参考資料4 学術情報基盤作業部会(第34回)で出された主な意見

学術情報基盤作業部会(第34回)で出された主な意見

大学図書館に求められる機能・役割

○ 「学術情報基盤の今後の在り方について(18年3月報告)」(紫本)以降の進展をどう評価しているかが、表現上明確になっていない。また、情報リテラシー教育、ラーニング・コモンズ、機関リポジトリについても、次のステップが見えるようにすべきではないか。

○ 現状の日本の機関リポジトリの大部分は、紀要の電子化のプラットホームとなっている。一方で、アメリカの一部では、eリサーチに対応することを明言する機関リポジトリが出現しており、多様な方向性を見据えて、今後の展開を考えるべきではないか。

○ 蓄積してきた紙媒体の中で、学問的価値があって残さなければいけないものをどう残していくかということについて考えることができるのは、主に図書館であり、きちんとした取組みを大学図書館界がするべきである。保存、共同保存、分担保存について、もっと明確なことを検討すべき時期であるので、そのようなことも盛り込む必要がある。

○ 大学図書館が、連携ではなく、教育や研究のプロセスそのものに関わる役割を求められているので、図書館自身が学習・教育・研究という大学の機能の中に本質的に組み込まれていく部分を強調すべきではないか。

○ 学生が、紫本の当時と相当変わってきている。講義中心の授業から自ら学ぶ、課題発見という方向に授業の形態を変えていくと、文系の学生でもすぐにグーグルなど検索エンジンに依存してパソコンに向かうという状況がある。

○ 外国にはメディア・スタディーズという教科科目があるが、グーグルなどを使うことが問題ということではなく、時代とともに様々な情報、メディアが出現し、そのメディアに対してどう接するかという基本的な教育をすることが一番重要である。

○ 大学の教員、図書館の職員も含めて、情報を自ら探索して、それをきちんと評価して活用していくという技術や能力を情報リテラシー教育で養うべきだと思う。

○ 「情報リテラシー教育」の内容も変わってきており、改めてきちんと定義して使ったほうがいいのではないか。

○ 図書館が主体的に何かをしなければいけない状況になったことが、これまでと大きく異なっている点ではないか。図書館が、学習のみならず教育を主体的に行う場所であり、それを担うことが図書館や図書館職員に求められていて、そこで新たなコンテンツを作ることなどがあるのではないか。

○ 大学基準協会の認証評価では、学生の定員数の10%の座席数を確保することが求められる。蔵書数などの評価基準以外にも多様な評価の視点を入れることも考えられるのではないか。

○ 参加型学習の増加、評価基準の設定の変化、図書館の主体性の強化は、図書館を取り巻く環境の変化という意味で非常に重要である。状況を変化としてまとめた上で、機能・役割の分析をしていくとわかりやすくなるのではないか。

○ 例えばiPadなどの出現が、ものの読み方、教育の仕方や教材の作り方にも影響を与えてくることも念頭に入れる必要がある。

大学図書館の組織・運営体制の在り方

○ 大学図書館が大学の本質的な部分であるのであれば、来館とは関係なく、学生、教員が図書館のサービスが享受できるようにしなければいけない。かつては、来館者のみにサービスを行ってきたが、例えば機関リポジトリは、異なった状況を生んでおり、大学での位置付けを、その観点からも考えていただきたい。

○ 気楽に学習や会話のできる場所を設けることによって、学生の学習を誘導することは重要である。大学の戦略的な位置付けとして、図書館はますます重要になると思う。

○ 大学図書館が、学生の所属に関わらず学ぶ意欲のある者に対して、情報を発信する場所として捉えられるようになってきたのではないか。

○ 米国の大学が日本と異なる点は、例えば大学院のゼミの先生が、研究に関連付けて図書館の活用の仕方や、他大学・研究機関における資料・情報の活用法などを教えるので、図書館をとても身近に感じる。また、成績のいい大学院生をTAやRAと同じ格付けで図書館において活用しているという事例が多くある。運営体制について、学生の活用も含めて大きい枠組みで考えていく必要もあるのではないか。

○ 学生を活用する場合、図書館が教育実践の場としても存在し得るといえる。

○ 大学図書館組織の運営体制のあり方については、大学が責任を持って考えるべきである。

○ 私立大学図書館の財政基盤は、大学によって非常に差が激しいので、全学共通経費化については、一言触れておいた方がよいと思う。

○ 図書館の国際化は、スタッフの養成と同時に、留学生に対する対応の先進性を示すべきではないか。外国に留学したときに一番利用するところは図書館であり、それを支えるスタッフの養成も必要である。世界的な知の集積が大学図書館にあるからこそ、いち早く国際化に対応しなければいけない。特に留学生との関係だけ考えると、ライティング・センターなどの機能があっていいと思う。

○ 私立大学では、日本語教育機関、日本語教育センターなどを置いて、また、図書館にはメディアホール、スタディホール、ライティング・センターなどを置いて、海外の留学生に対応することが必要である。

大学図書館職員の育成・確保

○ 大学図書館職員の育成については、随時、その時代に合った人材を供給できるようになっていればいいのではないか。硬直した教育システムをつくってしまうことはマイナスなのではないか。

○ 私立大学でもはや図書館職員という概念はなくなっているが、一方で、国立大学では2,000人弱の枠の中で、図書館職員が採用され、キャリアパスもその範囲内で作ることを原則としているという制度上の二元的、複線的な状況がある。

○ 私立大学においても、活動が非常に活発な図書館においては、同じ職員が継続的にいることはあるが、それは制度上保障されておらず、常にいつ異動するかわからない不安定な状況である。

○ 大学院レベルで、どのような方向性を持って図書館職員を育成していくかについて明確にしておく必要がある。また、九州大学がライブラリーサイエンス専攻をスタートさせることも踏まえて、まとめてはどうか。

○ 従来の司書というレベルではなく、高い専門性が、さまざまな形で要求されてくるのではないか。さまざまな変化に対して、より柔軟に対応できるような専門的な職員の確保が大事になっていくのではないか。

○ 図書館が大学の学習や教育に主体的に関与すべきということでは、身分的な保障を持たないアウトソーシングは馴染まない。アウトソーシングを取り入れていた組織も、図書館職員として身分的な保障のある者を採る方向に転換する必要性について認識する必要があると思う。

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