参考資料 学術情報基盤作業部会(第33回)で出された主な意見

学術情報基盤作業部会(第33回)で出された主な意見

○ 現在、大学図書館に求められる機能、役割について、平成18年3月に取りまとめられた「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」(紫本)の中で書かれている大学図書館の基本的な役割に尽きているのではないか。

○ 平成18年以降、例えば電子ジャーナルに関しても相当浸透しており、また、学生から見た図書館機能についても、ラーニングコモンズのような空間がいろいろなところで用意されていることを含めて、大きく変わってきた。さらに、機関リポジトリの構築により、著作権処理も含めて、明らかにこれまでになかった図書館の仕事も定着してきた。そのようなことを通じて、国際性も含めて、図書館職員の専門性がかなり意識され、学内外でも理解されるようになってきたという面がある。一方で、現在、多くの大学図書館において、いわゆる導入教育、情報リテラシー教育に図書館職員が携わり、研究成果の発表、公表や教育にも深く関係を持ってきていることなど、大学図書館の大きな特徴の一つをなすようになってきている。

○ 研究図書の選書も図書館職員がするべきで、そうなりつつある。教員のモビリティが推奨されており、同じ教員が長く同じ大学にいないことから、蔵書構築という面から見ると非常にバランスを欠いてしまう。また、かつては、助手が対応していた面があるが、現在は非常に少なくなってきていることから、それに代わる図書館職員の専門性がますます重要になってきている。

○ 大学図書館は、既にほとんど研究に関する情報の収集、蓄積をしていないと捉えてしまっては、大学図書館の大学における戦略的位置付けをどう論じていくかの根拠をなくしてしまうことになりかねない。現在、図書館は契約という形でアクセスを保証しているものであり、図書館職員がそのためのさまざまな調整、交渉をしている。

○ アクセスを保証するということに関しては一貫性があるが、学術情報流通のメディアが大きく変化していく中で、図書館が行うべき仕事が変わってきたことを明確に意識するべきではないか。

○ ラーニングコモンズやリポジトリなど、以前と比べて、現在の図書館の役割や機能も変わってきている。また、ニーズも多様化しているので、それに合わせて機能、役割の多様化が求められているということを書いておかなければならない。さらに、大学の中で図書館のあり方が大変多様化して、個々の大学の強みとして図書館の機能を使えるようになってきていることも語っておく必要がある。
  これに関連して、提供するサービスの質の向上などが外から見え易くなっている。図書館職員の国際性だけではなく、機能を充実させて外にそれを見せることによって、戦略的な位置付けにも関わってくるため、図書館の機能、サービスの量的、質的な充実とともに、十分なアクセスを提供できることが大学の国際競争力の強化につながっていくと位置付けられる。

○ 日本と海外の大学では機能的に全く異なる部分がたくさんあり、一概には言えないが、海外の大学図書館の状況を紹介して図書館機能の在り方の違いを書きとめておいたほうが良いのではないか。

○ メディアセンターや、情報基盤センターなどと図書館との関係が見えにくくなってきている。将来、大学の講義をビデオに収録して保存するようになったとき、図書館にあるいろいろな情報等がうまくリンクされていると、学生にとっては非常にメリットが大きい。また、対外的にも著作権処理をして、迅速に発信できれば、大学としても宣伝になると思うが、現状では、どこの仕事なのかがよくわからない。図書館の将来の仕事として、戦略的にかつ積極的に考えるべきではないか。

○ 平成18年の報告の時点から著しく変わってきていることは、国立大学が法人化後、競争の中にさらされているという状況が生じてきている。今回のまとめに当たっては、大学がどう変わってきたかということに着目して、大学の変化の中で図書館がどう位置付けられるのか、その位置付けはどう変わっているのかということを考える必要がある。
  大学の成果を収集して、発信することを考えたときに、それが図書館の機能として大きな役割になるのではないか。

○ 全体として法人化以降、国立大学の図書館は、一部の大学は別として、弱体化しているという印象が非常に強い。環境は決してよいとは思っていない方は非常に多いと思うので、その辺の認識ははっきりさせないといけないのではないか。

○ 和雑誌に関する電子化が依然として遅れている。特に、看護系の雑誌に関する電子化は、際立って遅れており、早急に行っていかなければならない。また、近年、医学部定員が相当増えてきており、それに応じて、当然インフラは整備しなければいけない。

○ 定量的な資料、図表を整え、その環境の何が変わっているのか、それにどう適応しなければいけないかということを整理することが重要だが、紫本は図も数値もほとんどなく、これでは訴えが希薄に感じる。
  また、大学の戦略としての情報アクセスの基盤というものと、日本全体としての学術情報基盤をどうしてゆくべきかということを少し分けて議論した方が訴えるところは大きい。大学が個別に行っていくものに関しては、いろいろな特徴あるものをもっとエビデンスとして出していただくことがいいのではないか。いろんなエビデンスを出すことでその訴えが強くなる。そのようなまとめ方も必要である。

○ 基本的機能は必要で、それは学術基盤として国がサポートするが、付加的な部分は大学の判断で構わない。したがって、何によって大学が存在感を出すかということを本質的に議論していかなくてはいけない時代になっている。その中で、図書館も例外ではなく、もっと根本から議論し直さなければいけない時代に来ている。

○ 図書館の位置付けは大分変わってきている。国立大学においても、それぞれの大学の事情によるが、図書館を教育、研究、学習や、社会とのつながり、外国人の学生たちとの関係の中でどう位置付けていくかということに関しては、それぞれの大学の方針によるところが極めて大きい。

○ これから図書館に求められる職員は、一人ではなく、このような資質を持っている集団が必要であるということで何か提言が出せるのであれば、その方が力強い。それをどう育成すればいいのかという話にも繋げやすいと思う。

○ 図書館があれもこれもすべきであると言われても無理なので、図書館の業務を考える際は、現在の仕事の何をやめるかということも併せて考えないといけない。

○ 図書館の在り方を議論するときに、図書館を取り巻く環境が多方面から変わってきていることをきちんと整理した上で、図書館の機能も変わってきているが、どうすればいいのかと考えるときに、いろいろなオプションが考えられる。そのオプションをどう考えるかは、各大学の図書館に対する考え方に関わってくるという議論でまとめるのがよろしいのではないか。

○ 海外の現状については、今後の方向性についても情報が収集できるのであればいいと思う。世界の方向性も示せるのであれば、それを示した方が、日本はどうすべきなのかということを決めるときに有利ではないか。

○ アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの主要な大学図書館が抱えている課題は、非常にグローバルな環境の中で共通点も多いが、他方で、全体の目標は、大学の規模や歴史によって大きく左右される。今後、例えばこの5年間で具体的にどのような政策をとるのかということに関して、個別の大学図書館の実態を調べるには相当大変な作業になるし、それですべてを示すことは難しい。

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