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全国的な観点に立った学術研究推進の必要性と、法人化後の大学の主体性が高まる状況のもとでの学術研究とが、実は両立しないという状況がある。具体的には、「規模が小さいために附置研究所に準ずるとまでは言えないが、重要な研究を行っている研究施設」に当たるところのセンター長とこの間話をして、問題提起をされたものである。
この小さい研究施設は、日本国内だけではなくて国際的にもかなり活躍をしているが、大学の法人化を学内で議論していくところで、大学での役割が非常に薄れつつある、薄れつつあるどころかこれをつぶしてしまってもっと大きなものにしようという動きが大学内にあるそうである。いかに全国的あるいは国際的に活躍をしているかということを言っても、大学が生き残るためには、もっと大きな組織にしなければいけないということなのである。ところが、そのセンター長に言わせると、自分たちは新しい研究分野を開拓しようと思ってやっており、ようやく日本全国的なコンソーシアムをつくろうという話が進みかけているのに、それが大きな研究所に埋没してしまうとできなくなるということである。
つまり、法人化によって大学の主体性が高まって学長の権限が高まると、全国的な観点に立った学術研究推進というものができにくくなるという具体的な例を出されて、これは大変大事だと思い、今日の論点の「中間報告に向けての論点メモ」のどこかで、この問題は取り上げてもらいたい。 |
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法人化後の国立大学法人に設置する附置研究所を適切な基準に基づいて選定することがどういう意味を持つかということは、なかなか難しい問題である。つまり、純形式論でいえば、実態として、大学の法人化というものは大学に法人格を付与するということであって、大学の同一性というものには変化がないということだと思う。そうすると、基本的には管理運営組織が変わるというのが中心だと受けとめており、その関連で、新たに設置するという考え方は成立たないと思う。形式的には、今までの政省令を廃止してということになるけれども、新たに設置するという意味のものではないだろうという感じがしている。さらに、大学の内部組織というものは各大学側でできるだけ自由に決めなさいという原則があって、ただし、基本的なものについては従前通り文部科学省と各大学と協議をして、最終的には文部科学省の意見ということで設置をするということだろうと思うけれども、今回の委員会はそのようなプロセスを改めてやり直すということでは多分ないだろうと思っている。そうすると、ここで書いている「選定」の意味というのは、大きな変革の中で、今まであるものについても見直して、附置研的に扱うものとそうではないものとを見直してはどうかという程度の話として受けとめないと、非常に大作業で、一つ一つの研究所について、しっかりした基準で、しっかりした評価をしてというようなことを短時間でやるということになると、実際どうするかというのは大きな問題ではないかという気がしたのが1つである。
それから、法人化後の附置研と法人化後の研究施設に期待される役割・機能というものは、ほぼ(現在と)同じである。そうすると、むしろ附置研と附置研でないものと何が違うのかということを突き詰めると、仮に省令で設置を保証するというものだとして、その選定基準というのが期待される役割・機能ということでは、多分現状に変化がないので、何を基準にして附置研に載せるかというところの議論をこれからしなければならなくなるのかなという感じがする。その場合に、附置研というものは、もとをたどれば学校教育法で大学には研究所を附置することができると書いてあるので、その中の実質的には立派な研究所と言える研究センターというのは、今は附置研ではないといっているのが、ほんとうに附置研ではないと(言えるのか)。つまり新しく省令に載せる際に、附置研という名称、あるいは従来の取り扱いの合理性というものを、どう説明して載せるのか。つまり、(従来の)附置研だけを(省令に)載せるのか、従来の取り扱いを一度離れて実質的な判断をそこで下すのか、センターとなっているものも、この際附置研として載せるという考えに立つのかどうかということで、線引きが少し変わってくるのではないかというのが第2点である。
それから第3点は、共同利用の附置研あるいは附置センターと、共同利用ではないものとを一本化する考えなのか、分けるという考えなのかによってこの整理が変わってくる。詰めて考えたときに何が違うのかというと、学内の事情、研究所の事情を知らない者から見ると、結局は管理運営がその大学以外の研究者の意思が入って行われるか行われないかというところになってくるだろうと思う。その要素(管理運営にその大学以外の研究者の意思が入ること)が必要なものだった場合に、個々の大学の意思決定がある意味で制約されるが、そこの説明をうまくつけられるかどうかということがあって、共同利用研であるものとないものとがどう違うかということの確認も必要になってくると思う。 |
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△ |
1点目の見直しのところだが、我々のほうでも短時間で大作業をお願いするというのは無理だと感じているので、今あるものを移行させるのが基本だと思いつつも、この時期に見直す必要があるという意味で本特別委員会をお願いしているという趣旨である。これはおっしゃるとおりである。
その他、少し難しい問題提起なので、今こうだというのはなかなか難しい。ここで、(附置研に)準ずるもの、センターの有力なところも含めて、改めて仕切り直して附置研という定義の中に入れていくのかということについては明確な答えを今は持っていない。そういう可能性も考えてもいいように思うけれども、やたらと附置研が増えるというのもどうかと、現実的にそういう気持ちも片方ではある。
それから、全共(全国共同利用の附置研究所等)の管理運営体制については、我々のほうで逐一調べたものはないので、ややそのあたりは明確になっていないところである。それら全共の大学での管理運営上での取り扱いというものをもう少し調べた上で議論してもらうことも可能かとは思うけれども、今のところ、全共といっても、大学共同利用機関のように法令でその内部の運営について規定があるわけではないので、大学によってあるいは研究所によって、その取り扱いが異なっている面があると思っている。 |
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○ |
資料3についてコメントを言うと、基本的な考え方の中に全国的な観点に立った学術研究推進の必要性というのを全面的に出しているけれども、また一方で、法人化後の大学の中での役割・機能というものを非常に強調されている。この辺について、例えば、全国的視野について学問領域を考えると書いてありながら、ある面では大学の中の横断的な研究をやっていくということも書いてある。そこら辺の調整はどうするのか。というのは、この両方に足をかけていることが私にとっては理解できない面がある。 |
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○ |
基本的には、大学の附置研究所が現状でどのような役割を果たしているかということを整理し、それを理念化、理論化し、今後もそういうものが(大学附置研究所には)必要なのではないかということである。
法人化に際しては、大学の主体性が非常に重要である。それで、経営的な判断をするということが出されてきているわけだけれども、法人化というのは自己目的ではなくて、全体としては我が国の学術研究を発展させ教育をよりよいものにするものであり、例えば科学技術創造立国といった場合、大学セクターが全体として最も貢献できるような体制をつくろうというものだと考えられる。そうすると、全国的な観点に立った学術研究推進というのは、大学にとって邪魔なものとか対立すべきものということにはならないのではないか。つまり、大学セクター全体にとっては極めて有用であって、そういうものをいわば担当して推進してもらう組織というものが存在するということは必要であるし有用であると考えてもらえるのではないかということである。
我が国の学術研究の中心を担うような大学では、全国的観点に立った学術研究推進をするような機関を自分のファンクション(機能、任務)の中に持って、それで日本全体の学術研究を推進に貢献すると考えてもらえないかということである。もちろん、そのように考えてもらうためには、それに対する財政的なサポートとか、あるいはさまざまな制度的なサポートをしてもらうことが必要だと考えている。
また大学の中で、部局として大学の意思決定に関与していくということが、附置研究所の1つの大きな特徴であるので、大学が学術研究あるいは教育の分野で望ましい機能を果たしていくために、附置研究所が部局としての貢献をしていくということは当然であるし、それが大学の個性を示すことになるのではないかと考えている。 |
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○ |
我々(情報基盤系センター)の中では、資料3の2の中の1)2)(「全国的な観点に立った学術研究推進における役割・機能」、「国立大学法人の内部組織としての役割・機能」)に書いてあることに関しては、これまでの改組拡充の中で十分それに対応することはやってきたという自負を持っており、附置研究所という名前だけである種のクラスというようなものが規定されるということに関しては、やはり配慮をいただきたいと考えている。 |
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○ |
1つの分類なのだが、従来の経緯があるということと、もう一つは、学部研究科や附置研究所等の基本組織については省令で書くようにするという考え方が出されている、いわゆる最終報告書というものが我々の議論の出発点になっているということがある。
しかし、それでは附置研究所と書けない研究施設・センターについて、何もしないでいいのかというと、そのまま大学でご存分にという話だけではいかんのではないかということを考えているわけであって、研究施設、特に附置研究所に準ずるものについて、まず第1に我々としては我々のメンバーのことを考えなければいけないし、それからやはり研究施設が非常にたくさん数があるので、それを全部十把一絡げに議論していくことは現実的ではないのではないかと考えたので、さしあたりそういう区分けをして、それぞれについてどういう対応ができるのかと考えていくべきではないかということである。
研究施設、ここでは附置研究所に準ずるものという表現になっているけれども、簡単に言えば、比較的大きくて重要な研究施設については制度的基礎を明確化してもらいたいと考えている。できれば省令で設置してもらえれば一番いいと思っているけれども、それが難しいということであっても何か考えてもらいたいということが、研究所長会議の要望である。 |
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私たちが与えられている課題は、各大学が自由にやってくださいと言えないものについて、国が一定の組織的な保証というか確認のようなことをするとして、その対象は何であろうかということを聞かれていると受けとめるほうが、議論は実質的に進むのだろうという気がする。だがその際、現時点において附置研であるかないかということはどこまでの意味を持つのか。現段階では、附置研については、そもそも予算の項目上別扱いされているが、法人化をしたときに今あるセンターを附置研にするかしないかという議論をするのか、それとも仮に新たな省令施設というカテゴリーができるなら、今あるものの中で何を省令で組織の設置根拠を明確にする必要があるかないかという議論をするのか。どちらのアプローチを取るかということによって違ってくると思う。
私は、今ある施設から附置研に昇格させるというような議論をしていると、そうではないものの中で極めて重要なものが抜け落ちるのではないかと思う。だから、附置研にするかしないかという議論のほうが非常にすっきりするのだろうと思うけれども、そうしないほうがいいのではないかというのが、私の今の段階での意見である。 |
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○ |
省令に入ったからいいとは限らないはずで、むしろ大学の中でこそ自由にやれる、大学の中の教育も含めてきちんとやれるというところもあり得るわけで、その分野とか目的によってどちらがやりやすいか、活動しやすいかということが基本的にあって、ランク付けとかという意味ではないということを了解してもらわないといけない。
例えば、全国的なところだと各大学では維持できないので、それについての予算はつけると、省令のほうに入った機関はそういうことになるだろうし、むしろ大学に残って、いろいろな横断的な学問分野とか、個性ある大学のために研究所を大いにやりたいというところは大学の中でやったほうがいい場合もあり得るだろうと思うが、そこら辺はどうか。大学として見たときに、研究所とか研究施設をどのように考えて、どのように持っていくかという点は重要な点だと思う。 |
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○ |
大学を法人化するというのは、大学に任せていろいろな制度設計から始まって大学の中の運営を任せるというのが基本ということは間違いないと思う。そうすると、その中で研究所やセンターといったものを、大学が持つと判断するかどうかということが任せられるということが一つポイントだと思うけれども、大学側で実際にセンターなり研究所を持つとしたときに、大学の全体の予算の中からそこをサポートするのが必要だというものはあるかと思う一方で、多くの場合は現在の研究所やセンターが担っている機能からいくと、予算が研究科に比べればかなり単価の高い積算になっているものだから、今までと同じような形で研究科と一緒に運営をしろと言われたときには、おそらくやっていくのは大変難しいことになるという判断はある。
そうすると、大学側からの希望としては、全国的な観点に立ったような学術研究といったことは、法人である個々の大学に任せられるとそれはとてもサポートできないことになるので、それはまた別の判断でやってもらう仕かけがぜひほしいということになる。そのときに、全国的な学術研究推進の方針と各法人の個々の判断とのバランスをどこに置くかとすれば、研究所なら新しく定義された研究所という仕かけができたとしたときに、その研究所を個々の大学側からぜひ持ちたいということを申し出た上で、それを審査して、そこの大学に置くことを認めるというように、置くかどうかの判断は各大学からの申し出が基本になることによって法人の主体性が守られ、一方、そういう仕かけをつくることによって、全国的な観点に立って法人に任せたらできない部分も国として保証できるというようなところではないだろうかと私は考える。 |
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○ |
おおむね最近の研究というのは非常にグローバル化している。昔は、博士が1人いて助手が1人ついていたぐらいであった。それが最近では、共同研究というのが当たり前になっている。学問が非常に高度に発展し、複雑になってきたという中で、それは必然の姿だと思う。
だから、独法化という流れは、教育という問題では少し違うけれども、研究という側面で考えたならば、明らかに矛盾している。学問が非常に多層構造になり、横縦のつながりが重要になってきている中で、1つの組織の中に閉じ込めてしまう考え方は逆向きである。独法化という形で進むことが決まったというのか、決まりかけているというのか、そうなっている以上は、そういう中で一体、学問が持っている非常にグローバルな全世界的な性格にマッチするようにしていくにはどうしたらいいかということを真剣に考えなければいけない。 |
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これから附置研究所等は省令で規定されるという方向になっているようであるが、現在、大学がある組織をつくりたくとも、予算要求その他の仕組みからいっていろいろな制限があってできないので、そういった省令に載せないで、大学の意思でつくる組織・センターあるいは研究施設のようなものをつくるべきだという、大学サイドというよりは外部の強い意見があると思う。もっと自由にしろという非常に強い意見が外部からあって、そういうことに対する1つのレスポンス(反応、対応)として、大学の判断である大きさ以下のものはつくっていいということではなかったかと私は理解している。
そうすると、省令に載る組織と省令に載せない組織ということになるわけだが、できるだけ多くのものを省令に載せてもらいたいというのが、多分、大学の立場だろうと思うが、同時に、省令に載らない組織があったとしても、その中で文部科学省から特定のファンディングをサポートしてもらえるものとしてもらえないものに分かれるのではないか。つまり、省令に載るほうは、一定のファンディングを考えてもらえるということだろうと思うが、載らないものについては、特定のファンディングをしてもらえるものと、全く大学の通常の経費あるいは外部からお金を持ってくるものとに分かれるのかなと思っている。
それで、私は(規模が)大きければいいというのはどうも理解できない。文科省に頼らないでも国立大学法人の意思で設置するに適するかどうかということの問題ではないかと思う。 |
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○ |
この省令に載るか載らないかの基準の30人というのが全国を飛び歩いていて、いろいろなところから聞かれて、私はそれによって議論がいささかゆがんでいる面があると思うが、その辺はいかがか。 |
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30人という数字自体とか、あるいはそういう目安をつくるのかを含めて全部白紙で本特別委員会に検討をお願いしている。30人というのは、かなり前に検討したことがあって、そのあたりの情報がそのように解釈をされて流布しているものと思うけれども、そういうものが正当なものとして受け取らないようにこちらのほうも常々言っている。
省令に載らないけれども、適時、予算措置するというのが可能なルートがあるのか、つくれるのかということだが、今の省令で定めている研究施設、今の研究施設については、基本的に特定運営交付金の中で、個別に積算していくというのが文科省の基本的な態度である。確かに今は、学内で措置してつくっているものもあるので、そういったものが、特定のお金を特に積算されないけれども全く自由につくるものであるということは、全く私も同じ理解である。 |
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○ |
いつのころからか学部附属の研究施設というのはおよそ認めないということで、そういうものが窮屈になってきたという経緯があると思うけれども、新たにそういうものをつくったり、あるいは廃止したりということが、できるだけ弾力的に自由にできるというのが新法人の趣旨だと思うので、その際、中期計画というものにそういうものをつくりたいということで載せて、それに基づく予算要求が当然予想されていると理解を私はしているが、それでよろしいか。 |
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予算がどれだけ取れるかは別として、今おっしゃったような仕組みで、新しいものについても受けとめていく。 |
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○ |
私が常日ごろから考えることは、社会の要請というか、社会のニーズというのが、そのときそのとき、その時代その時代にあって、附置研究所というのも生まれてきたのではないかと思う。したがって、こういう機会に全面的に一からの議論というのは、時間的にもいろいろな意味でも不可能かとは思うけれども、見直す中で一体社会が今どういうことを我々に要請しているのか、それ実現するための学術研究の戦略として、国としてどういう構造のもとに社会の要請に応えるための仕組みをつくっていくのか、その辺をある程度分野分野で持ちながら議論しないと、非常に後悔することになるのではないかと思っている。 |
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○ |
研究所長会議としては、この省令設置の問題は1つのポイントだと考えている。法人化する中で、一方では、大学に非常に主体性・自主性を与えていくという状況の中で、どのようにしていけば今後一層学術研究が進むかということを全体として考える必要があるということ、それには、率直に言って、わずか数回のこの会議で国家の大戦略というものを出せというのは非常に難しいものだと思う。
ただ、その中で、今まで附置研だから今後も附置研にしておいてくださいという立場はとらないというように言おうということであって、必要なのだからそういうものをつくっておるし存置してほしいということを言おうとするものである。また、それについてきちんとした評価をしてもらいたいということである。
つまり、科学者・研究者の自主的な判断というものが、その研究の体制、資源の配分やあるいは組織の設置・改廃の中で適切に反映されているということ、逆に言うと、研究者のほうも行政にお任せするというのではなくて、大変だけれども、自主的にそれに取り組んでいくようにしようということである。それについて、評価の結果メリハリがついても、それは我々はあえて甘受しようというような全体構想のほうから来ているわけなので、それを踏まえた上で、今後そういう方向でぜひ検討してもらいたいというのが、私どもの願望である。 |
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○ |
学問とか、世の中の変化の中で新しく生まれてきているニーズ、あるいは大学が横断的に使いたいようなもの、そういう点は、必ずしも今まで充実してきていない面があるように思う。そういう点は、当事者の先生方あるいは事務の方々に大変熱心に充実してきてもらっているけれども、まだ時間を経ていないということで、もっと充実してほしいということが世界レベルで見たときに幾つかある。特定の専門分野だと、それぞれの分野に大変なオーソリティー(権威)がいるし、それぞれで積み上げて十分新しいことを勃興していくけれども、それ全部を見たような場合にはなかなかそういうことをしにくい。例えばネットワークをつくるとか、データベースをつくるとかということになるとどうしても力が入りにくいと思うので、そういうことも十分にこれからの学術研究のための基盤になっていくような支援ができる、柔軟な対応ができるようにしてもらえると大変ありがたい。 |
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○ |
別に直接会わなくとも、コンピューターと各施設で共同研究をやるということができる。特に文科系の場合は大学でやるのは、はっきり言ってもう不可能である。だから、この附置研の中で特に文科系だったら、かなり小さなところでもそれでやれているところがあるので、それを保証してもらいたい。附置研の持っている横断性とか流動性とか、連携性とか、推進力とかということの抽象的な意味ではなくて具体的な意味がもう出ているので、全国の15ある大学共同利用機関とか大きな附置研で、それをやればここがこう違うぐらいの差異化をヒアリングをするぐらいのことをやったほうが、文書上でも書き込みやすい1つのポリシーが出る。 |
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大学の中の共同利用研と一般研究所の違いということであるが、今、一般と言われている中にも、それ以外のいわゆるミッションとか大学を越えて学際的な融合の拠点となるとか、そういう意味を持ったものを共同利用研というように分けてしまうと、今、共同利用研に入っていない一般のところでも、たくさんそういうことをしている研究所があり、その線引きは難しくなっていると思う。だから、今回の将来的な財源のサポートを込みにした分け方のところで、この共同利用研と一般というふうに分けてしまうのは、今のやり方のままでは少しおかしくなるのではないかと思う。だから、ほんとうに大きな機械やなんかを持っていて、そこに全員絶対集まらないとできないようなところは別として、それ以外のミッションあるいは情報もそうだし、そういう学術的な拠点として大学を越えた横断的な共同研究の中核になるところは、共同利用ということの範疇に入れたほうがむしろいいと思う。そういう意味で、この共同と一般の境目というのは、ここで一度考え直してもらったほうがいいのではないかと思う。 |
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○ |
規模の問題でなくて、定員2名の小さいセンターであっても、現実にはそこに何千万かお金があると、国際的な拠点になっている。だから、それが大学法人化によって大学が認めてくれないからそれをつぶしたらいいだろうという議論になるとおかしい。そういう危機感を感ずるので、規模だけで議論すると非常にまずいと私は思う。 |
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○ |
共同利用の問題について非常に重要と思うのは、共同利用というのはアカデミックコミュニティーというのが背後にあるということである。だから、学会よりはちょっと小さい規模だと思うけれども、そのアカデミックコミュニティーが設置を要望しているということがまず第一であるし、それが共同利用機関をサポートしているし、そこに発言権も持っているということである。人事などを含めて参加しているところもあるし、その運営にかなりコミット(参画)している。
そういうあり方というのは、かなり我が国の中では独特なシステムであって、一定のファンクションを果たすものとして、全国共同利用機関というものはそのような分野では非常に有用であって、日本ではどちらかというと組織の中で閉鎖的になりやすい体質を持っている社会だからそれを横に通してやる組織というものは大いに尊重して伸ばしていくべきだと思う。
ただ、一大学を越えた学術研究の推進というように、より一般的に表現すれば、それは必ずしも共同利用というやり方だけではなくて、違うやり方も十分あるだろうということは言っておきたい。 |
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○ |
全く新しい分野をこれからどうやって育てていくのかというのは非常に重要な問題だと思うが、新しい研究所をつくるというのはこれからかなり困難なことになる。そういうことを踏まえて、研究所の役割に対して、新分野の開拓とダイナミックな組織改編という言葉が「中間報告に向けての論点メモ」では、あまりはっきり見えてないような気がする。大きな研究所のメリットというのは、その一部を使って新しいことに取り組んでみようということがやりやすいところにある。だから、そういう新しい芽を育てようということを、特に大きな研究所がやり始めるということは、(特に大きな研究所の)1つの役割だということをはっきりさせたほうがいいのではないかと思う。 |
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○ |
省令に入った、省令に入らないというのは非常に重要だというのはよくわかる。しかし、一度省令に入ると、これは未来永劫省令に入ったことなるのか。これは評価ということも含めて、非常におかしいような感じがする。 |
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資料4の一番下の「関連課題」の(1)だが、審査・チェック体制と書いてある。結局、一度省令化しても、一定期間の後にはその活動状況をチェックしてもらって、場合によっては省令から外すということもあるというのがポイントと思っている。 |
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○ |
国の科学を支えている、全国の共同利用的な施設といったものに関しては、やはり省令化をして、それを国の科学の進展にさらに資するように、それなりの手当てが必要ではないか。まず、1つのある種のメジャーとして、軸として、全国の共同利用施設的なもので、大事なものに関して省令化を考えるということについてのコンセンサスはあってもいいと思う。 |
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○ |
共同利用をやっている附置研ということが1つの話になっているけれども、全国共同利用をやっているセンターも、省令化というところまで可能かどうかという議論も含めて、何らかの形で議論してもらえればありがたい。すでに(共同利用を)やっているセンターもある。今の情報系(のセンター)は、実質的にそうなっている。そこら辺を少し考えてもらいたい。 |
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事務局のほうから説明したいことがあるが、この特別委員会の検討の前提は、最終報告書が出発点になっている。それで、省令化するというのはもちろんまだ法案で決定していないけれども、これからは、研究施設、研究所というものは大学が自由につくるというのが基本的な前提である。しかしながらというところで、附置研究所は全国的観点から大事だから省令に決めておこうとか、あるいはもう一つの理屈としては大学の学部研究科と並ぶような基幹的な組織だから国のほうの省令でそれの存在を明確にしようといったような観点で、例外的に書くわけである。だから、そういった特別な意味があるから書くということが前提である。
それで、全国共同利用というのは、一大学を越える機能として非常に説明がしやすいのであって、しかも現在政令で附置研というのを規定しているけれども、その政令の中に共同利用の研究所というのは別の形できちんと明記されている。基本的には全国共同利用というのはすでに定義されていて、それ以外とは厳然たる法令上の違いがある。もちろん附置研のファンクションとして、全国の研究者にとって利益になるということは当然あると思う。そういったこと、国際研究拠点であるとか、あるいはデータ・資料の提供拠点であるとか、あるいは研究ネットワーク上の重要な位置づけといったところも見ていこうということである。
それで、どのようにして共同利用の研究所を定義しているかというと、大学からの概算要求の前提として、学術会議であるとか各種学会他大学関係等、学外からの強い要請があるということを確認している。それから、共同研究の実績であるとか、施設設備・研究環境の状況とか、そういったものもチェックしている。共同利用化の緊急性・必要性というところでのチェックもある。そして、大学共同利用機関というものがすでにある分野については認めないという整理もつけている。したがって、共同利用の研究所に当然ならないような分野というのも確かにあろうかと思うけれども、以上のような検討の視点に立って、それで概算要求して認められたものについて政令に明記するというのがこれまでのやり方であった。ある意味では、かなりハードルがあって、それを乗り越えて共同利用になっている。 |
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○ |
1つの共同利用研をつくる、あるいは共同利用研化することについては、関係者の大変な骨折りの成果としてあるわけで、それは当然尊重されてしかるべきだと思うが、今、問題なのは、共同利用附置研という形をとらない全国共同利用施設というのがあり、それが現時点で附置研というものの地位を得ているかいないかということで取り扱いを変えるのかどうかということが問題であり、全国共同利用という実質を備えかつそういうものとして現に置かれているなら、附置研であるかないかということはそれほど大きく本質的な違いとして取り扱い上考えないでいいのではないかという判断もあり得るが、そこをどう考えるかというのが1つである。
それからもう一つは、いわゆる純粋研究所(政令による附置研究所)ということに必ずしもとらわれないで、全国の学術研究体制ということを考えたときに、研究支援面も含めての重要な組織・施設・センターというものを同様に考えていいのではないか、また、それにはどういうものがあるかということである。 |
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○ |
共同利用機関の場合、外国人も含めて、客員部門を設置することが定義づけられているのか。共同利用の場合、必ず客員部門があってということが明記されているのかいないのか。 |
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明記はされていない。ただし、これまでの歴史的経緯等の説明でもさせてもらったように、学術審議会の答申等で昭和48年以降共同利用化ということがかなり取り上げられていて、その中で1つの要素として流動化というものがある。その結果、客員部門というものは、現在、ほとんどの研究所に設置されている。その量・数、それはまちまちであるけれども、必要な要望を概算要求という形で受けそれを実現しているという状況である。 |
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法人化後の枠組みの中で省令に載せるか載せないかというポイントは、各大学法人に任せて自由におやりなさいといったときに、国全体としてそれが改編されたりすることを防ぐ仕かけとして省令に載せるという担保があると思う。それと同時に、省令に載せた場合には、国としてそういう判断をした以上、そのための維持もきちんとサポートするということがセットになっていると考えるわけだけれども、そうすると、省令に載せるものは、法人に任せたらそれだけでは維持できないような国として大事なものに限って考えるということが1つの考え方だと思う。
ただ、それだけで今後の研究所及びセンターといったものが維持できるかというと必ずしもそうではないので、個々の大学の判断によったとしても特別のサポートの予算がある程度必要だというものと、大学の中だけで適宜改編して予算もやり繰りしてというものと、いわば3段階のものがある。省令に載せるものは国としての判断。それから、法人としての判断の中でも2つあって、1つは国として予算のサポートがある程度必要なものと、自分たちだけでできるものと。
そうすると、1つは国として省令という仕かけの判断ができるものと、それから各大学からアプライ(申請)をするという形で特別の予算をある期間もらえるといった、例えばリサーチカウンシルみたいな制度をつくった上で、そこでの審議を経て、10年なら10年間特別な予算を認めるというような仕かけと、その2つの仕かけを国としてはつくってもらえるということをお願いしたい。 |
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○ |
財源措置を明確化してほしいというのが、私たちの要望の第2点であって、現在までのところ公式には、まだ明確になっていないので、それを何らかの形で明らかにしてそれを前提にしてここでの議論を取りまとめるということをぜひお願いしたい。 |
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○ |
資料4の7番目については、大学が独立行政法人になって自由度が増えるかわりに財源は自前で考えろという一方で、研究所も自前でお金を措置する必要があり、全部国が出すというわけにはいかないだろうと思うが、そこら辺はどう考えるか。 |
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○ |
前回説明した諸外国の学術研究体制について比較検討を行ってきたけれども、第1点に言っておきたいことは、どの国においても国のお金というものが最も重要だということである。一番自由度が高い、フレキシブルな形で学術研究を展開しているのはアメリカだと思うけれども、アメリカにおいても、さまざまな形で連邦政府によるファンディングが行われていて、それを競争的に配分することで優勝劣敗がついて優秀な研究所が残っていくというメカニズムになっている。もちろん国情が違って雇用システムなども違うので、アメリカのやり方をそのままやるわけにはいかないと思うけれども、1つは国としてサポートしていくということを従来から比べて弱めるということについては、私たちは承服できない。国が財政上の問題を抱えているということは承知しているけれども、科学技術創造立国については、国の学術政策の中できちんと考えてもらいたいというのが第1点である。
もちろん大学全体が社会・企業との連携を深め、その中で民間のお金を取り入れてそれで研究をやっていく、あるいは地方自治体からのお金も受け入れてやっていくということが全体の動きであるので、附置研究所でもそれに適合した分野では積極的にやっていきたいと考えている。 |
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○ |
財源措置等については、基本的には、研究関係の施設については標準方式ではなくて、これまでの実績を基礎とした積み上げ計算ということが行われるのではないかと想像しているけれども、ただ、制度の建前からいうとそれはあくまでも積算の根拠であって、一旦大学に行ったら、どう使うか、それはまた大学の自由だというシステム設計にはなっているだろう。だが、現実には、そういう別の積算がなされていれば、学内における資源配分でそれなりの重みを持つものとなるということが、少なくともさしあたりの話としては予想される。このような各大学の特性があるので、やはり各大学と文部科学省との、さらには財政当局との協議等を通じて形成されていくという、これまであったようなプロセスが全くなくなるというのは、少々想定しにくい。
それからもう一つは、自己財源の点では、外部資金導入というのは非常に重要だと思うが、先行の研究所の独立行政法人で自己収入というものを強く要請されているところというのはそれほどあるとは聞いていない。つまり研究の性格によって、収入を伴う研究とそうではない研究というのがあるわけなので、そこはおのずから研究所の性格によって違ってくるのではないかという印象を持っている。
リサーチカウンシルというアイデアがいろいろと語られるけれども、それが今一つ、イメージとして私の頭にはよくわからないところがある。一般にリサーチカウンシルというと、イギリスの例のように競争資金の配分機構がまず頭に来るし、またそういう使い方をされる場合が多いと思うが、この場で議論されているのは、むしろ学術政策の審議機構のようなものが必要だということなのではないか。その種のものをもっと特化させて、日常的なスタンディング(常設的)な組織として機能するようにしようということかなと受けとめているが、そこで2つの側面があって1つは、学術研究に対するファンディング、特に附置研究所・研究施設のファンディングをプロジェクト・ファンディングとしていくという傾向は、今後さらに強まると思うので、ここでの議論というのはインスティテューション(施設)に対するファンディングをどう考えるかということに限定をしないと、議論が錯綜するのではないだろうか。
その際、審査・チェック体制というときに、法人評価のシステムのようなものが国立大学法人についても最終報告書で提示されているけれども、研究というものの特性に鑑みて、あのシステムと違った審査・チェック体制というものを考えるべきなのかどうかというのは大きな論点だろうと思う。 |
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○ |
今までの附置研の幾つかが先端性を保てなくなった1つの非常に大きな原因に、何か新しいことをしようと思っても、大学の中のメカニズムを通して予算を要求していかないといけないというところがあって、その結果、非常に難しい大学の中の競争の中でなかなか浮き上がってこないということがあった。もし今回の委員会の議論が、附置研究所が共同利用機関とは違って大学にあるということで非常に意味があるということを意義づけて、そこに直接、リサーチカウンシルにしろ、国にしろがお金を出すという仕組みについての議論であるのであれば、逆に附置研なりそれに類するような研究所が、直接に行政に対して予算が要求できるような仕組みを、ぜひともつくることが必要ではないかと思っている。 |
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△ |
ここで言っているのは、直接附置研に対して特定してその附置研がそれをもらえるお金ということではなくて、大学にまとめて交付する中に、附置研の部分は、例えば、ある附置研は幾らというような形の積算をしていく、研究施設も、ある研究施設は幾らというような積算をしていくということである。だから、お金自体はまとめて1本で、大学本体に行く。大学の中で、また再配分があるということである。附置研について直接お金を出すということではない。 |
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附置研が、大学を通さないで直接要求し、ファンディングされるシステムが必要ではないかという指摘だと思う。科研費その他の競争的資金というのはそうなっているけれども、もう少し大きな話で、その種のファンディングが別に考えられないかということではないか。例として、CNRSの研究ユニットがCNRSと大学とで共同設置されているというのは1つのモデルではあるので、この委員会の課題かどうかわからないけれども、事柄としては非常に重要な論点だと思う。 |
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次回の議論では、もう少し文章の肉づけをしたいと思うので、附置研の要素などについて本日意見を十分発言できかった部分についても、事務局までメールをもらい、それを取りまとめて次回提示できればと思っている。
第3回の資料9(平成13年度に実施した「研究活動等状況調査」の様式等)というものを見てもらえればありがたい。例年、附置研に対しては、こういう調査を9月ごろに行い、その活動状況等を調べている。今回については、この委員会が立ち上がるということ、それから、1月以降、いろいろ個別の研究所について状況を調べてもらうということもあり、この発送を保留をしている。今日の議論でもあったけれども、例えば共同利用的なものをやっているとか、共同利用の研究ではなくても共同利用的な仕事をしているとか、幾つか本日議論した観点というものは若干組み入れたいと思うが、それ以外に、この項目を見てこういう観点も入れておいたほうがいいのではないかということがあれば、あわせてもらえれば助かる。 |
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各大学で、それぞれの研究所の将来について、あるいは研究所自体が、どのように考えているのかということを書き添えてもらうと参考になるような気がする。今現にあるものがすべて、今のままの状況が望ましいということはおそらくないので、いろいろ考えているだろうと思う。いずれにせよ、大学の意思というのをどこかで聞くわけなので、それもあわせてやればいいのかなという感じがする。 |