第13期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第4回)議事録

1.日時

令和7年10月22日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階局1会議室及びWeb会議(Webex)

3.議題

  1. 「グローバル卓越人材招へい研究大学強化事業(EXPERT-J)」の採択大学の決定について
  2. 科学技術・イノベーションにおける国際戦略(中間まとめ)案について

4.出席者

委員

菅野委員(主査)、狩野委員(主査代理)、梶原委員、佐藤委員、本間委員、山中委員

※オンライン参加:相田委員、飯塚委員、佐々木委員、鈴木委員、松塚委員

文部科学省

西條科学技術・学術政策局局長、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、豊田国際研究開発政策課課長、簗田国際研究開発政策課課長補佐

5.議事録

第13期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第4回)

令和7年10月22日

 
 
【菅野主査】  では、定刻になりましたので、第13期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第4回)を開催いたします。
 第13期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会主査の菅野です。
 本日は、対面及びウェブ会議システムにより、ハイブリッド開催とさせていただくことになりました。委員の皆様には、御協力をいただき、誠にありがとうございます。
 初めに、開催に当たっての留意事項を事務局から御説明をお願いいたします。
【簗田補佐】  ありがとうございます。本日、事務局を務めさせていただきます簗田でございます。よろしくお願いいたします。
 事務局より、会議開催に当たりましての留意事項を御説明いたします。
 本日の委員会は、公開で開催させていただいております。
 まず、出席状況ですが、日下部委員、野本委員より御欠席の御連絡をいただいておりますが、出席委員数が11名と総員数13名の過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。なお、飯塚委員は遅れての御参加となります。
 続いて、配付資料につきまして御説明いたします。会場に御出席の委員の皆様は、お手元にあります資料を御覧ください。オンラインで御出席の皆様は、事前に事務局から送付しましたファイルを御覧ください。座席表、議事次第、資料1、資料2及び参考資料1から3となっております。なお、資料は1つのPDFにまとめており、しおり機能で各資料をすぐ開けるようにしておりますので御活用ください。ファイルの不備や操作方法に関してのお尋ねなどがございましたら、事務局までお知らせください。
 次に、会議の円滑な運営のため、Webexによるウェブ会議システムの注意点を申し上げます。委員の先生方におかれましては、表示名は本名、日本語表記、フルネームとしていただきますよう、お願いいたします。また、回線への負荷軽減のため、通常はマイクをオフとしてくださいますよう、お願いいたします。
 御発言される際の留意事項です。御発言がある場合は、会場に御出席の委員におかれては挙手を、オンラインで御出席の委員におかれては、Webexの挙手ボタンを押していただきますよう、お願いいたします。オンラインで御出席の皆様は、マイク設定のミュートを解除し、御発言をお願いいたします。発言が終わられましたら、両方を再度、オフとしてください。また、御発言の際は、オンライン参加者にも分かりやすいよう、最初に御自身のお名前から御発言いただきますよう、お願いいたします。そのほか、システムの不備等が発生しましたら、随時お知らせいただきますよう、お願いいたします。ウェブ会議システムの音声が切れてしまった場合には、事務局より事前にいただいておりますお電話番号に御連絡させていただきます。表示名や音声、映像については、事務局により操作させていただく場合がありますことを御承知おきください。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただけますと幸いでございます。
 最後に、文部科学省の出席者を紹介させていただきます。
 審議官の福井です。
【福井審議官】  よろしくお願いします。
【簗田補佐】  課長の豊田です。
【豊田課長】  よろしくお願いします。
【簗田補佐】  また、局長の西條は遅れて参加させていただく予定となっております。
 以上でございます。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。
 議題1.「グローバル卓越人材招へい研究大学強化事業(EXPERT-J)」の採択大学の決定について。
 それでは、資料1「グローバル卓越人材招へい研究大学強化事業(EXPERT-J)」の採択大学の決定について、事務局より御説明をお願いいたします。
【豊田課長】  国際研究開発政策課長の豊田です。
 海外研究者の招へい事業、我々、「EXPERT-J」と呼んでいますけれど、前回の委員会で、公募を開始しましたと御報告させていただきました。その後、9月末に採択校を実際に採択、決定してございますので、その御報告をさせていただきます。
 まず、おさらいとなりますが、6月に、政府全体の取組として、内閣府のCSTIがJ-RISE Initiativeというのを取りまとめています。優秀な海外研究者の戦略的な招へいということで、秋の新学期等も見据えて可能な限り早期に拡大するため、1,000億円程度規模の既存政策をかき集めて行っております。
 2ページ目の赤囲みのところがEXPERT-Jの部分でございまして、緊急的に大学ファンドの活用を行うということになっております。
 3ページを御覧ください。7月にこの公募の骨子を公表してございまして、資料の中ほど、事業規模・期間ということで、大学ファンドを活用した緊急的な措置として、令和7年度から3年間で総額33億円を大学に助成するということでございます。既存の予算プロセスでは、どうしても財源確保が後ろ倒しになってしまい、予算の執行が年度をまたいでしまうぐらいの遅さになってしまうため、そこに迅速に対応するという意味で大学ファンドを活用してございます。
 支援対象については、国際卓越研究大学に準ずる日本トップレベルの大学、これは、海外研究者を受け入れて、またリリースしても意味がないので、しっかり受け入れて、かつ、定着させて活躍させられるポテンシャルを持ったところを選んでおります。我々、国際卓越研究大学やJ-PEAKS等、様々な大学改革の施策を打ってございますので、そうしたポテンシャルのある大学が優秀な研究者を受け入れたいというところに対して支援していくということを考えてございました。
 4ページを御覧ください。EXPERT-Jですが、7月から8月にかけて公募をいたしまして、結果として、11大学を採択してございます。主に国際卓越大学の申請校、あるいはJ-PEAKSの採択校が選ばれてございます。こうしてまずは33億円を、緊急性というところを念頭に、年内に招へいできる可能性が高いところに措置をして、実際、40名程度、リアルに想定される研究者に対して支援できるようにやってございます。
 今まさに各大学で獲得のための交渉をしてございまして、具体については非公開でございますけれども、かなりレベルの高い研究者の獲得に向けて各大学やられているということと、研究者個人だけではなくて、そのチームごと引っ張ってくるようなケースも見られていますので、まさにその辺りがうまく機能している。そして、海外のトップ大学と獲得競争を実際にやっていて、これに勝って引っ張ってくるというようなケースもあります。まさに、この緊急性のところでしっかり措置できたことで、うまく効果が出てきているのかなと思っております。
 最後に8ページを御覧ください。まだ、年内に引っ張ってこられる方々だけを措置していますので、年明け以降のところについても、しっかり財源措置をしていかないといけないと思っています。我々、夏の段階で概算要求をしていまして、まさに今、その財源の獲得をどうするのかというのを進めているところでございます。今回の採択校には年明け以降にもしっかり計画がありますので、そこに対して、しっかり措置できるように頑張っていきたいと思っております。
 説明は以上でございます。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえて、御質問があればお願いいたします。いかがでしょうか。これは御報告事項ということになっていますけれども。
【狩野主査代理】  では、一つ。
【菅野主査】  はい。
【狩野主査代理】  狩野でございます。
 質問といいますか、せっかく来てくださった方々が、日本の環境設定で、もし何か違和感を覚えるところがあったら、我々の学びの機会にもなるかと思いますので、そのような意見収集もこの機会にされてはいかがかなと思いつきまして、申し上げておきます。
【豊田課長】  はい、是非やりたいと思います。実際、感じることはあると思います。呼んだ際に日本側の環境にどう生かすのかという視点が重要だと思いますので、しっかり対応したいと思います。
【狩野主査代理】  はい、お願いします。
【本間委員】  1つ、よろしいですか。
【菅野主査】  はい。
【本間委員】  8ページのところで、研究代表者の単価というところが3,000万円となっているんですけど、現在、国際卓越で、我々、国際トップの人たちをリクルートしているんですけど、本当に欧米のトップの大学の教授クラスだと、このままだと足らないケースが出てくるので、そういう場合はどうするのか。あと、多分、積算すると5,000万ぐらいだと思うんですけど、チームごと引っ張ってこようと思ったら、多分、この額では足らないのが現状だと思います。
【豊田課長】  これは積算単価の目安でして、上限は設けておりません。ですので、大学で、例えば1億円の人を採りたい場合は1億円の提案をしてもらっているので、そこには柔軟に対応できるようにしています。
【本間委員】  それは文部科学省ではなくて、大学の基準でやっていいと、そういう予算になっているんですか。
【豊田課長】  そうです。大学の御都合で設定できます。大学によって給与の上限を取っ払っているところはたくさんあると思うので、そういう方で実際に目安を超えている人たちもいます。
【菅野主査】  本間先生、よろしいでしょうか。
 ほかには。
【梶原委員】  では。
【菅野主査】  はい、梶原先生。
【梶原委員】  東京科学大の梶原です。
 本当にコメントだけですが、17億円だと20人も呼べないかもしれないというぐらいの状況ですので、我々もプッシュしますので、ぜひ、予算をどんどん増やし、この取組を来年度も進められるよう、文部科学省も御尽力いただければと思います。
 以上です。
【豊田課長】  ありがとうございます。少し説明が漏れてしまいましたが、実は予算の枠の都合で半年分で17億円ですので、3年間にすると、大体102億円になります。今回、3年間で33億円に対して、今は100億円ぐらい要求しています。どの規模が適正なのかというのは、現状を見ながらしっかり見極めて予算を措置したいと思っています。
【梶原委員】  ただそれでも、私の勘違いかもしれませんが、今年、3,000万円出した人は、来年も3,000万円要るわけですから、継続しようとすると各大学が自前で確保しない限り、お金は必要ですよね。
【豊田課長】  そうですね。
【梶原委員】  そうすると、33億円で雇用した人は、引き続き33億円出さないと雇用の継続ができないと思ってしまったのですけど、そこら辺はどういうふうに考えていますか。
【豊田課長】  そうですね。今回、機関申請は大学の手挙げ方式にしているのですが、3年後に自走化することを前提に、それを要件化して公募していますので、大学はそこを承知しています。大学の事情からすると、今はお金がなくて研究者を引っ張ってこられないため支援が必要なのですが、3年間の猶予があれば、そこでポジションをつくってやれるような期間ができます。そういう形で御理解いただいた上で、この事業を進めているということでございます。
【梶原委員】  であれば、今お話しした102億円で3年間ということですけれども、終わった後、全部それを大学として自走してくるという話になっているのではないかなと思うのですけれども。
【豊田課長】  そうです。
【梶原委員】  そうですよね。そうすると、大学としても財源をどんどん獲得していかなければいけないというのと、予算に限られている部分があるので、そこら辺、将来的にどういうふうに考えていくかというのは、予算の限りで先細りにならないようにしていただければなと思います。
【菅野主査】  ほかには、鈴木先生、いかがでしょうか。
【鈴木委員】  今の御質問ともちょっと重なるんですけれども、最初に定着が大事という御説明があったかと思いますが、その辺をどうやって評価していくのかなというところと、あと、定着をどう定義するか、大学に残ることだけでいいのか、シナジーなり波及効果みたいなものも継続的に評価できるといいのかなと思いました。
 コメントになります。以上です。
【豊田課長】  おっしゃるとおりです。
【菅野主査】  ウオッチングをずっとしていく必要があるという、いろいろな先生方からの声です。
【豊田課長】  そうですね。今回、テニュアポジションを明示した形でのテニュアトラックを用意していただくということも要件化していまして、各大学がPIレベルを呼ぶ場合には、この3年間できちんとポジションを学内に設置するということを求めています。その後のモニタリングの観点は、おっしゃるとおりかと思います。
【菅野主査】  よろしいでしょうか。
 では、この件については、ここまでとさせていただきます。
 続いて、議題2に移ります。科学技術・イノベーションにおける国際戦略(中間まとめ)案について。
 では、まず、資料2の科学技術・イノベーションにおける国際戦略:頭脳循環や国際連携の戦略的強化に向けて(中間まとめ)案について、事務局より説明をお願いいたします。
【簗田補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。
 それでは資料2につきまして、御説明させていただきます。1ページ目の本概要資料につきましては、第3回委員会においてお示しさせていただいたものから内容に変更等はございません。その後ろに5枚ものの資料をおつけしておりますけれども、こちらには、とりわけその後半部分に、前回御議論いただいた点、また、御指摘いただいた点を反映させていただいておりますので、後ほど、順を追って御説明させていただきます。さらにその後ろに、昨年12月、第12期の国際戦略委員会において取りまとめさせていただきました科学技術・イノベーションにおける国際戦略を参考までに添付させていただいております。本日、この横紙の1枚もの及びその後ろの5枚ものの資料につきまして、中間取りまとめ案とさせていただいておりますとおり、本日の委員会での御議論を踏まえまして、一旦、中間取りまとめとしてセットさせていただきたいと考えているところでございます。
 前回の委員会においても御紹介させていただきましたが、現在、第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けまして、文部科学省で「科学の再興」に関する有識者会議が立ち上がっております。この有識者会議においては、基礎科学や学術研究等について、我が国が国際的プレゼンスをどのように取り戻していくのかという議論を進めているところでございます。その有識者会議の議論におきまして、今月8日に、本委員会の第3回までに御議論いただいた論点あるいは方向性につきまして、その概略を事務局より御説明したところでございます。今後、本委員会での議論の方向性、とりわけ中長期的に取り組むべき事項としている箇所につきまして、文部科学省全体として「科学の再興」に関する有識者会議の中でまとめられる報告書にも、その内容、方向性が盛り込まれる予定ですので、御報告させていただきたいと思います。なお、今月8日に「科学の再興」に関する有識者会議で御報告させていただいた際に、有識者の先生から御意見をいただいた箇所がありまして、その点につきましても、先ほど申し上げました5枚ものの資料に反映しておりますので、後ほど、当該箇所については御説明させていただきます。
 それでは、横紙の概要資料から、前回の説明と一部重複する箇所もございますけれども、変更のない点は簡潔に振り返りながら、変更のあった箇所を中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2の1ページ目でございますが、現状認識・背景といたしましては、この一番上の箱にございますとおり、現在、生成AIをはじめとした先端技術の進展速度が加速度的に増大する等、科学技術・イノベーションは国力の源泉として、その重要性が一層増しております。そんな中、地政学的な変化も相まって、国際的な人材獲得競争、あるいは先端技術の獲得競争というのが激化しております。
 このような現下の情勢で、我が国の研究力を強化するためには、優秀な研究者を育成・集積させる国際頭脳循環あるいは国際連携の戦略的な推進が重要です。
 同時に、研究インテグリティ・研究セキュリティにも配慮した上で、国別・分野別の中長期的な連携戦略ということも今まで以上に重要になっていると指摘しております。
 他方で、開かれた研究環境の中で、研究者が国際連携を源泉とした自由な発想に基づく研究を通じて、科学を発展させてきたことも事実でございます。
 今回、国際頭脳循環、国際連携の戦略的強化に向けて、中長期的に必要な国際展開施策を取りまとめるという趣旨でございます。
 資料下部に、「中長期的に取り組むべき事項の方向性」を示しております。まさにこれが第7期科学技術・ノベーション基本計画という中長期の国としての目標となります。1行目にありますとおり、切り口としては、国際共同研究ならびに海外研究者の受入れ、そして日本人研究者の送出しという3つのツールになります。これらを通じて、我が国の研究者が国際的な科学サークルに参画をしていく、競争・研さんをして研究力を高めていく、そして海外研究者とともに最先端の研究活動を進めていく、ということが不可欠であると考えております。
 その上で、開放性を持った魅力ある研究環境の構築、国際連携の戦略的強化というのを1つの合言葉にさせていただきまして、下に3つの箱をお示ししております。左側が「開放性を持った魅力ある研究環境の構築」ということで、海外研究者の受入れ、日本の若手研究者や大学院生の海外への送出し、そういうところを主な事項として挙げさせていただいております。
 右側の「国際連携の戦略的強化」は、国際共同研究を推進していくということで、既存の施策をまず、中長期的にも進めていきたいと考えているところでございます。
 これらを支える下に、「研究インテグリティ及び研究セキュリティの確保」というのが前提として必要でして、研究コミュニティにおいて自律的に研究インテグリティを確保できるよう、必要な取組の徹底が必要となります。
 研究セキュリティについては、国内外における情勢の変化に応じて、研究コミュニティと連携しつつ、継続的な検討を実施とさせていただいています。
 これが取りまとめの概要資料ということになりますけれども、文章に落とし込んだものが2ページ以降の資料になります。
 「1. はじめに」の部分は、先ほど申し上げました現状認識であったり、これまでの議論の過程を記載しておりますので、ここでは省略させていただきます。
 「2. 前回取りまとめ(令和年12月20日)からの国際情勢等の変化」というのは、先ほど現状認識・背景のところで申し上げましたとおり、米中対立であったりパンデミック、とりわけ今年1月の米国の新政権の発足に伴う米国の政策転換、あるいは6月のイラン情勢の深刻化と国際情勢が厳しくなっていることを指摘させていただいた上で、我々としての現状認識を書かせていただいたものでございます。
 そういった中で「3. 中長期的に取り組むべき事項」、これは昨年12月に取りまとめさせていただいたものですが、(1)開放性を持った研究環境や国際連携の重要性の再確認、(2)今後の国際連携に重要となる研究インテグリティ及び研究セキュリティの確保に関する基本的考え方という事項に加えまして、新たな情勢変化による要請等も考慮し、改めて具体的に、追加的に必要となる施策の検討を推進するとまとめております。この新たな情勢変化による要請等も含めて、先ほど申し上げたとおり、3つの方向性というのをお示しさせていただいたところでございます。ここは前回からの変更はございません。
 その切り口から、今の中長期的な取組の方向性、取り組むべき事項を、具体的な施策レベルで進めていくに当たりまして、留意すべき事項を、前回、集中的に御議論いただきました。「3. 中長期的に取り組むべき事項」を踏まえまして、我が国の研究力強化に向けた頭脳循環や国際連携を戦略的に進めていく上で、具体的に取組を進めるに当たり留意すべき事項というのを項目4以下にまとめさせていただきました。
 「4. 具体的に取組を進めるにあたり留意すべき事項」では、前回の御意見いただいたところ、御議論いただいたところに、分かりやすく下線を引かせていただいております。前回はより項目的かつ簡潔に記載していたのですが、前回の御議論を踏まえて、大幅に文章を追記させていただいております。上から一つずつ説明させていただきます。
 項目4の(1)は海外研究者の受入れのところですけれども、グローバルな人材獲得競争やネットワーク化の中で、国際頭脳循環の一拠点としての我が国のプレゼンスの向上というところで、4つほど、留意すべき事項を挙げさせていただいております。
 1ポツ目に、頭脳循環の拠点としてのプレゼンス・ビジビリティを向上させるため、どのような拠点を目指すのか、あるいは長期的な視点も含めた多様な評価軸を持って、明確にしていくことが重要だという御指摘を反映させていただいております。それから、海外研究者や留学生を惹きつける上では、欧米の大学等優れた拠点との差異を強調する必要があり、我が国が世界的に強みを有する研究分野や産業分野を際立たせる研究領域の設定等、海外研究者や留学生にとって魅力に感じられる環境とする必要があります。その際、帯同する家族が生活しやすい環境等、研究者自身の待遇のほかのニーズにも目を向けることが重要であると指摘させていただきました。
 2ポツ目に、海外研究者や留学生を受け入れるに当たり、我が国の研究力向上や経済社会に対する貢献が見込めるかどうかを判断し、選抜する際には、論文実績等のCVだけでは不足で、面接評価等が別途必要であり、事務手続も含め、それにかかる受入れ側の研究者の負担にも留意すべきである点を指摘しました。
 3ポツ目に、このような中で、NEXUS、LOTUSという既存の交流プログラムがございますが、このようなプログラムで得られる人的ネットワークは、より優れた人材を選抜する上で大きな情報源となりますので、アルムナイのネットワークを整備・トラッキングしていくことが重要となります。その際、短期間の国際共同研究プログラムにおきましては、プログラムを通じて得られた人的ネットワークが、中長期的な目線で、国際共著の論文の増加等により我が国の研究力向上に貢献することが想定されますので、プログラム期間内の論文発表等の短期的な指標だけにとらわれることなく、得られた人的ネットワークの価値を認識し、そのための指標を開発すべきであるといただいています。
 4ポツ目に、留学生等が我が国に定着する、あるいは、母国に戻った後も我が国との長期的な連携の架け橋となるためには、就職も含め、一過性ではない一連のグローバルなエコシステムとしてこれを捉える必要があります。その際、企業等とのマッチングの場として、大学院レベルの留学生等を主体とした研究活動の発表会の場が有効であり、そのような場所を増やしていくことが肝要となります。また、留学生等を受け入れるプログラムの中で、来ていただいている留学生の方に日本語教育を提供していくということも重要であると指摘させていただきました。
 これが、いわゆる受入れ側の話でございます。
 (2)が日本人、我が国の若手研究者を海外の研究機関に送り出して、研さんの機会を確保していくという切り口のところでございますが、ここについても、4つほど挙げさせていただいております。
 1ポツ目に、頭脳循環が進んでいくためには、海外研究者等の受入れと並行して、我が国研究者の送出しというのが不可欠でありますが、近年、若手研究者にとって海外に挑戦していくというモチベーションが減ってきていることを、我々も認識すべきであると指摘しています。
 2ポツ目に、そのような中で、短期間であったとしても、国際場裡にて新たな刺激を受けながら研さんすることが研究者としての成長に大きく益することを踏まえ、経済的支援を充実させていくことに加えて、次のポストを探す際に支障が生じることでありますとか、あるいはその人が海外に行くことで、その間、国内の大学等の機関の中で学内業務に穴を空けられない、そういったことによって研さんの機会が抑制されることのないよう、その点に留意をして、我が国のアカデミアの制度、システムが海外挑戦の選択を促進するような環境となる必要があるという点を記載させていただいています。
 3ポツ目は、国際的に活躍できる研究者のマインドやモチベーションの分析等、国際的な人的ネットワークや国際流動拡大に向けた課題の分析を進め、海外の研究機関での研さん機会を効果的に若手研究者に提供できるようにすることも肝要であるとさせていただいております。
 4ポツ目が、冒頭申し上げましたとおり、「科学の再興」に関する有識者会議の場で御議論いただき、新しく追記したものになります。御説明させていただきますと、海外の研究機関での研さん機会の確保も促進していくと同時に、我が国の大学等において日本人研究者を採用・評価する際には、当該研究者の国際経験に対するインセンティブの導入を進めていくこともまた重要ではないかという御指摘があり、ここに新しく追記をさせていただきました。この事項については、この委員会で、前回、御議論いただいたことではありませんけれども、先ほど申し上げたとおり、「科学の再興」に関する有識者会議の場で有識者の先生方からいただいた意見を踏まえて、こちらにまたフィードバックする形になりますけれども、我々事務局としても重要な事項であると判断して、取りまとめの案に追記させていただいたところでございます。御意見等ございましたら、いただけますと幸いでございます。
 (3)は国際共同研究の柱についてですけれども、1ポツ目に、科学技術・イノベーションを取り巻く国際情勢が変化する中で、国別・分野別の戦略とさせていただいておりまして、G7諸国等の科学技術先進国・同志国との戦略的な共同研究・国際科学トップサークル参画を進めるASPIREという事業でありますとか、ASEANやインドとの戦略的な人的交流を進めるNEXUSおよびLOTUSという事業が既存でございますけれども、それらが進捗する中、それぞれの事業の役割分担やフィードバック、効果を踏まえて、その効果を関係施策全体として整理し、捉える必要があるのではないかという御指摘もここに記載させていただいております。
 2ポツ目について、我が国の国民生活や経済社会への貢献を念頭に、相手国から見て国際共同研究の魅力の一つとなっている産業もありますことから、我が国の産業界とも連携して、戦略的に注力する分野の共同研究を進めることが重要となります。また、人的交流につきましても、将来的に有用となる人的ネットワークの構築を見据え、戦略的に進めていくことが重要であると記載させていただいております。
 3ポツでは、こうした国際連携を進める上で、相手国と研究セキュリティの基準が揃っていることが前提であると思っております。研究を進めていく上で、相手国からの信頼を得るために情勢等の変化に応じて速やかに対応できることが重要であると、指摘させていただいております。
 今回、中間取りまとめということで、前回から記載させていただいておりますが、特に「4. 具体的に取組を進めるにあたり留意すべき事項」を中心に、3つの柱を今後深掘りしていく上で必要となる論点を詳しめに書き出したものでございます。今後、これらの論点に従って、特に(1)(2)(3)それぞれの論点において、深掘りの議論を本委員会でしていきたいと考えております。その際、(1)と(3)につきましては、既存の事業があります。例えば(1)であればEXPERT-Jですとか、海外から留学生を呼び込むプログラムであったり、拠点形成事業だったりが既にツールとしてございます。
 (3)につきましても、紹介させていただいたように、ASPIREですとか、NEXUS、LOTUSという既存の事業も充実してきたと事務局としても考えておりますので、その整理をどうしていくかというのが主な論点になるかと思っております。
 他方で、(2)の海外に送り出すところにつきましては、とりわけ、まだツールがそれほど充実してございませんので、この点を事務局としても、今後深掘りしていく上で、より重点的に御議論いただきたいと思っております。本日、そういった今後の見通し、進め方を踏まえながら、コメント等をいただけますと幸いでございます。一旦、中間取りまとめとしては、この形で論点を整理するところまでとさせていただきたく、今日お示しさせていただきました。
 ちょっと長くなりましたけれども、事務局からは以上でございます。
【菅野主査】  どうもありがとうございました。
 前回の議論、様々な意見が出ましたけれども、その出たポイント、かなり詳しく記載いただいていると思います。それを踏まえて、特に「4. 具体的に取組を進めるにあたり留意すべき事項」について、これから皆様の御意見をお伺いしていきたいと思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。
【狩野主査代理】  言いましょうか。
【菅野主査】  では、狩野先生。
【狩野主査代理】  狩野でございます。
 大変よくまとめをしていただいたと、まず、拝読いたしました。ありがとうございます。今後の方向性ということで、少し考えを述べたいと思います。どこから始めるのがいいかなと思って、話をまとめそびれているので、もし、分かりにくかったら、また後ほど繰り返させていただきますけれども、1つ目に、外務省の役割をしていたときに、科学技術外交は何のためにやっているかという問いを持ちまして、考えたことがあります。まず、外務省として公式に言っておられた一つは、通商をより向上すること。2つ目は安全保障、いろいろな意味の安全保障がありますけど、安全保障をより向上すること。そこの私としてもう一つ加えたくなったのは、魅力の向上でした。
 科学技術がこれにどういうふうに関係するかを考えると、無論、通商に関係するところはまずいろいろとあると一つ思います。
 それから、セキュリティはいろいろ議論になるところのほかにも、食料の安全保障であるとか、災害からの安全保障であるとか、あるいはジョブセキュリティの問題とか、いろいろなセキュリティの問題というのが実はあるように思います。これらについて科学技術は何ができるかということは、また改めて見てもいいかなと思っております。
 次に、魅力としての科学技術に関係すると、ノーベル賞の受賞数というのは多分ここに一番関係すると思いますし、それから、いわゆる基礎科学で、すぐに成果が出にくいもの、世の中に利益がすぐにはよく分かりにくいものについては、魅力が高まるという意味での取組だと整理することもできるかなと思っておりました。
 そうした柱で考えた場合に、今後の方向性、どんな人材に伸びてほしいのかという質問に、これが関係するかなと思っております。そういうふうに思う理由は、今回、どうしても文部科学省科技系の仕事をしていると、基礎科学に対する思いが強く出がちだと思うんですけれども、他方で国際情勢を見渡して、例えば欧州で2021年から走っているHorizon Europeを見ると、柱の立て方がExcellent ScienceのほかにGlobal ChallengesとIndustrial Competitivenessという柱が別に立っており、さらにもう一つの柱として、イノベーションのためのエコシステムをつくるみたいなところの柱も立っているという状況で、これらに紐づいて、関係者がお金をもらい、活動しているという状況が大きく科学技術・イノベーションの世界で起きていると思っております。つまり、それらの基礎科学以外の柱への投資によって育てられる人材が出てきているということです。
 そうすると、先ほどからの国際頭脳循環といったときに、日本において、ピュアサイエンス以外の今申し上げたような柱に関係して、相手ができる人がどのぐらい育っているかという質問をしてもいいかなと思っております。そうすると、多分、なかなか、ほかの2つの柱については、文部科学省から見えにくくなっているのもあるし、内閣府事業としてやっているかもしれないけれども、あまり件数が多くはないような支援になっているかなということも思います。この辺りの分野について、数、足腰を鍛えるということはしていっても悪くはないのではないかと思います。もちろん、世界の相手はヨーロッパだけではないので、それだけに限った話ではないけれども、でも、いろいろな国の人と話したときに、今のExcellent Science以外の、でも科学技術に関係していると思われている柱の伸びというのは世界的にトレンドがあるかなと思っておりまして、そのような議論を立ててみました。
 ちなみに、ちょっとだけ調べてみますと、まず、EUの全人口は日本の3.5倍程度なので、案外、日本は大きい国で、その中で何かをやっていくというのは大きな効果があるのではないかと、まず思います。
 続いて、先ほどHorizon Europeについては、Excellent Science、それからとGlobal Challenges産業の優秀性、そしてイノベーションという3つの柱と申し上げましたけど、今、およその予算比率が2対5対1と聞いています。これを参考とするなら、もしも日本の政府全体予算の中でこういうふうに整理した場合に、どれだけの比率になっているかということは一つ見てもよいと思うし、その結果として、もし違う比率であるとすると、なぜそういうふうにしているかということは考えてみて、変更するならば変更するということもいいかなということは一つ思います。
 さて、科学技術基本計画をなぜ始めたのかということはSTSフォーラムを始めた尾身先生がこれを最初に始められたと聞いていますけれども、それのときに、なぜ始めたかを見ると、バブル経済が崩壊してしまって、次の経済的な発展の余地がどこにあるかというと、科学技術に投資することで、その先に行けるのであると、そういうことが一つの柱となって了解を得られたという記録があるのを読んだことがあります。そうだとすると、やはり申し上げたようなピュアサイエンス以外のファクターについても目配りをしていくということが、国家予算を使うという意味でも大事な一つの「科学の再興」なのではないかということを思いまして、今のことを申し上げた次第です。
 続いて、それを担える人材がどうなっているかということを考えてみます。私、最近、幼小中教育にも関わりを持たせていただいているんですが、学習指導要領的な発想としてどこに力点が当たっているかを考えると、探究学習である、あるいは総合的な学習の時間であるという言い方になっていて、教科ごとではなくて、イシューベースで進められたらどうですかというようなセンスを感じるところがあります。こういうので、いいねと言って育った人たちが、では、大学に来てイシューベースでできているかというと、なかなか大学の環境整備はそちらの方向に行きそびれているようなところもありまして、あまり面白くないなと思っている人もいるということは聞き及ぶときがあります。こうなったときに、今までのディシプリンベースで優秀性を測ってきたようなところに対して、では、イシューベースの優秀性とか、そちらからどうやって解いていくかということに対する能力が高い人をうまく高めていき、国際にも出ていってほしいというような発想を持ったときに、どのような政策が適切であるかということは、今後の「戦略」として考えていくのにふさわしいことではないかなと思っております。
 例を挙げると、例えば気候変動、今日も非常に気候変動していますけれども、こういう状態に人間がどういうふうに反応できるのかという科学をもし立てようとしたときに、例えば私は医学部出身だから、医学だけで解けるのかといったら、そうはいかなくて、工業製品としての服装もあるかもしれないし、空調もあるかもしれないし、あるいは経済活動としてどうするかということもあるかもしれないし、フードセキュリティをもし保とうとしたら農業も関係するかもしれないし、いろいろなものが関係してくるわけです。そういうものを、では、ディシプリンベースだけでできるのかといったら、多分そうはいかないような時代になっていると思います。そうなったときに、今までの優秀性の定義だけでこの国際頭脳循環というのを考えていいかというと、そうはいかないだろうということを思いまして、あえて長々、発言をしてみた次第でございます。
 以上でした。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 まずは皆様から意見をいただきましょうか。
 相田先生、よろしくお願いします。
【相田委員】  今、狩野さんが言われたみたいに、これ、よく出来上がっていると思うんですよね。きちんと今までの議論が押さえられているかなと思います。
 それから、先ほど豊田さんから説明があったところも、すごく良いトリガーになるのではないかと思ってお伺いいたしました。
 1つは、もうちょっと下世話な、プラクティカルな話なんですけれども、この施策はよくできているのでうまくいってほしいと思うんですが、多分、一番の足かせというのは、人材がいればということになるんですね。今、人材が減っているという段階から、人材がいなくなっている段階に来ているのではないかと、現場の声を聞くと、そう感じられます。つまり、研究者になりたいというインセンティブが非常に低くなっている。我々の頃、研究者は掃いて捨てるほどいたので、首のすげ替えはあるぞとよく言われたんですけれども、今は貴重な存在で、見つけるのがなかなか大変になっているんですね。そういうふうに研究者になること自体が、最近、私の大学ではかなり博士進学は増えているんですけれども、研究者になること、いわゆるアカデミアで働くということ自体が、どうやら位置づけとして負け組になっているんですね。それで、そこのマインドを変えるトリガーがない限り、多分、良い教育の継続というのは非常に難しくなるのではないかなと感じています。
 最近、ノーベル賞の発表があった日に、ソルベー会議というのに出ていたんですけれども、たまたま一緒にオマー・ヤギーとセッションをやったんですね。彼、その日だけいたんですけれども、やはり、日本人が見えていないと言うんですね。若い、中堅の先生方が、外から見ると誰がいるのということになっていて、もちろん、先生方のお仕事は日本で見ればきちんとしているんですけれども、なかなか海外に伝わっていない。恐らくは、すごく忙し過ぎるのが原因だと思うんですね。海外の方を呼んで講演会をやって、それからラボツアーをやろうとしても、ほとんどいないんですね。これでよく研究できているなという感じがするんですけど。それから、すごい社会主義的な構造になっているので、頑張って良い仕事をしても給与が増えるわけではなくて、皆さん一律になっているわけです。これはアメリカとか中国ではあり得ないことですよね。常に評価されて、すごく頑張った人は、職責が上がらなくても給与が上がって、ボーナスが出る。ヨーロッパは社会主義なので、日本と似ているからいいんですけれども。そういうことで、やはりインセンティブが非常に少ない。コンサルに勤める学生の話を聞くと、企業で働くことも全く同じ状況になっていて、頑張ってもなかなか変わらないと言うんです。コンサルは働いただけ、きちんと実入りがあるんだということで、なるほど、そうなんだと私も思ったんですね。
 アカデミアはどうかというと、本当に今、助教のポジションが東大でも空いているところがいっぱいありまして、聞くと、なかなか応募がないんだと言うんですね。その中でやっと見つけても、レベルとしてはもろ手を挙げて喜ぶ感じにはなっていないというのがお伺いしたところであります。この状況を本当に変えることができれば、今いろいろな細かい施策が出ましたけど、全部うまくいくと思います。そこを、ぜひどこかで議論していただきたいと思うんですよね。いよいよその段階になってきていて、このまま続くと本当にまずいなと、あちこちでこのお話を聞いて、そう思いました。よろしくお願いいたします。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 なかなか人材に関しては厳しいところで、常にこれは出ていますけれども、修士から企業へ行ってしまう。ドクターへ行っても、アカデミアに残らない。アカデミアに残ったとしても、テニュアを取るにはかなり時間がかかる。まるで罰ゲームではないかと言われています。このような状況をどうするかというのは、さんざん、これまで指摘はされていますけれども、本当にここを何とかしなければいけないという状況になっているということですね。
 次、佐々木委員ですかね。
【佐々木委員】  はい、佐々木です。ありがとうございます。
【菅野主査】  よろしくお願いいたします。
【佐々木委員】  3点ほど、コメント的なところなんですけれども、今回「4. 具体的に取組を進めるにあたり留意すべき事項」に、(1)から(3)まであるんですが、通して言えるのは、人的研究ネットワークというものをきちんと構築するというのが、この(1)、(2)、(3)それぞれの重要な点になっている。多分、キーワードになっていることだと思うんですね。それは、若手の方を送り出す、あるいは呼び込むにしても、シニアのネットワークがある中で、拠点であったりというのが見えてくるので、4ポツの具体的な取組というところの前段に、まず、総論として、(1)、(2)、(3)、具体的なんだけれども、日本の研究拠点をきちんとして、シニアがきちんと――シニアというか、中間のところも含めてですけれども、各国とのネットワークがつくれるようなビジビリティを持つというのが(1)、(2)、(3)全ての大前提だと思うんですね。それでないと、海外から呼び込めないし、海外にも送り込めない。送り込む先も、どこから来たのかというのは、もちろん個人の評価もそうなんですけれども、基本的には研究者個人の信頼関係みたいなところが大きいので、そういうものが前段にあるといいなと思いました。
 2点目で、これは単なるコメントなんですけれども、今回新たに付け加えられた(2)の4ポツのところで、国際経験というのは確かに重要で、それこそ今後のネットワーク構築になるんですけれども、評価としては、論文であったり、何かしらの数値というと変ですけれども、あらわに出てくるので、「インセンティブ」という単語が私ちょっと引っかかりました。評価、採用するときにポイント制みたいなことでやっているわけでもないので、「インセンティブ」という言葉だけですけれども、私、ちょっと使い方が気になりました。
 最後ですけれども、私がここに関係しているのは、特に研究インテグリティ、研究セキュリティというところに関係するためだと思うんですが、(3)の3ポツの相手国との基準というところで、私もG7、ヨーロッパ各国の人、担当者とこういうお話をしたときに、一番概念的に違うと感じるのは、日本で言う研究セキュリティの上位概念というのが経済安全保障だということなんです。少なくとも日本の政府の意味では。これがヨーロッパ各国、G7になると、研究セキュリティの上位概念は国家安全保障なんですよね。ナショナルセキュリティなんです。そうすると、研究セキュリティに対する考え方というのが違っていて、日本の場合は、どうしても技術流出防止という経済的な観点での研究セキュリティになっているんですが、ヨーロッパ、欧米各国の研究セキュリティの議論のときには、もう少し、一段上のナショナルセキュリティという意味で基準が設定されているので、そこは相手先との相違を留意するんですけれども、これを揃えるというのは、多分、なかなか難しいと思います。そこは各国それぞれの政策であったり、土壌であったり、地政学的な位置づけに基づいた研究セキュリティなので、「揃っている必要がある」というのは、言葉として少し考えたほうがいいかなと思っています。
 以上です。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 佐々木先生の御指摘の(2)の4ポツの新しく加えていただいた文章のところですね、「インセンティブの導入を進める」という、確かにそのとおりなんですけれども、ブレーキにならないようにというのは、ちょっと私も感じました。そこを注意しながら、非常に重要なことは確かなので、これが評価の対象になるというのは重要なことなのですけれども、少し気をつける必要があるなと感じました。
 それから、研究セキュリティ、研究インテグリティに関しては、佐々木先生、本当に専門の立場から、ありがとうございます。前年度議論したときに、経済安全保障という観点ではなくて、やはり佐々木先生の御指摘のように、国の安全保障という観点からも、様々な議論が行われたと、私、記憶しています。それが現在、文部科学省から出て、JSTでプログラムを組んでという状況になっていますけれども、その辺り、どのように展開しているかというのを、少しウオッチが必要かなというのは感じました。
 そのほかに、鈴木先生、よろしくお願いします。
【鈴木委員】  私も、今までの議論を本当によく捉えていただいているなと感じております。前回、私からは、限られた予算、限られた年数、時間軸で、強化するところを見極めて取捨選択すべきという発言をさせていただきましたが、そこを「強みを際立たせる領域の設定」という書き方で拾っていただいているのかなと捉えております。
 その上で、繰り返しにはなってしまいますが、我が国が世界的に強みを有する研究分野なり産業分野というのは何なのかというところの設定が重要と思っています。その議論には、産業界との議論も必須なので、そこをどのようなスキームなりでやっていくかというところが一つ、議論してもいいのかなと思いました。
 先ほど狩野先生もおっしゃっていましたが、Horizon Europeでは、グローバル課題と欧州の産業競争力強化というタイトルのピラーがありますけれども、たしか6つの産業領域を設定していて、デジタル、ヘルスケア、食料、天然資源などですね。やはり欧州も日本と同じで、あまり資源リッチではないので、1回入ってきた資源を何とかそれを使い回すみたいなこととかも入ってきて、まさに産業競争力と直結するところかなと思いますので、そういう領域というのをきちんと議論して決めていくというところが必要かなと思いました。
 もう一つは、ちょっと別な視点になるんですけれども、先ほどの議論でもポストに空きがあるみたいなお話もございましたが、優秀な研究者を集めたいという思いは、アカデミアだけじゃなくて、産業界でも同様でございます。ですので、そこで取り合いみたいなことが生じてはならないと思っていまして、エコシステムという言葉が何回か出てきていますけれども、エコシステムを考える際には、産も含めたエコシステムというのを構築することが大事かなと思っております。その中で、産とアカデミア、それも国内も国外も、そこできちんと優秀な人材が流動することで、ポジティブサイクルがうまく回っていくようなことを目指すべきなのではないかなと思いました。
 コメントです。以上になります。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 産とアカデミア、これは人材の交流ということも含めて、出入りが自由になるということが大変重要なのかなと感じています。御指摘のとおりで、産との共同研究のプロジェクトについても、そのきっかけとなればいいというように、私自身はそのような分野にいますので感じています。
 あと、強みということに関して、これは、重点分野というのは多分、文部科学省におりてくる前の段階で、内閣府で議論をされていて、そこで産業の意見がかなり強く入っていると認識しています。ただ、そこで、文部科学省としての国際の戦略としての立ち位置というのは少し違った場合も当然あるということで、その辺りの整理は少し必要なのかなと感じていますので、また議論を深める機会があれば、その点もお願いできればと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 山中先生。
【山中委員】  慶応大学の山中でございます。
 この5枚ものの資料に関しては、非常によくまとまっておりまして、感想的なものも含めて、3点述べさせていただきます。
 まず1点目は質問なんですけど、資料2ページ目の背景の中に、米国の研究環境の変化という、これはジェネラルにはもちろん分かっているんですけど、何かこれ、スタティスティックスって出ていますか。どういう流動性があるとか、何人ぐらいいるとか。もしそれがあったら、後ほど教えていただけると。ちょっと言い方は悪いですけれども、日本がどういうふうにそれに対応するかということのヒントになるかなと思いました。
【菅野主査】  それでは、まず、事務局から。よろしいでしょうか。
【簗田補佐】  はい。今の御質問に関しましては、資料1の最後のページを御覧いただければと思います。統計的なところということで、我々が把握しているデータの中の一部になりますけれども、優秀な海外研究者の受入れ強化という、まさに最初に資料1として御説明した中にこれがございました。背景・課題の中の2つ目、「英科学紙ネイチャーが」のパラグラフですけれども、『米研究者1,600人以上を対象としたという調査の中で、トランプ政権であることを理由に「米国を離れることを検討している」という回答が75%上回る』と記載させていただいております。統計的、全体的にもう少し広がった具体的な影響というのが必ずしも全て把握できているわけではありませんけれども、この施策をつくっていく上での課題・背景、あるいはモチベーションというところに関しましては、ここの統計というのが一つ念頭にありました。
【山中委員】  75%の人が不安に思っているというのは、日本の研究者もちょっと不安に思っているのではないかと思うぐらいの状況なんですけど、この人たちがどういう流動性になっているのか、もう既に動いているんだったらということを聞いたんですね。ヨーロッパの研究所なのか、アジアなのか、中国に戻るのかというところで、何か行動が出ていたらと思ったんですが。
【豊田課長】  各国別というのは少し分からないんですけど、「ネイチャー」誌にて、アメリカにいる人たちが海外のポジションにアプライする数が例年よりも30%ぐらい増えているということで、それを計算すると大体年間1万人ぐらい、通常よりも米国外にアプライしている数が増えているというデータはあります。
【山中委員】  日本も増えていますか?
【豊田課長】  日本も増えています。例えば国研とかそういうところ、データ的にというと少し難しいんですが、特に若手の流動性が高い。プロジェクト雇用されているような方々のレベルですけど、やはりアプライが増えてきているというのは聞いています。
【山中委員】  では、ぜひ、それは数値で、傾向とか、そういうのがあると。
【豊田課長】  そうですね。日本に対しても増えているのは間違いないです。
【山中委員】  草刈場と言ってはいけないんですけれども、彼らはオポチュニティーを求めていますよね。それに日本がきちんとビジブルになっているかですよね、こういうオポチュニティーがあるんだよということのね。それをぜひ教えてください。
【豊田課長】  はい。
【山中委員】  資料の4ポツ、(1)のところなんですけれども、海外の研究者を惹きつけるような日本の拠点という視点なんですが、ちょっとこれ参考になればと思うんですけれども、電子情報通信学会誌の2025年4月号に出ているんですけれども、NECの西原CTOと2時間半ぐらい対談をして、すごくいろいろ勉強になりました。NECは日本に海外の優秀な人材を持ってくることをやっていないと言ったらおかしいんですけれども、やはり難しいということで、プリンストンとドイツに大きな研究所の拠点を置いて、アメリカの人材はアメリカの研究所で集めています。それで、NECのC&Cの研究所、プリンストンにあるんですけれども、米国の中で人気が高い。特にPh.D.、高学歴の方から人気が高いんだそうです。それをかなり分析されていて、給料はGAFAの2分の1から3分の1ぐらいになってしまう。それでも人気が高い理由というのには多分ヒントがあって、実はテーマの自由度なんですね。これが日本的なんです。メンバーシップ的で、比較的雇用が長くて、トップダウンにテーマを変えられたりオポチュニティーを奪われるということがない。だからコンセンサスさえとれれば、自分の研究として継続ができる。そういうところを求めている人材が米国の中に一定程度いて、さすがに日本に来いよというと、ちょっと日本ってどういう国だか分からないとなる中で、アメリカでエデュケーションを受けた子をアメリカで採用しているということをおっしゃっていらっしゃるんですね。倍率が高いんだそうです。給料だけがインセンティブというのは、それは無理ですと言ったらちょっと言い過ぎだけど、少なくとも、IT系で米国のGAFAと戦い抜くだけのインセンティブは出せない中で生き残っているんですね。ちょっと我々、勉強しなくてはいけないところかなと思いました。日本に持ってくるという発想だけではなくて、日本と仲の良い拠点や国、米国でもいいし、ヨーロッパでもいいけど、そういうのを複合的に考えて、その中の流動性をつくりながらやっていく。日本のベースアップという考えも、全部日本に持ってこようという発想がちょっと昭和な考えで、アジアでもいいし、ヨーロッパでもいいし、アメリカでもいいし、ある分野の拠点で日本と連携が非常に進んでいるところと関係を深くして、そういうところを増やすというグローバルな考えもあるかなと思いました。
 それから、(2)は鈴木先生のおっしゃるとおりだと思います。産業界とのエコシステムと私は主張していますけれども、これは、日本の雇用体系がメンバーシップ型でジョブ型でない、能力を評価しないというのはちょっと言い過ぎですけれども、能力に対して十分な評価がされていないという本質的な問題なんですね。大学だけでもって、海外に行ったらちょっと給料上げるよというインセンティブ型の設計というのはちょっと場当たり的で、本当に能力があったら良い給料で、オポチュニティーも大きく働ける。そうしたコンディション自身が重要で、それさえあれば何の心配もなく、自らキャリアを積んでいける。これは自ら能力をつけなくてはいけないという当たり前のコンディションなんですね。だから、海外に行けばいいやとか、海外へ行ってきたら給料が上がるという問題ではないので、それは短期的には重要だということは十二分に知っているんですけれども、実は大学の中でも年功序列で、今崩れかけていますけれども、これは大学だけではなくて日本の産業界自身の問題ですというのが私の感想です。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 日本で拠点をつくるというのが、やはり非常に難しい。今、文部科学省でも様々な施策が付されていますけれども、国際卓越も、これまでのWPIも。日本で拠点をつくるというところをどのようにするかというのが、多分、次の我々の展開形になろうかと思います。日本の多国籍企業の場合は海外に拠点をつくれるので、NECだけでなくて、大きな多国籍企業は、大体、各国それぞれの地域で研究拠点をつくって、そこをベースに、その地域の常識で研究、開発を進めている。それで、日本とのやり取りで、いいところをピックアップするということを、多分、大体どこもやっていますね。大学は、それができないんですよね。だから、日本でそれをつくるというのをどのように考えなければいけないかというのが、今いろいろな施策が走っていますけれども、それに加えて、もう一段上の施策をどう打つかというのが、この(2)のところに、次につながる議論になるというふうに……。
【山中委員】  先生、ASPIREの中でもやはりその問題を議論していて、あれ、海外PIと必ず一緒で、相田先生と一緒にやっているやつですけれども、場合によっては、一定程度の数、ジョイントで、向こうでもいいよと言っているんですね。だから、日本に全員来てくださいというのは結構重いので、向こうに行ってでもいいから、そういう海外拠点を育てよう。ある研究のあるチップの部分ですけれども、そういうことをやりながら、そういうのがいっぱいできてくると、流動性ですよね。最終的にはそっちからも戻ってくるでしょうし、また別なところに行ってみたいということが起こるのではないかということだと。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 ASPIRE、前回もありましたけれども、評価をどうするかというところが多分非常に重要な課題になって、これまでの効率性、有効性というところでは収まりきらない。文章にも記載いただきましたけれども、長期的なところが必要なのではないかというところと、あと、様々な試みをした、それをどのように評価するかという、少し実験の場にもなろうかと思いますので、その辺りをこれから注視して、うまく回るように、ASPIREの中でもしていただけたらと思います。
 ほかに御意見。
 では、佐藤先生。
【佐藤委員】  今評価、効果というお話が出たので、その関係でお話をさせていただければと思います。今日、対面でご参加の方には参考資料として配らせていただいたんですが、1枚目は総務省の「高度人材の受入れに関する政策評価書」の12頁で、総務省の方が作った「高度人材受入れ政策の体系」のイメージ図です。関連の施策に、どういう事業があり、それぞれどんな成果を期待し、どのような目標を掲げ、「イノベーションの加速、経済全体の生産性の向上」というスーパーゴールにつながっているかという政策、施策の体系を示しています。
2枚目は、この政策体系図を参考にして、いま議論されている科学技術イノベーションのための国際戦略の施策、政策の体系のイメージを、私がたたき台として作ってみたものです。活動・施策として、この委員会での議論の柱に沿って3つ挙げました。1番目が日本人学生・研究者の派遣、2つ目が外国人留学生・研究者の受入れ、3番目が国際共同研究の促進です。このつの活動の成果として、それぞれ、国際頭脳循環の促進、海外の優秀な人材の獲得・定着やエコシステムの構築、そして国際的連携やネットワークの強化と書かせていただきました。なお、これらの項目は互いに関連している部分があると思います。
また、これらの成果が、どういう目標につながっていくかについては、トップサークルへの参入や研究力の向上、研究成果の向上、そして国際的プレゼンスの向上と書かせていただきました。また、スーパーゴールの科学技術イノベーションの推進には、国際戦略委員会以外、例えば人材戦略委員会とか、ほかの委員会からの貢献もあると思いますので、それを矢印で示しております。
 また左上に、「アクター・ステークホルダー」として、大学、企業、政府、国内の研究者・学生、海外の研究者・学生を挙げさせていただきました。これらのアクターが、この体系にどう関わるかということで見ていくと、例えば産業界との連携というのは、各項目に入って来うると思います。今回の戦略中間まとめ案は、とてもよく書かれているんですが、政策体系としてはめてみると、少し分かりやすくなることもあるかと思い、提案させていただきました。この体系ができれば、成果指標の設定や、評価方法についても、議論しやすくなるのではないかと考えました。よろしくお願いいたします。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 もう少し体系が分かるように、分かりやすくというような御指摘かと思います。例えば、今日のメインの議題である4ポツのところですが、それぞれの(1)、(2)、(3)のところに対して、問題認識があり、その設定があり、環境を整えるということがあり、人事の課題があり、どういう宿題が残っているか、課題が残っているか、それらについて、確かにそれぞれのパーツとしては、認識があり、宿題があり、どうするということ、記述があるんですけれども、では、全体としてどうするかというようなまとめたものがあれば、より分かりやすくなるのではないかなというような御指摘かと思います。個々のことに関しては多分このままだと思うんですけれども、例えばパワーポイントのような、これに類したもので、このような対処をしますというようなものが一枚あれば、多分、体系的にどのように我々考えますというのが分かりやすくなるかと思いますので、また次回までに整理をしていただければと思います。
 ほかには。
 それでは、梶原先生。
【梶原委員】  東京科学大の梶原です。
 まずは、きれいにおまとめいただいて、ありがとうございました。今日のお話の中で、今後、この項目(1)、(2)、(3)について深掘りしていくというお話でしたので、これからの議論ということを確認したその上で、小さいことですけど、少しコメントさせていただきたいと思います。
 まず、(1)の部分のところで、これは学生を見ていて、留学生を見ていて思うのですけれども、大学よりも企業のほうが、日本企業、大企業の一部は違うのかもしれないですけど、多くの企業は日本語能力が十分でないと留学生を受け入れないというのが現実問題としてあります。やはりそこを改善しないとなかなか進まない、英語でもいいよという企業がどれだけあるかというとそんなに多くないと実感しています。そういったときに、では、我々は、優秀な留学生を大学として受け入れるときに、まず日本語能力ありきだと、世界で頑張ろうとしている人たちは採用できないということですから、我々としては、やはり、英語ができればいいよという人たちを採るというのが大学で、そうすると、そこに語学力のギャップが出てきてしまうのですね。そういった意味で、我々としても、ここにも書いてあるように、学生時代に日本語教育をしなければいけないのですが、それだけではなくて、企業側でも受け入れた留学生を日本語教育する、引き続きする。これは文部科学省ではないかもしれないのですけれども、そういった取組みに対して、経済産業省なり何なりが日本語教育の補助を企業に出すみたいな形の、もう少し企業と大学が連携して留学生を受け入れるような体制をしないと、語学力のギャップって埋めにくいのではないかなと思います。たかだか3年とか5年間で、特に学部を出て大学院に来たときに、5年間での忙しい研究の中で、初めて日本語も勉強して、それまでは英語だけでいいと言われて入学しているのを、日本人と同じように話すところまで持っていくというのは、現実問題として、なかなか難しいのではないかなと思います。やはり会社に入ってからも継続的に日本語教育をやるというような支援であれば、当人たちも、ある程度一生懸命頑張って日本で日本語を勉強すれば、次の就職もあるという気持ちになるのではないかなと思います。そこのギャップがうまく埋まればいいのかなと、小さいことでしたけど感じました。
 2つ目ですけれども、(2)のところに関しては、ここにしっかりと次のポスト探しに支障が生じることとか、学内業務に穴を空けられないこと等ということが書かれていて、本当にまさにそれだなと思います。部局長をやっていて、特に若手に、海外に1年でもいい、半年でもいいから行ってください、お金も渡しますと言っても、ほとんど行かない、行けないです。なぜかというと、特に若手のPI、いわゆる昔の講座制が駄目ということで、若手PIは1人でラボを主宰している状況が結構あります。このPIが抜けると、ラボ自体がつぶれてしまう。実は新しい研究を展開したいとPIは思っているのですけど、今やっている研究も引き続きやりたいんですね。そうすると、やはり、いなくなった後の研究室でどれだけ充実して研究が進められるかというのは、なかなか部局だけのサポートでは難しい。かといって、なかなか若手PIが取ってくる予算の中に、そこを補えるだけの十分な予算というのはやはり限られているのが現状で、そうなると行きにくい。ですので、もう少し若いポスドクとか、まだ学生をそんなに持っていないPIでない人たちになってしまいます。一方で、若手のPIが世界に1年、2年出ていって戻ってくるというのが、1つのいい国際循環になってくるのではないかなと思うので、そういうふうな体制をしっかりとつくられることが大事かなと思います。そういうことをここの議論で深掘りしていけばいいのではないかなと思います。
 最後ですけれども、ASEANだったらASEANの、それぞれの国や地域では、その国のSTIの戦略があって、それと、このNEXUSとかLOTUSとかがどれだけ方向性として一致しているのかというところがお示しいただけると、より分かりやすいかなと思います。これだけが示されても、やはり国としてどういう方向性でASEANとやろうかと考えているのかということを、しっかり合わせていかなければいけないのかなと思うので、今後そういうのが一緒に示されるといいのかなと思います。最後に、今日はHorizon Europeの話が出てきたので、一言言いたいのですけれども、Horizon EuropeはEUなので、そこと日本が対峙することは当然大事なんですけれども、ただ、Horizon Europeだけと対峙してしまうと、EU諸国はそれぞれ研究戦略も持ち、Horizon Europeと各国の予算をバランスをもってトータルの研究開発政策をやっているので、Horizon Europeがこっちを向いているからといって、日本がその方向に完全に合わせてしまうというのも、また違うのかなと思います。我々もHorizon Europeと合わせなければいけないけれども、それはある意味、我々の戦略の中の本当に国際連携の一部であって、全体の政策としてHorizon Europeに対峙しなければいけないというのはちょっと違うのではないかなと思いました。それぞれの国が対EU、対ASEANそして独自のSTIに関する国家戦略があると思うので、それらとLOTUS、SICORP、SATREPSなどがフィットしているのかなというところは見ながら進めていかれるといいのではないかなと思いました。
 以上3点。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 大変重要な指摘3点ですね。Horizon Europe、EUのプログラムというのは、今御指摘があったように、各国にそれぞれあるものがバトルをした結果EUとして出てくる。私もEUのある会議に出たことがあるんですけれども、事前に各国でバトルをして、練ったものがEUになって出てきているんですよね。それも含めて日本というのは非常に孤独だなというのは感じたことがあるのですが、その視点ですね。日本としては、やはり各国を見る必要があるという点です。
 1番目の観点、留学生、語学の問題、これも非常に重要で、前回もその議論はあったと思います。「4. 具体的に取組を進めるにあたり留意すべき事項」で少し気になったところが、(1)の最後のポツのところです。4ページの上のほうですけれども、「留学生等を受け入れるプログラムの中で、日本語教育を提供」するというのは、「留学生等」ですけれども、今の梶原先生の御意見からも分かるように、「留学生等」ではない。もう少し幅広い、その国の独自の試験をして、その国の言葉の試験が通らないと滞在できないというようなところもありますけれども、多分、そこまでは日本はできないと思うんですけれども、それぐらい日本語というのは、ある面では重要であるというところですね。結局、そこは最初の狩野先生の指摘もありましたけど、3番目の魅力があるかどうか、研究環境として日本でやる魅力があるかどうか、魅力があれば、では日本語を勉強しようかということになるし、研究としての魅力をどうアピールするか、つくっていくかというところとやはり関係しますけれども、魅力があった上で、日本語教育というのが定着するには非常に重要であるということかと思います。
 2番目のASEAN、これ、どのような戦略が必要かという指摘ですけれども、これは事前の打合せにもあったんですが、今現在、NEXUS、LOTUS、ASPIRE、走っていますけれども、今現在走っているのは今後継続するというのは非常に重要なんですけれども、では、それをどのように取りまとめて、戦略として、うまく予算も含めて回るようにするかというのは、やはり一旦取りまとめて、その戦略を考えるというところが必要であろうというような指摘ですね。
 ほかにはいかがでしょうか。
 松塚先生。よろしくお願いします。
【松塚委員】  松塚です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、これまでの議論を適切かつ分かりやすく、また、具体的な指針も含めてまとめてくださって、ありがとうございます。
 これまで、産業との連携及び就職も含めた一過性ではない一連のグローバルなエコシステムということに関して言及してくださっていて、これについて、大変重要な点で、議論も進んでいるところではありますけれども、私からも、そこに一つ、コメントをさせていただきたいと思います。
 これまで、アメリカ等で博士号を取得した外国人学生のその後のパスウェイというのをデータをとって研究してきたんですけれども、外国人学生がアメリカに残る、残らないというのは、まず、出身国によって大分異なるということと、分野によっても大きく異なります。例えば工学分野では、50%以上がアメリカに残って、さらにその5割以上が大学ではなく企業に就職しているという実情があります。それらの企業は大手とは限らず、中小の企業に就職したり、起業する方々も非常に多いというような状況にあります。今の政権下においては、その辺りはまだ明確には見えていないんですけれども、就職、そして産業の受皿があるという実態が、どのような条件や雇用形態によって左右されるのかというところを、もう少し日本でも見ていくことが有効なのではないかと考えます。
 そういった意味では、企業等のマッチングの場として、大学院レベルの留学生等を主体とした研究活動の発表会の場に言及してくださっていることは非常に意味があると思いますし、そのような機会、そして情報収集の場を、その実践へと生かしていくような、大学院レベルでもそうですし、就職された後の方々を対象にどのようにやっていくのかということも考えていければと思います。
 もう一点、(2)の我が国若手研究者の海外の研究機関での研さん機会等の確保についてなんですけれども、今、送出しを強化するということで議論が進んでいるところであると思うんですけれども、流動性をどう考えるかによっても違うと思うんですが、送り出した後に、学位を取得するなり、しばらく送り出した相手国にとどまるなりという様々なアクションの後に、日本に戻ってくるかどうか、これは国家戦略として、今後、重要になっていくのではないかと思います。これも分野によっても異なりますし、受入れ国によっても違いますし、また、渡航資金がどこから出ているのかによっても大分違ってくるということがあります。流動性を高めていくということは非常に重要だとは思うんですけれども、その均衡を、世界的にグローバルに維持していくというのは、結果的な状況であって、均衡の前に、各国は各国の思惑で人材戦略を立て、実践して、その結果として均衡、不均衡というのが生まれているというような実態だと思いますので、戦略的という観点からは、優秀な人材を、もしくは送り出した後に優秀になった人材を、どのような分野で、どのようにまた戻していくのか。そして一方で、日本に来た方々に対して、どのような分野において維持、とどまっていただくのかというようなことを、やはり分野別、産業別に、産業と深く連携しながら見定めていくというような、そういった経緯が必要なのではないかと思いました。
 以上です。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 2番目に関して、この点はこれから議論を深めるということでよろしいですかね。事務局から何かコメントありますか。
【簗田補佐】  どうもありがとうございます。今いただいた御指摘を、まさに今後どう深掘りしていく中でポイントとして挙げていくかというのを考えていこうと思っていたところでして、実際に送る数の話もありますし、送った後に、今、先生に御指摘いただいたとおり、とどまることもよしとしなければいけないとも思っております。とどまることで、例えばそれが米国であれば、米国のアカデミアあるいは産業界でも、日本から見える形で、そこにまた行きたいと思える場所ができる。あるいはネットワークが形成される。今日も節々でいろいろな人的ネットワークの話がございましたけれども、そのネットワークの一つになっていくということであれば、それは大いに歓迎されるべきものだとも思っておりますので、今いただいた御指摘も踏まえて、整理を進めていきたいと考えております。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 松塚先生、ちょっと質問なんですけれども、先ほどのドクターの就職先、中小とありましたけれども、これはベンチャーも含めているわけでしょうか。
【松塚委員】  アメリカで博士号を取った方々がアメリカで働く場合でしょうか。
【菅野主査】  はい。
【松塚委員】  ベンチャーも入っております。
【菅野主査】  ベンチャーがたくさんあるという、活気のある状況というのは、アメリカは日本と大分違う。日本もそこを目指しているとは思いますけれども、そういうのも背景にあると理解してよろしいわけですね。
【松塚委員】  はい、そのとおりだと思います。全体的に、賃金の問題というのは大きいとは思うんですけれども、やはり起業の機会だとかベンチャーのチャンス、機会、その土壌というのが、重要なのではないかと思います。
 1つ補足させていただきますと、4番目の問題と関わってくるんですけれども、日本の方は、工学系では比較的戻らない傾向が見られるんですが、出身国別に見ると、中国やインドの方などに比べますと、日本人は帰国する方が多いというのが現状です。ただこれが、これまではそうであったけれども、今後はどうなのかという観点からも、やはり、ベンチャーとか起業の機会ということを含めまして、少し慎重に見ていかなくてはいけないのではないかと考えます。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 それでは、鈴木先生、よろしいですかね。
【鈴木委員】  はい。ちょっとだけコメントといいますか、Horizon Europeの例を出したのは、あのようにしなさいということではなく、海外から見ても、ここの領域はやはり日本のアカデミアなり日本の企業に研究エコシステムをつくったほうがいいなと腹落ちする領域に集中すべき、という意図で申し上げました。そうでないと、日本に研究者が定着していかないのかなと思いますので。そういう分野というのは何なんですかということを考えるべきだということが申し上げたかったことになります。
 以上です。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 相田先生。
【相田委員】  さっきの留学した学生がどうなるかということですけど、私のところも実は学部4年生のときに、海外の大学に行きたいという子が7名ぐらいいたかなと思いますね。MITとか、カルテックとか、そういうところに行ったんですけど、全員戻ってきていません。やはり、向こうが楽しいのかなと思いますね。
 それから、向こうでアカデミアをスタートしている子もいますけれども、先ほど話がありましたように、企業に入っている子のほうが多いですね。なので、そういう傾向があるのかなと思いました。
 それから、ベンチャーのところですごい大事かなと思ったのは、日本はアカデミアと企業の間で行き来が少ないわけですけれども、ベンチャーは一つのメディエーターになり得るわけですよね。ただ、日本のベンチャーとアメリカのベンチャーには違いがある。たまたまバークレーで講演をしたときに、お昼、ランチョンがありまして、ドクターの学生がばっと来て、スピーカーで話すという時間があるんですね。面倒くさかったので、ドクター取って何やりたいんだと片っ端から聞いていったら、7割がベンチャーで働くと言うんですね。これも何かミラーだなと思いましたけれども、ただ理由がありまして、ベンチャーで働くことが片道切符ではなくて、研究としてもすごく良い研究をやらないと信頼が勝ち得ないということがあって、アカデミックな良い活動もすることが、お金を取る、ベンチャーとして資金を集めるための一つの大きな目途になっている。日本ってそうなっていないんですよね。徹底的にすぐに役に立つのかということが問われて非常に疲弊する感じがありますので、外から見た限りですけれども、そういう点ですごくいいスパイラルがアメリカにはあるんだなと思った次第であります。
 今、徐々にベンチャーの数も増えつつあるんだと思うんですけれども、その構造自体をもう少し健全化する必要が本当はあるのかなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 送出し、あと、人材の循環の今後の課題として、ベンチャーというのは、やはり何らかの形で議論の対象にする必要があるということですね。それは社会情勢とも関係するので、なかなか一朝一夕にはいかないかもしれませんけれども、必要なパートであるということかと思います。
 ほかに。
 本間先生。
【本間委員】  相田先生に続けて、私のところでも全く同じことがありまして、すごく優秀な学生さんだったんですけど、学部出た後、UCLAに行って、ドクター取ったんですね。やはり何をやっているかというとベンチャー企業、教授がつくったベンチャー企業かもしれませんけど、やっているということで、日本には帰ってきていないんですね。彼の後輩にあたる私の研究室の学部学生さんも同じUCLAの教授の研究室に留学していて、学位は、すなわちPh.D.はUCLAで取ると。それで何やるのと聞いたら、やはり、ベンチャー企業をやりたいということで、ちょっと若い世代の、今の日本の学生さんで、日本の大学とか日本の企業に全く興味持っていないというのが多分一定数いるのではないかと。アメリカのベンチャーで成功するみたいな、そういうビジョンを持っているのが一定数いると思うんですよね。そういう具体例が私の研究室に起きました。あとは、さっきネットワークの話がありましたけど、では後輩の学生がどこに行くかというと、先輩が行ったUCLAの教授のところに行くんですよね。その教授は私とも知り合いですし、そういうところだと安心するのか、やはり、ネットワークはまず基本的に重要だというのと、あとは送り出すだけではなくて、こっちにも大学院生に来てもらいたい事情もあるので、今日も随分議論になりましたけど、やはり頭脳循環させて、PI同士か、あるいはもう若手研究者同士でもいいんですけど、知り合っている先生方、知り合っている研究者仲間でやはり人が回っていくので、そこの支援というかな、ネットワークづくりは重要だなということです。
 あと、若い世代の考え方は我々とちょっと違っているかもしれないので、どうしても大学に残りたいという人が、やはり少なくなっている気がしますね。そこは何か少し、学生たちに、大学はいいんだぞという魅力を持たせるような体制づくりというか、制度づくりというのは、将来的にはまだまだ必要かなという気がします。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 飯塚先生、御発言いかがでしょうか。
【飯塚委員】  ありがとうございます。
 確かに、先ほどの人材のお話、それからネットワークをつくるという話、すごく重要だなと思っております。特に、私はヨーロッパの機関で博士課程を期間過ごしたことがございまして、そこですごく思ったのは、そのときからネットワークをつくるように、いろいろな研究拠点があって、その拠点ごとに、例えば博士課程のサマースクールとかをやって、博士課程の学生同士、それから先生方も、次のネクストジェネレーションスターがどこにいるかというのは、かなり把握できるような体制にしていたのではないかなと、今思い起こして思うのはあります。だから、そういった意味で、例えば日本の機関なんかでは、結構、1つの大学の中で人材育成が行われていて、もうちょっと横に広がるようなイメージができるといいのかなと、ちょっと思ってお伺いしておりました。
 以上です。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 人材育成を、ヨーロッパであればEUというので、EUの中で国をまたいだシステムができるという、日本というのは日本の中で考えないといけないというので、大分、グローバル化にするには、やはり、課題が一も二も多いということですね。だから、そこは今後どうするかという議論のまた対象にできればと思います。
【狩野主査代理】  もう一回いいですか。
【菅野主査】  はい、どうぞ。
【狩野主査代理】  二巡目をさせていただきます。
 先ほど、ロードマップといいますか、佐藤先生がお出しになったのを見ながらちょっと思ったんですけれども、これはまとめる人側の視点なので、もう一方では、ペルソナベースというんでしょうか、どんなタイプの人が、どんな政策の可能性を持っているかというまとめもあってもいいかなということを思いまして、提案を申し上げます。申し上げる理由は、人材委員会のほうで、こういう多様な人材の活躍という方向にまとめをつくった次第ですので、それらの人たちが一体どんなものがあり得るかというのを考えてもいいかなと思いました。
 前期の言い方をすると、つなぐ人と、それから、深める人と活かす人が要りますよねという話をしていました。深める人は研究者とか技術者、それから、つなぐ人はマネジメントの人とかいろいろあるし、それから、活かす人は産業を含めて実社会で活かす人という気持ちで作った名前です。今申し上げたように、産業で働く人、研究者・技術者、それからマネジメントの人、場合によったらコミュニケーターというような方々がサイエンス&テクノロジーの周りで活躍されていると思うんですけれども、この中で、今、一体、誰に対する政策まではつくって、どこは足りないのかというようなまとめも要るかなというのが一つです。
 次に、各教育段階で何ができますかという問いも人材委員会では立っていることにしていて、理由はSSHも所管しているからだったりするわけですけど、そちらから考えたときに、先ほどの最初の発言につながるような内容を出しました。
 それから、あとは制度、システム改革の話をしようと言っているので、そこは似ているといえば似ているわけですから結構なんですけど、今申し上げたみたいに、どんな種類の人に、どの段階でという質問を加えてまとめがつくれるのもいいかなというのが1つ目です。
 同じ意味で、Horizon Europeの話を出したところ、そこはちょっと話が長くなったんで印象が強過ぎて申し訳なかったんですけど、私の意図として、それを出した理由は、そういういろいろな柱に向かってお金が入っているということは、その柱にふさわしいようなタイプの人材が生まれてきているということを言いたかったんです。その結果として、では、それにこちら側でカウンターパートになれるような人が育っているんでしょうかということを聞いてもいいかなというつもりで出した次第でしたという意味でした。Global Challengesであるとか、Industrial Competitivenessとか、それからイノベーションエコシステムみたいなところに入っているお金で育ってきた人たちに対応するようなカウンターパートになれるような人が日本でいますかと聞いたときに、さっきのような意味で、ちょっとまだ、いろいろ努力が足りないかもしれないということを言ってみたかったというのが趣旨でございました。
 同じ意味で、そういう意味では佐々木先生がおっしゃったんだと思いますけど、人的ネットワークというところでシニアの注目をなさっておりました。けれども、そういう新しめの活動フィールドのところには、シニアはもしかして存在しないかもしれないということを考えると、同世代同士的につながるようなことも考えていかないと、人的ネットワークとしては不足するかなということを思った次第です。
 最後に一つだけ、これも佐々木先生がおっしゃった「インセンティブ」という言葉ですけど、英語での意味合いとして、「動機づけ」のほかに「御褒美」の意味もあるし、「優遇」の意味もあって、ここはどういう意味で使われたかというのをもうちょっと明確にされると、さっきのような誤解を招きにくくなるかなということは思いました。
 以上、加えたくなりました。
【菅野主査】  ありがとうございます。
 様々な御意見をいただきました。もう少し時間がありますので。
 佐藤委員。
【佐藤委員】  ネットワークの話は本当に大事だと思っておりまして、若手のネットワーク、シニアのネットワーク、いろいろあると思うんですけど、若手のネットワークの中に、メンター的な人を配置し、例えば、日本人の研究者で、海外に行った人に、そのメンターがキャリア形成の助言をしたり、最終的に日本に戻るようにつないだりとか、あるいは海外から呼んできた研究者に対しても、メンターが、日本社会でどう活躍していけるのかを助言すると、定着についても大分違ってくるのではないかなと思っております。
 以上です。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 今日の主な議論というか、議題というのは、中間まとめ案という、この文章をまとめ案としていいかどうかというのが一応主題であります。そういう観点から、今現在、様々な御意見をいただきましたけれども、おおむね、この文章でいきましょうというような方向かと思います。ただ、ここは少し課題があるとか、もう少し具体的に考えたほうがいいのではないかという御指摘がもし最後にあればお願いできればと思いますけれども、いかがでしょうか。
 どうぞ。相田先生ですね。
【相田委員】  ありがとうございます。
【菅野主査】  よろしくお願いします。
【相田委員】  繰り返しになるんですけれども、理念として、すごく立派な骨子が出来上がったと。あと、実際ですけれども、やはり、もっとアカデミアを魅力にしないと、教育の継続ができなくなる。良い教育、研究教育をですね。そこは非常にクリティカルだと思うので、一旦途切れると、それをゼロから立ち上げるのが非常に難しくて、今、何かそういう感じがするんですね。我々が研究を始めた頃、まだまだ日本の水準は低かったんですけれども、そこからぐーっと上がっていったときからもう一回下がってきていて、もう一回立ち上げられるのかなという感じがするので、ぜひ、そこを考えていただきたいということと、それから、施策として、LOTUSとか非常に分かるんですけれども、やはり日本のカルチャーとして、これをやろうと決めると、すごい数の書類とか、いろいろなことをやらなければいけない。それで、たくさん送ってきたんですけど、やはり施策としては、彼らの提案を読んで、では何ができるのかなということを考えるだけの余裕が私にもなかったんですね。それで、申し訳ないけどできないということで、結構、断りました。ここはどうしても日本は書類が増える傾向にあって、今回、先生方、お気づきになったかもしれませんが、JSTが書類の大幅な簡素化に踏み切ったのを御存じでしょうか。CRESTの書類は、今まで65ページだったんですね、最終報告は。今度、10ページになりました。これはすごく理事長に考えていただきたいということをお願いして、JST自体が大きな変革に踏み切ったんですね。文部科学省はまだ非常に書類が多くて、LOTUSも相手と交流しながら計画を練ってということまでやると、JSPSでとったほうがはるかに楽なんですね。そういうこともありまして、ぜひ書類というのを簡素化していただいて、先生方が研究に使える時間を増やすことをぜひ考えていただきたい。多分、それさえできれば、今のすごい立派な理念の部分は前に進むと思うんですよ。そこが一番難しいのではないかなと私は思っています。よろしくお願いいたします。
【菅野主査】  ありがとうございました。
 これは事務局から何かコメントありますでしょうか。
【簗田補佐】  様々、御指摘いただいてありがとうございます。
 書類のところも含めて、具体的な政策の実効性をどう高めていくかというところも、今後しっかり議論していきたい。これは我々の改善点かもしれませんけれども、いただいた御意見を踏まえて、何かやれないかということは検討させていただきたいと思います。
 今日の取りまとめにつきましては、今日御議論いただいたところも含めて、修正意見があると我々も認識しておりますので、その点、反映を検討したいと思っております。
【菅野主査】  ほかにはいかがでしょうか。
はい。それでは、多分、少し修正したほうがいいかなというポイントもありますので、あとは事務局と主査一任ということでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【菅野主査】  どうもありがとうございます。
 本当に様々な御意見ありがとうございました。これをぜひ、うまく展開していけたらと考えます。
 それでは最後、事務局から連絡事項をお願いできますでしょうか。
【簗田補佐】  次回、第5回の委員会の開催日時につきましては、現時点で未定となっております。詳細につきましては、追って御連絡させていただきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 最後に、局長の西條から、一言御挨拶させていただきたいと思います。
【西條局長】  西條でございます。
 すみません、本日、冒頭から出る予定だったんですが、昨日、組閣がございまして、新大臣をお迎えして、レクもあって遅参したところで、申し訳ございませんでした。
 前半の議論は聞けなかったということで、後でまた、うちのスタッフと話をしたいと思っておりますけれども、本日も、忌憚のない活発な御意見、御議論をいただきまして、本当にありがとうございます。
 今回、主査一任ということで取り付けてはございますけれども、国際含めて、今日お話が出たネットワークとか魅力ある環境とか、いろいろキーワードをいただいておりますし、いわゆる国際だけで語れるわけではなく、科学技術政策全体としてどうしていくのかというところが非常に重要だと思っています。そういった意味では、今回、「科学の再興」ということで、特に基礎研究にフォーカスしながら、我が国のシステムも今日的に見てどう強化していくのかというところは議論させていただいて、その中の非常に重要なパーツと考えておりますので、今回の中間取りまとめをしっかり反映しながら、また、最後の留意事項のようなところは、これから何をやっていかなければいけないのかという点をいろいろ御議論いただいたところでございますので、総理もできることはどんどんやれとおっしゃっていますので、あまりひるむことなく、前に進みつつ、少しアジャイルにやっていかなければいけないところもあると思います。そういった意味で前に進めていきたいと思いますので、また引き続き、御指導いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
【菅野主査】  どうもありがとうございました。
 国際戦略委員会、これにて閉会とさせていただきます。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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