専門分野 | 特性・特色 | 方向性・課題等 | |
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環境配慮材料(エコマテリアル)、環境適合設計(エコデザイン)、環境経営システム等 | ○ 循環型社会、持続可能発展という包括的、総合的研究分野。 ○ 日本は技術アプローチに優れている。 |
● 新分野なので研究費の確保が困難。 ● 日本はSTS(Sustainable Technology Strategy)=持続可能性技術開発に関する総合戦略を持つべき。 ● 日本はシステムアプローチが弱い。 |
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生態人類学 | ○ 地球生態学(生態人類学、環境人類学を含む)は、従来、自然系中心の研究(地球温暖化)か、経済学中心の開発経済学など社会系研究分野に特化したものとしておこなわれてきた。これは世界的な傾向である。 ○ 欧米では、政府主導型の研究とNGOなどを中心とした実践的な研究が主流であり、我が国では環境省、国土交通省、経済産業省などが環境問題の研究をリードしてきた。 ○ 昨今、里山論、ビオトープづくり、自然再生事業等を官学民の共同によりおこなう新しい動きが注目される。 ○ 環境問題の解決には統合・循環・接合・ネットワークなどのアプローチによる分野横断型の研究が不可欠であるが、そうした研究に資するための、自然系と人文・社会系を統合した実績は達成されているわけではない。ある特定の地域に特化した研究があっても、それの普遍的な位置づけはまだまだの現状にある。 ○ 今後、日本が取り組むべき課題として、全世界的な水問題、二酸化炭素排出規制などグローバルレベルに対応する研究と、今後の中国の動向を踏まえたアジアに焦点をあてた地域的な研究が是非とも必要である。長江の洪水や東シナ海の汚染、工場の排出する有害物質などが日本に与える影響(酸性雨、日本海の汚染、食料の安全保障)は多大であり、日本の国家的な環境政策とも連動する重要な課題である。 ○ 日本が輸入するさまざまな天然資源や食料が、生産の現場である中国や東南アジア、世界の熱帯林、サンゴ礁などでどのような問題を引き起こしているかを詳細に分析することが、日本の立場と途上国の環境問題を相互に考えるうえで日本の研究の果たす役割を際だたせる。 |
● 「食と健康」の分野は自然系と人文系の融合分野であるが、還元主義的な研究のいきづまりが懸念される。 ● 生命現象の研究で、生き物の文化的な意味などについてまったく無知な傾向をもつ研究者があり、生命現象の複合性に関する研究が看過されているので、自然と文化の関係に配慮した研究推進を積極的に計るべきである。 ● 地域全体を共同研究で明らかにする地域研究は、かつて9学会連合が実施したが、個々の分野の寄せ集め的であった。真の地域研究にむけての新たな領域を開拓すべきである。 ● 環境関連の融合領域は今後とも重要になるであろう。 ● 伝統工芸、職人の文化に関する研究は地味であるが、日本の文化を継承していく上で進めるべき分野である。 ● 地域にある在来の知識や技術についても、経済中心主義、大量生産主義により急速に失われつつあり、遺伝学(農学分野)、民俗学などの共同作業が有効な結果を多数生み出す可能性をもつ。 |
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○ 生態人類学や新しい地球環境学は、本来的に還元主義ではなく、自然と文化の相互作用を統合的に把握する点に大きな特色があり、研究の視点についても時間・空間的な比較を重視することと、集団をとらえるさい、民族(ethnic group)の概念を重視する。 ○ この観点は、環境や自然への認識が民族により異なるという理解につながるものであり、自然と文化の多様性を統合的にとらえるうえで、政治生態(eco-politics)とでもいえる新しい研究の中核となる可能性を秘めている。政策立案面でも注目すべき分野と考えられる。 ○ 物質文化やモノの研究は、民具研究や博物館中心に進められてきた。 |
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生命倫理 | ○ 生命倫理分野はその実践性にかんがみれば、理系(生命科学・医学)に加えて、人文社会系の関連分野、たとえば法学、経済学、社会学、心理学、などとの連携を考えるべき学際的分野である。 | ● 生命倫理は、理論的学問としての生命倫理学と、倫理規範策定や日常の研究・医療の現場での倫理問題の解決という生命倫理の実践との間でやや乖離がある。 ● 生命倫理は、欧米と較べて生命倫理学の研究者が社会に向かって発言することは多くない。 ● 生命倫理の理論研究は外国文献研究型が多く、日本独自の倫理観、生命観に基づく生命倫理理論は必ずしも育っていない。 ● 生命倫理学会もまだ年が若く、学会員はおよそ1000名を擁するが、研究方法論的に必ずしも十分に確立していない部分があり、今後の発展が期待される分野である。 ● これまでの研究分野を越えて研究組織を広げることは用意ではないので、そのためのインセンティヴを広い範囲で考える必要がある。 |
研究振興局振興企画課学術企画室