令和7年9月11日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省15階科学技術・学術政策局会議室2及びWeb会議(Webex)
菅野委員(主査)、狩野委員(主査代理)、梶原委員、日下部委員、本間委員 ※オンライン参加:相田委員、飯塚委員、佐々木委員、佐藤委員、鈴木委員、松塚委員、山中委員
西條科学技術・学術政策局局長、福井大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、豊田国際研究開発政策課課長、簗田国際研究開発政策課課長補佐、加藤国際研究開発政策課専門官
第13期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第3回)
令和7年9月11日
【菅野主査】  定刻になりましたので、第13期科学技術・学術審議会国際戦略委員会、第3回を開催いたします。主査の菅野でございます。
	 本日は、対面及びウェブ会議システムによる、ハイブリッド開催とさせていただくことになりました。委員の皆様には、御協力をいただき、誠にありがとうございます。
	 初めに、開催に当たっての留意事項を、事務局から御説明をお願いいたします。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。本日、事務局を務めます、専門官の加藤でございます。よろしくお願いいたします。
	 事務局より、会議開催に当たっての留意事項を御説明します。
	 本日の委員会は公開で開催させていただいております。
	 まず、出欠状況ですが、野本委員より御欠席の連絡をいただいております。日下部委員は今まさに向かっているということで、日下部委員を含めまして出席委員数が12名と、総員数13名の過半数に達しておりますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。
	 続いて、配付資料について、御説明します。会場に御出席の委員の皆様は、お手元にあります資料を御覧ください。オンラインで御出席の皆様は、事前に事務局から送付しましたファイルを御覧ください。座席表、議事次第、資料1、2及び参考資料1から3となっています。なお、資料は一つのPDFにまとめておりまして、しおり機能で各資料をすぐに開けるようにしておりますので、御活用ください。ファイルの不備や操作方法に関してお尋ねなどございましたら、事務局までお知らせください。
	 次に、会議の円滑な運営のため、Webexによるウェブ会議システムの注意点を申し上げます。委員の先生方におかれましては、表示名は、本名、日本語表記、フルネームとしていただきますようお願いいたします。また、回線の負担軽減のため、通常はマイクをオフにしてくださいますよう、お願いいたします。
	 発言される際の留意事項です。御発言がある場合は、会場に御出席の委員におかれては挙手を、オンラインで御出席の委員におかれてはWebexの挙手ボタンを押していただきますよう、お願いします。オンラインで御出席の皆様は、マイク設定のミュートを解除し、御発言をお願いします。御発言が終わられましたら、ミュートを再度オフにしてください。また、御発言の際は、オンライン参加者にも分かりやすいよう、最初に御自身のお名前から御発言いただきますよう、お願いします。
	 その他、システムの不備などが発生しましたら、随時、お知らせいただきますよう、よろしくお願いいたします。ウェブ会議システムの音声が切れてしまった場合には、事務局より事前にいただいております電話番号に御連絡させていただきます。表示名や音声・映像については、事務局により操作させていただく場合がありますこと、御承知おきください。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただけますと幸いでございます。
	 最後に、文部科学省の出席者を紹介いたします。審議官の福井、課長の豊田が参加いたします。課長補佐の簗田は遅れて参加させていただきます。
	 また、7月に人事異動がございまして、科学技術・学術政策局長に西條が着任しております。
	【菅野主査】  どうもありがとうございました。
	 それでは、西條科学技術・学術政策局長より、一言、御挨拶をお願いいたします。
	【西條局長】  オンラインということもありまして、座ったままで失礼させていただきます。
	 7月15日付で科学技術・学術政策局長に着任いたしました、西條と申します。どうかよろしくお願いいたします。
	 今回、第3回ということで、国際戦略委員会で議論をしていただいていますけど、昨年12月に、国際戦略の大きな方向性を取りまとめいただいて、その後、また議論をしていただいている。すなわち、昨年12月から、今日の世界変化、特に米国の状況がというところはあると思いますけれども、そういったものを含めて大きく世界が変化している中で、さらに必要な事項を検討いただくというふうに理解しております。今ちょうど、我々のほうで、第7期科学技術・イノベーション基本計画の議論の中で、特に文部科学省に関しては、「科学の再興」ということで、基礎科学、学術研究、こういったものをいかにして、もう一度、国際的なプレゼンスを取り戻していくかというところの議論をさせていただいております。先日、有識者会議を立ち上げまして第1回をやらせていただいたんですが、その中でも特に、国際頭脳循環への参画、ある意味、日本がハブになるくらいの気合でということと、もう一つは、そういったものを通じた国際的なプレゼンスの向上、これはかなり強く、委員の先生方からもお話がありました。こちらのほうで議論を特に深堀りいただいて、これをまた、「科学の再興」の有識者の議論、そして、最終的には第7期科学技術・イノベーション基本計画にしっかりと反映していきたいというふうに思っておりますので、ぜひ忌憚のない御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
	【菅野主査】  西條局長、どうもありがとうございました。
	 それでは、議事に入ります。まず、議題1、令和8年度概算要求概要(科学技術国際関連)について、に入ります。
	 それでは、資料1の令和8年度概算要求概要(科学学術国際関連)について、事務局より御説明をお願いいたします。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。事務局の加藤でございます。資料1について、御説明いたします。
	 8月末に文部科学省として概算要求をしておりまして、主に科学技術の国際関連の概算要求をまとめたものが、資料1の1ページになるところでございます。時間も限られておりますので、主要なものに絞って、後ろのページで御説明させていただければと思います。
	 では、2ページを御覧ください。こちらは6月の国際戦略委員会の際にも御紹介させていただいたかと思いますけれども、米国等の情勢を踏まえて、海外の優秀な研究者をどんどん迎え入れていこうというところを内閣府中心に取りまとめて、J-RISE Initiativeと打ち出しているところでございます。赤枠のところになりますけれども、当時、「大学・国立研究開発法人に、優秀な研究者等を世界水準の処遇で招へいするため、緊急的に大学ファンドの活用を行うとともに、更なる追加措置を検討」とされておったところでございます。
	 3ページを御覧ください。
	 その具体化が進みまして、緊急的に海外の優秀な若手研究者等を受け入れる経費として、大学ファンドを活用する施策について7月1日に発表しているところでございます。支援内容としては、PIクラスであれば3,000万円、ポスドククラスであれば1,500万円、博士クラスであれば500万円といったところを、雇用経費、研究費等を含めた目安として助成するという経費でございます。あくまで緊急的な措置ではありますが、こうした助成事業としまして、下の水色の部分ですけれども、JSTのほうから「グローバル卓越人材招へい研究大学強化事業(EXPERT-J)」という事業を始めさせていただいているところでございます。緊急ということもあって既に公募が締まっておりまして、現在、審査中というものでございます。あくまで緊急的な措置として、3年間で総額33億円というお金を割りつけたところでございまして、必要に応じて追加的措置を検討ということになってございました。
	 4ページを御覧ください。
	 その追加的な措置として、17億円の新規として、受入れ強化の予算を要求させていただいているところでございます。EXPERT-Jの公募状況や審査状況の結果も踏まえて、この額についてはある程度柔軟に財務省と折衝していくことになるかと考えてございますが、大学ファンドの支援と一連のものとして要求させていただいているところでございます。
	 5ページを御覧ください。
	 ASPIREでございますが、国際戦略委員会の委員の先生の中にも、ASPIREのPOであるとか、もしくは、ほかに研究担当者として関わっておられる方も多数おられるかと思います。令和4年度補正で約500億円の基金として措置されておりまして、それが幾多の公募を経て、ある意味使い切ったという状況でありまして、来年度以降も公募を進めるために必要な金額として要求させていただいているところでございます。要求額30億円とありますが、我々もこれで全てが足りているとは思っておらず、補正も見据えての要求となりますけれども、ASPIREを引き続き続けていけるよう、要求させていただいているところでございます。
	次に7ページを御覧ください。
	 こちらは本年度より始まっている新しいプログラムでございまして、第1回、第2回のときにも委員の先生方から御指摘あったかと認識しておりますけれども、今、ASEANやインドの人材というところが世界的に注目されているところでございます。文部科学省としても、今年度から、JSTの事業でありますけれども、例えば、インド理科大学院ですとか、インド工科大学ですとか、そういったところの理系の人材に日本の大学・大学院に1年間来てもらって共同研究をして、ある意味、人的ネットワークをつくるという事業を今年度から270人規模で進めているところでございます。これをさらに本格化して、1年ではなくて3年程度、大学院に所属いただいて本格的な共同研究をするというところを新しい点として、拡充の要求をさせていただいております。こちらはLOTUSという名前をつけさせていただいておりまして、LOTUSはインドの国の花、蓮の花のことを指して、LOTUSという愛称で呼ばせていただいております。この拡充要求をしているというのが一つです。
	 8ページを御覧ください。
	 こちらは、今年度の要求ではないのですが、我々の施策としてASEANにしっかり取り組んでいることを改めて御説明させていただきます。NEXUSと呼ばれる基金事業を令和5年度補正予算にて始めておりまして、日本のJSTと相手国のFAが連携して共同公募をするというのがメインとなっている事業でございます。水の安全保障であるとか、スマート農業であるとか、そういった相手国のニーズを踏まえて、FA同士でテーマを決めて公募をするということで、今まさに、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシアといったようなFAとそれぞれ共同公募を進めておりますし、もう少し下のレイヤーでの人的交流という意味では、カンボジアであるとか、ラオスであるとか、そういったところも含めて、ASEAN全国としっかり連携を進めるという事業を進めさせていただいております。
	 次に9ページを御覧ください。
	 ホライズン・ヨーロッパへの準参加についてでございます。ホライズン・ヨーロッパというものは、資料に書いてあるとおりですが、EUによる7か年の研究開発支援枠組みになっておりまして、EUの各国の研究者が共同で応募をする事業でございます。ホライズン・ヨーロッパに対して、EUの諸国だけではなくて、関係の国も、メインメンバーというわけではないですが、準ずる形で参加できるという枠組みがございまして、例えば、カナダであるとか、イギリスであるとか、そういったEUの周りの国というのは準参加という形でこの枠組みに入っているところでございます。そうした中で、日本もそういった枠組みへ入れるのではないかと、数年前から議論を続けておられまして、「1.ホライズン・ヨーロッパの3つの柱」の柱2の部分、グローバルチャレンジ・欧州の産業競争力強化という、あるテーマを決めて公募がなされて、それに3か国以上の研究者が共同して応募するという形ですけれども、ここに日本の研究者が参画できるように、準参加するという国際交渉を進めているところでございます。内閣府を中心に国際交渉を進めているところではございますけれども、来年度以降、もし参加が実現すれば、こういったところへも日本の研究者が参加してEUとの結びつきを強くできるのではないかと考えているところでございます。
	 資料の説明については、以上でございます。
	【菅野主査】  どうもありがとうございました。
	 それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえまして、御質問あれば、お願いいたします。
	 飯塚先生。
	【飯塚委員】  飯塚です。御説明ありがとうございました。
	 一つだけ質問させていただきたいんですが、日ASEAN科学技術・イノベーション協働連携(NEXUS)の御説明いただきましたが、これはSATREPSとどこが違うんでしょうか。非常に似た構造だなと思ったんですが、もし差し支えなければ。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。SATREPSは、枠組みとしては、JICAなどを通じて、先方はODAで、日本側は政府予算で共同研究をするというところですけれども、NEXUSも趣旨としては近いものがあるかとは思いますが、ODAは関わらないという、仕組み上の違いは当然あるのと、NEXUSの方は国際共同研究として必ずしも地域貢献というところだけを目指しているわけではないような先方の意向も見えておりまして、先ほど水とかスマート農業の話をしたのですが、例えば、ベトナムですと、半導体をしっかりやりたいとか、シンガポールでしたら、AIなどの先端技術をやりたいとか、各国のニーズが現場の課題解決というところから少しフェーズチェンジしているとは思っておりまして、規模感も含めて、それをさらにアップデートというか、より結びつきを強める事業としてNEXUSをやらせていただいているかと思ってございます。
	 以上です。
	【飯塚委員】  ありがとうございます。そうすると、より研究にフォーカスした色合いが強いということでしょうか。
	【加藤専門官】  はい。
	【飯塚委員】  ありがとうございました。失礼いたします。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 ほかにはいかがでしょうか。
	 日下部委員。
	【日下部委員】  最近、ヨーロッパ諸国も海外の研究者の招聘に力を入れているというのをお聞きしておりますが、この予算を全て使う内容で、相対的に見て、こちら側のほうが大きいとか、何か比較事項があれば、ぜひお聞きしてみたいです。
	【加藤専門官】  J-RISE Initiativeの1,000億円規模というのは、正確な数字は失念してしまいましたが、当時、EUが打ち出していた金額に対して、1,000億という規模自体は、同等以上の規模を示していたかというふうに認識していますので、本当に人を呼んでこられるかという点はございますが、お金の話に関して言えば、同等規模と認識しております。
	【豊田課長】  課長の豊田です。例を挙げると、EUは大体800億円ぐらい、フランスはそれに加えて160億円といった規模感です。
	【日下部委員】  他国との競争も意識していらっしゃるんですか。
	【豊田課長】  ある種、国際頭脳循環って競争の側面があるので、当然ながら優秀な研究者をできるだけ日本に取り込むという意図でこれらの施策を打っていると御理解いただければと思います。
	【日下部委員】  ありがとうございます。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 それでは、山中先生、お願いいたします。
	【山中委員】  ありがとうございます。
	 私からの質問なんですけれど、インドのLOTUS、これはとても大事な取組だと思うんですが、目的の中で、将来的な日本でのキャリア形成・定着、これは何回か私も申し上げているんですけど、せっかくお金を使って大学に来ていただいて、そのまま、できれば日本と協働、もしくは日本でエンジニアとして働いてもらうということがすごい大事だと思うんですが、これ、具体的な、目指す施策というのは、何かございますでしょうか。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。先生の御指摘のとおり、導入支援の1年のほうも含めて日本に定着していただけるようにフォローしていくべきだろうという理念を持ってやってございますが、具体的には、これは大学が受け入れるわけですけれども、インターンシップにつないでくださいということを一つの要件としているところでございますし、文部科学省だけではなかなか企業とのつなぎというのをやりきれないところもございますので、今、経財産業省とも連携して、インターンシップ等を通じて企業とつなげていくことを考えております。
	 以上です。
	【山中委員】  ありがとうございます。ちょっと手探りかもしれないんですが、電子情報通信学会でも、そこが一番重要だということで取り組んでおりまして、要するに、大学の教育だけだと、英語圏でないとか、いろいろ日本はハンデがあるんですけれども、企業だとか、ビジネスだとか、そういうところに対して、ASEANもそうなんですが、大変興味を持っている学生の人というのがいるので、企業の方にこういう人たちが来ているよということを宣伝しながらやられるといいというふうに思います。ありがとうございました。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。
	【菅野主査】  それでは、佐藤委員、お願いいたします。
	【佐藤委員】  今、山中先生がおっしゃったLOTUSについて、問題意識は全く同じで、せっかく優秀なインドの若手の大学院生に来てもらうので、何とか日本への定着につなげていく仕掛けを織り込んでいくことが大変大事だと思います。インターンシップは非常に大事だと思うんですが、インターンシップが企業と学生さん双方にとって有効になるためにも、ある程度の日本語能力というか、インドの学生さん、私も何人か知っているんですけれども、日本語を勉強したいという意欲はあまりないのですが、できればオンラインでの日本語プログラムを提供して、全員が日本語をある程度話せるぐらいに持っていくような仕掛けを入れた方がいいのではないかと思います。
	その理由としては、もちろん、インターンシップをはじめ、彼らが日本にうまく適応できるようにというのもありますし、私が留学生の調査をしたときに、日本語を学んだ人のほうが、日本が好きになるし、日本での留学経験がよかったと答える率が高かったので、そういった意味では、英語プログラムの学生さんにも、そんなに高いレベルじゃなくてもいいんですけれども、最低、日常会話ができるぐらいの日本語プログラムを導入したほうがいいという提言を行いました。また、この学生さんたちが1年とか3年のプログラム期間が終わったときにほかの国に流れていく可能性もあると思うんですけれども、日本語がある程度できれば、これだけ日本語を勉強したんだから、もう少し日本でのキャリアを探ってみるかという、つまり、彼らにとって時間と労力を日本語に投資したということが、一つ、日本にとどまる動機づけになると思います。これを日本側から見ると、ある意味で囲い込んでいくというふうなことにもなると思うので、研究で忙しいと思いますが、夜でも早朝でもいいんですけれども、オンラインだったら好きな時間に取れると思いますので、できるだけ日本語を学ぶということをエンカレッジしてはどうかと思いました。
	 質問じゃなくて、提案みたいになってしまいましたが、以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 日本語の問題というのは結構重要で、ややこしいところですね。後の議論にもあるかもしれませんが、ヨーロッパの場合は、その国の言葉を分かった留学生が歴史的なつながりで入り込みやすいというところがあって、日本は大変孤独な国なんですね。だから、そこをどうするかというのは、皆さんの悩みどころですね。
	 どうぞ。
	【豊田課長】  LOTUSの事業の中でも来られた学生さんを対象に日本語を学んでいただくための経費を計上していますので、いろんな計上はあると思うんですけど、その中でしっかり日本語を身につけていただいて、それを基盤にして日本にできるだけ定着していただけるように持っていきたいと思っております。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 いろんな部分で議論があると思いますので、大変重要なところだと思います。どうもありがとうございました。
	 それでは、鈴木先生、お願いいたします。
	【鈴木委員】  参考の資料への御質問で恐縮ですが、ホライズン・ヨーロッパへの準参加というところに働きかけをしていて、交渉を12月から開始しているということですが、いつから日本が参加できるような見通しかというところをお伺いしたいと思っています。たしか、ホライズン・ヨーロッパは2027年までという期間だったと思いますが、残された期間が非常に短いのではないかと思っておりまして、せっかく準参加国というような形で参加できても、成し遂げられるものというのが非常に少なくなってしまうのではないかということを懸念して、御質問させていただきました。
	 以上です。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。先生の御指摘の点は、そのとおりでございまして、今、正確な見通しまでは言えないのですが、早ければ来年度といいますか、2026というのが入り始める年になるかという見通しでございます。他方で、2026と2027で終わってしまうのかというところですけれども、EUのこの研究開発支援枠組み自体は、ホライズン・ヨーロッパの前からも含めて、次の枠組みというのが連綿と続いているものですので、今回、もし準参加がかなえば、ホライズン・ヨーロッパの次がどういう名前かは分かりませんが、ホライズン・ヨーロッパ2のような、そういう次のところに初めから入っていくような、我が国としては、むしろ、2026、2027のみならず、そういった将来的なところを見据えて関係をつくっていくという状況かと認識しております。
	【菅野主査】  よろしいでしょうか。
	【鈴木委員】  分かりました。ありがとうございます。
	【菅野主査】  日下部委員、どうぞ。
	【日下部委員】  日下部です。先ほど佐藤委員から日本語教育の重要性についてコメントしていただいたんですけども、私は今、三つか四つの大学のお仕事をさせていただいていて、ハーバードの先生などとお仕事を御一緒していますと、海外からの希望というのは、大学側の職員ですとか、受入れ側の研究者の側にバイリンガルの人が案外少ないため、プログラムとか、協議をしたときに、情報共有も少なくとも英語ベースのものができるといいというようなコメントをよく聞きます。ということで、大学の組織側のバイリンガル人材ももっと必要ですし、企業連携をするに当たり、企業のコンタクトがなかなかなくて、どこからスタートしていいか分からないというコメントをよくいただくため、そういうお仕事の話がよく来ますので、ビジネス人材も大学側に入れることによって企業リエゾンが活発化するのではないか。そうすると、受け入れたときに次の予算を取ってくるような持続性が高まるのではないかと思いました。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 佐々木先生、お願いいたします。
	【佐々木委員】  ありがとうございます。佐々木でございます。
	 コメントなんですけど、LOTUSにしても、NEXUSにしても、相手先から優秀な学生さんに来ていただきたい。そのときに、いずれのプログラムも、相手先の送り出すほうの国なのか、相手先のFAなのか、そこである程度絞り込んだ学生さんをこちら側に送り出すみたいな、今までの仕組みですと二国間の交流事業などは日本の国のFAが募集してのことなんですけど、LOTUSやNEXUSは基本的には個人の学生さんのアプリケーションベースになると、ちょっと言い方は悪いかもしれませんが、そこの部分が玉石混合になって、なかなか、実効性、研究という意味での効率がよくないんじゃないかなあという気がして、これらのプログラムが相手先の国や大学機関の中でどれくらい認知されて、優秀な学生さんを送り出そうというのが相手先にどれくらい浸透するかがキーポイントなのかなと思いました。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 それでは、松塚先生、お願いします。
	【松塚委員】  松塚です。ありがとうございます。
	 ホライズン・ヨーロッパについて、確認させていただきたいんですが、分野に関して、特に予定している分野だとか、領域だとか、焦点になる学術分野などが今から決まっていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。といいますのは、資料の「グローバルチャレンジ・欧州の産業競争力」というところにありますように、ホライズン・ヨーロッパの領域の組み方は必ずしも学術領域に沿って割られているわけではなくて、どちらかというとテーマ別に理化学系と人文社会科学系が融合するような形で進めていくというような方向性が強調されていると記憶しております。その観点から、これまで例えば先端国際研究プログラムなどでは理化学系が中心になりがちになっていると思うんですけれども、その延長線上にホライズン・ヨーロッパなどが位置づけられることが、今後、可能性としてあるのであれば、人文社会学系の融合性というのをどのぐらい意識もしくは課題として捉えていく可能性があるのかということについて、教えていただければと思います。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。ホライズン・ヨーロッパは、三つの柱と申しましたけれども、柱1はかなり基礎的なところを目指したもので、日本で言えば、まさに基礎・基盤のようなところで、柱2はPOCのようなところまでを目指したもので、柱3は社会実装・産業化を目指したものと、大きくそのように分けられていて、柱2のテーマについては、ホライズン・ヨーロッパのほうで、既に2021年から始まっている中でこの六つの柱立てがありまして、実際の公募はさらに細分化されて公募されているところになりますので、今、我が国が準参加して研究者が共同公募に応募しようと思えば、それぞれのテーマに沿ったところに応募するということになります。当然、人文社会系の課題も中には含まれておりますので、そこに共同公募する場合はそうなります。次期ホライズンのようなところまで念頭に置けば、次の2028年以降であれば、また別のテーマ設定がなされていきますので、その議論に貢献していくという点もございますし、全体のテーマに従って参加していくということかと思ってございます。
	 以上です。
	【松塚委員】  よく分かりました。ありがとうございます。
	【菅野主査】  それでは、相田先生、お願いいたします。
	【相田委員】  ホライズン・ヨーロッパって、呼ばれて参加することは今でも可能なのではないかなと思うんですけれども、実は私の研究室のメンバーが、イタリアが中心となって行ったホライズン・ヨーロッパのメンバーに入って、循環をしているんですね。あとは、こっちからお金を出す形で入れるかどうかというのが医学系なんですかね。
	 もう一つのお願いは、LOTUSのリクエストを私も幾つかもらったんですけれども、さっき佐々木先生が言われたように、見るとかなり玉石混交で、本当にこの人たちを受け入れていいのかということに加えて、こちらがやることがすごく多いんですね。JSPSの最近の傾向も、受入れ側がかなり書き込むようになっていて、受入れ側のデューティがすごく多くて、結果的にはそこで多くの時間を使うことになるので、日本の科学を持ち上げるためにということが目標の一つにあるのではないかと思うんですけれども、雑用のところをできるだけ簡素化していただきたい。常に書類が多くなる傾向なんですけども、ここを何とか逆風で短く簡素化していただきたいというのが一つのお願いと、向こうである程度選んでいただけるとありがたいなというのは、確かにあると思います。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。ホライズン・ヨーロッパについては、先生の御指摘が正しくて、現在でも、向こうの国から、日本の研究者が必ずいないとこの研究は回らないから一緒に入ってほしいのような必要性の説明がうまく取り付けられれば、参加できるスキームにはなっております。他方で、もともと優れた研究者はそういう形でもっていきますけれども、世界同列で、みんなで組んで応募していこうみたいなところに、そういった同じ立ち位置に立てるというのが準参加でございます。
	 LOTUSの受入れ側の指摘については、この後の議論でもまた論点にあるかとは思いますけれども、御指摘を踏まえて、何とか簡素化していければと思ってございます。
	 以上です。
	【菅野主査】  相田先生、よろしいですか。
	【相田委員】  ありがとうございました。
	【菅野主査】  では、この議論はここまでとさせていただきたいと思います。
	 続いて、議題2、科学技術・イノベーションにおける国際戦略についてに入ります。資料2の科学技術・イノベーションにおける国際戦略:頭脳循環や国際連携の戦略的強化に向けてについて、事務局より説明をお願いいたします。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。資料2を御説明いたします。
	現在の議論の状況としましては、6月の第1回と第2回で議論をさせていただきまして、また、第12期の際には、12月に一つ取りまとめをさせていただいております。そうした中、先ほど西條が申したとおり、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けてどういったところを主張していけるかというところに今はございます。これまでの議論を踏まえまして、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けて提言していくために、この資料を作成しているところでございます。構成としては、横紙が概要になっておりまして、次のページの縦紙がそれを説明する文書として考えておりまして、さらに、第12期の議論をしっかり踏襲していくものだと認識しておりますので、第12期、昨年12月にまとめたものも含めて一つの提言というイメージで考えてございます。
	 それでは、横紙を説明させていただきます。まず、現状認識・背景のところについて改めて確認させていただきますと、先端技術の進展速度が加速度的に増大するなど、科学技術・イノベーションの重要性がより一層増しています。そういった中で、技術の獲得競争、それをつくる人材の獲得競争というのが世界的に激化しています。こうした中で、我が国の研究力を強化していく上では、優れた研究者を育成、そして、集めてくる、集積させる頭脳循環や国際連携の戦略的な推進が重要となっています。他方で、研究インテグリティや研究セキュリティは欠かせないものとなっておりますので、こういったものをしっかり織り込んでいく必要があります。ただ、開かれた研究環境で自由な発想に基づく研究というのが科学の発展に最も効いてきたのは自明であります。こういった背景の下で、我が国の中長期的に必要な国際展開施策をまとめたいというのが、この紙の趣旨でございます。
	 中長期的に取り組むべき事項の方向性として、今後、どういったことをやっていくべきかというところの主な点を記載してございます。我が国の研究力向上に向けては、国際共同研究や、海外研究者受入れ、研究者送り出し等を通じて、我が国の研究者が国際的な科学サークルに参画し、競争・研さんし、その研究力を高めていくとともに、海外の研究者等と共に最先端の研究活動を進めていくことが不可欠であるというメッセージを出せればと思ってございます。そういう研究をするためにも、今、研究インテグリティ・研究セキュリティの確保というのは当然必要になっておりまして、それを基に信頼できる開放性を持った魅力ある研究環境の構築や国際連携の強化を進めていくというのが大きな方向性であろうと考えてございます。
	 水色と黄色の部分でございますけれども、まず、水色のほうは、開放性を持った魅力ある研究環境の構築というのを進めるためにはどういった事項があるかというのを列挙させていただいてございます。こちらは昨年12月の取りまとめの文書なども引用しながら記載しているところでございますが、「世界のアカデミアに開かれた国」を国際的に明らかにするため、学術交流を引き続き強化しなければいけないだろう。また、本日も御指摘ございましたけれども、留学生や海外研究者等に、来てもらう、来てもらうというだけではなくて、循環も当然良いのですけれども、しっかり我が国にとどまって活躍できる機会を提供していくというところは併せて必要だろう。また、予算の説明の際も述べましたが、国際情勢を踏まえて、今まさにJ-RISE Initiativeというところで頭脳循環の取組を強化しているので、これを引き続きしっかり進めなければいけない。また、受け入れるという点がかなり強調されてきましたけれども、引き続き、送り出しみたいなところを戦略的にやっていかなければならないだろうといったところをまず、総論として書かせていただいております。
	 黄色の部分でございますが、こちらは相手国がいるものを並べております。国際科学トップサークル参入に向けて、G7諸国や欧州といった先進国・同志国との戦略的な連携、一過性にとどまらず、引き続き継続して支援をしていくべきであること。予算のときも御説明しましたが、ASPIREであるとか、Horizon Europeへの参加であるとか、もしくは古くからある事業、SICORPであるとか、そういった事業を通じて、こういうところを支援されています。また、ASEANやインドといったグローバル・サウスとの交流、彼らの優秀な人材を取り込むといったところは非常に重要視されておりますので、NEXUSもLotusもここ二、三年でやっと進めているところでございますので、こういったものも終わらせずにしっかり続けていくべきであろうと。
	 こういった水色とか黄色とかの部分を進めるためには、その基礎として、研究インテグリティなどの確保も当然重要であろうと。こういったところを総論としてしっかり並べさせていただいて第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けて打ち出せないかと考えているのと、これらは総論でございますので、「各事項の実現に向けた具体的な施策について、継続的に検討を実施」という形にさせていただいておりまして、この中身については、縦紙の3ページ目になります。
	 「更なる検討が必要な論点」ということで、第1回、第2回の際にも事務局から提示させていただいておりますが、中長期的に取り組むべき事項を実施していくに当たって、より具体の検討が必要な項目として挙げている3点を進めていきたいと考えてございますけれども、これらは具体的にどうやっていくかという点をここに並べさせていただいてございます。国際頭脳循環の一拠点として我が国のプレゼンスを向上するにはどうしていったらいいか。あるいは、日本人の若手研究者の海外研究機関での研さん機会等を確保するにはどうやっていったらいいか。もしくは、国別・分野別の戦略はどのように立てていったらいいか。こういった観点について、第1回、第2回の皆様の御議論を踏まえて、こういう点が議論のポイント、もしくは課題解決が必要なポイントだろうということで、まずは小さいポツで書かせていただいておりますけれども、これに限らず、こうあるべきという議論と、ステップ・バイ・ステップでどう進めていけるかという議論、両面あるかと思いますので、それぞれについて御意見を賜れればと思います。
	 以上でございます。
	【菅野主査】  御説明、ありがとうございました。
	 それでは、これから御意見をいただきたいと思います。先ほどの議論は来年度の問題でしたけれども、これからは、中長期的な、取りあえずは第7期に向けて何を入れるかという、5年の単位。それから、もっと長期的に考えたときに、どの場面でどのように落とし込むかという議論になろうかと思います。
	 それでは、お願いいたします。
	 【狩野主査代理】  狩野です。たくさんの情報をいただきましてありがとうございました。いつも、どこから話をするか迷うときに、なるべく初めにしゃべるようにしております。一つ、今回の論点としては、まず、ここに出していただいた一枚紙の理想像が皆様で共有されるのかどうかという論点と、もし共有されたとすると、次に具体的にその理想をどう実現していくかという論点があるというふうに伺っておりまして、これを分離してお願いしますという話を事前にいただきました。
	 まず、理想に関して言うと、前の期は、実は研究セキュリティのことにかなり頭が行っていて、この辺の内容を主従の主ではなくて従として扱った感じがありまして、その意味ではぜひ今期に話がもっとできたらいいなと思っているところです。理想と内容で、今までは比較的、欧米に頭が行っていた感じがあるのが、相手国がかなり広がった感じがありまして、非常によい方向ではないかなということは、一つ思った次第です。
	 次に、具体的な内容としてどうするかを考えた場合に、どんな人に限られたリソースを優先的に配分するのかという、在り方の問題がかなりあちこちにあるなというふうに思っています。先ほどもお話があったみたいに、文系的なものとか理系的なものでも選び方が違うのかもしれませんし、あるいはアカデミア的なものと産業的なものでも選び方が少し違う可能性があるし、何を最終的な目標にするかによって、どういう優秀性の軸を使うかということが違ってくるのではないかということを少し、聞いていて思っておりました。ですので、ここと、何を目的にその事業をやるかということの明確化が連動するのではないかなというふうに思っておりました。もちろん、共通の軸があるものについては結構なんですけど、最後に勝ち負けを決めるときに、どれを優先するかということをしっかり決めておかないと、より最適な人がほかにいるんだけれども、その人を選び損ねるということがあるかもしれないと思いました。
	 この際に、最初に西條さんからお話がございました「科学の再興」というのを少し振り返ってみます。「科学の再興」とは、結局何をやりたいのか。村上陽一郎先生、少し年上の方ですけど、最近、科学の歴史をやってこられた方のお話を聞く機会があって思ったことです。まず、技術は昔から国家権力と共にありました。なぜかというと、方法なので、例えば、時を計る方法とか、天文を知る方法とか、みんな国家権力と共にあった。科学のほうは、知識のための知識なので、あまりこうしたところに入ってなかった。ところが、産業革命、戦争などを経て、その知識のための知識を応用すると方法につながることが分かってきた結果として、国家権力が関わるようになってきたと。そういう歴史なのではないですかという見方をいただいて、そうだなあと思っておりました。
	 この際に、まずは、この委員会が関わっている政府の働きとして科学を再興するのはどんな意味があるのかということを少し振り返る手があるかなと思いました。科学は知識のための知識で何をやっているかといえば、要は、「方法をつくる」よりは、「理解を進める」活動を一般化すると思っております。では、この「理解を進める」活動の対象は何なのかということですね。今まで日本のやってきたことを振り返ると、無論、我々自身が思いつけたこともたまにあるんだけれども、多くのことが、印象論ですが、欧米で進んできたことの流行にいかに乗っかれるかという対象を追っかけてきたのではないかという印象は持つところです。そこは日本が先導しているから日本に行かなきゃというところを増やせるのかという観点は、再興という名の下に、実は考えないといけないんじゃないかということは思うところがあります。
	 こういった、今、日本にいる専門家が対象だと思いそびれているかもしれないことに関われる人を増やすための方策として、実は国際化というのが大事ではないかということを思っています。理由は、日本の国内にいると、それしか追ってはいけないというふうな「べき論」があり得るところ、ほかの国に行って、別の必要、あるいは別の考え方に触れることによって違う必要に目が開かれて、でも、それを解くのに当たって、自分が育まれてきた日本という環境だから分かる考え方を活用すると実は解けるのではないかということにもし気がついた人がいるとすれば、それが新たな再興になるのではないかということを思うわけです。そうすると、次は、そうした能力を持っている人たちに限られた資源が優先的に配分できるかという質問になるということを思います。
	 昨日、にわか調べをして出てきた指標が二つありまして、一つ目は、 IDI(Intercultural Development Inventory)というのがあって、そこの中の軸が幾つかありまして、段階を追って自分とは異なるものに接していくという段階があるらしく、否定、防衛、最小化、受容、適応、統合という段階があるというんですけど、その六つ段階。確かにそうだなと思うわけですけど、これの段階のどこにいる人なのかということをはかることによって、さっき申し上げた、自分とは違うものに対する許容度がどのぐらいある人なのか、さらには、違うということを認識できるだけじゃなくて、それを自分の中にどう取り込める人なのかということがはかれるんじゃないかという指標があるそうです。
	 もう一つ、BEVI(Beliefs, Events, and Values Inventory)というのがあるらしくて、さっきの指標はどう扱うかという話だったのが、こちらはなぜ扱うかということを言いたいらしくて、構成している指標としては、Self Awareness、Rationality、Cross cultural Engagement、Global Engagement、Cognitive Complexity、Self Certitudeということで、自分の信もありながら、ほかの人とどのぐらい理解して接することができるか、あるいは我々全体を取り巻く環境をどのぐらい理解できるか、こういった指標で構成されているようです。これも、確かに言われてみると、その指標が高めであるほうが、今申し上げたような、自分の持っているものも分かっているけれども、人が持っているものも分かっていて、自他にあるニーズ・シーズがよく分かり、結果としてそれを活用していけるという人が選ばれてくる可能性を考えたところです。いずれにせよ、こういった指標が既に世の中にあるようなので、例えば、こういうものを使って送り出す人あるいは受け入れる人について選ぶことによって、今日、前半にお話があったような幾つかの、例えば、就職をしたいけれども日本文化を理解する気はなさそうな人かどうかとか、あるいは、「科学の再興」に資する、要は、対象は新しいけれども、人が分かる方法で解析をしていける人かどうかとか、そういったことを理解するのに適切なのではないかということを考えましたので、申し上げてみました。今みたいな話というのは、人材委員会のほうで今取り扱っている中間まとめにおいて、関わる人材の多様性が重要であるということについて一生懸命言おうとしているわけですが、今の指標の全部が得意な人は、もちろん日本文化的には優等生として結構だけれども、どれかが高い人がいたときに、その人とは違うものが高い人とどう組み合わせて活躍していただくかという観点にもつながるところかなというふうに思っております。こういった指標を参考にしながら今後進めていくのもいいのではないかということを思った次第でございます。
	 加えて言うと、最初のほうにちょっと申し上げました、産業界とアカデミアにおける優秀性の違いというのにも少し目を配っておいたほうがいいかもしれないところはあって、産業界はどうしても経済的な価値を最終的なゴールにしないわけにいかないし、アカデミアにおいては共通の知というものにより重きを置く必要があるわけですけども、この最終目標によって若干の違いがあり得るところをどういうふうに考えながらやるかということを進めると、片や文部科学省が先導すべき事業になるかもしれず、もう片や、もしかして経済産業省様などと連携して進めるような事業になるかもしれないということを思った次第です。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。いろんな指標を考えないといけない、多様性が必要だという、人材委員会の立場での……。
	【狩野主査代理】  人材委員会の立場も含めたコメントでございました。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 技術とサイエンスの違いというのはなかなか深いところで、我々、この委員会ではサイエンスのほうを主に考えていますけれども、技術で強いところはサイエンスにも取り込むという知恵も必要だろうというようなことに、多分、なっていたと思います。
	 もう1点は、強い分野を伸ばすというのは、なかなか難しいんですね。予算が取りにくいということがあるんですね。外に模範の例があると、それをまねてこうしなければいけないという決断はやりやすいんですけれども、実際、強いところは、それをどう強く伸ばすかというのは例がないので、知らん間に弱くなったということがサイエンスでも技術でも多々ある。左の水色のところに関係すると思いますけれども、それをどのように確立していくかというのが非常に重要なのではないかなと思いました。
	 次は、佐藤先生、お願いいたします。
	【佐藤委員】  ありがとうございます。今の狩野先生の非常に高い視点からのお話に比べて、ちょっと実務的な話で恐縮なんですが、先ほど来挙がっておりました、海外からの研究者や留学生を受け入れるに当たっての、つまり、事務方の負担の軽減というところですね。国際頭脳循環の一拠点としてプレゼンスを向上するに当たっての事務方の負担とか、あと、優秀な人をどんなふうに選考したらいいかということについて、参考となると思われる情報をお話しさせていただきたいと思うんですが、日本に留学生を受け入れる場合に、国費留学生以外に、JICA留学生というのが2,000人ぐらいおりまして、それはJICAとJICAの委託先のJICE(日本国際協力センター)というところが受け入れていて、私はアフリカから留学生を受け入れるABEイニシアティブを担当しているJICEの方からかなり詳しく、どんなふうに受け入れているという話を聞いたことがあったんですけれども、その特色はプログラム化しているということなんですね。プログラム化しているというのは、募集、選考、受入れ、滞在中の支援、フォローアップを一つのパッケージとしてつくって、日本語教育もマストにしていますし、日本の社会・文化・経済の紹介なども共通プログラムとして、最初、来た時のオリエンテーションなどで説明し、その後も、オンラインで提供したり、あるいは、定期的に、数か月に1回集まった時に提供していく。さらに、アフリカからの留学生も全員、インターンシップがマストになっていて(LOTUSでは、経済産業省、恐らくJETROさんと連携するので、そこはかなりそちらで対応してもらえるような気がするんですけれども)、インターンシップ先もJICEのほうで全部見つけて、インターンシップの前に、いろんな注意事項、日本の企業のシステムとか、マナーとかも含めて説明して、インターンシップに送り出し、また、終わった後のレビューを行い、そして、帰った後も、同窓会ネットワークをつくって、横のネットワークもきちんとつくる。あと、困ったことがあったらJICEの人が定期的にオンラインで相談事の受付をしていました。LOTUSについて、JSTさんでされる場合にも、JICEのそういう経験についてヒアリングを行われて、プログラム化をしていくと、各大学の負担も軽減できると思いますし、効果もより上がるのではないかなと思いました。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 なかなか重要なポイントで、教育として受け入れるか、それとも、ここで議論をしているのは、科学技術政策の中で、科学技術の実務として受け入れるかという、その境がだんだんと曖昧になってきている。教育として受け入れた場合は、当然、日本語も勉強するし、それが上に行って専門人材となる可能性は非常に高い。その上のレベルで、共同研究の段階で受け入れた場合に、下の土台が曖昧になっているので、それをどのようにするかというようなことが、今、問題になっているのかというふうに考えます。
	 佐藤先生、よろしいでしょうか。
	【佐藤委員】  まとめていただいて、ありがとうございます。おっしゃるとおりです。
	【菅野主査】  それでは、次は、山中先生、よろしいでしょうか。
	【山中委員】  ありがとうございます。この資料、とてもよくできていると思うんですけども、この問題はすごく大きくて、我々はエコシステムとしてのグローバル化というのを一生懸命取り組んでいて、留学生に来ていただく側、向こうの大学、いい大学とどれだけタイトな関係をつくるかと言って、日本の大学も結構、そういうところに連携しているところが多いので、そこにまず理解してもらうという努力をしています。
	 もう一つは、先ほどから出ている、留学生として来ていただいて日本で活躍していくというところで、ちょうど今、この会議のために東京に戻ってきちゃったんですが、岡山で留学生のポスターセッションをやったんですね。日本語が必ずしもしゃべれなくて、全員、英語だったんですけども、ポスターが100件ぐらいあって、すごい盛況で、そこに企業の人に来てもらったんです。人事の人もいますけども、どちらかというと研究所の方で、研究所の人がインタビューをして話を聞いてくれて、非常に優秀な子がいるという評判になっている。先ほどから言っているように、点(ポイント)で留学生を呼ぼうとか、それだけではなくて、その後のエコシステム、1ループをつくりたいというところにすごい努力していて、企業の方々は、今、正直言って科学技術人材がなかなか集まらないので、留学生で優秀かつ日本に大変シンパを持っていらっしゃる方もいて、そういう方との接点がなかなかないという意見をいただいていて、そのエコシステムがうまくワンループできれば、留学生にとっても、教育だけを受けるというのもあるとは思うんですが、繰り返しなんですけれども、グローバルな選択肢の中で、英語圏でない日本で教育を受けるというのだけではなくて、その後、日本の企業で活躍するというのももちろんあるし、戻って日本とのビジネスで活躍するというところも含めて、エコシステム全体としてグローバル化を進めましょうということを何度も言っておりまして、このままだと日本の科学技術自身が疲弊していく。そんなことはないと思うんですが、大学の教育レベルも高いし、企業の競争力も昔と比べていろいろあるけれども、それなりに魅力のあるものもいっぱいあって、トヨタとか、デンソーとかの方にも聞いていただいて結構賛同していただいているので、文科省のお立場はありますが、そういうエコシステムで留学生問題プラス国際化という視点で考えていけるといいというふうに思いました。
	 以上でございます。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 山中先生から前回もこのような御発言をいただいたと思うんですけれども、学会でのポスター会場、ポスターの発表の場というのがマッチングの戦場になっているのが国際的な標準です。日本の学生がそこに入り込んでいっていないというか、日本ではそういう場で就職が決まっていないという、これは日本の問題ですね。留学生が主体でこのような場を日本の中でつくることによって、少しでも変わればいいなというようなことも感じます。ありがとうございます。
	 次、飯塚先生。
	【飯塚委員】  ありがとうございます。今までお話しくださった方々に共通する点は若干あるかなと思って、先ほどの山中先生のエコシステムにもちょっと関わると思いますし、狩野先生のインジケーターにも関わると思うんですけど、KPIというか、望むところは一体何なのかというところが、今までのプログラムのお話を聞いていて、よく分からなかった。要するに、「科学の再興」というのはいいんですが、中長期的に考えると、それは、例えば、そういった研究が社会実装につながることなのか、それとも、論文が出ることなのか、人材を育成することなのか、獲得することなのか、リテンションするということなのか、または、先ほどの御説明のように、長いつながりを構築するためなのかというところのフォーカスがあまり絞られていなくて、何となく分からない感じ、みんなやったらいいよねというところしかやってなくて、最終的にやらなきゃいけないところとか見なきゃいけないところがちょっとおざなりになっているのではないかなと思ったりします。
	 私の修士の学生で、JICAから来た人がSATREPSのエバリュエーションをしたんですね。エバリュエーションは、今まで行ったプロジェクトで良い評価というのがJSTで出ているので、その部分と、それから、5年後に同じチームが論文を共著で出し続けているかというのを比較したんです。そうしたら、評価が良いと言われたプロジェクトと、共著がずっと出ているチームというのは、全く相関がない。要するに、短期的な形で評価したものと、長期的にそのチームが共有していろんなことをやっていこうという、つながりをつくっていくプロセスというのは全く違うんじゃないかということを言っていて、じゃあ何のためにやっているのという話になって、JICAは何のためにやっているのって聞いたら、多分、関係性を構築するためにやっているんじゃないかと。要するに、研究とか、そういうものよりはそっちじゃないかという話になって、そこでちょっと思ったことは、今回、こういったいろいろな新しいプロジェクトが始まるに当たって、中長期的には一体何を求めているのかということをはっきりしなきゃいけないのかなと思った次第でございます。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。なかなか難しいところですね。
	【狩野主査代理】  一本化する必要もないというか、幾つかカテゴリーをつくっておいて、それぞれにどれがはまっているかと言えればいいのかなという気もして伺いました。
	【菅野主査】  いえいえ。ありがとうございます。
	 政策的には、当然、そのプログラムの結果というのは要求されますので、それは必要ですが、それが全てかというと、やはりもっと長期的な、10年、20年にわたる関係を構築するというのは次に続くので、どちらもあっていいのかなという気もしますけれども、それはなかなか難しいところですね。深いところです。
	 次に進みたいと思います。
	 鈴木先生、いかがですか。
	【鈴木委員】  御説明、ありがとうございました。1番目と2番目に関連することなんですけれども、これらの施策は、全方位じゃなく、どこかにとがらせることが必要かなというふうに感じております。例えば、私は環境をやっていますけど、環境分野はやはり欧州が、一方で、AIだと北米、米国がホットスポットというふうに認識されているのかなと思っています。ホットスポットとして世界に認識されなければ、トップサイエンティストやトップリサーチャーというのは集まらないと思うんですね。じゃあ、日本としてどの分野でプレゼンスを発揮すべきかという、それを選択することが必要なんじゃないかなというふうに感じております。先ほどサイエンスとテクノロジーという話が出ましたが、ホットスポットには両方必要というふうに思います。産業としても強みを発揮できる分野でなければ、説得力に欠けるというふうに思っております。本委員会は、国際戦略委員会ですけれども、やらないことを決めるのも戦略だと思います。やらないことを決めるのは非常に難しいんですけれども、短期間で施策の効果を得ようとすると、やっぱりそこも必要なのかなというふうに思った次第であります。
	 コメントは、以上になります。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 これに関しては、事務局、何かありますでしょうか。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。先生の御指摘は私もよく理解するところでして、お金は無限にあるわけではないので、何の分野でやっていくのかという点については、当然、重要領域みたいなのはどこかで決めていくことになるのだとは思ってございます。
	 他方、それだけでいいのかというか、長期的に見て本当にそれが10年・20年続いていくのかというのは少し別の話で、長期的な視点の種まきみたいなところも、一つの主張ができるといいのかなあというふうには思っています。
	 両面という形になった回答で恐縮ですが、以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 多分、5年とか10年とかというタイムスパンの違うところでは重点分野というのも変わることはあると思いますが、5年の、今、議論をしているところでは、上位の重点戦略分野というのがあるので、それを対象にするというのがまずはこの議論の土台かなというようにも思います。
	【狩野主査代理】  主査代理として一言だけ。
	 先般読んだ一つの記事は、今の資本主義制度は次の資本主義の担い手を担えるだけの賃金を人に渡してないのではないかという議論がありました。昔であると子育てをするために必要な給金もあったんだけれども、今はどうも、なるべく人件費を削ることによって、その人だけが生き延びられればいいという方向にグローバルに動いてしまっているが、本当にそれでいいんですかという議論がありました。
	 ここは文部科学省だし、私は教育業界の人でもあるので、今、加藤さんがおっしゃった後半のことについての重要性も、ぜひ、ここでは指摘しておきたい気がします。さっきの「科学の再興」の種をつくる話も似ていると思っていて、今すぐに利益が出なくても、税金だからこそやれる仕事の一つとしては、そうやって長期に種まきをしておいて、しっかり次の世代を担う人たちもつくる、次の世代を担うテーマをつくるということも大事ではないかということを思ったので、一言、鈴木先生のおっしゃり方が極めて簡潔明瞭であったので、そちら側もしっかり言っておかないとバランスが取れないかなと思って、言ってみました。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 佐々木先生、いかがですか。
	 よろしくお願いします。
	【佐々木委員】  佐々木です。ありがとうございます。
	 今までも議論があったんですけども、人文社会科学も含む科学と技術とイノベーション、もちろんこれは全く不可分ではあるんですが、施策としてはそれぞれ、タイムスパン、スケールや目的が違うので、そこは少し、科学の部分、技術の部分、イノベーションの部分をそれぞれ分けて、施策としては考える必要があるんじゃないかなと思いました。
	 関連して、私は研究インテグリティ・研究セキュリティのほうにも関わっているんですが、研究インテグリティに関して言えば、これは、各国、国際標準で中長期的な、我々が自分たちでやることなんですけども、研究セキュリティに関しては、時代の波と共に比較的短期的に変化すること。研究セキュリティはあくまでも相手があっての研究セキュリティのものなので、そこも同率ではないなあということ。研究セキュリティは、特に、G7、EUでは、我々もそうですけど、スモールヤード・ハイフェンスという考え方で既に進んでいる。かなり限られた、特徴的な分野、イノベーションというところにはハイフェンスを立てるというのが既に確立されつつある。特にホライズン・ヨーロッパに参加するときには、相手から求められることであるので、その部分については、中長期というよりは、比較的短期的視点で対応というのが、この中に含まれてもいいのかなあと思いました。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 研究セキュリティについては、なかなか重要なところで、短期的にどうするかというのは文科省からもいろいろ通達が出たところですし、JSTに関しても、それに対応する窓口が設立されて、進行しつつあると。ASPIREでもそれを志向しつつあるというような状況かと見ています。大変重要なところです。
	 次は、松塚先生、お願いいたします。
	【松塚委員】  ありがとうございます。
	 いただきました三つの論点全てに関わってくる観点だと思うんですけれども、頭脳循環と国際連携の中身・内容ということが重要なのはもちろんですが、その方法だとか、ルート、もしくはチャネルということをどのように考えていけばいいのかということを、コメントの前に確認させていただけたらと思います。例えば、循環・連携といったアクションは、物理的な循環や連携を念頭に置く場合が多いと思うんですけども、昨今、バーチャルモビリティの重要性とその範囲が急速に拡大している。その点、特に戦略的に循環・連携を実践していくとき、例えばオンラインで国際学位を取れる、国際共同研究も分野によっては、ほとんど対面で会うことなしに共同研究が成立する、そして成果も出せるというような分野もあります。そういった観点から、頭脳循環、国際連携の在り方の中に、ルートといいますか、チャネルといいますか、方法をどのように捉えていけばいいのか、考えていけばいいのかということを教えていただきたく思います。
	【菅野主査】  これは質問ですので、事務局から。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。先生に御指摘いただいたとおり、物理的なものが全てか、物理的な距離が全てかというと、必ずしもそうではないはずで、バーチャルであっても、結びつきが強ければ、そのネットワークの効果は高いですし、逆に、物理的に近くにいても、仲が良くなければ、あまりというところの世界ですので、そこは実質的にどうかというところが一つ評価されるところかと認識しております。
	 他方、もともとつながりがなかった人とのつながりがバーチャルで強くなるかという、そこの方法論なんかもなかなか難しそうにも見えていて、まずは物理的に近くにというのが、一つ、簡単に考えられることかと思ってございますが、先生の御指摘はそのとおりで、バーチャルでも差異はないと思っています。
	【松塚委員】  ありがとうございます。そうしますと、現在のこの状況においても、学位取得、研究交流をバーチャルで進めている件数といいますか、国だとか個々人が増えているさなか、そこでどのぐらいの研究がなされて、どのぐらいの成果を上げているのかというのがブラックボックス化しているような気がします。その辺り、少し掘り下げてデータを入手できるようなことがありましたら、ぜひ教えていただきたい。私自身も調べてはいるんですけれども、なかなか明確には出てこないという現実があり、ゆえに戦略的にバーチャルモビリティをどのように位置づけていくのかということの重要性が発生してくるのではないか。もちろん、認識していらっしゃると思いますけれども、より強く出てくるのではないかと思われます。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 これはいかがですか。これからの検討課題ですね。
	【加藤専門官】  先生がおっしゃるとおり、どのように測定するかとかはまだ確立されていないかなと思いますが、重要な観点だと思いますので、引き続き、検討をさせていただきます。
	【菅野主査】  どうもありがとうございました。
	 それでは、相田先生、よろしくお願いします。
	【相田委員】  どうもありがとうございます。
	 さっきからいろいろ議論がなされているところでありまして、考えるところはいろいろありますが、最初に、サイエンスとテクノロジーというのはどうあるべきかということもありまして、それぞれ、専用の人がいるのか、どうなのかなんですけれども、実は私、10年以上、企業のコンサルティングを深くやっておりまして、そこで分かってきたことというのは、サイエンスというのは、多分、企業がやっているテクノロジーの因数分解のそれぞれの要素になっているのではないかなというところなんですね。なので、決して二つが別々の人材であるのではなくて、恐らく、すごく融合的に動くと多分いいものになるであろうと。長くやってきた結果として、そう思っているということであります。混乱してはいけないことは、ビジネスということですね。テクノロジーはビジネスに非常に近い分野にありまして、多分、ここは違うセンスが必要になるのではないということで、このぐらいの仕分かなというふうに考えていますので、サイエンスですごくいい学生とか、テクノロジー的にすごくいい学生というのは、多分、すごく有能過ぎるのではないかなというふうに考えています。
	 一方で、今、日本が直面していることというのは、ASPIREの経験を通じて思うところなんですけれども、圧倒的に人材不足というところですね。特に、日本人で海外に行って修行したいという若い学生が極めて少ない。先生がそれを説得するのに苦労しているという状況で、これでいいのかというのが一番大きくて、イコールそれは、見えないリスクというか、私はリスクと思わないんですが、そういうことはリスクだと思うんですね。そこの先にアカデミアがあるわけですから、それぐらいのことができないようではアカデミアに来れないんじゃないかと思うんですが、事実、アカデミアで人を確保することがとても難しくなっているというのが旧帝国大学系の大学でも本当に起こっていることで、ポストを公募しても埋まらないという状況ですね。そんな中で先生方が苦労して、とにかくドクターに行く学生も減っている中に説得して連れ込んで、海外も行けるよって言ったら、いや、海外はちょっという状況なのが実態なんですよ。まず、この実態を認識していただきたい。フィロソフィーは、今日もとてもいい話がたくさん聞けて、余裕があるんだったらそうしたいよねって私も思ったんですけど、現場で働いている人間として、本当にこれは大丈夫かというところ、ここをぜひ理解していただきたいというところですね。
	 例えば、どういう学生が欲しいのかということですけど、私たちの学科では、実は修博一貫というものを始めていまして、修博一貫で希望する学生は、普通の試験を受けなくて、インタビューで採ることができるんですね。ただ、多くの先生方は、インタビューで採るときに、学部時代にどれだけの実績を持っているのかということを重視します。ですから、研究プロポーザルではなくて、その学生がどういう活動をしてきたのかというのを問うということと、あとは口頭で基礎的な質問をしていくということで、それにどれくらいライブで答えられるかというのを基に最終的に納得する形で選ぶので、誤解があってもよければ、理解度がいいということですが、教員次第ということですね。それでやっています。本音としては、多様な経験をというよりは、恐らく各教員は、所属しているラボの文化と、それから、その中でどういうことをやってきたのかというのを知りたい。それに基づいて採りたいということで、より安全な、ちゃんとやれる学生が採れるのではないかということかなと思うんですね。なので、LOTUSも、はっきり言うと、研究提案というよりは、どういうことをやってきたかということが、多分、我々が一番知りたいところかなというふうに思って、それさえあれば採りたいか採りたくないかという意思表示はちゃんとできるんですけども、すごく長い研究テーマを読んで果たしてマッチングするかというのは、ちょっと別の話ではないかなというふうに思った次第であります。
	 以上です。よろしくお願いします。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 人材の確保というのは、アカデミアの場合でも、大変重要な、難しい課題になっているということですね。以前、人材委員会との合同の会議があって、ちょっと言い方は悪いですけれども、修士の学生を企業が根こそぎ採っていく。そういう状態で、どうすればアカデミアで競争力をつける人材が確保できるかというのは大変難しいというような議論をしたことがありました。先ほど山中先生の指摘の通り、留学生が入ったときにポスターの場というのは就職のバトルの場であるというようなのが海外では常識で、それがいいかどうかというのはまた別の問題です。つまり、学生が就職できるかどうかという失業率の問題とも関係しますから、よしあしはあるんですけれども、日本は違うということを少し認識する必要がある。その違いを知った上で、どういう戦略が必要かということを議論する必要があるかというふうに思います。
	 次は、日下部委員、お願いいたします。
	【日下部委員】  日下部です。先生方のいろんな御意見は全部、共感するところが多く、伺わせていただいております。私は、自分が大学の産学連携の様々な現場にいるところと、そのシーズ技術の事業化を現場でベンチャーとしてやっている経験と、あとは、国際機関で大型のプログラムの予算を株主諸国が承認した後、モニタリングするような仕事というか、そういうのも関わってきた観点で、幾つかコメントをさせていただきます。
	 1点目は、招聘した海外研究者のトラッキングが非常に大事なのではないかと思います。というのは、一旦来ていただいた研究者が願わくは日本の研究環境も活性化してくださり、そして、周囲の研究者たちも、それに刺激を受けて、さらに波及効果があるような人をそもそも選ぶということと、また、その方が仮に本国に帰られたとしても、そこでも共同研究を引っ張ってくれるみたいな、そういう好循環を生み出す人をそもそも選びましょうということと、あとは、コミュニティ化が非常に大事で、単発で来ていただくだけではなくて、それこそIT技術を使って、その方が自然体で情報がずっとつながって、日本がつながっていけるようなプラットフォームをそれこそ上手につくって、オンラインとオフライン両方で自ら進んで関わっていきたいというようなコミュニティを政府の力でつくったらどうかというのを一つ思いました。ペーパーワークを増やすということではなくて、楽しくて参加したいみたいなプログラムがあるとよろしいのではないかというのが1点目です。
	 2点目は、国際機関で結構大きな政策を通すような仕事をしていましたので、その観点で思いますのは、予算が承認された後に、経過してから、使ってみてどうだったかという、ユーザーの声がとてもバリアブルなインテリジェンスで、経験上、大体、承認したとおりにいかないんですけど、その後、いろいろ変えたり改編したりすると底力がすごくつく経験をしているので、パフォーマンスインジケーターみたいなものを、国際間でよくある、どうやると効果やインパクトがあるかという指標を幾つか大まかにつくっておいて、一応、ベースラインとアウトカムで年々見ていく数値目標もあるけれども、ソフトの情報も吸い上げるような仕組みが絶対大事かなということを思いました。それで、どの施策がどういうふうに成果につながったかの相関を見るようにすると、政策作成がエビデンスベースで、インテリジェントに、今後、第2弾を出すときにベースがある提案ができますし、研究者レベルのトラッキングと、政策レベルと大学レベルとか、いろんなトラッキングが大事だなということを思いました。
	 3点目は、人材の登用方法なんですけど、私がいろいろ多国籍のプログラムとかのコミュニティのリーダーをやっていると、日本は、メンバーシップ型社会で、ずっと同じ組織にいる人が出世しやすい組織なので、意識して外部の人とか多国籍の人を引き立てたり尊重したりするというようなことをやらないと、どうしても疎外感があるので、そういうことを客観視してインクルーシブになれるようなプログラムの実施方法が大事かなと。
	 最後の1点は、研究分野とはいえ、産業分野の戦略も併せて審査員が選ぶときに、現状の世界情勢の中でこの分野は大事だから、この研究者も入れましょうみたいな視点も、研究のアカデミックな視点に加えて大事なのではないかということと、あと、スター研究者がいたくなる研究環境ってどういう環境なんでしょうかというのを意識すると、スター研究者は、成果を出してくれますし、人を巻き込んでくれるので、1の支援をしたのが100になればありがたい話なので、なるべくそういうプロファイルの、プロファイル分析じゃないですけど、採択した研究者と、その後のトラッキングと、どういう成果がそれであったかという相関を見るみたいなところを文部科学省のインテリジェンスでお願いできたら面白いんじゃないかなと思いました。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 事務局、いかがですか。
	【加藤専門官】  ありがとうございます。トラッキングが必要という点はそのとおりで、1回来ていただいて帰ってしまった方々をどれだけトラッキングできているかというとほぼできていないのかと認識しております。一部の事業ではしっかりやっているところもありますが、全体としてはなかなかやりきれてないかなと思うのと、若いときに会った人たちがその後もずっとつながっていることもあり、本当に人対人の関係だけが全てになってしまっていて、システム的なものというのは今はあまりないのかなと思っておりますので、政策的な手だても取り得るかと感じました。
	 あと、2点目に御指摘いただいた、事業の経過を踏まえたフィードバックというところは、常に必要なものと認識しておりますが、事業ごと衣替えしてしまうことも多かったりもするんですが、今、まさにASPIRE等では現在進行形で進んで、評価もいただいておりますので、それで改善に向けて取り組んでいけるかなと考えております。
	 最後に御指摘いただいた点、本日の魅力的な拠点とはどうあるべきかみたいなところとつながっているかと思うんですけれども、スターの研究者を呼んでくるにしても、皆さん、必ずしもお金だけを求めているわけではないといった話も聞きますし、あるいは、御家族の生活環境を重要視されることもあるいうところも聞きますし、そこら辺は総合的に考えて環境づくりをしないといけないのだと認識しております。
	【日下部委員】  ありがとうございます。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 そうですよね。スターの研究者がアニメで日本を選ぶわけではなく、日本での研究の場所には魅力的な研究者がいることが必要ということで、それは、日本の中に、魅力的な、引きつけるような研究の舞台をどのようにしてつくるか、それが一番重要であるということですね。その上で、今のプログラムで海外から来て、どのようにその人が活躍して影響を与えるか。要するに、左の青の部分、これをいかにつくるか、いかに戦略的に計画し実現するかという御指摘のところになるかと思います。
	 評価については、確かにASPIREには、関わっている委員の先生方は多いので、現在進行形で様々なフィードバックが来ると思うんですけれども、実際の評価になりますと、効率性、有効性、必要性で評価されてしまいますので、そこに落とし込まないといけません。、その評価軸とはちょっと別の形の、より長期的な評価をどうするかというのを、こういう国際循環のプログラムでは少し考えるべきことかもしれないですね。
	【狩野主査代理】  日下部先生、国際機関における政策評価の在り方について御参考に言語化していただいて、この辺に表示していただくと、より違う風の吹くレビューができるようになるのかなということも思ったりいたしました。
	【日下部委員】  巨大な公的機関で各国を支援しているので、評価が厳しくて、オーディターが入りますし、株主諸国がどんどんコメントするので、指標がないと次の資金が入ってこなくなっちゃうんですね。なので、それをやるといい情報が集まってきますし、あと、なるべく大学側から問題点を共有してもらったほうがむしろ分かるというか、そういうのもあるかなと思います。
	【狩野主査代理】  そうですね、我が国だと、文部科学省様が聞き取りに来られると、みんながいいことをおっしゃるという雰囲気がないわけじゃございませんので。
	【日下部委員】  みんな緊張しそうですけど、何でも聞けるようにするといい。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 それでは、梶原先生。
	【梶原委員】  東京科学大の梶原です。端的にコメントさせていただきたいと思います。
	 まず、今日頂いた資料ですけれども、フォーカスとして、オープンサイエンス、頭脳循環、そして安全保障と、まさに第7期基本計画の議論をしているものにタイアップしたような形でまとめられているのは、すばらしいまとめ方だと感じております。その中で、少し細かいことを3点ほどコメントさせていただきたいと思います。
	 これは最初の議論のところで言おうかなとも思ったことなのですが、海外の研究者の受入れに関して、今回、EXPERT-Jというのを緊急的に進められた。これについてはよろしいのですけども、ほかの委員の方も言われたとおり、海外から人を呼んでくるためには、給料もともかくとして、環境整備というのがものすごく重要です。今日御説明いただいた来年度の概算要求でも受入れ強化の施策が出てきて、その中では、緊急的というよりは、長期的にやっていこうという方向性が見えますので、そうであれば、給料だけではなくて、環境整備も必要で、これはあまりばらまくと、どこの環境も十分に整備できないということになるので、我が国全体の環境整備について、しっかりと長期的な目線で確立できるような方向性をつけられたらいいのではないかなというふうに思いました。
	 次に、もともと、第6期基本計画や、我々の第12期の国際戦略委員会の議論でも出ましたように、日本人がトップサークルから外れてしまっているとか、頭脳循環が足りないということが指摘されているということは、今までやってきた施策はそこが足りないということなのでしょうから、新たに進めたものに関しては、当然これから実施した上で修正するとしても、例えば、海外特別研究員事業、SICORP、SATREPSも現状のままでいいというわけではないと思います。補強も含めて何かしらの改革をすべきで、それらはそのままの体制で実施していいというものではないと思いますので、そこに、頭脳循環がより活発になるような、少し方向修正なりも必要なのではないかと思いました。
	 最後は、これは前にもお話ししたかと思いますが、最終的には我が国の研究のプレゼンスをどんどん世界に示していくことが目的ですが、それを、プレゼンスが高い、レベルが高いと評価する指標があまりにも単純化し過ぎているのではないか、評価の多様性がもっと必要なのではないかと思います。あまりにも単純化するがゆえに、どことは言いませんが、某国では、研究活動ではなくて、評価を上げるための様々な活動をして、そういう活動でTop10%の論文数が上がっている。また、論文の数がどんどん増えている。それだけで評価をしていったら、研究の能力ではなく、要するに財力が必要という話になってしまいます。そういうことではないと思うので、研究の評価の多様性を今後しっかり担保されて、その上で、我が国がどのくらいのプレゼンスを上げているのかというのを示すべきではないかなと思います。これに関しては、OECDでも研究評価の多様性ということについて議論をし始めています。まさに、局長がおっしゃられたとおり、「科学の再興」という議論も始まっていますので、評価の多様性という部分に関して検討されるといいのではないかと思いました。
	 以上、3点になります。
	【狩野主査代理】  最後に追加ですけど、私、最近、ユネスコの仕事を持っていまして、そこでも同じ議論を出してみたところ、みんな賛成しておりましたので、世界中で、どうやって評価するかについては、今、見直さないといけない気持ちの人は増えているなという印象でございます。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 本間先生、いかがですか。
	【本間委員】  今日も考えていることばかりが多かったんですけど、大局的な話じゃなくて、非常にローカルな話で、自分の研究室の身の回りで起きていることと、国際戦略を考えて、中長期的なことを考えると、戦略としては、資源を持っている国とやるべきだと。資源は二つあって、人口的な資源、すなわち人材の資源と、もうひとつは私は研究分野に近いところでレアメタルとか、レアアースとか、鉱物資源ですね。前者の人口の観点から、今日、インドとのLOTUSの話が出ましたけど、実は私のところで国際卓越大学の国際卓越研究室というのができまして、国際公募をしたんですよ。ポスドクとか、助教とか、何百人って応募が来るんですけど、半分がインドからで、すごい数の応募が来るんですよ。ただし、業績リストだけで本当に採れるかとなると、やっぱりちょっとハードルがあるので、例えば、LOTUSみたいな制度で、半年とか1年とか日本に滞在してくれて、ラボで研究してくれたということで、PIが人柄とかをある程度知っていれば、非常に採りやすいと思うんですね。そういう意味では、こういう制度を使って、1年間でなくてもいいんですけど、非常に数多くのインドの、できればトップクラスですね。即戦力で、かなりハイレベルの研究やってくれるような人をたくさんの日本のPIの人が知ってくれるという場ができれば、非常に有効かなと思うんですね。なので、そういう意味では、人口という資源を考えると、インドとか、インドネシアとか、そういうところもいいんじゃないかと思うんですね。
	 次に、国別、分野別、中長期のことを考えると、分野でアプローチが大分違うんじゃないかと思っていて、極端な話、鉱物資源に関しては、レアアースとか、レアメタルとかは、半永久的に特定の国からしか出てこないので、そういうところと戦略的に、10年じゃなくて100年単位で考えるべきだというのが私の考えで、例えば、今、レアアースって非常に問題なっていますよね。産業に必須なエレメントなんですけど、中国以外で埋蔵量が大きいのはブラジル、インド、ベトナムとかなんですよ。だから、そういうところと例えば国際循環して、若い学生、ドクターの学生とか、若い研究者を入れて、ASPIREとか、その他の制度で共同研究をして、これは、日本に定着じゃなくて、国に戻ってもらって、資源国に戻ってもらって、そこと日本が共同研究をする。例えば、基本的な精錬技術を開発して日本のデファクトで使ってもらうとか、そういう戦略的なところをやるためにも人材レベルからつくらなきゃいけないので、資源国からドクター課程の学生に来てもらう。インドネシアとか、フィリピンとか、マレーシアとかからも、非常に特定ですね。そことの数十年規模ですね。
	 今日の議論にもありましたけど、製造業ではまた違うと思うんですよ。今、日本は人材がいないので、短期的に来てもらって、教育して、日本の企業に就職してもらうということなので、こっちは非常に短期的だし、日本に定着してほしいということなので、それはアプローチが全然違うと思うんですよね。そういう意味では、資料2にあるように、どの分野なのか、どの国を対象にするかによって戦略が全然違うと思うので、国を特定して、この国とはこうする、こっちの国は来てもらって日本の産業界に貢献してもらう。その教育はどうあるべきか、議論してもらう。そういうような分野別国別のプランを作るべきだと思いました。
	【菅野主査】  ありがとうございます。重点領域として別の観点も取り入れる必要があるのではないかというコメントですね。
	 日本の中で国際的な研究室をつくるというのは、国際的な常識の中で人を選ぶということは、結構大変ですね。そういう状況も見据えたプログラムは、すぐには難しいかもしれない。でも、そういうことも考える必要があるということですね。国際循環という観点では、今は送り出しとか受入れだけを考えていますけれども、有名な研究者を呼んでくるとなると、それを核にして国際的な研究の拠点をつくるとなると、どのようにしてつくるか。沖縄にはそういう例もありますけれども、そういうのも含めて、様々な試みを入れるような可能性もある。それを見据えて、この青い部分をブラッシュアップするということでしょうかね。
	 一応、発言いただいたと思いますけれども、ほかに。
	 佐藤先生、どうぞ。
	【佐藤委員】  先ほど、評価の話、あるいは、KPI(Key Performance Indicator)とか、評価の多様性とか、あと、一定程度やって評価結果が出て軌道修正していくといったお話が出たので、それに関連して、私の専門の一つが評価で、例えば、総務省の政策評価報告書とか、国際機関のプログラム評価報告書などを読んでいるので、多くの評価で用いられているロジックモデル(事業がどういう短期的、長期的なアウトカムをもたらし、事業の目的を達成するかという構造を示した図)についてしょうかいさせていただきます。多様な評価という視点は大事なんですが、まず最初に、LOTUSなり、いろんな事業をどうやって成果につなげ、長期的にどういう目標を達成するという見取図があった上で、それを多様に評価するということではないかと思います。こうじゃない、これだって大事だと、議論するためのプラットフォームとしても、ロジックモデルは有効だと思います。また、この事業は予算を使っていますので、幾つか重要なものについては将来的に総務省などの政策評価の対象になる可能性もあると思います。その用意のためにも、科学技術政策の短期、長期のアウトカムと目標達成の道筋について議論のたたき台みたいなものがあると良いのかなと思いました。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 評価をどうするかというのは、非常に難しいところですね。今、たくさんの委員の先生方が関与しているASPIREでも、評価の基準というのをどうするかというのは内部で大きな問題になっていて、どれだけ送り出して、どれだけ受け入れたかというのは、数値では出てくるんですけれども、それは本来の評価かというと、ちょっと違うんですよね。評価をどのようにするかというのは、それぞれの分野によっても違うでしょうし、先生方によっても違うでしょうし、バラエティーがある中で、そのプログラムの評価をどうするかというのは、少し別の何かが入ってもいいのかもしれないですね。これまでとは違う評価軸が必要ですということですね。こういう中長期的に成果を求めているプログラムとしては、来年の成果の評価というのとはちょっと違うので、それは違いますよと言って、双方の妥協点を探るということが必要なのかもしれないですね。
	【狩野主査代理】  北欧で聞かされた内容として、政府予算を使うときだったと思うんですけど、数%は芸術に支出することになっていて、それで買った絵みたいなのが幾つかあったんですね。同じような感覚で、例えば、大きな予算をつけたときに、それの評価の在り方について検討する予算というのを必ず何%か入れるというようなことをして開発していくのも一つかなと、今、聞きながら思いました。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 相田先生、いかがですか。
	【相田委員】  評価の部分、大変大事だと思うんですね。もともと、ASPIREを始めたときに、国際的に日本人のビジビリティがすごく減っているという意見があちこちからありまして、実際にかなりの力を使ってそれを調べたわけですね。そうすると、右肩下がりに下がっているのは事実なんです。ですから、今日の議論もすごく大事なんですけど、目標は日本のビジビリティどう上げていくかということにつながるのではないかなということで、どういうふうな議論をして、どうしたら日本の国際的なビジビリティが上がるのかということに意見が集約する必要があるのではないかなというふうに思います。
	 以上です。
	【菅野主査】  ありがとうございます。
	 日下部先生。
	【日下部委員】  お聞きしていて、基礎研究と応用研究では期待するアウトカムがそれぞれ違うと思われ、私の経験しているところは応用研究のほうに近いんですけれども、基礎研究は基礎研究で、それぞれの指標があるとは思います。応用のほうですと、研究に予算がついたことによって企業から声がかかって共同研究にもっとつながったかとか、あるいは、それがベンチャー化されて、投資家がついて資金が集まりましたかというのは、今、東北大学でもまさにそういうことを見ているところなんですけれども、成果の期待するところが応用と基礎では全くもって違うということがありますし、あとは、どなたか先生がおっしゃった、インフラ系が、IT系か、バイオ系か、ヘルスケア系か、分野によっても、投下しなきゃいけないリソース額も違ってきますし、組まなきゃいけない国も企業も違ってくるので、それぞれに分けてみるという視点が割と大事です。
	 それから、今、私は大学発ベンチャーでゲノム技術を実装しているんですけど、マレーシアとかは盛んで、マレーシアのモナシュ大学と組もうとしていますが、そこはオーストラリアに本部がある大学で、あとは、サウジアラビアとか、インドネシアとか、インドとかやっていまして、アクティビティ量が結構生まれやすくて、あと、私はもともと中南米の専門なんですけど、中南米も、遠いので見落とされがちですが、フィールドがすごく大きい。気候変動分野とかではフィールドをいっぱい持っている大型の国が多いので、よろしければそういう視点も取り入れて、頭脳循環分野にもサステーナビリティ分野とかで取り入れられると面白い研究が上がってきそうだなという気がしました。
	【菅野主査】  ありがとうございました。
	 まだまだ議論は尽きないかと思いますが、そろそろ予定の時間になりましたので、今日のところはここまでとさせていただきたいと思います。様々な御意見、本当にありがとうございました。本日示された科学技術・イノベーションにおける国際戦略は、予定では次回取りまとめということで、今日の議論を踏まえて改訂いただいて、次回、できれば取りまとめに入れればというふうに思います。
	【西條局長】  今日は、先生方からいろいろ、いい御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。最初は科学と技術とビジネスというところからスタートしてというところではございますが、最初に申し上げた「科学の再興」のところの議論でも、今、特に言われているのは、科学と技術とビジネスといっても、科学とビジネスがかなり近接しているという大きな時代の中での基礎研究をどう捉えていくのかという視点、それは一つ重要だということで我々も考えているんですが、もう一つは、ちょっとお話もありましたけど、中長期的な観点から見た、裾野の広さをどう確保するか。これはある意味、研究の多様性と研究人材の多様性も含めてですけど、そこをどう支えていくかというところも重要だということで議論をさせていただいているので、まさに今日御指摘いただいたようなところをどういった形でやっていくのかというのは、我々のほうでも、今日いただいた意見を参考にしながら、対応していきたいと思います。
	 それと、今日いただいた中でも、一つは、施策をそれぞればらばらにやっている感が見えているのかな。施策の構造化をちゃんとやっていかないといけないんじゃないか。施策の構造化をした上で、その結果、政策効果についてもちゃんと構造化して、どういう形で変えていくのかという。今までやっていたものをそのままやり続けるということではなくて、そういった中で全体像をちゃんとつくっていくというのは御指摘のとおりだと思いますので、その辺も少し考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。
	 あと、評価は当然、これ自身、非常に重要ですし、プログラムごとの評価と、もう少し中長期的な観点で見たときの評価というところも、もちろんこれは関係していくんですけれども、少しその辺も考えて、かつ、評価のKPIも、単純なものじゃなくて、これは我々もあるんですが、今、いろいろ御意見あった、例えば、Top10%・1%は、そういうことを操作しようとするところがあるという声も聞こえてきますけれども、正直、負けている国が変えましょうと言えるのかというところもあって、だからこそ、それだけというわけじゃなくて、多様性の重要性というので、まさに国際でこういうことが議論されているのであれば、それを我々もしっかりと見て、それは1国でそうだというわけではなくてというところはありますので、その辺も含めて少し見ていければなというふうに思いました。
	 あと、ネットワークづくりは、そのとおりだと思っていまして、非常に弱いです。一人一人の個人に対して、例えば、留学生を呼んできたら、留学生単体で終わってしまうことがあって、研究者であっても、まず、飛び立つアルムナイみたいな、まさにそういう仕組みとか、交流の場とか、レガシーとしてしっかり残せる。そこが、我々も狙いたい融合とか振興とかっていったときには、そのネットワークが生きてくるというのはあると思いますので、その辺も今日いただいた中で大きなヒントかなと思いました。
	 最後になってあれですけれども、引き続き御議論いただいて、いい形でまとめていただければと思います。よろしくお願いいたします。
	【菅野主査】  どうもありがとうございました。
	 それでは、事務局から、お願いできますでしょうか。
	【加藤専門官】  次回、第4回委員会については、今後、改めて日程等を調整させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
	【菅野主査】  ありがとうございました。
	 それでは、これにて委員会は散会といたします。本日は、どうもありがとうございました。
	 
	―― 了 ――
	 
科学技術・学術政策局国際研究開発政策課