○ | 参考資料の12ページに3.大学共同利用機関の法人制度設計の考え方とあるが、このたたき台になっている『新しい「国立大学法人」像について』においては、国際競争力という視点もあり、あるいは自主性、自立性というようなことがかなり前向きにうたわれている。ところがこの制度設計の基本理念においては、学問の自由と、COEというのが出ているが、何となく貧弱だと思う。しかし、21ページに新しくつけ加えられた5.法人の制度の○の2番目には、「大学共同利用機関本来の自主性・自立性」と、こちらはそのように書いてあるので、このあたりの書きぶりは最低限統一していただきたい。また本当に大学の法人化に準じて国際競争力を発揮するというのであれば、たたき台も少しは利用して、もう少し制度設計の基本理念のところを前向きに書いていただきたいと思う。
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◇ | 本委員会は、本年3月の『新しい「国立大学法人」像について』の検討事項の残りを受け継いでいる性格もあり、この法人像の報告書でうたっている部分は、当然の前提、既定の踏み台といった認識で報告を書いているものである。こちらの報告でも重ねて書いた方がよいのか、検討は要するかもしれないが、うまい書き込み方があるかどうか難しいところである。
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◇ | 参考資料の19ページの一番最後の○のところに、「新規分野の開拓については、機構内に新たな研究組織を形成するという方法のほか、機構と大学附置研との連携、大学内に全国共同利用の性格を有する研究組織を作るという可能性も検討に値する」とあるが、読み方によってはいかにも機構内に新たな研究所をどんどん作っていく、というふうに読める。また大学内に研究組織を作る可能性も検討に値すると書いてあるが、大学については既に『新しい「国立大学法人」像について』の前半の部分、5章までで議論されていて、大学共同利用機関の議論の中で、大学内に何かを作るということにメンションをするのはどうかというご意見もあるということだが、その辺はいかがか。
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○ | 法人の中の組織運営等については、法人に任されるという原則が一方であり、機構の中に研究組織を作ることを決めるか決めないかは機構の問題であるわけだから、機構としてそういうことをやることが一般論としてあり得ることを記載することは、一向に差し支えないのではないか。
また、国立大学との関係では、国立大学法人の意向を無視して、そういうものを作ることはあり得ないわけだから、国立大学法人との協議の中で、国立大学の中にそういう組織を作ることもあり得るので、こういう記載は差し支えないのではないかと思う。
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○ | 大学側の立場からすると、19ページのように書いていただいて迷惑なことは何もなく、プラスになると思う。制度上も大学側としては書いてもらって一向に構わないのではないかと思う。
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○ | 機構の中の研究所だけが何か新しい分野を開拓するような方向に行くと、大学共同利用機関というのは何であるかというのが分からなくなってくる面がある。大学共同利用機関というのは、研究者コミュニティで横に広がっているものであるので、機構の中の研究者だけが話し合って新分野を作っていくという性格のものではないと思う。その辺を大学も含めて、大事にしていかなければならないと思う。
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○ | 参考資料の19ページ、20ページにもあるが、大学共同利用機関、各機構が中核、推進役として新規分野の開拓を果たしていくということがうたわれようとすると、もちろん4つの新しい機構でカバーできる分野に関しては、こういう後ろ楯があって、どんどん大学の中にも新しい分野を作っていくという考え方になることが保証されたということである。
ただ一方では、4つの研究機構ではカバーしきれていない全国共同利用型の研究所や附置研究所もある。そういった所でも積極的に新しい分野を作るような仕組みが作られていくのか。カバーできている範囲内だけが優先的になってしまうようにも受け取ることができるのだが、そこは例えば、我々の研究所は必ずしも4つの分野に直接属していないが、そういうところで新しい分野ができていったとき、今後どういうふうにしていけばいいのか。こういう後ろ楯が作られるのかどうか。
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○ | 共同利用機関や研究開発法人や大学であろうが、本当にいい研究をやっているところが一番いいわけである。だから、今回の法人化の一番の目的は、自立性と自主性は与え、ただし、負けない競争をしていただきたいということだから、大学も大学で努力するし、共同利用機関、研究開発法人も全く同じだと思う。それは社会やユーザーが最終的に評価しているし、予算も最初のスタートは別として、どこかでそういう評価を入れて、それが本当に正しい方向、プレゼンテーションであれば、予算を出していく。そういう仕組みになっていくべきだと思う。だから、入り口のところはあまり規制しない方がいいのではないか。
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○ | 参考資料の20ページ、○の消したのも入れて3番目について、4機構に共通の場を設けて云々という文章が、何を言おうとしているのかよく分からない。ここはもうちょっと端的に意味がとれるように書けないのかと思う。要するに研究者が研究の方向の検討や一定の資源配分に関わるのだと、そこまではいいのだが、諸外国の学術研究の中核を果たしている役割を担う可能性を開くこと云々、ここのところは分かりにくいと思う。
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○ | 同じ参考資料の20ページの3番目の○に、4機構に共通の場を設けると書かれているが、30ページ(4)その他の重要課題の2つ目の○の、自主的組織の設立を検討するという記述に、これがインプライされているのであれば、削ってしまってもいいような気もする。何かそれ以上のものを考えているのであれば話は違うが、30ページの(4)の1つ目の○に学術審議会のもとに「常設の」を削られたが、委員会を置くという記述もあるし、そういうことを踏まえてみると、ここにわざわざ4機構に共通の場という記述は入れなくてもいいのではないか。
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○ | 参考資料28ページの一番下の○について、「大学共同利用機関法人と大学附置研究所との連携の形態としては、例えば、次のようなことが考えられるが、具体的な連携の在り方に関しては、各機構において検討する必要がある。」その下 のところだが、「大学共同利用機関法人が全国共同利用の機能を総括する役割を担い」、それはいいと思うが、その後に「個々の全国共同利用型の大学附置研究所等と連携して」、次のような「共同利用のシステムを効果的・効率的に運営する」ということだが、これは個々の各機構が検討する事項である。そうすると、機構によっては、全国共同利用型の大学附置研究所等が必ずしも適当なものがない場合はいくらでもあると思うので、この部分が大学と連携しているのなら分かるが、少し各機構が検討するということにしては苦しいと思う。個々の大学と連携して効果的・効率的に運営するというのであれば、ものすごく可能性があると思うが、ちょっと意味が分からなかった。
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○ | 法人化が成功するかどうかということの一番大きなねらい目は、マネジメントの力をどのくらい持つかということだと思う。当然、22ページの3つ目の○に書いてあるように、機構長というのは、研究、経営両面における意思決定をやっていくわけだが、その共同責任を負うのは役員会だと思う。運営協議会や、評議会は審議を行うが、最終決定をしていくのは機構長及び役員会だと思う。このイメージが非常にあいまいだと思う。機構長についてははっきりしているが、役員会がどうも不明確だ。これをもう少しはっきりさせていただきたい。
次に22ページの5つ目の○について、役員会のやることの中に人事というのが入るのではないかと思う。実際に副機構長を決めるのは機構長なのだが、そうではなく、どういう人をそこに採用するかとか、教員の人事というのはどこが最終的に行うのか。人事権と予算権がない機構長というのは意味がないわけだから、これは役員会で中期計画や予算と同時に、人事というのを入れる必要があるのではないか。
それから、4つ目の○の副機構長だが、機構の中に研究所が4つあるとして、4つの研究所長はみんな副機構長で、それでガバナンスができるのかというのが非常に素朴な疑問である。外から見ていても、副機構長というのは機構長の役割を分担するわけだから、2人ぐらいなのではないか。そのうちの1人が外部から来ている。ここでは外部から登用することを必ずしも強制はしていない。大学の法人化の場合は必ず1人はというふうに書いてあったと思うのだが、外部から入ることと、副機構長と研究所長との関係が非常に不明確なので、議論していただいて、ある一つのパターンを決めておくべきではないかと思う。
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○ | 国立大学について、理事長を法人の長、学長が兼ねる。そして理事が何人かずついるわけだが、理事の中には外部からも必ず呼ぶ。国立大学においては、その理事の中に副学長の一部も入るという格好になっているが、ここでいう副機構長というのは副学長に相当するようなものとして書いている。副機構長には研究所長等を登用するという格好になっているが、理事が全部、副機構長だけで埋まる、つまり役員会が機構長及び副機構長だけで構成されるという想定ではないと思っているのだが、どうだろうか。
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○ | 今の役員会について、理事という言葉が出てくるところがないのではないかと思う。これだけを見ると、役員会は機構長と副機構長と監事だけで構成されるように読める。そうすると副機構長はそれほど数が多いわけではないので、重要事項について協議するとき、監事を除く役員会、そうすると3人ぐらいで決める、そういう会に読めてしまうのだが、理事が全然出ていないのはこれでよろしいのか。
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△ | 役員会の構成というのは確かに参考資料の22ページの一番上の○に書いてあるように、監事は役員会には入らないので、機構長と副機構長によって構成される。では、副機構長というのは一体何人ぐらいなのかということだが、これでは何人なのかは確かに分からない。ただ、副機構長と書いてあるのは、大学の仕組みで言えば副学長としか書いていない。だから、大学の方も学長と副学長が役員会を構成するとなっている。それで、こちらの方も大学の制度に合わせて、機構長と副機構長が役員会を構成すると書いてある。大学の方でも、いわば副学長でない理事というのが別にいるとはなっていない。だから、それとパラレルにこちらもそういう書き方をしているということである。
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◇ | 『新しい「国立大学法人」像について』の中で役員の構成について、普通の法人でいくと理事会に当たるところが、学長及び副学長、監事となっている。副学長が複数名とされており、こちらの文章でいくと副機構長と置きかえられている部分に、国立大学の方では学外者を登用するということがうたわれている。この中間報告書ではどういうふうに考えているか。
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△ | 参考資料の22ページの、4番目の○、ここの「副機構長については」という2行目からの文章の後段で、国立大学と同様に広く外部からも招聘することが必要と書いてある。要するに1人は少なくとも外部から登用すると書いてある。1人必ずというふうにきちんと書いてなかったので誤解があったかもしれないが、要するに外からの方も入るということを言っているものである。
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○ | 国立大学の場合は、副学長の数を法律で決める。その学校で決めるのではなく、大体、規模によって決められて、法人の長と大きな大学でも3人とか4人ぐらいしか役員はつかないだろう。その中に1人、社外重役を入れるわけである。そうすると、そんなもので今までの執行部は作れないので、その大学で、学内の役員会を作る。この機構の場合は、それぞれのセンターの長などが入った学内の役員会をつくって、重要なことだけは法律に書いてある正式なところで決めるようにして、運用については、拡大役員会のような形になるのではないかと思う。だから、ここに書いてあるのは、これでいいと思う。実際の運用は各研究所の長が入っていないと、予算でも人事でも機構で話ができない。ただ、そういうことを全部入れたのでは、法律で定められる人数を大きく超えてしまうので、法律上はこの記述の範囲にとどめておくということになるのではないかと思う。
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○ | 運営費交付金の問題について、運営費交付金というのは、そもそも最終報告で標準の運営費交付金と特定運営費交付金という2つに分類し、標準の方は何らかの外形標準的な方法で積算をするということが決められている。積算の根拠というのが、大学だったら、例えば、入学定員数とか、客観的な数に基づいたやり方というものが考えられるが、研究所の場合には、そもそも学生という概念がないので、それとは違った積算方法を考えなければいけない。これがまだ十分に検討されていないというか、方針が示されていないので、非常に心配をしている。その方法を確立する必要があるということが1点。
もう一つ、特定の運営費交付金というのは、そういう積算にはそぐわないような部分を特定という形で考えるという方針が決まっているのだが、その特定の内容というのが、研究所の場合にどういう部分であるのかということも今よく分からないということなので、心配している。
例えば、比較的、経常的な事業、例えば、遺伝学研究所でいえば、世界の3極の一つとしてのDNAデータベースの維持管理もしているわけだが、そういうもののお金を一々、毎年計画を立てて、競争資金のようにしてとってくるという形なのか、それとも、経常的な事業については、運営費交付金の中で考えるという形で、6年間なりの計画を立てれば、そういう形での積算が行われるということなのか。その辺の問題点というのが、まだ十分に詰められていないと思う。これは財政当局との交渉等もあるので、現在、まだはっきりした形になっていないことはやむを得ないかもしれないが、そういう問題点があるということを、ぜひご理解いただきたい。
標準の方は研究者の数とか、研究の内容とか、そういう形で何らかの客観的な積算をする方法を考えるということが適当だと思うし、特定の方は、経常的な、常時行っているような事業等については特定の運営費交付金で加算していくというやり方がよいのではないか。さらに新たな事業をするとか、新しい研究を展開するとか、そういうプロジェクトについては、全体の中での競争という形での競争資金というようなものをそれにさらに加えて研究所の運営に当てる。そういうイメージが必要なのではないかと思う。
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○ | 参考資料の15ページの下から3行目、(2)の次の のタイトルだが、人間文化研究機構の構成「と理念」にした方がいいのではないかと思う。(2)は、新機構の構成及びその理念、構成と理念が書いてあるが、 は人間文化研究機構の構成と理念で、構成があってそれから理念が書いてあるので、これはあとの16ページの も、それから17ページの も全部、構成と理念を入れたらいいのではないかと思う。
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○ | 資料4の3枚目の下の(3)の と だが、非常に意味が分かりにくい。この文面ではむしろ、文部科学大臣の機関の意見に対する配慮義務になってしまっている。これは文部科学大臣が機関の意見に対して配慮をする義務があるということなのだが、よく読めば分かるとはいえ、非常に分かりにくいので、直していただいた方がいいと思う。
中間報告案については、一部修正した上で、学術分科会(7月30日)に報告する旨が諮られ、了承された。また、その修正案について、主査と事務局に一任することについて諮られ、了承された。) |