総務省「平成16年科学技術研究調査結果の概要」について

平成17年5月31日
科学技術・学術政策局
調査調整課

1 調査の概要

 この調査は、我が国における科学技術に関する研究活動の状況を調査し、科学技術の振興に必要な基礎資料を得ることを目的に、昭和28年より総務省が毎年実施している統計法に基づく指定統計調査である。

(1)調査の対象

企業等(資本金1,000万円以上の会社及び特殊法人等) 約13,000客体

非営利団体・公的機関(国・公営の研究機関、研究型特殊法人・独立行政法人等) 約1,500客体

大学等(大学の学部、短期大学、高等専門学校等) 約3,000客体

(2)調査事項

 各組織別の研究費、研究関係従業者数、技術貿易等

(3)調査の時点

 研究関係従業者数等については平成16年3月31日現在。研究費等については平成16年3月31日又はその直近の決算日からさかのぼる1年間の実績

2 調査結果の概要

主なポイント

○ 研究費

  • 総額は対前年度比0.8パーセント増の16.8兆円で4年連続の増加。対GDP比は変わらず。
  • 組織別では、企業等が増加する一方、非営利団体・公的機関、大学等は減少。
  • 政府負担額は減少する一方、民間負担額は増加。

○ 研究者数

  • 総数は対前年比4.0パーセント増の78.7万人。
  • 女性研究者の割合は、11.6パーセントと前年より0.4ポイント増加。特に企業等で大きな伸び。

(1)研究費関係

○ 研究費総額

  • 平成15年度の研究費は、4年連続の増加で過去最高となる16.80兆円(対前年度比0.8パーセント増)となり、研究費の対GDP比は過去最高だった前年度と横ばいの3.35パーセント。
図表1 研究費総額及び対GDP比の推移

研究費総額及び対GDP比の推移のグラフ

○ 負担源別研究費

  • 政府負担額は3年連続で減少(3.45兆円→3.39兆円:対前年度比1.7パーセント減)する一方で、民間負担額は増加(13.16兆円→13.36兆円:対前年度比1.5パーセント増)。
    この結果、研究費総額に占める政府負担割合は前年度に比べ減少(20.7パーセント→20.2パーセント)し、対GDP比も低下。
図表2 政府及び民間研究費負担額・政府負担割合の推移

政府及び民間研究費負担額・政府負担割合の推移のグラフ

○ 組織別使用研究費

  • 「企業等」が使用した研究費は、4年連続増加となる11.76兆円(対前年度比1.6パーセント増)で、研究費全体の70.0パーセントを占める。「非営利団体・公的機関」は3年連続の減少(同1.9パーセント減)、「大学等」は前年度の増加から減少に転じた(同0.6パーセント減)。
図表3 組織別使用研究費

組織別使用研究費の表の画像

○ 資金の流れ

  • 負担者側からみると、企業等の研究資金は、ほとんどが企業等の内部で使用され、政府負担の研究資金は、主に公的機関(42.1パーセント)と大学等(48.5パーセント)へ供給。
  • 使用者側からみると、企業等の使用研究費のほとんどは自己資金により、公的機関は政府資金により、大学等の使用研究費は政府資金と自己資金により、それぞれまかなわれている。
図表4 資金の流れ

資金の流れの図

○ 外部支出研究費

  • 会社の社外支出研究費は引き続き増加し、1.69兆円(企業の社内使用研究費に対する割合:13.5パーセント→14.4パーセント)。
  • 使支出先では、企業等から海外の研究機関等へ支出した研究費は、前年度比27.5パーセント増の1984.9億円。国内の大学等が会社から受け入れた研究費は、前年度比7.2パーセント増の834.3億円。
図表5 会社における社外支出研究費の推移

会社における社外支出研究費の推移のグラフ

図表6 企業等の外部支出研究費の支出先

企業等の外部支出研究費の支出先のグラフ

○ 大学等の研究本務者1人当たり研究費

  • 前年度に比べ、大学等の研究費は減少する一方、研究本務者数は増加したことから、研究本務者1人当たり研究費は1,248万円と対前年度比2.0パーセント減。
図表7 大学等の研究本務者1人当たり研究費

大学等の研究本務者1人当たり研究費のグラフ

○ 性格別研究費(自然科学(理・工・農・保健)に使用した研究費)

  • 総額では、性格別研究費の構成割合に大きな変化はなし。基礎研究の割合は、「企業等」、「大学等」で増加し、「非営利団体・公的機関」で減少。
図表8 性格別使用研究費の割合(組織別)

性格別使用研究費の割合(組織別)のグラフ

図表9 基礎研究の割合の推移(組織別)

基礎研究の割合の推移(組織別)のグラフ

○ 特定目的別研究費

  • 特定目的別(第2期科学技術基本計画の重点分野に準拠)に使用した研究費をみると、「情報通信」が最も多く2.49兆円(総額に占める割合14.8パーセント)、次いで「ライフサイエンス」が2.08兆円(12.4パーセント)と続いている。
  • 前年度と比較すると、「ナノテクノロジー」、「物質・材料」分野は大きく増加し、「宇宙開発」は大きく減少。
図表10 特定目的別使用研究費(組織別)

特定目的別使用研究費(組織別)の表の画像

(2)研究関係従業者関係

○ 研究者

  • 平成16年3月末現在の我が国の研究者数は、対前年比4.0パーセント増の78.7万人。
  • 女性研究者数を研究者実数(頭数値)でみると、対前年比8.4パーセント増の9.6万人となり、その割合は2年連続で過去最高を更新(11.2パーセント→11.6パーセント)。組織別には、「企業等」で対前年比19.8パーセント増と特に大きく増加。
  • 研究者実数(頭数値)でみた博士号取得者の割合は、前年より0.4ポイント減少して15.6パーセント。
図表11 研究者数及び女性研究者の割合の推移

研究者数及び女性研究者の割合の推移のグラフ

○ 研究者の異動状況

  • 平成16年3月末現在の研究者総数(実数)のうち、新規採用者の占める割合は3.7パーセントと前年から横ばい、転入者の占める割合は4.2パーセントと前年より0.2ポイント増加。転出者数の研究者総数に対する比率は、5.9パーセントと前年より0.1ポイント増加。
図表12 研究者の異動状況

研究者の異動状況の表の画像

○ 研究支援者

  • 研究支援者(=研究補助者、技能者、研究事務その他の関係者)の数は、いずれも減少傾向が続いているが、研究補助者は5年ぶりに増加(対前年比0.5パーセント増)。
  • 研究者一人当たり研究支援者数は0.26人となり、前年から0.02人減少。
図表13 職種別研究関係従業者数

職種別研究関係従業者数の表の画像

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

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