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最終的に取りまとめるときの言葉遣いの問題であるが、大学改革と研究費制度との関連に言及していく中で、国立大学の法人化ということだけでまとめると、科研費の性格からして誤解を受けるのではないか。
例えば、応募資格の拡大を考える場合に、もちろん国立大学も随分、雇用形態あるいは勤務形態を変えてきているが、私立大学はそれ以前から随分変わっており、特に研究の部分では非常に多様な形での雇用を行っているところがある。それは、やはり大学が競争的な環境に置かれるようになったためで、特に研究については各大学でいろいろな工夫をしている。実態に照らして、国立大学の法人化を議論の中心に考えるのはよいと思うが、まとめるときには少し注意が必要ではないか。
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まとめ方自体はこれで基本的には結構だと思うが、2ページの3つ目の の中ほどに、「後者の学術研究はそうしたものに左右されるものではなく」とあるのは、ただ、「左右されるものではなく」というよりも、将来、国にとって必要なことの萌芽を育てる場所であるという意味をもう少し強く入れた方がよいのではないか。
それから、もう一つは、言葉の問題だが、9ページの下から5行目のところで、「全ての研究者について」とあるが、この表現は競争的資金の概念にはそぐわず、誤解を招くおそれがあるのではないか。
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これは、デュアルサポートのことを表しているのだろう。
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そうだと思う。しかし、書き方によってはかなり誤解を招くので、デュアルサポートならデュアルサポートと明確にした方がよい。
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「背景・基本認識」のところに学術研究に関する記述があるが、学術を「発展」させるということを言った方が、学術研究のそういった在り方を国民や関係者に訴える上で、よりよいのではないかと思う。
全体的に非常によくまとまっているが、3ページの下から2番目の の後段の、「科研費は、現在28存在する政府の競争的研究資金の中で、研究者にとって最も経費を使いやすいものと言われるに至っている」という表現が非常に気になる。何にでも使えてしまうから、不正にも使われやすく、その防止もしなくてはいけないという読み方もされかねない。従って、「研究者にとって最も活用できる」とか、役に立っている等とした方がよいのではないか。
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その点については同じ意見である。
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今の意見に、基本的に賛成である。ただ、語句のことで言うと、研究というものは発展させるもので、発展させないような研究は研究の名に値しないと思うので、「研究」の定義の中にすでに入っているような気もする。
1の「応募資格の見直し」は一応の方向が得られているが、まだ心配なことがある。応募資格に関しては研究機関に任せることにしたわけだが、大学や部局や分野によっていろいろな雇用形態があるので、現場に混乱をもたらすのではないかということである。
一番思い当たるのは技官で、その職務と、科研費の本質である「自由な発想に基づく」研究との整合性をどう図るのかという問題がある。実際に、技官に応募資格を与えてほしいという要望は確かにあるが、私の理解では、むしろ研究活動の一翼を担っている技官を研究分担者としてきちんと名前を明示したいといった要望や、もう少し実際的な問題として、例えば、海外で行われる研究に技官を出張させたいという要望の方が多いように思う。
現在は民間の研究者でも、共同研究者として研究分担者リストに名前を出すことはできるのだから、それとの並びで、研究者番号を持っていなくても共同研究者としてきちんと名前を出せるようにすることができるのなら、その問題はかなり解決できるのではないかと思う。研究機関が、この技官は研究者だと認めて、応募資格を与えるというフレキシブルな対応ができるのはよいことだとは思うが、それが大学の組織運営に対するプレッシャーになって、思わぬところに影響が及ばないかというのが若干心配である。
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資料3を見て一番感じたことはその点で、研究者の応募資格について研究機関に全部一任して、機関が責任を持たなければいけないということが、ここからはあまりはっきりとは読み取れない。例えば、パートタイムの研究者や技官が科研費への応募を希望した場合に、機関としては契約上それを認められないという問題が起こるのではないかと思う。
また、エフォートの問題も非常に大きいと思う。例えば、技官として研究者の研究をサポートするために研究機関に雇用されているのに、エフォートの100%を科研費による自らの研究に費やしてしまうと、機関としてはどうしたらいいのか分からないので、そのような場合は誰が決定権を持ち、どのように対応していくかということまでもう少し言及しないと、研究機関が大変困惑するような状況になるのではないかと思う。
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職名や常勤・非常勤の別による研究者の定義が今後できなくなり、国立大学の法人化によって、「定員」というものもなくなってしまった。その一方で、なぜ名誉教授や技官に応募資格を与えないのかという問題もあった。結局、誰が応募資格の有無を判断するかという問題であるが、文部科学省が統一的に判定することはおよそ不可能であり、やはり、各研究機関で判定していただかないと困る。
技官の問題についても、当該研究機関が技術者として雇用しているのか、それとも技官は仮の姿で、実際は研究者として雇用しているのかという問題になるので、その機関で責任を持って判定してもらう必要がある。
また、研究組織欄には研究者でないと共同研究者として名を連ねられないようになっており、技官は従来研究者ではないので、名を連ねることはできない。先ほどのご指摘は、研究者としてではなくても、研究に参加する者として名前を記載できるようにすればよいということだったが、その点は応募資格とは別の問題である。
いずれにしても、今回の案においては、研究機関が研究を行うことを職務に含む者と位置づけているかどうかがキーポイントになるので、その点はやはり機関の側できちんとおさえていただかないといけないと考えている。
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それはよく理解できるし、そのように決まればそれで結構だが、資料3を読む限り、どこに判断の責任があるのかわかりにくい。
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責任の問題はもちろん理解できるが、現在、民間の研究者や、あるいは海外共同研究者も研究組織欄に名前を出すことができるというのと同じレベルで、それと同様に、技官の名前を出すことができないかということである。大学でも、技官が本当に研究代表者として応募したいと言うのはごくまれで、分担者としてきちんと名前があがることの方が大事だと思う。そういったことが制度的にできるとすれば、技官の本来の職務とあまり抵触せずにすむのではないか。
また、現在、技官は奨励研究に応募することができる。これは、30万円から100万円に申請の上限が上げられ、結構使いでのある研究費になっている。研究者番号を取得すると、奨励研究への応募資格を失ってしまう。技官にとって、一般の研究種目で他の研究者と勝負するのがよいのか、奨励研究で勝負するのがよいのかは、人によると思う。従って、研究者番号を取得しなくても名前の明示ができるのであれば、その形をとり、奨励研究の応募の可能性を残しておいた方が技官にとってもよいのではないかと思う。
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2ページの「非競争的な基盤的研究資金」が合計1兆2,000億円であると書いてあるが、何がそれに相当するのか。
例えば私の大学院の場合は、運営交付金は施設の維持費等に全て充てられ、研究費にまで回らないので、研究する資金は科研費ということになる。基盤的研究資金として非競争的なものが本当にしっかりと措置されていればよいのだが、科研費が本来とは違う性格・役割を担わなくてはいけないようになっている。
また、外部発信という話があったが、学生にきちんと教育を施し、大学における研究というものを在学中にきちんと理解してもらいさえすれば、外部発信する必要性はないと思う。しかし、研究を行うためには研究費が必要だが、科研費にはなかなか通らない。
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この金額は、運営費交付金の中で、マスとして研究に充てられる額を一定の計算方式で算出しているものである。配布資料中の「参考」で示している審議事項の9「研究費全体の中における科学研究費補助金の在り方」は、委員の方々の問題意識から審議事項に入ったもので、具体的には、科研費、あるいは競争的研究資金の予算を増やすのはよいが、それによって、それ以外の研究費、特に「非競争的な基盤的研究資金」が減らされているという事態を生んでいるのではないかという問題意識から審議事項に入っており、当方としては、科研費は重要ではあるが、これを生かすためには、それ以外の基盤的研究資金がなければいけないということを、ここで強調しているわけである。
この「非競争的な基盤的研究資金」の部分が、マスとしては減っていないが、ミクロで見た場合には充分に確保されないという機関ないし部局も出てくる。そうなると、さきほど指摘のあったように、科研費の性格が変わってくるということが起き得る、あるいは実際に起きている。そこで、ここでは、科研費の部分以外にも重要な部分があるということを言いたかったわけである。
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私の大学院では、運営費交付金は、現実には、施設の維持費などに全て消えてしまい、研究費にまで回らない。光熱費も形式的には研究費かもしれないが、実質的には研究資金ではない。しかし、一般国民には、1兆2,000億円措置されているのだから、2,000億円弱の科研費は必要ないと思われるおそれがあるのではないか。従って、ここの文章を、1兆2,000億円がほとんど維持費に使われ、科研費が採択されなければ研究費がないという大学の現状を踏まえたものにすべきである。
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今の意見はよくわかるのだが、それは、大学によって事情が全く違う。本来なら、大学が法人化されたときに、大学としてその問題をどうすべきかを考えていなくてはいけなかった。これは大学と大学の研究者が本気になって、これから取り組まなければならない非常に大きな命題だと思う。
大学によっては運営交付金の中でかなりの研究費をまかなっているところもあるので、大学全体としては、ある一定の計算式を用いて、このような金額が算出されている。だから、ひずみはあるが、何とかうまく説明して、現状を分かってもらう以外に仕方がないのではないかという気がする。
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今回の法人化に伴って、いかに大学の個性を発揮する教育・研究活動を行うかという点を各大学とも中心に据え、運営費交付金を配分していると理解している。その中で、研究経費と教育経費をいかに確保し、一般的な管理費や共通経費をいかに抑えるかということが、国立大学法人が取り組んでいる課題だと思う。
また、基盤的な研究経費というのは、研究者の研究を支援するような環境整備に使われていると理解しており、そのような形で運営費交付金が研究に生かされていると言う方が、国民からも理解が得られるのではないか。
それから、研究成果を発信する際、業界用語や研究者だけが共通に理解していることだけを発信したのでは一般の国民には理解できないので、学術研究がどのようなものであるかということをよりよく理解してもらうためには、分かり易い言葉で情報発信する必要がある。
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2ページの1兆2,000億円の話だが、やはりここは気になる。1兆2,000億円もあれば、もう競争的研究資金は要らないのではないかと取られかねない。特に、「 大学共同利用機関の設置等による特定分野の研究の支援」は学術研究ではあるが、例えば、天文学とか核融合とか、非常に巨額の施設費用を必要とする分野に投下されている資金がかなりの部分を占めており、ある種の重点化をしているので科研費制度と並んで論じるのにはあまり適切な項目ではないと思う。また、この金額は、一定の係数をかけて算出された数字にすぎず、フィクションとしての要素が強い。大学によっては、確かに運営交付金を研究費に回しているところがあるかもしれないが、これを全部まとめて1兆2,000億円とし、これに対して科研費は2,000億円であると言ったら、実態とは違う、ちぐはぐな印象を与えかねない。
それから、2ページの4つ目の のところだが、 、 、 と並べた後に、「これらのいずれについても、研究の目標・内容等は、研究者の自由な発想に基づいて決定されるものである」とあるが、ここは単純に 、 、 のみとした方がよい。
また、基盤的な経費がどれだけきちんと機能しており、その上で、科研費がどのような役割を果たしているのかを検証する必要がある。科研費がなければ生きていけない大学や学科、あるいは分野が実際にある。そのほかに、寄附金等さまざまな外部資金をやり繰りしているが、本当に研究費に使えるというお金を一定額持っている大学、あるいは部局とか教室というのは、日本の国立大学の中でも極めて限られているということは事実だと思う。ここはやはり大事なポイントなのではないか。聞いている限りでは、国研では研究費と庁費は明確に区別されている。国立大学法人はそれとは違うので、このように全部一緒にして書いてしまうと誤解されかねないということに注意してもらいたい。
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なかなか国立大学の実態を表すのは難しい。法人化された国立大学が、教育と研究に最も重点を置いて努力しているのは間違いないが、それで十分な研究費が確保できるかということになると、極めて苦しいというのが現状である。そのあたりをうまく中間まとめに書ければよいと思う。
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先ほどの意見を部分的に撤回するが、この1兆2,000億円のうち、どの部分にどれぐらいの額が支出され、実態はこのようになっているということが分かるように文章を修正すれば、基盤的研究資金が減額されているわけではないということと、実態としては研究費が不足していることとが両立するのではないかと思う。
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この1兆2,000億円という金額は、基盤的研究資金が1兆2,000億円もあるのに、科研費はまだ2,000億円にも達していないではないかという意味でよく使うものだが、これを初めて見た人がどのような印象を持つかということを考慮し、ほかの数字も含め、もう一度表現ぶりを見直したい。
それから、いわゆる基盤的な研究資金については、マクロに見てこれだけの金額が措置されているということだけを記述すると、ミクロで見た国立大学の実態ないし感覚とずれが生じるところがあるので、次回までに表現を工夫しようと思う。
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今の議論に賛成である。ぜひ文章を修正してもらいたいと思う。
先ほどの技官の応募資格についての議論に戻りたいのだが、結局、この文章で、技官の取り扱いを誰がどう決めるのかがあいまいで、明確でないので、技官が応募資格を持つかどうかは各研究機関が決めてよいのかという点について、事務局がどのように考えているのかを教えてもらいたい。
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事務局ではなく、本部会としてどのように考えるかということが問題で、あいまいな部分は我々があいまいに議論してきたということの反映であるので、ここでもう少し詰め、我々としてどのように考えるかを中間まとめとして出すということである。
先ほどの技官のような立場の人は、ボーダーラインが非常にあいまいになっているが、今の書きぶりでは研究機関が全て判断しなさいということになっている。
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今後、それぞれの人をどういうふうに扱うかということは、最終的には、大学等の研究機関が決めていかなければしようがないことだが、それをどのような形で保証するかというのは、例えば、技官というものの定義を本部会で行うのか、大学等の研究機関で行いなさいというのか、というそれだけの差になるのではないか。
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結局は、応募資格の有無は各機関で決めるしかないということは理解しているし、そうするしかないと思うが、私の発言の趣旨は、技官の取り扱いを各機関が判断するにあたり、一般の種目への応募資格を与えなくても、技術職のままで研究組織欄へ名前を明示するという対応ができるということであれば、機関としても判断がしやすいのではないかということである。
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原案の基本的な考え方は、職名というものを出さないということである。当方にも、研究機関から、個別の職名を挙げて科研費への応募資格の有無を確認する問い合わせが非常に多くある。技官についても、将来、例えば「研究技官」などいろいろな類似の職名が出てくる可能性があるので、職名によって判断することはできず、中身を見るしかないというのが基本的な発想である。また、技官等の名前を研究組織欄へ記載できるかどうかを明らかにすることは、ここに書くかどうかは別にして可能であると思っている。
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応募資格の有無の判断はそれぞれの機関で行うという点を、どこかで明確にすることが必要である。
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5ページの最後の は、研究者としての質の保証は研究機関が行うということを明示しておくべきという意見が日本学術振興会からあったために記述した。今までも、研究者を雇用する際、当該研究者のクオリティコントロールは各研究機関が行っているので、それと同じように、ある人を科研費に応募できる研究者という位置づけをするかどうかは、各研究機関が適切に判断することであるという意味で記述している。しかし、ご指摘を踏まえ、機関の責任という観点を明確にして書くということかと思う。
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5ページの一番下に、「a、bの条件に該当する研究者を適切に選ぶことが必要である」とあるが、bのところには、「研究の補助は除く」と書いてある。そこに、先ほどから技官について問題にされているポイントがあると思う。技官のような研究補助者であっても、研究組織の中で一定の仕事をしてもらいたいということであれば、研究分担者として加わることができるように工夫すれば、実際のニーズは満たされるだろう。
要するに、研究代表者として応募資格を与えるかどうかというのは所属する機関が判断すればよいことで、研究代表者としての応募資格が認められない人は奨励研究に応募するということにすれば、大方整理ができるように思う。
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今の意見に賛成で、「応募資格」は「代表者としての応募資格」と読んで、最後の に「分担者の場合には」とか「分担者となれる資格」といったことを明確に記載すれば、もう少しわかりやすくなるのではないかと思う。
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代表者の資格と分担者の資格を区別するということか。
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研究代表者の資格を明確にするということは大事であると思う。その代表者がどのような研究組織をつくるか、そして、その研究組織にどのような職の人を加えるかについては、やはり研究代表者の責任だと思う。だから、あまりその点を議論しても、実り多い議論にはならないような気がするので、どのような研究者が研究代表者として応募資格を有するかということだけを明確にした方がよい。研究組織によっては、他の研究機関では分担者と認められていないような人を研究分担者として加えているということが起こるかもしれないが、それはどのような研究成果を挙げたかによって、また、その機関自身が外部から評価を受けることによって、最終的には評価を受けていくわけだから、研究組織のつくり方までこの場で議論しても仕方がないという気がする。
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その意見には大賛成だが、問題は、あちらでもこちらでも研究費をもらうという人が出てきて、しかし、どこでどういう研究費をもらっているか分からないということが起こるのではないかということである。しかし、研究代表者としての資格がなくても研究組織に入れることができるというような状況でさえあれば、この問題は解決するのではないかと思う。
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今日の議論をもう一度整理して、次回には「中間まとめ」としてご承認いただくというところまでいかないといけない。早めに修正案を提示するので、事前の検討をお願いしたい。
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