第4期研究費部会(第16回) 議事録

1.日時

平成20年7月16日(水曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.出席者

委員

 平野部会長、井上(孝)委員、笹月委員、鈴木委員、中西委員、深見委員、三宅委員、家委員、伊賀委員、井上(明)委員、井上(一)委員、甲斐委員、小林委員、小原委員、垣生委員、池尾委員、岡本委員

文部科学省

 磯田研究振興局長、倉持大臣官房審議官(研究振興局担当)、岩瀬科学技術・学術総括官、奈良振興企画課長、大竹基礎基盤研究課長、磯谷学術研究助成課長ほか関係官

4.議事録

(1)「審議のまとめ(その2)」について

 ライフサイエンス作業部会主査の笹月委員より、資料2「生命科学系3分野(がん、ゲノム、脳)への支援の在り方(報告)」に基づいて報告があり、その後意見交換を行った。

【鈴木委員】
 この支援には賛成だが、前半と後半で論理が相反するような気がする。前半で新学術領域研究へ移っていくというニュアンスの話があり、一般競争にすると言われて、そう思っていたら、徐々に、昔あった特定領域研究のアクティビティーをキープするためには、これまでと同じような、ある金額を支援しなければいけないということになっている。なぜ年間50億円や10億円ではなく30億円なのかということもはっきりしない。5年間やってきたことを土台にして、日本全体で、今後この3分野をどのような戦略で行っていくのかということは、文部科学省だけではなく、厚生労働省も含めた全体の方針があって、その中で、科研費として、こことここの部分を年間30億円で行うというような話が見えればすっきりするが、この文章だけではそれが見えないので、少し説明をお願いしたい。

【笹月委員】
 基本的に、特定の領域が別枠でサポートされることは、もうないということで結論を出している。
 一方で、これらの3領域が持っていた総括班や支援班的なサポートというのは、非常に大きな成果を生んでいる。3領域という言葉が出てくるので、少し誤解があるかもしれないが、がん、脳、ゲノムの3領域に限らず、例えば、本当の意味でのコホートスタディとして、日本で50万のコホートをスタートするようなレベルの議論がされるべきだと思っている。データベースやバイオリソースのバンクも脳やゲノムあるいはがんに限るものではなく、本来、ライフサイエンス研究の共通な支援部隊となるべきものなので、こういうものを組織として維持することは、3領域のこれまでの成果に鑑みて妥当であろうということが結論である。

【平野部会長】
 この件については、「審議のまとめ(その2)」の中に内容を盛り込んでいるので、意見があれば全体の中で伺うことにしたい。
 次いで、事務局より、資料3「基盤研究等における継続研究課題の研究期間の短縮による新規応募の取り扱いについて(修正案)」に基づいて説明があり、その後意見交換を行った。

【家委員】
 この仕組みが乱用されないように、具体的な制度上でいろいろな工夫をされたと思うが、確認すると、1段審査では廃止理由書は全く見せないという理解でよいか。

【長澤企画室長補佐】
 そのように考えている。

【家委員】
 そうすると、この制度で応募されたものと普通に応募されたものは全く区別がつかない形で1段審査に付されるということでよいか。

【長澤企画室長補佐】
 はい。

【三宅委員】
 研究種目を変更する場合に限定すると、何が制限され、どこが安全になるのかが、よくわからない。

【長澤企画室長補佐】
 大型の種目の研究費を獲得することが難しいという現状がある中で、今年度から基盤研究の研究期間を1年間延長した。これは、期間を短くして、小型の研究費を継続してつないでいくというような状況もあるが、やはり基本的には長期間にわたる研究を安定して行ってもらうべきという考えによる。ここで、この制度をそのまま適用すると、例えば、本当は5年間で基盤研究Bぐらいの経費が必要な場合に、それを基盤研究Cに応募して、設定した目標が完了したということで期間を短縮し再度申請すれば、同規模で2年毎につないで実施できるようになるので、制度を長期間に延ばした効果もなくなることが想定される。あらかじめ安易な目標を設定することになる可能性があるので、あくまでも継続課題を辞退するのは発展させる場合と考えている。

【三宅委員】
 そうすると、これは基盤研究Cが一番懸念されるが、Bを途中でやめてBに応募するなど、C、Cだけでなく、B、BやA、A、S、Sも全部だめということになるのか。それはB、Bとか、A、Aにも同じ懸念があるという話なのか。

【長澤企画室長補佐】
 基盤研究CとB、BとAの間には大きな溝があるというイメージが研究者の方々に定着していて、なかなかステップアップできないということがあるので、同じ種目に対しては制限をかけ、より大型の区分に応募し成果を出したい、発展させたいという方を拾っていくという形にしている。

【平野部会長】
 今の話は、研究を発展させるということが背景にあるということが特に重要なことであり、異なる種目だけを認めるということは、そういう展開をして欲しいということである。

【伊賀委員】
 こだわらないが、言葉の問題で、辞退という文言が、廃止となっている。廃という字が非常にネガティブな響きを持っていて、この課題を根絶してしまうというニュアンスがあるので、停止や中止のように、もう少しマイルドな表現にできないか。辞退のほうがよいと思う。

【平野部会長】
 停止、中止というのも、何となく意味合いが違うので、まだ辞退のほうがわかりやすいのではないか。

【伊賀委員】
 私は辞退で理解していた。その課題で受けている助成を辞退してやめてしまうということであって、研究課題そのものは、当該研究者がずっとやっている。課題そのものが廃止というのは、何かおかしいような気がする。発展するわけだから、研究を発展的研究に変えるわけだから、廃止というのはやはりおかしい。課題そのものは、その人が持っているものというのが研究者の実感だと思う。

【平野部会長】
 字句は意味合いを理解するものなので、大切だと思う。

【笹月委員】
 これは研究が終了したということだと思う。辞退することを認めるということは終了したということなので、当該研究課題終了ではないか。

【平野部会長】
 基本的には、当該研究の目標とする成果を十分得たということ。

【笹月委員】
 完了か。

【平野部会長】
 完了し、次にさらに研究を発展させる。だから、筋は同じテーマで動いていって、内容をさらに発展させるという意味合いを含んでいる。

【家委員】
 私も研究者として、少し言葉に違和感はあるが、多分、これは補助事業を廃止するという意味で使われていると思うので、例えば、科研費の申請資格を途中で失った場合に使っている廃止という言葉と、平仄を合わせたのだろうと理解している。
 研究分担者のときも、研究者としては言葉に違和感を覚えることがあったが、事業としては、多分こういう言葉だろうと理解した。

【平野部会長】
 事務局としては、今の家委員が言われたような理解の上で、補助事業そのものを、このテーマについては廃止するという意味で使ったということでよいか。

【長澤企画室長補佐】
 そうである。ただ、終了届でも完了届でも別によい。

【平野部会長】
 研究者の立場として、心優しく、意味合いが通じる言葉がよい。完了届のほうがよいだろうか。

【磯谷学術研究助成課長】
 今、家先生が言われた事業の廃止というような他の言葉の使い方との整合性をとりながら、部会長が言われたように、終了や完了という言葉で調整させていただきたい。他の言葉の整理も必要なので、その辺で少し整理をさせていただこうと思う。
 次いで、事務局より、資料4-1「研究費部会『審議のまとめ(その2)』(案)」及び資料4-2「研究費部会『審議のまとめ(その2)』(案)【見え消し版】」に基づいて説明があり、その後、「審議のまとめ(その2)」について審議を行った。

【井上(孝)委員】
 先ほどの生命科学系3分野の支援の在り方についての報告に関して、確認したいことがある。この3領域を新学術領域研究に改組して、3分野合わせて年間 30億円以内を目安に支援するということであるが、今、基盤研究でがん、ゲノム、脳について、採択額が全体で53億円ぐらいあるが、これは従来と同じということでよいか。

【笹月委員】
 新学術領域研究へ移行するのが30億円以下ということではなく、今、3領域に配分している合計約90億円は原則的に新学術領域研究に移行させるが、その中の30億以内を目安として、支援することを検討したらどうかという考え方である。

【磯谷学術研究助成課長】
 その検討については、ここに書いているように審査部会で制度設計をしてはどうかということである。また、基盤研究の配分額は、結果の話なので今までと同じである。

【井上(孝)委員】
 もう一点、若手研究者に関する年齢制限の緩和については、38、9歳あたりでは基盤研究Cの獲得がかなり困難で、若手研究者の継続的な研究が十分確保できず研究推進・育成に支障が生じているという実態があるのであれば、従来37歳以下だった年齢制限を緩和し40歳未満にすることが、研究者全体の科学研究費の採択の実情を踏まえてバランスをとるという意味で、よいのではないか。

【平野部会長】
 これは前回も話があったが、加えて、基盤研究B、Cの財源をきちんと確保し、充実させることを努力目標の中にしっかりと入れておくことが大事だと思う。

【家委員】
 見え消し版の8ページの真ん中あたりに、重複に関して、「研究費の配分機関側における重複」という記述がある。これは、にわかに理解できなかったが、どういうことか。

【長澤企画室長補佐】
 その議論の際に、研究者の方が重複して応募するということもあるが、配分機関側で、例えば、いろいろな府省庁から、実質的には同じ1つのプロジェクトに集中して配分している実例があるのではないか、ということも十分考慮してほしいという要請があったので記載している。

【家委員】
 もう一つ、9ページの現状の丸の2番目に、外国人研究者の応募が少ないとある。それはそのとおりだと思うが、全教員数に占める外国人教員数の割合に対し少なくなっているというのは、応募数が少ないということを言っているということでよいか。これは読み方によっては、外国人が応募しても採択率が低いというように読めないこともないので、少し表現に気をつけたほうがよい。

【平野部会長】
 そこはわかりやすいように、誤解のないようにしたい。

【垣生委員】
 3分野の取り扱いについて、21年度で終了し、22年度から始まるということは、今年の応募から、新学術領域研究に移行するということでよいか。

【磯谷学術研究助成課長】
 21年度、すなわち22年の3月まで、今の3領域は続く。ここの趣旨は、来年の11月の22年度応募から新学術領域研究になるということである。

【垣生委員】
 そうすると、ブランクができるということか。

【磯谷学術研究助成課長】
 新学術領域研究が平準化した場合には、7月ごろに採否が決定するので、3カ月ぐらいは空くことになる。ただ、これは審査部会で制度設計を議論することになるので、例えば、4月から切れ目なく支援していくという仕組みも考えられると思う。

【垣生委員】
 ここの意見について、方向としては基本的に賛成だが、これを決めるのはいつの時点か。支援には、いろいろな支援がある。どういう形で支援するかという具体的なものが出ていない状況だが、いつまでに決めたら4月に間に合うのか。

【磯谷学術研究助成課長】
 それも審査部会での議論だが、当然、応募する方やコミュニティの方の判断もあるので、できるだけ早くということになる。遅くとも来年の春ぐらいまでには、最終的な形をお見せすることになると思う。

【垣生委員】
 新学術領域研究に移行すると、生物分野の領域の占める割合が大きくなると思う。予算なども、初めからそのような大きなものとして組んでいくのは大変だと思うが、そこのところはどうなのか。

【磯谷学術研究助成課長】
 基本的には、先ほど笹月主査が言われたように、新学術領域研究に予算を移行するという形になるので、あとは応募状況などの通常の考え方に従うことが基本だと思う。いろいろな配慮がもし必要であるということであれば、それは審査部会の中での議論になる。

【深見委員】
 今の関連だが、新学術領域研究に生物系の予算が移るということは、逆に言えば、生物系の予算が、生物系以外の領域にも行くという理解でよいか。

【磯谷学術研究助成課長】
 新学術領域研究全体として予算がそちらに移るということになる。

【井上(一)委員】
 期間短縮で新しく応募するときに、当初の目標が達成されたかどうかの判断によっては、従来の研究費を改めて継続することは可能なのか。

【長澤企画室長補佐】
 当初の目標が達成されたということで、廃止、完了したという届けを出すので、次の応募が認められなくても翌年度以降について、継続はしない。

【井上(一)委員】
 その手前で、その廃止の理由が認められなかったら継続になるのか。

【長澤企画室長補佐】
 その廃止の理由が適切かどうかというのは、次の課題を審査するに足るものかどうかということであり、意思表示した時点で終了するということである。

【平野部会長】
 研究者からすれば、目標をもう十分達成したと思って廃止の手続をするので、この当該課題についてはもう研究費をもらわなくても結構だという理解になると思う。

【三宅委員】
 繰り返しになるが、最初のところにトップの少数の研究機関に大きなお金を出しているだけではだめで、基盤研究Cなどでしっかり多様な研究をサポートしていく必要があると記載されている。研究が早期に完了したら次の研究に移行したいというケースは、基盤研究Cで主に研究成果を蓄積する研究者は、基盤研究C の中で次の課題に進めるとメリットが出てくるのだと思う。基盤研究Cから基盤研究B、基盤研究Bから基盤研究Aというレベルアップだけが研究を発展させる手段ではない研究者がたくさんいるだろう。基盤研究Cから基盤研究Cへという移行を認めると、楽をして細かい研究費をつないでゆこうという形で悪用をされることを懸念し過ぎると、却って、早期終了後に異なる研究に移行したいという研究者をきちんと支援できないことになるのではないか。

【磯谷学術研究助成課長】
 この制度はあくまで例外的なところであり、基本的には、先生が言われた基盤研究Bや基盤研究Cなどは、継続的にしっかりやってもらいたいが、中には、研究を発展させたい場合、最初に3年、4年で応募したことが足かせになっていることもあり得るので、そこに発展志向で穴をあけるという趣旨である。

【三宅委員】
 その発展志向が、Cなら次はB、Bなら次はAというレベルアップと同一視されていることに疑問が残る。

【垣生委員】
 3領域の予算が新学術領域研究に全部移るのではなく、例えば、非常によい成果を出してきた支援班や総括班を残すことになると、競争的資金になると思うが、バイオリソースのような支援も、そのような形で残して、他の新学術領域研究と同じ土俵で競争することになるのか。

【磯谷学術研究助成課長】
 新学術領域研究に予算を移すというのは、予算の枠としての話であり、その中で30億円以内を目安として、特別な支援の仕掛けをつくってはどうかという提案である。どのように予算執行していくかという問題は、特別研究促進費という種目を使ってやる考え方もあるだろうし、従来どおりの予算の枠内で仕掛けをつくるということもあると思うが、今まで作業部会で議論していただいた範囲は、通常の新学術領域研究の領域提案型という形ではない形で、特別な支援の仕組みを制度設計してはどうかということと理解している。

【伊賀委員】
 外国人の審査に関して、資料4-2の10ページの今後の対応方針の2番目の丸に、「このため」という赤字があって、その2行目の、「レフェリー」の後に、「(審査意見書作成者)」というようになっている。これは同じ意味で括弧書きしているようにも見えるが、どうも違うのではないか。レフェリーというのは審判であって、審査意見書作成者というのは、レファレンスの意味合いが強いのではないかと思う。
 個人的には、括弧書きの審査意見書作成者の方向で検討するほうがよいという意見を持っている。特別推進研究や世界トップレベル研究拠点プログラムでもそうだが、審査を完璧にしていくのはなかなか大変なので、意見を最も適切に言ってもらえる外国人を応募者が3名なら3名推薦してレファレンスを書いてもらうことからスタートしたらよいのではないか。私も日本学術振興会にいたときに、外国人のレファレンスを見る機会があったが、応援団だと思って応募者が頼りにしていても、外国の人はきちんとレファレンスを書いて厳しいということがあるし、また、書いてこない人もいる。これは応援団として研究者を認知していないということがよくわかる。また、例えば、審査側が違う人をレフェリーに選ぶと、逆にそのレフェリーが抜けてしまった場合に、応募者からは、審査の責任をだれが、どうとってくれるのかということにもなるので、審査意見書作成者としてスタートしたらどうかと思う。

【平野部会長】
 これは審査意見書の作成者というような内容で議論があったと思うので、そういう意味からすると、「レフェリー」とはニュアンスが少し違う。ここはレファレンスとして提案をしていけばよいと思うので、取り間違えがないように修正したい。

【池尾委員】
 同じく外国人研究者の審査・評価への参画のところに関して、前回も申し上げたが、これまでの議論のまとめという意味では、この中の留意点の部分に協力を求められる海外の研究者の事情ということについて何らかの形で言及してもらいたい。協力を求められる側の動機づけの問題や、本当に有能な人に協力を依頼することに伴う困難さなど、そういうことを留意点の中に入れることが、審議のまとめとしては適切ではないかと思う。

【平野部会長】
 海外の審査意見書作成者のモチベーションについて留意するということを、この中に入れることにしたい。

【鈴木委員】
 17ページの別添に、研究分野の特性に応じた助成の在り方に関する意見があり、これも先ほどの3分野と同じだと思うが、これを見ると、ビッグサイエンスや国際共同研究をどうするかなどいろいろな問題について、科研費ですべてサポートしなければならないかということは少し疑問である。今度の話ではなく、次の話でもよいが、科研費で何をどこまでサポートするのかということをきちんとして、本当に科研費の精神に合うものなのかということも、もう少し議論したほうがよいのではないか。逆に文部科学省として異なるプログラムを用意して、そこに当てはまりやすいものは移すようなやり方もあると思うので、そういうことも検討してもらいたい。
 それから、もう一つ、2ページの一番上の丸に、デュアルサポートシステムの強化を図る基盤研究B、Cの予算拡充等々とあって、ここは非常に大事で強調すべきだと思うが、ここに使われている言葉がすっきりしない。強化を図る、中心として予算の拡充を図り、研究の裾野の拡大を図ると、図るという言葉が3回出てくる。この図るという言葉は、法人化して、中期目標、中間目標、計画を立てたときに、一番いい言葉と言われた。何も責任がないので好んで使った。これでは、やはりインパクトがないので、強化、充実を実現するとか、予算を拡充するとか、最後で図るという言葉を1個使ってもよいと思うが、もう少し強い意思があらわれてもよいのではないか。

【平野部会長】
 今の指摘の部分を強化に努めるとか、あるいは充実するように努力をするというようにしたい。もう一点、今の鈴木委員からの質問のところで、2ページ目に、非常に重要な文章が入っていると思っている。科学研究費補助金のまさに重要なところは、研究の初期の段階から、将来の革新的技術の確立を保証することは極めて困難であるが、まず研究者の自由意思、自由発想に基づいてきちんと研究ができるということであり、そのトライ・アンド・エラーや切磋琢磨からこそ革新的技術が生まれてくるということである。アピールとしては重要な項目だと思っているので、どの部分にこの軸を置くのかは、ここに1つ回答があると理解している。

【深見委員】
 トライ・アンド・エラーというのはとてもいい言葉だと思うが、その後に書いてあるディシプリンという言葉が、こういうところに書くときには、少し違和感がある。
 それから、先ほどの生命科学系3分野の予算を新学術領域研究に持っていくというところが、どのぐらい議論されたかということを、もう少し説明してもらいたい。それは、別添資料やトライ・アンド・エラーのところにもあるように、基本的に皆さんが望んでいることは、基盤研究BやCなどで裾野を広くするということではないかという気がするので、例えば、そういう生命科学系の予算があったときに、基盤研究などをもっと手厚くするというような選択肢がないのかもう少し考えてもよいのではないか。

【笹月委員】
 原則としては、特定の領域に別枠でサポートするということをやめる。それが、特定領域研究が中止されて、新学術領域研究が生まれた1つの柱だと思うので、その感覚から言うと、この3つの特定領域研究を中止するのであれば、それは新学術領域研究に移行するであろうということが大前提として、委員の頭の中にあったと思う。
 今言われたような、いわゆる基盤研究に移行するということも、議論の中には出てきて、予算の一部はそちらに移行してもよいのではないかという意見もあった。今回の支援を、どういう枠組みにするのかということも含めて、この部会で詳細を議論してもらうことになると思う。

【中西委員】
 特にライフサイエンスに関して、一度できてしまったシステムをもう一度見直すということはなかなかできないことだと思うので、それを今回したということは、非常に評価されるべきことだと思う。
 その上で少し質問がある。8ページにある他の資金との重複ということに関して、e-Radの運用にあわせて、いろいろな省庁の状況を見ていると言われる。科学研究費の中では重複はほとんどないとは思うが、例えば、文部科学省の中で、施策的に推進者が競争的にいろいろな資金を公募するような場合もあると思う。文部科学省の他の競争的資金も、このe-Radの中に入っているのか。

【磯谷学術研究助成課長】
 競争的資金は全部入っている。

【小原委員】
 先ほどの質問にも関連するが、生命3分野のことに関して、5ページの3の第1パラグラフの最後に、将来的には3分野以外のライフサイエンス分野の学術研究への支援にも配慮すべきであると書いてある。これは当然だが、一方で、3分野そのものはなくなってしまうので、むしろ、多分ここで議論があったのは、非常にすぐれた支援があったとしたら、それは将来、そのときの状況を見て、最も適切なものを全体的に支援しようということだったのではないか。だから、基盤研究Bや基盤研究Cで、個々ではできないような大きなデータやリソースなどの提供が念頭にあったのではないかと思うので、そういう意味で、基盤研究Bや基盤研究Cに対する支援は十分あり得ると思う。そういう理解でよいか。

【笹月委員】
 例えば、今のがん特定領域研究が行っている支援としては、少し大きながんのコホートというものをつくっているが、これは逆に言えば、がん特定の中にあるので、せっかくコホートというあるポピュレーションを囲っているのに、がんしかターゲットにしていない。これを、本当にライフサイエンス全部に開くとすれば、そのコホートとしてくくった大きな集団に関しては、がんも調査できるし、糖尿病もできる、すべての疾患に対し、重要な研究者がそこに参入できる。そういう意味で、がんで育ったシステムだとしても、優れたシステムであるならば、全ライフサイエンスの分野にも応用できるようにするのがよいのではないかという考え方である。

【平野部会長】
 今、一部修正を含めた意見をいただいているが、私の印象からすると、少し字句を含めたマイナーな修正でよろしいかと理解している。できれば部会長である私に一任してもらえれば、今日いただいた意見を含めて修正して、取りまとめたいと思うが、良いか。

(「異議なし」の声あり)

(2)今後、検討をお願いしたい事項について

 事務局から、資料5「今後、検討をお願いしたい事項(案)」及び資料6「当面の審議日程(案)」について説明があり、了承された。

(3)その他

 事務局から、次回の研究費部会は9月29日(月曜日)10時30分から開催予定である旨連絡があった。

(以上)

お問合せ先

研究開発局研究振興局学術研究助成課

(研究開発局研究振興局学術研究助成課)