5.重点化及び整理・合理化・削減の進め方

(注)以下、本章においては、「業務」は独立行政法人、国立大学法人等における運営費交付金による科学技術関係の取組、「施策」は運営費交付金以外の資源による科学技術関係の取組を指す。

 国の資源を活用して科学技術関係の施策又は業務(以下、「施策等」という。)を推進する場合には、当該施策等に関わる者は、その内容や成果を社会に対して説明するとともに、投入する資源から最大限の成果を得るよう努力する責務を負っている。このため、限りある資源を効果的・効率的に活用する科学技術システム改革や府省間の縦割りによる弊害排除・連携強化に取り組む必要がある。加えて、施策等の企画に当たっては、その必要性や有効性等を見極め、研究開発課題のスクラップ・アンド・ビルドを含めて、必要な整理・合理化・削減を行う。また、科学技術分野における構造改革を目的としてこれまで取り組んできた、企画(PLAN)、実行(DO)、評価(SEE(check、action))のプロセスについて、更なる進化・徹底を図る。

(1)各府省における取組

  • 「科学技術基本計画」、「分野別推進戦略」、「科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」等に従い、各府省において政策・課題を設定し、それを「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)とともに、大綱的指針及び各府省で策定された指針に沿って厳正に評価し、施策等の重点化及び整理・合理化・削減を行った上で概算要求に反映。
  • 特に、評価に当たっては、外部専門家・有識者により、新規施策等については、関連分野における当該施策等の位置付けや関連施策等の整理・合理化・削減について客観的に十分に検討し、継続施策等については、内外の情勢変化や計画の進捗に即して客観的に十分に検討し、改廃を含めた施策等への反映を徹底して行うこと。また、府省連携施策等については、府省が連携して評価を行う等、工夫に努めること。

(2)総合科学技術会議における取組

1.研究開発の評価

  • 国の科学技術政策を総合的かつ計画的に推進する観点から、総合科学技術会議において大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発の評価を行い、その結果を公開するとともに、評価結果を推進体制の改善や予算配分に反映。
  • 評価の対象は次のとおり。
    • 大規模新規研究開発
       新たに実施が予定される国費総額が約300億円以上の研究開発
    • 総合科学技術会議が指定する研究開発
       総合科学技術会議が以下の視点等から評価の必要を認め指定する研究開発
      • 科学技術や社会経済上の大幅な情勢変化が見られるもの
      • 計画の著しい遅延や予定外の展開が見られるもの
      • 社会的関心が高いもの(倫理、安全性、期待、画期性等)
      • 国家的・府省横断的な推進・調整の必要が認められるもの
  • 評価の方法は、評価専門調査会が、必要に応じて外部の専門家・有識者を活用し、府省における評価結果も参考として調査・検討を行い、その結果を受けて総合科学技術会議が評価。
  • 継続中の研究開発については、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員を中心に各府省等における概算要求前の中間評価の実施状況を取りまとめ、大綱的指針に基づき適切な時期に中間評価を行っていない研究開発については、各府省に適切に評価を実施するよう求めるとともに、評価の結果やその反映状況等については、後述の優先順位付け等に活用。

2.科学技術関係施策の優先順位付け等

 限りある資源を活用して、新たな知の創出や経済・社会の発展につながるような質の高い科学技術を推進するためには、「選択と集中」の考え方により、不必要な重複や府省の縦割りによる弊害を排し、研究開発資源を更に効果的・効率的かつ計画的に配分しなければならない。そこで、真に重要な施策等に研究開発資源を重点的に配分した科学技術関係予算の確保を図るため、平成17年度概算要求において、各府省の科学技術関係施策全体について十分に把握・俯瞰した上で、外部専門家の助言を得つつ、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員を中心として優先順位付けを行う。また、併せて当該施策に係る留意事項を取りまとめる。

 独立行政法人、国立大学法人等については、業務の実施に当たって自律的・自発的運営が行われることを踏まえつつも、科学技術政策における重要性と活動規模の大きさにかんがみれば、各法人における科学技術関係業務を国の施策全体と整合して推進する必要がある。そこで、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員が、科学技術に関する全ての独立行政法人、国立大学法人等の平成17年度の科学技術関係業務の概要を把握する。その上で、
 (a)下記の「1)対象」のうち、主要な業務について、これら業務の優先度、関連する施策等との重複や連携等について検討して見解をまとめる。
 (b)独立行政法人のうち、一定規模以上のものについては、下記の「1)対象」に該当する業務がない場合においても、主たる業務を対象として、(a)と同様の検討を行い、見解をまとめる。
 (c)国立大学法人等については、教育研究の特性への配慮など国立大学法人等の自主性・自律性に充分配慮しつつ、主たる業務に対し、関連する施策や独立行政法人における主たる業務との連携等を検討して、見解をまとめる。
 なお、こうした検討に際しては、各法人の特性に配慮するとともに、外部専門家の助言を得る。

1)対象

 優先順位付け等の対象範囲は、基本的に、概算要求額又は業務規模(見込み)が、(イ)1億円以上の新規施策等、及び(ロ)10億円以上の継続施策等、とする。ただし、以下の経費に係る施策等については、原則として対象としない。

  • 人件費、調査研究費、制度運営のための管理費
  • 国庫債務負担行為の歳出化経費

 なお、対象外とした施策等について、各府省から要望があれば対象とすることを検討する。

2)観点

 優先順位付け等の検討に当たっては、各府省における評価の結果やその反映状況等を含め、各府省の考えを十分聴取しながら、分野・事項を横断し、以下の観点を含む総合的な見地から実施する。

  • 必要性:国にとって必要であり、現時点で国が関与しなければ実施ができないものか。
    • 国が関与する理由
    • 我が国の科学的・経済的・社会的ニーズの反映
    • 国際的視点からの必要性(世界的な研究動向、知的財産の形成、国際市場の創造等)
    • 分野別推進戦略等総合科学技術会議の各種意見具申をはじめとする各種政府方針との整合 等
  • 計画性:目的を実現するための手段・体制が計画として適切か。
    • 具体的な目標の明示
    • 推進体制の適切性(研究・制度を総括する責任者、産学官の連携等)
    • 関係府省との分担、連携
    • 類似又は関連する施策等との分担、連携
    • 実施方法の妥当性(フィージビリティスタディを行うべきではないか等) 等
  • 有効性:期待される成果を、期間中に得られる見込みがあるのか。
    • 達成すべき目標の妥当性、目標の達成度
    • 必要経費、投資計画の妥当性 等
  • 効率性:期待される成果は、投資に見合うものか。
    • 費用対効果
    • 期待される成果の科学的、経済的、社会的影響
    • 成果の波及性 等

3)結果

 科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員が、次の区分で施策の優先順位を付けるとともに、その理由や留意事項を明らかにする。
 S:特に重要な施策であり、積極的に実施すべきもの
 A:重要な施策であり、着実に実施すべきもの
 B:問題点等を解決し、効果的、効率的な実施が求められるもの
 C:研究内容、計画、推進体制等の見直しが求められるもの

 優先順位、その理由及び留意事項については、各府省からの意見を十分聴取した上で、10月中旬を目途に決定し、関係各府省に伝達するとともに原則として公表し、総合科学技術会議に報告する。
 独立行政法人、国立大学法人等については、優先度等の検討結果を踏まえて見解をまとめ、当該法人の主務省に伝達、原則として公表し、総合科学技術会議に報告する。
 また、優先順位付けの結果を十分に踏まえた予算編成が行われるよう、必要に応じて財政当局と連携を図る等適切な対応を行う。

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