研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成17年6月28日(火曜日) 15時~17時5分

2.場所

国立情報学研究所1208会議室(学術総合センタービル12階)

3.出席者

委員

石井主査、坂内主査代理、伊賀委員、後藤委員、土屋委員、細野委員

文部科学省

 松川情報課長、柴崎学術基盤整備室長、大山学術基盤整備室室長補佐、上田情報研究推進専門官
科学官・学術調査官:
 西尾科学官、柿沼主任学術調査官、逸村学術調査官

4.議事要旨

(1)前回議事概要について、意見があれば7月1日(金曜日)までに事務局に連絡することとした。

(2)「国立大学法人及び大学共同利用機関法人における学術f情報基盤の整備に関する当面の推進方策について」(平成17年5月31日 文部科学省研究振興局情報課長)の通知について、資料2及び3に基づき、事務局から説明があった。

(3)各ワーキンググループ(以下「WG」という。)の中間報告(案)、審議状況のまとめ(案)等の検討の経過について、事務局から説明があった。

(4)コンピュータ・ネットワークWG中間報告(案)について、資料4-1、4-2に基づき、事務局及びコンピュータ・ネットワークWG主査から説明があり、意見交換・質疑応答を行った。

(○…委員、科学官、学術調査官、△…事務局。以下同じ)

○ 「2.2 情報セキュリティの確保の重要性」で扱う「情報」とは、学術情報に限定しているのか。それとも、例えば学生に関する情報等、大学で発生するその他の情報も含むのか。

○ 学術情報以外の学生情報等も含むと考えている。

○ 各大学においては、情報基盤について、事務、学務、教育、研究などがきちんと無駄なく整備されているかを見極め、バラバラにではなくトータルに見ていくことが大事である。

○ 5ページには、「コンピュータやネットワークにかかる維持・運営を考えなくてはならないものの、多くの国立大学法人等においてこれらを含めた情報戦略が未整備である」と記述されているが、「情報戦略」という言葉の範囲がよく分からない。もう少し具体例などがあったほうが分かりやすいのではないか。また、大学内ではセキュリティについていろいろな問題が起こっているので、「情報セキュリティ確保の重要性」については、もっと強調してもよいのではないか。

○ 各委員からの意見を総合すると、国立大学では法人化の作業等により、ネットワークの整備などには手が回らず、関係の費用の確保が容易ではない状況である。コンピュータやネットワーク等の情報基盤の管理・運営に人員と予算を割く必要性についての理解を得ることが大変だということであり、このために「情報戦略」が必要である。また、情報セキュリティ確保の範囲については、電子政府や電子マネーのようなものまで広げすぎると、このWGで取り扱うことが難しくなるため、基本的には学術情報ネットワークを基本としたセキュリティとしている。なお、各大学のセキュリティは個々で担わなければならないが、国立情報学研究所と全国共同利用の情報基盤センターで作られる全国共同の認証基盤を、セキュリティのひとつのモデルとして使ってもらえればよいと考えている。

○ 制度や体制よりも技術的な側面を重視した形でコンピュータやネットワークについて考えていくスタンスなのか。

○ その通りであるが、制度や体制といったものも避けて通れない部分である。

○ 15ページの「(4)国家的ライフラインとしてのネットワークの必要性」は、ここまでの文脈からすると、流れが悪いように思う。

○ 民間ネットワークをベースとした学術情報ネットワークを、緊急のライフラインに転用することについては制度としても柔軟に対応する必要がある。しかし、国として今の民間ベースインターネットをいつまでも政府情報のやり取りに使用し続けるのはよいのかという議論は出てくる。アメリカにはセキュリティを確保した政府のネットワークがある。国としてのライフラインの必要性について文部科学省が何も考えていないというのでは困ると考えて記載している。

○ ライフラインとしてのネットワークは、日本国内限定か、国際的な回線も含めて考えるのか。

○ 今のところは国内限定で考えている。

○ 学術情報ネットワークは商用のネットワークではないが、ライフラインまでにはなっていない。学術情報ネットワークとは別に、商用と独立した国のライフラインとなるネットワークが必要であるということである。

○ セキュリティの観点から専用線を確保しておくことが必要ではないか。

○ この文脈では、日本学術会議が「早急に整備する必要がある」としているので「ネットワークの整備が望まれる。」という論理になっているように読める。「整備に関する検討が必要である」という記述でよいのではないか。

○ ネットワークが国家的ライフラインとしてきちんと役割を果たせるようにする必要は、災害時だけにある訳ではなく、日本学術会議勧告だけを取り上げる必要はないのではないか。

○ 13~14ページの人材育成については、教員と技術職員の人材育成を分けて記述している。技術職員から教員になるようなキャリアパスも有り得るはずであり、キャリアパスの柔軟性についてはどう考えるべきか。

○ 流動性を阻害することを考えているわけではなく、硬直化しているような印象があるならば、修正する必要がある。

○ 大学図書館でも同様であるが、技術職員という限定の中でキャリアパスを考えることは、狭い印象を受ける。分野や取得学位を超えた融合性や流動性が必要である。

○ 13ページ「3.2(1)(ウ)人材の評価」についても、その趣旨を踏まえて修正する必要がある。

○ 13ページ「3.1(2)(ウ)認証基盤の構築」に、「全国共同電子認証基盤構築」とあるが、各大学単位での認証基盤の整備はどう考えるのか。

○ 大学個々のレベルでの整備が進んでいる段階であるが、同時に大学間も整合性の取れた認証システムを考えていかないといけない。そのような活動を7大学情報基盤センター等でスタートすることを念頭に置いている。

○ 個々の大学についての記述があってもよいのではないか。

○ 全国の認証基盤の整備に関しては、個々の大学のシステムと大学間の認証システムを平行してやっていくということであり、個々の大学で、それぞれのポリシーによって異なるシステムを入れることは当然許容される。

○ 一つの巨大な認証システムを作るわけではなく、個々の大学の認証を組み合わせて連携させる認証システムにするということである。

○ そのことが明確になるよう記述する必要があるのではないか。

○ ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)を、これからの学術情報基盤の問題としてどのように考えていくのかという戦略が必要である。地球シュミレータの後継として世界最高水準の次世代スパコンを作ることが基本計画特別委員会の「第3期科学技術計画の重要政策(中間とりまとめ)」に記載されており、総合科学技術会議の「平成18年度の科学技術に関する予算、人事等の資源配分の方針」においても、国の発展の基幹としての科学技術の1つとして記載されている。そのような動きと大学のHPCの問題は、別の次元の話なのか。それともこの作業部会として関心を持つべき問題なのか。

○ それは密にタイアップすべき話である。世界最高水準を目指すナショナル・リーディング・スーパーコンピュータ(以下、「スパコン」)と、高度ライフラインスパコンとして各大学や研究拠点に配置される相当の力を持ったスパコン、ソフトウェア、データベースを整備する必要があり、この2つを国が整備していく必要がある。過去にも、最先端のものと、先端的だがやや一般的なものがタイアップしていくという図式がある。各大学においては、さまざまな研究が計算科学に依存することが多くなるし、グリッドで機関や分野を超えて連携する武器として不可欠になっている。こうした高度ライフライン・インフラとしてのスパコンは必要である。また、日本に1台か2台しかないナショナル・リーディング・スパコンも、各機関が共用できるようなメカニズムを持つというのが我が国のあるべき姿ではないか。

○ ライフラインとすることで道が開けてくるだろうが、大学に対して資源配分が可能なのかが問題である。

○ 現実問題としてはナショナル・リーディング・スパコンとのタイアップが重要であると強調する必要がある。

○ 開発のコンセプトとして、我が国の最先端学術情報基盤を構築するという大きな計画の一環であるという主張をする必要はないか。開発の基本的な理念に係わる問題だが、常に世界一を競って巨額の予算が一つの設備のために繰り返し投入されるのではないかという心配がある。そのようなスパコン作りと連携することによって周囲のコンピュータの性能がHPCとして飛躍的に向上できるような思想があるべきではないか。

○ 中間報告(案)では、各大学等には、速いだけではなく使いやすい高性能のスパコンが必要であることは言っている。ナショナル・リーディング・スパコンとの仕分けについての議論はどこかで必要であろう。

○ ナショナル・リーディング・スパコンの開発と連動して、HPCをさらに向上させていくというリンケージがあるとよい。

○ 日本製スパコンが世界のスパコンランキングの最高4位でしかないことが世論としてかもし出されていることはよいことであるが、単なるスピード競争では莫大な予算を投じた結果、何が残るのかという議論になる。
 青少年に夢を与えるというのが目的の一つであり、また、今日のスパコンのアーキテクチャが、明日のパソコンのアーキテクチャになるというように、ナショナル・リーディング・スパコンの汎用的な設計アーキテクチャによって、大学等のHPCのアーキテクチャが同時に考えられていくというスタンスで、投入資金がうまく生かされていくというシナリオを作っていく必要がある。

○ これは、この作業部会のミッションを超えることになるか。

△ 科学技術・学術審議会では、研究計画・評価分科会情報科学技術委員会の下の計算科学技術推進ワーキンググループで、ナショナル・リーディング・スパコンについて検討しているところである。

○ 例えば、トップ10に入るような巨大なスパコンが1つだけあるというのではなく、3、4個がネットワークで繋がっているというのがよいのではないか。世界一を目指すために巨額の予算を投じることが続くようだと、他の分野が枯れてしまう懸念がある。計算科学技術推進ワーキンググループでも、何のために作るのかの議論をお願いしたい。

○ 世界トップクラスの巨大な設備が1つだけあるが故に、裾野が枯れてしまうという懸念があるとの指摘もある。

○ 例えば、東北大のスパコンは、スピード以外の省エネや使い勝手について非常に高い評価を得ている。そのような意味での、本当に使えるものを指標にしたHPCのトップを大学のコンピュータセンターは目指すべきであろう。

○ HPCの在り方については、そのような多元的な尺度について記述すべきではないか。

(5)大学図書館等WG中間報告案について、資料5-1、5-2に基づき、事務局及び大学図書館等WG主査から説明があり、意見交換・質疑応答を行った。

○ 今後、大学の説明責任の履行という観点から、知的生産物を社会に提示していく役割を大学図書館に持たせていくときに、どこに何があるかを分かりやすくすることが大事である。1990年代に、多く研究成果や資料等が電子化されたが、現在その大半の所在がわからなくなっている。7ページ以降の「3.緊急の対応が必要な事項」の中で、メタデータを取りまとめて連携させるということの重要性を指摘したほうがよいのではないか。

○ 大学の社会的責任の問題として、どこかにきちんと書く必要がある。「利用者ニーズ」に関して、大学が何をしているのか興味のある人に対する社会的な責任についても記述する必要があるのではないか。

○ 「3.(5)大学図書館と地域・社会との連携の推進」に納税者への責任として書いてはどうか。

○ ここは「(ア)地域社会への貢献」、「(イ)大学の学術情報発信拠点としての図書館」となっているが、後者の方が比重が大きいので、順番を入れ替えてはどうか。

○ 納税者への説明責任について新たに(ア)として書き、(イ)はこのままで、今の(ア)を(ウ)にしてはどうか。

○ 内容的には、「3.(4)大学図書館間連携の一層の推進」にあるNIIのNACSIS-CAT/ILLのことになるのではないか。

○ 3.(4)は大学間連携についての記述である。「3.(5)大学図書館と地域・社会との連携の推進」に(ア)として入れ、10ページの検討課題の「機関リポジトリ」を導き出すようにしてはどうか。

○ 機関リポジトリの重要性が指摘されているが、その実現の方向については記載されていないのではないか。各大学が重要性を認識し、NIIとの連携で実現を推進すべきであるという趣旨の記述をした方がよい。

○ 機関リポジトリの具体的な推進方策は今後の検討課題としており、ここでは伏線としておきたい。

○ 8ページ「3.(3)大学図書館における基盤設備の整備の必要性」は、分量が少な過ぎて脈絡がなく少し唐突に現れたように見える。

○ 2ページ「1.(1)大学図書館の基本的な役割」には、大学図書館の「新たな役割」とあるが、情報の発信、収集、電子化といった巨額の予算がないと不可能なことが書かれているような印象を受ける。目録の遡及入力も十分には進んでおらず、原資料の電子化はまだ先の話ではないか。

○ 学術資料の電子化は、いろいろな要因があるが、ここ1~2年で加速しており、欧米のイニシアチブで行われているものが多い。欧米は、日本語資料の電子化にも手を伸ばそうとしており、さらには中国も視野に入れている。確かに多額の経費が必要であり、簡単ではないが、方向性としては、それらの推進が必要な時期ではないか。同時に、国立大学の法人化を含む高等教育改革の中で、本来大学図書館の果たすべき役割を確認しなければならない。

○ 大学図書館はユーザーの要求が今のところ厳しくない。学生は、図書館に対してまず居心地のよいスペースを望む。しかし、ある大学の法科大学院の図書館の自習室を見学したことがあるが、学生の約1/4くらいが日曜日に勉強をしており、図書館は24時間開いていた。そのような環境に置かれた学生は、さらにいろいろな要求をするようになっていく。

○ 金沢工業大学の図書館に行ったことがあるが、居心地が大変よく、学生が図書館に来たら、つい本を読んでしまうような環境を提供しているとのことだった。現在はかなり評価の高い大学になっている。図書館が大学の魅力を増す手立てになっているのではないか。

○ 「電子化への積極的な対応」ということになると、学生や研究者が電子化された情報にどのように対応していくかが問題になる。「情報リテラシー教育の推進」が、「4.今後更に検討を進めるべき課題」に入っているが、「2.大学図書館を取り巻く課題」で、電子化資料を積極的に利用させるような体制についても述べた方がよいのではないか。

○ 6ページ「2.(5)(イ)情報リテラシー教育の位置付けが不明確」に、問題点の指摘として記載されている。

○ 学術情報基盤としてのネットワーク、学術情報基盤としての大学図書館を考えると、どちらも教育的な側面の記述が少ないように見受けられる。図書館については、あらゆるところで教育についての記述があれば、学内での理解が得られやすいのではないか。

○ 「2.(5)(イ)情報リテラシー教育の位置付けが不明確」において、「多くの大学で行われている情報リテラシー教育は教養教育及び各専門分野における教育との連携が不十分であり」となっており、「3.(1)学内理解の必要性」で教育との連携強化について書いてはどうか。

○ 電子化への積極的な対応として、電子化にはかなりウェイトを置いているので、積極的な対応をするためには利用者教育が必要とする論理でもおかしくない。

○ 課題の中で大きなものとして、YahooやGoogleといった商業データベースが大きな競争相手となるはずであり、それらの使用は、図書館に行く必要性を少なくする可能性がある。そのあたりについて触れる必要はないか。

○ それらは無料で利用できるので、商業的な競争相手として対抗するのではなく、どのように共存していくか、という方向で考える必要があるのではないか。

△ 3ページ「1.(2)(イ)電子化の新たな波」に、YahooやGoogle等の検索エンジンについての記載がある。また、「4.(1)(オ)電子化の新たな波への対応」という項目があり、今後更に検討を進めていくことになっている。

○ 結局は、教育の問題である。Googleの検索結果を貼り付けたレポートを提出することが常態化しているが、それでは、問題の背景については何も答えられなくなってしまう。やはり図書館に行って調べなければならない、ということ教えることが大事である。

(6)学術情報発信WGの審議状況のまとめ(案)について、資料6-1、6-2に基づき、事務局及び学術情報発信WG主査からの説明の後、意見交換・質疑応答を行った。

○ 我が国の学術情報の発信母体としては大学と学会があるが、発信の在り方を考えるには、役割分担を考えるとよいのではないか。例えば、機関リポジトリについては、学会とのすり合わせが必要であるが、まだ役割分担ができていないのではないか。また、情報発信に係わる問題点の1つとしてあげられているインパクトファクターの捉え方や情報発信を支援する施策も、大学と学会とでは違うのではないか。

○ 役割分担は明確にしたい。しかし、大学の研究者は、ほとんどがどこかの学会の構成員でもあり、学術雑誌を購入する側である大学の立場になったときと学会の立場になったときとでは、同じ人なのに考え方が違ってくる。

○ 学会関係者、研究者、大学図書館関係者の考えている学術情報流通は、同じ言葉を使用し、同じ土俵で議論しているようでも、やはり捉え方が違うので、資料6-2の「学術情報流通をめぐる概念相関図」が必要となった。

○ 資料6-2「(6)わが国における学術情報流通」において、「他国に例を見ない直接的雑誌刊行助成」の矢印の位置が、民間助成団体・民間研究組織から出ているように見えるので修正すべきである。また、「他国に例を見ない国による電子ジャーナル化支援」と刊行助成は、本来は一体化していく方向にあるべきものであるが、分かれてしまっているので修正すべきである。

○ 前者については修正する。後者については紙上で表現するのは非常に難しい。

○ 日本学術振興会では科学研究費補助金研究成果公開促進費の中で電子ジャーナルのアーカイブの支援を行っており、科学技術振興機構(JST)もアーカイビング事業を開始した。これらとNIIのアーカイブを合わせると、近い将来日本のほとんどの学術雑誌は電子化される方向になるのではないか。

○ 資料6-1の3ページ「電子化への対応」で、我が国の学術雑誌の電子化について「1学協会単独で行う独自路線、1J-STAGE等を利用する国内提携路線、1電子ジャーナルを海外出版者に任せる海外提携路線、1海外出版者に電子ジャーナル以外もすべて任せる海外委託路線」の4類型を挙げている。例としては、1は物理系学術誌刊行協会(IPAP)、1は日本化学会などがある。

○ J-STAGEを利用する電子ジャーナルの発行機能と、アーカイビングの電子化機能は別なので、アーカイビングを含めて広く考えてはどうか。電子ジャーナルの発行を支援するJ-STAGEとは別に、日本学術振興会、NII、JSTがそれぞれアーカイビング事業を進めており、それらが連携して例えばJ-STAGE上で情報発信の強力なツールになっていくのではないかというのが私のイメージである。

○ 海外出版者に電子ジャーナル化を任せる方が、読者からはよく見られるというのが現状である。学術情報発信ワーキンググループでは、1、1ではなく1、1でやっていくのが方向性であるが、1、1はほとんどビジネスモデルがなく、国からの支援がないと続かず、学会の自立性が問題となる。

○ 1が基本だと思うが、小さい学会や電子化に疎い学会にはスタートアップの支援は必要である。むしろアーカイビングの方に経費が必要なのではないか。

○ 1、1のように、電子ジャーナルを海外出版者に任せて何が悪いのか、海外出版者を上手に利用して、雑誌を出版し利益が戻ってくる仕組みでよいのではないかという意見もある。お金の使い方としては説得力があり、必ずしも国産路線を堅持しなければならないということではない。今後、議論していきたい。

○ オープンアクセスが進んだ場合のビジネスモデルがどうなるかを示して欲しい。

○ ビジネスモデルについては、まだ明確なことを言える段階ではない。

○ 公的支援の対象は、冊子体刊行から電子化支援に移っていくのではないか。

○ 電子化支援ならば、冊子体の支援より多くの雑誌の支援ができるのではないか。

○ 科学研究費補助金の研究成果公開促進費は雑誌刊行の支援をしているが、論文発表を新たな研究費を得るための投資と捉えれば、研究者は論文を出すための経費を出さなくてはいけないのではないか。

○ 科学研究費補助金については、「4.今後、さらに調査検討すべき事項」の中に「科学研究費補助金による効果と問題点」という項目を設けており、今後検討する予定である。

○ 資料6-2の「学術情報流通をめぐる概念相関図」において、電子ジャーナルプラットフォームと機関リポジトリが離れて置いてあるのは意味があるか。

○ 特別な意味はない。機関リポジトリを既存のシステムの中にどのように組み込むかは次のステップであり、まだ将来像が描かれていない。

○ 「他国に例を見ない直接的雑誌刊行助成」とあるが、シンガポールでは商業出版の学術雑誌に国が助成していたと記憶している。学協会を作るときも、マッチングファンドで国から予算が措置されたと記憶している。

○ 他の先進諸国との比較である。

○ 学会事務局がどういう戦略を立てるかが問題である。規模の大きな学会は、専任の理事や事務局を置いており、運営体制がしっかりしていて自ら考えることができるが、規模の小さい学会や電子化の戦略が立てにくい学会はそうはいかないので、そういうところに対して参考になるような事例などを出して、情報共有を図ってはどうか。

○ 質が高ければ規模の小さな学会の方が商業出版者のサービスがよいということがあるようである。先ほどの4類型は現状であり、今後どう進むべきかは未定である。

(7)「学術情報基盤としてのコンピュータ及びネットワークの今後の整備の在り方について(中間報告)(案)」、「学術情報基盤としての大学図書館等の今後の整備の在り方について(中間報告)(案)」及び「我が国の学術情報発信に関するこれまでの審議状況のまとめ(案)」は、今回の議論を踏まえ修正することとされ、修正は主査に一任された。また、各WGの中間報告(案)または審議状況のまとめ(案)は、それぞれ学術情報基盤作業部会の中間報告または審議状況のまとめとすることが了承された。なお、これらの中間報告及び審議状況のまとめは、7月1日(金曜日)に開催される研究環境基盤作業部会に報告することとされた。

(8)次回開催については、各WGの今後の審議状況を勘案しながら決定することとされた。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)