研究環境基盤部会(第90回) 議事録

1.日時

平成29年8月22日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 第1特別会議室

3.議題

  1. 今後の共同利用・共同研究体制の在り方について
  2. ロードマップ2017について(報告案件)
  3. その他

4.出席者

委員

稲永忍部会長、小長谷有紀委員、松本紘委員、井本敬二委員、小林良彰委員、佐藤直樹委員、永田恭介委員、藤井良一委員、山内正則委員、横山広美委員、相田美砂子委員、松岡彩子委員、観山正見委員、八木康史委員、龍有二委員

文部科学省

関研究振興局長、渡辺振興企画課長、西井学術機関課長、錦学術研究調整官、早田学術機関課課長補佐、高見沢学術機関課課長補佐、藤川学術機関課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【稲永部会長】  皆さん、おはようございます。ただいまより、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会第90回を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まずは、事務局に人事異動がありましたので、御紹介をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  7月11日付けで当課の寺門成真課長から西井知紀課長に異動がありましたので、紹介させていただきます。
【西井学術機関課長】  西井でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 引き続き事務局から委員の出欠、配付資料の確認をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  本日は、天羽委員、伊藤委員、瀧澤委員、加藤委員、森委員、そしてフクシマ委員が御欠席でございます。また、勝委員、松本委員につきましては、遅れて御出席の予定でございます。
 配付資料の確認をさせていただきます。資料は議事次第に記載のとおり、資料1から3及び参考資料1から3を配付しております。参考資料2につきましては、机上に配付させていただいております。もし不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。以上です。
【稲永部会長】  大丈夫でしょうか。
 前回の会議においては、東京大学物性研究所、琉球大学熱帯生物圏研究センター、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターから国際化の取組についてお話を伺いました。今回は、前回までの議論を踏まえ、共同利用・共同研究拠点の国際化に関して、論点の整理を行いたいと思います。
 事務局から説明をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  それでは説明をさせていただきます。まず冒頭に、文科省の取組としまして、今回、参考資料3で「科学技術・学術分野の国際展開について」というものを配付させていただいております。こちらを紹介させていただきたいと思います。
 お手元の参考資料3を御覧ください。こちらにつきましては、題名のとおり、科学技術・学術分野の国際的な展開につきまして、水落文部科学副大臣を座長として省内関係課で議論しまして、今年の7月に取りまとめられているものでございます。
 2ページを御覧ください。「はじめに」の3行目にございます「近年我が国の論文数の伸びは停滞し、国際的なシェア・順位は大幅に低下している状況にあり、また、国際共著の論文数や割合も小さく、日本の存在感の低下は顕著になっている」。それを踏まえて、下から3行目にございますとおり、我が国における科学技術・学術分野の研究力の強化を目的とした国際化の方策について検討を行っているものがこちらの文書でございます。今我々が議論しております国際化につきまして、かなり共有できる部分がありますので、中身について簡単に紹介させていただきます。
 3ページ目を御覧ください。3ページ目、1.にございます現状における課題の中ほどに、2003年から2013年の間の経年変化として、国際論文のシェアの割合が5.7%から3.3%に落ち、順位も低下しているという状況がございます。また、研究者の国際流動性につきましても、平成12年頃をピークに停滞しているという状況にございます。こういった課題の要因として、2.にまとまっております。こちらでは、「トップ10%論文から見る我が国の国際シェアの低下は、優れた国際共著論文数の伸び悩みが要因と考えられることがデータから明らかになった」とございます。
 4ページ目を御覧ください。4ページ目の一番上の行でございます。こういった国際化の議論をするに当たっての話でございますが、「分野によって状況が異なる面もあることに留意し、また、研究の国際化について、国際共著論文を増やすことが目的化しないよう留意する必要がある」となっております。
 3.対応の基本的考え方でございます。ここで3行目にございます。前回物性研からの発表にもございましたが、「国際化は手段であり、それ自体を目的としてはならないことに留意する必要がある」ということはこちらでも言われております。また、4行目から6行目にかけまして、「大学等の研究機関や個々の研究者の意識が変わるのを待っていては、欧米先進国の国際化のスピードに追い付くことはできない」という問題も指摘されております。したがって、国としては、国際化のための政策を強化し、卓越した研究成果の創出を図る。その結果として、トップ10%論文の国際シェアの向上につなげていくということが言われております。
 国際化の方策につきましては3点挙げられております。1点目が、研究自体の国際化で、世界トップレベルの研究拠点の形成等が手段として挙がっております。2点目につきましては、研究に関係するファンディング機関や大学の教育研究環境の国際化でございます。これは、ファンディング機関の制度・運用の改善が方策として挙がっております。
 5ページを御覧ください。3点目は、中ほどにございます若手研究者の国際化でございます。これについては、なるべく早い段階から、研究提案の責任者として国際共同研究の企画など、そのような経験を得られる方策が必要ということが言われております。
 このように、文科省全体としても国際展開の方策について議論しておりまして、今、本部会において議論していただいております共・共拠点の国際化の議論もこれにつながるものではないでしょうか。
 資料1を御覧ください。資料1、そして資料2につきましては、事前に皆様に配付させていただいております。資料1につきましては、これまでの議論の経緯、そして文科省の方で7つの論点に絞りまして、それに関連する皆様のこれまでの御意見を整理しております。そして、資料2が、それを踏まえた論点整理の方向性として文科省の方で作成しているものでございます。資料1と2の紹介をさせていただきます。
 資料1の2ページ目を御覧ください。これまでの経緯でございますが、皆様御存じのように、第8期の研究環境基盤部会において、今後の共同利用・共同研究体制の在り方について議論しまして、4つの視点で「意見の整理」をまとめました。その中の一つとして研究の国際化の推進が挙げられておりまして、当該分野における我が国のCOEたる共同利用・共同研究拠点が、更なる研究力の強化に向け、国際的な研究環境を整備するための取組に対し、重点的に支援することについて、今年度中に検討し、結論を得るということが記載されております。前々回の基盤部会で永田委員より、国際共同利用・共同研究拠点構想として御発表いただいたところでございます。さらに、前回の基盤部会では、3つの研究所から、国際化の取組について発表いただくとともに、共・共拠点協議会の方から、上記提案に対して意見が述べられたところでございます。本日は、以下7つの論点、そして資料2に沿って、皆様の御意見を頂戴したいと考えております。
 まず1点目は、国際化の目的でございます。これにつきましては、国際ステージでの共同利用・共同研究を推進し、より高いレベルの研究を実施し、もって我が国の研究力を強化し、プレゼンスを一段と向上させることが目的という御意見がございました。また、共・共拠点の価値ある研究資源を最大限有効活用し、拠点の研究成果の最大化を図ることが目的、そして国際化はそのための手段であるという御意見もございました。
 2点目は、国際化を進めることでどのような効果が得られるか、どのような姿を目指すかというビジョンでございます。これにつきましては、異なる研究環境、異なる考え方を持つ研究者間の継続的な議論から、思いがけないアイデアや画期的な成果が生まれる、論文数の増加や質の高い論文に直結する、優れた外国人研究者との共同研究により、拠点教員・大学院生の研究の質が向上し、研究内容が多様化するという御意見がございました。
 3ページを御覧ください。3点目は、全ての共・共拠点の国際化を目指すべきかどうかでございます。これにつきましては、第8期のまとめの中で、分野によってもその在り方は異なるので、一律かつ外形的に国際化を図るのではなく、分野の特性に応じて推進する必要があるとされております。また、御意見としましては、国際化の程度について、一般的な活動や一定水準を超えない活動にとどまっている拠点もあり、それはそれで構わない。一方で、世界を率いる卓越した活動を行っている拠点もあり、その特殊性を際立たせるため、我が国として力を入れて支えていくことも大切という御意見がございました。
 4点目としましては、このような国際化を進める共・共拠点に対して、国としてどのような方策で支援することが必要か、またその支援に当たっての留意点としてどういうことが考えられるかというものでございます。これにつきましては、国際共同利用・共同研究拠点の創設・制度化を考えてはどうかという御意見がございました。この国際共・共拠点につきましては、ある程度選択と集中をすることであると思うが、その中でどう多様性を保っていくかというバランスを考える必要があるという御意見もございました。さらに、大学の特殊性は多様性であり、トップの研究者を引き上げる、優秀な研究機関を作るという視点のみでは、多様性の豊かな大学で研究者が育っていくという芽を摘んでしまうことを危惧するという御意見もありました。さらに、一番下の○でございます。トップを伸ばすだけでなく、裾野を全体的に高めることが大切であり、地方の研究者や学生が研究装置などを使いやすくするという視点も大事という御意見がございました。
 4ページ目を御覧ください。また、これにつきましては、公私立大学の研究者につきましても共同研究に携われる機会を増やす工夫が必要だという御意見がございました。さらに、申請書や評価調書作成に係る負担等を考慮いただきたいという御意見もございました。
 5点目につきましては、支援対象に対して求める条件は何かというものでございます。これにつきましては、1から7まで永田委員の御提案の中にはありましたが、例えば国際的な研究者コミュニティーの意向を反映すること、国際的に公募すること、国際的な支援体制が構築されていることということが挙げられております。これに対しまして、2つ目の○の御意見でございます。運営会議、申請や手続等の多くを英文化することや、海外から招く研究者の生活に関する支援を含めた国際支援体制の整備を現有の拠点事務部が行うことは、現実的には大部分では大変困難であるという御意見もございました。さらに、一番下の○でございます。国際共・共拠点の認定に当たっては、女性研究者など、研究者の多様性も考慮してはどうかという御意見がございました。
 6点目は、支援内容としてどういうものが必要かというものでございます。拠点が自助努力で進めている国際化事業に数名程度の事務的な業務を行う専従人員の配置と外国人研究者の滞在費、研究費等の予算配分を行うことによって、国際化の強化が可能となるという御意見がございました。ほかには、研究者に対する技術支援が脆弱、管理・運営体制の国際化、外国人研究者やその家族に対する生活支援も含めた包括的な環境整備が課題となっているという御意見がありました。さらに、前回発表の中では、5ページ目の2つ目の○を御覧ください。国際シンポジウムを開催する際の準備、国際的な学術誌を出版する際の編集作業など、研究支援体制の強化が必要であるという御意見があったところです。
 7点目につきましては、全体を通じての留意点です。大きく2つのテーマに整理しております。
 1つ目は、国際化に向けた体制の整備でございます。2つ目の○を御覧ください。大学は、国際化にかなり力を入れている。国際化を進めるに当たっては、大学と一体になって進めていった方が効率がよいという御意見がございました。さらに、国際化のための課題を一拠点で解決するのではなく、全体で共有して、例えば大学共同利用機関法人が一括して支援する体制を考えていく方法もあるという御意見がございました。さらに、運営の国際化の負担増に対する解決策として、英語も堪能で技術も分かっている地域のシニア人材の力をかりることがあるのではないかという御提案もありました。
 6ページ目を御覧ください。留意点の2つ目としまして、国内の研究者との関係についての御意見がございました。国外研究者の受け入れが多くなると、国内研究者の利用を断るケースがあり、「日本の税金を使って日本人よりも外国人にサービスを提供している」との批判が考えられる。このため、国内研究者が参画できる国際共同研究を行う必要があるという御意見がございました。さらに、一番下の○でございますが、滞在型ワークショップ等の研究会の開催によって、国内研究者コミュニティーが国際共同研究に参加できる機会を提供するなど、国内研究者コミュニティーに還元する仕組みを作ることが大事という御意見がございました。
 こういった御意見を踏まえまして、我々の方で論点整理の方向性(案)としてまとめてございます。資料2を御覧ください。
 今申し上げました資料1の論点1と2が1.「国際化」の目的、資料1の論点3から6が資料2の2.新たな認定制度、資料1の論点7が資料2の3.その他留意事項に対応しております。
 「国際化」の目的につきましては、我々としましては、優れた研究資源を有する共同利用・共同研究拠点の国際化を促すことにより、当該拠点をハブとした大学等における国際共同研究を推進し、我が国全体の基礎科学力の向上、ひいてはプレゼンスの向上を図ることとしてはどうかと考えております。
 この国際化につきましては、様々な考え方・捉え方があると思いますが、例えば当該拠点の優れた研究活動が海外の学術界からも認知され、国際的な共同研究が活発に行われることを指すと考えられるのではないでしょうか。さらに、この国際化につきましては、目指す姿が多様でございます。したがって、一律的かつ外形的な国際化として捉えることは避けるべきではないかと考えております。
 新たな認定制度としまして2.で提案しております。これにつきましては、拠点の国際的な活動を可視化し、さらに認知度を高めることによって、多くの海外の優れた研究者を引き付けることにつながるのではないかと考えております。こういったことに資することとして、国際共同利用・共同研究拠点として認定し、国際化に向けた取組を支援する仕組みを制度化してはどうかと考えております。
 対象となる拠点につきましては、丸1から丸4にございますような観点で専門的かつ総合的に評価して決定してはどうかと考えております。
 3つ目の○でございます。評価の際に適用すべき指標については、分野の特性や大学の状況等に応じて多様な形で設定すべきではないか。
 4点目です。認定された拠点に対する支援としては、国際共同利用・共同研究の実施に必要な経費――技術支援職員や事務職員の人件費、外国人研究者招聘費用、設備費などが考えられるのではないか。
 最後、その他留意事項でございます。この国際化の取組につきましては、単独の拠点ごとではなく、大学本部と協力したり、他の拠点と連携したりして取り組む方法も効果的ではないでしょうか。
 2つ目です。拠点の国際化を進めるに当たっては、国内の研究者も引き続き拠点を利用できるようバランスを図ることにも留意が必要ではないか。
 3点目としまして、国内の研究者が拠点における国際共同研究に参画できる機会を提供するなど、国内の研究者コミュニティーに還元する仕組みも必要ではないかということをまとめております。
 本日は、この資料1、2につきまして、忌憚のない御意見を頂けますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
【稲永部会長】  それでは、ただいまの説明にありました資料2の「論点整理の方向性(案)」について意見交換をしたいと思います。意見交換は、ここにあります3項目、1.「国際化」の目的、2.新たな認定制度、3.その他留意事項、それぞれについて順次検討していきたいと思います。
 まず初めは、1.「国際化」の目的についてです。皆様から意見を頂く前に、本日御欠席の委員からあらかじめ御意見を頂いておりますので、事務局より、最初に紹介させていただきます。
【早田学術機関課課長補佐】  机上配付資料を御覧ください。1枚紙で、本日欠席されている委員の御意見というものを配付させていただいております。
 1.「国際化」の目的につきましては、「国際化」とは何を指すのか、どういう姿を目指すかについて、認識の共有を図っていくことが大切だという御意見がございました。例えば、資料1の2.に記載させていただいたのですが、国際共著論文の増加、質の高い波及効果の大きな論文に直結するとありますが、これはどういう姿を具体的には指すのだろうかといった御意見もございまして、この「国際化」につきまして、皆様の中でビジョンの共有を図ってはどうかといった御意見でございました。
 以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 それでは、意見交換を行いたいと思います。御意見のある方、どうぞ。
【龍専門委員】  途中、私は何回か欠席の回がございましたので、把握していない部分もございます。それで確認したいのですが、この「国際化」というのは国立大学の共・共拠点を対象にしていると考えてよろしいのでしょうか。つまり、大学共同利用機関法人とか、あるいは公私立大学の特色ある共同利用研究拠点、そういったものは今回対象にしないと考えてよろしいのでしょうか。
【稲永部会長】  では、事務局の方でお願いいたします。
【早田学術機関課課長補佐】  御質問の点でございますが、現状の共・共拠点の認定制度につきましては、国公私立共通の制度となっております。したがいまして、今回の国際共・共拠点につきましても、公私立を認定の対象としてはいかがかと考えております。一方で予算措置につきましては、国立は運営費交付金、そして公私立の方は特色ある拠点という2つの制度でやっているところでございますので、どういう形で支援していくかというところにつきましては、それぞれの状況を見つつ別々に検討していくことが必要ではないかと考えております。
 以上です。
【龍専門委員】  ありがとうございました。
【稲永部会長】  大学共同利用機関はいかがかという御質問もあったと思いますが。
【早田学術機関課課長補佐】  はい。大学共同利用機関につきましても、今回皆様の御議論によってくるかと思っているのですが、例えば認定に当たって連携していくのが大切だという御意見が今まであったところでございます。したがって、例えば共・共拠点と大学共同利用機関法人が連携してネットワークとして認定を受けるということは、これまでネットワーク型の認定をやっているところからも踏まえまして、一つの姿としてあるのではないかと考えております。
 以上です。
【稲永部会長】  よろしいでしょうか。
【龍専門委員】  ありがとうございます。
【稲永部会長】  では、小林委員、どうぞ。
【小林臨時委員】  全体的に別に異論は何もないのですが、私もちょっと前回けがで欠席して分からないところがありまして、究極的にはトップ10%論文の割合を増やすというところが究極的な目的になって議論が始まっているのかどうかというところで、それを解決することについて全く異論はないのですが、それ以外にも解決しなければいけないことはあるのかなという気がします。「国際化」の目的で、もう少し現実的な話をして申し訳ないのですが、ほかにもあるのかなと。まず1つ言えることは、研究施設建設の国際経費分担も、日本だけで全ての経費を賄っていくことが本当に可能なのかどうかということになります。具体的には、もうアルマとかTMTとか、天文台関係は国際共同分担で進めています。SPICAもJAXAとヨーロッパで一緒に分担していくと、全部で1,300億のうち、日本が300億で、あとはヨーロッパが出すといったことになればいいなと期待はしていますが、例えばCERNというのも一つ模範例としてはあると思いますので、そのような地球・惑星関係だけではなくて、素粒子物理学もうそのような時代に入っていかざるを得なくなるのではないでしょうか。例えばカミオカンデ、スーパーカミオカンデ、ハイパーカミオカンデとだんだん施設が大きくなっていくにつれて金額も高くなっていくわけです。ハイパーは正直に言うと1,500億です。それだけのものを本当に日本だけで出せるのかというと、もうアメリカだけでも難しいし、ヨーロッパだけでも難しいし、日本だけでも難しければ、当然ながらそういうところで国際共同分担していくということも「国際化」の目的の一つにはあるのではないのかなという、これが2番目です。
 もう一つ言えることは、今度は逆の話になりますけれども、日本の科学技術が今までやってきた開発途上国支援の問題です。例えば、鳥取大の乾燥地研究センターがアフリカ諸国の農業に非常に大きな貢献をしてきました。あるいは長崎大の熱帯医学研究所がケニアから研修生を受け入れて、エボラ熱の対策に対しても非常に大きな効果をもたらしました。こういうところはお金にはならないかもしれないけれども、そういう途上国支援というものも「国際化」の目的の一つに入れなくていいのかどうかです。もちろん、トップ10%論文の割合を増やすということは、第一義的な目的としては必要だけれども、2番目としては、まず研究費の国際分担もあるのではないのか。3番目としては、途上国支援もあるのではないのか。そして4番目としては、海外の日本研究への貢献というものも実は出てくるのではないのか。例えば、人間文化研究機構の国文学研究資料館がやっている古典籍プロジェクトです。日本の資料やデータを公開していくということが、海外の日本研究の大きな支えに今なっているわけです。だから、「国際化」の目的は、トップ10%論文、そのことは否定しないけれども、それだけに絞ってしまっていいのか、ほかにもあるのではないのかなと思います。
 以上です。
【稲永部会長】  ほかに。横山委員、どうぞ。
【横山臨時委員】  今の小林委員のお話にも非常に共感いたします。全体としてお伺いしていて、私も、国際化の部分を強化するための御支援を文科省さんが頑張ってくださるというのは非常にありがたいお話で、応援していきたい。要するに、これまでの共・共拠点予算に上乗せで国際化という部分を頑張ってくださるというところは非常にありがたいなと思うのですが、全体として、小林委員が最初に言われたように、ではトップ10%を目指すためなのかという、その目的のところは違和感を覚えます。
 最初に御説明いただいた参考資料3の方も、現状をよくまとめていただいて、興味深く拝見したのですが、ではなぜ国際的な交流が減ったのか、共著論文が減ったのかというエビデンスの分析というのはここには余りはっきり書かれていないで、むしろどう対策するかという面が強調されて書かれているように拝見いたしました。
 これまでの国のいろいろな分析を総観して見ますと、結局、一番我々にとって痛かったのは、運営費が減って、若手の特に助教さんが非常に減ったと。若手人材が減れば、それは国際化のスピード感も衰えるし、共著論文も減るのは当たり前であると。だから、何が本当のエビデンスの核となるものなのかと見ていったときは、共・共拠点においても若手の先生がいなくなってしまったというところが非常に大きなポイントなのかなと全体としては拝見しています。
 そうしたときに、新たな認定制度というところにも、特性に応じていろいろな観点からその強化をしてくださるということで、どれも大事なことだと思うのですが、国際化の中核になるような若手の先生の支援という観点だと、既に国際化が進んでいて当たり前であるという分野も、これから国際化したいという分野も、みんなにとってハッピーな形の御支援になるのかなという印象を持っております。
 WPIやいろいろな形での国際化というのが既に進んでいる中で、今このタイミングでなぜ共・共拠点の国際化なのかというのは、皆さんが漠とした印象を持つと思うので、そのあたりを今後先生方の御議論で詰めていただけたらと感じた次第です。
 以上です。
【稲永部会長】  ほかに。どうぞ。
【相田専門委員】  参考資料2なのですが、参考資料のエビデンスデータの中で、41ページ目あたりから国際的なデータがありますが、トップ10%とトップ1%の論文のエビデンスが全くないと思うのですが、私が探し切れていないだけなのでしょうか。41ページに国際共同研究件数という表はあります、41・42・43ページに。それから、46ページに国際的な場への参画状況の表もあります。それから、48ページに国際共著論文の割合というのもあります。しかし、トップ10%とか1%論文のエビデンスがないように思うのですが、それについては何ページにありますか。
【稲永部会長】  では、お願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  今、相田委員がおっしゃったのは、国際化に、国際共同研究でやっている分のという御趣旨ではなく。
【相田専門委員】  全論文について、です。
【早田学術機関課課長補佐】  全般的にということですか。それですと、済みません、今こちらの方ではお示しできていないので。
【相田専門委員】  トップ10%とか1%というのは、本当に分野によって違います。
例えば宇宙素粒子の分野では、もう国際共著論文は当たり前です。巨大装置を使う分野は、国際共同研究は当然だと思うのです。ですので、そういう分野はそういう分野であることは認識した上で、さらにこの5年とか10年で国際化が非常に進むべきなのに進んでいない分野とか、トップ10%とか1%の割合が落ちている分野はどこなのかということを正しく認識することが必要ではないかと思います。
 トップ10%とか1%の割合と国際化がどのように関係しているかというと、国際的な共著者がいれば、多くの国で関心が高まり、いろいろな人たちに引用される可能性が高まる、つまり被引用が高くなるわけだから、そういう意味で国際化が必要ということだと思います。トップ10%とか1%の割合は分野や機関によって随分違うので、そのデータを見ることが必要なのではないかと思うのです。
 先ごろ発表されたNature Index 2016の日本の機関別の一覧で、ちょっと意外に思ったのは、自然科学研究機構がかなり低いことです。何でこんなに低いのだろうと思いました。国際化が必要で、特にこうやって追加の支援が必要だという議論の前に、そもそも実態を正しく把握する必要があるのではないかと思います。
【稲永部会長】  はい、どうぞ。
【観山専門委員】  今、「国際化」の目的ということで、一方で「国際化」とは何かということをもう少し共有していたらいいという欠席委員の意見もあって、いずれも納得するところですが、私は、先ほど小林委員が言われた4つの観点、一義的には「国際化」というのは基本的に大学並びに研究者の研究力強化というものが一義的な目的だと思いますけれども、それだけではない、あと3つ言われた部分というのは、非常に分野によっては重要なことなので、それは少し明示して認定するとか、そういうことをしないと、「国際化」という、それからその目的というものは割としっかりとしておかないと、公平感とか、それから何をしたらいいのかというのがちょっとよく分からないこともあり得るので、少しそういうことを整理して、この新たな認定制度とか、そういうことに進んではどうかと思いました。そういう意味では、小林委員が言われた4つの観点が非常に重要だと思います。ただ、ウエートとしては、私は第一義的には研究力の強化ということが「国際化」の大きな目的の一つではないかと思っております。
【稲永部会長】  山内委員。
【山内臨時委員】  「国際化」の目的ということで議論しておりますが、私は、国際化という非常に特殊なことをどう進めるかという議論ではないのではないかという気がしておりまして、学術研究、特に自然科学の場合には、元来国境というのはないというのが、むしろそちらの方が自然でございまして、国際的に開かれたシステムを設けて研究を進めるということはむしろ当然のことだろうと思うわけです。これまでは欧米の施設を使わせてもらうということが多かったのだと思いますが、我が国の優れた研究資源を公開して共同研究を受け入れるというシステムを整えるということは、先進国としまして、人類共通の知識に対する相応の負担という言い方もできるのではないかと思います。したがいまして、国際化という特殊なことをどう進めましょうかという観点ではなくて、国際化を阻んでいるものがあるすれば一体何なのか、それはどういった方策で取り除くのが効果的なのかと、そういう議論が必要ではないかなと思います。
【稲永部会長】  それでは、八木委員。
【八木専門委員】  先ほどの議論と共通する部分はあるのですが、この共同利用・共同研究拠点では基本的にはコミュニティーの代表であるという観点がスタートにあるかと思います。その意味で、コミュニティーが求めるものは一体何なのかというところから一度整理してみるのもいいのではないか。そうすると、先ほどのような観点で、分野ごとで狙いとしているところの違いが出る。多くは多分、研究力の強化だとは思いますけれども、それがまず1点目。
 それと、何となくこれを見ていてふと感じたのが、拠点、どっちかというと、これは人が来る方の拠点の強化的な側面が強いなという気は若干いたしまして、それもWPIのようなすごく世界的な人を引っ張ってくるような話もあれば、海外の若手が来るような話も多分実際の仕組みの中では出てくるのでしょうけれども、逆に海外にある種サテライト拠点的に出ていくような話も分野によってはあるかもしれないので、それは多分、一律的かつ外形的な国際化として捉えることは避けるべきだということとかを含めた国際化の多様な側面というのが分野ごとであるのかなというのをこの全体を見ていて感じているところでございます。
【稲永部会長】  藤井委員、どうぞ。
【藤井臨時委員】  前回の議論でも、どの共・共拠点も国際化しているという現状はあるということは指摘があったところです。非常に特殊な研究所は確かに余りそれを進めなくてもできるところはあると思いますが、大部分は基本的には国際化の下で、進めているということかと思います。そうしますと、どの部分から上のレベルをこういう拠点に認定するのかといったところが、国際化の度合は比較的連続的なので、どういうものを認定するかというところは比較的分かりにくいような気がいたします。ただ単に国際的な活動を非常に活発にやっているというだけではなくて、前に議論があったと思うのですが、国際的役割みたいなものを中心にそういう拠点を認定する考え方が必要なのではないかなと思います。
 1つは、例えば国際的にどうしてもなくてはならないような役割を演じているような研究所とか、それから国際の研究の中でネットワークとして非常に重要な位置を占めているとか、そのような何か条件付けがないと、なかなか区分するところが出てこないのではないかなという気がいたします。
 以上です。
【稲永部会長】  ほかに御意見は。では、永田委員、どうぞ。
【永田臨時委員】  今出た御意見が僕のもともとの意見なのですが、「国際化」という単語にするから分かりにくくなっているのだと思います。英語で言えばinternationally leadingと捉えてもらった方がいいのかなと。要するに、何かの観点で世界が必要とする拠点という考え方です。「国際化」はみんながやるのだと、これは当たり前ですよね。そうではなくて、この拠点は、日本が誇る、世界が必要としている拠点と考えればいいと思うのです。その定義の中では多様性は何でもあって、文系であっても、例えば日本の地域研究、アジアの地域研究であっても、当然世界に冠たる拠点であれば、それでいいと思います。要するに、研究力の強化とかというより、研究の中身で、ここは世界に冠たる拠点として育っていってほしいというものであり、それを見ながら、ほかの拠点がそれをいいと思えばそれに追随するでしょうし、そうでなければまた独自の道を歩いてもいいだろうということで、「国際化」という単語が本当はよくなくて、「卓越した国際的な拠点の推進」みたいに単語を換えると、もうすこし分かりやすいのかもしれないなと思います。
【稲永部会長】  ほかに御意見。では、どうぞ。
【松岡専門委員】  ありがとうございます。少し話を先ほどに戻してしまうかもしれませんが、トップ10%論文におけるシェアが低下しているということをもう一回、どういう原因によるものかということをもう少しちゃんと理解した方がいいのではないかという御意見に賛同いたします。私の周りの非常に狭い人たちを見ていても、論文数自体は別に減っているとは思わない。皆さん、大変よく論文は書いている。しかし、一方でこういう数字として出てくるというのは、何か、成果をこういうトップ10の論文誌に出すところまでレベルアップができない、それを阻害している要因があるのではないかということは想像できるわけです。非常に先入観のある見方に沿えば、例えば今の若い人たちは、なかなかポジションが難しかったりすると、とにかくすぐ論文を出さなければならない。そうすると、まず結論が出ると、それをもっとレベルアップすることなく、まず論文とする。そういうことがもしあるのであれば、余り学術の進歩のためにはよくないこととなると思います。そういう、このことが何を意味しているかというのをもう少しちゃんと理解するということが大事ではないかと思います。ありがとうございました。
【稲永部会長】  ほかに。どうぞ。
【小長谷委員】  1つの質問と2つの意見を述べさせていただきたいと思います。質問は、開始に関するロードマップをちょっと教えていただきたいと思います。既に読み上げられた中に、今年度中にこれについて集中的に議論するということがありましたけれども、それではそれが始まるのはいつなのかという、その議論の後の、この先の見通しについて時間軸を入れてちょっと説明していただければありがたいなと思います。つまり、新たな認定制度はいつからのことを議論しているのかとか、制度はまだでも支援は先にやるのかとか、そのあたりのロードマップを教えていただきたいというのが1つです。
 それから、意見は2つ。1つ目は、機関法人との関係です。龍先生からも御質問がありましたけれども、大学の拠点だけではなくて、やはり機関法人も含めて、国際的に卓越していく動きを協調して支援していくような仕組みというのを考えた方がいいのではないかということが一つと、もう一つは若手育成の問題です。予算を獲得するという点では、若手のこと、国際化のこととそれぞれした方が、具体的には動きやすいだろうとは思いますけれども、研究の継承という意味で、若手育成のことも必ずこのコンポーネントとして含まれるようなインクルーシブである必要があるのではないかなと思います。
 以上です。
【稲永部会長】  では、最初に制度の御説明をお願いします。
【西井学術機関課長】  ロードマップといいましょうか、時間軸の点でございますけれども、ちょっと走りながら考えているところもございますので、フィックスしたわけでもないのですが、この部会におきまして今まさに御議論いただいているこの認定制度についても、この部会の中での御議論を踏まえまして、制度構築を進めることができましたら、それを実効的に実現できるような形で予算制度にも結び付けていくということでございます。御案内のとおり、今8月でございまして、9月になりますと概算要求ということで作業が進捗していくわけでございますが、そういった中でこの御議論を踏まえまして、しかるべく対応、検討を続けていきたいと考えてございます。
【稲永部会長】  どうぞ。
【松本部会長代理】  「国際化」という言葉がこの書類の中に随分出てくるのですが、永田委員がおっしゃったように、ちょっと私も違和感を覚えます、「国際化」という言葉については。国際拠点という話であれば、非常に分かりやすいかなと、何人かの方がおっしゃいましたが、そういう視点は必要かと私も思います。
 共・共拠点と全国共同利用拠点と、これは2つ対象がありまして、今回は共・共拠点を議論しているわけですけれども、共・共拠点というのは、各分野の代表的な研究集団がそこにいて、全国の人がそれを使っている、あるいは共同研究をしているというのが定義だろうと思いますけれども、分野によっては随分国際協力をやっているところもありますし、そうでないところもあります、データを見ますと。今回、協力を既にやっていて、国際的にも随分たくさんの外国人が見えている共・共拠点を強化するのか、むしろ逆で、後れているところを拾い上げるのかということで、随分とポリシーは違うと思うのです。
 私は、まずはやっているところを精査してもらって、共同利用のために短期間だけ外国人が来る、2か月とか1か月いて帰るというのが多いと思うのです。永田先生が言われた本当の意味での国際拠点にしようと思えば、もう少し本当の意味での国際的な部隊であるという感覚を持つような組織に変えていった方がいいのではないかと思うのです。それ全部はできないと思います。だから、実績のあるところで、例えば外国の文化をそのまま持ち込むような感じで研究室ごと来てもらわないと、短期間、日本人の中に少し来て、一緒に論文を書いて帰るということの繰り返しだけでは、もうこれ以上上がらないと思うのです。そういう文化をしっかり考える必要があって、つまりWPIみたいな外国人を雇うような制度、そういう新しい研究分野あるいは研究講座を作るのであれば、支援するといった集中投下というのは、これは極論かもしれませんが、そういう形をとった方がいいのではないかと思います。
 トップ10%論文とかトップ1%論文という話がよく出ますけれども、しょせんはそこに集まっている人のクオリティーで決まると思うのです。ですから、ハイクオリティーの人が集まれるようないろいろな体制というのを作らないと、単に国際化といっても、恐らく余り変わらないような気がしております。
【稲永部会長】  観山委員。
【観山専門委員】  今の松本先生のお話を聞いて思ったのですが、確かに分野によっては、そういうWPIというか、研究室ごとどっと来てもらって、国際的な文化をそこに生えさせるということも非常に重要だと思うのですが、もう一つ、割ともう国際的な競争のところで言うと、若手の研究者がどれぐらいどこの研究拠点に来るかというのが一つの指標で、つまりそれは、自分の将来を考えたときにどの先生とかどの装置の近くにいたらいいかというのが随分、そういう観点で言うと割と分かりやすいので、若手の人が来ると、それは一緒にどんどん論文を書きますから、そういうことで、分野によってとかレベルによっていろいろな評価の観点はあり得る。評価の観点は2番目ですので、後で話してもいいと思いますけれども、そういうことも考え得るのではないかと思っております。
【稲永部会長】  どうぞ。
【井本臨時委員】  「国際化」の在り方というのは、かなりカテゴリーによって違うというのが、これは今までの議論で明らかになってきたと思うのですが、一つそのカテゴリーを整理してみると、大きな装置があるところ、高エネ研とか、大きな望遠鏡とか、それから宇宙線研とかがそれに当てはまるのだと思います。それから、先ほども話題に出ました鳥取大学とか長崎大学とかの発展途上国支援といったところがある。恐らく日本文化研究のような、日本でないとできないようなところがある。そのほかの割にスモールサイエンス的なところが、国際化というのが結構難しいというのが現状なのではないかと思います。
 松本先生が今言われたように、研究室ごと、何グループか、大学なり研究所にそういうグループを作るというのは、非常に望ましい形ではあるのだけれども、何が足かせになっているかというと、お金の問題だと思うのです。これは本当にお金があればできるのだけれども、今の金額でそういうことをやれと言われても、そのサポートをする人、それからその特殊な雇用に対する費用をどのように賄っていくかといったことがあるので、そこさえというのは、お金がクリアさえされれば結構できると思うのですが、そのあたりがやはりネックになって、十分な国際化が進んでいない。WPIも含めてその文化を研究所に持ってきてもらうというのは本当にすばらしいことだとは思います。ただ、なかなかうまくいかないというのが現状だと思います。
【松本部会長代理】  今御指摘のあったお金の話ですけれども、それは、お金があれば、札束でビンと張れば来る人もいると思いますけれども、多分、どなたかがおっしゃったように、いい研究がそこで行われていると、多少経済的な事情は悪くなっても、やってくる。あるいは、いい大学であれば行ってみたいといった人は、やはりいるのです。それは、レベルは本当のトップの人でないかもしれませんけれども、そういうところは地道に作っていかないと、なかなか根づかないという気がしています。共・共拠点はほとんど大学にあるわけです。これもその特性を生かさないといけなくて、学生が外国文化に、あるいは国際文化に直接触れることができるというのは、共・共拠点の強みなのです。いわゆる大きな研究機関では学生はほとんどいませんので、幅広い学生にもそういうことを経験させるということは必要です。
 京都大学で外国人研究室を100部門作りましょうということで、昔は支援を受けて進めてまいりました。そんなに100人も来ないという話が最初はありましたけれども、各部局の努力で研究室ができていくのです。そうすると、随分雰囲気が変わりました。
 ですから、確かに物すごく優秀な先生は、我々日本人よりもはるかに高い給与を払わないと来てくれないという事情はありますけれども、とにかくある条件を付けて、その範囲の中で来てくれる人からスタートする。非常に高給な人は多分短期間しか来ない。忙しい人ばかりなので、日本に連れてくることは非常に難しいと思います。できるところからやるというのがいいのではないかと考えております。
【稲永部会長】  まだまだ議論はあるかと思うのですが、この「国際化」の目的のところの○の2つ目に書いてある、目指すべき「国際化」の内容は多様であるということに関しては、まさしく今の議論ではいろいろな御意見があったと思います。かなりこれを一つの方向に持っていくというのは難しいと思うのですが、共通してあるのは、今の共同利用・共同研究拠点のレベルアップを図る必要があること。その一つのキーワードとして、「国際化」、「国際拠点化」があると。これが単独でだめならば、いわゆるネットワークということも視野に入れてということが考えられますので、きょう頂いた御意見を事務局とともに整理させていただいて、また次回の議論に持っていきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【稲永部会長】  それでは、ありがとうございました。
 時間の都合もありますので、2番目の新たな認定制度について議論したいと思います。先ほどと同じく、御欠席の委員からも御意見を頂いていますので、その紹介から始めたいと思います。よろしくお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  では、机上配付の資料を御覧ください。新たな認定制度につきましては、全拠点について国際化すべき。その際の運営のシンプルな仕組みを検討、構築し、いかに間接コストを抑制できるか検討すべきという御意見がありました。
 また、限られた予算の割り振りをしていく中で、研究運営規模によって、より均等に配っていくといった公平性に配慮したような制度としてはどうかというお話がございました。
 さらに、同時に、世界のあふれた資金をいかに獲得してくるか、民間資金の獲得というところも考えてはどうかというお話がございました。
 国際共・共拠点の認定を進めていくに当たっては、新たな指標を作るよりも、よりシンプルに余分なものをそぎ落とし、世界の誰が見ても分かりやすい運営システムにすることが急務だと思うという御意見がございました。
 また、国際化で、国際共同利用・共同研究の公募を行う場合、受け入れシステムの構築、申請ホームページの英文化、申請の受け入れ、外国人共同研究者の生活支援など、事務部の業務を支援する体制は必須であるという御意見がございました。
 国際共同研究・共同利用の実施に当たり、国際コミュニティーの意見を反映するために、例えば外国人アドバイザリーボードを作り、通常はメールで機動的にコメントを頂きながら進めるなどの運営がよいのではないかという御提案がございました。
 以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございます。
 それでは、新たな認定制度に関して御意見を。先ほどのこととダブっても構いません。観山委員、どうぞ。
【観山専門委員】  資料2の、4つの○が書いてあって、1つは、先ほど松本先生が言われたところで、どういうところを支援していくのかと。つまり、非常に頑張っているところを支援するのか、それか足りないところを支援するのかということがありますが、基本的に分かりやすいのは、しっかり頑張っているところをさらに伸ばしていくという支援の仕方ではないかと思います。それがある種公平であろうかと思いますが、この2番目の○で評価の観点なのですが、評価という場合に、ここに書かれている4つの項目というのは、基本的にプロセスですよね。今の評価の重要な観点とアウトプットの方を見ないと、プロセスを幾ら準備していても、なかなか成果は上がっていないねというところも論理的にはあり得るわけで、公平という面で言うと、アウトプットの方を見ないと、なかなかこういう指標とするのだったら、どうかなと思います。例えば、それは外国人等のスタッフがどれぐらいいるかとか、そのほか共著論文がどれぐらいあるかとか、共同利用の割合がどれぐらいあるかというところが一つかと思いますけれども、これは非常にプロセスだけに限られているので、何かちょっとそれだと不十分な点があるのではないかなと思いました。
【稲永部会長】  御意見は。はい、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  今、観山委員がおっしゃったのと私も同じようなことを考えていたのですが、その前に、先ほどの目的に関してのいろいろなお話については、とりわけ小林委員からの、後の3つもちゃんと考えろとのご指摘は、おっしゃるとおりだと思いました。ただ、今の日本の学術が置かれている状況は、正直申し上げて、非常に厳しいものがあるように思います。先ほど松岡委員が、論文数は減っていないのではないかとおっしゃっていように思いますが、私は、論文数も減っているのではないかと思います。ですから、そこら辺のところ、すなわち研究基礎力について、いかにその地盤沈下を止めるか、そしてそれをさらに増進していくかが、本来、一番大事なポイントではないかと思います。
 そういう観点からしますと、実は「国際化」、その言葉自体がどうかということも、何人かの方からご指摘があったような問題があると思いますが、それを冠した国際共・共拠点といった制度を立ち上げる場合、注意しないと新たな問題が生じる畏れがあるかも知れません。共・共拠点は基本的には大学の附置研・センターということですが、その中から、国立大学だけでも全部ではなくて70余りが選ばれている訳です。そこから「国際化」という、ある意味、ハードルを上げて国際共・共拠点という絞り込みを行うとしか受け取られないようであれば、この部会で考えているようなことが、メッセージとしてはそのまま伝わらない、あるいは実現につながらないことも危惧されるのではないかと思います。ですから、どういった拠点を支援するのか十分に吟味して、先ほど議論のあった目的への対応とともに多様性を加味しながら支援しうる制度を構築することが必要なのだと思います。そういう思いからすると、「2.新たな認定制度」のところに4つの○でまとめていただいていますけれども、それらはそういった目的との呼応の度合いが十分とはいえないような気がします。むしろちょっと偏っているのかなとも思います。また、先ほど観山委員からお話のあったプロセスかアウトプットかという、そこの問題も絡んでくると思います。この制度がいわゆる「選択と集中」の一形態にならざるを得ない点は不可避としても、いわば単純なピラミッド型にはならないような思量が必要でしょう。
 速やかに手を打つべき研究基礎力の増進にとって、国際化というのは手段なり結果であるという認識は一度ならず書いていただいています。一方、現実を見たときに、それこそ運営費交付金、より直接は拠点経費あるいは拠点に絡むプロジェクト経費が、じりじりと減ってきている訳です。この国際拠点の案は、それに対して何とかしなければいけないとの考えから、いわば外向けに一つ明確なアドバルーンを掲げるという意味合いもあるのではないかと思います。下品な話をして申し訳ないのですが、それもやはり大事で、いかに研究経費を総体的に増やしていくかという、そういう問題でもあると思っています。ですから、それに資するような制度設計が必要だと思います。そうすると、直截的な国際化だけではなくて、実績もあって研究者コミュニティーからの要請も強い卓越した設備や資料等の拡充とか、実績を踏まえた新分野の開拓とその体制構築、あるいは若手研究者の自立的環境の整備・充実のための具体的な取組など、「国際化」というオブラートに包むという言い方がいいかどうか分かりませんが、そういう肝心な点も制度の中にうまく入れ込んでいくことが非常に大事ではないかと思います。
 以上でございます。
【稲永部会長】  ほかに御意見は。山内委員。
【山内臨時委員】  私は、この新しい制度を新設するということに関しては大いに賛成したいと考えておりますが、評価の観点として挙げられておりますこの4つの丸1から丸4に関して、少し申し上げたいと思います。
 研究には施設や資料は大切であるということは言うまでもないわけでございますが、人が大事だということは、これも申し上げるまでもないことでございまして、国際的に高い評価を受けている研究者あるいは研究チームがあるというのを観点として挙げておくべきではないかと思います。優れた研究者の周りには優れた方が集まって大きな拠点に発展するという成功例は、国内にもありますけれども、世界中に多くあろうと思います。具体的にどうするかという話をしますと、恐らく観山先生が先ほどおっしゃったようなことと同じ意見になるのだろうと思うのですが、やはりアウトプットを基準にして世界的に高い評価を受けている研究者がいるところを重点的に支援するという観点が一つあり得るのではないかと思います。
【稲永部会長】  では、小林委員、どうぞ。
【小林臨時委員】  2番目のところですが、観山委員のおっしゃっていることに私も賛成で、行政評価をやるときに大事なのは、アウトカムです。だから、自分が何をそろえましたかではなくて、その結果がどうなったか、そこで見るべきです。ですから大事なことは、結果的には論文がどれくらいあるのか。それから、最近は世界の大学ランキングを議論する時代ではなくて、アジアの大学ランキング100を見ても、日本が落ちているわけです。日本の人口の半分しかしない韓国と比べて、アジアの大学ランキング100に入っている数は同じです。日本の人口の5分の1しかいない台湾と比べても、大差がないです。何で彼らが国際化してきたのかということをもっと調べた方がいいのではないですか。例えば韓国であれば、外国人教員をまず3段階に分けて、ポスドクレベルは100人をいきなり雇ったのです。
 アメリカでポスドクをやるのというのは物すごく大変です。博士号を取った後、これは文系の話ですけれども、2科目か3科目で、向こうは週2回ですから、計4~6コマを教えながら出版しなければいけません。だから、それよりも韓国のソウル大とか延世大とか高麗大へ来たら、1科目でいいわけです。それで給料もそう悪くないし。それから2番目としては、準一流の人間を3年契約で呼ぶ。それから、ノーベル賞級は、これはずっと来てもらうのは無理なので、1年のうちの4分の1だけ来てもらう。これで何人呼べるかということで評価をしています。あと、若手の国際化を徹底してやっています。例えば延世大は、1年生はソンドキャンパス、別のキャンパスを造って、全寮制にして、そこは外人が英語で全部教える。授業ではもう韓国語を使わない。英語で英語を教えるのではなくて、英語で経済学を教えたり、英語で化学を教えたり、物理を教えたりしています。今度はソウル大がやるわけです。インチョンに新しいキャンパスを造る計画を検討しています。日本と同じように支援を21COE、グローバルCOEと同じように、向こうはBK21やBK21プラスをやっていますけれども、それも徹底して海外で何回若手に発表させるかということでやっています。アジアの大学ランキング100の中で日本は実は5年間で半分に減ったわけです。だから、そういうものを見ている立場から見ると、ちょっと何か違うのかなという気がします。これは、施設があるかないかです。施設があればいいのですか。その結果が大事ではないのでしょうか。
【稲永部会長】  ほかに、では。
【小長谷委員】  今、小林先生がおっしゃったことについては、結局評価のところに、研究者コミュニティーへの裨益とか、若手研究者の育成とか、そういうことがちゃんとやれているかどうかということを、すなわち国際の意義をちゃんとしかるべく果たしているかということを評価の観点に大事にするということだと思います。それはもうおっしゃるとおりだと思います。
 私がちょっと気になっているのは、既にこの認定制度はあるわけです。現存のそれに対する新たなというときの「新たな」のイメージなのですが、置き換え方式なのか。つまり、置き換えて、これに満たないものはやめていくといった淘汰系の話をすべきなのか。それとも、多様なということが非常によく言われていて、分野の特性に応じてなので、追加方式なのか。支援体制が追加して、これに見合うところだけやると。そうなると既に認定制度をクリアするだけでも書類仕事が多くて、研究者が研究できないようになっているのに、また別の制度で加わって、もうほとんど研究者は研究できないような状況を作るのか。あるいはその中間的な、大きく認定制度があって、その一部がここに入るようなものになるのかという、この制度の作り方の大きなところはちょっと議論しておいた方がいいのではないかと思います。
 私自身は、淘汰は意図せずに、一つの認定制度、つまり書類仕事が増えないように、一つの認定制度の下、国際性というのに多様な形があると。最初に「国際化」の目的で、いろいろな国際化の意義あるいは姿があるということが議論されていましたので、それを生かすような幅のある観点をあらかじめ持っておいて、それが評価の仕組みに反映されるといいなと思います。
【稲永部会長】  では、松本委員、どうぞ。
【松本部会長代理】  具体的に作業が始まりますと、ここに出ています新たな認定制度の2つ目の○に4つほど書いてありますけれども、国際的に有用な施設等があると。これは、明らかにすぐ調べれば分かります。2番目、国際的にも中核的な施設。これはちょっと曖昧になります。持っているところは「うちが中心だ」とおっしゃるとは思いますけれども、どう評価するか。3番、4番というのは、これは付随的な問題だと思うのです。ですから、2番若しくは3番に書くべきことは、先ほど山内委員がおっしゃったように、優秀な研究者がいるかどうか、国際的にアトラクティブな人がいるかどうか。いなければ連れてくるといった、例えばh-Indexというのがありますね。h-Indexですと、論文の数だけではありませんので、サイテーション等に表れるその論文の質みたいなものを表せます。そういうものがある数値以上の研究者が何人いるかとか、その割合簡単な調査で分かるようなものを条件にすればいいのではないかと思います。
 人を集めるということは大変重要で、私は現在理研にいるのですけれども、大学ではありませんので、一概に比べられませんが、トップ10%ですと、28%ぐらいの論文がトップ10%に入るのです。つまり4分の1以上はあるのですが、言い換えると、4分の3の残りの人はそこに入っていないのです。それでもたくさんの若い人が来るというのは、優秀な人がいるということが見える、あるスレッシュホールドを超えているからだと思うのです。外国人も、そんなに多くありませんが、20%ぐらいいます。それでも、残り80%の日本人が頑張っているために、外国人と合わせて魅力的になってきていると思うのです。だから、人が集まってくる。そのようなきっかけを各共・共拠点に、特に優秀なところに応援してあげて、そこから周辺に広がっていくという形が一つの形だろうと思っています。人は大事だと私も思います。
【稲永部会長】  いかがでしょうか。人が大事であるとのご指摘。その人というのは、先ほどの国際的な成果を出して、国際的に高い評価を得ている、そういう人がいなければいけないということで、これを評価対象に最優先して持っていくべきだとのご意見だと思います。そして、松本委員がそういうpossibility、可能性が現在あるところをまず支援して、順次ほかにも広げていくという方向性を考えてはいかがかと発言されました。この点は、松本委員に限らず、皆さんの御意見を集めるとそういうところだと思いますが、それ以外の御意見はございますか。はい、どうぞ。
【八木専門委員】  私も人が重要だとは思っていまして、我々は何をしたいかというと、質のいい研究がしたいというのはベースで、今回のこの共・共拠点は、基本的には大学に設置された拠点ですので、先ほど松本先生がおっしゃられたように、学生の人材育成という観点においても意識していかないといけない。その中でどういう拠点として考えるかというのは、これも皆さん同じ意見だと思いますが、やはり国際的に評価された人材がそこにいるということも重要なのと、もう一つあるのが国際連携、優秀な研究者と連携するルートをちゃんと持っているところというのも一つの考え方としてあるのかなという気がいたします。優秀な研究者がいれば、もちろん優秀な人が来る可能性は高いですが、密な連携があれば、そこに優秀な人材が集まってくるということもあるかと思いますので、それも一つの観点ではないかと思っております。
 来る方以外に、僕はもう一個、出る方もあってもいいのかなと思うのが、最近、私自身の周りを見ていると、若い研究者の人たちが余り長く海外に行こうとしないのです。それはポストの問題もあるとは思うのですが、こういう共・共拠点を通してポストをうまく循環できるような仕組みが何か提議できて、それによってプロジェクト的に、いわゆる地方大学では、もうそこらじゅうから人が集まってきて、プロジェクトとしてある大学にそれこそ研究室単位ぐらいの規模で人を送り込んで研究を推進するということを継続的にできるような仕組みも一つ考え方としてはあるのかなとは個人的には思っております。
【稲永部会長】  藤井委員、どうぞ。
【藤井臨時委員】  今までのお話をお伺いしますと、ある意味WPIみたいなものまでも含めたことをやると国際化は非常に進むという、そういうレベルまでも考えられているような感じもいたしますが、こういうレベルを求めていくときに、中途半端はよくなくて、国としてどういう支援ができるのかという、レベル自体をある程度決めないと、非常に高い目標だけが設定されてしまって、大学側はそれに合わせるために苦労するわけですが、やるのであれば、かなり徹底的に支援するという方向性をある程度確認して進めないといけない。枠組みだけを作ると、後が非常に大変なことになるのではないかと思いますので、是非その辺の議論もよろしくお願いしたいと思います。
【稲永部会長】  横山委員。
【横山臨時委員】  恐れ入ります。今の藤井委員の御意見に賛成なのですが、私はWPIに4月から移りまして、徹底した国際化というのはこういうものかということを肌身にしみて感じております。なので、国際化と聞いたときに、中途半端がよくないというのは非常に強く思いました。そのようにいろいろなやり方があるというのは、今、先生方の御意見で拝聴したのですけれども、多分、もう私も若手とは言えない年ですけれども、でもこの中では恐らく一番若手であることから言わなければいけないと思うのは、先生方が今ずっと御支援くださったように、若手人材の国際化、人がいるというのを見せるという、ここは若手が集まって活気があるところなのだというところも見せるというのが、どの分野にも当てはまる公平性を保った支援の仕方なのかなと、全体をお伺いしながら思いました。
 やはり規模感が大事で、施設を、例えばロードマップの議論について小林先生を中心にずっとさせていただいていますが、それにインパクトがあるような予算規模では恐らくないのです。しかも、共・共拠点というのはある意味ボトムアップで、公平性というのはある意味で非常に重要である。頑張っているアウトカムのあるところを評価していくというのはすごく大事だとは思うのですが、一方で、では分野に応じてスモールサイエンスをさらに支援していくときに、それはスモールサイエンスを最初から除外することになるのではないかといった議論も恐らく出てくると思うのです。そうしたときに、共・共拠点全体を見て、しかも認定制度から落ちたところを再審査して、ここをどうするのかみたいな議論をしたようなときに、ある程度公平性を持ってみんなを応援できるシステムとしては、やはり人を、シニアの方もそうですし、特に若い先生を押してあげるような、「この先生は国際化に非常に優れた若手人材なので、ポスドクから引き上げて助教の先生として雇います」という規模感のお金が何人分か付くとか、そういうことだと、みんなが非常にわくわくして、前向きになれるかなという感じがしております。
 私の世代になりますと、もう日本はこれから超高齢化社会になっていくわけですから、若手の問題というのは本当に肌身にしみてひしひしと、これから20年後は一体どうなるのだろうかという気持ちを持って見ているので、短期的な支援ではなくて、長期的に共・共拠点がうまく動くための一つの大きな転換期として、うまく御支援いただけるとありがたいなと思った次第です。
【稲永部会長】  まだいろいろ議論はあるかと思うのですが、永田委員が発言を希望されていますね。ではどうぞ。
【永田臨時委員】  ここに書いてあるのは、初めからそのように読んでいて、国際的にも有用な質の高いアウトカムを出す施設を持っているところですよね。国際的に中核的な研究を実施する研究者や研究設備ということなのだと読んでいるので、それでいいと思います。ここに書いていないことで、今言われたこととも関係のある、若手の雇用が制度的に実装できるように、つまり、これは大学側が、3番目の○に、大学の状況等に応じて多様な形で設定すべきところに、若手が定着する仕組みを入れておいていただければいいということです。要するに、若手を採ってきて、それが優秀な方はそのまま定着できるという仕組みにできるように設定すればいいのだと思います。
 自分の大学のことは置いておいて、ほかの大学は多分縦割りで非常に厳しい人事をやっておられると思います。その中で部局長や学長はすごく困っていると思うのです。それは、こういう新しい枠で学内を整理することに多分学内で非常に抵抗があるからだと思うのです。ただ、こういう拠点に選ばれたところというのは、実力を持った人を雇う際には、そこに傾斜配分や一部のインセンティブ付与でその努力が実るような形をしてあげない限り、どんなにたくさん若手を採れとかといったって、難しいですよね。運営費交付金そのものは増やしていただきたいので、それはここで言うわけではなくて、高等教育局に言うことなのでしょうけれども、徹底的に増やしていただかないと若手は増えません。けれども、この国際的に卓越した拠点を作るという中に、若手は絶対増やさなければいけないというのであれば、それを制度の中に盛り込んでおかないといけないのだろうと思います。一番大変なのは多分、オーガニゼーションの中の内々の大学の事情を乗り越える、つまり各大学の状況を乗り越える仕組みを制度に実装しておく必要があるだろうと思います。
【稲永部会長】  国際化を図るには優秀な若手を確保できる仕組みも含めて検討すべきであるというご意見、重要と思います。国際化には国際的なレベルの研究者の存在が不可欠ということで、ある程度像が見えてきたかと思いますが、一番大事なのは、何人かの方からありましたけれども、一体これにお金は幾ら用意できるのかという点だと思います。制度を立派に作っても、お金次第だということがありますので、引き続き努力していただきたいと思います。そしてある時期が来たら、どのくらいの予算の規模なのかということも披露していただきたいと思います。
 まだ制度に関してご意見があると思いますが、時間の関係で次に移りたいと思います。3番目のその他留意事項に移りたいと思います。
 これについても、欠席の委員から御意見を頂いているので、それを最初に披露してください。
【早田学術機関課課長補佐】  机上配付の資料を御覧ください。海外の研究者と国内の研究者の利用のバランスに関する御意見を頂いております。
 近年、国内の共同利用の申請は増加しており、国外の共同研究者を受け入れる際も、国内の研究者の受け入れを減らすことなく進めることが、強く望まれているという御意見がございます。
 さらに、国内のコミュニティー、共同利用・共同研究拠点については、コミュニティーの方に還元するという役割がございますので、そういったシステムを構築する中で、国内コミュニティーの研究者とともに国際共同研究を進め、サイエンスを進展させることができるという観点が必要ではないかという御意見がございました。
 以上でございます。
【稲永部会長】  では、その他留意事項について御意見をどうぞ。観山委員。
【観山専門委員】  1つは、今の意見を見てちょっと感じたところなのですが、確かに共・共拠点というのは、日本の中のいろいろな分野のコミュニティーの支援というのが非常に大きな機能だと思いますが、余りそこに完全に没してしまうと、コミュニティーのエゴというのもあって、国際的な競争の場でしっかりとコミュニティーを支えていくという観点から言うと、例えば具体的に言うと、外国の研究者に例えば共同利用の時間を割り振ると、非常に高いものなのに、国内の研究者に割り振る時間が少なくなるではないかという具体的な例はたくさんあると思うのですが、それにも適切な配慮が必要だと思いますけれども、そればかりやっていると、結局、いわばガラパゴスではないけれども、非常に国際的な評価の中でどうかということがあるので、それが非常に国際的な中でもまれて国際的な共同研究が始まるような形で誘導していかないと、余りコミュニティーのことばかり考えていると不適切な状況になる可能性もあるので、これはもう共同利用研だったらいつも感じるところで、例えば天文台で言うと、すばるを国際的にオープンにしていますけれども、すると日本の研究者にとっては時間が減るということはさんざんあるのだけれども、だんだんやっていると国際的な共同チームで提案が出てくるとかということが出てきますので、それは自然にうまくやらないと、コミュニティーのエゴに陥ってはいけないと思います。
 2点目は、ちょっと認定制度の最後に書かれた部分で、要するにどういう形の支援を考えるかというところの留意点なのですが、これは本当に規模とか研究所によって掛かるのですが、例えばさっきから言っている非常に優秀なPIを受け入れると、それは非常に大きな効果になると思うのですが、体制が整っていないと、それを迎え入れた先生に物すごく負荷が掛かって、結局研究力が落ちるという可能性もあるので、日本の研究所で一番足りないのは、外国人がいて、非常にそれをサポートできるようなスタッフの数が少な過ぎますよね。だから、そこら辺は十分留意した方がいいと思います。非常に背伸びして、いい先生が来るということは、若手にとっても非常に大きな効果なのだけれども、それを呼んだ先生にすごく負荷が掛かって、そのサポートばかりになっているということではだめなので、そのサポートの在り方というのはよくよく検討した方がいいと思いますけれども。
 以上です。
【稲永部会長】  ほかに。はい、どうぞ。
【相田専門委員】  留意事項としては、ここに書いていただいていることは当然だとして、そのほかの点なのですが、きょうの議論にいろいろあったように、全ての面において多様性がすご過ぎると思うのです。つまり、分野もすごく違うし、それから一つ「国際化」という単語に対しても、それが意味することも人によって多分イメージが随分違う。なので、本当に世界的な拠点を作ることを「国際化」と言うのか、世界的な装置を備えることを「国際化」と言うのか、それとも事務的な支援体制が国際化することを「国際化」と言うのかだけでも、どのようなことを具現化しようとしていくのかが全く違ってくると思うのです。
 それから、分野に関しても、例えばNISTEPの解析でもあるように、宇宙物理の大きな分野というのはもう既にいわゆる国際化は当たり前であって、さらに国際化しようとするのかという議論だと思うのですが。分野によって、さらに本当にいわゆる国際化が必要な分野があるでしょうし、分野によっては、「国際化」という言葉を使うよりはもっと違う言葉が必要な分野もある。それを皆さんは承知の上で、だけれども全体的に「国際化」という単語だけで議論しなければいけない。だから、非常に分野も多様化、それから中身も多様化、多様化掛ける多様化ですごい状態で、でもなおかつ、さらに日本全体の底上げをするためにはトップをもっと高めなければいけないということで多分こういう議論をしていると思うので、それで留意しなければいけない点としては、先ほどの拠点の評価にも関係するのですけれども、アウトカムが大事だということはもちろんなのですが、それはやはり現状との差を見るべきではないかと思うのです。既に高いところをほんのちょっと高くして「高いです」と言うのか、「今このくらいのものがこんなに高くなります」と言うのかによって、日本全体の底上げ度が随分違ってくると思うのです。なので、アウトカム・アウトプットを測るときには、現状との差ということで、どのくらいそれがより高くなるかという視点も必要ではないかなと思います。
【稲永部会長】  ほかにも御意見はありますか、留意事項に関して。ここにも書かれていますが、前回松本委員が言われた、ネットワーク化ということは、非常に重要な視点だと思います。というのは、現在ある共・共拠点は、規模感で見ますと非常に小さくて、ここを国際化しろといってもなかなか難しい。でも、中身は国際化、国際拠点化してもいいものがありますから、こういうものはある一つにグルーピング化して、国際拠点化させていくということもありますので。この留意事項についても今後議論を進めていきたいと思いますが、ほかにどうしてもというご意見はございますか。龍委員。
【龍専門委員】  「国際化」という言葉をもう使わない方がいいのではないかと、永田委員からもお話がありましたけれども、結局、世界が必要とされている拠点を強化していくということですので、「国際拠点化」とか、ちょっと「国際化」というのは非常に曖昧な、やわらかい表現過ぎるのかなと思います。この文章の中でもそういう気がしました。
【稲永部会長】  「国際拠点化」という言葉については、皆さんはそういうことを念頭に置いて発言されているのではないかと思いますので、そういう方向で使っていきたいと思います。ただ、ここからこぼれてしまう大事なことがあれば、また今後その中に入れ込んでいくということで進めていければと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。きょうで議論が終わりということではありませんので、きょうのところはこの辺にして、事務局でまたまとめていただいて、整理していただければと思います。
 その次のことに移りたいと思います。ロードマップに関してですが、先月末、7月28日に学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会において策定されましたロードマップ2017について、作業部会の主査の小林委員から御紹介いただければと思います。
【小林臨時委員】  私から、本部会に置かれております学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会が先月末に策定いたしましたロードマップ2017について報告させていただきます。皆様は資料3を御覧いただければと思っております。
 今期、第9期になりますけれども、作業部会の主査を務めましたので、ロードマップの取りまとめを行わせていただきました。
 表紙と目次をめくっていただいて、上から4つ目のパラグラフを御覧いただきたいと思います。本作業部会では、日本の研究者コミュニティーの代表機関でございます日本学術会議が取りまとめたマスタープランが示す学術的研究意義の高い大型プロジェクトのうち、推進に当たって優先度が高いと認められるものを選定して、ロードマップとしておおむね3年ごとに策定いたしております。
 その次に、4ページ目、一番下のパラグラフを御覧いただければと思っております。ロードマップの策定意義というところになりますけれども、その果たす役割をまとめております。5ページ目にまたがっておりますけれども、過去のロードマップと同様の考えが示されておりますが、5ページ目の最後の4)のところ、国際協力の促進を図るというところを新しい考えで盛り込んでいるところであります。
 それから、6ページ目の(4)学術研究の大型プロジェクトの推進方策の改善の方向性を御覧いただきたいと思います。今回のロードマップ策定に先立ちまして、今年の3月、作業部会で、これまでの大型プロジェクト推進状況を踏まえて、どのように改善を図るか、方向性を取りまとめました。丸1のロードマップ策定の方針にありますとおり、今回のロードマップ策定から、前回とは異なりまして、選定対象を拡大するとともに、前回まではその学術会議のマスタープランを見て決めていたわけですが、予算計画とか人員計画とかということが分からなかったので、こちら側の作業部会で書面審査というのを導入いたしまして、かなり細かな書面を出していただきまして、書面審査をして、ヒアリング対象を大幅に絞りました。具体的には、65件から20件程度に絞ったという形になります。そのプロセスの精緻化を図ったところであります。
 その次に、7ページから8ページの(2)作業部会における審議を御覧いただきたいと思います。最終的には、マスタープラン2017は、65計画から7計画を選定いたしました。前回のマスタープラン2014が11計画であったことから、さらに厳選して選定したものであります。8ページ目、下から4つ目の「・」にありますとおり、改善の方向性を踏まえて、特に計画の着手、具体化に向けて緊急性・戦略性が認められるものを従来にも増して厳選した結果ですので、これらが様々な形で予算化されるということを強く期待するものであります。
 具体的な7計画はどれかというのは、15ページから16ページの別表を御覧いただきたいと思います。ここにその最終的に選定した各7計画が記載されております。各計画に対して、計画推進上の基本的要件に関する評価1のところです。それから、計画推進上の優先度に関する評価、これが評価2というものです。並びに主な優れている点、課題・留意点をまとめて、各計画提案者にお伝えしたところであります。
 ページが戻って恐縮ですが、11ページを御覧いただきたいと思います。(3)大型プロジェクトの推進に向けてについて述べたいと思います。本ロードマップは予算措置を保証するものではありませんが、関連予算である大規模学術フロンティア促進事業については、先ほどお話しした改善の方向性とか、本ロードマップ策定に合わせて行ったパブリックコメントなどを踏まえて、マネジメント強化を図ってきております。今後、本作業部会において、推進中の大型プロジェクトに関する評価及び評価結果を踏まえた対応の厳格化、あるいは新たな大型プロジェクトの課題・留意点に関するフォローアップなどについて、具体的な方策を検討する予定であります。
 以上、簡単でありますが、ロードマップ2017について報告をさせていただきました。以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。莫大な予算が掛かるのではないかと推察されますので、最初に今後文科省はこのロードマップ2017にある計画についてどのように取り組んでいかれるのか、その辺のお考えを聞かせていただいて、そのあと質問、議論に移りたいと思います。
【西井学術機関課長】  私の方から、ただいま小林先生から御説明いただいたとおりでございまして、重複になりまして恐縮でございますが、ロードマップに掲載されました計画につきましては、平成24年度に創設されてございますフロンティア事業の中で幾つかのものが推進されてございまして、そのほか、運営費交付金とか、多様な資金を活用しまして国として推進させていただいているわけでございます。一方で、このロードマップに掲載されることをもって直ちに予算措置を保証するものではないということもロードマップに掲げられているとおりでございまして、今回掲げられてございます7計画につきましても、それぞれ計画ごとに課題が明記されてございます。これらの課題ないしは留意点につきまして、実施機関側において今後どういう形で対応されるかということにつきましてもしっかりと確認させていただいた上で、作業部会におきまして、今後どういった形でこの事業を進めさせていただくかということにつきましても引き続き御検討いただくように、私どもも取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
【稲永部会長】  それでは、御質問、御意見はございますか。横山委員も委員を務めておられますね。何かあれば。
【横山臨時委員】  御報告いただいたとおりでございまして、今回、非常に審査方法も変わって、皆さんから見ても非常に理解しやすい形に小林先生を中心に立て直していただいたと、大変ありがたく思っている次第でございます。
 一方で、7件という非常に絞った数は、文科省の御努力も大変な並々ならぬものだと思うのですが、期待が大きいだけに、その7件に係る期待の圧力もきっと大きくなるのではないかなと思っておりまして、今後、ロードマップが継続的にコミュニティーに対して貢献していくために、ロードマップの在り方というのはまだまだ議論が恐らく進展していくのではないかなと期待している次第でございます。
 以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 ほかに。小林委員。
【小林臨時委員】  一つ簡単に前回のロードマップ2014との違いを申し上げますと、前回は学術会議のマスタープランの重点・大型をそのままスルーして作業部会でヒアリングをしていました。それをやめまして、全部書類を出していただいて、年度ごとの予算計画・人員計画で、かなりそこで絞りました。と同時に、重点に入っていないものにも書類を出していただいて、マスタープランは全部で100ぐらい申請があったのですが、ヒアリング対象になったのは65で、重点には入らなかったのだけれども、ヒアリング対象になったものから、いいものは1件拾い上げました。これはCERNに関するKEKのものが1件拾われたのですけれども、何であれが重点に残っていないのかと非常に不思議なぐらいいいものでしたので、それを入れました。書類審査を入れたのは非常によかったと思います。今回は余り問題がなかったとは思います。
 しかし、これだけ絞りましたので、マスタープランというのは、あれはリストで、予算はないです。ロードマップは単なるリストではないと思うので、これは2014の場合、予算化されたのはSINET5と、あと最後、BSL-4が直前で予算化されました。そうすると、マスタープランと何が違うのだという意見がどうしても出てきますので、いろいろな御努力はあると思いますけれども、事務局におかれましては、是非とも何とか予算化に向けて御努力をお願いしたいと、強くお願いをさせていただきたいと思います。
 あと1件だけ、ちょっと補足をよろしいですか。
【稲永部会長】  どうぞ。
【小林臨時委員】  ロードマップには載らなかったものなのですが、マスタープラン2017の65計画で、実は目的が研究基盤の整備であったので、ロードマップの趣旨とは違うということでロードマップ2017には載らなかったのですが、学術研究を着実に推進する観点から日本として適正に対応すべき計画という意見が非常に多く出たものが1件だけありましたので、それだけちょっと御紹介させていただきたいと思います。
 それは、電子ジャーナル・バックファイル等へのアクセス基盤の整備という計画です。これは、電子化が進む学術誌などのアクセスを継続的に保証するためにセーフティネットの整備を促進するもので、NIIなどと関係があるのですが、諸外国が国レベルで対応しているわけです。これは物すごく値段を急に上げてきますので、日本は各大学で対応している。具体的な一例を言いますと、韓国は一斉に国レベルで、つまり各大学が交渉するのをやめる。韓国として国単位で契約する。それを認めないのだったら一切契約しないと、それぐらい強く出てやったものです。日本もそれをやるべきだといった、これは非常に必要なものなのですが、内容が研究ではないので、ちょっとロードマップの趣旨とは合わないので載せなかったのですが、これは非常に必要であるという意見が作業部会で強くあったということだけ御紹介させていただきたいと思います。
 以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。また、これについては質問、議論のチャンスもあるかと思いますので、きょうのところはこの辺にさせていただきたいと思います。
 それでは、最後に本部会における今後の検討課題及び今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いします。先ほども委員の一人から、タイムテーブルをきちんと示していただきたいという声もありましたので、その点も含めてよろしくお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  それでは、お手元の資料4を御覧ください。本来、第9期が始まる冒頭などにこのような説明をきちんとさせていただくべきだったのですが、研究環境基盤部会における今後の検討課題について、今整理させていただいているものを説明させていただきます。
 第8期の意見の整理におきまして、第9期において検討課題として挙げられた事項は3つございます。1つ目は、今御議論いただいております研究の国際化の推進の在り方でございます。これにつきましては、次回までに本日の御意見などを踏まえて取りまとめの案を作らせていただきたいと思っております。
 その後でございますが、2点目にございます第4期中期目標期間に向けた各機構法人・大学共同利用機関の在り方について、議論を進めていきたいと思っております。
 また、3点目として挙がっておりますのが、共同利用・共同研究体制、特に異なる組織や機関の間での共同研究推進における知的財産の管理の在り方がテーマになってございます。こちらにつきましても、1点目の議論終了後、順次議論を進めていきたいと思っております。
 次回の基盤部会につきましては、9月下旬又は10月上旬の開催を予定しております。改めて御連絡し、日程調整をさせていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【稲永部会長】  それでは、本日の議事はこれで終了としたいと思います。
御協力ありがとうございました。

―― 了 ――

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