学術研究推進部会(第15回) 議事録

1.日時

平成19年2月22日(木曜日) 10時~12時

2.場所

霞が関東京會舘 「シルバースタールーム」

3.出席者

委員

 白井部会長、中西部会長代理、飯野委員、西山委員、伊井委員、家委員、水野委員

文部科学省

 徳永研究振興局長、藤木研究振興局担当審議官、戸渡政策課長、川上振興企画課長、森学術機関課長、磯谷学術研究助成課長、松尾研究開発戦略官、木村量子放射線研究推進室長、門岡学術企画室長 他関係官

オブザーバー

(外部有識者)
 平山英夫 高エネルギー加速器研究機構共通基盤研究施設長

4.議事録

(1)学術研究推進部会長及び部会長代理の選出について

 資料1に基づき学術研究推進部会の委員の紹介が行われた後、部会長の選出が行われ、白井克彦委員が互選により選出された。また、部会長代理として中西友子委員が白井部会長より指名された。

(2)学術分科会運営規則の改正について

 資料2‐1~2‐3に基づき事務局より説明後、本部会運営規則と公開の手続きについて、原案のとおり決定された。

(3)第4期学術研究推進部会の進め方等について

 資料3‐1~3‐4に基づき事務局より説明後、質疑応答が行われた。その内容は以下の通り。

【家委員】
 最初の徳永局長のご説明で私なりに少し理解できたつもりでいるが、私なりに解釈すれば、研究でもいろいろな分野があって、ある意味で競争的資金によって自由にアクティビティを担保しておけばいい分野と、それ以外に少し政策的にある種の特段の配慮が必要な分野というのがあって、この委員会ではその後者の少し政策的に特段の配慮が必要なものを議論するのかと理解したが、それで、どういう分野が挙っているかというと、人文社会という分野と、ビッグサイエンスの分野という非常に異質ないわば両極端なものが挙がっている。一方、特段の配慮ということになると、研究者というのはだれしも自分の分野に特段の配慮を望むものであるから、どういう分野を対象にするかかという議論をし出すと多分いろいろなものが出てくるだろう。たとえば、環境とか医療倫理といった自然科学と人文科学の複合領域の問題というのが出てくると思う。それらをどこまで採りあげるのか、本部会の開催頻度にもよると思うが、ある程度ターゲットを絞る必要があるのではないか。
 審議経過の前期のものを拝見すると、審議事項があまりに広がり過ぎて少し薄まってしまったのかという印象があるので、集中的にこれとこれを議論するということを最初にかなりフォーカスしたほうがいいかという印象を持った。

【白井部会長】
 従来は割におそらくフォーカスされていたと思う。かなり国としてやるべきような方向、割に大きいお金を要するものや非常に根本的なところ、あとは大きいプログラムのくくりでできたように私は受け取っている。
 ただ、人社系やそういうところからは例の21世紀COEなどもあったが、科研費は伸びているが、割に大きい競争的な資金が入ってきたところから、こういうやり方でほんとうにあそこに入らないというか、どうしても漏れてくる分野というのをどうしたらいいのだという意見が非常に強い出てきて、そこら辺からやや混迷の感を深くしているというところではないかと。
 ただ、この委員会で何でもできるわけではないというご意見はもっともだと思う。その辺も、ではどこら辺に焦点を当てて整理するかということだと。

【西山委員】
 新しく任命されたもので、過去の経過をあまり知らないのでダブっているかもしれないが、今回求められている議論の(2)のところ、「特定分野における学術研究の推進方策等について」とあるが、特定ということのとらえ方が非常に小さくとらえても特定であるし大きくとらえても特定だということになるので、これをもっと明確にする必要があるのではないかと私は思う。
 最近特に産学連携というキーワードが叫ばれているが、その昔は産学連携などがあると癒着だ等の批判があって、必ずしも産学連携というのはキーワードとして推進されていなかった時期がある。当時はそういうキーワードはなかったにもかかわらず、必要なことでは産学連携がかなり行われていたという実態があるように思う。
 私は産業界にいて思うのですが、大学の本質的なミッションというのはやはり真理探求と基礎研究にあって、応用研究をやってはいけないわけではないが、ともすると産学連携ということで大学が産業化をどうしようか等ということに寄り過ぎると本来の大学のミッションが外れていく。産業界は必ずしも産業寄りにやってくれということは申し上げているつもりはなくて、本来的に基礎研究をやっていただきたい。基礎研究といえども競争原理は働く。基礎研究者同士は世界で渡り合って競争していると私は思っているので、基礎研究をやっているから競争と無関係であることはないと思う。
 要するに、基礎研究をやっている人はその分野では1番になりたいからやっているのでしょう。その先生にしかわからない競争相手がいると、トップに立とうとする。外野の人は大体その分野については2流か3流であるから、その先生がどんな思いでやっているかというのは多分理解できないと思う。わかりやすく言うと、小柴先生がノーベル賞をもらったけれども、小柴先生はやはりアメリカのトップの人と渡り合っていて、一番槍を上げたいということで競争意識は並外れて強かったからこそ勝ってトップに立つことができた。基礎研究のあり方というのはそういう部分はやはり競争はあるが、今議論されている競争的資金の考え方とは少しそぐわない。
 したがって、基礎研究というのは基本的には政策的な要素が強くて、競争的資金をそこに当てるということについては少し違うと私は思っていて、どの政策でどのくらいの割合でこれをやるかということは国として非常に重要で、本来的に国として議論しなければいけないことだと思う。それは取り上げるべきだと思う。これが1点である。
 2点目は、日本は、アメリカやヨーロッパと比べて、学際融合的なことが非常に弱い。ともすると縦型になり過ぎて、横断的なコミュニケーションが非常に弱いという問題点を抱えている。これは日本の欠点である。したがって、学際融合的なことをどうこれから取り扱っていくのかというのがこの分科会の特徴になるのではないかと私は思う。
 例えば、いっとき日本の人工衛星がよく落ちたが、ああいうことがあってはならないので、3にあげれれているような特定大型プロジェクトは国策でやるのに適している分野であって、それは今明快に続けられて進歩している。これについてはこの方法がよろしいのではないかと思っている。(2)の総論は私はその通りと思っている。
 それから、1、これももちろん推進しなければいけないことは明快であるが、何のために推進するのか。人文学と社会科学の先生が推進してくれと言ってるから推進するようなものではないのではないか。やはり日本が日本国たる根源的なことを問われる際に、その骨格は何かと言うことではないか。もちろん、自然科学も大事であるが、日本人の考え方やアイデンティティを養う骨格はやはり人文学と社会学に依存していると思う。その上に立って自然科学というのが存在していると思う。
 その昔は哲学ということで人文・社会科学と自然科学は一体だったわけだが、今は分化してしまっている。、その根源はどちらにあるのかというと自然科学よりも人文社会学にあるということで、これは国の基盤的なことを取り扱う分野だという認識が必要であって、これを取り分けてやるというのは(2)の中の重要な事項だと私は思う。
 今度は2についてであるが、別途委員会をやるか、人文と社会でやるかどうかはテーマによると思うが、自然科学とまたがった複合領域を、人文社会学単独でできるわけがないということは書いているとおりであり、別途でやるというのはむだで、一緒にやらなければ意味がないことである。
 あえて言うなら、ステップとして、別にやる場合は存在しているかもしれない。人文社会学から見て、環境はどう整理されていると見るか。自然科学に対してはどう見るかということを人文・社会科学から主張する段階があってもいいのではないかと思う。一方、自然科学からはこう見ていて、人文・社会科学にはこういう要求をしているというのが別途あった後、ステップ2で自然科学と人文・社会科学が融合してやるという段階があるという状態での別途は存在すると思うが、ゴールは同時に両方が相寄ってやらなければ意味のないことだと思うので、別にやるということよりも最初から一緒にやったほうが効率もいいし話が早いのではないかと私は思う。

【伊井委員】
 今、西山委員のおっしゃったことは非常に励まされた思いがします。私は人文学が専門なものであるから人文学の立場でしかわからないわけであるが、この研究推進部会が何をするのかというのはいろいろな分野があるわけで、これをどうまとめていくのかというのは至難の業だと思う。テーマをどう決めていくのかという点で。たまたま書いてくださっている人文学あるいは社会科学というのは、とりわけ近年の21世紀COEや、科研にしても競争の原理からどうしても外れてしまうのは人文学、社会科学の分野だろうと思う。
 研究環境基盤部会でもいろいろ議論されたように、大学において概算要求するときにはどうしても人文・社会科学は金額が低いものであるから、3番手、4番手になってしまって、大学としては推薦はなかなかしにくいというところで、できるだけそれも拾っていこうという研究環境基盤部会での方針があったが、現実にふたをあけると大学ではどうしても高額なものと、そして、自然科学のほうを優先してしまうというところがあって、人文・社会科学の日本全体での大学における研究環境は非常に閉塞感があると思う。
 しかも、今の世の中というのはどうしても人文・社会科学に対する要求というか需要が低くなってまいっているから、大学院を出てドクターを取っても就職がなかなか難しいという現実にある。非常勤講師で食いつながなくてはいけない等、ポストを得るまでがなかなか大変な状況にある。
 そういう先が見えない閉塞感というのがあるから、むしろ競争原理から外れているような人文・社会科学、理系の基礎的なものもそうであるが、サポートするようなシステムをぜひともここでは国策として推進していただきたいと思っているところである。
 確かに今度グローバルCOEや、あるいは、トップ30や、科研などもどんどん増えているところがあるが、競争すればするほど人文・社会科学は落ちてくるという現実があるので、ぜひそういう視点を踏まえていただくとありがたいと思っているところである。

【飯野委員】
 西山委員と伊井委員の先ほどのご発言に励まされた思いである。小さなリベラルアーツの大学にいて、お二人がおっしゃったことを最近とくにひしひしと感じている。ここで議論する場合に特定の分野を選ぶことは非常に難しく、それだけで1年も2年もかかるようなことではないかと心配なのであるが、大学の本来の使命は何かを考えて、学術研究の推進方策を考えていただけたらと思う。
 先ほど西山委員もおっしゃったが、教育の目標は100年先、200年先を見据えて考えるべきである。その将来、日本がどのような社会になるかを視野に入れて人間を育むこと、人間力、社会に貢献することのできる力を育むこと、それが目標で、すべての基本になる部分である。そこがおろそかになると、どんなに技術の点で優れた国であっても、人間力、判断力、生命力などが不十分な人間が育つことになる。リベラルアーツを打ち出している私どもの大学は、そのようなつもりで教育をしている。国には、そういうところにも目を配っていただけたらと思っている。
 もう一つ、学際融合的なことに西山委員が触れられたが、私も全く同感である。そのあたりは小さな大学では一生懸命努力しても、なかなか力が発揮できないところだと思う。学際的、国際的な研究が進められるように、目配りをするのが、国の力だと思う。

【中西委員】
 学術についての議論という問題は、科学技術・学術政策という面から考えると、まず科学技術をいかに伸ばしていくかという全体的な議論があって、そこから出てきたものだと思う。これからは技術が支えてきた社会のいろいろな要素が今までみたいに一本調子に伸びるわけではなく、どちらかというとフラットに近い状態になると予想されている。その平衡状態で人々が心にゆとりを持って安心して暮らしていけることを支える技術は何かということを考えていくと、やはり人文科学や社会科学が重要になってくるのだと思う。
 一方、日本としての科学技術は何が大切かということを考えると、西山委員もおっしゃったように、やはり外国のまねではなくて日本独自のものを伸ばすべきだと思う。その面から考えても科学技術と人文科学や社会科学とのかかわりということは切っても切れないものである。つまり、これからは日本人の持っている文化や考え方の特徴に基づいた科学技術に着目していくことが大切だということが背景にあるのではないかと理解している。
 そこで、日本の得意とするところは何かというと感性ではないかと思う。日本人は非常に感性が高いというか、何もないところから美しさを感じるように、感覚で理解できる世界が広いのではないかと思われるが、そういう感性の科学みたいなものをもっと取り入れていくと日本独特の科学技術を発展できるのではないかと思っている。これは一例ではあるが、他の面でも何が日本にとって独自でかつ大切な技術かということも考えていけたらと思う。

【水野委員】
 今まで先生方がおっしゃってくださったことに基本的に共感する。人文系は大きな競争的資金というものにはなかなか合致しない。特別推進研究や特定領域研究などの審査をしたが、いろいろと違和感を覚えた。巨大なプロジェクトを立てて申請してくるが、もっと少額でもいいと思えるプロジェクトも少なくない。全体が理科系にふさわしい仕組みになっていて、そのようなプロジェクトを立てること自体に人文系の場合にはかなり構造的な無理がある。ときには、国際シンポジウムばかりでお金を使うということになってしまいがちではないか。
 それから、先ほどもいわれたように、競争的資金に向く領域と向かない領域とがあると思う。ほんとうに産学連携でもうかるような領域であったら、これは私企業のほうで十分お金を出しても見合うような形でプロジェクトが組めるだろうから、それよりは、利益追求に向かないような基礎研究のところに国としての力を注いでいただきたい。
 そういう意味では、もっとも必要な公的支援は人材を育てることになるわけであるが、そのようなプロジェクト型のお金であると、その場で働く兵隊さんは雇えるが、将来的にその領域を担ってくれるような人材を育てるということが非常に難しくなってしまう。
 私は法律を専攻しているが、特に法科大学院の改革ではさまざま矛盾が吹き出していて、教師が疲弊しているということもあるが、なにより、院生たちがほんとうに優秀な人がもう学問の領域に残ってくれない、裁判官なり弁護士なり実務家のほうへ行ってしまうことが深刻である。また、司法試験の合格率も低く、その結果、いわば行き場のない高級ニートを製造してしまうことになりはしないかというのが現場で胸を痛めている問題である。研究職は高給ではなくても好きなことができて名誉が伴えば、ほんとうに優秀な人が残ってくれる職であるが、少なくとも安定的なポストでないと、どの領域でも良い人材は残らないだろう。研究職についてもらえるような将来的に安定したポストを確保していくということが必要であろうと思う。
 それから、今大きく舵をきって、実にこれまでとは違う形で文部行政の研究助成が動いているわけであるが、その中でいろいろとぎくしゃくしている失敗の例もあると思う。例えば、学際領域擁護という言葉は言われるが、昨年度、不正行為についてのガイドラインが連座制を基調につくられたことは、実質的には学際領域の研究を妨げるものであるように思う。研究者のコミュニティというのはお互いの信頼関係で動いていて、自分がやっているところは誠実にやるし、一緒にやっている人々も誠実にやっているに違いないということでまわっているわけであるが、不正行為についてある種の連座制という側面が出てきて、そうなると知らない人たちとは協力できない、顔がわかっていてほんとうに信頼できる人以外とは共同研究が組めないというチリング・エフェクトが既に現場では生じ始めている。
 大きく動かして舵をきったときに、どうもまずいことが起きたということになると、すぐに微調整をする、勇敢にまた舵を切り直すということで、絶えず波を見ながらかじを機敏に切っていただかないと困ると思う。
 なまじ文部科学省のお仕事をさせていただいているので、文部科学省の事務方の方々とお話をしたらとてもよくわかっていらっしゃっていても、それが末端のほうへおりてくると、これはある種の官僚組織の宿命なのかもしれないが、国立大学法人の末端などになれば、文部科学省が考えていないようなところまで非常に厳しく大学当局は考えるということがあって、ますます現場は動きがとれなくなるということもある。
 だからこそ、中枢ではなおさら、非常に柔軟に舵を切りながらこの荒波を乗り越えていっていただきたいと思う。これまでも言われてきたように、文科系にはこのような巨額なプロジェクト型の競争的資金は向かないのではないか。また、不正行為に対応しなくてはならない、そのときの対応も大変苦労をなさっていることはよくわかるが、それがチリング・エフェクトをもたらさないように絶えず勇敢に立ち止まったり後戻りしたり、そしてまた前へ進めるという形で運営をしていっていただければと思う。

【平山英夫 高エネルギー加速器研究機構共通基盤研究施設長】
 今もおっしゃられた今後考えていかないといけないことで少しここに入ってないという気がするのは人材の問題で、どの分野でも団塊の世代の問題というのが言われていると思うが、多分学術の分野も団塊の世代というのはやはりかなり大きな比重を占めていると思うが、その人たちが多分ここ数年の間にかなり抜けていく。
 一方で、その後継の部分が定常的に補充されていれば育成されていっているんだと思うが、特に大きなプロジェクトの中でやっていると抜けている部分が、途中がぽこっと抜けてしまってやっていけないという問題もあるし、そういう意味で、今後の学術をやっていく上でそういう人材の問題というのをかなり位置づけてやっていかないと、いろいろなことをやっても実際やろうとしたときにやっていけない。
 後で多分あるんだと思うが、例えばITER(イーター)の関連のところでも、そういう意味からもやはり人材の問題はどうやっていくのか、ほんとうに必要な人材が逆に言うと何かやろうとしたときにあるのか。放っておいてそれが育成できるのかみたいなのは、かなりこういういろいろな全体を考えるときに共通の問題として考えていく必要があるのではないかという気がする。
 今、水野先生が言われたように、例えばほんとうに優秀な方で残ってほしい方がたまたまいろいろな状況で残れない、あるいは、別なところに行ってしまって、そういう意味で人材としてなかなか蓄積していかない等という問題は非常に大きな問題。
 我々のところは今J-PARCということで東海のほうで原子力研究所として大型加速器をつくっているが、そこに経験のある方というとかなりもう大分前に定年退官された方が、その方が経験を生かさないと実際上のものづくりができないような状況にある。大きなものになるとつくった経験がなければなかなかできないみたいな問題もあるし、そういう今はまだ可能である知識なり経験なりそういう能力みたいなのをいかに次の世代に引き継いでいくかというようなこともぜひこのところでも考えていただければということで1つ意見を出させていただく。

【家委員】
 J-PARCとITER(イーター)が出そろったところで質問であるが、資料3-1の2ページ目に、それらに関する委員会の組織図がある。今期のこの推進部会でどう審議をするかということであるが、この組織図を今日議論するのかと思っていたが、これは今日はよろしいか。

【門岡学術企画室長】
 この組織図についてもご意見をいただければ、どう進めていくかというものとも連動するので、ご意見をいただければと思う。

【家委員】
 それでは質問であるが、この組織図の推進部会の下に一段クッションというか委員会を設けるという意図をご説明いただけるか。

【門岡学術企画室長】
 これは人文学、社会科学というレベルでの塊というのを議論する上で、その特定分野といった場合にも、人文社会という並びで考えれば、そこにはまた自然科学系のほうでのまた分野という形のものが考えられるのかなというのを想定した。だから、この名称についてもこういう形がいいのかというのはあるが、とりあえず今現在、こちらで考えている作業部会が大強度陽子についてということもあるので、一応推進部会のもとにまずこれは立ち上げたいということでこういう図柄を考えたということである。

【家委員】
 そうすると、当面は資料5の2ページ目の設置形態ということで進めるということか。

【門岡学術企画室長】
 左様である。

【家委員】
 この推進部会とその下の委員会が今期のうちに大体どのくらい開催されるかにもよると思うが、結局前期の資料を拝見すると、前期は委員の数も相当多かったのが、今期かなり11名と絞っているわけである。この部会でどこまで審議するのか、あるいは、それはその下の委員会ないしは作業部会に落とすのかというその辺の仕分けをしておかないとかなり効率の悪い議論になるかと思うが。

【徳永研究振興局長】
 基本的に、先生、そういう意味ではこの部会ではできるだけ学術全体の立場からご議論いただくようなことを考えていて、そういう意味で特にまだ現時点ではそういう作業部会を置くような分野は大強度陽子加速器ということに限定されているわけであるが、今後2年間のうちにさらにこういう作業部会をつくらなければいけないようなものも出てくるのではないかという前提のもとに、逆に特にそういう専門的なことの審議の上ではそういったところに例えば部会としてのさまざまな検討すべき役割等も家先生がおっしゃるような形で落としていくようなことも含めて、できるだけ機動的な形で先生方にご審議に加わっていただけると。
 そういうことのためには、この部会そのものをきちんと開いて、そのたびごとに何か報告を受けるというよりは、こういう形のほうがどうだろうかということで、これは極めて事務的な検討である。

【白井部会長】
 今まで議論されていない観点というのは結構あると思う。例えば私なども何となく気になるのは、いろいろなプロジェクトは確かに非常にたくさん行われて、それなりの、今最近は評価ということをよく言うが、大きい競争的資金での評価というのは大分厳しく、皆さん、できるだけほかの方にもわかってもらえるようにということも含めてフォローされてくるようになった。なったけど、まだまだという。
 科研費などで評価に関して言うと、ないと言ってはいけないが、それぞれの研究者としてはもちろんレポートを出したりそういうことはやられるが、よほど努力してないと成果については必ずしも他人から見てよくわからない。そういうところの評価をもう少し、それだけ大きい予算を使っているということからいえば、評価というのか、とにかく成果を社会的にもう少し還元するということが非常に必要ではないか。社会的というのは何も役に立つ立たないということではないが、そういうことを、一般の人はほとんど科研費で行われた研究の成果などは知らないと思う。
 そういうところが非常にこれまではやはり欠けているのではないか。特に予算が大きくなっているから、非常にたくさんの研究成果がある。だけど、ほとんどだれも知らないのだから、尊敬もされないであろう。日本の学術研究って一体何かと、普通の人はほとんど知らない。研究者仲間が辛うじてその研究について知っているということだろうと。
 それから、人材育成と先ほど団塊の世代の問題も言われたが、ほんとうにアクティブなという意味でいうと、国立大学法人等々の研究所等というところがある程度組織的にいろいろ研究を進められているという事実はもちろんあるわけである。それから、国立大学のほうが若干私学に比べれば余裕があるということからして、時間的なということもあるが、現実に研究を担っているというのは事実だと思う。
 しかし、人の数でいうと膨大な数が実はあって、先ほど研究者の就職のポストということも言われたが、ポストが魅力的であるかどうかというのは、例えば私学等に行ってある程度の年齢でまだほんとうにこれから研究ができる、脂が乗ってきて、特に人社系というのは息が長いから、そういう意味でいえば、ほんとうはこれから大いに研究ができるんだという方が、あまり研究できるような環境ではなくなるという事実がある。
 人数から見ても相当アクティブな方も私学にもおられると思うが、そういう方が研究をどうやったら継続できるかという観点は非常に大きいだろうと思う。そういう方が力を発揮するチャンスというか、あるいは、流動性と言ったらいいだろうか、そういうことが保持されないとなかなか人材が生きないのではないか。人の数は結構いるんだけど、少し何か世界水準からいえばややぱっとしないと言ったら言い過ぎかもしれないが、何かそういう状況にあるということは間違いないであろう。
 閉塞感と言われたが、特に若い人には今確かにそうだと思う。就職先はもうはじめから不安です。ドクターを取るあたりから、もうみんな一体自分はこの後生きていけるんだろうかという不安感を持って、特に人文社会系の方はとりわけそうだと思う。もうそろそろこれは見切りをつけて自分はどこか違うことを考えたほうがいいのではないかとみんな思ってるというか、大体の人は多分そう思っている。
 そういうような状況なので、では、就職先はほんとうにないのかというと、必ずしもそうでないけれども、自分の研究者としてのキャリアということを考えたときに、一生やっていけるようなそういう恵まれたというと少し言い方が悪いが、恵まれなくてもいいが、とにかくそれなりの自分の希望が満たせるようなキャリアプランというものがなかなか描けないであろう。
 そういう意味で、少し人材を十分に生かし切れていないという観点が人社系では特にある、これから非常にそういうことが一層起こってくると思うので、少しきっちり議論しておくべきだろう。
 1つは流動性の問題にあると思う。みんながみんな、学者で非常に自由な立場や時間等というのを与えられるかというと、なかなかそうもいかない。しかし、ある程度優秀な方はそれなりのチャンスがある一定期間ごとにある等というシステムというのは非常に重要ではないかと思う。そういうことも含めて、我が国の学術研究体制というものについて、人の有効活用というか、育成もあるが、育成と活用と両方を一体でもう少し考えられないのかと思う。
 一通りいただいたが、一通り回ったところで何かまたお互いに意見はあるか。
 かなり具体的に、どういうテーマでやるべきかと。要するに、何でもできるわけではないので、ある程度このことについてはきっちり今考えておこうというテーマを決めざるを得ないのではないかという大体の皆様方のご意見だろうと思う。
 そのテーマ設定がなかなか結構難しいということであるが、いろいろ実際は多様な内容があるわけで、どんな取り上げ方をすればいいか。これはもちろんきょうここで決めなければいけないというわけではないので、今後事務局のほうにいろいろご意見、メモ等々をお寄せいただくということもあるであろうし、事務局にも少しいろいろ意見を集約してテーマ設定をまとめていただけるとありがたいと思う。
 ここで少し皆様のご意見を特に復習することはしないが、大体何か少し方向性が感じられたと思うので少しまとめて、また次回、若干これを整理したものを皆さんに見ていただいて意見の交換をしたらいかがか。あまり意見の交換だけやっていてテーマ設定が終わったら終わってしまうというのでは困るので、早いところ一応まずこれについては少し議論してみようというようなテーマを幾つかポイントから出すべきではないかと思う。

(4)大強度陽子加速器計画評価作業部会の設置について

 資料5に基づき事務局より説明後、原案通り本部会の下に設置することに決定された。

(5)核融合研究作業部会との連携・協力及び同作業部会報告書(素案)について

 資料6‐1~6‐3に基づき事務局より説明後、質疑応答が行われた。また、核融合研究作業部会とはこれまでの経緯を踏まえ、引き続き本部会と連携・協力していくことに決定された。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)