3.科学技術システムの改革

 研究開発資源の重点配分に対応し、優れた研究成果が生み出され活用されるよう、以下の科学技術システムの改革を行う。

(1)更なる競争環境の醸成及び整備

1.競争的研究資金の改革及び拡充

 創造的な研究開発活動を推進するために必要な競争的研究資金については、その効果を最大限に発揮させるため、「競争的研究資金制度改革について」を取りまとめ、その改革に取り組んできたところ。引き続き、改革を徹底しつつ、基本計画に基づく早期の倍増を目指し、重点的に拡充。

  • 以下の改革を着実に実施。
    • 研究計画の内容を重視した審査
    • 適切なプログラムオフィサー(PO)・プログラムディレクター(PD)の配置
    • 実態を勘案しつつ、主要制度における本省の配分機能の独立した配分機関への移行
    • 重複申請の把握・不合理な重複申請排除を可能とする申請等の電子システム化等
  • 競争的研究資金の大半が大学研究者に配分されていることから、大学の研究費に対する財政資金の在り方を俯瞰しつつ、大学改革や研究者のキャリアパスの再構築と一体的な取組を、平成18年度以降、本格的に推進。
  • PD会合の開催等を通じて、適切なフォローアップ及び全体調整を実施。

2.大学改革の推進

 平成16年4月の国立大学の法人化をはじめとして、国公私立大学における改革が新たな段階に入ったところ。世界最高水準の研究教育拠点を目指し、取組を推進。

  • 人事や処遇等についての競争的環境の拡大と教員の資質向上、研究教育の特色ある取組の推進等国公私立大学における改革の推進。優れた研究教育機能を確立できるよう資源を配分。
  • 若手研究者が任期付の形態で、独立した研究者としての経験を積んだ上で、厳格な審査を経て任期を付さない職を得る制度の導入を奨励するとともに、優れた人材が活躍できるよう、任期制及び公募の活用等により、人材の流動化を促進。
  • 地域・産業界等社会との連携強化、世界水準の研究型大学としての発展等、各大学の特色を活かし、社会の期待に応え使命を達成してゆけるよう、適正な評価に基づき資源を配分。
  • 優れた水準の研究・人材育成が可能な大学に対し、その基本的使命・特性を踏まえつつ、設置形態に制約されない競争的な資源配分を拡充。
  • 私立大学における科学技術関連研究施設については、効果的・効率的な整備を推進する中で、優れた研究施設の整備に対する補助等について優先的に配分。

3.大学等の施設整備

 大学院や卓越した研究拠点等の施設整備は比較的進捗しているものの、老朽化した施設の改善を中心に、更なる施設整備を推進。

  • 基本計画の最終年度であることを踏まえ、優れた研究施設の計画的な整備を着実に実施。

(2)優れた成果の創出とその社会への還元

1.産学官連携の推進

 技術移転機関(TLO)の創設や制度の弾力化等の改革が進展しているところ。引き続き、経済・社会的需要を意識した産学官連携を実現する体制を強化するとともに人材を育成。

  • 大学、公的研究機関等における産学官連携や知的財産の管理・活用を推進するための体制を強化。研究成果を積極的に発信するとともに、産学官のマッチングによる研究開発を推進。
  • 修士課程学生を中心に、比較的長期間のインターンシップを通じて実践力向上等を図る仕組を構築。
  • 博士課程学生が産業界における研究開発を体験して視野を広げる機会や、ポストドクターが産業界との共同研究等において明確な位置付けを持って研究開発に従事できる機会を整備。

2.研究開発型ベンチャーの振興

 創業支援税制の見直しや倒産法制の整備等様々な施策を実施してきたところ。引き続き、研究開発型ベンチャーの創出と育成に向けた取組を推進。

  • 起業家及びその支援者輩出のための環境整備
    • 起業教育の普及等の環境整備
    • 起業を容易にする制度設計(最低資本金規制特例、有限責任の人的法人制度(LLC制度)の早期創設)
    • 起業家育成機能の強化
  • 起業時、初期段階における支援
    • 公的機関によるファンド出資を活用した政策的観点からの集中的・重点的投資と創造支援型ベンチャーキャピタルの育成
    • 補助金制度の改善・充実(前払い、通年公募、経理事務の合理化等)
    • 大学、公的研究機関、官公庁における調達の促進

3.知的財産の戦略的活用

 知的財産立国の実現のため、大学等が取り組むべき基本方針を策定し、「知的財産推進計画」に反映したところ。その具体化に向けた取組を推進。

  • 大学等における知的財産の管理・活用を推進するための環境整備。
    • 特許、研究マテリアル、デジタルコンテンツ等の研究成果の原則機関帰属化の推進
    • 適切な特許関連費用の確保
    • 知的財産取扱ルールの明確化等
  • 大学等の研究成果の円滑な技術移転体制の整備
    • 技術移転機関(TLO)及び大学知的財産本部の整備促進
    • TLOと大学知的財産本部等間での連携強化
  • 国の研究開発プロジェクト等における研究開発・知的財産権取得・標準化の一体的な推進
    • 研究開発の早期の段階から標準化活動を実施
    • 国際規格化に向けた積極的な開発・提案
    • 我が国発の技術の世界市場への普及促進

4.地域科学技術の振興

 公共事業依存型の地域発展から、科学技術駆動型の地域経済発展への移行を図ってきたところ。地域のニーズを踏まえて取組を一層加速。

  • 地域の中堅・中小企業等を中心とした、産学官連携等による多様で優れた実用化技術開発、特に、地域の独自性、特性を活かした研究開発課題等に対する国の支援を推進。
  • 知的技術革新・産業集積(地域クラスター)の形成の状況を踏まえ、地域におけるイノベーションの自律的発展に貢献する施策をより効果的に展開。

(3)各府省における研究開発評価システムの改革

 各府省は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成13年11月28日内閣総理大臣決定)(以下、「大綱的指針」という。)に基づき、評価に必要な資源を確保して評価体制を整備し、公正さと透明性を確保して評価を実施し、評価結果を資源配分に反映するよう努めているところ。引き続き、その徹底に向けた取組を推進。

  • 各府省が実施する評価に必要な資源の確保と評価体制の整備については、以下の点に取り組む。
    • 評価部門への研究経験者の配置
       評価実施主体は、評価体制を充実するため、評価部門を設置し、研究開発評価に関する知識を有し研究経験のある人材を適性に応じて配置。
    • 評価のための調査・分析体制の整備
       評価における判断の根拠を強化し、評価の信頼性・効率性を向上させるため、客観的あるいは定量的なデータの組織的収集・分析など、評価のための調査・分析体制を整備。
    • 研修等を通じた評価人材の育成
       研究開発評価の高度化を図るため、評価に関する専門的な研究及び研究者等の育成を推進、科学技術関係人材に対して評価の専門的研修・訓練等を実施して評価人材を養成。
    • データベースの整備
       評価者の選任や評価者の評価等の業務の効率化、研究開発の不必要な重複の回避等を図るため、研究開発とその評価に関する情報を収録したデータベースを構築・管理。
    • 電子システムの導入
       審査や評価の業務を効率化するため、申請者の受付、書面審査、評価結果の開示等に電子システムを導入。

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研究振興局 振興企画課