科学技術・学術審議会 大学研究力強化部会(第1回)議事録

1.日時

令和7年6月18日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省内会議室及びオンライン

3.議題

  1. 第13期大学研究力強化部会の運営について
  2. 大学研究力強化に向けた取組について
  3. その他

4.出席者

委員

(部会長)千葉一裕委員
(部会長代理)大野英男委員
(委員)浅井清文委員、荒金久美子委員、飯田香緒里委員、小野悠委員、梶原ゆみ子委員、片田江舞子委員、河原林健一委員、木部暢子委員、新福洋子委員、関谷毅委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員、山崎光悦委員

文部科学省

(事務局) 井上科学技術・学術政策局長、塩見研究振興局長、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、松浦大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、先﨑科学技術・学術総括官、山之内振興企画課長、俵大学研究基盤整備課長、平野拠点形成・地域振興室長、助川学術企画室長、小川大学研究力強化室長、北野国立大学法人支援課企画官 他

科学技術・学術政策研究所

千原科学技術・学術政策研究所長、伊神科学技術予測・政策基盤調査研究センター長

5.議事録

今回の議事は、部会長の選任等があったため、科学技術・学術審議会大学研究力強化部会運営規則第5条の規定に基づき、開会から議題1までは非公開。

議題(1)第13 期大学研究力強化部会の運営について(非公開)

【千葉部会長】  
 それでは、部会長の千葉でございます。第1回大学研究力強化部会について、これより公開で議事を進めてまいります。
 委員の皆様におかれましては、これから2年間、御審議のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移ります。議題の2「大学研究力強化に向けた取組について」です。まず、事務局より、1、今期の進め方について御説明をお願いします。

【小川室長】  事務局からでございます。資料3を御用意ください。
 1ページ目をおめくりいただきまして、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成、こちらは前期から御議論いただきました、大学群の形成に向けたフレームワークでございます。日本全体の大学の国際競争力を高めるということで、総合振興パッケージ、例えば研究力ですとか産学連携、こういったところの拠点形成、また、全学的な国際水準の研究環境を整備していく。さらに大学共同利用機関等が持つ多様な分野、全国的な研究者のハブのネットワーク機能を拡張させる。こういったことを進めていく総合振興パッケージと大学ファンドとを連動させまして、個々の大学の持つ強みを引き上げるということで、ポンチ絵でいいますと上に赤い矢印ございます。また複数組織間、また領域の連携を促進していき、さらに人材の流動性が高いダイナミクスのある研究大学群を構築することが必要ということで、様々な施策がこれまでも打たれてきたところでございます。
 2ページ目でございます。その中で、例えば国際卓越研究大学ですとかJ-PEAKS、こういった大学への支援というところを進める取組、実際に今進んでいるところでございますけれども、例えば、第1、第2グループの大学の中でも、研究大学のシステム改革といったところが進んでおります。一方で、そうした施策支援の対象にならない大学というところも、今後顕在化していくというところでございます。
 こうした中で、我が国全体として、大学に存在する人材の生産性について最大化していくということ。また、これまで設置された研究設備、拠点、こういったものがストックとしてございますので、こういったことを最大限に活用していくということが必要かと思います。
 改めてですけど、我が国におきましては、非常に多様な大学が裾野広く存在し、論文生産が行われておりますし、競争的研究費として創発の事業なども受ける意欲・能力のある研究者が在籍しているところでございますので、全体として最大化していくことが望まれると。
 例えば、下の表でございますけれども、研究設備・拠点といったものにつきましては、やはり大型の部分は大型の大学にこれまでもストックがされてきているところではございますけれども、一方で競争的研究費の創発採択人数を見ますと、様々な大学にピカッとした研究者がやはりいらっしゃるということですので、そういったところを複層的にどのように国として支援していくかというところが重要かと考えてございます。
 3ページ目でございます。研究大学群への支援の在り方の検討スケジュールというところでございまして、こちら2年間、本委員会で先生方に御議論いただくということでございますが少し長めのタイムフレームを見て、様々な取組ございますので、スケジュールを御説明させていただきます。
 まず、令和8年度から第7期科学技術・イノベーション基本計画が開始いたしますので、そこに向けてCSTIのほうでも調査会のほうで検討が進められているところでございます。大学研究力強化部会としましては、1つございますのは国際卓越研究大学の認定・認可に係る法定の意見聴取、こちらはアドバイザリーボードの議論が終わりましたら、また先生方には御意見等いただければと思います。一方で、研究大学の支援の在り方という点では、1つは国際卓越研究大学の第2回目の公募が選定進んでございまして、冬頃にはどういった大学に支援が行われるかというところが見えてくる。
 また、地域中核・特色ある研究大学につきましては、令和8年度には中間評価も控えているところですので、こういった議論が、恐らく令和8年度以降に、非常に大学への支援のフレームワークをどうしていくかということを考えていく必要があると、そういったスケジュール感になっている中で、今期が2年間進んでいくということでございます。
 また、並行しまして、国立大学法人につきましては、第5期の計画期間が令和10年度から開始いたします。あわせまして、共同利用・共同研究体制につきましても議論が進んでいるところでございますので、こういった全体のフレームワークを見ながら、令和8年度中心にそういった議論もさせていただくのかなと考えております。
 4ページ目でございます。前期に先生方にもこの部会、この委員会におきまして、どのような検討課題があるかというところをおまとめいただいたところでございますが、そうしたところも踏まえまして、4点ほど論点あるのかということで、事務局から提示させていただいております。先生方からの御意見をいただきながら、こうした論点をさらに現下の環境変化に基づきまして、追加、ブラッシュアップしていければと思ってございます。
 まず、大学・領域・セクターを超えた連携の拡大、学術の多様性の確保ということで、申し上げましたとおり裾野の広い大学に所在する意欲、能力のある研究者への支援をどうしていくか。また、本日議題にもございますけれども、大学間連携ですとか、共同利用・共同研究体制がどうあるべきなのか。
 また、先端知を切り開く優秀な人材の集積・国際頭脳循環という意味では、日本の研究者が国際頭脳循環、国際学術コミュニティーにどのようにして入っていくのか。
 また、世界最高水準の研究大学の実現という意味では、世界と伍する要件ですとか、研究大学に必要なシステム改革をどういうふうに波及させていくのか。さらに大学の機能を担う人材の育成ですとか規制緩和。また、研究力の可視化という意味では、論文だけじゃないという話もございますが、こういった点についても御議論の論点になるかと思います。
 また、地域中核・特色ある研究大学の振興という意味では、大学ごとのビジョンに応じて、各大学の機能を強化するための継続的・安定的な支援、こういった点についても論点に上がるかと考えております。
 今後の開催スケジュールでございますけれども、本日第1回目ということで、今後の進め方、また、検討課題のうち、大学・領域・セクターを超えた連携の拡大、また、人材の集積・国際頭脳循環などについて議論いただければと思っております。
 また、次回以降、世界最高水準の研究大学の実現ですとか、地域中核・特色ある研究大学の振興、こういったところについてもヒアリングを行いつつ、研究大学の支援の在り方について、どんな論点が今後あるのかといったところを冬頃に少し整理できればというふうに考えているところでございます。
 私のほうから、資料3の御説明は以上でございます。

【千葉部会長】  ありがとうございます。それでは、続けて事務局より、国際卓越研究大学の申請状況について御説明願います。

【小川室長】  資料4でございます。国際卓越研究大学の申請状況の御報告でございます。これまでも本委員会、本部会におきまして報告させていただいた内容もございますので、ごく簡単に御説明させていただければと思います。
 3ページ目をおめくりください。大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学の公募・選定につきましては、実績や蓄積のみで判断するのではなく、変革への意思とコミットメントの提示に基づき行っていくということ。また、研究力、事業・財務戦略、ガバナンス、こういった3つの要件をクリアしているかについて確認していくということ。今回、第2期の公募が実際に実施されているところでございますが、今年の5月16日に公募が締め切られたところでございまして、今後段階的に審査を行っていくということで、冬にはアドバイザリーボードでの審査は終わり、年度内には卓越大学としての認定、また、体制強化計画の認可、助成の開始ということを予定しているところでございます。
 4ページ目でございますけれども、8大学から申請いただいているところでございまして、そちらの概要についても御参考としてつけさせていただいております。
 6ページ目でございます。国際卓越研究大学の認定等に関する審査体制としましては、法律上で認定・認可に当たりましては、CSTI、また科学技術・学術審議会の意見を聞くとされておりますところ、関連の先生方にも御参画いただきながら、国際卓越研究大学のアドバイザリーボードを設置いたしまして、審査を進めていくということでございます。また、国内外のレビュアーの先生方にもお願いしまして、審査の参考になるような意見をいただいているということでございます。レビュアー自体は非公開ということにしておりますので、この場では言及させていただきませんけれども、そういった幅広い先生方に御意見をいただきながら、審査を進めていくということでございます。
 7ページ目が、アドバイザリーボードの構成員でございます。本委員会におきまして、御参画いただいている先生にも多数アドバイザリーボードにも御参画いただいておりますが、今回特に新しい先生としては、ニューヨーク大学とオックスフォード大学の学長を務めておりましたアンドリュー・D・ハミルトン先生ですとか、今まさに本部会にも御参画いただいている大野先生、また、NTTリサーチラボで今所長をやられていて、量子コンピューターの権威である山本先生、こういった先生にも、今回新たに御参画いただいているところでございます。
 私から、資料の4は以上でございます。

【千葉部会長】  本日は、大学・領域・セクターを超えた連携の拡大、学術の多様性の確保や、先端知を切り開く優秀な人材の集積・国際頭脳循環の2つの観点から大学の研究力強化に向けた意見交換をさせていただきます。
 まずは本日のヒアリングにおける論点について、事務局から説明願います。

【小川室長】  資料5でございます。
 本日のヒアリングにおきましては、2つの観点から、ここに限られないですけれども、以下のような点を中心に御議論いただけないかと考えております。
 まず、1つ目でございますけれども、大学・領域・セクターを超えた連携の拡大、学術の多様性の確保という観点から、例えば、大学や産業界から見て、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点はどのような意義や役割を有しているか。また、国際卓越ですとかJ-PEAKS、こういった研究大学施策が進展する中で、こうした機関に、今も求められていく機能があると思いますけれども、今後さらに求められる機能が何なのか。また、全国に点在する優秀な研究者のポテンシャル、こういったものを全体として我が国が最大限引き出していくために、大学共同利用機関は今後どのような機能、役割を果たしていくべきかなどについて、論点として挙げさせていただいております。
 また、2点目としましては、先端知を切り開く優秀な人材の集積・国際頭脳循環という意味で、国際学術誌のエディターなどから見ても、国際頭脳循環を加速させるために我が国の課題は何なのか。また、そうしたコミュニティーの中で、我が国の研究者はどのような研究を進めるべきなのか、こういった論点を挙げさせていただいているところでございます。
 本日は、御議論どうぞよろしくお願いいたします。

【千葉部会長】  それでは、次に、大学・領域・セクターを超えた連携の拡大、学術の多様性の確保についてです。
 大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点は、大学の枠を超えて研究施設やデータ等の共用利用を行い、全国の研究者と共同研究を進めております。現在、研究環境基盤部会で議論されている大規模集積研究基盤の検討状況について、俵大学研究基盤整備課長から御説明願います。なお、質疑は、その次の関谷委員の御説明の後にまとめて行いたいと思います。
 では、課長、お願いします。

【俵課長】  ありがとうございます。俵です。今、先生から紹介いただいた内容についてお話をしたいというふうに思います。次のページをお願いします。
 研究環境基盤部会では、ここの論点にあるような大学連携、特に大学共同利用機関の在り方であったり、あと大学の共同利用・共同研究拠点、いわゆる大学の研究所の連携に関する在り方について議論をいただいています。次のページをお願いします。
 ここで委員のメンバーの方々ですが、梶田先生を座長に、本部会に入っていただいている木部先生や河原林先生にも入っていただきながら議論を進めています。
 ざっと共同利用・共同研究システムのことだけ少し触れたいと思います。上のブルーの枠に書いていますが、大学共同利用機関と大学の共同利用・共同研究拠点、これらが中核となって、個々の大学では整備・運営が困難な最先端の設備、あるいは大量のデータ、貴重な資料、これを国内外の研究者に提供するということを通じて、大学の枠を超えて共同研究を進めようと、システムをつくっています。次のページお願いします。
 大学共同利用機関はこの4つ、一番左に書いてある4つの機構の下で、17の研究所であったり、博物館であったり、そういった方々、組織が中心となって構成をして、共同利用・共同研究を進めているというのが1つです。次のページお願いします。
 ここはそれぞれの大学共同利用機関法人の活動状況ということで、共同研究者の受入れであったり論文数、次のページをお願いします。受託研究件数、研究費、こういったデータを参考に示しています。次のページお願いします。
 これは生理学研究所のデータになりますけど、今日はちょっと時間がないので省略したいと思いますが、より広く大学の研究者の支援を行っているということに貢献をいただいております。
 もう一つ、大学の共同利用・共同研究拠点の仕組みですが、左側の制度の仕組み、下を見ていただいて、研究者のコミュニティーの方々からの要望を踏まえて、大学からこういう研究所をつくろうということで文部科学省に申請をいただいて、文部科学省から認定をするということで、共同研究を進めてもらうということをやっております。次のページお願いします。
 全体では、国立大学、私立合わせて大体100ぐらいの拠点が今できていて、ここで共同研究を進めている。これが共同利用・共同研究拠点全体の概要になります。次のページお願いします。
 これは研究環境基盤部会で、これから大学共同利用機関を中心に、この研究体制の機能強化に向けてどういったことが求められるかということをまとめたものです。下のところに4つぐらい書いています。研究環境の充実、新しい学術領域の開拓、研究人材の育成、それとハブ機関としての体制の充実、こういったことが必要だろうとされています。これが全体になりますが、研究環境基盤部会の中で、研究振興局と科学技術・学術政策局と一緒になって検討をしていることがありますので、最後それを紹介したいと思います。次のページお願いします。もう一ページ。
 AI時代にふさわしい科学研究の革新ということで、世界的には研究設備についていうと、みんなで共用して、かつ自動化、自律化、遠隔化した設備を構築して、データをたくさん集めてAIで解析する、これが進んでいるというふうに思います。ただ、日本では少しそこが遅れていて、まだ組織というよりも、研究者個人で研究設備を使っているということもあるので、それを左側の1がありますけれども、研究設備・機器・活用の最大化ということで、できるだけ大学で設備を共用して取り組みたいというのが1つ。
 それと3の緑のところ、これは、設備をできるだけ集約して、大規模にそういった研究設備を集めてデータをたくさん、スピード、できるだけ早くたくさんのデータを集めてAIで解析するような、そういう環境をつくっていきたいと思っています。
 4番目のところ、これが集められたデータをきちんと蓄積をして、AIで解析をするような仕組みも含めて、青、緑、赤のことを中心に、全体の研究力を高められるように取り組んでいきたいと考えています。
 最後、次のページ、今、政府全体で文章をまとめていますが、政府文書の関連記載の中で、骨太の方針と言われているものだったり、新しい資本主義の実行計画、こういった中にも、今言ったような設備の共用化、高度化を進めて研究力を強化したいということも盛り込まれましたので、こういったことを踏まえながら、あるいはここでの議論であったり、部会の議論を生かしながら、来年度の概算要求にもできるだけつなげていきたい、そんなふうに考えております。
 以上です。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 それでは、次に、先端知切り開く優秀な人材の集積・国際頭脳循環について、国際頭脳循環や、昨今の国際コミュニティーの状況について関谷委員から御説明をいただきたいんですが、恐れ入りますが、適宜概要をまとめていただいて御説明いただいて、それから質問という形にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【関谷委員】  承知いたしました。御紹介させていただきます。我が国の強いナノテクノロジー・マテリアル技術を使った研究開発をしておりまして、最初の4ページ目、5ページ目、私自身がACS NANOのエディターをしております関係で、国際的な潮流のプラットフォームに入らせていただいています。まず、こういったところで交流するということが非常に重要だと思っておりますし、また各国、こういったエディターがいろいろなところに行って若手、それから学生の交流が進む中で、こういうパブリケーションとかそういったところが活発化しておりまして、この部会においても私自身、またそういった視点で御紹介してまいりたいと思います。
 そこから先は、私が取り組ませていただいております研究の取組なんですが、特に8ページ目以降は、ここにもおられます西村先生がPOもしておられますが、社会課題を解くための研究プログラムの研究代表させていただいております。特に大阪大学の住民の皆さんと一緒に、未来型のインフラ創造拠点をつくらせていただいています。これは大学が地域に根差しておりまして、かつ科学技術を中心に多くの信頼を得て、まちと一緒になって科学技術をつくり、そこから社会課題を解く取組、また、解くための人材育成というところに取り組ませていただいておりまして、人が変わって大学が変わると社会が変わっていく、そういった社会課題を解く中に、大きな大学研究力強化の基軸があると考えておりまして、そういう取組をさせていただいております。
 この研究の中心は、科学技術の取組だけではなくて、やはりそれを使って命を預けることができるだけの信頼される科学技術をつくるためには、住民の皆さん、それから人文社会学系のそういった先生方との連携の中で、社会に根差した科学技術を大学がつくっていくという取組をさせていただいております。
 そういった取組と、14ページ目には、未来で、将来信頼される科学技術、命を預けられる社会インフラをつくるが右側、左側は、科学技術なんですが、その間には、やはり政策が非常に重要となっておりまして、先ほど来出ております、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、すなわち、いい科学技術をつくるにしても、ルールづくりが極めて重要であって、こういった産官学官民と連携が非常に重要だと、それによって研究力が強化されるという絵を14ページに書かせていただいています。
 最後に申し上げたいのは19ページ目となってございまして、やはりこれからは科学技術をつくる大学が中心になって取り組んでいくだけでは駄目で、産官学官民が一体となった社会課題を解いていく左側、そこから国のプロジェクトによって背中を押してもらい、上にありますのが、研究設備の研究環境の整備、これは共通基盤技術として、大学が持たせていただいています共同利用・共同研究設備等を使って、若手研究者が、資金がなくてもしっかりと世界最先端の研究ができるようにするための大型研究設備や装置の最新化、また、それを支えるURAであったり技術員が非常に重要だと考えております。
 そういった技術、研究のデータベースを支える人材も、やはり高く評価されるべきでありますので、研究者、それから研究評価の評価軸が非常に重要ですし、そこにはURAや事務の皆さんたちの評価軸もまた新たにしていく必要があると考えております。
 最後に、スタートアップがそういった社会課題解くために非常に重要で、人材育成とか、スタートアップの中でも特にディープテックと呼ばれるナノテクノロジーやマテリアルといった成長に時間がかかるようなところに、スタートアップ支援がさらに充実してきているわけですが、まだまだ多くのスタートアップが生き残れていないといいますか、活躍できていない事実がございますので、そういった評価軸が必要ということと、一番最後の22ページ目は、イノベーションや研究力の強化に資する、いわゆる研究評価軸をどう見るかというところで、日本工学アカデミーの研究力強化委員会の資料で、東大先端研の杉山先生や武見先生がまとめられた資料の一部ですが、論文を使う評価軸が緑色にございます。ここはいろいろな、例えば論文ACSのプラットフォーム等使えば、ある種トップ何%論文とかって幾らでも増やしたりする世の中になってまいりましたので、必ずしもこれだけで研究力が測れないとなる中では、研究者数とか研究時間、それから国際的な賞、右側はイノベーションです。右側に行けば行くほど時間がかかります。こういった時間軸の違う研究力評価軸がたくさんございまして、何を使うかによって研究力の見え方は全く違うと思いますし、また、イノベーション力と研究力の中心にありますメディアへの露出、ここも非常に重要でして、こういったSNSもある昨今ですので、いかにこういう巨大なメディア等へ出ていくかによっても、また研究力の見え方が変わってくると思います。こういった包括的な研究評価軸が非常に重要となってまいりまして、皆様とともに議論できればと思っております。以上でございます。

【千葉部会長】  関谷委員、簡潔にまとめていただいてありがとうございます。
 それでは、俵課長の御説明、それから関谷委員の御説明併せまして、委員の皆様から御質問、あるいは御意見等いただければと思います。時間が限られておりますが、時間の許す範囲でお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 西村委員、どうぞ。

【西村委員】  すみません、時間のない中、申し訳ないです。
 関谷先生の今のお話、私すごく関心を持ちながら見ていて、研究者に求められる今後の物事の考え方ですね。自分の研究の領域だけをしっかり見ていって、その中からトップレベルの研究をするというだけではなくて、もう少し俯瞰しながら社会に対するインパクトから、あるいはバックキャスティングで今やるべき研究が何で、どういうチームを編成したらいいか等々を含めた総合的な、ちょっと言い方悪いけれども、経営者的な能力があって初めて成り立つようなことだと思うんですね。こういうプロジェクトの動かし方が、やっぱり日本ではかなり今まで弱かったような気がするんです。
 私、たまたまCOI-NEXTで関谷先生と付き合わせていただいて、関谷先生のところには鶴田さんという完全なパートナーがいて、俯瞰して見る人と、関谷先生の研究力がディスカッションしながら、多分こういうのをつくってきているんじゃないのかなと想像しているところです。ということは、もう一段こういったプロジェクトを行うために、研究者及びそれに関わる人たちが集中できる環境をつくっていくと、ここまで行くんだというのは私ちょっとすごく感じるとこなので、例えばですけど、プロジェクト単位で動くときの予算をもう一段上げて、その期間はそこに集中できるような、専業としていけるようなぐらいな形にしてチーム編成がつけられるようにして、それで終わった後にはまたその人たちが違うプロジェクトにも動けるとか、こういうふうなプロフェッショナルとして流動性を持った人たちをつくりながら、プロジェクト単体としてももう少しお金をかけながら、本当に勝つというふうな形のチーム編成と戦略性を持ってやるようなことというのは必要かなと思うんです。
 そうなると今回の関谷先生の動きというのは、私はすごく関心を持ちながら見ているので、とても参考になりましたということで、そういうときに共同利用施設なんかもそこを場として使えるようにしていって、チーム全体がそこに居住しながらやっていくような、3年間、5年間集中的にと、そんなのもあっていいのかなと思って聞いていました。
 すみません、ちょっと雑駁ですけど、私はそういうふうに感じました。

【千葉部会長】  ありがとうございます。大変大事な観点だと思います。
 続いて荒金委員、お願いします。

【荒金委員】  ありがとうございます。私は共同利用施設のほうの御説明に関して感想というかお話をしたいと思うんですが、大変いい試みで、御指摘もありましたように、個々の大学で勝負する時代でもなくなってきているので、共通設備ということで多くの大学がそこにアクセスすることによって研究力を上げていくということは、これから必須になると思うんです。
 ただ今日の御説明だと、どうしてもそういうことで集まったデータの波及効果として、AIで解析ができるとか、いろんな利用価値が上がるとか、やった結果の利用方法ということに目が行きがちだったような気がするんですが、私は本当に大事なのは、何を共同利用できるような装置、技術としても持たせるかとか、どれを日本の特化した技術として共同利用に投資できるかとか、そういうところがすごく大事になってくるんじゃないかと思うので、そこがいわゆる戦略的に議論できるような、そういう仕組みもあるといいのではないかなというふうに思いました。以上です。

【千葉部会長】  ありがとうございます。
 では、河原林委員、お願いします。

【河原林委員】  私は研究環境部会のほうにいまして、そこで出た意見もちょっとだけ補足させていただくと、あそこに書いてあることを反対する人は誰もいないわけです。結局はどうやるかという点が一番重要で、しかもどうやるかというところを今の既存の組織でいいのかというのも含めてちゃんと考えないと、言うだけになってしまってどこかに責任を押しつけるようなことはまずいので、組織外も含めて、それと予算も含めてしっかりやらなきゃいけないなというふうに思ったと。
 そこでもう一つ皆さんから要請があったのは、人材育成ということです。人材育成というのは難しくて、何が難しいかというと、皆さんが言う人材育成というのは非常に大きく広い意味になっちゃっていて、それを全部こういうところで任されると本当に厳しいんです。なので、例えばAI for scienceが必要なのか、エンジニアリングが必要なのか、要するにサイエンス掛けるエンジニアみたいな、実はサイエンス掛けるエンジニアの存在がきっと一番重要で、それがOpenAIだとかディープマインドとかで活躍していろいろなことを今やっているんだけど、そういう人材というのはどこも多分世界で困っているはずなんです。それを含めてどうやっていくのか、どうやってインプリメントしていくのかというのが多分これからほぼ全てになるんだろうなと思いますので、その辺のところも今後の議論で必要なのかなというふうに思います。以上です。

【千葉部会長】  どうもありがとうございます。
 では、最後に大野委員からお願いいたします。

【大野部会長代理】  時間のない中すみません。今の共同利用機関についてですけれども、やはり科学の様相が変わったと理解しています。これは生成AI、あるいはAI全体が科学にもたらす変化が今急激に早く起きているので、ここの基盤が我が国にないと、我が国全体の科学、人文社会も含めた学術の進化が止まってしまう、あるいは遅れを取ってしまうということがあると思います。
 そういう意味で、今お話しになられたことではありますけれども、それに特化した組織、あるいは機関というものが必要だと思います。それは全体を支える、あるいは学術全体を支える、あるいは科学技術全体を引っ張るようなイメージで必要だと思っています。ちょっと近いのがSINETですけれども、SINETはある種、利用するだけですけれども、今回は中身がそこに関わってくるので全く質的に違って、以前の組織で言えば大型計算機センターのようなものに近いところもありますので、これがないと日本の科学は遅れを取るという意味で、整備が喫緊に必要なものだと考えています。以上です。

【千葉部会長】  どうもありがとうございます。大変重要なメッセージをいただいたと思います。
 ちょうど時間になりました。委員の皆さん、まだまだたくさん御意見がおありかと思いますが、すみません、なかなかうまく進められずに全部お聞きすることができなかったんですけれども、また次回以降、あるいはメール等でも御意見いただいて、とにかくいい方向に進むように、ぜひこの委員会の役割、大変重要ですので、また引き続き御協力いただければと思います。
 大学研究力強化部会運営規則第7条というのがございまして、本部会の議事録を作成しまして、資料とともに公開することになっております。本日の議事録については、後日メールにてお送りしますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、第1回大学研究力強化部会を閉会いたします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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