科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会(第11回)議事録

1.日時

令和5年5月10日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 大学研究力強化に向けた取組
  2. その他

4.出席者

委員

  (主査)千葉一裕委員
  (委員)相原道子委員、荒金久美委員、大野英男委員、小野悠委員、梶原ゆみ子委員、片田江舞子委員、木部暢子委員、小林弘祐委員、新福洋子委員、高橋真木子委員、那須保友委員、西村訓弘委員、野口義文委員、柳原直人委員、山崎光悦委員、吉田和弘委員

文部科学省

  (事務局) 井出文部科学副大臣、増子文部科学審議官、池田貴城高等教育局長、柿田科学技術・学術政策局長、奥野大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、山下科学技術・学術政策局総括官、笠原大臣官房文教施設企画・防災部長、平野国立大学法人支援課長、井上産業連携・地域振興課長、坂下振興企画課長、梅原産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長、黒沼大学研究基盤整備課長、馬場大学研究力強化室長、柿澤大学研究基盤整備課学術研究調整官 他

科学技術・学術政策研究所

大山科学技術・学術政策研究所長

国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター

倉持副センター長

 

5.議事録

【柿澤調整官】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御参加いただき、ありがとうございます。
 会議の冒頭につきましては、事務局が進行させていただきます。私、文部科学省大学研究基盤整備課の柿澤と申します。どうぞよろしくお願いします。
 なお、本日はオンラインでの開催となっております。音声などに不都合がある場合は、随時事務局まで御連絡をお願いいたします。
 最初に、オンライン会議を円滑に行う観点から、事務局より何点かお願いがございます。まず、発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、発言に当たっては、「手を挙げる」ボタンを押していただく、または、カメラに映りやすいように手を挙げていただくなどお願いいたします。資料を参照される場合は、資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所などを分かりやすくお伝えいただくようお願いいたします。
 なお、本委員会は原則として公開で行うこととしております。本日は、事前に登録いただいた方に動画を配信しておりますので、御承知おきください。
 それでは、委員会の開催に当たりまして、井出文部科学副大臣より御挨拶申し上げます。

【井出副大臣】  皆さん、こんにちは。副大臣の井出庸生です。今期の大学研究力強化委員会の初回を迎えるに当たりまして、文部科学省を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 千葉主査をはじめとした委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところ、本委員会の委員をお引き受けいただき、心から感謝を申し上げます。
 岸田政権の成長戦略の第一の柱、これはもう言うまでもなく科学技術立国の実現であり、大学の研究力を強化することは、極めて重要な課題であろうと。本委員会では、前期1期目に引き続いて、多様な研究大学群の形成に向け、大学が強みや特色を伸ばし、研究力や地域の中核としての機能を強化する上で必要な取組、支援策など、幅広い観点から議論を行っていただきたいと考えております。
 副大臣になりまして、1年近くというにはまだ早いんですが、あちこち研究現場等を見てまいりました。文部科学省として、大学組織に対する研究ですとか経済的な支援、そこは今日、大学ファンド等はじめ、いろいろ御議論があろうと思いますが、そこをやらなければいけないのが一つ。それから、昨今問題になっておりますが、やはり学費の問題、学生さんたちの経済的な支援というものも重要な視点だと思いますし、あともう一つは、やはり多くの方、男性、女性関係なく、大学に幅広い多様な優秀な人材が日本、それから世界から来ていただく上では、何といっても組織の風通しのよさ、透明性といったものが非常に大事なんだろうと思います。そこのところは、各大学の皆さんでそれぞれ取り組んでいただいていると思っておりますが、その3つにつきまして、文部科学省はもちろんですが、私、特に今お話し申し上げたことを思い入れを持って御支援、お手伝いをしてまいりたいと思いますので、また、今日、忌憚のない御意見をいただければというふうに思います。本委員会での議論を我が国全体の研究力強化に、しっかり文科省としてつなげてまいりたいと思っております。
 改めまして、皆様の本日の参加、御協力に御礼を申し上げますとともに、活発な議論をお願い申し上げまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【柿澤調整官】  井出副大臣、ありがとうございました。
 本日の出席状況でございますけれども、本日藤井委員より、所用のために御欠席との御連絡をいただいております。また、事務局からは、文部科学省から、増子文部科学審議官ほか、関係局課の職員が出席しております。
 続きまして、配付資料の確認です。本日は議事次第に記載のとおり資料を配付しておりますので、御確認をお願いいたします。説明の際には、画面表示をさせていただく予定ですが、必要に応じて、事前に送付したPDF資料を御参照ください。
 それでは、議事に入ります。
 まず、議題1「大学研究力強化委員会の設置等」についてです。
 本委員会の位置づけ等につきまして、事務局より説明させていただきます。

【馬場室長】  それでは、初回ということでもありますので、事務局より資料1-1に基づきまして、大学研究力強化委員会の設置等位置づけ等について、簡単に御説明させていただきます。
 表紙をおめくりいただき、2ページ目を御覧ください。
 本委員会は、前期、令和3年10月に初めて設置されましたが、本年3月に開催されました科学技術・学術審議会総会において、前期に引き続き、総会の直下に本委員会を設置することとなっております。
 1、設置趣旨に記載のとおり、大学等の研究力強化を図るため、国際卓越研究大学制度や地域中核・特色ある研究大学の振興など、多様な研究大学群の形成に関して、幅広い観点から調査検討を行うこととしております。
 構成員については、2の委員一覧に記載の18名で構成されており、10名の方が継続、加えて新しく8名の方々、荒金委員、小野委員、木部委員、千葉委員、那須委員、西村委員、野口委員、山崎委員に今回から御参画いただいております。
 今期は主査を千葉先生、また、運営規則に基づき、主査代理を梶原先生にお願いしております。
 前期は、3番目の開催状況に記載のとおり、約1年間の間に計10回の会議を開催し、幅広い観点から御議論いただいた結果、様々な施策や制度設計にも反映させていただいたところです。今期も前期に引き続き、原則公開で実施するとともに、公式チャンネルでライブ配信することとしております。
 事務局からは以上です。
 それでは、今後の議事につきましては、よろしければ、千葉主査のほうに進行をお願いいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 皆様、こんにちは。東京農工大学の東京農工大の千葉と申します。このたび、今回からこの会議に参加にもかかわらず、主査という大役を受けまして、大変身の引き締まる思いでございます。
 特に研究力強化というのは、日本の成長・発展、まさに命運を担う極めて重要な委員会であるというふうに認識しております。私も今、1つの大学の学長の仕事をさせていただいておりますが、決して一大学、あるいは自分の大学のためというような視点では、これは物事が全く進まない、かえってよくないというふうに認識しておりまして、これはぜひ委員の皆様とも共有させていただきたいことだと思っています。それから、特に研究力強化といい、どういう分野にどういう予算をどういう仕組みでつけるとか、そういうところに議論が進みがちでありますし、それから、各大学の多くの研究者の先生方は、そういうところに一番関心が行く傾向があるんですけども、私の考えとしまして、やはり大学そのものが本当になすべきことというのをしっかりと認識して、そして、大学ガバナンス体制とか、あるいは経営体制、運営体制というのを本質的なところから見直して、本当に社会の連携や発展を担うことができているのか、できないとしたら何が足りないのかということをしっかりと自分のこととして考えて取り組む、自分自身の覚悟、その部分がもっともっと必要なのではないかというふうに思っております。できれば会議、そういう観点も含めまして、いろいろな角度から、非常に高いレベルの有識者の先生がお集まりになっていますので、忌憚のない御意見を相互に出し合えるような流れにできたらと思っております。ということで、いろいろな角度での意見があるということは重々承知しておりますので、ぜひこのオープンな場でそれを御披露いただいて、強いメッセージ性を持った委員会にできればというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題2、現在の政策全体の方向性を事務局から説明いただいた後に、科学技術振興機構 研究開発戦略センター(JST/CRDS)より話題提供いただき、質疑の時間を持ちたいと思います。その後、議題3として、大学の研究力強化に向けた具体的な取組について、事務局から説明をいただく予定です。可能な限り自由討論の時間も設けたいと思いますので、ぜひ積極的な御発言をお願いいたします。
 それでは、議題2「多様な研究大学群の形成に向けて」、まず、事務局より御説明お願いします。

【馬場室長】  それでは、事務局より、資料2-1に基づきまして、今期、第2期の初回ということもあるので、これまでの議論の過程や取組を含め、政府における現在の政策全体の方向性、今後の論点について御説明させていただければと思います。
 本日は2ページ目の目次に沿って御説明したいと思っております。
 まず、3ページ目を御覧ください。3ページ目、こちら「多様な研究大学群の形成に向けて」と題して、第1回、前期の第1回の強化委員会で配付させていただいた資料です。
 3番目にも記載のとおり、今後全国の研究大学が、国内のみならず世界の大学と伍する研究力を獲得していくためにも、大学の知的蓄積や地域の実情に応じて研究独自色を発揮し、大学間の健全な切磋琢磨型の競争環境を構築することが重要ではないかと問題提起をさせていただいております。
 続いて4ページ目、強化委員会の議論を踏まえて、これがどういった形になったかと申し上げると、国際卓越研究大学や大学共同利用機関、下の青色の部分になりますが、こういったところがハブとなって、大学が相乗的、相補的な連携をしていくことの重要性がこの10回の議論の中で強調され、最終的にこういった形で、総合振興パッケージとして政府決定されました。記載のとおり、日本全体の大学の国際競争力を高めるためには、個々の大学の持つ強みを引き上げると同時に、複数組織間の連携を促進し、人材の流動性が高いダイナミクスのある研究大学群を構築することが必要としております。
 日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成に向けて、まず、大学ファンドを通じた国際卓越研究大学の公募・選定の状況について、5ページ目以降から簡単に説明させていただきます。
 6ページ目、政府においては、岸田総理が就任して最初の所信表明演説において、成長戦略の第一の柱は、科学技術立国の実現ということを掲げております。その一環として、世界最高水準の研究大学群を形成するため、今般、大学ファンドを設置するということになっております。
 7ページ目、大学ファンドによる支援を通じて、日本の大学が目指す姿を示しています。世界最高水準の研究環境で、多様性・包括性のある環境の下、人材・知・資金の好循環の中核として、新たなイノベーションを創出していく姿を描いております。
 続いて8ページ目、大学ファンドに関するこれまでのスケジュールです。この2年間、政府においては、大学改革、資金運用・助成の観点の議論を重ね、昨年5月に成立した国際卓越研究大学法に基づき、文部科学大臣として基本方針を策定し、令和6年度以降の支援開始に向けて、現在、対象大学の選定の議論を進めているところです。
 9ページ目に、公募・選定のポイントを記載しております。1番目、判断については、これまでの実績や蓄積のみで判断するのではなく、世界最高水準の研究大学の実現に向けた「変革」への意思(ビジョン)とコミットメントの提示に基づき実施することとしております。また、要件としても、国際的に卓越した研究成果を創出できる研究力に加えまして、実効性高く、意欲的な事業・財務戦略、自律と責任のあるガバナンス体制、この3つを要件としております。審査体制は、アカデミアの特性を踏まえつつ、国際的な視野から、高度かつ専門的な見識を踏まえられるよう、外国人有識者も加えた適切な体制を構築することとしており、この後御説明します、アドバイザリーボードを先月設置しました。
 10ページ目に、計画認可に関する具体的な基準の例を記載しております。世界の学術研究ネットワークを牽引するため、既存の制度に縛られず、学内外の英知を結集して取組を進めていく計画であること、特に研究上のポテンシャルを向上し続ける方策として、世界トップクラスの研究者の獲得等だけではなく、ジェンダーギャップの是正や若手研究者、研究マネジメント人材が活躍できる環境整備等についても明記しています。
 11ページ目に、3月末、昨年度末に締め切った公募について、申請を受け付けた10大学の大学名を挙げております。
 12ページ目に、今後の審査の流れを記載しています。書面や面接の審査だけではなく、研究現場の状況把握や大学側との丁寧な対話を実施することとしています。
 13ページ目には、先ほど申し上げたアドバイザリーボードの位置づけを記載しております。右上にも記載のとおり、大学研究力強化委員会の委員からも数名が参加することとなっており、14ページ目に10名の構成員が載っておりますが、梶原先生、山崎先生にもアドバイザリーボードに御参画いただいています。先月4月21日には、永岡大臣出席の下、第1回のアドバイザリーボードを開催し、選定に向けた議論を開始しました。国際卓越の状況については、本委員会にも随時報告させていただくことを予定しておりますので、御承知おきいただければと思います。
 15ページ目以降は、国際卓越に関する参考資料でありますので、説明を省略させていただきまして、23ページ目、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの改定について、簡単に御紹介させていただければと思います。
 24ページ目、今年の2月のCSTI、総合科学技術・イノベーション会議における岸田総理発言からの抜粋です。文部科学省に限らず政府全体として、地域の知の基盤となる地域中核・特色ある研究大学を創出するべく、政府を挙げて取り組んでいます。
 25ページ目にパッケージの改定について、経緯をまとめていますが、右下、質的拡充のの括弧書きにも記載のとおり、大学研究力強化委員会の議論の動向も踏まえ、本改定が行われたところであり、引き続き、パッケージに沿った施策の充実に努めたいと考えております。個別の施策の状況については、この後の議題の3つ目、議題3で御紹介させていただければと思います。
 26ページ目に、パッケージの概要をまとめております。左上、目指す大学像、大学に求められる機能、また、右下に、大学自身の立ち位置を振り返る羅針盤を示しています。このパッケージで示された羅針盤につきましては、多様性・卓越性、社会実装・イノベーション、地域貢献に対して、右足、左足の研究環境、研究マネジメントについては、必ずしも指標等が明確ではないことから、本委員会でも検討を重ねて、具体化・実質化を図っていきたいと考えています。
 32ページ目、本委員会の主な検討事項についてです。
 33ページ目に、これまでの経緯と今後、取り組むべき論点をまとめています。文部科学省においては、1番目、2019年に当時、副大臣であった永岡大臣の下で、「研究力向上改革2019」を策定し、研究人材・研究資金・研究環境の改革を大学改革と一体的に展開することがうたわれました。その後、令和3年度から始まる第6期基本計画では、先ほど説明したとおり、大学の研究力強化を図るため、国公私立大学の施策を戦略的かつ総合的に推進することとしており、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成に向けて、大学ファンドを通じた支援、また、総合振興パッケージによる地域中核・特色ある研究大学の支援強化の両輪により、研究力の向上を促進することとしております。また、大学ファンドからの支援に先駆けて始まった博士支援の拡充等もあり、研究人材・研究資金の取組が加速したものの、大学等における研究環境に係る様々な課題にはまだ十分取り組めてないというような指摘もあるところです。
 そのため、4番目として今後の論点としては、まず、個々の大学の研究力向上に向けては、先ほど御説明したパッケージの改定に際して示された羅針盤も踏まえまして、各大学がそれぞれのビジョンの下、適切な研究マネジメント体制を構築し、研究環境を持続的に向上できるよう、必要な仕組みなどを検討する必要があるのではないかと考えています。
 また、5番目、先ほど千葉主査の話もございましたが、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成に向けて、複数組織間の連携を促進し、人材の流動性が高いダイナミクスのある研究大学群を構築するなど、我が国の研究大学群のあるべき姿に向けて、本委員会において、大所高所から必要な取組についても議論していきたいというふうに考えております。
 まず、個々の大学の取組については、議論のきっかけとして、35ページ目に海外の事例から学ぶ研究マネジメントについて、幾つか事例を紹介させていただければと思います。こうした雑誌からの引用になりますが、昨今、韓国等をはじめとして、諸外国の大学の論文指標等が向上していることが指摘されておりますが、そのアウトカムの裏側に、各大学がどのような改革に取り組んでいるかが紹介されております。例えば右上、延世大学校においては、採用ポリシーを見直しており、実績のある研究者だけではなく、むしろ積極的に若手研究者を多く採用し、採用直後2年間は研究に注力させるほか、3年勤務でサバティカルが与えられるような国際的な共同研究を促す制度を設けた結果、優秀な人材の獲得、また、成果の創出につながっていくような事例などが紹介されています。
 また、下には日本に多く見られる例、海外の取組例を対照してまとめておりますが、例えば教員評価においては、日本では、教育、研究、社会貢献、大学運営、どれも求められているのに対し、海外では、やるべきことが明確であり、役割に応じて評価指標が異なっていることなどが掲げられています。また、研究資金の獲得であったり成果発表に関しても、国内では、研究者個人の努力中心になりがちなところ、海外では、大学主導で行っていることなどがこの記事の中でも紹介されています。
 また、国全体のあるべき姿につきましては、こちらも議論のきっかけとして36ページ目に、Jリーグの百年構想を配付しております。こちらは最近でも、ワールドカップの日本代表での活躍や浦和レッズがアジアチャンピオンになるなど、様々な広がりが見受けられるところですが、30年前のJリーグ発足の際に、こういった百年構想を掲げております。世代を超えた触れ合いの場であったり、地域に根差したスポーツクラブに向けて、企業の実業団が中心だったクラブのホームタウンなどを設定したことが今につながっていることかと思いますが、ここで挙げているような、スポーツクラブを大学や研究大学に入れ替えても当てはまるような記載も多いかと思います。
 今回、政府としても大学ファンドや地域中核基金など、大学への期待がこれまで以上に高まる中、研究大学の百年構想ではないんですが、この場でも我が国の研究大学群のあるべき姿について、数十年先を見越した大きなビジョンを打ち出していってはどうかと考えています。
 この後、JSTのほうから、海外の動向、また、大学をめぐる変化、そういったところも御紹介いただきながら、大学のあるべき姿について、本委員会でも議論を重ねていきたいと思っております。
 事務局からの説明は以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは続いて、科学技術振興機構 研究開発戦略センター(JST/CRDS)の倉持副センター長より御説明をお願いします。

【倉持副センター長】  JST/CRDSの倉持でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。それでは、資料を共有させていただきます。
 私どもでは、主要分野の研究開発動向であるとか、主要国の科学技術・イノベーション政策の動向等を俯瞰的に調査・分析して、研究開発戦略の提言などに取り組んでおるところでございますけれども、今日は、そういった取組の中から、今後の大学の研究力強化の検討に当たって幾つかの示唆をお示しできないかということで、このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
 今日はまず、科学技術・イノベーションを取り巻く状況、そして、その潮流と海外の研究大学の取組の姿を御紹介しまして、そこで得られる示唆と今後の御議論に向けた視点についてお話ししたいというふうに思います。
 最初に、今後の研究大学を考える上で、基本認識のようなものをまとめてみましたけれども、今これからお話ししますように、科学技術・イノベーションを取り巻く環境が大きく変わってきております中で、研究大学の組織的能力向上と人材育成の継続的発展のサイクルの確立が必要になっていると認識しております。いわゆるナレッジ社会が到来し、大学への期待は高まっているわけでございますけれども、各大学がそれぞれのミッションを踏まえて、内外の環境の変化を見据えて研究や人材育成を先導できるように、自発的、自律的に組織力の向上と研究環境の構築を図ることが期待されております。そのためには、大学が科学技術・イノベーションの潮流も捉えて、あるいは先取りして動いていくことが必要なのではないでしょうか。
 主要国の研究大学は、政府や民間からの支援を効果的に活用して、組織力の向上に努め、戦略的に研究や人材育成に取り組んでいるように思います。我が国におきましても、支援の枠組みを活用して、マネジメントや研究環境を組織的に向上させて、新しいナレッジを見いだして社会の要請に応える研究人材育成に取り組んで、それらが継続的に発展していくサイクルの確立を目指していく必要があるというふうに思います。
 では、本題に入らせていただきます。
 まず、科学技術・イノベーションを取り巻く状況として、2点挙げさせていただきます。
 1つ目は、持続可能で強靱性を備えた社会実現に向けた社会システムの改革、変革の加速というのがございます。科学技術・イノベーション政策も、従来のリニアモデルの産業技術開発型やナショナル・イノベーションシステム強化型を超えて、まさに研究開発と社会制度やルール形成が相互に影響力を及ぼし合う時代となりまして、科学技術・イノベーション政策のフレームワークも、新たに社会システムの変革まで志向する、いわゆるトランスフォーマティブ・イノベーションの取組が始まっているような状況にございます。
 2つ目は、国際関係・安全保障関係の変化でございます。グローバリズムの時代は終わって、各国が戦略的自立性を重視している。この動きは、ある意味、持続可能な社会への移行においても大きな影響を与えておりますけれども、また、オープンな研究システムが不当な形で利用される、そういうリスクも高まっていて、研究インテグリティ、あるいは研究セキュリティといった観点の強化が求められています。主要国は、経済安全保障上の重要技術を重視するとともに、安全保障と科学技術・イノベーションの接近も顕著になってきている状況にございます。
 そういった中でございますけれども、7点ほどそういった科学技術・イノベーションの潮流と研究大学の取組について挙げさせていただければと思います。
 まず、何といっても世界の研究開発のランドスケープが大きく変化していると。先ほど申しましたように、各国は、戦略的自立性を高める上で科学技術を重視して、研究開発投資を継続的に増やしています。その結果、日米欧三極などと言われた時代は過去のものになりまして、今や中国の台頭、多極化が深まっていると。その中で、国際頭脳循環の重要性に対する認識も深まっておりまして、主要な研究大学は、世界の優秀な人材を引きつける場としての存在感を発揮していますし、そうあり続けるために努力をしているという状況にあるのかと思います。
 それでは次に、研究自体の態様が大きく変わっているということはもう当然挙げられるわけでございまして、科学技術が進展して、新しい課題や領域に挑戦するために、いわゆる異分野連携とか異分野融合が加速しております。それで、研究の進め方自体も、高度な研究インフラやデータセットなどが大きく物を言うようになって、研究自体の大規模化、あるいは組織化が進んでさらにプラットフォームの重要性が高まっていて、中には、複数の大学等で連携する動きも見られております。従来の細分化し精鋭化してきた流れに加えて、総合力が問われるようになって、まさに大学の組織力が帰趨を制する時代と言っても過言ではないかなという状態でございまして、CRDSでは、特にライフサイエンス研究がビッグサイエンス化している状況に着目して現地調査などを行っておりますけれども、ここでは、米国のBroad Instituteであるとか、英国Francis Crick Instituteの例を挙げさせていただいていますけれども、言わば大学が財団等の支援を背景に強力なプラットフォームをつくって、多様なコラボレーションを促進している、こういったところが顕著になっている状況にあります。
 3つ目は、いわゆる社会課題解決とか社会変革に向けた総合知、あるいは学際共創の重要性です。トランスフォーマティブ・イノベーションの位置づけに向けて、自然科学と人文社会科学の連携、さらには、社会の多様なステークホルダーの参画・連携が不可欠になっている。日本でも、第6期科学技術・イノベーション基本計画において、社会変革を伴う科学技術・イノベーションの推進が打ち出されておりますけれども、欧州でも、7年間のフレームワークプログラムであるHorizon Europeで、まさにミッション型のプログラムといったものを推進している状況にあります。ここでも、研究大学は重要なプレーヤーでございまして、自然科学と人文社会科学の連携や総合知研究を行うための基盤の構築など、組織的な取組が注目されている。そういった政策の動向に沿った大学の事例として、最近、非常に成長が著しいと言われております、米国のアリゾナ州立大学の事例であるとか、ケンブリッジやオックスフォードなど、大御所の組織的な取組を挙げさせていただいておりますけれども、このような事例からは、やっぱり研究大学が社会の動きを先取りして先行的に考えている、そういう姿が浮き上がっているように見ております。
 4番目としましては、まさに新興技術とそのガバナンスであるとか、ELSI/RRIの一体的な取組ということで述べさせていただきます。各国ともに、AIであるとか量子等の新興技術について、大規模な研究、開発投資を行っているわけでございます。このような新興技術は、社会的インパクトも大きいと考えられておりまして、研究の初期段階から、ELSIであるとか、責任あるリサーチ・イノベーション(RRI)の取組も進んでいる。最近、ChatGPTが社会の関心を呼んでおりますけれども、AIなどについては、国際場裏で規制ルール、そういったことを含むガバナンス関連の議論が進んでいます。主要国では、こうしたELSI、ガバナンスに関する研究も、研究開発・イノベーション戦略の一環と位置づけて、大学等での取組を支援する動きをしている状況にあると思います。研究の現場では、当然のことながら科学技術の専門家だけでなく、倫理や法律、ビジネス関係を含む総合知アプローチになりますので、それを可能とする組織力が問われている、こういうことかと思います。
 参考として、これはOECDにおけます、新興技術のガバナンスに関する検討であるとか英国の研究・イノベーション機構UKRIで進めている信頼できる自律システムプロジェクトの例を挙げさせていただいておりますけれども、こうした政策議論であるとかファンディングプログラムを活用して、大学が新しい領域を先行的に先導しているという様相になっているというふうに思います。
 5番目に、言わずもがなですけども、いわゆるデータ駆動型であるとかオープンサイエンスの潮流がございます。IT・デジタル化を駆使した研究開発のシステム・プロセスの変革の流れ、これは研究開発にもパラダイムシフトをもたらしつつあります。他方、これは大変大きなシステムの変革でもありますので、言わば評価の在り方も含めて、実際面での課題も多い状況にあると思います。私どもでは、リサーチトランスフォーメーションという調査報告をまとめさせていただきましたけれども、研究の大型化・複雑化、あるいはデータ駆動型研究などの進展を契機とする、言わば研究開発のオペレーティングシステムの変革にどう向き合うのかといったところが、今、本当に大きな局面を迎えているというふうに認識しております。これは当然のことながら、個々の大学・研究所だけでなく、政府であるとかファンディング機関、あるいは大学等のステークホルダーを巻き込んだ取組、関連施設の施策だとかプログラムの連携が不可欠になりますので、その中でも、研究大学における組織レベルの対応が極めて重要な局面にあるというふうに認識しております。
 6つ目は、研究インフラの高度化、充実と研究開発エコシステムの拡張という点ですけれども、最新の研究施設は、それがプラットフォームとして卓越した研究の推進基盤の役割を担うようになっていると思います。それはもうハード面だけでなくて、データの、あるいは情報基盤を一体的に整備・高度化したり、また、何よりもそれに関わる専門人材の育成が重要であって、ここでも組織力が必要になっているわけです。研究開発エコシステムにつきましては、例えばラボの共用だとか研究支援ツールの開発など、自らの問題意識とアイデアでエコシステムを、従来の産学官で言われていましたけど、それをさらに広く拡張している、そういう状況が見られつつあります。
 この研究開発とか装置開発につきましては、残念ながら我が国では先端機器の多くを輸入に頼る状況になっておりますけれども、また、それが独自の装置開発によって新しい領域を切り開いていくような科学研究の国際的な競争にとっては障害になっているというふうに認識されていますけれども、ここでも、やはり先端技術の創出、機器の開発、試作利用のエコシステムというものをつくっていかなきゃいけないわけですけども、やはりここでも、大学、企業、メーカーさんであるとか共用の拠点とか、こういったところのエコシステムをつくっていくということが今、大事な局面にあるというふうに認識しております。
 最後になりますけれども、こういったイノベーションのエコシステムのハブとしての研究大学という捉え方で、大学発のスタートアップに関する調査から見えてきた潮流ということで述べさせていただきます。我が国を含めて、主要国はスタートアップの創出に注力していますけれども、スタートアップを含むイノベーションエコシステムは、当然多様ではありますけれども、同時に、世界レベルの機能を備えていなければやっぱり通じないという面があります。中でも大学は、大学発の研究成果や人材をベースにしたスタートアップの促進など、エコシステムのハブとしての機能が期待されています。
 ただ、スタートアップというものを調査してみますと、やはり分野の特性があって、大分状況が違うなということが分かります。現状では、ソフトウエアであるとかIT系、あるいはファーマテックが断然先行しておりますけれども、各国が今、投資を増やしているディープテック系では、まだまだ課題も多いことが分かります。
 参考に、ディープテック系に関する大学発スタートアップの事例を挙げさせていただいていますけれども、こういった事例を追っていきますと、これの基盤になっているのは、大学等が取り組んでいる分野融合・課題解決志向型でのアプローチであって、また、そのスタートアップのコア技術自体が、分野融合のコンバージェンス型の研究成果、その進め方もデザイン思考のアプローチであるように分析されております。
 こうした近年の科学技術・イノベーションの主な潮流を見ながら、主要国の研究大学の事例を見ておりますと、幾つかの示唆が得られると思います。既に皆様御議論が進んでいますので、今さらという感もしますけれども、述べさせていただきますと、まずは、やはり研究大学自らが時代を先取る研究・人材育成に取り組むことの重要性であります。研究大学は、科学技術・イノベーションや社会の潮流を見据えて、あるいは時代を先取りするような形で、新しい研究や人材育成に挑戦している。研究大学であればこそ、既存の枠組みを超えて、顕在化している社会ニーズの充足にとどまらない先導的な取組が可能になるのではないかと期待が高まっています。
 それから、ミッション・ビジョンの共有と文化・価値の醸成というところで、まさに大学がシビルソサエティーの原動力としての役割を果たしつつ、学術研究の基盤を充実させていくことには、まさに既存の分野、職種の壁を越えた取組が求められます。そのためにも、大学を構成する皆様が、ビジョンを共有して、研究者の創造性が一層向上するように、組織文化や研究成果の価値化が促進する環境を調整していくことが鍵になるというふうに思います。
 3点目は、組織としての価値創出ですけれども、先ほど述べましたように、お一人お一人の研究者だけで価値の創造、創出につなげるのは困難でありまして、最先端の学術基盤をベースに、多様な分野の研究者や高度専門人材が連携・共創する、それを価値創造につなげるための組織的取組がクリティカルになっております。
 4点目は、そういった観点での人材育成と活用であって、研究大学にとって、研究・教育に関わる教員に加えて、大学としての機能を果たすための専門人材の育成確保が不可欠になっている。現在URA制度などで充実が図られているところでありますけれども、そうした専門人材の処遇や評価についてもしっかりした取組が必要ですし、また、そうした人材の育成や活躍環境の整備もこれから大変重要になるというふうに思われます。
 最後に、資金の効果的活用ですけれども、こうした組織的な能力を涵養していくには、資金的な基盤が不可欠でありまして、主要国では、もう皆さん御存じのとおり、いろんな基金の運用益であるとかいろいろな財団等からの支援も活用しながら取り組んでいると、その基盤をつくって、その上で研究プロジェクトを呼び込んでいるという状況があります。もちろん大学の設置形態にもよるところが大きいと思いますけれども、まさに大学がシビルソサエティーの原動力としての役割を発揮するならば、多様な資金を効果的に活用する道が開けるのではないかと思います。
 以上、科学技術をめぐる潮流を見ながら、主要国の研究大学を、時間の関係でさらりとしか触れさせていただきませんでしたけど、御紹介させていただきました。ちょっと粒度の大きな話になってしまい、恐縮でございます。もちろん課題を指摘するだけでなく、それをいかに克服するかが重要であることも認識していますし、海外の事例をそのまま取り入れることもできません。ただ、このような機会を与えていただき、私自身も科学技術・イノベーションに携わってきた身ではございますけれども、やはり考えることがございまして、今の政策立案運営は大分さま変わりがしてきているように思いますけれども、やっぱり主要国の動向を見て強調したいことは、むしろ大学自身が、大学を巻き込む施策プログラムを自律的に活用して自らの社会的価値を高めていると、そういう点でございます。これまで述べてきたように、今日では科学技術・イノベーションの潮流が大きく変化してきて、研究大学に対する期待も高まっている。研究大学には、まさに世界の優秀な頭脳を引きつける魅力を持ったビジョンと、それを実現するための研究環境やエコシステムを備えていることが必要になります。政府等の施策事業には、それぞれ政策的背景と意図がありますけれども、それも理解した上で、それらを自発的・自律的に組み合わせて、自らの組織力の向上、あるいは研究環境の充実につなげるというところが鍵ではないかというふうに思います。
 一方、政府におきましては、政策ニーズやポートフォリオに沿って施策を進めているわけですけれども、あらゆる諸施策が研究大学の組織基盤の形成・強化につながるように、個々の施策の目的にかなう研究成果の創出や社会実装というフローだけではなくて、研究環境の充実だとか基盤形成面での効果についても把握・評価すること、さらには、施策、あるいは事業間の連携を深めて、相乗効果を生み出せるような政策マネジメントがますます大事になってきているんじゃないかというふうに思います。
 ですから、また、さきに述べましたように研究の態様も変わっている、あるいはエコシステムの構築には様々な試行的な取組も必要ですし、実践しながらアジャイルに課題を乗り越えていくことも必要になっていますので、事業やプロジェクトを通じて現場の実態をきちんとモニタリング、フォローして、施策の効果を評価して、得られた学びを次の事業やプロジェクトに生かしていくマネジメント、これがますます大事になっているように思います。事業間の連携につきましては、かつてCRDSにて拠点のファンディングを取り上げた際に、文科省も拠点型の事業の評価結果を運営交付金の配分に反映させようと動いてくださったことがありますけれども、プロジェクトを通じて環境を醸成して、その成果を組織力向上につなげていくと、そういった施策間の連携はとても重要なポイントだというふうに思います。
 いずれにしましても、大学ファンド等のこういう枠組みを契機として、研究開発、研究大学自身が自発的・自律的な取組を進めて、組織的機能力向上と研究・人材育成の継続的な発展のサイクルの確立につなげて、それを基盤に研究力向上と価値創出のサイクルを回していけるようにすることが大事だと思います。
 ちょっと長くなって恐縮です。以上で私からの話題提供とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明、あるいは最初に事務局からありましたけれども、こちらについて、御質問ございましたら挙手をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。

【馬場室長】  今、挙手挙げられている方、順番に野口先生、吉田先生、高橋先生、片田江先生、順番に挙げられておりますので、もしよろしければ、そちらのほうの発言を。

【千葉主査】  では、その順番に。馬場さんのほうから順番に御指名いただけますか。
 
【馬場室長】  野口先生、もしよろしければミュート解除して御発声いただければと思います。

【野口委員】  ご説明どうもありがとうございます。立命館大学の野口です。
 やはり日本を牽引する多様な大学群の形成が、すなわち日本の研究力の向上につながるというのは周知だと思っています。その上で、先ほど馬場室長のほうからも説明がありました資料の33ページの検討事項の5のところであるとか、先ほど倉持副センター長からもお示しいただいた、30ページにあります資料の今後の研究大学の議論にも書いてある箇所であるとか、振興パッケージと大学ファンドの連動というのは極めて重要だと思います。今、映っています5のところです。つまり、地域中核大学と国際卓越研究大学との連動というのは非常に大きなポイントで、多様な大学群の形成に最も資することだと思っています。そういった意味では、例えば今般募集がありました、文科省補正の施設整備事業の申請にかかり、私どもも全学で研究の特徴や特色の議論を深めれば深めるほど、やはりリソースが十分でないところが出てきました。そういった意味では、多様な研究組織との連携や国際卓越研究大学に申請している大学との連携というのは、リソース補完の観点からも不可欠になってきたと思います。
 しかし一方で、同施設整備事業で採択された30大学を見ましたら、そのうち17大学だけが国際卓越研究大学に申請された大学と連携しています。このことを多いか少ないかということはあると思いますが、個人的には若干少ないのではないかと感じています。人材流動性の観点も踏まえ、例えば研究機関間の橋渡しをするURAの機能強化であるとか、研究機関間のコラボレーションを推進させるクロスアポイントメント制度を促すことも必要かも知れません。さて事務局への質問になりますが、今後重要視する必要がある地域中核大学と国際卓越研究大学間の連携を深めていくためには、どのような牽引メカニズムを導入したら効果的であるか等、お考えがあれば教えて頂きたいと思います。
 私から以上です。

【千葉主査】  これは事務局も含めての、事務局への牽引メカニズムというとこで、結構難しい課題ですけども、いかがですか。

【馬場室長】  ありがとうございます。先に私のほうからお答えさせていただいた後、地域を担当している井上課長のほうからも回答させていただければと思います。
 野口先生がまさに御指摘のとおりで、我々今回、強化委員会を設置している理由の一つは、国際卓越であったり地域中核、また、ひいてはほかの事業についてもばらばらになりがちなところがあると。どうしても事業を推進していく上では、それぞれの視点にとらわれがちなところがあるので、本強化委員会では、まさに大所高所からそういった部分で連携が足りない部分があるようであれば、それについて御指摘いただきながら進めていきたいというふうに思っています。実際まさに今回、国際卓越の選定を進めていますし、また、地域中核の基金の助成についてもこれから議論が始まっていくところにはなりますが、そういった視点を踏まえながら、自主的にどう連携していくかということを考えていきたいと思っております。
 井上課長のほうから、もしよろしければそこをお願いいたします。

【井上課長】  大変ありがとうございます。
 牽引メカニズムということでございますけれども、恐らく具体的には、地域中核のほうも活用いただきながら、まず、その強みがあるそこの分野を核としながら、そこから広げて強化するところについては、新たな我々の御支援も活用いただきながら非常に魅力的な環境をつくっていくと。そういうところで、例えば人材の流動性、あと、研究テーマを共同でやるとか、また、その分野について恐らく地域中核・特色ある研究大学も、海外のトップレベル、そこの分野ではトップレベルの大学とのそういった連携というのも描いておられるところも多々あろうかと思います。そういった観点で、言わば国際卓越に申請されているところも、そこについては非常に魅力的な分野はほかの国内の大学にもあるというところで、人材の流動性ですとか、また、切磋琢磨しながら発展していくといったようなところを、新たな投資の資金も使って我々も生み出したいと思っています。制度上何か隘路みたいなところがあれば、我々も一緒に考えて、そういったものを取り除くことも考えていきたいと思っております。そういった具体のメカニズムにつきましては、まさにこれからJSPSさんのほうで基金の事業のほうの公募をしていただくことになりますけども、我々も一緒に大学さんと議論しながら考えて、いいものをどんどん入れていきたいというふうに思います。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、続いて、岐阜大学の吉田先生、お願いします。

【吉田委員】  ありがとうございます。
 2つほど御質問させていただきます。1点は連携について、もう1点は研究環境についてです。
 まず1点目は、先ほどの野口委員と関連するんですが、資料2-1の25ページ、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの改定で、一番上の四角の3つ目の四角の、先ほど来出ております、いわゆる地域中核大学と国際卓越研究大学との連携、これが極めて重要であることはこれまでの研究力強化委員会でディスカッションしてきたわけですけれども、これに対して、実際、じゃ、どう評価するのか、この連携に対して、それからどういう方法でするのかというのがまず最初の質問になります。といいますのが、先ほど来もちょっと議論出ましたけれども、強化促進事業の中の建屋部分と基金部分で、連携がマストであったのが、連携してもいいよと少しトーンダウンしているように感じるので、そこら辺のところの考え方についても併せてお願いしたいというのが、まず最初の1点目になります。
 それから2点目は、35ページになるでしょうか、研究力を強化する7つの実践例ということで、下のところ、日本に見られる例と海外の取組例というところになるんですけど、35ページ、そこの下の欄の2ポツのところの日本に多く見られる例で、教員の評価、②、これが教育、研究、社会貢献、運営、どれも求められているのが現状で、例えば医学部の場合は、これに診療が加わるわけです。一方海外の場合は、それぞれもうある程度指標が決まっていると。特に研究担当、それから教育担当というふうに、海外で分かれているやにも私は感じております。したがって、日本でそういう人員の配置について議論がどの程度行われているのかというのを一つ確認したいと思います。特に医学部の場合、これは何回も私言うんですけれども、教員が忙しくて、日常診療、それから地域医療、働き方改革、そうなると大学院に進む数が極めて少なくなって、研究力、我が国全体の低下につながることがもう必須だと考えておりますので、この辺のところをよろしくお願いいたします。
 以上になります。

【千葉主査】  これも事務局への御質問ということで、いかがでしょうか。

【井上課長】  よろしいでしょうか。

【千葉主査】  井上課長ですね。

【井上課長】  すみません。吉田先生、ありがとうございます。
 1点目の連携のところでございます。どう評価していくのかというところで、まさに施設のほうが走ったわけでございますけれども、そのときにも、非常に研究力強化に向けた実質的な連携というのをしっかり見させていただきますというところを盛り込ませていただきまして、つまり、連携することが別に目的ではなくて、何が足りなくて何を持っているどういうところと、だからどう連携してここを強化するというところがちゃんと描けているかというところを大事に考えておりますし、その点については、恐らく基金の事業についても同様かと思っております。
 トーンダウンしたというところ、確かに概算要求のというか、予算案の資料のときと少しトーンが変わった部分は確かにございます。背景としましては、かなり、特に施設につきまして、短期間の募集というふうにならざるを得なかったところがございますけれども、いろいろな御意見を大学の関係者の方からもいただきまして、しっかり今の時点でそこまで描けてなくても、今後一緒に考えながら連携も考えていくといったようなことも含めて、あまり連携縛りというのをそこまで初めから求めなくてもいいのではないかですとか、そういったような御意見もあったところです。そういった意味で、我々もいろんな可能性を初めに狭めてしまうのではなくて、広めに取っておいたほうがよかろうということで、少し初めのところを広く窓口を開いたという部分がございます。
 1点目については、以上です。

【馬場室長】  よろしければ後段の35ページ目の御質問についても答えたいと思います。
 吉田先生から御指摘いただいたとおり、教員評価、日本に多く見られる例として今回、記事として取り上げられていますが、必ずしもこの部分について、実態的な分析がされているかというと、必ずしもそこまでできてはいないと思います。この辺りについては、先ほど医師の働き方改革の関係でも、文科省が別途調査をしていたり、また今後、研究時間等についても分析するところではあるんですが、いずれにせよこういった研究環境、各大学においてこういった教員の役割分担をやっているところが幾つかあるということは我々も認識はしていますが、それも含めて、こういった研究マネジメントでうまくいっている部分、うまくいってない部分、効果があったところ、効果ないところ、もう少しつきとんと確認をした上で、汎用性がある取組については横展開をしていくということをやっていきたいと思っています。
 本日最後の議題でも簡単に御紹介しようと思っていましたが、この10年間、研究大学強化促進事業でやってきた事後評価などでも、やはりこういった形で役割分担することによって、研究時間の確保だったりとか研究成果の創出につながったという事例も複数の大学で見受けられるので、そういったところを今後より具体化することによって、それぞれの大学が取り組みやすくするようなものをこの機会につくっていきたいなと考えています。
 お答えになっていればと思います。以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、あと二方いらっしゃいますので、金沢工業大学の高橋先生、お願いします。

【高橋委員】  ありがとうございます。中座させていただく観点で、少しコメント的なところが入るんですけれども、2点申し上げます。
 1つ目は、千葉主査が冒頭おっしゃった、どの分野にファンディングするかというところにフォーカスし過ぎではないかという問題点は、非常に私もそのとおりだと思っております。もはや国内でカニバリズムを起こしている場合ではないというふうに強く思っています。これがまず1つ目で、2つ目は、それを具体的に感じるところについて、少し人材育成、とりわけURAが私、分野としては近いので、例に挙げて申し上げたいと思います。
 何かというと、今後はまさに倉持様のほうから非常に包括的なお話があったんですが、その中でお言葉として、政策の連携をもう一個踏み込まねばというところにひもづいております。もう政策の連携というよりは、使い倒すぐらいまでいかないと、我々日本はもたないんじゃないかというふうに思っています。なので、今までの政策投資の効果をいかに最大効果を出していくかというところにフォーカスした議論がこれからこの場でもできればと思っています。
 具体例を申し上げますと、今、URAというのは、OECD諸国には団体、どの国もあります。実は、この5月末に、今度南アフリカに、今、日本が議長をしておりますけれども、議長をハンドオーバーする関係で、南アフリカに人が集まります。驚いたのは、ヨーロッパの実務者団体が、その2週間前にアフリカ全地域の大学を回って、ともすると情報がないアフリカの大学の情報をヨーロッパ等の、いわゆるリーダーシップを持っている方たちがビジティングツアーをするという、そういう企画を立てています。何でそんなことをするのって言ったら、ヨーロッパのどの国においても、アフリカとの連携がこれから必須だからと言うわけです。
 その団体というのは、日本においては学会のようなもので、どの国においても非常に弱小な、いわゆる日本でいうと一般社団法人のようなものです。その企画力はどこから来たのかというのが、私も日本においてそういう団体をマネージしている立場から、もうビッグクエスチョンなわけです。そうすると、彼らが言ったのは、後ろにはEUのファンドがついていて、それのファンディングでこういうツアーの、いわゆるアレンジができるということを言っています。倉持様の資料でも、例えばHorizonのところで、最先端の研究推進支援は大きな柱の一つですし、こういう機動力のあるリーダーシップが議論のイニシアチブを取れるかに大きな影響を及ぼす。こういうのが日本はどうも、一度政策で投資すればその後は自立していいんだよねというところで、どうも一方向だけで終わっている気がします。
 先ほど、使い倒すと申し上げたのは、例えば日本においてURAを例にすれば、一度政策投資で人が増えました、それで終わりでいいんですかというと、その機能最大化のときには、結局データの話ですとか利益相反ですとかインテグリティの話のときに、もう1回そこにどんと政策でお金をつけるとか、そういう形を国が支えるとか、政策で作られた民間が育ち、それに対する政策を民間が活用する、というこの双方向をつくっていかないと、政策投資がちゃんと生きないのではないかという、そういう危機感が非常にありました。
 長くなりまして、申し訳ありません。以上、政策の投資効果を最大限に獲得するというところをひとつこれから議論させていただければと思いました。ありがとうございました。

【千葉主査】  どうも高橋委員、貴重なコメントありがとうございました。
 それでは、この場では最後にCORE Partnersの片田江先生、お願いします。

【片田江委員】  JSTの倉持様の発表について大変示唆に富む内容の御発表ありがとうございました。
 13ページ、15ページのところで、アリゾナ大学やオックスフォード大学での事例、自然科学と人文社会科学の枠を越えた新しい分野での知見の創出や、産業の視点からの科学技術のイノベーションの可能性を非常に感じました。これらの大学の取組にはそれぞれ特徴があり、実際に成果が出るまでの取り組みも異なるので単にコピーすればうまくいくという、そんな簡単なものではないことは重々承知をしておりますが、例えば学生さんの教育プログラムの改革であったり、大学の教員の意識改革であったり、あと、組織の再編であったり、インキュベーション施設を設置することで物理的な接点を増やすなど、様々な特徴があると思いますが、これらの欧米の大学での成功事例において、何かここは絶対外せない共通項として重要なポイントがあれば教えていただけますでしょうか。

【倉持副センター長】  ありがとうございます。
 アリゾナ州立大学の場合ですと、コロンビア大学におられたMichael Crow、私の資料の13ページですけれども、その方が2002年にアリゾナに移られて、そのときにThe Consortium for Science, Policy & Outcomesというコンセプト、平等だとか正義だとか自由だとかQOL、そういうところ、まだ当時そういう議論が世の中で起きてないときに、やっぱりそこで思い切って振るわけです。そのビジョンがあって、それがもう学生規模も2倍になっちゃったし、外部資金を含む研究費も6倍に増えたみたいな形になって、まさに大学ランキングで最もイノベーティブな大学として8年連続1位になったりと、やっぱり10年、20年の単位で動いている。こういう例から見ても、先を見る力というか、そういうところで組織的に動いてくるところというのがやっぱり非常にインプレッシブな一つの事例だなと。なぜこれがここまでうまくいったのかということについてよく調べる必要があると思いますので、我々も引き続き注目していきたいと思いますけども、この大学については、幾つか既にいろんな分析もなされているようですので、必要であればまた追加的な情報提供をさせていただきたいと思います。
 あとはケンブリッジだとかオックスフォードについては、これは政府の施策というよりは、むしろウエルカムトラストだとか、そういったところの共感を持ってサポートするという部分が先行しているんですね。これはだからAIといわゆるトラストとかって、今我々がこれは大変なことだみたいなことに気づいていることに対して、やっぱり先行的、この場合ですと2016年ですけれども、2016年、そろそろそういう兆しが見えた頃にもう大きく動いている、やっぱりこの辺がマネジメントのある意味の決断というか、すごいものだなという思いをしております。
 ちょっとお答えになっているかどうかですけども。

【片田江委員】  ありがとうございました。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、一旦意見交換の時間はここで1回止めさせていただいてまた、後ろのほうでお願いいたします。次回以降も、必要に応じて最新の調査結果等を御紹介いただく機会を設けたいと思います。
 それでは、さらに議論を進めていただく上で、議題3、続いて「大学の研究力強化に向けた取組」について、事務局より御説明をお願いします。

【馬場室長】  それでは、資料3に基づきまして、大学研究力強化に向けた取組として、総合振興パッケージの拡充に向けた個別施策の取組の状況について、2ページ目の目次に沿って御説明させていただければと思います。
 総合振興パッケージによる支援の全体像については、3ページ目にまとめているとおり、①大学自身の取組の強化、②つなぐ仕組みの強化、③地域社会における大学の活躍の促進という3本柱に沿って関連施策が取りまとめられているところです。
 本日は、①の大学自身の取組の強化について、8ページ目の絵に沿いまして、最初に左上の赤色の部分、今、画面表示します、地域中核・特色ある研究大学の振興について、続いて、下にある青色の部分、大学を超えた連携、最後に、魅力ある拠点形成等による大学の特色化について、現状を御説明させていただきます。
 まず、地域中核・特色ある研究大学の振興について、梅原室長から説明をお願いいたします。

【梅原室長】  産業連携・地域振興課の梅原と申します。
 先ほど御紹介ありましたように、大学研究力強化委員会やCSTIの議論を経て、総合振興パッケージの下に、地域中核・特色ある研究大学の振興に関する事業について、2,000億の予算が配分されています。2階建ての構造になってございまして、基金部分約1,500億円と、施設整備事業500億円の部分から構成されております。
 10ページのように、本事業は、文部科学省で大枠の事業設計を行い、公募も含めて基金の運用は日本学術振興会で行うという立てつけでございます。
 スケジュールのほうは、これまで、3月まで文部科学省の事業設計委員会で制度設計を行ってまいりました。そこで事業の基本方針や骨子が出来上がりましたので、それを基金の造成とともにJSPSの事業推進委員会に引き継ぎまして、今、議論が行われているところです。議論が順調に進みましたら、早ければ5月に公募を開始し、年内に採択大学を決定していくイメージで現在おります。
 また、国際卓越研究大学も、車の両輪ということで、こちらの事業のスケジュールもにらみながら事業を進めていきたいと考えます。
 それで、4月14日に、事業設計委員会の議論を経て、文部科学大臣決定という形で、運用の基本方針、制度の骨子を取りまとめてございます。趣旨といたしまして、例えば日本全体の研究力の発展を牽引する研究大学の形成のために、国際卓越研究大学と同時に、地域中核・特色ある研究大学の機能強化を両輪でやっていくというようなこと、また、各大学の拠点等を核とした研究力の向上戦略の下で、その実現に向けて全学としてリソースを投下していただくような取組について、環境整備を支援していくというような立てつけになってございます。また、地域中核・特色ある研究大学、各大学の目指すビジョンは様々でございまして、基礎研究の卓越性、イノベーションの創出とか、地域課題の解決、そういったものをいずれか、または、組み合わせた形でポートフォリオを描いていただいて、10年後のビジョンを描いていただく、そのようなものをイメージしてございます。
 2点目に、申請方法について、大学の経営改革を問うものですので、大学ファンドと同様、1大学1提案と考えてございます。また、連携大学、参画機関を加えた形での申請を必要に応じて行っていただくと書いてございます。大学間連携のイメージは、例えば小さな規模の地方の大学で、特定分野の研究に一定のクリティカルマスを持たせること、基礎研究と臨床の連携とか、様々あろうかと思いますが、戦略的な御提案をいただきたいと考えております。
 事業内容としては、1提案当たり55億円、そして25件程度の採択を想定してございます。内訳としては、人件費、調査費等様々お使いいただける経費として25億円程度、また、設備の購入費として最大30億円程度を想定してございます。
 申請書類・審査方法でございますけれども、まずは大学の研究力が向上した10年後のビジョンを描いて、そこに至るまでのプロセスを研究力の向上戦略としてまとめていただきたいと思います。そして、予算配分期間である5年間の具体的な道行き、研究力向上計画や資金計画、それを併せて提出いただくことを想定してございます。
 そして、お金を出したら終わりということではなくて、採択大学の戦略の実現に向けて文部科学省、JSPS一体となって伴走支援を行っていくことを事業の趣旨としたいと考えてございます。
 そういったところが今回の基本方針、制度骨子のポイントでございます。
 15ページ以降に、先行して行いました施設整備事業の採択状況について、まとめております。提案件数56件に対して30件の採択をしてございます。
 具体的な採択大学の一覧ですけれども、プレス発表では、実際に予算配分を行う連携大学のみ公表しておりましたけれども、今回この委員会の場で、国際卓越研究大学に申請中の大学と、地域中核・特色ある研究大学を目指す大学の連携の状況が分かるとよいかと思いまして、参画機関も小さな字で書かせていただいております。ほとんどの大学は連携大学、参画機関を加えた形で提出いただいていることが分かると思いますが、このような内容で今回、国立大学22件、公立大学2件、私立大学6件を提案大学とする計画を採択したところでございます。
 また、最後でございますけども、
今回、施設整備事業の審査に当たって、事業審査委員会から総評を取りまとめていただいております。これは、プレス発表の別添とさせていただいております。特に、今回非常に時間が短かったこともあって、大学の皆さんに御苦労をおかけしたことは本当に申し訳ないと思いますけれども、特にやはり、戦略やそれを実行するための取組について、今後、基金本体に申請されるに当たっては、より解像度を高めたり具体化を進めていただきたいと考えてございます。また、ぜひ日本の研究力を牽引する研究大学群の一翼を担っていくというような大きな志を持っていただいて、それぞれの大学が大胆かつ実効的な改革を行って、特定の研究分野の拠点だけ伸ばすというようなものではなくて、学内のほかの組織にもしっかりその効果を波及させるような取組、そういったものを期待していきたいと考えてございます。そういったさらなる高みを目指して、研究力の向上戦略の深掘りを今後の申請に向けて進めていただきたいと考えております。

【柿澤調整官】  続きまして、共同利用・共同研究システム形成事業について説明したいと思います。資料の23ページを御参照ください。
 本事業につきましては、従来、特色ある共同利用・共同研究拠点に対する支援を行っておりましたけれども、令和5年度から新たに学際領域展開ハブ形成プログラムを開始することといたしております。その分の予算額といたしまして、今年度4億円積んでおります。本事業については、全国の研究者が集まる共同利用・共同研究機能を持つ大学共同利用機関や国公私立大学の共同利用・共同研究拠点等がハブとなって行う異分野の研究を行う大学の研究所や研究機関と連携した学際共同研究、組織・分野を超えた研究ネットワークの構築・強化・拡大を推進するものでございまして、本委員会での御意見や学術分科会での御意見などを踏まえまして制度設計を行ってまいりまして、現在、公募に向けた準備を進めているところになります。
 次のページに、公募要領(案)のポイントを掲載しておりますので御覧ください。
 こちら、公募対象とする機関につきましては、中核となる国公私立大学の共同利用・共同研究拠点、大学共同利用機関等となっております。事業内容は、従来と異なる研究機関・研究者コミュニティーと連携するための新たなシステム(ハブ)の形成等に関する計画と、当該計画に基づく新分野への展開、次世代の人材育成、新たな産業連携の創出等に関する構想の実現を推進するものとなっております。採択予定件数については、4から8件程度、経費につきましては、1件当たり5,000万円を基準とし、申請内容や分野特性等を踏まえた事業規模を申請していただくことになっております。本プログラムによる申請支援期間につきましては、最長10年間、5年目終了時を目途に中間評価を実施する予定です。また、関連施策との関係といたしまして、国際卓越研究大学に申請中の大学にあります共同拠点等につきましては、申請機関や参加機関となることは可能です。ただし、国際卓越研究大学の助成との重複がないように調整させていただきます。また、本プログラムにおけます申請機関や参画機関に所属する大学は、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業にも並行して申請が可能となっております。こちらの事業で整備する設備等を本プログラムでも活用し、大学の枠を超えてより多くの研究者が共同で利用し、共同研究を行う機会を提供するなど、両事業計画間の連携を推奨しております。
 今後のスケジュールとしまして、公募開始が5月中旬頃、近日中に開始したいと思い、調整中でございます。募集期間としては約1か月程度で、6月末までの申請を予定しております。4月から8月にかけて審査を行いまして、9月以降に事業開始できるように進めたいと思っております。
 以上になります。

【馬場室長】  最後に、魅力ある拠点形成等による大学の特色化として、関連施策を紹介させていただければと思います。
 まず、26ページ、世界トップレベル研究拠点プログラム、WPIです。
 こちらについては、強化委員会の議論も踏まえまして、今年度は中堅大学など、必ずしも規模の大きくない大学も申請しやすいように、当初段階では現行の7割程度の要求要件とするWPI COREを新たに創設し、また、複数機関によるアライアンスの申請を認め、公募を実施しました。現在、公募を締め切って選定作業に入っておりますが、COREとして17件、アライアンスとして2件申請があり、これまでよりも多くの、また多様な大学からの申請を受け付けることができました。
 また、28ページ目、共創の場形成支援につきましても、今回、育成型を優先して公募することとしておりますが、こちらについても、早ければ今月中の公募開始を目指しています。
 最後に、31ページ目、関連施策の状況です。
 こちら前回の委員会でも御紹介いたしましたが、昨年度末まで10年間実施しておりました研究大学強化促進事業について、32ページ目に記載のとおり、昨年度末に事業が終了し、事後評価を実施しています。
 33ページ目に、事後評価結果の総括を記載しておりますが、報告書の全体版については、既に文部科学省のホームページにも掲載されております。
 34ページ目の一番下にも記載しておりますが、施策の推進に当たっては、事業によって得られた貴重な情報や知見等も十分に活用しながら、施策効果の最大化に努めることとしております。
 また、37ページ目、先ほど吉田委員からもお話ありましたが、今回の事後報告書の中には、各機関における好事例、取組例もまとめております。傍聴されている大学関係者の皆様におかれましても、好事例を横展開する観点でも、ぜひ事後評価書の記載等を御参考いただければと思っております。
 こういった多くの施策が強化委員会の議論も踏まえて進捗はしていますが、地域中核基金はじめ、個別の施策の質問でございましたり、全体を俯瞰してさらなる拡充が求められる施策であったり、また、今後の公募選定に当たって留意する事項、そういったことがございましたら、この後ぜひ御指摘いただければ、全体の流れの中で反映していきたいと思っております。
 事務局からの説明は以上です。千葉主査、よろしくお願いいたします。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関してまず御質問いただいて、その後、全体的なもう少し大きな観点での意見交換などもできればと思っておりますが、いかがでしょうか。まず、今の御説明について、御質問、あるいは御意見いただければと思います。
 野口先生、どうぞ。

【野口委員】  ご説明どうもありがとうございます。
 16ページの文科省補正の施設整備事業の採択一覧を確認しますと、地域という観点から採択大学を確認しましたら、47都道府県中で22都道府県にある大学が採択されています。また採択された公立大学が2件ということですが、現在公立大学は全国に94校ぐらいあると思います。そういった申請状況や採択分布から見て、先ほど馬場室長のほうからもJリーグ百年構想のお話しもありましたが、やはり地域、つまり主体となる自治体の関与というのは非常に重要だと私は思っています。しかしながら、そういう観点から見ると、やや自治体の関与度が薄いのが、公立大学の申請状況や採択数に表れているのではないのかと思います。その点についてのお考えはいかがでしょうか。

【千葉主査】  これは御質問ですね。地域というものの考え方について、いかがでしょうか。

【梅原室長】  公立大学は今回2校の採択でしたけれども、公立大学協会のほうには我々もかなり周知をさせていただいておりまして、ぜひ基金本体の公募に当たっては、多くの公立大学からの応募があることを期待したいと思っております。また、おっしゃるとおり公立大学、まさに地域のニーズを非常に受け止める大学でございますので、そういった取組についても期待したいと思います。
 今回、取りまとめた制度の骨子でも、そういったところは重要視するという形で書かせていただいております。自治体との実効的な連携は3番の目標において重要であると考えております。

【千葉主査】  そうしましたら、続いて吉田先生、お願いします。

【吉田委員】  ありがとうございます。地域中核・特色ある研究大学に関連して、2つほど御質問させていただきます。
 1つは、今回の補正予算による基金と、それから建屋、施設整備、これは地域の大学にとっては極めて大きなインパクトがあって、モチベーションのアップにすごくつながったすばらしい施策だと、そういうふうにまずは評価させていただいております。
 その中で2つ質問のまず1個目は、28ページ、29ページ辺りの共創の場というところなんですが、研究大学群を育てていくには、このWPI、共創の場というのが極めて重要ですけれども、今後、既存の支援を充実させることによって次の芽を育んで、総合振興パッケージの恩恵を受けながら基盤となる組織整備をしていって、こういうスキームに持っていくというのが重要なんですが、29ページのところを見てみますと、今回の共創の場というのは、育成型だけで本格型がなくなったりとか、少し支援が減ってきていると、ややもすると、こういうパッケージができた、あるいは、もう基金があるんだからこういうのをやめてしまおうという雰囲気なのか、たまたま減っているのか、そこら辺とかすごく我々として気になって、ぜひこれはどんどん増やしてもらいたいなというふうに思っているのが1点。
 それから、もう1点は、特色ある研究大学の、今回採択されなかった大学に対してずばり聞きますけど、今後どうするのかと。そのまま切り捨てるのか、あるいは第2、第3の次の矢が準備されているのかと、そういうところを少しお聞きできればと思います。
 以上になります。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。これも文科省ですね。

【梅原室長】  
1点目の共創の場については、先ほど馬場室長からも御説明がありましたように、まさにこういった基金などもできましたので、大学の特色づくり、強みづくりをされることについて、より参入しやすいように育成型を強化する方向で、本年度の予算は組んだところでございますので、先ほど公立大学のお話もありましたけれども、ぜひ幅広い大学から応募いただくことを目指していきたいと考えております。また、この事業の拠点自体は、今、四十数拠点ございますので、今後どれほどの規模までこの事業を行っていくかについては別の議論だと思っており、そこは別途検討してまいりたいと考えてございます。
 また、2点目、今回、不採択となった大学について御指摘がございましたけれども、今回は、あくまで産学連携を目的とした施設整備事業でございますので、基金の本体とは、別途切り分けた形で考えております。今も事前相談等にたくさんの大学さんに来ていただいておりますけれども、基金本体の公募に向けて、今回採択、不採択となったところも、双方が基金を目指していただくべく、我々もしっかり議論させていただきたいと考えてございます。

【千葉主査】  よろしいでしょうか。
 そうしましたら、人間文化研究機構長の木部先生、お願いします。

【木部委員】  どうもありがとうございます。いろいろな支援がなされて非常にありがたいと思いますが、2つ御質問いたします。
 1つは、14ページの評価のこと、大学の評価疲れを起こさないように留意というのは、非常に重要なことだと思うんです。この項目だけではなくて、いろんな事業において重要だと思います。中期目標計画についての評価は若干緩和されたような気がするんですけども、実際に評価疲れがいろんなところでみられるものですから、具体的に評価疲れを起こさないような評価というのはどういうイメージで捉えられているのか、どういうイメージで行われようとしているのかというのを1つお伺いしたいと思います。
 2つ目は、24ページの共同利用・共同研究システム形成事業の学際領域展開ハブ形成プログラムですね。共同利用・共同研究は、ある特定の課題を動かしていくベースになるという目的を持っていますので、そうだとすると、この1件当たり5,000万というのはかなり金額が少ないという気がするんです。これについて、共同利用を運営していくためにはたくさんの機関が関わりますので、金額について今後どういうふうに考えるかということをお伺いしたいと思います。

【千葉主査】  これは事務局からお願いできますか。

【梅原室長】  1点目について、
評価疲れの件ですけれども、現在、実際の運用に向けてはJSPSで議論しておりますので、具体的には今申し上げられませんけれども、書類や、評価の頻度の問題ですとか、そういったところをしっかり考えていきたいと思います。むしろ、今回は伴走支援と書かせていただいておりますけれども、大学自体のありたい姿に対してサポートをしていく形で、大学にしっかり関わっていけるような形にしていきたいと考えてございます。

【黒沼課長】  2点目につきまして、大学研究基盤整備課のほうからお答えいたします。
 学際領域ハブのところの単価でございますけれども、5,000万ということは、新しい分野とのつなぎをつくっていくためのシステムづくりに必要な経費と捉えておりまして、ただ、分野によっては、またさらに大きな費用が必要な分野とかもあろうかと思っております。正直、まだ今年度初めてということもあって、どのような構想が出てくるのか我々も手探りでございます。ですので、構想を見て、単価をちょっと動かせるようにしていきたいということが1点と、今年度の申請の状況を見て、次年度以降、予算要求をどうしていくのかというのは、また改めて検討していきたいと考えております。
 以上でございます。

【木部委員】  ありがとうございました。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。
 この後は、今の事務局からの説明を超えた大きな観点からの御意見とか構想とかを少し自由に述べていただこうと思っております。これに関してなんですけど、私自身の考えで恐縮なんですけれども、今これだけの予算が大学に対して向けられるというのは、10年、20年に1度のような極めて貴重な機会であるというふうに思います。貴重な機会で、これについて、国とか国民の理解や支持が得られないと、結局これだけ多額のものを投入してあまり成果がなかったというような結論になっていっては全く意味がないと思っています。
 ここでやはり重要なのは、大学自身が大きな考え方の変革をしないと難しいと私は思っています。お金がないとできませんというのはもっともでよく分かるんですけども、それだけを言っていると、結局、いろんな国全体の、こっちもお金がなきゃできません、こっちもお金がなければできませんというように、ただただそれの話が拡散するだけで、結局は本質的に大学の力につながっていかない可能性があると思っています。ですから一番大事なことは、今回、大学が大きく変わって成長するきっかけとしての資金、これぐらい必要だという考え方はいいんですけど、それにかかわらず、本当にどういうふうにしていこうかという形で、どうやって力を調達して、外からの力も得ていくかというところを真剣に考えて実行していかないと、先ほど評価の話もありましたけども、結局、表面的な評価になった、比較的よかったとか数字満たしましたねという形になってしまうのではないかというふうに思っています。
 この考え方に立つというのは物すごく大事で、実はこれがなかなかできてないんです。特に国立大学の場合、支援の割合も私立大学の皆さんに比べれば多いということもあって、考え方の変革が実質的には非常に遅いのではないかと。これは全体観に立ってあえて申し上げているんですけど、ここの部分の覚悟とか、あるいは構想、ビジョン、その部分。それから、実際に教授会等々をこの考え方で広めていくのは大変な苦労があると思います。ですから、こういう場に出ていただいている先生の間では、こうすべきだって話はどんどん前に進むんですけれども、一歩大学に戻ると、なかなかそこまで意識の改革ができてなくて、かなりそこに押されてしまうという、そういう現状もあると思いますので、この大きな問題について、まず多分ここにいらっしゃる委員の先生方はある程度は皆さん共有していただけるかなと思うんですけども、そういうことも踏まえて、じゃ、本当に日本中で理解を得て、大学の力が増すにはどうしたらいいんだろうか、この辺りで少し御意見をいただけるとありがたいと思っています。必ずしも私の意見と一緒じゃなくて結構です。違いますという話でもいいですし、その辺いかがでしょうか。
 まず、那須先生、お願いいたします。

【那須委員】  岡山大学の那須でございます。この4月から学長を務めております。
 直近の4年間、研究担当理事として、個別の施策にどっぷりつかって右往左往をしてきましたが、学長となり、今日この委員になって、千葉先生から最初に一大学のことを考えるのではなくて全体のことを考えると言われ、頭をがんと殴られた感じがします。資料2-1の36ページに、百年構想というのは、馬場室長の強い思い入れがあってこの百年構想が出たと思いますが、私もこれを見て、やっぱり国家百年の計は人材育成にあるということになりますし、ここの議論の中で私は、大学の百年の計とまでは言わないまでも、一般のステークホルダーの方に対して、大学はどう変わりたいんだという、多数のステークホルダーの方に分かりやすいメッセージをここの議論の中で出す。私も、先ほど千葉先生がおっしゃったように、ここの皆さんはすごい高い意識があるんですが、いざ自分の大学に帰ると、なかなかいろんなことがあるということで、岡山は山田方谷という方がおられて、「事の外に立ちて、事の内に屈せず」という大きな改革の言葉があります。まさにそういった思いで、ここの議論の中でそういった内側の方へメッセージ、ステークホルダーの方へのメッセージも併せて出されたらいいなと思いました。意見です。
 以上です。

【千葉主査】  那須先生、ありがとうございます。
 では続いて、荒金先生、お願いします。

【荒金委員】  ありがとうございます。千葉先生が先ほど投げかけていただいたことには大変私は共感いたします。
 今回のメンバーで数少ない企業出身の者ということで、研究ももちろんやっておりましたが、最初に倉持副センター長のほうから示唆に富んだ、また今後に向けてこうあるべきじゃないかというお話がありましたけれども、それらはまさに今、各企業が生き残りをかけて議論している内容でして、企業の場合は、それができれば生き残れる、できなければ潰れてしまうという、そういう瀬戸際にあるわけなので必死でやりますよね。大学においても経営的な観点をやっぱり入れなければという、大きな変革の視点が今回入ってきているのは大変すばらしいなというふうに私は思っています。今日も全体いろんなお話が出ているんですけども、やっぱり最終的には、個々の研究とか連携とか、そういう話ではなくて、経営のマネジメントとして、いかに大学自身が先の見える力を養うかとか、企画設計ですよね、実際、じゃ、それに向けて何をやるかという設計能力とか、そういうところを高めないと、いわゆるグローバルにも対抗できないというのは目に見えてきたのではないかと思うので、その辺りをちゃんともっとメッセージすべきだと思いますし、そこをどうやって解決していくかということに関して、いろんなサポートができるような施策を進めるべきではないかなと思います。大学の方たちも、まだまだそこの認識が少しまだおぼつかない面があるのかなと。
 パッケージの事後評価というのは大変いい仕組みだと思います。もちろん自分たちの評価をして、そこから全てがスタートするんですが、私、幾つか見させていただいたんです。全体的に見てみんな甘い、自己評価が高過ぎるというんですか、そういう感じもしましたので、やっぱりちゃんと自分の立ち位置が分かって、将来どこに行くかという、そういう議論がちゃんと大学でできるということが今後ますます必要じゃないかなと思っています。コメントになりますが。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 続いて、また、企業から、梶原先生、お願いします。

【梶原主査代理】  どうもありがとうございます。
 私も企業の立場になりますので、大学の実態をつぶさに分かっているわけではないのですが、荒金委員が御発言された内容と同じ印象を持っています。例えば資料2-1の35ページに海外大学の取組事例や、研究力を強化する7つの実践例を見ると、大学自らが実践する改革の姿が参考にできるに違いないというと思います。あとは、同じように主要国の取組事例からの示唆というような表現で、倉持副センター長からの説明の中で、諸外国では大学独自で構築能力に取り組み、その基盤の上に政府や民間企業等からのプロジェクトを呼び込んでいるとありました。こういう表現を見ると、まさに、大学自身でマネジメント改革をする、そこが最初の入り口だと思います。その前提の中で進んでいくということで、今回の国際卓越研究大学や地域中核・特色ある研究大学統合パッケージの両方ともに通じる部分と思いますが、これらの事業に応募することは、日本の大学自らがそのミッションをそれぞれ果たすことにつながり、改革実践へ向けてステージアップする機会になっているのだと改めて思いますし、そう信じていたいです。
 これまでなかった羅針盤という概念が初めて取り入れられ、各大学が自分の立ち位置を客観的に見て、各大学がどこに変革ポイントを置いて、例えば基盤を確立するとか、改革の方向性での特徴やユニークさを際立たせる等、そういったことを示すこと、いわば、応募をすることによって改めて俯瞰して物事が見えているのではないかと思います。ですので、ほかの会議でも申し上げましたが、このような新しい事業に応募してよかった、応募すること自体が価値のある取組におそらくなっていっていくのではないかと思って見ています。
 ですから、先ほど梅原さんからの説明もありましたけれども、採択されなかった大学に対して、どこが今後の改善ポイントなのかをアドバイスしたり、今後の一層の変革に取り組んでもらうためのヒントを出したりすることが求められると思います。一方、採択となった大学に対しては、どういう特徴があって、それをどう実践的に取り組んでいくのかということ、そして、社会に対する発信を多くすることによって、大学自身がこうやって変わっていく、変わっているよという変革ムーブメントを起こしていかないといけないのではないかと思います。ちょうど資料2-1の35ページの右上の出典のところで、「大学ブランドをつくる人材育成」という表現がありますが、まさにそういうことを世の中に発信することで大学ブランドをつくって、大学が社会に認知されて、そのブランドが確立されて魅力的に選ばれる大学になっていただきたいと切に思います。
 先ほど荒金委員がおっしゃったように、企業ではいかに社会に認知されて、ブランド力を醸成・発信し、魅力的に選ばれる企業になっているか、あらゆるステークホルダーに対して選ばれる企業になっていないともう存続できないという状況にあるので、そういった危機感のところの話から入りますが、ぜひ大学のほうでもマネジメントの組織力をある意味変革していっていただきたいと思います。変革というと、企業の中ではよく既得権益が破壊されるという表現もするんですけれども、まさにそれに関する取組内容を審査において加点していく、そんな動きをしていくと、逆にブーストしたり、エンカレッジしたりできていくのではないかと思います。ぜひ大学の経営力改革に邁進していただきたいと思いますので、私からはお願いということでコメントさせていただきます。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 この間にあと9名の委員から手が挙がっていますので、残り時間を考えると、本当に1分のエレベーターピッチで、おっしゃりたいことを手短にまとめて御発言いただけるよう願います。
 それでは、広島大学の新福先生ですか、お願いします。

【新福委員】  私も、千葉先生のおっしゃっていただいたことに非常に共感していまして、また、私はこの2年間、国際広報の副学長を担っていることもあり、広報の活動に携わることが増えております。この中で、今回のお話ですと、これまでの先生方のおっしゃっていることを実際に行っていくには、非常に国内広報、また国際広報の重要性というのが浮かび上がるかなというふうに思います。まさしく地域中核大学ですとか、やはり地域の、先ほどの馬場室長のJリーグの話もありますけれども、そういった展開をしていくには、まず市民の方々にご理解いただくということ、そのために大学から発信する科学研究の情報を非常に分かりやすくしていくということが大事ですし、また、国際展開ですとか研究力を牽引する研究大学群の一つになっていくのだという覚悟を決めていくには、世界に向けた発信、国際展開というのが不可欠になってくると思っています。その点で、先進人材ですとか研究の先端分野に投資していくというのも非常に大事なんですけれども、それと同じぐらい、こういった事務ですとか広報の能力に力を入れていくというのが非常に大事なんじゃないかというのがまず1点です。
 もう1点は、若手の採用及び安定的なポジションがこれからもっと重要になるのではないかという点です。今回、人材育成については、倉持先生からも非常に重要性が強調されたかと思います。ただ、私、研究費部会のほうにも入っておりますと、科研の申請数、39歳以下が減っている、若手がそういった科研を申請できないようなポジションにいる、申請ができていないと、つまり常勤のポストにいる研究者がどんどん高齢化をしているというのが非常に懸念されるところでございます。ですので、各大学の若手の採用を後押しするとともに、こういった政策が若手研究者にとって本当に魅力的なのかというのを若手研究者と意見交換するというのは非常に重要だと思っておりまして、研究環境ですとか評価方法が、まさしく若手が思うようなものとの認識とずれがないのかということをぜひ意見交換していただければと思います。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、続いて西村先生ですね。お願いします。

【西村委員】  すみません、ちょっと手短にしゃべれるかどうか分からなかったんですけども、1点は、今の大学は駄目なのかということをもう1回見たほうがよくて、僕は持っている力はあると思っています。ですから、高橋委員もおっしゃっていた、使い倒すというんですか、今までの投資を使い倒すということはかなり重要な点かなと思っていて、そのときに、この政策もそうですし、大学のいろんな提案を見ていても、全部物すごくお行儀がいいんですよ。世界のトップに立つということは世界と戦うということなんで、戦うための爆発力がなきゃいけないんだけども、そこが出てこない。何で出てこないのかなというと、さっきの千葉先生のお話じゃないけど、千葉先生は爆発力を持っているんですね。ただ、組織に入ってしまうとその爆発力が発揮し切れないという組織的なジレンマがあるというんですね。
 もう1点は、研究者も爆発力を出せているのかということなんですよ。この1点目は、僕はCOI-NEXTやっていて、トップレベルの先生たちを選んでハンズオンしていると非常に気づくことがあるんですけども、物すごく制度上で彼らが忖度しながらやらなきゃいけないということで、ある面、予算をもらったことによってできなくなっていることがあるんじゃないか。だから、そういう何となく日本の社会というのは、みんなで気を遣い合いながら、80点、90点で収めてしまうように暗黙のうちになってないかということなんですよ。だから、爆発力を発揮させるような環境をつくるということがかなり重要かなと思っていて、1点は、爆発力を持った人間はまずできるかなと思います。ですから、若手の研究者に対して、ハンズオン支援ってありましたけども、研究成果は社会を変えるという経験をさせるということですよ。これはビッグ予算だからできるはずなんですよ。でも彼らと話をすると、総合知はそこまでないです。だから、ある部分が弱いところがある。だったら、それが分かる爆発力を持っている人間をつけて、共に創り上げるような仕組みで経験させるって結構重要なんですね。大学の中で結果を出すというレベル感が高くなれば、若者、若い研究者がそれを経験すればそれが当たり前になってくるんですよ。当たり前だと見てたら、それを最初から当たり前だと思う人たちが次に続くんです。こういうふうな連鎖を起こすべきだと思うと、これはやっぱり百年構想でやるべき、Jリーグが強くなっていったというのは、人が入れ替わっていっても、最初から来るメンバーはそのレベルで来るということなんです。それが積み重なっていって、やっぱりワールドカップで勝てるということですよね。私、今、国立大学の話に結構近くなったんですけども、それをやらなきゃいけないなと思っています。
 できるのかというと、制度上でできないことは今ないです。私、個人としてやりました。個人としてやって、できるというのが分かったんです、自由に動けるのは。ただし、組織として動かすとしたら、副学長として8年やりましたけど変えられなかった。これは日本人社会である悪平等のせいだと思うんですよね。だから、その悪平等をやめて突き抜けた人間をつくって、それが爆発力を発揮したら、ここまで社会に貢献するというような大学だっていうのを見せつけて、それが当たり前だという雰囲気をいかにつくっていくかです。こういうことが私は必要かなと思って聞いていました。
 すみません、ちょっと取り留めない意見ですけど、私はそういうふうに感じました。

【千葉主査】  力強い御意見ありがとうございます。もうそういう気持ちで臨まなければいけないということでよく理解いたしました。
 続いて、小野先生、よろしいですかね。

【小野委員】  小野です。2点ほどあります。
 1つは、ありたい大学像、ビジョンを掲げるということをもっと強調してもいいのかなと思いました。私は、都市計画が専門で、研究者としてだけでなく、都市計画の専門家として地域の多様なステークホルダーと地域ビジョンを策定したり、それを実現するためのプログラムを動かしたりということをしています。その経験から、やはり地域側からは、大学はまだまだ敷居が高かったり、何をしているか分からない、どんな先生がいるのか見えづらいといった、高い壁のようなものが感じられると指摘されることがあります。そういう意味で、大学のビジョンを地域に発信する、世界に発信するということが重要かなと思います。今の文脈では、大学内の職員に共有するというところにとどまっているので、社会への発信をしっかりやっていく必要があるのではないかと思っています。
 また、研究評価のアンケートを学術会議若手アカデミーで実施しましたが、研究者自身ありたい研究者像をきちんと発信して、それを評価してもらう、そういう姿勢も重要だろうという議論をしました。自分がありたい研究者像を実現できる大学を見つける、大学と研究者のマッチング、人材獲得とか人材の流動性という意味でも、大学がビジョンを掲げることは意味があるのかなと思います。
 2点目は、私自身の比較的アーリーキャリアの研究者としての苦労から来るものですが、若手の研究者や学生の育成を自分ひとりで行うことが非常に難しいと感じています。私はPIになってまだ数年ですが、自分が抱える学生を基本的には自分一人で指導しています。今、専門性が深くなるとともに、周辺領域が広がっていて、自分の知識・技術をアップデートするだけでも大変な中で、新しい・異分野の知識・技術も入ってきて勉強しなければならないことがどんどん増えています。そうした中で、今後活躍できるような若手を育てようと思ったときに、一人では教えられることは限られています。大学間連携に一つ期待したいのは、学生たちの研究指導において組織、大学を越えて研究指導員をつけるといった、組織を越えた研究者のシェアです。そうすることで研究者自身の知識・技術の効率的なアップデートや新たな研究の展開にもつながるのではないかなと期待しています。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは続いて、柳原先生、お願いします。

【柳原委員】  手短にいきます。
 企業のお立場で、先ほどおっしゃった大学のマネジメント改革と、危機感から入るとか、その辺は全く同感です。それから、昨年も申し上げましたけれども、設計する力、すなわちプロデューサー人材、これが必須、必要不可欠。さらに、トランスサイエンスですね。大学が中心ではなくて、中心に社会課題とかを置いて、それを解決するプラットフォーマーに大学がなっていくということです。そのときに地域を含むステークホルダーたちのコミュニケーションと合意形成が大事だと思っています。それから、無形資産、無形資産という目に見えない価値をもっと訴求していくこと。これは大学には必要だと思っていまして、知財、論文だけではなく、先ほどありましたブランド、ブランドと言ってもいろんな意味を含んでいます。人材もあります。そういったところの価値を最大化していくことが大事です。最後に1点、人口減少の問題をやっぱり考えなくちゃいけないと思っていまして、地方中核大学の規模感とか、そういったところを考えたときに、やはりある程度の選択・集中が要るかと思っています。やはり人的リソースが一番の勝負になるので、その辺りを今後施策の中に入れていくべきではないかと思っております。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 では、続いて野口先生、お願いします。

【野口委員】  那須先生や新保先生、小野先生がおっしゃったように、やはり人材育成の観点はとても重要です。27ページで馬場室長がお話された「(参考)研究大学とは?」のところでも、大学院教育と博士学生数の2つは非常に重要視しています。つまり、政策展開として大学院強化を資金でコントロールするのではなくて、博士学生の価値向上、そのことは博士学生のキャリアパスにつながるので、大学院強化を博士学生の価値向上でコントロールできるような施策を打つべきであると考えます。10兆円ファンドの運用益の200億は博士学生支援に回すということなので、これを経済的支援のみならず博士学生の価値向上に転換できるような施策展開につなげていければ効果的であると思っています。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 では続いて、相原先生。

【相原委員】  それでは、公立大学の立場で話させていただきます。
 先ほど千葉先生が、大学や教員の考え方の変革が重要ということをおっしゃいましたけれども、全くそのとおりだと思います。それにもう一つ加えて、公立大学では、設置団体である地方自治体の考え方の変革がやはりとても重要だと思います。総務省から地方交付税として入った国の税金が、運営交付金として公立大学には入ってくるわけですが、地方自治体の感覚としては、地域の住民の税金を大学に入れているという感覚が非常に強いところがあると思います。地域貢献だけでなく日本の研究力全体を上げようとする場合、公立大学はその理解を得るのが難しい場合もございますので、そういうことを、国から公立大学を設置している自治体にもできるだけアピールしていただければと思います。
 以上です。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 今、予定した時刻になっているんですけども、まだ挙げてくださっている先生が4名ほどいらっしゃいますので、御発言を続けてお受けしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、吉田先生。

【吉田委員】  ありがとうございました。
 地方の大学という立場から発言させていただきますと、地方の大学は、今もう高齢化、それから物資の高騰、電気代、それから人件費の高騰、これでもうほとんど経営はきゅうきゅうの段階になっていて、とても単独の大学で幾ら心を改めて発奮しても、なかなか追いつけない状況、そういうことを考えたときに、やはり連携ということが極めて重要であることを私は強調したいというふうに思います。単なる連携ではなくて、人材の共有であるとか教育の共有、それから共同研究の実施、やっぱり実のある連携をすることこそ世界に追いつける。時間がないですから、そういう連携を推進していくことが重要だということだけ強調させていただきたいと思います。それをしっかり評価していただきたいというふうに思います。
 以上になります。

【千葉主査】  ありがとうございます。
 それでは、山崎先生、お願いします。

【山崎委員】  こんにちは山崎です。私は、元大学関係者、今はもう無関係の関係ですので、勝手なことを言うと思って聞いてください。
 国際卓越と地方中核、これは両輪だと言われて、投資されるお金は大分違うんですけども、いずれにしても、全部の大学を救おうという感覚ではないということは確かなので、この規模感がこれでいいかどうかというのは、やっぱり新しいメンバーが加わったこの委員会として1度は議論してほしいな!というふうに思いますというのが一つ。
 大学は、基本はキュリオシティー・ドリブンの研究を推進するところだというのは古い、我々(世代)の感覚なんですけども、そんなので国はもう生きていけないところまで来ているのに、何のんきな議論をみんなでしているの?という感覚をだんだん持ち始めています。つまり大学こそがこの国を救う最後の手段、砦であるというふうに捉えてほしいなというのが私からのメッセージです。ですので、どうあるべきかというその自由度は大事ですけども、一固まりとして各大学が特色を持って、この国の発展、V字回復をするために世界との競争力をどうやって回復するかというところに力点を絞って、何をすべきかということを考えるべきじゃないかな?と。それをやめるならやめるんでいいんです。そういう大学もあって、人材育成だけで頑張りますというのはあっていいと思いますけど、もうそんなレベルは超えている。みんなで何かを一生懸命頑張って考えて大学改革しましょうというレベルはもう終わっているというふうに思います。なので、各大学は、結局何をやりたいか、ビジョンを掲げたらいいと思うんですが、その中で、おれの大学はこういう戦略で行くんだ!というのは、それはいろいろ自由度があってしかるべきです。だけども、やっぱり結果に責任を持ってほしいというのと、時間がないということをもう少しみんなで意識をして、限られた時間でその成果をどう出すかということに議論が集中されるべきだなというふうに思います。
 なので、地域中核、今、私も関与していましたけど、30も(の大学に)施設整備の費用出しちゃっていいのか?というふうに思ったりもして、もっとぎゅっと絞ればいいのにというのは個人的には思ったんです。なので、どうするんだというのと、たくさんある大学全部を護送船団で助けようなんていう感覚はもうみんな捨てて議論しませんか?というのが一番。今日は初めですのでそれ以上詳しいことは言いませんけど、多分みんなで議論していることは、もう少し黒船が目の前にいるという感覚で、ここの大学、あの大学、いやいや大学1個では駄目なんだから地域ごとに大学群は束になって頑張ろうぜと、世界に打って出ようぜというぐらいの議論でないといかんなというふうに思いました。
 ちょっと後ろがつかえいて、本当は途中で逃げる予定だったんですが、なかなか、ちょっと大臣が来ていましてどうにもならないんで、大野先生、後はよろしくお願いします。僕、この辺で逃げます。よろしく、失礼します。

【千葉主査】  どうもありがとうございます。
 続いて、大野先生、お願いします。

【大野委員】  どうもありがとうございます。
 我々には時間がもうないということで、切迫感を非常に共有したいと思います。今回、新たに投資がなされていますので、それに対して、従来の研究成果というイメージに加えて、軸としては社会との共創や社会課題の解決、あるいは、倉持さんのお話であれば、新たな社会の流れを示していくのが研究大学の在り方だと思います。それのために、やはり、戦略性を持った多様な大学群が必要だと思います。そういう意味で、今回の様々な施策の対象となる大学の選考方法、それに付随するメッセージの発し方が適切であってほしいと思います。審査の基準がこうで、評価がこうだと言った瞬間に、皆さんが一様な方向に走り出しますので、そうならない仕方ということをぜひ工夫していただいて、多様な大学群をつくっていただきたく思います。社会との共創も社会課題の解決も多様性が重要です。そういう観点から皆様と議論していきたいなと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。

【千葉主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、最後ですけど、小林先生、お願いします。

【小林委員】  ありがとうございます。
 前回の研究力強化委員会はかなり活発に議論して、大きな予算も取れたので、事務局も含めて、非常に機動的によく進んだと思います。その中で議論が残っているのは、資料ナンバーの04の参考資料1の1ページ目の一番最後の段落にも「研究者が腰を据えて挑戦的な研究に取り組める環境を充実し、博士後期課程学生のキャリアパスの不透明さや若手研究者の雇用の不安定さ、自律性の弱さといった若手研究者を取り巻く厳しい環境の改善に取り組むべきである」というふうに書かれているように、また、先ほど吉田先生や新福先生も少し述べられていましたけども、やはり若手研究者が安心して研究できるという環境整備というのも一つ大事なことだと思いますので、もし可能であれば、そういう若手研究者の生の声をヒアリングで聞けるような、そういう場が持てればいいかなと思っています。
 私からは以上です。

【千葉主査】  どうもありがとうございました。
 今日、委員の先生方から非常に活発に御意見をいただいて、本当はもっと時間を取って意見交換したいなと私は思って伺っておりました。大変大事な観点でのお話をいただきましたので、次回以降またこれをつないで、さらに深めていきたいというふうに思っております。
 それでは、最後に事務局のほうからお願いいたします。

【柿澤調整官】  事務局になります。
 本日は、非常に活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。井出副大臣にも、後半の御議論を聞いていただいております。
 それでは、事務的な御連絡ですけれども、本日、時間の関係で御発言などできなかったこともあるかと思いますので、何かございましたら事務局までメールなどでお知らせいただければと思っております。
 また、本日の議事録につきましては、運営規則に基づき公表いたします。事務局にて議事録の案を作成の上、委員の皆様に御確認させていただきますので、御承知おきください。
 次回、第2回大学研究力強化委員会は、6月28日の開催を予定しております。詳細については、事務局より追って御連絡させていただきます。
 事務局から連絡は以上になります。よろしくお願いします。

【千葉主査】  時間超過してすみませんでした。
 それでは、第11回大学研究力強化委員会、これにて終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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