令和6年11月14日(木曜日)13時00分~15時00分
オンライン開催
(主査)千葉一裕委員
(委員)相原道子委員、荒金久美委員、大野英男委員、梶原ゆみ子委員、小野悠委員、片田江舞子委員、小林弘祐委員、新福洋子委員、高橋真木子委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員、柳原直人委員
(事務局) 増子文部科学審議官、井上科学技術・学術政策局長、塩見研究振興局長、奥野大臣官房審議官(高等教育局及び研究振興政策連携担当)、先﨑科学技術・学術総括官、生田振興企画課長、柳澤大学研究基盤整備課長、平野拠点形成・地域振興室長、氏原大臣官房文教施設企画・防災部企画官、小川科学技術・学術政策局企画官、助川学術企画室長、小川大学研究力強化室長 他
【小川室長】 定刻になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会を開催いたします。本日は御多忙の中、御参加いただきまして、ありがとうございます。
会議の冒頭は事務局から進行させていただきます。
なお、本日はオンラインでの開催となっております。音声などに不都合がある場合は、随時事務局まで御連絡をお願いいたします。
最初に、オンライン会議を円滑に行う観点から、事務局より何点かお願いがございます。
1つ目としましては、発言時以外はマイクをミュートにしていただければ幸いでございます。
2つ目としましては、御発言に当たっては、「手を挙げる」ボタンを押していただく、またはカメラに映りやすいように手を挙げていただくなどしていただければ幸いでございます。
3つ目でございますけれども、資料を参照する際は、なるべく資料番号ですとかページ番号、ページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただければ幸いでございます。
なお、本委員会は原則として公開で行うこととしております。本日は、事前に登録いただいた方に動画を配信しておりますので、御承知いただければ幸いです。
本日の委員の出欠状況につきましては、木部委員、藤井委員、山崎委員、吉田委員が欠席となっております。また、新福委員が後半より参加される予定です。文部科学省からは増子文部科学審議官のほか、関係局課の職員が出席しております。
続きまして、配付資料の確認でございます。本日は、議事次第に記載のとおり資料を配付しておりますので、御確認をお願いできればと思います。また、説明の際には画面表示をさせていただく予定でございますけれども、必要に応じて事前に送付したPDF資料も御参考いただければ幸いです。
それでは、今後の議事については、千葉主査に進行をお願いさせていただければと思います。千葉主査、どうぞよろしくお願いいたします。
【千葉主査】 ありがとうございます。それでは議事に入ります。
本日の議題は、大学研究力強化に向けた取組についてです。具体的には、国際卓越研究大学の認定・認可や第2期公募に向けた状況等について、それから大学の研究力向上に向けた多様な取組についてになります。
前半の国際卓越研究大学については、制度の進捗状況について事務局より報告いただきます。その後、大学の研究力向上に向けた多様な取組として、7月の大学研究力強化委員会でも御意見をいただいた、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会としての意見報告をいただきます。
その上で、多様で厚みのある研究大学群を形成し、我が国の研究力を強化する観点から、国際卓越研究大学制度、それからJ-PEAKS等を通じた研究大学の機能強化を進めるとともに、組織・研究領域を超えた連携を強化していくための具体的な方策について議論をさせていただきます。このため、私より地域中核の視点でのプレゼンをさせていただき、共同利用・共同研究体制の機能強化に向けた課題や方策について事務局より御説明した後に、質疑応答の時間を設け、御議論いただきたいと思います。
委員の皆様には、ぜひ積極的に御発言いただき、活発な議論をお願いいたします。
それではまず、事務局より、資料1の国際卓越研究大学の公募・選定について、説明をお願いします。
【小川室長】 千葉主査、ありがとうございます。
それでは、資料1に基づきまして、国際卓越研究大学の公募・選定について御説明させていただきます。資料1でございます。
こちらの2ページ目をおめくりください。こちらは大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学の公募・選定についてということでございます。改めてになりますが、公募・選定のポイントとしては、変革へのビジョンとコミットメントの提示に基づき実施するということ、また要件としては、研究力、事業・財務戦略、自律と責任のあるガバナンス体制ということでございます。前回の委員会は7月に実施されておりまして、アドバイザリーボードによる東北大学の審査の終了というところまで御説明させていただいているところでございます。
2ポツの公募・選定のスケジュールでございます。改めて令和5年4月より、全10大学に対してアドバイザリーボードとして審査を行っておりまして、9月には認定候補大学として東北大学を公表したところでございます。
今年の6月にはアドバイザリーボードによる東北大学の審査が終了したところ、初回公募の取りまとめということで、こちらも公表させていただいております。
また10月以降、改正国立大学法人法が施行され、合議制の機関の設置が可能にとなりましたので、既に東北大学におきましても運営方針会議を設置していただいております。また関連の手続を経て、文部科学大臣が先週の金曜日に、東北大学を国際卓越研究大学に認定したところでございます。一部報道を見られた委員の方もおられるかと思います。
今後でございますけれども、東北大学が体制強化計画を文部科学省に提出していただきまして、関連の手続を経て、次は計画の認可について文部科学大臣がその判断を行う予定でございます。
その上で大学側に実際に資金が助成されるのは、今年度中を予定しております。
また、こちらの計画の認可まで一段落いたしましたら、第2期公募につきましても、大学ファンドの運用状況等を勘案し、令和6年度中に開始予定ということで、今準備を進めているところでございます。
3ページ目をおめくりください。東北大学における国際卓越研究大学法に基づく認定申請についてでございます。国際卓越研究大学法に基づきまして、省令において、こちらの認定の際の定量的・定性的な基準というものが規定されているところでございます。こちらの資料で言いますと、左側のセルに認定に関する基準が、右側のセルに東北大学がそれぞれの項目に対して対応する中身が記載されているところでございます。
認定に関する基準といたしましては、1から7まで、定量的な指標、また定性的な基準というものがございまして、例えば1番であれば研究の実績、2番であれば産学連携などを通じた研究成果の活用の実績というところ、3番では研究の体制、4番では、今申し上げた産学連携などの研究成果の活用の体制というところ、5番では、資源配分などを行うことができる運営体制、6番では研究に関する業務と管理運営に関する業務の適切な役割分担などの体制、また7番では、様々な多様な財源を確保しているという観点から、卓越した研究等を持続的に発展させるために必要な財政基盤ということで、こういった基準が設定されているところでございます。
こちらに対応しまして東北大学におきまして、右側のセルでございますけれども、対応する中身が記載されているところでございます。一例を挙げますと、例えば1番の国際的に卓越した研究の実績という意味では、Top10%論文数が1,000本程度以上というものがございますけれども、東北大学のほうでは3,129本ということで、こういったところは定量的なものも含めて当然にクリアしているところでございます。
2ページおめくりいただきまして、5ページ目でございます。こういった点も含めまして、文部科学大臣として、先週の金曜日、11月8日に、東北大学を国際卓越研究大学として認定したところでございます。また併せて、今後東北大学の体制強化計画につきましても、申請があり次第、国際卓越研究大学法に基づく手続を経まして、所管大臣としての認可の可否を判断する予定と申し上げていただいているところでございます。
6ページ目と7ページ目は参考としてつけさせていただいておりますけれども、こちらはこれまでアドバイザリーボードにおきまして、1年を超える長期にわたりまして審査を行っていただきました。
その取りまとめという形で、今年の6月に有識者会議の審査の結果についても、東北大学に対する審査についてということ、また、次のページでございますけれども、7ページ目、次回公募への期待ということで、この後また次回公募の御説明もさせていただきますが、改めて国際卓越研究大学には、大学システム改革と研究力を向上する環境整備が求められるという点、また画一的な取組を求めるものではないということで、それぞれ研究成果、事業・財務戦略、ガバナンス、その他ということで、アドバイザリーボードの期待というものをお示ししております。今後、各大学におきましてもこういったものも御参考にしていただきながら御提案をいただくということで、考え方を発信しているものでございます。
8ページ目でございます。大学ファンドの運用状況でございまして、こちらの令和5年度末というところです。こちらの運用資産総額が10.96兆円というところと、収益額は9,934億円、収益率は10.0%と、公表しているところでございますけれども、運用の立ち上げが進んできておりますので、今年度から半期の開示ということで、※で2つ目、令和6年度上半期と記載がございますけれども、半期ごとの実績も書いているということをしてきております。例えば運用資産額が、今、約11兆1,121億円、収益額が半期で1,551億円、収益率がその半期で1.4%ということで、こちらも公表されているデータですけど、安定的な運用がされているというところをお示しするものです。
次のページ以降が、第2期の公募についてということでございます。10ページ目をおめくりいただければと思います。こちらは初回公募における国際卓越研究大学の審査の体制というところでございます。改めて総合科学技術・イノベーション会議の議員の方、また本委員会の委員の方にも参加いただき、アドバイザリーボードで審査を行ってきたところでございます。基本的には同様の考え方に基づいて、また審査を行っていくと思っておりますけれども、また引き続き準備中というところでございます。
11ページ目を御覧ください。初回公募と第2回公募で、何を見直すか、変更するか、明確化するかといったところをお示ししているのがこちらの表になってございます。初回公募が、昨年の8月、9月のタイミングで東北大学が認定候補となりましたというところで、その後、申請を初回公募いただいた大学と丁寧にコミュニケーションを進めてきております。何巡か御意見いただいておりまして、その中で大学からも御指摘いただいたような中身を中心に、第2期公募については主な変更点として挙げさせていただく予定でございます。
公募期間としては、やはり大学において検討する期間を確保するという観点から、より長く設定してほしいという話もございました。
また申請書類についても、書類等の作成に係る大学の負担軽減ということで、意向表明書ですとか動画制作、こういった負担が大きかったところを不要とするということ。またアドバイザリーボードの委員からは、やはり大部の資料になるところではございますが、変革を行う際に乗り越えるべき現状の課題認識を踏まえて、やはり執行部を含めて、特に重要と大学として位置づける目標、戦略、こういった計画の核になるような考え方ですとか、大学をどのように変革していくのかといった道筋、こういったものをポイントがよく分かるように、様式なども含めて整理したいと考えております。
また面接審査ですとか現地視察、こちらもより長く、また、なるべく多くの大学に来てほしいという話もありましたので、こういった考え方もしっかりと反映させていただきたいと思っております。
また、アドバイザリーボードからのコメントをこれまでも発信してきたところでございます。次回の審査におきましては、現地視察の対象大学につきまして、アドバイザリーボードからの意見に対して、大学にて1次計画案の一層の精査や明確化を実施する期間を設けるということなども含めまして、計画の修正を審査の中でしっかりと修正することを可能とするなど、体制強化計画案の磨き上げを審査の中で実施することを、今考えております。
ですので、計画の初年度が令和8年年度を初年度とすることを予定しております。
一方でアドバイザリーボードの審査の結果、例えば一定の留保条件が付された、こういったことも想定されますので、そういった場合はこの限りではないということで、留保つきのものも存在し得ることを考えております。
その他のところで2点、出資法人の扱いの明確化、また出えんの払戻し条件についても、こちらは5回程度でということで具体化することを考えております。
出資法人のところは少し技術的な中身もございますので、御説明させていただきますと、2ページ進んでいただきまして、13ページ目でございます。近年、国立大学法人等が保有する研究成果ですとか研究施設など、こういった資源を社会に還元するということ、また自ら投資を呼び込むということで、国立大学法人等において一定の業務を行う場合については、出資法人、いわゆる子会社を認めております。
こうした出資法人が実施する業務は、これまでも規制緩和の一環でどんどん広げてきているところでございまして、今挙げさせていただいている、この1から6までの類型が、現在認められているところでございます。
全ては御説明しませんけれども、例えば1ポツの成果活用促進事業者ということであれば、大学の技術に関する研究成果を実用化するために、民間と共同研究を行う。また、民間企業との共同研究を企画、あっせんする。こういった機能は大学の中で実施することはもちろんですけれども、出資法人の中で実施するということも、現在認められております。
1ページ戻っていただきまして、12ページ目でございますけれども、国際卓越研究大学制度におきましては、大学の自律的な経営能力向上ですとか、多様な財源確保を促す観点から、外部資金の獲得実績に応じて助成額が決定されるということでございます。ただ一方で、今申し上げたように、近年国立大学法人等が保有する、こういった成果を社会に還元して、自ら投資を呼び込むということで、出資範囲が拡大しているところでございます。
ですので、大学との対話においても、例えば国際卓越研究大学の制度設計においても、出資法人に係る規制緩和の活用を妨げないように、条件を明確化したほうがいいのではないか、こういった話もございましたので、今回明確化の方向性として2ポツで示させておりますが、原則としてはやはり大学の個別財務諸表に基づくとしつつも、大学からの要望があり、一定の条件を満たす場合、助成額の算定に出資法人による外部資金獲得額を加減する必要がある場合、特殊要因に含めてはどうかというふうに考えております。
具体には一定の条件というところで、出資法人の活用が、中長期的な大学改革への裨益を含めまして、体制強化計画の中に位置づけられる。また、財務・事業の方針決定に大学が多大な影響力を与えるというところ、また連結決算ですとかセグメント化などによって、出資法人における国際卓越研究大学の活動に基づく収入を確認できる。こういった点が確認できた場合についてはそういったものを含めることも可能ということで、今回明確化することを考えております。
11ページ目にお戻りいただきまして、こちらはスケジュールのイメージとして2ポツで示しております。今後の検討の過程等で、当然この計画は変更になることも想定され得るものではございますけれども、令和6年度中に公募を開始していきますとともに、令和7年度に段階的な審査としてアドバイザリーボードにおいて審査を行うと。書面、面接、また初期の計画案の一層の精査ですとか現地視察、こういったことを実施していく中で、令和7年度内には認定、認可、助成を進めまして、令和8年度から体制強化計画が開始されるということを今想定しているところでございます。
最後、15ページ目でございます。シンポジウムを予定しておりまして、こちらも紹介だけさせていただければと思います。ここにありますように、我が国の大学の研究力強化に向けてというところで、今12月17日に文部科学省主催で、JSTとJSPSが共催、内閣府後援という形で実施する予定でございます。
中身としましては、世界最高水準の研究大学実現に向けた国際卓越研究大学制度が目指す姿、またJ-PEAKS等の研究大学施策の全体像を示していくこと、また今後の研究大学の姿や機能強化等について議論を行うことを考えておりまして、こちらの当委員会からも、千葉主査ですとか、那須委員ですとか、高橋委員に御協力いただくということを考えておりますので、こちらは御紹介まででございます。
少し技術的な部分も多かったかと思いますが、私のほうからは御説明は以上でございます。
【千葉主査】 どうもありがとうございました。まず第1号として、先週、東北大学が国際卓越研究大学に正式に採択されたということで、心よりお祝い申し上げます。特に委員に御参加の東北大前総長の大野先生の御尽力に、心から敬意を表したいと思います。
それでは、ただいまの事務局からの御説明について、御質問等ございましたらお受けしますが、いかがでしょうか。野口委員。
【野口委員】 ご説明ありがとうございました。私は最後のシンポジウムの開催についてです。非常に重要なシンポジウムであり、かなりの大学関係者や企業関係者も見るのではないかと思っています。
その上で3点お願いしたいと思います。1つ目は、トップアップがボトムアップにも繋がるという点、2つ目は、人材育成です。研究者や博士人材、またURAのような研究開発人材も、世界最高水準での育成に取り組むという点、最後に日本を牽引する研究大学の在り方を議論されますので、それを通じて、大学マネジメントや大学システムの改革も考えさせていただけるような内容にしていただければ、非常良いと思いました。以上、3点よろしくお願い致します。
以上です。
【千葉主査】 大変重要なメッセージをありがとうございます。ぜひ関係の皆様にもお伝えして、非常に実ある、中身の濃い議論になるように進められればと思います。
ほかにいかがでしょうか。那須委員、どうぞ。
【那須委員】 2点あります。野口委員、御指摘ありがとうございます。しっかり心して、ここでの議論をしっかり参考にしたいと思います。
それと私、J-PEAKSの大学として、実は国際卓越のことはうちの大学にはあまり関係ないなと思って、細かいことは見ていなかったんですけど、今回こういうふうに見させていただくと、全く国際卓越とJ-PEAKSが別物ではないということで、しっかり連携しながら、いろいろなガバナンス等、ここの今日見せていただいた書類を勉強して、より高みを目指して頑張らないといけないなということがよく分かる資料を御提示いただいたと思います。コメントです。
【千葉主査】 どうもありがとうございます。本当にそのとおりですね。ぴったりとリンクしている内容かなというふうに思います。
よろしいでしょうか。特に今なければ、また後半のほうで総合的な意見交換の場を設けますので、またそこで何かありましたらいただければと思います。
それでは、次に移りたいと思います。資料2の大学研究力強化に向けた多様な取組について。まず初めに、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会としての意見、令和6年8月ですね、この報告や本議題の趣旨について事務局より説明いただき、その後に私から、地域中核・特色ある研究大学促進事業、これはJ-PEAKSの採択校として取組状況、ほんの一つの例でございますが、これを説明させていただいた後、再度事務局から本議題の論点について説明していただきます。
それでは、助川学術企画室長、お願いします。
【助川室長】 ありがとうございます。学術企画室長の助川でございます。まず私から、資料2の1、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会としての意見について御説明申し上げたいと思います。資料は、2ページを御覧いただけますでしょうか。
こちらにございますけれども、科学技術・イノベーション基本計画は5年ごとに策定されてございます。現行の第6期基本計画は令和7年度末までですので、再来年度、すなわち令和8年度には新たな第7期基本計画期間が始まるところでございます。そこで今年の骨太の方針におきましても、次期基本計画に向けた検討を開始する旨が述べられたところでございまして、これを受けまして、研究力については科学技術・学術審議会の学術分科会を中心に議論いただいております。
この中ほどに記載されておりますとおり、学術分科会といたしましては6月と7月に分科会を開催いたしまして、次期計画に向けた議論を行っております。その途中、前回の7月23日に開催されました、こちらの大学研究力強化委員会におきましても、学術分科会の議論を紹介した上で、委員の方からも様々な御意見を頂戴したところでございます。委員の方の御意見を踏まえまして、8月末に学術分科会の意見が取りまとめられまして、9月2日の科学技術・学術審議会の総会に報告してございます。
ページを、次進んでいただきまして、こちらがその9月2日のときの総会に別な資料として提示されました、次期基本計画の検討に向けた基本的な考え方(案)というものでございますけれども、こちらにおいても研究力が、真ん中のところにありますように、1つの柱として立っておりまして、学術分科会の意見に沿った内容が項目として入っているところでございます。
今後、CSTI、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議おいて、次期基本計画に向けた検討が本格化される見込みとなっておりますけれども、学術分科会といたしましても関係部会等と連携しつつ、学術分科会意見の具体化に向けたさらなる議論を行っていただく予定でございます。
以下、取りまとめた意見について簡単に御報告申し上げます。4ページ目でございます。
こちらが意見のポイントでございますけれども、一番上の青枠の部分、こちらが学術研究の意義・現代的な役割を述べたところでございますが、学術研究や基礎研究の重要性を指摘しておりまして、次期基本計画でも重要な柱として位置づけるべきとしております。
下の赤枠部分が研究力強化に向けた方向性を示した部分でございまして、(1)研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の強力な後押し、(2)大学等における研究環境の改善・充実、マネジメント改革、(3)日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成の3つの柱を立てまして、言わば、まず研究者個人の視点、それから研究大学において研究者が研究に専念し、研究の質・量を向上させるマネジメント改革を行うという視点、それから多様で厚みのある研究大学群を形成するといったマクロの視点のそれぞれから、現状の課題と今後の方向性をまとめてございます。
本日の議論に関係するところといたしまして、黄色のハイライトしております研究大学群の形成について若干申しますと、先ほど申し上げた前回の7月の強化委員会におきましても、今後の人口減少の中で地方大学の経営・研究力強化が難しくなっていく中で、国際卓越研究大学等の研究大学と人材や研究リソースを共有するネットワーク形成の重要性等について御指摘いただいております。
こうした点を踏まえ、この意見におきましても、国際卓越やJ-PEAKS等を通じた個々の大学の特色・強みの最大化ですとか、共同利用・共同研究体制の強化について、重要性が指摘されているところでございます。
前回の強化委員会で御議論いただきましたことを改めて申し上げますとともに、学術分科会の意見について御報告申し上げました。
なお、学術分科会意見の本文は参考資料1でお配りしてございますので、適宜そちらも御参照いただけますと幸いでございます。
私からは以上でございます。
【千葉主査】 ありがとうございます。
そうしましたら続けまして、小川室長お願いします。
【小川室長】 ありがとうございます。それでは、私のほうから御説明を続けさせていただきます。
5ページ目をおめくりください。本日この後、多様で厚みのある研究大学群の形成に向けてということで、論点はもう示させていただいておりますけれども、地域中核における具体的な取組ですとか、共同利用・共同研究体制の強化に向けてというところを、千葉主査、また文部科学省のほうから御説明させていただく予定でございます。
6ページ目でございます。こちらは改めて、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群を、どのような考え方で形成していくかというところでございます。こちらの総合振興パッケージと大学ファンドを連動させて、個々の大学の持つ強みをまず縦に引き上げるというところ、また複数組織間の連携を促進して、ダイナミクスのある人材流動性が高い研究大学群(システム)を構築するというところを、1つの目標としてございます。
その上で下の部分でございます。赤字で言うところの個々の大学が持つ強み(ピーク)を最大化していく、大学ですとか領域を超えた連携の拡大、また人材の流動性の向上というところで、下に図でお示ししておりますけれども、国際卓越研究大学ですとか、また矢印が上に出ていますが、地域中核・特色ある研究大学、こういった拠点が強みを伸ばしていくというところと合わせまして、大学共同利用機関、また共共拠点などもございます、組織間連携の促進ですとか、また国際卓越研究大学はやはり日本全体のハブとなって、研究大学群を牽引していただくということなどでございます。
考え方としては以上でございまして、この後、7ページ目でございますけれども、千葉主査のほうからも、地域中核の実際のお考えですとか取組状況、また横につなぐ仕組みである共同利用・共同研究体制の強化に向けてというところで、現状どのような実施状況、また活動状況になっているかというところの御説明、その上で委員の方から御意見をいただく意味で、論点案としてお示しさせていただく予定でございます。
私のほうからは以上でございます。千葉主査、どうぞよろしくお願いいたします。
【千葉主査】 ありがとうございます。
それでは続けて私のほうから、資料3に基づいて、J-PEAKSの本学での取組状況を、例としてお話しさせていただきます。大変恐縮しているんですけど、千葉のほうから一つの例として話すようにと担当課からの申入れもありましたので、お受けした次第でございます。
本学は西東京に位置しておりまして、近くにあります東京外国語大学、電気通信大学と3大学、それから海外の大学、Hawaii大学とQueensland大学との連携、参画で進めております。
2ページ目お願いします。掲げている目標というのは非常に大きなもので、国際的な社会課題、特に地域をベースに国際的な社会課題を解決するというところに焦点を当てておりまして、それを達成するためには、まず資金、一番下です。資金の獲得。これは産学連携で得た資金となっていますけど、このメカニズムもすごく重要で、単に共同研究をいっぱいやりましたというだけでは、大学が自由になる資金は得られないだろうという考え方から、新しい仕組みの導入も含めて進めていくと。最終的にはそれを基礎研究とか高度な教育に還元していくという、そういうスキームを描いたものでございます。
3ページ目お願いします。それでやはり大事なのは人と人のつながりで、信頼関係とか国際的求心力。この辺りは、いわゆる技術系の大学、この3つの大学で言うと本学と電気通信大学だけでは不十分でございまして、社会科学的な強みのある東京外国語大学に全面的にここで参画していただいて力を発揮していただくという、そういう理念に基づいております。
4ページ目お願いします。それで、まず資金のところなんですけれども、先ほども、ファンド、あるいは大学からの投資による企業というのがございましたけど、これについてかなり早く手を打っておりまして、認定ファンド、これは民間資金のみによるファンドというのが基本になっております。これを設立することについて国の認可もいただきまして、これはどこの大学でも今できるようになっていると思うんですけれども、大学出資の会社も今、最終段階になって設立しているところです。
それから共同研究なども組織対組織で、特に学長対社長で議論してつくり上げたものについては、間接経費40%というのも制度化しております。
重要なのは下のほう、ガバナンス体制。本学はいち早く、経営層、経営体質、経営の組織、これは緑のほうです。それから教学のほうが青です。これを分けておりまして、明確な形で大学運営に臨んでおります。重要なのはこの緑と青を分けるということは、逆に言うとこのつながりがより強固になる必要があるということで、トライアングル体制で学長と統括理事、それから統括副学長との連携、意思疎通の機会というのは非常に多く設けているところでございます。
5ページ目お願いします。この仕組みなんですけれども、一番上、TUATというのは農工大ですが、目指すところは教育研究の質向上です。そのための重要な活動資金としての資金をどう入れるかということで、両側の白っぽい矢印は受託研究、共同研究、あるいは右側は学生納付金とかでございます。
これは既存の流れなんですけど、これはもう大体お金が入ればそのお金の使途は決まっているという形で、そうではない資金をどう入れるかというところで、Dejimaという、これは仮称ですけれども、Univ.-funded operating company、これが間もなくできます。これについてはもう中身も含めて、あるいは事業内容や新たな市場も含めて、準備をどんどん進めているところです。それからTUATファンドは組成できまして、ここからも資金が関係するところに入るような流れをつくっております。
それであと、薄い水色で四角のべた塗りになって黒い文字のところがあちこちにちりばめてありますが、私自身としては、この辺の資金を獲得していく理念のところがすごく重要だと思っておりまして、本当に石橋をたたいて渡るような考えだけでは、資金は有効に得られないし、それの活用もできない。ただし、その流れについての決定のプロセスや責任というものはしっかりと持たなければいけないと、こういうところを資金提供者にしっかりと開示しながら、いい関係をつくっていくというところが、やはり最も重要かなというふうに思っております。
6ページ目お願いします。それでこれは大学、上のほうがDejimaを使ってどんどん――どんどんでもないですが、資金が入っていって、大学に還流して、ファンドを組成しながらという概念図で、それからあとは、このDejimaで何をやるかというと、かなり多岐にわたったもの、それから具体的なものも盛り込まれています。
このプロセスに至るところでは、実は私自身の経験もすごく大きく、非常にいい経験をさせていただいたのがございまして、今から10年前に私自身、2005年、スタートアップを創業しています。これは左下から矢印が右の上に上がっていますけど、実際自分自身のつくった会社が事業売却をしたり、国際共同事業開発をしたり、あるいは去年、排他的独占契約して、これはかなり大きなブロックバスターをつくるような技術にまで成長したんですけど、ただ20年かかっているんです、ここまで行くのに。
ただそのプロセスで産学官連携とか人材養成、国際化、それから研究力というような、まさに日本の国立大学が歩んできた――国立大だけじゃないですね、日本の大学全部が歩んできたプロセスとすごくリンクして、自分自身のスタートアップも成長しましたし、あるいはそこでぶつかった様々な課題という経験も、大学の発展に生かせているんではないかなと、あるいは生かさなきゃいけないのではないかなということを感じてきたという、そういうマップになっております。
7ページ目お願いします。それで本学が重視しているのは、一般にインパクト投資と言われるもので、リスク回避。このリスクというのは2つの意味がありまして、1つは資金的なリスク。要するに投資したものの回収に対するリスク。これがそれほど高くなくて、それほど大きな額ではないですけれども回収されますよという、ファイナンスのところのリスク低減と、それから本学が特に目指しているのは、社会、あるいは世界のリスク低減というものの事業性です。
バイオエコノミーと一言で言えてしまうかもしれませんけれども、これを拡充しないと世界の未来がないという観点から、これをいかにして収益事業にしていくかというところに焦点は当てた形での事業を、大学が可能な限り先導していくという、そういうスタンスを取っております。
8ページ目お願いします。簡単な概念図で言いますと、例えば農工大というと、農業関係のことがかなり主軸だと思われるかもしれませんが、実際は工学とか理学とかその辺が非常に強いんですけれども、こういう農業関係のところの連携もすごく強いので、例えばこれからの農業はどうあるべきかというと、一番下にあるような写真は、現業、今の社会を動かしている様々な事業、これが適正に回るということを想定しながら、きちんと、例えば炭素固定をしていくとか、バイオエコノミー、あるいはバイオ燃料を作る、そういうことを回していく。しかもそこに収益性を持たせなければならないということです。
このモデルは今までの産業をつくるモデルとはかなり違っておりまして、決定的に違うのは、単一の最先端技術によって成し遂げられるようなスキームにはなっていない。これからは恐らくそういうものになってくるだろうと。要するに幾つもの複合的な要素を組み合わせて、初めて収益性が出てくる。こういうものを幅広に進めていく。そのためには、例えば大企業であっても、その全領域を網羅することはできないですし、それから未来の予測、例えば収穫量とかそこに必要なコスト、これがどれぐらいになるかという算定も、実は企業さんだけではできない部分がたくさんあるということが分かりました。
ということで、大学、これも単独の大学ではなくて、大学のネットワークを使って様々な分野の人たちも含めた形での事業をつくっていく。そして足りないサイエンスの部分が明確になってきますので、そういうところで最先端の科学技術を掘り下げていくというスキームが大事であろうというふうに思っています。
9ページ目お願いします。具体的なものを1つ挙げろといいますと、SAFです。Sustainable Aviation Fuel。要するに飛行機用のバイオ燃料の製造というところについて、今、私自身も先頭に立ってこの事業を進めております。市場規模で言いますと、2030年までに10%ぐらい、日本の中でもこれをSAFに置き換えなきゃいけないんですけれども、それで今のところ、二、三千億円。これが100%になると1.3兆円と言われて、世界になるとその数十倍とか100倍が必要になるということで、これはもう実は、石油会社、航空会社、その他多くの業界がここについて精査し、どこからチャレンジするかというのを今決めている段階です。
これについては本学では、既にここの下にある製鉄、石油、食品等と、今、具体的な名前はお示しませんが、大企業群がここに参画いただいて、一定の資金も御提供いただいて、この実現に向けて、どこの土地を確保し、誰とどのような技術で、そして植林をやるのであればどこから苗を手に入れてというようなこと、あるいは最終的に日本が知財で固めて、日本企業が大きな収益を得るための構造というようなことについての調査、それから研究、実証実験等を進めています。
10ページ目お願いします。それで当然、例えば今、オーストラリアは1つの対象国ですけれども、ほかにも幾つもあるんですが、そこのトップ大学のQueensland大学との連携、協定を結んで、将来的なスキームをつくっていく。そして日本企業からの投資を受け入れる受皿、海外の企業からの投資を受け入れる受皿、こういうものも全部事前に準備していかなきゃいけないので、この辺りも総合的に進めております。
この辺について、今後は農工大の場合ですと、Dejimaを使ったものもかなり出てきますが、現時点では私を含めて全学的に、もう大学のトップから全体を動かして、相手方も企業さんとか大学と連携してやるという体制で臨んでいます。
11ページ目お願いします。それから重要になるのが、現時点で想定している樹木から生まれる油は、まだSAFとしての国際認証を通っておりません。通すのに大体3年程度かかるんですが、これは国際的な標準規格をつくる場に出ていって議論が必要になります。これについても日本の関係する省庁と連携して、本学がそのスタッフを出すという位置づけに今なっておりまして、例えばジュネーブで国際会議があるとかというところでは、本学の人間が専門性と交渉力を持っていく。これは本当に若手のポスドクが出ていくんですけれども、そういうことをやっています。
この辺りも日本としては今までやはり弱かったなというふうに思いますので、やはりこういう国際認証の場にどんどん大学も含めて出ていく。それからACT FOR SKYとありますが、こういう企業さんたちが今連携して、本学は大学としてはただ1つだけここに入っているという形です。新聞等でも記事にしてもらって、この動きをさらに日本の中でも加速していくということを進めているところでございます。
12ページ目お願いします。これも一つのDEEPTECでございまして、すぐに二、三年でぽんと結果が出るというものではないんですけれども、やはり社会が必要となること、実行が我々は可能かどうか、そしてどういうメリットがあるか。社会的なメリットですね。それからほかの方法はないかということを常に検証しながら、この高いR&Dリスクを受容しながら、市場の圧力等に打ち勝って社会的インパクトを出すという、全学的にこういうことで、今意思統一というか、価値観というか、この概念を理解するよう進めているところでございます。
13ページ目お願いします。それで重要なのは、やはりこれを教職員の活動の原資にする。例えば独創的な研究といいますと、どういう研究をやったらいいか、誰と連携したらいいかというところもありますが、これも全学的な司令塔を立てた形で、要するにURA機能のようなものをもう学長の直下に置いて、そこから教員と連携していくというような体制をつくっています。
それから時間と資金。当然教員はこれをもっと欲しい欲しいというふうに言うわけですけれども、ただどうしようというだけではいけないので、これを生み出すスキームというのを考えていくわけです。時間の場合は特に意志決定のプロセスというのを単純化することと、それから決定した人間が責任を持つということがすごく大事だと思っています。それから資金については今申しましたように、これまでの大学の外部資金の概念ではとても足りないですし、それからその資金の性質が違うんです。そういう意味で、違う性質の資金をいかにして獲得していくかというところで、新しい仕組みづくりが何としても必要だというふうに思っています。
14ページ目お願いします。それと同時に、先ほどポスドクが世界で交渉の場に出て活躍していますよと申し上げましたけれども、明らかにそういう力を持った若手も次々出てきています。ですから、もちろん学術研究だけで世界トップレベルになるという人、これもドクターに行く人の中で一定割合いるんですけれども、実はそれよりも多い割合では、実業の世界で大きな力を発揮する、そういう才能、素養を持った人がたくさん存在しているというふうに思っています。
それをいかに思う存分伸ばすかというところが重要なので、一番左のところは当然通常のドクターの概念ですけど、本学としてはこの階段を上っていくところ、そんなところまでやるのかと思われるかもしれませんが、例えばスタートアップ一つをポスドクがやっていくんだということを考えた場合に、この階段を上っていく中で要らないものはどれかといったら、要らないものなんか何もなくて、これを全部できないといけないんです。ですからこういう力をつけていく。
逆に言うと、この力をつけたドクターであったら、どんな仕事でもできますし、どんなところからも欲しいと言われるというものであると思っています。これは私は経団連とかいろんなところでもお話しさせていただいて、皆さんそこはもう本当に一致した考えでありまして、やはり若い人たちの可能性というのはもっともっと大きな目で見て、そしてそれを広げてこそ、大学の役割が果たせるだろうというふうに考えております。
15ページ目ですね。それで、これが最終的には事業を独自で回せるようにしなきゃいけないので、大学の自律化というところを焦点に、最初からここを目標に進めているところでございます。
16ページです。私たちは今、10年後の姿を描いて、描く姿は、やはり未来に希望が持てる社会をつくる。大学として、総合的にここに大きく貢献していきたいというふうに考えているところでございます。
私からは以上でございます。
それでは説明のほうを先に進めていきたいと思いますので、事務局よりお願いいたします。
【村越課長補佐】 主査、ありがとうございました。資料2の8ページのほうをよろしくお願いいたします。
これからの事務局のほうから、共同利用・共同研究体制の強化に向けてというところで、9ページをお願いいたします。今まさに千葉主査のほうから、ここの図の赤で囲んでおりますような、それぞれの大学のピークを伸ばしていく、あるいはその過程で、様々な大学とも連携しながら活動していただくといった事例について御紹介いただきましたけれども、併せて、そういった拠点となるような大学の間を、組織的、あるいは分野を超えてつなぐような仕組みというのもこれまでしておりますので、今回、その全体の議論をするに当たり、現在の取組について事務局から御紹介させていただければと考えてございます。
左下の黄色のところでございますけれども、個別の研究分野における中核(ハブ)をつくる取組として、これまでここに書いてありますように、大学共同利用機関、あるいは共同利用・共同研究拠点、そして中規模研究設備、そういった取組を通じて、現在、組織、分野を超えたネットワークの促進というのを進めているところになってございます。
また、下の右の赤の部分になりますけれども、そういった特色のある拠点同士をよりつなげることで、新しい分野を超えた学際研究領域を創出する、そういった観点で本委員会でも御議論いただきまして、令和5年度から学際ハブという事業で、新たにその分野同士の融合というのも現在促進しているところになってございます。
全体はこういった構造になってございますけれども、改めて特にこの左下のそれぞれの取組について、この後、資料も含めてポイントを御紹介させていただけたらと思ってございます。
10ページをお願いいたします。大学共同利用機関法人についてですけれども、こちらは、個別の大学では整備できないような大規模な施設・設備、あるいは大量のデータ・貴重な資料等を全国の大学の研究者に提供する、そういったいわゆる研究を支えていく、支援していくことを自身の研究と併せて進めていくということをミッションとした法人となってございます。
具体的な法人については11ページにまとめておりますけれども、それぞれ分野の特性等も踏まえて、4つの機関の下に17の研究所が現在活動している、そういった部分になってございます。
それぞれ分野の特性に応じた形態とはなってございますけれども、例えば国立天文台のようなところですと、まさに個別の大学では整備できないような大型の天文台、そういったところを通じて、国内の研究者、あるいは世界とのネットワークを含めて研究成果の創出を進めている、あるいはより大学の基盤というところで申しますと、国立情報学研究所のほうでは、SINETのような形で、いわゆるデータ基盤のようなものを横串、機能的に全国をつなげている、そういった様々な活動をしている法人になってございます。
12ページでございますけれども、今回、大学全体の研究力強化というところを議論するに当たって、何点か御紹介させていただくポイントの一つとして、大学共同利用機関法人はまさに組織的に研究を支援する体制を整えてございます。
1つは大きな研究設備というのを整備させていただいて、そこにしっかり技術者等を入れることでしっかり稼働していく。また、現在研究の成果を出すに当たって、チームで取り組む、あるいは多角的な解析等をしていく要請というのが非常に高まっているかと思いますけれども、そういった中で、そういった高度、あるいは大型な設備というのをどういった形で使っていくことで研究成果に結びついていくのか、そういったいわゆる研究のコンサルティングのようなところを含めて、組織的に支援していく機能も持っている法人になってございまして、こちらの大学研究力強化全体を考える上でも、一つ重要な視点かと思いましたので、御紹介させていただいております。
次に13ページになります。こちらは分子科学研究所の事例になりますけれども、こちらでは例えば内部昇格というのを禁止するような形で、非常に人材流動のハブとしての機能を持っているという取組がございます。そういった活動を通じて、いわゆる若手時代に多くの大学から来ていただいて、すばらしい研究環境でしっかり成果を出していただく、あるいはその後に様々な大学にまた戻って、しっかりPIとして活躍していただく、そういった人材流動のハブとしての機能もございます。
また、右下に書かせていただいておりますけれども、技術職員等の育成支援というところで、現在、国際卓越研究大学、あるいはJ-PEAKSの大学等含めて、いわゆる技術職員、あるいはURA等の需要等、非常に高まっている部分かと思います。そういった点含めて、まさにこういった高い技術支援、そういったノウハウのある法人として、全国の下支えといった機能というのも進めている部分がございます。
14ページになりますけれども、そういった大学共同利用機関法人として、いわゆる大学全体のネットワークを支えている部分はあるんですけれども、自然科学機構のほうでは研究大学コンソーシアムというところで、那須委員にもまさに副議長を努めていただいておりますけれども、研究力強化に積極的に取り組む全国の大学をコンソーシアムのような形でつなぐ、そういった活動もしておりますので、今回御紹介させていただきます。
15ページをお願いいたします。大学共同利用機関法人につきましては、法人としてまさに大学間の横串を担う、そういった機能を持ってございますけれども、併せて共同利用・共同研究拠点という制度を通じて、左下の図にありますように、大学の中にある強み、特色を持つ研究所について文部科学省のほうで認定をさせていただいて、広く研究者コミュニティー、あるいは産学連携等含めて、広いプレーヤーの方に使っていただく、そういった枠組みというのも促進してございます。
具体的な拠点等の一覧について16ページにお示ししておりますけれども、分野でしたり各地域、そういったいろいろな特性をカバーするような形で、全国に100以上の拠点を現在認定しているというものになってございます。
その上で、その成果について17ページでお示ししておりますけれども、近年それぞれの拠点で活動は伸びておりまして、1つは研究成果論文数というところですと、平成28年度から令和4年にかけて着実に増加しているということと併せて、真ん中に示しておりますように、学外からの研究者の受入状況というところで、こちらも大きく近年伸びているところがございます。また産学連携という側面に着目しますと、一番右になりますけれども、外部資金の受入額というところも近年着実に伸ばしてきている、そういった状況になってございます。
18ページ、こちらは1つ拠点を絞りまして、東北大学の金属材料研究所の事例になりますけれども、そういった共同利用・共同研究拠点がつくっている論文のネットワーク等を分析しますと、左下がまさに共著関係等のネットワーク図になりますが、国内の分野の様々な研究所、機関と、その東北大学金属材料研究所がネットワークを形成していて、いわゆる分野の中核性を持っているということをお示ししてございます。
また、下の右の表になりますけれども、こちらは、その東北大学金属材料研究所とそれ以外の拠点が共同研究をした場合の論文の質等を分析したものですが、まさに東北大学金属材料研究所と国内のその他の研究所が共同研究等をすることで、より質の高い論文というのを出していく、そういった全体の質の向上といった役割も果たしているのではないかと考えております。
また、最後に右下になりますけれども、こちらは科研費の採択されている研究者の分析になりますが、現在その他の大学でいわゆるPIとしてやられているような研究者でも、まさに助教・助手時代、そういった若手時代を東北大学の金属材料研究所で実際に過ごされている方がいらっしゃるところでして、実際にこういったハブ拠点機能を通じて、人材育成の機能といったところも担っているのではないかと考えてございます。
19ページにつきましては、こちらは本委員会でも以前御紹介しておりますけれども、先ほどは組織的な部分で御紹介いたしましたが、併せて現在、中規模研究設備というところで、いわゆるなかなか1つの大学だけでは整備し切れない、一方で共同利用を含めたニーズが高い、額としましては1億円から100億円規模、そういった研究設備というものがございます。
こちらは実際にこのパイチャートで示しておりますけれども、そういった研究設備がございますと、機関外からの利用等含めて様々な方に使っていただけるものであると同時に、左下の積み上げ棒グラフにございますように、実際にその整備した分野以外の分野を含めて、様々な研究者、あるいは民間企業等含めて利用いただくことができるというものになってございます。
一方で課題としましては、右下の表にまとめておりますように、非常に現在老朽化というのが進んできているところでございまして、最後、20ページになりますけれども、現在概算要求をしている段階ではありますが、一番下の③、大学の枠を超えた研究基盤設備強化・充実プログラムというところで20億円の新規要求として、まさにこういった中規模研究設備というのをしっかり整備していくことで、共同利用・共同研究体制の強化・充実、そういったところを目指して概算要求についても現在しておりますので、この場を借りて改めて御紹介させていただきます。
私のほうからは一旦以上になりますので、小川のほうから引き続き説明をさせていただきます。
【小川室長】 ありがとうございます。21ページ目にお進みいただければと思います。
この後、委員の方から様々な御知見をいただきたいと考えております。今、①のところで千葉主査のほうから、大学としての強みをどのようにして他大学と連携しながら進めていくかという具体的な取組を、また村越のほうから、横の連携、大学間の連携を促進するような制度のお話をさせていました。その上で、多様で厚みのある研究大学群の形成に向けた論点ということでございます。
22ページ目をお願いいたします。こちらのグラフは、よく委員の方もお目に留めることがあるかと思いますけれども、日、英、独の大学の比較でございます。英国やドイツにおきましては、最も規模の大きい、いわゆる第1グループ、論文を多くその国の中で輩出する大学、またその次のレベルの第2グループに分類される大学数が多い、また論文数も大きいということでございます。日本の場合比較しますと、第4グループ、一番論文の生産数が少ない大学となりますけれども、こちらは論文数の規模は小さいんですが、大学数が多いということから、一定非常に研究活動に貢献していると、こういったデータになっているところでございます。
23ページ目でございます。大学の分布というものと並んで、資金という点でございます。こちらのトレンドとしましては、運営費交付金と外部資金の獲得状況というところで、国立大学が法人化されて以降、運営費交付金という面では下がっておりますけれども、外部資金という意味ではここの積み上げに見られますように、受託研究、共同研究等を含めて、外部資金の獲得を各大学の努力でこれまでも進めているところでございます。
24ページ目をお願いいたします。これをよりブレークダウンして見てきたときに、大学の教員レベルで見た際に、研究開発費というものがどのように変化しているかというグラフでございます。このNISTEPの調査によれば、運営費交付金の減少に伴いまして、定常的に措置される教員当たりの研究開発費、人件費ですとか土地、建物、こういった研究開発に自由に使えるお金とはまた別の部分は除いた形の金額というところが、やはり定常的にしつつあるところは減っているということで、それぞれのグラフで見て取れるところでございます。
こういった背景も踏まえまして、本日、論点を少し整理させていただいております。25ページ目でございます。多様で厚みのある研究大学群を形成するという、この委員会の趣旨でございますけれども、国際卓越研究大学制度ですとかJ-PEAKS等を通じて研究大学の機能強化を進めるとともに、組織・研究領域を超えた連携を強化することが重要だということでございます。その上で、先ほど申し上げたような研究大学ですとか共同利用体制の機能強化に向けた課題や方策について御議論いただけないかと考えております。
論点としては、あくまで事務局として例を出しておりますので、一つ一つ細かく申し上げるものではございませんけれども、多様で厚みのある研究大学群により目指す成果という点、また大学間連携ですとか共同利用体制の構築の観点、またハブ機能、さらに人材育成・頭脳循環といった観点があるかと存じます。
26ページ目、27ページ目は御参考でございまして、高等教育局におきまして、国立大学法人等の機能強化に向けた検討会というものを今実施しております。委員は右下にございますように、相澤先生に座長を務めていただいておるということで、当局としましても高等局とも連携いたしまして、こちらの検討に参加しております。
第3回、9月30日に実施された会が、こちらの国立大学法人の現状、研究力についてということで御説明させていただいて、御意見をいただいておりまして、27ページ目、28ページ目など、こちらはあくまで御参考ですけれども、多様で厚みのある研究大学群の形成ですとか、共同利用体制の強化といった観点で御意見をいただいておりますので、こちらは本日の御議論の御参考としてつけさせていただいております。
最後でございますけれども、本日御欠席でございますが、木部委員から御意見を事前にいただいておりまして、少し最後に御説明させていただきたいと思います。
木部委員は先ほど村越のほうから御説明がありました共同利用機関のうち、人間文化研究機構の長でございますので、その観点でございまして、経営に苦しい地方大学が想定される中で、特に人社系の学部、学科にも影響が出てきている、絞られているようなところがやはり出てきていると。
一方で人文社会科学というのはそもそもの地方との協働によって発展することが期待されると。歴史学ですとかそういったところですと地方と密接に絡んできますし、そういった観点もございますということで、委員自身も、地方大学と大学共同利用機関でしたり共共拠点が今後連携していくことが、さらに重要になってくるのではないか、また国内の研究の裾野を支えることと研究成果の創出の両面で、それはウィン・ウィンではないのか、そういう意味で地方大学の執行部の方々においても、こうした可能性についてもぜひ御認識いただけるとありがたいという話がございましたので、私のほうから御紹介させていただいたところでございます。
私のほうからは以上でございます。千葉主査、どうぞ委員の方から闊達な御意見をいただければと思います。
【千葉主査】 どうも御説明ありがとうございました。
それでは、残り時間は議論の時間にできると思います。これまでの説明、それから特に、今ここに映っているんですね。25ページの多様で厚みのある研究大学群の形成に向けた論点ついて、どこからでも結構ですので御意見をいただきたいと思います。
先ほど御説明がありましたけど、多様で厚みのある研究大学群によって目指す成果というのはどういうものか。それからあとは、大学間連携、共同利用・共同研究体制等です。それからハブ機能。どこかに集約的にして、みんなでそこを中心にうまく動かしたらいいのかという話です。それから人材育成、頭脳循環等。かなり大学としての在り方、網羅的な項目が掲げられていると思います。今映していただきましたけど。これはどこからでも結構ですし、あるいはここにないこと、あるいは前段のほうで御説明があった話についての御質問、御意見でも結構ですので、いただければと思います。
それでは、荒金委員、お願いいたします。
【荒金委員】 ありがとうございます。荒金でございます。
最初ということで、ちょっとあちこちになりますが、千葉主査のお話の中から幾つか拾わせていただいて、コメントをさせていただきたいと思うんですけれども、まず千葉主査のお話の中に、連携に技術系じゃない大学、具体的には東京外国語大学が入っていたと思うんですが、そこは技術系じゃない大学が入るという重要性も大変あると私自身も思いますし、また技術系じゃないところが貢献できるというか、そこも今後非常に重要な連携の仕方になるんではないかと思うんですけれども、主査の後半のお話の中で、その東京外国語大学はどういう連携の形を取って貢献を探られているかというところを、少しもし具体的に教えていただければというふうに思いましたのが1点です。
もう1点、後半の主査のお話の中に、人材育成のお話がありまして、千葉主査の資料の中の14ページ目に、人が成長していくようなステップを書いた資料があったと思うんですけれども、こういう人材育成の考え方というのは、大変私は共感いたしまして、現在多くの大学が、一番左だけの1段階目の人材が実際にはすごく多いんではないかと思うんですが、ここをこういうふうに右に上げていくということは、企業にとっても非常に大学が魅力的な人材のソースとなるというふうな、非常にリンクしてくるのではないかと思うんです。
しかしこれをどうやって育てたらいいか。今日テーマの一つと思うんですが、本日御紹介がありました、例えば共同利用・共同研究拠点は、研究機関としては大変重要と思うんですが、それを通した人材育成というお話もありましたが、そういう観点ではなかなかこのプロセスは難しいんではないかなとも思いまして、ここをどういうふうに大学の仕組みや連携の中でやっていくかということが非常に今後ポイントになるんではないかなと、大変共鳴いたしました。
以上、コメントと意見になります。
【千葉主査】 ありがとうございます。簡単にお答え申し上げます。東京外大の位置づけ、これはやはり具体的なところからの物すごく強いニーズを私は感じています。私の話の中でも申し上げましたとおり、かなり広い領域がないとバイオエコノミーの事業は展開できないです。
簡単に言うと、大本は土地、海、これのかなり広大な領域が必要になるということは、そこを仕切っている国内外の地権者とか地域住民、地域のコミュニティーの理解、そしてそこへのメリット、こういうものも総合的に考え、交渉しなければ、こういうものはできないというふうに思っています。要するに単一の技術だけでは無理ですと言ったのはそういうことです。そういうところについて、東京外国語大学の方々は、先生も学生さんも含めて、非常にそこに対しての知見をお持ちの部分もあるので。要するに文化とか科学技術とか。
【荒金委員】 文化とかですね。
【千葉主査】 そういう背景も含めたことを理解し、交渉できる。そういうところから参画していただきたいと思っています。
それから、2番目の御質問のこのような人材をどうやって育てるかということですけれども、これは教科書的なもので学ぶことは不可能だと思っていまして、必要に迫られる状況に持っていく。それは大学の多くの場合は必要に迫られていないんです。例えば共同研究をやりますというと、一番左端のところだけで。
【荒金委員】 できますよね。
【千葉主査】 できます。ところが一歩社会に出て、社会のニーズを酌んで、社会に実装するとなると、当然これは全部のステップが見えてこないとできないわけです。その現場に大学自身が立っていこうという、これは大学としての覚悟がないと、こういう人材は育てられないのではないかというふうに私自身は、今までの経験で感じております。
ですから大学の考え方を変える。そして要所要所に学生さんも引っ張り出して、今ちょっと私が交渉に出るから、あなたも一緒についてきてよとか、そういうようなこともいかないと、こういうふうにはならない。でも私は、本当に自律化する大学という言葉を掲げるのであれば、こういうことが必要だというふうに思っています。これは私の考えです。
【荒金委員】 企業にいる身としても大変共感いたしますし、こういう実体験が大学の中でできるような機会が増えるといいなというふうに思っております。ありがとうございます。
【千葉主査】 ありがとうございます。
それでは、次、大野委員、よろしくお願いします。
【大野委員】 どうもありがとうございます。まず御説明、そして千葉主査のすばらしいプレゼン、ありがとうございました。大変勇気づけられる農工大の取組だと思います。御自分の大学の特徴を生かして、一つの大きなある種のプロジェクトとして周りの大学を引き込み、そして国際性を持たせてやっていくというのは、大変期待と、勇気づけられる取組だと思います。
【千葉主査】 ありがとうございます。
【大野委員】 ここからもう少し全体の大学に対して言うとすると、多様な、そして研究成果の量と質をこれからさらに上げていこうというときには、このようなリソースを大学自らも増やし、かつ、それが可能となる環境を整えると。加えて、国立大学の場合ですと運営費交付金になりますけれども、その状況をきちんと把握して世に訴え、かつ改善していかなければいけないと考えています。
運営費交付金のところの話だけをすると、今幸いにして景気が上がって、人事院勧告3%というものが出ています。そうしますと国立大学全体では7,000億円の人件費、3%は210億円。全ての国立大学が反映するかどうかは分かりませんけれども、それが例えば5年間続きますと、これは人件費が増えること自身は個々の構成員にとっては大変望ましいことなわけですけれども、全体のリソース、つまり運営費交付金は一定であるとすると、ほかのものに使えるものが減っていく。
5年間続くと1,000億円です。それは当初法人化したときの10年間で減った額と同じですので、2倍の速度で減っていっているという、そういう認識を持つ必要があると思います。そういう意味で、各大学が自立的にやるということと同時に、今申し上げた環境を踏まえて、大学の研究力が上がってくるようなエコシステムをつくっていくということは重要だと思います。
すみません、長くなりますけど、あと2つほど。そういう意味で知的貢献の価値を社会に認めていただくというのは極めて重要だと考えています。今日の資料にもありましたけれども、総合振興パッケージということがうたわれています。総合振興パッケージの最初のときは、今も多分入ってはいるのだろうと思いますけれど、民間だけではなくて自治体などとの協業によって、大学が貢献し、収入も得るというモデルだったと思います。
それはとても重要な方向性です。ただ、ここで注意していただきたいのは、大学を安く使うようなことがあってはいけないということです。知的な貢献にちゃんとその対価を支払うということが重要で、よくあるのは、資料に使ったコピー代が幾らですというようなところだけでおしまいになっちゃうという、それはまずいと思うんです。大学がくたびれ果てますから。
大学研究力強化の観点から、文科省全体の取組として、大学を安く使う使い方をすべきではなくて、大学と協業するのはこういう枠組みでこういうことを考えてやってほしいということを、県や市、あるいは市町村、自治体のレベルまできちんと届けていただかないと大変だと思います。
最後の1点。大学共同利用機関ですけれども、私は、今我々が直面している世界は、データをどう扱うかということが極めて重要で、それは人文社会理工生命の分野に関わらないものだと思います。それは研究インテグリティという意味でもデータをきちんと取っておく必要がありますし、オープンサイエンスのハブになり、かつSINETなどを運営してサイバーアタックから大学を守っているという意味で、ここには国公私立が参画していただいているんだと思います。
そういう意味で、基盤中の基盤は今NIIの一部がやっています。生成AIの世の中になり、この部分を何としてでも強化していかなければいけないと思います。これは研究力強化というよりは、研究力がよって立つ基盤なので、ここはぜひ皆様と一緒に注目していきたいなと考えています。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
【千葉主査】 どうも大変重要な観点の御指摘をいただきありがとうございます。私も全くそのとおりだと思います。
具体的に、今、大野委員が御発言されたことを、これはまた別の場でもしっかり議論していく必要がありまして、特に最初の人件費、これははっきり言うと、国立大学ですか、人勧ですから。研究力、教育力を一気に落とすような数字になってしまうんです。それを落とさないで上げるにはどうしたらいいかって、これは相当なアイデアと、それから覚悟が必要かなというふうに思いますので、いずれにしても、でも前向きに捉えて、じゃ、どうしようと、そういうような議論に進められたらいいなと思っています。ありがとうございます。
では続いて、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 ありがとうございます。私のほうからは、人材に関して2点と大学共同利用機関について、3点合わせて申し上げたいと思います。
まず人材についてなんですが、これはとても重要で本当に国の基盤であるがゆえに、多くの審議会で類似の議論がされていると思っております。別の母体ですること自体はイエスだと思うんですが、例えば存じ上げる限りでも、学術分科会ですとか人材委員会等。ただここの私たちが人材を議論するときは、あくまでも研究力強化のためにという観点が必要だと思っておりまして、引き続き、論点、ページ25に入れていただいておりますが、ここでも議論を続けていきたいと思っております。
その心なんですけれども、冒頭のガバナンスマネジメントがより重要になるというところの中で、しようがないのかもしれないですけれども、研究者はとても重要ですと。若手を育てねば。ミドルも忘れちゃいけないね。それに加えて研究支援人材がという文脈がどうしても多いんですが、7期に向けて、やはり国際的に勝っていく組織になっていくためにという観点だと、そろそろイーブンのステークホルダーという形で組織を動かすためのいろいろな人材、研究者もそう、アドミニストレーターもそうと、そういう形で、フラットに取り扱うことが大切なのではないかと思っております。これが1点目。
人材に関しての2点目は、もう既に議論になっております、千葉主査のEnablerのお話です。大変そういう意味では先端的で、かつ言葉の定義がステップごとにありまして、とてもクリアに理解できました。
1つこれはコメントなんですが、私は中教審のほうの大学院部会で、やはり若手研究者やポスドクの方たちが、どんなふうにノンアカデミックに展開していくかという議論に参加させていただいております。その中で京大の湊先生がおっしゃったのは、イギリスのRDF、VitaeがつくっているResearchers Development Frameworkです。
あちらのほうはドーナツ型なんですけれども、千葉主査のステップ・バイ・ステップの最初の1つは研究だけれども、2段階目以降は簡単に申し上げると、研究に付随して展開のために必要になる、あまたの知識やスキルだと思いますが、そういうのを合わせて、単にある1つの分野のディシプリンベースのバックグラウンドの学術研究のみならず、マルチな多様な能力がリサーチャーとして今後必要ですというところは、同じ趣旨の議論なのかと思って伺っておりました。ぜひそういう意味では、使える共通の認識は共通にしつつ、このとても大切なイシューを具体化できればと思った次第です。
最後に大学共同利用機関についてです。資料11ページ、私自身は4つの組織のうちのKEKの理事をさせていただいた経験から。ぱっと見ていただくと、非常に4つの組織がキャラクターに富んだ、4つといっても中を分解すると、天文台あり、分子科学研究あり、素粒子あり、はたまた上は歴史民俗といったような、本当にキャラクターに富んだ4つの組織だと思っております。
これに関しては、もうちょっとマクロで見ると、2004年、国立大学法人、2015年、研発法人という中で、やはりこの4つの法人が何をどういうところでポジショニングするんだという議論が、もう少し細分化なされるべきではないかと思っています。
すごく分かりやすいのは、天文台やKEKのように、ビッグサイエンスはもう資源投下がここしかないので、1つの国に2つも3つも持っていられないほどお金がかかるので、これはもうナショナルインフラとして位置づけていいんだろうというのが、まずクリアに出てくると思いますし、情・シスの先ほどのSINETの話も同じかもしれません。
一方で、やはりそれ以外の比較的大学に類似したサイズ感だったり研究母体というものに関して、ともするとコンフリクトが起こりそうな競争的資金がまかれたりしたときに、ライバルになっちゃいけないなということをすごく思っております。そういう意味で、別の母体が立っているようですけれども、改めて大学共同利用機関法人ということと、非常に広い学問分野をどういうふうに整理していくのかというところは、ぜひ一歩進めた議論が第7期に向けて必要なのではないかと思っています。
1つだけその問題意識を申し上げますと、連携、連携とよく言われて、もう連携祭りだと思うんですけれども、連携はあくまでも手段であって目的ではないというところがあると思います。目的がない連携というのは弊害も起こしやすいので、ぜひそういう観点でも御検討いただければと思います。
以上です。
【千葉主査】 大事な観点での御意見、ありがとうございます。
それでは、大勢手を挙げていただいていますので次々に伺います。じゃ、片田江委員、お願いします。
【片田江委員】 御説明ありがとうございました。まず千葉主査からご説明いただいた非常に多岐にわたり、示唆のあるプレゼンテーションに対して1点、後ほど共同利用の施設について1点、コメントさせていただければと思います。
千葉主査の5ページのところのファンドのコンセプトにおける重要ポイントは非常によくまとめられているなと思いまして、おそらくたくさんの議論がなされてここに行き着いたことが想像され、私はファンド運用に関わっている立場から、とても共感する部分が多かったです。特にFiduciary Dutyを重要ポイントとして置かれている点は、一般的な大学研究だけではない、ちゃんと事業化を見据えた資金の流用ということを強く意識されているなということがうかがえました。
可能でしたらお伺いしたいのは、関係者全員によるオープンな意志決定という点について、実際にどういうプロジェクトで幾らぐらいの支援をするかという、その意志決定に関わる人員の構成のイメージ。例えばアカデミアの先生方が多くを占めて、一部民間の金融のような方が入るのか、むしろどちらかというとそのFiduciary Dutyという観点からすると、より投資に近い運用をしてきた方々プラスアカデミアの先生という、その構成員のイメージとかバランスみたいのがもし今ございましたら、教えていただけますでしょうか。
【千葉主査】 アカデミア、あるいは本学の教員の割合は極めて少ないです。
【片田江委員】 そうなんですね。
【千葉主査】 そういう構成にしています。
【片田江委員】 外部の民間の投資運用の専門家の方々がここに入っている。
【千葉主査】 が入ってくださる。そういう形です。
【片田江委員】 ありがとうございます。
2点目の共同利用、17ページのところで、平成28年から令和4年の成果を見ても、各拠点で非常に顕著な業績が出ていると。非常にこれはすばらしいことだなと思って見ていました。一方で、これは平均値を取るとこうですけれども、恐らく100以上ある各拠点でやはり、期待どおりの結果が出ているところと出ていないところって差はあると思います。
期待どおりの結果が出ていないところについて、見直す良いタイミングにあるかと思います。地域中核事業は令和5年から始まっていますが、これは各事業拠点を採択する前段として、設備支援の助成先も選定していることからも、こういう大学間の連携に基づく研究力の強化という観点から、やはり共同施設が非常に重要になってくるということはもう明白なので、既存の共同研究拠点において、あまり期待どおりの成果が得られていない拠点に関しては、それらの拠点を活用する地域中核事業のプロジェクトを支援する、あるいはもう既に採択されている地域中核事業の拠点に対して、既存の共同研究拠点を活用するようなプロジェクトを新たに検討するなどの促しをすることで、さらなるこの共同利用・共同研究拠点の活用ということが期待できるのではないかと思いました。
以上、後半はコメントです。
【千葉主査】 どうもありがとうございました。
それでは続いて、梶原委員、お願いいたします。
【梶原主査代理】 どうもありがとうございました。私も千葉主査の14ページのスライドのところで少しコメントというか、御質問させていただきたいと思います。
まず、スライドの階段を上がっていくというところの一番左がまさに研究者としての最初ということで、研究者として基本で、研究分野の方々の評価は、論文メインでなされていると思いますが、右にスライドして上がっていくにつれ、こういう人たちの評価の考え方を、千葉主査としては、論文以外の評価というような形で、どう評価されているのか、あるいはその観点をどう思っていらっしゃるか、あるいは学内で統一的に何かそのような論文以外の評価についての考え方を持っていらっしゃるのかどうかを伺いたいのが1点。
それから13ページのところで、これは文科省の課題にも出ているところですけれども、今までもずっと時間と資金の確保が必要と言われてきておりました。時間を工面するのはどうしたらいいかという様々な議論もされたり、取組もなされて進んでいるかと思いますが、先ほど千葉主査は、これは意志決定プロセスを単純化・簡素化すること、あるいは当事者で責任を持って実施することと御説明をされておりました。具体的にこういったところに対して、本当に学内で権限移譲がなされることによって、時間が明らかに捻出されているのかどうかを少し伺いたいと思います。
今はその時間を確保する上で、いろいろこうするといい、ああするといいという取組も進んでいると思いながらも、実際に時間が確保できたというエビデンスや、実態感というのが、なかなか見えてくるような状況がないです。丸めてしまうと課題は変わらずだけれども、個々の大学で見ていくと、突出して時間確保できているところが現れてきているのかもしれないので、その辺の様子を、千葉学長のコメント、そして文科省からも何かコメントをいただければと思いました。
最後は、資料2のページ3のところ、第7期に向けて「経済安全保障の重要性の高まりに対応する」とありますが、文科省側で進めている、あるいはこういった議論の中を通して話題になっている経済安全保障の重要性の高まり、そこについてはどのような観点から切り込んでいくことを想定されている、あるいは課題と認識されているかということを、少し伺えればと思いました。よろしくお願いいたします。
【千葉主査】 ありがとうございます。それでは私に2点御質問いただきましたので、非常に簡単にお答えします。
階段の2段目以降のところを上がっていっている人であるかどうかを評価対象とする、あるいは学位授与の要件にするというようなプログラム、コースも設けておりまして、これは非常に効果を発揮していると思っております。実は、ただ皆様もよく御認識いただいていると思いますけど、この上のほうに行くと、学術の世界からは離れるのではないかというふうに思われるかもしれないですが、実はこれは上に行けば行くほどのスキルを持った人は、学術の世界においても実は大きく発展する要素があると、私は確信しております。
というのは、単に研究室の中で実験をやって論文を書くだけで、本当に大きく世界を席巻する研究者になれるかというと、やはり研究室を構えて、関係者を引きつけて、そして研究室を運営していくという、大きな仕事があるわけです。そういうことができないと、やはり世界レベルの研究者になりにくいのではないか。
もちろんそうじゃないやり方もあるかもしれませんが、やはりこの全体感を持って本当に研究でチャレンジするというのも大事だと思っていますので、決して回り道ではないと思っています。大学として今その考えを持っていまして、これを個々の教員にもいかに広げていくか。徐々に広がっているんですけれども、一気にはなかなか難しいというのが現実でございます。
それから時間短縮についても、権限の移譲というのもございます。でもそれほど効果はないです。はっきり言うと、いつもやはり忙しいと思っているわけです、先生たちは。それで、今本学では別の制度を入れまして、これは、准教授が早く教授になって研究にもう没頭したいという人、こういう若手の人に手を挙げるチャンスを上げて、その人たちを、審査を通ればかなり早期に教授にしてしまう。ただし5年間の教授です。もしその間に研究がしっかりできなければ、また助教授に戻るというような制度でありまして、これはでも実際手を挙げる人は、皆さん非常に意欲的に挑戦してくれます。
それから研究に専念できる時間と空間を確保するという形。ということは大学全体としては、その人たちのために、それを理解し、その場を与える人たちが必要になります。要するに、全ての人の時間を増やすのではなくて、自分には絶対に時間が今欲しいという人にチャンスを与えるという考え方で、実はこれはいろいろな階層、あるいは女性研究者に特化したものも用意しまして、そういう形で、絶対に欲しいという人に与える、そういう体制をつくっています。
私からは以上でございますので、3点目は文科省のほうからございますか。
【小川室長】 ありがとうございます。研究時間の確保と、あと実態感といいますか、実際減ってきているのかというところと、内閣府で、梶原委員ですと、もう研究時間確保のためにマネジメント改革はどんな項目が必要かという議論はこれまでもされてきておりまして、取りまとめもされているところでございますけど、それが実際どうなっているのかというところだと思います。
そういう意味で事例的にどういうふうに各大学で進んでいるのかというところは、参考資料3で、細かいので本日は御説明していないですけれども、61ページ目以降に、各大学、具体的に個別にかなり詳細に聞き取りなどもしておりまして、研究時間を確保する仕組みですとか、あとは人事配置とか予算配分マネジメントの仕組みなんかも、様々な大学のビジョンに基づいて、具体の取組は進んでいると思います。そうした内閣府の取りまとめなども参考にしながら、各大学がそれぞれ取り組んでいると。
そこの部分、事例みたいなところを年度末にも取りまとめるべく、今準備はしておりますし、そうしたものも見ながら、実際にいろいろな取組がある中で、例えば内閣府の取りまとめの中でも、研究時間確保のためには入試の話ですとか、研究と、あとは教育の分担の話ですとか、支援員の話ですとか、様々ありますけれども、これはどこが一番効いてくるのかなどの分析も、今後進めていく必要があるのかなというふうには私どもも思っておりますので、またこの委員会での御参考として、こういった情報も取りまとまれば出していきたいと思いますし、この場での議論にも、また私たちのほうでも御参考とさせていただくべく、御意見いただければと思っております。
以上です。
【梶原主査代理】 ぜひお願いします。実際にどう効果が上がっているのか、取組はやったとして、どう効いたのかという、そこのデータの使用、ビフォー、アフターじゃないですけれども、そういったところはやはり一番腹落ち感があると思いますので、よろしくお願いいたします。
【千葉主査】 よろしくお願いします。
それでは御意見をいただいていきます。相原委員、お願いします。
【相原委員】 私は共同利用・共同研究拠点の利用率の向上について発言させていただきます。
この拠点は、スタートアップ支援や機能強化支援は年度単位の決算となっているため、年度をまたいでの活動が難しいという声が現場から聞かれています。例えば会計処理の時間を考慮すると、1月以降は有料の共同利用を受け付けにくいなどの状況があるそうです。
科研費のように拠点の資金を基金化すれば、予算を柔軟に対応、執行できますし、通年で利用率も上がり、拠点の機能を十全に発揮できると思いますが、基金化が難しければ、できるだけ切れ目のない活動ができるような環境整備が必要と思います。さらに利用率の維持向上のためには、機器導入後の維持管理をいかにうまく行うかが重要と思いますので、この点についてのサポートも検討していく必要があるかと思いました。
それからもう一言だけ。研究費についてですけれども、競争的研究費や支援の場合、社会の役に立つことが、現時点で明らかな研究が注目されていますけれども、現時点の判断だけで新たな研究を、社会に役立つ研究と役立たない研究、または大きな研究と小さな研究に振り分けて、いろいろな可能性の芽を摘むことはすべきではないと考えました。
以上です。
【千葉主査】 どうもありがとうございます。
【井上局長】 千葉主査、文科省ですけれども、すみません、先ほど、梶原委員が経済安全保障についての取組も御質問されていたんですが、ちょっとタイミングを逃して答えられなかったので、一言だけ答えさせてください。
【千葉主査】 はい。お願いします。
【井上局長】 文科省の科学技術・学術政策局長、井上です。文科省の観点では、研究、特にアカデミアの研究活動は、基本的にはオープンかつ自由、自由でオープンな研究環境、これをいかに確保するかということが大事だと思っています。
したがいましてそれを確保するために、どこを守らなきゃいけないのか、本当に経済安全保障の観点から守らなきゃいけないかをどのように確定していくのか。これは文科省の立場だと、大学の現場でそこをどう見つけていくのか、あるいはもう一つ、ファンディングエージェンシー、ファンディングをするときにどう見つけていくのか。これを具体的にどう現場でやっていくのかという観点で、今議論をしています。あくまでも自由でオープンな活動を守るために、本当に守らなきゃいけないところをどうするのか、そういう観点で今検討を進めております。
以上です。
【千葉主査】 どうもありがとうございました。
では続けて、野口委員、よろしくお願いします。
【野口委員】 私のほうからコメントのみです。先ほど千葉主査からもお話がありました内容で、改めて研究成果を教育へ還元しなければならないということを強く再認識した次第です。
その上で、15ページの国際共同利用・共同研究拠点のところで、それに関連する内容なのですが、私ども立命館大学もアート・リサーチセンターを拠点として、2019年に同研究拠点の認定をいただいています。デジタルアーカイブの分野です。この認定を受けて本当によかったなと思った点が大きく3点あります。1点目は、国内外の研究者の受入れ、送り出しが格段に進みました。加えて、組織対組織の連携も加速度的に進みました。2点目は、大学院生、特に博士学生が集まる場になりました。最後に3点目ですが、大学内で、国際共同利用・共同研究拠点という、そのことについての高い認識がとりわけ大学執行部に非常に強く私は伝わったと思っています。
そういう意味で、2026年にこの共共拠点がデザイン・アート学部・研究科設置に大いに寄与し、学部設置と大学院設置が同時に決まりました。2026年にこの共共拠点と新学部・研究科は連携しながら、人材育成を展開することになりました。この共共拠点の大きな目標として、私立大学には研究者に比して多くの学生がいますので、研究成果を教育へ還元することが非常に重要であるということを、先ほどの千葉主査の話を聞いて共通認識した次第です。以上です。
【千葉主査】 どうも貴重な御意見ありがとうございます。
続いて、西村委員、お願いします。
【西村委員】 ありがとうございます。私は違う観点になるかもしれなくて、研究力強化全般のところで、私の経験から少し気になっていることがあるのでお話ししたいんですけれども、たしか6ページで、例えば国際卓越とかJ-PEAKSのようなところで、研究力の各大学の個々の強みを伸ばすということを言っているんですが、何となくいつもこの底上げとかというのは、今のような連携を図りながら研究する場を提供して、スキルを上げることはできるんですけれども、質を上げていくときにこの強みというものを、何となくぼんやりした言葉でいつも語られるので、ここの見極め方が弱いんじゃないかというのをちょっと感じていて。
私はもともとバイオテックの経営をやっていて、あのときの経験からすると、中途半端なものは残らないんです。幾ら主観で自分たちはすごいことをやっているとしても、全ては客観評価なので、客観視しながら自分たちの強みを見切れるか、見極めるかというのは結構重要なんですけれども、私はJ-PEAKSとかCOI-NEXTでいろんな書類とかも読ませていただくと、しっかりと書かれて、ベンチマークも書かれるんですけれども、本当に強みというものが国際的に。
少なくともこれは社会価値を未来に生み出すというぐらいのインパクトのあるような基礎研究の積み重ねがないとできないと思うんですけれども、その行くべきところの設定が非常に曖昧なのが多いんです。だから未来を見定めて、国際的にも優位な地位を獲得しない限りは、それが社会に落ちない。つまり研究成果としては価値を生み出さないということになるんだと思うんです。
そういう意味で言うと、今本当にこの強みを見極めることができているのかということを、多分この7期ですか、そういう基本計画を立てるときに、仕組みとしてとか制度としての考え方はすごく出来上がってきたんですけれども、質の管理じゃないけど、精神面の、真面目に言うと、魂のところと言ったら変な言い方になるんですが、本当にこの各大学が国際的に日本を優位にするための地位を獲得するようなことができるのかという目標定めというか、そういうところもしっかりと見られるような制度なのか、仕組みなのか、人材の配置なんかをしないといけないような気がするんです。
だから、何かそういうことを恐らく今後やらないと、人も育ってくると思うし、いろんなところに設備は整うと思うんですけれども、それを生かし切って国の強みに持っていくということに対して、本当に機能するのかというのがちょっと気になったので、少しその強みという言葉に対してだけ気になったので、発言させていただきました。
以上になります。
【千葉主査】 大変重要な観点での御意見、ありがとうございます。西村委員、いつもありがとうございます。
簡単に言うと、例えば我々の大学はこれが強いですよと言っているのでは、全く不十分ではないですかということじゃないかと思いまして。私も今伺っていて、要するに今まだ誰も気づいていないけれども、一歩先に行くためにはこれが絶対必要ですねとか、日本はやがて近い将来こういうことが大事になるでしょう。それはみんなまだ見抜いていないですけど、私たちは見抜いていて、そこにちゃんと手を打っていけますよというような、そういう観点がすごく大事なんじゃないかなというふうに、私は今理解しました。
【西村委員】 そのとおりで、千葉主査のプレゼンの中には、そこを指向されているのがすごく感じられたので。でもそれを全ての大学がやるのと、そこを競い合わなきゃ駄目だと思うんです。大変失礼なことを言うと、まだまだ千葉主査の考えも、もっと磨けると思うんですよ。こういうことが切磋琢磨できるように、切磋琢磨するような環境が、もしかしたら日本にまだ欠けているんじゃないのかなというのがちょっと気になったということです。
【千葉主査】 ありがとうございます。ぜひそういう観点を広げていって、皆さんで共有して、そのステージに立って、また次にもっと高みを目指すというふうにできればと思います。ありがとうございます。
では続いて、小林委員、お願いします。
【小林委員】 ありがとうございます。今日の千葉主査のJ-PEAKSの説明が一番インパクトが強くて、アメリカのスタンフォードとかMITとか、私立大学のやっているようなことをやり始めている。
そして、将来的には多分農工大の周りにシリコンバレーみたいなのができるんじゃないかというような、そういう期待も出てくるような内容だったんですけど、そこで気がついたのですけど、先ほどのEnablerですか、基礎研究も含めて研究を基にして、それを社会実装につなげていく、その階段を上っていくというのを考えてみると、今回、もともとは日本の質のいい論文数が減ってきたというのをきっかけとして、この研究力強化委員会が立ち上がったと思うんです。それで国際卓越とかJ-PEAKSとかという仕組みをつくり上げてきたわけなのですけれども、もともと本当の究極の目的は何かというと、やはり社会実装が一番最後の目的、本来の目的だと思うんです。
そうすると今、一番最初の関門に設けている、国際卓越もJ-PEAKSもそうですけれども、Top10%論文とかその数とか割合とか、それが本当に一番大事なものなのかというのが気になるんです。つまり社会実装するためには、論文の質だけではなくて、使える特許をどれぐらい取って、それを社会実装に結べていくかという、そういう観点も大事だと思うので、論文の質だけ考えたら、量産して、象牙の塔の中で研究者がたくさん論文をつくっても、結局社会に役に立たないのであれば、あまり意味のないことになるかもしれませんので、そこをちょっと注意しないといけないんじゃないかと私は思いました。
それが1点で、あと1つ付け加えるなら、前回の議論でもいろいろあったんですけれども、人材の流動性の中でやはり国公私立の壁というのはどうしてもあって、教員はクロスアポイントとかあるんですけど、これも20%を超えると、なかなかその教員の所属がどっちだか、分かりにくくなってくるんです。例えば教授会で投票権があるのかどうかということも含めて、難しい問題も出てくるので、また、その教員の生活の基盤というものをあまり脅かさないような形で、国公私立の壁というものをぶち壊すような、そういった方法も少し考えないといけないのかなと思っています。
以上、ちょっと長くなるといけないのでこれぐらいにしておきます。
【千葉主査】 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。論文については私ももう小林委員と同じように考えておりますが、1つ、今ここにちょうど映していただいている、この過程で、例えば社会実装をやっていこうとする、あるいは先を見ていくと、実はサイエンスとして抜けているものが結構見えてくるんです。この部分の研究領域が、ぼかっと空いちゃっているじゃない。これを埋めないと進まないかもしれないというのが見えてくる。
そうするとそこに先に気づくと、そのサイエンスを掘り下げると、かなり先端的な研究を日本がリードできるかもしれないなと、そういうポジティブな見方はあるかなというふうに私自身は今感じています。ほかにも御意見はあるかもしれませんが、すみません、今ちょっと半分御質問もいただいたような形だったので、私からお答えしました。
【千葉主査】 那須委員、最後の御意見ということで、その後、文科省のほうということで。よろしくお願いします。
【那須委員】 ありがとうございます。手短にですが、今日、委員の皆さんに情報共有というか、お伝えしておきたいこと。前回も私はお話ししたんですけど、今日、医学系出身の委員は吉田委員と私だと思うんですが。
【千葉主査】 あと、小林委員ですね。
【那須委員】 小林委員も。失礼しました。
今、大学病院の医学部はかなり働き方改革が、もう本当にボディーブローで効いてきまして、若手医師、中堅医師が、研究にほとんど時間を割けないと。やはり診療に追われている。しかも大学病院の約8割が赤字経営に今年度陥って、構造的にやはりそういう診療に頑張らないといけないという状況があると。その中でどういうふうに研究時間を確保するかということを、かなり今、頭をひねらせております。
このことについては、文科省及び厚労省の皆様も十分把握していただいておって、様々な財務省との折衝とか制度設計を考えていただいているという状況です。このJ-PEAKSの12の大学のうち、9つの大学がやはり病院を持っているということで、かなりこの問題、課題は避けて通れないということで、私は学長としてかなり大胆な改革をしないと根本的には変わらないというふうに感じているというのを、皆さんと共有したいと思います。
あと最後1点、梶原委員からあった会議の時間ですが、本学は実は2年前から様々な取組をして、端的に言いますと、教授会の時間をいろいろ取り組んで、30%短縮して、2時間を超える長々とした教授会はなくなったということを少しコメントしておきたいと思います。
以上です。
【千葉主査】 大事な情報を共有いただきましてありがとうございます。
それでは小川室長のほうにお返ししますので、最終的な取りまとめのほう、よろしくお願いします。どうもありがとうございます。
【小川室長】 私のほうから、まず柳原委員からコメントをメールでいただいておりますので、そちらを御紹介させていただきます。メールだとニュアンスが伝わりにくいことも懸念しつつということでコメントいただいています。
千葉主査の先ほどの人材育成の図、P14でございますけれども、このような人材育成は何としてもやるべきですねということと、あと国際的な競争力があるプロジェクトでは、プロジェクトリーダーですとかプロデューサーの存在が鍵を握っているということ。
ですので、そうした方々は該当するプロジェクトの研究分野では決して超一流とは言えない面もありますけれども、一方で多様な領域をつないで課題設定と解決を行える点が超一流ということで、こういった階段を上るためには事業マインドの醸成という観点を入れた、大学入学前といった点でも、人材育成策をセットにすることも検討していただくといいのではないかということ。またその際に、好奇心を究極的に追求する研究者の育成は別ですということをいただいております。
音声が使えないということで、私のほうから御説明をさせていただきました。
千葉主査のほうから、時間も来ておりますのでまとめもということをいただきましたので、このまま事務局から続けさせていただきたいと思います。
本日は時間の関係で、御発言し足りなかった委員の方がおりましたら、事務局までメールなどで御連絡をいただければ幸いでございます。
また、本日の議事録につきましては、運営要綱に基づきまして公表する予定でございます。事務局にて議事録案を作成の上、委員の皆様に確認をさせていただきますので、御承知おきいただければと思っております。
また、今期の科学技術・学術審議会が、来年の2月までとなってございますので、現在日程調整中ではございますけれども、次回開催はどうするのかといったところは改めて御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。千葉主査、ありがとうございます。
【千葉主査】 それでは、第16回大学研究力強化委員会を終了いたします。皆様、本日は御多忙のところ、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
電話番号:03-5253-4111(内線:3838)