令和8年4月22日(水曜日)10時00分~12時00分
文部科学省内会議室及びオンライン
(部会長)千葉一裕委員
(部会長代理)大野英男委員
(委員)浅井清文委員、荒金久美委員、小野悠委員、河原林健一委員、新福洋子委員、関谷毅委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員
(事務局) 柿田文部科学審、淵上研究振興局長、松浦大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当)、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、生田大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、俵科学技術・学術総括官、国分産業連携・地域振興課長、石田大学研究基盤整備課長、神部大学研究力強化室長 他
経済産業省イノベーション・環境局大学連携推進室川上悟史室長、慶應義塾伊藤公平塾長、Aero Edge株式会社水田和裕取締役兼執行役員COO/CTO
【神部室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回大学研究力強化部会を開催いたします。
御多忙の中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日はハイブリッドでの開催となっております。委員の皆様におかれましては、音声をミュートに、映像は可能な限りオンにしていただき、質疑応答の際は挙手ボタンを押すか、画面内で確認できるように挙手いただき、部会長に指名された方のみミュートを解除し、御発言をお願いいたします。本日は、事前に登録いただきました方に動画を公開しておりますので、御承知おきください。
以上でございます。
【千葉部会長】 部会長の千葉でございます。本日は、よろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。まず、事務局より説明をお願いします。
【神部室長】 事務局より本日の部会に先立ちまして、これまでの議論の経緯などを説明いたします。資料1-1を御覧ください。1ページ目でございます。これまで本部会を6回開催しておりますが、第3回、第4回にて研究大学群に関する新たな支援策の在り方や方向性を示しているところでございます。この内容につきましては、参考になりますが、ページ番号5を御覧ください。第3回の部会の資料となりますが、この資料の背景にありますように、科学の重要性が格段と高まる中、我が国の国際的な優位性が相対的に低下傾向にございます。そういった中、科学の再興の実現が喫緊の課題となっており、これに対しまして我が国全体で、多様で厚みのある研究大学群を形成し、研究力を最大化することが求められております。
それを踏まえまして、資料の下部にございますが、我が国の研究大学や研究者の特色を探究し、連携・協働を促進する仕組みや特色を強み・勝ち筋として引き出し、社会・経済・学術への貢献へとつなげること。もしくは民間企業からの研究開発投資を促しつつ、研究大学での人材育成や地域特性を生かした研究・社会貢献等の機能強化を促進すること、こういったことにつきまして、必要な方策の議論を深めることとなってございます。
また、ページ番号9を御覧ください。こちらは大学研究力強化に向けた施策の全体像を整理したものでございます。こちらの上段に書いてございますとおり、国際卓越研究大学やJ-PEAKSに加え、高い研究力を持つ大学を我が国の成長の中心として世界で存在感を示し、将来的には世界と伍する研究大学へと発展させるべく、必要な方策を検討する必要があると示されております。
この資料の上の図のところにもございますが、国際卓越研究大学とJ-PEAKSの間に赤の丸がございます。この我が国の成長の中心として、世界で存在感を示す研究大学へ発展させるための支援施策として、大学が果たしてきた役割や強みをさらに伸長させ、我が国の成長の中心として発展すること。高い研究力を基に、我が国の研究力強化とイノベーション創出を牽引すること、こういった観点が挙げられてございます。
ページ番号1にお戻りください。第3回、第4回の部会で示されたところを踏まえまして、これまで第5回、第6回と本部会でヒアリングを行ってきたところでございます。今回は第7回ということでございますが、私立大学が進める研究力強化の取組と今後の発展・社会変革を牽引するリーダーの育成という観点で、慶應義塾大学の伊藤塾長より御説明をいただきます。また、先端知を実社会につなげる人材育成という観点で、AeroEdge株式会社の水田CTOより御説明をいただきます。
また、経産省と文科省が合同で研究会を設置しまして、先日、中間取りまとめを公表してございます。この研究会では、世界で競い成長する大学を目指す者が、その実力を発揮できる自由で柔軟な経営環境の実現に向けて、改善が必要な論点を特定し、ルール整備やノウハウ共有、環境整備等につなげていくことを目的に議論されております。本部会とも非常に密接するものでございますので、本日は経済産業省の大学連携推進室の川上室長より御説明をいただく予定となってございます。
ページ番号3を御覧ください。こちらは本日、伊藤塾長及び水田CTOより御説明いただくに当たりまして、事務局で論点を例示しているものでございます。これはあくまで例示でございますが、例えば伊藤塾長の御説明に関しましては、研究力強化のために必要となる体制や組織、リーダーの育成、ガバナンスといった観点、水田CTOの御説明に関しましては、新たな知と市場をつなぐために求められる人材像やその育成、こういったことに関しまして御議論を通じて、今後の支援策に向けた御示唆をいただければと考えております。もちろん、これに限らず、委員の皆様におかれましては、闊達な御議論をいただければと考えております。
事務局からの説明は以上となります。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
それでは、続いて世界で競い成長する大学経営に関する研究会中間まとめについて、経済産業省イノベーション・環境局大学連携推進室の川上室長より御説明をお願いします。
【経済産業省(川上)】 おはようございます。経済産業省大学連携推進室の川上でございます。よろしくお願いいたします。
世界で競い成長する大学経営の在り方に関する研究会、3月に取りまとめをさせていただいておりますので、その御説明ということですが、冒頭なのですけれども、文科省の部会で経産省の人間がプレゼンするってなかなかあまりないことなのですが、実はこの研究会の取りまとめについて、経産省の審議会でもプレゼン、これは文科省からもプレゼンいただいていることで、最近だと私も中央教育審議会の部会でプレゼンさせていただいて、いつになく、これまでになく文科省、経産省が連携してやらせていただく、その象徴として、これは国分課長から御説明いただいても全く問題ないのですけれども、今日は両省連携の象徴として私のほうからプレゼンをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
2ページ、お願いします。目指すべき方向性でございます。文字ばっかりで恐縮なのですけれども、簡単にですが、科学とビジネスがまさに今近接している時代というふうに我々、捉えていまして、こうしたところで経済の競争力の観点から、まさに経産省が入る意味がここにあるのですけれども、世界で競い成長する大学が国内に一定数、存在することが重要ではないか。そうした大学というのは、2でございますけれども、世界的に高く評価される高度で多様な研究力をしっかり持っている。そして、教育力を持つ、これが大前提でありまして、イノベーションの源となり得る大学、そして必要な資金や資源を主体的に獲得して成長していく、そのためのガバナンスを備えた経営をしているということでございます。研究会ではアメリカのトップ大学をベンチマークさせていただいておりますが、内容については後ほど御紹介します。
その前提として大学の創意工夫や学長のリーダーシップ、そういったところを生かしながら、日本の複数の大学が世界のトップ大学の一角を成すことを目指していくべきではないか。そのために4でございますけれども、世界トップ大学と同等の自由で柔軟な経営環境を提供していくことが必要ではないかという問題意識で議論を進めさせていただいております。
3ページ、お願いします。これが研究会の概要でございますけれども、開催実績としては、去年の9月から5回を数えまして、3月25日に中間取りまとめの議論をいただいたということでございます。右側、座長は大野先生にお願いさせていただきまして、メンバーは、ここに書いていらっしゃる皆様ですけれども、立命館の野口理事にも御参画をいただいたというところでございます。事務局は文科省の高等教育局、科学技術・学術政策局、そして経産省のイノベーション・環境局ということで、3局で各回、3局長出席の下、開催したというところでございます。
4ページ、お願いします。これはアカデミアの皆さんには大変恐縮なものが並んでくるわけですけれども、世界のトップ大学と比べてということで、財務的にトップ大学、大きく成長しているということでございます。イギリス、アメリカ、これは私学に限らず、真ん中辺り、カリフォルニア大学とありますけれども、州立大学も大幅に収入を成長させているということでございますけれども、日本の大学は成長されているのですけれども、その率は高くないということでございます。
5ページ、お願いします。その背景、これは産学連携だけ取っているんですけれども、左の棒グラフ、額自体は非常に伸びているのですけれども、真ん中ですけれども、300万円未満のものが8割ということで、小型のものが多いということでございます。右側、企業からの投資も少ないという現状を示させていただいています。
6ページ、お願いします。他方で、グローバルの大学、企業の大型連携というのが諸外国を含め、日本も含めて進んできていまして、かなり巨額のものが出てきているという現状でございます。
7ページ、お願いします。日本においてもということで、左が大阪大学のIFReCという、これは坂口先生、ノーベル賞を取られた先生が所属しているところですけれども、10年100億、右側、筑波大学ですけれども、Amazon、NVIDIAと2,500万ドルということで、かなり大型のものも今、日本でも出てきているというふうな良い傾向を示させていただいています。
8ページ、お願いします。他方、すみません、これも大変恐縮なのですけれども、研究力というところを見ると、トップ大学と比べるとトップ10%、1%、囲っていますけれども、少し劣後している状況ということと、あと、右側、アジア・オセアニアで見てもかなりほかの国が伸びているのに対して日本は横ばい、あるいは少し微減というふうな状況にあるということでございます。
9ページ、お願いします。その背景でございますけれども、大規模国立大学の収入、増やしていただいているのですけれども、左下、東京大学を取っていますけれども、人件費の割合が下がってきているということでございます。右側、その結果として教員の研究活動に充てる時間、この割合が減ってきているということでございまして、その背景として右下ですけれども、それをサポートする人材、ここがトップ大学と見劣りしているということで、大変、釈迦に説法でございますが、そういった分析をさせていただいています。
10ページ、お願いします。海外大学をベンチマークするということで、時間の関係もあるので全て御紹介できないのですけれども、バークレー、ペンシルベニア、MIT、ケンブリッジ、NUS、いろいろと調査させていただいて、検討に供したということでございます。
11ページ、お願いします。その中でバークレーです。これ、収入が飛躍的に伸びたというふうな説明を先ほど申し上げましたけれども、州からの収入というのはあんまり増えていません。企業から、あるいは寄附金、こういったところでしっかり取るための制度改正、そして改革を不断に取り組んできたというところでございます。
12ページ、お願いします。ペンシルベニアです。2013年からライセンス収入、知財の収入を最大化するための戦略を策定して、かなり前から準備をして、コロナがあったわけですが、その前にmRNAのライセンスを戦略的にスタートアップに付与し、それを大企業に展開するというモデルを作って、結果として巨額のライセンス収入を取ったという事例がございます。
13ページ、お願いします。MITは政府、大企業と研究所を設けて巨額の金額を投資してもらって、収入を得ているというふうな形で成長されています。
14ページ、お願いします。台湾です。これは大学単体と言うよりはエコシステムみたいな話なのですけれども、台湾のITRIというところ、これは日本で言う産総研ですけれども、ITRI発ベンチャーであったTSMC、ここが新竹というところに一緒に立地しておりまして、その周りに清華大学、陽明交通大学、各大学、企業、国研の研究者が自由に行き来するような状況を作って、半導体の世界一の大クラスターを形成しているというふうな事例でございます。
こういった海外の事例も検討しながら検討を進めてきたということでございまして、15ページ、お願いします。政府全体でどういう議論がなされているかという御紹介になるのですけれども、総理の発言を2つ並べています。上が総合科学技術・イノベーション会議、下が年明け、総理の施政方針演説ですけれども、ここでキーワードとして出ているのが、「新技術立国」を実現しますということです。下の施政方針演説でも「新技術立国」という言葉があるのですけれども、大学改革を進め、科学技術の基盤を強化する、そういった発言があるということです。
これを踏まえて次のページです。新技術立国というものをどういうふうにつくっていくのかという議論です。
16ページ、お願いします。新技術立国については、経産省の産業構造審議会で議論させていただきまして、論点1から5まであるのですけれども、その論点4です。ここに産業競争力・研究力中核大学群の形成というのを位置づけておりまして、この新技術立国の一角を成す概念としてこの大学群をつくっていくということでありまして、まさにこの大学群の議論を、具体的な議論をこの研究会で進めてきたということでございます。
17ページ、お願いします。研究会の話に戻りまして、こうした政府全体の動き、そしてその研究会での議論を踏まえて2つの方向性を示させていただいています。1つ目が、1が新たな研究大学群の形成、2が世界トップ大学と同等の柔軟な経営環境の実現ということでございます。
18ページ、お願いします。1つ目でございますけれども、これは先ほど神部室長からも御説明がありましたけれども、大学のガバナンス改革とセットで我が国の成長の中心として、世界で存在感を示す研究大学を形成していくべきではないかというふうなことで議論を進めてきたというところでございます。
19ページ、お願いします。具体的なイメージです。今、国際卓越研究大学とJ-PEAKSという大学群があるわけですけれども、これに加えて右側の右下、新たな大学群ということでございます。イメージとしては新技術立国の核となる高い研究力を有し、産業競争力強化に貢献する。ここの部分で経産省も議論に参画させていただいているというところでございます。パターンとしては、産学融合型グローバルを目指していくようなものとか、人材育成、あと、高度なアカデミック連合を形成するようなもの、そういったものを大学群の中で構成していくということでございまして、ポイントは上にありますけれども、大学の経営改革もセットでやっていただくということで、研究力、人材のイメージ、そして経営力、社会実装、成長、国際性ということで、求められることということで研究会で御議論いただいて、整理をさせていただいております。
20ページ、お願いします。この大学群を形成した上で、三位一体で取組を進めていこうということでございます。まず左下、これは制度環境整備、これは政府のほうでしっかりと制度環境を整備していくということ。右下、先ほど申し上げましたとおり、ここの大学群をなす大学の皆さんには経営改革をしっかりと進めていただく。これは国際卓越研究大学に準ずるような形で、国際卓越研究大学ほどではないかもしれませんけれども、経営改革を求めている。その上で支援措置、これは2つ考えておりまして、下から申し上げますと、割と自由度の高い、横の予算と我々は呼んでいますけれども、交付金に準じたような大学の機能を強化するような予算、これは文科省で追求いただく。そして、上です。これがポイントになるのですけれども、分野ごとの支援ということで、今、17分野、政府挙げてやっていくということでございますので、縦の予算と我々は呼んでいますけれども、分野ごとに大学に使っていただくような予算、これは経産省で追求していくということで、今、議論を進めさせていただいているというところでございます。
21ページ目、お願いします。2のところです。自由で世界トップ大学の柔軟な経営環境というところです。この大学群の議論に時間を取られまして、ここが道半ばということで手つかずになってしまいまして、これは今年度にいっぱい検討するということで、大学経営ガイドラインというものを作るべく、今の制度でやり得る大学改革、大学経営の在り方とか、そういったことをまとめていきたいと考えてございます。
23ページ、お願いします。以上がこの研究会の概略でございますが、すみません、参考資料として、今、我々経産省で進めている政策の御紹介をさせていただいております。研究開発税制です。これは昨年の末に税制改正大綱をまとめていただきまして、戦略技術領域型というものです。これは事業者が戦略領域を設定して認定を受ければ、研究費の40%を控除するという非常に強力な制度でありまして、これと併せて政府が大学の拠点を認定する。認定したところと共同研究する場合、50%、税額控除できるということで、企業版ふるさと納税って非常に話題になりますけれども、あれが60%なので、50%控除ということなので非常に強力なものを創設させていただいたということでございます。
24ページ、お願いします。大学拠点の認定のイメージ、ここに書かせていただいております。この認定のスキーム自体、今、産業技術力強化法改正案を国会に提出させていただきまして、これから審議に入っていただくところでございます。
25ページ、お願いします。もう一つ、契約学科というものも我々のほうで構想させていただきました。ここに書いてありますとおり、産学が協力して設置する学位の授与を伴うような教育プログラムということで、まさに教育のところの産学連携というのを進めるような仕組みも今作らせていただいております。これは、基本的には設置審とか学位の出し方、この辺りは今までどおり文科省の制度の下でやっていただくのですけれども、企業がお金を出すところをしっかりと支援するということで、一番下にありますけれども、NEDOのほうで補助金を作らせていただいて、今まさに公募期間中でございますけれども、今年だけではなくて、毎年当初予算も使いながら支援をしていく仕組みを作らせていただいております。
最後、我々の政策の方向性、示させていただきましたけれども、今後の文科省と経産省の連携の在り方ですけれども、経産省、イノベーション小委員会、産業構造審議会の下にありますけれども、その下にワーキンググループを作りまして、そして、これは文科省でも議論いただいていますけれども、文科省の審議会の下にワーキンググループを作っていただくべく、今、検討、調整を進めていただいておりますけれども、両省のワーキンググループを作って一緒に議論を進めていきたい。今までは研究会でやってきたわけですけれども、審議会の中で両省、連携した形でやっていくということで検討を進めていくということを、今、調整を進めているところでございます。
すみません、駆け足になりましたけれども、私からの説明は以上でございます。ありがとうございます。
【千葉部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、続けて本研究会の共同事務局を務めていた文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課の国分課長から御発言をお願いします。
【国分課長】 産業連携・地域振興課長の国分です。よろしくお願いします。
今、川上室長から説明があったとおり、去年の秋ぐらいからずっと続けて、こういった検討を両省で行ってきたところでございます。文部科学省は、従来から大学の研究力強化という観点も含めて産業連携をやってきていますが、今回、「科学とビジネスの近接化」という状況が両省をつなぐキーワードになってきたのかなと思っています。この状況認識は、第7期の科学技術・イノベーション基本計画にも反映されていますけれども、特にAIやDXの進展もあって科学とビジネスがより近接化してきているということを前提にすると、産学連携から得られる新しい知、資金、人材の流動性がより高まってきているのではないかという背景がございました。
この中で、より産業界にも貢献する形で、そして自らの研究力も強化していく形で、両方取っていくような研究大学というのを生み出していくということができるのではないかという発想で、文科省の部会でも議論を続けてきて、両省で共催してきているこの研究会でも議論を続けてきてというふうにやってきたところです。そういったものの1つの表れが、今、川上室長から御説明いただいた内容だと思っていまして、こういったことを引き続き続けて、より大学全体の研究力強化や研究大学群の形成を図っていきたいと思っていますし、成長戦略の検討にも貢献していきたいと思っています。
以上です。
【千葉部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、これまでの説明に対して御質問ある方は少しお受けする時間を取りたいと思いますが、いかがでしょうか。オンラインの方は挙手ボタンでお願いします。野口委員、どうぞ。
【野口委員】 説明、ありがとうございました。私からは川上室長に質問があります。この研究会に経済産業省が深くにコミットをしている1つの大きな理由は、産業界からの投資を呼び込むというのが1つの大きなミッションだとも思っています。また、そういった意味では海外調査でUCバークレーの公的資金の依存度が約半分になっており、逆に産業界からの受入れが数倍にもなっているという事例を挙げているのは、まさに産業界からの投資の呼び込みの象徴の大学をベンチマークすべきものだというメッセージと私は思っています。
第7期科学技術・イノベーション基本計画でも官民の研究開発投資の拡充ということで、政府目標が5年で60兆円。官民目標が同5年で180兆円ということで、官民目標の180兆円から政府目標の60兆円引くと産業界からの資金流入が120兆円。6期のときは実質この産業界からの流入額が75兆円ぐらい来ていたと思うのですけれども、今回、120兆円ということだと1.6倍になります。かなり大きな産業界からの流入を考えなければならないと思うのですが、これを1.6倍にするために、今何が大きなネックで、どのような施策が必要かという、今お考えになられているところで結構ですので、御意見をいただければなと思いました。
以上です。
【千葉部会長】 では、川上室長、よろしくお願いします。
【経済産業省(川上)】 ありがとうございます。お世話になっています。非常に難しい質問をいただきまして、ありがとうございます。官民で研究開発投資を大きくしていくということ、まず民から行きますと、これまで日本企業の研究開発投資というのは、ざっくり言うと売上高×何%ということで意思決定してきた、そういうふうな慣行があるのですけれども、ここを打破しないと、これからの時代、まさに科学とビジネスが近接化している時代、GAFAがサイエンスに巨額の投資をしてきている時代では追いつけないということで、ここの意識を変えていかないといけないということで、我々、経産省としても経団連さんと協力しながら、この辺りはいろいろと政策を考えていきたいというところでございます。これが民の話ですね。
官の話、これは大学の研究費ということで、これは文科省の領域になりますけれども、まさに科研費を大幅に増やすとか、あと運営費交付金も非常に今、文科省が力を入れられていて増額されています。こういった動きをしっかりとやっていただくということで、官の投資というのも増やしていくというふうなところでございます。
もう一つ、この研究会との関係で言いますと、民から大学への投資、ここを増やしていくというのはまさに眼目というか、メインで議論してきたところでございますけれども、1つは、大学のほうで民間の資金をしっかりと受け止めていただく、経営をしていただくということで、これが、すみません、積み残しになってきましたけれども、大学経営ガイドラインで整理していきたいと考えています。海外の大学と日本の大学で共同研究の単価が違うというのは、先ほどデータを見ていただいたのですけれども、大きな違いは、海外では人件費をしっかり取っているということに起因します。海外では、教員の人件費、そしてRA、そこに参画する学生の人件費、しっかりと企業から取っている。他方、日本の大学ではこの部分を企業から取っていない場合が多いので、産学連携をやればやるほど疲弊していくみたいなことがあります。ここは経営の課題でもありますので、しっかりそこは大学経営ガイドラインでひもといていきたいということが1つですね。
あともう1個は、やはり企業から大学への投資というのを増やしていかないといけないということで、なので、最後に2つ、具体的な政策、説明させていただきましたが、1つは研究開発です。かなり大きなインセンティブを付けさせていただきました。これを使っていただくというのが1つ。あともう1個は、教育のほうにも、人材育成にもしっかりと企業から投資をしていただきたいということで、契約学科というものを作らせていただきました。こういった、まずは政府のほうでインセンティブをつけるのですけれども、自立的に企業の投資が膨らんでいくというふうなところを目指して頑張っていきたいなと思っております。すみません、答えになっているか分かりませんけれども、以上でございます。
【野口委員】 ありがとうございます。そういった意味では、さらに高みを目指すために双方で作り込んでいく新たな大学群の創生がとても大事だと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
では、荒金委員、お願いします。
【荒金委員】 ありがとうございます。御説明、ありがとうございました。私も川上室長のほうにお伺いしたいと思います。資料の19ページ目に今回の支援の、右下の表の説明のときにあったと思うのですけれども、今、国際卓越研究大学と、それから、J-PEAKSというものが動いていて、今回の目指す研究大学群というのは、その間にあるという機能だという御説明だったと認識しておりますけれども、両方の、両サイドのこれまで動いてきた大学の方向性、そういうのを考えますと、かなり重なる、対象となってくる大学群というのは、かなり重なるのではないかというイメージを私としては感じるのですが、よりビジネスとの連携を強調する大学群という位置づけが、どのような大学をターゲットしていきたいとか、より今までの対象になっていた大学の更なる強化という位置づけになるのか、今までの対象とはなっていないような大学の支援になるのか、その辺りの議論というのがありましたら少し御紹介いただければと思います。
【千葉部会長】 川上室長、どうぞ。
【経済産業省(川上)】 ありがとうございます。まさにここ、文科省と議論させていただいているんですけれども、結論から申し上げますと、決まっていないということなのですが、間とは限らないと我々は思っていまして、重複することもあり得るかなとは思っています。我々経産省としては、あくまでも産業競争力強化に貢献する大学ということでコンセプトを打ち出させていただいているので、結果として一部、国際卓越研究大学と重複する、あるいはJ-PEAKSと重複する、両方入っていないところも入る。いろいろな形が可能性としてあり得るのかなと感じますが、国分課長、いかがでしょうか。
【国分課長】 全く同じでして、新しい科学技術・イノベーション基本計画における科学とビジネスの近接化とか、今の高市政権の産業政策ですとか、そういったものを背景に考えたときに、新しい時代において大学の研究力を生かすという観点から投資するには、どういうやり方があり得るかということを議論してきたわけなんですね。したがいまして、どの大学を対象にということではなくて、文科省的な目線で言うと、研究大学群というものを強化していくためには、次の政策としてどういう仕組みが必要かということを議論してきたわけなので、具体的にどこの大学というのを、想定しながらやっているというよりは、まずはミッションとして考えている。
研究大学群の構築を目指す取組として、今、国際卓越研究大学と、それから、J-PEAKSとあると思いますけれども、それらに入っている大学であったり、入っていない大学であったりというのは、結果としてはあるかもしれませんが、まずはミッションとして考えているということを御承知おきいただければと思います。
【荒金委員】 そうか。そういう意味ですね。はい。分かりました。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
【荒金委員】 ありがとうございます。
【千葉部会長】 今、あと河原林委員と西村委員、手が挙がっていますが、お二方、お願いします。それで、一旦、その二人の質問の後は次に進んで、最後のほうにまた総合の質問の時間を取りますので、この場ではお二人の質問を受けたいと思います。
では、河原林委員、どうぞ。
【河原林委員】 私は大学側の視点から質問したいのですけれども、結局、これで投資が増えたということは、大学の収入が増えたということを最初におっしゃっていただいたと思うのですけれども、これ、大学、どこにお金を投資しているか。そのお金をどう投資しているか、例えば学科の定員を増やしただとか、センターを増やしたとか、恐らく人材に投資しているだろうとは容易に想像はできるんですけれども、どういうふうな形で、そのお金を投資してさらに強くして、それをサステナブルに回していたかというところをちょっと見たいのですけれども、その情報というのは、ここ、どこかにありますでしょうか。
【経済産業省(川上)】 いいですか。
【千葉部会長】 お願いします。
【経済産業省(川上)】 ありがとうございます。これ、日本の大学のお話ですか。
【千葉部会長】 河原林委員、どうでしょうか。
【河原林委員】 いやいや、これ、だから、日本だけではなくて、例えば海外でこれだけ投資を引き出したというところが書いてあったと思うのですけれども、それを含めて、そこがサステナブルに回るためには大学も大きな投資をしているはずなんですね。どういう投資をしてサステナブルに回しているかというところをお聞きしたくて、もちろん、そのモデルを日本に直接持ってこれるか分からないですけれども、そういう成功例みたいなものを見て大学がどういうふうに投資すべきなのか、人員にどう投資すべきなのかというところを聞きたいということですね。
【経済産業省(川上)】 ありがとうございます。その分析は、我々、いろいろしていまして、例えばバークレーで見ますと、もちろんいろいろな投資をしているわけですが、我々が注目したのは、研究者ではない研究支援人材と言われる方を多く雇用し、そして高い給料を付与して、そこに投資をしているというのが結構大きいかなと思っています。また、ファンドレイザーという職種の方をかなり人数も含めて、そして給料面も含めてしっかりと投資をして、そういう人たちがまさに企業を回って、産学連携の営業もする。そして、寄附の営業もするというところで、2014年から10年間で1兆円ぐらい寄附金を集めているんですね。そういった形で、まさに人にしっかり投資をする。研究者に投資するけれども、その支援人材にも投資をするというところで収入を増やしてきたという、この20年ぐらいの歴史があるというふうに認識しています。
【千葉部会長】 よろしいでしょうか。では、この場では西村委員、最後にお願いします。
【西村委員】 ありがとうございます。いろいろなことが調べられて、よく分かったのですけれども、でも、これ、ずっと言われていることなので、今これをまとめ上げて何をするのかというのがちょっとよく分からなくて、対策としても今までやってきたことの延長上の体制とか、お金を集めるのにどうしたらいいかって表面的なことなのですけれども、そもそもなぜこの研究費の入り方がここまで違うのかというのが、もう少し違う議論が要るのではないのかなと思って、こういうことをやっているかどうかって聞きたかったのは、ここで言う研究力というのは何ですかということと、この研究力に対する認識、その期待値に対する、例えば企業側の認識というのが大学とずれていないかということになると、そういう欧米における研究力というのは、どういうものを意味していて、日本で今作ろうとしている、強化しようとする研究力って何かというのが、ここ、ずれていないかなというのは、何か議論とかされていないのかということですね。
本質的なところが、もしかしたら日本は理解できていないから、欧米のようなことが起こらないのではないかというふうなことも議論していいのかなと思ったので、すみません、抽象的なことを言って申し訳ないのですけれども、何かそういうことってされたかどうか聞きたいのですけれども、いかがでしょう。
【千葉部会長】 川上室長、いかがでしょうか。
【国分課長】 よろしければ文科省のほうから。
【千葉部会長】 では、国分課長。
【国分課長】 研究力の文脈なので、私から。同じ科学技術・学術審議会の下でやっている産学連携・地域振興部会というのがございまして、そちらでの、中間まとめが先般できましたので、前回この部会でもそのご紹介をさせていただきました。その中で、これまで産学連携というのは大学の基礎研究のシーズを世の中にどんどん実装していくのだというリニアモデル型を中心に行われてきましたが、昨今、先ほどの科学とビジネスの近接化というのを前提としたときには、その成果がまた新たな研究力の原資として大学の中に戻ってくるというエコシステムが構築されるということも含めて産学連携の役割をきちんと位置づけて、その中で大学の研究力を強化していくということがこれからより重要になってくるという御紹介をさせていただきました。
この際に、産学連携における知の価値を最大化していくということを大学経営層のコミットメントの下できちんとやっていくことで、まず、その返ってくる原資を大きくしていくこと。そして、大事なのが、今の御質問にお答えするとしたら、その返ってきた原資を、必ずしももうかるところだけでグルグル回すのではなくて、基礎研究とか、人文社会学とかも含めた形で、大学の研究力そのものをアカデミックな観点から戦略的に育てていくための再配分をしていくということが大事なのではないかということをその部会でまとめたところでございます。
したがいまして、産学連携というのは1つの手段であって、産業競争力のほうに貢献していくということもあるし、大学の中でアカデミックな観点から再投資していくことで研究力を強化していくという、この両方を取れるのではないか。この2つは相反するものではなくて、両方一緒に取れるものなのではないかということを議論として続けてきたところでございます。詳細は、前回の資料を御確認いただきたいのですけれども、以上でございます。
【千葉部会長】 よろしいですか。西村委員の御質問は非常に本質的なところで、その辺りを理解した上でもさらに、例えば産業界が求める研究力って、もっと違う側面があるのではないか。この辺りは、でも、ぜひ共有して1つの答えを見いだしていかなければいけない非常に大きな投げかけではないかなと思います。ありがとうございます。
それでは、まず先に進めさせていただいて、後ほどまた議論の時間を取りたいと思います。では、次に学校法人慶應義塾、伊藤公平塾長より御発表をお願いいたします。
【慶應義塾大学(伊藤)】 よろしいでしょうか。
【千葉部会長】 はい。お願いします。
【慶應義塾大学(伊藤)】 機会をいただき、ありがとうございました。今回は一私立大学の取組としてお話しさせていただきます。私どもが全ての私立大学を代表しているわけではありませんが、私立大学はこういう考え方をするのだということを、まず御理解いただければと思います。
2ページをお願いいたします。私立大学にとって最も大切なのは建学の精神です。福澤諭吉は「一身独立して一国独立す」と述べ、一人一人の独立というボトムアップを大切にしています。また、「国を支えて国を頼らず」という気概を持っていたということです。さらに、「自由は天から与えられたもの」であり、よって政府の仕事はその自由を妨げず、保護することにあると述べています。実際に文明を行うのは人民であり、そのために私立の大学、学校を創ったというのが私立の立場です。
4ポツ目では、中等のミドルクラスが頑張らなければならない、人民、特にミドルクラスが好きなことに没頭してイノベーションを創っていくのだということを強調しています。5つ目のポツの「実学」は、実証科学に基づく学問です。6つ目のポツの「文明の利器」、福澤は1879年の『民情一新』で、特に産業革命時代の蒸気船車・郵便・電信・印刷によるインフヲルメーション革命について書いており、学問は情報でもあると考えていたということです。そして「進まざるは必ず退き、退かざるは必ず進む」、だから進み続けなければならない、学校も成長し続けなければならないと言っています。最後に、人たるものは、今の言葉で言えば、よい学校へ行き、よいと言われる企業に就職して、よい家庭を作って、それだけで満足してはならない、より高い約束があり、社会の発展に寄与しなければいけない、と述べています。これを我々の大学、学校としては徹底したいということです。
3ページは、それらをまとめた慶應義塾の目的です。どういう国を創りたいのか、その本旨を明らかにし、口で言うだけでなく、実際の活動として行っていくというのがこの大学のミッションです。
4ページです。現在、J-PEAKSを推進しています。J-PEAKSでは二つの柱を立てています。左は学問の社会実装であり、収入増だけではなく、文学で人生を豊かにすることや、防衛に対する国際政治学の寄与も含め、学問によって社会を豊かにするということです。この基盤として、私どもは私立唯一のWPI、また私立唯一のCOI-NEXT本格型を二拠点持ち、そのような取組を積み重ねてきました。右は起業家・実業家の創生で、福澤が実業家を創ることに大きな力を入れたことを踏まえるものです。右は経産省的なところ、左は文科省的なところとお考えください。左を支えるのがKGRI-Keio Global Research Institute、右がイノベーション推進本部です。
5ページです。この体制はトップダウンとボトムアップの組合せになっています。トップダウンでは、塾長をトップとしてKGRIという学問の社会実装を支援する組織を整え、イノベーション推進本部という実業、スタートアップを支援する組織を設けています。例えばイノベーション推進本部では、知的財産のエキスパートや実業界出身の実務家教員35名を雇用し、寄付金や間接経費など外部資金で運営しています。この機能と、14研究科・10学部からボトムアップで上がってきたものとが融合する部分で、WPIやCOI-NEXTなどが推進されています。ボトムアップとトップダウンの組合せで進めているということです。
6ページです。「民」としての我々の大きな仕事として、左には世界最大規模の100歳以上の方のバイオバンクがあります。1,000名以上の血液、便などを集めてきたもので、この中から長寿に関する解析やメカニズム解明が進められ、Nature、Scienceなどで発表されています。これはDNAやゲノムに加え、マイクロバイオームも含むものです。同時に、慶應はメディカルAIセンターで「AIホスピタル」の実現に取り組み、サイバー文明研究センター、慶應AIセンター、量子コンピューティングセンター、X Dignityセンターなども設けてきました。X Dignityセンターは、AIの時代の人間の尊厳をどう定義し直し、AIと人間の正しい協調をどうつくるかを研究するセンターです。
左下の戦略構想センターでは、戦略研究、国際情勢分析、政策提言を行っており、まさに国際政治のメッカが今、慶應義塾と言えると思います。サステナビリティに関しても、新しい研究センターを民間資金で設けています。赤丸で示したものが17分野に関わる部分であり、創薬・先端医療や防衛などに対応しています。
7ページです。公的資金にどういう目的で応募しているかというと、福澤の言う「適宜に行う」部分です。自由に任せていたらつながらない研究者同士をつなげるために、公的資金に応募してきました。WPI-Bio2Qでは、量子やAIの人とバイオの人たちをつなげようとしています。左下と右下のCOI-NEXTも、循環社会を創るためのものです。左は患者の循環で、慶應の病院を出た後の方々に着目し、治療データを適正に使える形にした上で、企業とともに病気を繰り返さずに済むような新しいヘルスケアの仕組みをつくる取組です。
右は、“ごみ”の循環で、鎌倉市と一緒に行っています。17分野でいえばマテリアルのところに当たり、リサイクルでマテリアルを回転させていく取組です。このような、我々の自由だけでは難しいことを公的資金で適宜行うことによって、自由をさらに発展させていくために使っています。
8ページです。このページは、このWPI-Bio2Qを設計したときに、どういう研究者がいるかを整理した図です。左側が医療・バイオ関係、右側が理工学部にいる量子、AI、半導体、スーパーコンピュータです。そういった研究者が多数いる中で、どう新しい結合をつくるか、そのためにWPIに応募し、採択いただいています。
9ページです。新産業、スタートアップについては、先ほどのイノベーション推進本部を中心に取り組んでいます。慶應義塾のベンチャーキャピタルを2015年に設立し、1号ファンド約45億円、2号ファンド100億円、3号ファンド200億円を、いずれも民間資金で集めています。投資先の成果として、NEXTユニコーン上位35社中5社が既にランクインしています。大学発ベンチャー企業数でも資金調達額でも慶應義塾は3位であり、国の支援を入れずに、民間資金のみでこのベンチャー支援を行っている点が大きな違いだと考えています。
10ページは人材育成で、11ページをお願いいたします。ClarivateのHighly Cited Researchersでは、昨年7名が慶應義塾から選ばれています。本所属で分けると、人数では日本で4位です。そういう意味で、高いレベルで研究を行っていると考えています。
12ページです。大学ランキングでは、スーパーグローバル大学創成支援事業を始めて数年の時点ではQSランキングでトップ23%でしたが、2026年版ではトップ14%に入っています。他方、全体では215位程度です。特徴的なのは、社会科学・人文分野が150位以内で、評価されている点です。慶應義塾は7割が人文・社会科学系の教員であり、日本語文献も多い中で、これだけ評価されていることは特筆すべきだと思います。
こうした学者たちがいるからこそ、次のページのとおり、世界中からオピニオンリーダーが慶應義塾を訪ねてくださっています。AIだけ見てもサム・アルトマン氏、デミス・ハサビス氏、ケビン・スコット氏といった方々がいらっしゃっていますし、X Dignityセンターや人文社会系にはユヴァル・ノア・ハラリ教授やオードリー・タン氏も訪れています。また、NATO事務総長らも戦略構想センターを訪れています。こうした方々が来られるのは、それだけ会いたい学者がいるということだと考えています。
14ページです。経営状況について、2020年度から見ても事業規模は約1,700億円規模からこの4年間で1割程度増えており、着実に伸びています。収入に占める経常費補助金の割合は1割未満であることをお示ししています。
15ページは寄附金です。配付資料には修正があり、こちらが正しいものです。私立では難しかった株式による現物寄附を受けつけられるようになり、今後はこの現物寄附を増やしていく体制が整いました。毎年100億円以上の寄附を集めることを目指しています。遺贈のお申し出もいただいています。
次に研究費です。過去10年間で研究費は着実に1.5倍程度に増えており、外部研究資金が着実に増えていることをお示ししています。
17ページ、資金運用です。現在のポートフォリオを示していますが、私の塾長就任後、専門家を集めて見直した結果、利回りは従来の2.8%程度から、22年度3.6%、23年度5.8%、昨年度7.4%となりました。これにより、毎年100億円以上の利回りが見込まれる規模となっており、積み立てる部分と使う部分を長期計画に合わせて運用しています。
18ページ、大学病院です。黒字であり、病院経営ボードに法人執行部が参加して徹底的な議論を行ってきた結果です。年間手術数は1万7,000件以上で、日本最大規模です。病床稼働率も高く、平均在院日数も下げてきています。大学病院の存在意義である最先端医療の実践と日常診療による収益確保を両立し、健全な経営バランスを維持しています。
19ページです。内部統制システムの高度化はこの3年間で徹底的に進めてきました。財務内容も管理会計を含めて精査し、理事レベルで開示することを実現しつつあります。常勤監事がすべての重要会議に参加するだけでなく、入試をはじめとする現場の監査にも厳正に関与しており、実効性の高いガバナンスを確立しています。
20ページです。タウンキャンパスによる研究推進と新産業創出として、鶴岡、新川崎、殿町などの研究キャンパスを運営してきました。鶴岡は特に有名で、バイオ研究の拠点です。こうしたタウンキャンパスは学費だけでは十分に支えられず、どう発展させていくかが研究大学としての大きな課題です。
21ページです。AIキャンパス構想として、この3年間、徹底的にAIに投資をします。Notionと包括提携を結び、創立以来168年にわたり蓄積してきた知識をデータベース化し、AIで活用できる環境の構築を目指します。DeepMind、OpenAI、マイクロソフトとも連携しており、3年後に残すものは残し、切るものは切るという形で組み替えを行う考えです。これも独自に30億円の寄附を集めており、すべて自己資金で行っています。
最後が課題です。第一に、データ基盤の整備と研究資源の確保です。長年蓄積してきた研究データを、慶應側の基盤の上で安全に扱い、共同研究者が世界から入ってきても、データの帰属は変えずに解析結果を論文発表に使えるような体制をつくらなければなりません。これは自己資金だけでは難しく、グローバルな研究大学として発展するための支援をぜひお願いしたいと考えています。
もう一つは研究のユニット化です。慶應義塾は30年間、研究者の独立を進め、若手にも自由を与えてきました。しかし、個々の研究者が個人的に獲得できる範囲の予算だけでは、将来の「ホームラン」を狙えるような、大胆で野心的な研究に挑むことが難しい場合があります。そのため、研究者の裁量や高い自由度を支えるための資金、あるいは共同設備が必要であり、現在進めているユニット化に対する様々な研究資金も必要だと考えています。
22ページ、今後の目標です。まず大学院を強化していきたいと考えています。私立大学で大学院、とりわけ理系を強化することは、学費面から見ても非常に難しい課題です。現状では全学生数に占める大学院生の割合は14%で、東京大学の50%超とは大きな差があります。SPRINGの効果もあり、理工学研究科では博士進学者が伸びていますが、これをさらに進めるためには大学院強化の基盤づくりが必要です。特に17分野の強化に向けて、ここに力を入れていかなければなりません。
最後のページです。AIに関する教育は2018年から始めており、教員が学生に教えるだけでなく、AIが得意な学生が他の学生に教える仕組みをつくっています。中央はBiO2Qにおける人材育成プログラム、右はSPRING&BOOSTで、それぞれの研究センターが人材育成を行っています。これらは17分野に密接に関わっており、コンテンツ分野を含め、多くの分野で人材育成を進めています。こうしたことについても、様々な支援をいただければと思います。
以上でございます。
【千葉部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、続けてAeroEdge株式会社、水田和裕CTOより発表をお願いいたします。
【AeroEdge(水田)】 よろしくお願いします。私、AeroEdgeの水田と申します。
まず、私、今日初めて産業界として申し上げに参りましたけれども、まず初めにAeroEdgeという会社は、10年目の、いわば今の言葉で言うとDeep Techのスタートアップでして、10年を迎えました。3年前に東京証券取引所のグロス市場にIPをしておりますが、ジェットエンジンのフランスのエンジンメーカーが作るエンジンのタービンブレードという部品を初めて製品として造った日本の会社として、スタートアップとして活動してまいりました。その中でいろいろな活動をしてきましたが、これまでも私自身のキャリアも踏まえて、いわゆる発明ですとか科学技術、サイエンス、それらをどのように産業界、あるいはリアルマーケットにブリッジしていくのかというところに興味を持ったというのが20年少々前のことです。
実は20年前にも国際競争力、新技術立国という話、川上さんからもありましたけれども、私が学生時代、2000年頃、国際競争力ランキングなるもの、いろいろなシンクタンク、IMD、BCG(R&D予算ランキング)、いろいろなところが出しているわけですが、何か私の感覚と違う。ランキングとしても20位から40位ぐらいをさまよっているようなイメージでして、なぜかなというところを見ていったときに、イノベーションというサブジェクトがあるということを知りました。そこをやろうとすると、いわゆる日本語で言うと技術経営、MOT―Management of Technologyですとか、イノベーションマネジメントと言われるんですが、そういったところ、まさに大学の知をインダストリーにブリッジしていく学問なるものがあるということに気づいたんですね。これを日本でやろうとしたときに、残念ながら、当時もなかなかそういうプログラムがなかったんですね。
そこの日本の高度成長期、1970年、80年を、イノベーションのメカニズムを解明したのがやはり、残念ながらMITとか、ミシガン大学とか、スタンフォード、こういったところになったわけですね。そういうこともありまして、私自身はイノベーションマネジメントを学びに米国に、当時、日本でマスターを終えてから飛びまして、そこから帰ってきて、その後はトヨタ自動車、また、自動運転、AI、ドローン等のロボティクスベンチャーに勤めまして、2017年よりこのジェットエンジンのDeep Techをやる重工系ベンチャーに来ております。こういった経験を通じて学んだことをこちらで僣越ながらお話ししたいと思います。
特にCTOに関するお話をしたいと思うのですが、CTOというのはChief Technology Officerというふうに言われまして、最高技術責任者。ここにサマリーを示しております。今、もうイノベーションが必須であるということは割愛しますが、より高度な材料科学、また、量子、エネルギー、いろいろな分野に対応していこうとすると、当然ながら、博士人材、マスターではなく、やはり博士人材というのは欠かせないと私は理解していますし、文科省が言われていることに同意します。
一方、イノベーションを創出するとなりますと、博士人材がいれば終わる、オーケーであるということでは必ずしもないということが非常に重要です。ここをブリッジしないといけない。国レベルで行くと、国家戦略を考えるような、それを科学技術をもって、今、技術とビジネスの近接化とありましたが、まさに国レベルでそういった米国における行政官ですか、そういった立場の方々、組織も必要でしょうし、企業であれば経営戦略、ストラテジーが分かるサイエンティスト、エンジニアというのが非常に必要になってきます。
博士人材のまさにマネジメントを、じゃあ、産業界ができますかというところが1つの大きな課題でして、なかなか非常に難しい状況だと思っています。博士号クラスの専門性とイノベーションを創出するための戦略論の理解と実践力、こういったものを兼ね備えたリーダー、人材というのが産業界でも当然育成が必要ですし、大学、大学院教育からやはり入れていくというところが1つ重要なのではないかと思っています。両輪、技術や戦略、こういったものを十分理解して実践できる人材の育成こそ、日本の成長に資する重要な人材への投資だと考え、それらをまとめて日本CTO必要論と言わせていただいています。
3ページ、お願いします。こちらもさんざん文科省で議論されていることですし、割愛しますが、やはりいろいろな文理融合、これらももう何十年も言われていることなので割愛しますが、コアの学問、ベースを単に工学部、例えば工学部、機械系、電気、電子系、コンピュータサイエンス、情報系、その縦に区切るのではなくて、人文系も含めた様々な学問のベースを学ぶことによって、その後の異文化交流というところで新しい知を生み出すということにやっぱり寄与するようなシステム、制度というのが要るでしょうし、産業界から、そういった知を生かすためには、やはり出口戦略をちゃんと明確にして、大学と産学連携で研究をやるのであれば、その出口から、ある種、逆算をして、このようなものがニーズとしてありますということを明確に説明できないということがあると思います。
もちろん、セレンディピティですとか、必ずしも出口が分からないのだけれども、ピュアサイエンスからつながる発見、イノベーションというのもあり得ますので、必ずしも100%そうではありませんが、より経済的価値に資する活動に少し思いを致せば、そういったことができる人材というのが重要になると考えます。
4ページ、お願いします。これは先ほども文科省からベンチマークの1つ、バークレー以外にケンブリッジもありました。私、トヨタ自動車を辞めてからビジネススクールに行った先がケンブリッジでして、あえてここで簡単に説明しますと、ケンブリッジの場合は、カレッジシステムといって、いろいろな学部の学生さん、研究者が31のいずれかのカレッジに属しないといけないということで、縦にカレッジを書いていますが、横に学部、こういった縦横、いわゆる組紐のようなオーガニックなエコシステムを築いていまして、その中にベンチャー、各企業の研究所、また、そういった研究機関というのがたくさんひしめき合っているというところで、先ほどの投じられたお金を使いながら、教育もし、実際に事業活動もやるというところが行われているというところでございます。
5ページ、お願いします。これも20年前から言っていて非常に恐縮ですし、釈迦に説法なのですけれども、私がイノベーションマネジメントを米国で学んだときの気づきは、理工系、イノベーションマネジメント、科学技術をベースにしたイノベーションというのが前提にあったものですから、そういった分野でのPh.D.を持たれて、MOT、MBA、エグゼクティブMBAのような学位も当然持たれている。かつ、アカデミックなバックグラウンドのみならず、実際の大企業、中堅企業での研究開発経験、量産化の経験、また、ベンチャー企業の経営ですとかコンサルティング、そういったところも経験されているファカルティというのが名を連ねている。
そういったところで、日本も最近増えておりますし、いろいろな特任教授、いろいろな社外からの招聘によって、学外から充実はしてきているものの、まだ先ほどもありましたように、日本におけるイノベーションマネジメント、技術経営というものの定義と、恐らく欧米におけるそれらというのも異なっていると理解しております。非常に学術的に高いレベルで組織論、イノベーション論というのをやっておられるというのは感じていますが、まだまだ実際にリアル社会で事業化をやるに際しての経験談、また、ファイナンス、そういったところが少し欠けているのではないかと考えます。
6ページ、お願いします。ここはCTOの役割、機能というところでたくさん書いています。読み上げませんが、とにかくたくさんありますよということなんですね。これは理想はやはり1人の人間、数少ない者ができるというのがやっぱり大事だと思います。要は機能として、組織的にこれらを分担すればいいよねというふうに考えることもできるのですけれども、ある種、その結果が今日の日本だとも思っているんですね。この後、どのような交流によってこれらが具備できるかというのを御説明したいと思います。
7ページ、お願いします。これ、先ほど申し上げました日本にCTOというのが、優秀な、一流の方が30人いれば、もっともっと日本は成長できると思っています。国家レベルとしては、いろいろな大学、また、企業に対してどういったことをやるべきだと言えるような、あるいはこういったプロジェクトに予算をつける。それをきちんとゲート管理するといった目利きを持たないといけないですし、大学におきましても、そのようなCSO、CTO的な人材、機能というのが、もっと充実しないといけない。企業はやはり絵にありますように、当然、イノベーション、すなわち、市場において経済的価値を創出していく主なドライバーですので、そこの中にCTOというのが充実していないとなかなか学術機関、研究機関と市場をブリッジすることができずに、貴重なサイエンス、知見というのを埋没させてしまうことになりかねない。
CTOに求められるすごくシンプリファイといいますか、典型的なものを書いていますが、これは学位だとか、こうでないといけないということを全く言っておりません。ただ、分かりやすく言うと、科学技術、医学分野等におけるPh.D.とか、ストラテジーが分かるという点でMBA的な脳の使い方、さらにそれだけでは机上の空論にすぎませんので、やはり実践力、実行力ということでの強いリーダーシップというところが三位一体で必要になってくると考えます。
8ページ、お願いします。それらをより詳細に書いてあるのがこちらですが、一旦、こちらは割愛します。次、お願いします。先ほどから出てきているブリッジ、これも一例です。ただ、私がここ20年で、ある種イノベーションをライフワークにして活動してきた中で、当然ながら思っていることなのですが、科学と技術、そこはいいのだけれども、やっぱり経営とか戦略、大企業の論理、こういったところがなかなか分からないよといった方も多いということがありますので、ここの行き来ですとか、また、ハードウエア、Deep Tech、いろいろな社会課題を解決しようとしたときに、プロトタイプまではR&Dドリブンで行けたとしても、量産となると品質管理ですとか、臨床ですとか、レギュレーション、法律、いろいろなものがあるわけですね。倫理も含めて。
このような、ある種、R&Dと量産フェーズというのも全く世界が違いますので、ここもブリッジしないといけない。学術機関、研究機関と事業会社も当然違いますし、同じ事業会社の中でも、今、オープンイノベーションとか、スタートアップというような文字も非常に多くなってきていますけれども、私は大企業における役割というのは非常に大きいものがあると思います。私がここ10年ぐらい、自動運転、ドローン、AI、また、ジェットエンジンの部品を、あるいは合金開発をするスタートアップである種通用しているというふうに考えてはいますが、そういうふうに活動できるのもトヨタ自動車で非常に厳しく育てていただいたからなんですね。この経験がなければ絶対にスタートアップでも私は通用していないと思っています。
そのような大手の非常に充実した人材制度、歴史、伝統というのは非常に大事な側面、日本の強みだと思っていますので、これらとスタートアップ、中小の交流というのも非常に重要だと思います。また、そこまではいい、そこまではできるんだけれども、グローバルにマーケットにリーチできないとか、ちょっと海外は苦手ですということも残念ながらあるんですね。たかが英語、たかが海外の経験ですけれども、されどというところがあると思います。よりマーケットを広く見て、日本のドメスティックなマーケットに終始するのではなくて、海外との連携、海外をそもそもマーケットと見るのであれば、そういった海外経験というのも非常に重要になってくる。
また、私は、今日、栃木県の足利市というところから参りました。2時間ぐらいかけてこちらに来ますが、やはり首都圏の人材の考え方、働く方々の考え方、地域、地方、また異なります。また、会社側の立場で行きますと、採用における苦労というのも全然チャレンジングですし、そういったところの違いも理解して、どのようにローカライゼーションしていくのかというのも非常に重要になってくると思います。
また、最後に今回、資金繰り、いかに資金を集めるか、運用するか、投資するかというのもありました。投資家とそういったプレイヤーのブリッジ、ここも非常に重要だと思います。日本はまだベンチャーキャピタルの、言わせていただくと、キャピタリストさんのDD、デューデリジェンスと言われる技術への査定、精査、こういったところもまだまだ欧米に対して負けていると思いますし、薄いと思いますので、これらがブリッジ、交流することで、キャピタリストのレベルも上がりますし、資金を受ける側の説明責任ですとか、対応力というのも上がってくると考えます。
10ページ、お願いします。私、日本の自由研究、非常に面白いと思っていまして、戦後、しばらく4年間ぐらい続いたそうなのですけれども、そういったテクノロジーをベースにやる場合、もちろん科学技術に偏重した政策をと言っているわけではなくて、むしろ、理科的のみならず、人文的な要素、そういったところが大事ですが、理科研究、自由研究を通じて、幼少期からそういったものを観察したり、本物の生き物に触れるですとか、天体を見るとか、そういったところが非常に大事なことかなと思っていますし、そういったことをHigher educationの世界でやっていこうとしたときに、やはり教職員の方々、こういった先生方が世界に伍するとか、いろいろ実装に向けてとか言っているのに、なかなかそういった世界の経験がなければ、ある種、ブリッジのしようもないといいますか、そういったことにもなりかねませんので、教職員さんのある種、研修ですとかトレーニング、そういったものも非常に大事なことになってくると思います。
私からは、時間となりましたし、以上となります。ありがとうございました。
【千葉部会長】 どうもありがとうございました。
ただいま伊藤塾長、それから、水田CTOからお話をいただきました。この件に関して、あるいは今日全体の総括的な観点でも結構ですので、御質問、御意見いただければと思います。12時前までですので、40分弱、時間の許す範囲で御指名をさせていただきます。
それでは、関谷委員、どうぞ。
【関谷委員】 大阪大学の関谷です。今日は本当にお2人の先生方、御紹介いただきまして、ありがとうございます。私、伊藤塾長に御質問させていただきたいと思います。まさに今日、御紹介くださりました慶應義塾大学のスタートアップ、本当に生き生きと社会に技術を実装されている様子をいつも拝見させていただいております。また、本日も寄附金のところで日清食品の御寄附も含めて本当に多くの財界の皆さんたちとの連携がおありだというところも拝見させていただきました。
この中で、大学の研究力を強化する中で、やはり財源の多様化がスタートアップ支援、まさに慶應義塾大学が持っておられる卒業生とか同窓会との結びつきが非常に強いというのが、私、いつも実感させていただいております。そこで、慶應義塾では、同窓会や卒業生ネットワークをどのようにして研究力強化に結びつけておられるのか。また、その際に特に大事にしている考え方や注意している点などあれば、ぜひ御示唆いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【千葉部会長】 伊藤塾長、お願いします。
【慶應義塾大学(伊藤)】 ご質問ありがとうございました。同窓会は三田会という名前で、大学の外部組織として有機的に組織されており、現在は約850あります。非常にありがたい組織である一方で、現在は、若者が三田会に参加しないということが大きな課題になっています。若い世代はSNS等で直接つながる傾向があり、大学という枠組みが取り残されがちです。そのため、これまでは卒業生側の自主性に任せていたネットワークに対し、いよいよ大学側から積極的に働きかけていかなければいけないという大変な危機感を持っています。これまでの伝統的なあり方に甘んじることなく、時代に合わせた対応を進めているところでございます。
【関谷委員】 ありがとうございました。
【千葉部会長】 では、野口委員、お願いします。
【野口委員】 ご説明、ありがとうございました。私からは、伊藤塾長と水田CTOにそれぞれ質問がございます。伊藤塾長への質問ですが、私も一私学として大変慶應義塾大学さんの取組をリスペクトしております。その上で、今日の説明でも、日本成長戦略が求めている17の戦略分野にも非常に政策が適合されていますし、寄附や外部資金獲得、グローバル化でも、日本のイノベーションを牽引する大学として、資料を見ましても非常に高いレベルで推移しています。その慶應義塾大学さんが、今後の、22ページの目標でも一部触れていましたけれども、塾長としてさらに慶應義塾大学が発展するために、今現在、特に課題と思っている部分や、また、慶應義塾大学が成長していくための難しさみたいなものを感じているところがありましたら、率直にご意見を伺いたいと思いました。
また、水田CTOのお話の中で、今回、CEOの話は出ていなかったのですけれども、私は規模や人数が少ないスタートアップ時については、CEOとCTOが兼務するというのも非常に良い配置ではないのかなと考えます。私自身も2017年から大学発ベンチャーの社外取締役を4年間していましたけれども、アーリー段階での組織成長の加速化や投資等の資金流入の観点からも、そのように思いました。CEOとCTOの兼務等のことについて、何かご意見があればお伺いしたいと思います。
以上です。
【千葉部会長】 では、まず伊藤塾長、お願いします。
【慶應義塾大学(伊藤)】 ご質問ありがとうございました。まず、立命館大学の皆様こそ、17分野をはじめ様々な取り組みを積極的に進めておられ、同じ私学として、我々も多くを学ばせていただいていることをお伝えしたいと思います。その上で、今後の課題ですが、1つ目は研究費や研究体制、研究キャンパス整備に充てるための財源です。現在の間接経費30%やオーバーヘッドという仕組みだけでは、まだ十分とは言えません。慶應義塾では、オーバーヘッドは現在のところ18%しかいただいておらず、この枠組みの中でいかに新たな資源を確保していくかは、非常に大きなチャレンジです。先ほど挙げたデータ基盤や計算資源の確保は、まさにその象徴的な例です。2つ目は、AIによる急激な環境変化への対応です。すべてが一気に変化する潮流の中で、守るべきものを守りつつ、変えるべきものをいかに一気に変えるか、そこが一番の大きなチャレンジだと思っています。
3つ目は、経営の継続性です。最大8年間であり、執行部は交代していきますが、その中に確立したグッドプラクティスをいかに次の執行部へ引き継いでいくかという課題があります。経営の継続性を担うのは事務方ですので、徹底的に事務方と協調し、組織としてグッドプラクティスを継承・発展させていく体制づくりに、大きなチャレンジとして取り組んでいるところです。
以上です。
【千葉部会長】 では、続いて水田CTO、お願いします。
【AeroEdge(水田)】 おっしゃっていただいたとおり、CTOとCEOが兼務するというのは非常に意味があるし、イノベーションの可能性を高めることだと思います。Deep Tech系の、あるいは特に大学からのスピンオフのスタートアップですと、技術系だとファウンダー兼CTO、自分たちの要素技術を持って会社を創るわけですから、CTOがファウンダーCEOであるというケースは非常に多いわけですね。ただ、そこでの最大の弱点は、彼らは一般論としてファイナンスとか、マーケティングとか、ストラテジーに長けているかどうかは全く別問題。
ですので、であればCSO、CFO、COO、ストラテジーとか、オペレーションとかファイナンス、ここをいかにいわゆるベンチャーキャピタルや大学内の有識者等からサポートいただくことができるかというのが非常に重要です。なので、CEO、CTOの方々がそれらさえも、言ってしまえばCEO、CTO兼CFO兼COOみたいな方だったらいいのですが、そうでない限り、そういったチームを組成するというのが成功にとっての必ず重要なファクターだと考えています。
【野口委員】 ありがとうございました。
【千葉部会長】 では、続いて那須委員、お願いします。
【那須委員】 私は水田さんに御質問したいと思います。私自身、キャリアで、創薬ベンチャーでCSOを一時やっていたこともあるのですけれども、今、学長をやっていますが、この中で、図の7ページのところに大学研究機関は、研究大学としてCSO、CTO機能を持つべきということを書かれていまして、非常にそのことを重視しており、今、文科省の研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業で研修提供機関となっていまして、まさに大学人で、そういう経営に関わるCTOのような人を創っていこうという思いがあります。その中で、今、お話の中で思ったのが、このCTOというのは企業の中で30人ですよね。
【AeroEdge(水田)】 今聞かれてお答えすると、企業かなと思っていたのですが、今のお話で行くと、別に大学研究機関を含めてもいいかなというふうに今思いました。
【那須委員】 ありがとうございます。私も、大学の中にもCTOという形の人材がしっかりいて、それで、企業にもそういう方がいる。私、さらに一歩進んで博士課程の学生、どっちかというと研究のことで頭がいっぱいで、トランスファラブルスキルとかと言っていますけれども、なかなかうまくいっていないので、私は、そういう学生にこのマネジメントとかも教えて企業に送り込みたいなと思っているんですが。
【AeroEdge(水田)】 すばらしい。産業界としては非常にありがたい御示唆というか、そのような教育をいただけると非常にいいなと思います。大学が産業界とやっていこうとしたときに、せっかく大学で得た知を面白おかしく市場性を含めて説明をできたほうが、当然、産業界の人たちにとっては分かりやすいですね。すごく難しいポスターとか、学会発表のアブストを読んでも、彼らにはなかなか分からないです。いかにストーリーを語るかというところ、もちろん嘘は駄目ですが、そういったところを非常に教育の中で培っていただけると非常にいいかなと思いました。
【那須委員】 ありがとうございます。ただ、今の教授たちは、そういうトランスファラブルスキルとか、こういうスキルを学ばすというと、そんな時間があるのだったら研究しろと言って、学生に叱る教授もいますので。
【AeroEdge(水田)】 なるほど。
【那須委員】 そこは大学としてマインドセットを変えたいと思います。
【AeroEdge(水田)】 私は日本のドクターの方々も、そういうトランスファラブルとか、プロジェクトマネジメント力、コミュニケーション力、あるよねとおっしゃる方、多いと思うのですが、欧米と比較すると残念ながら劣後していると思っています。それはインターンシップとか、いろいろなことがありますけれども、先生がおっしゃるようなことを、改革をチャレンジいただければ非常にいいかなと思いました。
【那須委員】 ありがとうございました。またよろしくお願いします。
【AeroEdge(水田)】 こちらこそ、ありがとうございます。
【千葉部会長】 ありがとうございます。この大学の意識改革って、もう多分、十数年前から言われています。なかなか変化が訪れない。これ、どうしたらいいかって、やはりもう皆さんで徹底的に考えていかなければいけない重要な課題ではないかなと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
それでは、新福委員、お願いします。
【新福委員】 今のお話とも重なるのですけれども、私のほうからは人材育成に関して、お2人に御質問できればと思っております。
まず、伊藤塾長のプレゼンテーションの中で、非常に多様な人材が活躍している様子がよく見受けられて、若手もシニアもジェンダーの違いも含めていろいろな方が活躍されているというところの人材の多様性というのが非常に重要なのかなと思ってお聞きしておりました。人材育成のスライド、飛ばされたので、もしお話しできることがお聞きできたらと思いましたので、そちらをお願いしたいと思ったことと、あと、水田CTOには、先ほどの那須先生とのお話の中でもあったのですけれども、今のイメージだと何となく企業にいた方が専門知識を持ってCTOになるのかなとお見受けしたのですけれども、研究者発信で大学から、アカデミアから企業に行くという方もいらっしゃって、そういった経験を経た上で、このCTOというようなキャリアステップといいますか、そういった流れも可能なのか。そういったときに、先ほど企業の中で受ける技術といいますか、そういった辺りが必要だというところがあったのですけれども、そのほかにも身につけるべき技術等があれば教えていただければと思いました。
以上です。
【千葉部会長】 では、まず伊藤塾長、お願いします。
【慶應義塾大学(伊藤)】 ご質問ありがとうございました。スライド10ページの人材育成の左側、「潮田リサーチフェロー」は、篤志家からの寄附により若手リサーチフェローを育成している例です。右側はある意味、我々にとっては新しい試みです。7学部の1年生が共に学ぶ日吉キャンパスにおいて、アントレプレナーシップといった教養科目を拡充しています。これまで1・2年生に対しては学問の基礎の徹底が主流でしたが、企業や社会の新しい潮流を見据え、早期からの意識醸成を図っています。もう一つの特徴は、キャンパス間の交流による人材育成です。本学には、文理融合の先進的な実験キャンパスである湘南藤沢キャンパスがある一方で、日吉や三田のような伝統的・古典的なキャンパス、あるいは矢上・理工学部など、多様な環境があります。これらが有機的に交わることで、イノベーション人材の育成と交流が非常に活性化しており、これが本塾の強みであると考えています。
以上です。
【千葉部会長】 では、水田CTO、お願いします。
【AeroEdge(水田)】 ありがとうございます。CTOというのは、改めて申し上げると、Chief Technology Officerということで、企業の技術開発部長とか、設計部長とか、研究部長とかとは一線を画すんですよね。つまり、あくまでも経営陣の一角なんですよね。なので、その戦略が前提にあって、そのサイエンス、技術のちゃんとした知識、経験もあるので、それらを生かしてどのような発展ができ得るかというのを語れる人だと思うのですが、おっしゃっていただいた方向性、大学から企業側とか、企業側でよりそのCTO的な人材を育成してアカデミック・インスティテューションにアプローチする。これ、双方あり得るし、双方ないといけないと思います。
私自身、これ、思ってもみなかったというか、かなりレアなケースだと思うのですけれども、AeroEdgeというジェットエンジンの合金開発とか、機械加工をやる会社に来てから社会人ドクターを取らせていただいたんですね、日本で。MBAを海外でやってから、工学分野とか材料分野でPh.D.を社会人で取るって、逆はあっても、このパターンはあんまりないのだと思うんですよ。やはり必要に駆られて、当然、どのタイミングでも社会人ドクターとか、論文を書くこと、読むことはできますし、そういったこともまだまだ日本の産業界には欠けている、要はマインドセットであり、情報だと思うんですね。
なので、その辺りを産業界としても厚くするし、大学からはもちろん、ピュアサイエンスとか、学術のための研究というのがやれる唯一のある種、インスティテューションでありますし、何でもかんでも何か産業界にとか、実際で使われないと意味がないとかというのもおかしいのですが、それらを得て、資金を得て、そういったピュアサイエンスに回すという戦略性の下、そういったことが語れる人材を大学側でも育成していくという双方がやはり正しいのだと考えます。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
では、続いて大野部会長代理、お願いします。
【大野部会長代理】 今日は慶應塾長の伊藤先生、そして水田CTO、御説明、大変刺激的な示唆に富むお話をありがとうございました。今のお話に重なるのですけれども、大学にとってプロデュース力、つまり、そういうことができる人材というのをどう育成していくかというのは、極めて重要な課題だと思っています。産業競争力に資する、そのアクティビティだけではなくて、大学全体を豊かにしていくためにも、このプロデュース力で、ある種、剰余金を生んで大学全体を豊かにしていくようなサイクルが求められていると思っています。
そのためには高い大学に関する理解とマネジメント力、執行部全体もそうですし、そういう人材が必要なのですが、一方で、今、産業界のニーズを自分の大学の、あるいは1つの大学に限る必要はないのだと思いますけれども、大学のアクティビティを理解した上で、産業界に、こういうことを一緒にやらないかという、そういうプロデューサーの人材が極めて少ない。それを育てなければいけないのですけれども、そこをどこから始めて、最終的に実践を通して、そういうエコシステムができるようにしていくわけですが、今、どこから始めたらいいのかということをお2人のお考えを聞かせていただけると大変ありがたいと思います。
以上です。
【千葉部会長】 大変本質的なところですが、伊藤塾長、いかがでしょう。
【慶應義塾大学(伊藤)】 ご質問ありがとうございました。資料の6ページを御覧ください。私立大学として、まず何か新しい分野で連携しようとしたときに、国のお金ではなくて民間資金を目指そう、その上で国のお金が後から来ればいい、ということをまずできるだろうか、私たちはこの考え方を徹底しているところであります。例えば量子コンピューティングセンターの場合は、大学という中立の立場だからこそ、本来はライバル関係にある複数の銀行が一緒に入ってきて、共同研究を行い、共著論文を書いています。現在は4つの銀行に増えました。そこでは、トヨタや日立、そして銀行が共著論文を書いています。
さらに、そこからフルタイムでエース級の人材が送られてきており、その中には、本学で研究を続けながら博士号を取得し、学位とともに新しい専門分野を身につけていく方もいます。そうした人材をどこから育てていくかという点において、本塾はこのような連携の現場そのものを育成の場として機能させています。この試みは、AIセンターやサイバー文明研究センターでも同様に行っています。Keio Global Research Instituteでは、民間資金をどのように獲得していくか、そこにプロデュース力が試されるということだと思います。公的資金と民間資金の両方から中途半端に取ろうとすると、フォーカスがぶれてしまうというのが我々の今までの経験ですので、そこを今徹底しているところでございます。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
では、水田CTO、どうぞ。
【AeroEdge(水田)】 産業界からいろいろ今、アクティビストだとか、短期的なリターンを求めないといけないというか、そういう圧力とか、いろいろな状況、マクロな状況がありますが、私はAeroEdgeに来てから、やはり成長戦略、CTO的な役割として、そういったところを担わせてもらっているときに、コロナもありましたし、実はボーイングの墜落事故とか、いろいろなものがあった中で、過去10年間、やっぱりR&Dの投資というのを緩めたことはないんですね。
こういった難しい分野において、人材育成、非常に時間もかかりますし、私ども産業界としても、その全ての育成や、そういった教育を大学、大学院に全て委ねるという姿勢も絶対に間違っていますので、そこはきちんと採用させていただける体制を企業側が整え、また、入っていただいてからもきちんと彼らが活躍できるR&Dの予算を企業が用意し、フィールドは全部自社できませんので、ここにおられる皆さんとともに、資産の共有化というのもありましたけれども、そういったところで本当に産学で一緒にやっていくのだというのに尽きるかと思っています。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
では、続いて河原林委員、お願いします。
【河原林委員】 私も水田CTOと伊藤塾長、両方に質問があるんですけれども、まず、水田CTOのほうに、私はコンピュータサイエンス分野なので、例えばGoogleのセルゲイ・ブリンだとか、ペイジだとかを見て、彼らはポスドクから起業していたりしていて、そのほかにもオープンAIとか、Googleのリサーチ部門、CTO部のCSO部門とかというのはやっぱりリサーチ上がりの人が出ているというのは普通に見ているし、日本でもPFN、そんな感じですね。あんまりそんな遠くはないということで、あんまりイメージが浮かんでいないのですけれども、そういうところとは違うものなのかなと思いながら聞いているので、その辺のところをクリアにしていただきたいと思います。特に情報分野、AI分野というのは、研究開発とその製品、特にChatGPTとかGeminiとか見て、すごく近いので、こういうところにおいてのだと、多分、今おっしゃっている話と若干違うのかなという、その辺のところをお話しいただければなと思います。
すみません、もう1回、伊藤塾長にもちょっと質問があるんですけれども、ここで1回止めたほうがいいですかね。
【千葉部会長】 では、まず水田さん。
【河原林委員】 お願いします。
【AeroEdge(水田)】 いわゆるAI、ソフトウエア関係で言う、今おっしゃっていただいたことは、まさに全くできているよねという話なんですよね。リサーチインスティテュート、リサーチャーからサイエンティストがいろいろアイディアを製品化、サービス化していくということが非常にできている。ここはソフトウエア産業におけるCTOというものの定義とハードウエアとか、それを伴うテクノロジー企業のCTOというのは、またちょっとニュアンスがこれまた違うんですよ。なので、Chief Information Officerとか、何かその辺のCIOとCTOがごっちゃになったり、ディフィニションも結構、人によってあるのですが、私がここで特段、そういったソフトウエア、あるいはプラットフォーム企業と異なるイメージで持っているのは、やはりハード・イズ・ハードというか、誰かが言っていましたよね。
物を作るというところでの、いわゆるアルファ版が許されないプロダクトとかもあります。そういったところが若干、まさにソフト、デジタルとフィジカルの産業のブリッジもできないといけない。こういったところも含めてのCTO、それ、双方向ですね。AI関係の人であればハードを理解したソフトウエアの実装、使い方、使われ方、想像できないといけないですし、ハード側はAIに関することは全く分からないということでは話にならないので、そこもブリッジできるような人材が必要ということで、ソフトウエア関係では比較的、繰り返しですが、そういったサイエンティストからの実装というのは比較的早く、うまくできていると思っていますが、特にハード系からのというのは非常にハードルが高くて、あまりうまくできていないというところから問題提起をさせていただいています。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
【河原林委員】 どうもありがとうございました。
【千葉部会長】 では、続いて。
【河原林委員】 はい。伊藤先生のところへ少しだけ。これ、自分も慶應出身なので期待しているところが多いんですけれども、人材育成のところだけ、聞きたいところがあって、今、いわゆるChatGPTだとか、そういうものの支えというのは30前後の人たちで、その人材というのは十何年前に大学を卒業しているんですけれども、そのとき何が起こったかというと、2012年、13年ぐらいに情報系及びデータサイエンス系の大学の志望者が5倍、10倍になって定員を増やしたということがずっと起こって、それ、企業もお金をかなり入れているはずなんですね。それを先導したのは、たしかスタンフォードだとか、CMUとか、これ、やっぱり私立大学が先導しなければいけない。これ、明らかに今の時代を見ると、その当時が、人材育成のゲームチェンジだったと思うんですね。そのゲームチェンジに日本はついていけたかというと、残念ながらついていけていない。
こういうことが、多分、日本でできるとしたら、国立大学、そこまで余裕がないから、本来、私立大学でかつ最も余裕がありそうな慶應大学が本来やるべきなのかなというふうにすら思っているんですけれども、そういうリーダーシップを取って何かゲームチェンジに対して攻めていくとか、そういうことというのは今までやられているのか、あるいはこれからもやられるのか、特に人材面であれば、そういうことがあればちょっとお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
【慶應義塾大学(伊藤)】 御無沙汰しております。ご質問ありがとうございました。まさにご今指摘いただいた「先をゆく攻めのリーダーシップ」を、新たな研究群といった仕組みを使って実践していきたい、これに尽きると考えております。私自身も世界の様々な大学の状況を見ておりますが、御指摘のとおり、次の時代を先導する一手をいかに打つかが極めて重要です。例えば、今から既存の情報工学科の定員を増やしたとしても、現在はChatGPTをはじめとする生成AIが高度なコーディングをこなす時代であり、米国でも中途半端なスキルでは通用しない状況が生まれています。では、その先を行くために何が必要かと言えば、答えのある問題は生成AIが正解を出すからこそ、人間だからこそできる領域に集中していかなければいけないということです。本学では、その先を創り出す取り組みを、J-PEAKSや新たな研究の推進を通じて行っています。国が掲げる17の成長分野という切り口に対応することはもちろん、そのさらに次となる、新たな成長分野そのものを自ら創出していくことこそが、本学の大きな目標であると考えています。ありがとうございました。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
それでは、時間との関係で、今、浅井委員と西村委員が手を挙げていただいていますので、お二人の質問までとさせていただきたいと思います。
それでは、浅井委員、お願いします。
【浅井委員】 浅井からは伊藤塾長に御質問があるのですが、先生のスライドの中で、AIキャンパス構想ということで、大学の全てのいろいろなことにAIを今取り入れられて、非常に大きな投資をされている。本当に日本の最先端で大学を変えようとされていると思うのですけれども、我々のような中小の大学ですと、それをどうやって今後、我々の大学にAIを導入していくという、まだまだそういう段階だと思うんですね。研究力を強化するに当たって、今後、例えばより効率よくどういうところにAIを導入して投資していくと、より研究力を高めることになるかという辺りについて、もしこれまでの先生の御経験から何かサジェスチョンいただけるようなことがあればと思い、質問させていただきました。
【慶應義塾大学(伊藤)】 ご質問ありがとうございました。資料21ページのAIキャンパス構想についてお答えいたします。AIが今後どのような方向に展開していくかは、現時点では誰にも明確には分かりません。だからこそ本学では、私の塾長任期を通じて、あらゆる先端企業と連携しながら、研究、事務、そして特に大きい教育の分野において徹底的に実装を進め、走りに走っている状況です。私たちの大きな望みは、最終的に日本がデジタル上の独立性を保つために、日本独自のAIが誕生することです。このような希望的観測のもと、本学がまずは「実験キャンパス」としてAI導入のテンプレートを構築し、3年ほどかけて一定の方向性を示すことで、日本の大学界の「次の一手」に貢献したいと考えております。将来的に、日本の独自性を保ついわゆる「ソブリンAI」が国内企業などから登場した際、本学の実験の失敗も含めて、「このような形で研究や教育に活用していけばよいのだな」と、他大学の皆さんに少しでも参考にしていただければと考えております。そのために、今は徹底的に走るということを行っておりますので、その実験結果をいろいろと公開していく方針です。ぜひ参考にしていただきたい、という一言に尽きます。ありがとうございました。
【浅井委員】 どうもありがとうございました。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
では、最後に西村委員、お願いします。
【西村委員】 すみません、時間がないところ、ありがとうございます。今日、お二方からこの話を聞けて、とても私は感銘を受けて、理想的なことをされているなと思いました。まず、それが感想です。その上で、共通に多分、自立という言葉が何となく響いていて、そうすると、その組織を支えていく人材像というのが、当然、教職員だとか社員の中にあると思うのですが、そういった人材像を描かれているのかどうか。つまり、自立させるために慶應義塾大学であったら、こういう人材でなければ、ここで働く人材であれば、こういう姿であるとか、そういったことが先ほどの水田さんのところの企業でもあるのかということ。
あともう一つは、その雰囲気を維持しなければいけないためには、人材の評価というのも多分、徹底されているのかなと思っていて、そういったことの評価についての考え方というのが、今日あんまりお話がなかったのでお聞かせいただけると助かるんですけれども、よろしくお願いいたします。
【千葉部会長】 非常に難しい重要な観点なのですけれども、塾長、いかがでしょうか。
【慶應義塾大学(伊藤)】 まず、私からお答えします。本日、資料の2ページ目で最初に本学の「原点」をお話しいたしましたが、これは一見、誰もが理解しているようでいて、実は深く浸透させることが難しい原点でもあります。私はこの4年間、学内で徹底してこの原点を説いてきました。特に「進まざるは必ず退き、退かざるは必ず進む」、つまり「現状維持を目指した瞬間に後退が始まる」という考え方です。国立大学の運営費交付金が毎年削減されているような現在の厳しい環境下において、現状維持は不可能です、だからこそ、私たち自身がどのように成長していくかという攻めのマインドセットが絶対必要となります。例えば、慶應義塾の事務職員と話をしていますと、「教育に貢献したくて事務職に就いた」、「営業成績に追われたくないから企業から大学に転職してきた」という声を聞くこともあります。しかし私は、「塾生のために我々が積極的に動かなかったら、大学の発展はない」ということを、この4年間、彼らと随分熱心に話し合いを重ねながら伝えてきました。本学の事務方はもともと着実で完璧な、非常に優秀な組織です。そこに甘んじることなく、もう一度原点に立ち返って「常に前進するのだ」という方向へマインドセットを変え、そうした行動を生み出す仕組みをつくっていく段階にあります。これは伝統的に自然と続いてきたわけではなく、この4年間、徹底して対話を積み重ねてきたことで、何とかここまで意識を変革させてきたというのが、偽らざる実感でございます。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
では、水田CTO。
【AeroEdge(水田)】 AeroEdge、言い訳になってしまうんですけれども、まだまだ10年の会社なんですね。今、コーポレートカルチャー、いわゆる企業文化の醸成も次の10年でベースを作っていくものだと思っています。私、CTOなのですけれども、実はCOO兼務なんですね。Chief Operation Officerということで、いわゆる量産事業とか組織の育成、この辺りも全てを管掌させていただいています。やはりトップのリーダーシップとして、このような自立人材とはこうあるべきとか、いろいろなことは当然、スピーチもしますし、いわゆる彼らと接するときに、いろいろ直接、私の言葉で伝えるのですけれども、なかなか私が7年目ぐらいまで、ある種、我慢したことがありまして、それは何かというと、絶対にトヨタの事例とか、海外ではこうとか、そういったことは言わないでおこうとか、言うべきではないなというふうに思って、ある種、胸にしまってきました。
ただ、違う言い方で、それを目指すというか、それに向かっていくんだよということを、ビジョン、そこは言わなかった日はありません。目指すべきところを言い続けて、そろそろIPOもして、少し部分的に成熟してきた部分もあって、準備も整ってきたので、今はあえて私たちの量産事業というのは、日本が誇るトヨタ生産方式を徹底的に導入しているんですね。もう8年ぐらいになりますけれども、こういったところをやろうとしたときに、やはり人間尊重とか、コミュニケーション、チームワークというのは非常に重要ですので、そういったところを評価の基準、そういったことができているかどうかを評価の基準にもしますし、日々教え、また、彼らに実践してもらってフィードバックしているというのが、本当に泥臭い現場の育成の状況です。
【千葉部会長】 どうもありがとうございました。
委員の皆様からも非常に活発に御意見、御質問いただきまして、感謝申し上げます。本日は冒頭、経産省の川上室長から新たな、本当に新しい考え方、文科省と経産省がしっかりとつながって、大学の研究力に双方から力強く支援をするということ。それから、慶應義塾の伊藤塾長、AeroEdgeの水田CTOから、新しい大学、あるいは産業界とのつながりについてのお考えをいただきました。伊藤塾長がおっしゃったように、現状維持を考えた時点で、既にこれは後退するという、後ろに下がるということ、これはどの分野でも我々は常に意識しないといけないことではないかなと。大体、人間は今のままでいいじゃないかと思いがちなんですけれども、それだともう後ろに下がっていくことですというのは、これはもう大学人としてもみんな共有しなければいけない重要なメッセージだと思いました。
一方で、今日の例にある非常に優れた取組とかというのが、全ての大学にそのまま当てはまるわけではなくて、逆に言うと、その考えもあるけれども、また違う切り口で自分たちは先進的に前に向かうというところも多々あるのではないか。そういうことがあっていいのではないかなと思いますので、ぜひ今日御視聴の皆様も、今日の内容を振り返りつつ、独自の路線というのもしっかりと考えていただけるとありがたいと思います。
それでは、本日は以上となります。本日の議論も踏まえつつ、次回以降も引き続き検討を進めてまいります。
なお、運営規則第7条に基づき、本日の議事録を作成し、資料とともに公表することになっております。本日の議事録については、後日、メールにてお送りしますので、確認のほどよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして第7回大学研究力強化部会を閉会いたします。本日は、ありがとうございました。
―― 了 ――
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