令和6年12月19日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省15階科学技術・学術政策局会議室1及びWeb会議(Webex)
菅野委員(主査)、狩野委員(主査代理)、小川委員、梶原委員 ※オンライン参加:相田(卓)委員、相田(美)委員、飯塚委員、礒田委員、鈴木委員、林委員、松本委員
髙谷大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、倉田参事官(国際戦略担当)、岡田参事官(国際戦略担当)付企画官、長田参事官(国際戦略担当)付参事官補佐、飯塚参事官(国際戦略担当)付参事官補佐、村木参事官(国際戦略担当)付参事官補佐
第12期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第7回)
令和6年12月19日
【菅野主査】 では、定刻になりましたので、第12期科学技術・学術審議会国際戦略委員会第7回を開催いたします。
主査の菅野でございます。本日は、対面及びウェブ会議システムによるハイブリッド開催とさせていただくことになりました。委員の皆様には御協力をいただき、誠にありがとうございます。
初めに、開催に当たっての留意事項を事務局から御説明、お願いいたします。
【長田補佐】 事務局より会議開催に当たっての留意事項を御説明いたします。皆さん、おはようございます。本日はよろしくお願いいたします。
本日の委員会は公開で開催させていただいております。
まず出欠状況でけれども、石原安野委員、野本和正委員より御欠席の連絡をいただいております。また、相田卓三委員がオンラインで御出席予定ですけれども、今まだ入られておりませんが、いずれにせよ出席委員数が総委員数13名の過半数に達しておりますので、定足数を満たしているということを御報告いたします。
続いて、配付資料について御説明いたします。会場に御出席の委員の皆様は、お手元にあります資料を御覧ください。オンラインで御出席の皆様におかれましては、事前に事務局から送付しましたファイルを御覧ください。座席表、議事次第、資料1、2及び参考資料1~6となっております。なお、資料は一つのPDFにまとめておりまして、しおり機能で各資料を開けるようにしておりますので、御活用ください。ファイルの不備、また操作方法に関してのお尋ねなどございましたら、事務局までお知らせください。
次に、会議の円滑な運営のため、Webexによるウェブ会議システムの注意点を申し上げます。委員の先生におかれましては、表示名は本名、日本語表記、フルネームとしていただきますようお願いいたします。また、回線への負荷軽減のため、通常はマイクをオフにしてくださいますようお願いいたします。
発言される際の留意事項です。御発言がある場合は、会場に御出席の委員におかれては挙手を、オンラインで御出席の委員におかれましてはWebexの挙手ボタンを押していただきますようお願いします。また、オンラインで御出席の皆様は、マイク設定のミュートを解除し、御発言をお願いいたします。発言が終わられましたら、再度オフにしていただきますようお願いします。また、御発言の際は、オンライン参加者にも分かりやすいよう、皆様最初に御自身のお名前から御発言いただきますようお願いいたします。
その他システムの不備等が発生しましたら、随時お知らせください。また、ウェブ会議システムの音声が切れてしまった場合には、事務局より事前にいただいておりますお電話番号に御連絡させていただきます。その点、御承知おきください。御不便をおかけするかもしれませんけれども、何とぞよろしくお願いします。
最後に、文部科学省の出席者を御紹介させていただきます。
審議官の髙谷です。
【髙谷審議官】 よろしくお願いします。
【長田補佐】 参事官の倉田、企画官の岡田、あと補佐の私、長田が参加しております。
なお、髙谷審議官のほうは途中退席させていただく予定でございます。
事務局からは以上です。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。議題1「大学等における研究セキュリティ確保に向けた文部科学省関係施策における具体的な取組の方向性について(報告)」。では、事務局より御説明いただきたいと思います。
【倉田参事官】 それでは、事務局から資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
まず、経緯といたしましては、こちらの国際戦略委員会で8月30日にお取りまとめいただきました中間まとめで、研究セキュリティにつきましては、今後、研究コミュニティーの関係者とも連携をしながら、政府のほうで具体的な検討を進める場を設けることが求められるという御指摘をいただいておりまして、それに基づきまして、参考資料1でございますが、文部科学省の中に検討会を設置させていただきまして、こちら私どもの科学技術・学術政策局長を議長とする省内の検討会を設置して、3回にわたり検討を行ってまいりました。
その中で、検討の過程におきましては、菅野先生をはじめ、関係の大学の先生方にも御意見をいただき、また、いろいろな大学にも個別に意見交換をさせていただくなど、コミュニティーの方々とも意見交換をしながら検討を進めてまいりました。また、本日参考資料として同じく配付をさせていただいておりますが、参考資料2、JSTのCRDSからも、諸外国における取組ということについて私どもの検討会で説明をいただき、海外の状況などもより詳細に確認しながら検討を進めてきたところでございます。その省内の検討の取りまとめということで、資料1に取りまとめた内容を本日御紹介させていただければと思っております。
1枚目は概要でございますので、最後にこちらに戻ってまいりたいと思いますが、この概要の次のページから、本文のほうで御紹介したいと思います。
まず背景・目的は、こちらの国際戦略委員会のほうでも夏に御議論いただいたもののエッセンスをまとめているものでございますけれども、やはりまずは国際連携の重要性、そして学問の自由・独立性・開放性・相互主義/互恵性・透明性、こういったものに立脚した開かれた研究環境を整えていく必要があるといったところをまずは大前提として確認をさせていただいた上で、国際的にもG7、OECDの議論、そして国内でも、令和3年度の研究インテグリティの方針が出された後にも、内閣官房等におきまして技術流出防止策についての提言というものが有識者会議で取りまとめられるなど、国内でもやはり研究セキュリティをめぐる議論がなされてきていると。
こういった状況を踏まえて、省内の検討会におきましては、文部科学省施策において、大学――大学等としておりますが――そして大学共同利用機関等におけます研究に関しまして、当面のやっていくべきことというのをまとめたものというふうに整理をしております。やはりこの研究セキュリティの取組というのは、諸外国もそうですが、まだ試行錯誤、検討が同時並行で各国とも続いておりますので、この検討会で一旦終わりということではなく、継続的に検討していくと、そのような位置づけでの、まずはポジションペーパー的なものとしてまとめた性格のものとなってございます。
その上で、研究セキュリティの意味ということで、少し定義もさせていただいておりますが、研究セキュリティ、研究インテグリティもそうでございますが、諸外国で統一された定義等はまだない状況ではございますけれども、国際的な議論も踏まえながら、私どもとしては、この検討会では「外国への技術流出等につながる、外部からの不当な影響・干渉のリスクから研究を守ること」ということで一旦整理をさせていただいております。
また、その必要性等々は、冒頭の背景と重なる点もありますが、そういった研究環境、開かれた研究環境を守っていく必要があるということ。そしてまた、その研究への不当な影響・干渉が我が国の経済安全保障に及ぼすリスクに対応していく必要があると、そういった観点から今回検討を進めさせていただいております。また、こういった取組をしていかないと、大学等においても、やはり自らの研究活動の価値というものが毀損されないようにしていくことという、そういったリスクがあるということとともに、やはり大学としても国内外の社会や政府からの要請に応えていくためにも研究セキュリティの確保に取り組む必要があるということを、ここでも一旦整理をさせていただいております。
また、三ポツで諸外国の動向ということで、先ほど御紹介した参考資料2で詳しくは御紹介をしておりますが、主なエッセンスをこの三ポツにまとめさせていただいております。
やはり諸外国も非常に、政府機関、そしてファンディングエージェンシー、大学、いろいろな取組が進んでおりまして、国によって状況も様々ですし、政府機関の中でもやはり、政府機関の性格、位置づけに応じて様々な取組が濃淡含めてされておりますので、そういった各国のいろいろな役割分担ですとか、その性格というものも踏まえながら、海外の取組も私どもとしても参照させていただいた次第でございます。
主なものとしまして、まずはアメリカでございますが、NSFにおきまして2025年から、TRUSTフレームワークということで、まずは量子分野から研究セキュリティの確保の仕組みを始めるということが発表されております。また、NSFのほうでは同時に、各大学における取組を支援するということで、全国に6か所、拠点のようなセンターを設けまして、そういった大学の情報共有の取組なども含めて支援をするような形が進められようとしているところでございます。
また、イギリスでございますけれども、こちらもいろいろなガイドライン等が出て、特にUKRIというファンディングエージェンシー(FA)を通じて、やはりファンディングの際に、特に国際協力のときにリスク評価をしていくような、そういった方針が進められている状況になっております。またあわせて、イノベーション省のほうで共同研究アドバイスチームということで、各大学でいろいろな研究セキュリティの取組を行うに当たって情報共有ですとか助言を行う、そういった組織も構築されつつあるということでございます。
また、カナダにおきましては国のほうで、機微技術分野ですとか懸念機関のリストというものが既に発表、公表されておりまして、参考資料2でも一部御紹介をしておりますが、そういったものを策定、公表しながら、やはり各大学における取組の支援ということもやっておりますし、また大学間でも、そういった情報共有の場のようなプラットフォーム、コンソーシアムのようなものもできつつあると、そのような状況になっております。
こうした中、やはり諸外国と我が国が共同研究を行うに当たりまして、相手国側のほうから日本側の研究体制についての問合せが出始めているという状況でございまして、私どもとしても、やはり諸外国のこういった状況を見ていく必要があるということで考えております。
その上で、ここからが取りまとめのコアなところに入ってまいりますが、まずは基本的な考え方ということで整理をさせていただいておりまして、冒頭申し上げました、そういった共通の価値観に基づいた開かれた研究環境を守り、そして国際連携を進めていくためにも、こういった研究セキュリティが必要であるということ。そして、この研究セキュリティというのは、ゼロリスクというものを目指すといったり、あるいは幅広い研究に制限をかけるということについては実効的でないことに加えまして、やはり国際連携の阻害につながり、さらにはイノベーションの創出にも悪影響がございますので、あくまでも必要な範囲で、適切な範囲でリスクを軽減していく、ゼロリスクではなくてリスクを軽減していく、そういったアプローチで対応していくというような方針を書かせていただいております。また、こちらの研究セキュリティの確保についても、やはり各国もそうですが、まだまだ十分な知見が蓄積されているということではありませんので、試行的・段階的に、そして研究コミュニティーともコミュニケーションを図りながら進めていく、そういったことも基本方針に入れさせていただいております。
また、この最後でございますが、やはりこの研究セキュリティの取組におきまして、人種、国籍等による差別があってはならないというふうに私どもも考えておりますので、そういった考え方をきちんと適切に留意しながら、そういった取組の中で国際的にも連携をしていくということをここにも書かせていただいております。
具体的にはということで、5ポツからでございますが、今申しました基本方針に基づきまして、まずは二つの取組を進めてまいりたいということでまとめさせていただいております。まず一点目が、大学等に研究資金を提供する、いわゆる競争的資金のような、そういった形でファンディングしていく場合に新たに講じる取組ということでしております。二点目が、そういった取組の中で、やはり大学におけます研究セキュリティの確保の取組をどう文科省として支えていくかということ、この二点の観点からまとめさせいただいております。
まず一点目のところでございますが、新たに講じる取組ということで、基本的には、FAが支援を行うときに、プロジェクトベースで、そして内容に応じて必要なところだけリスクマネジメントをやっていくということで、どういったプログラムを対象とするかというところでございますが、まず第一歩としては、やはり国際共同研究です。共通の価値観を有する国との国際共同研究において、相手国と同等の対応を求められるようなプログラムからやっていくということを一点目として掲げております。また二点目は、経済安全保障上、重要な分野で、研究セキュリティの確保が必要な研究開発プログラムとして考えられる、この2点の観点から、まずは段階的に一部のプログラムから始めていくということで考えております。そういった取組を重ねながら、関係機関でもノウハウですとか情報を共有していく、そこがまずは重要であろうと思っておりますけども、そういった状況を見ながら段階的に、またその展開も図っていきたいということで書かせていただいております。
では、今申しましたそういったプログラムで具体的にどうしていくかといったところでございますが、まずは公募をする際にこういったリスクの評価をすることがあるということを、特定したプログラムでは事前にお知らせをした上で、皆様方に公募で申請をいただいた後、FAにおきましてリスクがあるかどうかといったところを確認し、リスクが一定程度ある、リスク評価をした上でリスクの軽減が必要であろうと考えられるものについて絞り込み、特定を行った上で、例えばプロジェクトオフィサーのような方を中心に、FA側と研究代表者、そして所属機関の間で調整の場、御相談の場を設けさせていただいて、そして具体的にリスクの軽減を図っていくというようなアプローチを考えております。
具体的なリスクの軽減の仕方については、もう本当にケース・バイ・ケースで、課題に応じて異なってくると思っておりますけれども、やはりまずは、リスク軽減方策のところに書かせていただいておりますが、機微度が高いと想定される研究については、研究実施者ですとかデータにアクセスできる者を限定いただく。あるいは、鍵つきの部屋でやったほうがよい、入出管理という面で、そういったハードで研究室の環境を構築するですとか、あるいは研究データの適切な扱い、そういったような形で具体的な方策の例として挙げてさせていただいておりますが、これは本当にケース・バイ・ケースになるかと思っていますが、こういったものも考慮しながら、実際にリスクの軽減の方策を調整していくというプロセスを考えていきたいとしております。
一方で、次の丸ですが、内閣府におきましても現在、このリスクマネジメントについて政府全体の手順書、ガイドラインのような議論もなされております。今回私どもこの検討会では、あくまでも文科省施策についてまとめたものでございますが、政府全体についてのそういった議論も行われておりますので、今後、内閣府や国家安全保障局のほうでまとめられたガイドラインというものが出てまいりましたら、もちろんそういったものも遵守をしながら、また私どもも、今回このまとめというものを関係政府機関ともちろん共有して、調整してまいりますので、そういったものと連携を図りながら今後進めていくということを最後に書かせていただいております。
また、こういった取組を進めるに当たりまして大学に期待することということで書かせていただいております。まず、今回の新たに行っていくアプローチというのは、あくまでもFAを中心としたアプローチになってまいりますけれども、やはりその前提としては、既にこれまでにも、令和3年からいろいろ大学の皆様にも御協力をいただいていますが、研究インテグリティの取組というものを徹底していただく、これが大前提になってまいりますので、そこについての引き続きの徹底をお願いしたいと考えております。その上で、一部のプログラムで、一部の課題でFAからお問合せ等させていただいた場合に、必要な調整に御協力をお願いしたいということでございます。その場合、もう既に研究インテグリティでいろいろな体制等は整えていただいておりますので、そういった既存の部署を御活用いただくということも含めて、今後FAからお問合せがあったときにどうしていくかといった体制のことについても御検討のほうをお願いしたいということでございます。
そういったことで、大学の皆様には引き続きの御協力をお願いしたいと思っておりますが、そういった中で、次の(2)にもつながりますけれども、文科省として、大学におけるこういった取組をどうお支えしていくかということで、幾つか挙げさせていただいております。
まず、諸外国もそうなんですが、やはり大学間でいろいろな情報のシェア、ノウハウのシェアというような取組も既に始まってきておりますけれども、私どもとしましても、そういった取組を引き続きぜひ進めていただければということで考えておりますし、また、そういった取組と文科省との連携の在り方ですとか情報交換の在り方といったところも進めてまいりたいと考えております。
また、大学の皆様といろいろお話をしていますと、やはりいろいろ御判断に悩まれるケースもあるというようなお話もいただいておりまして、そういったときの相談窓口というような形で、文部科学省のほうにも――こういった窓口を設けなくても既にいろいろお問合せもいただいておりますが――改めて相談窓口ということで設けさせていただきまして、大学側の御検討にも資するようなことをさせていただければと思っております。また文部科学省のほうも、文部科学省だけではなくて、政府内の関係機関とも連携をしながら、そういった大学へのアドバイスなどもしていきたいということで考えております。
また、研究インテグリティでも既にさせていただいておりますが、いろいろなトレーニングですとか研修教材ですか、今年度はヒヤリ・ハット集的なものも現在作成を進めておりますけども、そういったものについても引き続き整備をして、皆様にも共有していくというようなことを考えております。また、今回の取りまとめに当たりまして、いろいろな大学と意見交換などもさせていただいておりますけども、引き続き私どもとしても、コミュニティーの皆様とも連携を図って議論をしていきたいということでさせていただいております。
以上でございますが、そのようなエッセンスを1枚目の概要のほうにまとめさせていただいておりますので、本文は長くなっておりますので、この概要等を御参照いただければと思いますが、当面はこのような取組を進めていくということで、具体的には来年、年明けぐらいから一部のプログラムで始めていく、そういう方向で関係機関とも調整をしていきたいということで考えてございます。
まず文科省における検討の報告ということで、以上でございます。
【菅野主査】 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえまして、御質問があれば、お願いいたします。
【林委員】 よろしいでしょうか。
【菅野主査】 はい。林先生ですね。
【林委員】 ありがとうございます。内容は大変すばらしいものなんですけども、一点だけ、人種という用語が二度、取りまとめ、また本文中にも出てきて、人種という言葉は最近やはり避けておりますので、出身とか、そういう言い方に変えていただくほうがいいのではないかなと思いますけど、そういうことは可能でしょうか。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。こちらの検討会のほう、一度昨日付で文科省の検討として取りまとめさせていただいたところでございますが、今後こちらの国際戦略委員会としての検討に反映させていただくときには、そういったところもと思います。確認させていただきます。ありがとうございます。
【林委員】 よろしくお願いいたします。
【菅野主査】 ありがとうございました。ほかには。
梶原先生。
【梶原委員】 詳細な御説明、ありがとうございました。これに関してこれから進めていく上でのコメントを少しさせていただきたいと思います。二点あります。
一点は、ファンディングエージェンシーのほうで検討されると思うんですが、6ページの下ですが、公募によって多様な提案を受けるということなので、内容によって、研究テーマによって、リスク評価が必要なものと、そうじゃないものが多分出てくる、そういう読み方だと思うんですけども、ただ、配慮していただきたいのは、要するにリスクの有無によって採択が左右されるようなことだけはないように、まずはそういうことなしで採択を決めていただいた上でリスク評価をやっていただくのがいいかなと。やはりリスクを評価するということには手間もかかりますし、お金もかかりますので、そういったところが評価に影響するようなことにならないような御注意をしていただければなというのが一点です。
二点目は、前にもお話ししましたが、一番最後の8ページのところで、これも他国と同じようにプラットフォームをつくって広く支援していくということで、研究セキュリティ確保を支えると定義されているんですけども、これについても、やはりプラットフォームが届きにくい組織がございます。特に我が国の研究の中心になっている大きな大学は自らでもできる、ですけど、やっぱりそうじゃない大学などはなかなかそこが難しい。例えば提案型でやったときに、そういうところが不十分になる可能性も少しあるのではないかなと。なので、国を挙げて、色々な研究に関してリスクを軽減するということですから、なるだけ幅広くプラットフォームが行き渡るような試みをされたらいいのではないかなと思いますので、この二点だけコメントさせていただきます。
【菅野主査】 ありがとうございます。一点は採択のプロセスについて、二点目はプラットフォームの範囲についてということで。
【梶原委員】 すみません、科学大の梶原です。言うのを忘れました。申し訳ありません。
【倉田参事官】 梶原先生、御指摘ありがとうございます。まさに私どもも、このリスクがあるなしというのが採択のこれまでのプロセスに何か影響があるということは決してあってはならないと思っておりまして、このリスク評価も、プロセスも、あくまでも課題を前に進めるためにやるというところで考えておりますので、そこはそういうことがないように私ども、FAとも今後進めてまいりたいと思っております。
また、プラットフォームにつきましても、既に幾つか大学間でも自律的に、こういうプラットフォームですとかコンソーシアムをつくる動きがございますけども、やはり御指摘のとおり、そういったところになかなか入っていけない大学というところにも、私どもとしてもぜひ目配せをしながら、そして、私ども相談窓口というのを今後つくりますけれども、そういったところの機能も使いながら、そういった大学にもいろいろ御支援できるような、情報共有ができるようなことも、ぜひしていきたいと思います。目配せという言い方がどうかというのもありますけども、そういったところもぜひ留意していきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【梶原委員】 ありがとうございます。よろしくお願いします。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、相田先生、よろしくお願いいたします。
【相田(美)委員】 全体的なこととしてはあまり気になる点がないというか、よくまとまっていると思うんですけども、一点だけ、ちょっと細かい点で申し訳ないですが、例えば資料1の本体のほうの下に1と書いてあるページの上のほうに「学問の自由・独立性・開放性・相互主義/互恵性・透明性に立脚した形で」という、このフレーズがこの資料の中に何か所も出てくるんですけれども、文科省の文書を書くときのルールとしては、中黒と、スラッシュと、優先順位はどっちが高いのでしょうか。一般的に文章を私たちが書くときに、あまりこの優先順位を、ほぼ同等かなという感じで書いているんですけど、つまり区切る場所が分からないんですよね。
恐らく、相互主義あるいは互恵性という一かたまりで、ほかのものと中黒で続けているんだろうなとは思うんですけど、見ようによっては、自由・独立性・開放性・相互主義あるいは互恵性・透明性みたいな感じに読めなくもないので、これは重要な点なので明確に、誤解がないように読めるような文章にしたほうがよいのでは。何か所も出てくるので気になったので。文科省としてはルールがあるんでしょうか。
【長田補佐】 文部科学省、事務局です。先生、ありがとうございます。実は先生たちの国際戦略の取りまとめのときからこのスラッシュが入っておりまして、その趣旨は、相互主義、互恵性というところ、これは基本的に我々、G7とか国際的なところから取ってきていますレシプロシティ、英語を和訳したときに相互主義という和訳と互恵性という和訳があるんですけれども、これを日本語にしたときは捉え方も異なるかもしれませんので、ここは英語にしたら同じことなんですけど、この辺りをなるべく丁寧にということで、そういう気持ちがあってここはスラッシュになっているというのが趣旨でございますが、先生おっしゃったような感じで、優先順位があるように捉えられたりということがないように、すみません、我々も今後気をつけたいと思います。
以上です。
【相田(美)委員】 どこかで書いてあったので、皆さん、一度書いてあるものをみんなが使わなければいけないからというのはよくあることなんですけども、やっぱりおかしいものは変えたほうがいいのではないかと思います。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。今後、私どもも使い方に留意していきたいと思いますが、基本的には中の黒ポツで切れておりまして、相互主義または互恵性ということで、一つの用語のうまい和訳というところのニュアンスを、いろんな包含的な意味を含めて表すときに、こういったスラッシュを使っていたところがございますが、説明のときには留意させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【相田(美)委員】 でも、これは中黒を使わないで、カンマでもいいようなものなので、やっぱり中黒とスラッシュをこうやって使うのは、内容が分かる人には当たり前だと思うかもしれないけど、一般的にはちょっと誤解を生じる可能性があると思うんですけど。
【倉田参事官】 ありがとうございます。今後見直しをさせていただきます。ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。
それでは次、鈴木先生、よろしいでしょうか。
【鈴木委員】 産業界の立場からコメントさせていただきます。
前提として、もう既に大学においては研究セキュリティの確保に関する取組がなされているという前提になっていますけれども、それは誰の視点から。その基準が産業界の立場から見ても、大学の取組というのが十分かというところをどうやって担保するかとか、確保されているかとかいうところが非常に気になりました。イノベーションの創出というのは大学だけでやるわけでなくて、もちろん企業の研究所、研究でもやっておりますし、企業と大学が連携しての研究というときには、産業界のレベルから見ても十分であることが求められると思いますので、その辺が一切触れられていなかったのが大変気になりましたというコメントになります。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。産業との関わりということで、事務局から。
【倉田参事官】 ありがとうございます。この全体の位置づけということにも関わってくるかと思いますが、まず、いわゆる外為法等に基づきます貿易輸出管理というのは、法令に基づいてしっかりとセキュリティというのは各大学でも行われておりますので、そういったことが大前提としてあるということと、加えて昨今、研究インテグリティということで各大学においても、研究連携をしていただくときに相手の機関についての情報を確認する、ですとか、あるいはどういうところと連携しているかということを組織の中でもきちんと共有し、報告し、そして確認をする、そういった体制等もつくっていただいているというのがございます。なので、企業の皆様とやっていただくときには、通常いろんな契約を大学と企業の皆様で結ばれて、その契約の中で、いろいろな情報の取扱いですとか、そういったこともされていると思いますけれども、輸出管理上のセキュリティの対応が取られているという前提で企業の皆様とやっていただいているというのが通常だと思っています。
今回この文書で対象としているのは、文科省施策として、いわゆるJST等から行うファンディングでの研究の中での研究セキュリティの確保というところを対象とさせていただきましたので、少し今回の文書の中で、企業との共同研究についての研究セキュリティのところというのを直接は対象としていないというようなところがございます。ただ一方で、やはりそういった大学におけます研究セキュリティと切れて、縦割りになっているわけでありませんので、そういった全体的な大学における研究セキュリティの取組というのを支えるために、最後のところでございますが、文科省としてもいろいろな大学の御質問にお答えをしたり情報共有をしたり、あるいは引き続きのトレーニングなどもしていただくとか、そういった対応はしていきたいということで考えております。
【鈴木委員】 御回答ありがとうございます。JSTからのファンディングの研究というのは、大学単独でそういったファンディングを受けて研究を進める場合もありますが、企業と合同で受けてやるという場合もあります。当然ながら法令違反がないようなというのはもう大前提で、今その上でリスクがあるというのが今回こういう検討するに至ったことだと思いますので、その辺は、法令遵守していればリスクはないという前提は何かちょっと違うんじゃないかなというふうには思います。
【倉田参事官】 なので、法令遵守をした上で、さらに今、必ずしも法令だけでは対応できないリスクがあるので、それについて今回この新たな取組で研究セキュリティをするということです。そこについてはFAのほうで、まずはどういったところがリスクとなり得るかというのを、全部ではないですが、一部のプログラムから確認をさせていただいて、FAのほうから研究代表者の方にお問合せをし、場合によってはもしかすると、そういったところに産業界の方も入っていれば、産業界の方も含めて研究体制等についての御相談の場を設けさせていただいて、そこについていろいろな先ほどの、この研究課題については鍵つきの部屋でやりましょうですとか、そういったことについてのお問合せ、御相談をさせていただくということで、法令でやっているところはあくまでもできているという前提の下で、さらに今そこが少しリスク、そういったプラスアルファのリスクのところにどう対応していくかといったところでなっております。
なので、そこについてはなかなか明確な基準というものが設けにくいので、逆に法令でなっていないというところもあるんですが、そういう明確な基準があるわけではないので、個別にやはり相談をしながら、かつリスクゼロということにすることが難しい世界でもありますので、いかにリスクを軽減するかというアプローチで皆様と相談をしていくと、そういったことをまとめさせていただきました。そういう過程では、御指摘のとおり、産業界の皆様と連携してのプロジェクトももちろん入ってくると思っておりますので、そのようなところは、ぜひ産業界の皆様ともいろいろ御相談をしながら進めていければと思っております。御指摘ありがとうございます。
【鈴木委員】 ありがとうございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。
それでは次、飯塚先生ですかね。
【飯塚委員】 飯塚です。今の議論と大分かぶっているところがあるのかなと思っております。先ほど御指摘にあった窓口で困っている点というのは、もう既に窓口がなくてもお問合せがおありになるということだったので、一体どういうことがそういう問合せによくあることなのかということと、あと、先ほど伺っていてちょっと思ったのは、何らかそういう確認事項というのがあれば、それをある程度明文化したほうがむしろやりやすいのではないか。それは企業にとっても、それから大学にとっても、何かこういうものができていて、そのほかに何をという形で調べるのであれば、そちらのほうがやりやすいのかなと。だから、それというのが今、窓口で困っている点というのが情報収集源としてあって、今そういった意味で始めているところということだとは思うんですが、何らかそういうチェックリストなりガイドラインなりが作成されるということですが、そういうものがあったほうがいいのではないかと。
あともう一つは、じゃあ誰がそれをチェックして、認証ではないですけど、何らかのチェックをしましたという責任を持つのかというところもあったほうがいいのではないかと思いました。ちょっと先走っているところがあるかとは思いますが、以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。既に貿易安全保障、輸出管理等々の観点から懸念するべき組織というようなものが一定程度リスト化されているものもございますが、やはり今、そこだけではなくて、将来的に何らかの技術流出につながってしまうような、そういった事案というところに関係するようなケースに逆に巻き込まれないようにするために、ただ一方で、どういうところに気をつけなければいけない、どういう組織に気をつけなくてはいけないかといったところというのも非常に、常に変わっているところもありますし、なかなかやはり1人の研究者の先生あるいは大学だけでは少し判断がつかないケースというものがございまして、そういったものについてのお問合せ。あるいは、カナダなんかは機微技術のリストというものを公開しておりますけれども、やはり逆にどういう技術を我々が機微だと、重要だと思っているかというのをどのぐらいの粒度で公開するかというのは、国としても、戦略としても重要な観点でありますので、日本としても経済安全保障上、重要な分野というのはある程度出ておりますけれども、どのぐらいの粒度で出していくかといったところもありますので、あと、どこの分野は気をつけなければいけないかというのは先生方が一番御存じであるところもございますが、やはりそういったところをぜひ御相談をしながらやっていく必要があるということで、なかなか明確にリスト化、基準化ができない、そういう課題であるというのが、この問題の難しいところだと思っています。
そこが各国とも非常に悩んでいるというところで、ただ、それが現在、いろいろな国際連携の中で、大学間、いわゆる国際的な大学の連携の中でそういった情報がシェアされたりですとか、そういったことも始まっておりますので、そういったところに逆に日本が入っていけないようになってしまっては困るということ。あるいは、そういった取組をしていないことで日本側との共同研究を控えるといったことになっては逆にいけないというのも思っておりますので、そういったことがないように、私たちとしてもできることをやっていこうということでの今回のまとめになっております。
ただ一方で、そうはいっても、では何に気をつけたらいいかよく分からないというようなことももちろんあってはいけないと思っておりまして、既に研究インテグリティの世界で、いろいろなチェックリストということで、先生方にも御協力いただいてやっていただいて、科研費等に申請いただく際には、きちんとそういう対応をされているということを宣誓して、チェックもしていただいているというふうに承知をしておりますけれども、そういった形で、先生方あるいは各組織でも研究インテグリティという取組の中で、どういう相手と連携をしているかというのをその都度確認いただくなどは引き続きしていただきたいと思っております。それに加えて、やはりなかなかその取組だけでは対処できないようなリスクについて、今回新たにこういうアプローチを設けさせていただきたいということで思っております。
あと最後に、私ども、今画面にも映っておりますが、どういったことがリスクになり得るかというのは常に、世界も変わっておりますので、最新の情報を含めてアップデートした情報など、ヒヤリ・ハットではないですが、そういったものを皆様にも共有をして、先生方が気づかないうちにそういった事態に巻き込まれているといったことがないようにしていただくためにも、そういった教材ですとかオンラインツールとかといったものも開発をしていきたいというふうに考えております。
【菅野主査】 飯塚先生、よろしいでしょうか。
【飯塚委員】 ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。
それでは次、松本先生ですかね。
【松本委員】 今の御回答にも関係するお話ですけれども、これは結局、例えば名古屋大学の話でいくと、そういうことをセキュリティチェックする部署があって、それを一律チェックするという形にどうしてもなりがちなんですよね。この文書自体の方向性としては非常にいい文書だと思うんですけれども、じゃあこれを現場でいざやりましょうとなったときに、逆に担当者がいるがために、研究の内容までは分からない、そうなると一律にやってしまいがちなんですよね、同じルールで。
じゃあそこを具体的にどうしていくのかというのは今後の課題だなというところ、この文書に関してどうこうではないですが、ちょっとその点は感じましたので、コメントだけさせていただきます。
【倉田参事官】 ありがとうございます。私どもも全部の分野に一律同じ濃度でやっていただくという必要は全くないと思っておりますし、基本は成果公開の世界でもございますので、やはり本当に限られたところを適切にリスクを特定して、そこでリスクの軽減を図るというアプローチだと思っております。そういう意味では、今回まずはFAを中心に、FAからアプローチをさせていただくということにしておりますので、そういった分野について特に気をつけていただくというような形にしていただく。研究インテグリティについては全ての分野で、引き続き皆様のほうにも御確認いただきたいと思っておりますが、今回の取組は全ての分野で同じ濃度にということではなく、濃淡をつけてやっていくものだということで思っております。
ただ、そこの濃淡のつけ方も、本当に少し手探りのところも最初は出てくると思いますが、そういったところと、あとやはり、繰り返しですが、国際的な連携の中でこういった話も動いておりますので、先進主要国などの同じ価値観を共有する国と、どういうところに気をつけていくかといったところも共有しながら進めていく必要もあるかと思っておりますので、そういった中で、そういった情報についてもぜひ大学の皆様とも共有をしながらやっていく必要もあると思っておりますので、そういったコミュニケーションを取りながら進めていきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
【松本委員】 ありがとうございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。研究インテグリティと研究セキュリティと重なっている部分もありますし、研究インテグリティに関してはこれまで実際に進んでいるところで、そこに加えて研究セキュリティの部分をどうするかというところで、FAと議論しながらケースを積み重ねていこうというような状況であるということですね。
ほかには。
それでは、小川先生、お願いできますでしょうか。
【小川委員】 ありがとうございます。報告書も拝見しまして、改めまして、研究の開放性とか自由な行き来を確保しながら研究セキュリティも確保するというのは、諸外国も含めて試行錯誤されている最中であるということ、難しさが改めてよく分かった気がいたします。そういう中で、FAが関わるところから少し具体的な取組を進めていかれるということは理にかなった方法かと思っております。
他方で、先ほど鈴木委員からもありましたように、企業側から拝見していても、やはり大学のお取組に少し不安を感じるといったお声は、私も会員企業のほうから日頃伺っているところではありまして、そういう意味でも、より幅広く、大学全体の体制の底上げを図る、基盤を支援するという取組も同様に重要ではないかと思っております。企業もものすごく今、こういった情報セキュリティのところは苦労されていまして、手口もすごく巧妙になっているということで、恐らくあまり表にリスト化して出せないような、こういうこともありますというお話もたくさんあるんだろうと思います。
企業の営業機密の話と全く同等ではないかもしれないですけども、御参考になればと思いまして、経団連では時々、警察庁のほうと、御協力をいただきまして、会員企業、特にそういった体制があまり整っていないスタートアップも重点的にお声がけをしまして、機密が流出する危険性ですとか、最近こういった手口が見られるといったことを、クローズドの形でかなり具体的にお話をしていただくという機会を設けております。先日たまたま報道で、大学を対象に同じようなことをなさったということも伺いましたけれども、恐らくどうしてもオープンにはできないような気をつけるべき点も、クローズドの形で大学に対して周知していくようなお取組を省庁間連携の下で進めていただくのも一案ではないかと思いましたので、一言申し上げました。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。私どもも、やはり文部科学省だけではなく、関係機関とも連携をしながらこういった取組を進めてまいりたいと思っておりまして、そういう中で、既に研究インテグリティの世界と輸出管理の世界を合わせた形で、一緒に研修会、説明会なども進めさせていただいたりしておりますが、引き続き、そういった場も設けながら、情報提供などもしてまいりたいと思っております。また、そういった取組の中で、やはり大学における取組をどう支えていくか、広くどう支えていくかというのも非常に課題だと思っておりますので、そこも関係政府連携して、基盤的な体制も含めて、そこも整備していきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。
それでは次、礒田先生、お願いいたします。
【礒田委員】 ありがとうございます。大変よくまとまっていると思いました。
それで、8ページです。具体的に文科省で相談窓口を設置されるということですが、その規模とか、いつ頃を目指すとか、そういった情報をお聞きしたいということと、あと現在、私自身もちょっと経験がありますけれども、海外の企業がJSTの事業に参加するときに、APRIN eラーニングプログラム(eAPRIN)というものの英語版を受講していただいたという経験がありまして、例えばそういったものを基にするようなトレーニングプログラムとかをもっと、非常にまた内容が変わると思いますけれども、そういったことを具体的に進められるという、具体的なところをお聞きしたくて御質問させていただきます。
【倉田参事官】 ありがとうございます。まず一点目、窓口のところですが、私どももできるだけ早くと思っておりますが、年明け、春ぐらいになるかもしれませんが、設置をしましたら皆様に御案内をしていきたいと思っております。また、繰り返しですが、こういった窓口がなくても、今既にお問合せいただいておりますので、私どもとしても引き続き、何かあればいつでもお問合せいただければというふうに思っているところでございますが、一応正式に御案内するのは少し省内の体制を整えてからということになりますので、その中で。ただ、体制も、一気に充実した体制というのはなかなか難しいところもありますので、段階的にということにはなるかと思っておりますが、整えていきたいと思っております。一方で、逆に大学側にもこういったことの窓口を整えていただいて、大学側のポイント・オブ・コンタクトの方から私どもに御質問いただくなど、少し連絡体制も整えながら進めていきたいというふうに思っております。
また、研修につきましても、御指摘ありがとうございます。私どももちょうど来年度にそういったことできないかということで少し、今年度はヒヤリ・ハット集というのをやっておりますが、今度は研修プログラムみたいなものもつくれないかということで検討しておりますので、そういったことも具体化できるようになりましたら、また御案内をさせていただきたいということで思っております。ありがとうございます。
【礒田委員】 よろしくお願いいたします。
【菅野主査】 ありがとうございます。
それでは、ほかには。
【狩野主査代理】 大変よくまとめていただいていて、しかも大学の事情も把握した上で作っていただいたということは非常によく分かりました。他方で、途中でございましたように、企業の皆様の御意見を集約する場というセンスが、少なくとも記述上はあまり、もう一声だったかなと思って拝見していました。経産省なり外務省なり、あるいは経団連の皆様の水面下の情報も集められるような仕組みがあるといいなということは存じた次第でございます。
それからあと、一枚目の紙だけをもし大学の人が見たときに、特にまだ意識が高くない方々が見た場合に、何をしなければいけないかというのがもう少し明確にあるといいかなと思いました。要は、ポイントとして結局のところ、「必須な情報を把握して、その対応を検討することが大事だ」ということだと思うんですけど、その必須な情報が何かという御意見も途中にありましたが、それを毎回聞かないと分からないのだと、やっぱり対応が遅れる気がいたします。何かの方法で「必須な情報」が共有できるといいなと思ったのが一つです。
それから、必要な情報を集める手段というのも、なかなか当事者に聞くだけだと難しいときもございます。それをどうするかという点は何か考えられたらいいなと思いました。例えば今回の東京大学の方からの資料についている一番最後に、そういうなりわいをしている企業の方々のリストがあったりいたしますけれども、そういうことでいいのかとか、オープンソースだけでも大丈夫なのかとか、いろいろと各機関で考えると難しさがあるかなと思いました。ここらをどうするかを少し考える必要があるのかなと思いました。
あと、途中でございましたスタートアップの方々への対応というのは、特に大学発といった場合に、大学はどこまで責任を負うべきなのかという点は今後出てくるかなということも少し伺いながら思いまして、どこまでいったら「親元」を離れているのかというか、スタートアップ当事者だけが考えればよくて、どこまでは大学が責任を負うべきかというあたりも今後議論の対象になるなということは思った次第でございます。
いずれにせよ、初めにどこからやるということが明確にしていただきましたので、多分皆様御心配の留学生の方にどうするかという点についてはクリアになっているのだろうと思いますし、今申し上げたようなことが念頭に置きながら進められれば大変よいのかなということを思って伺った次第でございます。
どっちかというとまとめをしてしまいました。失礼いたしました。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。いろいろ大学の皆様、現場の皆様からすると、やはり具体的に何をどうしたらいいのというところはあるというふうに私どもも思っておりますので、どういう形で情報共有していくかということのノウハウも含めて、私どもとしても試行錯誤を続けながらも、ぜひ現場の皆様が困ることがないように、いろいろな取組を進めてまいりたいと思っております。また、そういうオープンソースといいますか、いろいろな公開情報をベースに、まずはどういうところと連携するかといったときに御確認をいただくというのが大前提であると思っておりますが、その上で、私どもの検討の中でも東京大学の取組などのお話を伺った際に、最近はそういう民間のサービスも既にできているということは承知をしておりますけども、そういった取組の活用ももちろんあるかと思いますし、あるいは、先ほど言いました大学間の連携、あるいは国際的な大学間の連携でそういった情報を得ていくというようなこともあるかと思っておりますので、いろいろ複層的な対応になるかと思いますが、ただ、そういうことをやるに当たっても、やはり大学におけるそういう基盤も重要になりますので、そういったところの支援というのも引き続き検討していきたいというふうに思っております。
また、スタートアップの点も非常に重要な点だと私どもも認識をしておりまして、今回はまずファンディングエージェンシーからのアプローチのところでやっていきましたが、そういった取組が進む中でノウハウというものが組織の中でも横展開されていくということもあると思いますし、あるいはスタートアップの場合ですと、やはりどういう資本関係になっていくかというような、別の観点で調べていく必要もあったりというのも認識をしておりますので、そこをどういうところまで大学がやっていく必要があるかというのは、今後の課題としてはぜひ考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
【狩野主査代理】 ありがとうございます。とりわけ、ある組織が相手方にあったときに、その裏側にどういう資金が動いているかということはなかなか調べただけでは分からないときもあると思います。この辺りをぜひ、どのように具体的にしたらいいかについて、御示唆をこれからもいただければというふうに思いました。ありがとうございます。
【倉田参事官】 ありがとうございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。
オープンソースに関しては結構重要なポイントで、この取りまとめのときにも多分かなり気を遣った点だと思います。オープンソースで分からないところは、文科省で対応の窓口が立ち上がるなど、その両面から研究セキュリティに関していろいろな体制を整えるとのことですね。あと企業との関係、大学とスタートアップとの関係というのは、今の段階ではやはりFAを通じての共同研究というところで議論してきていますので、これはまた次のテーマ、課題ということになろうかと思います。
ほかにいかがでしょうか。相田卓三先生、もしコメントがあれば。
【相田(卓)委員】 特に大丈夫です。ありがとうございます。
【菅野主査】 はい。ほかにもし何かあれば、これまでの皆様の御意見、議論を踏まえて追加のコメントがあればお伺いできればと思いますけれども。よろしいでしょうか。
では、大学等における研究セキュリティ確保に向けた文部科学省関係施策における具体的な取組の方向性についてという、この報告、文書については、ここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
続きまして、議題2「科学技術・イノベーションにおける国際戦略(案)について」に入ります。議題2では、これも初めに事務局より御説明いただきたいと思います。
【倉田参事官】 それでは、資料2に基づきまして御説明させていただきます。
先ほどちょっと御紹介しましたように、もともと8月30日のこちらの戦略委員会の中間まとめで、政府で検討するようにということで御指摘をいただきまして、先ほどの検討を一旦取りまとめたところでございますが、それを踏まえてということで、こちらの戦略委員会のこの前の中間まとめにその点を反映させる形で一案を作成させていただいております。ただ、先ほど御指摘をいただきました互恵性等々についての中ポツとスラッシュのところですとか、その辺りはぜひ反映させていただきたいと思っておりますが、すみません、そこの辺りは後ほど修正させていただくとしまして、今画面に表示しております一ポツ、二ポツ、三ポツというのは、前回8月30日にまとめて公表させていただいた中間まとめから特段変更はまだしていない状況でございます。
最後の研究セキュリティのところにつきまして、先ほどの検討するようにという指摘を踏まえて検討したということをこの中に反映させていただいております。具体的には黄色でハイライトしているところでございますが、文科省において一応こういうことが取りまとめられているということで、下ですが、文科省としては、研究セキュリティ確保の仕組みをしていく必要があるところ、本文書に基づく取組を、まずは試行的・段階的に開始し、実行に移すことが重要であると。また、大学としてもこういった研究セキュリティに取り組んでいくことが重要だということの御指摘の案ということでさせていただいております。
また、繰り返しですが、こういった取組については諸外国も試行錯誤が続いておりますので、継続的な検討を行うことが必要であるということで、一旦この国際戦略委員会として、先ほど御報告をさせていただいた文部科学省のこの検討というものを踏まえての、簡単な方向性をこういった形で取り入れていただくということで一案を作成させていただいたものでございますが、こういった形で一旦取りまとめることについて、ぜひ本日御審議をいただければというふうに考えてございます。
【菅野主査】 どうもありがとうございます。それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえまして御意見、御質問があれば、お願いいたします。いかがでしょうか。
この案については、一旦8月の段階で研究セキュリティの前のところまでは御議論いただいて、一応確定というか、取りまとめた文書になります。その後、研究セキュリティの議論が文科省内部で進みましたので、今日の前半に御説明いただきましたけれども、その内容を組み込んで、国際戦略委員会の案として提出をしたいというところです。したがって、黄色になっている部分ですけれども、この部分を中心に、もし何かあれば御意見、御質問いただければと思います。
【倉田参事官】 事務局からでございますが、一点補足でございまして、今回こちらの戦略委員会の御議論、春先からさせていただいておりますが、まずは今後内閣府で行われるであろう第7期科学技術・イノベーション基本計画の検討に方向性として二点ほど、この国際連携の重要性と研究インテグリティ・研究セキュリティの重要性ということで、二つの方向性を内閣府と今後の検討にまずは提示するというようなことで進めていただいておりました。なので、一旦年内にはそういった方向をお取りまとめいただいて、私どももこの方向を内閣府のほうに提示したいと考えております。
その上で今後、さらに内閣府の検討を見据えながら、より具体的な、特に国際連携、前半部分の(1)のところでございますが、では具体的に、どう今後5年間、戦略的に国際連携を進めていくのかという具体のところについての御議論をぜひ私どもとしても、年明け、また来年から、バージョン2ということではないですが、2.0ではないですが、さらにこの文書とはまた別に少し御議論いただいて、また内閣府のほうの具体的な議論にも今度我々から提案ができるような形で進めていきたいというふうに思っておりますので、まずは今回この方向性ということでの一旦の取りまとめということで、今このような案とさせていただいております。位置づけを念のため御報告させていただきました。
【菅野主査】 ありがとうございます。
【狩野主査代理】 人材委員会も担当させていただいておりますので、この前半のところをどういうふうにつくるかについて、少し考えを申し上げたいと思いました。
一つ目に、人材委員会のほうで出した人材の今後の在り方というのに、科学を「深める」だけじゃなくて、人をつなぐとか、それから課題と専門を「つなぐ」とかいうような、つなぐ役割をする力も必要、という柱を一つは入れました。もう一つは、産生された知識を現実に「活かす」という軸の力も必要、という柱を提示いたしまして、これはこの前の科学技術・学術審議会の総会のときにも申し上げましたので、把握されているところと存じます。こうした面についても考えながらというところをこの中にどういうふうに具体化するかというのは、ぜひ考えられたなと思います。
私の知っている一つの事例としては、ASEAN地域で科学技術のコーディネートをする人材を育てようという動きがあったりします。そういうのは一つ、その中では「つなぐ」人材のことだと思いますけども、そうしたこともこの中に実は含まれるというあたりをうまく表現できたらいいかなということを思いました。でないと、どうしても真ん中の科学者の頭脳循環しか考えにくいこともあるかもしれませんので、そこを何か触れられたらいいかなと思ったのが一つです。
もう一つは、今の内閣が大事に思っておられるであろうところの地方創生です。これも私は東京ではないところで主に給料もらっているので申し上げますけれど、そういう日本の各地の違う魅力を活用しながら国際の流れをつくるという考え方も、ぜひあったらいいかなと思いました。これはつまり、専門から出てくる好奇心だけじゃなくて、「現場を見ることによる好奇心」というのがあると思うんですけど、そういうものを育てるということがあると、例えばアジアのほかの地域ですと、東京よりも地方のほうが似ている環境の人たちもいるかもしれません。そのようなことから得られるような魅力というのもあるかなということを思いまして、少し申し上げてみました。
この二つの観点は今のところ、文言には少なくとも、多様性ということ以外には入っていないかなと思いました。多少こうした具体がないと、研究セキュリティのほうがよく目に入ってしまって、釣合いが難しくなるというのを心配しまして、こういうこともあるといいかなということを申し上げました。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。事務局は何か、よろしいでしょうか。
【倉田参事官】 まさに(1)の前半もそうですが、やはり具体のところです。今回まず方向性を提示するということで、この御議論をずっと国際戦略委員会でもしていただいておりましたので、年明けからは、より具体的な取組というのを先生方にもまたぜひ御議論いただいて、私どもとしても具体的な施策につなげていくことができればと思っております。ありがとうございます。
【菅野主査】 では、梶原先生。
【梶原委員】 東京科学大の梶原です。本当にショートなコメントで、もちろん主査代理の狩野先生の言われたこととかなりオーバーラップするんですけども、今回事務局のほうで出されたものは、方向性として二つの柱でしっかり出している、これはもう本当に賛成したいと思いますが、その意味で、今この案を案として出されて結構だと思うんですが、ただ今後、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けて5年どうするかという具体的なものについて、これを決めたときにはまだアメリカ大統領も決まっていないこともあり、時勢で内容がかなり変わってくる部分もあるので、そこをちゃんと合わせた上での提言にするためには、一回、バージョン2で構わないので、一回目のものを見直しながら少し修正を加えていくというのは必要かなと思いますので、ぜひそういったことを今後議論させていただければと思います。ありがとうございます。
【倉田参事官】 ありがとうございます。本当に御指摘のとおり、国際情勢も刻々と変わっておりますので、そういった形でタイムリーに我々としても施策を考えていきたいというふうに思っております。そのためにも、ぜひ引き続き、より具体的なところは年明けに御議論いただけるように、また私としても進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
では、相田先生、お願いいたします。
【相田(美)委員】 ありがとうございます。どちらかというと、先ほどの狩野先生の御発言にさらに輪をかけて発言することになるかなと思うんですけれども、資料2の下に2ページと書いてある大きな3番の方向性というパラグラフの中の上から3行目に「国際標準の研究環境の確保・維持が重要であり」という表現があるんですけれども、これはとても重要なパラグラフだと思うんです。国際標準の研究環境というと、ものすごくいろんなこと、意味を含んでいて、ここであえて具体的なことは何も言わずに、国際標準の研究環境の確保・維持だけにとどめているところが、また何か微妙に、なかなか考えているんだろうなと思ったんですけども、「その基盤である、多様な人材との知的交流を日常的に行うことができる環境が不可欠」、この単語だけまたそこに足してしまうと、また気持ちがここだけに焦点を当てようとしているというのが、もっとほかにも基盤はあるんじゃないのかなと思うんです。
なので、方向性として国際標準の研究環境の確保・維持が重要というのはもう絶対なので、強調しても強調し切れることはないと思うんですが、それが何を意味するかというのをもうちょっと具体的に書いたほうがいいのではないのかなと思います。そのうちの一つが、先ほど狩野先生おっしゃったように、例えば国際的に重要な、セキュリティが重要な研究というのは、何も量子だけではなく、いわゆる最先端のことだけではなく、意外と見過ごしていて当たり前だと思っていたもの、見過ごしていることがすごく重要で、それが世界的に実は重要だったということもないわけではないわけです。ですので、どこの大学でもそういうことを実は本人が気がつかないうちにやっていることもあるわけだから、そういう意味で幅広く、どんな大学でも、どんな研究機関でも国際標準の研究環境の確保・維持が必要だと思うんです。なので、そういう観点も少し強調させていただければいいかなと思いました。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。どうぞ。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。もう御指摘のとおりで、この国際標準というのも、より具体化をして、具現化していかなければいけないところだと思っておりますが、そういったところも含めて、具体施策とセットでぜひ議論していきたいと思っております。ありがとうございます。
【菅野主査】 そうですね。具体的な施策に関しては、多分次の機会から議論ができればよろしいですね。
それでは次、鈴木先生、よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】 今の国際標準の相田先生ですとか狩野先生の御発言に近い部分もありまして、国際標準の研究環境の確保・維持というのは大前提だと思うんですが、後ろのほうに行きまして、ページでいうと5ですけれど、研究セキュリティの確保という意味では諸外国のほうが進んでいて、今後我が国にも「同等の取組が求められていくことが想定される」という、ここの書き方が非常に受け身といいますか、最初の方向性で国際標準というのを担保するというか目指すというか、そこは前提であるというところに、そごというんですか、何かトーンが違うなというふうに思いました。
むしろ我々がやりたいことは、研究競争力を強化するということなので、むしろリードするみたいな、日本は非常に安心安全で研究できる環境なので、ぜひ日本と一緒に連携して研究しませんかというような、むしろ進んでいることをアピールするようなところまで、レベル感まで持っていかないと、もともとの国際競争力強化、研究の競争力強化というところは達成し得ないんじゃないかなというふうにちょっと感じましたという、ちょっと感想的なコメントになります。
以上になります。
【菅野主査】 ありがとうございます。事務局から。
【倉田参事官】 まさに一般的に研究環境、研究設備も含めて、あるいは国際的な、海外からのいろいろな方を受け入れていくための環境ということもありますし、データのシェアとか、いろいろな観点の環境がございますが、そういったものはぜひ私どももリードしてやっていく必要があるというところで思っております。一方、このセキュリティのところについては、もちろん従来から我々も安全保障貿易管理等は取り組んでまいりましたが、先ほど前半で御説明、御議論いただいたところについては、やはり外国のほうが一歩進んでいるところが残念ながらございますので、かつ、そういったところに我々として応えていかなければいけないということが議論の発端となっておりましたので、今回はこのような形を取っております。ただ、私どももここはぜひ、キャッチアップという言い方はあれですけれども、今回このような形で一歩踏み出していきますので、逆にここはもう同等に、こういう議論ができるようにはしていきたいというところで思っております。ここは少し背景と時系列からこのような形で書いておりますが、おっしゃるとおり、ここは今後は同等に対応していけるようにしていきたいと思います。ありがとうございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。
【狩野主査代理】 一つだけいいですか。
アフリカとかアジアの言葉がこの中に出ているのを見て思ったことなんですけれども、その地域で必要とされている内容を考えますと、いわゆる最先端のみならず、そこで使えるような知恵というか、技術を開発する必要があるということがきっとあると思います。そのときに、我が国が今設定している科学技術の勝ち筋というんでしょうか、こうあるべきだという内容が、そこを目指したものに必ずしもなっていないかもしれず、でもそういうことを表現できるのはこの国際の場かもしれませんので、ぜひ一回振り返っておきたいなと思いました。
私は今、大学の附属学校の担当にもなっていて、同じようなことを附属学校への文部科学省の御期待として言われたことがあるのは、「一般の学校で活用できる内容」なんだけれども、「附属学校、大学の附属だから始められる内容をつくってください」と、「大学の附属でないとできないことで終わってはいけません」という話がありました。多分同じようなことがこちらで言えるのかなと思っておりまして、「日本だから思いつける」けれども、そうした「アジアあるいはアフリカといった各地で活用できるものをつくる」ということが、産業的にきっとこれから大事な一つだと思いますので、ここで一回リマインドしてみたいと思いました。
以上です。
【倉田参事官】 ありがとうございます。やはりそういった少し具体的な戦戦略づくりというのを、ぜひ今後進めてまいりたいというふうに思っております。ありがとうございます。
【菅野主査】 前半部分は大変重要なところなので、これまでこの国際戦略委員会を中心とした施策がどのような効果を上げているかというのを一度勉強する機会もあったほうがよろしいかもしれないですね。それも踏まえて、今現在走っているプログラムの課題、うまくいったところなどを踏まえて、どのように次の基本計画に展開すればいいかというのをすると、より説得力が増すかもしれないですね。
【倉田参事官】 ありがとうございます。今回どうしても国際戦略委員会、こちら今表示していますが、この研究セキュリティというところに一歩踏み込んでいただいた、御議論いただいたというのが、文科省の科学技術・学術審議会の下の委員会として初めてのものになりますので、ここが本当に大きな第一歩ということで先生方に進めていただきました。ですので、そちらにちょっと偏った議論がこの半年近くございましたけれども、少しまた前半といいますか、(1)の世界について、これまで文科省が取り組んできた取組なども振り返りながら、またぜひ先生方にも御意見を賜ればというふうに思っております。ありがとうございます。
【菅野主査】 そうですね。セキュリティについては、やはり相手のあることですから、状況を見ながらということが多分大変重要かと思いますけれども、我が国の強みを伸ばすという意味では、それ以上に、もうちょっと我が国の特色を出すと。そのためには、これまでの施策を踏まえてどのように次展開するかという前向きの議論ができると思いますので、今後期待したいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
小川委員、お願いいたします。
【小川委員】 皆様から前半のところについて、今後の議論ということですけれども御意見ありまして、私も少し、同じようなことですけれども、申し上げたいと思います。
国際標準の研究環境というお話が何人かの方からございました。ちょうど私、今週の前半に沖縄科学技術大学院大学、OISTのほうを視察する機会がございまして、あちらは私立ですけれども、ちょっと特殊な国の予算がかなり入った形で運営されている大学でございますけれども、この国際戦略委員会で議論されているようなことが具体的に実現されているんですね。
世界中から教員の方も大学院生の方も、日本よりもむしろ外国の、世界中からいらっしゃっている方々のほうが比率が多いとか、御説明にあったんですけれども、先生方は競争的資金を取る心配をしなくてよくて、もういらっしゃったら、Day1から自由に研究ができるとか、最高水準の設備も整っておりますし、先ほどアジア、アフリカというお話がありましたけれども、例えばインドから来られた研究者の方が、御自身の国の課題から発想された研究をされて、それで世界中の農業の改善に資するようなスタートアップを立ち上げられたとか、まさに人材、頭脳循環とか、そこから世界中の課題解決に資するような研究が生まれるといったこと、こちらの委員会で抽象的に議論しているようなことが実際にできるところがあるんだということを目の当たりにした気がしております。でも、それも何といっても豊富な国家予算があってのことだというのも、また現実であろうかと思います。
経団連はつい先日、FUTURE DESIGN 2040という、2040年を見据えた全体的な提言を発表しましたけれども、その中で実は、研究力向上のために、やはり研究環境の改善というのは必須だということを打ち出しまして、あまり注目されていないかもしれませんけれども、運営費交付金とか科研費大幅拡充ということを実は打ち出させていただいております。ただ、ただ予算を拡充するだけではなくて、やはりそういったOISTに見られるような、全くここで抽象的に議論してきたようなことが実際に実現するところに至るまでには、相当程度大学の在り方も併せて変えていかないと、ただ予算を増やすだけではなかなか難しいのではないかと思います。人事制度ですとかをはじめとして、大学の人事制度とかガバナンスとか、いろいろなところが伴って初めて実現するものと思いますので、実は皆様が先ほどからおっしゃっていた国際水準の研究環境というところは、国際戦略委員会の範疇を超えるような大きな大学全体の改革の話にもつながっているのかなというふうに思いました。年明けから、そうした大きなところも含めて、ぜひ議論させていただければと思った次第です。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。事務局。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。どうしても予算と絡むところもございますけれども、御指摘のとおり、それだけではなくて、やはり大学の在り方、国際だけではなく、大学としてのガバナンスの在り方、人事制度も含めて、そういったことも非常に関係してくる議題だと思っておりますので、私ども、省の中ではそういったところとも連携をしながら今後検討を進めてまいりますが、ぜひ御指摘いただいた観点からも御議論いただけるように、また御相談させていただければと思います。御指摘ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。日本の中の大学で育った人間としては、やはり日本らしい研究環境というのがあるわけですね。だからそれを強く押し出すというのが日本の強みになるというふうに私自身は考えます。だからそれが世界の中でトップの、ワン・オブ・ゼムではなくて、日本らしい特徴を出して本当の世界のトップになるべきであるというのが目指す理想であろうというように私自身は考えます。それについてどのように海外の様子を見ながら目指せばよいか、なかなか道筋は、道のりは遠いと思いますけれども、そういう議論ができればよろしいですね。
ほかにはいかがでしょうか。まだ発言いただいていない先生方いらっしゃいますけれども、ぜひ、もし何かあれば。よろしいでしょうか。
それでは、様々な御意見ありがとうございました。本日、資料2、科学技術・イノベーションにおける国際戦略(案)に関しての議論をいたしましたけれども、今日の時点で、この現状案で決定させていただいてよろしいでしょうか。
それでは、現状案……。
【倉田参事官】 先ほど先生から御指摘いただいた細かい表現ぶりのところですとか、若干表現だけは修正させていただきまして。
【菅野主査】 すみません、文言の修正が入っていますね。
【倉田参事官】 事務局で修正をさせていただきますので、よろしければ主査のほうにまた御確認いただいてということで。
【菅野主査】 分かりました。では、先ほどの御意見も踏まえて、修正については主査に一任させていただくということでお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
続いて、議題3「その他」に入ります。事務局から、その他、議論する案件があれば、御説明をお願いいたします。
【倉田参事官】 ありがとうございます。まさにこのその他で、先ほどの(1)のところのような御意見をいただければと思っておりましたが、もう既に御意見もいただきましたので、繰り返しですが、私どもとしても、これでもう終わりということではなくて、やはり今後具体的にどういうことをやっていくか、どういう仕組みでより強化していけるかといったところで、どういう新しい切り口からどういう取組を取り組んでいったらいいかというところを、少し先生方にもまた御意見、お知恵をいただければと思っておりますので、また年明け、事務局から御相談させていただくことがあるかと思いますが、ぜひその際はどうぞよろしくお願いいたします。
こちらからは以上でございます。
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、最後、事務局より事務連絡をお願いいたします。
【長田補佐】 次回、第8回委員会の開催日時は現時点で未定となっておりますが、また詳細、追って御連絡させていただきますので、引き続きよろしくお願いします。
事務連絡は以上です。
【菅野主査】 どうもありがとうございました。
国際戦略委員会、これで閉会させていただきます。今日はどうも様々な御意見ありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局参事官(国際戦略担当)付