科学技術・学術審議会 大学研究力強化部会(第5回)議事録

1.日時

令和8年2月17日(火曜日)12時30分~14時30分

2.場所

文部科学省内会議室及びオンライン

3.議題

  1. 大学研究力強化に向けた取組について【公開】
  2. 国際卓越研究大学研究等体制強化計画の認可について(意見の聴取)【非公開】
  3. その他

4.出席者

委員

(部会長)千葉一裕委員
(部会長代理)大野英男委員
(委員)浅井清文委員、荒金久美委員、飯田香緒里委員、小野悠委員、片田江舞子委員、河原林健一委員、木部暢子委員、新福洋子委員、関谷毅委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員、山崎光悦委員、吉田和弘委員

文部科学省

(事務局) 松浦大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当)、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、坂下大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、村尾崇国立大学法人支援課長、国分産業連携・地域振興課長、山之内振興企画課長、俵大学研究基盤整備課長、西科学技術・学術振興局企画官、小川大学研究力強化室長、小野大臣官房文教施設企画・防災部計画課企画官 他

発表者

科学技術振興機構研究開発戦略センター永野智己フェロー、北陸先端科学技術大学院大学小泉周副学長

5.議事録

  • 大学研究力強化に向けた取組【公開】

【小川室長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回科学技術・学術審議会大学研究力強化部会を開催いたします。
 本日は、御多忙の中、御参加いただきまして、ありがとうございます。
 まず、配付資料の確認をさせていただきます。資料は議事次第の配付資料一覧にある資料を事前にメールにて配布しておりますが、欠落等ございましたら申し出ていただければ幸いです。
 本日は文部科学省の会議室とオンラインのハイブリッドでの開催としております。委員の皆様におかれましては、音声をミュートに、映像は可能な限りオンにしていただき、質疑応答の際は御発言いただく前に挙手ボタンを押すか、画面内で確認できるように挙手いただき、部会長に指名していただいてから、当てられた方のみミュートを解除し、発言をお願いできればと思います。また、会議中は事務局からメッセージをチャット欄からお送りする場合がございます。
 本日の議題は2件、「大学研究力強化に向けた取組について」と「国際卓越研究大学研究等体制強化計画の認可について(意見の聴取)」でございます。本部会は、原則として公開で行うこととしておりますが、後半の「国際卓越研究大学等体制強化計画の認可について」については、行政処分に係る案件であること、個別利害に直結するおそれがあること、また、委員から忌憚なく御意見を聴取したいと考えていることから、科学技術・学術審議会規則に基づき、会議を非公開とさせていただきます。
 また、本日の特に後半の議題の議事録の取扱いにつきましては、会議の最後のほうでお決めいただく予定です。本日は事前に登録いただいた方には公開議事について動画を配信していますので、御承知おきください。
 本日の委員の出欠状況としましては、梶原委員から御欠席、飯田委員から30分程度の遅参、また、山崎先生がこの段階では入ってございませんけれども、後ほど御参加されるという予定でございます。
 以上でございます。部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

【千葉部会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。本日の1つ目の議題は、大学研究力強化に向けた取組についてです。最初に、本日御議論いただく内容について事務局より説明いただいた後に、我が国の成長の中心として世界で存在感を示す研究大学へ発展させるための新たな支援施策の検討に向けてヒアリングを進めてまいります。お願いします。

【小川室長】  それでは、資料1-1を御覧ください。1ページ目をおめくりください。こちら、昨年末に本部会においておまとめいただいた研究大学群への支援の在り方についてでございます。改めまして、この部会では4つの柱、大学・領域・セクターを超えた連携の拡大、また、人材の集積、世界最高水準の研究大学の実現、地域中核・特色ある研究大学の振興、こういった柱で御議論いただいてまいりました。
 既に東北大学や岡山大学、こういった国際卓越研究大学、また、J-PEAKSの採択大学の取組が確実に進展しているというところもヒアリングなどを通じて御確認いただいたかと思います。また、改革の機運、こちら、大学が醸成されている中、例えば次世代を担う優秀な高度人材、また、地域圏の産業界に貢献してきた大学、さらに主要な重要技術分野を支える大学など、さらにどのような観点を、検討する必要があるのか、また、支援方策など、どうするのかといったところについて議論を深めてはどうかという御議論をいただいたかと思います。
 2ページ目でございます。その上で、前回、お示しさせていただいた資料でございます。今後、ヒアリング等を通じて我が国の成長の中心として、世界で存在感を示す研究大学へ発展させるための新たな支援施策の検討をさらに深めていくということでございます。ヒアリングにおける確認事項につきましても、我が国の研究大学の発展の方向性、ガバナンス改革、また、関係省庁、特に経済産業省においても研究大学関係の御検討をいただいておりますので、こういったところについても確認をさせていただく。
 また、ヒアリングの対象とすべき大学の事例として、5つ、矢羽根をつけさせていただいております。4th Generation Universityという考え方についても、これまでこの部会でも触れてはきましたけれども、本日はさらに具体的なところをお聞きすることを通じて地理的近接性や地域特性を踏まえつつ、地域の企業や学生を巻き込み研究を行う大学の事例、また、クローズ情報の取扱いも含め企業の取組を活用し、知の価値化を最大化する事例といったところに着目して議論いただけないかと考えております。
 3ページ目でございます。こちらは改めて大学研究力強化に向けた施策の全体像ということでございます。下から基盤的支援、研究者個人の支援、さらに組織・分野を超えた連携の強化とあり、また、この上、青い部分で囲んでいるところが研究大学が具備すべき要素への支援ということで、地域圏の産業界への貢献、また、強みとなる重要分野を伸ばしていく、さらに研究人材の集積・輩出、さらに研究基盤の刷新ということでございます。こういったメニューを大学が生かしまして、研究力を強化していただけるように支援していくということでございます。
 4ページ目です。前回もお示ししましたけれども、そういった研究大学が具備すべき要素への支援ですとか、組織・分野を超えた連携の強化・拡大、また、研究者個人、さらに基盤的経費のような支援というところは、これはこれまでも議論を進めるとともに、必要な事業、施策を新たに進めているところでございます。例えば共創の場形成プログラムであれば、全体で50弱の拠点を形成してございますけれども、地域の未来に向けて解決する課題の深堀や、産学官共創を牽引する独創的・挑戦的な若手研究者によるチーム、こういったものを通じて産業界の連携を図っていく拠点をつくるため、令和8年度につきましても新規採択を予定しております。
 そのほかにも新たなものとして、産業・科学革新人材事業、EPOCH、先端研究基盤刷新コアファシリティ事業、それから共同利用・共同研究システムの形成事業としましても、新たにオートメーション/クラウドラボを形成して、さらにオープンな環境で様々な地方を含めて意欲的な研究者に、研究環境にアクセスしていただけるような施策も進めています。さらに令和10年度から始まる第5期の中期目標・中期計画期間における大学共同利用機関法人や共同利用・共同研究拠点の今後の在り方について、科学技術・学術審議会の研究環境基盤部会において議論をまさに進めているところでございますので、簡単に御紹介させていただきました。
 その上で、前のページに戻りまして、3ページ目でございます。こうした施策もありつつ、特にこの部会でも御議論いただいてきている研究大学のガバナンスに基づく大学のビジョンに対する全学的な支援ということで、赤枠で囲んでいるところでございます。ほか、大学のガバナンスに基づいて、大学の自発的なビジョンに基づくということで、かなり使途の限定されていない一定の資金を供出していくという枠組みになってございます。国際卓越研究大学並びにJ-PEAKSという、この2つの柱がありつつも、さらに我が国の成長の中心として、世界で存在感を示す研究大学へ発展させるための支援施策は、どのようなものがあるのかといったところを今後御議論していただければと思ってございます。
 5ページ目でございます。本日御議論いただきたい点でございますけれども、世界をリードする研究大学群の本格的な始動・拡大に向けましては、知の価値化を、これを大きく最大化していく必要があるということかと思います。この点は委員の方も御認識が同じかと思います。その上で本日のヒアリングにおきましては、我が国の産学連携の現状や課題、また、広域経済圏の中心として地域や企業とともに成長する大学像、こういった議論を通じまして、我が国の成長の中心として世界で存在感を示す研究大学へ発展させるための新たな支援施策に必要な論点について検討を深めたいと考えてございます。
 ヒアリングでは、CRDSの永野様から産学連携における構造的課題と解決方策、また、北陸先端科学技術大学院大学の小泉様から経済圏のエコシステムの中心として発展する新しい大学像について御説明いただきます。
 6ページ目につきましては、前回までの御議論を少しまとめたものでございますが、この場では割愛させていただきます。
 7ページ目からは、事務局で産学連携、また、地域のエコシステムに関する資料をまとめたものでございます。この後また永野様からも御説明いただけるかと思いますけれども、まず大学における産学連携の状況でございます。オープンイノベーション機構の整備や、産学連携ガイドライン、こういったところの進展によりまして、この5年間、共同研究費の受入れ額、件数は増加しております。左側の図を見ていただければと思います。この部分の右側の表ですけれども、他国と比べて小規模、また、組織内にとどまる傾向にありますので、こういったところ、組織の壁を超える。また、隘路を超えて他大学のモデルとなる大学の在り方について議論が必要かと考えております。
 8ページ目でございます。東北大学、岡山大学から第2回の本部会においてヒアリングさせていただいた内容でございます。国際卓越研究大学、J-PEAKSにおける企業との協働の好事例ということで、東北大学においては企業の活動拠点として共創研究所を設置し、常駐の研究者の方が企業から入っていただくような仕組みもとっておりますし、岡山大学におきましては、OI-Startを創設し、産学官金が連携するという枠組みをとってきたところかと思います。
 9ページ目、10ページ目でございます。こちらは日本の経済圏と各地域の大学における人材の供給の状況ということで、人材供給、また、研究を通じて生じてきたシーズが地域の課題解決に貢献する例ということを挙げさせていただいております。真ん中の表を見ていただければと思いますけれども、例えば輸送用機械というものを取り上げた場合に、縦軸が各都道府県の売り上げに占める割合、横軸が各都道府県の修士・博士の卒業生数に占める割合としまして、例えば東海経済圏、愛知、三重、静岡、岐阜におきましては、売り上げ規模と修士・博士卒業生ともに大きな割合を占めているということが見て取れるかと思います。
 次の10ページ目でございますけれども、地域性を持って分布している産業というものの中には、一定、当該産業への関連性の高い専攻から相対的に多数の修士・博士が輩出されている例も見られるということでございます。例えば先ほどの例で言えば、輸送用の機械につきましては、卒業生数と売り上げの相関関係が0.64、比較的高くなっており、こういった産業が幾つか見られるということでございます。なので、感覚的には恐らく産業構造として比較的強い産業構造を持っている都道府県におきましては、修士・博士の方々も、そういった産業に就職をすることが見て取れるかと考えております。
 最後のページでございます。11ページ目でございますが、世界をリードする研究大学群ということで、大学改革を通じて知の価値化を最大化する必要がありますので、我が国の産学連携の現状や課題、広域経済圏の中心として地域とともに成長している大学像の議論等を通じ、世界で存在感を示す研究大学へ発展させるための新たな支援策に必要な論点について検討を深めたいと考えております。論点としては、ここに挙げたものなどでございますので、先生方には忌憚なく御意見いただければ幸いでございます。
 事務局からは以上でございます。

【千葉部会長】  それでは、事務局からの説明にもありましたとおり、本日はヒアリングを2件続けて行い、その後まとめて2件の質疑応答を行います。まずは、産学連携における企業視点から見た構造的課題と解決方策について、国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター、永野智己フェローより発表をお願いいたします。

【CRDS(永野)】  JST研究開発戦略センターの永野です。資料1-2についてご説明いたします。CRDSはJSTのシンクタンク部門ですが、そのなかで横断・融合グループでは、科学技術・イノベーションエコシステム構築の全体像をいかに捉え、形成、そして成長させていくかを広い意味で念頭に置いて活動しています。一見すると、イノベーションというときに図で言うところの右側のピンクのほう、産業界が深く関わるところを主に考えるかと思いますが、そういったエコシステムがよりよく機能するためには、左側のブルーのところ、研究開発自体のエコシステムが、やはりよりよく機能することが求められ、また、両者の重なりを深めていくことがエコシステム形成においては重要だと考えています。
 そういった中で、私どもの調査を通じて様々な産と学の間にわたる諸課題というのも浮き彫りにしてきてまいりました。個々それぞれの課題や論点を挙げていただいているのですが、そういったことを含めて検討をしていきますと、イノベーションといっても、より技術主導的な観点によるものと、そしてもう一つ、ピンクのところ、ここではデザインや、体験という言葉を使っておりますが、そういった観点からイノベーションのプロセスを作っていくことが重要なものもあり、このように大きく2つに分けて考えるということをご紹介しております。
 例えば創薬などの分野では、1つの分子が世界を変えてしまうみたいなことがあるわけでして、すぐれた技術シーズは当然のことながら、それを有効な知財として保護し活用していく、あるいはオープン・クローズ戦略を適切に活用していくことが非常に重要になります。一方、ソフト等の情報サービス、あるいは環境分野等では、技術に新たな意味をどう付与していくのか、体験価値やナラティブをどう構築するのか、そういったことを含めてデザイン型のイノベーションプロセスが非常に大事になってきます。そうした研究開発において、アカデミアからの価値が社会につながっていくまでには、様々な経路を通るわけですけれども、ここで図中の赤のライン、産学の共同研究等によるもの、あるいはアカデミア等の成果を知財化してライセンス等するもの、あるいはアカデミア発成果によるスタートアップ、これらいずれかの経路を通ることが必要になります。その経路ごとにどういったボトルネックがあるのかを調べてまいりました。
 産学連携に関連する主要データをご紹介したいと思います。我が国では官民合わせて年間約20兆円規模の研究開発投資をしているわけですが、そのうち、企業負担率が72%ほどになります。表の右側です。企業から大学への研究開発拠出がどれぐらい行われているのかということを見ますと、日本では、その全体の0.49%ということでありまして、諸外国に比べてここは著しく低いような傾向が見て取れます。こういったことからも、産業界と大学との関わりは、資金面でみると諸外国に比べてやや薄いのかなということがデータ上は見えてまいります。
 さらにブレークダウンして見ていくと、国内の企業が国内の大学へ出す1件当たりの共同・委託研究費は、平均で330万円です。海外企業が国内大学に出すのは580万円、そして国内企業が海外大学に出すのは1件当たり1,640万円ということで、やはり企業からの研究開発投資は、海外大学に対するものと国内大学に対する投資の金額規模に開きがあることがわかります。共同研究等の件数やその総額規模は、左のグラフのように右肩上がりで増えてきていますが、中を見てみますと、やはり1件当たり300万円未満の案件が8割を超えています。また、特許等の実施料収入を見ますと、これもよく知られたデータではありますが、左側のグラフ、全体の収入規模は年々増えてきているわけですけれども、右側で見ていただきますと、大学と産業界との間のライセンスはアメリカと日本で比較して約2倍の差、そしてライセンス収入に至っては約50倍の差があります。この差をどう見るかについては、様々な解釈であったり、その国が置かれた状況や経緯、考え方が違いますので、一概に比較はできないのですが、このような違いが存在するということがまずありえます。
 また、日本の大学が保有する特許は、約52%は企業との共願になっています。この右側の図を見ていただきますと、ピンクとブルーでそれぞれ、企業とアカデミアによる共願割合がどれぐらいか、大学の単願によるものがどのくらいかを示した図ですが、日本は約半数が大学と企業とで共願している状況であり、これは諸外国には見られない特徴といえます。このことがひとえに良い/悪いといえるものではないですが、大学と企業との間の共同研究がある種盛んであると言えるとともに、大学主導による知財活用の活動が、ややしにくいといった面もあるということです。
 また、この次のグラフ、少しビジーで大変恐縮ですが、国内外の主要大学におきまして、各大学が保有する特許ファミリー(特許の保有件数)が過去15年間でどう変化したのかを大学単位、分野ごとに分析したデータになります。例えば左上、スタンフォード大学では2008年時点で1,500件程の特許を保有していたところ、2023年の段階では2,680件になっており、2倍にすこし及ばないぐらいの増加をしている。また、グラフの色は、オレンジ色は化学分野、茶色が情報分野、そして濃いブルーがヘルスケア分野を表しているのですが、例えばスタンフォード大学は、この15年間で当初は化学分野の特許保有が一番多かったものが、2023年にはヘルスケア分野の特許が増加することによって、大学全体としての保有特許の分野割合が変わってきていることがわかります。
 一方、清華大学、左下などは4,500件余りだったものが15年間で3万7,000件程にまで増加しており、保有特許が約9倍になっている。そして、元々は化学分野の特許が多かったものが、主な増加分野は情報分野が最も大きい。また、右下には、東京大学の例を掲載していますが、2008年に1,300件余りだったものが15年間で約3倍の3,800件強程になっていますが、その中の主な分野割合は、ほぼ同じままであり、この15年間での研究開発投資の結果としての特許化の割合に、各国の大学間で傾向に違いがあることが分かります。このような特許動向に関しては私どもの報告書で既に公開していますが、こういったものを各大学単位でどのような変化がデータ面で表れているかを比較可能な状態で示しておりますので、ご参考いただければと存じます。
 次にスタートアップに関してですが、左上の棒グラフの通り、件数ベースでは非常に多くなっているわけですけれども、その中身を見ていきますと、アカデミア発スタートアップの約8割は売上高1億円未満の規模です。また、IPOやM&A等によるExit率は0.2%という状況ですので、今後のわが国におけるアカデミア発スタートアップの成長を考えたときには、成長フェーズでの戦略や支援策が論点と認識しております。
 続いて13ページ以降は産学連携活動についてですが、企業と大学における「組織対組織」の包括連携や社会連携講座等の件数を大学単位で見ています。国内主要大学ではこうした連携が近年急激に増えてきていることが分かります。また、そういった組織対組織の連携では、従来型共同研究と比べて、1件あたりの研究費額が大きく増加しているといます。そこには企業からの大学への期待の高さが、こういった形による連携にシフトしてきているということを表していると考えられます。これらから言えることは、件数ベースでは産学連携は大きく進展しているものの、その資金の循環や知財創出、あるいはスタートアップ成長等には一定の構造的課題が存在しており、また、組織対組織の連携形態が近年急増しており、こういったところは大学と企業、それぞれがどう考えて行動しているかを理解しながら施策を検討していくことが重要ではないかと考えております。
 こうした観点で、産業界がどのように大学との研究を見ているのかについてもCRDSで調査をいたしました。主要産業分野において、産学連携を活発に行っていると考えられる企業1社ごと、計13社のヒアリングを行いました。特に、その企業において産学連携やオープンイノベーションを組織として担っている部署の責任者、あるいは実際に組織対組織の連携の現場責任者クラスへのヒアリングを実施しました。ヒアリング結果から抽出した共通的な傾向が見えてまいりました。16ページの上のブルーのところ簡単にまとめていますが、日本における産学の共同研究の場合は、その基本設計が非常に曖昧であって、そこが海外大学で見られるようなシャープなコミットメント型の共同研究や委託研究との違いとして存在します。また、企業が直面している新たな課題、技術革新や市場環境の変化等々に対しての、コミュニケーションの密度をどう設計するのかが非常に重要であり、そこから産学の共創をいかに生みやすくするのか、なかなか生まれがたいところに対して問題意識が挙げられました。
 また、従来から言われておりますように、契約諸手続き面の非効率さであったり、あるいは情報漏洩など情報管理に対するリスク、予防措置の不足、そういった観点に対しても大学との連携構築の課題として企業ヒアリングから指摘がございました。特に企業ではいま、大学への期待が非常に大きく、新しいパートナーを探したいのだけれども、しかしどこにどんな可能性を持った研究者や技術が存在し、どんな研究が行われているのかが可視化されていないといったことも声として挙がってまいりました。
 以上のようなことを具体的なヒアリング結果からの抽出として、17ページ以降の数枚でまとめておりますので、詳細は資料をご覧いただければと思います。ここから浮かび上がってくることを、20ページにまとめておりますが、企業は現在の環境変化を見据え、より探索的な研究を、複数分野にまたがるような知の組合せを大学にすごく期待しているということが分かってきました。また、事業化を模索していく上では、やはり特許ポートフォリオ、知財の活用を希求しているわけですけれども、そこに対して大学のより積極的な対応を期待している。あるいはスタートアップ等に関しては、成長フェーズへの支援、企業から見て投資判断がしやすくなるような水準までの、基礎研究や基礎技術の育成を期待しているといったことが見えてまいりました。
 この中で、組織対組織の連携が増えているということはすでに申し上げましたが、産業界が積極的にこういった組織対組織の連携を作っていることについて、事例ベースでの調査もいたしました。ある程度まとめとして記載しておりますが、特に中長期的に大学との関係を構築し、探索的な研究開発から将来の価値創出へ結びつけていく、そうした効果を狙っていることが見えてきています。一方で、連携の枠組みを作れば回るわけではないという現実がある。特に運営を牽引するようなリーダーにすごく依存する構造があったり、途中でその仕組みが停滞してしまう、あるいは組織間の温度感などに関しても、大学と企業の間では差やばらつきがあります。あるいは競合他社に対する排他性と、オープン性のバランスをどうすればいいのか、こういったところにはまだ様々に課題があると聞いています。
 組織対組織の連携といっても、22-23ページにございますように、実は多様です。CRDSでは調査のなかで見えてきた連携のタイプを7つに類型化して表現しました。従来型の1対1の共同研究・委託研究のかたちに比較して、例えば大学側が部局をまたいで学内の知や教員、研究者をつなぎ合わせて産業界と連携する形、あるいはオープンラボ型、サプライチェーン型、クラスター形成型というふうな分類を書いていますが、産業界側のほうも複数社、例えばサプライチェーンを構成するような適切な企業が連なるかたちで、大学と一緒にそのサプライチェーン全体を構築していくための組織対組織の連携構造による研究開発体制を作る。あるいはコンソーシアムのようなものを作って、大学のコア組織が中心となって複数の大学、複数の企業を結びつけたような連携組織を作る。こういった様々な類型がございますので、ひとえに組織対組織といっても、やはりその目的と実情に応じた、より適した形で連携による研究開発を進めていくことが重要になります。
 これらについて、幾つかの大学の事例とともに見えてきたことを24ページ以降でまとめております。この場では詳細には触れませんが、来月3月には報告書としてCRDSより公表することを予定していますのでご参考いただければと思います。これらから浮かび上がってきたこととして、28-29ページに6つのポイントをまとめております。1つ重要なのは、やはり産学の両責任者、トップ同士の合意形成がまずしっかりあった上で、現場リーダーの存在が産学の両方において非常に重要であるということです。特にアカデミアにおいては、学内の教職員、研究者同士を結びつけたり、その知を集めるうえで、ハブとなるリーダーシップを持った教員人材の存在が非常に重要になるといったことが、企業からの声として共通に上がってまいりました。
 また、実効的なステアリングコミッティの存在も重要です。進捗の管理・確認だけではなく、次のテーマ検討や、どういうプランで研究を推し進めていくのか、どういうメンバーで具体的に何を研究進捗のステージゲートとして設定するのか、そういった推進をマネジメントする実効的機能を持ったコミッティが大事です。大学側が持つ研究力の高さはもちろんのこと、そこに企業人材が常駐することや、競合企業との間に関する適切な情報管理体制をどう両組織間で作るのか具備された上で、目的に合った連携構造を作っていくことが重要であるとして、取りまとめております。
 最後に、海外の施策事例を少しだけご紹介します。いずれも米国の事例ですが、NSFでは3年前にTIP局、技術イノベーションパートナーシップ局が組織されまして、ここでは研究成果を社会実装し産業競争力を強化していくために、橋渡しをするミッションを持っており、NSFとしてもそこを強化していくための組織です。その1つの施策として“Regional Innovation Engines(NSF Engines)”があります。これは2022年のCHIPS科学法を受けて創設されたものですが、地域主導型の研究・イノベーション基盤形成プログラムです。基礎から応用、社会実装、人材育成、産業化までを一体として捉える長期支援モデルで、選定された拠点は、10年間で約1億6,000万ドル相当の助成を受けるかたちになっています。
 選考過程が特徴的で、10年間1億6,000万ドルの助成が決定する前段階で、初期の最大2年間を100万ドル相当の支援によって短期にフィージビリティスタディを実施します。地域としてエンジンを作っていけそうかどうかを試行する取り組みであり、また、さらにその手前では、不採択となった提案書についても意図的に公開することで、地域内の連携やチーム組成を促すということが行われています。具体的な採択拠点のリストを掲載していますが、いずれも米国として将来の産業としての成長を期待するようなものが対象となっていることが分かります。
 一例として、「Florida半導体エンジン(Central Florida)」という拠点があります。ここでは半導体における、他国での製造パッケージングをどうやって米国内へ回帰していくかということで、サプライチェーンを再編していくことを揚げています。そのスタート段階で、アカデミアと産業界の連携コンソーシアムを作って、そのコンソーシアムが主導する形でアカデミアと地域産業界を結びつけていくような、そういったエンジンを作っていくという拠点事例です。
 最後に米商務省経済開発局における“Tech Hubs”という施策について触れます。NSF Enginesと相補的な関係として位置付けられており、より産業化、雇用創出へ結びつけるようなことを主眼とした地域育成、成長を目標とする施策です。Tech Hubsでは、米国における重要国家戦略技術を対象としています。規模としては拠点あたり4,000万ドル相当ですが、それこそ量子やバイオ製造、そういったものが対象となって採択されています。
 量子に関する拠点について、“Elevate Quantum Technology Hub”があります。コロラド州およびニューメキシコ州に跨る内容ですが、量子技術に関するラボと、製造施設を横並びに設立することによって、ラボから市場への技術移転を加速させ、商用化に要する時間とコストを削減し、起業の障壁を下げる。これらを推進するためのコンソーシアムが、ハブのような形となって大学と産業界を結びつけ開発を行い、そして雇用を創出していくことを狙った支援策の事例です。
 以上、本日の議論のご参考にしていただければありがたいです。

【千葉部会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて経済圏のエコシステムの中心として発展する新しい大学像について、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学、小泉副学長より発表をお願いします。

【JAIST(小泉)】  御紹介、ありがとうございます。小泉と申します。北陸先端科学技術大学院大学の副学長をしております。今、画面を共有しております。今日は北陸先端、JAISTの副学長としてJAISTの話というよりは、少し俯瞰的にお話をしたいと思っています。資料1-3を用いてお話をいたします。
 というのも、私、研究振興局の技術参与もさせていただいておりますし、今日の話の中心に4th Generation Universityの話をさせていただければと思っております。4th Generation University、既にこの部会でも御案内があったと思いますけれども、今、欧州、ヨーロッパのほうでコンセプトのまとめということをかなり積極的に行っており、そのボードメンバーの1人として私が入っております。日本からはOISTのKarin Markidesさんも入っていらっしゃるところです。こういったメンバーでディスカッションをしている。
 実は先週から、昨日、本当に昨日の夜遅くまでかけて、まずは4th Generation Universityのこのボードミーティングがロンドンであり、その後、今日お話しするアリゾナのところで、フェニックスでArizona State Universityのお話を、AAASの年会がありましたので、その場でいろいろと聞いてきました。まさに4th GenerationやArizona Stateの、今日お話しするというのをこの1週間、実際に現地でいろいろな話を聞いたり、ディスカッションをしてきたところであります。両大学の取組についてこの部会のメンバーの先生方、いろいろと私よりも詳しい方、いらっしゃると思いますけれども、まずは先ほどの永野フェローの話も含めて違和感があるなというか、欧州で話されていることとやっぱりちょっとずれがあるなと思って聞いてしまっているのは、欧州の議論を聞いていると、産学連携という言葉は一切出てきません。もう産学連携という言葉が出てくるというのは、Academic industry collaborationという言葉はもう古い言葉であると。
 ただ、一方で、先ほどの永野フェローの話を聞くと、最後のほう、従来の産学連携ではやはりないんですよね。もう既に行われていることが。従来型の産学連携という言葉で表されるものではない取組が先ほどの永野フェローのお話からもあったと思います。なので、やはり皆さん、大学側の発想も、従来の産学連携という言葉を1回忘れる必要があるのではないか。むしろ、出てきている言葉、4th Generation、このロンドンとフェニックスで聞いてきた中で、Academic industry collaborationという言葉は一切出てこない。だけれども、出てくる言葉として、出てきているのは、大学はいかにエンゲージするかです。エンゲージメントという言葉はすごい出てきます。エンゲージメント、エンゲージメント。インダストリーにどうエンゲージメントするか、ソサエティにどうエンゲージメントするか。そのエンゲージメントという言葉がかなり主要になってきており、そして、大学の中でも、こういった大学人、いろいろなこれだけのメンバーの大学人と話していても、かなりそういったエンゲージメントに対するパッションを感じる、そういった状況にヨーロッパもアメリカもなっているのかなと思っています。
 そういった中で第4世代大学の話、コクリエーション、バリュー・コクリエーションという考え方を持ってきているというところです。第1世代が、まずは教育。第2世代が研究を中心としたもの、第3世代が、そして研究や教育で出てきた価値をいかに社会にトランスファーするかというもの、第4世代は、むしろ価値そのものも共創する、共にコクリエーションするという考え方。ここでもう一つ重要なのは、この地域、国家、世界、どうしても第4世代大学というと、どうしても地域の大学、地方の大学、どうしてもその地域という言葉がまた少し狭く、日本の言葉としても捉えられてしまいますけれども、第4世代は、もともとこのEUAが、European University Associationが言い出しているところで言うと、地域、国家、そして世界のソサエティ、世界のそうしたソサエティといかに発展、相互作用するかという、地域の大きさという意味では、小さなものから大きなものまで全てカバーする。考え方の整理なので、必ずしも地域、日本で言うと地域というと本当に狭い範囲のことを考えてしまいますが、そうではない。
 地域、国家、そして世界の発展と相互作用するような、そうした価値の共創する大学をつくっていくのだということを言っているところです。この辺り、資料、載せておりますので、もちろん私よりも詳しい方がたくさんいらっしゃると思いますが、EUAのEuropean University Associationのもの等も読んでいただけると分かっていただけるのかなと思っています。先ほどちらっと申し上げましたように、第3世代から第4世代というところ、この部会でも既に報告があったと思いますけれども、第1世代は本当に何百年前の教育をするというところ、第2世代というのは研究を中心として行う、そして第3世代が、その教育、研究の価値を生み出すのが大学であって、それをトランスファーするという考え方、4th Generationや、むしろ、そうではなくて価値そのものを社会、大学と社会が一緒に作り出すという、そういった考え方が今回生まれている4th Generation Universityという考え方になります。
 この辺も、もう御案内のとおりですけれども、3rd Generation University、価値を生み出すというところの、学術研究や教育を通じて価値を生み出すのは大学であって、その価値をいかにトランスファーするか。これが従来型の産学連携の考え方だったと思います。だから、橋渡しをするとか、価値をトランスファーするとか、そういった考え方、いかにそこをするかというのが、いわゆる第3世代の産学連携の考え方、価値を創るのは大学である。その価値をいかに社会に持っていくのかというところの議論の中心が、過去の産学連携の考え方だったと思います。いや、そうではないよと。第4世代はむしろ、先ほど来申し上げているエンゲージメントという考え方、大学がいかに産業や社会にエンゲージできるのか。産業や社会とともにコクリエーション、バリューをコクリエーションできるのか、こういったところをやるというのが第4世代大学で、先ほどの永野フェローの話も本当にこの部分を触れられたのだと思っています。
 だから、従来の産学連携という言葉の枠を超えて、第4世代大学、日本の中でも大分いろいろな大学が、こういったことを考えてやり始めていると思います。さすがヨーロッパだなと思うのは、ヨーロッパはもうこういうことをやり始めるときに言葉を定義して、言葉を決めて、コンセプトを決めてボンボンボンとやっていくので、それはヨーロッパ的なやり方だと思うのですけれども、日本でも各大学、いや、もう既にやっているよという大学もあると思います。それをちゃんと形にしていくということが1つ必要なところなのかなと思っています。こういった第4世代大学の考え方というのは、オープンアクセス、オープンサイエンスの考え方ともかなり近いです。
 大学が、これは第3世代のイノベーションモデルだとすると、ナレッジを創っていき、ナレッジというのが一次元的にマーケットに流れていくような、こういった流れだったところをオープンアクセス、オープンサイエンスの考え方を持ってくると、大学のそもそものこのナレッジをこの左側、ナレッジを創り出すところから様々なインタラクションが起こっていく。オープンサイエンスの中で起こっていく。必ずしも一次元的に進んでいくだけではなくて、相互作用の中で様々な価値というのが一緒に生まれてくる。こういったところが1つの考え方なのかなと思っているところです。なので、第4世代大学というのは、単なるコンセプトではなくて、イノベーションモデルそのものも変えていく。この辺も、もう既にこの部会の委員の先生方、いや、もう小泉の言っていることは当たり前だよと。当たり前のことを言っているんだなと。ただ、当たり前のことなのだけれども、ちゃんと形にしていくということが必要なのかなと思っているところです。
 今日、まさにこの1週間、私が海外へ行って見聞きしたところの中から、2つ御紹介をさせていただきます。1つはArizona State University、これも私より詳しい方、いらっしゃると思いますけれども、その取組、New American Universityという取組、それから、アイントホーフェン工科大学、オランダのですね。まさに4GUの拠点でもありますけれども、アイントホーフェン工科大学の取組というのを御紹介できればと思います。若干少しずつ違うのは、アリゾナステートの場合は社会課題といったものを解決しようというところ、特にエコシステムというのはフェニックス中心のフェニックス経済圏ですね。半径150キロ圏内、人口500万人、そういった規模感のところ、アリゾナ州を中心ターゲットとした、そういったArizona State Universityの取組です。社会実装、社会変革をしていこうという取組です。
 アイントホーフェンのほうは、近くにかなり大きな企業の工場もあったりすることがありますので、半径としては25キロから40キロ圏内――ごめんなさい。文字化けしていますけれども、約80万人規模程度の規模感のところです。世界大学ランキングで言えば、ASUが201位から250位ぐらい、THEですね。TU/eのほうが、アイントホーフェンのほうが192位ということで、ちょうど阪大クラスから九州大学、それから、北海道大学、それから、名古屋大学、そういった辺りとかなり近い。どうしても日本の場合、地方大学というと、もう少し違う次元で考えられる方もいらっしゃるかと思いますが、この辺りの大学群です。世界大学だと200位前後なので、旧7帝大のうちの半分ぐらいがその辺りに当たるのかなと。名古屋、北海道、九州、それから、大阪も、これよりちょっと大阪のほうが上ですけれども、そういった大学がASU、TU/eである。そういった大学がまさにこういったソサエティエンゲージメントをしようと。大学改革をしようとしているというところが1つ大きなポイントなのかなと思っています。
 規模感で言うと、まあまあ、これ、何にも他意はないです。何にも他意はないまま丸だけつけておりますけれども、半径数百キロ、この赤の範囲、ASUが目指しているのがこういった範囲。それから、アイントホーフェンがやっているのが数十キロ単位なので、ここの青の範囲、そういった丸の位置には全く他意はございませんが、こういったぐらいな規模感のところで経済圏というのを考えて動いているというところを御参考までに、こういった日本地図に当てはめると、こういった感じかなと思っています。
 1つ目、アリゾナステートです。Building the New American Universityということで、これは社会システムの中核インフラとして大学を、大学はナレッジを生み出して、ナレッジを供給する、プロバイドする、トランスファー、知をトランスファーしていくという期間ではなく、ではない。社会システムそのものの中に大学をもう位置づけてしまう。エンゲージする。もう初めからエンゲージしていくのだという考え方をとっています。これも詳しく話し出すと長いのですけれども、New American Universityというけれども、地域の中でも様々なエコシステム、経済的なエコシステムもそうですし、行政のエコシステムの中に、とにかく中に入れる。
 ただ、かなり圧倒的に大きな、このGreater Phoenix Economic Council(GPEC)というものがあって、この中でエコノミックデベロップメントを一緒にやっていくこと、スタートアップの支援等もまた別のイノベーションセンター等があって、アントレプレナーシップ等もやっているとか、かなり広い範囲で人材育成から産業連携、産学連携、僕は古いと言いながら自分で言っていますけれども、産学連携。それから、こういった産業界への取組というところも、社会との変革というところ、こういったもの全てASU側は、こういったエコシステムの中の中核となって、一緒にやっていくという考え方をとっています。研究と教育、人材育成、全てが関わっているのがなかなか面白いなと思って聞いていることですが、やはり研究を進める、またはこういったエンゲージメントを進める上では、人材育成というのも、アントレプレナーシップも含めた人材育成、すごい重要で、こういったところでも大学がかなり一緒にやっていく。それによって自分たちの研究力も高めていくというところをとっているふうに私としては見えたところです。
 ASU憲章ということで、これが新しいNew American Universityを果たしていくために、こういったことが重要ですよといったことを言っています。インクルーシブであるということ、公共価値の創出を一緒にやっていくのだということ、地域社会への責任、経済的、社会的、文化的、そして健康、メイヨークリニックとの連携等もASUは進めましたけれども、そういった健康面も含めて、様々な点で社会システムの中に自分たちをエンゲージしていくという考え方をとっています。これも翻訳しているだけですので、ASU憲章、また御覧いただければ分かっていただけるのかなと思っています。繰り返しになりますけれども、広い意味で、やはりこれは第4世代大学と言えるもので、第3世代のようにナレッジを創り出すのが大学であるという考え方ではない。ナレッジを創り出してトランスファーしていくという考え方ではなくて、その社会システムの中にエンゲージしていく、社会システム、エコシステムの中に大学を位置づけて、共にこの地域社会の責任を果たし、公共価値、コクリエーションしていくというところを目指しているというのがASUの取組になります。
 それから、TU/eのほう、Eindhoven University of Technologyのほう、もうちょっと狭い範囲です。半径25キロから50キロ圏内で、ただ、大きな企業がこの中にあります。なので、かなりここは産業的な価値といったものを生み出そうということを言っているところです。4th Generation Universityに関しては、報告書等も出ておりますので、こちらも御覧いただくとかなり詳しく分かっていただけると思いますが、なので、リサーチ、研究というところもそうですし、やはり彼らとしても、その教育というか、人、人材育成というのもかなり重視しているところです。人材育成、研究と人材育成によってソサエティに貢献していく。バリュー・コクリエーションしていくというところを見ています。バリュー・コクリエーション、何で測るかというところは、かなり定量的にどう測るかは難しいのですけれども、様々な、今、ディスカッションをして、この前のロンドンでもパテントだけで測るのはおかしくないかとか、様々な意見が出ていたところですが、まだまだバリュー・コクリエーションをどうやって定量的に測るかというのは見ているところです。
 もう一つ、重要なポイントとして、この4th Generationで見ようとしているのがガバナンスです。やはり先ほどの永野フェローの話にもありましたけれども、これ、放っておいたらできる問題ではないので、大学がいかにここにガバナンスとして、大学の役割として、大学の執行部として、いかにどういったストラテジーを持って、このソサエティの中に関わっていこうとするのかという、このガバナンスの問題がかなり重要になってきます。それがなくて自然に起こってくる、勝手に各研究者に、放っておいて、各研究者が勝手にやる。そんなことでは、これはやはり4th Generation、また、地域への貢献ということはできない。ガバナンスというのは1つ大きな、重要な要素であり、4th GenerationにおいてはEducation、Research、Value co-creation、それとともにGovernance、いかに大学がここにソサエティなり、社会変革の中に自分たちをエンゲージさせていくのか。そこのガバナンスをどのように創り上げていくのかというところがかなり重要視されるようになっていると思います。
 より大学のリーダーシップ、大学の執行部のリーダーシップといったものが重要になってくる。放っておいて起こるものではない。4th Generationは放っておいて起こるものではない。ASUもそうです。マイケル・クロウという、もう超リーダーシップの高い学長がASUにはいます。マイケル・クロウがいるからこそできることでもあるかとも言えるかもしれません。4th Generationも、このアイントホーフェンもそうです。もともとはジャン・ピエール・スミッツでしたっけ、御存じの方はいらっしゃると思いますけれども、スミッツがいるからこそできる、初めに始められたというところがあると思います。こういったガバナンスといったところは、パブリックエンゲージメントをしていく、大学がソサエティにエンゲージメントしていくというのがとても重要になってくると思っています。
 これは、もともとの始めたときのやつなので、ちょっと言葉が違うのですけれども、もともと作っていた主張というのは、こんなものだということで参考にしてください。でも、これはかなり、もう5年ぐらい前の指標です。いずれにしても、ガバナンスというものを重視しているということも分かっていただけると思います。大学を、総じて、私のこの1週間、ロンドンにもいて、フェニックスで思ったのは、通常の産学連携という考え方は、もうない。Academic industry collaborationという言葉は一切、本当に聞きませんでした。エンゲージメントです。いかに知の供給機関としての大学ではなくて、国、地域、社会、この広さといったものは、単なる地方大学ではなく、日本で言う地方大学だけではなくて、本当に国レベルの大学から、いかにこの国、地域、社会と共創する存在として位置づけるか。
 そういったものを日本としては国際卓越もあります、J-PEAKSもあります。こういった様々な研究大学、様々な階層の様々な研究大学群という、厚みのある研究大学群を構成することによって、いかに国全体としてこういったコクリエーションしていく、ユニバーシティは新たな、大学を新たな共創する存在として位置づけるかということ、これをぜひこの部会で御議論いただければと思っています。4th Generation University、かなり議論が進んできています。日本から参加している、その議論に参加している大学がほぼ、ほぼうちと――うちというのは、JAISTとOISTしかないというのがかなり残念な状況でして、ぜひ御興味ある方は、4th Generation University.comを御覧いただいて、情報だけでもぜひ取っていっていただければと思います。
 少し長くなりましたが、以上になります。ありがとうございます。

【千葉部会長】  小泉先生、ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御質問、御意見のある方、挙手をいただいて御発言いただきたいと思いますが、御発言ある方。吉田委員、よろしくお願いします。

【吉田委員】  ありがとうございました。永野フェロー、それから、小泉先生、本当に感銘を受けました。まず、小泉先生なのですけれども、大学のエンゲージメント、極めて重要である。それから、これまでのようなシーズドリブンの研究からイノベーションを生み出すのではなくて、むしろ、コクリエーションということで、私たちの理解は、いわゆるシーズドリブンよりも企業の持っているニーズ、それ、研究のスタートがその地点から持っていくというふうに私たちは理解しているのですが、企業が果たせなかったイノベーションを大学のシーズと一緒にクリエイトすることによって、またそれが新たな基礎研究を生み出す、こういうふうなサイクルを考えているんですけれども、そういうふうな形でいいのかというのがまず1つ。
 それには、例えば企業との、あるいはソサエティというのはエンゲージメントが必要だと。永野先生の話では、そこをうまくやっていく。昔の言葉で言う産学連携をうまくやっていくのには、大学側にその企業の人に来てもらうということが重要だというふうには言ってはいただいていて、我々のところも企業上がりで定年した人を雇用したりはしているんですけれども、若い人に来てもらうには、やっぱり処遇の問題とかもいろいろありますので、そこら辺のコツみたいなものがあれば永野先生に教えていただければと思います。
 以上の2点、よろしくお願いします。

【JAIST(小泉)】  では、まず小泉のほうからよろしいでしょうか。

【千葉部会長】  はい。

【JAIST(小泉)】  吉田学長がおっしゃるとおり、もう岐阜大でも始められているイノベーションを産業界とともに、また、地域とともにやっていこうという取組、ニーズドリブンでやっていくというところがまさにそのとおりだと思っています。なので、多分、今の私の発表を聞いても、各大学、岐阜大も含めて、もうやっているよと思われているところがあると思うのですけれども、それをしっかり形づくっていく、形にしていく、それを軸にしていくというところが新しい考え方かなと思っています。
 私からは以上です。

【千葉部会長】  よろしいでしょうか。

【吉田委員】  永野先生。

【CRDS(永野)】  企業の人材ということに関して2点あります。1つは、大学でも様々に企業出身の方々を受け入れて組織化し、そして産業界とのアライアンスや、あるいはコクリエーションのような活動をするためのシステム、仕組みづくりに取り組んでいらっしゃるなかで、定年後の方、そういう形だけではなくて、キャリアのコアとして、中心に据えてそのような活動をやっていきたい、そういう方々を大学としても育てていきたいのだという意思が見えています。こうした仕事への魅力が見えてくることがとても重要です。中には、そういうことを大学全体としてはすぐに十分に取り組めないために、例えば外部組織化(株式会社化)するなどすることによって、従来の大学の処遇や条件の規則よりも拡張して自由度を持たせた形で、そういった人材を受け入れていくまたは獲得していくことに取り組んでいるケースも、近年では様々見え始めている段階にあると認識しています。
 また、もう一つ大事なことは、こういった企業と大学との交わりを作っていくときに、企業側がその実行段階において、例えば企業研究者を大学内に常駐させるなど、そういった具体的なコミットをしている組織ほど、実は中身の面でも非常に効果が出ているなということが、今回のCRDS調査から浮かび上がってきたことの事実の1つです。そういった環境づくりをアカデミアとして進めていくということも、方向性としては重要ではないかと考えております。

【吉田委員】  ありがとうございました。

【千葉部会長】  それでは、新福委員、お願いします。

【新福委員】  広島大学の新福です。永野フェロー、小泉先生、どうもありがとうございました。私が2人のお話を聞いていて思ったのが、今のような3rd Generationの考え方ですと、大学のほうに明確な価値があって、それを企業さんにトランスファーしていくというところで、そこの契約が明確にできるかどうかで、企業から大学へのお金の移動というのが、国内と国外で変わってきてしまっているというような課題があったと思うのですけれども、この4th Generationの考え方になると、最初の立てつけというのは、価値がまだない状態ですので、非常に曖昧になりがちだと思いました。そうした場合には、どうやって企業さんと大学のほうで関係性を作ったり、契約を作ったりというところをしていくのかというのが、その3rd Generationの話を聞いた後で、じゃあ、4th Generationではどうなるんだろうというのがよく分からなかったので教えていただければと思いました。
 以上です。

【JAIST(小泉)】  新福先生、ありがとうございます。御無沙汰しております。まだまだ模索なのだと思います。ただ、いろいろなところでケース・バイ・ケースでやられているような感じがしております。これが4th Generationのやり方だというところが、この前、ロンドンで話を聞いていても、なかなかこれだというのはなくて、アイントホーフェンはこうやっていますよとか、アイントホーフェンは近くに大きな大工場があるので、そこと一緒に何かやりましょうというところから、共同研究からスタートしている。多分、まだまだいろいろなやり方があるのかなと思っているところですが、すみません、そういったもので、多分、新福先生御指摘の点が今後の一番の課題になるのかなと思っております。答えになっていなくて申し訳ないです。

【千葉部会長】  では、続いて那須委員、お願いします。

【那須委員】  永野さん、小泉さん、ありがとうございました。お2人の話を聞いて幾つか腹落ちをするところもありましたし、組織対組織の関係とか、エンゲージメント、ガバナンスということで非常に腹落ちをしましたが、先ほどありましたようにアリゾナとか、アイントホーフェン、今、日本の大学と比較すると、そうではない、私ども岡山大学とか、そういうところではどういうふうにすればいいのかなということを思いながら聞いておりましたが、幾つか私どもの今の取組が4th Generationにつながるのではないかということを思いました。岡山のようなところは、東京に本社があるような、世界に拠点があるような企業はございません。
 岡山県には25社ほど上場企業があり、あと、その岡山に本社がある。非上場もあります。そういった中でオンリーワン企業というのが幾つかありまして、今、私どもは、そういうオンリーワン企業としっかり戦略的につながって、企業の長期戦略、そして自治体と一緒になって、その企業の戦略に合う形でいろいろなことをやって、世界に打って出よう、地元を活発にしようという、まさに4th Generationのようなことを岡山大学ぐらいの地域の規模でもできるのかなと思って聞いておりましたので、ぜひ4th Generationの議論に参加して、しっかり日本のこういう地域大学型の4th Generationはどうあるべきかということをしっかり議論させていただきたいと思います。今日はありがとうございました。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 では、河原林委員、お願いします。

【河原林委員】  私からは3つあって、1つはコメントで、あと2つは両先生に質問という形でお願いしたいんですが、まず1つコメントは、今日の話にビッグテックは全く出てきませんでした。実際、ビッグテックは、こういうやり方を全くしていなくて、彼らは彼らのロジックで、もう進んでいって、何か大学と一緒に研究をやるというのはすごい時間がかかるから、彼らのほうからしても時間がかかるから、そんなことをやるぐらいだったら、自分たちで引き抜く、あるいは兼業させるみたいなことをやっているので、そことの比較は何もしないほうがいいということは、まず最初に言っておいたほうがよくて、かつ、じゃあ、大学側がそれで損しているかって、そうでもなくて、大学側はやっぱり、そういうところが結構いっぱいお金をもらっているんですね。それは、ひょっとしたら、さっきの永野フェローの話で入っていたかもしれないけれども、お金を出さなきゃ学生を出さんぞ、人材を出さんぞというふうな強い立場にいるので、そういう意味で、いや、そういうところがエコシステム、笑っているということはあるのだからという気がするので、それはちょっと違う話と置いておいていただきたい。
 それで、それぞれの先生方に1つだけ質問をさせていただくと、まず永野フェローのほうには、確かに日本の産学連携と言われているお金というのは少ないんですけれども、多分、だけど、産学連携する際って、産から見ると3つぐらいステージがあって、萌芽ステージ、それからもう1個行って、実用まで行くかどうかを見極めるステージ、最後は開発ステージみたいなのが多分あると思うんですけれども、どのステージに契約しているのが多いか。自分のケースでは最初な気がします。そこだとどうしてもお金が少なくなるのかなという気がしていて、そういうところは、どういうふうなところを本当に期待しているのかということ次第で変わる気がするので、そういうところをどういうふうに見るべきなのか。あるいは開発まで持っていくのだったら、大量にお金をもらえるはずなので、それをどうやって引き出すかというところもちょっと、企業の本音から、それをちょっと聞きたいなという気がします。
 それから、小泉先生にお聞きしたいのは、フィリップスだとかアリゾナって、これ、すごくいい例で、でも、彼らは彼らのやり方でやっている気がします。フィリップスじゃない。すみません、アイントホーフェンです。アイントホーフェンとフィリップスと、すみません、一緒になってしまいましたけれども、なので、いろいろなやり方があるべきではあるとは思うんだけれども、これは日本で実行する際に大学と地方だけでできるものなのか。そうでないなら、こういう日本の政府、文科省は何をすべきなのか。もっと言うと、ファウンディングエージェンシー、JSTであったり、ここではないですけれども、NEDOだとか、何をすべきなのかというところに関して、どうお考えなのかお聞かせいただければと思います。

【CRDS(永野)】  まず、先生がおっしゃいますような3つのステージで考えますと、萌芽的な段階がやはり多いというのが実態であると認識しております。そこを見ていくときには、分野の特性でもありますが、研究開発のターゲットの方向感が大きな意味で見えているもの、共有しやすいものと、全くそうではない分野や領域とではだいぶ違いがあるということが1つあります。3つのステージは対象によってリニアなものとそうでないものとがあり、これらを一緒には見ないほうがいいだろうとも思っています。
 また、企業の皆様が大学へ期待をするときにも、その企業の課題が割とはっきりしているものに関しては、どういうパートナーとどうやっていこうかとの具体的な話になってくるわけでして、より開発フェーズへ近いところまで考えた連携を検討することもしやすくなります。他方で、そもそも自分たちが今までやってきたことに対して、新しい価値や、違った意味を見いだすような探索的な研究を産学連携に期待するケースも増えています。いま特にあるのは、サイエンスの知見を頼りにして、そして自分たちがこれまで問題だと認識していなかったことに、新しい問題を設定していくようなことを大学の研究に期待したいということです。探索的な研究を大学との連携を通じてやっていきたい企業の傾向が増していることも、私どもの調査から見えてきたことの1つです。そうした違いを考慮しながら、産学の個々両者にとっての望ましい産学連携の形を、多様な事例や選択肢を参考にしながら協議を通じて作っていく方向にあるのではないかと考えています。つまり、目的によってその辺りの答えの見つけ方は、産学双方にとって変わってくるものと見ております。

【河原林委員】  どうもありがとうございました。すみません、ちょっとコメントですけれども、今のようなことというのは、海外でどうやっているかというデータがあれば、もし、今日でなくてもいいので、見せていただければと思います。

【千葉部会長】  では、小泉先生。

【JAIST(小泉)】  私から、河原林先生、御無沙汰しています。おっしゃるとおり、多分、大学ごとにいろいろなやり方がある。特にアイントホーフェンはおっしゃるとおり、P社がありますし、ASUはASUでその事情が、あそこのアリゾナフェニックス回りの事情があってというところが、まずそこからスタートしているので、どちらも例も日本にそのまま当てはめられるかというと、そうではないだろうというのは、そのとおりかなと思っています。その上で、じゃあ、日本がどうするのか。先ほどの那須先生の話もありましたけれども、各大学、様々な取組を既に、4th Generation的な取組を既にされているとは思います。
 その上で、国としてやれるとしたら、ある程度やはり大きな経済圏といったものを設定するところは、広い視野で見ていくのは、国のほうからでしかできないのかなと思って、放っておくと、どうしてもうちの大学もそうですけれども、近くの何とか産業さんが何とか言っているとか、そういう話に、ちょっと狭い話に落ち着いちゃっているんですよね。何とか産業さんの何とか社長が何とか言っているとか、そういう話ではなくて、やはりこういった広い範囲で、どう経済圏を設定していくのかというところは、少し広い視野で、国のほうで、ある程度考えていく、先ほど日本地図をポポポッと示しましたけれども、そういったところは、国のほうで考えていく必要があるのではないかなという気はします。答えになっていないですけれども、ごめんなさい。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 では、続いて浅井委員、お願いします。

【浅井委員】  浅井でございます。今日は、すばらしいお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。私からは小泉先生に1つ御質問があります。今、河原林委員からの質問とも重なるところがあるかと思うのですけれども、我々公立大学にいますと、地域の産業とも関連していますけれども、やはり行政との結びつきってすごく大きくて、そこでのエンゲージメントというか、そういうことを今後模索していく必要があるかなと思う中で、その4th Generation Universityの考え方の中で、地域のローカルガバメントというか、そういうところとの連携というのは、どんなふうに今考えがあって進められているのでしょうか。その辺りを教えていただければと思いました。

【JAIST(小泉)】  ありがとうございます。まさにその点で、すみません、今日はあまり強調しなかったのですけれども、アイントホーフェンにしても、ASUにしても、それぞれ、それぞれの地域の行政との関わりというのは、かなり大事にされています。行政の委員会にどれだけの人数を委員として出しているかとか、そういったことも指標として掲げようと考えていたりしますので、特にアリゾナステートのほうは、本当にシティ・オブ・フェニックスもそうですし、アリゾナ州もそうですし、かなりそういったところとの連携といったのが、大学のガバナンスもありますし、大学のガバナンスとその行政のガバナンスが連動するというところもすごい重要なポイントなのかなと思っております。すみません、御説明が漏れていました。

【浅井委員】  ありがとうございました。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 では、続いて片田江委員、お願いします。

【片田江委員】  御説明、ありがとうございました。永野フェロー、小泉先生、包括的な分析と、大変示唆に富む御発表をいただきました。小泉先生に御説明いただいた4th Generation Universityという概念は、これまでの考え方から発展し、その大学が研究や教育の拠点だけではなく、この社会と産業をつなぐ中核的な位置づけに再設計するという意味で非常に重要な論点だと思いました。これを実現させるためには、特に重点領域においては、大学としての資源を集中できる環境に再分配、仕組みを整えるということと、研究者個人にその負担をかけるのではなくて、大学全体として研究経営に関わるマネジメント人材を制度的に位置づけることが非常に重要になってくるということを、お話を伺いながら再認識しました。
 小泉先生に1点、お伺いさせていただきたいのですけれども、大学が、社会や産業と統合された、その知の中核になることは非常に重要である一方で、社会課題や企業ニーズに起因しない、そこに依存しない基礎研究の自由度を守るからこそ、革新的なインベンションが生まれてくるということが大学において非常に重要な役割というふうに私は認識していますが、この点について、4th Generation Universityを推進されている、発展している欧州などで、自由な発想から生まれる、自由な発想があるからこそ生まれるインベンションについて、どのような議論がされているか。余りにも産業寄り、企業ニーズに応えようとし過ぎるがために、圧倒的なインベンションが生まれてこなくなるような大学の環境になり、結果としてイノベーションに繋がらなくなってしまう。そういう危惧があると思いますが、その点についてどういう議論がなされているかという点、教えていただけますでしょうか。

【JAIST(小泉)】  ありがとうございます。えてして、私もこの4th Generationの話を大学内でしていたときに、大学内のいろいろな先生――いろいろな先生と言うと怒られちゃうな。一部の先生から、社会向けにコクリエーションできない価値は大学では無駄な価値になるのかという、すごい批判を受けたことがあります。そうではなくて、私の資料で言うと9ページ目でしょうか、やはりここはオープンサイエンス、オープンイノベーションの考え方だと思うんですよね。元となる左のところが、大学はやはり大学の中で自由な価値といったものをどんどん生み出している。それがコクリエーションしていく場合もあるし、それがインサイドアウトになって出ていくものもあるし、中から、外から持ち込まれる。いろいろな価値といったものが、コクリエーションと一言に言ってしまいましたけれども、いろいろな価値といったものがこの大学の中で生まれていく。
 もちろん、大学の自由な発想、個々の研究者の自由な発想の中でもいろいろな価値が生まれる。こういったものがインタラクションしながら、いろいろなマーケットの価値だったり、いろいろな価値に向かって右側のほうに流れていく。これがまさに、こういった考え方かなと思っています。だから、右側の最終的な価値判断といったものを左側にバックキャスティング的に、バックキャストという言い方はしないですね、この場合は。右側の価値判断というのも左側に持ってきて、おまえ、これしかやるなよというわけではなくて、大学というこの場の中においては、いろいろなものがいろいろな形で、もう分け隔てなく、バウンダリーなくいろいろな価値が生まれていく。こういったことなのかなと思っているところです。お答えになっていますでしょうか。

【片田江委員】  ありがとうございます。やはり自由な基礎研究の自由な発想から生まれるイノベーションというのは一方で非常に重要だと思っていますので、そこも含めての4th Generationということでよく理解できました。ありがとうございます。

【JAIST(小泉)】  ありがとうございます。

【千葉部会長】  では、西村委員、お願いします。

【西村委員】  ありがとうございます。小泉先生、ありがとうございました。全く賛同で、4th Generationはそうだと思うし、若干、私が感じていたのは、私のほうは三重大学でずっと10年以上やっているんですけれども、実は同じ発想ですね。だから、これは確かに地域産業、上げていくの分かるし、人づくりとか、あと何か成果が出てくるんですけれども、その中で大学でやっていたときの最大の疑問点は、こういうことを動かせる教授はいるのかということなんですよ。
 だから、となると、この4th Generationもそうだけれども、3rd Generationもそうですけれども、日本の産学連携と言わないけれども、正確に言うと、未来社会からのバックキャスティングで何かを構想して、先ほどの片田江先生の話だけれども、自由な発想のイノベーションもオーケーなんですけれども、ただし、ある社会を見たところの方向性って要ると思うんですよね。そこからの想像力を持って何かクリエートできるような教授がいるのかというのがすごく疑問に思っていて、となってくると、この4th Generationというところで動いているPIというかな、研究責任者というのかな、こういう人たちの資質のようなことというのも議論されているんでしょうかね。それを少し教えていただきたいところです。

【JAIST(小泉)】  西村先生、ありがとうございます。まさにマイケル・クロウの話等、西村先生のほうが多分全然お詳しいので、すみません、またいろいろ教えていただければと思いますが、人材が必要だという話がありましたけれども、どういった教員、研究者が必要だというところまでは、ディスカッションは、この1週間では、僕、聞いていなかったところです。ただ、おっしゃるとおり、個々の研究者に任せ、個々の研究者が自由に行っていただくイノベーションの研究というのもあるかもしれませんが、それをいかにオーケストリー、まあ、オーケストレートという言葉も聞きました。いかにオーケストレートしていくのかというところ、というところは誰かがやらなきゃいけない。マイケル・クロウみたいな方もいるかもしれませんし、もう少し現場レベルでオーケストレートするような指揮者も必要なのかもしれないというのは、まさに西村先生がおっしゃるとおりだと思います。西村先生が100人いれば何とかなりますね。

【西村委員】  いやいや、でも、やっぱり日本の教授が駄目だというわけではなくて、経験値の差だと思うんですよね。バリエーション。だから、いろいろなバックグラウンドの経験値を持っている方がやるというのと、逆にそういうことがあるのだということを先生方も認識すると、発想力、かなり変わってくるんですよね。これ、COI-NEXTとか、内閣府の大学交付金とか、あと自分でもSIPのPDをやらせていただいて、いろいろな先生方をマネージさせていかないといけないんですけれども、ハンズオンさせてもらって感じたことは、物すごく能力は高いんだけれども、発想力、研究分野を自らが矮小化している可能性がある。
 だから、そういうようなことを何か日本の中で変えていかないと、本来持っている能力を発揮できないのではないかなと思って、そういう意味で、今回のようなこのガバナンスの取り方と研究者の生かし方と、どういうふうな資質に持っていく、どうやって能力を発揮してもらうかということも、しっかりとビルドインしていくと日本の場合には効いてくるのかなと思ったということですね。そういうふうに感じたので発言させていただきました。
 以上になります。ありがとうございました。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 では、大野委員、お願いします。

【大野部会長代理】  どうもありがとうございました。非常に参考になる永野さん、そして小泉先生のお話を聞かせていただきました。大学の役割、社会で果たす役割をどうサステーナブルにするかという意味で、大学の収入について考えると、国の支援というのは基礎研究、そして教育の部分に常に必要だと思います。特に国立大学に関しては。2番目が、そういう意味では学費ですね。3番目が民間からのスタートアップも含めての収入、そして4番目が、今、日本ではそこまで行っていませんけれども、ドネーションというような形になるかと思います。
 それで、そのビジネスモデルを自分たちがどう構築していくかというのが、やっぱりトライアルできるということが新たな支援策ということを検討する上で重要なのだろうと改めてお2人のお話を聞いて思いました。このように社会が、そして世界において、今までの枠組みが大きく変わっていく様子が日々見える世界で、どのように価値を創出していくのかというのは、単一の処方箋はないのだと思います。そういう意味で、新たな支援策については、大学が多様な試みができること、そして柔軟であること、かつアジリティがある。決まった予算を取ったから、いつまでにこれをこうだというのではない工夫が必要であると思います。
 国際卓越がややそれに近いところがあって、御存じの方、ほとんどだと思いますけれども、マッチングによって、つまり、学費と国からの来るお金を除いた収入に対してマッチングするという仕組みです。それは、まだ全部変わり切っていませんし、まだまだ多くの課題を抱えていますけれども、大学全体と、それから、いわゆる部局、縦割りで問題になったりする部局との対話によって、いかに大学の力を出すのかという意味で、縦割りの壁を溶かしていく役割が私には見えています。
 そういう意味で、その新たな支援策の検討においては、そのような達成状況に応じてファンディングの様子が変わる、成果に応じたダイナミックなものが新たな支援策としてはあり得るのではないか。もちろん、これは基礎研究だったり、教育だったり、そういうところではない、社会とのエンゲージメントで必要な部分なのかなと思います。そういう設計をすることによって、多様な大学が、社会の多様なニーズを受け止めた形で、それこそガバナンスも変化していくのではないか。言ってみれば、大学はマーケティングしたことって、ほとんどないと思うんですね。
 例えば会社、民間の方とお話しするときに、御社の将来は、こういうことが待っているんだけれども、ここの部分は今欠けていますねと。それに対して、大学側は哲学から技術までのこういうスペクトルで、一緒に考えることができます。ですから、5年間で幾らでやりましょうという提案をする。これができる人材がいないというのが、今、西村委員がおっしゃられたことだと思います。でも、これってやっぱり、支援のやり方によってどんどん出てくる、鍛えられるのだと思います。
 社会に対して我々大学が大きく貢献することができると思いますので、ぜひそれを新たな支援策の検討に入れていただければと思います。難しい点は多々あるのだと思いますし、年度単位の予算をどういうふうにするかということがあるとは思いますけれども、独創性は研究者だけのものではなくて、こういう官の皆様にも、そういう独創性を発揮していただいて新たな支援策というのを作っていただきたいなと思います。
 少し長くなってしまいましたけれども、もう1点だけ、日本の産学連携、あるいは共同研究の大きさが小さいと言える1つの理由は、私は人材への対価の仕組みがうまく組み込まれていないのだと認識しています。特に大学院生が参画したときに、どのようにそこに組み込んでいるのかということが、今気になっています。
 学生というのは、その企業の被雇用者ではないので、そういう人たちに秘密保持から何から、いろいろなことを負ってもらうのだとすると、大学は法人として立てつける必要がある。そういう意味でも法人の力が問われますし、そのような形で知の価値化をすることによって、学生諸君も含めた知の価値化に貢献する人材がきちんと対価を、大学も含めてですけれども、対価を得、さらにそれが次の段階に進むエンジンになる。そういう好循環を築いていくのが新たな支援策に必要なことだと思います。どこかで検討しているのだと思いますけれども、ガイドラインにもそういうものを入れていっていただきたいと思っています。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。

【千葉部会長】  大事なポイント、どうもありがとうございます。
 では、続いて野口委員、お願いします。

【野口委員】  永野フェロー、小泉先生、大変参考になる話、ありがとうございました。私のほうからは感想です。永野フェローの話で、いわゆる共同研究や委託研究の対価のところ、今、大野先生から人材の対価のコミットもありましたけれども、もう一つはやはり、話を聞いていて、組織と組織についてのトップのコミットメントが非常に日本は弱いのではないのかなと感じました。つまり、契約当事者としましても、欧米とは社長と学長というのはよく聞きますし、日本はまだまだ、いわゆるスピード感や簡素化も考えて、企業は研究開発部長だったりとか、大学は研究の機構長であったりとか、そこのコミットするランクも大きく響いているのではないのかなというのを感じました。
 あと、小泉先生のところですけれども、大学改革というキーワードから、大学群の厚み、再編という新たなイノベーションを起こすキーワードの考え方が主としているのは今の時流にも合っていますし、お話を聞いて非常に納得をしております。その上で、大学群の層というのが、やはり縦軸の重視になって行くようであれば駄目と感じています。例えばA、B、C層で考えると、A層は例えばフラッグシップ研究大学、国際卓越研究大学が当たるかもしれません。B層というのが、例えば成長産業を伸ばしていく、成長産業研究大学が当たるかもしれません。C層というのは地域イノベーション大学、第4世代の大学、つまり地域イノベーションを重視する大学ということで、これが縦軸ではなくて横軸で、かつそれぞれの厚みを持って、横軸連携でシナジー効果をそれぞれ発揮していくというのがとても大事な観点と考えます。C層の地域イノベーション大学の今後のあり様が大事と思います。先ほど事務局のほうから説明がありましたように、J-PEAKSやCOI、共同利用・共同研究拠点、スタートアップエコシステムの9ブロック、この参画大学を全部足しますと延べですが342拠点あるんです。このことは、横軸の層の厚みからイノベーションを起こしていく重要な源泉にもなると話を聞いていてより思いました。
 特に私立大学は、3割が地方にあり、小規模大学です。第4世代大学でも話がありましたように、世界トップレベルの地域イノベーション大学をどういうふうに大学群として再編していくかというのが今後の重要な考え方になるのではないのかと思います。特に私は少し関連して危惧しているのが、大学発ベンチャーの創出です。2030年からグロース市場に上場した場合の維持基準が、上場してから5年後に100億の時価総額というのが求められるようになり厳しくなります。そのような背景もあり、大学発ベンチャーの設置の勢いが、弱くなってきていると思われます。ぜひ地域版の官民イノベーションファンドのような枠組みを並行して考え、地域イノベーションの灯を紡いでいけたら良いなということを、話を聞いていて思いました。
 以上です。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 では、関谷委員、お願いします。

【関谷委員】  お時間、ありがとうございます。短く行きます。第4大学はまさにCOI-NEXTで目指している方向性と非常に近いものがあって、ぜひそういったところで各大学が取り組んでいけると、まさに第4世代大学になるのかなと感じました。
 また、私の研究室はアイントホーフェン工科大学から定期的にずっと留学生を受け入れていまして、彼らの話を聞くとやっぱり非常に海外志向が強く、いろいろな国から学んでいるというのを感じました。そのときに彼らの話を聞くとやっぱり、環境規制とか気候変動とか、1社や1大学では取り組めないような巨大なプロジェクト、政策に対するプロジェクトにHorizon Europeが非常に巨額の予算で関わっていて、Horizon Europeが政策に基づいて新しい産業に投資して、大学がスタートアップを作って、それで産業化して、最後、EUですから、1国1票持っていて、国際標準化も強い。すなわち、Horizon Europeという政策投資が非常に機能しているのではないかと思うのですが、この辺りは小泉先生や永野先生から見たとき、いかがでしょうか。

【JAIST(小泉)】  小泉です。ありがとうございます。まさにHorizon Europeって、いろいろな仕組みを作っているところだと思います。別のところでも話しているジェンダード・イノベーションとかもそうですし、Horizon Europeが規定を作ることによって、仕掛けを作ることによっていろいろなことが動き出すというのは、まさにそのとおりだなと思います。それが、ああ、なるほどと思いました。今、お話を聞いて。ありがとうございます。

【CRDS(永野)】  Horizon Europeに関して非常に大事な観点としては、その以前に各国でそれぞれのファンディングのスキームであったり、個々の施策による取組が行われている上で、Horizon Europeではさらに複数国間の連携を促すような仕掛けとして、厚みと重なりを持って機能している点です。この関係が、各国各々の施策とHorizon Europeによる欧州域内全体での協力を促進していく、その掛け算によって効果をもたらしているということです。各国の施策と共に、欧州の経済圏全体を考慮しながら取り組まれているということが大事なのであろうと考えられます。

【関谷委員】  ありがとうございました。

【千葉部会長】  それでは、木部委員、お願いします。

【木部委員】  永野先生、小泉先生、どうもありがとうございました。私は人文系ですので、産学連携とかイノベーションモデルとかいうと、あんまり関係ないと思っていたのですが、今日のお話は大学と大学以外の組織との関係性をどう築くかという点で人文系にとっても非常に参考になりました。特に小泉先生にお伺いしたいのですが、6ページの4th Generation Universityのイノベーションモデルの図ですが、実は人文系でも同じようなことを考えています。人文系ではシチズンサイエンスですとか、人文学に特化した言葉で言うと、パブリックヒューマニティーズという言葉で、今、表現しているのですけれども、つまり、5ページの大学だけでナレッジをつくり、それを外に広げるのではなくて、最初から市民だとか、その地域の人とコミュニケーションしながら学問を高度化していくという、6ページのモデルの方向性で将来構想を立てているわけです。大学として、パブリックヒューマニティーズをベースにして大学のナレッジをつくるのだという構想を打ち出すところまでは行っていないのですけれども、小さなグループでは、こういうことを既に始めているところもあります。
 私どもも、これからは6ページの小泉先生の図と同じ図式で、将来を考えているのですが、小泉先生が所属しておられるボードとか、ヨーロッパとか、そういうところで、人文系とか社会系、むしろ社会系の研究で6ページの図との共通性が強いかもしれませんが、そういうものを含めた議論がなされているかということをお伺いしたいのですが。

【JAIST(小泉)】  ありがとうございます。まさに人文学、社会科学の知見は全く重要だと思っています。例えばアリゾナステートでも、地域の先住民族の話、例えばあそこの話をするときに必ずしも理系だけの技術テックドリブンで、ハードテックドリブンで何か解決するのではなくて、人文学、社会科学系の知見を持ちながら、先住民族の様々な文化、それをいかに守るかというところでハードテックの様々な技術も入ってくる。そういった意味では、人文学、社会科学、ハードテック、様々なナレッジといったものが、ソフトのオープンサイエンスの中で培われていくという、そういった意味でもシステムデザインとか、デザインもすごい重要なのだと思っています。まさにそういった議論はあります。

【木部委員】  ありがとうございました。参考になりました。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 それでは、山崎委員、お願いします。

【山崎委員】  ありがとうございます。両先生、話題提供、ありがとうございました。2つか、もしかしたら3つかもしれませんが、お伺いしたいなと思うのですが、特に永野フェローには、どこか、十何ページかにアメリカと国内のいろいろなヒアリングから浮かんできた何か比較があったと思うのですが、私の認識では、日本の研究、産学連携の研究を担う研究者が学生になってしまっている。必ずしもポスドクになっていないというところが、アメリカと大きく違うのではないかなというのをずっと前から思っていて、それは例えばJSTが分析なさっているところで、何かそういう認識があるのかどうか。
 先ほど大野先生も人件費の問題というふうにおっしゃいましたけれども、日本の共同研究を担う主体が、PIプラス研究者としたときに、それがポスドクにきちっとなっていないのではないかというところ、非常に気にしています。それをどうしたらいいかというのは分からないですけれども、日本の研究費が小さいのも人件費をきちっと入れていないせいかなと思ったりもしています。その辺について永野フェローの御意見をお伺いしたいなと思います。
 それから、最初の文科省の説明の中でも、国際卓越研究大学とJ-PEAKS、地域中核・特色ある研究大学の支援事業の2つの話も出てきましたけれども、その2つのどっちにもはまっていない大学群も幾つかあるわけで、それらをどう支援していくかということが非常に気になるところなのですが、今日の小泉先生のお話からすると、私が関わっているJ-PEAKS、地域中核と言っているんですけれども、なかなか第4世代という話になっていないんですね。何が足りないんだろう。小泉さんから見たときに、一体何を我々はというか、J-PEAKSに関わる者はやったらいいのかなというふうに。
 文科省としては、割と先進的な伴走支援チームというのが作られて、今までのいろいろな競争的資金とは違うやり方、大学のその目標を達成しようとなさっているので、それはそれで目を細めながら見ているんですけれども、その2点についてそれぞれお話をお伺いしたいなと思いますが、ここに単に私は文科省への、考えてみてという程度の御意見ですけれども、3つ目は、WPIがあって幾つかの、このCOIとか、いろいろなものが走っていますけれども、地域をどう見るかもありますけれども、それぞれやっぱり日本の各地に昔から脈々とつながれてきた強い産業競争力というのは、ある程度あるはずですので、それらと実績ベースでしっかり研究面、あるいは技術開発面で支えてきた大学群をもう少しロングスパンでしっかりサポートするという仕組みも片方には、産業力強化とかという観点からあってもいいのではないかなと。
 中国などを見ていてちょっと思うわけです。何とか重点研究室みたいな仕組みが結構長くサポートをしていて、その地域と結びついているケースがありますので、これは過去の実績を見ながら、10年、20年単位で、そういう部分ができたら、地域の産業ももう少し元気が出てくるかなと感じました。感想も述べさせていただきました。両先生、どうそよろしくお願いいたします。

【CRDS(永野)】  アメリカにおける共同研究や委託研究において、いわゆるポスドク人材の人件費を計上するということは一般的です。この場合、ある特定の研究・技術テーマを設定するような形で、そのコミットメントとアウトプットを事前にある程度合意し、それを実際に誰がやるのかという形で、そのために必要な人材の人件費、活動費等を計算して計上していくというやり方が一般的です。一方、日本でもそういった研究テーマを設定して取組をしていくということは同じなのですが、ややもすると大学側から見たときに、そういった成果へのコミットメント、アウトプットを共同研究や委託研究のスタート段階で決め過ぎない、決め過ぎたくないという意思がけっこうあるようです。これは文化的な側面でありますとか、国々の違いというものも少し表しているのかもしれませんが、学の側で自由度を持った研究を実施したい、目標達成型の研究にはなじまないと考える方が多いのではないかということがございます。
 また、もう一つポイントとして見えてきたのは、近年、日本の大学で包括的な組織対組織の連携が増えているということを先ほどご紹介しましたが、そういった中では、特定のテーマを設定するというよりは、新しいテーマ探索の可能性を広げていくような枠組みとしての形をつくって参画する。その中で、互いの信頼関係が産学の間で生まれてきますと、取り組む研究テーマとしての新しさや、大学としても新しい研究テーマが新たに設定できるという意味合いでの新たな価値が出てきます。そういうところに学生が、例えば学位論文の過程で、そこからの派生テーマを活用していくというような、新たな研究テーマを育てていくような効果も生まれてきています。必ずしも、担当者の人件費をどう設定するかが全てではないのですが、やはりそこには、何を目的とした組み方なのか、連携の在り方なのかというところの違いのうえで目的に合致した連携の形を見出すことが大事になるものと認識しております。

【JAIST(小泉)】  私からもクイックに。J-PEAKS、今回、AAASでかなりの存在感を示しておりました。でも、やはり25の大学がそれぞれ頑張っていらっしゃるというのは、そうだと思うのですけれども、もう少し国全体としては、やはり国全体として研究大学群としての厚みというのをどう創るのかという議論がまずないと、個々の取組というだけではなくて、国としては研究大学群を国際卓越も含めてどう創るのかというところがやっぱり議論、その中で足りないピースは埋めていくという考え方が必要なのかなと思っているところです。
 それからもう一つは、地域の大きさというところで、25キロ圏内、40キロ圏内というだけではなくて、100キロ圏内、もう少し広い範囲で見るというところも重要ですし、今、永野フェローもおっしゃったところに関連すると思いますが、何かテーマを決めて、そこはもう少し国としてどうイノベーションエコシステムを創るのかという議論といったところも必要なのかなと思っています。
 あと、それからもう一つは、日本の大学、えてして、J-PEAKSもそうかもしれませんけれども、大学の中でも、これはJ-PEAKS、これはJ-PEAKSじゃないとか、何か切り分けをしようと、1つの大学でJ-PEAKSをやっているんじゃないの、いやいや、うちの大学のこの部分はJ-PEAKSだけれども、この部分はJ-PEAKSじゃないんですとかいう説明をし出したりする大学がいて、それは何かアホっぽくて、アホかなと思っていて、特に研究と、特にASUもそうですし、ほかの大学もそうなんですけれども、研究と教育、やっぱり一体なんですよね。人材育成があるからこそ、研究も進むし、研究と、特にパブリックエンゲージメントを考えるとやっぱり、人材育成がないと研究開発もできないので、研究と教育、一体に考えている。特にASUなんて研究と教育を一体に考えているというのがすごく感じました。なので、あ、J-PEAKS、うちの部分、関係ないんですなんていう大学は、もうJ-PEAKSをやめたらいいと思います。そのくらいの勢いでやらないと、全くもって何をやっているんだと思います。
 以上です。

【山崎委員】  ありがとうございます。だから、その3つ目で言ったように、大学全部がそのJ-PEAKSで言う、ある地域中核になりたい具体的なテーマがあるんですけれども、私は関係あります、私は関係ありませんとかと言っているんだけれども、そうじゃなくて、大学は大学で面で支えるとか、面で協力するというのはあるべきだし、その一方で、特定の分野が止まっている。そこにも入らないけれども、止まっている大学があるんですよね。地域をこう見たときに。それはそれで別の枠組みでしっかり国が支えてもいいのかなと。それがまた日本の産業競争力につながっていくと思っていますので、またいろいろ応援してください。

【JAIST(小泉)】  引き続きよろしくお願いします。

【山崎委員】  ありがとうございました。

【千葉部会長】  山崎先生、ありがとうございました。
 では、荒金委員、お願いします。

【荒金委員】  ありがとうございます。私は企業の立場から永野フェローに質問させていただきたいと思います。大変興味深い調査、ありがとうございました。先ほど山崎先生のほうからもありましたが、海外と日本の大学と企業との共同研究の費用の差というのは、これはもう今に始まったことではなくて、もう10年以上、20年以上前からその傾向はあったという中でのお話だと思うんですよね。
 それで、今日の解析ですと、企業の皆様からのコメントということでは、非常に日本の大学の仕組み上、いろいろ共同研究、フットワークも含めてしにくいとか、そういう話が中心であったような気がしたんですけれども、果たして企業サイドとしては、それは本音かどうかというところはあるのですが、やはりある技術を狙って共同研究を、大きなことをやるというタイプと、さっき永野先生もおっしゃったように、最近では包括的な研究で、研究シーズを探索するという意味合いでのやり方と2方面出てきていると思うのですが、何といってもやっぱり、企業が一番期待しているのは、その大きなシーズに対しての共同テーマになるのではないか。
 そうすると、そういうシーズが本当にどこにあるのかというところは大事で、別に何とか大学とやりたいわけではなく、そのシーズをイノベーションにつなげるためのリソースが、ぜひ大学にあってほしいという目で企業は見ているのではないかと思うんですね。そういう視点から見たときに、本当にネックとなっているものは、何かもう少し、どういう支援が必要なのか、ひょっとしたら、それはもっとベーシックなところでの支援なのかもしれないし、企業サイドへの支援なのかもしれないし、その辺りもう少し何か深堀できるようなことはないですかね。永野先生。

【CRDS(永野)】  大変重要なポイントだと認識しております。企業の皆様から見たときに、まさにおっしゃるように、ある特定の大学である必要は全くありません。つまり、自分らの将来の価値、競争力の源泉を生み出していきたい、あるいはこういった問題も抱えているんだけれども、その世界で戦っていくために、より強化すべきところをアカデミアの知とともに作っていきたい、こういうことが中心です。そのようなときに、1つ共通的に見えてきた企業の声としてあったのは、大学の知のポテンシャルというものは、通常可視化されていないわけです。当たり前ですけれども、そのほとんどは無形資産、インタンジブルなアセットですから、そういった知のポテンシャルというものをどのように認識したらよいのか、その可能性はいったいどこにあるのか、ということを探すことが企業からするととても大変なことです。
 したがって、そういったところが見えてくる段階にまでたどり着くには、具体的な連携を始めてみて、その中で徐々に徐々に、可能性を新たに築いていくようなこと、これをやってよかったなと企業の方々が声を上げるケースがいくつもありました。企業の期待やニーズは多様でして、今回のCRDSの調査ではオープンイノベーションや、大学とのアライアンスを担当しておられる部門で一定の責任を持つ方を中心にヒアリングしたのですが、例えば研究所の方、あるいは事業部の方とはまた違った問題意識をお持ちです。ですので、そういったことを考えたときに、大学と企業とが共創的に新しい価値を将来に向けて生み出していくやり方は、必ずしも1つに標準化できるものではないと考えられます。例えば契約1つをとっても、なかなか大学によっては、非常に多くの時間を要してしまい、企業のスピード感と合わないであるなどの問題は依然として残っております。これらに対しては、有効なケースを一定程度横展開することや、ある種の標準的な幾つかのモデル契約・モデルケースを、産学ともに使って共有していくような活動は、支援の仕方としてもあり得るのではないかと認識しています。

【荒金委員】  ありがとうございます。私たちが知ることができるのは、論文と特許を外から見てどういう技術がこの大学にあるかということで、潜んでいる技術とか、そういうものを知る機会はなく、そうすると分からない中で始めてみようかというと、100万、200万になってしまうみたいな、そういうところも大いにあるのではないかなと思うので、そういうところが改善すると企業も将来にかけるいろいろなポテンシャルへの投資ということになれば、また別の次元の投資ができるのではないかなとも思います。ありがとうございました。

【千葉部会長】  では、飯田委員、お願いします。

【飯田委員】  ありがとうございます。遅れて参加したので、永野様のお話を聞けず残念だったのですが、小泉先生へお伺いしたいと思います。4th Generation Universityは、先ほど片田江委員もおっしゃっていたとおり、社会課題や産業ニーズを起点にしたミッション志向型の研究というものが推奨されていると理解したのですが、少し心配な点として、大学の根源的な機能である予見可能な知の創出が軽視されないかということです。
 既に4th Generation的な取組をされている日本の大学も存在していると理解しておりますが、それらの大学ではシーズ起点の破壊的なイノベーションを生むような基礎研究も重視しており、両輪でやっているのではないかなと理解しております。4th Generation Universityにおいてそれらの両立のための工夫があれば教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。

【JAIST(小泉)】  ありがとうございます。飯田先生、御無沙汰しています。まさに、でも、その辺は各大学ごとに違うという印象を持ちました。実はちょっとびっくりしたのが、まさに僕も飯田先生にかなり近いふうに感じているので思っていたのですけれども、幾つかの大学、ロンドンでも話を聞いたのも、かなり振り切っている大学は振り切っていますね。社会ニーズ、ソサエティ化の課題がない研究、意味ある? ぐらいなことを言っている。もう社会課題スタートで、それはインダストリー課題ではなくても、ソサエティ課題でもいいんですけれども、それがない研究、意味ないじゃないかというぐらいなことを言っている大学もあり、なかなかその辺は大学の、じゃあ、ガバナンスとしてどう考えるか。その辺のアロケーションをどう考えるかというのは非常に重要なポイントなのだと思うんですよね。
 ただ、先ほどお示したようなオープンイノベーションの考え方からすると、まず、とにかくいろいろなものが大学からキュリオシティベースで出てくるナレッジもあって、いろいろなものがあって、その中からこれとこれを結びつけてどんどん、外と内とで結びつけながらやっていくというイノベーションモデル、この辺は飯田先生も僕より全然詳しいのであれなのですけれども、なので、その辺をどうガバナンスしていくかって、まさにガバナンス側の問題ということなのかなと思っています。もう少しイグザンプルが集まってきたら、また共有させてください。

【飯田委員】  ありがとうございます。ミッション型とシーズ型について、両者を対立的に捉えるのではなく、うまく融合させていると理解しました。ありがとうございます。

【JAIST(小泉)】  はい。そうだと思います。

【千葉部会長】  委員の皆様、どうもありがとうございました。大変重要な意見交換ができたと思います。最後に私のほうから、これに関連して、小泉先生の第4世代大学が実は全体を網羅する形で、新しい概念をもっと取り入れていきましょうということで、今日、全体の会議の話にかぶってくるようなポイントになっているのかなと思いました。それを私、常々思うのは、力強く進めるにはどうしたらいいかということ、その理念としては重要なのですけれども、例えばガバナンスといっても、じゃあ、学長がこれをやりましょうと言って本当に大学がどれだけ本気で動くのかというようなところですね。ゴールとしては、タイトルにもありますけれども、経済圏のエコシステムということで、もちろん基礎的なところを否定するわけではないですけれども、基礎的なところはすごく大事なのですけれども、明確なゴールはやはり経済力というところが1つ明確にないと進めないのではないかと私は思います。
 ということは、ファイナンスをどうするのかということです。お金があったら、こういうことをやったらいいなという見方もできてしまって、そうではなくて、じゃあ、そのお金はどうするのかというところで、方法論としては、例えば企業群とそこに関係する大学群で新たなファンドを組成して、金融システムを利用して、そこに一定の資金を投入した上でスタートアップとか、ジョイントベンチャーとか、あるいは基礎的な研究に回していくような仕組みを作って、結果としては新しい市場を作っていってリターンを促す。これを定量的に表現していく必要があると思います。この連携で作ろうとしている市場は、一体どれぐらいの規模なのかというようなこと、そういうようなことをかなり具体化していくことがすごく重要だと思ったのが1つと、あと、大野先生からも御意見がありましたけれども、あと西村先生もそうですけれども、これ、引っ張っていく人材をどうするんだということです。
 これが私、決定的に足りていないと思っておりまして、例えばスタートアップに若い人たち、もっと関与するように、これ、本気でやると、実はこういうものをマネージしていく力ってついていく。普通に研究だけやっているとなかなかつかないのですけれども、要するに逆境とか崖っぷちに追い込まれると、人間はいろいろな力が出てくる。そういう経験が日本は全体としてまだまだ足りないのではないか。そういう人たちが大学の教員になっていくとかいうこと、これは要するに博士をこれからもっと増やしていきましょうというところでの、実は非常に大きなメッセージになっていると私は思っていて、単に技術が得意な人をもっと育てましょうというだけではなくて、企画とか、自分自身で新しいものを構想したり、自分で先頭に立つぞというような人間、これが博士の代名詞になっていくのではないかなと。これがない限りは、日本は力強くならない。これはやはりアカデミアがもっともっと強く発信して、そういう博士を育てて日本を強くしましょうということを言っていく必要があるのではないかなと感じました。
 今日の皆さんの御意見、それから、最初の御説明は大変有益なものだと思いますので、今後、ますますこれをブラッシュアップして、本当の日本の力になるような形にできればと思っております。本当にどうもありがとうございました。
 それでは、本日の御議論も踏まえて引き続き支援策の検討を進めていきたいと思いますけれども、ここからは次の非公開議題に入りますので、事務局は公開用のユーチューブの停止をお願いします。

 ―― 了 ――

  • 国際卓越研究大学研究等体制強化計画の認可について(意見の聴取)【非公開】

 本議題について文部科学省から資料に基づく説明があり、科学技術・学術審議会運営規則第7条に基づき本議題に直接の利害関係を有する委員(飯田委員、西村委員)を除いた出席委員により審議を行った結果、当審議会として東京科学大学の国際卓越研究大学研究等体制強化計画を認可することについて適当と認める旨の答申を出すことを議決した。
 なお、令和8年1月14日の科学技術・学術審議会大学研究力強化部会(第4回)の審議に付け加えるべき特段のコメントはなかった。

お問合せ先

研究振興局大学研究基盤整備課大学研究力強化室

電話番号:03-5253-4111(内線:3838)

(研究振興局大学研究基盤整備課大学研究力強化室)