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科学技術・学術審議会学術分科会

2002/11/06 議事録
科学技術・学術審議会/学術分科会 国立大学附置研究所等特別委員会(第3回)議事録

科学技術・学術審議会/学術分科会
国立大学附置研究所等特別委員会(第3回)議事録


1. 日  時    平成14年11月6日(水)10:00〜13:00

2. 場  所    文部科学省別館(11階)大会議室

3. 出席者
(委員)阿部委員、大ア委員、末松委員
(臨時委員)  木村委員
(専門委員)増本主査、石井主査代理、甲斐委員、川合委員、小間委員、新庄委員、中村(道)委員、中村(慶)委員、仁田委員、益川委員、山西委員
(科学官)西尾科学官、廣川科学官
(事務局)石川研究振興局長、尾山政策課長、合田大学課長、明野情報課長、吉川学術機関課長、西阪学術研究助成課長、太田主任学術調査官、北尾研究調整官、小山学術機関課課長補佐、その他関係官

4. 開  会
  事務局より、今回初参加の委員の紹介があった。

5. 議  事
  事務局より配付資料の確認があり、最初に資料3(国立大学附置全国共同利用研究    所・研究センターの財務の現状とその法人化後のあり方についての提言)、資料4(研    究科、研究所、研究センター群の役割分担)、資料5(諸外国の大学等における学術    研究体制)について、それぞれ中村(慶)委員、小間委員、仁田委員の説明の後、質疑    応答を行うこととなった。
(以下、○は委員、臨時委員、専門委員及び科学官、△は事務局の発言を示す。)

(1) 中村(慶)委員よりの配布資料説明
  資料3に、私どもの参加している共同利用研究所長懇談会でまとめた資料を用意しているので、説明をさせていただく。法人化後の全国連携・共同利用といったことに関して、今回は特に財務ということに焦点を合わせて、現状を把握するとともに、法人化後の望ましい姿について調査した結果をまとめたものである。
  最初の段落では、大学が法人化されると、独自性、自主性を強めていくと思われるが、研究ということで言えば、その成果が世界的な広がりを持つ非常に普遍的なものであるので、大学間の研究連携が阻害されてはいけないということをまず書いてある。
  2ページは、全国連携・共同利用、そういった形態でどういうものがあるかということを、調査された結果をもとに3つのタイプにまとめてみたものである。
  1番目は、当該研究所・研究センターに設置された大型研究施設、大型実験施設、特殊実験設備・機器、特殊資料、特殊資材といったものの共同利用を行うもの、2番目に、当該研究所・研究センターのミッションに応じた全国規模での共同研究の推進母体になっているもの、3番目に、当該研究所・研究センターのミッションに応じた分野での研究討論・研究交流の実施母体になっているものとして分類した。
  実際には、このうちのどれかに中心を置きながらも、全体としてはこの複数の役割をしているというのが(共同利用附置研等の)特徴ではないだろうか。しかも、各研究分野での全国連携の中核になっているのが特徴であるということが今回の調査で明確になっている。(1)(2)(3)の特徴を持つ主な研究センター、研究所については、2ページの真ん中から下のところに書いてあるので、参考にしていただきたい。
  3ページに入って財務の特徴について書いてあるが、6ページの図を参照していただきながら、説明をさせていただく。この図は人件費を除く総予算に対する各種経費の費用を縦軸にとったものである。平成14年度の、競争的経費とか受託研究費とか共同研究費用とかというものを除いた、大学事務局から配分されてくる予算の総額をあらわしている。その中での人件費を除く割合ということで、これを見ていただくと、共同利用附置研については、教育研究基盤経費以外の経費の比重が大きい。教官数などに基づいた外形標準的な経費だけでは、この全国連携共同利用というのが効果的に推進できないということがこれでわかるということである。また、共同利用施設運営費、附属施設経費や研究設備維持運営費といったものが、全国連携・共同利用を推進する上での財政基盤を形成しているということもここからおわかりいただけるのではないかと思っている。
  それから、共同利用施設運営費は、施設運営の経費だけではなくて、研究交流などの経費、例えば旅費なども含まれており、研究者間の討論には不可欠な経費になっている。また、共同利用の研究センターでは、共同利用にかかわる経費が附属施設経費の中で措置されているので、この附属施設経費の割合が非常に大きくなっているという特徴がある。
  さらに、共同利用にかかわる経費というのは、単に外部の研究者に対する研究サービスのための経費ではなく、当該研究所・研究センターに所属する研究者を含めた関連研究者群のための研究経費になっているということにご注意をいただきたい。したがって、研究コミュニティーに資するとともに、当該研究所・研究センター所属教官の研究活動の高度化にも大きく貢献しているということである。
  4番目に、最近の高度化された先端的研究を効果的に推進するためには、制度的だけではなくて、財政的にも保障される必要があるのではないかということで、実績のある国立大学附置の全国共同利用研究所・研究センター及び大学共同利用機関を中核とするような制度的な措置をしていただきたいということが書いてある。
  4ページ目に、今後、全国連携・共同利用に関係する基盤的経費というのは運営費交付金ということで配分されることになると思われるが、それが使途を特定せず、各大学の判断で弾力的に執行できるということになっているので、この大学附置の共同利用研究所・研究センターを中心とする共同利用・全国連携についての制度設計については、研究所等に基盤的経費を確実かつ安定に配分するための十分な工夫をしていただきたいということを書いてある。
  大型の設備や施設の建設に当たっては、非常に多額の資金を要求するので、そういったものも必要に応じて別途措置される制度的な工夫もお願いをしたいと思う。
  最後に、研究経費の配分の仕方についての望ましい方式について、アンケートの結果を2つに整理している。1つは、中核的研究所・研究センターへの集中配分。これは、他の研究組織との間に研究分野の重複がないとか、大型の研究施設や何かを持っているというところに対して、中核となる附置研究所・研究センターに関連経費を集中的に配分するという方法である。それともう一つ、そういう中核となるところに配分された後、さらに、研究者の協議会などの計画・立案に基づいて、ほかの組織へも再配分することが必要な場合もある。例えば、地震研のようにネットワーク的な研究をやっているところでは、このようなことも必要ではないだろうか。
  なお、研究分野が部分的に重複していたり、異なる研究組織にまたがる境界分野を新たに立ち上げるという場合には、コンソーシアム的な組織をつくり、その中核となるところに配分した後、構成員に再配分するというようなことも必要となるのではないかと思われる。
  5ページ目の一番最後では、基盤的経費以外に、プロジェクト型の研究経費とか組織を対象とする競争的研究経費、そういったものを適宜うまくお考えいただければありがたいということでまとめてある。


(2) 小間委員よりの配布資料説明
  資料4であるが、これは東京大学でこの9月に法人化に向けてのいろいろな議論をまとめたもののうちの、組織運営に関する議論をまとめたものの抜粋で、研究科、研究所、研究センター群の役割分担ということをまとめたものである。
  まず1のところで、研究科及び研究所等の性格と位置づけということを議論しており、研究科は、学問的なディスプリン(学科、学問分野)に基礎を置いて組織され、研究を基礎に教育を行っていくことを基本任務としており、活動・資源の配分において、教育のウエイトが研究所・センターと比べて大きく、体系立った学問を教授する必要から、相対的に長期的・安定的な組織構造を持つ組織だと考えている。
  一方、研究所の役割及び組織形態については、一般論として言えば、研究所の基本的役割は特定の研究上のミッションを遂行することにあり、大学院などで教育に従事するのも、このミッション遂行に合致している範囲で行うことになる。教育上は、学際的・先端的な特定分野の研究実施過程に大学院生を参加させることを通じて、研究の中の教育を提供する役割を担っている。
  これらをその活動や資源配分から見たときの違いとしては、研究科と研究所では教育の比重の違いがあり、研究所は当然のことながら研究に対する比重が高い。そして、ミッション志向の研究組織という性格からは、研究科に比べれば、学問状況の変化に対応して、より柔軟に組織のあり方を変えていくことが想定されている組織であると考えられる。
  このような2つの形態の組織に対しての従来の予算配分は、研究所予算が中核研究センターとして(項)研究所歳出項目から別途支給され、研究科は学生数をベースとした校費を獲得する仕組みで、2つの考え方の違う予算によりサポートされていた。
  他方、センターは、研究所よりは少し規模が小さいが、研究所以上に固有の明確なミッションがあり、そのミッションの遂行がセンターの役割ということになっている。このミッションは大変多様で、サービスセンター的な性格を有するもの、例えば、保健センターのようなものから、研究に重点を置くセンター、その中間のまざったものもあり、ここで整理したのは、研究を重点に置くセンターを考えている。
  2番目は、「研究所における大学院教育」ということである。研究所のミッションは研究だが、人的資源の活用という意味から、研究の中の教育を提供する場を活用するという意味からも、研究上の必然性という点からも、研究所が教育において相応の貢献のできる体制を整備する必要がある。しかし、現状においては、研究所教官の大学教育への参加の強い希望があるにもかかわらず、十分にそれにこたえていないという問題点がある。
  3番目は、全国共同利用研究所・全国共同利用施設の役割ということであるが、法人化後は、それぞれの大学に附置された共同利用研究所の機能を十分発揮させるためにサポート体制を別途に考える必要があるということを指摘している。全大学にサービスをするという位置づけで中期計画に入れることになろうが、そのためには、予算措置などで条件整備が必要だということを指摘しているところである。
  それから、評価と改編ということが4番目にあるが、今まで以上に評価をしながらミッションをチェックしていくということが必要で、特に時限のある研究センターは経常的に存続するものでない以上、設置・改廃のシステムを明確化し、そのための評価をする学内手続を確立する必要があると書いてある。
  5番目には、研究科と研究所、センターとの人事交流ということを書いてある。今後、定員の獲得による新規センターの設立が難しいにもかかわらず、一方で、時代に即した研究センターの需要は減少しないとなると、既存のセンターのスクラップ・アンド・ビルドは避けられない。そういう状況にあるとすれば、今まで以上に、研究科と研究所、センターとの人事交流を活発にし、期限を決めて、研究所やセンターへの出向するという形態の人事交流も有効ではないかということを書いている。


(3) 仁田委員よりの配布資料説明
  資料5は、2002年5月の日付になっているが、資料の性質としては、当会議(文部科学省所轄ならびに国立大学附置研究所長会議)で設置した、グランドデザイン検討ワーキンググループで、諸外国における大学ないし大学関連セクターにおける学術研究体制ということについて調査検討をしたものである。
  フランス、ドイツ、アメリカ、イギリスの4カ国について概略を調査して述べている。それぞれ特徴があり、大きく言えば、ドイツ、フランスの大陸型の学術研究体制は、どちらかというと、研究機関と大学というものが制度上かなり明確に分離されているというような類型である。それと、アメリカ型の、競争的資金を基盤として研究所、研究施設がダイナミックに展開するという方式が対照的な形になっている。
  これらに比べて、日本はどうであるかということが問題になるわけだが、日本がそれらのどれかを、そのままの形で採用するということが必ずしも適当であるとは思われないが、さまざまな意味でそれを参考にしながら、現状よりも望ましい学術研究体制というものをこの法人化の機会につくっていくということが必要なのではないかということが私どものワーキンググループからの提案である。


(4)質疑応答
  共同利用研究所長懇談会のご意見だが、1つは、4ページに、集中配分方式と再配分方式ということのご提案があるが、これは現在行われているものにプラスをして新たな措置を講ずべきであるということなのか、現に行われているものを基本として、それを維持発展させるべきであるということなのか。
  それから、第2点は、共同利用関係の経費というものを確保することが非常に重要であるということで、(共同利用関係の経費が)共同利用研究施設運営費、あるいは附属施設経費の中に含まれているというご説明だったが、どの種の経費が共同利用ということで、はっきり目的設計を持った予算措置として現在計上されているかということを事務局に教えていただければありがたいと思う。
  それと関連して、文部科学省、高等教育局、あるいは関係機関のほうで、運営費交付金の試算を、算定基準の案はまだ未定稿のようであるが、国大協にお示しをしたとも伺っておるのだが、その考え方とご主張とがうまく整合するものになっているのかどうかというのが1つの論点ではないか。

  配分の仕方については、これは現状というよりは、むしろ現状をベースにしてどうあるべきかという、各機関からのご意見をいただいたものを整理したものである。

  共同利用の経費の積算等については、必要になったらお出ししたいと思うが、研究所の規模、実際運転されている装置等によって、同じ共同利用のための経費といっても、積み上げに相当差がある。特に最近は、いわゆる部門省令というものがなくなったので、基本的には、教官当たりの数字というものをベースにして、それに必要な装置、それから、運転のための光熱水料等について積算して出している。
  さらに、共同利用の研究所については、各大学からいろいろ共同研究のテーマを募集して、それを研究所に設けられた委員会、これは外部の方も入っておられると思うが、そういう委員会で審議をいただいて、採択されたプロジェクトが運営される。したがって、そのプロジェクトのための運営経費という中で、旅費、研究費などに使っていただく経費を配分しておる。
  2番目のほうの国大協の今後の財務のあり方の考え方については、国大協のほうと事務的に打ち合わせを始められたということで、現時点ではまだお出しできないような状況であるが、可能な限り、次回以降出せるものについては出したいと思う。

  具体の共同利用経費の額ということではなくて、経費の性質として普通の大学附置研と違った経費の費目のようなものにどういうものがあるかということである。だから、共同利用の大型機械とかの運転というのは、それ自体共同利用にもなるだろうが、ただ、その場合でも、望ましいことではないのだが、発想としては、利用者から料金を取るというようなこともあり得ないことではないのだろうと思うが、現時点での共同利用に要する経費の分担関係についての基本的な考え方がわかると、イメージがわいてくると思うのだが。

  そういう意味であると、純粋に申し上げると、共同利用の研究所については、それぞれの、現在の教員1人当たりに一定額を掛け算したものが共同研究経費という形で計上されている。これ以外のものについては、個別の積み上げであるので、各研究所によってまちまちであるという状況になっている。

  今の最後のほうと関係しているのだが、今の教官当たり幾らというようなことは、ユーザーの数とは関係ないのか。

  現在、ユーザーの数という形では積算していない。ただし、個別の大きな機械については、1個1個、個別に積算しているという状況である。

  小間先生がご紹介くださった東大の中の考え方の一番最後の5番目の研究科と研究所、研究センター等の人事交流というポイントは、附置研として大事なポイントのように思うのでお伺いしたいのだが、今後、大学の中に附置研究所を残すときに、スクラップ・アンド・ビルドの中で、人事交流、特に出向的なやりとりの比率は、理想的にはどのくらいをめどにやられるのがいいというふうに、このご提言の中では考えられたのかを教えていただきたい。

  現在でも行っているのは先端研であり、今から15年前に先端研ができた折に、7年をもって各部局から先端研に移り、また7年たったらもとの部局に戻るという人事還流システムというのを、強制的な流動性を増すために導入したものがある。これは、流動性を少しでも増すための1つの試みとして、ある程度成功したと思っているが、一方で、一律にということが必ず弊害もあるので、現在は反省もあるが、既にそういうことを実施したことがある。
  それから、多くの時限を持ったセンターが、この10年ほど、たくさんできているが、必然的にそのセンターの使命が終わったときには、教員を研究科のほうに移すということはしている。
  それ以外にここに書いたことは、例えば、米国の大学附置の研究所の中には、両方に籍を持っていて、半分ずつ仕事をするとか、非常にフレキシブルな(柔軟な)人事がなされている。これは、法人化後の大学において、必要に応じて入れていくべき仕掛けではないかと考えているのがこの内容である。一律に何%とかそういう数まで規定したものではないが、考え方としてこれをもっと進めるべきだということを書いた。

  人事交流等も非常に重要なことだが、大きな問題は、研究所だけでは成り立たないことである。人事(を決定する単位は)はおおむね学部であるので、学部の了解がないことには進まないから、研究所と研究室だけではできない。同分野間であればお互いに顔を知っているから何とかやれるが、学部というようなものと研究所とがぶつかると、簡単にはいかない。このようなことを考えると、独法化という一大学というものが前面に出てくる流れの中で、(人事交流が)より一層難しくなるのではないかということを私は心配している。

  一般に、流動性を増すことは必要だという議論はあるのだが、それ以上にこの議論が出てきたのは、大学院の重点化とともに学部と研究科とに相互の類似点が多くなった中で、この2つが今後共存していく形としてどうあるべきかという観点の中での議論としてである。1人の人間が、ある程度研究重点にやるべき時期と、教育をもう少し重点にやるべき時期と、その両方の機会があることがより望ましいのではないかと思われるので、そういう点で研究科と研究所が互いに、いわば半分強制的にでも流動するような仕掛けを大学全体としてつくってやっていくほうがいいのではないかと考えている。

  一大学の中で閉じている場合にはある程度やり方があるのだろうが、もっと全国的な規模で考えざるを得ないときに、違うシステムの間の人事方式が完全に独立しているために、非常にやりづらいことが現実的にある。
  基本的には、共同利用研というのは全国の研究者のものだから、特定の人がそこに長く居座るということは困る。そこで、出向、少し変な言い方をすると、組合の役員のように出向制度みたいなもので、そこへ来て仕事をして、そして、ある程度たったら帰っていくということを考えて始めたのだが、やはり独立した組織であるがゆえに、出てきては戻れないというようなことが実際に起こって今日まで来ている。独法化を考えたときにも、このような交流の形態を考えるなら、制度として望ましい人事交流の仕組みをつくりつけないといけないのではないか。

  小間先生のペーパーの中でセンターについての記述があるが、センターは研究所以上に固有のミッションがある、あるいは、時限つきのものが非常に多いので、プロジェクト研究の場であるという考えが示されており、これはおそらく東大の研究センターに関してはわりあいこういうことで理解ができるような気がするのだが、これをセンター一般にこういう考え方を広げるのはちょっと無理があるのではないか。
  センターというのは、いろいろな形で発展してきた。大きな要因としては、むしろ予算的に、ある研究拠点をつくる必要が生じたときに、時々の財政的な状況に基づく予算の方針とか、あるいは、政令の施設はつくるのは大変だけれども、省令だけでつくる施設は予算がとりやすいとかというような便宜で推移してきたということがあるし、時限をつけるつけないもそういうことが絡んでいることもあるので、本委員会でご検討になるときは、現時点で附置研であり、現時点でセンターであるということももちろん重要な意味を持つが、まさにこういうような性格のものはこうする、こうしたほうがいいのではないかというような形での実質的な議論をしたほうがいいのかなという感想を持った。

  中村先生のお話のあった中核的研究所・研究センターへの集中配分方式という考えの中に、例えば、研究所とかセンター群という集まり、集合体に対しての集中配分方式ということがあり得るのかどうか。情報基盤系センターというのは全国に7つあって、おのおののセンターは特徴を持ちかけておるが、その根幹とするサービスの中で、例えば、計算リソースの提供というようなところでは共通部分を持っている。そういうものに関しては集中的にということになると、7つという群をどう見るかということが重要で、全国を7つの地域にきっちり分けて、そこに対しての科学の進展のために計算リソースをきっちり提供していく、あるいは、7つのセンターおのおのに対して集中的にどこかということではなくて、7つあることによってきっちりと機能している場合に、その群に対して集中的にという発想もあると思う。7つがおのおのあって、その7つというものを1つの全体として見て、その中にきっちり7つあることが意味があるというとらえ方もしていただけると考えてよろしいのか。

  ここをまとめたところの背景は、先ほど申し上げたように、現在、共同利用研究所長懇談会に入っているメンバーの考え方を整理したものであり、情報基盤系センターについてまでは考えてないが、そのような考え方もあり得るとは思う。例えば、コンソーシアムという考え方があるが、同類の研究なり、今の場合、サービスもや教育も入っているものに全体として措置して配分していくことも、その中核に配分するといことも含めて、いろいろな考え方が考えられるだろうというような意味合いをここに込めて書いている。

  小間先生のほうからのお話で、東京大学の考えの中に、大学内における全国共同利用研究所、全国共同利用施設の役割というところで、東京大学としては、全国共同利用的なものに関しては重きを置いて、全国共同利用と趣旨をきっちりと生かすような方向で、処置をなさっていくと考えてよろしいのか。

  基幹の大学としての東京大学が全大学にサービスするという、そういうことは必要だということは十分認識しているが、法人化後に、法人東京大学の中にある組織としては、東京大学の法人のために寄与するということが本来的に求められているわけだから、他大学へのサービスという分の予算措置は別途の予算措置でなされないと、その活動は十分にできないだろうということで、予算措置などの条件整備が条件になるということを指摘しているのである。

  中村先生がお話しいただいた中で6ページ、共同利用附置研における人件費を除く総予算に対する各経費の割合というところで、教育研究基盤校費、研究設備維持運営費、附属施設経費というものを、もう一度簡単にご説明いただきたいということと、それから、これは共同利用研だが、大学の附置研の場合の予算措置の現状について事務局のほうから教えていただきたい。

  まず、ここで我々が分析した結果としては、特に附置研だが、教育研究基盤校費が全体として、割合としては50%以下、少ないところでは10%ぐらいのところもある。特に大きな研究設備を持っているところなどはそういう状況になっている。したがって、人件費当たりというか、教官数当たりで配分される共通的なものだけでは、全国共同利用、あるいは研究連携というようなことは維持できないのではないかというのが1点である。
  それから、もう1点は、共同利用研究施設運営費、これも研究所によって大分ばらつきはあるが、これは大きな施設運営だけではなくて、プロジェクト研究をやるための旅費等のものが入っている。ただ、これはユーザーにかかわりなく教官数で入っているので、例えば、非常にたくさんの研究者が出入りする場合には、旅費も非常に貧弱なものになるから、研究費がなかなかとれないことになる。

  研究所固有のものと、大学の研究科、あるいは学部一般に措置されているものと整理をしていないのでわかりにくくなっているのかもわからないが、基本的に、教育研究基盤経費とは、研究科、あるいは学部、研究所、それぞれ先生方1人当たり幾らという形で、校費が措置されている。
  このほかに、いろいろ積み上げの経費というものが研究科や研究所それぞれにある。大きな設備を入れると、当然その設備のための維持費というものがかかる。これは研究所だけではない。研究科でもそういうことがあると思う。こういうものの電気料等については、当然積み上げていく必要がある。もちろん、この前提でここには書いてないが、維持費だけでなくて、設備の導入という経費も当然り、これと連動して維持費、経費が出ている。
  少し特色があるのが附属施設経費と思うが、これは研究センターを新しくつくるときに、そのセンターはどういう目的でどういうことをやるという1つの目的があり、それに沿って、附属施設を設置したときに1年間にこれぐらいの研究経費が必要であるという形で特別に措置をしているものである。そういう意味では、研究科等にはないと思う。これは数百万円から何千万円と超えるものもある。計算機センターなどにも措置されていると思う。
  共同研究経費というのは、附置研究所、あるいは附属施設の中でも共同利用型のもののみに措置されているものであり、教官当たりの校費や旅費が積算されているということである。計算機や特別事業費、こういうものについては、まさに1個1個、当該研究所が、あるいは附属施設が、こういう特別な事業をやりたいというものについて概算要求があって、査定をして、特別事業としてつけるものである。そういう意味では、多くは研究所や研究施設についている。実際にどうついているかは、ここの表にあるようにかなりばらつきがあり、先ほど言った教育研究基盤校費や共同利用経費、いわゆる教官1人当たりにつくもの以外については、積み上げてやっている。反対に、研究科や学部については、学生当たりの校費というものが当然ついているが、研究所の場合は研究ということなのでこのような研究経費が積み上げられている。

  小間先生の資料の2枚目に、共同利用のところが取り出して書かれているが、東京大学でご議論されたときに、共同利用型の研究所とそうでない研究所について、性格を分けてご議論されたということか。例えば、これを逆に見ると、共同利用型でない研究所については、法人化した大学が交付金の中でやってもいいんだというお考えであるか。

  共同利用型の研究所とそうでない研究所については、そんなに区別したわけではない。ごく一般的に、共同利用ということを大学が受け持つとしたら、通常の運営費交付金の中に入れてくる形ではなかなか実現できないということを申し上げた。
  第2点の共同利用の色彩の少ない研究所は各大学が持つべきかということについては、違った意見を持っている。法人に任せるべきことと、国として考えるべきこととは峻別しなければいけないだろう。附置研究所が個々の大学に附置されているということは、国として基礎科学をサポートしていく体制として、例えば東京大学においてカミオカンデの装置があるが、これが共同利用ではないとして、東京大学が持とうとした場合、東京大学のいろいろな研究科から運営費交付金の一部を削ってカミオカンデをつくろうということは大学にはできないことである。ところが、国としては、やはり素粒子科学の研究を推進していくということが必要だとすれば、その予算の枠はおのずと違うべきものとしてサポートされなければいけないだろう。そうすると、それでは、各大学にある研究所はどういう意味であるかというと、国の全体として考えたときに必要な研究を推進するもの、独立の研究所であり、他面では、アクティビティーの高い大学にいわば委託して附置をする、そういう形でお金を出すというふうに整理をしていただかないと、基礎科学を国としてサポートしていく体制は、個々の法人の大学には任せられないことだろうと考えている。

  全国研究所長会議のレベルでも、この問題をかなり議論したのだが、なぜ大学の中に研究所があるかという問題である。十分大きな研究所であるならば、独立するということが可能でないわけではないのだろうと思う。しかし、学部に比べて小さいところは、そこで後継者の問題まで含めて考えたときに、独立して(研究所としての)一そろいのものを持ち得るかというような問題があると思う。だから、そういう意味では、大学の中のいろいろなそういうファンクション、機能と共存しながら、研究所としての活動をやっていくということが非常に重要なのではないかというような議論があった。独立するということは、所長会議のような席では、むしろ否定的な意見のほうが多かった。


(5)事務局よりの資料説明及び質疑応答
  事務局より、資料6(国立大学附置研究所、研究施設及び大学共同利用機関の分野別一覧)、資料7(平成14年度研究施設等の設置状況)及び資料8(代表的な国立大学附置研究所の概要及び外部評価について)に基づいて説明が行われた。
  また、資料9(平成13年度に実施した「研究活動状況調査」の様式等)について各委員に意見照会し、資料10(中間報告に向けての論点メモ)を説明した後、質疑応答が行われた。
  先ほど、センターの群というお話があったのだが、私は別の会で、人間総合科学という分野でどのように研究を進めていくかということについて、研究所、センター、その他の方と議論をしている。人間総合科学といったような視点から、世界のそれぞれの地域で一体どういうようなことが行われて、研究体制がどうなっているかということを考えると、一番南の鹿児島から言うと、鹿児島の多島圏研究センターとか、京大の人文研とか、あるいは東南アジア研とか等々を合わせると、全部で、試算すると、318人の方が世界の各地域の研究をいろいろな形でやっておられる。
  先ほどの群の考え方からすると、例えば、鹿児島の多島圏研究センターの研究者と京大の東南アジア研とAA研(東京外語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)の方では、共同研究をすることが非常に具合がいいという人がおり、このことからも地域横断的に研究体制をつくっていく必要があるのではないかと思う。
  そこで、それぞれの大学が独立行政法人になるというと、これがばらばらになってしまい、どうくくったらいいかという議論がしにくくなると思う。2つやり方があると思うが、1つは、何かコンソーシアムのようなもので事務を取り仕切るような仕掛けをつくって、それを日本全体で評価できるような仕掛けをするやり方があると思う。それは今の大学の中にある附置研、あるいは研究施設で構わないと思うのだが、もう一つは、全くそれから離れて、大学から独立してできるものからくくって、それで1つの独立行政法人をつくるというやり方もあると思う。いろいろなやり方があると思うのだが、この論点メモの中に、そういう意味で、研究所ないし附置研究所ないしは研究施設の枠を超えて共通項をどうくくるかという議論もしていただければありがたいと思う。

  今のお話に関連すると、全国共同利用とその他(の附置研究所)で、どこまで本質的な違いがあるのかという吟味をこの機会にしたほうがいいのではないか。つまり、大学附置研でもセンターでもそうだが、基本的にオープンな運営が望ましいということになると、皆共同利用でもいいではないかというような話になるので、一般的な(共同利用の)精神以上に共同利用制というものが必要なのだというところを、この際、確認するのか、しないのか。あるいは、既存の共同利用型じゃないものについてのオープンな運営みたいなものについてどう考えるかというのも論点の1つではないか。
  それから、学部研究科と附置研との相違という点について、資料8の説明があったが、一橋の経済研究所で、一番最後のほうに、「旧来の学部が大学院化したことで、部局としては研究に重点が移っている。この点で、研究所と大学院研究科との差異が縮小してきている」という記述がある。これは、小間先生もややそれに近いことをおっしゃったように拝聴したし、前回も何かこういう議論が出たような気がするのだが、私は、こういうとらえ方にはちょっと違和感がある。
  要すれば、大学というのは、学術の中心として教育、研究をやっていくということが基本性格として戦前からあり、その教育、研究の主体は教員組織なので、その教員組織のあるところで研究も教育も両方担う。大学の教員研究組織が(学部と研究科の)両方を担っているという点では、私は(戦前も今も)基本的に変わりはないのだろうと思う。
  大学院のほうの要請について見れば、課程制大学院、教育機関としての大学院というのをきちんとやってほしいというのが、おそらく高等教育局の願いにはあるのだろうと思う。私は、研究所と大学院研究科の違いということは、大学院重点化によってあいまいになったということはないのではないかと思っている。つまり、研究所というのは、あくまでも研究機能を独立特化させる必要性があって、いわば国としてこの研究をやってほしいという委託という要素と、もう一つは、大学の中での研究の発展の必要性から研究施設的なものをつくっていくという両方があると思うのだが。

  私どもの理解としては、大学院重点化ということ自体は、研究重視ということのために重点化をしたという理解は必ずしもしていないと思っており、教員組織として、学部の学科といったような編制に沿って教員組織を編制するというよりも、大学院研究科、専攻といったような形の組織編制をするということのほうが、いろいろな意味で、大学の判断によっては望ましい場合もあるといったようなことがあって、教員組織を基本的には大学院研究科に所属をさせるということになっている。そのこと自体は、課程制大学院の実質化という、つまり、大学院というところが、その学部の施設設備、教員組織でもって兼ねるといったような格好で、大学院本体には専任の教員もいないし、施設設備もないといったような状況を改善をする、その1つの形としてあるのではないかと考えている。そういう意味では、大学院レベルの教育、研究に重点を置くというような意味合いもあろうかと思うが、それが研究所と似たような形の機能を担うようになるということについては、私自身もどのように理解をすればいいのかという感覚を持つ部分はある。

  資料6について、例えば国立情報学研究所というのが、情報通信というところに入っていますけれども、この紙がもしひとり歩きをしたというようなことを少し恐れておりまして、我々は(国立情報学研究所は)学際領域であると思っており、そのようなところに位置づけておいていただくと大変ありがたい。おそらくこれは、統計数理研究所も同じような意味合いではないかと思うので、一言述べさせていただいた。
  それから、資料10の中に、例えば新しい分野を開拓するというようなことは、今後、国として対応しなければならない新分野への対応をどういう形で実現していくかというようなことに関する問題であり、関連する全国規模の研究者コミュニティーとの意思疎通を図りながら進めていかなければいけないと思うし、当然、既存分野の改廃ということに結びつくので、何かの仕組みを考えておく必要があるのではないかというようなことで質問を申し上げたいと思う。

  学際領域ということでは、今後の附置研究所、2番のところで「求められる役割・機能」のところの(1)の4番目なりにそういう要素も入れることも考えられる。仕組みという意味では、関連課題7番の(1)の中の審査・チェック体制ということをもう少し膨らませて、新しいものへの取り組みということについての審査・チェック体制といった機能として入れていけば、その仕組みができると思う。

  研究科と研究所の差異が縮まってきたという認識は見かけ上のことであって、学部中心の教授のグループと、研究所所属のグループといった時代には、学部側は主として教育が中心であり、研究所は研究であるという整理が比較的明瞭であったのに対して、大学院の教育というのは、第一線の研究をしながら教育をするという、研究と教育が同時に行われないと正しい教育ができないということがある一方、研究所のほうも研究だけではなくて、同時に大学院の教育を担っている現実もあるし、また、それによって、その分野の人材を養成するという使命もあるということから、どちらも研究、教育を担っているという点で大変似てきた。
  ただ、そうは言っても、そこにはおのずときちんとした任務の違いがあるであろうということを改めて議論しなくてはいけないのではないか。

  改廃、新しいところの創出、そういうことも仕組みの問題なのだが、幾つかのフェーズ(段階)があると思う。一番最初は、萌芽的なものというのは、ある意味では、研究者1人1人の心の中に、あるウエートであるものがだんだん大きくなり、そして、それが有志的な集まりで育ち、それが仲間内で顕在化し認められて、1つのプロジェクトになるという、そのような流れが1つあろうかと思う。
  私としては、一番重要なことは、組織全体としてこれは重要だしこういうものを設立しなければいけない、こういう研究科とか研究所とかをつくらなければいけないというところまで大きくなってしまったら、それはある意味ではもう終わっている。それは、ある意味では、それを行政に乗せるレベルでどうするかという種類の問題ではなかろうかと思う。
  一番重要なことは、既存の学問が隆々と隆盛を極めている中で、次の新しい芽のようなものをどうやって育てていくのかというシステムだろう。それは研究者の心の中に少しずつ育っていって、仲間が増えてということになろうと思うのだが、それを財政的にどういうぐあいにサポートしていけるような体制があるのかと問題である。そういう試行的な行動もサポートできるようなものにしていく必要がある。

  先ほど、附置研の中で、全国共同利用のものとそうでないものは、おのずから議論の対象として分かれていくというようなお話もあったのだが、そこであまり区別をつけていただきたくないという面もあるということをちょっと言っておきたい。やはりすべての研究所は何らかの共同利用なり共同研究をしているわけで、ソフト型の共同研究というものだと全国共同利用にしたいということは言えないことはないというところはたくさんあり、何年か前にCOEという名前が出てきたときに、全国共同利用のところは自動的にCOEであり、そうでないところは競争でCOEという名前をもらわなければいけないというような区別がついたものだから、いろいろな研究所でそれが議論になって、全国共同利用にしたいということになり幾つかは駆け込みのように共同利用施設・研究所になったということがあった。そういう意味であまりはっきりしたメリットが出てきてしまうようなことにするというのはどうか。もちろんみんな共同利用の方向というのは1つの望ましい方向かもしれないが、その議論があまりテクニカルな、本末転倒なところで議論されて要求が出てくるというのはちょっといかがかと思う。

  研究科と研究所とをどのように考えるかということについてだが、大学についてもいろいろな多様性があって、一くくりにすることはできない。大学によっていろいろな設立の趣旨があるし、学部によっても違うものがある。例えば、研究志向型の大学、大学院の重点化をされたような大学について言うと、当然のことながら、日本の全体の将来のことを考えて、科学技術立国として立っていくためには、日本の中で優秀な科学者、研究者に向いている能力のある学生たちを発掘して、その人たちが将来研究者になろうというモチベーション(動機)をまず与えることがものすごく大事なことだと思う。それをやるのは学部なので、学部とは普通の教育、型にはまったような教育をやるところであると考えるべきではなくて、まさに研究の第一線の一流の研究者をそろえておかないと、すぐれた学部教育はできないし、そういう環境がないと、やはり国際的にほんとうに活躍できるような次世代の研究者を育てることはできないと思う。だから、研究科の中で学部教育をやっているというところでの研究の重要性を強調しておきたいと思う。

6.閉  会
  事務局より、第4回は11月13日(水)10:00〜13:00、文部科学省別    館の11階の大会議室で開催する旨連絡があり、閉会となった。


(研究振興局学術機関課)

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