研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第54回) 議事録

1.日時

平成24年10月19日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

有川主査、上島委員、喜連川委員、倉田委員、田村委員、松浦委員、山口委員

文部科学省

(学術調査官)市瀬学術調査官、宇陀学術調査官
(事務局)森本大臣官房審議官(研究振興局担当)、下間情報課長、長澤学術基盤整備室長、その他関係官

オブザーバー

竹内千葉大学附属図書館長兼アカデミック・リンク・センター長

4.議事録

【有川主査】  それでは、時間になりましたので、第54回学術情報基盤作業部会を始めたいと思います。お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。

 出席予定の方で、まだ到着されていない方もいらっしゃいますけれども、到着されますと定足数を満たすということで成立すると思います。

 本日は、学修環境充実のための学術情報基盤の整備について意見交換をしたいと思っております。

 それでは、まず事務局より配付資料の確認及び傍聴登録等について、御報告をお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、御説明させていただきます。

 まず、本日は、この議題にございます学修環境の整備に関する有識者といたしまして、千葉大学附属図書館長兼アカデミック・リンク・センター長の竹内比呂也先生に御出席をいただいてございます。

【竹内センター長】  竹内でございます。よろしくお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  また、関連機関としまして国立情報学研究所、国立国会図書館の方にも引き続き審議に御参加をしていただいてございます。

 配付資料につきましては、お手元の議事次第のとおりでございます。読み上げは省略をさせていただきたいと思いますけれども、落丁等ございましたら事務局までお願いいたします。

 それから、過去の配付資料は机上のファイルに整理をさせていただいております。

 また、参考資料といたしまして、机上に、資料番号は振ってはございませんけれども、新聞記事と著作権法の抜粋にかかわるもの、それから中教審の答申と、前回までに作成していただきました審議のまとめの冊子をお配りさせていただいております。あわせて、千葉大学のアカデミック・リンク・センターのパンフレット等についてもお配りをさせていただいているところでございます。

 本日の傍聴者は11名でございまして、事前の撮影、録画、録音の登録はございません。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、本日は学修環境充実のための学術情報基盤の整備ということで検討したいと思っております。まず論点ペーパーを用意していただいていますので、長澤室長から御説明をいただきたいと思います。10分程度、御説明いただきまして、その後で竹内先生の方からプレゼンをしていただきまして、残った時間を最大限使ってディスカッションしたいと思っております。

 それでは長澤室長、よろしくお願いします。

【長澤学術基盤整備室長】  それではお手元の資料の1をごらんいただければと思います。この議論を進めていただくに当たりまして、参考としていただければということ、きっかけになればということで、問題意識等をまとめさせていただいたペーパーでございます。

 この学修環境充実のための学術情報基盤の整備についてということで、問題意識としては三つほど掲げさせていただいてございます。

 まず一つ目が、図書館の活用による能動的学修環境整備の在り方についてということでございまして、8月に出されました中教審の答申におきましては、大学教育の改革に対する期待が高まっておりまして、従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場をつくり、学生が主体的に問題を発見し、解を見出していく能動的学修、アクティブ・ラーニングへの転換を必要とされておるところでございます。

 またあわせまして、学生には授業のための事前準備、授業の受講、事後展開を通して主体的な学修に要する総学習時間の確保、教員に対しましては学生の主体的な学修の確立のために教員と学生、あるいは学生同士のコミュニケーションを取り入れた授業方法の工夫、十分な授業の準備、学生の学修へのきめの細かい支援などが求められるということになってございます。

 こういうふうなところでございますけれども、このアクティブ・ラーニングのための場所といたしまして、改めて図書館の機能というのが見直されつつございます。そのスペースを整備するという動きは相当、各大学の工夫等によりまして広まってきておりますけれども、その規模、内容、やり方等につきましては大学によって対応がまちまちという状況になってございます。

 やはりそのスペースを確保するということに加えまして、そのスペースをどのように生かして、それが機能していくかということが非常に重要だということでございまして、その効果的な方策について、この作業部会で検討していただいて、スペースの生かし方というのはこうふうにすればいいんではないかというようなことをお伝えできれば、その指針になるのではないかということで考えておるところでございます。

 例えば、こういったアクティブ・ラーニング・スペースの整備の方策とか、この主体的学修を行うに当たりまして、教員の方と図書館の職員と、それからTA等のスタッフと、それを実施する学生との協働の在り方とか、それから個々に行われております授業と、学生さんが行う主体的学修との効果的な連携接続とか、そういった意識のつながりというものについて御意見をいただければということで考えておるところでございます。

 それから二つ目でございますけれども、関連もするわけでございますが、教材、授業等の学習資源の保存・共有・普及の促進についてということでございます。学習機能を高度化するということにおきましては、各大学が有しておるすぐれた教材とか、授業等の学習資源というものの電子的な保存・共有・普及というものがあまり進んでいないということで、こういったことを進めていくということが非常に重要であるという御意見が多いわけでございますけれども、機関リポジトリへの登載とかもやっぱり、論文等に比べますと、やはり進んでいないという状況でございます。

 先ほどの授業の予習・復習とかそういったアクティブ・ラーニングの推進とかにおきましても、こういった学習資源の電子的活用というのは非常に重要になるということで、積極的に推進していく必要があるのではないかということでございます。

 また、そういった学習資源の共有につきましては、様々な、個々の大学の検討はなされているんですけれども、やはりそのやり方について、統一的にやるということで、学内とかを超えて大学間とか、それから、しいては一般の方々、対外的にということにもつなげていくような形での対応、これは結局、大学のアピールということで、これまでもそういうことを進められているところもあるわけですけれども、そういったことによりまして、大学の教育の伝え方ということにも生かしていけるのではないかということで、統一的な考え方を入れれば効果的・効率的に作業が進むのではないかということでございます。

 具体的には、やはりこの授業教材を電子化するに当たりましては、複雑な著作権の処理とかもございますし、電子データを標準化していくとか、それから共通のプラットフォームを構築していくとか、場合によっては機関リポジトリで活用していくとか、それからその学習資源を大学の資産として考えた場合に、どういうふうに公開していくかということについてもいろいろ論点があるのではないかということでございます。

 諸外国ではOCWとかということで普及しているというところも若干ございますし、eラーニングの取組等もございますので、そういったことを踏まえまして、対応を御審議していただければと思っております。

 それから3番目が裏のページでございますけれども、大学図書館における学術書のデジタル化の促進ということでございます。海外におきましては、書籍を中心にしました学術情報のデジタル化というものが進んでいるわけでございますけれども、特に日本におきましては図書館の蔵書に関するデジタル化は著しくおくれているという状況でございます。

 日本の場合には蔵書の数ということで、紙媒体を残そうという意識が強いわけでございますけれども、こういった蔵書がやはり継続的に増加していきますので、例えばですけれども、国立大学における図書館関係の施設設備要求というものは、そのほとんどが集密書架ということでございまして、スペースを確保するのが大変ということになっている状況がございます。

 こういった状況も踏まえまして、蔵書について必要なデジタル化とか保存というものを進めながらですけれども、そういった貴重書とか、稼働率が高い書籍とか、全てをデジタル化する必要はないと思われますが、ニーズに合わせて効率的に電子化するということも含めながら、紙媒体で維持すべきものとそうでないものというふうに分けて省資源化していくという取組も必要になってきているのではないかということでございます。

 あわせまして、そういった紙媒体の資料の保存につきましては、例えばですけれども、国会図書館とか複数の図書館に分散して、限定して保存するという考え方を図書館の方々で共有していただいて、重複保存を抑えるようなシェアードプリントの考え方を導入していくということも必要なのではないかということでございます。

 そういうふうなことでデジタル化、それからシェアードプリントによる合理化ということに対応が進みますと、こういった集密書架に対する設備投資の抑制とかとあわせて、空いたスペースのラーニング・コモンズ等のアクティブ・ラーニング・スペースへの活用というものも可能になってくるということではないかと考えております。

 あわせまして、そのデジタル化の意義でございますけれども、特に学術書に対する電子的利用に対する学生のニーズというのは極めて強いと伺っております。やはり学術書出版におきまして、電子的な利用を基本としまして、必要に応じてそれをプリントにして冊子にするとかという形での出力という形が進めば、適切に、学生がより学術書を、日本の学生はあまり本を読まないと言われているわけですけれども、やはりもともと学術書は高くて、それから重くて、やっぱりなかなか個人で持つのは大変であるという認識もございますし、図書館で本を借りてくるというのも面倒だということもございまして、デジタル化して共有されれば、より学生さんはやっぱり積極的に活用して、より読むようになると伺っているところもございますので、教育改革の一環としての効果があらわれるのではないかと思っておるところでございます。

 それから三つ目は、そのデジタル化の促進に当たっては、当然、著作権処理の問題が発生するわけでございます。今般、著作権法改正によりまして、国会図書館に限って著作権者の許諾なしで保存のためのデジタル化にあわせて絶版本等の図書館への配信は可能になったわけでございますけれども、その利用は図書館内での閲覧と一定範囲の印刷、これまでの原則に限られているところでございます。

 こういった著作権に関する解釈・取扱いというものを確認しつつ、より円滑なデジタル化に向けた対応方針、業者とかを含めてでございますけれども、どのようにして進めるのが適切かということに対しまして、御意見を伺えればありがたいと思っているところでございます。

 論点は以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。後ほどまとめて議論をしていただきますが、この時点でお聞きしたいということがありましたらどうぞ。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして学修環境に係る情報基盤整備についてですが、千葉大学附属図書館長兼アカデミック・リンク・センター長の竹内先生から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【竹内センター長】  ただいま御紹介いただきました千葉大学の竹内でございます。それではしばらくお時間をいただきまして、現在、千葉大学が取り組んでおりますアカデミック・リンクと、これまでの数か月間の経験の中で直面してきた諸問題について説明をさせていただきます。

 お手元に本日のパワーポイントをハードコピーにしたものと、別に千葉大学のクリアフォルダーに入りました資料がございまして、その中にアカデミック・リンクと申しますか千葉大学附属図書館の利用案内、そしてアカデミック・リンクのコンセプトを記しましたコンセプトブック、そして施設の概要を簡単にまとめましたA4、1枚のカラー刷りの資料をお配りしております。

 先ほど長澤室長からのお話の中にもございましたけれども、中教審の答申などで高等教育における学習の質の向上でありますとか、あるいは課題解決能力を持つ学生の育成といったようなことが非常に重要な課題であるということが、ここ数年の議論の中で強調されてきたところでございます。

 このような議論を受けまして千葉大学では、図書館機能をベースとした新しい学習環境をつくることができないかということでアカデミック・リンクというコンセプトをつくり上げました。このアカデミック・リンクというコンセプトは研究開発機能を担うアカデミック・リンク・センターと、実際にサービスを提供する附属図書館が中核となって推進をしております。アカデミック・リンク・センターは、図書館と、情報基盤を提供しております総合メディア基盤センターと、そして私どもの千葉大学で教養教育を担当しております普遍教育センターが協力してつくるということをいたしました。

 新しい図書館が今年の3月16日にオープンいたしまして、約半年ちょっとサービスしてきたというところでございます。

 このコンセプトでございますが、「アカデミック・リンクによる千葉大学の教育改革」という非常に大きな目標を立てまして、生涯学び続ける基礎的な能力を持ち、そして知識活用能力を持つ「考える学生を創造」するということを目的といたしました。このためには、もちろん具体的に何をやるかということになるわけですが、コンテンツと、人的サポートと、そして学習空間、この三つを非常に重要な要素と考えまして、これを有機的に連携させる、つまり学習と、そしてコンテンツを近接させることによって能動的学習を実現していこうと考えたわけでございます。

 学生から見るとどのようになるかということでございますけれども、学生は場所としてのアカデミック・リンクというところにやってくるということを想定しておりますが、この場所というのは学生から見ると、学びを導いていくような刺激にあふれた場所と考えることができます。例えば授業が一つのきっかけになっていくとすれば、それとコンテンツを結びつけるための「授業資料ナビ」といったものを提供する。あるいは「1210あかりんアワー」と我々は呼んでおりますけれども、昼休みの時間に私どもの空間を使ってショートセミナーをやって、非常に多様なトピックを取り上げて、しかも学生にとって参加しやすくする、あるいはブックツリーという見える書棚を準備して、様々なコンテンツを見せるようにする、そして空間そのものも非常に透明度を高めまして、相互の活動をお互いに見られるようにする、といったような様々な刺激というのがあって、そこにいる学生はコンテンツを使い、そして場所を使い、そして必要に応じて人的サポートを得られるというふうにしたいと考えたわけです。

 空間的にはどのような整備をしたかと申しますが、従来、千葉大学には9,600平米程度の図書館がございまして、図書館の旧館、新館という二つの建物になっております。これに今回、東と南に増新築をいたしまして、トータルで15,000平米程度のスペースを準備いたしました。

 それともう一つは、図書館の左側に学生支援センター(厚生施設)、食堂や生協などが入っている建物がございますが、ここを現在改修をしておりまして、そこに入っておりました書店を図書館の一角に移設するということを現在考えております。この書店につきましては11月にオープンをする予定でございます。

 このような配置でございますけれども、特徴といたしましては開放性、透明性が極めて高い空間をつくるということを考えました。先ほど申し上げましたように、「見る」「見られる」ということ自体が、学習を刺激するということだということを考えて、このように考えたわけでございまして、特に新しくつくりましたN棟という建物は基本的に部屋がないと申しますか、ワンフロア全部を見通せるようなつくりにしております。

 それから、やはり伝統的な図書館を好む学生もおりますので、空間的な機能分化をするということで、静寂空間を残しつつ、新しいディスカッションができる空間を整備するということをいたしました。

 それから、いわゆる学習空間におきましても、学生の自由度をいかに高めるかということが重要でございまして、特にN棟におきましては、これは先ほど言ったアクティブ・ラーニング・スペースが、机とか椅子とかホワイトボードなどを自由に動かしてよいということにしております。

 この写真でございますけれども、これが今回増築いたしましたN棟、アクティブ・ラーイング・スペースの2階の学習の様子でございます。机も椅子もかなり乱雑に見えておりますけれども、これはもう朝と晩では全く風景が違うぐらい頻繁に学生が動かしておりまして、そこにホワイトボードを置きまして、これを自由に学生が使うというような形になっております。このスペースは非常に人気のスペースでございまして、このように自由に動かせる席を256席用意してございますけれども、ほとんどいつも埋まっているような状況であると認識をしております。

 それから、このスペースはN棟の1階に設けましたプレゼンテーションのためのスペースでございます。「見る」「見られる」というコンセプトで考えたときに、学習した成果などを「見る」「見せる」ことができる環境をつくりたいということと、それから先ほど申し上げましたように、「1210あかりんアワー」という名前で私どもがやっております、様々なテーマを取り上げて、様々な人がここで学生に語りかけるということによって学習を促すという場として、この場所をつくっております。

 この場所の大きな特徴は、ガラスの仕切りをあけますと、外と完全に行き来ができる空間になるということでございまして、壁に囲まれておりません。自由に出入りができますので、様々なトピックで、関心のある学生は昼休みの時間帯にふらっとやって来て、話を聞いて、またふらっと帰っていくことができるような自由度の高い空間にしてございます。

 それから次にコンテンツでございますが、コンテンツの提供につきましては、学生が利用したいときに、電子媒体でも印刷媒体でも迅速に入手できるようにするということを我々は目標としております。その際、先ほど書店のことをお話しいたしましたけれども、図書館蔵書にこだわらず、購入ということも選択肢として考え、なおかつ教材の作成の支援ということも視野に入れております。

 コンテンツといたしましては、そこに挙げております5種類ぐらいのものを考えておりまして、それぞれにつきまして、現在、私どもでは具体化に向けたプロジェクトを進めているところでございます。

 この写真にございますのは、前のスライドのコンテンツの例で申しますと、コンテンツ1のタイプに当たるものでございます。この1に当たるものにつきましては、私どもでは授業資料ナビゲーターという、授業ごとの参考文献リストを作成いたしまして、これをN棟の2階の、先ほど学生たちが活発にアクティブ・ラーニングを行っている空間に、これを整備するということをいたしました。前年度が73科目でございまして、今年度前期は45科目これを作成し、トータル911冊の資料を、このアクティブ・ラーニング・スペースの書架に配置するとともに、それらの図書の電子化というのをあわせて進めているところでございます。

 右側の写真は、先ほどちょっとお話をした、教員が話をする「1210あかりんアワー」と関連させて資料の展示をしているコーナーでございまして、教員の話を聞いて関心を持った学生が、みずからさらに学習をしていくことができるようにするための見せ方ということで、各教員のトークの状況と、教員の紹介と関連資料をセットにした排架をしていくということをいたしております。

 それから、次に人的サポートでございますけれども、人的サポートにつきましては、我々は学生と、それから図書館員と教員によるハイブリッドな人的サポートをスタートさせております。これにつきましては、これまで何らかの経験があるわけではございませんので、学生あるいは図書館員、教員が人的サポートしていく上で、どのような役割を担うべきかということについては、試行錯誤的に追求をするというということを考えております。

 具体的には、学生による「学習支援デスク」、そして図書館員による「レファレンス・デスク」、そして教員による「オフィスアワー@アカデミック・リンク」というのをN棟2階の、先ほど見ていただきました学習空間と同じフロアに、仕切りなどを設けずに机を配置する、この三つのデスクを並列して置くという形にいたしまして、学生がそのニーズに合わせてここに来ることができるようにするという環境を試行しております。

 学生が行う「学習支援デスク」でございますけれども、これは、現在は大学院生が中心にこのサポートを行っておりまして、この図の左側にございますようなタイムテーブルを示して、科目として物理、数学、化学、そして文系の学習相談、これは主としてレポート執筆等を中心に考えておりますが、そのようなサポート体制を組んでおります。右の写真は実際に学生がサポートしている状況でございます。

 このようなことを3月16日の開館以降進めてきたわけでございますけれども、現時点の我々自身の評価といたしましては、空間を提供するということ、そして学習のためのコンテンツを提供するということ、そして人的サポートを提供するという新しい学習環境の枠組というのは既にでき上がりつつあると考えております。実際、空間には非常に多くの学生が集まっておりまして、6月の統計を見ますと大体1日二千数百名というあたりで、7月の試験期でございますと、一番多かった日で延べ4,900名の利用者がございました。試験期は日曜日であっても2,300名強の利用があるというような状況でございまして、学生にとって極めて魅力的な空間になっているというのは事実かと思います。カウント方法が違いますし、それと空間の状況が全く違いますので、前年との比較というのは参考程度ということでございますけれども、一応比べてみましたら29%増ということになっておりました。

 それから学内の教職員が講師を務める「1210あかりんアワー」という昼休みのショートセミナーですけれども、これはかなり定着をしてきておりまして、多い回ですと70名程度の参加者がございました。現在これは週に2回やっておりますので、既に今日までにもう40回を超える回数をやっているというところでございます。この一つの大きな特徴といたしましては、教員が語るだけではなくて、職員の方にも語っていただく機会を設定しているということでございまして、これについては現在、順調に進んでいると理解をしています。

 それからスチューデント・アシスタントによる学習支援も定着をしておりまして、4月の後半から7月の下旬までの前期の期間の授業期間でございますけれども、これも大体百数十件の利用があったというところでございます。

 しかしながら幾つかの課題というのが出てきているのも事実でございます。一つは空間的な課題でございますけれども、学生のニーズに合った空間の整備ということを考えた場合に、やはりアクティブ・ラーニング・スペースをさらに拡張する必要があるのではないかというところでございます。特に試験期になりますと、当初は機能分化してアクティブ・ラーニングで学生たちが議論するというようなことを考えていなかったスペースにまで、議論している学生たちがあふれるという状況がございまして、これをやはり対応していくための場所づくりというのをしていかないといけないわけです。

 それともう一つは,伝統的な図書館の静寂空間を好む学生というのが一定数いるのは事実でございまして、従来の私どもの古い図書館というのは、残念ながら、座席数をとにかく増やすということを設定してつくっておりました図書館で、静寂に学習をするという空間としては不十分であるという点がございますので、その整備を引き続き続けていきたいと考えております。

 それからコンテンツの問題でございますけれども、これが実は一番頭の痛い問題でございます。コンテンツの整備と提供というのは、図書館をベースとする学習環境をつくる上で肝であると考えているわけでございますけれども、例えば電子化をする、あるいは学習に使えるようにするということを考えると、その手続等に非常に時間がかかる、あるいは手間がかかるということがはっきりしてまいりました。

 授業資料ナビゲーターに取り上げております資料について、8科目の87タイトルにつきまして、先行して電子化できないかということを出版社に問い合わせましたけれども、電子化できそうな見込みがあったのは18タイトル、20%のみという状況でございます。

 それからコンテンツを単に電子化するだけでは不十分ということでございまして、現在eラーニングの環境整備が進んでおりまして、私どもでもラーニングマネジメントシステムとしてムードル(Modular Object-Oriented Dynamic Learning Environment:Moodle)を使っております。ムードルを使う教員というのは日々増えている状況でございまして、現在約500科目弱で使われておりますけれども、その中で例えば論文とか図書の一部とかを学生がダウンロードできるようなにしようとすると、やはりこれは許諾がどうしても必要になるということになります。

 私どもの実験といたしまして、ある科目で論文とか図書の一部を読ませる授業がございましたので、26論文についてなんですが、それをまとめてコースパックという形で、学生が事前にダウンロードして授業の準備ができるようにしようといたしました。そのうち、特に図書に掲載されていた6論文につきましては、出版社から全く回答がない状況です。物によっては出版社が既に解散してしまってどこに連絡していいかわからないといった例もございました。

 そのようなことから考えますと、個々に許諾を得るというのはやはり非現実的な話でございまして、学習教育に資するコンテンツをやはり包括的に使いやすくするための環境整備というのは、不可欠であると言わざるを得ないのではないかと思います。そのためには、高等教育機関としてコンテンツをどのように使いたいのか、そして現時点で何が障壁になっているのかといったようなことを権利者側に伝え、そして双方が納得できるような形で、合意を得る必要があるのではないかと考えております。

 それから人的なサポートでございますけれども、現在アカデミック・リンクの諸活動につきましては、アカデミック・リンク・センターに所属している教員と図書館員が協力をして、教育、学習にかかわる様々なプロジェクトを立案、実施するということをやっております。これは現在の取り組みには実験的な性格が強くございますので、このようなことをやっているということになるわけですが、今後、定常的な業務とした場合に、だれがどのようにこれを担っていけばいいのかという問題が出てくるかと思います。従来の事務職員としての図書館員の位置付けでは、その業務内容をこなしていくのはかなり難しいのではないかと考えております。一方、教員として位置付けるとどうなるかということになるわけなんですけれども、教員の場合、現時点ではやはり研究業績といった点が評価として非常に大きなポイントになってきておりますので、なかなかこのような業務を担うということは非常に難しいのではないかと考えます。これにつきましては平成22年度の12月に出ております当作業部会の審議のまとめにも言及があったかと思いますが、やはり従来の枠組とは違う、資料では私は中間的なと申しておりますけれども、そのような専門職が制度的に必要なのではないかと考えるところでございます。

 大変雑駁な内容でございますけれども、これで私のプレゼンテーションは以上といたします。どうもありがとうございました。

【有川主査】  ありがとうございました。非常に示唆に富むお話をいただいたと思います。

 それでは、これから残った時間を使いまして、学修環境充実のための学術情報基盤の整備に関して意見交換をしたいと思います。

 いろいろな観点からの問題があろうかと思いますが、最初に長澤室長の方から論点の整理をしていただいておりますけれども、それと竹内先生からお話しいただいたことというのは、当然ながら対応している部分がたくさんございます。そして課題の中で御指摘いただいたようなことというのは、今日は相原課長にお出でいただいていますけれども、国会図書館がいろいろなことで苦労なさっていることでもありますし、そういったことで我々はかなり自由な立場にあると考えまして、かなり踏み込んだ議論をしてもいいのではないかと思っております。

 例えば今、竹内先生が最後の方でおっしゃいました、双方が協力し、理解し合ってというような言い方でございましたけれども、例えば、教育に関しては、これは使っていいんだというようなにフェアユースをもう少し拡大したようなことなど、そういうことをやらないと、学生の学修時間の確保とかいろいろ言われているようなところまで行かないのではないか、など思い切ったことを言ってみる必要もあるのではないかという気もしております。

 そういったことで、論点としては三つにまとめていただいておりますけれども、その辺も意識しながら御意見等いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 まず質問がございましたら、それをお受けすることにしまして、議論に入っていくのがよろしいかと思います。質問がありましたら、どうぞ。誰にということを言った上で、質問していただければと思います。

【倉田委員】  口火を切るということで幾つか質問させていただきたいんですけれども、一つは、アカデミック・リンクと途中でもお話がありましたが、eラーニングのようなものとの関係はどういう形になっているのかということで、授業録画その他とか、コースパックというお話は、アカデミック・リンクの全体像の中ではどういう位置付けにあるのかということをもう少しお話伺わせていただければということが一つ。

 それからアクティブ・ラーニング・スペースということで学生の人気が非常に高いというのは、やはりまさに学生がそういうことを求めていたのだろうと思うんですけれども、特に授業について、この最初のいわゆる大学教育改革の答申等の関係で、千葉大学の場合、学生がみずから何かを書いたりとか、協働で何かをやったりというような科目が特に多いというわけではないけれども、今これだけの人気なのかというところを教えていただけたらと思います。

【竹内センター長】  まず1点目のアカデミック・リンクとeラーニングの関係でございますけれども、eラーニング環境を整備するということの中で、特にムードルに関する部分については、現時点ではアカデミック・リンクが主たる役割を担うという形になっております。

 ただし、これは結果的にそうなったという感じのところがございまして、当初、我々が積極的にそれをやっていくつもりは正直あまりございませんでした。つまり、ラーニングマネージメントシステムが大学の中で運用されているということを前提に、それをいかに豊かにするかという観点で、我々は当初、計画をしております。それが1点目でよろしいでしょうか。

 個々の、先ほどコンテンツの例ということで5種類申し上げて、先ほどのお話の中では、実は1番についての写真を見ていただき、そして2番について若干言及をしたところでございますけれども、3番目、4番目、5番目についても、これはアカデミック・リンクの大きな仕事であると考えております。

 授業の録画について申し上げますと、これは今年の前期に、試行という形ではございましたが、5科目の18回の授業で実際にこれをやるということをいたしました。実際にこれは学生が、技術的なことができる学生に、例えば最終的な編集でありますとかということを委ねて、そしてそれを最終的に公開まで持っていくということでございますが、特に今年の前期の試行に関しましては、公開というよりもむしろまだつくるというプロセスのところ、あるいは学生による編集、そしてアップのところまでの手順を確立するというところに重点を置いたプロジェクトというか試行ということをしたところでございます。

 ちなみに、その中でももう一つやはり、じゃあその中で出てくる著作物をどのように扱うかということがございまして、ちょっと調査をしておりますけれども、18回の授業の録画の中に、著作物はトータルで77点出てまいります。もしもこれが全て許諾をとらないと、例えばオンライン上で公開できないということになってくると、やはりこれはかなり大変な作業になってくるということがわかってきたところでございます。

 それから著作物の一部を利用して教員が独自に教材を作成するということにつきましても、これは実はおくれている部分でございまして、本来であれば今年の前期から、私どものセンターのI棟という建物にあるコンテンツ制作室と、それからティーチング・コモンズという部屋を使いまして、そのサポート環境を提供する予定でございましたが、これもちょっとおくれている状況です。

 それから、完全なオリジナルの教材の作成ということでございますけれども、これにつきましては、物理学の教員と協力をいたしまして、学内の基礎的な物理学の科目で共通に利用できる問題集をつくるということをアカデミック・リンクの枠の中で現在進めているところでございます。

【倉田委員】  その教科書というのは電子化を目指されて……。

【竹内センター長】  ムードルの中で使える問題集をつくるということを現在進めております。

 それから二つめのアクティブ・ラーニング・スペースが学生に非常に人気であるということと、それから授業の中で協働学習と申しますか、学生たちがプロジェクトのような形でディスカッションをしていく授業が特に多いのかどうかという質問についてでございますけれども、ほかの大学の状況を知りませんし、千葉大学でも数量的に多い、少ないということは、正確には把握をしておりません。ただ私が様々な機会に触れる学生から、授業の課題で、みんなでディスカッションをして次の授業までにまとめていかないといけないものがあるのだけれども、そのためのスペースがこれまでなかったという声は実際に聞いたことはございます。

 それから、今日お配りしたプリントの、ページ番号でいうと2ページにアカデミック・リンクのトータルの概念を示している図がございますけれども、その図の一番右下に、我々が議論のベースにした学生のニーズについて書いてございます。それは、平成21年度ですからちょっと前なんですけれども、「千葉大学の教育・研究に対する意識・満足度調査」というのがございまして、その中で、学生たちがどういうニーズを持っているかということ、あるいはどういうことを期待しているかということを表明しているわけなのですが、その中でやはり自由に使える学習スペースが欲しいということははっきり傾向として出ておりまして、それを一応ベースにはしております。

【有川主査】  ありがとうございました。山口先生、どうぞ。

【山口委員】  竹内先生、大変多面的な取組の発表ありがとうございました。大変刺激を受けております。

 問題点のところで2点質問があります。1点目はコンテンツの整備と提供の困難さについて、「授業資料ナビ」が20%程しか電子化できないというのは、著作権にかかわってくる問題なのでしょうか。それとも、ほかにも具体的な問題があるのでしょうか。

 またコストに関して、どの部局が負担しているのか。具体的に大学なのか、図書館なのか、学部単位なのかという点をお聞かせいただければと思います。

 2点目は人的サポートの側面です。これだけの新しい取り組みを、教員と図書館員が協力して実施しているとのご説明でしたが、何人体制で実施なさっているのでしょうか。また専門職という位置付けが必要だという点は私も同じように考えます。学内における専門職の配置の将来的な可能性についてはどのようにお考えでしょうか。

【竹内センター長】  まず、最初の電子化に対する問題ですけれども、もちろんこれは著作権者の許可がなければできないということになっておりまして、日本におきましては、現時点では、多くの出版社は著者が著作権を持ったまま出版をするというスタイルをとっております。それゆえ出版社の言い分といたしましては、電子化したいということになると出版社の判断ではできなくて、権利者に問い合わせる必要があるということ、それから、よく言われるのは、例えば写真などを使っている場合には、著者とは別の権利者がいて、1冊の本であっても権利者が非常に複雑に絡まっていることが多くて、それがとても手間がかかって大変であるということです。

 そのようなコストに見合うだけの収入が電子化によって上げられるのかということに対して、出版社がまだ現時点では懐疑的に思っているがゆえに、出版社としては「やっていい」というふうに我々に対して答をくれないというのが現状なのではないかと私はこれまでの経験から考えております。

 ですので、先ほど私のプレゼンの中でも少し申しましたけれども、使う側と提供する側が、相互が納得できるようなビジネスモデルができれば、動く可能性というのはあるのではないかと見ているということです。

 次に電子化に関するコストでございますけれども、これは現時点では、一つには文部科学省の大学に対する運営費交付金における特別経費のプロジェクト分というのを、私どものアカデミック・リンクをスタートさせるに当たって措置をしていただいておりますので、それが原資ということになりますが、それに加えて、私どもは民間企業とアカデミック・リンクの活動に関する包括提携をしておりまして、電子化に係る部分については、その民間企業が経費負担をしてくださるという形に現時点ではなっております。

 それから3点目の人的サポートについてでございますけれども、アカデミック・リンク・センターの組織でございますが、センターは千葉大の中で平成23年4月1日発足でございますけれども、残念ながらいわゆる教員定数にあたる専任教員はおりません。私を含む他部局との兼務教員が3名、そして、先ほど申し上げましたプロジェクト経費で雇用しております特任助教が4名という体制でございます。

 図書館の職員数でございますけれども、千葉大学の附属図書館は、西千葉の本館と、そして亥鼻分館、そして松戸分館という3館構成でございますが、この中でアカデミック・リンクと直接かかわっているのは西千葉本館の職員ということになります。西千葉の職員数でございますけれども、庶務系の職員を除きますと、現在、課長を含めまして13名でございます。課長二人を除くと11名で実質的には図書館の通常業務、もちろんこれには非常勤職員が主として携わっておりますけれども、そしてアカデミック・リンクの活動をやっております。我々としては大学当局にお願いはしましたが、アカデミック・リンクのスタートに当たって特別に人をつけていただくということは残念ながら実現できませんでした。

 最後の専門職に対する見通しということでございますけれども、これについては折に触れてその必要性というのは学内でも訴えかけておりますが、正直言ってどうなるかは全くわかりません。ただ、ほかの大学でもそうかと思いますが、URA、University Research Administratorというのが、言ってみれば中間的な専門職として様々な大学で置かれ始めたというところに私は一縷の望みを持っているところでございまして、このような形で、新たな専門職というものを学内に置くことができないだろうかということを現時点ではまだ訴えかけているという状況でございます。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 ほかにございますか。どうぞ。

【喜連川委員】  大変まとまった発表をありがとうございました。

 一番最初のパワーポイントの1ページ目は研究開発機能を担うアカデミック・リンク・センターと書かれておられまして、後ろの方はどちらかというとエデュケーションというようなイメージ感が強いのですけれども、そもそもすみ分けはどんなふうになっているのでしょうか。

【竹内センター長】  アカデミック・リンク・センターの機能ということになりますけれども、アカデミック・リンク・センターはアカデミック・リンクを実現していくために必要な研究開発を行うという位置付けでございます。

【喜連川委員】  ということは、クライアントはあくまでも学部学生ということを考えるというわけでしょうか。

【竹内センター長】  そういうことでございます。

【喜連川委員】  わかりました。東京大学も理想の教育棟というような、森ビルさんに御寄附いただいてやったりしていて、人気は人気なんですけれども、試験の前に忙しくなって勉強するというのは、まあまあ下世話な話じゃないかなと思うのです。通常時において、学生の時間配分、つまり授業とかサークル活動とかいろいろあると思うんですが、その時間パイのうち、一体どれだけの時間をここで学生が過ごすということを期待されて、現実そうなっているのでしょうか。

【竹内センター長】  それについては大変お答えしづらい質問だなあと思いますけれども、私どもでは実は昨年度、あまり規模は大きくございませんが、学生に対してアンケートをしておりまして、一体どれぐらいの時間を学習に使っているかといったようなことの調査をしております。残念ながら、ちょっとまだきちんとした成果が出ておりませんので、詳しいことはお話しできないような状況ですけれども、そういったことを踏まえながら、学生たちが学習空間でどのような行動をしているかということについては、今年度の後半にさらに突っ込んだ調査をする予定でございます。それの結果が出ますと、今、先生からお話があったような、特に現状に当たる部分というのは明確になるのではないかなとは思っております。

【喜連川委員】  今の答えはオブザベーションの方から来るお話で、私が前半ちょっとお伺いしましたのはデザイン側の話で、学生はこれだけの時間が余っているはずだという想定時間があるはずですよね。この空間で過ごし得る時間がどれだけあるか。今の世の中というのは、要するにもう時間の取り合いなわけですね。どのようなサービスが、この極めてお忙しい学生さんのどの時間部分を取れるかというのを競争しているような感覚だと個人的には思っておりまして、そのとき、そもそもほかを緩めないと、時間というのは一番有限の貴重なリソースなので、そちら側で誘導できないことになるわけですね。その辺の感覚というのはどうデザイン、あんまりちょっと厳しく追及するつもりはないんですけれども、これは結構本質的に重要な問題じゃないかなと思ったのでお伺いしたのですが。

【竹内センター長】  そのあたりにつきましては、明確に学生が今、どれぐらいの時間を学習に使っているかということを、きちんとデータとして持って,それを踏まえて我々がアカデミック・リンクを始めたというわけでは正直言ってございません。

 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、学ぼうという意識を持っている学生はいて、そして授業に真面目に出ていて、そして、それにうまく対応できるような準備や活動をしたいという学生が明確にいる。だけども、それにふさわしい場所が学内にはないという声が我々に届いていたのは事実ですので、そういったニーズにうまく適合できるような空間環境というのはつくり得るのではないかと考えました。

 それにプラスして、やはり図書館という場でこのようなことをやるメリットとしては、やはりコンテンツが身近にあるということと、そして従来からレファレンスといったような形で人的なサポート、学習のサポートを何らかの形ではやってきているという実績が相乗的にうまく機能する可能性を持っているのではないかと考えてやってみたということがあります。最初のスタートアップとしては、ある程度それは当たっていたのかなというのは、例えば利用状況でありますとか、学生たちに対する観察から我々が現在感じているところでございます。

【有川主査】  今の学修時間の問題ですけれども、学修時間の確保というようなことが中教審の答申なんかでも出ているわけです。先ほど室長の方からございました、問題意識の最初のところにもありますけれども、事前準備と、授業時間と、それから予習・復習をちゃんと入れると、学生はちょうど授業時間の倍ぐらいを授業以外のところで勉強しなければいけないということに建前上なりますよね。その学修をどこでやるのか。家でやるとかいろいろなことがあるわけですけれども、例えばこのアカデミック・リンク・センターに持っていくかというようなことになるのかなという気もしますよね。結構遅くまで開館していらっしゃると思うのですが、授業と授業の間の時間というのは普通は確保しにくいでしょうから、授業が終わった後とか、休みのときを使うとか、そういったことになるでしょう。一応の目安としては、授業時間の倍ぐらいはどこかで勉強するはずであるので、それが学生が持ってなければいけない時間ということになるのかなと思います。

【喜連川委員】  東大理一の場合は、倍やっているとほんとうに寝る時間がないんじゃないかなと思うぐらい実験がたくさん詰まっているんですけれども、先ほどお答えいただいた部分は二つのパートに分かれていたかと思いまして、一つは勉強するモチベーションを持っている子に、その場がない。これは小宮山前総長も我が方で、その理想の教育棟というのをやるときの一つの大きなモチベーションにされまして、運動する子供は体育会の方にいっぱい行く場所があるんですけれども、そもそも勉強する子が行く場所がないと。わいわいしゃべる場所もない。だからここをつくるんだという話がありました。

 ただ、それは学生の全体像からしますと、それだけモチベートされた学生空間というのは結構ハイエンドの優秀な学生なんです。その学生を上げるということと、通常の学生の学生レベルを上げるということと、二つを両方実現すること自体は構わないんですけれども、測定効果を見るという意味では二つを分別したメトリクスを何かお入れになられることが必要だと思うんですよね。その辺のループのデザインを、特にコースウェアの部分も含めて、ぜひやっていただけるとありがたい。

 一番いい失敗例は脳トレなんですね。あれは2年間だけだったんです。任天堂のDSの脳トレの中でも山のように教育コンテンツが出ましたけれども、2年間で全てポシャりました。ですので、コンテンツのデザインというのは、被験者である学生をうまく、何というか、見ながらエボルブしていかないと、そうそう簡単には動かないなと。著作権云々の問題もあるんですけれども、その全体のデザイン、教育デザインに非常に強くかかわってくるんじゃないかなと思っているんです。というところで少しコメント申し上げました。

【竹内センター長】  ありがとうございました。今のコメントに若干お答えをさせていただくとすると、成績あるいは学生の行動と、コンテンツの利用あるいは空間の利用の関係については、データを集めまして分析をするということに既に着手はしております。

 それから二つ目の教育デザイン全体と、それからコンテンツの提供の問題ということでございますけれども、これも一応我々の視野には入っておりまして、私どものセンターの教員とは実際ディスカッションを始めてはいるんですけれども、これは非常に難しいなというのが正直なところでございます。我々としては、やはり従来の紙の形であったコンテンツの利用可能性をどうやったら高められるかという点にまずフォーカスを当てておりまして、それが今回お話をしたような、いろいろな実践と申しますか実験的な試みというところでやってきたことであると考えております。

 その先ということでございますと、例えば今アメリカでも盛んに行われておりますMassive open online coursesでありますとか、あるいはOpen Education Resourceとかという形でいろいろ出てきているコンテンツとか、あるいは具体的な名前で申し上げますと例えばコーセラのような幾つかのコンポーネントが組み合わさって一つのオンライン教育の環境といったらいいんでしょうか、そのようなものを提供するといったような方向に我々は考えていくのか、そうではないのか、というところをやっぱり中長期的な課題としては考えております。しかし、私どものセンターの学内の位置付けということを考えますと、これはうちがまず口火を切る話ではないかもしれないというようなことを言っているところでございます。

【喜連川委員】  ぜひ頑張ってください。

【竹内センター長】  ありがとうございます。

【有川主査】  ほかにございませんか。

【美濃科学官】  ちょっと情報基盤の関係から聞きたいんですけれども、このアクティブ・ラーニング・スペース、写真を見ているとあんまりパソコンを使っている人がいないですけれども、今もっと普通に使うんじゃないか、あるいはプレゼンを、共有して、自分のパソコンをプロジェクターに映して議論したいとかいうようなことが普通じゃないかと思うんですが、そういうファシリティーの設計とか、そのあたりはどの程度お考えになっていますか。

【竹内センター長】  すみません、写真にそれが入っていなくて大変申しわけございませんでした。N棟と我々呼んでおります新しくできた建物、1階から4階までアクティブ・ラーニング・スペースと我々は位置付けておりますけれども、それがトータルで3,500平米ぐらいございます。このスペースは完全に無線LANを整備しております。それから先ほどの写真とは別のフロアに、千葉大学の教育用端末750台のうちの50台を設置するということをしております。この空間は大変混み合っております。

 それだけでは不十分でございますので、図書館のカウンターでPC、Mac、それからiPad、それからアンドロイド端末の貸し出しをしております。プロジェクターにつきましても、やはり同様にカウンターで貸し出しということをしております。今日の写真には含まれておりませんけれども、この建物の4階にグループ学習室を4室準備しております。この部屋は我々のコンセプトに基づいてつくられておりますので、壁は全部透明ガラスで透けている状態なんですけれども、そこには当初よりプロジェクターのための,ホワイトボード兼用のスクリーンを設置しておりますので、必要があれば総合カウンターでプロジェクターを借りて、持っていってもらえればいいということになっております。

【美濃科学官】  そのファシリティー、どんな程度使われているかというのが興味あるんですけれども。一般的にはよく必要であると言われているんですけれども、やってみてどんな程度、実際使われるのかということを疑問に思っています。どうですか、やってみられて。どんな感じの利用率でしょうか。

【竹内センター長】  貸し出し用のPCについてなんですけれども、これにつきましては、今のところどれぐらいニーズがあるかわからないということで、先ほど申し上げました4種類について、それぞれまず5台ずつ準備をいたしました。それで申し上げますと、WindowsのPCは確実に足りない状況で、これがどれぐらい足りないかということについては現在カウンターで調査をしているところでございます。それから、あと順番で言っていきますと、MacとiPad、ほとんど使われていないのがアンドロイド端末ということになります。

【美濃科学官】  普通、PCの端末室とかではあまり議論しないですよね。静かに使っていますよね。そういうところで、それを使って議論させるように持っていきたいわけですよね。

【竹内センター長】  それについて補足をさせていただきますけれども、もちろんPCというのは個人利用とグループ利用が想定されております。PC50台をとりあえず置きましたけれども、そのうち2台につきましては、かなり大きめなテーブルの上にやや大きなディスプレーを置いて、それを4名ないし5名で共同利用するという環境を、2台だけですが試験的に設置をいたしました。これも利用状況については統計的にということよりもむしろ観察ベースですけれども、非常によく使われているという状況があります。それからPCのエリアの利用者数というのを、本学の工学部の大学院生が修論の一環として調査をしておりまして、その調査結果を中間報告を見ておりますが、パソコンのスペースの利用者数という観点でいうと利用率百十数%というような数字が出ております。これはどういうことかというと、基本的に48台のPCは、PC1台について椅子が一つ置いてあるわけですけれども、学生がよそから椅子を持ってきて、1台のPCを二人、三人で使っているという状況がそこに生まれているということでございます。

【有川主査】  どうぞ。

【上島委員】  先ほど、いろいろな学部の学生が参加されているということでしたが、分野などの特徴はあるのでしょうか。それと教職員の方も積極的に御参加になっているということですが、専門分野の偏りはあるのでしょうかというのが一つです。

 それから書庫の件ですが、横へ大きく、L棟という形でお作りになっています。一切の除籍・除却なしという形で進められたのでしょうかということが二つ目。

 それから三つ目、いろいろなお話を伺って、いろいろな機能が足りない、いろいろな人材が今後必要であるという話がありました。それで「審議のまとめ」にも書かれていいますが、北米研究図書館のいわゆる機能別の役割が幾つか挙がっていたと思うのですが、そこに含まれないような機能というものは、竹内先生の方で何か他に思いつかれるようなものはありますでしょうか。

 以上三つほど、雑駁でございますが。

【竹内センター長】  最初の御質問は、多分、学習支援ということで我々が一応ハイブリッドと呼んでおります教員と、それから図書館員と、そして学生による人的支援ということかと思いますけれども、学生による人的支援の部分というのは、先ほどちょっと御紹介いたしましたように、分野的には、理系は数学、物理、化学で、あとそれ以外、文系のレポート作成を中心とした学習支援という形でございます。これはそれぞれ数学、物理、化学をバックグラウンドとしております大学院生が担当しております。これを、3科目を選んでいる背景といたしましては、私どもの普遍教育という枠組の中で、科目ごとに教員のグループがつくられているんですけれども、やはりそこで、学習支援の必要性ということがかなり強く言われていたこと、そして数学につきましては、数学の教員集団が既に先行して独自に部屋を設定して院生による学習支援をやっていたということが背景にございます。

 それから教員による学習支援という形でございますけれども、これについては学内の先生方にかなり広くお声かけして、こういう場でいわゆるオフィスアワーができるということを呼びかけたんですけれども、今、皆さんお忙しいので、わざわざ図書館まで来てということを率先してやってくださる方というのはそんなにいらっしゃるわけではないということで、現状といたしましてはセンターの兼務教員と、それから特任教員が座っているという形をとっております。

 ただ、今年の後期から、教職の授業に関するサポートをこの場所で行うようになりました。それから厳密な意味での学習支援ではございませんけれども、学生相談室のスタッフが昼休みに、この場所にきて相談を受けるというようなことも進めております。

 それから二つ目の書庫の問題でございますけれども、今回のこの改修ができた大きなきっかけは、実は先ほどちょっと絵の中で御紹介いたしましたが、図書館の旧館の耐震改修ということがございました。それからもう一つは、私どもの図書館がいわゆる設置基準の面積から見たときに、50%程度しか満たしていなかったということもございまして、増築の余地があったということがあります。ただ書庫スペースに関しましては、従来の積層型の書庫、図書館の専門用語で恐縮ですが、普通のフロアですと2階建ての高さしかないんですけれども、そこを天井を低くすることによって3層分書庫を設置するという、非常に古いスタイルの書庫があったわけでございますが、それを完全に撤去するということをいたしまして、そのかわりに電動集密書庫を入れるという形で整備をしております。それゆえ、今回の増改築に当たりまして、資料の除籍といったようなことは特にはしてはおりません。

 それから三つ目の人材の問題でございますけれども、私どもが考えたこのアカデミック・リンクのモデルというのは、多分にアメリカの大学図書館の実践というのを参考にしております。これは特定のどこの大学というよりもむしろ、アメリカの大学図書館で実際に行われている様々なサービスを横断的に見たときに、日本の大学図書館あるいは日本の大学において何かできることはないだろうかということを考えてつくり上げていったコンセプトでございまして、個々のサービスそのものというのは実はそんなに目新しいものではないと思っております。その観点で申し上げれば、北米の大学図書館における職員の機能分化というコンテクストと、それから我々が本来考えている新しい専門職と申しますか、そのような人たちとの間に大きな違いというのはないと考えております。

【上島委員】  ありがとうございました。

【有川主査】  松浦先生、どうぞ。

【松浦委員】  竹内先生のスライドの2ページにアカデミック・リンクの目的として「考える学生の創造」という話が出てまいります。今年の中教審の報告に関する本日の資料の5ページにも考える能力という話が出てきています。これは、今までの教育の環境では考える能力を持っている学生は十分育っていないたないという話が下敷きになっています。すると、その考えない学生がより考えるようにするにはどうしたらいいかが課題です。

 であるとすると、この2ページの資料に出てくるアクティブ・ラーニング・スペースとコンテンツ・ラボとティーチング・ハブがどのようにして考える力の向上につながるのかという点について、一つのなるほどと思わせるストーリーが必要だろうと考えます。その点について千葉大学でどのぐらいのことまで検討されたかを、教えていただきたいと思います。

【竹内センター長】  その点については、正直に申し上げますが、実はあまり詰めて考えておりません。なぜ我々がこういうことをやってきたかと考えると、やはり図書館というのは従来から学内における教育組織ではないという背景を踏まえつつも、しかしながら図書館の可能性を今後もきちんと発揮できるようにしていくということを考えると、先ほどちょっと申し上げましたけれども、これは新しい学習環境をつくるということが必要であって、その学習環境をつくることによって、授業を行う先生方に対しても新しい学習環境を使う可能性を知っていただくというプロセスがどうしても必要なのではないかと考えておりました。

 もちろん、これから大学の教育をいろいろな形で変えていくということで、例えば教育担当理事のようなお立場の方が何かを進めるということであれば、今お話しになられたような、いかに学生をどう変えていくか、あるいは先ほど喜連川先生からもお話しになったような学習デザインとか教育デザインをどう変えていくかというアプローチにおそらくなるのだろうと思います。私どもはそういう立場にはない中で、しかしながら図書館の可能性というものを最大限引き出すようにするにはどうするかということを考えていって、新しい学習環境としてこういうものがあって、そして学習という行為とコンテンツを近づけて、それによってアクティブな学習を刺激していくことができれば、我々としては、先ほど目的に挙げている「考える学生」といったようなものをつくる十分な下地になり得るのではないかと考えたということでございます。

【有川主査】  おそらく、何年かたちますと、授業を担当していらっしゃる先生方から、最近の学生は随分変わったというようなことが言われるようになってくるのではないかと思います。図書館に行ってディスカッションしたり、ほかの目的で行くかもしれませんけれども、さっき「見る」「見られる」ということをおっしゃいましたが、たまたま図書館に行ったら何かものすごい形相で勉強している学生がいる、それを見て自分たちもしようというような、そういったいい循環ができ上がっていくんだと思うんです。

 どれだけ考えたかというのをはかるというのはなかなかできないでしょうけれども、授業時間にかなり質問して先生が困ってしまったというようなことがどんどん起こってくるのではないのかなと思うんです。

 そういうのはやがて、あるいは調査してもいいと思うんですが、評判として出てくると思います。そうすると、まさに「考える学生の創造」ということからしますと、うまくいったということになるんだろうと思います。

 それから大学図書館の機能ということについて、私も前世紀末から今世紀にかけて約10年近く図書館長をやっていたんですが、そこで一番重視したことが学習ということです。皆さん、研究なさっているときは、大学では研究教育っておっしゃいますけれども、概算要求なんかしますと文科省にいろいろ指導されますから、教育研究と言うようになるんです。それはあくまでも先生方の立場なのです。図書館に関しては、やっぱり学生を主役にしたいというので学習教育研究という言い方をする。たったそれだけで、考え方がかなり変わってくるし、いろいろな人にアピールできます。館長だった当時、自分のところの総長に対しても、そういうことを言ってかなりの予算をいただくことにも成功したのです。

 一つ、そのころ問題だったのは、定員削減といいますか、財政的に厳しくなるという状況にあり、電子化とかネットワーク社会だから図書館はそんなに要らないだろうというような雰囲気にありました。図書館に行って勉強する人もいないだろうとか、図書館に行かなくても論文もちゃんと見られるといったようなことがあって、図書館職員はあんまり要らないといった風潮が結構あったわけです。実際にそれで図書館の組織を変えてしまった大学も相当あると思うんです。

 私が注意しましたことは、将来図書館そのものが相当変わっていくと思っていましたからその時点でしなきゃいけないこととして、図書館職員をしっかり確保しておくということでした。学習ということでは、学生の学習を支援するというようなことにもっと積極的にかかわるとか、また一方で、先ほど室長の方からもお話があったと思うんですけれども、機関リポジトリみたいなものを図書館がやるとか、最近では、教材開発センターというのも図書館の中につくっているということなど、人的な資源を確保した上でそういうことをやっています。

 そして、その専門性といったことについては、大学図書館基準というのが御承知のとおりあるわけですが、そこに書いてあるんですけれども、私の方でも専門性の重要性を指摘してきました。もちろん教員とも違うし、それから庶務系あるいは会計の事務職員とも違うのですが、図書館職員という言葉をもうちょっと力強く言ったほうがいいのではないかと思っておりました。そうしたことでやっていましたら、今は、法人化した後ですので、職員の採用もそれぞれの大学である意味で魅力によって違ってきていると思うんですが、図書館に関してはものすごく応募者、就職希望者が多くなっています。ですから、そういう意味では非常にうまくいったのかなと思っています。

 それから、もう一つは、日本人は非常に勉強といいますか知的な関心が高いということもあると思うんですけれども、図書館の魅力というのはむしろどんどん増えてきていると思っております。

【喜連川委員】  いや、ほんとうに竹内先生の今日のお話ってすごくスティミュラスで、もう何かいろいろな質問が思いついてしまって、大変珍しいというと怒られちゃうんですけれども、何回も参加させていただいた中でほんとうにおもしろい議論が出来るご発表でした。

 一つ、さっき美濃先生もおっしゃられたところで、パソコンをぽろぽろ置いておいて、結構使っていますということでしたが、御存じのようにMITは100ドルパソコンをばらまいたんですね。100ドルパソコンを一体どう使っているかというログも集めています。すなわち学生がどういうインテントでどういうコンテンツをサーチして、ほんとうにどんな勉強をしようとしているのかなというその原点をやっぱり我々は、もし観測可能であればおやりいただけると非常にありがたいなと思います。

 これは、我々がこういう大規模なデータのアナリスティクスというのをやっている中で、一番おくれているのが教育分野です。ほんとうにおくれています。アメリカもOECD基準からいいますと、インベストメントはワールドワイドで確か4位なんですけれども、学生の成績は18位ぐらいだったので、投資対効果はとても悪いんですね。日本はどうなのかわからないんですけれども、ちょっとそういう視点での、アングルを御検討いただければありがたいなということが一つ。

 それから今日、先生からいろいろキーワードをいただいて、私ちょっと今ウエブでいろいろ調べていたんですけれども、アメリカのオープンオンラインのコースウェアの場合は、先ほど有川先生も御指摘されたような、そういう意味でのフェアユースがあるので、コンテンツに関するコピーライトイシューが出ないのかどうなのか。かなり広く出て、使われているようにもウィキペディアの記事では見えるんですけれども、それがどうなっているのかということ。

 それから繰り返し先生がお話の中でムードルというのをリファーされておられたと思うんですけれども、ムードルのサイトを見ますと、外形をつくるツールにはなっているような気はするんですけれども、あんまりディープなコンテンツはなく、勝手につくって、そこをぽんと張ってくださいぐらいの感じで、ちょっとその辺の概況を教えていただけるとありがたいんですが。

【竹内センター長】  まず、最初に言われた、学生の行動をちゃんとログを取って分析するということの重要性については全くそのとおりだと思っておりまして、そういったことがわからないまま我々としては観察法などでやっているというところで、ほんとうにそういったものがきちんとわかって、それに対応する動きができるということはやっぱり重要だろうと、私も全く同感でございます。

【喜連川委員】  同感じゃなくて、ぜひやっていただきたい。

【竹内センター長】  いや、お金と人がいただければという話になると思うのですが。

【喜連川委員】  解析は僕がやります。

【有川主査】  今日は特別に来ていただいてお話を伺っていたところですけれども、用心しないといけませんね。宿題が出るかもしれません。

【竹内センター長】  それで、いわゆる教育資源や教育コンテンツのオープン化という流れでございますけれども、これ従来、私も定量的なデータをきちんと見たわけではございませんが、例えばいわゆるオープンコースウェアと言われる流れで、いろいろな授業映像などがインターネット上に公開されており,量的にもかなり増えてきているのは事実だろうと思います。例えばiTunes Uなどで、いろいろな大学が授業発信をしているということがあります。それについて、いろいろな話を聞きますと、フェアユースということで何でもかんでも出しているという状況では決してないということだと思います。オープンコースウェアの場合には、むしろ、これは見せられませんといって、音は流れているんだけれども画像の部分は黒くなっていたりとか、あるいは画像を加工して隠されていたりとかというコンテンツがかなりあって、あれでは使い物にならないというような言い方をなさった方もいらっしゃいます。

 それからコースウェアなどでの利用ということでも、そのフェアユースという概念の下で、無料で使えているかというと、そういうわけではございませんで、例えばアメリカの場合にはコピーライト・クリアランス・センター、CCCという機関がございますが、例えばある論文をコースパックとして使いたいということになると、例えばCCCのサイトで、対象学生が何人ぐらいで、配付の方法は紙か電子かといったようなことまでクリックしていくと、じゃあ、あなたは何ドル払いなさいというような形でお金を払って片付けてしまうというようなのが実際のところではないかと思います。

 それからムードルに関することでございますけれども、私どもがムードルを使っている一つの理由は、これがもともとフリーソフトであったということがあって、その機能を見てどうのこうのということは実はやっておりませんでした。これを今後どうするのかということは、議論はしているところでございますけれども、今、先生の御指摘があったように、機能的には必ずしも十分なものというふうに我々としても評価しているわけではございません。

 以上でございます。

【喜連川委員】  どうもありがとうございます。

【有川主査】  ありがとうございました。田村先生、どうぞ。

【田村委員】  先ほどの有川先生のお話に関連して、人材の件で伺います。今回、竹内先生からお話しいただいた中で、人的サポートに係わる人材については、大きく分けて2種類考えていらっしゃるように聞きました。一つが仕組みをデザインする人材で、これは中間的な専門職が要るんじゃないかというようなお話だったかと思います。それからもう一つが、直接学生に接する部分で、これについては、3種類、つまり学生自身と、教員と、それから図書館員。フロントラインの部分はこの3種類要るとお考えなんだと思いました。

 それからさらに、その全体をデザインしていらっしゃるのが、今のところは教員組織になっている、助教も含めたアカデミック・リンクの教員で、さらに図書館職員もいます。さきほどの2種類の人材も含めて考えますと、大きくは4種類の教職員組織が係わっていることになります。そうした組織でもって、学内の教職員とか学生に対して、アカデミック・リンク・センターを開き、学内の人々全体を巻き込み参加・貢献してもらう、という形で、人材というものを考えていらっしゃるのかなと思っています。その辺の役割分担、特に図書館職員をどういうふうな役割分担で考えていらっしゃるかということと、フロントラインを3種類考えていらっしゃる中で、役割分担をどのように考えていらっしゃるのか。先ほどの上島先生のご質問にも係わるかと思いますが、図書館員を中心にした役割分担についてもうちょっとお話しいただけるといいかなと思っています。お願いできますでしょうか。

【竹内センター長】  先ほど私のプレゼンテーションの中でも人材の問題のところで、これモデルがあるわけではないので経験的に、試行錯誤的にやるしかないということをお話しいたしましたが、今の御質問というのは大変にやっぱり答えづらいというかやっぱり明確に答えはまだできておりません。イメージ的には、こうなっていくかもしれないなというのはあっても、明確にまだ言語化してこうだというふうには若干お答えしづらいところがございます。

 図書館員が特にフロントラインの役割に入ってくるという背景には、一つには、1990年代以降と言っていいと思いますけれども、情報リテラシー教育という形で、実質的にある種の教育的なプログラムを図書館がやってきたという実績がやっぱりあるということです。ただ、従来の教育カリキュラムないし教育プログラムの中で、これが明確に位置付けられてきたかというと必ずしもそうではなかったということがあります。今回我々は、教育という切り口よりむしろ、先ほど有川先生がまさにおっしゃったように、学生の視点というか、学習という観点でこれを考えていくということを申し上げましたけれども、そのコンテクストで言えば、図書館員というのは十分その学習をサポートする役割を担ってきたのではないか。ただしそれが、正当に評価されないというのはちょっと言い過ぎかもしれないですけれども、うまく位置付けられてこなかったのではないかという気がしております。そういった意味で言うと、フロントラインにいる図書館員が、何か新しいことをどんどんやれというよりも、むしろ、今までやってきたことをもう一度整理し直して、学習支援という枠組の中で位置付けて、そしてフロントラインの一部を担うというふうに説明するということの方がいいのではないかと考えております。

 ただ、その次に出てくるやっぱりデザインとかをしていく、さっき中間的な専門職と申し上げましたけれども、そういう人たちというのは、私の個人的な希望も入りますが、やっぱりフロントラインにいる図書館員の中から出てきてほしいと思うわけです。それをやっていける人材をどのようにつくっていくかというのは、これは実は大変な課題だと思っておりますけれども、私は、現在図書館で働いている人たちの能力を、ある意味で全面的に信頼をしております。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在の我々の活動というのは教員と図書館員が協力して、プロジェクトの企画的なことまでやるということをしておりますので、言ってみれば、その経験の中で図書館員がその中間的な専門職に十分育っていただけるのではないかと考えております。

【有川主査】  今のことに関してですけれども、九州大学では、実は倉田先生たちにもお手伝いをいただきながら、ライブラリーサイエンス専攻という大学院をつくりました。おそらく来年の4月には、博士課程もできる予定です。これは非常におもしろいことになっていると思うのですが、学生として図書館職員が入学してきますし、図書館職員でありながら准教授をやるということもある。そこで境目がなくなるんです。なぜライブラリーサイエンスと片仮名で言っているかということも大事なことなんですが、いろいろなことにおいて、いわゆる図書館と普通に言われていることよりもはるかに広いものがあると思っています。先程の学習の問題や、それから情報ということでいいますとコンテンツに関することなど、あるいはアーキビスト的なことも範囲に入れて、そういったことは一つの方向であると私どもは思ってやっているところです。そして、大学院ですから学生数は極めて少ないのですが、学生がちょうど、実習の場所として図書館を持っている、私どもも、規模は小さいですがアカデミック・リンク・センターに似たようなものを持っていまして、そういったところで働いてスキルも上げていってという、いい循環をつくり出そうということはしております。御参考までに。

【松浦委員】  もう一つ竹内先生に教えていただきたいのは、こういう新しい学修環境を用意したときに、学生が使いこなせるかという点です。いろいろな道具を並べておくだけでは、十分ではなく、教職員に積極的に使ってもらうためのインセンティブを上手に組み込んでおく必要があります。アメリカの大学がたくさんの本を用意して使いやすくしているのは、多くの教師がその本を読ませる環境になっているからです。教師が学生にいろいろなものを調査させるから、図書館にその学生たちが来て、リサーチの支援を求めるのです。学生のリサーチ要求が高度だからサブジェクトライブラリアンが必要になり、人員配置がされています。つまり、道具は、教育の実態と連動しているから意味があると思います。

 パソコンとプロジェクターと何とかを置いておいたら、学生が自分で考えて使いこなすのなら、そもそも学生に考える力を植え付ける教育は要らないんです。現実には、道具の使い方がわからないから、ただ場所を使っているだけの学生に対して、上手に道具を使って知的な生活を味わえるようなある種の仕組が不可欠です。これをしないと、道具は、あっという間に陳腐化してしまいます。

 この点について、アカデミック・リンクで何かお考えがあったら教えていただきたいと思います。

【竹内センター長】  今、松浦先生がおっしゃったように、またここで先ほどからいろいろな方から御意見が出ていることですけれども、教育プログラムと、アカデミック・リンクが提供しているような機能との連携というか連結というのをどういうふうにするかということについては、少なくても今の段階でまだ十分にできているとは私も思っておりません。これはむしろちょっとおくれていると感じているところでございます。ですので、やっぱりどんどんやっていかないといけないんですけれども、ただ、学内の教員に対しても非常に刺激的な空間をつくったことによって、教員のサイドからこんな授業をやりたいという話が来ているのも事実でございますので、そのような可能性にはかけたいと考えております。

 それから二つ目の空間の利用を学生にどのように学ばせるかということなんですけれども、これは私も実は非常に懸念をしていたところでございますが、実際には学生は新しい環境には慣れてしまうものであると思っています。例えば、我々は、机を動かしていいですという告知を1枚出しているだけで、何か教育的な指導をやったかというと一切しておりません。それから今日お配りしている利用案内が、ちょっとある意味では教育的と申しますか、極めてインフォーマティブなもので、学生からみたときにイメージしやすいものにはしたということはございます。

 しかしながらそれ以上のことについては、どちらかというと学生が自発的にどんどんやっていくことにかけているというところがございまして、例えばグループディスカッションの様子などを見ておりますと、ガラス張りのグループ学習室のガラスの一面を使って、ポストイットをいろいろ張っていろいろディスカッションをやったりとかといった、そういう姿も見えてまいりますので、我々としては、どうしても力を入れて指導しなければいけないとはあまり思っていません。それから我々の基本コンセプトとして「見る」「見られる」という空間にしているので、そういう既にある種の知識なりスキルを持っている学生たちが、いろいろなことをそこでやってくれること自体が、そうじゃない学生に対する効果的な指導ないし教育になるのではないかと考えております。そういった意味でいうと我々非常に学生に助けられております。

【有川主査】  どうぞ。

【山口委員】  教員に対する啓蒙活動、具体的にはこの様なアカデミック・リンクを学生に使用させるためのアサインメントの出し方や、その一部を成績や考える力を伸ばすための手法の一部として勘案するなどの活動は何らかの形で実施されているのでしょうか。

 先ほど出たムードルに関しては、東工大でも過去にムードルを使っていた経緯があります。使っていた教員からすると大変使い勝手がよく、ディスカッションボードをTAを中心として学習した課題について学生間でディスカッションをしていくというような取組を実施したところ、その議論が次回の授業につながるというような傾向が出てきたことがありました。

 ただ、それに関してもやはり人的資源が必要で、TAが中心になり質問を投げかけるという形をとっていました。学生に考えさせる、学生に議論させるために教員がどの様にツールを駆使していくかは大変重要な点だと思います。そのあたりの御意見をお聞かせいただければと存じます。

【竹内センター長】  今、山口先生からおっしゃられたことというのは極めて重要なことだと思っておりますが、残念ながら現段階のアカデミック・リンクでは、そこまではできていないという状況です。私どもとしては、学内のFDの機関と協力をして、特に教育の現場でのICT技術の活用ということに関するFDを推進するということは活動計画の中には入っておりますけれども、残念ながらできていないと申し上げざるを得ない状況にあります。

【有川主査】  かなり議論をしていただいたと思っておりますが、冒頭で、長澤室長の方から論点の整理ということで、大きく三つのことを言っていただいております。一つ目の図書館の活用による能動的学修環境の在り方については、今日、竹内先生のお話を受けて、相当議論ができたのかなと思っております。

 それから二つ目は教材授業等学習資源の保存・共有・普及の促進というようなことで、今日は少し触れたかもしれませんが、著作権処理や、標準化、共通プラットフォームの構築であったり、機関リポジトリを位置付けるといったことや、それから学習資源の公開範囲の考え方など、そういったようなことを議論しなければいけないと思います。

 それから三つ目は、大学図書館における学術書のデジタル化を進めていくということで、ここは少し議論があったと思います。

 今日は主に最初のところに関して議論ができたのかなと思っております。今期もう一回ぐらいは開催できると思いますので、ほかの点につきましては、そのときなどを使って、今度は少し体系立てて議論をしてみたらどうかと思っているところです。

 今日は、実はここに必ずしも入っていないかもしれませんけれども、喜連川先生から御指摘いただいたように、竹内先生たちがされたやり方でもって、学生の学習の到達度といいますか、そういったことなども含めた情報がきちんと集まるような仕掛けがごく自然に構築できるのかなと思いました。そうすると教育の仕方も当然変わってくるわけです。教材のつくり方も変わってきますので、これは非常に新しい側面だろうと思います。喜連川先生がそういうことを思って言われたのかどうかわかりませんけれども、言うならばテーラーメード医療のような感じの教育の仕方というようなことも考えられると思います。そういうデータがごく自然に集まると考えられると。それは、この我々の部会でちょっと前にやりましたアカデミッククラウドとか、あるいはビッグデータというようなことを言っておりましたけれども、教育のところでもそういった問題が出てくるし、そういう意味では非常に新しいやりがいのある分野なのかなという気もいたしております。その辺もどこかに位置付けていくんだろうと思います。

 そういうことなど考えますと、まさに千葉大学の方で取り組んでおられますように、図書館が、新しい機能を持ち、役割を果たして、大学における教育、研究、学習の中枢の、文字どおり不可欠な組織、機関、場になっていくのかなという気がしております。非常に新しい試みをやっていただいて、我々も相当刺激を受けたと思っております。

 今日は全ての委員の先生方に御発言いただきましたけれども、事務局の方から、あるいは今日は尾城次長と、相原課長にもいらしていただいていますが、もし何かございましたらどうぞ。よろしゅうございますか。また、論点で言いますと二つ目、三つ目をこれからやっていかなければいけないと思いますので、その際に御発言いただけたらと思いますが。事務局の方は何かございますか。

【長澤学術基盤整備室長】  本日、いろいろな御意見をいただいて、やはりその具体的なところ、整理していくということがはっきり見えてきたようなイメージがございますので、体系立ったというお話がございましたけれども、整理をして、また御意見を伺って、何らかのメッセージが各大学の方に発信できればなと思っておりますので、よろしくお願いします。

【有川主査】  今日、整理していただいた論点だけでも、それぞれの大学あるいは大学図書館に情報提供すると相当意味があるのかなという感じもしております。

 それから竹内先生には次回も時間がありましたらお出でいただくようにしたらいかがでしょうか。長澤室長、勝手なことを言っているのですが、竹内先生に次回も少し御足労いただいて、プレゼンはもうお願いしないですけれども、ここまでのことを言っていただきましたので、もう少しかかわっていただいたらという気もしますが、よろしいですか。

【長澤学術基盤整備室長】  先生がよろしければ。

【竹内センター長】  わかりました。では、日程が合えば出席させていただきます。

【有川主査】  それでは室長からの論点と、竹内先生からのプレゼンに関する意見交換は、このくらいにしたいと思います。

 事務局の方で整理をさせていただこうと思っていますが、非常に多方面からの議論ができたのではないかと思っております。

 それでは報告がございます。長澤室長からお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは若干動きがあったことにつきまして御報告をさせていただきたいと思っております。まずは資料の3でございますが、学位論文の公開に関する問題でございます。これは、学位論文もやはり重要な学術情報ということで、それをリポジトリに載せていくとかというところを推進する上で、やはりこれについて支障になっている部分は何なのかというところがございまして、問題点の一つとして、博士論文の公表に関する内容が学位規則におきまして、作成者による印刷公表が義務付けられているというところがやはり多少障害になっているのではないかという御意見がございました。

 その結果、電子媒体での公表ということはあまり進んでいなくて、やはり学位規則で印刷公表が求められているから、それを冊子体にして在籍大学と国立国会図書館に送るという作業が行われているわけでございまして、それ以上のことをやる必要はないんじゃないかということと、御本人の許諾がなかなか得られないとかということで、結局データ化しても共有ができないという形になっておるところでございます。

 その件につきまして、ではその学位規則を改正することはできないのかということがございまして、これは所管している高等局、それから中教審の大学院部会の方で具体的に検討するという方向になりました。その関係で10月5日に早速、部会で提案をさせていただきまして、ここでは当方とか国会図書館の方々から現状についての状況説明をして、この部会の委員として有川先生も委員でいらっしゃいますので、状況の補足説明をいただいたところでございます。

 その結果、状況としましては、やはり例外的な配慮というのは考慮しながらも、基本的には電子的な公表にするということでいいのではないかということと、それから過去の分について、これから許諾をとっていくというのはやっぱり非常に難しいというのがございますので、今後のルールづくりとして、電子化して出した時点でもう既に流通が確保されるような仕組ということを進めていくということが現実的ではないかということが意見としてありまして、具体的な規則の改正なりにつきましては引き続き検討となったという状況がございます。

 2枚目以降は国会図書館の方で現状の御説明をいただいたポンチ絵になってございまして、実際には多くの国会図書館に所蔵している学位論文がございますが、それを電子化して公開しようということで、その許諾をとるような手続をしたんですけれども、ほとんど、例えばですけれども、この3ページのところをごらんいただきますと、14万件の論文に対して、そこを依頼するところがわかったのが約6万件で、そのうちに返信があったのはさらに半分で、公開してもいいと言ったのは結局10分の1に減ってしまったという現状がございますので、こういうことでありますと、なかなか学位論文の利活用も進まないので、何とかこの学位規則の改正をきっかけにして、電子的な流通を進めたいという状況になっているところでございます。これが一つでございます。

 それから機関リポジトリの整備状況、最新のものが資料の4でございまして、これは、この審議のまとめでも機関リポジトリの重要性というものを発信しておるわけですけれども、最新のものを、データとして1ページのところをごらんいただきますと、3月から9月までの時点で既にもう30件ぐらいの機関リポジトリの数が増えております。コンテンツの数自体は、若干5万件ぐらいの増ということで、数からすれば十分とは言えないかもしれませんけれども、今後こういった充実が図られていくのではないかということで期待しております。

 またNIIのやっておりますJAIROのCloudとか共用リポジトリというのも、やはり積極的にアピールして、また利活用されるような形で、よりリポジトリの整備が当たり前という形になっていけばいいかなと思っているところでございます。

 それから最後、資料の5でございますけれども、この審議のまとめ、前回まとめていただいたことに対しまして、オープンアクセスとか機関リポジトリに関する日本の考え方を示しているものとして重要な考え方が示唆されているというようなことが、海外の関係者から一応要望として英文化したものはないのかということが、そういった関心が寄せられましたので、御参考までに英文のものも用意したということでございます。

 この分につきましては、これまだ仮訳の段階でございますが、今月の末に国際オープンアクセスウィークというものが、毎年開かれているようでございますけれども、こういったことに合わせてホームページとか関係者に対しての周知で発信をしていきたいということで進んでおるところでございます。

 報告事項は以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 何か、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは事務局から連絡事項等があるそうですので、よろしくお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、最後に連絡事項をさせていただきたいと思います。本日の議事録につきましては、各委員の先生方に御確認いただいた上で公開をさせていただきたいと思っております。

 それから次回でございますけれども、12月14日の金曜日、また10時からを予定しております。場所は16階の特別会議室の予定でございます。予備日として設けておりました11月1日もございましたが、この予備日は、会は、当然開催はいたしませんということでございます。この次回の日程の確保につきまして、先生方に、そういうふうに努めていただければ大変ありがたいと思っておりますので、また引き続き御出席を賜ればと思っているところでございます。

 配付資料につきましては、机上に残していただければ事務局より郵送させていただきますので、そのまま残していただければと思います。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。予定よりちょっと早いようでございますが、特になければ今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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