令和8年3月18日(水曜日)12時30分~14時30分
文部科学省内会議室及びオンライン
(部会長)千葉一裕委員
(部会長代理)大野英男委員
(委員)浅井清文委員、荒金久美委員、飯田香緒里委員、梶原ゆみ子委員、片田江舞子委員、河原林健一委員、木部暢子委員、新福洋子委員、関谷毅委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員、山崎光悦委員、吉田和弘委員
(事務局) 西條科学技術・学術政策局長、淵上研究振興局長、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、井上科学技術・学術総括官、国分産業連携・地域振興課長、俵大学研究基盤整備課長、小川大学研究力強化室長、小野大臣官房文教施設企画・防災部計画課企画官 他
大阪大学熊ノ郷淳学長、名古屋大学杉山直学長
【小川室長】 それでは、ただいまより第6回の科学技術・学術審議会大学研究力強化部会を開催いたします。
本日は御多忙の中、御参加いただきまして、どうもありがとうございます。
まず、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の配付資料一覧にある資料を事前に御連絡しておりますけれども、欠落等ございましたら、お申し出てください。
本日は、文部科学省の会議室とオンラインのハイブリッドでの開催としております。委員の皆様におかれましては、音声はミュートに、映像は可能な限りオンにしていただきまして、質疑応答の際は御発言いただく前に挙手ボタンを押すか、画面内で確認できるように挙手いただければ幸いです。当てられた方のみ、ミュートを解除して発言をお願いいたします。
また会議中、事務局から事務的なメッセージをチャットからお送りする可能性がございます。
なお、本部会は原則として公開で行うこととしております。本日は、事前に登録いただいた方に動画を配信しておりますので、御承知おきください。
本日の委員の出欠状況としましては、小野委員から御欠席の御連絡をいただいております。
以上でございます。
千葉部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
【千葉部会長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。本日の議題は、大学研究力強化に向けた取組についてです。
最初に事務局より、新たな支援策の方向性について、及び、産学連携・地域振興部会の中間まとめ骨子を説明いただいた後で、我が国の成長の中心として世界で存在感を示す研究大学へ発展させるための新たな支援施策の検討に向けて、大阪大学と名古屋大学から、ヒアリングを進めてまいります。
それでは、事務局から説明をお願いします。
【小川室長】 資料1-1、新たな支援策の検討の方向性を御覧ください。
1ページ目でございます。こちらは、これまでの部会におきましても示しておりましたが、国際卓越研究大学やJ-PEAKSに加え、高い研究力を持つ大学を我が国の成長の中心として、世界で存在感を示させ、将来的には、世界と伍する研究大学へと発展させるべく、必要な方策を検討いたします。
研究力強化に向けた取組は幅広く、こちらに記載があるように、運営費交付金から科研費などの個人研究向けの支援。また、大学の枠組みを超えたコミュニティーの支援。さらに研究大学が具備すべき要素ごとのメニューへの支援。さらに一番上ですけれども、研究大学のガバナンスに基づいて、大学のビジョンに対する全学的な支援を整理してございます。
昨今の高市政権での検討の中身や環境の変化などを踏まえれば、こうした我が国の成長の中心として世界で存在感を示す研究大学をしっかりとつくっていく必要があるため、これまで議論いただいてきました。
2ページ目でございます。こちらは、本部会における新規施策の検討に向けたこれまでの議論の経緯でございます。前回は、CRDSの永野様から産学連携における構造的課題と解決方策と題して、産学連携の現状、データなども踏まえた分析を御説明いただきました。
また、小泉先生からは、経済圏のエコシステムの中心として発展する新しい大学像と題して、EUの大学の枠組みである、European University Associationが提案する第4世代大学の構想について御説明いただきました。
本日は、大阪大学と名古屋大学から、各大学の具体的なビジョンや、今、何が現場で起きているのかを御説明いただく予定でございます。
3ページ目でございます。前回の議論の整理でございます。包括的な産学連携の在り方や、広域経済圏の中心となる大学像について、それぞれ御意見いただいております。
少し紹介いたしますと、企業にとって重要なのは特定の大学との関係ではないと。大学の潜在的な研究シーズを知る機会が少ないので、小規模な探索的な共同研究会から始まることが多いと。さらにこれらがより可視化されれば、投資が拡大する可能性もあるのではないか。
規模が小さい要因は人材への対価の仕組みが組み込まれていないからではないか。大学生や院生など、研究に実際に関わる人材の貢献が適切に還元されて、回っていく必要があるのではないか。
企業研究者の常駐など、企業側の具体的なコミットがある取組ほど、やはり成果が上がるのではないかなど、大学の研究シーズの見える化や、よりもう一歩踏み込んだ企業側の関わり方を御意見としていただきました。
また、広域経済圏の中心となる大学像という意味では、例えば、国としてより広域的な経済圏を見据えたエコシステムの枠組みも検討すべきではないか、また、例えば、達成状況に応じてファンディングが変化していくような新たな仕組みも、これは施策を実行する政府に求められることかと思いますが、支援策として検討すべきではないか。
研究大学改革は、縦だけではなくて横の連携によるシナジーを生み出すような形で進めていくべきではないか。
学内でプログラム対象とそれ以外で分けるのではなく、研究と教育を一体として、大学全体で取り組む姿勢が重要なのではないか、こういった御議論を前回いただいてございます。
次のページでございます。こちらは1月14日の大学研究力強化部会で議論されたヒアリングの観点でございまして、例えば、ここで矢羽根に赤字でつけておりますけれども、地域のエコシステムや重要技術分野を中核として世界の産業界から大学に投資を呼び込んでいる事例についてヒアリングを行うということでございます。
5ページ目でございます。繰り返しになる部分もございますが、前回CRDSとか、小泉先生から産学連携の現状ですとか、成長する大学モデルに関するヒアリングを実施いたしました。今回はそういった大局的な議論を踏まえ、改革を実際に進めている研究大学における現場での取組状況、改革構想に関するヒアリングを通じて、世界で存在感を示す研究大学群を形成するための支援策に必要な論点について検討を深めたいと考えております。
政府全体の動きについて、最後に少し補足させていただきます。6ページ目でございます。高市政権におきまして、成長戦略の検討体制として、日本成長戦略会議の下に様々な会議体が置かれてございます。左側の戦略分野分科会では、17の戦略分野において、官民連携での成長投資の促進のために何が必要かを議論していただいております。
また、分野横断的な課題への対応として、文部科学省としては、特に文部科学大臣が人材育成分科会という形で担っているところでございます。また、経済産業大臣が担う新技術立国や、競争力強化を御議論いただいていると認識しております。
次、7ページ目でございます。こちらは、文部科学省で対応している人材育成分科会の立てつけでございます。高校教育改革や、リ・スキリングに加えまして、赤枠で囲っている産業イノベーションを牽引する研究大学や国研の機能強化についての検討として研究大学群への支援についても、この成長戦略の枠組みの中でしっかり見直しているということ。
また、少し後ろに参考資料をつけておりますけれども、22ページ目、文部科学省と経産省の間で、共同で勉強会を実施しておりまして、そういった研究会の活動も通じて、文科・経産が一体となって、しっかりと議論を進めていきたいと考えております。
8ページ目でございます。こちらの特定の分野において強みを持つ大学について、本日は、17分野について少し触れさせていただきましたので、分野の切り口で少しデータを紹介させていただきます。
ディシプリンベースで、科学ですとか、物理ですとか、工学ですとか、こういったところで細かく論文の分析をする際に、第1、第2、第3、第4と大学全体でどれだけ論文を出しているかというところでグループ分けしていきますと、大学全体としては、そこまで多くの論文を出してない大学であっても、特定の分野については、非常に活発に論文が生産されている大学があるというところが、見て取れるかと思います。
ディシプリンベースの分野と、今回は17分野として戦略分野が挙げられていますけれども、これは必ずしも1対1対応しませんので、少しそれを試行的に整理したのが、9ページ目でございます。
例えば、AI・半導体とか、量子とか、こういった区分けで分けていきますと、量子の中にも様々、量子コンピューターもあれば、量子センシングもあれば、量子マテリアルもありますので、こういったところについては、必ずしもディシプリンベースの論文の区分けと一致しません。
ただ、AIなども活用して、事務局で、例えば、航空・宇宙ですとか合成生物学、こういったところの各分野に対して、論文のこれまでの分類がどこに一番対応し得るかというところを整理した上で、大学ごとに、どういった分野に論文を多く出しているかというのを可視化いたしました。いろんな仮定は、今、申し上げたとおり置いており、試行的なものとして、あくまで全体のトレンドを見るためのものとして使っております。その意味で、大学名は伏せさせていただいております。
全体的な傾向としましては、やはり各領域に関連するインパクトの高い研究成果を生み出す大学は、結構まばらになっている、分野によって変わるのかなというふうな傾向が、やはり見て取れると考えられます。
その上で、少し個別の技術について事務局のほうで挙げ、文科省の中で議論して整理したものが、11ページ目でございます。ここに挙げられているものだけではないですが、例えば、我が国の研究大学におきましては、東北大学のスピントロニクスはAI・半導体、筑波大学や慶應義塾大学は、昨今はAI関係の投資を大きく呼び込む取組も進めておりますし、フュージョンについても大学間で連携しながら。また、航空・宇宙で、東京大学はJAXAと共同で、月探査ミッションの可能性を広げるような技術実証を行っております。
本日、御説明いただく大阪大学におきましても、量子コンピューターをしっかりと拠点化して力を入れていただいておりますし、名古屋大学におきましても、例えば、WPIの取組で、化学系の合成関係の研究を盛んにしておりまして、実際に社会に貢献するような成果も、どんどん生み出しているというところでございますので、やはり17分野を、日本としてさらに成長していくためにどう使っていくかというときには、大学の貢献というのは欠かせないのではないかということが、ここからも見て取れるのではないかと考えております。
12ページ目でございます。繰り返しになるので細かいことは申し上げませんが、本日のヒアリングにおける論点でございます。大学が自らの強みを生かし、我が国の重要技術分野に大きく貢献していくために必要な要件は何か。
また、広域経済圏の中心として、重要技術分野に貢献するためにどんな仕組みが必要なのか。
また前回、CRDSからも御説明いただきましたけれども、知の価値化の隘路とは何なのかと、どういった取組をしていけばいいのかといった論点について御議論いただければと思っております。
この後の産学連携・地域振興部会の中間まとめにおきましても、この点がかなり大きく関わってきますので、事務局から、引き続き御説明させていただきます。
資料1-1については、以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございました。
引き続き、産学連携・地域振興部会の中間まとめ骨子について、事務局より説明をお願いいたします。
【国分課長】 産業連携・地域振興課長の国分と申します。よろしくお願いします。私から、資料1-2で御説明させていただきます。
まず、この産業連携・地域振興部会は、大学研究力強化部会と同じ科学技術・学術審議会の下で運営されておりまして、委員の一覧としては、この2ポツにございますように、旭化成の久世取締役を主査として、また、当部会の千葉先生にも主査代理という形で議論していただいているところでございます。また、荒金委員も、こちらの部会と共通の委員でございます。
こういったメンバーで、産学連携・地域振興の政策について議論を続けてきているわけなんですけども、特に去年から今年にかけて、第7期の科学技術・イノベーション基本計画の議論が深まっており、「科学とビジネスの近接化」というキーワードがより強調されていく中で、産学連携の施策として、今後どういうふうな方向性で取り組んでいくべきかということを一旦まとめるために、議論を進めているところでございます。
そういった意味で、先ほど、小川室長から説明があったとおり、この部会での議論とも非常に親和性が高いと思っていますし、また、先ほどの議題の最後に3つほどを提示させていただいた論点に対しても、幾つか御紹介できるような内容もあると考えておりますので、本日は簡単にですけれども、御説明しに来た次第でございます。
次のページをお願いします。こちら、3月中に中間まとめという形に持っていく方向で、今は骨子まで議論していますけれども、全体の大まかな内容について、3枚ほどのポンチ絵でお示ししています。
こちらにございますとおり、大学が、もしくは文部科学省が産学連携をしていく役割というのを、もう一度見つめ直そうというところから議論がスタートしております。産学連携の役割は当然、社会の発展への貢献とか、地域振興とか、もしくはウェルビーイングとかいろいろあるわけなんですけれども、それだけではなくて、当然、大学の研究力の強化にも資していくはずのものであると考えております。
こういったふうに考えたときに、まず、一番下の青い矢印をたどっていくと、これは、旧来から行われている産学連携のモデル、リニアモデルと書いていますけれども、多様な学術研究の成果、これを応用研究、開発研究に発展させていき、それを産学連携という仕組みによって社会貢献、地域貢献とか、社会課題解決につなげていくというのが、基本的な産学連携の姿だったと思います。
ただ一方で、近年、先ほど申し上げた「科学とビジネスの近接化」ということを考えたときに、研究から生まれてくる資金、人材、新しい知といったものの流動性が高まってきていると考えています。このため、こういった要素を次の研究力の原資として、きちんと大学の経営のところにお戻しして、これを大学の経営力によって、さらに大学の中で多様かつ戦略的に資源配分をしていくという、エコシステムがつくれるのではないかと考えています。
ここで、多様かつ戦略的なというのは、必ずしも、要はもうかるところだけでぐるぐる回す話ではなくて、きちんと大学としての総合的な、アカデミックな意味での研究力を上げていくために、例えば、基礎研究とか人文社会とかも含めた形で、そういった意味で戦略的に、多様な形で資源配分をしていくということで、大学の研究力の底上げにつなげていくということができるのではないかということを、この緑の矢印の中でお示ししているところでございます。
またさらにもう一段、赤い矢印をつけさせていただいていますけれども、これまでの産学連携の取組ですとか、その他の社会的な状況も踏まえて、各大学というのは、大学の中だけで閉じた形で産学連携をやっているのではなくて、各自治体ですとか産業界、そして金融機関等も含んだ形での、外部と一体となったネットワークというのができつつあるというふうに認識しています。
そういった開かれた研究大学として外部とも融合した、有機的につながった形で産学連携を行っていくことで、さらに研究力の底上げということへのレバレッジを利かせることができるのではないかと考えているところでございます。
こういった絵を、なるべく最適化し、効果的に回していくために、必要な要素として、右下のところにエンジン1としている産学連携の歯車と、それから緑の、大学経営力の強化のところについているもう一つの歯車、エンジン2と書いていますけれども、大学の経営力の強化と、こういった2つの要素が重要だと考えておりまして、それぞれのエンジンについて、次のページと次の次のページで、より解像度を上げた形でお示ししています。
では、次のページをお願いします。こちらが、先ほどの右下にあった産学連携のエンジンでございます。この真ん中の絵にございますように、左上から緑の研究成果が流れ込んできたとした場合に、この緑のところで、スタートアップや共同研究の創出支援を行い、そして青いところで、新たな知財ガバナンスですとか、なるべく早期から知財のガバナンスを行っていった上でスタートアップの成長支援も行い、このまま、先ほどの1枚目でいうところのリニアモデルでいえば、右下の社会実装というふうに流れていくんですけれども、ここに対して赤いところにあるように、収益化戦略とか、要は知の価値化、価値を最大化していくということを行い、さらにそのための人材も確保していくことによって、オレンジのところにありますように、資金、人材、新たな知といった要素を、次の研究力の原資としてくみ上げるという循環ができるのではと考えておりまして、それぞれの色ごとに必要とされる機能を、このページの両サイドにお示ししている次第でございます。
また、こういったことをうまく回していくために重要な要素として、右側の水色の四角枠で囲んでおりますけれども、今現在は、全国を9つのプラットフォームに分けた形で、大学発のスタートアップの支援を行っているんですけれども、こういったプラットフォームをさらに横串につなげる、全国的なネットワークにしていこうという取組を我々のほうで行っておりまして、こういった取組によって、地域性も加味したプラットフォームの戦略的な特色化ですとか、国際展開に向けたリーチですとか、またはプラットフォーム自身の自立化とか、先ほど申し上げた自治体・金融機関との連携、こういったことを横串を通していくということで、全国的に産学連携のレベルをアップしていくということができるのではないかと考えております。こちらが、産学連携の歯車で重要な要素としてお示ししたものでございます。
そして、次のページをお願いします。こちらは、そうやって吸い上げられてきた原資を、どのように大学の中に再配分していくかという観点から、大学の経営力の強化というのが求められてくると考えておりまして、こちらの図は、J-PEAKSで取り組まれている内容を例に、なるべくユニバーサルな形でお示ししたものでございます。例えば資金のところで申し上げますと、左上のように、先ほど冒頭に私が申し上げたアカデミックなところも含めて、大学の研究力強化のために、アカデミックな意味での価値に対しても含めて投資していくという、再投資していくという方法。
それから右上にございますように、知の社会実装に向けて、また新しい産学連携として回していくというやり方がございます。
また、左下の研究環境ですと、昨今よく言われている研究時間の確保ですとか、コアファシリティーの取組などがございます。
また、右下の人材のところで申し上げますと、人給マネジメント評価の実施ですとか、もしくは、複線型の人事制度の導入。複線型というのは、例えば研究者であったり、URAであったり、技術職員だったり、様々な職種が大学の中にございますが、こういった人事を複線化していくという取組も、J-PEAKSの中では行われております。
また、ほかに若手研究者とか博士人材への支援なども、こういった人材への投資の取組の中に含まれると考えています。
こういった形で、これらを総合的に大学の経営力の中で取り組んでいくことで、先ほどの歯車をより強力に回していくということができるのではないかということを、この部会での中間まとめにしていこうと考えています。
ここで重要なのが、やはり大学の経営陣が、きちんと産学連携という取組に対して強いコミットメントをよりしていくということ。そして、そういった産学連携という機能を、外部の、例えば、産学官金の関係機関とともにコミュニティーをつくって、そこと強い連携の下で産学連携を進めていくということ。こういったことが、特に重要ではないかと考えているところでございます。
本日ご紹介した内容は、先ほど申し上げましたとおり、3月中に中間まとめを行う予定ですし、またこういった、今、私がやっているように、各関係する委員会でも御紹介を続けていこうと考えているところです。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございました。
次に、重要技術分野を活かし自らの強みを伸長させる大学経営戦略について、国立大学法人大阪大学、熊ノ郷淳総長より発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【大阪大学(熊ノ郷)】 大阪大学総長の熊ノ郷です。このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、重要技術分野を活かし自らの強みを伸長させる大学経営戦略というテーマで、本学がこれまでどのようにとんがった研究分野を育て、それを大学の成長につなげてきたのか。そして今後、さらなる発展に向けてどのような取組を進めていくかについて、具体的な例を交えつつお話をさせていただきます。
まず最初に、大阪大学のバックグラウンドについて紹介させていただきます。大阪大学は、源流の一つを緒方洪庵の適塾に持つ大学です。現在も当時の適塾の建屋を保存管理し、大切にその伝統を受け継いでいます。そして1931年、「大阪にも帝国大学を」という当時の大阪の経済界、政界、そして市民の熱い思いによって、大阪帝国大学として設立されました。以来、本学は「地域に生き世界に伸びる」という理念のもと、地域の課題に向き合う中で、世界の「いのち」を守ってまいりました。また、社会の課題に向き合う中で、未来の「暮らし」をデザインしてまいりました。
例えば、1930年代、当時の大阪は食中毒と結核が猛威を振るっていました。感染症を何とかしようということで、微生物病研究所が設立され、さらにワクチン生産のための大学スタートアップの先駆けであるBIKEN財団が設立されています。1934年のことです。
また、結核の研究の中で我が国の免疫学が確立され、その中で、IL-6というサイトカインが発見され、さらに当時先駆けとなる産学連携研究の中で、我が国で最初の抗体薬が開発され、現在ではブロックバスターとなり、世界で累計6兆円の売上げになっております。
また昨年、大阪・関西万博が大成功を収めましたが、1970年、大阪の千里で万博が開催されました。当時の課題は、いかにして大量の乗客を運搬するかでしたが、本学の産学連携研究の中で、世界で最初の自動改札機が北千里駅に設置されています。
また直近では、昨年7月に全ての部品が純国産の量子コンピューターの開発に成功しています。
特筆すべき現在の指標としましては、我々アカデミアのプライドである世界トップレベル研究拠点プログラムWPIに、本学は2拠点採択されています。
そのほか、女子学生数、女子研究者数、実用新案特許の取得数、世界大学のランキング、industryの指標、また、参考資料の16にありますように、大学の予算に占める産学連携収入、寄附金収入の比率が最も高い大学であるという特徴があります。これらの背景、実績、そして強みを生かし、さらなる発展に向けた大学改革を現在進めています。その取組について、以降のスライドで紹介させていただきます。
現在、本学では、研究力の強化に向けた全学的な組織改革を進めています。その1つが、この4月に設置予定の学術研究機構です。ここでは従来の部局の垣根を越え、研究者同士が自主的・自発的に連携できる体制を整えていきます。加えて、人事プロセスにつきましても、より透明性・戦略性の高い仕組みへと改革します。プロボストが選考計画や採用プロセスを確認することで、国内外から優秀な研究者を確保していきます。このように大学が責任を持ってプロジェクトを遂行できる仕組みを整え、「投資に値する大学」と評価されるガバナンスを確立していきます。
この体制を実際に動かしていく上でのドライビングフォースの1つとなるのが、大阪大学の強みでもあります、6つの戦略的研究領域です。重点研究領域の3領域としましては、免疫学・オルガノイド、量子情報・生命、そしてフュージョンエネルギー、さらに、それに続く3つの重点研究領域として、感染症・創薬、バイオものづくり、そして造船の3領域があります。
これらの分野は、いずれも本学の看板となる研究領域でありまして、これは参考資料の17にありますように、もう既に大型の産学連携や、多くのスタートアップが生まれています。今後は、しっかりとした基盤研究をさらに強化するとともに、その社会実装を進め、我が国の健康・経済・安全保障にも貢献していきたいと考えています。
ここからは、重点研究3領域について、これまでの具体的な取組を紹介させていただきます。
まず、免疫学・オルガノイド領域です。本学の免疫学フロンティア研究センターの坂口志文特別栄誉教授が、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。これは本学が、免疫研究において世界的な強みを持つことを象徴すると同時に、2007年にスタートしました文科省のWPI事業の10年間の研究支援の後に、中外製薬との10年100億円の包括連携、また、大塚製薬、BIKEN財団から同等の包括連携支援を得て、阪大ならではの産学連携による継続的な支援がございました。その流れは、2021年の日本財団との10年230億円の支援で設置された、感染症教育研究拠点CiDER、2022年に設置されたワクチン研究拠点CAMaDへと発展しています。
今後は、参考資料の18にありますように、本学の2つ目のWPI拠点である、ヒューマン・メタバース疾患研究拠点、メタバース疾患拠点、PRIMeとともに、大阪府の成長戦略であるBeyond EXPO 2025にコミットし、大阪のライフサイエンスクラスタの中核を担っていきたいと考えています。
次に、量子情報・量子生命領域を紹介させていただきます。この分野は、総長が早い時期から将来性のある重要分野を見極め、研究クラスタとしてインキュベートし、そしてそれをベースに、COI-NEXT、ムーンショット、Q-LEAPといった大型の国家プロジェクトの支援を得て、世界最先端の研究拠点へと発展させた好事例になります。
この拠点では、大学発スタートアップの創出に加え、産業界や国立研究機関との人材育成のコンソーシアム、さらに学位プログラムの新設など、量子コンピューターという先端技術を核とした社会実装と人材育成が進んでいます。
特に重要な成果は、我が国初となる完全国産の量子コンピューターを昨年7月に完成させたことです。その中で、量子技術とはこれまで無縁だった企業も巻き込みながら製造を実現させたということは、参加企業にとって新たな可能性を切り開くものとなりました。今後は大阪府とも連携し、関西に量子を中核とした新たな産業を創出することを目標としています。
次に紹介するのが、フュージョンエネルギー領域です。本学が、その基盤となるレーザー科学研究所を設立したのは、もうこれは50年前になるんですけれども、2010年に共同利用、共同研究拠点となって以来、国家戦略に沿った資金支援を受けながら、現在では、高繰り返し、高効率のパワーレーザー技術という、世界をリードする唯一無二の技術基盤を確立しています。この技術開発を共に進めてきた企業である、オカモトオプティクスは、当初は小さな工学研磨の加工の会社でしたけれども、現在では、海外の企業や国際研究機関にも製品を供給する企業へと成長しています。
加えて、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略、国家戦略技術領域として明確にコミットしながら、宇宙レーザー利用等の新産業の創出、技術の海外展開によって国際競争力と経済安全保障を向上してまいります。
次に、産業界と連携した高度人材育成、特に大阪大学の強みでもあります協働研究所、これは2011年に設置されました。また、共同研究講座、これは2006年。これらを活用した人材育成について紹介させていただきます。
本学では、全国に先駆けて2012年にIndustry on Campus構想を掲げまして、協働研究所や共同研究講座といった独自の産学連携モデルを構築してきました。そして、現在このモデルをさらに発展させ、企業に所属したまま、共同研究講座で博士号取得できる仕組みの整備をしています。
今後はこれまでの実績を基盤に、契約学科や産業・科学革新人材事業などの制度も活用しつつ、産業界と連携した人材育成をさらに拡大していきたいと考えています。
ここまで、4つの具体的な事例を紹介させていただきましたが、本学の成長戦略を一般化したものが、このスライドになります。
まず、総長がポスト、研究費、施設などの戦略的な投資を行い、公的な支援も受けながら研究拠点化を目指します。次の段階では、包括連携、共同研究講座・協働研究所を活用して、産業界との組織対組織による大型連携を進めることで研究規模を拡大します。さらに研究成果をもとに、スタートアップの創出や知財活用の支援を行い、社会実装を加速させます。これらの支援は、2018年に設置されました共創機構が、迅速に意思決定する体制を整えております。そして今後はさらなる成長に向けて、経済圏との近接化、そして地域経済の成長につなげる体制強化を図っていきます。
本学では、企業との共同研究から産学官連携推進活動経費を確保しまして、研究支援を継続的に行うことができる持続的なエコシステムを構築しておりますが、左側の棒グラフが、共同研究費の獲得実績になります。見ていただいて分かりますように、2016年度以降、着実に増加しています。共創機構の設置などにより、総長のリーダーシップの下で、ガバナンスを強化してきた成果であります。今後も右に示していますとおり、トップ外交による経済圏との近接化、組織対組織のコンソーシアム形成、法務・知財面でのスタートアップの支援、海外展開支援やフィランソロピー型の基金事業展開などの取組を進めていく必要があると考えております。
大学の先端研究を地域経済の成長につなげるため、自治体、産業界、大学などの研究機関が連携し、大阪・関西に国際的な知の創造と人材育成の拠点形成を目指す構想が、大阪・関西サイエンスヒルズ構想です。
本構想のもう一つ重要な視点は、万博後の大阪府の成長戦略であります、Beyond EXPO 2025へのコミットメントです。万博に展示され大きな話題・目玉ともなりました、大阪大学のライフサイエンス、量子、ロボティクスなどの研究活動は、今後、大阪府と、さらには大阪に15ある総領事館とも密に連携しながら、グローバル・スタートアップの創出拠点の形成を進めていきます。
さらに、各種経済団体や大阪公立大学、岡山大学などと連携しまして、人材育成や成長産業分野を中心に新たな産業を創出するとともに、その成果の海外展開にも貢献していきます。
加えて、この後にお話しになります名古屋大学が進める、名古屋・東海産学融合拠点とも、お互いの強みを生かしながら広域的な組織連携を深め、関西と東海の両地域から日本の成長を牽引していきたいと考えています。
大阪・関西サイエンスヒルズ構想の進捗状況や今後の計画の詳細については、参考資料の25を御参照いただけたらと思いますが、本構想では、教育研究の学外への展開、多様な共同研究の創出、そしてスタートアップの集積地の形成、この3つを目標に掲げています。
成長戦略の実装化のためには、大学の自律的な財務基盤の強化と、これらの活動から得られた資金の戦略的な運用が不可欠となります。本学では、昨年、東京・虎ノ門にHANDAI Tokyo Squareを設置しました。ここを資産運用及び獲得のための拠点として活用していきます。資金運用室の責任者として、昨年、CIOが既に着任しております。共創機構やディベロップメントオフィスの活動によって、大型研究費や寄附金等の獲得を進めるとともに、CIOを中心とした戦略的な運用を行っていきます。
現在、約250億円の運用規模は、まずは1,000億円以上へと拡大しまして、その運用益の一部を重点領域や、次世代の新興研究領域へと還元することで、研究と財務が循環する持続的な成長モデルを構築していきたいと考えています。
最後に、本学のグローバル展開について紹介させていただきます。本学は現在、4つの海外拠点と15大学のグローバルナレッジパートナーを有し、国際連携を進めています。特に本学は昨年、日独6大学による第10回のHeKKSaGOn学長会議のホスト校を務めました。さらに今年の秋には、50校を超える大学が参加する日越学長会議を本学で、同じくホスト校として開催する予定となっております。
スタートアップの分野でも国際展開が進んでおります。例えば、坂口志文先生が創業したレグセル社は、資金調達や創薬開発の加速を目指して米国に展開しています。加えて、「未来医療のスタートアップを世界基準へ」というミッションを掲げている、中之島クロスとの連携協定も昨年締結しています。
さらに特筆すべきは、昨年、阪大発スタートアップ2社が、「Japan-U.S. Innovation Awards」、Innovation Showcase企業に選出されるなど、海外拠点を活用した支援によって、阪大発スタートアップの国際的な認知も高まりつつあります。
また、どんなに優れた技術も国際標準にならないと普及しませんが、関西万博を契機に、国際標準化を担う重要な国際機関とのトップレベルの交流も、現在進められています。
以上、本日は本学がこれまでどのようにとんがった研究分野を育て、それを大学の成長につなげてきたのか。そして今後、さらなる発展に向けてどのような取組を進めていくのかに焦点を絞りまして、そして具体例を交えつつ紹介させていただきました。
私からの説明は、以上になります。
【千葉部会長】 ありがとうございました。
それでは続いて、大規模経済圏の中核としてエコシステムを形成する名古屋大学について、国立大学法人名古屋大学、杉山直総長より発表をお願いします。
【名古屋大学(杉山)】 名古屋大学総長の杉山です。本日は、名古屋大学のビジョン、大規模経済圏の中核としてエコシステムを形成する名古屋大学、産学融合によるイノベーション創出を牽引する旗艦大学へ、これまでの取組を交えながら報告させていただきます。
さて、名古屋大学ですけれども、ミッションは自由濶達な学風の下、研究と教育を通じて人々の幸福に貢献。そこでは、世界屈指の研究成果創出と人材育成、産業集積地の特性を生かし、地域の発展、世界の産業に貢献。また、アジア諸国との交流に貢献すると定めています。
歴史ですが、地域に支えられた最後の帝大として発足。医工農など実学を中心に発展し、高い研究力と若い力で6人のノーベル賞受賞者を輩出しています。産学官共創、ノーベル賞を例に取ると、野依先生の不斉合成技術や、赤﨑先生・天野先生の青色LEDは、企業を通じて社会を変えるイノベーションの創出につながりました。地域ものづくり企業とは、強力な連携をしてきています。
国際展開では、法律分野などでアジア諸国への支援実績を積み上げています。
また、初めての一法人複数大学を岐阜大学、すなわち県をまたいだ総合大学同士で実現しました。
次のスライドです。名古屋大学が目指す大学像は、製造業が支える大規模経済圏の中核としてエコシステムを形成、世界へ展開する大学です。そのポテンシャルは、高い研究力と東海地域という大規模経済圏。そのアプローチですが、旗艦大学として、東海地域の国立大学群を牽引していきます。既に東海機構でのパートナー、岐阜大学とは、研究、教育、産学連携の全てにおいて、連携が大きく進展しています。
現在、より緩やかな連携として、東海・信州の9大学、6高専の連携プラットフォーム、C2-FRONTSを東海機構が組織し、活発な連携活動を開始しています。
これからのチャレンジは、地域と共創し、世界へ展開する本学独自の経営成長モデルを確立することです。産学の壁を打破、人材育成も含め産業界と強力に連携、知のエコシステムの形成、国外の戦略的パートナー大学との産学連携強化、さらに、東海地域を越えたメガリージョンでのイノベーション創出も大阪大学と連携して見据えています。イノベーション創出を通じて、我が国の成長と社会課題解決に貢献したいと考えています。
右下にあるように、社会ニーズに迅速に対応し重点成長分野を伸ばしていく、名古屋・東海産学融合拠点をつくり上げ、産学融合によるイノベーション創出を牽引する旗艦大学へと発展します。
次のスライドは、トヨタグループとの連携を例に、産学の協調が進化していくモデルを示しています。最初に、豊田講堂の建設寄附などによる信頼基盤の形成があり、続いて、共同研究での相互成長。代表例が豊田合成との青色発光ダイオード共同開発です。また、最近10年間のトヨタグループからの共同研究収入は70億円に上り、COIプログラムも一緒に行いました。
右上にある組織対組織連携では、産学協働研究部門設置や、私も出席するトップ懇談会で、共同研究の在り方や、連携の形の検討を定期的に行っています。
人材循環では、多くの学生の就職に加えて、逆にトヨタから客員教授や卓越大学院のメンターなどの招聘も行っています。
また、これらの連携は政策提言などにつながっています。
次のスライドです。重点成長戦略分野を伸ばすため、本学が強みを持つ分野を見定め、人、物、資源の重点的投資を行います。ここに挙げた強みを持つ分野のリストは、重点成長領域で本学に研究力や地域連携の点で有力な研究所やセンターが存在すること、フロンティア事業やSX事業等の戦略的な大規模補助金を獲得していることなどを基準に選んでいます。
具体的な強みは、参考資料を御覧ください。まだまだ十分に分析できていませんが、今後、戦略的IRによりしっかりと見定めて重点投資をし、ステークホルダーとの協調によって、社会ニーズに機動的に対応していきます。また、産学共創による人材育成と新たな価値創造実現し、大学間連携のシナジーを効かせ、地域全体での戦略分野の成長促進を図ります。
次は、重点分野での研究力強化戦略です。まず、国内外から若い卓越研究者を獲得・支援します。既に卓越教授を海外の大学から採用し、J-RISEでも、モデルケースとなるAI for Science人材を獲得できました。獲得した若手研究者は、育成総合パッケージで支援・育成します。
右です。研究基盤の整備は、研究スペースの増加、基盤整備の配置・共用化、研究支援人材確保などを考えています。現在までAI for Scienceの中核となる建物の建設、コアファシリティー、研究支援人材の無期転換などの実績を積んでいます。
左下、研究成果の社会実装の一層の強化。研究と社会連携の司令塔の2つの機構により、シーズ創生と社会実装を強化します。また、東海機構の子会社TIIでは、シーズ研究支援とシーズの見える化、そして産業界とのマッチングを行っています。
右下の分野融合・連携の促進では、WPIを目指すユニットや、若手分野連携のユニットの支援を10年以上継続して実施するとともに、分野融合の観点を重視した特任助教を雇用しています。さらに、文系とAI情報科学との融合のためのセンター設置をしました。今後は、若手研究者によるさらなる分野融合連携の促進を図ります。これらによって、重要分野を牽引する拠点を創出し、社会と価値を共創する大学となります。
次のスライドは、我々の提案する産学官連携、すなわち、地域を生かした大学と社会の知の融合を基盤とする共創・共発展モデルです。これまで、トヨタグループなどを中心に組織対組織の連携を進めてきました。また、これら地域のものづくり企業との共同研究は、非常に盛んです。これからは、人材育成を含むさらに踏み込んだ連携のために、産学官の壁をなくし、セクターを超えた共同成長を実現します。
この左側の大学のほうには、オンキャンパスの企業研究室を積極的に誘致します。また、契約学科も導入を図ります。
右の企業側には、オフキャンパス研究室を設置。クロアポなどを利用して教員を送り、学生教育・博士指導を担います。研究インターンシップやスタートアップとの協業の拡充も重要と考えています。
下に人材育成の具体的検討例を挙げました。オンキャンパス、オフキャンパス研究室のアイデアがそのまま使える、産業・科学革新人材事業へ、トヨタグループや他の企業も含めて申請予定です。契約学科の検討も開始しました。
次ですが、名古屋大学がイノベーション創出の起点となるために、新たな技術・産業・価値を社会に導入するエンジンとなるスタートアップの創出は欠かせません。目指すのは、日本一スタートアップがしやすい大学です。そのため、スタートアップの創成支援、そしてリターンを含めて大学とスタートアップが共成長するパッケージを実施しています。
左側ですが、実績として累計180社のスタートアップが生まれています。これを加速させるためにも、アントレ教育を、例えば、1年生全員に必修化しました。支援ですが、既に教育研究から起業・成長・国際展開まで一貫した支援提供をスタートさせています。最近では、東海機構でVCを設立し、資金提供や経営支援も実現しています。ワンストップ窓口の運用も始めました。
STATION Aiやシンガポール国立大学など、国内外の機関とも連携しています。現在、支援の対価としての株式移転のルールを確立しているところで、これからしっかりとリターンを取っていきます。
次のスライドでは、名古屋大学発ベンチャーで有力なものを4つ挙げました。
左上、オープンソースで自動運転の民主化を牽引しているTIER IVですが、補助金からスタートして、国際的なコミュニティーの形成、国内外の大学や企業との連携により、ユニコーンを狙えるところまで来ました。
右のPhoto electron Soulは、本学の素粒子・加速器物理と半導体材料工学が融合した、ディープテックの代表格です。
左下は、CRAIFです。尿中のマイクロRNA解析でがんリスクを診断するマイシグナルは、耳にした方も多いかもしれません。医工連携で工学の研究者がリードしてスタートし、最近、米国に研究開発拠点を設立しました。
右下が、アグリテックの学生発ベンチャーでスタートしたTOWINGです。バイオ炭による土壌改良、さらには、宇宙農業まで見据えて国際展開をしています。
次は国際展開になります。戦略的パートナー大学を通じて、これまで学生研究者交流をしていましたけれども、それに加え産学連携の国際展開を図っていきます。例えば、右側のノースカロライナ州立大学は、全米屈指の産学連携の現場であるリサーチトライアングルの一角を担っている大学です。ここに名古屋大学は、産学連携拠点、NU Techを設立し、18年以上活動しています。
下のシンガポール国立大学とは、スタートアップを中心に連携を強めています。例えば、シンガポール国立大学のスタートアップ拠点であるBLOCK71に本学の現地法人が入居し、スタートアップ研修を相互に行っています。
左上のエディンバラ大学とは、ジョイント・ディグリーで連携をしてきましたが、今年、エディンバラ大学の社会連携の中核に担うFutures Instituteに本学が入居します。社会連携、教育の部分で強力に連携を進めていく予定です。
次に、本学は旗艦大学として基盤整備をリードして、地域の大学院と共発展していきます。既に東海機構として、岐阜大学とともに基盤構築を進めているところですが、それを地域の国立大学群に展開を図ります。具体的には左上、DX、AIというデジタル情報基盤や右のLMSや講義・教材の共用化を進める教育基盤、左下、スタートアップ支援では、地域28大学と連携して進めるTongaliによるアントレ教育と企業支援、さらに機構VCなどが基盤となります。右下は、産学連携基盤です。東海機構子会社のTIIによる産学連携の支援が示してあります。最後に一番下、コアファシリティーの構築と共用になります。
次は財務基盤です。事業規模は、法人化以降1.8倍になりました。運営費交付金の依存度は46%から24%へと半分に低下。これは、病院収入を除いても依存度が半分というのは同じです。共同研究等の受入れも増えています。資金運用は、年平均4.2%と高い実績を出しています。法人債も発行し、独自事業の財源としています。また、エンダウメント、名古屋大学基金は20年間で230億円まで成長し、直近10年で4倍に拡大しています。
下に今後の取組を示しています。基金の運用益を自己財源として、新たな大学像の実現への投資に振り向けます。そのためには高い資金運用、寄付拡大、知財収入増が必須です。そこで、必要な規制緩和事項が右側になります。収益物件付不動産の寄附の直接運用など、積極的資産運用を可能にすること、債券発行の手続の簡素化と使途の緩和の2点になります。
次のスライドは、戦略的トップマネジメントを可能とするガバナンス体制の構築です。東海機構の機構長から大学運営の負託を受け、総長が戦略本部をリードして迅速な意思決定・資源配分を行います。上から、総長戦略本部は、ビジョン実現のための実施本部です。副総長などが室員の総長戦略室が運営の統括を行い、次世代戦略室では、大学の次代を担う人材のOJTを行います。教育・研究の統括と人事評価はプロボスト、財務戦略・資源配分・ファンドレイズは大学CFO、計画の進捗管理はCPOが担います。
右上にある未来社会共創スタジオは、ステークホルダーから意見を吸い上げるシンクタンクです。また、IR戦略室による戦略的なIRが意思決定を支えます。
次のスライドが、我々が思い描く知の価値化エコシステムです。大学の投資が成長を得てリターンとなったものを、投資に再び回すというエコサイクルです。ここでは、企業群・行政との連携と、スタートアップとの連携に分けてあります。例えば、企業群との連携では、シーズを生み出すための研究力強化や、学内シーズの発掘などが大学側のInvestです。シーズが、オン・オフキャンパス研究室での共同研究などによって成長、Growし、それがさらなる大型共同研究や知財収入、投資の増加となって大学へReturnするとともに、ブランド力の向上などをもたらすというサイクルを考えています。
最後のスライドになります。具体的な施策はまだこれからですけれども、名古屋大学は新しい大学の姿として、名古屋・東海産学融合拠点となることを目指しています。製造業が支える大規模経済圏の中核としてエコシステムを形成し、世界へ展開する大学、産学融合によるイノベーション創出を牽引する旗艦大学、それが名古屋・東海産学融合拠点です。
それを実現するために、高い研究力と東海地域という大規模経済圏の持つポテンシャルを基に、旗艦大学として、東海地域の国立大学群を牽引するアプローチで地域と共創し、日本そして世界へ展開する、名古屋大学独自の経営成長モデルを確立するチャレンジに取り組みます。
名古屋・東海産学融合拠点に向け、左から反時計回りに、産学の壁を打破し、人材育成も含め産業界と強力に連携します。また、知の価値化エコシステム形成、東海地域を越えたメガリージョンでのイノベーション創出を阪大とともに目指し、さらに、戦略的パートナー大学との産学連携を中心とした国際展開をしていきます。
広域連携と資金循環により、持続可能な未来社会を共創し、我が国の国際競争力を力強く牽引する名古屋・東海産学融合拠点こそ、名古屋大学の描くビジョンになります。
御清聴ありがとうございました。
【千葉部会長】 どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見をいただきたいと思いますので、挙手をしていただけたら順番に指名させていただきます。いかがでしょうか。那須委員、お願いします。
【那須委員】 いつも私が最初のほうに言わせていただいていますが、すみません。熊ノ郷先生、杉山先生ありがとうございました。非常にすばらしい取組を聞かせていただいて、J-PEAKSの一角をなす大学として、見て、わあ、すごいなということで。
本学は具体的には今、大阪・関西サイエンスヒルズ構想のアカデミア連合ということで連携させていただいていますが、学長としてこのお話を聞いたときに、まず最初に思ったのが、学長のリーダーシップの下に、こういうことを進めていくにはどういう経営層の人が要るのだろうかなという。とても学長1人ではできないということで、見せていただきました。
そういう観点で、やはり私の立場からすると、今後、大学の経営層を担う人材の育成ということに、すごく興味を持っております。本日、国分課長から示された歯車の絵を見て、そのときに、やはり経営層の強いコミットメントが要るというお話をされました。なるほどなと思って。やはり経営層がしっかり全体を把握してこういうことをコミットして回さないと、幾らいろいろな施策ができてきても、効果が出ないなということを思いました。
そういった中で、日本成長戦略会議の中にも、分野横断的課題として人材育成ということがされていますが、私はその中で、やはり大学の経営人材、特に理事とかそういうことを務める人材がしっかり輩出されておかないと難しいんじゃないかなと思っていまして。かねがね言っていますように、こういう大学の経営理事を含めた人材の交流やネットワークの形成が必要じゃないかと。
場合によっては、クロスアポイントが一部で行われていますが、クロアポによって人材の交流をしたり、さらに次の世代の経営層を育成していくということ。そしてそのためには、やはり1つの大学では、これは絶対できないことだなと。属人的に人が出てくることはあっても、エコシステムとして、きちんとこういう人材が大学の中から輩出、大学に限らないと思うんですけど、そういうことが輩出されるエコシステムがあって、将来、ちゃんとそういう人材ができてくる、そういうこともこの人材育成の中に書き込んでいただけると、非常にこういう阪大や名大がやっているようなことも、少しだけでもまねてやっていきたいなというのを思っています。
今日、私が聞いて思いついた、感じた意見でございます。
私からは以上です。ありがとうございました。
【千葉部会長】 大変重要な観点からの御意見だと思います。恐らく皆さんも、そこがすごく重要だと思われていると思いますし、その方法をより明確にして、実行していくというところが大事だと思います。
【大阪大学(熊ノ郷)】 私のほうから、お答えしてよろしいでしょうか。
【千葉部会長】 どうぞ。よろしくお願います。
【大阪大学(熊ノ郷)】 非常に重要な御指摘、そして御示唆をいただきまして、ありがとうございます。
先生がおっしゃるように、やはり大学の運営においては、あるいは経営においては、継続性とそれから専門性、それから特に社会実装につなげていく領域においては、大学の今までのキャリアデザインとはゲームが変わってしまうので、そのあたりを含めて、もちろん内部の人材を育成していくとともに、外部から人を時には招聘する。あるいはそういった人材を、貴重な人材になりますので、共に育成する。あるいは、お互いにその人材をオープンにし合って、クロス・アポイントメントの形もあるのかもしれませんけれども、それも含めて検討できる体制を取っていくことは、非常に重要だと考えています。
大阪大学の場合には、従来、経営層に関しては、外部の委員としては、もちろん運営方針会議があって、そしてこれからの経営戦略を担っていくところも、領域長や機構長といった形でステップアップで上がっていくようなシステムを取っています。
加えて、高度な人材を育成するために省庁への派遣であるとか、あるいは、一旦、事務の方々に大学院に行っていただくような制度であるとか、あるいは、企業からリクルートしてきて、そしてその方々に活躍していただくような、活躍を持つようなシステム、これはもう10年ぐらい前から整えております。
ですがこういったものは、1つの大学に閉じるものではなくて、本当に大学連携、大学連合という形で大学の、もちろん研究教育の連携も図りながら、人の交流もしっかりと進めていくことが重要だと私も思います。
貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。
【那須委員】 ありがとうございました。
【千葉部会長】 ありがとうございます。
【名古屋大学(杉山)】 杉山からもよろしいでしょうか。
【千葉部会長】 どうぞ、杉山総長。
【名古屋大学(杉山)】 すごく重要な点だと思います。我々は先ほどのガバナンスのところに、次世代戦略室という名古屋大学の次代を担う人たちをオン・ザ・ジョブトレーニングで育てていく室を設けることをやり始めています。
これは自分のことを考えても、学内では総長補佐レベルで大学の抱えている問題の現場を見ることによって、まず問題意識をしっかり持ち、アイデアを出していく。その上で交流をするというのも、私自身の経験でやってきたことであります。
上山先生のやっていた、塾と我々は呼んでいますけれども、今日ここにも、千葉委員長、那須委員、西村委員など何人も、もし落としていたらごめんなさい、何人もそこの経験者がいると思いますけれども、大学の経営層になるためには、こういう切磋琢磨、いろんな人と知り合って、ネットワーキングだけではなくて、自分のところだけでは分からないほかの大学の様子を知るとか、世界の大学の様子を知るというところはもっと重要だと思います。そういうことが絶対的に必要だと思います。
そういう意味での交流は、今でも国大協や内閣府などのプログラムがあると思いますので、ぜひそれを積極的に活用していくということが重要かと。また、先ほどのクロアポみたいな話ですけれども、これは東海機構の機構長の松尾が、まずは、岐阜大学と名古屋大学のトップマネジメントを、少しクロアポしてみてはどうかという意見を最近出されていますので、考慮していきたいと考えているところです。
以上です。
【千葉部会長】 明確にお答えいただいて、両総長、ありがとうございます。では続いて、野口委員、御質問どうぞ。
【野口委員】 御説明どうもありがとうございました。両大学とも、重点技術分野をきちんと押さえながら、資金、人、制度を一体的で設計している、すばらしい内容だったと思います。
あらゆる意味で、学内外でエコシステムを形成して安定性も非常に高くて、ガバナンスもとても効いているなと思いました。
そこで質問が、両大学に共通の質問が1つと、それぞれ1つずつさせていただきたいと思っております。
共通の質問ですが、私は昨今様々な会議や委員会などの資料で記載のある経済圏の考え方です。大阪大学さん、名古屋大学さん、それぞれ地区、地域の名前がついています。この経済圏という考え方が、その名の示す通り地理的近接性を指すものなのか、例えば企業でいけば、楽天経済圏というのがあるように、特定分野で横断的に連携することでエコシステムを生んでいるのが、1つの経済圏であるとも考えております。そういう意味では、重視する経済圏の意味というのを教えていただきたいと思いましたのが、共通質問です。
あとそれぞれのところで、大阪大学さんのところでいけば、私は寄附戦略の獲得比率が非常に高いというのは、先進的な欧米の大学の戦略に似ています。特に12ページにあります、フィランソロピー型に注視しました。人間愛やウェルビーイングといった考え方を軸とした、篤志家狙いの手法や、場合によっては数十万人はいらっしゃると思います卒業生から寄附を募るような、ドネーション戦略というのはとても重要で、日本の大学には欠けているところだと思っております。またその寄付金の多くを運用益の原資にされていくと思いますが、具体的にどのような戦略を考えていらっしゃるかというのを、大阪大学さんにはお聞きしたいです。
それから名古屋さんのほうは、13ページにありますように、先ほど、那須学長からもありました、戦略的トップマネジメントの図についてです。総長戦略本部はすばらしい組織と思います。一方で、そういったトップマネジメントを支えていく、例えば、外部人材の登用であるとか、専門性の高いURAの配置も同時に重要だと思います。そのようなトップマネジメント層を支える人材の配置戦略がありましたら、教えていただきたいと思いました。
以上です。
【千葉部会長】 それでは、まず、阪大のほう、ドネーションについていかがでしょうか。
【大阪大学(熊ノ郷)】 個別質問からですか。共通質問じゃなくて。
【千葉部会長】 じゃあ、共通質問、経済圏のところを。
【大阪大学(熊ノ郷)】 まず、共通質問のほうから、経済圏についての御質問について回答させていただきます。
御指摘のように、もちろん今回は我々、大阪大学の場合は関西の経済圏、そして名古屋大学の場合は、東海地域の経済圏としたものがあります。ただ、この経済圏といったときに2つの観点で考えなければいけなくて、1つは、やはり閉じちゃ駄目だと。これはもう学問においても、サイエンスにおいても、これはオープンサイエンスが原則ですし、それが閉じたものになってしまうと、ローカルになってしまうと。ですので、やはり連携が重要ですし、その連携がシナジーにつながって、そしてそれが、グローバルに展開していくということは重要です。お互いの経済圏、あるいは、お互いの大学は、それぞれやはり特性、特徴というのがあるので、それをお互いにシーズのマッチングではないですけれども、連携しながらやっていくことが、シナジーを生み出す。その意味でも重要だと考えています。
ただ、もう一方で考えておかなければいけないことは、やはり現実問題、税制の問題があったり、例えば、大阪府の場合には成長特区として、その場合には法人二税、事業税と、それから府民税、それから不動産取得税も最大ゼロになるというふうな税制がしかれているので、そういった面で、恐らくそれぞれの経済圏、あるいはその自治体に関しても、スタートアップした場合にも、それが集積してほしいというような面もありますので、これは両面を見ながら、しっかり連携を図っていくことが重要じゃないかなとは思います。
まず、これが1つ目の共通の御質問に対するお答えになります。
それから2つ目、どうやって寄附金を得ていくか。幸い大阪大学の場合には、ファンドレイザーの方々が非常に優秀でありまして、様々な活動を本当に積極的に展開されています。その足場の1つとして、昨年、東京にHANDAI Tokyo Squareというのを虎ノ門に設置して、そこを活動拠点に置いているわけですけれども、例えば、そういった優秀な1人当たりの寄附金を集めてこられるような方々については、特任教授のポジションなんかも用意して、そして、そこからしっかりとした後に受け継ぐ教育体制を取るようなことも行われています。
それから、フィランソロピー型の基金事業展開について御質問がございましたけれども、例えば、今現在の具体的な例としては、特別の養子縁組の促進とか児童虐待防止における研究プロジェクトというのが進んでおりまして、その中では、フィランソロピストのニーズに応じた柔軟な資金運用というのを提案すると。その中で信頼関係ができると。信頼関係ができると、そこから例えば、いろんな社会課題を吸い上げる中で出てきた課題事業に対して、例えば、遺贈寄附みたいな形も、実績が今は急速な勢いで上がっておりますので、そういった基盤を活用しながら、今後、進めていきたいと思っています。
実際に遺贈寄附に関しては、現在50億円が年間で集まっているというふうな状況もありますので、そのような素地も整えながら、しかもそれを担うような人材もしっかりと育てていきたいと考えています。
以上になります。
【千葉部会長】 ありがとうございます。では続いて、名古屋大学からお願いします。
【名古屋大学(杉山)】 まず、最初に地域ということなのですけれども、もちろん分野によっては、もう全国・世界というところで連携していかなければならない分野も、当然、企業と連携していくという分野もあります。ですから、そこは非常に重要だと思っています。我々は、例えば、富士通やAGCなどと包括連携をして、共同研究を幾つも実施しています。
そういう全国的な展開ももちろんあるのですけれども、ただ、東海地域・中部地域の旗艦大学と我々は認識していて、その責任もあって、この地域と一緒に我々は浮上したい、一緒に世界へ発展していきたいと思っています。東京一極集中が決していいことではないと思っていますので、ここはすごく力のある地域だというのも、また幸いな点でありますので、そこの地理的近接性というのも、すごく大切にしていきたいと思っています。
また、共同研究のやりやすさというのも実はありまして、天野先生が、先ほど豊田合成と青色LEDを開発しているときは、毎週必ず原付に乗って通っていたと聞きました。そういうことができるということも、現場レベルではやりやすいのではないかと思っているところです。
それから、戦略的トップマネジメントのところでの外部人材ですけれども、実際、我々はこの図の中で、例えば、CPOという進捗管理、少し外部の目を入れた形で大学全体のこういう計画の進捗状況を管理してくれる人として、既に、トヨタの財務部長をされていた方を登用しています。このように、我々が連携する企業から、特任教授で来られている方も何人もいらっしゃいますけれども、いろいろなつてを使って、非常に優秀で、大学経営をある程度、我々とは違う目で、全く我々の気がつかないような観点をしっかり指摘していただける方々、そういう人たちを積極的に入れていきたいと思っています。監事の方も常任の方でトヨタから来ていただいている方もいらっしゃいます。非常に外部人材は重要だと思っています。
以上です。
【千葉部会長】 どうもありがとうございます。では、続いて片田江委員、お願いします。
【片田江委員】 御説明ありがとうございました。私は、国分課長から御説明いただいた産学連携地域振興の中間の取りまとめの件について、コメントさせていただきます。
私自身は、20年ほどアカデミアシーズからスタートアップの創出、投資、ハンズオンにずっと関わっている立場で、これまで本当に長きにわたり様々な制度が整えられてきておることを改めて実感しました。本日も御説明にあった歯車の中に9個の制度が入っています。あれも非常に分かりやすく、各分野における制度の効果も明確に見られてきていまして、産学連携は着実に進んできていると思います。
その上で、今後さらなる社会実装につなげるためには、いよいよ大学が受動的な連携、民間や外部主体との受動的な連携を取るところから、主体的な価値創造にもう一段ステップアップするタイミングが来ているということを、現場を見ていて非常に感じています。
大きく2つの観点でちょっとお話しさせていただければと思いますけれども、1つは、資本戦略への関与をもっと大学が積極的に、そろそろ踏み込んでも良いタイミングにきていると思っています。研究成果の将来価値を踏まえて、スタートアップの創出時に株式や、ストックオプションを持つということは、これまでも多くの大学で実施されてきていると思います。
ただ一方で、十分それが行き渡っているかというと、現場を見ているとまだ足りないところもありまして。これは制度上の何らかが、資本戦略の参入の障壁になっているということではなくて、実際は実務的な体制であったり、人材であったり、ガバナンスの課題、そのものがボトルネックになっていることが多いと認識していますので、今日、御説明いただいた大阪大学・名古屋大学も含めて、広域経済の中心となり得る大学においては、積極的に、人材の確保・育成への取り組みは積極的に進められていると思いますので、今後、さらにその中核機能を担う人材の確保や育成を進めることによって、大学が能動的ではなくて積極的にその資本戦略に入る。そこから得られたリターンを大学にきちんと還元して、さらなる知の創造に結びつける。そういうタイミングが来ていると思います。
2つ目は産業界との関係で、これも多く大学と企業との研究、共同研究・共同開発は進んできていると思います。次は、やはり大学が成果に応じて適切なリターンを確保して、それを次の研究に回して再循環させるということが非常に重要だと思いますので、知の創出だけではなくて、そこに加えて価値創出を主導していく存在に、地域中核を含めて大学そのものが主導していくという進化が、今、求められているタイミングに来ているなと感じておりますので、これまでの制度も踏まえて、さらに支援を続けていただければなと思っています。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。どうぞ、国分課長。
【国分課長】 すみません。私のほうから1つ、お返ししたいと思います。
まず大前提として、多分、産学連携という言葉が独り歩きしないためにも、前提条件としてちょっと申し上げておいたほうがいいかなというのは、産学連携というのは手段であって、目的はいろいろありますが、その中の1つとして、地域貢献があります。先ほど来、議論しているように、知の価値を最大化して、大学に戻ってくる金銭的な価値を最大化するための産学連携もあるんですけれども、一方で地域振興のように地場産業と密接に関わりながら、地域的な経済に貢献していくとか、社会に貢献していくという役割も産学連携にはあります。そういった役割についても非常に重要ではあるんだけれども、今ここで議論している内容はそこではないということだけ、申し上げておきます。その2つがよくごっちゃになる議論を見てきていますので、あくまで我々は、今、競争力とか、それから研究力の底上げとか、そういった観点で議論しているんだというのを大前提とした上で申し上げたいと思います。
今ここに映っている赤いところというのが、片田江委員からの御指摘に対しても非常に重要だと思っていて。こうした意味では、大学の中で全て、例えば、知の価値を最大化するときに、当然、産業界というのは、例えば、交渉みたいなものも入っていると思うんですね。共同研究を最大化するとか、先ほどのストックオプションをどうするかとかそういった部分も含めて、様々な交渉事も含めてやっていかなきゃならない。もしくは一方で、大学の基礎研究のなるべく早いフェーズから、知的財産としてどういうふうに管理していくかとか、もしくは、産業界に対してどういうふうに見せていくかとかいった、そういった戦略を見せていくようなシンクタンク的な機能も必要なってくる。
こういったことを考えると、必ずしも大学の中だけでそういった人材というのを賄えるわけではなくて、ここにちらっと書いていますけれども、金融機関や産業界など様々な外部の人たちの力を借りる必要があると思っておりますし、そういった意味では、今日、御紹介のあった大阪大学さんですとか、名古屋大学さんをはじめ、ほかの大学にも様々な形でこういう産業界・金融機関の方々が、大学の産学連携本部ですとか、もしくは外部化された組織ですとか、そういったところに既に入ってきておりまして、こういったコミュニティーというのができつつあるというふうに、我々は認識しております。
したがいまして、そういうコミュニティーとの関わりの中で、大学自身も成長していくということが必要ですし、そういった意味においては、先ほどの経済圏の話もございましたけれども、必ずしも地理的近接性というものにこだわる必要はないんだけれども、絶対条件ではないけれども、それが戦略的に重要な場合もありますねというようなお答えになるのかもしれません。
以上です。
【片田江委員】 ありがとうございます。
【千葉部会長】 ありがとうございます。では続いて、山崎委員、お願いします。
【山崎委員】 ありがとうございます。両先生、ありがとうございました。少し産学連携とか、地域振興という線に特化した御発表になっていたのかもしれないですけど、トップ研究グループをきちっと選んで育成して、それを産学連携につなげていこうということで、国際卓越のときにお伺いしたお話が、さらに磨きが両大学ともかかったなという印象でございます。
それを踏まえての私からの御質問なんですけど、それはそれとしても、これをてこにして両大学とも大きな総合大学でございますので、ほかの研究分野の研究力強化とか、併せて国際化というのを、それぞれいろんなことをお考えではないかなと思いますので、その辺について少し、もし戦略等があったら教えていただいて、大学全体の研究力強化とか、国際化にどうそれがつながっていくかというところを、我々は参考にさせていただけたらなあと。
あわせて、人材育成とか教育への波及効果ってどんなふうにお考えかなというあたりを、両総長先生にお伺いできたらなと思います。よろしくお願いいたします。
【大阪大学(熊ノ郷)】 ありがとうございます。では、私のほうから。
【千葉部会長】 それでは、両総長にそれぞれお伺いしたいんだけど、先ほどの資本政策、それから産業界との連携も非常に広い話なんですけども。それから、他分野との連携、人材と。これも大学のかなり重要な部分が全部入った形で、手短にお答えいただければと思います。では、大阪大のほうからお願いします。
【大阪大学(熊ノ郷)】 まず、産業界との連携についてのコメントですけれども、大阪大学は、もともと産業界、経済界の声でできたという背景がありまして、冒頭のスライドでも御紹介しましたように、様々な地域の課題に向き合いながら、それを大学のシーズで解決する中で地域課題を克服する。あるいは、そこからまた新たな産業が生み出されるといったようなサイクルを回しています。しかも、そこで生み出されたものを、資金をまた新しい研究領域、あるいは新しい人材に投与することで、エコシステムを回してきたというような背景があります。
その中で実際に、産業界との結びつきが非常に強くて、人材交流もかなり早くから、規制があったときから進んでおりまして、最初のお話の中でも御紹介しましたけれども、当時はまだなかった頃の共同研究講座、これは2006年、協働研究所が2011年にできまして、そのときは、かなりのまだ規制があって始めるのが難しかった時期だというふうに聞いておるんですけれども、文科省を含めた省庁の方々が親身になって相談に乗っていただいて、それを乗り越える形でIndustry on Campus、あるいは、大学の中に企業の研究者が、そして大学院の学生が入って一緒に研究を行う。そして、企業の方々もそこで学位を取ってもらうような、今、言われているような契約学科の原型となるようなシステムの確立も行っています。
また、その経営人材の面では、例えば金融機関から、これは、ファンドレイザーの方々をそちらからリクルートしましたし、また、自治体との連携を深めるために、自治体の方々にも既に大阪大学の共創機構の中には入っていただいています。
逆に人の交流が重要ですので、大阪大学の職員が自治体へ、あるいは金融機関に入れるような、もちろん省庁も含めてですけども、入れるような循環の流れもできておりまして、そういった意味でも、産業界との連携は、今後もしっかりと進めていく必要があると考えております。
もう一つ、かといっても、地域の産業に貢献するだけが大学のミッションではなくて、やはり大学のミッションというのは、次代を担う人材を育てていく。また、もちろんこれは研究もそうですし。そういったことで、もっと大きな意味で総合大学として貢献していく必要があると思っております。
ですので、その中の2つの観点で紹介させていただきますと、本日のプレゼンテーションの中でも出しました、学術研究機構というのを設置すると。これはスライドの、ちょうど2枚目のスライドになりますけれども、やはり研究の裾野、人材の裾野、多様性というのが、これは国家の品格であり、大学の品格だと我々は考えております。
ですので、もちろんドライビングフォースとして、重点研究領域を強力に推進していくということも同意ですけれども、そこで生み出したいろんなことを新しい領域に投与していくと。この学術研究機構というのは、部局の垣根に捉われず、研究者たちが自主的に新しい領域を生み出していこうというシステムでありまして、実際に様々な、今、社会課題が出てきたときにも、従来型の、旧来型の縦割りの受皿では対応できないというふうな状態にあります。そこをしっかりと大学がガバナンスを効かせながら、ハンドリングしながらやっていく体制を整えていくと。
そしてもう一つは、教育においても、やはり様々な縦割りで、いろんな大学院・専攻が、これは設置数の問題もあるんですけれども、定員が決められているんですね。もちろんトレンドのところは増えますけれども、そうじゃないところは定員割れをするような問題が、多分どこの大学も抱えています。それを教育機構という形で、大学で定員管理をする中で、しっかりと裾野は保ちながら、時代に応じてフレキシブルに人を育てていくような体制を、これをしっかりと整えていこうと考えております。
以上になります。
【千葉部会長】 ありがとうございます。では続いて、名古屋大学、いかがでしょうか。
【名古屋大学(杉山)】 大学が受動的ではなく能動的にというのはまさにそのとおりで、そういう時代が今はもう来ているのだという認識です。
その中で課題を言うと、やはり橋渡し人材といいますか、要するに大学のシーズは研究者が持っているのですが、それが何に使えるかが、多くの研究者が分からない、あまり意識していないというのが現状だと思います。
それを、この研究は使えるのだと、企業の側に見える化していくということをやる人材・組織がどうしても必要だということで、名古屋大学、東海機構がつくったのが、TIIという、TLOみたいなものなのですけれども、これはシーズの研究の支援もやっているところで、シーズをどうやって見える化して、そして企業に売っていくのかというところを担当しています。ここの人材が、組織が、どうしても必要ではないかと思います。
また、スピード感もなかなか難しくて、企業はやはり二、三年で製品化できなければやめてしまうが、大学は息が長い研究をする。でもここもうまくすり合わせていくと、例えば、富士通と今一緒にやっているような、宇宙天気というテーマでいろいろ共同研究をしているのですけれども、これはすぐにはビジネスにならなくても、研究所というところで引き取っていただいて、富士通との共同研究という形でさらに発展させる方向で、今は一緒にやっているところです。ですので、企業と一体となって組織対組織で理解して、いい方向を見つけていく必要があるのかなと、そこで1つ学んだところです。
山崎委員のほうの質問で、大学の中はみんな産学連携ばかりではないという質問だと受け取ったのですけれども、私自身の研究は宇宙論ですから、全く産学連携と関係ないところなのですけれども、知の価値というのは、当然、大学としてはすごく重要だと思っています。その中で、新しいチャレンジをするところを支援していきたいと思っています。例えば、若手同士が組んで新しいものを創り出す、それも分野を超えて。そのための支援を、名古屋大学では過去10年以上ずっとやってきています。
また、最近つくったデジタル人文社会科学研究推進センターには、人文学の研究者が、ギリシャ・ローマの古典、ラテン語の古典をChatGPTに読ませて、それに聞くとプラトンがプラトンの言葉で質問に答えてくれるというものをつくった研究者もいます。そういう新しい挑戦をぜひ支援していきたいということで、センターを創っています。また、若手を採用して、5年間思う存分自分の研究をさせるYLCというシステムを我々持っているのですけども、このYLCでも、分野間を超える、自分の分野を超えてチャレンジする人を優先的に採用しています。
そのために、お金をどうするのか。産学連携等でもお金を回したいところもあるのですけれども、こちらで稼いで、それをこちらが使うというと、大学の中にあまりよくない優劣ができてしまう感じもするので、エンダウメントを大きく持つことによって、そこからの収益を、大学の中の必要なところに回していく仕組みを今後は展開していきたいと思っています。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。続いて、河原林委員、お願いします。
【河原林委員】 どうもありがとうございます。2点ほどで、1つ目は、ファンディング・エージェンシーとの関係で、特にシーズの辺というのは、大学と企業と共同研究しても、それほどお金を引き出せるものではないと思うので、例えば、JSTでいうと、A-STEPだとかNEDOだとかってあるんですけど、あの辺のところと、その後の産学連携というところをどうやってつなぐかって、ちょっと課題なような気がしていて、その辺を大学の視点から見ると、どう考えていらっしゃるのかなというのをお聞きしたいのが1点目です。
2点目は、これはちょっとお二人に質問するのがいいのかどうか分からないんですけど、私のような情報科学系、AI系の研究者から見て、地方大学あるいは東京でないところの大学で何が起こっているかというと、先生方みたいな大学人が頑張れば頑張るほど、優秀な学生及び、意欲ある学生はみんな東京に行っちゃうんですね。そういうような状況というのは、多分、大阪大学でも名古屋大学でも発生しているような気がしていて。もちろん東京に行くこと自体は悪いことではないのかもしれないし、止めることもできないし、止められないだろうと思うけど、人材を循環させるということが必要なような気がしていて。
例えば、大阪から東京に何年か来て戻るだとか、名古屋に来て戻るとか、そういうようなことができるのか。本来は東京一極化を防ぐという意味では良いのかなという気がするんですけど、そういうのを、大学と皆さんがやられている産業界を通して、何か対策を打てる方法があれば良いと思うんですけど、御意見があれば教えていただきたいと思います。多分、こういうのってほかの地方大学でも使えるのかなという気もするので、何かあれば、御意見があれば教えていただきたいと思います。
以上です。
【千葉部会長】 まず、熊ノ郷総長、いかがでしょうか。
【大阪大学(熊ノ郷)】 ありがとうございます。いろんなファンディング・エージェンシーとの関係は非常に重要でありまして、私は医学の領域なので、具体的には多分、AMEDなんかが今は多分、議論されているところではあるんですけれども、大学の、例えば基礎的な研究から得られたシーズを実装化する過程で、じゃあ、ノーベル賞級の研究者に、そこの過程までやらせていいのかと。幾つか実装化の過程においては、抜けているポイントが今は浮き上がりつつあって、それは実際、最近のAMEDの中釜理事長のプレゼンテーションの中でも言われていて。これは、日本の製薬メーカーのほうも、どこが抜けているのかということを分かっていて、そこに対する基金を募ってというふうな大きな動きも行われているというふうに聞いています。
例えば、ライフサイエンスの領域では、縦糸の医学、横糸の医学。縦糸の創薬、横糸の創薬という言葉があって、縦糸は何を標的分子にするか。それがTNFなのか、IL-6なのか、がん遺伝子であるのか。何を標的分子にするのかというような縦糸の創薬。ところが横糸、標的分子をどの横糸のモダリティーに乗せていくか。1980年代、90年代に日本の製薬メーカーが強かったのは、飲み薬、低分子化合物が高血圧とか、あるいは代謝薬とかで席巻したわけですけれども、バイオという生物学的製剤の2つ目のモダリティーに、2000年代に入って乗り遅れたというのが、これは決定的な、今は世界の薬の売上げの6割から7割をバイオが席巻しているという状態にあります。
加えて、CAR-T細胞療法が入ってきた。細胞療法が入ってきた。あるいは、世界中の人たちが、十何億人が接種した核酸医薬品、メッセンジャーRNA、これが入ってきて、第3、第4のモダリティーにも、今、乗り遅れようとしている。ここを何とかしていくかというのは、今、ライフ系のところでも議論されていますし、恐らくほかの領域においても議論されていると。そういったファンディング・エージェンシーと大学の、ここはゲームが変わってしまうので、ルールが。そこの部分を、大学人がやっても評価されないようなシステムになってしまっているというふうな現状がありますので、そこをどうゲームチェンジにつなげていくのかということが、重要だと考えています。
それから2つ目、みんな東京に行ってしまうんじゃないかというような、これこそがまさにそれぞれの大学、今日も議論をされているこの場でも、委員の方々が御議論されている、どういった大学に特性・個性を持たせていくのかと。これが非常に重要で、本当に何とかあめみたいにどこを切っても同じであって、ただ単に直径が違う、太さが違う、ヒエラルキーがある、順位があるということではなくて、やはりそれぞれの大学のオンリーワンの特性を持たせていくというのがこれから重要で、特性があれば、このことをやりたいときにはこちらへ行く、このことをやりたいときにはこちらへ行くという形で、人材が交流していく、循環していくと思いますし、また、それが柔軟に可能となるようなシステムを我々の側が、あるいは国の側が整えていく。それがクロス・アポイントメントであるとか、あるいはダブル・ディグリー等々も含めてやっていく必要があるんじゃないかなとは思います。
以上になります。
【千葉部会長】 では、杉山総長、どうぞ。
【名古屋大学(杉山)】 最初のスタートアップ関連でどうお金をという、産業界と大学と理解しましたけれども、現状は幸いなことにシーズの部分は、大学発新産業創出基金事業ですか、そちらでこの地域、名古屋大学を中心にシーズ・ファンド、いわゆるGAPファンドが入ってきていて、そこでシーズの研究の実装化に向けた支援が結構できている状況であるのは、ありがたいと思っています。
そのもう少し先に行ったところは、東海機構として、金融界を巻き込んでベンチャーキャピタルをつくりました。また、ありがたいことに、名古屋市と愛知県が、それぞれ5億円ずつを出してくれているので、地域、産業界そして金融といったところを全部巻き込んで、大学がシーズのところから、産業界、金融を巻き込みながら、最後の出口のところまで支援していくことが必要と考えています。
金融界が、教育の部分から含めて非常に今は熱心に支援してくれている印象がありますので、そこもぜひ協力していただいて、一緒にやっています。地域としてやっていくことが、重要かと思っています。
地域といったところで、みんな東京へ行くという話につながるわけですけれども、学生については、今のところは大変ありがたいことに、名古屋大学は非常に地域性の強い大規模国立大学でありまして、旧7大学の中で、地元率が一番高い大学です。愛知、岐阜、三重、静岡ぐらいまで入れると、8割ぐらいはそこから来ている大学であります。本当はもっと全国展開しなければいけないところなのですが、逆に言うと、地域の学生にとっては、非常に魅力あるブランドであると考えています。愛知県にあってトヨタというブランドもあるということも一緒にあるのだと思うのですけれども。ということは、やはり地域にも魅力がなければ人は残らない。そこの地域の魅力を、大学が産業界と一緒につくり上げていかなければいけないということを意味しているのではないかと思います。
今、一番シビアな状況は教員でありまして、大大学、つまり我々から見てもさらに大きい大学ですが、に抜かれるという状況が起きていて、特に女性教員の引き抜きは、非常に活発に起こっています。我々としては、保育所を造りましたし、シェアリビングも今後は検討していくなど、男女共同参画で先頭を走っていると考えています。
大阪大学は、女性教員数がナンバーワンだと思いますけれども、女性教員比率は、名古屋大学がナンバーワンですので、そういうところは頑張っているのですけれども、非常に厳しい競争にさらされています。我々が自分たちの大学の魅力を提示することが、一番重要であると考えます。
【千葉部会長】 どうもありがとうございます。では、飯田委員、お願いします。
【飯田委員】 ありがとうございます。プレゼンテーション、ありがとうございました。
グローバル展開について教えていただきたいのですが、両大学様とも海外大学とのパートナーシップが示されていますけれど、こうした連携を、特定の共同研究や形式的な関係構築にとどめないで、具体的な価値創出に向けた展開を、どのように見据えておられるのか。すなわち、独自の競争優位性であるとか、国際競争力へと結びつけるための方策をお持ちであれば教えてください。
日本の大学が、欧米トップ大学へ連携を求める動きが多いと伺っていますが、その先のステップを見据えることが重要と考えております。海外大学とどのように向き合い、自大学の成長につなげていくかについてのお考えを、ぜひお伺いできますと幸いです。
【千葉部会長】 いかがでしょうか、両総長。
【大阪大学(熊ノ郷)】 じゃあ、私のほうから。
【千葉部会長】 どうぞ。
【大阪大学(熊ノ郷)】 海外の大学との関連でいうと、大阪大学は4つの海外拠点と、それから15のグローバルナレッジパートナーシップを結んでいて、共同研究が進んでいます。共同研究だけではなくて、学生の交流、特にジョイントでするような教育プログラムも、特に東南アジアのASEANキャンパスというところの大学のところで連携が進んでいまして、加えて、研究に関しては、それぞれの得意分野を生かした形で、ダブル・ディグリー・プログラムというのも進んでいて、両方の大学でドクターを取れるような連携も進んでいます。
加えて、昨年、大阪・関西万博があったときに、これは非常にアドバンテージがあったんですけれども、関西には15の総領事館が集まっていまして、これは、経済産業省のホームページの中でも、「つなぐ総領事館、進むドイツ・関西のライフサイエンス・スタートアップ連携」というタイトルで、大きくこれは経済産業省の中でも取り上げられたりもしたんですけれども、こういった、お互いに関心の深い領域というのを吸い上げて、そして、そういった領事館なんかも仲立になりながら、マッチングを進めていくというふうな取組も、今、行われています。
もう一つは人材育成という、人材をリクルートするという観点では、やはりこれもつくらないといけなくて。優れた研究者を海外から呼んでこようとしても、幾ら高いサラリーを準備したとしても、そこに自分の研究が、それによって、移動することによって、あるいはクロアポを含めて、席を持つことによって発展するというポテンシャルが感じられないと、やはり来ないんです。
そういった意味では、大阪大学の免疫学フロンティア研究センターや、あるいはCiDERと呼ばれている日本財団との10年230億でできた拠点で、ノーベル賞候補と言われているガブリエル・ヌネツ博士の招聘にも成功しておりまして。そういった形で、教育面、それから学部学生、大学院生、そして研究者の4つの段階で、しっかりと考えていかないといけないなと、今は考えております。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。杉山総長、どうでしょうか。
【名古屋大学(杉山)】 海外で価値創造という点で打って出るのが、まだ難しい状況ではあるのですけれども、先ほど申し上げたように、ノースカロライナ州立大学では、18年ほど既に活動をしている拠点があります。その拠点は、本来は知財を売る目的で作ったのですが、そこは難しかった。その代わりにすばらしいヒューマンネットワークができて、信頼関係を醸成することができています。
そういう中で、例えば、日本のアメリカの大使館のお金を使って、女子学生のサイバーセキュリティー研修を、両大学から6人ずつ集めて互いに行き来してやるということがあります。例えば、この間ノースカロライナに行ったときは、向こうの学長から頼まれて、現地のトヨタ関係者を紹介したこともありました。そういう連携が、ヒューマンネットワークというところでいかないと、うまくその次の段階に進んでいかないというのが、私が持っているイメージです。
また、欧米の大学と本当に対等な形になるのは難しいのですけれども、アジアのトップ大学であれば十分にできると思っています。アジアのトップ大学であり、すばらしい成果を持っていたり、すばらしい試みをしたりしていて、我々が、今、パートナーにしているのはシンガポール国立大学ですけれども、同大学は本当にスタートアップもすごく早い時期から、たくさん海外に学生を送り、その送っている学生を、我々は大学院の段階で引き受けました。引き受けて、愛知県にあるスタートアップ企業で研修を受けています。その研修を受けた学生と話をしたことがありますが、自分はスタートアップにそんなに興味はなかったけれども、この研修プログラムを受けて、初めてスタートアップが面白いと思ったと、シンガポールの学生が我々に言ってくれました。しかも、文科大臣の前で。すごくうれしかったのを覚えています。
こういう対等なパートナーとして、互いにスタートアップ関係の学生を送り合うということが、今はシンガポール国立大学とはできるようになってきています。トップ同士の信頼関係も、かなりうまくつくれているのでないかなと思っていますので、そこが重要かと思います。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。では続いて、吉田委員からお願いします。
【吉田委員】 ありがとうございました。両大学とも重要技術分野や社会課題、こういうものを意識しながら、研究成果を社会実装につなげると。その成果を、次の研究や人材育成に循環させると。こういう仕組みをお示しいただいて、すばらしい取組かなと思います。
幾つか質問あったんですけど、大分、前に答えていただいたのですが、特に産学連携について、熊ノ郷先生に御質問できればと思います。
今回、お示しいただいた9ページで、産学連携の、やはり収入なんかも着実に増えていて、これは恐らくシーズがあって、それに乗じて実装フェーズへつなげる、典型的な勝ち筋というかを示していただいたのですが、その中で、今、第4世代大学というのも、この間はプレゼンしていただいたんですけれども、むしろニーズドリブンの研究を、どうやって共創するか、コミットメントするか、エンゲージするかと。こういうことで、あたかも海外の大学にはいろいろ投資はするけど、日本の大学にはなかなか投資をしてもらえない、その理由は、大学のシーズの押売ではないかみたいなイメージがあったんですけど、今後、先生のところではシーズはあるんですけど、この第4世代大学、ニーズドリブンの研究というのは、どういうふうにコンバインされていこうとしているのか、ぜひ教えていただければと思います。
【大阪大学(熊ノ郷)】 御質問いただきまして、ありがとうございます。2つの観点で、お答えさせていただけたらと思います。
まず、1つ目は、先ほどのお言葉の中に、大学の、これは押しつけじゃないかというような話もありました。それは、私も実際にそれは感じていて、今まで産学連携というと、クラシカルにはやはり一方通行だったんじゃないかなと思っていて。大学で持っている教員のシーズを企業に提示して、そして、これを一緒にやりませんかというところで取捨選択していただいて、社会実装につなげていくと。やはりそれは、もちろんうまくいった例もあります。大阪大学の場合は、我が国で最初の抗体医薬がそれにつながって、ブロックバスターとなって、今でも累計で6兆円の売上げになっているわけですけれども、そういったクラシカルな産学連携に加えて、今はいろんな税制の関係もありますけれども、大学が、企業がやりたい研究を行っていただけるようなプラットフォームを1つつくるというのも、ありなんじゃないかなと思っています。
例えば、実際に医学系の領域でいうと、今まではいろんな縦糸の創薬で、それぞれの研究者のシーズを提示して、そしてそれを実用化できるか、フィージビリティーも含めてやってもらって、なかなかやはり確率が低いんですね。確率が低いということは、やはり企業も分かっていると思うんです。
それに加えて、やはり企業がやりたいことを大学でプラットフォームを準備して、そこで企業の研究者と大学の研究者がマッチングするような場所、一緒にやるような場所を提供すると。その中で、きっと真水も生まれてきて、自由な研究ができるようなお金も生み出されてくるというのを、幾つかのプロジェクトの中で実感しています。そういった形の双方向の産学連携を、やはりこれからしっかりと進めていく必要があるんじゃないかなと思っています。
それから2つ目は、やはり常に変わっていく、今役に立つ仕事は、多分5年後、10年後には当たり前になってしまうと。今、役に立つ人材というのは、5年後10年後には、もはやそれほど必要じゃない人材になってしまうと。やはり、そこを下支えするような基本的な人材を育てていく必要があると。しかも、社会価値というのは変わっていきます。その移ろいゆく社会価値を拾い上げていくというところに、実は本学もそうですし、名古屋大学もそうだと思いますけれども、総合大学の価値があると思っていますし、そこにこそ、本当の意味での人文社会学系を含めた、文理融合という土台があるんじゃないかと考えています。
そういった中でも大阪大学では、ELSIとかSSI、これは全国の大学に先駆けて設置してまいりました。今回、この4月から社会価値デザイン機構というのをつくって、やはり地域の課題を拾い上げていく。あるいは企業が、これはメルカリとの長期の大型の協働研究所を昨年設立したんですけれども、企業が何かをやっていくときには、きっと様々な形でコンフリクトが生じると。それを、一緒に解決していく。ここには、知的基盤総合センターといって、高等司法研究科の先生方が入っておられる智適塾というのをつくっておられまして、また、共創機構の中の産学法務支援室というものを設置していまして、そういった中で文理融合ではないですけれども、社会価値を、その時々の社会課題を細やかに拾い上げながら、しかもそれを法的な、リーガルな面でもクリアしながらやっていくという体制も取っていくことが、今後は重要ではないかなとは考えております。
以上になります。
【千葉部会長】 ありがとうございました。それでは、大野委員からお願いいたします。
【大野部会長代理】 熊ノ郷先生、そして杉山先生、すばらしい取組の御紹介ありがとうございました。私からは、産学連携に関して2つ御質問させていただきたいと思います。
日本の企業が海外大学に出す資金というのは、国内大学よりも大分多いということはよく知られていて、その状況を、今、分析されたことはおありかどうかということが1点です。
2点目は、産学連携は人材育成にも資するとなると、学生の参画が必要だと思いますけれども、学生は従業員ではありませんので、例えば、秘匿性の高い研究というのに、どのように従事させるか。
あるいは、産学連携から給料を補填するというようなこともあり得るかと思いますけれども、法人として何かそういう方面で、学生の参画という意味で取り組んでおられることがあるかどうか、その2点をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
【千葉部会長】 議論の時間が残り5分ぐらいですので、両総長におかれましては、短く、明快にお答えください。よろしくお願いします。
【大阪大学(熊ノ郷)】 まず、分析に関しては、大阪大学はデータドリブンのReCoというシステムを持っておりまして、それは、もちろん研究力、それからどれぐらいの人員がそこに配置されているのか、国やから、あるいは企業からどれだけの資金が投資されていて、そこに対して強みを有する研究者がどれだけいるかの、学内に関するデータドリブンのシステムは整えております。また、全般的な状況に関しても、一応ネットワークは様々な領域で、これも適宜なんですけれども、ライフ系ではどうかというようなところは行われているというような状況にあります。
それから、学生さん、特に大学院生をどういうふうに処遇していくかという観点に関してですけれども、まず、基本コンセプトは、大学院というと大学院生という名前がつきますけれども、学生ではなくて、やはりトランスファラブルなスキルを持ったプロとして扱っていくということが、もうこれは、大野先生がいつも言われていることですけれども重要な観点で。その原則に立って、何とか活躍していただけるような支援体制を取っていこうというふうにしているところであります。
実際にそういった秘匿状況、研究のセキュリティー、インテグリティーの問題もあって、これは、私はJSTの5人いる研究主幹の中のライフ系の担当主幹になっているんですけれども、今は全ての研究のプロジェクトに関して、そのあたりのチェックリストというのは設けられています。
また、大学の中でも、そこで研究者や学生さんたちが、学生って言っちゃいけないすね、プロたちが心置きなく安心して研究できるような、研究セキュリティー、インテグリティーに対するリスクマネジメントの体制も、高度な法務系の人員を配置した状態で、今は取っております。また、大学自体が、内閣府のこういった研究体制の整備事業の主管代表機関にもなっておりますので、そのことも含めて、研究環境を守っていきたいなとは考えております。
【千葉部会長】 では、杉山総長、お願いします。
【名古屋大学(杉山)】 簡潔に。最初の日本の企業が海外に出す資金量が多い理由の分析などは、分析まではできてないんですけれども、日本の企業に直接聞いても、あんまりちゃんと認めてくれないのです。
一方で、外国に日本の企業が出ると、先方の国の大学側からのアプローチがすごいというのです。だから日本の大学は、企業に対するアプローチ力が弱いのではないかと思っています。つまり、シーズをどう橋渡しするかというところも含めて、それから、もっともっとえげつないぐらい企業に踏み込んでいかなければいけないのかと反省している次第です。
学生については、秘匿性の高い、これから我々はラボ、研究室を企業の側に持ったときは、その問題が一番大きな問題になってくると思います。現状でも、ドクター論文によっては、公開できないドクター論文というのも出てきています。そのうちにその状況が変われば、それを公開して、リポジトリに載せられるのですけども、ここの部分は公開できないというようなドクター論文は、現在でも存在しているところです。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。ほとんど残り時間なくなってしまったんですけど、それでは、浅井委員と西村委員が手を挙げられているので、お二人、それぞれ御質問いただいた後、まとめてお答えいただきたいと思います。では、浅井委員、どうぞ。
【浅井委員】 よろしいでしょうか。本当にすばらしいお話をありがとうございました。中小の大学にいる身からすると、本当になかなかできることではないなと思いながらお聞きしていました。
私から2つありまして、1つは、やはり基盤的な研究に対してどういうふうに支援していくかということに対して、どんなポリシーをお持ちかということ、お考えがあるかという点が1点と。
もう1点は、産学連携で非常に産業界からたくさんの人材を両大学も招き入れられていると思いますけど、それがうまくいっている何か理由と、そういうのにどんなお考えをお持ちかということについて、もしこれまで出てきたお話かもしれませんけど、お聞きできればと思いました。
以上です、私からは。
【千葉部会長】 続いて、西村委員からお願いします。
【西村委員】 すみません、時間のないところを。
私は人材育成で少し聞きたかったんですけども。研究大学として研究力を上げていったときに、例えば、学生教育とかリカレント教育なんかがレベルアップしてきて、最終的には、地域の中核の大学というのは、地域社会を変える人材をつくらなきゃいけないと思うんですけど、それが上がってきているのかというのが1つ。
もう一つが、私はCOI-NEXTをやっていて、最近の若手の研究者の、非常に矮小化がすごく気になっていて。これは恐らくポジションとか予算の不安定さから、物すごく短期的な成果を上げるということで、発想力が非常に小さいんですよね。例えば、この爆発力のあるような研究者、若手研究者をどうやって育てるのかということに、ちょっと極端なケースからいうと、欧米だったら企業と大学を往還するというのは当たり前だと思うんですけども、そういった若手研究者をどういうふうに育てていくのかというので、何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
以上になります。
【千葉部会長】 それでは、すみません、両総長、二方からいただいた御質問について、端的にお答え願います。
【大阪大学(熊ノ郷)】 まず、1つ目の基盤研究についてですですが、やはりこれは、大学のしっかりとした基盤経費、これをしっかり守っていくということが重要でありまして、これは全国の国大協の中でも議論されていて、省庁の方々とも一緒になって、やはり運営費交付金、特に基幹経費を守っていこうと、ここがやはり一丁目一番地、重要である。しかも科研費、その基盤となる科研費についても、様々な今は働きかけが行われています。大学としましても、それぞれの今配分されているところはしっかりと、何とかここは守るという方針で。ただやはり研究のアクティビティーを上げていただかないといけませんので、そこは、部局長ヒアリングを通じて、エンカレッジしながら、今は進めているところであります。
それから産学連携の、これがうまくいっているのかということですけれども、恐らくもともと産学連携、そこから始まったという背景があります。
例えば、ブロックバスターに関しても、企業の研究者が入っていて、実は2つの選択肢があったそうなんですけれども、1つの選択肢は、基礎研究の領域でうまくいかないという皮膚感覚を得ていたので、2つ目のストラテジーでアプローチしたというような話だったり。なかなか企業では無駄だからできないようなことも、大学の中では無駄な実験をたくさんやられていますので、その中で皮膚感覚でそれを見ていただいて、そしてそれを実用化につなげていくということを実践しているという背景があります。その背景の中でIndustry on Campusという構想を今も掲げているところであります。
それから、やはり地域の発展を担うような人材を育てていかないといけないということで、自治体との間の人事交流は、実際に進められています。
それから、小ぶりの研究者が出てきているのではないかなというと、私もよく審査には携わっているところですけれども、阪大としては、これは国際卓越の中でも掲げていたんですけれども、マルチメンタリング、そしてChallengers’ Baseということで、若手の研究者を、もちろんそれぞれの研究室に所属しながらですけれども、チャレンジングな仕事に関しては、そこをサポートしていこうと。何とかこの産学連携の中で上がってきた収益、収益と言っていいんですかね、それをうまくそういったチャレンジするような、萌芽的な研究に投資して、若手の研究者をエンカレッジしていきたいと。そのためには、ReCo-foresightというデータベースも完備しておりまして、それも指標にやっていきたいと思っております。
以上です。
【千葉部会長】 ありがとうございます。では、杉山総長、どうぞ。
【名古屋大学(杉山)】 できるだけ早く。基盤研究は、ゼロイチをやらなければいけないということは絶対にあると思うのです。芽を育てるための目利きをして支援をしていくとことが、絶対に重要だと思います。基盤的な経費が十分あれば全然問題ないのですけれども、十分にない中で、どうやって配分していくか、戦略が問われます。
産業界からの人材は、評価とか、柔軟な給与システムがないと、給与水準も違って難しい問題があると思います。ほぼ定年に近いすばらしい人は来てくれますけれども、若い活きのいい人が、給料が違うところに来るかという問題です。人事評価システムをもう一度ちゃんと捉える、つくり直す必要があると思います。
それから、リカレントは、やはり増えています。どんどん増えていて、レベルアップしていると信じたいと思っています。
矮小化ということについては、特に若手研究者に、できるだけいろんな体験をさせることを今は考えています。海外に行かせるのはもちろん、企業での武者修行ということも考えているところです。T-GExというPI人材育成のプログラムが走っているのですけれども、たくさんの企業の人たちが入ってきて2年ぐらい一緒に学んでいるのです。5年間の事業ですけれども、それがすごくいい刺激になっています。
以上。
【千葉部会長】 どうもありがとうございました。すみません、限られた時間の中でまとめていただいて、また、御質問いただいてない委員におかれましても、多分、同じようなことを考えて、手を挙げられなかったと思いますが、すみませんでした、時間がぎりぎりになりまして。
非常に重要なディスカッションができたと思うんですけども、重要なことは、私が冒頭に申し上げましたけど、我が国の成長の中心、それから世界で存在感を示す研究大学ということを申し上げました。日本が存在感を示す姿というのを、どう位置づけるか。要するに、ただ、みんなに追いつかなければではなくて、あるいはこれをやらなきゃいけないではなくて、なぜそれをやると存在感が示せるのか、ほかの国と違う位置づけができるのかというようなところを、これからもっともっと明確化していく必要があるなと思っています。
重要なのは、1つは時間軸なんですね。ある時期までにそれをやらないと、要するに目標は達成できないというぐらいの深刻さを、やはりみんなで共有すべきだと。ということは、いつまでにこれをやっていけば、最終的にはこうなるんじゃないか。日本の強みは、こことここになるはずだというようなところを共有すると、もっともっとみんなで未来に対してポジティブに、元気に希望を共有できるのではないかと思いますので、ぜひ今後とも、そういう観点も含めて、前向きな意見交換を進めていただければと思っています。
本日は、本当に大変有意義なお話をいただいて感謝申し上げます。
それでは、本日の議題は、以上となります。
大学研究力強化部会運営規則第7条に基づき、本部会の議事録を作成し、資料と共に公表することになっております。本日の議事録については、後日メールにてお送りしますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、第6回大学研究力強化部会を閉会いたします。本日はありがとうございました。
―― 了 ――
電話番号:03-5253-4111(内線:3838)