科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会(第15回)議事録

1.日時

令和6年7月23日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 大学研究力強化に向けた取組
  2. その他

4.出席者

委員

(主査)千葉一裕委員
(委員)相原道子委員、大野英男委員、梶原ゆみ子委員、片田江舞子委員、木部暢子委員、小林弘祐委員、高橋真木子委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員、柳原直人委員、山崎光悦委員、吉田和弘委員

文部科学省

(事務局) 増子文部科学審議官、伊藤高等教育局長、井上科学技術・学術政策局長、塩見研究振興局長、森友大臣官房審議官(高等教育局担当)奥野大臣官房審議官(高等教育局及び研究振興政策連携担当)、髙谷大臣官房審議官(科学技術・学術政策担当)、先﨑科学技術・学術総括官、池田産業連携・地域振興課長、生田振興企画課長、柳澤大学研究基盤整備課長、氏原大臣官房文教施設企画・防災部企画官、小川科学技術・学術政策局企画官、髙見人材政策推進室長、助川学術企画室長、小川大学研究力強化室長 他

科学技術・学術政策研究所

千原科学技術・学術政策研究所長

5.議事録

【小川室長】  それでは、委員の先生方、お忙しい中お時間をいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会を開催したいと思います。本日は、御多忙の中、御参加いただきまして、ありがとうございます。
 会議の冒頭は事務局が進行させていただきます。
 なお、本日はオンラインでの開催となっております。音声などに不都合がある場合は、随時事務局まで御連絡をお願いいたします。
 最初に、オンライン会議を円滑に行う観点から、事務局より何点かお願いがございます。発言時以外はマイクをミュートにしていただく、御発言に当たっては、「手を挙げる」ボタンを押していただく、またはカメラに映りやすいように手を挙げていただく、資料を参照する際は、資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただくなどの御配慮をお願い申し上げます。
 なお、本委員会は原則として公開で行うこととしております。本日は、事前に登録いただいた方に動画を配信しておりますので、御承知おきいただければ幸いでございます。
 本日の委員の出欠状況につきましては、荒金委員、小野委員、新福委員、藤井委員が欠席となっております。また、山崎委員におかれましては遅参ということでお伺いしておりますので、後ほど御参加いただけるかと存じます。文部科学省からは、増子文部科学審議官ほか、関係局課の職員が出席しております。
 続きまして、配付資料の確認になります。本日は、議事次第に記載のとおり、資料を配付しているところでございます。御確認をお願いできればと思います。説明の際には画面表示をさせていただく予定でございますが、必要に応じて事前に送付したPDFも御参考いただければと思います。
 それでは、今後の議事については、千葉主査に進行をお願いさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【千葉主査】  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、大学研究力強化に向けた取組についてです。具体的には、先月6月に公表されました国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議による審査の結果等について、それから、地域中核・特色ある研究大学の振興や博士人材プラン、そして、前回3月の本委員会でも委員の皆様より御意見をいただきました、大学の研究力向上に向けた多様な取組についてなど、国際卓越研究大学をはじめとした大学研究力強化に向けた政策や取組の方向性等について、事務局より御説明した後、質疑応答の時間を設けたいと思います。
 委員の皆様にはぜひ積極的に御発言いただきたいと思いますが、時間の限りがありますので、もしかすると手を挙げられている方全員にお願いできないかもしれませんが、その節は御容赦いただければと思います。でも、時間の許す限りは、できる限り御意見をいただけるとありがたいと思っております。
 それではまず、事務局より資料1の国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議による審査の結果等について説明をお願いします。どうぞお願いします。

【小川室長】  よろしくお願いいたします。それでは、資料1に基づきまして、国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議による審査の結果等について御説明いたします。
 2ページ目を御覧ください。多様で厚みのある研究大学群の形成に向けた支援について示しております。国際卓越研究大学が世界最高水準の研究大学へと成長し、日本全体の研究力向上を牽引するため、大学ファンドによる支援を通じて大学の機能拡張の加速を図っていくとともに、多様で厚みのある研究大学群の形成に向けて、地域中核・特色ある研究大学等への支援を一体的に進めていく、また、優秀な研究者が所属機関の研究環境に左右されることなく力を発揮できるように、最先端の研究設備を活用した世界最高水準の研究基盤を整備するほか、大学の研究基盤の強化として、共同利用・共同研究機能や、世界トップレベルの研究拠点、産学連携機能といった観点での拠点の整備、さらに広い枠組みとしては、大学・高専機能強化支援事業など高等教育全体の活性化、また、既にSPRING事業を通じて博士課程学生支援が進んでおりますけれども、大学ファンドからも今後博士課程支援が行われてまいります。こうした重層的な支援を通じて、日本全体の研究力発展を牽引する研究システムの構築を図っているところでございます。
 本日は、関連の取組としまして、国際卓越研究大学の認定等に係る進捗、J-PEAKS事業の進捗、博士人材活躍プラン、また、研究力強化に向けて国内外の大学において精力的な検討・実施がされておりますので、こちらの状況について御説明させていただき、御議論いただくとともに、後ほどの議題におきましては、こうした様々な取組が進む中で、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けて、我が国において多様で質の高い研究成果を創出するために必要だと考えられる点について御議論いただきたいと考えております。
 それでは、国際卓越研究大学の認定等に係る進捗について御説明させていただきます。3ページ目を御覧ください。改めまして、国際卓越研究大学の目指す将来のイメージになります。人材・知の好循環、新たなイノベーションの創出、資金の好循環、多様性・包括性のある環境、こうした点を実現する世界最高水準の研究大学を目指すものです。
 4ページ目を御覧ください。公募・選定のポイントとしまして、これまでの実績や蓄積のみではなく、変革への意思とコミットメントの提示に基づき、研究力、事業・財務戦略、ガバナンス体制を求めるものでございます。スケジュールとしましては、下に挙げさせていただいているとおり、昨年4月より提案10大学の審査を進めてまいりました。9月には一定の留保条件を付した上で、東北大学を認定候補校として公表しております。
 また、その後、国立大学において、国際卓越研究大学の合議制の機関となる運営方針会議の設置などを規定した国立大学法人法の改正を行うとともに、国際卓越研究大学のガバナンスの要件についても文部科学省としてお示ししてきたところでございます。アドバイザリーボードにおきましては、東北大学の計画の磨き上げ状況の確認を進めまして、先月、アドバイザリーボードとして認定・認可の水準を満たすと結論するとともに、初回公募の取りまとめを公表したところでございます。今後、東北大学においては、改正国立大学法人法の施行日である10月1日以降に運営方針会議を設置いただくとともに、国際卓越研究大学法に基づくプロセスとしまして、大学の認定や計画の認可について、CSTIや科学技術・学術審議会の意見を聞き、文科大臣が判断を行うこととなります。また、第2期公募につきましても、今年度内の開始を予定しているところでございます。
 6ページ目を御覧ください。こちらは、アドバイザリーボードの構成員を示しているところでございます。座長にはCSTI常勤議員の上山先生に、また、本委員会からは梶原先生と山崎先生にも御参加いただいております。さらに、産業界、アカデミア、国外からも委員に御参加いただいているところでございます。
 7ページ目を御覧ください。7ページ目、8ページ目は、東北大学の計画をお示ししております。本日は参考資料としてつけておりますが、東北大学の体制強化計画の主な改定内容としましては、およそ100ページにわたる内容を公表しているといったところでございます。本日、時間も限られてございますので、その概要について御説明させていただきます。
 東北大学の体制強化計画では、コミットメントとしまして、右肩にございます、未来を変革する社会価値の創造、多彩な才能を開花させ未来を拓く、さらに、変革と挑戦を加速するガバナンスを掲げるとともに、6つの目標、19の戦略から成る体系的な計画を提示されております。また、全体で50を超えるKPIを用いた多面的評価を通して達成状況を管理することを提示されております。
 8ページ目を御覧ください。こちらは今申し上げましたKPIでございます。例えば学術的なインパクトから社会的なインパクト、研究環境、学びの創造、ガバナンスについてのKPIを示しているところでございます。
 9ページ目を御覧ください。こちらは留保条件に対する東北大学の対応について示しているところでございます。①から⑥まで人文・社会も含めた全学の研究力向上の道筋、全方位の国際化、研究体制の確立、大学院変革・学部変革、財務・事業戦略、ガバナンスについてそれぞれ対応がされております。一例としましては、①でございますけれども、研究力であれば、第1次案としましては、3階層の研究力強化パッケージをお示しいただいていたところですが、さらに分野別の丁寧な分析に基づく研究力強化の方向性の提示とか、分野ごとの人事戦略例の策定、さらに、人文・社会科学を中心とした総合知に基づく価値創造戦略、臨床系教員の研究力強化に資する新機軸、こういったものをさらに深掘りしていただいているところでございます。
 10ページ目を御覧ください。こうした東北大学の対応につきましては、昨月6月14日にアドバイザリーボードの審査の結果として、いずれの事項についても計画の精査や具体化が図られており、認定及び計画の認可の水準を満たし得るものとの結論に至っております。なお、審査のまとめにおきましては、東北大学の計画期間としては、第1期10年、第2期8年、第3期7年の計25年とされているところでございます。
 11ページ目を御覧ください。アドバイザリーボードのまとめでは、第2期公募も見据えまして、次回公募への期待も併せてまとめているところでございます。まず、当制度では、大学のシステム改革と研究力向上に向けた環境整備を求める一方で、具体の手段や道筋は多様であり、画一的な取組を求めるものではないことが強調されております。
 さらに、これまで10大学の審査を行ってきたところでございますが、こちら、振り返り、論点となることが多かった点を、研究力、事業・財務戦略、ガバナンスの項目ごとに整理しております。例えば一例を挙げますと、大学全体の研究力向上という観点では、大学の一部として新たな組織をつくるといった提案もございましたが、大学全体の変革にどのようにつなげるかという点が幾つかの大学で論点となってきたところでございます。申請を予定する大学においては御参考にしていただくという趣旨でも、このタイミングで取りまとめまして公表したということでございます。
 12ページ目を御覧ください。申し上げましたとおり、東北大学が認定・認可の水準を満たし得ると有識者会議で結論したこと、また、10月以降、所管大臣としての認定・認可の可否を判断する旨、次回公募に向けた期待の取りまとめと、さらに、令和6年度中の次回公募開始につきましては、先日の盛山大臣の会見でも発信しているということでございます。こちら、参考1、参考2のアドバイザリーボードにおける審査の結果、また、東北大学の体制強化計画につきましては、記載のリンク先で公表しているところでございます。
 13ページ目を御覧ください。国際卓越研究大学のモニタリング評価についてお示ししております。申し上げましたとおり、東北大学におきましては、アドバイザリーボードとの間で精力的に計画の磨き上げを行っていただいてまいりました。今後、認定・認可がされましたら、計画の実施フェーズに入りますが、本制度では審査項目に、自律と責任のあるガバナンス体制を含み、また、合議制の機関を学内に置き、体制強化計画に関する業務執行の状況の監督を行うこととなります。文部科学省としては、年度報告は書面を基本としまして、特段の問題がなければ支援を安定的に実施する。一方で、審査の過程で決定する一定の中長期期間、こちらは東北大学であれば第1期10年というところになりますけれども、こうした中長期期間ごとに、支援の継続可否に係るマイルストーン評価を行うこととしております。
 14ページ目を御覧ください。こちら、国際卓越研究大学の助成の原資となるファンドの運用状況でございます。令和5年度は、グローバル株式の資産評価額の上昇などによりまして、収益額は9,934億円のプラス、また、助成財源となる当期純利益は令和5年度で1,167億円を確保できております。これに前期の資本剰余金681億円を加えた1,848億円が助成の原資となります。当面バッファーとしまして6,000億円を計上するまでは助成財源のうち3分の1を上限に助成を行うこととなりますので、こちらは1,848億円の3分の1が助成上限となるところでございます。
 次に、進みまして、国際卓越研究大学法施行規則の改正及び基本方針の改訂について御説明をさせていただきたいと思います。17ページ目を御覧ください。先日、本委員会、大学研究力強化委員会におきましても3月11日に御審議いただきましたが、国立大学法人法を受けまして、国際卓越研究大学のガバナンス体制として、合議体に求める事項を明確化しているところでございます。具体的には、①が体制強化計画の議決と履行の確認、④が法人の長に求められる知識・能力・経験の明確化、こういった合議体の機能に関わる事項、また、②、③、構成員の大学の経営等に関する知識・能力・経験の確保、また、執行部からの独立性、学内に対する客観性の担保、こういった点について求めるものでございます。
 その後、国際卓越研究大学の施行規則や大臣が決める基本方針にそれぞれにこういった中身を落とし込みまして、パブリックコメント、CSTIの意見聴取、さらには各省協議なども経まして、6月14日に施行規則の改正、基本方針の改訂等を行っておりますので、御報告させていただきたいと思います。
 私からの御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。ただいま事務局から説明がございました。3点、国際卓越研究大学の審査の結果、それから、2番目が国際卓越研究大学の評価・モニタリング、3番目の国際卓越研究大学法に基づく基本方針の改訂等についてということで御説明いただきました。どこからでも結構ですので、御質問、御意見をいただきたいと思います。御意見がおありの方は、発言の「挙手ボタン」をお願いいたします。

【那須委員】  よろしいでしょうか。

【千葉主査】  那須委員、どうぞ。

【那須委員】  特別今回、私は臨床系の教員をやっていたということで、9ページに東北大学の主な対応ということで、臨床系教員の研究力強化に資する新機軸というのを今回出していただきまして、実際詳しく読ませていただきました。これは非常に今、医師の働き方改革が4月から始まって、医学系の教員の研究力の低下が著しいということが懸念されておりまして、今回、東北大学様のこういう取組を幾つか見させていただきました。
 私ども岡山大学は多くの関連病院を持っていまして、地域医療の維持と研究力の維持・強化というところが相反するところがありまして、非常にこれからも東北大学様の取組を、J-PEAKSを形成する大学として、特に附属病院を持つ大学として、この辺りかなり深刻な領域になっていますので、ぜひ東北大学様におかれましては、この領域を我々としては見習っていきたいなと思っております。コメントです。

【千葉主査】  どうもありがとうございます。特に医学系を抱えていらっしゃる大学にとっては共通の部分で、高い関心があるところですよね、この課題をどう乗り越えていくか。ぜひ東北大学さんの進め方も重要ですし、あとは皆様からのいろいろなアドバイスとか御意見、積極的に進めていただいて、日本全体がこういう基盤をしっかりつくれるようになればというふうに思っていますので、先生も含めてよろしくお願いします。

【那須委員】  頑張っていきたいと思います。

【千葉主査】  どうも貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかいかがでしょうか。まずはよろしいですか、今の段階では。そうしましたら、また後の後段のほうで関連する御意見をいただくということにして、まずは先に進めさせていただければと思います。
 それでは続きまして、資料2、地域中核・特色ある研究大学の振興、それから、資料3の博士人材活躍プランについて事務局より続けて説明をお願いします。池田課長、お願いいたします。

【池田課長】  産業連携・地域振興課長の池田と申します。では、資料2に沿って状況を御説明いたします。地域中核・特色ある研究大学強化促進事業、J-PEAKSですが、既に皆様御案内のとおり、各大学が10年後の大学ビジョンを描き、そこに至るための強みや特色のある研究力を核とした経営戦略の下で、大学間連携や国際展開等、ソフト・ハード一体となった環境構築の取組を支援するものでございます。昨年度から事業を始めておりまして、昨年度には12件採択済みでございます。5年間の支援で、最大13件の採択に向けて現在今、公募を実施している状況でございます。
 次のページをお願いします。スケジュールですけれども、現在公募中で、来週の7月29日が2回目の公募の提出期限ということで、8月から審査を開始いたしまして、昨年度同様、書面・ヒアリング、必要に応じて、今回、サイトビジットも含めて行う予定でございます。採択については、状況によって変更する場合はありますけれども、1月下旬の採択大学決定を予定しております。
 次のページをお願いいたします。採択大学に対しては伴走支援を行うということになっておりまして、伴走支援の考え方を事業推進委員会で取りまとめていただいております。この伴走支援ですけれども、目的といたしまして、大学が自らの責任で取組を進めるということが原則でございまして、採択大学が設定したアウトプット・アウトカム指標達成のために効果的な取組が進められるよう、必要な助言・提案を行っていくことがこの伴走支援の目的です。
 この伴走支援に当たって伴走支援チームを組織いたしますが、このチームでは以下4つの取組を行うとしております。1つ目が大学の状況の把握や可視化でございまして、大学側とやはり伴走支援チーム、双方の認識を一致させて、関係者が同じ土俵で対話できるようにということを考えております。2点目としましては、大学間の連携促進ということで、共通する課題に対する好事例・ノウハウの共有を行ってまいります。3点目が、大学への助言・提案でございまして、大学のビジョンの実現のために必要と判断した具体的な取組について、実効性を高める観点から専門的知見に基づく助言を行ってまいります。この助言については、5年間の支援期間中に、専門的知見も含めて大学に根づくよう促してまいります。4点目としまして、評価を踏まえた改善の支援ということで、事業推進委員会から中間評価等として指摘事項・改善事項があるかと思います。これに対して大学における具体的な改善を促すということですけれども、どうすればよりよいものになるかということをこの伴走支援チームが大学さんと一緒に考えて、具体化を促すという形を考えております。
 次のページをお願いします。次のページが運営体制のイメージということです。この伴走支援チームの特徴ですけれども、1つ目の特徴としまして、各採択大学からリエゾンの方を選任するということがございます。そして、特徴2としまして、サポーターです。サポーターが大学側と対話して伴走する、まさに伴走を担当する方ですけれども、このサポーターがまず12大学に対して6名アサインさせていただきまして、1人につき2大学を担当していく。さらに、専門性を持つ人材から成るアドバイザーグループを形成しまして、こういった専門的な事項についてはそれぞれの観点から助言をいただくということにしております。また、12大学へ伴走支援をするのですが、伴走支援総合調整会議において各大学の取組を共有することで、横の連携も行えるような仕組みを考えてございます。
 次のページをお願いします。共通指標ですけれども、やはり伴走支援をしていくに当たっても、大学に共通する指標を幾つか設けて伴走支援や評価に役立てていくべきだろうという意見もありまして、それを踏まえて事業推進委員会のほうでこの共通指標を設定させていただいて、区分ごとに例示をお示しさせていただいております。この機能1、2、3は、1ページ目に解説がございましたが、機能1が学術領域の卓越性を発展させる機能、機能2がイノベーションを創出する機能、機能3が地域課題解決をリードする機能ということで、この3つそれぞれに対して指標区分を設けました。機能1に関しては、研究成果に関する指標とか外部資金の獲得とか、機能2については、新しい価値創造、社会実装、国際的な活動、機能3に関しては、地域課題解決に向けた取組あるいは経済効果に関する指標を例示しております。
 これらの指標については、伴走支援チームと各大学との間の対話に向けた意識合わせに当たって非常に重要であると思っておりますし、また、大学と伴走支援チームとの間で共通指標の設定のための対話をしていただくことになりますけれども、その対話を通じて必要に応じて、既に申請時に出していただいている各大学のアウトプット・アウトカム指標の見直しなどにも役立てていただければと思っております。また、こういった指標を設定することで、研究大学群の形成に向けて、進捗状況の把握や、あるいは中間・最終評価を行うための一つのツールとしても活用するということを考えております。
 次のページを御覧ください。一応こちらからお示ししている指標区分、それぞれに入っている指標例、必ずしもこれでなければいけないということはありませんが、伴走支援チームと各採択大学との間で検討いただいて、強化しようと思っている機能それぞれについて、定性的指標あるいは定量的な指標をそれぞれ最低1つずつ設定していただく。例えば機能1のみを選んでいる大学であれば、研究成果に関する指標について定性的指標、定量的指標の2つ、また、外部資金獲得に関する指標についても定性的なもの、定量的なものを合わせて2つ、計4つ、また、機能1、2、3全てを選んでいる大学については14になりますけれども、こういったものを、あくまで例でございますので、伴走チームと大学との対話の中でこういった指標を設定しようということを御検討いただければと思っております。このページが機能1に関する指標の例でございます。
 次のページをお願いします。こちらが機能2についての指標例ということで、シーズ・ニーズの探索とか、マッチングの取組とか、あるいは海外機関との交流、あるいは組織対組織の連携などをお示ししております。
 次のページをお願いします。こちらが3つ目の地域課題解決に関する指標区分の指標例でございます。地元企業への能動的な働きかけ等の取組状況とか、課題解決型のプログラムの実施件数、また、スタートアップの創出数などを例示として挙げております。今後、伴走支援チームを形成いたしまして、各大学との対話が始まってまいります。こういった共通指標の検討なども通して、大学のビジョンの実現に向けた取組をより深めていただければと思っております。
 以上で、地域中核関係の状況報告を終わります。ありがとうございます。

【千葉主査】  ありがとうございます。では続けて、博士人材活躍プランについてお願いいたします。

【髙見室長】  お時間いただきまして、ありがとうございます。科学技術・学術政策局人材政策課の髙見と申します。私のほうから博士人材活躍プランについて御説明申し上げます。
 2ページをお願いします。こちらのプランでございますが、昨年の11月に、博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォースを文部科学省内に盛山大臣を座長、両副大臣を座長代理として設置いたしまして、関係の局長に構成員になっていただきながら取りまとめてきたプランになります。こちらは文部科学大臣メッセージでございますが、今の盛山文部科学大臣が、法学博士及び商学博士とダブルで博士号をお持ちということでございますので、この大臣の下でぜひつくりたいということでやってまいりました。
 次のページをお願いいたします。こちら、意義・目的でございます。議論の中で最も強かったのが、博士イコール研究者というイメージが我が国においては一般的であるところ、国際的には複雑な課題への解決策を提示できる者に与えられる能力証明だという認識がなされております。これをやはり日本の中にも浸透させていきたい、社会の多様な場での活躍を進めていきたいというのがこのプランのエッセンスになってございます。
 こちらのグラフを御覧いただければと思います。こちら、横軸が、これは博士に限らず修士も入っておりますが、大学院の修了者比率になっておりまして、縦軸が個々の国の時間当たりのGDP、USドル換算ということで、各国の状況がプロットされているものになります。日本はこの位置にありまして、全体としてはこの両者に正の相関が見られるといったことを表したグラフになってございます。こういったことに鑑みましても、我が国において博士人材を今後増やしていく必要があるというふうに考えてございます。
 次お願いします。そのためには、ポスドク1万人計画というのが20年くらい前にございましたが、そのときの反省も踏まえますと、出口対策として、アカデミアのみならず、民間企業や国際機関、それから、起業、公的機関、教員等、様々な道を見据えていく必要があると考えております。
 次のページをお願いします。解決すべき課題と現状の特に左側のグラフを御紹介したいと思いますが、こちらは主要国における博士号取得者数の推移を表しております。ここ20年ぐらいの推移でございますが、日本は、下から2番目の赤いグラフになっております。英国やドイツ、こういったところが人口100万人当たり三百何十人という博士人材がいるのに対しまして、日本は123人という状況で、20年間でも若干微減してきているというのが実情としてございます。ここを現状として捉えた上で我々は対策を考えてまいりました。
 また、もう一つ御紹介申し上げたいのは、御存じの方も多いかもしれません。博士進学ではなく就職を選んだ理由を聞いた内容でございますけれども、特に下の部分、博士課程に進学すると修了後の就職が心配である、この部分は何とかしていきたいというのが主として感じているところでございます。
 次のページをお願いいたします。一方の、こちらは日本経済団体連合会の参加企業に対する調査ですが、優先的に取り組むべき大学院改革の施策といたしまして、大学院教育における産学連携の充実や、課題解決型の教育プログラムの充実、こういったところがかなり割合としては高い企業側からのニーズというところが把握できております。
 次のページお願いします。そういったところを踏まえまして、取組の方針のまずやはり第1番目といたしまして、産業界等と連携をして、博士人材の幅広いキャリアパス開拓を推進するといったこと、そして、大学院教育の充実や、奨学金とか様々な経済的支援で学生が安心して研究に打ち込める環境を実現する。そして、文部科学省においてまとめますので、高等教育のみならず初等中等教育段階からモチベーションを高めるような取組を実施していくといったことを4つの方針として掲げているところでございます。
 次のページお願いします。具体的取組で特に御紹介申し上げたいのは、1番目の多様なキャリアパスの構築という中の1番目で、産業界での活躍促進、マッチング支援というところです。こちらは今年度これから実施をしてまいりますが、経済産業省とも連携をしながら、博士人材と民間企業との接続といいますか、民間企業に就職していく際に、企業において留意すべき点とか、大学において留意すべき点、こういったものをガイドラインとしてまとめていくということを予定しておりまして、今年度中にまとめていくことを想定しております。このプランを受けた取組ということで、引き続きやっていくということになります。
 次のページをお願いします。また、公的機関での活躍促進といたしましては、文部科学省をはじめとした国の省庁における博士人材の採用促進といったこと、そして、③番のところでは、同じアカデミアの中でも、リサーチ・アドミニストレーターのような、研究者ではないような人材として育成・支援していく、活躍促進していくということも重要かと思っております。
 次のページをお願いいたします。大学院教育改革の部分でございますが、トップ水準の大学院教育を行う拠点形成の促進ということで、卓越大学院プログラムの後継事業として考えていくということの打ち出しもさせていただいております。
 12ページをお願いします。こちらは学生本人への動機づけということで、例えば高校段階でスーパーサイエンスハイスクールといった指定校がございますが、そこで博士人材を積極的に採用していき、高校生の段階から身近に博士を感じられるといったような取組も進めていこうというような話がございます。
 次お願いします。こういった産業界との連携というところを中心に打ち出して博士人材が活躍しているところでありますが、文部科学省で働く行政官における博士人材の採用目標を設定するとか、優れた博士人材の昇格スピードを早める措置を実施する。そして、働きながら学位を取得する職員への支援制度を活用するといったようなことを通じまして、幹部職員の登用、こちらは課長級以上というところ、それを目途といたしまして、修士・博士の学位取得者の増加を目指していこうということを掲げてございます。
 次、お願いします。こちらが最後になりますが、指標といたしまして、アウトプット指標、アウトカム指標などをまとめております。大目標のみ御紹介したいと思います。2040年における人口100万人当たりの博士号取得者数を世界トップレベルに引き上げるということで、2020年度比の約3倍と目標を掲げています。こちらはネットなどでもよく取り上げられているところかと思いますが、こういった目標を掲げてここに向けて取り組んでいく所存でございます。
 私の説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。それでは、資料2、それから、資料3について、御質問、御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。
 野口委員、どうぞ。

【野口委員】  御説明どうもありがとうございます。私のほうからは、資料3の博士人材の活躍プランについてです。具体的に17ページ物で3月26日に、非常に分かりやすく箇条書で、処方箋も踏まえてナビゲートしていただくような内容については、大学内でも教員に対する説明等でも活用していますので、ありがたく思っております。
 特に8ページ、9ページのところにもあります、産業界とのマッチングや様々な分野での活躍促進ということで、3年目を迎えました博士の支援事業のSPRING、また、今次、新しくAI分野を強化していこうということのBOOSTというのは、私は非常に学内でも、修士、Mの学生君たちに案内・啓蒙、エンカレッジするにはとてもいい制度と思っています。あと、経済的支援のみならず、キャリアの開発支援とかキャリアパス支援、そういうところの啓蒙にも非常に資金のみならず、考え方の意義の観点からも役立っている部分があります。
 また、私どもの大学で言いましたら、これまで博士の支援については、大学の教学の部門が主管だったんですけれども、昨年から、研究・産学連携部門に主管を移管しました。支援室も強化し、組織の構造改革にもつながっています。最後に、今次の予算は令和5年の補正から続いていると思うのですが、10兆円ファンドの運用益の200億を博士支援に回すというような方針や話も出ていますので、ぜひそれらの予算を確保いただき、継続して続けていただければなと思いました。
 感想と意見です。以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。それでは続けて、吉田委員、お願いします。

【吉田委員】  御説明ありがとうございました。私からは、地域中核案件に関して2点と、それから、博士人材プランに関しての2点、感想とお願いがございます。
 まず、地域中核に関しましては、特色ある研究大学については、各地域の大学は、本当に大学改革を行うすばらしい契機になって、大学一体になって取り組んでいる非常にいい取組だと高く評価されるのではないかというふうに思います。その中で、今日御説明になった3ページ、4ページについて、伴走支援ということがございました。この中で特に採択大学に対しての事業推進委員会、伴走チーム、JSPSの調査チームと、3つほどルートがあるようにお見受けいたしました。この中で、いつもよくあることで報告ということになりますと、かなりコストや時間、負担がかかるのではないかということがございますので、そこら辺の過度な負担がかからないようなこういう配慮をぜひお願いしたいなというのがまず1つ目になります。
 2つ目としては、国際卓越研究大学及び地域中核案件につきましても、採択されなかった大学、こういうものが取り残されないような施策をいろいろ考えてはいただいていると思いますけれども、今後も、採択大学との連携や独自の組織の支援、こういうことが実現、構想が実現できる、こういう後押しがぜひあったらいいなと思いましたので、よろしくお願いいたします。
 それから、博士人材活躍プランも、これもSPRING事業など、各大学が極めてモチベーションアップにつながった、よい機会をいただいたというふうに思っております。その中でよく言われることで、まず1点目としては、博士人材を増やす、3倍に増やすということでございますけれども、前段階の修士課程の支援、これなくしてはやはり博士人材は増えないと思いますので、ここら辺のところがちょっとまだ霞がかかった状況になっているんじゃないかなと思いますので、ぜひとも御支援よろしくお願いいたします。
 それから2つ目は、博士課程の学生を増やすには、限られた人口、減少していく若者の中で、留学生の支援、これはもう極めて重要な案件だと思っております。それで、SPRINGで支援されている、あるいはソーシャルインパクトなど支援されている国際化、こういうものはあるんですけれども、具体的に例えばジョイントディグリーとかダブルディグリーとか、こういうものに対する直接の支援というか、それがちょっと見えてこないように思うので、そこら辺のところをぜひ御一考いただければなというふうに思っています。併せて、ジョイントディグリーなんかも、国内の大学と大学の中で1つのディグリーが出せる、そういうこともできるようになれば、両方の大学が大学院の博士課程あるいは修士課程が増えることになって、むしろ連携がつながるのではないかなというふうに思っております。
 以上になります。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。では、手が挙がっておりますので、続けて、木部委員、お願いします。

【木部委員】  木部でございます。どうもありがとうございました。非常に意欲的な取組がたくさんあるわけですが、私も地域中核・特色ある研究大学について御質問します。私が質問したかったうちの2つは、もう既に今、吉田委員がおっしゃいました。4ページ目の伴走支援ですけども、リエゾンとサポーターとアドバイザーグループがある。この3つが非常に手厚くなっています。手厚いということはいいことなんですけれども、非常に重層的で、負担が大き過ぎないように配慮していただきたいということ、それと、採択されなかった大学への配慮もお願いしたいこと、この2つは吉田委員と同じでございます。
 もう一つは、地域中核は、資料2の1ページにありますように、①、②、③の3つの特色の中から選ぶというふうになっていて、強みを持つ特定の学術領域、地球規模の課題解決や社会変革、それから、地域産業の生産性向上や雇用創出、それらに特化したような形の事業になっているわけですね。一方、国際卓越のほうは、人文・社会科学も含めた全学的な研究力の向上というのが書かれております。ということは、国際卓越は、大学が全領域的な発展を遂げる、地域中核はそれに対して、特色あるものをそれぞれ伸ばしていくという方針だというふうに理解しました。
 そうすると、地域中核は、これから第2年目の公募の締切りがあるわけですけども、採択される課題がいろいろな分野にまたがるようにしないと、地域中核でいろいろな分野に裾野が広がらないということになってしまうんじゃないかという懸念があるんですね。だから、そこのところを配慮していただきたいと思います。もちろん公募の採択ですから厳密に審査が行われるわけですけれども、やはり分野の配慮というのは必要ではないかなというふうに思いました。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。まずは御意見として承る形でよろしいですかね。

【木部委員】  はい。

【千葉主査】  では、西村委員、お願いします。

【西村委員】  ありがとうございます。大学院の博士課程のことなんですけれども、確かに民間で活躍するとか、いろいろな分野で活躍する博士をつくるというのは非常に重要なことだとは思うんですけれども、そういった人材を本当に今の大学院がつくれるのかということに関して、この内容を拝見する中では少し気になったところがあります。最終的には研究室での教育になるとしたら、大学教授とか教員側に対して多様な人材をつくらなければいけないという意識をどうやってつけるのかというのが、私は読んでいてあんまり見えなかった。
 例えばなんですけども、欧米だと流動が激しいですよね、民間と大学とか、場合によっては官庁とか。そういうふうになると、それぞれの分野のプロフェッショナルリズムみたいなものを肌で感じて、そういう人たちが動き回るわけですね。そうすると、リスペクトが起こって、産業界に出す人材としてはここまで鍛えなければいけないというのを、普通の研究の大学院の学生と比べても違う角度から教育する可能性もあるんですね。そういうふうな仕組みをつくっていくと思うんです。
 だとすると、少し何となくそういった視点が抜けて、あまりにもちょっと大学院の今の教育に、少し幻想ではないですけれども、こういった人材をつくれるんじゃないかということを思い過ぎているような感じで、教員に対しての、特に教授クラスの人たちの意識改革をどうするのかということもどこかに入れてもいいのかなというのがちょっと気になった点です。そういうことを発言させていただきました。

【千葉主査】  大変大事な御指摘だと思います。後でちょっとまとめさせていただきます。
 では、柳原委員、お願いします。

【柳原委員】  少しずれた発言になるかもしれないんですけれども、大学の研究力強化ということでやってきた中で、社会実装とかアウトプットの明確性、そういったことが重視されつつあるのはすごくいいなと思うんですけれども、ちょっとそちらに偏り過ぎているのかなという気が企業サイドから見て思いました。
 社会実装という観点でいうと、先ほど少しあったかもしれないですけれども、地方中核大学に対しては私はすごく期待しておりまして、やはりその地域にしかない唯一無二の課題があるでしょうから、それをちゃんと地域の方々と組んで解いていくということができると思っています。
 一方で、大学研究力強化ということをそもそも考えたときに、つまり大学の存在意義とかを考えたときに、やはり役に立つかどうかは今現在では分からないけれども、重要な問いがあると思うんですね。そういったことの問いを立てて、それを解決していくということがやっぱり大学に必要ですし、それが博士課程の方々にやっていただきたいことなんです。そういうことの問いを立てる力があれば、研究以外のところでキャリアのローテーションをしていったときでも必ず役に立ちます。
 ですから、その力をつけるためには、初等教育からのモチベーションが大事だという話がございましたけれども、やはり小さな子供のときから問いを立てる力、そういった教育システムをもう少し充実させていく。それをセットにしていかないと、大学研究力の基盤にはならない、強化の基盤にはならないというふうに考えています。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。大変本質的な部分からの研究力強化が必要だという御意見だと思います。ありがとうございます。
 では、小林委員、お願いします。

【小林委員】  2点あります。まず、地域中核の採択大学に対する共通指標区分を3つほど立てられているんですけども、木部委員もちょっとそれに触れられていらっしゃいましたけれども、これはちょっと盛りだくさん過ぎて、全部やるのは結構大変じゃないかと思うんです。地域中核の大学によって、やはり強いところ弱いところ、いろいろあると思いますし、強いところもまだ伸ばしていきたいというのもあると思うので、全部横並びで評価していくというのもちょっと。あるところは強調して、あるところはそれほど強調しないでというのも大学の特徴に合わせて考えていただければと思います。それが1点目です。
 それから、博士人材、何で博士がなかなか増えないかというのは、ちょっと難しいところもあるんですけども、博士人材の産業界へのお願いというのが15ページ目にあります。人材を各産業界でも採っていただいて処遇改善というのも一つ大事なんですけど、ここの5番目、奨学金の企業等による代理返還制度の活用促進というのはかなり重要なものだと思います。大学院生というのは博士課程だけ奨学金の返還をするわけではなくて、実はそういう学生というのは、もう学部のときからお金を借りているという人たちが多いんですね。博士で終わったときに、人によっては医学部なんかでは数千万円借りている人もいて、それがかなりの負担になっていることは確かなので、社会、病院もそうかもしれませんけども、奨学金を代理で返還してくれるという制度をもうちょっと強く強調していただけるといいかなと思います。
 長くなるのでこれぐらいにしておきます。

【千葉主査】  大事な御指摘ありがとうございます。続きまして、相原委員、お願いします。

【相原委員】  私からは博士課程の件ですけれども、医系・理系の博士課程というのは、専門性を高めたり、課題解決の力を身につけていくとか期待されていることがいろいろあることは分かるのですけど、文系の博士課程の学生に何を身につけてほしいのか、企業からはどういうことを求められているのかというのがちょっと見えにくいと思います。企業のなかでは、修士は採っても、博士は採らない、理系の研究職はともかく文系は採らないというようなことを今でも考えていらっしゃる企業も少なくないと聞いています。ですので、大学院が育ててほしい人材、特に文系では見にくいなと思いましたので、そこについての意見交換がもっとあってもいいのかなと思いました。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。では、梶原委員、お願いします。

【梶原主査代理】  ありがとうございます。地域中核のところの伴走支援の件ですけれども、採択されているタイミングの中である程度の指標が出ているのではなかろうかと思っておりました。こうやって指標例という形で、皆さま方もおっしゃいますけれども、多く書かれていますと、伴走する、支援する側とされる側の認識を合わせるのに割と時間がかかってしまうかもしれないということを危惧します。
 その辺はどういうタイミングで指標を決めて走っていくのか。スケジュールを立てて迅速にやっていくことのほうが重要だと思います。例えば5年間の中でどれほどのアウトカムが出るかというのはそれぞれあるかと思うので、やはりその大学の特色をもって動かしていただけるというのがいいと思いますので、そこは大学と伴走側と対話をよくしながらうまく連携をしていかれるとよろしいと思いました。
 それから、博士人材の活躍プランのところは、非常に今の状態を表していると思っておりますし、文科省の「槐から始めよということで文科省から始めています」、の話は、ある意味、それこそほかの省庁に対してどういうタイミングで横展開していくかというのも関心があるところでございますので、その取組もぜひよろしくお願いいたします。

【千葉主査】  ありがとうございます。今までいただきましたのは大変重要なポイントばかりだというふうに私は思っております。
 地域中核につきましては、確かに社会実装、アウトプット、今までの大学の在り方からさらに一歩進んでということと、またあとは、日本の本質的な力をもっと増していくというところで大学がもっと大きな役割を果たしてほしいという大きなメッセージ性もある内容だというふうに思いまして、そこが一番大きく表に出ているわけですけれども、何人かの委員の皆様からも御意見いただきましたように、本質的に人としての力をしっかりつけるということで、研究力、すなわち、それは問いの力であり、また、社会のこれからのあるべき姿を描いてそこに導いていくような推進力を持った人を育てる大学という、それが本質的にあるんじゃないかなということで、非常に前向きな御意見をいただけたというふうに思います。
 具体的には、そのためにどういう形にすれば、日本の特徴を出しながらそこに向かっていけるかということで、これは地域中核のこのプロジェクトを進めながら、採択大学はそれにどんどん邁進し、また、採択されなかったところも含めて全体が上がっていくような流れがつくれるかどうか、ここが大きな勝負というか、チャレンジになるのではないかなということですね。この辺りは、皆様と一致した問題点、課題点であり、取り組むべき焦点となるべきことかなと思います。
 あと、非常によく関連するんですけれども、博士人材をどうするか、もっと活躍するように、それから、もっと前向きに若い人たちがそこを目指してほしいという大きなメッセージ性、これはしっかりと皆さん共通で捉えていただいていると思います。経済的な問題もありますし、それに対する支援もありますけど、それを受け入れる会社側も、やはりそういう人に道を開くとともに経済的な支援もしてほしいということで、これがうまく循環が回るとすごくいい形になると思います。やはり若い人の数が減ってくるという、日本のもう明らかな未来像がある中で、若い人の価値はどんどん増していくわけなので、この人たちがますます活躍できるようにするというのが本当に日本としてしっかりやらなければいけないことですね。
 それからあと、いわゆる文系の話、これはよく出まして、別の国公私立の学長が集まる会議等もこの辺の話題が非常に出ます。要するに、リベラルアーツというものはどういうものなのか、それをしっかり身につけるということこそ、それは研究力になったり、あるいは社会を動かしたり、まとめていく力になるはずだということで、この辺りは経団連の方とも私も話をさせていただいて、多くの方、やはり文系の方が社長、会長等になられているんですけれども、基本的にはこういうリベラルアーツの部分とか人間力のところが非常に大きな力になって会社を推進するお立場になられたということで、これも皆さんよく一致しているんですね。この辺りも、特別な研究ができるから博士で、その人をどういうふうに使おうかという狭い見方では会社も困るということは、大学のほうからもいろいろ発信をさせていただいて、共通理解は割と進んできているところかなと思いますけど、こういうこともこういう場でも、あるいは日本全体でもそういう話をしっかりしていくことがとても大事だなというふうに思っております。
 前半のところでいろいろ御意見いただけましたけど、私は非常に前向きに受け止めておりまして、それから、重要な課題点も御指摘いただけているかなというふうに思っております。
 今、簡単に現時点でのまとめをさせていただきましたけれども、もしよろしければ、ちょっと先に進めさせていただいて、資料4のほうの説明を事務方からしていただいて、これ、大学研究力強化に向けた多様な取組ですね。その後、時間の許す範囲で総合的な御意見をまたいただききたいというふうに思っております。ということで、小川室長、前段のところの御説明をお願いいたします。

【小川室長】  ありがとうございます。それでは、大学研究力強化に向けた多様な取組について、資料4を御覧ください。
 1ページ目を御覧いただければ幸いです。これまで御説明させていただきましたとおり、国際卓越研究大学制度や、あとはJ-PEAKS等の取組が進んでおります。研究力向上に向けましては、多くの研究大学が、それぞれの将来像を描き、実現に向けた検討・取組を進めているということかと思います。初回公募に採択された、採択されなかった大学を含め、されているかと思います。こうした改革の灯を絶やさずに、各大学による研究力向上に向けた改革を継続的・安定的に後押しすることが文科省としても重要だと考えております。
 2ページ目を御覧ください。こうした検討ですけれども、各大学におきましては、国内外の先進的な知見を参考としつつも、従来のアプローチにとらわれない発想も取り入れて、自らのビジョン、また、戦略の下で取組を進めていただいている、また、検討を進めていただいているところだと思います。
 こうした研究力強化に向けて重要な観点、取組は、文科省のみならずCSTIを含めて、これまで国際卓越研究大学ですとか研究力強化・若手研究者支援総合パッケージなどでも議論されてきたところでございます。下にチェックで示しておりますけれども、研究時間確保ですとか予算配分、マネジメントの仕組み、その他これまでも議論されてきたことを各大学において戦略的に検討が進められているということかと思います。
 こうした検討が進められている今のタイミング捉えまして、本年度末に報告書として公表すべく、文科省においても国内外の研究大学等を対象として事例収集ですとかその調査・分析を進めております。現段階で調査途上でございますので、対象大学ですとか調査項目などは限定的ではございますけれども、改革の取組の可視化として、本日、まずは、前回の委員会でも重要と意見いただいていた研究時間確保と全学のリソース等のマネジメントについて御紹介させていただきたいと思っております。
 そのほかにも様々ございますけれども、研究力強化に向けては様々な点がございますので、一部ということでございます。
 3ページ目を御覧ください。これは今申し上げた研究時間確保の観点です。研究以外の時間の効率化ですとか、研究に専念する時間の確保の取組、こういったものについて、研究支援の拡充ですとか、研究以外の業務削減としては、例えば、大阪大学は、IRデータとURAを支援を掛け合わせるという仕組みですとか、また、意欲ある事務職員をキャリアアップして、教員に代わり学内の管理業務などを実施するような取組も実施しているところでございます。
 また、教員の業務削減や外注化という観点では、医科歯科大学において、部局ごとに実施していた倫理審査委員会を研究テーマ別に集約する。それによってある意味関与する教員の削減も行いますし、逆に審査の機動性というところも確保する。また、九州大学におきましては、授業等の依頼を希望する教員と退職教員をマッチングさせ代行する制度ですとか、また、海外ですけれども、イリノイ大学のアーバナ・シャンペーン校では、例えば、勤務時間の40%を研究に充てるということを目標としてバイアウト制度を使う。また、教育よりも研究に専念するいわゆるキャリアパスといいますか、研究に専念するような専門研究教員の採用など、こういった特徴的な取組を国内外含めて進めている大学もございます。
 ここに挙げている例は全て、参考資料として個別大学の部分もより詳しく挙げさせていただいているところでございます。
 今見ていただいている4ページ目は、こちらは全学的なリソース配分等のマネジメントとしてお示ししているものでございます。例えば、こういった観点で、全学的にいかにして学内の様々なステークホルダーまた教員の考えていることを情報収集していくか、さらに、そういったものも踏まえまして、戦略的な資源配分ですとか資源獲得の工夫といったものがされているものです。
 全学的な情報収集という意味では、比較的規模が小さい大学であるCaltech、こういった海外の大学では、プロポストが学内の多様な教員と1年を通して面談を行いまして、光るアイデアがあれば、ファンドレイジングキャンペーンと連携して資金をつけるなどの取組を行っております。
 また、国内で言えば、早稲田大学においては、全学の研究力強化を進めるためにトップダウンで研究テーマを示しつつ、ボトムアップで個別研究のシーズを全学的に収集するような取組。また、筑波大学においては、本部主導型の戦略的人事ということで、持続的な若手研究者の採用を推進するための仕組みなどを導入しているところでございます。
 次のページお願いいたします。本日、時間に限りもございますので、各大学の具体の取組については参考資料としてつけることで、御説明の詳細は控えさせていただきたいと思っておりますけれども、今後、年度末にかけて実施する委託調査が取りまとめましたら公表していきたいと思いますし、委員の先生方にも御紹介させていただきたいと思っております。
 5ページ目ですけれども、これまでも本委員会におきましては、大学の研究力強化に向けて貴重な御意見をいただいてまいりました。一方、再来年度より第7期科学技術・イノベーション基本計画の期間が始まるに当たり、策定を見据えまして、今後、多様で厚みのある研究大学の形成に向けてどのような取組が必要なのか、また、各大学が改革の取組をさらに加速して、研究大学、こういったものを全体に広げていくためにはどのような法則が考えられるのか。この後、学術企画室の助川室長より第7期基本計画に向けた検討の方向性について御説明いただきますが、皆様に引き続き貴重な御意見いただければ幸いでございます。
 それでは、助川室長、どうぞよろしくお願いします。

【助川室長】  引き続きまして、失礼いたします。振興企画課の学術企画室長をしております助川と申します。私どものところで学術分科会の事務局を担当しております。
 それでは、6ページ以降について、私、助川から御説明申し上げます。
 6月26日の資料と書いてございますけれども、前回の学術分科会はこの日開催されました。このときに次期科学技術・イノベーション基本計画についての検討を御議論をいただいたところでございます。本日は、強化委員会の先生方にも学術分科会における議論を御紹介申し上げますとともに、強化委員会の先生方からも、こちらでも議論くださっている点についてを中心に、先生方から御意見を頂戴できればと考えております。
 まず、この6ページのところでございますけれども、概要を申し上げます。我が国の研究力は、相対的に申しますと、長期低下傾向にあることが指摘されてございますが、こういった傾向を反転させていくためにですけれども、一番下の色刷りのところでございます。①研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の後押し、②大学等における研究環境の改善・充実、マネジメント改革、③日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成、こういった3つの観点から取組を進めていく必要があるのではないかというふうに、こういった3つの柱を立て、事務局から論点を提示させていただいたところでございます。
 この①から③について次から1ページずつございまして、7ページ目では、学術研究あるいは基礎研究の水準の向上のために、研究者の知的好奇心に根差した独創的な研究の後押しが重要ということで、基盤的経費ですとか科研費、創発的研究支援事業などに触れているところでございます。
 8ページでございますけれども、こちらが研究の質ですとか研究の量に作用する重要な要素として、研究設備等へのアクセス、あるいは、研究に専念する時間についてのペーパーでございます。
 課題でございますけれども、1つ目のポツ、研究設備・機器へのアクセスが不十分であること。2つ目のポツ、研究以外に時間を割かれてしまって研究時間を十分に確保できていないこと。先ほどございましたけれども、そういったこと。及び3つ目のポツ、優れた取組があっても、それが他の大学に広がっていないことが多いということを挙げてございます。
 その上で、今後の取組の方向性といたしまして、1つ目のポツですけれども、研究設備・機器についてコアファシリティー化しつつ、国の継続的支援が必要な部分を検討すること。さらに、中規模設備について全国的な観点から整備・更新すること。その次のポツとして、研究の量の向上の1つ目のポツですけれども、研究時間の確保のために学内事務の縮減、あるいは、教育活動との適切なバランスの工夫などについて検討する必要があるのではないかということ。一番最後のポツに飛びますけれども、優れた取組を可視化し、好事例を広げる必要があるということを挙げてございます。
 9ページに参りまして、9ページは研究大学群の形成に関してでございます。日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成に関しては、課題として、1つ目のポツ、我が国はトップ層に続く大学の層が薄いのではないかということ、2つ目のポツといたしまして、多様な規模の大学が研究活動に参画しておりますけれども、その多様な規模の大学では必ずしも充実した研究基盤が構築されていないことを課題として挙げてございます。
 また、今後の取組の方向性といたしまして、今の課題の前者に関しては、1つ目の白丸でございますけれども、国際卓越、地域中核の公募に当たって、全国の研究大学から意欲的なプランが示されておりますところ、意欲ある研究大学がそれぞれのビジョンに向かっていけるように後押ししていく必要があるということ。
 また、2つ目の白丸でございますけれども、研究者は全国に点在しておりますところ、最先端の成果を生み出す源泉たる中規模研究設備を整備し、分野組織を超えた研究ネットワーク、研究領域を作り出し、共同利用・共同研究体制を強化することが必要ではないかといったことを挙げております。
 これに関して先日の学術分科会であった意見を簡単に御紹介申し上げますと、右下のページで申しますと13ページでございます。項目で言うと、例えば、基盤的研究費と競争的研究費、あるいは研究時間の確保、好事例の展開などについて様々な御意見を頂戴したところでございますけれども、このうちの特に研究時間の確保ですとか研究大学群に関して若干補足して申しますと、②のところ、1つ目のチェックにございますけれども、外部資金の申請書作成に多くの時間を割かれている。また、ピアレビューなど評価方法の合理化についても考える必要があるということ。2点目ですけれども、2つ目のチェックですが、研究時間の減少の原因を徹底的に調査・分析すべき。3つ目のチェックとして、運営事務・教育等に特化した人材が、日本においてもそういった人材の育成が必要ではないか。4つ目のチェックですけれども、研究のデジタル化による正の効果・負の効果がございますところ、これらの研究デジタル戦略についても論じる必要があるということ。②の最後ですけれども、グッドプラクティスの他大学への共有でいい取組を広げることが必要であるということ。
 研究大学群に関する③でございますけれども、1つ目のチェックで、研究大学群の構築に当たっては、国内外の大学とのネットワークの拡充を後押しすることが必要であること。また、さっきありましたように、裾野が非常に広いという特徴がございますところ、個々の研究者・大学に資するような取組、形にすることも重要であること。2つ目のチェックですけれども、最先端の設備だけでなく汎用的な設備の整備も重要であって、また、これを支える技術職員の育成・待遇改善の必要もあるということ。3つ目のチェックですけれども、物価高・円安などの中、共共拠点、学際ハブの活動に影響が出ないように責任を持って措置されたいということの御意見を頂戴したところでございます。
 本日、先生方からも、特に8ページ目の緑色のページでしたけれども、研究環境・マネジメント改革、9ページ目の研究大学群、青色のページについて御意見を頂戴できればと思っておりまして、今後、来週31日に学術分科会が開催されますところ、そのときに学術分科会で頂戴した意見も踏まえて、私ども事務局から分科会の意見案を提示いたします。そこで委員の先生方にまた御議論いただいて取りまとめを目指す予定となっておりますけれども、本日強化委員会の先生方から頂戴した御意見は、31日の学術分科会でも私ども事務局から報告申し上げます。
 このような形で進めていきたいと考えておりますので、本日はどうぞ御議論のほどよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。

【千葉主査】  御説明どうもありがとうございました。
 本日の会議、一番最初は国際卓越研究大学の話から地域中核、それから博士人材ですね。だんだんと焦点が絞られてきて、大学研究力強化というテーマのところに今集約されてきているんですけれども。当然のことながら、大学全体の動きの中、あるいは日本全体のネットワーク、それから博士人材、ここも全部関係してくる話だと思います。ということで、そういう視点を踏まえて、日本の大学の研究力をどう強化していくかというところで御意見をいただければと思いますが。
 1つの観点、先ほど西村委員がおっしゃっていた教員の守備範囲というか方向性、単に研究指導を研究室でするというだけではない要素が、例えば博士人材を社会に送り込む上では必要だろうという非常に重要な切り口の御意見もいただいております。その一方で、研究時間を確保し研究力を増していくというところも教員としては非常に重要であり、この辺りのバランスというか調整というか、1人の人がやらなくてもいいですけれども、組織的にどうしたらいいのかというような投げかけにもなっているかと思います。
 非常にいろいろな観点からの御意見があろうかと思いますので、残りの時間、御意見をいただきたいと思いますが。どのような観点でも結構ですが、いかがでしょうか。あるいは御質問という形でも。那須委員、どうぞ。

【那須委員】  よろしいでしょうか。私、今日の8ページの研究環境の改善のところで、研究設備・機器についてというところで少し御意見を述べさせていただきたいと思います。
 私は今、研究大学コンソーシアム、RUCの副議長をやっておりまして、その中で特に中規模施設等の導入をどうしようかということで、従来ですと、個々の大学が設備整備マスタープランというのを毎年出して、そこで機器を整備していく。大体2億から3億ですが、それだけではとてもやっていけないもっと高度な機器については、1大学がその仕組みで購入することがなかなか難しいということで、幾つかの大学が一緒になって戦略的に中規模の機器を、また別の枠でしっかりマスタープラン的に話合いをして、そこで申請していこうという新しいトラックをつくっていくというようなことを、今、提案させていただいております。
 これは今まで、1大学が欲しい機器を学内で1位、2位を決めて出していたという仕組みだけでは、もう到底今の世界の流れには対応できないということで、もう少し広い枠でそういう各大学が一緒になって申請していこう、そういう議論が今なされているところでございますので、御報告させていただきました。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、吉田委員、お願いします。

【吉田委員】  ありがとうございます。今の研究設備・機器の件に関しまして、研究の質と量を左右する重要な因子であります。那須先生の御意見に加えて、こういう共通機器というのは、ともするとプロジェクトベースでしかなかなかアプライできなかったんですけれども、大学あるいはグループの基盤的な体制として充実できるような、そういうような体制を少し考えていただきたいなと1つ思いました。
 それから、もう一点は、教育と研究活動の適切なバランスというところで、8ページにあったと思うんですけれども、座長の先生が最初に言われたかも分かりませんが、教育と研究は表裏一体で分離することは難しいんですけれども、役割分担というのはある程度あってもいいんじゃないかなと。研究をする人、教育をする人、そういう研究力、それぞれ教育力も向上させる上では、そういう分担というのは極めて重要だと思っております。
 冒頭那須委員からも御意見がありましたように、医学系の医師の在り方ということに関しましては、研究、それから教育、診療、こういう3つの分野があって、それぞれを中途半端になってしまう可能性がありますので、そういう役割を分担することでより効率がよくできるのではないかというふうな、そういうシステムもぜひ考えていただきたいと思いました。
 それから、最後の日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成というのがありました。これも国大協でも今、地方の大学あるいは国立大学をどうするかという議論にもなっているんですけれども、今後、地方の大学にとっては、人口が減少してきまして、今後の経営あるいは研究力強化がかなり難しくなってきます。そこで、産業とか地域、特性、そういうものを踏まえた一定のエリアごとで人と知を共有できる、そういう大学群を形成していくことは極めて重要で、大切なことであると思います。
 冒頭ありましたように、国際卓越研究大学のような世界を牽引する大学と、それから、地域がクラスターをつくる。要するに、国際卓越が中心になって研究群をつくって、世界トップレベルの教育研究機関と連携しながら、その成果やリソースを大学群内で、地域の中核大学や連携大学で共有できるようなそういう仕組みというのが私は必要じゃないかと思っております。
 それぞれの研究大学を結ぶネットワーク形成、あるいは、国内あるいは世界と展開していく全国的なプラットフォームを形成するということが我が国の研究力の向上に極めて重要ではないか、あるいは、牽引していく可能性ができるのではないかというふうに思います。
 それと、連携の形態というのはいろいろあると思うし、多様であるべきだとは思いますが、仮に国立大学が今後も各県に1大学以上を維持するという前提であるとすれば、そのシナジー効果をより知の総和を増大させる研究力、これを強化するためには、1法人複数大学ということも1つの在り方であると思うし、あるいは、国立、公立、私立を含めた大学等連携推進法人、こういうのも視野に入れてポジティブに連携、統合を検討していってもいいかなというふうに思いました。
 以上になります。

【千葉主査】  ありがとうございます。那須先生のところからの機器の共有というか、合同での提案、複数大学の提案ということから、それから、今、大学全体のネットワークというお話をいただきました。
 私の感想なんですけれども、すごく重要なことだと思います。それで、これを説得力ある形で予算化とかあるいは政策的なものに結びつけるためには、そういうことが大事ですと言うだけではなくて、そこからもたらされるもの、ネットワークをつくると何が起こるのかとか、それから、機器を複数大学が連携して提案するその内容というのが一体どういう位置づけで、世界的な動きの中でどんなことが生まれるのか、サイエンスでもいいですし、産業でもいいですし、そこまでかなり解きほぐして示していかないと、大学関係者以外のところでの理解がなかなか深まらないかなというふうに思います。
 これは、そこまで分かりやすく示すというのも大学の役割ではないかなと思いますので、ぜひその辺りは皆さん御一考いただくと、もっともっとチャンスが広がるかなというふうに思いましたので、すいません、途中でちょっと感想を挟ませていただきました。
 相原委員、お願いいたします。

【相原委員】  私は、研究以外の時間の縮減、8ページ目に出ていますけれども、「(大学運営・学内事務)」と書いてある点についてです。
 学内事務の効率化は、それは言わずもがなで当然ですけれども、大学の運営に関わる業務というのは、たとえ整理したとしても、教育研究関係の委員会や入試業務、管理業務など、教員が担っていかなければいけない重要な業務はそれなりに残るわけです。そして、その大部分は常勤教員が担っています。
 ところが、多くの大学、特にトップ層より下の大学では、運営交付金の削減によって常勤教員が減って、代わりに非常勤や特任教員が増えています。そうすると、常勤教員1人当たりに振られる業務量は、当然のことながら縮減の反対で以前より多くなってしまいます。つまり、研究時間がますます減っていきます。研究時間の確保のために、重要な学内業務を分担することのできる常勤教員を確保するという視点も必要かと思いました。
 それから、2ページ目のところですけれども、若手研究者のスタートアップ資金提供等の支援というふうに記載されています。それももちろん重要ですけれども、起業した後の長期的な視点に立った支援も重要と考えます。
 といいますのは、大学発スタートアップは、それ以外のスタートアップより成功率が高いと言われていますけれども、10年生存率が53%という集計もあります。言い換えますと、10年たつと半分は消えてなくなっているわけです。優良な大学発スタートアップは、発射台に乗せて打ち上げるだけではなくて、長期的にサポートしながら育て上げていくことも、これも効率化という意味でも国として重要と思いました。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 では、もう少し御意見をいただいていきます。片田江委員、どうぞ。

【片田江委員】  御説明ありがとうございました。大学院生の博士号取得者について、資料3の内容は、非常によく検討されて、適切な指摘がまとめられていると思いました。
 印象的だったのは、日本では博士号イコール研究者であるのに対して、海外では博士の学位が専門分野に留まらず複雑な課題への解決策が提示できる者に与えられる国際的な能力証明という意味合いを持つという点です。
 私の個人的なお話をさせていただくと、私自身は博士号を取得した後に、そのままビジネスの世界に入りました。博士課程での研究においては、仮説を立てて検証して、分析して、まとめて、また次の仮説を立てる、これを繰り返し論文にするというプロセスをおこないます。この思考プロセスは、実際ビジネスの世界に出てみると、いわゆるPDCAを回すということと全く同じ思考回路でありまして、現在も、当時大学院ですごく厳しい指導教官に鍛えていただいた思考プロセスは、とてもビジネスでも役立っていることを日々実感しています。ですので、先ほど西村先生がおっしゃっていたことと同じ意見で、大学院の先生方が専門分野において特化した人材を教育しているということはもちろんすごく大事なところですが、ここにとどまらずに、複雑な課題解決策を提示できる人材を育てているという意識を持っていただけるとなおよいという意味合いも資料3のような提案に含められるとよいと思います。
 また、先ほどの資料3のご説明では、学部生から進学した大学院生は減少傾向ですが、社会人大学院生は中長期的に見て微増していると読めました。社会課題を認識して再び大学に学びに来る社会人に触れる機会があるということは、学部生から上がってきた大学院生から見ても、多様なキャリアを知る非常によい機会になると思いますので、各大学における社会人大学院生の受入れがもっと促進されるとよいのではないかと思いました。
 以上です。

【千葉主査】  どうもありがとうございます。
 では、高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】  ありがとうございます。小さい点と成果の活用の件で、計2点申し上げたいんですけれども。
 小さい点なんですが、今の資料のページ7の①、タイトルが「研究者の知的好奇心に根差した独創的な」という点です。一番下の件なんですけれども、若手研究者の話がいつも出ます。そこがいつもマジョリティーだとは思うんですが、よく、安定した環境で挑戦できるんだよねという文脈でいつも語られることが多いと思うんですが、正当でシビアな研究の競争は全く必要なものだと思うので、そのニュアンスがなくならないようにということは常に意識していただければいいなと思います。
 それと挑戦的なことが何でできないのかというと、論文の数を稼がないといけない時期とオーバーラップしているというのは紛れもない事実だと思うので、その部分を両方肯定するという形での調査・分析、アウトプットが必要かと思います。これが小さめの点1点です。
 もう一つの点なんですけれども、どの箇所にということではないんですが、あえて申し上げますと、先ほどの地域中核のところで西村委員がおっしゃったステークホルダーを巻き込んでというところと関連するものです。
 今回、地域中核を通しても、最終的に入れたお金を活用するためには、この事業を設計した人、申請を書いた人、執行部以外の個々の大学の関係者、特に教員と事務方がしっかりタグを組まないと、我々は果実を取得できないと本当にひしひしと思っています。
 その観点ですので、具体的には、今日の資料4の前段で、グッドプラクティスですとか国内外の事例というのが、いまだにPDFで今見た人たち以外の人たちに世代交代されず、簡単に言うとデジタルで蓄積されにくい状況というのがとても気にかかっております。
 というのは、これは数年もすると、こういうデータというのがもっとキーワードや生まれた時期も含めてデータベースのようになっていれば、この3年の少なくとも我々の失敗もいい一時条件になると思うんですけれども、それが、特にこういう政策的なものとアーカイブ機能というのが、正直、PDFではなかなか難しいのではないかというのは、本当に危機意識を持っています。
 ということで、例えば、私であればURAなんですけれども、10年前、15年前からの変遷を考えれば、明らかにそっちの方向じゃないだろうと思うことが、今担当になった人がゼロから学ぶと、そっちに行きかねないというのを本当に感じるところです。
 ぜひ、例えば、今回J-PEAKSは非常に多くの大学からたくさんの注目を得ているので、さっきの資料4の1、2ページでしたけれども、あの項目出し、ページ3、ページ4辺りの概要②、③あたりでも、あれを目次として検索ができるようになれば、次の大学やもし受からなかった大学でも、その部分をすぐ簡単に自大学との対比の中で導入可能なところが出てくるはずで、それは、受かった大学にこの後訪問やヒアリング等の調査でツアーが押し寄せ、受かった大学の時間が消費されるというような事象を生まないためにも、ぜひ、デジタルでこの取組をアーカイブするというところも考えていただければと思う次第です。
 以上です。

【千葉主査】  非常に波及力を考えられた前向きな御提案だと思います。失敗事例も含めて、ここはなかなか今まで十分できてなかったところですよね。よかれと思って皆さんやっているんですけれども、なぜうまくいかなかったかというのは非常に貴重な情報かなというふうに思います。
 それから、あと、学生さんの博士課程の教育の内容、しっかりとPDCAを回すような思考回路が重要だということも、この辺もなかなかまだ日本社会全体では共有されていないですし、支援、支援と言って若手研究者を大事にすることはかなりポジティブに話が出るんですけれども、競争的な環境というところも、これは当然必要だということですね。
 もう少し前に出たスタートアップのところも、10年生存率五十何%、私から見るとかなり高いなと思ったんですけれども、欧米では、もっと早期にこれは駄目だと判断して次に行くほうがいい。ただ、維持させるだけに補助するというのではないというところが重要かもしれないです。この辺り、実態はよく分かりませんが、どういう形にすると本当にいいものを成長させて、ちょっと見込みがないと分かったら次に行くかというような、そういうシステムもすごく大事かなと思いました。ちょっと誤解があるかもしれませんが、そんな印象を持ちました。
 それでは、続いて御意見いただきたいと思います。野口委員、お願いいたします。

【野口委員】  資料4の2ページの研究者が研究に専念する時間を確保する仕組みですが、私どもの大学では、2002年に21世紀COEプログラムが始まったときから、学内役職免除、授業免除、教授会出席免除という研究専念制度を策定して今日に至っているんですけれども、やはり壁にぶつかるのが、代替教員の確保問題というのが非常に大きな問題でもありました。今、バイアウト制度がありますけれども、研究期間との関係や人材市場の観点から、なかなか代替教員を埋めることができないような状況も生じている部分もあります。
 また、私どもも教員のエフォートをどう考えるかという検討委員会を学内で立ち上げました。教育、研究、社会貢献等のエフォートバランスをどう考えるかということで、例えば、ある研究に特化して専念してもらうために、学部研究科から研究機構に移籍をして研究に専念してもらうというような方策も考えてはいるのですが、先ほども少し意見しましたように、とりわけ授業の代替のところをどのように担保していくかというのは、様々な仕組みを検討し、加えて、今のバイアウト制度対応だけではかなり難しい部分があるので、国全体で政策的に考えていく必要があるのではないのかなと思います。
 あと、8ページの研究設備・機器のところですけれども、1つ重要なポイントというのは技術系職員の方々です。処遇も向上もそうなんですけれども、さらに機能強化をして、産学連携のコーディネーターの業務を一部担うような新技術職員像というのを描く必要があるのではないかと思っています。
 それから、機器の共用ですが、例えば民間企業はかなり保有しています。私も民間企業の方々と話をしますと、ある会社でしたら、個別の研究所が機器を購入する場合、本社で機器を管理しているところに確認をして、共用できるものであればこちらの研究所のものを共用してくださいというように、かなりマネジメントの側面であるとか、また機器の保有の観点とか、あと、それをサポートする技術社員も非常に多いので、この部分については民間との連携というのを推し進める必要があるのではないのかなと感じました。
 最後に、9ページの大学群の形成のところですけれども、J-PEAKS採択は12大学で、5年5億で人件費もつきますので、それを計算しますと、年収1,000万の人件費と考えましたら、約600人近い方々が流動するわけですので、地域また中核的な研究の求心力は一方で人の流動性によってそいでも駄目ですので、クロスアポイントメント制度とか様々な手法を検討しながら、各大学が場合によっては人材の融通もしながら、総合的に機能強化をするようなメカニズムも必要ではないのかなと感じた次第です。
 私のほうからは以上です。

【千葉主査】  どうも、大事なポイント、御意見いただいてありがとうございます。
 そうしましたら、大野委員、お願いいたします。

【大野委員】  ありがとうございます。研究時間は極めて重要だと思います。20年前、これはNISTEPのデータだと思いますけれども、FTE、教員が研究に割くことができた時間は50%であった。それが今は30%になっているということで、この20%少なくとも取り戻して、かつ、可能であればそれを増やすようなプラクティスあるいはエコシステムをつくっていくのが、第7期も含めてですけれども、本当は今すぐしたいことかなと思います。
 いずれにせよ、24時間しかない1日の時間のうちどれだけ研究ができるのかということは極めて重要で、そういう環境をつくるというのはこういう委員会の役割だと思います。
 加えて、大学の中を見ていくと、大学全体をマネージする、もちろんシェアードガバナンスなわけですけれども、マネージするチームがそこをいかに意識して、研究時間がどれだけ確保できるのかという施策を選んで実行していくことが重要です。大学の外で言えば、先ほどの議論では、少しチェック項目や指標が多過ぎるんじゃないかというような、もちろん実際にそれをどう運営されるかというようなところがあるので一概に何らかの形では言えませんけれども、J-PEAKSの指標が大き過ぎるような懸念もあるのではないかという話もありましたが、そういった様々な評価、伴走支援も含めて、そこが研究時間を確保する際に十分留意すべきことであると思います。
 教えるということにも教務が必要です。その教務の負荷というのは、私が見るところでは結構大学の中で肥大化していて、使っている時間が多いのではないかと考えています。
 また、2番目に関しては、卓越した研究を推進する人たちをどうやって確保していくのかということで、それは中で育てる、そして外からも確保していくということなんだと思いますけれども、そこにも大学のそれぞれの特色が出るわけで、そうすると、どの分野をどう強化していくのかということは、これも大学のシェアードガバナンスを前提にお話をしていますけれども、大学の個性を決めるマネジメントとなります、これをどうやっていくのかということは極めて重要です。
 もう一つ、最後に3点目。すいません、長くなって。社会との関わり合いで言うと、大学というものを社会が頼りにしてくれる環境をつくって、それをエコシステムとして回していくということが重要だと思います。一方で、大学を安く使うとか大学がへとへとになるような形で使うということは、エコシステムとしてあり得ない形ですので、それをきちんと社会の皆さんに理解していただく。
 ちょっと言い過ぎになるかもしれませんが、各地の自治体の中には必ずしも、大学というものをどう使ってどう一緒にやっていっていいかということがわからずに悩んでおられるところもあって、大学として時間単価を売るような格好でやるんですよねということも多いのですが、我々が創造している価値をきちんと認めていただく必要があります。自治体はなかなか最初からは難しいかもしれませんけれども、民間も加えてそういう価値を認めていただくということが、これからの大学研究力の、社会が求めるところの大学研究力になるわけですので、そういったところを意識してここで議論し、第7期につなげていければと思います。
 すいません。長くなりました。私からは以上です。

【千葉主査】  どうもありがとうございます。全くそのとおりですね。それを具体的な動きにしていくというところが、まさに委員会に求められているところかなと思いますので。ありがとうございます。
 続いて、西村委員、お願いします。

【西村委員】  ありがとうございます。小さいというか、全体的に大きな話になるかもしれないので、私の個人の意見として聞いていただきたいんですけれども。
 私は民間企業スタートアップの社長を経て、大学の教授になって20年ぐらいになって、今、COI-NEXTのPOをしながら全国の大学の研究者の方とかなりディスカッションして、ようやく分かってきたことがあるんですけれども、日本の大学は本当の意味での競争をしているのかなというのがすごく疑問になってきていて。
 研究力と言うんですけれども、本当の意味で世界の中で競争する日本の大学ということを考えてやっているのかなというのがちょっと思っていてですね。既存のものの延長上で何とかしていけば世界に勝てるような感じ、戦えるようなことに見えるんですけれども、私はどうもこれは国内競争で閉じているような気がします。
 5年ぐらい前か、PEAKSを立ち上げるときぐらいのときにいろいろ議論させてもらったときに、序列の中の安心感があるんじゃないですかという話をしたことがあって、何をやったとしても、やっぱり昔に出来上がっている国立大学とか公立大学、私立大学の序列があって、特に国立大学の中の序列というのは、科研費の数字を見ていたらはっきり分かるぐらいの――当然規模もあるんでしょうけれども。運営交付金の。この序列の中で何か安心感を持ちながら、本当の意味のリストラクチャリングができてないのかな。今回の国際卓越とかJ-PEAKSというのは、これを一気に壊す可能性があるんですよね。
 だから、そういう意味でいうと、中途半端に研究大学ということを言わせないような諦めみたいなことも本当は必要で、これは研究者の教員に対してでもそうですよね。研究者だと言っているんだったら、研究者として世界と戦うということでトップレベルのことをやるんだったら研究者としてもいいですけれども、そうじゃなかったら諦めるということもあって、ポジションを変えることも必要でしょうし、場合によっては教育に専念する。別に真理を探求しながら人材育成はできるので、トップレベルの研究じゃなくても人は育てられますと。大学教員としての役割は果たせるんです。そういうところがどうもごちゃ混ぜになりながら、悪平等のような形で大学を運営していくという形が本当にいいのかということですね。
 今回は、本当に戦略的なリストラクチャリングをしながらの集中化を図るという意味で、人材の流動も含めて、本当の意味の研究大学をつくっていくということ、そこに入らなかったグループに関しては、研究は諦めるとは言わないけれども、中途半端なトップレベルの研究の金太郎あめのちっちゃいようなのをやることはやめましょうということをはっきりしたほうがいいような気がします。
 そうやってトップを上げないと、スタートアップのほうにも関わっていますけれども、20年同じことをやっているんですよね。支援、支援、支援とか言って、いい弾が出たら、いい支援をやったらできますよと言っても、本当に弾がありますかということですよね。
 だから、前、料理の話をしたんですけれども、材料なのか、調理方法なのか。本当に材料はあるんですか。いい材料が。これが生み出されてこないということに対しても、世界と戦える材料が生み出されてこないということについても今回しっかり見なきゃいけないと思うので。
 ただ、僕は先生方の能力を否定しているわけじゃないです。発揮できてないと思っているんですよ。トップレベルのサイエンスができる先生はたくさんいらっしゃいます。その人たちが本気で競争しながらプロフェッショナルとして結果を出しているのかということになると、そこは少し日本の中ではまだできていない気がするので、そういう意味の環境整備みたいなことをかなり本気でやったほうがいいのかなというのが私の意見になります。
 以上になります。

【千葉主査】  どうもありがとうございます。大変インパクトのあるまさに一番の本質を突いたところの御意見かと思います。こういうこともどんどん皆さんとともに発出していければと思いますので。ありがとうございます。
 続いて、柳原委員、お願いします。

【柳原委員】  西村先生とかなり近い意見だったので手短に行きますけれども。
 まず、大学の研究力強化についての多様な取組に関しては、すごくよい具体的なアイデアがたくさんあると思います。ですので、各大学あるいは学部が置かれている固有の課題とか、それからポジショニングですね。先ほど先生がおっしゃった世界の中で戦うのか、あるいは、何を武器に使うのかという特徴、それを明示して、やっていくということだと思っているんです。これについては前年度の委員会で私がプレゼンテーションをさせていただいたときも同じことを申し上げました。
 そういうふうに、課題を優先づけしてアイデアを選んで、ある程度時間をかけて組織としてやり切って検証するということに尽きると思っております。それが1つ目です。
 2つ目は、ここも研究者を支援するということがいっぱい出ていて、時間の確保も大事だと思いますし、その策としては、企業のほうではシェアードしていくようなこともやっておりますから、手はあります。いいところ悪いところはありますが。
 とはいえ、前提は研究者個人の情熱とかやりたいことが本当にあるのか。もしあるのであれば、資金や仲間を集める行動力があるのか。そういったものがなくてはならないというふうに思っておりまして、そこがセットでないと、幾ら支援しても駄目だと思っております。
 最後に、最近、若い方々ともコミュニケーションすることが多いんですけれども、情熱のある者同士というのは、結構若い人たちでもう想像を超えてつながっていると認識しています。SNS等を通じて。彼らは世代も超えて、国も超えてつながっています。そうすると、我々は今委員会で議論していることの中身が少し古くないのかなという懸念もあって、この内容、やはり若手とか大学生、高校生あるいはスタートアップやっている方等々の方々に発信してみて、どういうコメントが出てくるかというのはちょっと聞いてみたいなと思いました。
 以上です。

【千葉主査】  どうもありがとうございます。
 続いて、山崎委員、お願いします。

【山崎委員】  こんにちは。山崎です。遅れて来きましたので、前半の議論は全然聞かずに、勝手なことを今から二、三申し上げます。
 1つは、大学の研究力という観点から考えると、当然、質の高い研究者を集積させるということに尽きると思います。もう一つは、何人かの方がおっしゃったように、若手の研究者をしっかり育てるというところが基本中の基本だというふうに思いますけれども。片方では、人口が減りながらこの国の研究力を維持しようとすれば、外国人のレベルの高い研究者をしっかり取り込んでいくということも大事なポイントかなと思えて仕方がないというのが1点目なんです。
 なので、研究の中身は何でもいい、キュリオシティ・ドリブンで好きな研究をやりなさいと本当はそう申し上げたいけれども、私は今、学長が終わって違う立場になってみると、そうでもないんじゃないかなと思えてきて仕方がない。西村さんが言うように僕たちの相手は誰だと考えたときに、やっぱり社会にインパクトを与えられるような、もう少し言うと、イノベーションにつながるような研究を大事にして育てていくべきではないかなと思えて仕方がありません。
 今、私は福島で福島国際研究教育機構という新しい国の研究所を特殊法人でつくるということで奔走しております。一番大事なのは研究者を集める。四、五百人の研究者を集めることを一生懸命、国内から集めるということで、いろいろなことをやらせていただいていますけれども。給料の限界とか水準とかいろいろなたがが外れてしまうと、あれ?と。ちょっと下品な言い方すると、ほっぺを札束でたたくようなことをすれば人が来るかというと、そうでもないので、そこはやっぱり皆さんがやりたい研究をどうやってやれるか、その環境をどうつくるかというところに大事なポイントがあるかなと思います。
 2点目なんですけれども、J-PEAKSについてどんな御発言があったか知らずにこわごわと発言するんですけれども、担当責任者の1人としてちょっと感じていることなんですが、日本の、特に海外と比べたときの国際的な競争力がここまで地に落ちている現状で理想的な研究環境をみんなでつくりましょうという議論をしても、何かむなしい感じが学長を離れてみるとして仕方がないです。
 なので、J-PEAKSPで言う地域中核大学とか特色ある研究大学と言っているあの言葉の意味するところを本当に理解いただいて、地方なら地方の核となる大学が地域をおこす、地域おこしをする。産業を振興するだけではなくて、新しい産業を起こすぐらいの勢いで、研究テーマをしっかりし絞り込んで、一丸になってやってほしいなと、そういう期待が込められていると思います。それでもって日本の再生を図りたいというのが裏方にはあるのかなというふうに理解していますので、そういう意味では、国際卓越はもっと希望、期待が大きいというふうに理解していますけれども。
 そんな観点から、それぞれの大学はどう研究力を、ただ幾つかの村をつくって強くすればいいというレベルではなくて、地域に貢献する、コミュニティーに貢献するとか日本に貢献するというような意味合いで、しっかりとそれぞれのお立場で大学はどう振る舞うべきかをお考えいただけたらありがたい。全く第三者的な言い方で失礼なんですけれども。
 それにしても、予算が少な過ぎますよね。僕は至るところで、国立大学、それから私立大学も一緒ですけれども、予算を3倍増にせよということを最近は一生懸命言って回っています。2倍じゃ足りないという感覚です。お金もくれないで、頑張れ、頑張れ、世界と競争しろと言われても、それは無理じゃないですか。今日も後半だけお聞きすると、研究者の皆様方の研究時間をどうやって確保するかという、それは職員を増やすしか僕はないと思うんですよね。何だかんだ言っても、やるべきことがいっぱいあり過ぎるんだから。最終的には、教員よりも職員の多い大学をどうやってつくっていくかというところに最後は行き着くんじゃないかなと思っています。
 長々とすみません。以上です。

【千葉主査】  山崎委員、J-PEAKSを牽引されるお立場からの非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 時間があまりなくなってきましたので、今手が挙がっている梶原委員と小林委員から御意見をいただいて、一区切りつけさせていただきたいと思います。それでは、梶原委員、お願いします。

【梶原主査代理】  ありがとうございます。コメントするのを逡巡しましたが、少し西村委員に触発されコメントします。
 参考資料のところで、共用化の進捗が遅れている阻害要因の1つに、「経営層の意識改革が不十分」が、過半を占めているグラフがあります。意識改革ということに対してどうするか。施策を幾ら打ったところで、対応すべき人の意識がそこに及んでいないと手が打てない、効果がないということになります。ここの手だてが、さてどうするかというのが非常に難しい。
 皆さんの御発言を伺っていると、大学群という形とかネットワークを作ることで、経営層の方々の意識改革が進むということであれば良いですが、その辺は、私は民間出身としては非常に危惧します。経営層の意識改革。そこはぜひ大学の皆様は意識改革を進めて、大学のマネジメントの改革を進めていただきたいと思います。
 すみません。勝手を申し上げました。申し訳ございません。

【千葉主査】  ありがとうございます。これも国際卓越とそれから地域中核両方に投げかけられているキーワード、一番重要なところでもありますので、改めてそこの重要性を今御意見としていただけたと思います。
 それでは、最後になりますけれども、小林委員、お願いいたします。

【小林委員】  山崎先生がおっしゃられたことで触発されたんですけれども、研究者というのは言葉には出されないんですが、やはり給与というのはかなり大きなインパクトがありまして、恒産なくして恒心なしで、日本の研究者、教員の給与というのは海外に比べると半分ぐらいだというデータもありまして、円安の影響もあるのですけれども、海外から研究者を呼ぶに当たっても、給与格差というのはかなり深刻な問題がありますし、いろいろなところから実際研究する研究者、若い人たちを集めるのにも、給与というのは大きな問題があるので、何とか給与を上げる方策はないかということなのです。
 私立大学は御存じのように学費ぐらいしかなくて、経常費補助金が増えてくれない以上は難しい。病院を持っていても、病院も(診療報酬は)公定価格なので増やすわけにもいかないので、研究者の生活をしっかりと安心してできるような給与というものも出すような、例えば研究費の中から出すとかそういう仕組みを取っていただければと思います。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。これはまさに経営者目線からの非常に重要なメッセージでもあるかと思います。これから大学経営に関わる者は、そういう観点も含めて戦略的な経営をしなければいけない。ただ、その一方で、絶対的に資金が足りない構造になっているということも事実で、この辺りは大学の関係者だけではなくて、社会との共有もしていく必要があるという、そういう問題提起かなというふうに思いました。
 今日、限られた時間の中で本当に貴重な御意見をたくさんいただきまして、私自身も本当に勉強になりまして、またさらにいろいろ考えてやっていかなきゃいけないと、これは私だけではなく皆さんもそういうふうに思われたかと思います。ぜひ、今日は文科省の方々も皆さん共有できたと思いますので、非常に貴重な機会になったかと思います。
 それでは、最後に、事務局からお願いいたします。小川室長、よろしくお願いします。

【小川室長】  本日、お時間の関係で御発言できなかったことがあるなどございましたら、事務局までまたメールなど御連絡をお願いできれば幸いでございます。
 また、本日の議事録につきましては、運営要領に基づきまして公表いたします。事務局にて議事録案を作成の上、委員の皆様に確認をさせていただきますので、御承知おきいただければと思います。
 また、先ほど助川室長のほうからお話がありましたけれども、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた学術分科会の議論も控えております。本日御議論いただいた点、御意見いただいた点につきましては、また取りまとめまして、私のほうから学術分科会にて御報告させていただこうかと考えておりますので、御承知おきいただければと思います。
 次回の大学研究力強化委員会につきましては、追って開催日を調整させていただきます。
 事務局からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【千葉主査】  それでは、皆様、長時間にわたり、ありがとうございました。これで第15回の大学研究力強化委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局大学研究基盤整備課大学研究力強化室

電話番号:03-5253-4111(内線:3838)

(研究振興局大学研究基盤整備課大学研究力強化室)