研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第8回) 議事要旨

1.日時

平成19年8月10日(金曜日) 15時~17時

2.場所

国立情報学研究所大会議室(学術総合センター22階)

3.出席者

委員

 有川主査、伊井主査代理、三宅委員、上島委員、後藤委員、土屋委員、美濃委員、山口委員、米澤委員

文部科学省

 徳永研究振興局長、藤木研究振興局担当審議官、勝野情報課長、高木学術機関課課長補佐、井深学術基盤整備室長、小酒井学術基盤整備室室長補佐、膝舘情報研究推進専門官
(学術調査官)
 逸村学術調査官

4.議事要旨

(1)今回初めて出席された委員の紹介が行われた。

(2)事務局より、資料2に基づき、研究環境基盤部会および学術研究の推進体制に関する作業部会合同会議における審議経過の概要等について説明が行われた。その後意見交換・質疑応答が行われた。

【委員、学術調査官】
 学術研究が研究者の知的好奇心に基づくということや、研究者コミュニティの声を聞きながら調整を図っていくとの記述が見られるが、全体的にはトップダウンにより推進していくという印象を受ける。この辺りの調整については、どのように考えているか。

【事務局】
 学術研究の推進は、研究者の知的好奇心に基づくものが基本であるから、研究者コミュニティの意向を踏まえながら、様々な学術研究の推進を行う必要がある。ただし、国立大学法人化後、国としての学術研究推進方策が見えにくくなっているという問題意識がある。そのため、国による学術研究推進としての観点から、共同利用・共同研究拠点の整備、大型プロジェクト推進のための環境整備について、手法、方法等を検討いただいている。検討にあたっては、研究者コミュニティの意向を踏まえつつ進める必要があると思うが、その把握方法が、一つの課題となっている。

【委員、学術調査官】
 研究者コミュニティとは具体的には何であるのか。

【事務局】
 学会、日本学術会議、学術分科会等、場面に応じていろいろ考えられる。

【委員、学術調査官】
 大学共同利用機関などでは、内部の方以上に外部のいわゆる一般の研究者コミュニティの方を運営会議の中に入れて、機関の運営や研究推進に関する意見を出してもらいながら推進している。

【委員、学術調査官】
 この審議の経過案には、研究はトップダウン的ではなく、ボトムアップ的にやるということが記述されており、全国共同利用等に関しては、国としてサポートする必要があるのだということが記述されている。従来、全国共同利用というと国立大学等で行われてきたが、公立・私立も同様に整備していくということになっている。

(3)事務局より、資料3に基づき、次世代スーパーコンピュータ開発プロジェクトについて説明が行われた。その後意見交換・質疑応答が行われた。

【委員、学術調査官】
 次世代スーパーコンピュータを活用しての国際共同研究推進については、どのように考えているか。

【事務局】
 基本的に産学官に広く開かれた共用の研究施設という位置付けなので、国際共同研究等にも利用されることが想定されるが、具体的な運用の在り方についてはこれからの検討となる。その場合、研究成果の取り扱い方も含め、利用者についての考え方をまとめる必要がある。

(4)事務局より、資料4に基づき、学術情報基盤の整備に関する検討について説明が行われ了承された。

(5)事務局より、資料5に基づき、本作業部会において優先して御審議いただきたい事項について説明が行われ、了承された。

 その際、当面の予定として、了承された関係者等からの意見発表、発表項目、現地訪問の実施に係る対象機関等の決定については、主査に一任された。
 その後意見交換・質疑応答が行われた。

【委員、学術調査官】
 情報基盤センターの今後の在り方についての記述もあるが、東工大や筑波大は情報基盤センターには入っていない。それらの機関についても一緒に議論するのか。

【委員、学術調査官】
 研究環境基盤部会の審議経過から判断すると、既に全国共同利用施設となっているものだけでなく、今後全国共同利用施設として運営すべきであるということが、研究者コミュニティから要望が上がり、それが認められた場合、国としてサポートするということになる。そういう意味では、現在全国共同利用施設となっているものだけではなく、これからそうなる可能性がある機関も含めて議論すればよいのではないか。

【事務局】
 最初から情報基盤センター以外の機関を排除した形での議論は考えていない。情報基盤センターには一つの位置付けがあるが、東工大も筑波大も高性能のスーパーコンピュータを保有しているので、次世代スーパーコンピュータを頂点とするネットワーク環境整備を行う際には、一緒に議論していただくことは十分に考えられる。

【委員、学術調査官】
 研究環境基盤部会では、いろいろな附置研究所についても議論している。情報基盤センターについては、情報基盤は大切だというスタンスで、研究環境基盤部会とは別に、特別に本作業部会で審議するという位置付けで良いか。

【委員、学術調査官】
 研究環境基盤部会での審議はしっかり意識しながら、本作業部会は学術情報基盤ということで議論していけば良いと思う。また、本部会での審議状況を研究環境基盤部会にも報告し、適当な時点で反映させていただくことも必要だと思う。

【委員、学術調査官】
 東工大や筑波大は規模の大きい大学なので情報基盤センターと同列に議論することは良くわかるが、それ以外の大学にも、情報処理センター等、たくさんの情報基盤を担っている組織がある。それらの組織は今後の審議の中でどのように位置付けられるのか。

【事務局】
 基本的に総合情報処理センター等の在り方を議論の対象から排除しているものではない。主たる念頭に置いていたのは情報基盤センターだが、スーパーコンピュータネットワークを実現していく上で、各大学の情報処理関係施設の役割も当然考えていく必要があると思うので、今後の議論の中で対象にしていただくことは十分考えられる。事務局としては情報基盤センターについて、当面念頭に置いてはいかがかという提案であるが、今後の議論の中で各大学の施設の在り方についても議論の対象としていただくことはあり得ると考える。

【委員、学術調査官】
 情報基盤センターは研究環境基盤という観点から見ると、大型計算機センターと呼ばれていた頃から、計算資源の共同利用という点で相当貢献してきたと思う。これから整備する次世代スーパーコンピュータとの関係において、全国共同利用という部分をどう位置づけていくかということで、情報基盤センターの今後のあり方というまとめ方をしているが、東工大、筑波大、それ以外のいろいろな可能性についても議論していただければと思う。ネットワークについては、国立大学については、補正予算でほとんど整備してきたけれども、平成13年度以降は、補正予算がつかなくなった。学術情報基盤ということから考えると、スーパーコンピュータはある意味で利用者が限定されるが、ネットワークは使わない人がいないと言って良いほど広がりをもっている。

 (6)事務局より、資料6に基づき、情報基盤センター及び学術情報ネットワークに関する基本的事項について説明が行われた。その後自由討議が行われた。

【委員、学術調査官】
 スーパーコンピュータの登録者数が全体的に減少しているように見えるが。

【委員、学術調査官】
 登録者数は基本的には減少していると思う。昔は唯一の計算資源だったから登録しないと何もできなかった。現在は個人のパソコンでできることが相当あるので、そういう意味では減少している。また、一つの課題にたくさんの研究者がぶらさがって利用していることもあると思う。

【委員、学術調査官】
 厳しい経営環境である中小規模の私立大学の現状から見ると、ネットワーク整備の有無で受験者数が変わる訳ではないので、ネットワークから離脱する大学もある。このような大学についての議論は、どこで行ったら良いのか。

【事務局】
 国としてやっていく部分、あるいは大学の自助努力を促したり、国立大学・私立大学共通の機器整備のような予算措置をどうしていくかということも含め、私立大学の学内LAN等を検討する場は本作業部会となる。

【委員、学術調査官】
 情報基盤センターをスーパーコンピュータセンターとしてみた場合、その基盤整備のあり方は、次世代スーパーコンピュータの運用の在り方と相互作用すると考えられる。したがって、次世代スーパーコンピュータの運用の在り方がどのように想定されているかによって、下層にある情報基盤センターの在り方の考えも変わるのではないか。 また、スーパーコンピュータをうまく使える人材をどのように育成していくのか。

【事務局】
 次世代スーパーコンピュータの拠点形成や人材養成や運用をどうするのかということについては、理念以上のものはこれからの議論となる。運用については、理念として、法律に基づく全国共同利用施設とすることは決まっているが、具体的なことは今後の議論である。全国のユーザの方々の意見も聞いている最中だが、本作業部会の議論も重要な意見になると思うので、ぜひ議論していただきたい。次世代スーパーコンピュータの発展に伴い、今と違った人材が、量的にも質的にも必要になると思われる。人材養成については、次世代スーパーコンピュータの人材育成拠点ができたからといって、全国に広がるスパコンユーザーの人材養成がそこだけでできるものではないし、拠点形成についても、具体的にどういう拠点にして、全国とどういった連携を図っていくのかというのも、今後の検討課題である。

【委員、学術調査官】
 情報基盤センターは、これまできちっとした研究開発機能を持つとともに、情報処理教育センターとの統合を通して教育機能も取り込んできた。またスーパーコンピュータを既に持っているのだから、次世代スーパーコンピュータのための人材育成についても本作業部会で議論した方が良いと思う。人材育成にかかるそうした教育は、実際の課題があるところで行わないと効果は出ない。したがって、どこか一ヵ所でということではなく、全国のセンターに分散した状態で行う方が良いと思う。

【委員、学術調査官】
 最近情報基盤センターではセキュリティに関する業務が負担となっている。現在、NIIで標準的なセキュリティポリシーの作成を行っているが、各大学の負担は重くなっていくことが目に見えているので、議論する場がほしい。

【委員、学術調査官】
 セキュリティにはいろいろな側面がある。例えばウィルスに侵入されたとき、大学の中では誰が面倒を見るのか。

【委員、学術調査官】
 セキュリティは、24時間迅速に対応できる体制を組むことが求められつつある。規模の大きな大学でも対応策には苦労している。小規模な大学のことを考えると、とても対応はできないのではないかと心配になってくる。このあたりについてももう少し議論する必要があると思う。

【委員、学術調査官】
 そのような内容は非常に共通性というか汎用性があるので、どこかでいい方向が得られたら、それが適用できる。ここで議論しておいた方が良いと思う。

【委員、学術調査官】
 今まで、計算機センターは資源提供という観点が非常に強かったけれども、セキュリティポリシーなどの問題が出てくると、提供するサービスの質が随分変わってきているのではないかという印象を感じる。最近は、普通のプロバイダーでも100円や200円払えばセキュリティも込みでサービスを提供していることも考えると、ネットワークサービス提供の概念や発想を変え、整理していく必要があると思う。具体的にはまだ考えがまとまっていないが、整理していただきたいと思う。

【委員、学術調査官】
 セキュリティポリシー関係のことも議論をきちんと行うことにする。

【事務局】
 どのようなサービスを提供していくかということと同時に、そのサービスに伴う経費を誰が負担するかということも考える必要がある。従来、SINETの運営に関しては、大学共同利用機関の国立情報学研究所の運営費交付金で措置してきたが、厳しい財政状況下でもあり、また、次期中期計画を策定する段階においても運営費交付金についての見直し、SINETの維持費の算定方法についても見直しがかかることが十分想定されるので、サービス全体をいかに円滑に維持し、どういう形で費用負担を含め考えていくのかということも検討していただきたいと考えている。

【委員、学術調査官】
 費用負担の問題も、本部会で議論していく必要があると思う。

(7)今回の意見を事務局にてまとめ、後日委員に確認を依頼することとなった。

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研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)