研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第51回) 議事録

1.日時

平成24年5月24日(木曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

有川主査、三宅主査代理、上島委員、喜連川委員、倉田委員、田村委員、土屋委員、羽入委員、山口委員

文部科学省

(学術調査官)市瀬学術調査官、宇陀学術調査官
(事務局)吉田研究振興局長、下間情報課長、長澤学術基盤整備室長、その他関係官

4.議事録

【有川主査】  それでは、時間になりましたので、第51回の学術情報基盤作業部会を開催いたします。お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、NII、JST、NDL、JSPS等との連携・協力を含めまして、学術情報の発信・流通全般に係る施策の在り方について意見交換をしたいと思っております。

 まず、事務局から、配付資料の確認と傍聴登録等について報告をお願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  失礼いたします。まず、今回の会合から、喜連川先生には正式に委員として御出席いただいておりますので、御紹介申し上げたいと思います。

 それから、続きまして、関連の機関の方々にも本日も引き続き審議に御参加を頂いております。

 配付資料でございますけれども、お手元の資料の議事次第をごらんいただきたいと思います。読み上げは省略させていただきますけれども、資料としましては8種類、資料1から資料8まで、それから、参考資料といたしまして、以前もお配り申し上げましたけれども、今後の審議の流れについて説明した資料をお配りしてございます。それから、お手元お手狭でございますが、これまでの配付資料につきましてはドッチファイルに整理してございますので、必要に応じて御参照いただければと思います。

 本日の傍聴者でございますけれども22名、事前の録音の登録が1名ございます。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 本日はまず、JSPS、NII、JST、NDLの各機関から、学術情報流通・発信に係る最近の取り組みについて御説明をそれぞれ10分程度頂きたいと思っております。NII、JST、NDLから各機関の事業については、既に昨年7月1日に開催されました第41回において、御説明を頂いておりますが、その後大きな展開等もありましたので、最近の取り組み状況等について御紹介いただければと思っております。

 その後で、学術情報流通・発信に関するその4つの機関等との連携等を含めた全般的な討論を行いたいと思います。

 そして、最後に、前回議論のありました、機関リポジトリの活用による情報発信機能強化について検討することにいたします。

 それでは、最初にJSPSから科学研究費助成事業(科学研究費補助金(研究成果公開促進費))の改善案について御説明を頂きたいと思います。小山内部長、よろしくお願いいたします。

【小山内部長】  それでは、10分ということでございますので、なるべく質疑応答に時間を当てていただけるよう、駆け足で御説明をさせていただきます。

 これにつきましては、昨年末にこちらの作業部会から御報告があり、当会の方で現実に助成事業として具体化するための検討を要請していただきましたので、それにつきまして経過の報告をさせていただきたいと思います。

 資料1でございます。10ページございまして、9ページと10ページが昨年の御報告を文科省の方でおまとめいただいたものになっております。これを踏まえまして、当会の学術システム研究センターで、この研究成果公開促進費(学術定期刊行助成)の検討に関するタスクフォースが発足しました。

 この1月の会議でオープンアクセスの諸外国の状況について報告をされました当センター主任研究員で慶應義塾大学の小安教授がそのタスクフォースの座長となりまた、本日御出席の土屋委員も当会の研究員としてこのタスクフォースにお入りいただきまして、検討が進められました。その結果を資料1の冒頭2枚にあるような形にまとめておりますので、その2枚に沿って御報告申し上げます。

 ジャーナルの発行に必要な経費につきましては、既にこちらの作業部会から御提言いただいておりますように、ハードコピーに直接必要なものだけでなく、取り組み全体に必要な経費ということにしております。そして、対象は「学術定期刊行物」ということではなく、国際情報発信力を強化する取り組み、各学協会でおつくりになったプランないしプロジェクト――ここでは取り組みという言い方にしておりますが、それに必要な経費を対象とするということにいたしました。

 また(2)のところにございますように、その取り組みについて審査を致します。事業期間としては、一応5年を目安にしたい。もちろん補助金ですので、単年ごとに形式的な申請は行っていただくわけですけれども、5年間の内約という形で、5年を1つの期間として捉えていきたいと考えております。

 (3)として、後ほど詳しく説明いたしますけれども、「国際情報発信強化」という、従来の助成制度を改善したものを金額の大小によってAとBという2つのカテゴリーに分けまして、また更にそれ以外に、御提言いただいたように、オープンアクセス刊行支援を新設するという形でまとめております。

 審査につきましては、やはり今までの研究成果公開促進費と同じ方法では若干難しい部分がございますので、小委員会を新たに設置することとし、その小委員会のメンバーについては、研究者で編集長等の経験のある方と、そのほかに、出版社等で刊行業務を経験した方という、それぞれからなる12名程度の小委員会をつくるということを考えています。

 また、今までは実施しておりませんでしたが、規模の大きな取り組みについてはヒアリング審査を行います。一般の科研費については、大きな特別推進研究、基盤Sなどについてはヒアリング審査をやっていますが、それと同じようにヒアリング審査を行い、更に中間評価を設ける、といったことを検討しております。

 その次のページの表をごらんいただきますと、現行制度と今の検討案との対比表がございます。その中で、応募区分のところが目につくと思います。従来の助成制度を改善した「国際情報発信強化」については、金額が5年合計で2,000万円以上か、それ未満かということで分けまして、2,000万円未満のものについては、国際情報発信強化(B)としておりますけれども、このカテゴリーに関しては、必ずしもすべて英文でなくても良いということにいたしております。そして、国際情報発信強化(A)とオープンアクセス刊行支援については、それぞれ金額に上限は設けないということにいたしております。

 以上が主な内容でございます。

 さらに、こちらも技術的な話になりますけれども、経過措置を考えまして、資料1の5ページ、2の下に5という番号が振ってあるページをごらんいただきますと、(7)まである中の(6)の助成期間については5年を原則としておりますけれども、括弧の中に「助成期間を単年として採択することがあります」としております。こういうものを設けることによりまして、いきなり助成対象の全部が5年に移行して、その次の年は審査・採択の対象がないということを避けるために、経過措置として内約なしで単年で採択するということを想定しております。

 具体的な経過措置のイメージについては、更に2枚めくっていただきますと、全体の8ページの下の方にシミュレーションの表がございます。これが現在の予算よりも若干増えたと想定した場合の件数のシミュレーションでございます。ただいま申し上げた単年として採択するものが、下の表から上から4段目のところにございます。当初はこういった対応をいたしまして、最終的にはすべて5年単位でやっていくということを考えております。

 説明としては、簡単ですが、以上とさせていただきたいと思います。

 なお、この件につきましては、既に先月末に同じ審議会の研究費部会で御報告をいたしておりますし、また、先週、長澤室長と私どもとで各学協会に対する説明会、それから、日本学術会議で開催された理工系の学協会連絡協議会の方でも御説明をさせていただいております。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございます。意見交換につきましては、後ほどまとめてやることにいたします。

 それでは、続きまして、NIIの方から、機関リポジトリに関する取り組み状況等につきまして、御説明いただきたいと思います。安達副所長からお願いいたします。

【安達副所長】  それでは、資料2に基づきまして、御説明します。スライドの枚数は多いのですが、基本的には以前御説明したことのいろいろな数値の更新及び少し詳細なお話をつけ加えたものです。内容は、機関リポジトリに関する構築状況、機関リポジトリのポータル、そして、機関リポジトリの統計の現況でございます。

 スライドの2ページ目に参ります。世界に存在する機関リポジトリは、イギリスのノッティンガム大学が運営しておりますOpenDOARに登録されておりまして、現在2,183あるということになっております。年間当たり300増加して、日本は4位とのことなのですが、実際には日本はこの136ではなく232機関ございます。この差は、イギリスのこのサイトに、機関リポジトリができたとの登録をまだ完了していないので漏れているということであります。

 その次のスライド、3ページ目に参ります。これが、世界的に見るとどんなコンテンツがあるかという、種別による分類件数です。スライドの3ページにありますように、学術雑誌の論文、学位論文、ワーキングペーパーなどが多いということであります。

 これが世界全体で、我が国の分布は、その次の4ページにございます。我が国の特徴といえば、紀要などの論文の登録が進んでいるという点でございます。一方、会議資料や教材などの登録を推進するということが課題の1つと考えられます。

 さて、次に参りまして、機関リポジトリの日本の構築状況についていろいろな数値を1枚にまとめたものが、5ページ目のスライドです。数が順調に伸びているということ、そして、コンテンツの数については23年度末の統計になりますが、1次情報が97万件となっております。それから、数や、アクセス数、利用状況、ダウンロードの統計がございます。

 6ページ目は、コンテンツの登録も順調に伸びているということを示しています。現在私どもで把握しているのは、130数万という件数でございます。

 さて、スライド7ページ目は、NIIにおきまして最近開始した共用リポジトリ事業の状況であります。一言で言えば、機関リポジトリのクラウドサービスを開始したということでして、自らコンピューターシステムを保有してリポジトリを構築するのではなく、簡単に開設できるようなアプリケーションを用意し機関リポジトリ構築を推進するということを進めております。現在、67の大学から申請がございまして、相談しながら進めているところです。私立大学から多数お申し込みいただいているという状況です。私どもとしては、平成27年度までに、このクラウドの上に新たに200機関のリポジトリを構築していきたいと計画を見積もっております。

 次に、8ページ目に参ります。このような機関リポジトリにあるコンテンツをどのようにして探すかということの御説明でして、機関リポジトリに関するポータルサイトも世界に幾つかあります。一番有名なのは、左側にあるOAIsterというもので、OCLCが運営しておりまして、世界の機関リポジトリを検索できるようにしており、2,500万以上のコンテンツがあります。

 一方、私どもでは右側に示すJAIROというサイトを運営しておりまして、ここに日本の機関リポジトリを総覧する情報を集めております。現在のところ、コンテンツが135万件となっております。コンテンツ種別ごとに検索する等の機能があります。もちろんフルテキストにアクセスするときには、それぞれの各大学の機関リポジトリに飛んでいくことになっております。

 次のページ、9ページに参ります。このようなことを世界的に行っているサービスや機能をまとめたものがこの表です。詳細はこの後かいつまんでお話ししていきたいと思います。

 10ページに参ります。機関リポジトリの統計についてまとめたものです。世界の統計情報は、最初に御紹介しましたOpenDOARという、イギリスで運営しているサイトにございます。世界に幾つリポジトリがあるかとかなどの情報を公開しております。我が国の統計情報は、先ほど申しましたJAIROに、アクセス統計や様々なリポジトリの情報がございます。その下にROATというものもございますが、これはこの後で御説明いたします。

 次の11ページ目に参ります。統計情報に関して、どのような登録コンテンツがあるかや、内容についての基本情報は、JAIROとともに、私どもでIRDBという名の機関リポジトリの分析情報を提供するサーバーを用意しておりまして、ここから公開しております。アクセス統計は、JAIRO、そしてもう1つROATという、これから紹介するプロジェクトによって提供されております。

 さて、ざっと名前だけ申し上げたのですが、12ページ目に、機関リポジトリがどのようにアクセスされ統計がとられているかという簡単な図を書いております。この図にありますように、利用者はいろいろなパスで機関リポジトリを利用します。一番上はグーグルですが、グーグルなどで検索して引っかかって、グーグルから飛んでくるというケースもあります。それから、もちろん利用者が直接それぞれの大学のリポジトリを利用するということもございます。

 私どもで運営しておりますJAIROとは、このグーグルの下のところに位置するわけですが、ここには日本全国の機関リポジトリのメタデータがございますので、全体を検索したいときにはここで検索し、その後、例えば東京大学にあるコンテンツということであれば、その当該大学のリポジトリに飛んでいくという使い方をします。したがって、JAIROで得られた統計情報とは、このような経路を経てアクセスしたものだけしか捕捉できないわけです。機関リポジトリ全体がどう使われているかということは、このような利用形態のために、極めて難しいという状況であります。

 右側にROATというのがありますが、これは私どもの機関リポジトリのプロジェクトで支援する日本の大学図書館のプロジェクトの名称であります。このROATというプロジェクトでは、機関リポジトリのアクセスログデータを集めて、精密に標準的な方法で分析し統計情報を採ることを目指して進んでいるわけです。しかし、このようなやり方をとっても、ログ情報をここに集めるために協力してくれるリポジトリのデータだけしか捕捉できないという制約がございます。以下、捕捉に関しては、このような状況のもとで得られているデータであるということを前提としまして、幾つか統計情報のグラフを書いております。

 13ページには、利用状況の1つとして訪問数が書いてありますが、これはJAIRO経由のものだけです。日本語のサイトしか集まっていないということですが、それ以外の、グーグルからのアクセスなどは捕捉されていないということになります。

 次の14ページ目は、コンテンツ種別によるアクセスの分類を示しております。学術論文や紀要論文が多いという結果が出ております。

 さて、最後に、ROATというプロジェクトの詳しい情報を15ページ目に載せてあります。これは私どもの機関リポジトリのプロジェクトのもとで代表機関として千葉大学が取りまとめて行っているもので、各大学でのアクセスログの取り方を調整して、きちっとした情報が得られるようにするために、非常にまじめに取り組んでいる活動なのですが、ばらばらに採っているログ情報を集めるということで困難がいろいろございます。

 以上、主として機関リポジトリの利用動向の現状及びその統計の取り方について御説明いたしました。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは続きまして、JSTから、情報流通発信に係る取り組み状況等について御説明いただきたいと思います。大倉部長、よろしくお願いします。

【大倉部長】  資料3でございます。J-STAGE3というタイトル、ちょっと無愛想なタイトルで申し訳ございません。資料としましては、J-STAGE3に関しましてが、ページでいきますとページ7までで、ページ8以降は、ジャパンリンクセンターという資料の合体になっております。

 まずは、J-STAGE3のお話から差し上げたいと思います。表紙をめくっていただきますと、表紙の裏が……。J-STAGEにつきましては、J-STAGE2という旧バージョンから新バージョンの3に、5月1日にバージョンアップしたばかりのところでございます。その新システムのユーザーインタフェースの画面の例としまして、これは薬学雑誌、和文誌でございますが、これのジャーナルトップページがページ1になっておりまして、J-STAGE2とは大分違う顔をしております。このようなできになっております。この設計におきましては、各学会の方々にいろいろお集まりいただいて議論していただきました。

 2ページに続いておりまして、実は2ページ目は英文誌のジャーナルトップの下の方の画面になっております。1ページ目と2ページ目を縦に合わせるとジャーナルトップページなのですが、実は1ページ目は薬学雑誌という和文誌で、2ページ目の方は、エピデミオロジーだと思いましたが、英文誌の方がくっついているという形で、ちょっと資料としてはおかしいのですが、英文誌につきましてはこのような顔をしております。

 2ページ目の左の方に四角で囲んでございますけれども、今までのJ-STAGE2とジャーナルアーカイブという古い方の部分ですが、別々になっておったものがようやく一体化できましたので、J-STAGE3では、ジャーナルが創刊号にさかのぼって、トータルとしてワンストップで検索、表示ができるということです。2ページ目の左下の方に書いてございますけれども、誌名変遷が日本の雑誌も随分多くございますけれども、誌名編成をたどって、ワンストップで検索、表示ができるというようなことになっております。

 続きまして、3ページ目でございます。これはその薬学雑誌の中の、記事と呼んでいますけれども、論文の画面でございます。論文を表示させたところです。ある論文を見てみますと、このように論文の抄録等が見えて、下の方にタブがございますけれども、抄録、引用文献、電子付録等が見られる。当然、論文の本文にもクリックで行き着くということになります。このようなユーザーインタフェースになっております。

 4ページ目がJ-STAGE3の特徴でございます。XML化を行いましたので、世界標準のスタイルになっておるということとか、それから、投稿システムにつきましては、ASP、Application Service Provider、先生方が日常使っておられます外国製の投稿システムの日本語カスタマイズしたものを使っておる。それから、剽窃の検知でございますけれども、CrossCheckを4月からスタートしています。

 J-STAGEの利用状況ですけれども、ページ5に移らせていただきます。5月1日に新しいJ-STAGE3をリリースしたわけですけれども、5月7日以降の日別のアクセス数につきまして、ページ5にグラフ化しています。5ページ目の上の方の折れ線は総アクセス数、いわゆるページビューでございますけれども、1日100万ページぐらいです。下の方に直線がありますが、これがJ-STAGE2、4月までの旧バージョンの1日平均の数字です。リリースしたばかりですので、こういう状況は結構起きるかと思いますが、非常に多くアクセスされております。

 ページ6の方が、同じく日別の論文の本文のPDFをダウンロードした数でございます。1日15万論文ぐらいがダウンロードされている。同じく直線は、4月までのJ-STAGE2でのダウンロード数。こんな状況でサービスを続けております。

 ページ7でございます。J-STAGEでトータルに公開しておるジャーナル数でございますが、今年の4月末現在で857誌。去年の7月にプレゼンテーションさせていただいたときにはたしか805誌だったと思いますので、ここ9か月ぐらいで50誌余り増加しておって、さらに、今、J-STAGE3になってから、登載、公開したいという申請を頂いているのが68誌ありますので、今年度、頑張って登載していきたいと思っております。

 分野別の割合はそのようになっておりまして、トータルしますと、今のところ、J-STAGE3で公開しております論文の数でいいますと200万論文ぐらいがストックされておりまして、そんな状況でございます。

 8ページ目以降がジャパンリンクセンターの資料になっております。9ページ目にジャパンリンクセンターの意味等が書いてございますが、昨年夏にも御報告させていただいております。9ページ目の黒丸の3つ目でございますけれども、日本の情報提供機関及び研究機関による共同運営でスタートいたします。今のところ、NDL、NII、JST、それから、NIMSが研究機関の代表として集まっていただいておりまして、JSTが運営するものではなくて、関係機関、それから、そこにも書いてございますが、今後、民間出版社の方々、大学の方々とJaLCの輪を広げまして、共同運営という形でオールジャパンのインフラにしていくということです。実は来週の月曜日5月28日に、ここに書いてあります4機関で共同のプレスリリースをいたします。4機関でこういう共同運営の事業をスタートしますので、どうぞ皆様方も御参加いただきたいというプレスリリースをすることになっております。

 10ページ目が機能の概要でございます。10ページ目以降は、言わずもがなのところがありまして、国内と外国の論文情報、論文のコンテンツを、JaLCを介することによって、引用文献のリンクやデータベースから電子ジャーナルへのリンク等が恒久的にリンク関係を保証していくという機能でございます。

 引き続きまして、11ページ目も同様のことで、DOIというものの仕組みとかを加えております。

 12ページ目以降も言わずもがなでございますけれども、例えば12ページ目でございますと、PubMedに登載された抄録の右上のJ-STAGEというボタンをクリックすると、ジャルク(JaLC)と申しましておりますけれども、ジャパンリンクセンターを経由して、日本の電子ジャーナルの論文の全文サイトへ移動するという機能でございます。

 13ページ目は、左側にありますのは、BBB、Bioscience, Biotechnology and Biochemistryの雑誌のジャーナルからJaLC経由で引用関係を担保されているということです。

 14ページ目は、これもBBB誌からJaLCを経由して被引用、BBB誌の左側の論文を引用している論文へたどり着くという関係、このような機能が持たれますということでございます。

 15ページ目は最終ページでございますけれども、DOIとはということで、参考のためにつけさせていただいています。

 これが最近のJ-STAGEとジャパンリンクセンターのトピック並びに動向でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、最後に、NDLから国立国会図書館の取り組み状況について御説明いただきたいと思います。相原課長、お願いいたします。

【相原課長】  お手元の資料4をごらんください。非常に簡単な資料ですけれども、国立国会図書館サーチと知識インフラに関連して、簡単に御報告いたします。

 まずスライドの2枚目です。国立国会図書館サーチ、短くNDLサーチと言っていますけれども、こちらのサービスイメージです。平成22年度から試行運用ということで提供しておりましたが、この24年1月から本格運用を開始しております。簡単に申し上げますと、当館の情報に加えて、館外のいろいろな電子リソースであったり、あるいは公共図書館の所蔵情報であったりといったような情報を統合検索する仕組みになっております。

 現在、NDLが作成、提供しています20種類ぐらいのコンテンツに加えて、他機関作成のコンテンツ、全体で200種類ぐらいのものが統合検索できるようになっております。この絵の「国立国会図書館サーチ」と書いてあるところに3つ並んでいますけれども、真ん中に紙資料ということで、従来媒体の総合目録的な機能と、デジタル化された資料の同様の機能と、調べ物のために使えるようなレファレンス関係の情報、こちらも当館だけではなくて、各図書館の情報も含めて集めて、まとめて検索できるようになっております。

 連携方法ですが、この図の下から上に向かって矢印が伸びておりますけれども、NDLの各サービスあるいは各機関・図書館等のデータをハーベスティングしまして、NDLサーチの中にいったん取り込んで、データ形式の変換や名寄せといったような処理をして提供する流れと、左側の箱、連携機関のサービスということで、公文書館・美術館、大学図書館とか博物館とか、そういった関係機関の提供しているサービスと動的に連携する。要するに、利用者から検索要求がある都度、それぞれの連携先に情報を探しに行って、検索結果を1つの画面に統合して表示するという、その2種類の連携方法で現在提供しております。

 収集しているメタデータですけれども、現在のところ7,000万件程度あります。連携しているデータベースの数は、全体で200ですが、そのうち、メタデータをハーベストしているものは70種類ぐらいのデータベースになります。

 それから、NDLサーチの大きな特徴ですが、ユーザーが直接使うためのインタフェースとして、簡易検索、詳細検索、障害者向けの資料を検索するための画面を用意しているのですけれども、それ以外にも、館外のいろいろなサービスから当館の情報を活用していただくために、APIを用意しております。このAPIの仕様については、仕様書を作成しまして、ホームページで館外に公開しております。非営利目的であれば、特段、事前の申請とかそういったこともなしに利用していただけます。

 それから、グーグルからデータがハーベストされており、グーグル検索したときに、当館のNDLサーチの情報もヒットするという形になっていまして、検索結果をクリックしますと、グーグルからNDLサーチの方に飛んでくるというような形になっています。

 それから、次のスライド3ページ目です。主な連携先ですけれども、NII、JSTはもちろんのこと、ほかにもここに書かれているような機関が連携先になっております。NDLが持っていない情報、資料を含めてワンストップで利用者をナビゲートするという、そういう仕組みになっています。

 例えばNIIとの連携ではCiNii Articles、Booksと連携しております。ですので、例えばNDLの所蔵資料について、今、雑誌記事原文の最近のものはインターネットで利用できる形になっていないのですけれども、CiNii Articlesの情報もNDLサーチで検索できますので、そこからCiNii Articlesの方に飛びますと、物によっては機関リポジトリで提供されていたりして無償で見られるものもありますので、そういったものは原文を見ていただくこともできます。

 それから、JAIROとも連携しております。

 また、JSTの先ほど御紹介があったJ-STAGEとも連携しております。

 そのほか、公共図書館については、これは都道府県立と政令指定都市立の図書館なのですけれども、こちらの図書の目録情報を収集しまして、総合目録として機能しています。これは以前もそういうサービスはあったのですが、今回、NDLサーチにそのサービスを統合いたしました。

 それから、貴重書や郷土資料のデジタルアーカイブやデータベース、そういった情報もハーベストしております。あるいは、連携検索ができるようになっています。

 それから、大学図書館につきましては、国立情報学研究所のデータベースを通じて利用できる情報があるのとともに、特色のあるアーカイブについては、個別にメタデータを収集したり連携したりといったようなことをしておりますし、公文書館や博物館、美術館の主に収蔵品のデジタルアーカイブや目録などとも連携しております。

 そのほか、ここに書かれていないのですけれども、最近、JPO近刊情報センターという、刊行前の近刊図書の情報を提供しているサイトがあるのですが、そちらとも連携し、検索できるようになっています。

 スライド4枚目は知識インフラの構築に向けてということです。当館では、国の第四期科学技術基本計画を踏まえまして、平成23年3月に第三期科学技術情報整備基本計画を策定しております。その中で、知識インフラの構築に貢献していくということが大きな柱になっております。ただ、これは当館だけでできることではないので、こちらにありますような関係機関と協力、連携して進めていくことになります。当館では主に電子情報資源の分担収集ですとか保存、それから、連携するためのいろいろな技術的な環境整備であったり、利活用の環境整備などを行うことを考えております。

 それから、次のスライド5枚目ですけれども、この第三期科学技術情報整備基本計画の中に実施項目として挙がっていまして、それに対して今年度行うことになっている具体的な事業を挙げてあります。昨年度41回の会議の場でも御紹介した事業がこの中に含まれています。2番目の国内学術出版物のデジタル化・電子化情報資源の収集ですけれども、民間のオンライン資料収集の制度化について、現在、国立国会図書館法の改正を準備していますし、また、昨年度、納本制度審議会という当館の審議会で、民間のオンライン資料を収集した場合に金銭的な補償をどうするかといったようなことも御議論いただいておりまして、現在、実際の運用についても検討を開始しております。

 その下に、デジタル情報資源ラウンドテーブルの開催というのがありますが、これは博物館、美術館、図書館、公文書館の実務担当者や有識者の方にお集まりいただいて、いろいろと環境整備に関連して御議論いただいている場になります。

 そのほか、1月から国立国会図書館サーチを本格公開していますが、まだまだ改善点がありますので、こちらの継続的な改善、改修なども行っていく予定になっております。

 最後に、関連することとして、震災アーカイブの取組を紹介します。こちらは、去年の3月に第三期科学技術情報整備基本計画を策定したのと同時期に大震災があり、その後、国の方では復興基本方針を定めまして、震災に関する情報を収集・保存・公開するということが大きなやるべきこととして挙がっています。それを受けて、当館としても一定の役割を果たしていかなければいけないということで、去年度から震災アーカイブに取り組んでおります。これまでのデジタルアーカイブ事業の成果などを活用しまして、記録の保存、収集、提供を行うとともに、当館だけではできる仕事ではありませんので、関係府省とも連携しまして、いろいろと進めていく予定になっています。

 最後のスライドは、実現イメージです。当館が集めるもの、各府省あるいは大学やNPO等で収集しているコンテンツを、分担・連携・協力して散逸しないように集めて、当館が中心になって構築するポータルでまとめて検索できるようにする、そういう基盤をつくっていくことを予定しております。

 私からは以上です。

【有川主査】  ありがとうございました。4つの機関から御説明を頂きましたけれども、関連機関の連携を含めた学術情報流通・発信全般に係る施策の在り方について検討するということなのですが、今のことも踏まえまして、事務局の方から、4つの機関の取り組みについてまとめていただいておりますので、長澤室長から説明をお願いします。

 その前に、新しい課長がおいでになっていますので、御紹介いただきたいと思います。丸山室長補佐、よろしくお願いします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  5月1日付で情報課長が交代になりました。前任の岩本が内閣官房の参事官に転出いたしまして、後任といたしまして下間が着任をいたしております。

【下間情報課長】  下間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【有川主査】  よろしくお願いいたします。

 それでは、資料5、6についての説明を頂いた後で、意見交換をしたいと思います。お願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、説明を続けさせていただきたいと思います。まず資料5でございますけれども、各学術情報流通に関連する機関におきまして、やはり連携、役割分担や協力、そういったものを含めながらやっていく必要があるだろうということで、その充実等につきましての議論をしていただくための資料として用意しているものでございます。

 簡潔に申し上げますと、NIIの業務の内容としましては、国公私立大学全体の教育研究活動に係る学術情報の流通・発信ということで、そういった関連する事業を行っている。JSTの方は、イノベーションの創出の源泉となる知識ということで、科学技術情報の流通・発信に関する事業というふうなイメージをとっている。NDLは、国内の出版物を網羅的に収集して、文化的財産として長く保存するという観点での流通を進めているということがございます。JSPSの方は資金配分機関でございますので、研究成果の普及のための助成を行うというのがミッションだというようなことで考えますと、それぞれ目的は違いますけれども、中身的には当然重複するような情報が考えられるというふうな状況だと認識しております。

 その上で、裏のページを見ていただきますと、その辺りの関連からおきまして、今ある状況を踏まえながら連携協力を進めたりですとか、これは少しデマケをするとか、そういった上で充実を図るということが重要なことについて御意見を頂きたいということでございます。

 例えば統合検索、それから、電子ジャーナルへの支援や、データの標準化等、様々な考えられる点があると思いますけれども、そういったものは今、どういうふうにお考えなのか。それからまた、今後、先ほども出ていますけれども、学術情報全般を統合して検索、抽出するというふうな知識インフラの整備に関連すると、更に関連機関ではどういった役割、連携、機能強化が求められるのかというふうなところの御意見をいただければと思ってございます。

 そこに書かれた対応案の例は、この後、事業については資料6で若干御説明させていただきますけれども、先ほどございましたジャパンリンクセンターに対するニーズはかなり重要性が高いというようなことも聞いておりますので、早急に軌道にのせていくということが必要なのではないかということが1つ考えられるということ。

 それから、電子ジャーナルの支援につきましても、いろいろな段階を変えて協力をしておるわけですけれども、特にJ-STAGE3でこのプラットフォームが使い勝手がよくなって高度化するのであれば、更に活用したいというふうなところの学協会も多いと聞いておりますので、こういったニーズを踏まえて更に改善してほしいというようなことを入れるということは考えられるのではないか。

 それから、一般的な話としまして、利用者の立場から、統合検索機能とか分析ツールを連携しながら充実していくということが更に望まれるのではないかというように、対応案の例は参考までに付させていただいたところでございます。

 現状につきまして若干まとめたものが資料6になってございます。例えば統合検索機能でございますけれども、NIIにはGeNiiがございまして、このGeNiiでは、学術情報について、NIIの5つのサービスに関する統合検索機能を持ってございます。JSTの方はJ-GLOBALということで、科学技術情報に関する情報――研究者、文献、特許、大学とか、そういった基本情報を検索できるツールを持っている。さらには、分析可視化データを提供するようなサイトもリリースされたというふうな状況がございます。一方、NDLの方は、先ほど御説明いただいた国立国会図書館サーチということで、全般的な資料に関する検索機能を提供するという動きがある。

 これらにつきましては、それぞれ重複している情報についてどうなのかということの内容を見させていただいたところ、一部に論文情報等については重複的に検索できる機能はありますけれども、それはそれぞれの持っている基礎となる情報は相互に流通できるような仕組みでの連携ということでございますので、基本的に二重にデータをもとから持ってそれぞれが独立しているということではなくて、ある程度の連携を進めながら、それぞれのミッションに応じた情報の流通・発信に努めておられるというふうなことが図られているというふうな形で考えておるところでございます。

 次のページは、電子ジャーナルにおける情報発信強化について、関係機関がどういう仕事をしているかということでございます。JSPSの方は、科研費の学術定期刊行物ということで学術の出版助成を行っておられる。JSTは、J-STAGEによりましてプラットフォームの提供を中心に行っておられる。NIIの方は、SPARC Japanということで、従来は電子ジャーナル化の支援を行っておりましたけれども、平成21年度以降、これは直接の電子ジャーナル化支援ではなくて、国際情報流通を高めるためのセミナーや啓発活動等に移行して、よりソフト的な活動を展開しておられるということで、これらにつきましても、それぞれの役割分担のもとに進んでいるというような状況でございます。

 さらには、3ページは、先ほどのジャパンリンクセンターにつきましては、こういった国際識別子、DOIを付与するということで、これからNII、NDL、JST等の方で役割分担について考えながら事業を進めていくというふうな状況になっているというところでございます。

 4ページ、5ページのところですけれども、図書館の総合目録につきましては、NIIは大学図書館向け、NDLは公共図書館、それから、学術誌の論文の電子化につきましては、JSTはJ-STAGEのJournal@rchiveとか、NIIはNII-ELSという形で持っておりますけれども、これにつきましても、J-STAGEできないものをNIIで補足するというふうな形で、重複的なデータの所持はしないというふうな形のすみ分けが一応進んでいるということでございます。

 また、機関リポジトリにつきましては、NIIの方で、高度化の事業とか、クラウドの提供等を行っております。電子図書館のサービスとアーカイブの関係は、NDLの方で電子情報のデジタル化を進めておられるというようなことでございます。いろいろ関連するような業務はたくさんございますけれども、見たところでは、必要な連携をはかりながら、また重複感のないような形での事業が関連機関では進められつつあるなというのが現状でございます。

 資料の御説明は以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、これから意見交換をしたいと思います。まずは、御質問等がございましたら頂いて、全般的なことを議論していくというやり方がいいのではないかと思います。40分程度使えると思います。御質問等ございましたら、どうぞ。

 最初はJSPSからだったわけですけれども、我々の方からある種の提案を差し上げて、JSPSの方で検討していただいたのだと思いますが、大きな変更点はあるのでしょうか。

 もう1つは、これまでの予算が2.8億ほどあったかと思うのですが、新しいやり方になったときの予算というのはどのようになるのでしょうか? つまり、1件当たり幾らというのはあるのですが、件数としてどのくらいというようなことがあると全体のことがわかるかと思います。通常は、公募したりするときには、予算は1件当たりどのくらいというのと、どのぐらいを採択するかというようなことが示されると思うのですけれども、いかがでしょうか。

【小山内部長】  最初のお話でございますけれども、先ほどの資料1の9ページ目、10ページ目に、頂いた報告をまとめた資料がございますが、この中で学術情報発信強化に焦点を当て、それに必要な経費を助成対象とするほか、新たにオープンアクセスへの取り組みの助成を加えるという御提言を頂きましたが、基本的にはそのとおりになっております。

 若干細かいところですと、「欧文」か、「英文」かといったところで、原則は「欧文」ではなく英文としようとか、そういった部分はございますけれども、基本的には変わっておりません。頂いた報告通りの内容を、審査・評価に関するところまである程度具体化したのが今回のタスクフォースの報告でございます。

 そして、その前提となりましたのは、オープンアクセスについて新たにカテゴリーを設けるということでありますので、その部分については、ある程度の増額要求を文科省でしていただけるであろう、それ以外のところは、おおむね現在の予算規模でできるところを想定しております。これは今後もう少し申請額が上がるとか、あるいは申請件数が増えるといった要因があれば、更に26年度、27年度以降もある程度増えるという前提で検討いたしました。余り具体的な額というのはありませんが、8ページのシミュレーションでは5億円程度の予算規模にしていただけるという想定でやっております。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それから、2ページ目の下の方ですけれども、審査体制で小委員会をつくるということですが、編集長等の経験者で構成されるということですけれども、経験しているが故に見方が固定されるというようなところがあるのではという気もします。ある程度、経験していなくて、全般的なところがわかるような人という視点も必要なのではないかと思うのですが、その辺りは議論されたのでしょうか。

【小山内部長】  現在は研究成果公開促進費全般で1つの委員会でありまして、学術誌の発行とかデータベースの助成を含めて全部ワンセットで1つの小委員会でやっております。少なくとも今の体制では新しい制度の審査は困難で、やはり経費のかかり方とかプラットフォームの話とか、ある程度そこの技術的なところがわかる方に審査していただくことを考え、こういう構成を想定したということです。

【有川主査】  小委員会をつくって、もう1つ上にあるということですね。

【小山内部長】  そうです。

【有川主査】  ほかに何かございますか。

 はい、どうぞ。

【山口委員】  御説明ありがとうございました。この大きな目的として、国際情報発信強化が取り上げられておりますが、実際、5年間の事業期間中3年目に中間評価を実施する際にどのような指標を置いておられるのか聞かせていただけますか。例えば海外からのアクセス数を評価するのか、又は、どれぐらいのユーザビリティ、有用性を評価するのか。その辺りは申請内容を審査するときの視点となると思うのですが、どのようにお考えですか。

【小山内部長】  これは学協会の外から指標を設定するということは考えておりません。学協会の方から取り組みとして出していただくからには、先ほどおっしゃったアクセス数とか投稿数とか、それから、国内・国外、国外からのアクセス数、投稿数を目標値に加えるというケースもあるでしょうし、他方、クオリティーというのは非常に判断しづらいですけれども、例えばインパクトファクターの目標値を具体的に出しておられる学協会さんもあるだろうと想像されますが、そういった目標へ順調に向かって進んでおられるかというところを見るというイメージでございます。

【有川主査】  ここは我々の方からの提案を受けてやっていただいていて、先ほどのお話でも、基本的には整理したところはあるけれども、変わっていないということですので、ここで議論したことが出されるのだろうと思います。

 はい。長澤室長、どうぞ。

【長澤学術基盤整備室長】  ちょっと補足させていただきますけれども、ここの1ページの(2)のところにございますけれども、5年間で各学協会等が目標設定をして、それを評価して、その目標達成は採択にふさわしいかどうかということですので、その目標達成が中間でどこまで行っているかというような評価指標になるとは聞いております。その目標達成に向けてどこまで進捗したのかというふうなところを評価するというようになっています。

【土屋委員】  よろしいですか。要するに、どういう指標で評価すべきか  ということ自体も提案してもらうということです。それをアプリオリにこれで見るとかいうことを言っているのではなくて、分野の歴史とかいろいろな背景が違うので、どういうふうに目標設定したらいいかも考えていただく。その設定自体がひどいという話になれば、採択審査のところで、それはひどいよという話でもって余りいい評価は受けないだろうとは想像します。けれども、合理的な目標設定があれば、それで採択した上で、その目標が達成できているかどうかというところで中間評価するという、そういう仕組みになっています。

【有川主査】  よろしいですか。

 どうぞ。

【山口委員】  結局、評価設定、目標設定を各申請書で審査するときに、その目標設定が国際発信力強化のためになっているかどうかを審査の観点に入れなければならないというのが論点です。

【土屋委員】  それはざっくばらんな言い方をしてしまえば、多分「審査基準」といったようなものは、目標設定が国際発信力強化に貢献するものであるかどうかというのを審査の基準にすると書くけれども、実際にそれが本当にそうなったかどうかは、審査員がその場で合議して決めるということなので、それはどういうものが出てきて、だれが審査するかで決まるしかないということだと思います。今ここで何か言って、関係ないものが出てきたら、もうどうしようもなくなってしまいますので。

【有川主査】  分野もいろいろございますから、少なくとも最初の段階はそういったことで良いのではないかと思います。

 はい、喜連川先生、どうぞ。

【喜連川委員】  いろいろよくわからないところがあるのですが、最終的に学術情報をエンパワーメントするというのがゴールだとすると、今の議論とほとんど同じなんですけれども、いろいろな機関がいろいろとやっているところが可観測な指標をどれだけ出しているのかという整理のまとめがどこかに要るんじゃないのかなという気がいたしました。資料6は、それぞれがそれなりにディスジョイントで、そんなに無駄な重複投資がなされていないというのはわかるのですけれども、どういうゴール観でグローバリゼーションの中で打ち勝っていくという、こういう指標を捕捉しよう、こういう解析をしようという、そういうところら辺の記述が必ずしも見えないんですけれども。

【土屋委員】  ここで議論するんです。

【喜連川委員】  ここで議論するのですか。

【土屋委員】  僕の言うことではない。

【喜連川委員】  失礼いたしました。では、ここで議論していただければいいんですけれども、例えば国立国会図書館の分も、JSTの分、J-STAGEでお作りになられた分も、あるいは機関リポジトリも、そもそも海外流動分というものが、リポジトリの数が多くなるということよりも、海外からの流動分がどれぐらいインクリースしていっているのかという統計がどこにもないので、投資対効果がドメスティックの中に閉じて数を増やしていっても余り意味がないかもしれないわけですよね。その辺の全貌観はどうなっているのかなと思っているんですけれども。

【有川主査】  どうぞ。

【長澤学術基盤整備室長】  答えになっているかどうかわからないのですが、今はアクセスのログを分析するツールは開発されているので、それで、海外からどういう使われ方をしているかというような形の把握はできるようにそういうソフトを開発しているのが、今、そこまで行っているのが現状だとは聞いています。

【土屋委員】  ちょっとよろしいですか。ただ、やっぱり議論が非常に難しくて、この手のインフラの整備をやっているときに、インフラに入ってくるものと出ていくものだけを見て費用対効果を見るのは本当にいいのかどうかは難しいと思います。そのインフラによって支えられる実体、この場合だと実際の研究活動や教育活動があるので、そこのアウトプットを見なければ、本当はインフラの価値はわからないのではないかという見方もできるじゃないかということです。だから、目標設定といっても、単純な指標、何か単純な数字を出す、考え方を出すということではなくて、やっぱりそこを勘案した絵を描いた上で、しかし、見た目の出入りはちゃんと明確にしなければいけないから、こことここはチェックしようというような2段階構えの方が良いのではないかなという感じはします。

【喜連川委員】  土屋先生がおっしゃられているのは本当にそのとおりだと思います。この種のものが1つのシングルメトリクスで投稿というのは非常に難しいものですから、いろいろなメトリクスを用意しながら、総合的に大体いいかなというようなことみんなでイグザミンしていくプロセスになるということはそのとおりだと思います。

 ただ、学術のコンテンツのグローバルの流動という観点で見ましたときに、今、我々がやれるのは、日本の部分という、ポーションを見ているわけですね。日本部分の整備をしたときに、そこに来る流動解析をそれなりにできたとして、そこをエクストラポレートして、ワールドワイドの部分に対してどれだけペネトレーションが進んでいっているのかみたいな話を少し真摯に考えていく必要があるのではないかと。だけど、そこは大変難しかもしれません。難しいのですが、何か記載をというか、方向観は何かあるといいかなという気がしたので、発言をさせていただいた次第です。

【土屋委員】  その方向性については基本的には賛成です。

【有川主査】  安達先生、これは少しJAIROとの関係もあると思うのですが。

【安達副所長】  私はその方面の専門家ではないのですが、私どもの研究所では、トムソン・ロイターの情報を用いて、国際的な中で日本の研究者がどのような活動をしているか――引用分析や出版する論文数などに関することですが、このような調査はやっております。そのような状況をどのように評価し、将来に向かっての方向性を考えることが一番重要ではないかと思います。その結果を見ますと、日本の国際学術誌は足踏み状態にあるという感じが若干いたします。このような点を分析した論文は既に私どもの研究所で報告書としてありますので、もし少し詳しくその状況を御説明した方がよろしければ準備できます。

 例えば、私も会員であります電子情報通信学会での具体的な例で申しますと、英文誌をきちんと発行し、国際的にも展開してきた訳ですが、日本人研究者の投稿数は余り増えない一方、アジア地域からの投稿が非常に増えております。総論文数として増えてはいるのですが、実は日本の学会誌が国際誌に育ってくると、増えていく外国人研究者の投稿のために、日本の研究者が査読など学会として論文誌を発行するために努力するという、本当にインターナショナルな状況になってくるわけです。そのような動きが過去10年ぐらいの統計情報から見てとれます。

 分野が医学ではまた違っていますし、そのようなデータはございますので、何に対してどのようなトリガーをかけると何が起こるかということを見定めるのが、今後検討する際の肝ではないかと思うのですが、なかなか難しい課題であります。とりとめもない話ですみません。

【有川主査】  先ほどのROATのところで、これは、機関リポジトリの対象なのですが、きちんとアクセス件数等の統計がとれるような格好の仕掛けをそれぞれの機関リポジトリに用意させるというようなことがあるとこういった統計がとれるし、それによって、国際的にどうこうというような話ができます。

 それから、データというか、コンテンツがきちんとあれば、最近はかなり変わってきているのかなと思います。どなたか押さえている方に発言していただければと思いますが、例えばマイクロソフトのアカデミックサーチというのがありますけれども、相当なものを見ているのではないかと思われます。

 そういう意味では、JSPSはファンディングエージェンシーですけれども、3つのところでいろいろなものを出しておられるわけです。そういったものがあれば、かなり引っかかってきて、結果的には国際流通あるいは評価というところにつながっていくのかなという気もしております。

 はい、どうぞ。

【土屋委員】  ただ、やはり喜連川先生の、危惧と言うか、憂慮は、非常によくわかるので、それを別の観点から見ますと、今日やっぱりいろいろお話しいただいた点は、日本の国の中で出てきたものの、日本の国の中だけでの動き方ずっと捕捉しているだけなので、確かに世界全体でどうなのかというのをどういうふうに理解していくかということへのアプローチがいまひとつよくわからないということだろうと思います。

   例えば安達先生はトムソンを引かれましたけれども、あれを持ってくると、しばしば日本の先生方は、あんなものを基準にして評価するからいけないんだというふうに言い出すような基準なわけです。では、我々としてどういう独自の見方を持っているかと言われるかと言われると、別に特に持っているわけではありません。国内のものはしっかり押さえていますということに尽きるというようなことだと思いますが、やっぱり今、これだけの整備をして一体どれだけの効果が上がったかというのを、短期的にも長期的にも見るだけの手持ちの資料が全然ない。資料だけじゃなくて、道具もないという状況になっているなという印象は受けます。どうしろという具体的な提案は今できないんですけれども、それはやっぱり十分自覚しておくべきではないかなという感じはします。

【有川主査】  はい。

【上島委員】  よろしいですか。機関リポジトリのところでも、ノッティンガムとか、サザンプトンとか、英国のこういったプロジェクトといいますか、アプローチがよく出ていますけれども、そういったところは全体的なものをつかんでいるということはないのでしょうか。本件はコンテンツの流通のことですけれども、例えばインターネットの情報だと、以前に、CAIDAの情報というようなプロジェクトがございましたね。そういったコンテンツの流通を把握しようとしているプロジェクトとかいったものは、世界的には今はないと考えたらよろしいのでしょうか。

【安達副所長】  私の知る限り、世界中の活動を網羅する形で動いているものは、残念ながらないのではないかと思います。例えばイギリスではHEFCEがJISCに継続的に投資をして、このような活動やプロジェクトを維持しようと頑張ってやっています。しかし、日本語の情報に関するものは恐らくここに入っていないと思うのです。言語的な壁で何となくカバー範囲がそれぞれにあるように思います。

 例えば私どもはJAIROというポータルを提供していますが、ここは日本の機関リポジトリの情報だけで限定しておりますが、それは今の我々の力量とも言えます。もちろん論理的には世界中の機関リポジトリの情報を集めて分析するということもできるのですけれども、そのように進めるよりも、国際間の連携を進めることが重要で、今、そのような組織をつくろうとしています。このようなやり方でうまく解決していきたいと思っております。その意味で、現在このような活動の方向性についてはまだ流動的な状況であると思います。

【土屋委員】  若干補足させていただきます。ここにあるOAIsterという8ページのシステムは、OCLCが運営というふうになっています。実態は、今はそうなのですけれども、もともとはミシガン大学の図書館が中心になって始めて、ずっと努力して維持してきたわけです。だけど、最終的に、両者合意の上でOCLCが運営することになった。

 なぜOCLCがこういうものを受け取って運用したいかというと、彼らはワールドキャットという、3万8,000館でしたっけ、日本を除く世界中の大学図書館とか何かのコンソーシアムの形をとっているところはほとんど参加して、そこにある蔵書目録を全部自分たちのところで持っているわけですよね。しかし、それだけでは今や、学術あるいは高等教育に対する情報提供としては不十分だということから、機関リポジトリの部分を捕捉しないと、全体としての情報の把握ができないというOCLCの方針とおぼしきものの中で、言ってみれば、OAIsterを「買って」しまったという感じになっていると思われます。

 ですから、やっぱり世界中にある情報に対してどういう視点を持つかというのがないといけませんし、個々の、このコンテンツをどう位置づけるかという、より大きな枠組みがないと、一つ一つをどう整備していくかというのも出ていかないという状況になっているのではないかなという感じはします。

【上島委員】  まずデータだけではなくて、コンテンツの観点からですね。

【土屋委員】  はい。

【上島委員】  ありがとうございました。

【有川主査】  ほかにございますか。はい。

【喜連川委員】  ちょっと別の。要するに、今までの議論で、ここで共通の認識を頂きたいことは、コンテンツとコンテンツのユーセージのデータというのは根本的に独立で、コンテンツを整備することと同時に、ユーセージのアナリシスをインパラレルにやらないとうまくいかないですというのを今まで議論してきたということです。これはこれでこれ以上やっていてもなかなか議論がつきないと感じますが、そのためには、いろいろなそういう情報を持っているところのデータを買うというようなことも実はそれほど惜しいことではないということも含めて検討していくことは重要だと思います。

 少し次元が違うことを申し上げますと、いろいろなサービスを行うときに、いろいろなところが重複をなるべく排除しましょうというのは、これは国の施策としては極めて妥当な考えではあると思います。一見そのようには見えるのですが、そういたしますと、その部分は完全に非競争領域に入ってしまいます。物事がどんどん活性化していくためには、ある程度の競争領域に放り込むことも重要です。

 私は、JSTさんにどうこう申し上げているつもりはないのですけれども、例えば今、JSTは海外の論文投稿システムを日本語にカスタマイゼーションしましたという御報告を賜ったのですけれども、一方では安達先生からは、私は通信学会の副会長をしているもので、通信学会の投稿は海外からどんどん増えてきますということの、その一歩先を見るとどう見えるかといいますと、海外のアジアの近隣諸国が今後、自分たちの論文集を出そうと思うのは、100%プレディクタブルになる。

 そのときにどこにアウトソースしてくれるのかということが次の問題になってくる。ですから、J-STAGEのようなものが、ベトナムSTAGEとか、タイSTAGEのようになったときに、そこに持ちこたえるだけのローコストを実現できているのか。つまり、パーアーティクル当たりのコストをどれぐらいダウンさせていくことができるのかというのが、実はその次の競争力なのです。

 コンテンツの数をグッと増やすことが競争力のようにも見えるのですが、それと同時に、パブリッシュするコストをどれだけ下げられるのかということが競争力になってくると思います。その辺りの、DOIのリンクセンターも含めて、一体パーユニットの情報当たりどのぐらいのコストをかけているのかということと、その目的観みたいなものが何となくあんまり見えないので、もし何かおわかりというか、感覚をお持ちでしたら、御教授賜れるとありがたい。

【土屋委員】  しり馬に乗って質問させていただくと、J-STAGE3というのは、今、200万論文分載っかって、提供できると言うけれども、要するに、今の規模で、一切改修なしで、何百万論文まで載っかるんですか。

【大倉部長】  それは単にストレージだけの問題だと思っています。

【土屋委員】  もちろん「単に」といっても、アクセスの問題もありますから。

【大倉部長】  それで、今、800……。

【土屋委員】  たくさん載れば、パーユニットは減るんですから。

【喜連川委員】 いや、そんなものでもない。

【土屋委員】  だけど、それは非常に変な話で、つまり、たくさん載せても、みんなに万遍なくアクセスがあるわけではないわけです。ごく一部のものだけが使われたりするわけで。その辺をどう評価するか非常に難しい問題です。でも、せっかくですから、何百万載っかるんですか。黙っていると、何百万まででしょうか?

【大倉部長】  黙っていてはいけないので。毎年、多分、今の計画ですと、各年度で100誌程度は新しいものがいつも登載されてくるだろうという計画で進んでいます。今、850ぐらいですので、今年度さらに、先ほど言いましたように、68新たに加わってくると。その次、25年度には、やっぱり100誌程度来るだろうという計画のもとにストレージの計画を立てているということです。

【土屋委員】  ですから、むしろ今みたいな話で考えるのであれば、非常におせっかいな話ではあるんですけれども、ストレージだけの話であるならば、つまり、そんなのは最初から、タイのだって何だって全部、今、引き受けてしまえばいいじゃないかと。つまり、タイがつくるのを待つ前に、タイに売り込みに行って、タイ で出す雑誌は全部J-STAGEで出してあげますと言ってもいいわけでしょう。

【大倉部長】  はい。それで、たまに東南アジアから、うちの国のこの雑誌をJ-STAGEに載せられないかというような問合せがございます。我々も事業をやっている身からすると、そういうことはある意味うれしいことなので、是非協力したいという気持ちはわくのですが、日本の国の税金でやっているこの事業でタイの雑誌を載せることについての是非の議論があるんだろうなという気はしていて、その場で「はい、わかりました」ということは答えにくい状況もあるなとは思っています。

 多分、ただで載せられるからというところもあるのかと思うのですけれども、そういう要望は来ています。そのときに、多分、政策として、日本のジャーナルの海外発信力の強化という目的でつくったこのプラットフォームを、例えばタイのジャーナルの海外発信力のために経費を使ってやっていいかどうかということの是非をまず議論しないと、「はい、わかりました」という回答もなかなか出せない状況もございます。

【喜連川委員】  よくわかっていないのですけれども、使用料は今、ただなのですか。

【大倉部長】  そうですね。J-STAGEに論文データを登載する費用はかかるので、それは当然、学会さんの費用で登載します。

【土屋委員】  使用料はとっていない?

【大倉部長】  ええ。プラットフォームを使うのが例えば年額100万円ですとかいう取り方はしていない。使用料はゼロですね。プラットフォームとしてのJ-STAGEの使用料は無料です。

【喜連川委員】  査読の面倒くさいシステムを学会側がものすごいお金をかけて、億単位のお金をかけて今作っていますよね。最終コンテンツだけを載せるという状況になっているのでしょうか?

【大倉部長】  そうですね、基本的にはそうです。それで、査読のシステムもオプションで使うことができますということで御案内していて、今、百数十学会の方が……。

【喜連川委員】  それもただなのですか。

【大倉部長】  それは基本的には、基本料みたいなものはとっていませんけれども、例えばCrossCheckについては投稿数に対してはお金を頂くということをしています。

【有川主査】  その辺はある程度ビジネスとして成り立つようなことをやりながら、そして、国際化することでJ-STAGEのやり方が使われることによって、日本のコンテンツも広がっていくというところはありますね。日本の税金でということでは、例えば国立大学などは日本の税金でやっているわけですが、最近では留学生の問題などがあるわけですけれども。

【土屋委員】  日本の税金って、ODAをやっているんですから、全然問題ないんじゃないですか。

【有川主査】  留学生30万人計画と言っていて、私のところでも、学生1万9,000人のうちの2,000人ぐらいが外国人なのですけれども、それくらいのお金を使っているということです。既にそういう状況になっているわけですから、その辺は少し考え方を変えて、本当の国際発信力というようなことからすると、そういったことは好ましいんだというような議論がされてもいいと思います。

 もう1つは、先ほどのJSPSの、評価のときにパーユニットのコストがどのくらい低いか、あるいはどういったところへ持っていけるかというようなことなどは、評価の項目としてあってもいいのでしょうね。そういうことでよろしいですか。

  それから、今、喜連川先生や室長の方からのお話にもあったと思うのですが、ある程度は重なっているということはいろいろな意味で大事かと思います。先ほどの喜連川先生のお話ですと、重なっているようなところに競争力といいますか、どちらが効率的かみたいなことも出てきますので、そういう意味でも少し重なっている方がいいのかなという気がいたします。

【田村委員】  よろしいですか。

【有川主査】  はい。

【田村委員】  国際的な情報発信ということで今出てきていると思うのですけれども、国立国会図書館の国会図書館サーチとかが、国際対応についてはどんなふうに考えていらっしゃるかとか、わかれば教えていただけないでしょうか。

【相原課長】  今やっているものでは、日中韓の3国のデジタルアーカイブの連携ということで、自動翻訳の仕組みを組み込んで、他の言語からでも使えるようにしているというのが現状です。

【田村委員】  英語とかというのは特には?

【相原課長】  英語にも対応しています。英語の翻訳機能もあります。

【土屋委員】  よろしいですか。

【有川主査】  はい。

【土屋委員】  1つ気になったのは、国立国会図書館が、最近ささやかに話題になったかもしれない、例の学位論文の電子化事業の結果の公開があって、結果的には14万論文を電子化したのですけれども、国会図書館から公開できるのは1万4,000という、非常に大ざっぱな数字でいえば1割に満たない数字になってしまっているということです。これに関しては、大学図書館も国立国会図書館と協力して、許諾をとるための整備を努力したのですが、相当の努力をしたにもかかわらず結果的に1割というのは、失敗だったと思います。しかも、それは90年以降の論文ですから、ほとんどの著作者が存命なはずであるにもかかわらず、そういう結果になってしまった。

  そこのところについて、やっぱりこれも具体的な提案ができないので何とも言えないのですけれども、今の関係者一同が我々の学術情報基盤をどう考えているか、自分たちが出したものをどうするのかということについてどういう意識なのかということ自体が非常に不安になる結果だったなという感じがします。

  実は、せっかくの機会でお願いなんですけれども、かなり丁寧な報告書がつくられていると思うのですが、ウエブでどこにも見つかりません。それを見つかるようにしていただけるとうれしいなと思います。隠したい気持ちはわからないでもないけれども、隠してはいけません。なぜそうなったかが非常によくわかる、いい報告書だと思うので、是非わかるようにしていただきたい。

  ただ、それをやっぱり糧にしてもうちょっと考えないと、例えば機関リポジトリに載っけるインセンティブがありませんよというような話も、ある意味で似た傾向だと思うんですね。やっぱりそういう人たちというか、要するに、研究者自身がこういう問題に、頑張れとはあんまり言いませんけれども、ある程度はやっぱり考える機会を持つようにしなければいけないんじゃないかなということです。

【有川主査】  それは1割程度ということのようですけれども、実際にはやってみなければわからないわけですね。もしやっていなかったら、必ずその問題は出てくると思います。過去のあるところから全部やれるじゃないかと思ってやってみると、許諾を得るということに関して、その著作権処理の問題というのはものすごく大変なことになるわけです。ですから、こういった問題はその辺りを押さえた上で、過去にさかのぼらないで、未来に向けてこれから先は全部そうするといったようなやり方が大事なのだろうと思います。そして、あるところから先の方は全部あって、余裕があったり、手に入るときはできるだけ遡及していくといったようなやり方がいいと思います。

【土屋委員】  全くおっしゃるとおりで、繰り返しになってしまいますけれども、保存のための電子化事業としては全然問題ない成果だと思うのです。しかし、その電子化したものをどうやって共有していくかというところでは、実は今、有川先生がおっしゃったみたいに、未来に対してビジョンがないので、人類が永久に続くならば、多分これから生産される情報の方が多いので、その中に過去のものをどう持っていくかという方向で考えないといけないと思うんですが、非常にいい教訓を得たと思うので、あんまり恥ずかしがらずに出していただきたいなと。

【有川主査】  学位論文というのはパブリッシュしなければいけないということになっているわけですけれども、それを必ず電子的に、ネットワーク上に置かなければいけないといったことをやっておきさえすれば、全然問題はなくなるわけですね。

【土屋委員】  ただ、その問題は国立国会図書館の問題ではなくて、文部科学省の問題ですので。

【有川主査】  そうです。ですから、そういう基準を設けていただければ、自動的にいくわけです。

 そういったような問題もありますし、それから、データあるいは、コンテンツを作っていくということまで考えますと、一番わかりやすいのは、NIIが大学図書館などをうまく使って、ものすごく効率的に目録データベースをつくって、1億か2億件ぐらいになっているのではないかと思うのですけれども、ああいったようなやり方などは、コストというようなことからすると、歴史的にもものすごくいいモデルのわけです。

 大学図書館は、参加することによって自分もメリットを受けるということもあって、好んで、しかも競うように参加したのではないかと思います。そうした経験も生かすといいと思います。その辺りで、データの作り方に関してのコストについても、いいヒントが得られるのではないかと思います。

 山口先生、どうぞ。

【山口委員】  国会図書館に関する質問をもう1つさせていただきます。東日本大震災アーカイブの取り組みというのは大変重要で、日本が、それこそ日本国民に対しても、海外に対しても発信していける重要な情報だと思います。この取り組みに関しては、日中韓の言語か、英語訳で情報公開できるというような仕組みになっているのでしょうか。

 そう申しますのも、実は数週間前にシカゴで大学サミットというのがありまして、世界各国から120大学ぐらい集まりました。その際に、大学のイノベーションを介した連携の議論で、自然災害への対応に関する科学技術の取り組みや、活用、災害シミュレーションにおけるイノベーションに関して議論が展開していきました。

 そのときに、やはり東日本大震災後の科学技術の災害に対する取り組みに関する情報が大変有用である、そういう情報が欲しいという海外の大学からのリクエストが随分増えていると思いました。こういう情報をやはり日本からの海外に向けての発信として活用できるのであれば、とても使い勝手のある取り組みになると感じた次第です。

 

【有川主査】  恐らく、それはこれからのことだろうと思います。今はとにかく、いろいろな形で、あるものをきちんと押さえておくということが大事な段階ではないかと思います。

 どうぞ。

【相原課長】  今の時点では、まだいろいろなことを検討中でして、今、こういうことをやったらいいのではないかとおっしゃられた中身については、実はまだ決まっておりません。ただ、今回の震災アーカイブの取り組みでは、これまでのNDLサーチとかデジタルアーカイブシステムを中心とした取り組みの成果をできる限りそのまま使っていこうというところがありますので、NDLサーチで提供できているものについては、可能性としては、震災アーカイブのポータルでも提供できる可能性はあるということは申し上げられるとは思います。実際にどうするかというのはこれから検討していくことになるとは思います。

【有川主査】  ありがとうございました。

 もう1件ございますので、そちらに入っていこうと思います。前回検討を行いました機関リポジトリによる情報発信についてですけれども、事務局の方で、資料7にまとめて整理していただいております。まず、御説明を頂きたいと思います。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、機関リポジトリの、前回いろいろ御議論いただいたことを踏まえまして、文書のまとめ的な素案を作成しましたので、そのもとに議論を更にしていただければと思っております。

 資料7をごらんいただければと思います。構成は、機関リポジトリの役割・意義、それから、現状、それから、課題等という形になっております。まず、やはり機関リポジトリの役割・意義を明確にすることが必要であるということと、それから、大学としての位置づけも必要だということがありましたので、そういったものの観点を踏まえまして書いてございます。

 一番初めの丸は、機関リポジトリの説明で、2番目は役割ということで、機関リポジトリは、情報発信だけではなくて、多様な機能を有しているということが、それ自体の役割としての意味が大きいということです。それから、その意義としましては、やはり大学全体の知的資産を把握、可視化するということと、大学としての成果を迅速に国内外に発信して、大学の存在感とか価値とかいうものをアピールする手段になるということがまず機関側の意義であります。ユーザー側は、大学等の有しているものにワンストップでアクセスして、基本的には無償で利用できるということから、広範な新しいコミュニケーションツールとしての発展が期待できるのではないかと。

 それから、特にジャーナルへのアクセスがちょっと難しくなっているということ対しましては、こういったところで無償である程度情報が入手できるのであればということで、新しい代替する機能としての役割も担えるのではないかというふうなことが一応意義ではないか。

 その上で、特に大学の知的生産物が、知識インフラ的な観点からしますと中核的要素になるというのは明らかですので、こういったものがいかされると。そういった整備自体は、やはり大学は責務として整えていく必要がありますし、その手段として機関リポジトリを位置づけることによりまして、整備・充実を図るということが必要ではないかというふうな書き方にしてございます。

 それから、機関リポジトリの現状でございますけれども、既に説明をしていただいたところに入っておりましたけれども、これまでの経緯としましては、各大学の図書館を中心に自発的な努力で整備が進められてきておりまして、NIIや、機関リポジトリのコミュニケーション組織であるDRF、そういったところが啓発活動などをしてきまして、近年、構築数が急速に伸びておりまして、今、240機関ということになってございます。

 この性格がどうなのかということにつきましては、国際的には、先ほどの御説明のとおり、第4位ということになっておりますけれども、科研費の申請機関は1,000機関以上あるということを考慮しますと、やはり一層の整備の拡充が必要ではないかということです。つけ加えますと、NIIの機関リポジトリのクラウドによりまして、今後更に加速するということが見込まれますので、将来的にはすべての大学にこういったものができるということが期待されるのではないかというふうにしてございます。

 それから、横断的な連携・データ分析機能は全然不足しているということだと思いますけれども、現状としましては、こういった分析は欠かせないといった上で、ツールとして、国内では、JAIROと、JAIROの内容を通じた分析ツールはございます。それから、ユーザー分析については、先ほども御説明いただいたROATが開発されて、活用可能になっている。海外との連携については、OpenDOARとかOAIsterといったような情報共有サイトで、どういった使われ方をしているかというふうなデータは把握されているといことでございます。

 その上で、コンテンツの内容につきましてもそれぞれで把握はできるわけですけれども、全体だと、JAIROでは紀要論文、学術雑誌論文というのがほとんどで、アクセスは基本的にはほとんどが国内からというふうなことで、コンテンツでは紀要論文に対するアクセス数が多いということでございます。利用状況におきましては、特に私立大学とか、人社系ではやはり紀要論文を使うという上で重要なツールとして活用されているというところがございますので、そういったものに寄与してございます。

 課題でございますけれども、現状としましては、いろいろ各機関の意見も聞いたのですけれども、最も重要な課題は、やっぱり登載されるコンテンツの充実に尽きるということでございます。これにつきましては、現状では、図書館の職員の方々を中心にして、部局、研究者の協力を得て進められておるわけです。まず登録の方法は、基本的には研究者自身が行うセルフアーカイブということでやっているケースがほとんどでございますけれども、もう既に議論にございましたような、学術誌に掲載された論文につきましては、もう既に公開もされて読めるところもありますし、事務的に二重に負担になるというふうなことと、刊行論文と著作者の最終稿で異なる情報が流出するのは望ましくないというふうなことの意識もありまして、研究者のインセンティブはやはり必ずしも高くないということで、実際各機関に伺ったところでも、入力するところはなかなか協力を得られないというふうなことも聞いております。

 もう1つの問題としましては、やはり学術雑誌の著作権ポリシーが定まっていないというのがいまだに6割程度ございますので、結果として、載せたくても載せられないというふうなこともあるというふうなことでございます。

 また、大学等は、取り組みとしましては、セルフアーカイブを進めるために、システムとして、データをPDF化して送れば、あとは図書館の職員がすべて代行する方式とか、研究者情報とリンクさせるとか、科研費の成果報告書にその結果の情報を自動的に出力できるようなシステムの開発とか、そういった負担軽減に絡む工夫を相当行っているところもあるわけですけれども、こういった取り組みを共有化することによって、より進むことも考えられるのではないかというふうなことです。

 また一方で、これは追加ですけれども、学協会から自動的にデータを得るなどというふうな形のシステムもできれば望ましいのではないかということを最後につけ加えさせていただいてございます。

 もう1つは、研究者の意識改革がやはり必要だということでございます。やはり大学等におきまして、機関リポジトリを形成するということで、流通が促進して、結果的に研究者の利益もつながるということを理解していただく。それと、やはり機関に所属する者の責務として、こういったことをやっていかなければならないということを促していく必要があるのではないかということを書いてございます。

 それから、機関リポジトリの構築自体は全学的に取り組むべきことであって、図書館の方が業務を一部担っているということをやっぱり明確に位置づけて、業務をサポートしていくということも重要ではないかということを書いてございます。

 それから、もう1つは評価への組入れということで、大学の機関別評価とかにおきまして、機関リポジトリの構築を評価するというふうな仕組みを導入するということと、研究者の個人評価におきましてもこういった観点を加えるということがやはり必要ではないかと。

 それから、情報の入れるべきものですけれども、やはり魅力を増すためには、ユニークな資料とか、流通しづらい資料の登載に力を注ぐといった独自性を意識した展開も重要であるということです。

 コンテンツの例示は、その下に掲げてございまして、テクニカルレポートとか教材とかいう形のものは、前回から若干修正を加えております。更に研究データを入れるかどうかについては慎重にというお話がございましたけれども、やはりデータセンターという中のそれもございますので、研究データの流通促進についても必要に応じて入れていくということが適切ではないかということで、これは今後データ量が膨大になるということで、クラウド技術のイノベーション等の動きも踏まえながら、機関リポジトリに入れるデータはどういったものが適切なのかということの検討も図った上で。適切に加えていくということが重要ではないかというふうなイメージで書いてございます。

 あとは、大学等がとにかくそういった情報戦略、整備方針等を持って、機関リポジトリのコンテンツの充実に努めていく。その結果、存在感を強化するということが重要だというふうな書きぶりにしてございます。

 それから、国際流通の促進という観点からは、少なくとも要約やキーワードについては英語で登載するというのが望ましいのではないかというふうなことを書いてございます。

 あと、連携の促進ということで、先ほどの評価とかも関連しますけれども、機関リポジトリと教員評価データベースとか、こういったJSTがやっているような研究者情報も、外部的なものにもリンクをさせて活用していくということが有効に働くのではないかと。それから、科学研究費補助金におきましても、成果に関する記載項目が設けられておりますけれども、こういったところに機関リポジトリのアドレスを載せるということで科研費のデータベースとのリンク等も進めれば、よりよくなるのではないかというふうなことも書いてございます。

 支援の方向性としましては、できることとしましては、学協会の著作権ポリシーが明確になっていないところには、早急な検討・公表を促していくというふうなことができるのではないかということと、さらに、普及のためのシステム的な高度化の展開などに対する支援、特にNIIが実施していただいているような事業の積極的な推進を図っていく必要があるのではないかというようなことが書いてございます。

 一応、取りまとめとしてはそういうふうな形の資料を用意させていただきました。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございます。

 主に前回ですけれども、オープンアクセスについて議論していたころから、何回かこの問題について議論してきたわけですけれども、それを整理していただいたわけでございます。

 何かご意見、御質問等がありましたらどうぞ。

 はい。

【土屋委員】  1つだけ。大分、前回拝見したものより整理されているなという印象を持ったのですが、これは現在の立場上お願いしなければいけないので。3ページの評価への組入れというところがあるのですけれども、この内容については賛成です。

 ただ、ここで報告書を書いていただいても多分反映しないので、ちょうど今、大学情報の公開とか公表とかということは大学改革上の1つの重要な話題になっているということがありますので、もしこういうことで方向性が出るのであれば、直接、大学教育部会とかに行って、あの辺のところにちょっと言っていただくぐらいのことをして、今回の研究費部会みたいな感じで出していただいた方が伝わるかなという印象があります。最終的にどういう表現になるかわかりませんけれども、その辺のことを一度やっていただきたいなと思います。

 ここで書いておいても、いろいろ言っても、とにかく機関リポジトリって何だという説明から始めなければいけないのがしばしばあるので、そこは是非お願いしたいなという感じです。とりあえずそれだけ。

【有川主査】  何か所かに出てきておりますけれども、例えば知識インフラであったり、それから、最近検討が始まっておりますが、アカデミッククラウドですとか、そういったようなところとの関連もかなり出始めたわけですね。そういった意味で、当初議論していたときよりもう少し広がりと深みも出てきたのではないかと思います。

 喜連川先生、どうぞ。

【喜連川委員】  魅力はコンテンツをエンリッチすることであるというふうなシナリオを頂いたかと思うのですけれども、もう少し違う側面もあるということを御紹介したいと思います。

 ある図書館からお伺いしたことがございますが、電子情報通信学会の研究会の資料というのは、海外から非常によくアクセスされるコンテンツの1つであるそうです。これはなぜかといいますと、査読を受けずに発表することができるからです。その発表は何のために発表するかというと、タイムスタンプをつけるためです。これは完全に既発表になりますので、海外から見ますと、特許になるかならないかということの一番大きな資料判断になるのです。

 ポイントは、学会というものがタイムスタンプをつける機能を持っているということが、学会に発表することの大きなファンクションとしてアプリシエートされている。今回、機関リポジトリといったときに、ここで言っているインターナルな資料のようなものに、そこにつけている時刻印というものが確実にギャランティーされているかどうかというのが結構大きなファンクションになります。

 もしそれがありますと、アメリカは先発明主義になりますので、特許以前に何らかの根拠に匹敵するようなものがそこで見いだされますと、それで裁判に勝つことができるということになります。そういう意味で、時刻印のファンクションをどうギャランティーするかというのをちょっとお考えいただくと、理工系によらず、多分、どこの研究者にとってもすごく強いインセンティブになると思います。

【有川主査】  今回のまとめの中で4ページあたりに入っているかと思うのですけれども、例えばテクニカルレポートや研究成果報告といったものなどは、これまでは最終的な論文に比べてどうこうというようなことで言われていたのですけれども、今おっしゃったように、タイムスタンプを押すということからすると、極めて大事なんですね。私自身はそこのところにずっとこだわり続けていたところがあります。そして、それが整理されていって、普通のジャーナルに出るなら出てもいいのですけれども、最初はここで出していますということが主張できるということは極めて大事なことだと思います。これはこの中に追加しておきましょう。

【土屋委員】  ただ、それに関しては裏表あって、出してしまえばいいという話はあるんですけれども、まだどこのいわば「評価」も得ていないものです。確かに研究会発表でも、投稿すれば出てしまうことは事実なんですけれども、しかしながら、例えば学会というコミュニケーションの中での一応チェック、つまり、研究会で人前に発表して批判を受けられるということがあるというのに対して、機関リポジトリの場合には、大学構成員であればともかく載っけられてしまうというような側面があるので、それだと、そういうような、何でもかんでもというようなものの中に載っけるのはまずいという見方をおっしゃる方も今までたくさんいました。ですから、それはどっちにとるかというのは、ある程度きちっとした議論をして、方向づけることができないか、できるか考えてみなければいけないんだと思うんです。

【有川主査】  それは、個人のホームページに置くのと機関リポジトリに置くのとでは違って、機関リポジトリというのは機関がやるわけですので、機関としてのある種のステータスみたいなものが出てくる関係で、そんなにいいかげんにはならないと思うのです。

【土屋委員】  機関のブランドはつけられるかもしれないけれども、機関として、じゃ、責任をとるかと言われたときには、要するに、機関が完全に管理しているとか、コントロールしている範囲内での研究活動でないものも実際にごらんになると多々……。

【有川主査】  そういうことはあると思います。例えば『ネイチャー』『サイエンス』などでも間違ったものというのはたくさんあるわけです。

【土屋委員】  それはそうですが。

【有川主査】  それは余り考えなくてもいいのではないかと思います。ただ、非常に大事な点を1つ指摘していただいたと思います。

 ほかに何かございませんか。

 倉田先生、特別にプレゼンもしていただきましたが、よろしいですか。大体反映されていると私も思っているのですが。

【倉田委員】  はい。随分まとめていただいたと思っております。細かい表現その他に関しては今後幾らでも修正可能ですのでいいと思うのですけれども、少し気になったのは、4ページ目の「大学等の教員評価データベース」というのは、これは何を指しておっしゃっているのかがちょっとわからなかったのですが。

【長澤学術基盤整備室長】  大学が特に用意して、教員の個人評価に使っているようなデータベースの中に組み入れるという、そういう発想だったと思います。

【倉田委員】  それはまずいものではないのでしょうか? つまり、教員の個人評価のためのデータベースを各大学が作っているだろうという話ですか。

【土屋委員】  そういうこともされているのではないかという。

【有川主査】  これは連携しているのですけれども、私のところなんかは実際に教員のデータベースというのがありまして、ものすごくアクセスされているのですが、そこにパブリッシュした論文のリストがありますよね。それをクリックすると……。

【倉田委員】  普通の教員の業績等が入っているデータベースですよね。

【有川主査】  ええ。

【倉田委員】  評価と言われてしまうと、ちょっとこれは……。

【有川主査】  評価というのはとっておきましょうか。

【倉田委員】  これは意味がいろいろにとれてしまうので、そうではなくて……。

【有川主査】  実は機関の評価と個人の評価というのがあるのですが、だんだん個人の評価もやれというようなことになってきて、そのデータベースを公開しているシステムでは評価はやらないのですが、似たようなことをやるのだからというので、同じように評価に関するデータ収集はしています。ただ、公開する項目とそうではないものとは区別しています。いずれにしても、この段階では評価というのはない方がいいと思います。ありがとうございます。

 時間が来てしまいましたけれども、非常にうまくおまとめいただいたと思いますが、もしお気づきの点がございましたら、事務局の方にメール等ででもお知らせいただくことにいたしましょうか。

【土屋委員】  これのファイルを送っていただけると。

【有川主査】  そうですね。ただ、なるべく発散しないようにお願いいたします。とりあえず1回収束させて、それからまた展開したいと思います。ありがとうございました。

 今後の進め方についてですけれども、夏ごろを目途に、これまでの審議のまとめをしたいと考えております。それで、次回52回目ですが、6月28日ということになります。6月8日については予備日として用意していたと思いますが、それは開催しないことにいたしましたので、6月28日ということになります。

 昨年の10月の学術情報流通・発信に関するこれまでの議論の整理、それから、昨年12月の日本の学術情報発信機能を強化するための科学研究費助成事業、研究成果公開促進費の活用等について、それから、今年の1月以降議論を行ってきました、国際情報発信強化の観点からのオープンアクセスあるいは機関リポジトリ、関連機関との連携等の検討、こういったことをやってきたわけですけれども、その辺りを踏まえまして事務局で整理したまとめ案を作っていただいて、それをもとにして検討するということを6月28日にやりたいと考えております。

 その準備の段階で、事前にごらんいただいた方がいいようなことがありましたら、事務局から適宜照会をさせていただくということにしたいと思います。

 それでは、最後に事務局からお願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  本日もどうもありがとうございました。

 会合の議事録でございますけれども、同じでございますが、各委員への御確認の後、主査の御了解を得た上で公開の手続をとらせていただきたいと思います。

 次回でございますが、有川主査から今御発言がございましたとおり、第52回は6月28日木曜日に開催させていただければと思います。時間と場所は、本日と同様でございますが、15時から17時、この16F特別会議室を予定してございます。

 それから、予備日でございました6月8日については、会合は開催しないという方向でございます。

 また、それ以降の日程でございますけれども、資料8でお示ししてございます。大変御多忙中とは存じますけれども、日程の確保につきまして御配慮いただければ大変ありがたく存じます。

 本日の資料につきましては、机上にそのままお残しいただけましたら、事務局より郵送をさせていただきたいと思います。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。そういうことで、あと2回ぐらいでまとめをしようということであります。

 それでは、本日はこれで終わります。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

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