中規模で科研費では買えないような装置の提供、基生研でも同じようなことだと思いますが、やはりそういうのはなかなか現在、大学の研究所ではできないようなレベルのサービスをやっているところです。
 以上です。
【稲永部会長】  では小長谷委員、短くお願いします。済みません。
【小長谷委員】  人文系で世界トップということを示すのはなかなか、ビブリオメトリックス方式では難しいわけですけれども、6機関のうちの4機関は日本研究に関係するもので、自前のコンテンツを持っておりますから、そういうものでは揺るぎなくトップということが言えると思います。でも、もちろん持ち物に依存しているわけではなくて、科研の採択率ですとかそういう点を見ていただいても、かなりその分野で優位を行っているということは言えると思います。それからあと、世界的なことを研究している国立民族学博物館ですとか総合地球環境研究所でしたら、その分野の科研でトップクラスを行っていますので、やっぱりそれは日本の中で中心的な機能を果たしているということが言えると思います。
【稲永部会長】  どうもありがとうございました。ただ、最初の事務局の説明でもありましたように、交付金等の減少で、財政基盤が非常に弱まっている中で、4機構法人が今、非常に御努力されているのですが、このままやっていてもカバーしている全ての研究領域において、世界に誇るような成果を上げていくというのは難しいのではないかと思います。この辺に関して、永田委員の方から。
【永田臨時委員】  どのようにお聞きしたら一番いいかなと思ったのですけど、今、17機関がありますよね。1法人に17機関、入ってはだめなのですかという極端な聞き方をさせていただきます。例えば日本大学共同利用機関機構として、その中に17機関入ったらいけないのでしょうか。それは都合が悪いというのであれば、その都合の悪い理由を教えていただきたい。
【稲永部会長】  では、機構法人からお答えをお願いします。
【山内臨時委員】  では、高エネ機構に関して御説明いたします。私どもに関しましては、御説明の理由は大きく3つあると思っておりまして、一つは、国際的な研究計画の実施ということでありまして、私どもの場合は、大型研究計画は海外との研究機関との共同事業として進めているものでございまして、海外からも多くの財政的あるいは物的な貢献があります。このために海外の機関などとも直後交渉して……。失礼、海外の政府機関との直接交渉を経て、協定等を結んでいるケースも多くあります。
 これがなぜ可能かということになりますと、やはりKEKが高い評価をしていただいているということもあると思いますけれども、やはり自立的に意思決定できる法人として交渉しているからだろうというふうに思っております。これがまず第1点です。
 それから、3つあると申しましたけど、2つに絞ってお話ししたいと思いますが、もう一点は、今、私どもJAEA、日本原子力研究開発機構さんとJ-PARCという大型加速器施設を共同運営しておりまして、これはなかなか大変でございまして、JAEAとKEKというのは基本的に設立の目的が全く異なっておりまして、運営には様々な困難がありますが、これまで10年にわたりまして、協議を重ねまして、問題の解決をしてきたということがございます。ですが、更に解決する課題はかなりたくさん残っていると。
 なぜこういったような協議でやってこれたかと言いますと、やはり……。
【永田臨時委員】  山内先生のところは2つの機関で1法人です。私が申し上げたいのは、もうKEKそのものは1個の機関として、例えば振る舞ったらだめでしょうか。ここは2つの機関がある理由はあるのですか。
【山内臨時委員】  法人……。
【永田臨時委員】  機関が2つではなくて、高エネルギー加速器研究機構ではなくて、もう研究機構そのものが1個の法人としての機関というふうでもいいのですか。
【山内臨時委員】  やはり自立的に意思決定できる法人であるということが国際交渉あるいはJ-PARCの運営には欠かせないというふうに思っています。
【永田臨時委員】  実力があって、ちゃんと出しているので、高エネ研としてもちろんお認めしているわけですけど、運営上、2つの機関を置いておく必要があるかどうかという。
【山内臨時委員】  済みません。御質問の趣旨は……。
【永田臨時委員】  逆に、素粒子原子核部門と物質構造科学部門でもいいのかなと。
【山内臨時委員】  一つの研究所としてということですね。
【永田臨時委員】  ええ。KEKの2機関を一つの研究所にするということです。
【山内臨時委員】  研究所としてということですね。法人ではなくて。
【永田臨時委員】  法人格を持った一つの研究所という意味です。
【山内臨時委員】  それは今、申し上げましたように、自立的に意思決定できる法人であるからこそ、J-PARCあるいはJAEAとの交渉、あるいは外国政府機関との交渉ができていると。
【永田臨時委員】  済みません。僕がさっき質問したのは、17機関が全部一緒になればいいのではないというのはまだいいとして、その前に、KEKについては、もうKEK、立派な業績を持っているので、KEK一本で、その中にわざわざ研究所を2つ置いて機構とする必要がなさそうに思えるわけです。
【山内臨時委員】  今おっしゃられているのは、KEKは法人としていただきたいということを申し上げているのです。
【永田臨時委員】  ええ。そうです。
【山内臨時委員】  はい。
【永田臨時委員】  これが例えば法人として立つとすれば、ほかのところとは別だよというのはよく分かります。ほかはどうなるのでしょう。では、残り15機関は一緒ではだめなのでしょうか。一緒にいるからこそやれることがあるのだということ、あるいはこの一緒にいることにこういう意味があるのだということは何でしょうか。今、山内先生は、高エネ研の2つの研究所の価値をおっしゃっていたので理解できるのですけど、ほかのところは特にそういう傾向はあるのでしょうか。
 残りはどうでしょうか。ですから、変な聞き方をしましたけれども、逆に言えば、それぞれの機構が、この機構だからこそいいのだということを言っていただければ、それにこしたことはありません。1個ずつ研究所を運営していけばいいのだとおっしゃるなら、それはそれで考えなければいけない。
【小長谷委員】  人間文化研究機構の場合ですけれども、機構を超えた機関との共同研究というのもあるのですけれども、やはり一番重要なことは、普段は別々に動いているようなところが一緒になって研究推進をしていますので、より広めの、各機関だけだったら閉じこもって、しないようなことをより広げるという役割を機構の枠組みが果たしていますので、ソフトプログラムの推進という点で意味があると思います。それはお金の運営とかそういうことよりも、むしろ学術上のプログラム運営のソフト的な部分で活用があります。
【永田臨時委員】  個々の民博でも、国語研でもそれぞれ研究されていて、そのコミュニティの中で立派な役割を果たされていると僕は思います。
 それでは、露骨に言って、この中で、論文で、例えば共同研究で、どことどこの研究所の先生が一緒に論文を書いたとか、そういう実例がどのぐらいあるのですか。
【小長谷委員】  本の中で共著という形になります。人文系の場合は共著で論文を書くというマナーがどちらかというと少ないです。本の中で共著です。
【永田臨時委員】  ええ、結構です。そうだとすれば、この中で各機関を超えたプロジェクトというのはどのぐらいあるのですか。
【小長谷委員】  総合人間文化研究推進センターの所掌しているプログラムが十七、八あったと思います。それから、機関拠点型の6本引いた12本、これがこういう機関を超えて。
【永田臨時委員】  やっていらっしゃるということですね。
【小長谷委員】  かつ、それは機関の中だけではなくて、他大学の研究所とです。そういう形になります。せっかくそういうものを動かしている、これはソフトな組織ですけど、そういうものはあった方がいいと思います。
【永田臨時委員】  それでも1法人に15機関あるいは17機関入っていてもできますよね。
【小長谷委員】  それはできます。
【永田臨時委員】  そうですか。
【小長谷委員】  はい。
【永田臨時委員】  だからこそ、まとまっている価値は何かというのを聞いています。
【小長谷委員】  まとまっている価値はそういうものを動かすというだけですので、それが最終的にどうしても取り払われることになるなら、それは仕方ないかもしれません。
【観山専門委員】  よろしいですか。
【稲永部会長】  はい、どうぞ。観山委員。
【観山専門委員】  全ての機構に共通することではないかもしれませんけれども、まずこの17あるというのは、基本的にボトムアップの仕組みなのですね。つまり、例えば自然科学研究機構で言うと、天文学のコミュニティ、それから、核融合のコミュニティ、それから、分子科学のコミュニティがあって、それから、いろんな組織、ニーズを汲み上げて、共同利用機関としてファンクションするということがあるので、その機関がそういうふうに分かれているということですよね。例えばそれぞれのコミュニティとの、違うコミュニティとの融合が結構あるかというのは、いろいろ仕組みを作って、例えばアストロバイオロジーとか上質の新たなシステムとか作られていますけれども、残念ながら、現状では活発なコミュニティの融合はまだまだできていない状況なのです。そういう意味では、歴史的なところを踏んでいますけれども、コミュニティからボトムアップして大きな組織を作るとか、大規模なネットワークを作るというのはやっぱり研究所単位になっているということです。
 それから、もう一つ、4つに分かれた。これは経緯を知っていまが、1機構になったときに多分、人間文化なんか、先生言われたとおり、できないことはないと思いますが、何ていうかな。一つの機構に与えられた資金や人材などのリソースを、機構の中のガバナンスで決めるということになるわけですよね。それがいいことなのか、悪いことなのかというのはあると思うのですよ。
 例えば科学的な行政として、今の時点としては非常に世界的に、例えば高エネルギーは日本として頑張るべきだというときには、高エネルギー分野に例えば予算を付けるということがあり得るかと思いますが、1機構だったらできないということはないですけれども、やはり機構の中でのガバナンスで決めるわけですから、外部からの期待が、薄まってしまうという部分はある程度あると思います。日本の科学行政の中で適切かどうかということはあると思います。
 ただ、KEKとか人間文化は別として、そ例外の2法人では研究機関の枠組みがちょっと分かりにくい枠組みになってしまったというところもあって、常にそういう機構の、今、4つになって、その中に17がこういう分布をしているのかというのは、いいのかどうかというのは継続的に考えていく必要があると思います。1機構でもやれないことはないと思いますが、1機構になると各機関が水平化してしまい、何か非常に平坦化してしまうのではないかという危惧は、私はあると思います。
【稲永部会長】  では、フクシマ委員。
【フクシマ臨時委員】  今まで評価の中で、皆さんが本当に真摯に努力をされているのを拝見してきましたので、こういうことを申し上げるのは忸怩たる思いがあるのですが、実は、先ほど永田委員が御提案になられたこと、私も御提案しようかなと思いつつ、逡巡をしておりました。
 ビジネスの世界では、連携は何が目的かというと、“ミニマムコスト、マキシマムリザルト(最低のコストで、最大の結果を出す)”なのですね。要するに、連携することによって、できるだけコストを掛けずに、最大の結果を出すために、全部自前でやらずに連携をして、使えるところはお互いに使って、お互い伸びましょうというのが連携の目的です。その意味で、もちろん研究で、ミニマムコストという中には十分な投資が当然入るわけで、何でもかんでもカットすればいいというわけではなく、例えば研究関連では投資の優先順位が課題になると思います。共同施設の本来の目的もそこにあり、例えば自然科学や情報システム等は、共同に活用され、ミニマムコストで、マキシマムリザルトを出そうと努力をされている領域だと思います。こうした連携施設を一体化して管理する手法としては、企業でしたらホールディングカンパニーといって、一番上にガバナンスを管轄する組織を置いて、そこはできるスリムの組織にして、それでその管理下に全ての組織をポートフォリオとして見るという組織を作っている企業が多いと思います。
 ある意味、それぞれのニーズに従って、皆さんが研究等々の横の連携を、優先順位を付けてやっていくということを独自にお互いになさるよりは、そういう管理組織があった方が逆に優先順位付けであったり、いわゆる資源の分配であったりというところもやりやすくなるということもあるかなと思いまして、永田委員のさきほどの御意見と同じことを申し上げようかなと思いつつも、各機構の皆さんが一生懸命それぞれに努力されているのを散々拝見してきていますので、提案するかを逡巡をしておりました。
 以上です。
【稲永部会長】  今の点は非常に大事なポイントだと思います。冒頭に申し上げたように財政基盤も非常に厳しくなってきて、国際競争力もある研究分野では落ちてきている中でどうやっていくのか。今のフクシマ委員が言われたように、コストをできるだけ削減して、アウトプットを、成果を多くするためには、永田委員が言われているような、一つの機構法人に統合するということも選択肢上にあるのではないかと思います。そういうことでよろしいですね。
【永田臨時委員】  ええ。考えるよすがになればいいわけであって、今、フクシマ委員がほとんど、本当の真意を言っていただいたわけですけれど、違う言い方をすれば、リソースが、例えば5つの研究所があって、それぞれに100ずつで500あったとします。500があったら何か生み出すことはできますけど、それぞれの100の中から何かを新しく生み出してこようと思うと大変難しいと思います。500の中からならば工夫はできるだろう、ということはあるのではないか。そのコストの掛け方は、スケールが小さくても基本的なコストが掛かってしまう。その中でも必要な新しい分野が生まれたり、どこかを強くしたいなというときに、ヒト・モノ・カネというリソースを一つのところで生み出そうと思うと難しくても、今さっき言ったように、100の中から10生み出すのは大変でも、500の中から10生み出すのは多分違うだろうと思うわけです。
 そういう意味で、そういう協力ができる体制が今現在の機構というものの中にあれば、それはその機構の自助努力がどんどん実っていくであろうと思うので、極端な話、全部でやってみてもできることはあるのかなと思ったので、さきほどのことを言っているのです。必ずしも全部一緒になればいいと言っているわけではありません。つまり、スケールメリットというのはあるのだよということもやはり気付かないといけないかなと思っています。
【稲永部会長】  藤井委員、どうぞ。
【藤井臨時委員】  先ほどおっしゃったことで、ミニマムコストということは非常に重要だと思っておりまして、ですから、いろいろ改革していくときに、コストがどういうふうに掛かるかということを考えながらやるということが重要かというふうに思っています。私自身はスタイルに全くこだわっていないというのが私の主義なのですけれども、優先順位を付けると言ったときに、どういうようなオプティマイズしたサイズであると、優先順位が付けられるのかという議論がやはり必要で、例えば国立大学、全部一つにしてやったらきっと機能しないのではないかなと思うのですね。
 ですから、例えば今までの知恵ですと、マックス・プランクのように、例えば3つぐらいの大きな分野に分けるとか、学術会議もそうなっているわけですけれども、そういう中ですと、比較的目配りの効いたプライオリティ付けとか重点化ができるのではないかと思う。ですから、それを1個にしたときにということは、一番最初の17ばらばらに戻るという、ある意味、戻るわけですけれども、そういうときに本当にそういうことができるのかどうかということは、やはり慎重に考えながら進めないといけないのではないかなというふうに思っています。
 ですから、直観的には、一つにすると効率化できるところはたくさんあることは明らかだと思うのですが、ドローバックがどこにあるのかと。いい、悪いは別として、2004年、2005年ぐらいから、こういう国立法人になって、それで努力してきて、作り上げてきたものもあるというのが今の現在の姿ですので、変えることはもちろん、全く厭わないわけですけれども、よくその辺のところを考えてやる必要があるのではないかなという気がしております。
 ちょっと中途半端な発言ですが、以上です。
【稲永部会長】  全体についてもう一回ぐらい議論する機会がありますか。
【錦学術機関課学術研究調整官】  次回は6月7日も引き続きやろうと。
【稲永部会長】  ありますね。はい。それでは、今のことの深堀りは次回にするとして、あと大事なのは、機構法人と総合研究大学院大学との関係、これについて御意見をいただければと思います。
【佐藤臨時委員】  よろしいですか。
【稲永部会長】  はい。お願いします。
【佐藤臨時委員】  その問題ズバリという話ではなくて申し訳ありませんが、先ほどの御説明をいただいていて、どうも気になったことを申しあげます。資料4の2ページの(1)のマル2、それから、(2)ですか。これは相互に関わることでもあると思うのですが、資料3のスライドの63で触れてくださった、ポストドクターの受け入れ状況。その状況については、研究の非常に大事な部分を担う若手の研究者という意味でも、人材育成ということでも、ポスドクの重要性は今さら言うまでもないとして、その分析といえるのかどうか分かりませんが、この63のスライド1枚だけでお示しになっているのは如何なものかと思います。もっとその中身を、例えばですが、日本人と外国人の割合とか、学位の取得先とか、またグラフの黄色の「その他」の中身についても、もう少し詳しくお示しいただく必要があるのではないでしょうか。まさに今、若手の研究者をどのようにして受け入れるか、また育てるかということは、大学の方でも本当に悩んでいるところで、博士後期課程の学生がなかなか増えないというか、むしろ減少傾向にあるという問題がございます。ですから、この問題とも密接な関係にあり、ひいては日本の学術研究推進にとっての重要事項の一つであるポスドクの状況が、大学共同利用機関ではどうなっているのか把握しておく必要があると思います。したがって、今の議題の中心的な事案という訳ではないとは思うのですけど、ポスドクの状況も考慮する以上は、取り扱い方が貧弱と言ったら語弊があるかもしれませんが、もう少ししっかりと現状把握した上で議論する必要があるように思います。ですから、今、委員長おっしゃった総研大と共同利用機関との関係という問題も、ポスドクについての状況まで踏まえつつ取り扱う必要があるのではないかと思いました。
 議論の流れの中では、少なからず的外れかもしれませんけれども。
【稲永部会長】  ありがとうございました。大きく見ると、そういうことも大事なことだと思います。それから、4法人は総研大だけではなく、ほかの大学と連携して大学院教育にも当たっているということがありますので、この総合研究大学院というものが機構として、先ほどの永田委員と同じような立場に立つと、機構は本当に必要としているのか、必要としてないのか。極端な言い方ですけど、こういうことも考えなければいけないかとは思うのですが、いかがでしょうか。
 どうぞ、観山委員。
【観山専門委員】  総研大は随分時間が経過して、定着していると思うのですけれども、もともと、つまり、大学共同利用機関というのは、さっきも言いましたように、コミュニティに支えられた機関で成り立っているわけですね。コミュニティというのは基本的に大学の研究者がコミュニティとして大きく支えているわけです。大学はその分野の学生を育てる。学部、大学院を育てるということから言うと、もちろん特殊な装置があって、有効な教育の現場であるけれども、教育に関しては、大学に任せてほしいという潜在的な意識があるわけですね。だから、統計的な学生数の数だとかを見ていただければ分かるのですけれども、それぞれの研究科の募集人数というのは随分少ない状況になっています。例えば東京大学だったら、物理学で大学院生は200人ぐらい募集していると思いますが、そういうのに比べると、非常に小さな研究科になっています。
 それはそういうコミュニティからのいろんな、教育は大学に任せてほしい。それから、共同利用機関というのは大学院生も含めて、自分たちの学生がそこで一緒に研究して、実績を得て、学位を取る援助してほしいというところからすると、やはり初めから言うとなかなか、どう言ったらいいでしょう。中途半端な部分がどうしてもあったと思うのですね。
 それから、法人化して、別の法人でありながら、非常に強い連携を求めるような仕組みになっているので、いろいろ文科省でも検討していただいたのですけれども、どうしても教育する、簡単に言えば、総研大の先生になって教育するのだけれども、それを先生というのは、総研大の先生でありながら、各機関の先生なわけで、では、どちらの言うことを聞けばいいのかとか、別法人になってしまった結果、いろんな問題がどうしてもあって、やはりどうにかしなければいけないかなという問題は常に感じておりましたね。
【稲永部会長】  ありがとうございました。では、横山委員、どうぞ。
【横山臨時委員】  今のお話を伺いながら、総研大を応援する一つのアイデアとして、社会人の入学を検討されてはと思いました。最初に事務局から、大学の教育は2つあり、1つは従来どおり18歳、もう1つは社会人だという説明がございました。大学共同利用は、本来は一大学では持ちえない施設で基礎科学のトップクラスを目指すことが趣旨で、総研大はそこで若手の大学院生を教育することが主なミッションですが、大型施設には企業の担当者と長年一緒に開発をするようなテーマがいくつもあります。つまり企業の社会人と実質的には共同研究を進めているケースが多くあります。
経産省の近年のデータにも示されていますが今、研究者人口が圧倒的に足りてない分野が2つあり、1つは機械工学、もう1つはITです。これは大学共同利用の大型施設で、自然科学の研究の一部として企業が担当している装置、プログラム開発と非常に近い分野でもあります。機構本来の研究目的と、社会ニーズの高い機械やITが接する部分を拡充して、総研大を、共同研究をしている企業の方たちに対して、もっと開放してはどうかと思いました。
 以上です。
【森専門委員】  よろしいですか。
【稲永部会長】  はい、どうぞ。
【森専門委員】  私も総研大を応援したいと思います。私が大学院生の時代は、総研大ができる前の時期で、分子研で受託生として研究しておりました。大学院生の立場に立ってみますと、先端研究を行ってところで自らが研究に参画するということは非常に魅力的なことだという視点も考えていただきたいと思います。また、それぞれ機構の中で、中・大型装置をもつ特殊な分野があると思うのですけど、そこで次世代育成が行われないと、その装置を利用した研究分野の継承、発展ができないという点も考えていただきたいというのがコメントです。
 以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
【小長谷委員】  簡単に1つ。
【稲永部会長】  いや、ちょっとまだほかに議題がありますので。また機会がありますから。
【小長谷委員】  国際的なタスクを果たす場所になっているということだけを言っておきたいと思います。海外から来られる方を育てることを担っていますので、それは非常に重要な、いや、最も安い、それこそミニマムコストの平和構築の手段です。
【稲永部会長】  はい。もう一つ大事なのは、この間、大学共同利用機関法人を構成する17機関はずっと固定的であるという問題です。一方で、共同利用・共同研究体制というのが敷かれていて、全国に国立大学の方では77。それから、私学、公立大学を入れると、まだ多くの共同利用・共同研究拠点がある。その中には大学共同利用機関と、あるいはそれ以上の力を世界的にも国内的にも発揮して、共同利用・共同研究体制を支えているというところがございます。この辺のところと大学共同利用機関との関係をどうするかと。入れ替え制も含めて、これも大きな点だと思うのですが、この点に関して、ちょっと御意見をいただければと。ございませんか。小林委員は、もしあれば。
【小林臨時委員】  私は海外のそういういろいろな審査をここ数年やらさせていただいていますけれども、やはりかなり時代に合わせて、特にアジアはいろいろな改革が進んで、何か日本は、1回認定されるとそのまま続くというか、科研もそうですね。1回取ると、よほどのことがない限りは打ち切られないでいくと。どうも何かこう、改革が遅いという気持ちがすごくするのです。ですから、例えば共・共拠点についても同じことが言えますし、もう少し柔軟に入れ替えができるというようなことを考えた方がいいと思うのです。
 そういう意味では、永田委員がおっしゃった、例えば1法人17研究所というのも一つはあると思うのです。いきなりそこからスタートすると、少し乱暴であれば、例えば1法人17研究所だけど、そこに4クラスターがあると。例えば自然科学クラスター、人間文化クラスター、高エネクラスター、情報・システムクラスター。それで、機構長はクラスター長になるけども、何も変わらないのではなくて、クラスターであれば、複合クラスターもあれば、融合していくこともあれば、いろいろそこからはできると思うのです。今のままで行くと何も動かないのかなというふうな気がちょっとするのです。
【稲永部会長】  ありがとうございました。まだ御意見あるかと思うのですが、きょうのを踏まえて、次回にもう少し方向性を具体的に出せればと思います。
 それでは、次の議題がございまして、本部会の下に作業部会が3つございまして、その各作業部会における審議状況について報告をお願いしたいと思います。
 まずその一つとして、共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会がございます。この作業部会の主査は私が兼ねておりますので、私の方から簡単に御報告させていただきます。
 共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会では、国公私立大学の共同利用・共同研究拠点の認定審査。共同利用・共同研究拠点の中間評価の実施方法。国際共同利用・共同研究拠点の認定基準や募集要項について審議しました。
 国立大学及び国公私立大学の共同利用・共同研究拠点の認定については、平成29年12月から、平成30年3月に掛けて、書面・ヒアリング審査を実施し、国立大学は新たに2拠点、公私立大学も新たに2拠点の認定候補を決定しました。
 3番目ですが、中間評価については、国立大学法人については、第3期中期目標期間の3年目に当たる平成30年度、本年度ですが、実施年となります。今後、専門委員会において、書面・ヒアリング審査を行い、8月中に評価結果を決定する予定です。
 公私立大学につきましては、認定4年目に中間評価を実施していまして、本年は平成27年度に認定した3拠点が対象となります。これについても今後、専門委員会において書面・ヒアリング審査を行い、8月中に評価結果を決定する予定です。
 4番目ですが、国際共同利用・共同研究拠点の認定については、本年1月から3月に掛けて、認定基準や募集要項について議論を重ねてまいりました。その議論を反映した形で、省令・告示が改正され、現在、公募中です。今後、専門委員会及び作業部会にて書面・ヒアリング審査を行い、9月中に認定候補を決定する予定です。
 認定拠点の詳細や中間評価、国際共同利用・共同研究拠点の認定審査の今後の進め方の詳細につきましては、事務局より説明をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  それでは、資料5の3ページ目をお開きください。平成30年度に新たに認定された公私立大学の2拠点についてですが、こちらにございますように、横浜市立大学の先端医学研究センター、そして、早稲田大学の各務記念材料技術研究所を認定しております。これは昨年の10月30日に公募を開始しまして、8研究施設から申請がございまして、その中の2拠点を認定ということでございます。これにつきましては、本年4月1日、文部科学大臣による認定をしているところであります。
 拠点の詳細につきましては、4ページ目、5ページ目を参考資料で付けておりますので、御覧ください。
 続きまして、国立大学の共同利用・共同研究拠点の認定でございますが、6ページを御覧ください。こちらにつきましても昨年10月27日に公募を開始し、全部で20の研究施設から申請がございました。その中で、名古屋大学の低温プラズマ科学研究センター、そして、こちらはネットワーク型となりますが、筑波大学のアイソトープ環境動態研究センターが中核拠点となりまして、ここにございます研究施設とネットワークを組んだ形の認定ということで、決定する予定でございます。
 これにつきましては、まさに今、認定通知あるいは不認定になったところにつきましては、そこにもその理由を示した通知を送るところでございますが、準備をしているところでございまして、近日中に送る予定でございます。
 認定拠点の詳細につきましては、7ページから9ページまで参考資料を付けさせていただいております。
 続きまして、中間評価の進め方でございますが、こちらは10ページを御覧ください。稲永主査から進め方の大枠について御説明があったところでございますが、その流れをフローとして表しているものがこちらになります。現在、まさにきょうが締め切りでございましたが、中間評価調書の提出が完了したところでございます。
 今後、各専門委員会に対して書面審査を依頼するところでございます。書面審査を実施した結果を踏まえまして、ヒアリング評価対象拠点を決定し、7月から8月に掛けて、各専門委員会でヒアリング評価を実施するところでございます。その結果につきましては、8月下旬に作業部会を開催し、評価結果の取りまとめ、その後ウェブサイトでの公表という運びで進めてまいりたいと思っております。
 詳細の進め方につきましては、随時、作業部会主査と相談し、進めていきたいと考えております。
 続きまして、皆様に昨年、主に御議論いただきました国際共同利用・共同研究拠点制度でございますが、こちらにつきましても現在、公募中でございまして、今後、認定審査を進めてまいりたいと考えております。
 その進め方を11ページにまとめておりまして、御覧ください。
 国際共同利用・共同研究拠点の認定審査でございますが、全部で3段階による認定審査を進めていきたいと考えております。まず1段階目は、中間評価と同様の専門委員会の方々に書面審査をお願いし、専門的な観点から主に御確認をお願いしたいと思っております。その後、各専門委員会におきまして、書面審査結果を踏まえまして、その先に進む段階の拠点を決定しまして、その第2段階目としては、作業部会による書面審査を実施したいと考えております。
 その書面審査結果を踏まえまして、更にヒアリング実施拠点を決定しまして、最初に9月中~下旬頃、作業部会によるヒアリング審査を実施し、認定候補拠点の決定という運びで進めてまいりたいと考えております。
 12ページ目以降は、この国際共同利用・共同研究拠点制度につきましては、制度創設に当たりまして、現行の共同利用・共同研究拠点制度と同様、省令に位置付けた制度としてございます。具体的には学校教育法施行規則でございまして、その第143条の3でございます。改正後の方にございますように、この第3項に、「学術研究の発展に特に資するものであって国際的な研究活動の中核としての機能を備えたものは、国際共同利用・共同研究拠点として文部科学大臣の認定を受けることができる」というふうに位置付けております。
 なお、第4項についてですが、これは既存の共同利用・共同研究拠点制度とダブルで認定を受けることができないという趣旨でございます。
 13ページ目以降は、その国際共同利用・共同研究拠点の認定が新しく今後進むことになりましたので、その認定の基準等につきまして、告示に位置付けたものでございます。
 18ページ目以降に、新旧を反映した改正後の規程を付けてございます。
 ちょっと早足の説明となって恐縮でございますが、この国際共同利用・共同研究拠点の認定の基準につきましては、19ページの中ほどにございます、算用数字で2とあります国際共同利用・共同研究拠点の認定の基準は次のとおりとするというところでございます。こちらに全部で11個示してございます。既存の共同利用・共同研究拠点の認定基準をベースに作っているところでございますが、例えばこの研究環境基盤部会でも皆様に御議論いただきました。
 20ページにございます第11項にございますように、将来の国際的な研究ネットワークの核となる若手研究者の育成に積極的に取り組んでいることということで、若手の育成が大切だという皆様の御議論を踏まえて、このような認定基準を設けているところでございます。
 詳細の説明は以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。続いて、2番目の作業部会、国立大学法人運営費交付金等(学術研究関係)に関する作業部会ですが、きょう、主査がおられないため、代わって事務局から報告をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  国立大学法人運営費交付金等に関する作業部会でございますが、こちらは毎年、概算要求の前に定例的に開催しているものでございます。内容についてでございますが、今、皆様に御議論いただいているような、関連する作業部会での検討状況も踏まえまして、平成31年度の概算要求に当たりまして、どのようなプロジェクトを支援していくかという方向性を議論していくという状況にございます。こちらにつきましては、概算要求の前に開催をしたいと考えているところでございます。
 以上です。
【稲永部会長】  それでは、3番目の作業部会、学術の大型プロジェクトに関する作業部会について、主査の小林委員から報告をお願いします。
【小林臨時委員】  それでは、私から、この部会に置かれております学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会に関する議論の状況について報告をさせていただきます。
 皆様、資料5の2ページに記載されておりますとおり、現在、「ロードマップ」の策定の今後の進め方、そして、「大規模学術フロンティア促進事業」の進捗管理の徹底の2つを主な議題として取り上げて、議論を進めているところでございます。
 まず、「大規模学術フロンティア促進事業」の進捗管理の徹底の方から御説明いたしますと、ロードマップから選定した学術研究の大型プロジェクトを推進する予算枠組みとして、現在、10のプロジェクトがそれぞれの年次計画に基づいて推進されており、それらの進捗管理を本作業部会で担っております。
 現在、この年次計画に対する実施機関側の費用推計額が厳しい財政環境を必ずしも適切に反映できていないものがあることに鑑みまして、その変更を進め、本事業の進捗管理の徹底を図ることとしております。
 22ページを御覧いただければと思います。こちらの年次計画の変更及び進捗評価が具体的に年次計画の変更を進める上でのプロセス及びスケジュールを示しているものですが、本日は時間の都合上、後ほど御覧いただければ幸いと思います。
 それから、本作業部会のもう一つの問題でございますロードマップの策定の今後の進め方について、議論の状況を御報告したいと思います。学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想を示すロードマップについては、昨年の7月に最も新しいロードマップ2017を策定し、当時、本部会にも御報告したところであります。
 現在、次のロードマップ策定において、日本学術会議が策定するマスタープランの活用が想定されるところから、お互いの状況を把握するための合同会議開催に向けて、次のロードマップ策定の具体的な進め方を整理しているところでございます。
 24ページを御覧いただければと思います。こちらの資料に基づいて、現在の検討状況を御説明したいと思います。
 マスタープランとの関係では、マスタープランを参考資料として活用し、そのための日本学術会議との動向を十分に把握するために、先ほど申し上げた日本学術会議との合同会議の開催をこうした考えに基づいて行おうと考えております。
 それから、2番目の内容上の改善については、既に支援を受けて実施している計画、これを先行計画。それから、既にロードマップに掲載されているが、実施には至っていない計画、いわゆる未実現計画、そして、新たに提案された計画、これを新規提案計画、その3つの間の優先度について比較、あるいは検討を国の担当部局とも調整の上で、十分に行うこととしております。
 25ページの3、策定の時期のところを御覧いただきたいと思います。ここからは多少細かい議論を行っておりますので、特に大きな意見が出ている部分について御説明をさせていただき、その後の時間でこの本部会からの御意見もいただければと思っております。時計文字の1において、ロードマップは6年ごとに「策定」。今後はです。3年目に「改訂」というふうに議論をしております。従来は3年間ということでしたが、ロードマップに掲載されただけでは予算化されないで、その後、いわゆるフロンティアの事前評価を経てということですから、3年ではやや時間切れということも出てきますので、6年ごとに策定し、3年ごとに改訂と。
 策定の時期は、大学共同利用機関法人の中期目標期間の開始時期を見据えて、適切なものとしてはどうかというふうに検討しているところであります。この点については大きな意見は出てきてはおりません。
 それから、大規模学術フロンティア促進事業の支援期間ですが、現在は原則10年としております。これについては両論ございまして、一つは、原則として大学共同利用機関法人の中期目標期間、6年間と整合させてはどうかと。あるいはマスタープランが6年ごとに出てきて、3年ごとに改訂ですので、それと合わせてはどうかという考えと、いや、大型研究計画としては最長6年では長期的な展望を欠いてしまうと。従来の10年でいいのではないかと。今、2つの議論があるというところであります。
 6年といっても、後継で、例えば3年あるいは6年を出して、それが通れば、計9年あるいは12年ということにもなるわけでありますが、マスタープランが6年ごとに出てきて、3年ごとに改訂されて、10年というと、全く反映されないマスタープランというのが存在してしまうと。実はこれまでそういうことがなかったわけではないので、これについては今後とも議論していくということになります。
 時計文字の4 ページをおめくりいただいて、後期計画については、現在、大規模学術フロンティア促進事業によって実現している先行計画の、いわゆる単なる延長ではなくて、継続して発展的に行う、いわゆるグレードアップしたものというふうに定義して、その選定に当たってはやはりマスタープランを参考資料として活用してはどうかという議論を進めているところであります。これについては、大きな議論、意見は出てはおりません。
 その一方で、後継計画は、新規提案計画とは異なる、例えば所要経費の上限や計画期間の上限といった特有の要件を付加するかどうかという点については、後継計画に所要経費の上限を設ける場合、先行計画の予算規模を踏まえて検討してはどうかという意見であるとか、あるいは現在、所要経費の上限を設けていない新規提案計画にも新たに上限を設けるかどうか。いや、それはよくないというような議論を進めているところであります。
 先ほど申し上げたとおり、本作業部会としては検討を重ねていく予定ですが、特に大きな意見が出ている部分について、ただいま御説明させていただいた内容について、この本部会での御意見もいただければと思っております。
 以上、簡単ですが、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会における審議状況について、御報告をさせていただきました。
 以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。3つの作業部会の報告を行いましたが、これについて質問及び意見がございましたらどうぞ。はい、どうぞ。
【藤井臨時委員】  大型研究計画の最後の件でございますけれども、特に未実現計画というのが今あるわけですけれども、それに対して、時間をちゃんと付してやるという、そういう方向性は非常に望ましく、私、学術会議の担当の分科会に参加しているのですけれども、非常にいいというふうに思います。
 それから、後継計画のマスタープランを参考にするというのは非常に重要なところで、今後、是非この作業部会と学術会議で密に連絡をしながらやらせていただきたいと思っております。
【稲永部会長】  ありがとうございます。ほかに御意見、御質問。よろしいですか。
 それでは、ありがとうございました。きょうの議題は全て終わりましたので、事務局より、今後のスケジュールについて説明をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  資料6を御覧ください。今後のスケジュールでございますが、第94回の研究環境基盤部会を6月7日木曜日の10時から12時で開催したいと考えております。場所は15階の特別会議室となります。よろしくお願いいたします。
【稲永部会長】  それでは、本日の議事は終了したいと思います。事務局から何かありますでしょうか。
【早田学術機関課課長補佐】  本日の資料につきましては、机上にお残しいただければ、郵送させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【稲永部会長】  どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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