令和6年8月26日(月曜日)16時00分~17時30分
文部科学省15階特別会議室及びWeb会議(Webex)
菅野委員(主査)、狩野委員(主査代理)、梶原委員、野本委員 ※オンライン参加:相田(卓)委員、相田(美)委員、飯塚委員、礒田委員、小川委員、松本委員
井上科学技術・学術政策局長、髙谷大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、倉田参事官(国際戦略担当)、長田参事官(国際戦略担当)付参事官補佐、飯塚参事官(国際戦略担当)付参事官補佐、村木参事官(国際戦略担当)付参事官補佐
第12期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第6回)
令和6年8月26日
【菅野主査】 では、定刻になりましたので、第12期科学技術・学術審議会国際戦略委員会を開催いたします。
第12期科学技術・学術審議会国際戦略委員会室の菅野でございます。
本日は、対面及びウェブ会議システムによるハイブリッド開催とさせていただくことになりました。委員の皆様には御協力をいただき、誠にありがとうございます。
初めに、開催に当たっての留意事項を事務局から御説明をお願いいたします。
【飯塚補佐】 事務局より、会議開催に当たっての留意事項を御説明します。
本日の委員会は公開で開催させていただいております。
まず、出席状況ですが、石原委員、鈴木委員、林委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、相田委員はちょっと今接続不良が起きているんですが、途中から参加される予定です。
いずれにせよ、出席委員は10名ないし9名ですので、総委員数13名の過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。
続いて、配付資料につきまして御説明します。会場に御出席の委員の皆様は、お手元にあります資料を御覧ください。オンラインで御出席の皆様は、事前に事務局から送付しましたファイルを御覧ください。座席表、議事次第、資料1及び参考資料1~4を本日は配付させていただいております。
なお、資料は一つのPDFにまとめており、しおり機能で各資料をすぐに開けるようにしておりますので、御活用ください。ファイルの不備や操作方法に関してのお尋ねがございましたら事務局までお知らせください。
続きまして、会議の円滑な運営のためのWebexによるウェブ会議システムの注意点を申し上げます。委員の先生におかれましては、表示名は本名を日本語表記・フルネームとしていただきますようお願いいたします。また、回線への負荷軽減のため、通常はマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
また、御発言される際の注意事項です。御発言がある場合は、会場に御出席の委員におかれては挙手を、オンラインで御出席の委員におかれてはWebexの挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。オンラインで御出席の皆様は、マイク設定のミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら両方を再度オフにしてください。また、御発言の際にはオンライン参加者にも分かりやすいよう最初に御自身のお名前から御発言いただきますようお願いいたします。
そのほか、システムの不備等が発生しましたら、随時お知らせいただきますようよろしくお願いいたします。
ウェブ会議システムの音声が切れてしまった場合には事務局より事前にいただいておりますお電話番号に御連絡させていただきます。
表示名や音声、映像については事務局により操作させていただく場合がありますことを御承知おきください。御不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
最後に、文部科学省の出席者を御紹介させていただきます。科政局より髙谷審議官、参事官の倉田、補佐の長田と村木と私、飯塚が参加しております。また、井上局長にきましては後ほど参加する予定です。
以上、事務局からの事務的な御説明をさせていただきました。
【菅野主査】 ありがとうございます。
それでは、議事に入ります。議題1、科学技術・イノベーションにおける国際戦略(中間まとめ)案について、では、事務局よりそれぞれ御説明いただきたいと思います。
【倉田参事官】 それでは、事務局から資料1、そして適宜参考資料1の参考データ集を御覧いただきながら、資料1のほうを御覧いただければと思います。資料1を御説明させていただきます。
こちらの中間まとめ案につきましては、前回のこちらでの委員会での御議論を踏まえまして、さらに文章のほうを追加させていただいたり、肉づけをさせていただいたものでございますが、基本的な構成は前回お示しした案から大きくは変えてございません。
まず一ポツ目でございますが、「第6期科学技術・イノベーション基本計画策定時からの変化」ということで、二点ほど。先端技術の著しい進展ということで、生成AIをはじめとしました先端技術の進展速度が非常に増しているとともに、またその影響の範囲も非常に広がっているという点を書かせていただいております。
また、二点目は地政学的な変化ということで、昨今の国際情勢の不確実性ですとか、世界の安全保障環境の厳しさといった点、あるいは開かれた研究環境を不当に利用して不正に技術等を搾取しようとしている、そういった動向への懸念等もここで挙げさせていただいております。
二点目でございますが、「検討にあたっての背景」ということで、繰り返しの点もございますが、まず大前提といたしまして、開かれた研究環境の中で研究者が国際的に連携しながら自由な発想に基づき、研究を通じて科学が発展してきたというところをまずは大前提として書かせていただいております。
その上で、昨今の状況といたしまして、我が国のアカデミアの皆さんの科学的な世界での国際ネットワークといったところが近年弱体化しているのではないかといった御指摘もございまして、これを太くし、そして新たなネットワークを強化していく。それが現在、コロナ禍を経て、残り少ない、日本がもう一度国際的なネットワークに入っていくための最後のタイミングなのではないかといった御指摘もいただき、この点を書かせていただいております。
また、国際連携ということにつきましては、やはり研究力の向上ですとか、あるいはビジネスのグローバル化、そういった点からも非常に重要になっておりまして、そういう中、グローバルに優秀な人材を引きつけることもますます重要になっているといったこと、あるいは、昨今の円安基調ですとか経済的な競争力の低下等が指摘される中で、やはり我が国の魅力を生かして引きつけていくことが重要であるといった、こちらの委員会で御指摘いただいた点なども付け加えさせていただいております。
また、G7、OECDなど国際的な会議の場でも、先ほども申しましたが、開かれた研究環境を不当に利用した技術流出等の懸念、こういった点についての課題認識というところが非常に強くなっておりまして、そういったところの対応が非常に世界的な潮流になってございます。
こういった点を背景として書かせていただいた上で、今後の方向性ということで、大きく二つの視点から(1)と(2)ということで書かせていただいておりまして、まず(1)は、開放性を持った研究環境ですとか戦略的な国際連携の重要性といった視点で、(2)が研究インテグリティの確保ですとか研究セキュリティの確保といった、そういった二つの柱で書かせていただいております。
まず(1)でございますが、繰り返しになりますけども、まず大前提としましては、やはり自由な発想に基づく研究を通じて科学が発展すると。これは本当に国際的な共通認識であるということは、改めてここでも繰り返し言及させていただいております。
そういう中で、そういった開放性ですとか、国際連携を過度に制限することなく、様々な視点から、そういった刺激をお互い享受しながら研究環境を確保していくということは非常に重要でございますので、また、そういった研究活動というのが研究力向上につながっているといったことの重要性を書かせていただいております。
その上で「一方で」ということでございますが、やはり科学技術イノベーションというのは非常に昨今では国際競争力に不可欠なものになっておりますので、やはり我が国においても、経済安全保障上の重要な分野について、特にそういった技術の優位性ですとか不可欠性、そういったことについて念頭に置きながら戦略的に国際連携をしていくことが必要であるといったところを書かせていただいております。
このため、ボトムアップとトップダウンの特性を生かしながら、その両輪で国際連携を進めていくことが重要であるということをもう一度こちらでも言及をさせていただいた上で、具体的にどうしていくかということで書かせていただいておりますが、まずはボトムアップによります学術交流、これは従前どおり引き続き強化をしていく必要があるということ。
そして、やはり異なる視点で互いに刺激をし合い切磋琢磨できる環境ということで、特に多様性を重視し国籍や分野を超えた多様な人材との連携を図ることの重要性、こちらも記載をさせていただいております。
その上で、また繰り返しになりますが、やはり国際頭脳循環というところに昨今出遅れている、あるいは日本の存在感というものが弱体化しているんじゃないか、そういった指摘もございますので、特にG7諸国あるいは欧州といった先進国・同志国との戦略的な連携・協力の強化、それによって相対的な研究力低下に歯止めをかけていく。そういったことの重要性をここで記載させていただいております。
また、そういった取組のためにも、例えばでございますが、初中教育段階からの国際経験ですとか、留学、そういった機会を拡大していくこと。そして将来的には国際頭脳循環の参画に必要な能力、そういったものを養成していく、そういった素地を形成していくことの重要性。
また、ASEANやインドといった、非常に今後大きな成長が見込まれる、そういう地域との連携の重要性といったところについてもここでも記載をさせていただいております。
また、そういう中で、そういう国際頭脳循環の中で魅力あるキャリアパスというものを我が国としても示していくことで、より優秀な人材を引きつけていくこと。そういった機会の提供の重要性なども、前回御指摘いただいた点もこちらに追加をさせていただいております。
また、最後、「また」というところでございますが、前回のこちらの会議でもSDGsへの今後の議論、特にポストSDGsの議論への貢献の重要性についても蟹江先生からもお話をいただいたところでございますが、やはり我が国も、そういった基準、ルールづくりの国際的議論に貢献、リードしていくことも重要であるといった点もここにも言及をさせていただいております。
こちらが(1)というのが国際的な戦略的な連携の重要性ということの再確認の論点を挙げさせていただきました。
ここからが(2)ということで、その上でということでありますが、やはり大前提としての学問の自由、あるいは独立性、開放性、互恵性といった共通の価値観を確認しながら、開かれた研究環境を確保していくことが重要であるという大前提の上で、本当繰り返しになりますが、開かれた研究環境が不当に利用されて技術流出が懸念されているということに対しての研究インテグリティ、研究セキュリティの重要性ということをもう一つの柱として掲げさせていただいております。
具体的に、4ページでございますが、まず、研究インテグリティの確保に係る取組としましては、こちらは既に政府においても対応方針が令和3年4月に示されておりますので、その政府方針を踏まえながら、各研究者の先生方、そして大学研究機関、そういった研究コミュニティにおいて自律的にまずはこれを確保していくということについての取組を徹底していくことの重要性を確認させていただいております。
具体的にはということで、これも政府方針に既に記載されているところでございますが、研究環境のオープン化に伴うリスクを認識しながら、例えば兼業ですとか、あるいは外部機関からの研究資金をどこから得ているか、そういった情報を適切に開示していくといった形で説明責任を果たしていくことの重要性ですとか、組織としてのリスクマネジメントの重要性、こういったことを再確認の意味で記載をしております。
そういった取組が研究者の方々の負担とならないよう、また必要な支援の重要性ということも記載させていただいております。
こちらが研究インテグリティになりますが、加えてということで、研究セキュリティの確保というところを4ページの下から記載をさせていただいておりますが、繰り返しになりますが、外国からの不当な影響への対応といたしまして、公平性や互恵性の確保の観点から研究セキュリティの確保といった点がG7、OECD含め検討されているところでございますけども、従来の安全保障貿易管理に係る取組に加えて、やはりさらに我が国においても経済安全保障上特に重要な分野をはじめ、先端科学技術に関する情報ですとか技術の流出などへの懸念に対する対応というものが求められていると考えられますので、政府におきましては、諸外国でも非常にこの分野、まさに同時並行でいろいろな検討、取組が進められておりますが、そういった諸外国の事例も参考に、我が国における研究セキュリティの確保についての取組をさらに研究コミュニティの方々とも連携・議論しながら検討を進めていくことが必要であるとしております。
具体的なところにつきましては、今後、例えばでございますが、どういうところで研究セキュリティを確保しなくてはいけないのかという特定の考え方ですとか、あるいは研究者、大学研究機関、そしてファンディングエージェンシーや政府、それぞれの立場での役割分担、あるいは役割の整理といったことも必要ですし、あるいはリスクを低減するためにどういう具体的な措置が必要か、そういったことについての具体的な検討が必要になると考えられますので、ここではそういったことをより具体的に検討を進める場を設けるということをこの中で言及しております。
また、その際ということではございますが、そういった研究セキュリティの確保ということを強化することで、逆に自由な発想に基づく研究ですとかイノベーションの創出を阻害するといったことがないように諸外国とも十分に連携を図っていくことの必要性ですとか、段階的に取り組んでいくといったことで、研究コミュニティの方々の理解も得ながら進めていくことの重要性なども留意事項として記載をさせていただいております。
一点、前回の議論の追加でございまして、研究インテグリティにつきましては既に政府方針でも定義はしてございますが、研究セキュリティの定義と研究インテグリティとどう違うのかといったことにつきまして、研究セキュリティについても国際的に同意された、合意された定義があるわけではございませんが、一つの例ということで、G7ですとかOECDにおいて使われている用語の説明を5ページ目の脚注のほうでも紹介をさせていただいておりまして、研究セキュリティにつきましては、例えばということで、G7でございますが、経済的、戦略的なリスクや国家的、国際的な安全保障のリスクをもたらす行動から研究コミュニティを保護する活動が含まれているというようなこと。
ここ、長くなりますので、省略させていただきますが、そういったことをここでは事例として紹介をさせていただいておりますとともに、研究セキュリティと研究インテグリティというのは全く別物ではなくて、OECDのペーパーでもございますが、それは相互に補完し合い、関係するものであるということでございますので、そういった関係性につきましてもここでも紹介をさせていただいたところでございます。
ざっとではございますが、以上が前回までの御議論をこういった形で中間まとめ案という形でまとめさせていただきましたが、ぜひまた御意見等いただければと存じます。
なお、説明は割愛させていただきますが、参考資料1というところで参考データ集というのをおつけしておりまして、その中では各国における研究セキュリティというものの取組の主なものを紹介させていただいております。
例えばということでございますが、20ページなどではアメリカのNSFにおきましても、TRUSTという取組で、これは2025年度から量子をまずは取り上げて試行的に取り組んでいくということもございまして、各国とも段階的に、そしてかなり試行的に、全ての分野で一気にということではなく、そういった段階的な取組も行っているという状況でございます。
また、我が国におきまして、21ページでございますが、既に経済安全保障の関係の会議などでもやはり技術流出の防止については提言も出ておりますので、こういった経済安全保障全体の政府全体の動きの議論も整合性を取りながらこちらの委員会でも引き続き議論を進めてまいりたいと思っております。
また、22ページ以降は、データ集的に、これまでの国際連携の状況ですとか、特に人の移動についてのデータなどもおつけをしておりますので、詳細な説明は省略をさせていただきますが、ぜひこの後の御議論の際にも御参照いただければと存じます。
事務局からは以上でございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえまして、御質問、御意見があれば挙手をお願いいたします。
【狩野主査代理】 口火役の狩野でございます。大変上手にまとめていただきまして、ありがとうございました。まず御礼申し上げます。
伺いながら、アカデミアの人としては自由の裏側にある責任は何なのかということも特定しないといけないなと思って聞いておりました。少なくとも個人的には、「自らの発想である」こと、あるいは「互いの発想を大事にする」ことということ、それからその内容がだけど「検証できる」こと、それから、お金の出もとが公金であれば、「公益に資する」ようなことにしていく必要があるのかなと思いながら伺っておりました。
情報管理ということが多分肝なんだと思います。4ページですかね、情報管理としてどういう情報管理すべきかということ、あるいは開示をすべきかということについて書いていただきました。アカデミア的な目線での意味合いを考えますと、今申し上げた中で言えば、「自らの発想というのが公益のために本人以外のバイアスがないようになるべくしたい」ということかなと思いました。公金であると納税者各位を中心とした「社会に対して」ということなんですけど、ほかの特定の財源の場合、その財源の意思を反映し得るということで、それがどの程度入り得るかということを知るためには、ほかの人はその財源の内容を知らないといけないということだと思います。また、あるいは、どこと仲よくされているということであると、その「仲よい人たちのバイアスが混ざり込んでこないか」ということを一緒に知っておく必要があるということかなと思っておりました。
研究インテグリティのほうは検証可能性ということだと思っております。残りは、知財とか利潤の関係だろうと思いますので、こちらは産業界の皆様がしっかりお話しいただければと思っております。
政府の取組として、これも4ページのその直下に書いていただいた内容ですが、お願いできることがあるとすると、私が思いつくのは、やっぱりこれやると負担が増える可能性もありますし、我が国ですと、真面目なので、やり過ぎのことがあり得るということを考えると、国際的な情勢はしかしながら研究者や各機関だと把握し切れないことがあるので、それを適宜把握していただいて、スタンダードとそんなに違わない、必要十分な程度がどのぐらいかというのも教えていただけると非常に支援になるのではないということを思ってお伺いしておりました。
ほかはよく書いていただきまして、すいません、あまり繰り返すことはないかなと思って伺いました。以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。負担が増えるのは間違いないので、それに伴って、どこまで可能なのかということを世界の情勢を見ながら順番に検討していくことが必要であるというコメントかと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。では、お願いいたします。
【野本委員】 先ほどの研究セキュリティのところなんですけども、恐らくITは大きく分けて2パターンあるのかなと思っていまして、一つは国際的な大学間の連携の場合と、もう一つは国際的な大学と企業間の連携というところがあると思っていまして、前者の大学間の国際連携のときにどういった分野に研究セキュリティを考えなきゃいけないかということは、これは相手のある話ですので、やはりこの文書に書かれている諸外国の事例をしっかり調査することは非常に大事かなと思っています。
例えば先ほどアメリカの量子の例がありましたけども、アメリカで量子のところで既に配慮がしてあるのであれば、それなりの対応、日本にも迫られる可能性があるので、アカデミアはそういうところが大きいかなと思います。
一方、企業間の場合は、これは国際連携だけじゃなくて、国内の大学と企業の間もいろいろと、私も共同研究やる中で、情報管理、難しいところがあるというのは正直ありますね。というのは、研究室の学生の皆さんに情報セキュリティを遵守せよというのはなかなか企業側からは言いにくいというところもありますし、いずれは卒業してしまうので、必ずしもそういった約束をしても担保するのは非常に難しいというところがあります。
ですので、今現状どうなっているかというと、企業は本当の明日の産業にとってクリティカルになるようなところでなくて、やはり大学という少し先の技術のことをやるというところで、ある程度分野を限定してやっているというか、情報セキュリティに対するところも勘案しながら大学とも共同研究させていただいているので、本当に包括的にそういった秘密保持に関してぎちぎちのルールを新たに設けるとなると非常に大変でしょうから、そこは何かボトムラインのようなところとか、あるいは、恐らく基礎研究の分野は普通に問題にならないと思うんですね。問題になるのってやっぱり応用技術で安全保障に近いところですので、その辺は何かうまくガイドラインのようなところを設定して分野限定的に始めるという、先ほどおっしゃいましたけど、私もそれに大賛成で、そういったところから始めるのがいいのかなと思っています。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。技術に関して基礎から応用まで様々な分野があり、それの中で研究セキュリティが大変重要になるというところを取捨選択する必要があるということですね。
あと、企業との関わり合い、大学間、大学と企業、国内、国外、その場合も、いろんな場合を場合分けして考える必要があるということで、なかなか大変な作業があるかと思います。
どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ御自由に御発言いただければと思います。
【梶原委員】 じゃあ、私のほうから。
【菅野主査】 まずは会場に出席されている委員の方から。
【梶原委員】 後でいいかなと思っていたんですが、東工大の梶原です。少しコメントさせていただきます。資料、作成いただき、またインプルーブしていただいてありがとうございました。
特に研究インテグリティ、研究セキュリティについては、すばらしくよくまとめられているなと思っております。その中でやっぱり一番気になったのが、2ページからの方向性というところの(1)があって、ここに研究環境というか、研究や国際連携の推進のことが書いてあるんだと私は理解しており、途中のところで書いてありますように、ボトムアップとトップダウンということが書いてあって、両方が重要だなということが書いてあるのは分かるんですが、その後からのところの中で書いてあることがボトムアップが多くて、トップダウンのことがあんまり書かれてないんじゃないかなあと読んでいて思いました。
それと、一番最後の地球規模の部分がトップダウンになるのかもしれませんが、ここで気になったのが、その丸の一つ上で、国際戦略や国際連携の検討に当たっては相手国の状況を把握するとともにと書いてあるんですけども、相手国の状況を把握するのは当然のことなんですけど、やはり世界情勢における相手国の状況なんじゃないかなと。いわゆるバイでやる共同研究だけではなくて、相互に連携していろんな国と一緒にやっていく上では、世界情勢とか、そういったものもちゃんと把握して、どういうふうに交流するかを考えるべきだと思ったのが1点と、それとやはり一番下の丸がついている項目に関しては、最初の一文、これはすばらしく、国際益の観点からも科学技術、重要であると書いてあるんですが、その後の今後の経済活動につながるといったときに、ここに基準とかルールづくりに落とし込まれているので、できればここのところに今後の世界経済の発展に必要な国際的な研究開発やそれの基盤となる国際基準やルールづくりを日本がリードしていかないといけないという形で少し、基準づくりだけではなくて、国際的な研究開発自体も我が国がリードしていかなきゃいけない。ちゃんとそれも、できれば政策面からしっかりとリーダーシップを取って、ある意味最終的には、日本が、経済的に少し優位になるぐらいの方向性を持ってどんどんどんどん研究開発を、特に地球規模の課題等に関してはやっていくということが書き込まれるともっといいんじゃないかなと思いました。
ちょっと細かいところですが、気づいたところを述べさせていただきました。ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。科学技術・イノベーションに対して、我が国がリードをしていかなければならないという意思表示みたいなことですね。そのためにはオープンで開かれた環境が必要であるというのが、要するに、強い意思がこの文章にもあるとより好ましいということですね。
3ページのところに「改めて」という、これなかなかすばらしいと思うんですけれども、一番最初の前提となるオープンな環境、科学技術のオープンな環境、それが重要であるというのは繰り返し繰り返しここで述べているということは、この文章で一番ポイントだと思うんですけれども、それをさらに強く世界をリードするために、もう少しポジティブな印象を与えるためにはもう少し強い宣言みたいなものが欲しいということですね。
よろしいでしょうか。松本先生ですかね。よろしくお願いいたします。
【松本委員】 松本です。よろしくお願いします。皆さんおっしゃられているように、基本的なところはかなりちゃんと押さえられているように感じました。
一方で、やっぱりトップダウンの部分というのは確かにというか、今まで議論されている、例えばどういう分野を特定して、この分野は研究セキュリティ、研究インテグリティをちゃんとやりましょうというのは誰が言うのかという、その辺はあまり明確になっていない気がするので、政府がやると書いてしまうとなかなかあれなのかもしれないですけど、ちょっとその辺がどういう方向なのかなというか、ここに書くか書かないかは別にしてちょっと確認しておきたいなと思ったんですけど。どういうふうに進んでいくという感覚でしょうか。例えばアメリカとかで半導体の分野と決めたのは一体どこの組織なんだというのもちょっと気になる。その辺を教えていただければありがたいです。
【菅野主査】 事務局から。
【倉田参事官】 事務局からお答えさせていただきます。まず海外の事例でございますが、国によっても様々ではございますが、やはり経済安全保障上の政策全体が、この分野どうしても一つの省庁を超えて、政府、横串で議論されているというのが先進主要国、同じような傾向にございまして、そういう中で、アメリカですとかホワイトハウスを中心に国家重要技術というのが特定され既に発表されていたりしますし、オーストラリアも同じように、国家重要技術というのが、国によっても、イギリスはたしか五、六分野だったと思いますが、アメリカですとかなり、二十幾つあって、オーストラリアですと、すいません、十前後だったように記憶がありますが、やはりいろいろな国によって少し粒度も違ったり、決め方も違ったりはしますが、やはり国の一定の横串的な会議で議論されて決定をされてきているというのが最近の傾向でございます。
日本の場合、そうしたときにどういうのがあるかというのはございます。1つの事例としては、経済安全保障上の研究開発を進めておりますK Programというのがありまして、そういうところで研究開発ビジョンというのを定めて特定の分野について研究開発を進めるというのは1つの具体的な取組としては行われておりますが、やはり政府全体でも諸外国の取組を踏まえながら、そういう分野を定めることの重要性というのは、日本ですと、国家経済安全保障局のような、通称NSSのところでの議論でもあるというのも承知をしております。
ですので、まだ政府として具体的にどこで誰がということが、今申しましたK Programを超えての分野の特定というのはこれからの議論になるかと思いますけれども、ここで、述べますと、そういう大きな分野の特定はどちらかというと推進をするという意味での特定でございまして、それともう一つは、やはりその中で、特に5ページ目で書いておりますが、特にその中でセキュリティを確保しなくてはいけない研究課題ですとか研究開発というのは、大きな領域の中の一つといいますが、その中で一定程度の研究課題のようなものになるのではないかと。ここも今後御議論があるところだと思いますが、そういう推進する分野の中のどこを特定していくのか、そういったところをどういうふうに誰が決めていくのかを含めて今後検討が必要ではないかということで、現在このような少し記述とさせていただいているところでございます。
ここはやはり今後アカデミアの先生方あるいは産業界の方々とも御議論しながら慎重な議論が必要かとも考えているところでございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか、松本委員。
【松本委員】 はい。ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。例えば2ページの真ん中から下ぐらいですけれども、「我が国の技術の優位性や不可欠性、技術主権も念頭にしつつ」ということで、こういうのを置いて今後議論を検討すべきであるというようなことかと思います。
よろしいでしょうか。
では、次、小川委員、お願いできればと思います。
【小川委員】 ありがとうございます。小川でございます。三つ申し上げたいと思います。
同じく3ページの辺りですけれども、まず先ほど梶原委員から御発言のありました(1)の一番下の丸のところなんですけれども、言葉は悪いがとはおっしゃいましたが、ある意味我が国が優位になるようにという部分、非常に重要だと思っております。
ここに「国益のみならず、国際益の観点から」という部分が私も少し気になりまして、まさに国益のためにルール形成に積極的に関わっていくというところをあまり遠慮せず思い切って打ち出してもいいのではないかと思った次第です。
他国の科学技術戦略も、かなり自国の産業発展を目的とした産業戦略的な色彩、遠慮せず打ち出されていると思いますので、我が国が国益ということをしっかり打ち出すことをそんなに遠慮する必要はないんじゃないのかなと。書かれてはいますが、「国益のみならず」という書き方ですとどちらかというと国際益のほうを強調されているように見えましたので、少し気になった次第です。
それから、先ほど来、皆様からトップダウンとボトムアップの話ありましたけれども、ここのその上の部分に書かれている例えば国際科学トップサークルへの日本人研究者の参入ですとか、あるいは初等中等から大学に至るまでの留学の話など、とても重要なことで、それはもっともな話ですけれども、それをどうやって進めるかというところ、ある程度政府が関与して全国的にでもそういう潮流を大きくしていくというところがもう少し入らないと、留学の話などは数年来同じことを言っているような気がしていまして、ただこれが必要だよと言っているだけではあまり状況は変わらないのではないかということを少し憂慮した次第です。
最後、恐らく今回書き込んでくださいという話ではないと思っているんですけれども、研究セキュリティのところ、今、ここでの議論では人を通じた情報の流出のところに焦点が当たっていると思いますけれども、これからの時代は、先般、某国研でもありましたように、サイバーセキュリティのほうもこれに関連して非常に重要になってくるのではないかと思います。必ずしも研究者を通じてではなくて、サイバー攻撃によって抜き取られるということも出てくるかもしれませんので、今後の議論かもしれませんけれども、少し研究セキュリティとの関係でそこが気になった次第です。
以上でございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。産業界からもう少し国益ということを強く打ち出してもいいのではないかという非常に力強いコメントかと思います。
留学については、大学の早い段階で留学をという文言が新たに今回入りましたけれども、大変有効なポイントかと考えています。
あと、研究セキュリティについて、サイバーセキュリティに関してということは確かに重要で、これは今後の議論を通じて、そういう面からの検討もするべきかというような御意見かと思います。
小川先生、よろしいでしょうか。
【小川委員】 ありがとうございます。
【菅野主査】 それでは、次、飯塚委員、お願いできればと思います。
【飯塚委員】 政策研究大学院大学の飯塚と申します。
この文章は非常によく練られていて、特に大学の基本的な原則等、基本的なことをまとめてられて、非常にいいと思います。
これからの検討になるのかなと思うのですが、先ほど何人かの委員の方がおっしゃられた、我が国をリードする国益、または技術がどのように進めていくのかということや、または留学生を進めていくに当たって政府がどのように関与していくのかという点に非常に重要となってくるのが他省庁との連携じゃないかと思うんですね。例えば我が国の技術をどういう形で国際的に展開していくのかというところでは、例えば貿易保険とか、そういった政府のスキームをどうやって生かしていくのか、それをどういうふうな形で技術の開発特区をつなげていくのか、それからあとルール形成についてもそういう形の連携を取らなきゃいけなくなる。
または、留学になりますと、文科省及び例えば外務省のスキーム等と一緒にやっていく。
研究セキュリティ、サイバーセキュリティの話になりますと総務省との連携という形で、いろいろな省庁との連携というのがこれから重要になってきますので、その点、今後こういう形で進めていこうという形のところを触れてはいかがかなと思いました。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。他省庁との連携に関して事務局から何かコメント。
【倉田参事官】 御指摘ありがとうございます。まさに御指摘のとおりでございまして、やはり国際の分野、文科省だけではもちろん対応が難しい分野、非常に多くございまして、どちらかというと、それを前提としてあまり強調しておりませんでしたが、そこのところはしっかりと修正し、対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【菅野主査】 よろしいでしょうか。
【飯塚委員】 はい。ありがとうございます。
【菅野主査】 どうもありがとうございました。それでは、次、相田卓三先生、お願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
【相田(卓)委員】 今、頭脳循環のマテリアル関係のPO、プログラムオフィサーをやっていて、二度ほど選考する立場になっているんですけども、これは金額的にはほとんど、大きなお金が取れる最後のチャンスじゃないかと言われているわけですけども、実際、今の状況を見ますと必ずしも、この程度だったのかなと思わざるを得ない感じがするんですね。トップ同士のネットワークというふうになかなかなっていない懸念があります。
こちらから送るという点に関しての一番大きな弊害は、円がやっぱり安いので、一月35万円ぐらいかかる学生の滞在費を今の研究費では賄えないということがあるんですね。向こうから来ていただいて、半年とか1年ということになるんですけれども、それは向こうにやはりメリットがないといけないんですね。だからお願いをして一緒にやりましょうということになって、どういうメリットかというと、例えば日本の場合はSPring-8ですとか、そういうものは非常に大きな武器になるんですけども、一番、書類見させていただいてすごくよく書けているのは、詳細な解析の下にいろんなポイントが指摘されているということは大変すばらしいと思っているんですけども、ひとつ認識としてやっぱり少し弱いのは、今の日本が研究の中心にいないという大きな事実です。まだいるかのような書き方になっているんですけども、これはもちろんすごく書きにくい書類だと思うんですね、こういう場合には。ただ、すごく本音を言わせていただくと、今日柳井さんのインタビューの部分がウェブに出ていたんですけれども、彼も言っていましたけど、日本はもう既に中心にいないと言って、それが前提で、魅力ということを考えたときに、どういう形で日本が物事を有利に進められるんだろうかということをどうしても疑問に思わざるを得ないんですね。みんなそんなにお人好しではないので、魅力のない、来てもほとんど意味のない国には来ないですし、というのが本音かなと思うんですね。
なので、向こうから来るプログラムがちゃんと組めた形になっていない形で応募が行われているので、それを見たときに、ああ、日本って今つらい立場なんだなあと思いました。
やっぱり日本人だけで日本の研究を支える時代は終わってきているのではないかなと思うんですけれども、これはアメリカを見ればそうですよね。アメリカのマテリアル、ほとんど、アメリカで生まれていますけれども、アングロ・サクソンの方はほぼいないんですね。それですごく引っ張ってきているわけでして、日本を見ると相変わらず私の大学でもほとんどが日本人の協議体です。そんな中で本当に今の大きな問題を解決して、日本が日本のために有利に物事を運ぶことができるようになるんだろうかというのが一番私にとっては大きな疑問なんですね。
そういうことをほとんど、結構きれいな玉虫色の文書になっていて、見た限りでは全然心が痛まない、まあ、そうだよねということが書かれているのは間違いない。こうあったらいいよね、こう進められたらいいよねと言うんですが、留学の話もそうですよね。留学できたらいいよねと言うんですけど、じゃあ、留学してまで手に入れられるものって何なんだろうと考えたときに、中国は留学しない限り教員になれないというルールが長い間ありました。日本はそれがないわけですね。そういう意味で、あと、教員のポジションというのが非常に魅力的なポジションらしいんですね、中国では。
日本はそうなってないとか、いろんなことがありまして、そういうところで、やはり基本的には日本は既に研究の中心にいないという状況からどうやってもう一回中心に戻って、今おっしゃられたような日本を中心として日本にメリットがある形でいろんなことが進められるんだろうかという、ワンステップ本当は必要なんじゃないかなと思うんですが、これをほとんど議論せずに、この文書を上に上がっていったときにどういうふうな受け取られ方になるのかなというのが一番心配しているところであります。1年間いろんな議論をしてきて、最後に、きれいな文書は確かに出来上がっているんですが、私たち現場で働いている人間、最も気になっているところはそこなんですね。
それがちょっと一言だけ、何とかなりませんかという、書きにくいところをうまく書いて、何とか伝えていただくことがない限りは、まだトップ5ぐらいのところにいる感じで今書かれていると思うんですが、それは今日のデータ集からも明らかなようにとっくに終わっているんですね。十何位とかいうことになっているわけですから、そこに魅力というのをどうアピールするのかなというようなところまで含めてすごく心配があります。それをちょっとお伝えさせていただきたいと思います。
書類としては本当に完璧な、いろんなことを調べられた上での書類になっていて、私のような人間が四の五の言う立場にはないぐらいの仕上がりになっているんですが、一つ抜けていることがあるんじゃないかなと思った次第です。
ありがとうございます。
【菅野主査】 ありがとうございます。なかなか辛口のコメントですけれども、事務局から何かありますでしょうか。
【倉田参事官】 そうですね。私ども、今の原案で、例えば我が国が国際ネットワークの中で弱体化しているですとか、相対的な研究力の低下といったところは用語としては入れさせていただいておりましたが、少しそこの、我々も先生と同じような危機感は持っておりますけども、ちょっと少しそこが表現ぶりを、もうちょっとこの危機感等が伝わるような形で表現をしたほうがよいのかなというのもちょっと思いましたので、ちょっとまたぜひ先生方とも御相談をさせていただければと思っております。
問題意識、全く同じでございます。まさに、なので、そういう中で、我が国がもう1回ネットワークに、特に先進国とのネットワーク等にどうつくっていくか、あるいは、ASEAN、インドといった新しいところとどう付き合っていくかという中で、どういうふうに相互、我が国の地位を高めていくかといったところ。その中でやはり技術流出といった問題にどう取り組みながら先進国とも連携をしていくのかというのが大きな問題意識でございますので、まさにちょっとそこが一足飛びになってしまっているところも確かにあるかなと思いましたので、ちょっとそこを丁寧に書かせていただければと思います。
ありがとうございます。
【相田(卓)委員】 ASEANとかインドの方の目というのももう日本を向いてないんですね。特にトップ集団が日本を向いてないことが一番問題だと思うんですね。サードクラスのメンバーが来てもらってもなかなかちょっと難しいんじゃないかなと思って、先生方も大変になるんですが、ASEANのほうだとやっぱりトップの学生さんに来てほしいですよね。インドはもう明らかに向いていません、残念ながら。アメリカで仕事をしたいという人がほとんどですね。
【菅野主査】 ありがとうございます。参考データ集には今現在の日本の立ち位置というのが嫌というほど示されているということで、それを基にどうするかというのが、この委員会も含めて、いろんなところでの大きな課題で、国際情勢、それから円の問題、何ともならないところもあるんですけれども、それをできるだけ、キャッチアップという言葉はちょっと使いたくないんですけれども、第一線に行きたいということですね。
この文章でも、一応は1ページ目の最後のほうにグローバルに優秀な人材を引きつけること、我が国の魅力を生かし引きつけていくことが重要であるということ、それから先ほどもちょっと言及しましたけれども、これまでの我が国の技術の優位性や不可欠性や技術主権、今現在強いところというところもまだあるので、産業も含めて、強みを生かして科学技術にどう持っていくかという戦略がより一層重要であるという、その戦略をどうするかという、そこまで踏み込む必要があるんじゃないかという相田先生の指摘かと思います。
相田先生、いかがでしょうか。
【相田(卓)委員】 すいません、辛口で。申し訳ありません。あまり耳触りのよくない話をしてしまったんですけども、国際頭脳循環のお金を取るときに私も少し貢献させていただいて、いろんなデータを調べることになりました。JSTの方と協働してやったんですが、クリアに言えることは、大きな国際舞台で日本人が招待されていないということが一番大きいんですね。すごく数が減っています。それを見て、他国の学生がその学会にいて、日本に留学してみたいと思う機会が減っているということなんですね。
だから、論文の引用がどうのこうのというよりも、日本のビジビリティが極端に減っていることが事実なんですよ。私は引用はどうでもいいと思っていますけど、やっぱりビジビリティが減っていると、どうしても仲間に加えてもらえないですよね。話は日本に来ない。
それと、国際会議を開くのも日本はすごく大変で、私は某財団で国際会議の応募を受けて、お金を出すような財団で少し働いているんですが、中国は地方政府と中央政府がどんどん国際会議開けということでお金が山ほど来ているんですね。我々国際会議開こうとすると、どこかの財団に申請して受かればオッケーみたいな状況にならざるを得ない、すごく寒い状況の中で、日本でなかなか呼べない。そうすると人間関係もなかなかできないということで、本当にすごく劣悪な環境の中でいろいろやってきていますことをぜひ御理解いただいて、少しだけ文書に書き込んでいただけると少し先につながるかなと思った次第です。
どうもありがとうございます。これで黙ります。
【菅野主査】 ありがとうございます。国際会議に関しては、今朝でしたかね、昨日でしたかね、日経新聞にも少しそのような記事が載っていたかと思います。アスパイアに関しては感じるところは似たようなところで、私も大変同意をするところですけれども、一つずつやっていくということで動いていかざるを得ないと考えています。
どうもありがとうございました。
それでは、次、磯田先生ですかね。よろしくお願いします。
【磯田委員】 ありがとうございます。この中間取りまとめ案、様々な意見を取り込んできれいにまとめていただいて感謝申し上げたいと思います。
2ページ目の最後のほう、特にグローバルサウスの話とか、地球規模課題に向けたSDGsの取組などもきちっと書いてくださっていたんですが、実はこの週末にTICADの閣僚会議が東京で開かれまして、私も上川大臣のレセプションに参加してまいりましたけれども、それでちょっと思ったんですが、もし可能であれば、ASEANとインドのところにアフリカも入れていただくのもいいのかなと。
というのは、TICADの閣僚会議のいろんなブースの展示の中で、各省庁かなり力を入れてプレゼンをされていて、文科省もされていましたけども、総務省とか、農林水産省とか、いろんな省庁がかなり展示もされていたのを見ると、省庁の壁を越えて一丸となって取り組んでいる様子をちょっと見てきたということもありますので、もし可能であればそういったところも入れていただければというところです。
もう一つの参考データのほうの32ページのところも、万博が25年あるんですけれども、こちらもTICAD9が横浜で開催されるということなんかももし可能であれば入れていただければと思った次第です。
こちら、加筆されるかはどうかお任せしたいと思いますけれども、一応ちょっと週末にそんなイベントもありましたので、申し上げたいと思います。
以上です。
【菅野主査】 ホットな話題どうもありがとうございます。
事務局、いかがですか。
【倉田参事官】 ありがとうございます。まさに、グローバルサウスという中ではもちろんアフリカなどを含めてこれまでも対応してきておりますし、さらに私どもも次のTICADに向けてどういうことができるかというのをまさにこれからも検討を進めてまいりたいと思ってございましたので、ちょっと表現ぶりも含めて検討させていただきたいと思います。
なお、こちらの参考データ集のほうの資料は蟹江先生の御説明資料であったりしますので、ちょっとここは、この資料は蟹江先生のプレゼン資料とさせていただいて、こちらの委員会の資料の中で工夫をさせていただければと思います。
ありがとうございます。
【磯田委員】 お任せいたします。よろしくお願いいたします。
【菅野主査】 ありがとうございます。ASEAN、インドに対して大変重要であるというコメントかと思います。ASEANに関しては、今年度、共同研究のプロジェクトがJSTのところで走り始めたということで、それも含めて、ASEAN、さらにインド、グローバルサウスに対してもっと重要視というコメントかと思います。
ほかに。相田先生、相田美砂子先生いかがですか。
【相田(美)委員】 ありがとうございます。先ほどの参考文献の中の右下に23と書いてあるページなんですけれども、そこの上のところに二つの文章があって、「国際連携を強化し、国際的なネットワークの中に入っていくことが重要」という、この文章は、うがったものの見方なのかもしれないですけれども、国際的なネットワークの中に入れてもらうみたいな感じのニュアンスが見えてしまっています。入れてもらうんじゃなくて、もっと積極的に自分たちで国際的なネットワークをつくっていくんですよね、きっと言いたいことは。ニュアンスとして誤解されるような表現はやめたほうがいいんじゃないのかなと思いました。
それで、先ほどの相田卓三先生の御意見と実はほとんど同じことを言いたかったんですけれども、ここの本文について、そのとおりだと思うんですけども、このままだと本当に絵に描いたお餅のような感じになってしまうので、例えばこのページの2004年以降どんどん日本のところの、青は国内論文で、赤と緑が国際共著論文じゃないですか。青の国内論文もどんどん下がっているわけです。よく言われているように、いわゆる国立大学の法人化で幾つかの大きな大学だけ重点的に支援する、あるいは大きなプロジェクトだけ支援するみたいな感じのいわゆる集中と選択をやってきた結果が、というわけですよね。今さらここで言うことではないことですけど。
こうやって国際的ないろんなことが重要で、日本の存在感を再度大きくしていくためには、一部のところだけ資金を出すんじゃなくて、もっと広く、薄くてもいいから、花壇が枯れていたら何にも花が咲かないので、芽も出てこないので、様々な多様性を生かすためにはやはり一部の大学だけではなくて日本国全体の中でもっとケアする必要があるんじゃないか。それがなかったら本当に絵に描いた餅になってしまうなと強く思います。
なので、大前提であって、ここの文章の中ではそれは大前提の話で、国際的に必要なことを書くのが目的なのだとおっしゃられるなと思ったんですけども、やっぱり大前提のところはしっかり押さえておかないと絵に描いた餅になってしまうなと思ったので、相田卓三先生のお言葉に足させていただいて発言させていただきました。
以上です。
【菅野主査】 ありがとうございます。なかなか厳しい今の日本の現状の指摘の御意見で、皆様思うところは多分共通かと思いますが、なかなか今の現状、もうちょっとキャッチアップしないといけないという暗黙の了解があるのでこういう書きぶりになってしまうということですね。例えば、先ほどの梶原先生のコメントもありましたけれども、そういうのじゃなくて、我が国が今後もリードしていくんだという強い意思がやはり前提としてあって、その下にこのような国際戦略を練るという思いが出るとよろしいですね。
本音のところと理想のところですけれども、理想をやめてしまうとじり貧になっていくのは確かなので、この国際戦略だけでは何ともならないということなんですけれども、でも理想としてはこうあるべきだ、国際連携というのはこうあるべきだというのが重要ですね。この文書では、研究セキュリティに関して、ネットワークをつくるに当たっても、ネットワークに入るに当たっても、研究インテグリティ、研究セキュリティが重要であって、その前提として、オープン、開かれたのが重要であるというのを特に主張しているところです。そのさらに上にそのような理想が感じられるとよりアピールをするとよいということかと思います。
どうも御指摘ありがとうございました。先ほどの相田先生も含めて、今の現状、認識はともかくとして、そうではいけない、もうちょっと理想きちんと語りなさいということかと思います。
ほかに、これまでの議論に基づいて何かもしコメントあればぜひお願いしたいと思います。
【梶原委員】 一言。今、主査のほうで言われたことで、やはり今後世界を技術的にも研究的にもリードする上で、やはりちゃんと研究セキュリティ、研究インテグリティができていないと誰も見向きもしないというところなんじゃないかなと。そこをしっかりとできるからこそ、国際連携、国際協調をリードできるんだということなんじゃないかなあと私も思います。
【菅野主査】 そのとおりですね。そういうのが大前提の、その上の大前提として主張できるような、あって、この開かれた環境、それから研究インテグリティ、研究セキュリティという粗筋にするとより魅力的な文章になるということかと思いますし、これからの政策を多分理解して進めるためにも、その理想がやはり重要であるというという御指摘かと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
【野本委員】 ソニーの野本ですけども、話を聞いていてちょっと気になったところが、中間のまとめ案のところで、初等中等教育からの国際経験とか、留学生、大学生の交流促進と書いてある文章のこのパラグラフが、どっちかというと日本人をいかに国際化するかみたいなところに割とフォーカスしたような文章に読めるんですけども、一方で、少子化というトレンドが食い止められない事実なわけで、日本の科学技術を国際化するためには、日本人の国際性を高めるとともに、留学生をいかに日本に呼び込むかというところが非常に大事だと思うんですね。
それで、参考資料の27ページを見て、そうなんだと思ったんですけども、やはり国際的なこういった大学に比べると日本の大学って外国人の教員の割合も非常に少なく、留学生の割合も非常に少ないという事実がある中で、これを上げていかないと、国際的に日本の大学がグローバルな魅力を持った俎上にそもそも上がるのは非常に難しいんじゃないか。もちろん技術が上がるというのは大事だと思うんですけども、こういったそもそもグローバルな人材が日本にいるというところ、これ鶏と卵に聞こえますが、やっていかないとなかなか難しいのかなと。実際、企業の技術開発も国際化をするためにいろいろとリクルーティングするわけですが、主に企業に来てくれる国際人材ってやっぱり日本の留学生なんですね。日本の留学生、非常に採用しやすいというところで、日本の大学における留学生の割合をいかに上げていくかというような論点もどこかにあってもいいのかなと思いました。大学の国際化です。
【菅野主査】 ありがとうございます。日本人を送り出す、外から留学生を引き入れると。引き入れるためには、日本の大学の環境、その他魅力的でなければいけないということですね。
ほかにはいかがでしょうか。
【狩野主査代理】 一言だけ。人材委員会のほうも担当でありまして、今日の論点はたくさん人材に関することが入っていました。人材委員会のほうでもやはり同様のお話が出ておりまして、私が冒頭に申し上げた、自らの発想を大事にしましょうというのは、何か唱えごとを言ったわけじゃなくて、やっぱりオリジナリティがなければ買ってもらえないわけで、誰かの影響を受け過ぎたものというのは最終的には、当座は人気が出たとしても、その後人気が出ないものもたくさんあるわけですね。
そういう意味も含めて、人材をどういうふうに、日本の中で、あるいは外から高めていくかということがこれからの大きな議題だと、話題だと、あるいは論点だと思っております。こちらの議論も踏まえながらぜひいいものにしていきたいなと思って伺っておりました。
若干決意表明です。失礼しました。
【菅野主査】 ありがとうございます。今回加わった学部からの早期の留学、これは送り出すほうですけども、これは大変有効な手段かなと私自身も考えています。ぜひうまく連携が、所内でも連携ができればと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
いろんなセキュリティに関しての議論が多分今後進むと思いますけれども、多分大学だけでは何ともならないところもあるかもしれないですね。それに関して、どの分野をセキュリティ、重要と考えるかというのは多分日本の強みというのが何かというところの議論とも関わる。それは基礎研究だけでなく、産業の強みというところと連携した議論が必要なのかなと思います。この文章にも先ほど来、少し引用しましたけれども、これまでの強みというものを理解した上で議論というのが今後必要になっていくかなと思います。
ほかにいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。事務局はよろしいですか。
【倉田参事官】 はい。
【菅野主査】 これまで様々な御意見どうもありがとうございました。
様々な御意見をいただきました。この中間まとめ案、改定できるところは改定して、その後、修正に関しては主査に一任という形でよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【菅野主査】 ありがとうございました。
それでは、今回の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
それでは、最後に事務局より事務連絡。その前に。
【倉田参事官】 どうもありがとうございます。先ほどございましたように、事務局で修正案のほう検討させていただきまして、主査とも御相談をし、そして先生方のほうにも、メールでの御連絡なるかと存じますが、御連絡をさせていただきたいと存じます。
なお、実は9月2日に予定をされております科学技術・学術審議会の総会で、もし間に合いましたらそこで御報告をということで考えておりましたので、近日中に早く御相談をさせていただければと考えてございます。
また、詳細はメールで御相談させていただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【菅野主査】 ありがとうございます。
それでは、事務局。
【飯塚補佐】 事務局から事務的な御連絡を最後させていただきます。次回の委員会の開催日時は未定となっております。詳細は追ってメール等で御連絡させていただきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
【菅野主査】 ありがとうございました。
今日はどうもありがとうございました。国際戦略委員会、これで今日は閉会とさせていただきます。
本当にどうもありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局参事官(国際戦略担当)付