科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会(第1回)議事録

1.日時

令和3年12月1日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 大学研究力強化委員会の設置等について
  2. 大学の研究力の現状・課題等について
  3. 大学研究力強化に向けた取組
  4. その他

4.出席者

委員

  (主査)大野英男委員
  (委員)相原道子委員、伊藤公平委員、受田浩之委員、梶原ゆみ子委員、片田江舞子委員、小長谷有紀委員、小林弘祐委員、新福洋子委員、髙橋真木子委員、林隆之委員、福間剛士委員、柳原直人委員、山本佳世子委員、山本進一委員、吉田和弘委員

文部科学省

  (事務局)田中文部科学副大臣、柳文部科学審議官、池田研究振興局長、千原科学技術・学術政策局長、坂本大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育局連携担当)、氷見谷科学技術・学術総括官、
   森田大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術学術政策連携担当)、奥野振興企画課長、堀野国立大学法人支援課長、井上産業連携・地域振興課長、馬場大学研究力強化室長 他

  科学技術・学術政策研究所

  佐伯科学技術・学術政策研究所長、伊神科学技術予測・政策基盤調査研究センター長

5.議事録

【小久保調整官】 皆様,お待たせいたしました。定刻となりましたので,ただいまより第1回科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会を開催いたします。改めまして,委員の皆様ほか,本日は大変お忙しい中,御出席をいただきまして,大変ありがとうございます。
会議の冒頭,事務局にて進行をさせていただきます。
なお,本日,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,オンラインを交えた開催とさせていただいております。音声などに不都合がある場合には,随時,事務局まで御連絡をいただければと思います。
オンライン会議を円滑に行う観点から,事務局より何点かお願いでございます。
遠隔で参加の皆様におかれましては,発言時以外,マイクをミュートにしていただき,御発言の際は「手を挙げる」のボタンを押していただければと思います。若しくは,カメラに写りやすいように手を挙げていただければと思います。
これ以降は出席者全員の方々へのお願いですけれども,御発言の都度お名前をおっしゃっていただきまして,それから,資料を参照する際は,資料番号,ページ番号,ページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただければと思います。
本委員会ですけれども,原則公開で行うこととしております。本日,事前登録いただいた方に動画配信をしております。傍聴者は約300人弱というふうに伺ってございます。
冒頭のみ,報道機関の方による撮影を認めさせていただいているという状況でございますので,どうぞ御承知おきください。
それでは,委員会の開催に当たりまして,田中文部科学副大臣より御挨拶を申し上げます。副大臣,よろしくお願いいたします。

【田中副大臣】 文部科学副大臣の田中英之でございます。このたびは,大野主査を始め委員の皆様におかれましては,大変お忙しいところ,大学研究力強化委員会の委員をお引き受けいただきまして,誠にありがとうございます。文部科学省として心からお礼を申し上げます。
岸田政権の成長戦略の第1の柱は,科学技術立国の実現であります。我が国の成長とイノベーションの創出に当たって,大学の研究力を強化することは極めて重要であります。本委員会では,世界と伍する研究大学のみならず,多様な研究大学群の形成に向け,大学が強みや特色を伸ばし,研究力や地域の中核としての機能を強化する上で必要な取組や支援策など幅広い観点から議論を行っていただきたいと考えております。
今回,国公私立大学の関係者のみならず,若手研究者や産業界の方など有識者に御参画いただいております。是非とも忌たんのない御意見を賜れれば有り難いと思っております。未来の先行投資を担う文部科学省として,日本の確かな未来のために,本委員会での議論を我が国全体の研究力強化にしっかりとつなげてまいりたいと思っております。
改めて委員の皆様の御協力にお礼を申し上げますとともに,今後活発な御議論をお願いして,私からの冒頭の御挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございます。

【小久保調整官】 副大臣,ありがとうございました。
副大臣は,他用務のため,ここで退席をさせていただきます。

(田中副大臣退室)

【小久保調整官】 また,報道関係者の方におかれましては,撮影はここまでとさせていただきたく,お戻りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

(報道機関退室)

【小久保調整官】 それでは,進行させていただきます。
本委員会ですけれども,資料1-1にございますけれども,本年10月13日の科学技術・学術審議会の決定により設置をされております。
本委員会の委員につきましては,資料1-2にありますが,そちらに委員の名簿がございます。こちらに記載のとおり,17人の委員にこのたび御就任をいただきいただきました。大変お忙しい中,ありがとうございます。本来であれば,各委員お一人ずつ御紹介をさせていただくべきところでございますが,時間の関係上,大変恐縮でございますが,この名簿をもちましての紹介とさせていただければと思います。後ほどの質疑等の際に一言いただければというふうに思います。
なお,出欠状況でございますけれども,本日,藤井委員が御欠席,また,小長谷委員におかれましては遅れて御出席と聞いております。
続きまして,本委員会の主査につきましては,科学技術・学術審議会運営規則第6条第3項に基づきまして,科学技術・学術審議会会長が指名することとされており,大野委員が指名されております。
あわせて,主査代理につきましてですけれども,同規則の第6条第7項に基づきまして,本委員会の委員の中からあらかじめ主査が指名することとされており,大野主査より梶原委員を指名いただいております。
また,文部科学省の出席者につきましてですけれども,柳文部科学審議官,千原科学技術・学術政策局長,池田研究振興局長以下関係職員が出席をしております。
続きまして,配付資料の確認でございます。本日は,議事次第に記載のとおり,資料1-1から資料3,そして,参考資料1につきましては1から4という形で配付をしてございます。委員で遠隔で参画の皆様には,議事次第,資料,参考資料の3つのPDFをお送りしておりますので,御確認をお願いいたします。
参考資料3,4につきましては,本日説明の時間がございませんけれども,10月の科学技術・学術審議会の総会で御議論をいただきいただきましたエビデンス分析の資料と,審議会当日の委員からの指摘事項を参考に配付をしてございます。
以上,事務局による説明でございました。
それでは,この後の議事については大野主査から進行をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【大野主査】 大野でございます。改めまして,主査に指名されました。どうぞよろしくお願いいたします。それでは,これからは私が進行させていただきます。
それでは早速ですけれども,議事に入りたいと思います。まず議題の1番,大学研究力強化委員会の設置等についてでありますが,委員会の運営規則の案について事務局から御説明をお願いいたします。

【小久保調整官】 事務局でございます。資料1-3,通しページでいうと4ページになりますけれども,御覧いただければと思います。初回でございますので,本委員会の運営規則についてお諮りをさせていただきたいと思います。
内容につきましては,類する委員会を参考に案として作成をいたしております。ポイントといたしましては3つございます。1つ目は,2条2項にありますけれども,委員の皆様等は,情報通信機器を利用して会議に出席することができることとなっており,新型コロナウイルスの感染防止の観点,そして,委員の御負担の軽減という観点も含めまして,このような規定とさせていただいております。
2点目ですけれども,会議の公開についてというところで第4条でございます。委員会において非公開とすることが適当であるものと認める案件を除き,基本的には公開という形でこの委員会を進めさせていただければと考えてございます。
3点目ですけれども,5条の議事録の公表というところでございます。議事録を事務局で作成いたしまして,主査,委員等にお諮りをさせていただいた上で,公表という形で進めたいと考えてございます。
運営規則の案の御説明については,以上でございます。よろしくお願いいたします。

【大野主査】 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について何か御質問あるいは御意見ございますか。
よろしければ,運営要綱につきましては,案のとおりに御承認を頂くということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【大野主査】 ありがとうございます。
それでは続きまして,大学研究力強化委員会の主な検討事項等について,こちらも事務局から御説明をお願いいたします。

【馬場室長】 ありがとうございます。大学研究力強化室の馬場と申します。それでは,私の方から,資料1-4に基づきまして,改めて本委員会の設置の背景や当面の検討事項等について御説明させていただきます。資料1-4を御覧ください。
まず1ポツ,設置の背景です。こちら,文部科学省におきましてはこの10月に組織を再編しております。大学,大学共同利用機関の研究力強化のための体制整備を図ることとしており,研究振興局を中心に大学の研究力強化に向けた政策を総合的に推進することとしております。このため,学術機関課の所掌範囲を拡大し,この10月に名称を大学研究基盤整備課に改めるとともに,同課に大学研究力強化室を新設したところでございます。
2ポツ,本委員会の役割です。大学研究強化室においては,大学の研究力強化の要請が特に高まる中,個別大学の特色・強みに基づく研究の実態を踏まえ,我が国の大学における研究全体を俯瞰した政策の企画・立案,推進といった,これまでの文部科学省では十分担うことができていなかった総合的な政策に関する機能を担うこととしております。そのような中,冒頭説明でもあったとおり,現在,政府部内において,科学技術イノベーションの源泉となる大学への期待が高まる中,矢継ぎ早に様々な政策が打ち出されているところではございますが,幅広い観点から恒常的かつ機動的に議論を行うため,このたび科学技術・学術審議会に大学研究力強化委員会を設置したところでございます。
本委員会の主な検討事項については,2ページ目を御覧ください。今年の3月に閣議決定されました第6期科学技術・イノベーション基本計画におきまして大学に関わる多くの記載がありますが,最後の丸にあるとおり,大学の研究力強化を図るため,2021年度から文部科学省における組織・体制の見直し・強化を進め,第6期基本計画期間中を通じて,国公私立大学の研究人材,資金,環境等に係る施策を戦略的かつ総合的に推進するとされているところです。本委員会では,第6期基本計画中,すなわち,この5年間において,本委員会での議論をしっかり踏まえて具体的な施策を展開していきたいと考えているところでございます。
下半分に3つの柱で整理しております。まず1つ目の丸,我が国の大学の研究力の現状分析や研究力強化に向けた施策の検討です。この後,本日の前半の議題として佐伯所長から話題提供いただきますが,まず我が国の大学の研究力の現状について,科学技術・学術政策研究所(NISTEP)等の分析も踏まえつつ,大学の研究力強化に向けた課題やこれまでの取組等を整理していきたいと考えております。その上で,来年の夏の概算要求等も視野に,必要な施策の検討や,制度改正はもちろん,すぐには解決できないような中長期的な課題についても継続して調査・審議してまいりたいと考えております。
なお,エビデンスを踏まえた議論が重要であることは論をまちませんが,議題に合わせて,具体的な好事例や関連する取組について委員の先生方からも話題提供をお願いしたいと考えているところでございます。
続いて,2つ目の丸,世界と伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドの創設についてです。こちらについては,総理を議長とする総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)において,今年度には報告書を取りまとめる予定となっております。令和6年度の支援開始に向け様々な動きも想定されますが,本日も文部科学省に設置した検討会議の状況を御報告させていただきたいと思います。本委員会においても継続的に進捗状況を報告していきたいと考えているところでございます。
最後に,3つ目の丸,地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージについてです。本日の後半の議題でも御紹介させていただく予定ですが,今年度中に政府として総合振興パッケージを策定予定となっております。パッケージ策定に向けて,これまでの文部科学省の検討状況を報告させていただき,強化委員会の議論をパッケージにも適宜反映していきたいと考えています。さらに,①の具体的な施策の立案とも連動しますが,この総合振興パッケージも踏まえ,大学の強みや特色を伸ばす取組の強化や,地域の産学官ネットワークの連携強化,地域社会における大学の活用促進に向けて,まずはこの夏に向けて具体化・実質化に向けた議論を重ねていきたいと考えているところでございます。
事務局から説明は以上でございます。

【大野主査】 どうもありがとうございました。大学等の研究力強化全般にわたってここでは調査・審議,そして,議論をさせていただくことになりますが,役割が大変重要になっております。皆様とともに審議を進めていきたいと考えてございます。
この後の今日の議事に関しましては,議題2で大学の研究力の現状・課題について,今お話がありましたように科学技術・学術政策研究所より分析を御紹介いただき,その後,一定程度の時間を取って,御質問,そして,意見交換をさせていただきたいと思います。また,議題3においては,文部科学省の事務局から関係施策の検討状況について御説明をいただき,また,その後で御質問,そして,御議論をいただきたいと思います。
それでは,議題2の大学の研究力の現状・課題に関して,科学技術・学術政策研究所の佐伯所長より御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【佐伯所長】 御紹介にあずかりました科学技術・学術政策研究所,NISTEPの佐伯でございます。本日はこのような機会をいただきまして,ありがとうございます。2人並んでおりますので,マスク着用のまま御説明をさせていただきます。
次のページをお願いします。また次のページをお願いします。大学への資金投入,研究者の数といった点で日本は長く停滞が続いてございまして,この状況を打開することがまず第1ではございますが,本日は,ここにございますように,論文指標に見る存在感の低下の説明,挑戦的な研究の現状,あるいは国際ネットワークからの脱落,人材育成の課題といった,こういった個別の課題を中心に,具体的な課題を中心に御紹介を申し上げたいと思っています。
次,お願いいたします。全般的なインプットの数値でございます。研究費・研究者の推移でございますが,こちら,研究開発費については,人件費について研究開発に従事する割合を考慮して計上,研究者にしても同様の処理をしたフルタイム換算でございまして,我が国の停滞の状況がよく表れているかと思います。
次,お願いします。論文指標に見る日本の状況でございます。論文数,注目度の高い論文,いずれも日本の順位が2000年代半ばから低下してきております。特に注目度の高い論文数の低下が顕著でございます。この右側のグラフは,Top10%,Top1%論文のランクの状況でございます。
次,お願いいたします。後ほど大学の規模等に関連した分析を紹介しますが,ここではまず注目を集める領域への挑戦といった分析について御紹介したいと思います。NISTEPでは,Top1%論文をベースに共引用を用いたグループ化を行い,国際的に注目を集めている研究領域を抽出・可視化して,サイエンスマップを作成してございます。こちら,2002年から18年にかけて9時点のマップを作成してございます。直近のものを左側に出してございますが,2002年から18年にかけては領域が50%増え,902領域になってきてございます。御覧いただきますように,点々としている部分から少し塊がある部分までそれぞれ論文の集積状況によって特徴がある分布となってございます。
先ほど申し上げましたとおり,領域数が600から900に増加している中で,この棒グラフを御覧いただきたいのですが,我が国が参画している領域数については停滞してございます。左から3つ目の部分が日本でございます。英国,ドイツといった国は,国際共同研究を通ずるなどして多様な領域への参加を確保しているところでございますが,残念ながら我が国についてはこういった新しい領域へのチャレンジもやや減ってきているということが言えるかと思います。
次,お願いします。先ほどの図にございましたように研究領域にも特徴がございまして,対照的なものとしては,この右上の部分と左下の部分,右上の部分が大陸型と呼ばれる,継続性もあり規模も大きい研究領域,例えばナノ関連のものなどはこういった形を形成してまいります。それに対しまして,左下,スモールアイランドの部分でございますが,こちらについては,新たな研究の芽となる可能性のある,ある意味チャレンジングな研究領域と言えるかと思います。
次,お願いします。我が国について申し上げますと,この棒グラフの右から2つ目でございますが,日本は大陸型が多く,スモールアイランド型は少ないといった特徴を有してございました。こちらで2004年の時点から2018年の時点を比較していきますと,更にその傾向は高まっており,大陸型が増えており,スモールアイランドが減っていると。新たな課題に挑戦する,そういった姿勢が後退しているのではないかという懸念があるわけでございます。
次,お願いします。次は国際的な活動に関してでございます。一例として,米国から見た共著論文の相手の順位を示してございます。こちらを見ますと,ほぼ全ての分野で日本の存在感が低下してございます。この左にあります赤い丸から矢印にかけてが,こちらが日本のかつての位置から今どこまで来ているかということでございます。材料科学だけは5位でとどまっておりますが,ほかは軒並み下がってきているということで,存在感が低下しているところでございます。
次,お願いします。グローバルから見まして,こちらは流動性を論文の著者から見てみますと,これはOECDの調査でございますが,日本の研究者の流動性につきましては,流入・転出ともに低調で,一番右側の方にいるといった状況でございます。
次,お願いします。人材についての部分でございます。こちらは学校基本調査に基づく文系も含めた大学全体に関するデータでございます。本務教員の数,ヘッドカウント自体は増加しておりますが,若手の比率が86年の39%から2019年度には22%まで下がってきてございます。右側にベースとなる労働力人口の割合を書いてございますが,28.7%よりも相当低い状況に若手がなっているということでございます。
次,お願いいたします。以降,個別に深掘りを紹介していきたいと思います。
次,お願いします。この論文の部分につきまして,規模が比較的近いイギリス,ドイツと日本とを比較した研究がございまして,その概要を紹介させていただきます。左側のグラフを御覧いただきますと,いずれの3国とも論文生産においてやはり大学が主な役割を果たしてございます。ただ,2000年から2016年を見ますと,日本がほぼ横ばいというところに対しまして,イギリス,ドイツはそれぞれ1.3倍ということで,日本のみが停滞している状況が見えてくるわけでございます。
また,右側のグラフでございますが,注目度の高い論文の数と論文数全体の関係を分析してみました。Q値とございますが,それぞれの大学において全ての論文数と,その上でTop10%の補正論文数,この比を出したものでございまして,これをプロットしていきますと,かなり国ごとで群が構成されてございます。横軸が論文数でございまして,縦軸がQ値の値を示してございます。それぞれの大学をプロットしてまいりますと,イギリスの部分,このだいだい色の部分がイギリスでございますが,Q値の割合が一番高い,Q値が大きい,引用度の高い注目された論文の割合が多いというような傾向が見えるわけでございます。次に緑がドイツ,一番下のブルーが日本でございます。規模の大きい東京大学が一番右側にあり,Q値も比較的高くなってございますが,特徴的なものといたしましては,これ,小さくて見づらいんですけれども,この軸のすぐ近くに,かなり高いところに沖縄科学技術大学院大学のQ値が高い形でプロットされているところでございます。
次,お願いします。こちらにつきまして,大学をグループに分けて分析したものを説明したいと思います。これは各々の国の中で論文生産にどのぐらいのシェアを占めるかでグループを分類しました。第1グループは4.5%以上,我が国では東大,京大などが入りますが,以下,第2グループが1%以上といったような形でシェアが下がってまいります。第1グループは日英が4校ずつ,ドイツは1校のみとなっています。第2グループについては,ドイツは逆に37校とかなり多く数がございまして,次はイギリスが26,日本は13です。第3グループは日本とイギリスの関係は逆転をしているところでございます。もう一つ,日本の特徴といたしましては,第4グループは140と非常に大きな数があるところでございます。
次,お願いします。それぞれのグループがどの程度論文生産に貢献しているかというものを示したものがこちらでございます。下から第1グループ,第2グループと並んでまいります。我が国,日本につきましては,おおむね第1,第2,第3,第4もそう大きな差がない形で論文生産をしているのが見てとれます。それに対しましてイギリスは,第2グループが多く,これが半数,第1グループと合わせて約8割という形になります。ドイツにつきましては,特に第2グループが多くて,第2グループだけで8割です。これは第1グループが1校しかないということも影響しているかと思いますが,このような特徴があるところでございます。
次,お願いします。同じ内容でございますが,これを大学ごとにプロットしたものがこのグラフでございます。2国間で比較をしてございますが,それぞれ左から右に向けて論文数のシェアの高い順に大学を並べていき,縦が論文数でございます。我が国とドイツを比較しますと,日本がトップ群の論文生産数は多いのですが,その次の層,こちらはドイツがかなり圧倒的に高いというのが見えてきます。イギリスについて,トップ群はほぼ同等ですが,その後の次に続く群,大体10から50位ぐらいに当たるのですけれども,こちらがイギリスの方が高いです。それに対して,日本はロングテールといいますか,数は少ないものの,多くの大学が論文を出して貢献しているといった状況が見られるわけでございます。
次,お願いします。次は国ごとに論文数の上位の大学を整理したものでございます。これは上から下にかけて論文数の上位が並んでおりまして,それぞれのカラムがありますが,一番左側が全分野,その次が化学,材料科学,物理などそれぞれの分野ごとにプロットしたものでございます。御覧いただきますように,日本は全部を合わせた上位の10大学と分野ごとの上位10位大学がほぼ同じ顔触れとなってございます。それに対しまして,ドイツについてはかなり多様性に富んだ分布となってございます。その中間に属するのがイギリスといったところでございます。
次,お願いします。日本では第4グループが一定の存在感があったということもありまして,特定の分野に強みがあるか,分野別に分けてみたのがこの表でございます。オレンジで囲っておりますように,8分野のそれぞれについて,先ほどのQ値,注目の高い論文の割合が東大の全体の平均と同等以上の大学を抽出してございます。したがって,大ざっぱに言いましたら,特定分野において東大の平均的なレベルの割合で注目論文を産出している大学と言うことができるかと思っています。これは色が薄くなるほど世界全体での論文のシェアは下がっています。
こちらを御覧いただきますと様々な大学が入ってきておりまして,例えば第3グループのところを縦に見ていきますと,材料科学と物理という分野で山形大学と大阪市立大学が入っている。物理で岐阜大学が入っている。臨床医学では近畿大学,熊本大学,様々な大学が入っているのが見えてまいります。第4グループでも,これは多くの分野において沖縄科学技術大学院大学が出てきます。これは先ほどの高い特異点的な形につながっているわけでございます。化学では立教大学,学習院大学,九州工業大学など,計算機・数学では会津大学,室蘭工業大学,環境・地球科学では高知大学,龍谷大学,臨床医学で聖マリアンナ医科大学が入っているところでございます。
次,お願いします。続いて,人材でございますが,もう一つ,人材を考えるに当たりまして,どの程度研究に時間を割けているかというのが一つのキーとなってまいります。これを見ますと,研究時間の割合は低下傾向にありまして,この影響もあって,冒頭紹介したOECDベースの研究者の数は,全体の教員の数は増えているとしても横ばいというような影響が出たと思われます。低下傾向は大学の状況,分野別で差がありますが,第1グループについては横ばいといったようなところが真ん中のグラフから見てとれます。
次,お願いいたします。次は研究大学における教員の雇用状況について調べたものでございます。上下が2013年と2019年の対比,真ん中の青い線の左右が有期か無期かとの違いでございます。これを御覧いただきますと,左側のところの40歳未満と赤で書いてあるところでございますが,有期,無期双方合わせても40歳未満の研究者は2013年の1万560人余りから1,300人以上減少しております。任期なしの雇用について,今度,右の部分でございます。40歳未満,これは黒い字で書いているところでございますが,この期間で500人以上減少しており,ただ,中堅以上の部分は,この右側の赤字で書いている部分でございますが,1,000人程度増加しております。増加分を分けてみますと,60歳以上のシニアが600人以上増加しておりまして,ある意味,若手の減少とは対照的な状況になっているということが見てとれます。
次,お願いいたします。より深く研究現場の実態を把握するために,現在,研究室をベースに研究環境,研究所の状況を時系列で把握するパネル調査を実施してございますが,その中の質問項目として,研究を実施する上での価値観というものがございます。これは今,理学と保健を例として挙げていますが,基本的には同じ傾向がございまして,知的好奇心,挑戦的研究などがありますが,特に「安定した職」を御覧いただきますと,上が教授,一番下が助教といった,職位に応じた棒グラフになってございますが,職位が下がるほど,安定した職を意識した研究ということになってございまして,若い研究者が挑戦的な研究に挑めないのではないかというような状況を示しているものでございます。
次,お願いします。若い時代の研究の重要性という意味で,なかなかデータをもって示すことは難しいのですが,一例として,ノーベル賞受賞者の受賞につながる研究の時期について分析したものでございまして,おおむね30代後半といったところでございます。
次,お願いします。若手の人材につきまして,入り口となります博士課程の入学者も減少傾向にございます。
これを修士課程修了者の進学率ということで見たのが次のスライドでございます。1981年と比較しまして半減をしている状況でございまして,18.7%が現在では9.4%にまで落ちています。
その要因として,こちらにつきまして調査したところ,次のページでございます。企業などへの就職を選んだ理由としましては,左側にありますように,社会に出て仕事がしたいといった前向きなものがある一方,右側にありますように,博士課程に進学すると経済的見通しが立たない,あるいは修了後の就職が心配といった理由,あるいは博士課程のコストに見合った収入を得られないといったものもございました。
次,お願いします。こういった観点からその解決策として若手が指摘しておりましたが,若手研究者の研究環境の改善,博士取得者の処遇といった左の部分と,右側の部分でございますが,後期課程での給与の支給といったものが訴えられていたわけでございます。
次,お願いします。また,若手に関しては,国際的なネットワークの観点からの懸念もございます。例えば米国への留学生の減少などがデータとして出てきております。
次,お願いします。国際的なネットワークという意味で1つのデータがございます。これはOECDのレポートでございますが,国際流動している研究者の方がインパクトのあるジャーナルへの掲載論文が多いという傾向が見られます。国内にとどまる研究者を示すこの黒い丸から,薄い四角やひし形といったところが流動している研究者ということで,より上方にシフトしているところが見てとれるものでございます。
次,お願いします。こういったことと並行いたしまして,私どもでは日本の大学の論文生産について,研究者数,研究開発費といったインプットと,アウトプットとして論文数の増減を解析した例がございます。
次,お願いいたします。このグラフの中の茶色の線が論文数の実測値で,黄色い線がインプットからの予測値として取られたものでございます。これがかなりいい関係を示してございまして,2000年代半ばからの停滞の要因を見ますと,2000年代半ばから2010年頃にかけては,研究に使える時間の低下,実質教員数の伸び悩みといったものが要因として指摘できまして,2010年以降は,博士課程在籍者の減少と原料費など直接研究実施に係る支出の減少が浮かび上がっているところでございます。
次,お願いします。以上が概要でございますが,以上が私の説明ですが,少しまとめを紹介させていただきたいと思います。
次,お願いいたします。論文指標で見た中堅大学の役割を御紹介しましたが,多様な規模の大学が我が国では貢献してございまして,また,小規模でも強みを持つ大学が相当数存在してございます。これらの大学の強み,個性を伸ばすことで,全体として多様性と中堅大学層の厚みが形成される,そういったことを目指すことが重要ではないかということが言えるのではないかと思います。
次,お願いいたします。その中で,研究人材につきましては,やはり若手のところに非常に課題がありますので,任期なしの若手研究者の減少,更に任期つきを含めて若手が減少しているということは大変心配な状況であり,研究環境を含めて若手の研究者を魅力あるものとして次世代の育成を進めていかないと,将来が非常に心配ではないかということでございます。既に施策が展開されておりますが,博士課程の魅力を高めるとともに,その後のキャリアパスとしての若手研究者の環境といったものが大事だろうと思っています。
その上で,下にございますように,国際知識ネットワーク・頭脳循環の促進,これも重要でございまして,ネットワークの構築,それを進めることによって国際的な存在感の維持・増加,拡大する科学研究への対応,なかなか日本だけではカバーし切れないというのもありますので,そういったことがあって,国際化を一層進めるべきだろうということが考えられます。
次,お願いいたします。その上で更に検討すべきこととして,研究力の多様な評価軸の設定というのがございます。現在,私ども,どうしても定量的評価の大部分は論文が対象となってございます。それでは把握できない活動・成果も多いので,評価軸の充実が必要と考えてございます。特に研究人材育成への貢献は重要でありまして,顕著な成果を上げた研究者の来歴,経歴を見ても,地方を含めて中堅大学が果たしている役割は大きゅうございます。本日紹介した論文生産における貢献に加えて,こういった側面をしっかり評価していくことが重要と考えています。
また,産学連携や地域貢献も大学の重要な役割であるとともに,それを通じて研究が進む側面もありますので,その相互関係も考慮する必要があるのではないかと考えてございます。
我々NISTEPといたしましても,こういった論点について引き続き検討を深めて,現状・課題等を御紹介できるようにしてまいりたいと考えてございます。
すみません,少し時間がかかりましたが,以上でございます。ありがとうございました。

【大野主査】 どうもありがとうございました。非常に多岐にわたった,考えさせられるデータを御紹介いただきました。
これから15分から長くても20分を使って,今御説明いただいたデータに関して,御質問あるいは意見交換をしたいと思います。加えて,皆様の御経験や問題意識も踏まえて,大学の研究力の課題などがございましたら,問題提起もいただければと思います。本会議の中では,御出席の皆様に1回は御発言をいただきたいと思います。そこで足りない分に関しては,後日またメール等でお寄せいただいて,それらをこれからの審議,討論に反映していきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,皆様から御発言をお願いしたいと思います。御質問でももちろん結構です。よろしくお願いします。
伊藤委員,お願いいたします。

【伊藤委員】 すばらしい詳細な説明をいただき,ありがとうございました。まず若手というところが随分,最後の方で強調されていたのですけれども,今まで日本の中では,ある講座制という中において,研究室というか講座の中では,教育的な視点を持つボスがいるところは若手がしっかりと鍛えられて,その方の自由も許されて,結果的に伸びるということがあったように私は感じています。その一方で大学によっては,今,日本の大学では,若手を伸ばさなければ,自由を与えなければということで,自由を与えれば与えるほど,実はもっと頑張れと言う人がいなくなってきて,その結果として,ある自分たちの研究室やゼミの中で小ぢんまりとまとまるという傾向も見えてきているような気がします。
後者のような問題は,欧米の大学では,それでは昇進できないとか,テニュアが取れないというような形があるのですけれども,それが日本の場合はそういうシステムにはなっていないところが多いので,その辺のところの,講座制の中で力を発揮してきた若手と,最初からある程度自分の研究室・ゼミが与えられてきて発展してきた若手の関係というのはどうなっているのかと。そのデータを出すのは難しいと思うのですけれども,これ,実は私としては今一番,研究力の強化という意味では一つ大きな課題だと感じているということでございます。
以上でございます。

【大野主査】 どうもありがとうございます。佐伯所長からは何か御発言ございますか。

【佐伯所長】 ありがとうございます。やはり実はそのデータというものは難しゅうございまして,先ほど申し上げた研究室のパネルの調査である程度そういったものもいろいろ調べられることは調べていきたいと思っていきます。ただ,先生が御指摘された懸念がある一方で,やはり大規模なラボの中でそれぞれの研究者の個性が,若手の研究者が非常に窮屈な思いをしているという声もございます。
私,前職のJSTで創発的研究支援事業を始めたのでございますが,その中でもこの提案してきたテーマは,この御本人の考えていることなのかどうかということも含めてどうやって確認していくか,また,それをどういうふうに選んでいくのが日本にとって一番良いかというのは,これはパネルごとに分かれている研究ファンディングシステムですけれども,各分野の先生方,研究者を選び指導する先生方が非常に頭を悩ませながらやっておられました。
ただ,感覚的には両方あるという感じがしてございます。もうここまで来たら,この人は早く独立させて研究室を自由にやらせるべきだというところに至っている方が,なかなかそれができていないということもあります。それと,逆に早過ぎたものもあると思います。それをうまくそれぞれの組織が見ていくことが重要だというのが,これはどちらかというと私の個人的な感想でございます。いずれにしてももう少し私どももデータを集めていきたいと思っております。ありがとうございます。

【大野主査】 ありがとうございます。我々の雇用環境にも関連する課題かと思います。
それでは,吉田委員,お願いいたします。

【吉田委員】 ありがとうございます。岐阜大学の病院長の吉田でございます。私は今回,国際ネットワークをやると論文も増えて,競争力も上がると,大賛成でございますが,それに加えて,大学間の連携というのは極めて重要であるということを一つ強調させていただきたいと思います。
御存知のとおり,岐阜大学は名古屋大学と法人統合を行いまして,東海国立大学機構という形になりました。その中で,岐阜大学単独でやっていたこと,一生懸命やっていって,小さな部局からのチームをつくって,それから,拠点に上げて,それからいろいろな申請をしていくのですが,なかなか難しい。それが統合することによって,私どもは4つのよい点があったと思っております。
まず1つ目は,新たな研究直轄の拠点の形成ができたと。お互い強いところ高め合って,世界に通じる拠点,すなわち,糖鎖生命コア研究拠点,それから,航空宇宙研究教育拠点,医学健康データ統合研究教育拠点,農学教育研究拠点です。こういう拠点の形成ができたことが一つであります。
もう1点は,何よりも教員への刺激,意識改革,そういうものが加わることで,新たな起業とか,名古屋大学,岐阜大学の連携研究グループが一層形成が促進されるなど,そういう効果が非常に高まったということになります。
それによって,3つ目としては,大規模大学でしかトライできなかったような競争的資金,例えば世界で活躍できる研究者戦略育成事業とか,創発的研究支援事業,こういうものがやはり数が増えてきたというのは非常に大きな成果だったというふうに思っております。岐阜大学のみならず名古屋大学にとっても良い循環が起こりました。
4つ目は,やはり研究基盤の統合による効率化ということができまして,これらによってやっぱり国内の大学間の統合というのは極めて研究力強化にとっては非常に高いのではないかというふうなことが私たちの印象でございます。
以上でございます。

【大野主査】 どうもありがとうございます。御経験に根差した御発言だったと思います。
非常にたくさんの手が挙がっていますので,まずは御発言を頂く形にしたいと思います。それでは,新福委員,お願いいたします。

【新福委員】 どうもありがとうございます。若手の研究者として意見を申し上げたいと思います。また,地方大学におります関係もありまして,日々痛感しているのは,人員の削減,運営費交付金の減少でございます。前は京都大学にいたものですから,やっぱりそこで得られた,大きな額で得られた研究資金というのと,地方大学で得られる研究資金の額の差というのは非常に感じるところでもございます。
その上に,やはり大学として,いろいろな文科省から出る事業とか研究費が取れる事業に挑戦していかなければならない状況に陥り,それももちろん役に立ち勉強になるところはあるのですけれども,それによって研究時間が減少するという部分はどうしてもございます。私に限っては保健分野でもございまして,もともと教育負担の時間が大きい,研究時間が少ないというところから,研究時間が削られることによって更に論文が出しづらくなるというような悪循環に陥るということもございますので,その部分は非常に懸念を持っているところで,今回の分析は非常に当てはまるなというふうに思いました。
ここで私が申し上げたいのは,その中でも,では,効率的に優秀な人材を引き当てるということで,エリートの人材に研究費を大きく与えるような施策をもしされてしまうと,そこで活躍する人を支える文化が各大学にあればいいんですけれども,そうではなくて,あの人ばかりに研究費が集まっているということで,足を引っ張られるようなところが出てくるということも懸念がされますので,幅広く多様な研究がサポートされるということが重要であるということと,評価については,先日,日本学術会議の方から,研究評価に関する,「学術の振興に寄与する研究評価を目指して―望ましい研究評価に向けた課題と展望―」というところで提言が出ましたので,そちらを広く皆様に御周知したいと思います。
また,私自身,今,日本学術会議若手アカデミー,また,グローバルヤングアカデミーの連携をしているところから,様々な活躍の場,また,共同研究,学際研究というところにつながっています。私自身は多少無理をしても後続のために国際的な場に出て行っているのですが,そういったことができる余裕がある若手のポストや環境が整えられるようにこれからも発言していきたいと思います。どうもありがとうございました。

【大野主査】 ありがとうございました。それでは続きまして,福間委員,お願いいたします。

【福間委員】 金沢大学の福間といいます。私も地方大学の立場からという形にはなりますけれども,分析をお聞きしまして,非常によく分析されていて,同意する部分がほとんどですけれども,その中でもやっぱり日々研究している中で感じているのは,大学研究者が魅力的であること,また,大学研究者という職が魅力的であるということが非常に重要であると考えています。先ほど分析の中でも,31ページですかね,どうして博士に行かなかったのかというアンケートなんかで多分聞くと,学生はお金のことを言うのですけれども,経験的には本当にお金が一番重要なキーになっているかというよりは,よくよく話をしてみると,やっぱり大学の教員が魅力的かどうかというところが一番鍵になっているかなという印象を現場では強く持っています。
そのために,やはり具体的には35歳。今,若手の方々は,テニュアトラックなどもあって,35歳になっても終身雇用にならないというケースが非常に多くて,そういった職に対して若い人が魅力を感じるかということですね。民間に勤める方が22歳とか24歳で終身雇用になる中で,35歳になっても終身雇用にならないと不安を抱えている。助教の年齢がまさにその年齢だと思うのですけれども,それで不安であるというふうに分析が出ていましたけれども,まさにちょうど家庭を築かないといけない時期にそういう不安定な状況であるのがむしろ平均的でさえあって,35で職を確保できるのはむしろ順調なケースでさえ今あるので,そういった関係をどう改善していくかというのは重要な問題かなと思っています。
以上です。

【大野主査】 ありがとうございます。それでは,受田委員,お願いいたします。

【受田委員】 ありがとうございます。今日は会場で参加をさせていただいております。高知大学で理事を務めております,受田浩之と申します。よろしくお願いいたします。
私も典型的な地域の大学を代表する立場でこの委員会に臨んでおります。まず率直に申し上げまして,今回,地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを作成していくということで,地域貢献に取り組む地域の中核の大学にこのようにフォーカスが当たることを大変うれしく思っております。本来であれば,もっと早くこの総合振興パッケージに相当するものが国を挙げて府省間連携であるべきであったというふうに思っておりますけれども,今回のこのチャンスを,私も地方大学の代表として,実効性のあるものへそのパッケージ自体をデザインしていくというところに微力ながら貢献をしてまいりたいと思っているところでございます。
問題意識としては,これまでも様々な施策が講じられていたにもかかわらず,国が期待する地域の中核の大学という姿が見えていなかったとすれば,それはどこに問題があったかという現状の分析を,しっかりとエビデンスに基づいて解析をし,その改善案を提案していかなければならないというところかと思います。そういう意味で,また2回目以降,機会をいただければ,本学が取り組んできたこれまでの取組を総合振興パッケージの一つのモデルとして提案申し上げたいと思うところでございます。
それから,先ほどNISTEPの御説明をいただきまして,ありがとうございました。非常にクリアカットに現状が把握できたと思います。その上で,今後,地域の大学に関する研究力強化という意味で1つ質問がございます。先ほどの説明の中で非常にインパクトがあったのが,修士課程への進学率等の話でございます。国全体で非常に落ちているというお話がございました。もうこれは多くの皆様認識をしているとおりかと思いますけれども,一方で,第1グループ,第2グループ,第3グループ,第4グループと類型化をした,これに基づいて,それぞれの類型における大学院への進学率,また,博士課程の在籍者数等がどのようにリンクをしているかという点について,是非御教示いただければと思います。
以上でございます。

【大野主査】 佐伯所長,いかがでしょうか。

【伊神センター長】 分析の担当をしております伊神です。
まず,博士課程の学生の割合を大学グループ別で見ると,顕著な差がございます。やはり博士後期課程の学生は第1グループに多く,2,3,4となるにつれ,研究者に占める割合は少なくなってくるというような状況が見えてございます。

【大野主査】 それを,それでは,後日共有させていただければと思います。【受田委員】 ありがとうございました。

【大野主査】 それでは続きまして,相原委員,お願いいたします。

【相原委員】 横浜市大の相原でございます。今回,2点ほど述べさせていただきたいと思います。
一つは,若手の活躍の件ですけれども,このまとめの39ページにありますように,国際的な人材の流動性が大事だということは分かるのですけれども,留学生の減少とか国際ネットワークの構築とかありますが,これが進まない理由の解析をしていただければと思います。私の考えるところでは,やっぱりキャリアの不安があると思います。行くのは,研究として,良いのですけれども,帰ってから自分のキャリアがそのまま継続できるかとか,ちゃんとしたポジションが得られるかとかそういう不安があるのではないかと。そこを整えないと,留学を勧めても行かないのではないかなと思っております。それが1点目。
それからもう1点目は,公立大学の立場として発言させていただきたいのですけれども,公立大学で研究を進めようとしますと,いろいろと法整備が国立大学や私立大学と違ってうまくいっていないところがございます。例えば公立大学は国立大学と違って文科省ではなく総務省の管轄です。 そうしますと,例えば新株予約権の取得に関する扱いでも,国立大学はできるけれども,公立大学は地方自治体が関与するのでいろいろとハードルがあることなどが挙げられます。細かいことは一々申し上げませんけれども,公立大学でも研究の強化が進められるよう,省庁間で整合性を持った法整備をしていただければと思います。
以上です。

【大野主査】 ありがとうございます。まずは御発言をしていただきたいと思いますけれども,今,宿題として出た点,あるいは省庁横断でやってみたいという委員会ですので,今の総務省の件に関しても視野に入れた議論にしていきたいと思います。
それでは続きまして,梶原委員,お願いいたします。

【梶原委員】 富士通の梶原でございます。よろしくお願いいたします。
大学の研究力については様々な場で議論や検討をされているということがございますので,私もNISTEPさんの資料については目にしたことがあります。私が最初に文科省の会議に参加させて頂きましたのが3年前でございますけれども,そのときも,サイエンスマップのところで,日本がスモールアイランド型であり,新規領域や融合領域の研究に取り組むMassが大きくならないという話がありました。そのときもとても大きな問題意識を共有し,そこに対しての施策を打っていくということになっておりましたので,恐らくそこに改善や進展があるのではなかろうかと思っています。今日の資料も2018年のデータでございますので,新規や融合の領域が増えていないということではあるのですが,課題認識をして,政策や施策を行っている中での進展度合いが見えてくると,やっている方も,変わっているという実感がでてきてよいと思います。
それから,研究力の観点から考えたときに,人口減少や少子高齢化の中で日本の大学の数がこのままでいいのかという議論もあるかもしれません。例えば吉田委員がおっしゃったように,複数の大学でもっと連携して効率化するという方策も当然あると思いますので,そういった施策を進めていくということが大変重要と思います。
また,大学の研究力の評価指標について,論文以外の評価をという話をずっと私も聞いておりますけれども,では,具体的にどういうものを評価に加えていくのでしょうか。どこかの好事例,あるいは海外の事例でも構いませんが,実際の事例や検討されているものがあるならば,そうしたものを取り入れるなど、従来の評価とは別の見方を入れて具体的に動かしていくことが重要と思います。
最後に1点ですけれども,NISTEPさんの資料の中で唯一入っていなかったと思ったのが,女性研究者についてです。多様性について,当然のこととして考えに含まれているということであれば,私はそれも一つの考え方でいいと思いますが,失念してしまったということであれば,今後は女性の研究者の状態が現状どうなっており,改善が進んでいるといったことも示していただけると,日本も環境整備を頑張っているということが見えていいと思いますので,よろしくお願いいたします。

【大野主査】 幾つも宿題がありましたので,是非それに対応する資料等が用意できれば出していただきたいと思います。今回見せていただいたトレンドなどは今初めて見るものではないので,それに対して施策が打たれたはずですけれども,その施策に対して打った施策がどう効果があったのかということは必ずしもこれまでの議論で明示されていないことが多かったので,そういうところにも注目していけたらいけたらと思います。ありがとうございます。
それでは続きまして,片田江委員,お願いいたします。

【片田江委員】 東京大学エッジキャピタルパートナーズの片田江と申します。よろしくお願いします。私のバックグラウンドを簡単に御説明しますと,生物化学で博士号を取得した後に,ベンチャーキャピタルに就職し大学発ベンチャーへの投資業務を通じて,大学で生まれた知的財産の事業化に関わっております。ですので,アカデミアの大学院生の気持ちも分かりますし,研究成果の実用化の重要性も理解しており,両方の視点でコメントできればと思います。
非常に多岐にわたる御説明ありがとうございました。その中でも特にやはり気になったのは,博士課程への進学率の低下と,地方大学の研究力の強化という点に対策が必要と改めて認識しました。私が大学院生だった2000年頃もやはり大学院生の一番の不安というのは,経済的理由というよりも,苦労して博士号を取っても,その後の生活基盤がポスドクなど任期つきで安定しないというところです。これは,当時からもう20年もたつのに変わってない。ですので,御説明にもあったように,若手研究者や博士課程の大学院生が安心して,経済的のみならず,その先の進路も含めて安心して研究に専念できる環境を整えるということが非常に重要です。
地方大学については,ベンチャーキャピタルという仕事柄,地方大学の優れた研究成果を知る機会も非常に多いです。先ほど新福先生が御指摘されていたように,特定の大学に集中することなく,地方大学も含めて特徴的な学問分野を積極的に支援することが,結果として大学院生の増加や,ドイツや英国のような上位に続く大学層を厚くするというところにつながるのではないかなと強く思いました。
最後に,論文以外の指標も重要というまとめがありました。多面的な評価が重要ということは理解できる一方で,それでは何を指標にしますかというと,例えば特許出願件数や実用化により近いものというのを指標にするという傾向が昨今若干見受けられますが,特許や実用化研究に重点を置き過ぎることが,結果として学問,基礎研究を収束に向かわせてしまうことを非常に懸念しますので,やはり基礎研究,論文発表,学会発表を重視するような評価基準というのは引き続き重要なのではないかなと思います。
以上です。

【大野主査】 ありがとうございます。時間がちょっと押してまいりましたので,今手を挙げておられる山本委員,そして,小林委員で次の議題に移りたいと思います。それでは,山本委員,お願いいたします。

【山本(佳)委員】 日刊工業新聞の山本です。私はトップに続く大学や研究者の層を厚くする一方策として,大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点の活用をもっと何とかできないものかなと気にしております。実際,研究成果の発表というのは各機関からもそれなりに目にしております。それでも,各大学の改革議論の中に,共共拠点が学内にあるような大学であっても十分にアプローチがないというのが不思議であり,どうなのかなと気になっています。基礎学術研究の各分野のコミュニティーの核になるという,その意味では非常に重要な立ち位置であるはずなのに,実際,国立大の運営費交付金で支えているのに,一般社会からもあまりに見えなさ過ぎでよくないのではないかなということを感じています。
今回,地域や特色大学の議論を進める上で,当然そういった大学の場合には注力が特定の分野に集中することになると思います。ですので,それ以外の研究者がさらに研究費も乏しく,元気が出ない状況になってしまうことを心配します。そのときに,こういった共同利用の仕組みを今以上に,今までと違うような形で,もっと違う形で活用することを考えるべきじゃないかなと思っております。
このたび大学研究力強化室の発足で,大学の研究力と共同利用の仕組みを同じ課で見ることになったわけですし,相乗効果を出せるのではないかと感じています。それは文科省側への注文でもありますし,私たち関係者としてもこの点を,共同利用の仕組みを使いながら地域や特色大学の研究力を強化するという点について,頭に置いていただければと思います。

【大野主査】 どうもありがとうございました。それでは,小林委員,お願いいたします。

【小林委員】 学校法人北里研究所の理事長の小林弘祐と申します。
2点ありまして,一つは評価軸ですけれども,やはり多様性は必要だと思いますし,論文だけじゃなくて,うちは特に実学を重視しておりますので,応用とか,世の中に使われるようになるということも大事に考えております。例えばいろいろな大学のリストを見ていると,うちの大学は入ってないのですけれども,かといってノーベル賞学者もいらっしゃいますし,それなりにとがった研究がたくさんありますけれども,それがやはり評価されないというのは,網がすくってくれないというのが多様性の評価の中では若干残念だと思います。
2点目は,研究者というか若い人たちを見ると,助教ぐらいになられた方,講師になられた方も教育に相当時間を割かれているのですね。特に私立大学は教育というのが一番大きな負荷になっていて,空いた時間に,例えば夜中とか休みとかそういったときに実験をしたり,そんなことを実際にやっているのが現状だと思います。
私,留学したのが2か所あるのですけれども,ドイツにいたときはいわゆる助教に近いポジションだったのですけれども,年間6週間だけ実習を手伝えば,あとは自由に研究していいという,そういう研究三昧の生活を送りました。あと,ボストンに行ったときに,ハーバードのよく知っている相当優秀な研究者ですけれども,今月は臨床だと。そういう形で臨床をやらなければいけないのが1か月あるのだけれども,あとは研究してればいいとか,そういった何かメリハリのあるやり方にしないと研究に集中する時間というのがなかなか日本では持てないのではないかということは危惧しております。
以上です。

【大野主査】 どうも御発言ありがとうございました。本質的な中核課題は何なのかということをこの委員会として引き続き議論を重ねて,出口をいろいろ考えていきたいと思います。次回も必要に応じて最新の調査結果を御紹介いただく機会を設けていきたいと思います。
続いて,それでは,議題3でございますけれども,議題3に入る前に,ここでは大学ファンドや,総合振興パッケージについての御説明があります。年度内に予定されています総合科学技術・イノベーション会議での取りまとめに本委員会の議論を反映いただくようなパスもございますので,今日御発言をする機会が時間の関係でなかったとしても,この後でメールを頂いてそれを取りまとめていきたいと先ほども申し上げましたけれども,そのような形でやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは,議題3,大学研究力強化に向けた取組について,事務局からまずは御説明をお願いいたします。

【馬場室長】 ありがとうございます。資料3に基づきまして,大学研究力強化に向けた取組を御説明させていただきます。冒頭の副大臣の御挨拶にもあったとおり,今後の目指すべき一つの姿,ビジョンとして,「多様な研究大学群の形成に向けて」というサブタイトルをつけさせていただいています。
裏表紙を御覧ください。本日は,1,研究大学に対する支援全体像と,2,大学ファンドの創設,3,総合振興パッケージ,4,大学の強みや特色を伸ばす取組の強化について,当方と産業連携・地域振興課の井上課長より,現在の検討状況等について御説明させていただきます。
3ページ目を御覧ください。こちらは内閣府の方で作成された,研究大学に対する支援の全体像をまとめたものになっております。世界と伍する研究大学の実現に向けては,大野主査から話がありましたが,黄色で書かれているとおり,大学ファンドによる大学の支援が想定されています。加えて,大学ファンドの運用に先立ちまして,喫緊の課題である博士課程支援についても,既にJSTの次世代研究者挑戦的研究プログラムを通じて,40大学が採択され,約6,000人の博士課程学生に対する支援が開始されたところでございます。本日は,この青枠で囲った総合振興パッケージについて,具体化・実質化に向けた議論をお願いしたいと考えているところでございます。
4ページ目を御覧ください。今御説明した研究大学に対する支援の全体像について,「多様な研究大学群の形成に向けて」と題してイメージ図を作成しております。今後,大学ファンドの運用益による支援が予定される世界と伍する研究大学は,当面,数校程度が想定されていますが,日本全国の大学との関係では,人材流動性の向上や共同研究の促進等を通じ,健全な緊張関係の下,互いが切磋琢磨できる環境を構築することが重要ではないかということを考えております。
そのためにも,大学の魅力を高めることによる特色化が不可欠であり,例えば目指すべき方向の例として,A大学のように,この分野で世界をリードするといった,特定分野で世界トップレベルの研究やその研究を生かした若手研究者育成や,Bの大学のように,基礎研究からイノベーション創出を一気通貫で行い,大型の産学連携を推進するといった,それぞれの大学の強みを生かした戦略に対してどのように総合振興パッケージとして支援策を拡充していくことが課題だと考えているところでございます。
加えて,一番下にございますが,「大学研究基盤の強化」と記載しております。先ほど山本委員からも御指摘いただきましたが,内閣府の説明資料で抜けている観点として,優秀な研究者が所属機関の研究環境に左右されることなく力を発揮できるよう,最先端の研究基盤を活用した世界最高水準の研究環境を整備するということが重要ではないかということを明示しているところでございます。
それでは,この後それぞれの観点で現在の政府部内の検討状況を御紹介させていただければと思います。
まず,世界と伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドの創設でございます。6ページ目を御覧ください。こちら,先般閣議決定されました経済対策においても,世界最高水準の研究大学を形成するため,10兆円規模の大学ファンドを本年度内に実現することが言及されております。まず背景・課題といたしましては,近年,我が国の研究力は世界と比べて相対的に低下している。他方,欧米の主要大学は,数兆円規模のファンドの運用益を活用し,研究基盤や若手研究者への投資を拡大しています。右側に欧米主要大学の基金の規模を記載しておりますが,ハーバードの4.5兆円を筆頭に,日本の大学はまさに桁違いというような状況になっております。下半分に事業内容を記載していますが,我が国においても,世界と伍する研究大学を構築していくことが重要との観点から,科学技術振興機構(JST)に大学ファンドを設置し,今年度中に運用を開始することとしております。
7ページ目を御覧ください。大学ファンド創設に関するこれまでの進捗と今後のスケジュールです。今年の1月に科学技術振興機構法の一部を改正する法律が成立したところでございますが,上半分,大学改革につきましては,現在,内閣府と連携し,CSTIの下に設置された世界と伍する研究大学専門調査会において,研究大学の定義など,参画大学の要件などの検討が重ねられております。また,文部科学省に設置された検討会議,こちらは研究振興局と高等教育局が共同で事務局を務めておりますが,新たな大学制度,仮称として特定研究大学制度としておりますが,その構築に向けた議論を重ねているところでございます。今年度中には最終まとめがCSTIにおいて決定される予定であり,令和6年度の助成開始に向けて,必要な関連法案や,対象大学の指定に向けて検討を進めているところでございます。
続いて,8ページ目を御覧ください。こちらは先週開催された検討会議で示された特定研究大学制度に関する全体像をイメージとして示したものになっております。左下に,特定研究大学,世界と伍する研究大学となるためのポテンシャルとして3つの観点,合議体をはじめとした自律と責任あるガバナンス体制,3%成長を含めた実効性が高く意欲的な事業・財務戦略,国際的に卓越した研究成果の創出といった研究力を考えています。そういったポテンシャルを有する大学に対して,申請の際には,具体的な成長戦略や財務戦略の提出を求めるとともに,ミッションを実現できるガバナンスになっているかどうか,そういった観点を評価し選定していくことを今の時点では想定しているところでございます。また,選定の際には,文部科学省が単独で選ぶということでなく,政府全体の意思となるよう,内閣府,CSTIともしっかり協議をすることを考えているところでございます。
目指すべき姿として,右上にあるとおり,名実とも世界と伍する研究大学として,人材・知恵はもちろん,資金の好循環を促し,新たな知・イノベーションの創出を生み出す中核として,多様な財源の確保等を通じた強固な財務基盤や,高度なガバナンス体制,また,将来的には,先ほど申し上げた,ハーバードをはじめとした数兆円の規模と比肩するような潤沢な大学独自基金,Endowmentを有し,参画大学が自らの資金で大学独自基金の運用を行うことなどが大学の経営の自律性を高めるためにも重要であるということを考えております。
続いて,総合振興パッケージについては,井上課長から説明させていただきます。

【井上課長】 失礼いたします。続きまして,総合振興パッケージの検討状況でございます。今スライドを御覧いただいておりますけれども,今年度から始まっております第6期科学技術・イノベーション基本計画で書かれております大学改革につきましても,上の赤字のところにございますように,全ての大学が同一の方向ではなくて,先生方からも意見をいただきましたけれども,やはり個々の強みを伸ばして,大学にふさわしいミッションそれぞれを明確化して,多様な大学群の形成を目指そうという全体の考え方が示されているところでございます。その1つが,今紹介のあった世界と伍する研究大学ということではございますが,それだけではなく,地方創生といった観点,また,産業連携といった観点も重要だということが定められている次第です。
次のページをお願いします。こういった役割を果たしていく大学への議論というのは既に6月ぐらいから始まっておりまして,統合イノベーション戦略推進会議,これは政府全体,官房長官がヘッドになって各閣僚が出席している会議ですが,政府全体で地域の中核となる大学の機能強化ということを考えていこうということで議論が進んでおります。ここも赤字にございますように,やはり,①,大学の特徴を一層強くしようと,特定分野の高い研究力,様々に紹介ございましたが,そこを伸ばそうということ。また,研究というところを更に超えて,当然,その前の人材育成とかその成果を生かした産学連携活動を通じた経済社会,課題解決といった貢献もしっかりしていくと,ここを支援していくということが大事だという観点でございます。
今後の方向性ということで,2つ目のポツにありますけれども,こちら,大学で取り組まれている研究,様々なテーマがある中で,健康医療や農林水産業,エネルギー等々,様々な分野がございます。こういった分野のイノベーションを進めていくということで,我々文部科学省だけではなく,政府の様々な機関が総力を挙げて支援をしていこうということで議論をしているということでございます。
次のページをお願いします。次のページは,同じ6月の会議で文部科学大臣の方から説明を申し上げたものです。こういった大学を支援していくに当たって,様々な地域課題もあるということを踏まえた上で,右側にありますように,特に産学官連携の施策を中心に令和4年度の概算要求等に盛り込ませていただいている部分がございます。地域の課題として単独の大学ではなかなかニーズに対応できない,また,人材が不足していると。あとは,政府の施策が細切れ過ぎるといったようなお声も頂いているところ,それを少しでも改善していくために進めていきたいということで具体の概算要求等をしております。
13ページを御覧ください。こういった議論も6月にしながら,政府全体としてもこのパッケージを年度内に策定しましょうということが政府の意思決定としてされております。
14ページを御覧ください。こちらは11月の時点で,この総合振興パッケージはこういった内容を盛り込んでいくことが必要だろうということで議論している途上のものでございます。大きく分けて3つございますけれども,1つ目が大学の強みや特色を伸ばす取組を強化しようと。ここのところは文部科学省中心になって行う施策でございます。特に1ポツの2つ目のポツにありますけれども,特定分野において世界的な拠点となっている大学への支援強化等研究力の部分については,特にこちらの委員会での御議論をお願い申し上げているところでございます。
また,2つ目の繋ぐ仕組みの構築ということですが,地域にはたくさん産学官が連携したネットワークの仕組みがございます。こういった仕組みをもっと実務的に活用してやっていこうということで,こちらも府省を超えた議論をしているところでございます。
3つ目ですけれども,大学で生まれてくる研究成果をまさに社会でももっと実装して出ていっていただくような分野につきましては,文科省だけではなく,各府省が連携して様々な仕組みを使いながら大学がその活動を拡張していただけるようにということで,府省を超えた議論をしているところでございます。
一例ではございますけれども,1つ目のポツの1番目の柱にありますが,イノベーションの重要政策課題や地域の課題ごとに,例えば今,世界中で取り組んでいる脱炭素や日本の少子高齢社会といった課題を解決する上で,大分各地で取り組まれているMaaSといったようなそういったテーマについては,様々な官庁が大学の力を借りたいということで様々な事業を用意してございます。どういったフェーズでどういった事業が活用いただけるかといったようなものを可視化すべく,我々もそういったものを提示しながら大学を伴走支援していきたいと思っているところです。
15ページ目を御覧ください。こちらは,令和4年度の概算要求で,まさに大学の強みを生かすといったところで主に増要求していたり,新しく要求していたりする部分,また,それと関連する事業といったものを説明しているものでございます。社会実装,人材育成,研究といった大学の活動の大きな3要素の中で,特に令和4年度については社会実装や人材育成といった部分を中心に増要求となっておりますが,研究につきましては,こちらでの委員会の御議論を踏まえて,また次,その次といった施策への展開につなげていければと考えているところでございます。
少し資料を飛ばします。この次のページでございますけれども,すみません,16ページを御覧ください。ここで,社会実装部分で特に増要求している部分について簡単に御説明をいたします。1つは共同研究拠点ということで,産学官が連携して持続的なイノベーションの仕組みをつくっていっていただくといったようなものについての増要求,特に地域ということにフォーカスを当てての増要求もしてございます。
下の方がスタートアップというところでございます。なかなか1つの大学では取り組めないことがあるといったお話がありましたけれど,大学間の連携,また,地域の力も一体となって,アントレプレナーシップ教育とかギャップファンドの運営等をやっていくようなものを政府全体での仕組みの中で充実させていきたいというところでございます。
最後に,人材育成関係を御紹介したいと思います。スライドナンバー21を御覧ください。人材育成につきましては,これも大学の中にとどまることなく,地域の産学官,もちろん金融も含めましたいろいろなセクターと連携して,必要な人材を育成しようというプログラムの構築についての支援というところを新しくつくりたいということで要求をしているものでございます。
令和4年度についてはこういった要求となっておりますけれども,パッケージのスタートということでしっかりこういった予算の獲得に努めつつ,また,研究力についてはこちらの御議論もいただきながら,今後さらにこういった取組をアップデートしていくといったところでしっかり施策を進めていきたいと考えております。
続きまして,研究力の強化について,馬場の方から。

【馬場室長】 最後に私の方から,本日の議論の中心になると思いますが,大学の強みや特色を伸ばす取組の強化に関して御説明させていただきます。23ページ目でございます。こちら,特定分野に強い大学を取り巻く現状についてまとめたものになっております。先ほどNISTEPの分析でも示されていたとおり,特定分野において強みを持つ大学が多数存在するが,相対的に研究時間が少ないとか,特に上位に続く層の大学から輩出される論文数が海外と比べて少ない。そういった課題に応えるためにも,我が国として研究大学の層の厚みが形成されるよう,特色ある強みを伸ばす施策の展開が必要としております。
24ページ目を御覧ください。こちらはNISTEPの分析を踏まえて,「多様な研究大学群の形成に向けて」というタイトルで作成したものでございます。近年,中堅大学の研究力が落ちているということが指摘されているかと思います。全都道府県に国立大学を有するなど,地方の国公私立大学が学術基礎研究の層の厚みや研究者の多様性を生む土壌となっておりましたが,諸外国と比して一極集中になりかけているというような懸念が強まっているところかと思います。欧米諸国,特に米国では,優秀な教員獲得・確保競争は,各州における州立大学でも積極的であり,多くの中堅大学は,得意分野を持ち,その分野で一流の研究者を集める努力を行い,世界的にも人材獲得競争が激化するだけでなく,大学の研究競争力の原動力ともなっているということが指摘されています。
他方,我が国におきましては,必ずしも大学間や産業界との人材獲得競争は弱く,研究者の流動性も乏しいことが課題ではないかと。今後全国の研究大学が,国内のみならず,世界の大学と伍する研究力を獲得していくためにも,大学の知的蓄積や地域の実情に応じて研究独自色を発揮し,人材確保に向けた取組や附置研究所の機能強化等の組織再編を促し,大学間の健全な切磋琢磨型の競争環境を構築することが重要ではないかということをしております。
25ページを御覧ください。こちら,委員の先生方との事前のディスカッションも踏まえて,今後の議論の方向性として取りまとめたものになっております。まず,個々の大学が知的蓄積や地域の実情に応じた研究独自色を発揮し,それぞれの特長を伸ばせるよう,行政ニーズで施策を単に乱立させるのではなく,大学目線で重層的な支援策をメニューとして分かりやすく可視化するとともに,予見可能性を向上していくということが必要ではないかということを記載しております。
その上で,大学のミッション実現に向け,例えば基盤的経費と各種支援策とを連動させ,以前,文科省で作成した「研究力向上改革2019」で示されたように,研究人材・資金・環境の改革を大学改革と一体的な取組を促進するなど,大学マネジメントと連動した研究力向上改革を推進することが重要ではないかということを考えております。
その上で,世界的な研究の潮流やDXの進展を踏まえた大学研究基盤の強化を図り,多様な研究大学群の形成やその連携促進を通じた新しい世界レベルの研究開発基盤システムを今後構築することが必要ではないかということを書いております。
そのための取組を下に幾つか挙げています。まず魅力ある拠点形成による大学の特色化ですが,世界トップレベル研究拠点プログラムです。こちらについては,先ほども一部話がありましたが,これまでに14拠点を採択しており,それぞれ卓越した成果を出してはいるところでございます。一方,※印に書いているとおり,例えば新規採択される数やタイミングは御覧のとおりばらばらであったり,大学目線で考えたとき,申請準備のための対応ができるよう,こういったものも定期的に審議・採択するなど予見可能性を高めていくことが重要ではないかということを書いています。
また,これまでに採択されている大学は,金沢大学以外は旧帝大となっており,地方大にはこういった拠点を満たすべき要件のハードルが高いと,そういった声もあるのも事実でございます。そういった問題意識も踏まえて,2つ目の矢羽根にあるとおり,今後,研究独自色を各大学が発揮できるよう,例えば全学的に人材確保とか,附置研の組織再編,また,若手研究者を中核とした創発の場の形成というものを大学として取り組む場合には,総合的に何らかの形で支援するというような取組も必要ではないかということを考えております。
その際,※印にも書いてありますが,ばらばらと施策に応じて大学が申請しないで済むように,例えば運営費交付金,来期からは教育研究組織改革に対する支援,そういったものも始まりますのでそういったものとか,研究費の措置,そういったものと連動してワンストップで対応できるような仕組みも今後検討していく必要があるのではないかということを考えております。
また,2つ目の※印にも書いてありますが,冒頭説明したとおり,次世代研究者挑戦的研究プログラムにおける各大学で先進的な取組も今まさに進みつつあります。ただ,こちらについても,福間先生も相原先生からも先ほど御指摘ありましたが,博士の経済的支援は重要であるものの,その先が見えないと結局進学しないのではないかという声がある中,一部の大学では,学内で戦略性を持って博士号取得後の活躍の場として,例えばポスドクは助教などの若手研究者を中核とした創発の場の形成に取り組んでいる,そういった事例が幾つか見られるところでございます。
そういった取組に対して,やはり大学の規模,様々な実施はあるかと思いますが,そういった状況も踏まえながら国としても何らかの後押しをしていくというような取組も必要ではないかと考えております。また,この10年間取り組んできた研究大学強化促進事業,そういったところで培われた知見など,そういったものも最大限活用するべきじゃないかということを書いています。
続いて,②大学の研究基盤の強化です。こちらについては,大学の研究力向上に貢献することを大きな使命としている共同利用・共同研究体制について,国際的な研究動向も的確に踏まえた上で,さらに機能強化をし,我が国全体の英知の結集を促進すべきではないかということを書いております。
また,2つ目の矢羽根ですが,こちら,いろいろなヒアリングをしている中で問題提起を頂いております。現在,個別の研究費が措置しづらい,また,運営費交付金では運用費の手当てが難しい,最先端の中規模の研究設備について,諸外国の状況も踏まえてコアファシリティーとして整備するとともに,研究設備の継続的・効果的な運用を行うための組織的な体制整備を国としても戦略的に推進することが必要ではないかということを記載しております。本委員会では,以上のような取組に限らず,日本全体の研究力発展をけん引する研究システムの在り方を検討していきたいということを考えております。
次のページを御覧ください。具体的な事例として,地方の大学等における基礎研究の推進の事例になります。まず下半分を御覧ください。何度か話も出ておりますが,昨年度創設した事業として,若手を中心とした多様な研究者を最長10年間支援する創発的研究支援事業というものがございます。こちらは先週,2期生の採択を公表したところでございますが,当然ながら地域の大学には優れた多様な研究者がいるところであり,例えば先日,萩生田文部科学大臣ともお会いいただきました河村先生,この方は岐阜大学で唯一の1期生採択者として,岐阜大学が注力する糖鎖科学をけん引いただいています。ただ,問題意識として,創発事業も研究者目線で事業を構築しており,人材流動性の観点から,長期的には引き抜きではないですが,地域の大学から一方向的に一部の大学に集まってしまうのではないかということが危惧されているところもございます。
また,上半分に福間先生の金沢大学のWPIの事例も掲載しております。金沢大学としても,申請に当たり,学長のリーダーシップの下,数年かけて準備を進めているという話をお伺いし,こういった優秀な研究者を核に組織を挙げて国際的な研究拠点を構築するためにも,我々文部科学省としても国としても,大学のビジョン実現に向けて伴走型の支援ができるよう寄り添っていくことが改めて重要だということを考えているところでございます。
今回,吉田先生から最初の質問でありましたが,岐阜大の例についてある程度うまくいった事例と思い,今回紹介させていただければと思います。次のページを御覧ください。こちら,山本先生からも御紹介がありましたが,共同利用・共同研究拠点の一覧になってございます。右下,この青字で書いているところでございますが,来年度から糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点として文部科学大臣の認定を受けています。こちらについては,岐阜大学だけではなく,東海機構の名古屋大学に加え,私学の創価大学や大学共同利用機関の自然科学研究機構とも連携した取組となっているところでございます。
さらに,予算措置につきましても,28ページ目を御覧ください。こちら,先般,閣議決定いたしました補正予算の案においても,国立大学における最先端研究基盤の整備として,一番下にありますが,ヒューマングライコームプロジェクトとして,東海機構の糖鎖生命コア研究所に研究基盤の整備が行われるところでございます。
最後に,繰り返しになりますが,こういった多様な研究大学の形成に向けて,戦略的に今後,国としてどういうふうな形でやれば,大学のビジョンの実現に近づくことができるのか,是非先生方の御経験や問題意識も踏まえて,大学の研究力向上に向けた本質的な課題が何なのか,また,大学を中核とした好循環を生み出すための具体的な好事例を御紹介いただければ,幸いだと考えております。
本日はキックオフの議論になりますが,私からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

【大野主査】 どうもありがとうございました。
それでは,ただいまの御説明について御意見あるいは御質問をいただければと思います。また,議題の2に関連してももちろん構いませんので,御発言をよろしくお願いいたします。
それでは,山本委員,お願いいたします。

【山本(進)委員】 よろしくお願いいたします。豊橋技術科学大学の,現在,理事・副学長やっております。私のキャリアをちょっと御説明しないと皆さん方に御理解いただけないかもしれませんが,名古屋大学で研究担当理事・副総長をやった後,岡山大学に移りまして,やはり研究担当の理事・副学長,それから,東京へ参りまして,大学改革支援・学位授与機構,その後,現在,豊橋技術科学大学の理事・副学長を務めております。メンバーの中の高橋先生,それから,林先生などは以前から知っております。現在,研究大学コンソーシアムの議長を務めさせていただいております。
馬場さんから紹介がありました研究大学強化促進事業でございますが,これは来年度で10年間の事業期間が終わります。研究力強化に関わる多くの成果があった非常によい事業であったと感じております。その中でも特筆すべきはURA。URAの個人の能力とURAの組織としての機能が加速度的に強化されたと。現在,URAの規模というのは全国で約1,500人を超え,さらに増加しつつあります。研究大学の強化促進事業の,先ほども馬場さんがおっしゃっておりました成果を十分に生かし,育成されたURAの能力・機能を生かして,これから本丸である研究力の強化に貢献していただくことが非常に重要ではないかと思っております。
大事なことは,個別大学の研究力を強化することと,日本全体の研究力の強化ということになるためには,育成されたURAの役割が非常に重要になってまいります。指定国立大学のみならず,地方を中心とする中堅・小規模大学の研究力の強化が,先ほどグラフに出てまいりましたように,日本全体の研究力強化にとって非常に重要であると。その場合どうすればよいかといったことでありますが,それは育成したURAの力を利用する。それによって,加速度的に強化する。つまり,日本全体で,研究の多様性を保ちながら,全体のレベルを高めていくと。先ほど日本,ドイツ,それからイギリスの例がありましたが,あのグラフの日本のレベルを上げていくと,そういうことが一つの目標になるのではないかと。
時間もございませんから,ほかの人の御発言もあるのでこれ以上述べませんが,そのためにはどうするかといったようなこと。これは先ほども馬場さんが述べられたような,地方大学であっても,大学には一押しの研究拠点があると。プチWPIみたいなもの。当然小さな大学ではWPIに申請はできません。しかしながら,一押しの,うちの大学にとってこれが強いというふうなものは必ずあるはずですし,私が評価機構で評価をさせていただいたときにも,マグネシウムが強い,あるいは様々な有機物質が強いとか,それは大学の規模によって拠点の数を決めていけばいいので,そういうふうなことを研究大学コンソーシアムの方でも議論をしておりますので,そういうことでこの委員会に貢献できればと思っております。
以上です。

【大野主査】 どうもありがとうございました。それでは続きまして,小長谷委員,お願いいたします。

【小長谷委員】 ありがとうございます。私の方からは2点お願いしたいと思います。
一つは,エビデンスベースドで発表していただきましたが,エビデンスではどうしても限界があります。例えば2018年に投資して,2022年にコロナもあったのに成果が出るということはまず期待できません。それから,人社系のようにもともとデータが出そろわないという場合もあります。そこでプログラムを実際に考えていくもう一つの方法として,ケーススタディーという方法をお願いしたいです。今日も後半の発表には幾つかケースがありましたけれども,グッドプラクティスだけじゃなくて,バットでもいいと思います。学べるので。事例を集めて考えるという,あえて名前をつけるとしたら,リファレンスベースドというか,たくさんのリファレンスから物事を組み立てていくことができるという形で議論していけるといいのではないかなというのが一つです。
もう一つは,多様性という言葉の落とし穴ですね。プチWPIのようなものが全国に散らばっている,それぞれが生き生きしているというのはもう大賛成です。大賛成ですけれども,強みを生かすために,どうしてもそこでまた各大学で選択と集中が行われると,新たな犠牲が強いられるという危険性ももちろんあるわけです。人社系の場合は特に,お一人様で世界クラスということが幾らでもあります。別に隣にお仲間がいなくても,その人単独で世界的なトップを張って研究できているということが往々にしてあるので,このテーマだったらあの人,このテーマだったらあの人と,それはもう日本中の小さな大学に散らばっていらっしゃるので,多様性として,1つの大学の中にどれだけ多様性が担保できているかということを大学評価の基準としてお願いしたいくらいです。ジェンダー問題も大学の中での多様性になります。2つのレベルの多様性があるということを忘れないで,このパッケージのために何か犠牲が生まれないように配慮していただきたいというようなお願いです。
以上です。

【大野主査】 どうもありがとうございます。この後の御発言ですけれども,林委員,そして,高橋委員,そして,まだお手を挙げてはおられませんけれども,柳原委員に御発言を頂いた後,2巡目の吉田委員に入りたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。それでは,林委員,お願いいたします。

【林委員】 ありがとうございます。政策研究大学院大学の林と申します。私の方から3つ申し上げたいと思います。
1点目ですけれども,先ほどからずっと特定の分野に強い大学をつくっていくという話をしていますが,振り返ればもう2004,5年からずっとそういう話を我々はしていたと思います。実際にそれで,21世紀COEプログラムから始まって様々な分野単位のお金,卓越したところに出すお金を出してきて,ちゃんとマネジメントができているところは,まさにさっきのNISTEPの分析で第4グループでも強いところがあるというのが出てきたように,しっかりとしたところはそれなりの拠点をもうつくってきていると私は理解しています。
ただ,それでも日本の研究力が海外と比べて見劣りするというのであれば,やはり一生懸命マネジメントしてきた大学でもなかなか,例えばさっきから出ているように,若い人の任期が切れて人が続かないとか,拠点化したにしても人が少ないとかそういう問題があるとすれば,やっぱりそこを抜本的に変えていかない。我々もう1回強い分野は地方大学につくればいいという話を繰り返してもきっとしようがないと思います。
そう考えたときに,世界大学の方と結局一緒で,やはり大学自身が安定して自律的に使えるお金がないと若手の育成は続かないし,あるいは拠点の拡大もできないというそういう話を世界に伍しての方もやってきたと思うのですけれども,そちらはある種様々な規制緩和をして,基金化,基金をうまく使えるようにしようだとかいろいろな話をしているのですが,やっぱりこっちの地方の大学の方も,別に地方と,世界と伍する大学で状況が違うわけではないので,こちらも併せてとは言いませんけれども,それに続くような形で様々な規制緩和をしていくということは射程に入れて議論をしていった方がいいんじゃないかなと思います。それがまず1点目でございます。
それから,2点目ですが,先ほどのNISTEPの議論で,日本は第4グループは140ぐらいあるという話でしたかね。ほかの国は,第2とか第3は日本よりは多いのだけれども,第4を見ると少ないわけです。それを普通に見れば,日本は小さな大学に分散し過ぎているというふうに見る。本来第2グループぐらいで固まっているべきものが,第4のところに分散して小さいものがいっぱいあるという,そういう状況であるというふうに見ると思います。
見方によっては,大学ランキングに,下の方まで見るとたくさん日本の大学が入っていってすばらしいのだという議論もあるのですけれども,やはり小さなところが規模によって,魅力を出せない,あるいはうまく研究ができないという状況があるのであれば,そこを合併というわけにもいきませんから,やはり連携をしっかりとしていく。特に博士課程の人材育成ですと,トランスファラブルスキルの話とかいろいろある程度の規模を持っていないと十分に実施できないような活動がありますので,第4グループのところの連携をしっかりとしていくということは考えなければいけないと思います。
特に,世界と伍する大学が数校だとすると,こちらの地域の話はどこを対象にしているのか。数校の次にあるような,まさに第2グループ,それでも,十数校のことなのか,もっとその下まで考えるのかということを考えたときに,第4グループにこんなにも日本はたくさんの研究者がいるというのだったら,それをうまく使うすべというのをやっぱり考えるというのが方策かなというふうに思います。
そして,3つ目ですけれども,そういうふうに考えると,今,大学単位でという話をしているのですけれども,やっぱり研究は人なので,アメリカの発想だと,トップ大学でない研究者に限定した資金というのをつくって,それで優秀な人をそこでピックアップして支援をするという,そういう発想をきっとすると思います。内閣府のNEXTで別枠で地方大学の人を採ったりということもしました。しかし,プログラム終了後にその人がいる地方の大学の研究現場がその人をうまく使い切れてない可能性があると思います。
私は,地域のトップレベルの人がまずどのくらいいるのかというのを是非NISTEPでも調べていただきたいと思います。つまり,上位に出ない大学でも非常に光っている人がどのぐらいいるのかを調べていただきたいと思いますけれども,そういう人たちがしっかりと卓越した研究を続けられるような環境をどうやって,例えばさっきの連携でもいいのですけれども,クロアポとかして連携するでもいいですけれども,どうやってつくっていくのかという,そこをきっと合わせて考えなければいけないんだろうなと思っております。
以上になります。

【大野主査】 どうもありがとうございます。規制緩和のスピードというのは,その動きを全大学にというのは,私も大賛成でございます。
高橋委員,お願いいたします。

【高橋委員】 ありがとうございます。金沢工業大学の高橋真木子です。なるべく手短に,したがって,若干表現が粗いかもしれませんが,2点ほど申し上げたいです。
一つは,私,主要欧米諸国20か国以上のURAが加盟する各国団体の国際機構の議長をこの2年間拝命しました。そのチャネルで感じる,研究力とは,ということについてです。簡単に申し上げますと,北米やEUは,大学等のアカデミアの本質的な価値をある程度社会が認めていて,そういう社会基盤の中で個々の大学の個性をいかに伸ばすかという,協調と競争の世界を研究力強化の専門人材,URAも議論しています。
一方で,ここ数年,URAが活発になってきている印象があるのがアジアで,マレーシアは昨年,実務者の団体ができました。中国も力を入れてきていますし,中東,アフリカ,南米でもコミニティーが立ち上がりつつあります。これらの国の議論は少し違っている印象で,国レベルの科学技術投資のパイをどの組織が効率よく獲得するのか,という議論にとどまっているという印象です。我々日本は,この会議等も通じてどんな議論をするべきかという話です。もう答えは明確で,山本進一先生や林さんが今おっしゃっていたとおり,まず,国,大学組織,研究者個人というレイヤーの区分が必要かと思っています。とりわけこういうナショナルなレベルで議論するべきは上の2つ,国レベル,そして,組織レベルの強化だと思っています。
2点目です。私は産学連携の現場経験を10年程度持っていますが,その感触から申し上げます。この10年,施策の小粒化という指摘もありますが,それに加えて,そもそもコンプライアンスだとか経済安全保障とかで,得た資金を使いこなす手間と時間があまりにもかかり過ぎているということが言えると思います。これは,各国のURA団体のリーダー全てが言っているので,特に日本だけの問題ではありませんが,100のお金を使うのに昔は10ぐらいの時間で,90は研究者の研究力でよかったとすると,今,欧米諸国も南米でもアジアでも,100のお金を使うのに間接的なコストはどんどん増えている,ということです。それを組織レベルでどう解決するのといったときに,簡単に言うと組織力。そこはこの研究力強化のメインイシューじゃないかもしれないですが,重要なサブトピックだと思っております。
そのポイントを私の経験から申し上げますと,一つは,URAなど比較的新しい専門人材の知見を最大限活用する,ということ。ただ,これは既に議題として明確な話だと思っています。もう一つ,どんな大学どんなレイヤーでもすごく必要なのは,図書館とか情報基盤とか施設とか,従来大学にあった組織とその人材のかなり大幅なアップグレードが必要だと思っています。この2つがペアにならないと組織レベルの研究力向上というのは全然ままならず,結果,今,林さんが御指摘のようなマネジメントコストにせっかくの投資がのみ込まれてしまうというのが,現実の危惧になると思っています。2回目以降にまた個々の議論ができればと思います。
以上です。

【大野主査】 どうもありがとうございました。それでは,柳原委員,御発言お願いできますでしょうか。

【柳原委員】 柳原です。
まず,企業の立場でコメントしたいと思います。もともと地方の大学の研究は,結構味があり,ブルーオーシャン的な意味ですごく注目されてないところに種があると思っていたので,だけど,一方で予算がつかないというところに対してはすごく残念に思ってきた背景がずっとありますので,今回,地方のところにもちゃんとスポットを当てていくという,そういう考え方は非常に賛同できます。
それから,あと2つありますけれども,若者のチャレンジがしにくいということで雇用の問題が最初のところで挙がっていたと思うのですけれども,終身雇用型の富士フイルムという企業の立場で見たときに,我々の研究組織においても,若者はなかなかチャレンジできないという現状が実はあります。それは何かということを考えたときに,やっぱり目の前の成果,手堅い成果を結構出さなければいけないという焦りがあるのです。その焦りがあるが故に,なかなかチャレンジできないという人が割といます。当然それがなくてチャレンジできる人もいます。それで,チャレンジし難い人を含めて全体の底上げ的なところも考えたときに,メインの仕事,成果が出やすい仕事を8割,残りの2割を自由にやっていいよというぐらいの設定をしてやるとかなり成果を出すこともありますので,決して雇用だけの問題じゃない側面もあるのではないかなというふうに思いました。
それから最後に,世界に伍する研究力ということですけれども,ここも富士フイルムという会社は,写真事業を失ってきた中でどうやってサバイブするかということを考えてきたのですが、そのときにやはり研究力というのが課題になりました。み研究力には2つあると思っていまして,魅力的な課題を設定する力と設定された課題を遂行する力,あるいは解決する力,つまり,WhatとHowの両方があると思っています。それを混同するとよくない。両方とも解決する場合,両方ともandで行く場合もありますけれども,orの場合に混同すると非常によくないと思っています。
要するに,研究テーマのどこがどれぐらいユニークなのか,あるいはマーケティングの用語であるようなポジショニング,そういったところも踏まえてどこでどう勝負するのかとか,あるいはデザイン思考的に考えてみるとどうなのか,そういった視点で研究テーマをきちんと見定めていく。それでどういうふうに勝負するのかというところがあって初めて研究力というのが定義できるのではないかと思っておりまして,その辺りを大学のテーマでももっと磨いていく必要があるのではないかと思っております。
以上です。

【大野主査】 どうもありがとうございます。それでは,時間が大分押してまいりましたので,2巡目に関しましては,吉田委員,そして,福間委員に御発言いただいて,今日はまず委員の発言をそこまででさせていただきたいと思います。それでは,吉田委員,お願いいたします。

【吉田委員】 お時間のないところ発言させていただきまして,ありがとうございます。3つほど課題を申し上げたいと思います。
26ページ,全体通しの70/74ページのところで,創発事業の採択者,河村先生のことを御紹介いただきましてありがとうございました。これは法人統合によって,岐阜大学のみあるいは名古屋大学のみでは不可能であったことが,やはり世界に伍する研究拠点となり得ることを達成できました。今後の創発での問題点として,課題として,この河村さんにいただいたのですが,今後,その研究の環境をいかに整備していただけるかというのが大きな問題点ではないかというふうに私たちは思っております。
それを考えますと,法人統合での課題を3つ挙げさせていただきますと,現段階では,大学組織に加えてプラスアルファの組織ができて,事務職員が足らない,非常に難しいと。先ほどの河村さんの件につきましても,冒頭,山本委員からも出ましたように,URAとかそういう数が圧倒的に地方の大学では足りないので,そういうことをやはり支援していただきたいというのが一つ。2番目としては,法人統合によりまして機構になったのはいいのですが,岐阜大学単独での概算要求とかなかなかしにくいというのがやっぱり問題点としてあります。もう一つ,3番目としては,両大学の研究教育のすみ分けというのも今後の課題ではないかと思っております。
もう一つのコメントとして,資料の14ページでしたかね,全体のページの58/74ページの①,②,③の説明で丸3の一番右下のところになります。地域中核・特色のある研究パッケージということで,私は自治体との連携というのが大学にとっては極めて重要で,地域の活性化は,地域の企業のみならず,自治体との連携,研究,これがやはり不可欠であると強く申し上げたいと思っております。ここの点を今後のディスカッションにまた加えていただければと思います。
それから,3つ目は,議題の前半の1の方だったのですけれども,私,医師の立場から申し上げて,医師の臨床研究とか医師の研究力が低下しているというところでのコメントは,やはり今,大学病院の医師の働き方改革,これによって制限されると。研究は自己研鑽だと。夜遅くの残るのはまかりならん,早く帰りなさいと。こういう環境の中で,自己研鑽で研究するかというとなかなか難しいところがあります。もう一つは,医師が博士課程に進むか。昔はほとんど進学していたのです。ところが,今,地方では,医師不足から,別に博士号を持ってなくても,医師として働いてくれる方がいいや,高い給料出すよというところが増えてきて,そうなるとますます,優秀な医学部の学生,医師が,大学院博士課程に進む可能性が極めて低くなっているというのをちょっと問題点として挙げさせていただきます。
長くなりましたが,以上です。

【大野主査】 どうもありがとうございます。医師の働き方改革の非常に大きなインパクトがある,それはあまり知られていないように思います。引き続きそこのところも焦点を当てるべきかと思います。
続きまして,福間委員,お願いいたします。

【福間委員】 すみません,時間のないところ。資料の中でWPI採択ということで金沢大学を挙げていただいたので,金沢大学は地方大学で唯一WPIに通って,先ほどのお話の中でも地方大学ではWPIに採択されるのは無理だという話もあったのですけれども,無理な中で地方大学としてどうしてこのような採択に至ったのかというグッドプラクティスというか,そういう内々の事情を少しお話しさせていただければと思います。
やっぱり先ほど来ありますように,地方大学の中でも特色ある研究を選択と集中で強化するという視点で,本当に10年ぐらい前から金沢大学はそういう政策を行ってきました。やはり1研究室ですごく強い研究領域というのは,どこにでもと言ったらあれですけれども,そこらじゅうにあるのですけれども,それを2研究室,3研究室が連携してグループとして強い研究グループを形成するということにまず第1段階としては注力する必要があって,金沢大学の場合には例えば学内版のさきがけとかCRESTに相当するようなものを,大学が資金を投資して3年間とか5年間で何千万という予算をつけて,そういう拠点形成を学内でさせる。1研究室から3研究室,4研究室ぐらいまでにさせる。その後,拠点化したものをセンター化という形で,部局までは行かないのですけれどもセンターとして昇格させた後,その後,さらに研究所として部局化するというような形で,現在WPIの採択拠点として研究所という形をとっています。
ここで先ほど初めの方の議論にもありました,地方大学で1点だけ,一つのところだけ,分野だけ強化すると,ほかがやっぱりやっかみとかあるんじゃないかという話で,それがないとは言わないのですけれども,重要なことは,これを継続するということだと思います。WPIに採択されたからそこだけしか支援しないということじゃなくて,2の矢,3の矢を育てるつもりで,今は1研究室の強みだけれども,次の3研究室,5研究室という形になるように継続的にやっていくと,自分も今この段階にあって,行く行くはそういう拠点につながっていくのだというモチベーションの下にやっていけるという,多段階での,かつ継続的な支援が必要だと。そういう意味で先ほど来あったとおり,断片化された支援じゃなくてやっぱり大学自身がある程度長期的な視点を持って使える予算が,まとまった予算があってこそ,学内のさきがけ,CREST的なものをやれると思うので,今回そういったパッケージとしての支援を考えているというのは非常に理にかなっているかなと思います。
あと,人事的なところでいうと,やはり教員が研究とか組織マネジメントにあまりに時間を取られないように,リサーチプロフェッサーというポストを用意して,そのリサーチプロフェッサーになっている人たちは,ある程度学科とかの用務を免除されるような,ちょっと色分けをするような形を取っているというのも特色かなと思います。参考になればと思います。
以上です。

【大野主査】 どうもありがとうございました。本日頂いた御意見,そして,宿題も多数ございました。それらを事務局で取りまとめていただいて,次回以降さらに議論を深めたいと思います。また,議論の途中でも,アウトプットとして外に出していけるものは,先ほど申し上げましたようなCSTIであったり,来年の概算要求であったり,そういう形に取りまとめられるものは取りまとめていただくようにしていきたいと思います。
それでは,本日の大学研究力強化委員会はここで閉会とさせていただきますが,その前に,まず事務局からアナウンスがあれば,よろしくお願いします。

【小久保調整官】 失礼いたします。本日は長時間にわたり,大変ありがとうございました。先ほど大野主査からもお話しいただきましたけれども,本日時間の関係で御発言できなかったこと等がある委員の方いらっしゃいましたら,事務局までどうぞメールでお寄せいただければと思います。
また,本日の議事録につきましてですけれども,運営規則に基づきまして公表をいたします。事務局にて議事録の案を作成の上,委員の皆様に後日御確認をいただきますので,よろしく御承知おきいただければと思います。
最後に,次回の第2回の委員会でございますけれども,2月7日の開催を予定しております。詳細については追って御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上でございます。

【大野主査】 大変活発な御議論をいただきました。2時間では足りないということも分かりましたけれども,長くすればいいものでもありませんので,また2時間で多分設定されると思いますが,是非これからもどうぞよろしくお願いいたします。
本日はどうもお忙しい中御出席いただきまして,ありがとうございました。

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