科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会(第13回)議事録

1.日時

令和5年9月28日(木曜日)14時00分~15時30分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 大学研究力強化に向けた取組
  2. その他

4.出席者

委員

(主査)千葉一裕委員
(委員)相原道子委員、荒金久美委員、大野英男委員、小野悠委員、梶原ゆみ子委員、片田江舞子委員、木部暢子委員、小林弘祐委員、新福洋子委員、高橋真木子委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員、柳原直人委員、山崎光悦委員、吉田和弘委員

文部科学省

(事務局) 増子文部科学審議官、塩見研究振興局長、西條大臣官房審議官(高等教育局及び研究振興政策連携担当)、奥野大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、伊藤文部科学戦略官、井上国立大学法人支援課長、梅原専門教育課長、廣野産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長、小川大学研究力強化室長 他

科学技術・学術政策研究所

大山科学技術・学術政策研究所長

 

5.議事録

【小川室長】  それでは、ただいまより、科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会を開催したいと思います。
 本日は、御多忙の中、御参加いただきまして、ありがとうございます。
 会議の冒頭は、事務局が進行させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日は、オンラインでの開催となっております。音声などに不都合がある場合は、随時、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 最初に、オンライン会議を円滑に行う観点から、事務局より何点かお願いがございます。発言時以外はマイクをミュートにしていただく、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただく、またはカメラに映りやすいように手を挙げていただく、資料を参照する際は、資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただく、などの御配慮をお願いできれば幸いでございます。
 なお、本委員会は原則として公開で行うこととしております。本日は、事前に登録いただいた方に動画を配信しておりますので、御承知おきいただければ幸いでございます。
 また、本日の委員の出欠状況につきましては、藤井委員のみが欠席となってございます。文部科学省からは、塩見研究振興局長のほか、関係局課の職員が出席しております。
 続きまして、配付資料の確認でございます。議事次第を御確認いただければ幸いでございます。本日は、議事次第に記載のとおり、資料を配付しております。資料1から資料6及び参考資料1から参考資料3となっておりますので、御確認をお願いできれば幸いでございます。説明の際には、画面表示をさせていただく予定でございますけれども、必要に応じて事前に送付したPDF資料も御参考いただければ幸いでございます。
 それでは、今後の議事につきましては、千葉主査に進行をお願いさせていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

【千葉主査】  主査の千葉でございます。よろしくお願いいたします。
 これから、まず、幾つかの事業の進行状況等を御説明いただきますが、冒頭申し上げますけども、これは、公募説明会のようなものではなくて、有識者の先生方に、現在の状況を報告いただいた上で、その取組を踏まえて、もっとよくするためにはどういうことをしたらいいかとか、あるいは、非常に貴重な国のお金が投入されているわけですので、まさに大学がこれからそれを受けて非常に大きなチャンスをもらって、どれだけのことができるかということが一番問われる、そういう状況になっているというふうに認識しております。そういう意味で、ぜひとも、その機会の活用を最大限するという観点から、様々な御意見を、忌憚のない御意見をいただければというふうに思っておりますので、ぜひ、そういうことで今日の会議を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、議題(1)では、事務局より、大学の研究力強化に向けた具体的な取組についてということで、現在の政策全体の方向性や関連事業の進捗について御説明した後、質疑の時間を設けます。質疑の時間は、時間に限りもありますので、場合によっては全てお受けできないこともありますけども、そのときはチャット等で御発言いただければ、記録に残すような形にしたいと思います。
 それでは、まず、事務局より、大学の研究力強化に向けた取組の全体像を改めて御確認いただいた上で、国際卓越研究大学の審査状況、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の公募・選定状況、共同利用・共同研究システム形成事業「学際領域展開ハブ形成プログラム」の選定結果、この3点について御説明をお願いいたします。
 それでは、小川室長、お願いいたします。

【小川室長】  よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1に基づきまして、大学研究力強化に向けた取組について、これまでの政策の方向性ですとか、あと、これまでの大学研究力強化委員会における議論などにつきまして、全体像につきまして御説明させていただければと思います。
 1ページ目でございます。こちらは、2回前の大学研究力強化委員会でお示しさせていただいた資料でございます。大学研究力強化委員会における主な検討事項ということで、1、2、3、4、5と示させていただいております。こちら、黄色い部分、1、2、3につきましては、これまでの施策の振り返りとしまして、例えば、2019年4月に永岡副大臣タスクフォースで策定した「研究力向上改革2019」を発展させまして、研究人材・資金・環境の一体改革、こういったものを提言いただいたところです。また、その後、CSTIにおきまして「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」を策定していただいたところ。また、2でございますけれども、そういった取組を踏まえまして、例えば、大学ファンドを通じた国際卓越研究大学への支援、さらには、地域中核・特色ある研究大学への支援強化。さらに、3でございますけれども、博士支援の拡充なども行ってきたところでございます。一方で、研究人材ですとか資金の取組は加速したものの、日本学術会議からも示されているように、大学における研究環境に係る様々な課題にまだ十分に取り組めてはいないのではないか。例えば、4、5でございますけれども、昨年2月に「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」の改定に際して示された羅針盤を踏まえ、各大学がそれぞれのビジョンの下、適切な研究マネジメント体制を構築し、研究環境を持続的に向上できるような、必要な仕組みなどを検討する必要があるのではないのか。また、本日、施策の進捗状況につきまして御報告させていただきますが、例えば、振興パッケージですとか大学ファンドを連携させまして、複数組織の間の連携を促進して、人材の流動性が高いダイナミクスのある研究大学群を構築するなど、あるべき姿に向けて、必要な取組について議論をしてはどうか。こういったものを示させていただいたところでございます。
 2ページ目でございます。こちらは、前回の会議で示させていただいたところでございます。前回の会議につきましては、例えば、NISTEPの定点調査2022ですとか、日本学術会議若手アカデミーの提言等も踏まえまして、適切な研究マネジメント体制の構築や研究環境の持続的向上に向けた課題や方策等を議論いただいたところです。
 3ページ目でございます。こちらは、前回いただいた議論の主なものを幾つかピックアップしたものでございます。全部は御紹介し切れませんけれども、例えば、前回、野口委員ですとか片田江委員からは、博士課程のキャリアパス関係の御意見もいただいております。上から二つでございますけど、博士課程学生のキャリアパスは一つのポイントであるということ。また、公募事業の設定の際にも、特に私立大学には文系の博士課程所属者も多いことから、そういったことを意識した観点も必要だということ。さらに、博士課程ということを、単にアカデミアポジションのための選択肢ではなく、産業界も含めまして様々なキャリアのチャンスを得ることにつながるということを発信することが重要であるということ。例えば、大野先生からは、四つ目のチェックでございますけれども、研究者が研究する時間というのは最初から確保されている必要がある。研究エフォートを確保すること、研究者は研究がジョブであることを体制で示していくことが重要であるということ。こういった意見をいただいております。また、相原先生とか吉田先生からは、行き過ぎた選択と集中で多様性を損なわないようにすること。さらには、例えば、那須先生ですとか藤井先生からは、大学共同利用機関の連携、さらに、共同利用・共同研究の制度及び共同利用機関法人との関係で、日本全体としての研究力をどのように上げていくか、議論をしておくべきではないかということ。さらに、山崎先生からは、その下でございますけれども、日本の研究力強化、地域産業の創生という意味では、地域中核大学と都道府県間の密接な関係が生じるような施策や仕掛けが必要となるのではないかということ。こういった御指摘をいただいていたところでございます。
 4ページ目でございます。こういった意見も受けながら、今示させていただいているものにつきましては、施策の全体的な構成のポンチ絵になってございます。日本全体の大学の国際競争力を高める上では、総合振興パッケージと大学ファンドを連携させて、個々の大学の持つ強みを引き上げるとともに、複数組織の間の連携を促進し、ダイナミクスのある研究大学群を構築することが必要としております。例えば、下の部分のカラムでございますけれども、右側、国際卓越研究大学の審査の取組につきまして今回御報告させていただきますし、地域中核・特色ある研究大学につきましても、進捗しているところでございます。一方で、こうした大学ごとの取組だけではなくて、横連携といいますか、大学共同利用機関であったり、また、国際卓越研究大学がハブとなり研究大学群を牽引していくとか、こういった取組が重要であるということでございます。
 6ページ目でございます。こちらは、直近の、いわゆる「骨太の方針2023」でございます。こうした取組につきましては、文部科学省のみならず、政府全体として一つの大きな課題として認識しているところでございまして、例えば、こちらに記載ありますけれども、多様で厚みのある研究大学群を形成、国際卓越研究大学の選定ですとか、必要な規制改革、さらには、地域中核・特色ある研究大学の多様なミッションの実現に向けた抜本的な強化及び博士を志す環境の実現、こういったことが挙げられておりますので、文部科学省としても、こうした政府の方針に従いまして、引き続き、先生方の意見も受けながら、施策を遂行していきたいと考えているところでございます。
 資料1としては、以上でございます。
 よろしければ、資料2に基づきまして、国際卓越研究大学の審査状況について、御説明させていただければと思います。

【千葉主査】  お願いします。

【小川室長】  ありがとうございます。
 それでは、資料2でございます。1ページ目、こちらは、本委員会におきましても国際卓越研究大学の制度自体については幾度も御議論いただいたところでございますので、簡単に触れさせていただきつつ、審査の状況を中心に御説明させていただければと思います。こちらは国際卓越研究大学の将来像のイメージということで、大学ファンドによる支援を通じて、日本の大学が目指す将来の姿を示しているところでございます。
 2ページ目でございます。これまで認定・認可ということで審査を進めてきているところでございます。少し振り返りになりますけれども、令和4年11月に、関連の法、政令・省令が施行されるとともに、基本方針を策定したというところ。さらに、昨年12月に公募を開始するとともに、昨年度末、応募の締切を行ったというところでございます。後ほど御説明いたしますけれども、10件の提案があったところでございます。この夏から秋にかけまして、大学認定・計画認可に関する審査を進めてきたところでございます。
 3ページ目でございます。国際卓越研究大学の公募・選定ということで、公募・選定のポイントでございますけれども、こちら、これまでの実績や蓄積のみで判断するのではなく、変革への意思(ビジョン)とコミットメントの提示に基づいて実施するということ。要件としましては、研究力、事業・財務戦略、ガバナンス体制。さらに、審査体制としては、国際的な視野から、外国人の有識者も加えた適切な体制を構築する。こういった形で進めてきたところでございます。
 4ページ目でございます。こちらは審査体制について示した図でございます。国際卓越研究大学法に基づきまして、認定・認可に当たりましては、総合科学技術・イノベーション会議及び文部科学省における科学技術・学術審議会の意見を聴くということとされておりますので、今回、有識者会議、アドバイザリーボードのほうにもそれぞれ、CSTIの議員の先生方、また、本大学研究力強化委員会の委員の先生方に御参画いただいているところでございます。
 具体的には、次のページでございます。本委員会でございますと、梶原先生ですとか山崎先生に御協力いただいているところでございますし、CSTIの議員の先生であれば、上山先生を中心として、御議論いただいたところでございます。また、海外の議員の先生としては、タン先生、ジョン先生と、シンガポール国立大学の前学長と元副学長の先生方に御参画いただいております。
 6ページ目でございます。こちらは審査のまとめになります。申請のあった10大学につきまして、面接審査を実施。また、アドバイザリーボードの議論を受けまして、3大学(東京大学、京都大学、東北大学)の現地視察を実施。さらに、これまでに12回の会合を開催しまして、2ポツでございますけれども、有識者会議の結論としまして、初回の国際卓越研究大学の認定候補としまして、一定の条件を付して東北大学を選定したところでございます。今後、東北大学におきましては、体制強化計画の磨き上げですとか、合議体の設置等のガバナンス変更準備を行っていただくとともに、大学認定・計画認可に向けた取組を進めていただくことになりますし、アドバイザリーボードで継続的に確認を行ってまいります。
 また、第2期の公募でございますけれども、こちらは大学ファンドの運営状況等を勘案しということではございますが、令和6年度中に開始を予定ということでアナウンスさせていただいているところでございます。
 永岡大臣からも、9月1日にそうした中身につきまして御説明させていただいたところでございます。
 次のページは、10大学からの概要につきまして御参考までつけさせていただいておりますが、時間の関係もありますので、この場では割愛させていただければ幸いです。
 9ページ目以降につきまして、井上課長のほうから御説明いただいてもよろしいでしょうか。

【井上課長】  ありがとうございます。7月27日付で国立大学法人支援課長に着任しております、井上と申します。それまでは地域の関係で先生方にも大変お世話になりましたが、引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 国際卓越研究大学につきましては、かねてよりの議論でガバナンスの強化というところが言われておりまして、そこで、特に法律で対応すべき事項が残っております国立大学法人につきましては、その必要な法改正の具体の検討を進めているという状況でございます。資料の1ポツにございますけれども、法律に書く事項は基本的な事柄でございますので、そちらの内容と、あと、今後進んでいく国際卓越研究大学の認定等に係る審査というところで、両方のものでカバーしていくということで立てつけを考えております。
 また、二つ目の白い丸でございますけれども、国立大学法人法の改正案で考えております合議体というものにつきましては、これまでの、CSTIですとか、また、先生方、そしてガバナンス関係の有識者会議等で議論されたことを踏まえまして、大きな運営方針というものを決めていただくような機能を持たせるということにしております。具体的には、国大法の改定でいきますと、中目・中期の作成等を決めていただくということ。また、その決議に基づいて大きな方針の下でしっかり運営がされているかということを監督いただくこと。また、学長選考の基準など、学長選考に関する事項について学長選考・監察会議に意見を述べることができる機能を持たすといったことを書く予定でございます。ここは、日々の執行について見るということではなくて、大きな運営方針ということでございますので、執行している既存の、学長、役員会、研究評議会等々は現存のままで活動していただくということになります。
 また、この合議体でございますけれども、いろんな財源ですとか、いろんな人材とか、そういったものを外から広く大学に御参加いただいて成長していこうということがコンセプトだったということを踏まえまして、一定の水準の規模を有する法人は必ず設置をしていただくということ。一方で、そこまでの規模感はないけれども、こういう形をとってやっていきたいというところは、形をとっていただけるように選択制ということで制度に柔軟性を持たせたいというふうに思ってございます。また、合議体の構成と委員につきましては、非常に基本的なところだけ法律には書こうということで議論をしておりまして、合議体の委員につきましては、学長選考・監察会議等の協議を経て、任命は学長がしていただく。そのプロセスの中で文科大臣の承認というのを経ていただくという形で考えております。また、人数につきましても、最低限の人数と、プラス学長に入っていただくということで考えております。
 いろんな大学からの御要望がございました規制改革につきましても法律等で手当てをすることが必要な事柄がありますので、この機会にさせていただきたいと思っております。一つ目ですけれども、全ての国立大学法人に対しまして、長借ですとか債券発行の要件を、ハード面のみならず、プロジェクトのイニシャルコストなど、そういったところにも対象を広げるというのが1点目。また、土地貸付等、資産の活用をやっていただいておりますけれども、これも、複数案件ある場合には、まとめて計画をつくって認可いただければ、そこに書いてある個別の貸付は届出で結構ですということで、手続を簡単にしたいと思っております。
 最後のところでございますけれども、1で御説明申し上げたような合議体を設置する国立大学法人につきましては、いろんな財源ですとか、人物ですとか、様々なものを取り込んでやっていくということだと思いますので、そういったガバナンスをとっていただいているところは、大学がこれから独自の基金をしっかりつくっていきたいというところを進めていただくことをやりやすくするために、期をまたぐときの繰越協議を適用除外として、大学が自律的に財務の運用をしていただけるという形の規制緩和を考えております。
 10ページのところは、今申し上げたようなところを現行と比較しているところですので、説明は割愛をさせていただきます。
 最後に、スケジュールを入れておりますけれども、11ページ目のところでございますが、今、右から二つ目の縦の列は令和5年度ということになっておりますけれども、過日、候補大学の選定を終えて、ここに必要となってくるガバナンス改革のところをしっかり進めつつ、今後、認定に向けてしっかりガバナンスのほうも整えてまいりたいと思います。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、続けて、資料3の御説明をお願いできますか。

【廣野室長】  よろしくお願いいたします。資料3に沿いまして、説明させていただきます。地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の状況についてでございます。
 地域中核・特色ある研究大学の振興策といたしまして、令和4年度補正予算で造成されました基金を活用いたしまして強化促進事業を進めており、今まさに、公募を行って、審査を行っている途上でございます。
 既に提出は締切をしておりまして、国公私合わせまして69大学から申請がございました。今、その申請を基に審査をしているところでございまして、12月下旬には採択大学の決定を行いたいというスケジュール感で、今、審査を進めているところでございます。
 審査に当たりまして、評価の項目として、大きく三つ観点を設けてございます。まず、10年後の大学のビジョンというものを設定いただきまして、そこに至るまでのプロセス、また、どういう体制、どういう人を獲得するのか、そういった戦略を申請において示していただく。それにつきまして、実現可能性や、優位性、発展性、そういったものを観点として見ていくということがございます。2点目といたしまして、基金におきましては、5年間の支援ということで設計してございます。5年間において具体的にどのような取組を進めていくのか。3点目、資金計画についても、5年間でどのように展開していくのか。そういった計画に対しまして、有効性や妥当性といったものを見てまいります。そういった3点について総合的に評価をしていくということで、今、進んでいるところでございます。
 続いての資料以降は、申請のございました69大学を、概要とともに一覧に整理をさせていただいてございます。参考で御覧いただければと思います。
 状況について、報告は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【千葉主査】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、資料4ですね。小川室長から、御説明をお願いします。

【小川室長】  よろしくお願いいたします。資料4でございます。
 共同利用・共同研究システム形成事業におけます新たなプログラムの採択状況につきまして、御説明させていただきます。
 冒頭申し上げましたとおり、前回の委員会におきましても、先生方から、大学共同利用機関ですとか、また、共同利用・共同研究の制度との関係で日本全体の研究力をどのように上げていくのかと、こういった議論をいただいているところでございます。
 その中で、例えば、全国の国公私大学等に広く点在するポテンシャルを当然引き出していく必要が今後あるのですけれども、大学単位の成長や競争が重視される中、大学の枠にとどまらない研究組織の連携、こういったところをしっかり進めていく必要があるかと考えております。その中で、我が国におきましては、個々の大学の枠を超えて、大型かつ最先端の研究設備ですとか、学術資料・データ等を全国の研究者が共同利用・共同研究する仕組みが整備され、学術研究の発展に大きく貢献されているということでございます。具体的には、例えば、大学共同利用機関ですとか共同利用・共同研究拠点、こういったところが各コミュニティのハブとなりまして、大学の枠組みを超えた連携を進めているところでございます。一方で、今後、こういった機関につきましても、「新しい機能」と記載がございますけれども、さらに異分野の研究機関と連携し、より多くの研究者に機会を提供する、分野を超えたネットワークを形成と、こういった取組が求められているということで、令和5年度より、赤枠で囲んでございますけれども、学際領域展開ハブ形成プログラムというメニューをこちらの事業に追加しているところでございます。具体的には、大学共同利用機関や国公私立の共同利用・共同研究拠点等がハブになって行う、異分野研究、学際共同研究、こういったものを通じた組織・分野を超えた研究ネットワークの構築・強化・拡大を推進するといった趣旨でございます。
 2ページ目でございます。こちらはR5年度から新たに追加されたメニューでございまして、具体的には、三つ目の四角でございますけれども、令和5年度の予算額としては4億円(新設)ということでございます。事業趣旨につきましては先ほど申し上げたところでございますけれども、採択予定件数は4件から8件程度ということで、今年度に入りまして、公募、審査、採択を行ってきたところでございます。こちらも非常に、ニーズといいますか、多くの御提案をいただきまして、48件の申請をいただいたところ。また、9月14日には審査を通じまして採択件数8件ということで、次のページでございますけれども、採択を行ったところでございます。若干、文字が小さくて大変恐縮なんですけれども、例えば、申請機関ということで、1であれば東北大学の金研ですとか、2であれば筑波大の計算センター、3であれば東大の物性研、こういったコミュニティのハブとなるような機関が、その右隣でございますけれども、参画機関、こういった大学の枠を超えた連携を行って、提案いただいている。さらに、これまでの分野に閉じず、学際領域、新たな領域を展開していくような御提案をいただいているところで、こちらは最長で10年間ということで、今後、取組を進めていくところでございます。
 私のほうからは、以上でございます。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、ただいま事務局から、かなりの情報量、まとめて御説明いただきましたけども、全般として大学研究力強化に向けた取組というところでの概要と具体的なお話だったと思いますが、御質問、御意見等、これからお受けしたいと思いますけども、いかがでしょうか。挙手ボタンを押していただけましたら幸いです。
 野口先生、どうぞ。

【野口委員】  御説明、どうもありがとうございました。とりわけ廣野室長のほうから御説明いただきました資料3の地域中核・特色ある研究大学強化促進事業、こちらは69大学の申請があったということで、非常に裾野も広がった部分もあると思います。一方で、1ページのところに記載があります「単価・件数」の箇所の「5億円程度/年・件×最大25件程度」を、例えば、これは全て人件費ということで考えますと、極端な話ですが、1大学が1,000万クラスの研究者を50名任用できるということになります。それが25大学とすると、1,250名の人材が流動することになります。このことは大学の研究者が約20万名とすると、約6%ということになり、かなり流動規模は大きいと思っております。また別途、設備整備費(30億円程度/件)も、25件として750億となり、グロスで見ればかなりの規模間ある機器設置となります。このことも、ザクっと約1,000件ぐらいの新規の機器等々が設置されると考えます。何を言いたいかといいますと、地域中核研究大学群の構成でもありますので、人材でしたら連携、機器でしたら、先ほど共同利用・共同研究システム形成事業「学際領域展開ハブ形成プログラム」の話もありましたが、共用というのがこの事業では重要なキーワードになると思います。ですので、採択後さらに採択された地域中核研究大学を中心に、周辺大学や研究親和性が高い大学などとの「人材連携」や「設備共用」が積極的に展開できる機能をより発揮させるようなメカニズムを考えていくのが必要ではないのかなと思います。ぜひ、そのような考え方を含めた施策も進めて頂ければと思いました。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。これは、文科省内の運用もありますけど、大学側としても、そこはいろいろなアイデアを出していかなきゃいけないというようなことですかね。そこが、今、大学にも問われているところかなというふうに思いますので、ぜひ、御参加の皆さんもお考えいただければと思います。
 続いて、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】  一連の御説明、ありがとうございました。全体に関連して、コメントをさしあげたいと思います。問題意識は、こちらにいらっしゃる委員や、これを傍聴なさっている、これらの一連の大きな施策にある程度理解がある方たちではなくて、大学を構成する重要な一般の教員や事務職員の方たちにどういうふうにこの事業群をちゃんと理解いただくかというところです。
 というのは、私、先日、大学改革には興味を持っているけれど、一大学教員として、これらの事業や政策から少し距離がある方たち、複数の大学の教員の方たちにこれらの事業の御説明をするような立場を経験いたしました。その経験からなんですけれども、使う側の現場の研究者の方たち、事務職員の方たちが理解していなければ、その成果のインパクトというのを最大限収穫することはできないと思います。あいにくまだまだ、新しい取組であることですとか、10兆円という数字の大きさですとか、選択と集中という言葉で先ほど事務局はおっしゃいましたが、それに対する過度の懸念ということを肌身で感じた次第です。十二分に、このような紙レベルで、もしくは政策サイドの方たちが事業説明会などではその趣旨をきちんと御説明いただいているとは思うのですけれども、もう一歩踏み込んだ、もしくはもう少し裾野を広げた説明というのが、もちろんここにいらっしゃるような大学執行部の方たちの御努力もあると思うのですが、政策サイドの方たちももう一歩踏み出してやるべきではないかというふうに思った次第です。特に、とても地味に重要な、井上課長が御説明いただいた資料2の9ページの規制緩和ですとかガバナンスに関するところというのは、大学の自治に対する懸念のようなものをとても強く感じたところです。要は、これらが政府等からの過度のコントロールというふうに受け取られるということがあってはならないので、最終的に全員がパーフェクトにポジティブに理解することはないかとは思いますけれども、ぜひ、締めつけるのではなく、伴走支援であるということを重ねて重ねて言っていく必要があるのではないかと思いまして、一言申し上げます。
 以上です。

【千葉主査】  大変重要な観点からの御指摘、ありがとうございました。私自身もそのことを日々感じておりますし、大学の多くが理解してこそ、初めて本当の動きになるなというふうに思っております。特に、ガバナンスのところですね。大学は設立の歴史からそういうものは自分たちでやることが一番大事だという価値観を持ってきているという背景、これも、今、ここに御参加の皆さんや文科省は重々御承知のとおりなんですけども、それをどう動かしていくというところは、もちろん文科省からの説明というのもあるのですが、やはり大学の中で適切な形で浸透させていくということを考えていかないといけないなと思っています。後段のほうでもいろいろな先生方から御意見をいただけるかと思いますが、それも含めまして、お願いします。
 では、那須委員、どうぞ。

【那須委員】  ありがとうございます。私は、学長という立場から、別の観点から、この会でいろいろ勉強させていただいて、研究力強化のための基になる人材の育成ということで、最近、学部教育が、Target2025、教学マネジメントということで、いわゆる探究学習を経た高校生がこれから大学に入ってきて、その学生たちが今後の研究力強化の担い手になるわけですが、そういった学生を教えるために、今、大学の中は非常に教育改革を進めていますが、それはまだ学部までで、大学院の教育まではもう少しでして、新しい学生さんが入ってくるための教学マネジメントとか、教育の可視化とか。今はどうしても、研究室の担い手とか、論文を書くための博士課程の学生ということになりがちなんですけど、本当に探究学習を学んだ学生たちが入ってきたときに、それでは大学院そのものがそっぽを向かれるのではないかという危機感を私たちは持っていまして、学生が変わってくるのだから大学の教員も変わらないといけないということです。今後、この議論の中で、教員のマインドセットということですが、なかなかそれは変わらないということですけど、私たちの中では、博士課程にたくさん進んでくる、今日の資料1の3ページのところにも多くのキャリアパスということがありましたが、大学院にたくさん入ってくれば、当然、将来、研究者として成長していく学生さんも増えるだろうと、そういったことを教員たちにきっちり説明してマインドセットをして、我が国の博士課程の学生をしっかり我々で育て上げていくんだ、決して労働力ではないと、そういうマインドセットが必要で、学部から大学院に向けたシームレスな教育改革が必要であるというふうに、私、4月から学長になって、研究担当理事から教学もやっておりますので、そういうことを感じております。意見でございます。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。研究力というと、ついイメージとしては現場の研究そのものだけに目が行きがちですけども、実は、大学というのは本質的には教育機関であって、そこから研究をしっかりと支えていく動きにつなげる、そういう大きな流れをつくれるのも大学だろうという御意見だと思います。本当に大事な観点を御指摘いただいて、ありがとうございます。
 では、吉田委員、お願いします。

【吉田委員】  ありがとうございます。私も、人材育成ということで、博士課程について、三つほどコメントさせていただきます。
 資料1の2ページのところで、「骨太の方針2023」で博士課程学生の処遇向上というところを取り上げていただいていますし、文科省からも221億の要望が出ていると。これは非常にありがたく感じているところになります。その中で、各大学というのは、今、国際化というキーワードの下で、ダブルディグリーであるとかジョイントディグリー、こういうことの活性化を進めているわけですけれども、学生の目線で見ますと、海外に負けないレベルの経済的あるいは住居、こういうものを含む環境的な支援がないと。逆に、これがあるとさらにこの応募が増えていって活性化するのではないかというふうに思っております。したがいまして、国際化、ジョイントディグリーを含めた強化、こういう観点からも少し着目をしていただきたいのが1点。
 それから、もう1点は、海外の大学とのやり取りの中では、海外の大学というのは日本と比べると生徒数も1桁多いわけです。そうしますと、日本と対等にやっていくためには、日本の大学同士がある意味クラスターを組んで連携強化していく、こういうような取組にも、支援のメニュー整備、あるいは機運の向上、こういうものがあればありがたいなあというのが2点目でございます。
 3点目は、私、以前から申し上げているのですけれども、医学系の学生あるいは医師について、現在、地域医療、あるいは専門医制度、さらには働き方改革という中で、要するに博士課程に行く人が極めて少なくなっております。これは我が国のライフサイエンス領域における研究力の強化にとっては極めて重要な案件でありますので、ぜひ、どこかで取り上げていただく、あるいは話題にしていただくように、お願いできればと思います。
 以上になります。

【千葉主査】  大変重要な観点、3点、整理して御指摘いただきました。本当にありがとうございます。
 小林委員、お願いいたします。

【小林委員】  ありがとうございます。医学系に関しましては、吉田委員が私の前にほとんどしゃべっていただきましたので、同じ意見でございます。
 私の意見はあと2点ほどありまして、資料2の10ページ目(右下の番号で9ページ)に国際卓越研究大学の設定に向けたガバナンス改革と規制改革というのがあるのですけど、ガバナンス改革は国立大学の中でやるガバナンス改革だと思いますが、私立大学でこれをやるとするとどうなのかというのは、今はしないほうが、私立大学法が変わる直前ですので、合議体というのをここに入れ込むのは、私立大学でどうしてやるのか、ちょっと心配なところと、それから、規制改革というのは、国際卓越研究大学と関係なく、国立大学での規制改革というふうにも読めるわけですけど、これはちょっと、国際卓越研究大学とどれだけリンクしているのか、よく分からないのですね。つまり、国立大学でこういうふうな規制改革をどんどんやっていただくのは必要なのかもしれませんけど、結局、だんだん私立大学の枠組みとほとんど変わらなくなってくる。寄付金に対する規制改革も税制改定要求では国立大学協会から出されているようなのですけども、私立大学では自分たちでリスクを持ちながらやっているようなものを国立大学がそれを規制改革でやっていくということは、国としていいことなのかどうなのか。リスクがないとは言えないかもしれない規制改革を、国立大学がやっていいのかというのは、ちょっと疑問に感じた次第です。
 あと、資料4の3ページになりますかね? これ、採択された大学の中を見てみますと、ほとんど国立大学だけなのですね。採択された大学は国立大学で、参画機関も、ほとんど国立の大学か、公立もありますけども、あとは国立の機関ですね。唯一、金沢大学の慶応義塾大学があるぐらいで、どうしてもこういうのを応募すると国立大学が中心になってしまって、私立大学はなかなか入り込めないというのはちょっと気になるので、枠も少し広げてダイバーシティーを確保していただければありがたいと思います。
 以上です。

【千葉主査】  小林委員、ありがとうございます。私立大学の状況というのも含めて、日本全体の活性化というのをしっかり考えるべきだという御意見だと思います。ありがとうございます。
 それでは……。

【井上課長】  座長、すみません。

【千葉主査】  どうぞ。文科省から、お願いします。

【井上課長】  国立大学法人支援課の井上です。今、小林先生から若干質問もいただいていたのですが、どうしましょう。今、お答えするか、後でまとめて……。

【千葉主査】  今、簡単にお答えできる部分は、お願いできればと思います。

【井上課長】  じゃ、手短に。ありがとうございます。
 国立の規制改革の部分、資料で申しますと、資料2の9ページのところかと思います。規制改革で国際卓越の関係が分からないという御指摘をいただいたところで、すみませんでした。クリアじゃなかったかしれない。まず、規制改革と書いてあるところは、端を発したのは国際卓越のところでいろいろ御意見もいただいたわけでございますけれども、そこからいろいろ検討を深めまして、規制改革の部分、長借等については、規制緩和は全ての法人にさせていただくということ。また、土地貸付も同じでございます。次の基金の繰越の適用除外という部分は、合議体を設置する国立大学法人ということで、少し申し上げました、一定の水準の規模を有する法人ということは必ずやっていただくことで考えていますけれども、そういった形を取りたいということが選択制でできるようにということで考えている次第です。よって、国際卓越研究大学に出されていたところなどを拝見しますと、かなり大きな規模の大学が多かったので、実質、恐らく重なってくると思いますし、国際卓越研究大学の認定に向けてはこのガバナンスを備えているというのが要件になりますが、制度としては、国大法の立てつけでその他の法人等にも選んでいただける、また、規制改革は広く使っていただけるということでつくっております。
 また、私立と国立の役割というか、前提につきまして、非常に深い御指摘、ありがとうございます。ちょうど中教審のほうで大学についての今後のグランドデザイン的なところを深掘りする議論を始めさせていただいているところですけれども、そういった場でも様々な御意見をいただきながらというふうに思っております。
 取り急ぎ、以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。また何かありましたら、追加の御質問など、委員の皆さんからもいただければと思います。
 では、御質問を続けます。柳原委員、お願いします。

【柳原委員】  10兆円のファンドが実施のフェーズに入ったということで、いつも同じことを言っているのですけれども、改めて発言させてください。
 研究力という言葉の定義なんですけれども、私は、課題設定力と課題解決力、WhatとHowに分けられると思っております。そういうことで、その中で、やはり魅力的な課題設定に尽きると思っておりまして、研究力を高めるということは、魅力的な課題設定をできる、そういう力をつける。それに尽きると思っておりますので、実施のフェーズでは改めてそういったところを強調して取り組んでいっていただきたいと思っております。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 すみません。私は今、荒金委員を飛ばしてしまったのですけど、荒金委員。

【荒金委員】  先生、ありがとうございます。コメントなんですけれども、地域中核・特色ある研究大学のプログラムのほうですが、卓越大学の両輪という位置づけでスタートしたと思うんですけれども、最初は補完的な意味合いが強く出ていたような気もしましたが、今回、大変多くの大学に応募いただいて、皆さんの関心と注力が出ているということが分かって、大変よかったなというふうに思いました。
 今の柳原先生のことと私も重なるのですけれども、これから審査に入ると思うのですが、研究力向上というのは、単に研究をするということではなく、大学の魅力に向けてどういうふうに体制を整えていくか、大学全体の戦略能力を上げていくかということがまさに重要視されるという観点で、今後、審査がされることを期待しておりますし、それを見て皆さんがどういうふうにこれから各大学が研究力を高めていけばということが理解できるように、期待をしたいと思っています。
 もう1点は、共同利用・共同研究のシステム、予算的にはすごく小さいんですけれども、私、大変いい仕組みだというふうに思っておりまして、現在は国立大学の研究機関が中心ですけれども、そこを核にして、いかに横に広げるかという考えをこのプログラムで大学の中に浸透していっていただけるようになると、このプログラムと地域中核・特色ある研究大学のプログラムとの連携ですとか、シナジーとか、そういうことを将来的に各大学が考えていただけるようになると大変いいのではないかなというふうに思って、御説明を聞いておりました。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。全体感に立った御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 続いて、片田江委員、お願いします。

【片田江委員】  御説明、ありがとうございました。私も、荒金委員と同じく、資料4の共同利用の仕組み、金額はまだ小さいですけど、非常に有効な制度であると思いました。この共同利用の仕組みにおいても人材育成という記載がされていますが、もう少し、共同利用だからこそできる人材育成というところに言及したほうが良いと思いました。このような共同利用の施設には、常時、メンテナンスが必要な装置や、使用方法が複雑な装置も含まれることから、研究、実験や、研究室の統括、運営の統括を行うような、いわゆるラボマネジャーの存在というのは非常に重要になると思います。共同利用施設において、そのような人材を育成するということが、共同利用施設に限らず、今後、各大学で研究者が研究に集中できる環境をつくるためにも研究室の運営をマネージできる人材は非常に重要になってきます。このことは、結果として大学の研究力強化につながるのではないかと思いますので、共同利用の仕組みにおける人材育成にも、今後、重点を置いていかれると良いと思います。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 質問をあと8分ぐらいお受けできると思います。もしかすると全部行き渡らないかもしれないのですけども、順次、お願いします。
 今、片田江委員からは、人材のところを決して見落とさないようにと、大変重要な御指摘をいただいたと思います。ありがとうございます。
 それでは、西村委員、お願いします。

【西村委員】  ありがとうございます。私はちょっと違う観点なんですけど、「骨太の方針2023」を見ると、「社会課題を経済成長のエンジンへと転換し、持続的な成長を実現する。」というふうに、要は、役割というか、目途が書いてあるのですね。同じく、大学には社会の発展に寄与するというのが教育基本法で挙がっているときに、多分、研究成果をいかに社会に実装しながら社会を変えていくかだと思うのですが、今回、私もいろんな審査をさせていただいたりとか、あと、COI-NEXTというところで大学をいろいろ見させてもらったりして、本当に全ての、いろんな大学を見させてもらっていて感じるところは、今回の予算措置、すごい潤沢で非常に分厚いのでいいと思うんですけども、これによって多分、予算がついてところについては、各大学の教育と研究に集中できる基盤は多分構築できると思うんです。これはすごく推進するんですけども、果たしてこの予算をうまく活用できるのかというところは、若干疑問があります。社会実装というか、社会を見る力みたいなものが、今の大学の構成員、この構成員の構成でできるのだろうかというのは、私、いろんな提案書だとか、COI-NEXTで動いている人たちと伴走支援をしている中で感じるところです。何が言いたいかというと、未来を読む力ですね。研究の延長上で出てくるような学術的な未来を読める方々はたくさんいらっしゃるのですけども、社会の未来を読みながら、大学はどういうことを取り組むべきかとか、研究の方向性はどういうふうに集中したらいいのか、ここを読むような、未来からの予測でのバックキャストで戦略を練るという力が本当にあるのかなと。ここの能力とか、ここが弱かったら、潤沢なお金を入れて研究に集中したとしても、それが本当に社会を変える推進力になるのだろうかと、ちょっと危惧するところがあります。確かに、そういうことを、それぞれのところでは支援体制を整えろと言っているんですけど、支援体制というものではないレベル感で、何か社会を創造していくようなこととか、そういう企画力があるとか、構想力のある組織体とか、その機能を恐らく大学に強化しなきゃいけないんじゃないのかな。僕は、そういう視点も要るんじゃないかと思ったので、発言をさせていただきました。
 以上になります。

【千葉主査】  ありがとうございます。西村委員、いつも非常に重要な、一番先進的な観点で御発言をいただけていると思います。この全体の取組というのはまさにそこを目指すべきものであって、そのために、不十分な大学の体制とか、必ずしも十分じゃない研究の部分も整備するということで、小さく捉えてしまうと研究環境の整備というところだけに目が行ってしまいがちで、大学というのはそういうところにも目が行ってしまいがちだというところ、それだけでは全く不十分だということは非常に強いメッセージとしてもっともっと発信して、そして、大学も知恵を絞れと。じゃあ、どうしたら抜本的に変えられるかということをもっと提案していかなければいけないかなというふうに思います。大変大事なところをありがとうございます。
 では、小野委員、お願いします。

【小野委員】  先ほどの研究力強化あるいは研究者人材の育成というところで話があったのですけども、前回、若手アカデミーでの課題について御説明させていただきましたが、若手の問題意識としては、すごく頑張って人材育成しても、研究に使える時間は30%ぐらいしかない。どんなに育成しても、そういう人材が十分に活かせない、活用できてないというのが非常に大きな問題だと考えています。育成するという視点も非常に重要な一方で、既に育成された人材をいかに活用していくか、すなわちいかに研究に集中できる環境をつくっていくかという視点も重要で、そうした点は既にいろんなところで指摘されていることではありますが、例えば、こういう審査の評価項目に明示的に書いていただくとか、そういうことが非常に重要じゃないかなと思います。4~8校しか選ばれないということですので、こういうところで、グッドプラクティスとして、お金が獲得できなかったとしてもほかの大学に波及的に広がっていくことができる取組の一つとして、コメントをさせていただきました。

【千葉主査】  ありがとうございます。これは反映していただけるかなと私も思いますので、そういう審査項目・評価項目を明示した上で、結果としてそれが波及していくような流れは大事だということですね。ありがとうございます。
 では、あと2名ですね。大野委員と木部委員の手が挙がっていますが、お二人までという形で御意見をいただきたいと思います。
 では、大野委員、お願いします。

【大野委員】  どうもありがとうございます。御説明も、ありがとうございました。私からは1点です。総合振興パッケージが、もともとの名前に含んでいた範囲、文部科学省の施策に限らず、他省庁、あるいは、今日も冒頭で御紹介がありましたけど、これまでに御意見が出ていた都道府県からの様々な大学に対する活用も含めた大きなパッケージの姿を最初に見せていただいたと思います。今は総合振興パッケージとして今日の両輪の話になっていますけれども、ぜひこれは、文科省の施策に限らず、大学研究力強化の立場から、そういう他省庁を含めた、あるいは都道府県も含めた施策というものはどうあるべきかというところをこの委員会で発信する必要があるかと思いまして、一言、コメントさせていただきます。
 以上です。ありがとうございます。

【千葉主査】  ありがとうございます。非常に大きな観点から、日本全体の取組姿勢ということで、ありがとうございます。重要なコメントだと思います。
 それでは、この部分では最後、木部委員から御意見をお願いします。

【木部委員】  簡単に申します。いろんな事業が、予算も大きくなって、充実していると思います。たくさんの大学が申請しているというのも、大学の意識も随分変わったと思いますが、これを見ますと、申請数に比べて採択数が、それぞれ3分の1、もっと少ない場合は、7~8分の1しか採択されないという事業もあるわけです。そうすると、採択されなかったところはかなりショックなことでして、今、大事なのは、最初にありましたけど、行き過ぎた選択と集中で多様性を損なわないようということです。これは非常に大事なことだと思うので、そういう行き過ぎた選択と集中にならないように、採択されなかった大学もいろんなチャンスがあるといいと思います。横に連携するということが今は重要だと思います。連携することでいろんな可能性があると思いますので、そういう可能性も今後考えていただければと思います。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、次の議題のほうに進めさせていただいて、その後でまた、少し御意見をいただく時間を取りたいと思います。
 次に、資料5の大学・高専機能強化支援事業の初回公募の選定結果について、事務局より説明をお願いいたします。

【梅原課長】  専門教育課長の梅原でございます。先月、8月に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。直前は、地域中核で大変お世話になりました。
 では、今回、地域中核と共に基金として造成されました、大学・高専機能強化支援事業について、簡単に御説明させていただきます。
 創設の背景ですが、デジタル・グリーン等の成長分野を担う理系人材について、日本は諸外国と比べて理系を専攻する学生割合が低いという問題意識がございます。国際比較で言いますと、日本は35%という中で、欧米は40%を超えているところが多いということ。さらに、欧米は今、理系人材が非常に伸びているというような現状もございます。また、国内で見ても、特に私立大学においてその割合が低いというようなところも、課題としてございます。そういった中で、政府の教育未来創造会議において、自然科学を専攻する学生割合を5割程度にするという目標が立てられ、それに対応する施策として本事業が立ち上がったところです。支援の内容は、二つの部分から構成されておりまして、支援1の、私立・公立の学部段階を対象といたしました学部再編によるデジタルやグリーンへの転換というような部分と、支援2の、高度情報専門人材の確保に向けた機能強化ということで、支援2のほうは国公私立全ての大学・高専の情報系分野を対象として、特に大学院段階の取組を必須とした枠組みです。支援内容といたしましては、支援1につきましては、検討・準備段階から完成年度まで最長10年ぐらいの支援を想定しておりまして、20億円程度まで。支援2につきましては、こちらも最長10年程度の支援というようなことで、定額補助、10億円程度ですが、特に規模や質の観点から効果が見込まれるハイレベル枠については20億円程度まで支援を行うことになってございます。支援1は、令和14年度まで、10年間程度採択をする見込みで、現在進めております。また、支援2には、原則令和7年度までということで、当初は3年程度の見込みで現在、作業を進めております。
 7月21日に第1回の公募採択を行っておりまして、支援1は67件(公立13件、私立54件)でございます。支援2の高度情報人材につきましても51件で、そして、その中からハイレベル枠として、北海道大学、筑波大学、滋賀大学以下、7大学を選定しております。特に、支援1の学部再編の事業につきましては、採択結果の中でデジタルの分野を選択した大学が64%ほどございました。また、理系学部を初めて設置する文系大学の割合が3割程度あったというようなことが、特徴的な結果であったと思われます。
 3ページ、4ページは、それぞれ採択結果でございますので、省略させていただきます。
 5ページに、支援2、高度情報人材のハイレベル枠に採択された7大学の取組を書かせていただいております。特に、北海道大学ですと、次世代半導体、ラピダスの進出に伴った様々な人材の創出でありますとか、また、滋賀大学は、トヨタとの連携による様々な教育といったことで、それぞれ非常に特色ある取組を進められております。
 私からは、以上でございます。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、この件に関しまして御質問ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 梶原委員、どうぞ。

【梶原主査代理】  御説明ありがとうございました。質問でございます。資料5の事業創設の背景の中で日本における理系学部の学位取得者割合が35%とございましたけども、こういう支援事業をすることによってどのくらいの規模に変えていきたいといった思い、ねらいがあるのかお伺いしたいと思いました。その観点で、例えば、具体的な支援の内容で学部再編等という言及がありますが、ここは文系学部について減らすのかあるいは維持するといった何かを想定していることがあるのかどうか、そして、学部再編することに伴う必要な経費の補助として、人件費や教える側の人材の工面といった観点をどのように考えていらっしゃるのか気になりました。最後のページのところで、選定大学の取組では、学校によって100名程度人数を増やすところがありますが、先ほどの質問の中でも関連しますが、教える側の観点の話も重要と思います。今回の支援事業によって人材流動性ということが一緒に生じうるという意味では一つのいい兆候になるのかもしれませんが、この事業のアウトプット・アウトカムはどのようなものを想定か、教えていただければと思います。

【千葉主査】  それでは、御回答、お願いできますか。

【梅原課長】  1点目、どれぐらいの割合までということですけれども、先ほど申し上げた教育未来創造会議では5割程度を目標としておりますので、政府としてはそこを目指してやっていくということなのですが、この基金は非常に重要なツールですけれども、様々な大学の構造転換などを進めるというようなこと。また、様々、初等中等教育との連携、そういったことも必要かと思いますので、そういったことの総体として5割を目指していくところです。
 また、教える側、人的な部分についての措置ですけれども、この事業、検討段階から、学部をつくっていただく段階、また、アフターフォロー、そういったところまできめ細かく予算配分するということにしております。そういった中で、様々な検討に要する部分は、教職員等に御活躍いただく部分の支援に要する経費はその中で賄っていくことを考えております。
 そして、アウトプットでございますが、まず、理系人材、そしてデジタル人材を増やしていくというようなところを一つ結果として求めますが、そういったことを通じて我が国の成長力にしっかり貢献していくというようなところをしっかり見据えてやっていくということかと思います。
 以上です。

【梶原主査代理】  確認をさせていただきたいと思います。人の手当てみたいなところは、この事業の中に含まれているという理解でよろしいでしょうか。この支援事業の中でカバーされている・いないということについてどのように理解すれはよろしいでしょうか。

【梅原課長】  教員の人件費につきましては、私学につきましては、この事業に採択されたというようなことになれば、私学助成でその分を措置するというようなことになっており、国立につきましては、支援1は対象となっていませんので、直接の人件費の措置というようなものはないということでございます。

【梶原主査代理】  そうですか。分かりました。ありがとうございます。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 続いて、荒金委員、お願いします。

【荒金委員】  ありがとうございます。梅原さん、共創の場ではいろいろありがとうございました。
 今回のこの新しいプログラム、理系の人材ということで大学と高専に主にターゲットを当てているように表向きには見えますけれども、さっきの応募の大学を見ると、女子大とか、そういうところもちゃんと入っていたように思いますが、最終的に選ばれた大学を見てみますと、共創の場で応募してきているような大きな大学が重なってきているところもかなり多いなというふうに思いました。それはそれで、共創の場で将来に向けていく方向性と大学自体のカリキュラムを連動させて変わっていこうということで、大学の意思としてはいいのかもしれないですが、私としては、このプログラムに期待したいのは、例えば、そこに行き着くまでに行っていないような大学ですとか、今、大きな問題を抱えている女子大ですとか、短大ですとか、そういったところがこのプログラムを基に大きなカリキュラム変更をすることによって時代に合った方向に持っていけるという、そういうふうなことを期待できるのかなと思って御説明を聞いていたのですが、その辺りはどういうふうにお考えでしょうか。

【伊藤文部科学戦略官】  文科省高等局の伊藤と申します。今、支援1と支援2というのがこのメニューのほうに二つございまして、支援2のほうは既に情報の大学院等を持っているところになりますので、先生、御指摘のような、ほかでも競争的資金を取っているような大学が比較的多うございますけれども、まさに転換を図っていこうという支援1のほうは、御覧いただきますと、3ページのほうになりますが、女子大ですとか、地方の比較的小規模な私立大学、単科で今は文系しか持っていないようなところでも、この基金を一つ得るということを糧に、成長分野の理工農系学部を新たに設置しようということで取り組もうというような大学も、今回はたくさん手を挙げていただいてございます。ただし、支援1のほうは、そういう意味ではかなりチャレンジングな形で手を挙げていただいているところもございますので、いきなり設置で来年から学部をつくるということではなくて、3か年の間にしっかりとした計画を練って、また、教える人もしっかり確保した上で新しい学部を設置して、その地域に必要となる人材というものをしっかり養成してもらおうということで進めてございます。女子大の中では、これを使いまして女子の理工農系の学部の設置ということを大変前向きに考えて、今、チャレンジをしていただいている大学がございますので、これは来年度以降も引き続き公募をしながら、そうしたうねりというものを全国に広げてまいりたいと思っております。

【荒金委員】  分かりました。ありがとうございます。

【千葉主査】  それでは、続いて、小林委員、お願いします。

【小林委員】  ありがとうございます。私立大学にいる身としてこの基金は非常にいいのですが、スクラップ・アンド・ビルドか、あるいはビルド・アンド・スクラップですか、スクラップのほうは後からでもいいということだったのですけども、応募する大学、私の感じとしては思ったより少なかったように思いまして、文科省からその後、今後やるつもりはあるかというような、アンケート調査があったと思うのです。その結果はまだ見てないのですけども、聞くところによると、第一は教員確保が難しい。みんなで取り合いになっているというのが一つ。もう一つは、構造的にスクラップのほうは、募集停止を始めると、その部分の経常費補助金がもらえなくなるのと、それから、最後に廃止するまで教員は全員雇用しなきゃいけないという立てつけになっていて、大学にとってはスクラップのほうの負担がかなり大きい。一方で、ビルドのほうも、完成年度の翌年になって初めて経常費補助金がその部分に関して払われるので、結構、資金的な負担が大きいのですね。それは、文科省のほうは、気づいてというか、考えていらっしゃいまして、来年度の概算要求にはその部分も少し手当てしていただけるような形にはなっているようなのですけども、私立大学としては、そのようにスクラップ・アンド・ビルドといっても結構負担は大きいということを認識していただきたいと思います。
 あと、中教審の課題でもあるのですけども、理系大学というか、データサイエンス、グリーンを増やしても、学生が来なければどうしようもないのですね。その学生はどういう人たちが来るかというと、高校を卒業した人たちなのですけども、彼らは比較的早めに理系・文系に分けられていて、ジェンダーバイアスがあるのか女子学生は文系に振り分けられやすくて、これでは、理系の高校生人口は、キャンディデートになる人たちがそれほどいないとなると、大学がいくら門戸を開いても埋まらないのじゃないかというのは危惧されています。この2点があります。
 以上です。

【千葉主査】  重要なポイントを御指摘いただいて、ありがとうございます。
 続いて、山崎委員、お願いします。

【山崎委員】  ありがとうございます。私は定員管理という観点から少し御質問をさせていただきたいのですが、今回の国立の定員増の部分を合計すると国立大学の定員の何%相当ぐらいになるのかなあというのが一つと、私大で定員増、米印がついているものがありますので、私大は結構自主管理できるところもあるというふうに思っていますけど、全体としては、各大学の定員を減らさないで増やすという方向は、大学の数はちっとも減らないので、文科省は自然減を意図しているのか、してないのかとか、それに対して、将来、何かコントロールをかける計画とかお考えがあるのかどうかという辺りをちょっとお尋ねしたいなあというふうに思います。ちょっと難しい問題ですが、よろしくお願いします。

【千葉主査】  回答も難しそうな感じがしますけども、文科省のほうから、いかがでしょうか、現状は。

【伊藤文部科学戦略官】  伊藤でございます。今、小林委員と山崎委員のほうから、御質問、また御意見をいただいたことに関しまして、お答えできる範囲でお答えさせていただきます。
 まず、山崎委員のほうから、今の定員増の部分でございますが、山崎委員もよく御案内のように、国立大学については、原則としては学部の定員は増やさないということで、これまで文科省としては進めてきたところでございます。今回、特例的な形で、この支援を受けて情報関係の高度人材育成については、我が国としては早急に質も量も高い人をたくさん育てなければいけないということで、学部段階の定員増も踏み切ることにさせていただきました。ただし、御指摘のとおり本当に大きな少子化の波がございますので、今回の定員増については、一時的な、臨時的な定員増ということで、今回増やした分については、次の国立大学法人の中期計画の目標期間中に他の学部等を中心に増やした分だけは減らしていただくということを一つの条件として、その条件でもいいという部分について手を挙げていただいたということになってございますので、各大学のほうでは、既に特定の学部のところを少し減らす計画というのを持っているところもあれば、これから具体的にどこを減らすかということを計画していくというようなところもあるというふうに承知をしてございますけれども、いずれにいたしましても、18歳人口が減少する中での大きな局面でございますので、いたずらに拡大ということではなくて、しっかり分野を転換していく、そして必要なところの人材を手厚く育てていくということを考えて、お取り組みいただいているという部分でございます。これは、全体、中教審にもこれからかかってくる部分でございますが、先般、大臣のほうから中教審のほうに諮問をさせていただきました。少子化がさらに進行していることも踏まえた高等教育の在り方、定員・規模も含めた在り方ということについては、これから様々な御意見、それぞれ国公私の立場で異なる御意見もございますと思いますが、これらについては中教審で予断なく御議論をいただきたいというふうに思ってございますので、また状況に応じて御報告をさせていただければと思ってございます。
 なお、小林委員のほうからも御指摘ございました私学については、小林委員は御案内のところだと思いますけれども、私学助成のほうでもかなり今回の機能強化・転換ということを踏まえた支援のめり張りというものを進めているところでございまして、通常は、新たな学部を設置する場合には、4年完成時まで私学助成は出していない、出せないということがこれまでのルールだったわけでございますが、今回の転換を踏まえて新たに学部を設置する部分については、1年次から、4年完成前であっても私学助成を出せるようにということで、現在、その方向で話を調整しているところでございますし、さらに、御紹介いただきましたけれども、来年度の概算要求の中では、いわゆる撤退をするときの私学助成も、きれいに撤退できるまで支援をさせていただくということも盛り込ませていただいたところでございまして、この基金だけではなくて、私学助成全体を含めて、文科省としては、必要な機能を強化するとともに、少子化を踏まえた適切な対応ということに取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。

【山崎委員】  ちょっと、一言だけよろしいですか。

【千葉主査】  どうぞ、山崎委員。

【山崎委員】  さはさりながら、設置審なんかを見ていると、短大が4大に、私大が公立大にという波はまだまだ止まってない感じがするんですね。なので、片方で一生懸命抑制しようという意図はあるのかもしれないけど、現実はそうはなってないなと。そのくせ、現場では定員が埋まってない大学がどんどん増えているわけですね。私は、できないと思っていらっしゃるのでしょうけど、何か大きな枠組みで定員管理が必要だなあと。質の保証という観点からも、ぜひお考えいただくべき重要な課題であるというふうに捉えております。よろしくお願いいたします。

【伊藤文部科学戦略官】  承知いたしました。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 では、本件は、最後に相原委員から御質問をお願いします。

【相原委員】  私は少し視点が違うのですが、研究力強化に関する国の方向性の確認ですけれども、国立はもちろんですが、公立も私立も研究力向上に努める大学を支援していこうということかと理解しておりました。ところが、9月26日に行われた、今、お話に出ました中教審の高等教育の在り方についての諮問を見ますと、今、ここで議論されている研究力強化の方向性と全く異なることが役割分担のところに記載されております。国立は世界最高水準の教育研究の先導と書かれていますけど、公立は地域活性化の推進や行政課題の解決、私立は専門人材の輩出、つまり、国立だけが最高水準の研究をやればいいというふうに読めてしまいます。でも、地域中核・特色ある研究大学も、公立も私立も応募が可能で、世界水準で戦おうとしているわけですね。そこで、役割分担を国がこのような方向で進めようとしていると、公立大学としては設置自治体との関係もございますので、国がこう言っているのだから公立大学はそんなに研究しなくていいんじゃないかという考えを設置自治体に持たれると非常に困ります。ですので、国として方向性をきちんと決めて進めていただきたいと思いました。
 以上です。

【千葉主査】  大事な御指摘いただいて、ありがとうございます。

【伊藤文部科学戦略官】  ありがとうございます。諮問文の中で全ての役割についてしっかり記述することができない分量的な制約もある中で、国立といっても多様でございますし、公立も私立も多様である中で、代表的な部分だけ記載をしてしまったところがかえって誤解を招いてしまうような表現になったかと思いますけれども、今いただきました御指摘も踏まえて、中教審のほうでしっかり御議論いただきたいと思います。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、次に進めさせていただきます。資料6ですね。中規模研究設備の整備等に関する論点整理について、事務局より御説明をお願いします。
 小川室長、お願いします。

【小川室長】  よろしくお願いいたします。今出ているかと思いますけど、資料6でございます。会議の時間も限られているところでございますので、ごく簡単に御説明させていただきたいと思います。
 こちらは、科学技術・学術審議会の別の部会でございますけれども、研究環境基盤部会で議論を進めているものの御紹介ということになります。こちらは、前科学技術・学術審議会を締めくくるに当たっての会長所感の中で、「中大規模の設備、それを支える専門技術人材の整備、更には近隣分野の研究組織等を複数の大学等が連携して整備することを含め、全国的な学術研究研究振興の観点から検討すべきである。」という話がございましたので、それを受けて検討を進めているものでございます。
 ここで言うところの中規模研究設備といいますと、一つ目の四角の※のところにもございますけれども、数億円から数十億円規模の設備群を想定しているところでありまして、こうした設備につきましては、当該分野と特定の分野の全国の研究者が使っていただくようなもの、また、大学の共通基盤として学内の共同利用に資するような設備となってございます。
 一方で、問題意識としましては、国立大学法人運営費交付金の中では、基本的に法人単位で要求を行う仕組みとなっておりますので、例えば、大学の枠を超えた利用が想定されるような、そういった視点についてはなかなか可視化されにくいのではないかと、こういった問題点。また、最先端の設備の高度化、光熱費の高騰等によって、こうしたところの確保が困難になっているのではないか。こういったところを受けまして、論点整理を進めてきているところでございます。
 今回、この部会におきまして6月にまとめた論点整理におきましては、まず、当面の検討事項としまして、こういった中規模設備、国内でどういった整備状況なのか。また、国外におきましてはどのような整備の仕組みになっているのか。さらに、最新の装置開発の現状などの調査を実施すると。さらに、こういった設備の予算の枠組みというもので、現状の予算の枠組みの中で全国的な観点からの選定など、整備の仕組みも検討していくということ。さらに、中長期的には、各大学におきまして設備マスタープランを作っていただいておりますけれども、こういった中規模研究設備が明確に位置づけられるような検討ですとか、先ほど申し上げたような複数大学間の連携による整備の仕組みについても検討できないかということを論点整理で出していただいているところでございます。
 一方で、こういった設備を整備するに当たりましては、技術職員の配置も重要ですし、技術職員は、設備の運用支援だけでなくて、そういった設備の利用・共用に関してのコンサルティングですとか、外部共用に際して契約などの行為も行われていきますので、こういったところにつきましても調査・検討を進めていくということで、今回、論点整理ということでございますので、簡単に御紹介でございます。
 以上でございます。

【千葉主査】  ありがとうございます。人材養成、それから、特に技術職員の問題も含めて、広く捉えてこの事業を進めていくということでございます。大変大事なところだと思います。
 残念ながら時間のほうが来てしまったので、小林委員だけ御質問いただいて、あとはチャットでという形でお願いできますか。
 じゃあ、小林委員、どうぞ。

【小林委員】  こういう設備に対する私立大学の補助金に関しましては、大型機器に関しては3種類、研究施設と機器と教育施設であるのですけど、大体、半額補助なのですね。半額補助も結構厳しいのですけども、これは複数大学で連携しているという枠組みにはなってないので、それもちょっと考えていただきたいというのと、それから、その後のメンテナンスの保守費用の半額補助というのはあるのですけども、人員補助というのは全くないので、その辺も国立大学とは大分違った補助体制になっていますので、併せて考えていただけるとありがたいと思います。
 以上です。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ほかにも御意見あると思いますが、恐れ入ります、Zoomのチャットのほうに御意見いただければと思います。
 それでは、閉会の時間になりましたので、最後に事務局からお願いいたします。

【小川室長】  事務局でございます。本日、時間との関係で御発言できなかったなどがある方は、事務局までメールで御連絡いただければ、回答などをさせていただきたいと思います。
 また、本日の議事録につきましては、運営要綱に基づきまして公表する予定でございます。事務局にて議事録案を作成の上、委員の皆様に確認をさせていただきたいと思いますので、御承知おきいただければ幸いでございます。
 次回の大学研究力強化委員会につきましては、追って開催日を調整させていただきたいと思います。
 事務局からは、以上でございます。どうもありがとうございます。

【千葉主査】  それでは、第13回大学研究力強化委員会を終了いたします。皆様、本日は、御多忙のところ、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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