科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会(第10回)議事録

1.日時

令和5年2月6日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 大学研究力強化に向けた取組
  2. その他

4.出席者

委員

  (主査)大野英男委員
  (委員)相原道子委員、伊藤公平委員、受田浩之委員、梶原ゆみ子委員、片田江舞子委員、小長谷有紀委員、小林弘祐委員、新福洋子委員、高橋真木子委員、林隆之委員、福間剛士委員、藤井輝夫委員、柳原直人委員、山本佳世子委員、吉田和弘委員

文部科学省

  (事務局) 井出文部科学副大臣、増子文部科学審議官、柿田科学技術・学術政策局長、森研究振興局長、木村大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、伊藤大臣官房文部科学戦略官、山下科学技術・学術政策局総括官、笠原大臣官房文教施設企画・防災部長、平野国立大学法人支援課長、井上産業連携・地域振興課長、仙波振興企画課長、梅原産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長、黒沼大学研究基盤整備課長、馬場大学研究力強化室長、滝沢大学研究基盤整備課長補佐 他

科学技術・学術政策研究所

佐伯科学技術・学術政策研究所長

 

5.議事録

【大野主査】  それでは、皆様、おはようございます。ただいまより科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会の第10回を開催いたします。本日も御多忙の中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 いつものようにオンラインで開催させていただいています。音声などに不都合がある場合には、随時、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 それでは、まず、事務局より本日の委員の出欠、配付資料の確認をお願いします。

【滝沢課長補佐】  事務局でございます。本日の委員の出欠状況につきましては、全委員の皆様が出席される予定ということになっております。今、藤井委員だけ少し遅れている状況でございます。
 続きまして、配付資料の確認です。本日は議事次第に記載のとおり、資料1から3、参考資料1を配付しておりますので、御確認をお願いいたします。
 なお、本委員会は原則として公開で行うこととしております。本日も事前に登録をいただいた方に動画を配信しておりますので、お含みおきください。
 最後に、オンライン会議を円滑に行う観点から、事務局よりお願いがございます。1つ、発言時以外はマイクをミュートにしてください。2つ、御発言に当たっては、「手を挙げる」ボタンを押していただくか、カメラに映りやすいように手を挙げてください。3、資料を参照する際は資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所など分かりやすくお示しください。以上、御配慮をお願い申し上げます。
 それでは、委員会の開催に当たり、井出文部科学副大臣より御挨拶申し上げます。

【井出副大臣】  皆さん、おはようございます。本日はお忙しいところ、大学研究力強化委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本委員会は、10月に設置を新たにされまして、今日まで10回にわたって様々御議論をいただいてきたと伺っております。したがいまして、本日が今期としては最後の委員会となります。委員の先生方のこれまでの御尽力、御貢献に感謝、御礼を申し上げたいと思います。
 本日の議論ですが、大学の研究力の強化に向けた取組として、公募が開始されております国際卓越研究大学の状況ですとか、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの改定に係る御検討をいただくと伺っております。特に今日の議題の中で多様な研究大学群の形成に向けてというテーマがありますが、大変重要なテーマでございます。先生方にぜひ忌憚のない御意見をいただければと思います。
 先日、理化学研究所のシンポジウムといいますか、集まりがあってお話を申し上げたのですが、研究者の皆さんが自由に研究のできる環境を、私としても全力で応援をしていきたいと。そのためには、いろいろ政府、文科省のほうでも取り組み、また、苦労もございますが、研究者の方に対する経済的な支援、それからまた、流動性のある中で一定程度の安定したポストというもの、そうしたものがあって自由な裁量の下で皆さんが、研究ができるのではないかと考えております。そうしたところは今後も取り組んでまいりたいと思いますので、どうかまた、先生方の御指導も賜りますようお願い申し上げます。本日、限られた時間でございますが、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 私からは以上です。どうもありがとうございます。

【滝沢課長補佐】  ありがとうございました。
 それでは、今後の議事については大野主査に進行をお願いさせていただきます。

【大野主査】  どうもありがとうございました。また、井出副大臣、御挨拶いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。議事に入りたいと思います。本日は、まず事務局より国際卓越研究大学の公募開始について御報告いただいた後、今お話もございましたように、多様な研究大学群の形成に向けて総合振興パッケージの改定に向けた検討状況などについて御説明をいただきます。また、今回、今期の委員会の最終回となりますので、全体討論の時間も設けたいと思っております。それぞれの御説明の後にも質疑の時間を設けたいと考えてございます。
 それでは、まず、国際卓越研究大学の状況について、御報告をお願いいたします。

【馬場室長】  それでは、資料1に基づきまして、大学ファンドの最新の状況として、国際卓越研究大学の公募開始について御説明させていただければと思います。
 まず、2ページ目の将来像については、これまでも繰り返し御紹介してきた内容かと思います。左側にございます大学ファンドによる支援を通じて、日本の大学が目指す将来の姿を提示しております。こういったものの実現に向けて右側にあるとおり、人材・知の好循環、資金の好循環、多様性・包括性のある環境の下、世界最高水準の研究大学を実現したい、そう考えているところです。
 3ページ目には、これまでのスケジュールを記載しております。令和3年1月28日に科学技術振興機構法の一部を改正する法律が成立して以降、政府部内においても様々な検討を重ね、令和4年5月には国際卓越研究大学法が成立したところです。また、本委員会の議論も踏まえまして、11月15日には文部科学大臣として基本方針を策定し、令和6年度以降の支援開始に向けて現在取り組んでいるところです。
 4ページ目を御覧ください。国際卓越研究大学の公募・選定のポイントをまとめたものになっております。まず、基本方針に基づいて、これまでの実績や蓄積の上で判断するのではなく、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革への意思(ビジョン)とコミットメントの提示に基づき実施すること。また、要件として3点、国際的に卓越した研究成果を創出できる研究力、実効性高く、意欲的な事業・財務戦略、自律と責任のあるガバナンス体制といったものを提示し、公表しているところです。
 2番目、公募・選定のスケジュールについては、昨年12月23日に公募を開始し、3月31日を締切りとしているところです。令和5年度には段階的に審査を実施することとしており、令和6年度以降の支援開始に向け、研究現場の状況把握や大学側との丁寧な対話を実施することとしております。
 5ページ目には体制強化計画の認可に関する具体的な基準として、事例ですが、国際的に卓越した研究成果を創出できる研究力から抜粋しているものです。目指すべき姿の実現に向けて世界の学術研究ネットワークを牽引し、新たな研究領域やイノベーションを常に創出し続けるマネジメント・システムを構築するため、既存の制度に縛られず、学内外の叡知を結集して取組を進めていく計画であること。特に、次に掲げるような、例えば、世界トップクラスの研究者や国内外の優秀な博士課程学生の獲得や活躍の推進ができるような研究上のポテンシャルを向上し続ける方策が示されている。そういったことを求めていきたいと考えているところです。
 6ページ目には、審査の流れが記載されているかと思います。先ほど申し上げたとおり、丁寧な対話を大学とも実施することとしておりますが、具体的には真ん中にございますとおり、書面や面接による審査だけではなく、現地視察、体制強化計画の磨き上げなど等を実施する予定としております。
 次の7ページ目には審査体制のイメージを掲載しております。これも前回御説明させていただきましたが、この審査体制につきましては、総合科学技術・イノベーション会議と科学技術・学術審議会が適切に情報共有等の連携を行うことができる体制を構築することとし、アカデミアの特性も踏まえつつ、国際的な視野から高度かつ専門的な見識を踏まえられるよう外国人有識者も加えた適切な体制を構築することを予定しているところです。
 8ページ目を御覧ください。こちら、前回も事前に御紹介いたしましたが、大学ファンドに関するシンポジウムの概要をまとめております。11月29日に開催させていただきましたが、資料や当日の様子なども真ん中にリンク先を記載しているとおり、今でも動画等を確認できることとしております。ぜひ傍聴の方も含め、お時間があれば御参考いただければ幸いです。
 なお、9ページ目以降に当日の様子をまとめた記事を掲載しております。現地とオンライン、合わせて1,000人ほどに参加していただき、当日は大学ファンドだけでなく、本日もこの後、議論させていただく総合振興パッケージの状況なども説明させていただきましたが、アンケートからも関心の高さがうかがわれるところです。引き続き大学ファンドの状況については、本委員会のみならず、様々な場も活用しながら、その趣旨や状況について積極的に発信していきたいと考えているところです。
 事務局からの説明は以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの報告について御質問や御意見がありましたらお願いいたします。小林委員、お願いいたします。

【小林委員】  内容は非常にいいと思いますけれど、少し懸念するのが10兆円ファンドは、まだ10兆円集まっていないのと、運用がマイナススタートみたいなのですが、これは運用益を基にして大学に供与するという仕組みだったと思うのですけれども、運用益が出なかった場合どうなってしまうのか少し心配です。

【大野主査】  事務局、お願いいたします。

【馬場室長】  事務局から回答させていただきます。今、小林委員に御指摘いただいたとおり、大学ファンドは10兆円のファンドの運用益の範囲内で支援をするということが予定されておりますので、その運用益をまず着実に、安定的に出すというところが重要かと思っているところです。我々としても支援がスタートして、それからまた支援を縮減するということでは本質的に我々の目指す姿ではないので、重要なことは各大学がある程度、見通しがつく形で、支援する大学には支援を継続していきたいと考えているところです。お答えとしては、あくまでも運用益の範囲内で令和6年度以降、支援を開始していきたいということを今目指して取り組んでいるところです。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、山本委員、お願いいたします。

【山本(佳)委員】  山本佳世子です。6ページの審査の流れの中で真ん中のほうに段階的に審査していくという記述があるのですけれども、これについて伺います。応募したいという大学が当初、考えられたよりも多くなる見込みとなってまいりました。その中で段階的に審査していくというのがどんな具合か知りたいと思いました。つまり、1次ハードル、2次ハードルみたいなものを実際進める中では設定をして絞り込んでいくようなものなのか。公表自体は最後、認定になったときだと思うのですけれども、その途中がどんなかというのを知りたいと思いました。お願いいたします。

【大野主査】  事務局、お願いいたします。

【馬場室長】  ありがとうございます。6ページ目の審査の流れに関する御質問かと思います。こちらにつきましては、今、委員が御指摘いただいたとおり、どうやってやっていくのかということに関しては、我々も実際この3月末の締切りまでにどの程度の数の大学が提案してきていただけるのか、また、どの程度のクオリティーという言い方はよくないのかもしれませんが、どの程度のビジョンを掲げたような計画が出てくるのか、そういったことにもよるのかとは思っているところです。我々としても透明性であったりとか、説明責任を果たした上でこういった審査を進めていきたいということは考えておりますし、また、大学にとっても予見可能性があるような形で審査を進めていきたいと考えているところです。
 いずれにせよ、この辺りについては、どの程度の大学が申請されてくるのかというところによってくるところでありますので、まずは3月末、締め切ったタイミングで、例えばその提案されてきた大学がどの程度あるのか、そういった情報等につきましては、積極的に発信はしていきたいと思ってはいるところです。それ以降について、どういった形でやるかということについては、アドバイザリーボードの中でも議論していきながら、考えていきたいと思っているところです。
 以上です。

【山本(佳)委員】  ありがとうございました。

【大野主査】  どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。全体の質疑応答の時間を予定してございますので、もしこの後何かございましたら、そこで再度御発言をいただきたいと思います。引き続き次期の本委員会でも随時この国際卓越研究大学の状況については御報告いただきたいと思います。
 続いて、事務局より「多様な研究大学群の形成に向けて」についての説明をお願いいたします。

【馬場室長】  それでは、引き続きまして、資料2に基づきまして、「多様な研究大学群の形成に向けて」御説明させていただければと思います。本日は、次のページの目次に記載のとおり、政府全体としてのパッケージの改定に向けた状況に加えまして、文部科学省におけるパッケージの拡充に向けた取組、また、関連施策の状況についても参考に紹介したいと考えております。
 3ページ目、この多様な研究大学群の形成に向けては、今期、本委員会でも議論を重ねてまいりましたが、こちらは第1回でも配付した資料となっております。一番下に書いてございますとおり、今後、全国の大学が研究力を獲得していくためにも、大学の知的蓄積や地域の実情に応じて研究独自色を発揮することの重要性を記載しているところです。
 加えて4ページ目、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成といたしまして、強化委員会の議論も踏まえまして、個別の大学だけではなく、日本全体の大学の国際競争力を高めるためには、総合振興パッケージと大学ファンドを連動させ、個々の大学の持つ強みを引き上げると同時に、複数組織間の連携を促進し、人材の流動性が高いダイナミクスのある研究大学群をシステムとして構築することが必要としているところです。
 続いて5ページ目、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの改定の状況についてです。こちら、次のページにありますが、日本全体の研究力を向上させるためには、大学ファンドのような限られたトップレベルの研究大学への支援と同時に、地域の中核となる大学や特定分野に強みを持つ大学など実力と意欲を持つ多様な大学の機能を強化していくことが重要であり、こうした背景の下、自身の強みや特色を最大限発揮し、成長の駆動力となってグローバル課題の解決や社会変革を牽引することを目指し、政府全体としての支援策をパッケージとして取りまとめ、令和4年2月の総合科学技術・イノベーション会議、CSTI本会議において決定したところです。
 関連府省が連携し、パッケージに基づいた支援を着実に推進するとともに、大学ファンドの検討状況等を踏まえ、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成に向けて大学ファンド支援対象大学と地域中核・特色ある研究大学とが相乗的・相補的な連携を行い、共に発展するスキームの構築に資するパッケージ内容へとさらに進化、発展させるために、今年度中にCSTI本会議によって改定を予定しているところです。その際、予算的な量的拡大に加えて、質的拡充に向けては右下にも記載のとおり、大学研究力強化委員会の議論の動向も踏まえつつ、大学自身の取組の強化に向けた具体策の充実に努めてきたところです。
 次のページを御覧ください。今回、パッケージの改定に向けて3点ポイントを説明させていただきます。まず、左上、目指す大学像として研究活動を核とした大学に求められる機能について、自らのミッションや特色に応じたポートフォリオを描きつつ、戦略的に強化し、大学の力を向上させることで新たな価値創造の源泉となる「知」と「人材」を創出し、輩出し続ける大学としているところです。
 続いて、大学に求められる機能として「卓越性」と「地域・社会貢献」の観点から、機能強化での目指す方向性を便宜的に整理してはどうかというところも提案されているところです。
 また、下半分、総合振興パッケージの狙い(目的)として、今回、研究大学に求められる機能の観点から、大学自身の立ち位置を振り返る羅針盤の基本的な考え方というものが示されているところです。具体的には、右下小さいので10ページ目に移っていただければと思いますが、多様性と卓越性、社会実装・イノベーション、地域貢献、また、下半分、マネジメント、研究環境の5個の軸が提示されております。この辺りの今後の活用方法については、本日の後半の自由討論の際にも議論いただければと考えています。
 12ページ目を御覧ください。政府全体としてパッケージの全体像をまとめたものとなっております。右上に予算額、令和5年度の政府予算案として442億円に加え、令和4年度の補正予算額として2,110億円などが計上されているところです。
 13ページ目に総合振興パッケージによる支援全体像を1、大学自身の取組の強化、2、繋ぐ仕組みの強化、3、地域社会における大学の活躍の促進として整理しているものです。この中で1、大学自身の取組の強化については、強化委員会でも複数回にわたって議論を重ねてまいりました。
 14ページ目にまとめておりますが、こちら、これまでの資料と大きく変わっているものではございませんが、14ページ目、強化委員会の議論を踏まえた具体策などがパッケージの改定版として近々CSTI本会議でも決定される見込みとなっているところです。このページに記載されている個々の取組について、この後御説明させていただければと考えております。
 16ページ目にあるとおり、まずは補正予算により基金として創設された地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の制度設計に向けた検討状況について、産業連携・地域振興課から説明させていただければと考えております。梅原室長、よろしくお願いいたします。

【梅原室長】  産業連携・地域振興課の梅原でございます。19ページですが、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの拡充の方向性として、令和5年度予算案及び令和4年度第2次補正予算案において様々な施策が拡充されております。予算の方向性といたしまして、3つの帯を書いておりますけれども、まず、緑色の帯、大学の基盤的活動を強化するということで国立大学の運営費交付金や私学助成など、基盤的活動については、引き続き支援を充実させていく予定です。
 2つ目の帯、青い帯ですが、大学の領域を超えた連携を拡大・促進していくということで、この後、御説明があろうかと思いますけれども、共同利用・共同研究システムの形成についても新たな予算を措置しているところでございます。そして、赤い帯ですが、今回、個々の大学が持つ研究の強みを最大化するということで、まず、世界トップレベル研究拠点プログラム、WPIでありますとか、あとは産学官連携の分野で共創の場形成支援プログラムなどの施策についても内容を見直して、より使い勝手が良い形で拡充をしてございます。
 また、そういった拠点形成を通じて強み、特色を蓄えていただいた大学につきましては、研究力の更なる向上に向けて戦略的な経営をしていただくために、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業、約1,500億円の基金と、同じくその施設整備事業ということで500億円の予算を計上しているところでございます。
 具体的な内容につきましては、20ページ、2,000億円の基金等の予算は、2つの構造になっております。まず、黄色の部分ですけれども、この地域中核の強化促進事業1,500億円につきましては来年度春以降に日本学術振興会、JSPSのほうで基金を造成し、公募、採択を行う予定でございます。最大25件程度の採択を考えてございまして、当面、予算を確保しているのは5年間でございますけれども、5年間で1提案当たり最大55億円ということで、専門人材の戦略的な配置や研究環境の高度化などの環境整備に使っていただくお金として25億円、そして別途研究機器等の設備に御活用いただくお金として30億円を計上しております。
 そして、その基金に申請される大学が併せて施設も必要という場合には、この青い部分ですけれども、500億円の予算を計上しておりまして、1提案当たり20億円程度、最大25件の想定をしてございます。一方、こちらは経済対策の補正予算で、基金ではございませんで、オープンイノベーションや、スタートアップのインキュベーションなど、産学連携関係の目的に限定された予算となります。
 21ページ、制度設計につきましては、まず、文部科学省で事業設計委員会を科学技術・学術政策局長の下に設置しておりまして、現在、有識者の先生方からヒアリングや、議論をお願いしているところです。3月末に向けて基本的な考え方をまとめ、文部科学大臣決定とする予定です。その後、基金造成とともにJSPSで公募要領の作成、公募・審査に移っていくことを想定してございます。
 22ページ、大枠のスケジュールに関して、事業設計委員会では、3月末に一旦結論を出しまして、4月以降はJSPSで実務に当たっていただく予定です。JSPSに基金造成後、公募要領を作成いたしますので、基金部分の公募については、早くて5月ぐらいではないかと想定してございます。そこから数か月、公募期間を設けまして、年内ぐらいに採択大学を決定していくような流れを想定してございます。
 2段目、施設整備の事業については、経済対策の補正予算でございますので、できるだけ早く執行するという観点から、2月中の公募開始を目指して準備を進めてございます。1ヶ月ぐらい公募期間を設け、採択いたしまして、年度をまたぐ形になろうかと思いますが、4月、5月というところで大学に交付決定するという流れを見込んでございます。
 23ページ、制度設計の主な論点として、そこに示すようなものを議論いただいております。事業目的につきましては、まさにこの研究力強化委員会で議論いただいておりますように、多様な研究大学群の形成というようなことで、大学ファンドの支援対象大学と地域中核・特色ある研究大学がしっかり相乗的・相補的な連携をして発展していくというような姿を描いております。また、総合振興パッケージの改定案のエッセンスもしっかり盛り込んで事業設計をしていきたいと考えてございます。
 そして、国際卓越研究大学との関係では、国の予算の二重の支払いを避ける観点から、国際卓越研究大学に申請される大学については、地域中核・特色ある研究大学の基金事業等については、予算配分の対象外と考えてございます。応募要件といたしましては、提案大学としては1件の応募を想定してございます。ただ、一方で、他大学が代表機関となられる提案について、いわゆる連携大学、参画機関として入られるものが追加されることについては、よろしいのではないかと考えてございます。申請書につきましては、まず、研究力の強化に向けて10年後を見通したビジョンをお示しいただいて、その上で5か年の資金計画または経営戦略を明らかにしていただくことを想定してございます。
 審査方法につきましては、まず、2月に施設整備事業の公募をかける予定でございますけれども、そちらにつきましては、5月以降の公募になる基金に申請される大学が出されてくることを想定しておりますので、まだ十分に研究力向上戦略、また、アライアンスの詳細が詰まっていない可能性もございます。ですので、研究力向上戦略につきましては、骨子というようなところで審査をさせていただきたいと考えております。また、施設のスペック、また、それがいかに研究力向上戦略に寄与するのかというようなところは、しっかり見させていただきたいと考えてございます。提案・採択後は、お金を渡して終わりということではなくて、しっかり伴走支援をして、文科省、JSPS双方で課題解決に大学と共に当たっていきたいと考えております。
 以上です。

【黒沼課長】  引き続きまして、24ページです。いわゆる学際ハブ事業と我々呼んでおりますけれども、特定の大学だけの研究力強化にとどまらず、どこの大学に属していても研究機会を確保できるようにということで、横軸で研究領域を拡大していくための事業を要求していたところでございます。こちらについて御説明いたします。
 金額につきましては、右上にございますように6億6,200万ということで4億円増という形で予算案に盛り込ませていただいております。もともと公私立の共同利用・共同研究拠点を支援するための経費として2.6億円積んでおりましたので、4億円の部分が新規に、新しく領域を広げるための事業予算として認められたということでございます。
 事業内容につきましては、昨年からるる御説明しているとおりでございますけれども、共同利用・共同研究拠点同士が、あるいはそのほかの新たな研究所を巻き込みながら連携をして、それによって新たな領域を引き出していって、新たな領域の共同利用体制を広げていこうという事業でございます。そのための事業として、かなり小さい文字で書いてありますけれども、1つ当たり5,000万円を基準に、研究分野などによって恐らく中身、随分変わってこようかと思いますので、それに応じて、特性を踏まえて額を算定していくことで考えているところでございます。
 次のページをお願いいたします。今後のスケジュールが中ほどにございます。事業設計を今年度中に行いまして、来年度、公募予定ということにしてございます。このような形にしているのはなぜかということも含めまして、次のページで御説明したいと思います。こちらは、先日、学術分科会に置かれました研究環境基盤部会に同じく予算案を報告したときにいただいた意見を、あるいは我々の回答も混ざってしまっていますけれども、整理したものでございます。こちらを踏まえまして、これから制度設計をしていこうと考えているところでございますけれども、その中で何点か御紹介をしたいと思います。
 まず1点目でございますけれども、新たな分野開拓の上で研究費とかコーディネート経費だけではなくて施設整備費等も必要というような御意見をいただいたところでございました。ここにつきまして、若干御説明が必要かと思っています。もともとこちらの事業、概算要求では27億という規模で要求をしていたところですけれども、仕上がりとしては、6.7億ということで随分額が小さくなっているではないかという御意見もいただいているところでございます。この経緯というのは、まさに今1点目でいただいた御意見のところと重なるのですけれども、我々、概算要求のときには、我々の事業の中でも設備の整備も行えるように経費を積んでいたところでございます。
 ただ、一方で、先ほど梅原室長から御説明があったように、この我々の事業の当初予算の仕上がりの直前に、補正予算で1,498億という地域中核の研究大学強化促進事業の中で設備整備もできるという補正予算がついた関係で、こちらの事業の中でも設備整備をやる必要はないのではないか、そういう予算査定が行われ、我々の事業のほうでは、設備関係の経費は積んでいないというところでございます。その関係で予算額も額が小さくなっているところはございます。
 あと、3点目でございますけれども、先日の研究環境基盤部会でいただいた御意見としては、支援単価が5,000万では対応できない分野があるのではないかという御意見をいただきましたので、ここは申請内容、分野に応じて柔軟な対応を考えさせていただくということで、我々のほうから御回答させていただいたところでございます。
 また、6点目として、上から6番目です。最長10年ぐらいの支援を想定しているところですが、新しい学際領域の開拓ということであると、そんな簡単にできる話ではないということでございまして、早急に出口を意識しないで、ステージゲートぐらいまでに目途を立てていくような、そういった形でやってほしいというような御意見がありました。我々もそのような問題意識を共有するところでございますけれども、そういった形も踏まえながら、制度設計をしていきたいと思っております。
 1ページ前に戻っていただきまして、今後のスケジュールについて、そういった御意見を踏まえながら制度設計をやっていくというところで、4月目途で公募予定というスケジュールにしているのは、先ほど申し上げましたとおり、地域中核の研究大学強化促進事業の制度設計を横目で見ていく必要がございますので、このようなスケジュールとしているところでございます。また、その中核の基金の状況を踏まえまして、我々のほうも制度設計を詰めて御報告していきたいと思います。
 以上でございます。

【馬場室長】  続いて28ページ目以降になるかと思います。魅力ある拠点形成等による大学の特色化の関係で、私から2点御紹介させていただければと思います。
 まず、世界トップレベル研究拠点プログラム、いわゆるWPIについてです。これまでも強化委員会においても地域の大学であったりとか、中堅大学が申請するにはハードルが高いのではないかという声があったかと思います。そういった御意見も踏まえて、来年度に向けては左真ん中に書いてあるかと思います。今回、WPI CORE(伴走成長方式)として新規2拠点を採択予定としているところです。当初段階では、現行のWPIの7割程度の要求要件としつつ、段階的に拠点形成を推進することとしてはどうかと考えているところでございます。こういったことをすることによって、これまで必ずしもWPIの申請には手を挙げづらかった地域の大学、中堅大学であっても、可能性として検討し得るというところ、また、文部科学省、JSPSとしても伴走的な支援をしていきたいというようなことを考えているところです。
 29ページ目に新規公募に係るスケジュールを掲載しております。先週、1月31日に公募を開始し、2月9日には公募説明会を実施する予定となっております。詳細については、下に記載していますJSPSのホームページを御確認いただければと考えております。
 続いて30ページ目に共創の場形成支援につきましても、来年度は新たな取組を採択できるよう育成型、下のほうに記載しておりますか、育成型について新規で6拠点程度採択し、こちらについても必要な支援を行った上で、本格型につなげていきたいというようなことを考えているところです。WPI、共創の場についても、これまで必ずしも申請してこなかった大学、また、申請しても採択されなかった大学も含めて、文部科学省としても可能な限り丁寧な対応というところを心掛けていきたいと考えているところです。
 最後、32ページ目以降に関連施策の状況についてまとめているので御紹介したいと思います。まず、研究大学強化促進事業の事後評価については、33ページ目に記載のとおり、今年度で終了するところでございますが、事後評価結果の決定自体は今年度末、3月を予定しております。ただ、目的にも記載のとおり、他大学へ展開可能事例については、可能な限り共有を図っていきたいということで、今回、34ページ目以降に幾つか事例として掲載しているところです。
 34ページ目は、URA体制の整備と活動実績の事例です。また、35ページ目については、国際共同研究、異分野融合研究の推進において他大学でも参考になる取組として3点挙げております。
 また、36ページ目には、若手支援、ダイバーシティ促進に係る取組として、各大学促進事業の大学において実際に成果が出たような事例というところを載せさせていただいています。こういったグッドプラクティス、また、逆にうまくいかなかった事例、チャレンジしたけれども、うまくいかなかったものを含めても、今後、事後評価結果として取りまとめる際には、他大学においても参考になるようなものにつなげていきたいと思いますし、文部科学省としても他の施策についても横展開できるように今回の事後評価をいたしていきたいと考えているところです。
 また、37ページ目には、創発的研究支援事業についても記載してあります。こちらも、これまでも御紹介してきたところですが、今年度の補正予算で来年度以降、4期生以降の新規採択が可能となりました。ちょうど先月、3期生の採択も発表したところでしたが、この創発的研究支援事業においては、真ん中に記載しているとおり、採択研究者に対する環境改善の取組実績や今後の研究力強化の取組も踏まえ、その機関、大体、全国で約100機関以上あると思いますが、を対象に研究時間の確保であったりとか、研究者目線で積極的かつ支援を行う機関に対して、支援を実施することということを考えているところです。こうしたことについても、今後、必要な制度設計をした上で、必要な支援を大学ファンド、地域中核に採択されていない大学を含めて幅広く様々な取組を応援していきたいと考えているところです。
 それ以降、前回も御説明した実績等も記載しておりますので、必要に応じて御参考いただければと考えております。
 説明が長くなり恐縮ですが、事務局からの説明、以上となります。よろしくお願いいたします。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明について、御質問、あるいは御意見がありましたら、お願いいたします。
 小林委員、お願いいたします。

【小林委員】  小林でございます。20ページ目を開いていただきたいと思うのですけれども、下の設備整備事業というのは、これは地域中核・特色ある研究大学が必要となる設備整備というふうに捉えた場合に、先にこれを申請して、その後に年度が変わってから基金に、大学強化促進事業に応募するような形になるのですが、順序が逆のように見えて、この施設整備が通ったけれども、促進事業が通らないということもあり得るのではないかと思いまして、それが気になるのが1点目。
 あと2点ありまして、もう一つ、地域中核・特色ある――黄色の部分です。左側の黄色の部分、そこで社会実装の拠点等を有するというのは、曖昧に書かれていて、WPIは御存じのように国立大学がほとんどで、私立大学で通っているのは慶應義塾大学だけなのですね。共創の場もそんなに多くはないと思うのですけれども、この「等」が書かれているといっても、申請する側としてはやはりこのWPIとか共創の場を持っていると、申請しやすいのではないかというふうに、どうしても感じてしまうので、その辺がどのぐらいの重要度を持っているのかというのが2つ目です。
 それからもう一点は、ここに書かれているように、括弧の中です。支援対象の3行目に括弧の中に「国際卓越研究大学への申請中の大学を含む申請は対象外」と書かれていますけれども、ここに申請した大学は、行く行くは国際卓越研究大学へ申請したい大学だと思われるのですが、ここに通ってしまうと、場合によって5年間、国際卓越研究大学に申請できないのか。あるいは申請できた場合に、その連携大学がどういう扱いになってしまうのか、そこが少し気になりまして、この3点について説明していただければと思います。

【大野主査】  それでは、事務局、お願いいたします。

【梅原室長】  1点目、順序が逆ではないかという点については国の予算の事情もございまして、黄色の部分は基金ということで柔軟な運用を考えておりますが、青い部分は経済対策の補正予算ということで早期執行を求められております。そういった事情で順序は少し逆という捉え方をされるかもしれませんが、しっかり連携させてやっていきたいと考えております。基本的には、この事業に出される大学は、皆さん基金の黄色の部分に出してこられると想定しておりますので、そちらに向けて研究力向上戦略を磨いていただければと考えてございます。
 2点目につきまして、WPI、共創の場「等」という例示の部分かと思いますけれども、強みや特色ある研究、社会実装の拠点ということで、その2つを示しておりますけれども、例示でございます。そして、これに類する形で大型の研究費を取られたり、また、いろいろな拠点事業を取られたり、また、大学独自にリソースを寄せて、いろいろな拠点を形成されている事例があろうかと思います。そういったものにつきましては、しっかりそのマネジメントの状況でありますとか、どれだけ卓越しているのかというようなところを中身で審査させていただきたいと考えておりますので、必ずしもWPI、共創の場がないと出せないということではなくて、それに相応するような拠点をお持ちであれば、十分お出しいただけるという形を想定してございます。
 3点目、国際卓越研究大学に申請される大学についてでございますけれども、ここに「対象外」ということで、少し誤解を招く書き方かもしれませんけれども、こちらのほうは予算配分の対象外ということで、先ほども御説明した国費の二重払いを避ける観点からの配慮でございます。そういったことで、今回の提案については、あくまで提案される大学のありたい姿、ありたい研究ビジョンというところをベースに審査をさせていただいて、それで研究力の相乗的・相補的な連携という観点で連携大学もしくは参画機関を加えていただくことを想定してございますので、あくまでその提案大学を主体に捉えさせていただいております。
 それで、今後、大学ファンドの公募のスケジュールがどのようになるか分かりませんけれども、事務局側としては、しっかり5年間やっていただきたいとは考えておりますけれども、場合によっては早くに成果を取りまとめられて、大学ファンドの公募スケジュールに合わせられるというようなパターンもあろうかと思いますが、そこについてはしっかりと制度検討の中で議論していきたいと考えてございます。

【大野主査】  ありがとうございます。
 多数、御質問の手が挙がっていますので、順番に行きたいと思います。次は福間委員、お願いいたします。

【福間委員】  福間です。私からも同じこのスライドに関連するところなのですけれども、5年の時限で、評価によっては10年まで延長があり得るということなのですけれども、このパッケージの創設の原動力となった問題意識としては、多数のプログラムが乱立してしまって、申請とか報告に忙殺されて実質的に腰を落ち着けて大学独自の方策を実施できないという点が1つと、もう一つは、今回のようなプログラムが常に時限付きで、期限付きで、その後の持続性、発展性が担保できる仕組みがプログラム自体に備わっていないという問題意識があって、こういうパッケージの設立につながったものと理解しています。前者については、確かにここで御説明いただいたとおり、様々なプログラムがパッケージ化されていて、その対策が明確に示されていると思いますし、ぜひこれを使って事務手続を簡略化する方向に運用していただきたいと思います。
 一方で、後者については、どちらかというと5年後以降、大学で自助努力して何とかするという従来とあまり変わらないような内容になってしまっているように、一見すると見えます。ということで、一方では、現在、並行して進んでいる国際卓越研究大学のプログラムが走っていて、そちらでは単にその期間内ということではなくて、ファンドを設立してそれぞれの大学が運用することで持続的な発展をもたらすという仕組みがプログラム自体に組み込まれています。これがうまくいったとしたら、5年後、さらにこの総合振興パッケージを持続させるというときに、このようなアイディアをこちらのパッケージにもうまいこと組み込んで、単に大学が何とかするという曖昧なものではなくて、仕組みとしてこういった方策をこのパッケージに組み込んでいっていただければと期待しています。
 以上です。

【大野主査】  事務局、いかがでしょうか。

【梅原室長】  後段の制度設計につきましては、しっかり議論をしていきたいと考えております。このパッケージを予算で、5年間で仕切ることによって様々な負担を大学現場にかけないように、そういったところはしっかり注意して、今回、こういった大括りの予算ができましたので、ぜひ大学の動きをさらに効率化するような方向に持っていけるように、しっかり制度設計したいと考えてございます。

【大野主査】  非常に重要なポイントだと思います。ありがとうございます。
 それでは、続きまして吉田委員、お願いいたします。

【吉田委員】  ありがとうございました。では、私もこのページについてお伺いしたいのですけれども、最初の地域中核大学と、それから、国際卓越研究大学への相乗的・相補的な連携を行うということが全体としてかかっていて、その上で黄色い部分のところ、先ほどから議論になっておりますところなのですけれども、この国際卓越研究大学と相乗的・相補的な連携、具体的にはどのようなことが想定、求められているのかということなのですが、その上で申請につきましては、地域中核大学の代表大学として応募することはできないが、連携機関として参加することはできるという解釈でおります。それでよろしいのかということが1つ。
 そうであれば、当然のことながら、連携大学として明示して申請できるのか。重要なことは、その連携の深さについてお尋ねしたいのですが、例えばしっかりとした実績、強固のアライアンスなどが求められているのか、あるいは個人レベルでの共同研究での連携など、こういうものでも許容されるのかということがまず全体としての第2点目の質問になります。
 3つ目の質問は、同じページの施設整備事業についてという下方の青い部分の施設整備事業の支援金額の考え方についてになります。単価のところを見ますと、平均20億程度と。1大学当たり上限10億円と書いてあります。これは参画大学である、ある程度、均等に分配するという意味なのか。あるいは目標を達成するために拠点となっている大学に整備し、連携機関と共同で使用する場合、そういう場合は建物を建設する大学に集中的に分配して、1大学の上限10億を超えて20億円の規模の建物、こういうものを建設することが可能と、こういう解釈でよいのか教えていただけるとありがたいです。
 以上になります。

【大野主査】  いかがでしょうか。

【梅原室長】  1点目、国際卓越研究大学との連携は、まさにこの研究力強化委員会の大事なポイントだと考えておりますので、予算の配分はできませんけれども、そこについては、非常に期待しておりまして、国際卓越研究大学との連携のプランというのもしっかり描いていただければと考えてございます。
 2点目、連携の深さのイメージとしましては、例えば個人の研究者と連携するようなイメージではなくて、あくまでもある程度の塊を持つ組織同士が連携することによって、研究者のある程度のマスを作って、その分野の研究活動が活性化していくような姿を想定してございますので、ある程度、組織的な連携を目指していただきたいと考えております。
 3点目の施設整備でございますけれども、連携機関同士で、1か所でまとまって、オープンイノベーションをしていただくのであれば、一括で、例えば提案大学に20億円の建物を建てていただくことは差し支えないのではないかと想定してございます。もし連携機関の中で分配されて使われるような場合には、上限10億円ということで、それぞれ改修をしていただくとか、そういった形もありうると考えてございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして受田委員、お願いいたします。

【受田委員】  受田です。ありがとうございます。今、吉田委員も御指摘をされた内容になるのですけれども、同じくこの20ページです。地域中核大学と国際卓越研究大学との連携の実効性を上げるということが、この大学研究力強化委員会における極めて重要な議論であるということは論を待ちません。タイミングの問題がなかなか微妙なので、国際卓越研究大学の提案とこのパッケージ関係を情報共有するような場をある程度戦略的に作っていただきたいと思うところが1点です。かなり工夫が必要だと思います。
 2点目は、この20ページの右側に地域の経済社会、国内外の課題解決、こういう矢印がございます。ここにおいては、やはり地域社会のコミットメントが極めて重要で、具体的には行政がどういうふうに関わっていくか、コミットメントしていくか、これは重要な視点になるのではないかと思います。したがって、地域社会への貢献という部分では、社会的インパクトという言葉を最近よく使うことになるのですけれども、社会的インパクトの定性的、定量的な観点が求められ、その点をこの促進事業や整備事業に盛り込んでいくこと、この点をぜひお考えいただきたいと思います。そのことが明確になることによって、評価システムの確立というところで省庁が連携したり、また、行政がどういうふうに関与していくかというところが明確になっていくのではないかと思います。ぜひ以上の点、よろしく御検討のほどお願いいたします。

【大野主査】  ありがとうございます。
 事務局、いかがですか。

【梅原室長】  1点目の情報共有の場は、まさにおっしゃるとおりでございますので、大学ファンドのほうとも連携しまして、しっかり大学に情報が発信できるように配慮していきたいと考えます。
 2点目につきましては、おっしゃるように、地域社会のコミットメントをしっかりKPIで測っていくことが大事だと思っております。この20ページにも、強みや特色に基づく共同研究や起業の件数の大幅な増加、あと自治体からの外部資金獲得、そういった例は示させていただいておりますけれども、実効的なKPI、定性的、定量的にどう評価していったらいいのか、そういったところは、しっかり議論していきたいと思います。ありがとうございました。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして新福委員、お願いいたします。

【新福委員】  ありがとうございます。これまでの委員会におきましても、違う強みのある人材が活躍できるような拠点ができるということが非常に重要だと発言しておりまして、日本の大学が長期的に考えて持続的に発展していくためには、多様性ですとか、若手研究者育成の重要性、それが今回、国際卓越研究大学のほうにも基準として入ったことは非常にありがたいと思っております。
 この後で地域中核のほうの基準も考えていくにおきまして、この国際卓越と地域中核の関係性について、考えを詰めていかなければいけないと思うのですけれども、今やはり国際卓越の基準にこのダイバーシティが入ったことによって、例えば今すぐ女性研究者割合、若手研究者割合を増やすとしたときに、では、どこから人を集めてくるかというと、地方大学から国際卓越に人材が流れるということがあろうかと思います。
 ある一定の部分は、それは仕方がない部分があるとは思うのですけれども、常態的にそのように人材が、せっかく地方で育てた人材が国際卓越のような大きい大学に吸い上げられていくような形が続いてしまいますと、やはり地域で研究者を育てていく、また、発展性のある研究を続けていくというのが厳しい環境になっていくというところもござろうかと思います。ですので、やはりこの連携、もし若手研究者、女性研究者が移動したとしても、連携によってもともといた大学にも、この後も研究成果が共有されるですとか、また、国際卓越のほうは、この人材の吸い上げがすごく顕著にならないような配慮、例えば海外から人材を採ってくるですとか、そういったことも大事なのではないかなと今思っています。
 また、そういったことが起きたときに、このトップ10%論文が書ける人材というのが、どうしても移動してしまうのではないかということを考えたときに、このトップ10%論文を地域中核のほうでも非常に重く評価されたりする形になりますと、今後やはり申請できる大学が少なくなったり、すごく厳しいのではないかなというのを考えています。ですので、この若手人材育成、また、ダイバーシティというところにおきましても、国際卓越と地域中核の関係性というところの議論を続けていただきたいというのがコメントになります。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございます。
 事務局、いかがですか。

【梅原室長】  大事な視点だと思いますので、しっかり議論してまいりたいと思います。地域中核・特色ある研究大学がしっかり特色を高めていただくことによって、人材が一方的に流動するようなことにならないように、日本全体として研究力が底上げされていくように、そういった配慮をしっかりしていきたいと思います。地域中核・特色ある研究大学のほうのKPIで、例示としてトップ10%論文なども書かせていただいておりますけれども、大学のありたい姿は様々だと思いますので、あくまでその姿をベースに、KPIを設定していただければと考えておりますので、地域中核・特色ある研究大学につきましては、それぞれの大学が目指す方向性をしっかり見据えて、国際卓越研究大学との関係を築いていっていただきたいと考えてございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして片田江委員、お願いいたします。

【片田江委員】  御説明、ありがとうございました。今回、7ページ目に改定案として新たにレーダーチャートの考え方をお示しいただいていると思います。これは大学や地域の強み、逆に不足しているところを理解するのに非常によい整理だと思います。この中での大学に求められる機能において1卓越性、2イノベーション、3地域貢献については、比較的ブレークダウンして詳細に記載されているのですけれども、一方でレーダーチャートの下段にある研究環境やマネジメントというところについては、あまり言及されていません。
 この研究環境およびマネジメントという観点は、1から3のどれを推進するにおいても、その土台として非常に重要な要素だと思います。特に今回の事業を短期的なものではなくて、持続性のある大学改革という視点を入れたときには、その土台づくりが必須となるので、ぜひ申請の選定基準の考え方として、1から3の実施内容だけではなくて、研究環境やマネジメントの改革について、その必要性をきちんと申請者が認識しているということを重要視していただきたいと思います。
 また、11ページのところでも、1から3ができれば、おのずとマネジメント力や研究環境が整うというような誤解を招きかねないと、この図を見て思ったので、双方、成長することで、結果として全体の強化につながるというところを意識できればなと思いました。
 あと1点、細かいのですけれども、10ページ目のところで、右の水色の文字のところです。発展段階イメージのところに、地域貢献の発展段階イメージとして地域企業からの受託研究ということが事例で書かれていますが、これだと大学の寄与に対しての収入の規模や継続性というのがやはり弱くなってしまうので、大学の強化という観点からは、受託ではなく地域企業との共同開発というイメージを示された方が良いと思いました。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。
 事務局から発言はございますか。

【馬場室長】  ありがとうございます。事務局から今の御指摘について回答させていただければと思います。ここの部分については、ぜひ最後の自由討論でも議論をしたいと思っていたところです。上の1、2、3について、アウトカムの事例として挙げさせていただいているところですが、下半分の研究マネジメント、研究環境については、まだ具体的なところまでは行き着けていないのかなと受け止めているところです。今回、総合振興パッケージとして打ち出された、こういったものも踏まえながら、やはり国全体として重要な観点は、研究環境、大学、どの大学であっても優れたものに底上げしていくというところも重要だと思いますし、各大学が適切な研究マネジメント、経営判断ができるだけの必要な情報を提供していくということが重要かなと思っているところです。
 その意味でも、先ほど新福先生から御質問があった、例えばダイバーシティだったりとか、若手の活躍しやすいような環境、そういった部分については、今回、大学ファンド、地域中核、基金等を通じて、ある程度の支援をすることによっていろいろな具体的な事例も出てくるかと思っています。また、研究マネジメントの観点、例えば財務に関しても福間委員に御指摘いただいたとおり、大学ファンドは自ら運用できるような体制を整えていくことに対して、そういったものの対象となった大学においても、例えば今回、JST法の改正において、国立大学がJSTに寄託して運用することができるというような業務を新たに法改正により措置されたことからも、そういったものも使いながら、ただ予算を支援しておしまいということではなくて、大学に対してしっかりとストックが積み重なるような取組というものをしていきたいと思っています。
 いずれにせよ、このレーダーチャートは、あくまで今回、試行的に示されているところですが、その中核になるのは、この中心になる部分、すなわち、大学としての教育力、研究力、そこがあってこそかと思っていますので、その部分についてもしっかり支援していきたいと思っております。アウトカム例を含めて、この図については、今回、初めて提示されたものなので、これから次期委員会に向けても議論を深めていきたいと考えているところです。
 以上です。

【片田江委員】  ありがとうございました。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、山本委員、お願いいたします。

【山本(佳)委員】  山本佳世子です。地域中核・特色大学の整理に、もう一度また戻ります。夏の段階で言っていたのから格段に規模が大きくなって、多くの大学を支援できますし、そこで複数大学の連携というのが新しい切り口で出てきた形と思います。これはWPIや共創の場が土台になる大学であれば、自分たちの大学の強いところを、研究をベースに相乗効果が出せそうな大学と研究のネットワーク化を図るという形ですね。これはすごく分かりやすい、分かるなと思いました。
 それ以外の大学のほうは、果たしてどういう形ができるのかという戸惑いがあるのではないかと思いました。やっぱり私立や公立、国立も特色大学のケースでは、単独なら自分たちの研究、ここを伸ばそうと考えていたのだけれども、連携しなければいけないのだとなってとまどう面があるかなと思いました。
 そのバックグラウンドとして、これまで連携で実績があるのは教育のほうでした。それで、大学等連携推進法人ですとか、COC+ですとか、そういった教育のほうでの連携をベースに、地域イノベーションにつながる研究連携みたいな形も想定できるものか、というところを伺いたいです。多くの大学がここにチャレンジしたいと思っていると思いますので、その可能性を引き出す助言として伺いたいと思います。お願いします。

【大野主査】  それでは、事務局、お願いいたします。

【梅原室長】  概算要求からの様々な議論を通じて、また、この研究力強化委員会の多様な研究大学群を目指すという目標をもう一度振り返る中で、こういった連携というような形を1つ推奨する形として提示させていただいております。それで、WPI、共創の場、そういった事業に採択されているような大学は、もう既に拠点という部分で様々連携が進んでおりますので、そういったものをベースにいろいろな経営戦略を考えていただけるだろうなと考えております。
 そういった研究に相乗効果をもたらすための強い分野同士の連携というような形もあろうと思いますし、先ほどそれ以外の大学というような言い方でございましたけれども、例えば小さな大学では、自分にない分野を組み合わせて新しい研究領域を作ったり、また、機能という面に着目すると、産学連携の機能ですとか、あとはスタートアップを創出していくというようなときに何か決定的な機能が抜けているというようなときに、大学間連携を使って相補的な関係を築いていただく、そういった例もあろうかと思います。
 また、教育分野の大型事業をベースにこれまで様々な連携を培ってきたというような大学につきましては、教育、研究一体のことと思いますので、その中で研究の分野で様々、卓越した拠点が形成されているのであれば、そういったものをベースに、様々相乗的・相補的な関係を築いていただければと考えております。

【山本(佳)委員】  分かりました。お世話様です。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、相原委員、お願いいたします。

【相原委員】  私は2点ありまして、1点は感想、1点は質問なのですけれども、20ページ、ちょうどこのページに今出ておりますけれども、地域の課題の解決には、先ほど受田委員も御指摘されていらっしゃいましたけれども、地方の行政がいかにプロジェクトの重要性や斬新性を理解するかということがとても重要だと思っております。当然、地方自治体の方々は文科省の方々とか、大学の人間と違って、その勉強に割く時間はないので、いかに地方自治体に真剣に取り組んでいただくかが重要で、そのための働きかけや方策が必要かと思っております。
 2点目の質問なのですけれども、22ページの事業への申請のスケジュールですが、細かいことなんですけれども、公立大学協会では先日の1月30日に遅ればせながらガバナンスコードの策定が、学長会議で承認されました。そこで、例えば2月の事業の応募要件にガバナンスコードが既にあることみたいなことを書かれておりますと、各大学はこれから作成するところになりますので、応募できませんが、そのようなことはあるのでしょうか。ぜひ公立大学が応募できるような配慮をお願いしたいと思います。当然、数か月以内には各大学、ガバナンスボードを作っていくと思いますが、まだ2月や3月にできているところはないと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。

【梅原室長】  1点目、御指摘いただきました自治体との連携につきましては、共創の場などの拠点事業でも自治体との連携は進んでおりますけれども、まさに自治体が本気で関わってくれるかどうかによって事業の成否が左右されるなというところが直感的な感想でございます。ですので、こういった地域中核・特色ある研究大学に関する事業の中でもそういった部分は大事にして、文科省も大学もしっかり向き合っていけるように引き続きしていきたいと考えております。
 ガバナンスコードのお話もありましたけれども、基本的には、事業申請の必要要件として書いていただくようなことは想定しておりませんので、そこは、御心配は要らないかなと思いますが、もちろんそういったすばらしい取組を、ガバナンスコードを作られて、しっかり大学の研究力向上の関係で経営戦略に生きているのだというアピールポイントとなるのであれば、そういった部分も申請書の中に書いていただくのもいいのではないかと考えます。

【大野主査】  どうもありがとうございます。
 内閣府、CSTIで議論されているわけですので、この行政側への働きかけ、あるいは全体の仕組みの構築というのは、文科省だけではできないかもしれませんけれども、極めて重要な話題です。ありがとうございました。
 林委員、お願いします。

【林委員】  林です。具体的な質問をしたいのですが、24ページ、共同利用・共同研究システム形成事業です。先ほどの御説明で施設整備のお金を積んだんだけれども、ここではなくて20ページのほうでしたか、地域中核のほうの事業でということになったという話なのですが、この24ページのほうの共同利用・共同研究システム形成事業が、共同利用・共同研究拠点をハブとして、「等」をハブとしてと書いてあるのですが、共同利用・共同研究拠点の恐らく3分の1か4分の1は旧帝大、大規模大学に拠点はあると思うんですね。そこの施設整備をどうするのかという話で、恐らく国際卓越研究大学との連携、地域の大学が連携するものの1つのあり得る形は、こういう共同研究施設整備を、特に大規模大学が持っているものを地域の大学が使えるようにするというのが1つの連携の形だと思うのですけれども、そういうものをどこで措置されるのか。
 ずっと前からも、国際卓越のほうで地域大学と連携するインセンティブを国際卓越の大学のほうにどう作るかという話があったわけですが、それをうまくやらないとなかなか行かないかなと思っているので、その辺りをぜひ教えていただきたいのと、あともう1個確認、これは前も質問したので確認ですが、この24ページのシステム形成事業は、既存の共同利用・共同研究拠点以外のものが新しくこういう共同研究をしていくようなネットワークを作って提案をするというのもあり得るというふうに理解していますが、それでよいのかということを2点目、お聞きしたいと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。

【黒沼課長】  ありがとうございます。最初の設備の関係でございますけれども、これから制度設計、科政局のほうと連携しながら検討しなければいけないとは思っておりますが、御指摘のように大学同士が連携していきながら、設備整備をしていくというときには、共同利用のような形が1つの典型かとは思っております。
 大型の設備を入れるときに最初から複数大学がこういう共同研究計画を持ちながら整備していくというのはあろうかとも思いますし、逆に1つの大学が発案したものでも、例えば保存のきかない試料とか、そういったものを複数大学で同じような設備を持っていかなければいけないとか、そういった形でやっていることは多々あろうかと思いますので、地域中核基金のほうも構想が発展していけば、共同利用に近いような形で形ができていく可能性はあろうかと思っております。この境界をどこで線を引くかというのは、まだこれから制度設計の中で相談していかなければいけないと思いますけれども、そのような形でいろいろ境界線上に出てくるようなプランはあろうかと思っていますので、よく相談していきたいと思っております。
 こちらの24ページの事業のほうは、3点目の御指摘にありましたとおり、共同利用拠点同士が組んでいくというのは典型でございますけれども、今、共同利用拠点になっていないところが、共同利用拠点の持っているコミュニティーの中に入っていきたい、そこと組んでやりたいということであれば、御提案というのはもちろんできてこようかと思います。ただ、恐らく事前に共同利用拠点とお話をされてから提案されてくる形にはなろうかと思いますので、全く面識のないところが単独で出してくるというのはなかなか考えにくいかなとは思っているところではございます。
 それと、2点目の国際卓越との関係、国際卓越が学術研究ネットワークを牽引するための仕組み、どうしていくのかということにつきましては、大野主査からも宿題としていただいていると認識しておりますけれども、すみません、まだ回答できておりませんが、引き続き宿題として検討していきたいと思っております。
 以上でございます。

【大野主査】  ありがとうございました。

【林委員】  すみません、林ですが、1点目というか、2点目というか、単純にお聞きしたかったのは、国際卓越研究大学に共同利用の研究拠点があって、それを発展、改修したい場合に、この地域中核のお金は、国際卓越は使えないと書いてあるので、そうすると国際卓越が基金のほうから自分でやって、それで地域の大学に使えるような基盤整備をしなければいけないのか、どういうお金の流れになるのかというのをぜひ今後御検討いただければということでございます。よろしくお願いいたします。

【黒沼課長】  はい。承知いたしました。

【大野主査】  加えて、この国際卓越研究大学がすぐ決まらず、手を挙げ続けているところが手当てされないというところも、今、大規模大学に共同利用・共同研究拠点が比較的多くある現状を考えると、全体として設計をきちんとしておかなければいけないことかなと私も思っているところであります。
 失礼しました。黒沼課長、いかがですか。

【黒沼課長】  ありがとうございます。国際卓越のほうの制度設計の中で、しっかりと検討していきたいと思っていますが、あと、国立大学の場合ですと、共共拠点の経費は、運営費交付金のほうで措置をしている部分がございます。基盤的経費はしっかり確保しながら、国際卓越の助成金のほうを支援していくということが基本的な考え方にありますので、運営費交付金との関係もまたしっかりと踏まえて検討していきたいと思います。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして伊藤委員、お願いいたします。

【伊藤委員】  国際卓越と地域中核・特色ある研究の関係なんですけれども、国際卓越に申請された大学が、もし1ラウンド目で申請された大学が、要は採択されなかった場合、場合によっては国際卓越から、その次は総合振興パッケージに応募する方もいらっしゃるのではないかと考えています。総合振興パッケージ、一度採択されると5年間、必ず総合振興パッケージというのは、やはりこれは私、ナンセンスだと思うんですね。特色ある研究大学を目指すからには、その特色の結果として国際卓越に進む、進めるパスを残すというのが当たり前のことだと思うので、必ず、先ほど5年間やり遂げていただきたいのですがという返答があったのですけれども、5年間やり遂げずに国際卓越に進めることができれば、それはそれでますますよいことだと思いますので、5年間に応募できないということは避けていただけるようにお願いしたいと思います。
 その上で総合振興パッケージの評価方法なのですけれども、KPIとかいろいろなこと、単語が出てきていますけれども、本当に特色ある研究大学として発展するためには、今からだと10年、20年かかる可能性があるわけですよね。その10年、20年に向けた最初の取組を、最初のステップというか、既にホップステップぐらいまで、ホップは既に終わっているとすると、次のステップのところを評価するという形にしておかないといけないのではないかなと思うので、20年後の姿に対して、この最初の5年間でこれをやりますみたいな形を評価する形が望ましいと思っています。
 最後に、私も以前申し上げたことですけれども、私も国立大学の私立の研究者でありながら、国立大学の共共拠点の施設に大変お世話になった者であります。そういう人がたくさんいます。ですので、国際卓越とは並行して国立大学という税金が入る大学なので、そういうところでは共共拠点みたいな形で、共同利用施設をしっかりとサポートする方向性を考えていただきたいと思っています。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。
 いかがでしょうか。

【梅原室長】  前半の部分につきまして、まさに総合振興パッケージを踏まえて、国際卓越研究大学を目指していただくというようなところは、非常に大事な方向性だと思いますので、すみません、先ほど言葉の選び方が良くなかったかもしれませんでしたけれども、大学がそういった想定をされるということを考慮して、制度設計をしっかりやっていきたいと考えます。
 2点目、評価方法につきましては、まさにおっしゃるとおりでございまして、その10年、20年、30年、そういったところを見据えて、今の5年ということでその評価をしっかり考えていきたいと思います。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして梶原委員、お願いいたします。

【梶原主査代理】  研究環境の整備について、先ほど土台づくりの重要性をおっしゃった委員がいらっしゃいましたが、やはり何事も土台は非常に重要な要素ですし、研究時間がなかなか工面できないという話を聞きますけれども、日本全体としてデジタル化、あるいはDX化がなかなか進んでいないというところも1つの要素だと思います。研究力強化の土台として、デジタルなどのツールをいかに生かしていくか、新しい価値を生み出していくかということが重要だと思います。さらに、人材が非常に重要ですから、研究を支えるURAや技術支援人材などの処遇を含めて整えていくということがポイントだと思います。
 博士人材のキャリアについても、いろいろ話題になりますが、企業の視点で言いましても、最近は年功序列ではなく、ジョブ型に制度を見直す企業が増えてきています。人的資本が非常に重要になるので、産官学のセクターを超えて人材の流動性が高まってくる時代になると思っていますし、そういうことが実現できるように大学にも期待したいと思います。それにより、多様な知を大学へ入り込み、総合知の観点も取り入れながら日本社会が変わっていき、さらにはグローバルアジェンダと言われる気候問題や、環境問題といった課題解決に積極的に寄与できるようになっていくことを期待します。
 国際卓越研究大学と、地域中核・特色ある研究大学とは車の両輪であるという言い方をCSTIでもしておりますけれども、まさにこれらが相まって日本の社会の変革がリードされると思いますし、国際的にもプレゼンスのある大学群となり、世界に貢献していくよう、ぜひ進めていっていただきたいと思います。ここまで長く丁寧な議論を進めてきて、今動き出すという段階になっていますけれども、始動してみて、運用面で不都合なところやもっと改善すべきところがあれば、現場の混乱を極力抑えながら制度をどんどんアジャイルに変えていくような取組も必要だと思います。ここまで長く検討をしてきて、今年度、あるいは来年度にようやく動き出すという形になりますので、期待して見ていきたいと思います。
 1点質問がございます。WPIについてなのですけれども、今年度、WPIに応募した大学は、国際卓越研究大学には申請しないと思うのですが、過去にWPIに採択された大学、それから、先ほど5年の縛りというお話がありましたが、今回新しくWPIに採択された大学が5年以内に国際卓越研究大学に申請するようなケースで、それぞれの制度がどうなるのか、今の見通しとしてどう考えていらっしゃるのかを教えていただければと思います。

【馬場室長】  大野主査、事務局から回答させていただいてもよろしいでしょうか。それでは、今、梶原委員、前半の御質問と後半の御意見について確認させていただければと思います。
 まず1点目のこちらの羅針盤については、CSTIの議論も踏まえて今回策定に向けて動いているところですが、やはり我々、昨今の状況を見ても、例えば研究を進めているDXの重要性に加えて、電気代の高騰であったりとか、オープンサイエンスへのアクセスであったりとか、様々な研究環境をめぐる状況というのは大きく様変わりしていると受け止めているところでございます。
 その中でもCSTIのほうで取りまとめていただいている研究時間のガイドラインであったりとか、また、研究環境についても大学の研究環境というのが、昔よりも魅力的ではなくなってきてしまっているじゃないかという部分、先ほど人材の国内の吸い上げという問題意識もありましたけれども、やはりアカデミア、大学に多くの多様な知を海外からもまた呼び込むというところというのは、日本全体として必要な観点かと思っております。
 そういう意味では、今回、提示いただいたものも踏まえながら、我々としてもより具体化、具現化を図りつつ、研究環境を常に向上させられるような仕組み、マネジメントが高まる、研究現場において改善されるような仕組みというものをしっかり考えていければと思っているところでございます。
 後半の御質問の関係、また、我々、アジャイルでまさに検討はしているところで、地域中核、機能強化基金、WPI、共創の場、様々な事業がある中で、どういったものをやっていくべきなのかというところについては、柔軟に対応していきたいと思っています。今の時点で、少なくとも例えばWPIについては、拠点形成ということで国際卓越研究大学に申請中の大学であっても提案できるような形にするところを予定はしているところでございますが、今後、国際卓越研究大学に認定されるところにおきましては、体制強化計画の認可というプロセスもございますので、そういったときに資金の二重払いとか、重複であったりとか、そういったところは少なからず排除しながらも、相乗効果が図れるような取組というところを考えていきたいと考えています。WPIの担当のほうも入っております。もし補足があればと思いますが、よろしいでしょうか。

【春田課長補佐】  文部科学省基礎・基盤研究課の春田です。WPIを担当しております。御質問、ありがとうございます。先ほど馬場室長からお話がありましたとおり、WPIに関して国際卓越研究大学との関係でございますが、WPIに採択された後、ホスト機関が国際卓越研究大学に認定された場合、国際卓越研究大学における体制強化計画における取組とWPIからの補助が重複しないような調整等を行うことを考えております。他方、WPIへの採択自体に関しては、国際卓越研究大学への申請、認定との関係で何かしらの排除規定等は現在置いてございません。

【梶原主査代理】  ありがとうございました。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 小林委員、お願いいたします。

【小林委員】  小林です。2回目で申し訳ございません。1つは、先ほど伊藤委員がおっしゃったように、地域中核に申請して受かったところが5年間の縛りというのはちょっと厳しいかなと思うのですね。4ページ目の図がありますけれども、これだと国際卓越研究大学と、要するに総合振興パッケージのものが分かれて、連携はあるけれども分かれているように見えるのですけれども、この上の部分がもう少し伸びるということも、つまり、国際卓越のほうに移行できるという道も少し考えていただければと思います。
 また、国際卓越について、先ほど最初にお話ししたのですけれども、要するに大学ファンドの運用益を利用するということなのですけれども、2022年の10月のブルームバーグのレポートを見ますと、運用益マイナス3.67%、つまり、1,881億円減少しているのですよね。全然運用益がない状態なので、これで国際卓越研究大学が運営できるのか。資金的なものが非常に懸念されます。一方で、この地域振興パッケージは、もう既に予算措置がなされているので、こちらのほうが確実という感じはするのですけれども、この辺はいかがなのでしょうか。

【大野主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。

【馬場室長】  ありがとうございます。まず、前半のこちらの図についても、まさにもともと個々の大学の特色を伸ばすというところから連携の重要性というところで、こういった図にさせていただいたところです。どうこれが展開していくのか、もう少し静的なものではなく動的なものとしてどう変化させていくのかというところについては、先ほどの梶原委員の御質問もあったと思いますが、我々文部科学省、政府内でしっかり情報共有、交換を図りながら、適切に目的の実現のために連携をしていきたい、よりよいシステムに変えていきたいと考えております。
 また、後半の大学ファンドの運用益、先ほどの御質問にもつながるところでございますが、やはり今回、大学ファンド、我々重要な観点としては、大学に、世界最高水準の実現を目指す大学に対して長期的、安定的に支援をするというところが重要かと思っております。その意味でも今回、バッファーを作る仕組みなどを設けているところですが、いずれしろ、支援された大学に対して安定的に支援し続けたいと思ってはいるところですが、いずれにしても運用益次第というところは御指摘のとおりかと思います。その辺りも省内、しっかり情報交換、共有を図りながらやっていきたいと思っていますが、前回公表されたデータについても、我々も、あくまでその時点の時価等を基にした数値でありますので、一喜一憂せず令和6年度の支援開始に向けて着実、安定的に努めていきたいと考えているところでございます。
 以上です。

【小林委員】  一昨年の12月1日に出発して、本当にここまでよくやられたと思います。予算も随分獲得されて、非常に幸先がいい感じだと思いますけれども、次期の議論の課題かもしれませんが、実は研究者の給与が海外に比べて非常に低いのですね。米国は1.5倍というデータもありましたけれども、この円安局面では2倍ぐらい、多分、違うと思うので、海外の優秀な研究者を日本になかなか招聘できないという状況もあり、一方で日本の研究者が海外に逃げていってしまうというか、そちらのほうが研究しやすいし、研究費も豊富だし給料もいいという状況がありますので、その辺は、今後は考えていかなければいけないと思いました。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございます。
 多様な研究大学群の形成に向けての議論は、ここで一区切りとさせていただきたいと思います。引き続き御尽力いただくとともに、本日の議論も踏まえて制度設計を進めていただくようにお願いします。
 それでは、全体討論として大学の研究力強化、既に小林委員からもコメントがございましたけれども、これからの大学研究力強化に向けての御意見をいただければと思います。その前に事務局から昨年12月に開催された科学技術・学術審議会総会において配布されました濵口会長の会長所感について、短く恐縮ですけれども、説明をお願いします。

【馬場室長】  それでは、簡単に、時間の関係もありますので、こちらの資料を御説明させていただきます。
 今回で今期の強化委員会も最後になりますか、自由討論の前に、12月に科学技術・学術審議会の総会が開催された際に配布された濵口会長の所感について紹介させていただきます。こちら、強化委員会の所掌にも関わる報告があることから、参考に御紹介させていただければと思います。項目のみとなりますが、まず、この1ページ目には、若手研究者支援、国際頭脳循環についての課題、今のまさに議論にもつながるところだと思いますが、昨今の円安傾向であったりとか、研究環境の部分で明らかに海外の大学に見劣りするような状況、また、国内の企業と比べても日本の大学の研究、必ずしも作られていないのではないか、そういった意味でも若手研究者の支援、そういったところについてどう考えるのかというところの問題提起がされていることかと思います。
 2ページ目には、大学の研究力強化として、まさに大学ファンドに加え、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業についても記載されているところです。その他、下のほうには全国的な観点からの学術研究基盤の整備は、3ページ目、総合知による促進などについても記載されているところです。こういった御議論ございました。また、先ほど御紹介した資料2の10ページの羅針盤についても、今後、文部科学省の関連施策について、事業の位置づけを整理し、大学の負担軽減とともに、研究マネジメント、研究環境の部分についても、大学ファンドや促進事業の取組などから、好事例、規制緩和なども通じて具体化を図りながら、国の役割として、各大学が適切に判断できるよう、研究環境、また、国としても持続的に向上できる仕組みなど、次期委員会に向けても検討を深めていきたいと考えております。
 これまで指摘があったとおり、強化委員会で活発に議論をしていただいたおかげで、この時点で、様々な施策が大きく動き出したと感じているところでございます。まだまだ走りながら、アジャイルに検討を重ねている関係もあり、必ずしも十分に整合性がとれてはいないところもあるかと思います。ぜひ全体最適と言わない状況も見受けられるところから、本日、今期で最後となりますので、多様な研究大学群の形成に向けて積み残しの課題も含めて、次期委員会に向けた提言などもお伺いできればと考えております。
 補足説明は以上でございます。

【大野主査】  ありがとうございます。
 まず、1回目の皆様から優先、御発言いただきたいと思います。小長谷委員、お願いいたします。

【小長谷委員】  ありがとうございます。1点は今までの議論に対する感想で、1点は新しい点です。こうした大きなプログラムの形成プロセスそのものが公開され、議論の場がほぼほぼ公開されているということは、とてもすばらしいことだと思います。こうした誠実さがこれからも持続するようお願いしたいと思います。
 もう1点、全然違うことというのは、研究の現場でハラスメントなどが起こっているようなときに、それに対応する方策についてです。もちろんどの大学も御自分のところで、該当する委員会を持っていらっしゃるのですけれども、そういうところの委員の上に立っている人がまさに当事者であって、だから、そこにこそ言えないという現状がかなり多いのです。大学ごとにあるはずですと言うと、いや、その人がそうだから言えないんですということが散見されます。本来でしたら、こういう案件については第三者委員会を持つべきだと思います。その第三者委員会を各大学で用意するのは非常に大変なことなので、日本全体として相談窓口を設置していただければありがたい。研究環境がよくなって、それが本当の研究力の向上につながると思います。よろしくお願いします。

【大野主査】  ありがとうございます。人材への投資の1つ重要な柱だと思います。
 少し時間が限られているので、まず皆様から御発言だけいただきたいと思います。次は高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】  高橋真木子です。よろしいでしょうか。先ほどの多様な研究大学群の形成に向けてと少し絡めて2点ほど最後に申し上げたいです。1つは伺っていて、ますます大学の個性とかポートフォリオが必須であるというのは、もうそのとおりだと思うのですが、では、求められているそれって何でしょうという点です。最近ヨーロッパのURAのリーダーと話すことが多くなってきたのですが、もう明らかに金太郎あめでは駄目だというわけです。日本はまだギリギリ、スタンドアローンで生きられる規模だよね、と言われたのが刺さりました。ヨーロッパは、もう差別化しないと生き延びられないという前提の下にモノを考えているというのが、すごく強く思ったところです。
 例えば先ほどの御議論を聞いていて、前提にどの大学も同じようなあるべき姿とか、ありたい姿があるのではないかという、ちょっとした印象を持ちました。御批判はあるかとは思うのですけれどもあえて申し上げると、例えば女性で若手という属性の研究者は、引っ張りだこだと。そうすると、ポートフォリオとか特徴というのは、例えば若手研究者がそのキャリア形成のコアの時期に、いわゆるトップ国立研究大学を蹴ってでも、その大学でこそ培えるだろうと思うような魅力をもった別の大学に行く、そういう大学が存在するということが多様な研究大学なのではないかと思っています。どう考えても国際流動性は高まる一方なので、同じ属性のいい人を引き止めたいという発想では、多分、もう太刀打ちできないと思った次第です。
 もう一つ、2点目ですけれども、今度はURA関係の話です。URAというのは、ここ10年で人口は8倍になったけれども、8割はまだ任期制というのが現状です。今日のような施策の実質化がされると、ますますURAは多様な処遇で、多様な領域、経験を求められる。今までは、私自身は、URAというのは大学に所属して、その大学のために仕事をするので、いわゆるナショナルインフラというのはそんなに意識していませんでした。スキル標準や認定等があればいいのかなと思っていたのですが、これだけ多様になってくると、ある程度、日本全体にこういう人口がいて、その特性は何でというようなアーカイブされた、インフラのようなものがあったほうが、欲しい大学が欲しい人を、ニーズがマッチングするという意味でいいチャンスが生まれるのかなとも思いました。これはジャストアイディアなのですけれども、今後、検討していった方が良いポイントかと思った次第です。
 以上2点です。ありがとうございました。

【大野主査】  ありがとうございます。ナショナルインフラとして非常に重要ですね。ありがとうございます。
 続きまして、柳原委員、お願いいたします。

【柳原委員】  私は最初のときから同じようなことを言っているかもしれませんけれども、施策に関してとか考え方というのは、昔から原則があって、それをよりよくしていっているふうに理解していまして、今回もすごくいいパッケージが、案ができたと思っております。
 ただ、やはり具体的に実行するところが問題だと思っておりまして、その特色化という観点に関しましては、強みを明確にするということが大事ですし、研究テーマの例えば、その意味だとか、あるいはそれをやっていく自分たちの存在意義だとか、そこまでやはり突き詰めていかないと、本当の特色化というのは出ないと思います。そういう意味で、先ほどデータベースみたいな話もありましたけれども、確かに企業ではknow who listと言って、その研究者とか社員の力量とかキャリア等々をリスト化してあって、それを使えるようにしているとか、そういったやり方もあるかもしれません。
 それから、大学の先生、特に若い先生方を見ていて思うのは、時間が余りにもなさ過ぎていて、効率アップは必須だと思います。ただし、DXという言葉がはやっていますけれども、よくその中身を見て、いわゆるシャドーワークというか、そういったものをなくしていかないと、本当の意味での時間は捻出できないと思っております。
 最後に地方ですけれども、地方大学に関しましては、地方それぞれの特有の社会課題というのがあって、そこに現場があると思っております。そこは大都市とは明らかに違いますから、中央集権ではない。そういったときに、今日も議論がありましたように、自治体、あるいはそのステークホルダー、地域住民、地元の企業、そういった方々とトランスサイエンスの手法を使って課題を作っていく。それに対して解決手段は国際卓越研究大学が関与して解決していく、先端技術で。そういったやり方をやることによってリバースイノベーションができて、最終的にはグローバル展開できるのではないかと思っていまして、そういう意味では、地方中核のパッケージの予算が拡充されるのは非常に期待しております。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして伊藤委員、お願いいたします。

【伊藤委員】  ありがとうございました。私も10年ルールで今期が最後だということですので、来期はおりませんので、まず皆様、お世話になり、ありがとうございました。その上で、来年以降、やはりこの国際卓越といったときに、世界がどんどんの勢いで変わっていく中において、どのように新しい研究、新しい方向性、新しい評価基準、これがどんどん出てくると思うんですね。人の評価基準に乗っている限りは、絶対うまくいかないというのが私の最近の感想です。
 例えばTimes Higher Educationの、この間、CEOとCOOと2人で、私で、食事をしながらいろいろ意見交換をしたことがあるんですけれども、彼らの場合、15の大学を出してくださいという、いろいろなカテゴリーで出してくださいと言っているときに、私は15じゃ少な過ぎる。30ぐらい書かせてくれと言うと、いや、15書いてくれない人がいるんだ。15書いていない人のデータというのは全部捨てているんだ。13書いている人、捨てているんですかというようなことは、誰も知らないわけですよね。15書きなさいといったときに、15書かなければいけないとか、でも、そこら辺のところがどんどん内容が、データがどんどん変わっていって、結果的にはお金を払って、そこからデータを買っている大学がどんどんランキングが上になっていく。自分たちは、全ての大学からデータを集めて、そのデータを売ってビジネスをすると彼らは明言しているわけですから、そのようなランキングにずっと乗っていくのかどうかというのが1つのポイントですね。
 あと、結果的に誰かが作った指標で、それの中で自分たちがルールを作る側にいないということが、どれだけ自分たちにとって損なことか。それをやるためには、結果的には日本の中で議論しているだけでは、国際卓越になることはできなくて、世界の人たちが入ってこないといけないので、恐らくこの委員会にも半分ぐらい外国の方が入っているほうが国際卓越という意味では正しい方向性が出てくるのではないかなと私などは思った次第です。あと、結果的には若者も入ってくるほうが、国際卓越という意味では向いているのではないかなと思った次第でございます。KPI、数値化するというと、どうしても人に頼りがちですけれども、そこのところを何とか、この人はいい人だということが、これからは一番評価されるかもしれないので、この大学はいい大学だということを一番売り出しにするような形で皆さんに議論いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【大野主査】  どうもありがとうございます。
 おっしゃられるように、公平さを強調すると評価軸が非常に固定化されて、先ほど御発言のあった金太郎あめということになりかねないので、多様性をいかに評価軸に入れていくかというのが、これから問われるのだと思います。
 次は受田委員、お願いいたします。

【受田委員】  ありがとうございます。多くの委員の方と完全に私の意見も同じでございます。特に金太郎あめを防ぐためには、各大学のビジョンを明確にして、尖ったレゾンデートル、存在意義を可視化していただくということが絶対的に求められると思うということを申し上げておきたいと思います。そのことが明確になったことによって、初めてキーワードである戦略的経営という言葉が実効性を持つと思います。その点を例えば国富の増大であるとか、地域の持続可能性の強化といったところでKPI、KGI、定性的なものも含めて掲げていただくようお願いいたします。
 それから、最後に、私も10年ルールで今日が最後ということなので、一言だけ申し上げておきたいと思います。先ほども馬場室長から大学の経営に関して、光熱水費が上がっていることであるとか、オープンサイエンスに関して問題があるということはコメントいただきました。人件費を今後、厚みを増していかないといけないという状況の中で、大学の、言ったら経営自体がもう脆弱化していて、持続できるのかというところまで来ていると思います。今後、連携や共創によって、その弱みを克服していき、シナジーを発揮していくということがこの大学研究力強化委員会の目的の1つであるというふうに承知しておりますけれども、ぜひその大学が弱っていくことを研究の面のみならず、教育や社会貢献の部分でぜひ発展的に御議論いただくようにお願いいたします。
 オープンサイエンスに関しては、電子ジャーナルのこととか、各大学が懸念していること、ずっとあると思いますので、その点まで議論が及ぶことを強く私としては希望を申し上げて、多分、最後の委員会の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

【大野主査】  受田委員、どうもありがとうございました。
 10年ルールで言いますと、あとお二方、非常に残念ですけれども、来期からは御参加いただけない委員がいらっしゃいますので、まずはそのお二方を先に御発言いただきたいと思います。林委員、お願いいたします。

【林委員】  最後ですので、私も勝手なことを申し上げますが、今日も議論しましたが、国際卓越研究に比べて、地域総合パッケージ、大丈夫かなと思っています。というのは、10年間の予算事業、今までと同じ枠組みでずっと議論をしています。国際卓越のほうは、あれ、最長25年なので、各大学、25年、つまり、2050年ですよね。2050年の社会がどうなっているか、その中で自分の大学がどうあるべきかということで、きっと検討を進めていると思うのですけれども、地域総合のところが本当に2050年に今の大学数で、今の大学のまま皆さん、あると思いますかという話です。なかなかそこまでの検討をするようなメッセージが文科省から伝わっていないのではないかなと思っています。特にこの今日の予算事業を見てもですね。
 最初のNISTEPが日本の大学の研究力の分布図とか出してくれたんですけれども、第2グループが弱いという話もあったのですが、第3、第4という、日本って裾野が広いんですね。それがきっと強みであって、今まで教育機会を提供するという点では、その第3、第4みたいな多様な大学がたくさんあることはとてもよかったのですけれども、研究力ということを考えたときに、先ほどの御議論もあったように、皆さんじり貧になっていて、個別の大学では立ち行かないという、そういう状態だと私は理解しています。
 そういう意味では、連携を進めるというのが今回の流れというのは、1つの正しい流れだと思うのですけれども、それにしても、フランス、御承知のように2006年から大学とか国立研究所の共同体を作って、それで今、実験的に統合してうまくいかなかったらやめるみたいな、そういう形で連携を進めていたり、あるいはドイツも分野ごとにクラスター・オブ・エクセレンスということで、分野ごとのクラスターを作る、そういうもっと本気の展開をしているのに比べて、なかなか日本の今回の話がそこまでちゃんと行くのかなという不安があるので、ぜひ御検討いただきたいというのが1点です。
 それから、手短にもう1点だけ。個別の大学の中でも、今日もWPI COREとか、あるいは共創の場の特に地域共創のところだと思いますけれども、そういうものを各大学がきっと地域大学、やっていくという形になると思うのですけれども、それ、個別、個別の事業は、これまでだってやっていたわけで、やはり我々、ここで議論していたのは、そういう個別、個別の事業が出島になって、それで時限で終わってしまうから、みんな疲れ果てているんだというのが最初の議論でしたので、今回、我々が目指すべきは、そういう個別事業、大学は個別事業ごとに動くのではなくて、まさに先ほどもあったように大学のビジョン、ミッションの下で個別事業を利用してやっていくという大学の基盤を支援するというよりも、そこをかなり意識してお金の使われ方とかもぜひ見ていくべきだし、そういう設計をしていくべきだと思っております。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 続きまして、山本委員、お願いいたします。

【山本(佳)委員】  山本です。私は、大学の取材を法人化直前から20年弱続けてきました。大学改革、社会に貢献する大学ということは、もう20年間ずっと言われてきたわけですけれども、ここ一、二年の各大学の変化は格段だなと感じています。それはやっぱり、資金源を広げないといけないという苦しさの中からですけれども、結果的には産業社会や地域から、我々はどう見られているのか、うちの大学はこれで皆の賛同を得られるのかという意識がどの大学でも高まったせいだと思っています。規制緩和もありますけれども、先進的な大学からは、以前なら考えられないようなチャレンジを自ら出してくる。
 最近の話でしたら、女性の研究者とか学生増とか、5年前には出てこなかった話がバンバン出てくるというのは、今、そういう、社会がこう動いている中で、我々の大学はどうなのかという意識が高まっているからだと思います。大学債とか、ベンチャーですとか、研究力を基にして社会を変えていくというところの意識が上がっているのがすごくうれしく思っています。法人化によるいろいろないい点、悪い点ありますけれども、ある意味、最大の成果が今出せている面があるのかなと思いました。本委員会の委員ですとか、聴講者は大勢いらっしゃいますし、事務方もすごい負担だと思うのですけれども、ぜひ高い意識を持って次に進めていっていただきたいと思います。私も記事を通して引き続き応援してまいります。ありがとうございました。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、残り少ない時間ですけれども、一言ずつ、今、お手が挙がっている方々からいただきたいと思います。相原委員、お願いいたします。

【相原委員】  それでは、手短に行きたいと思います。先ほどからお話が出ていることですけれども、特色を出さなければ、今後、各大学は生き残れないということになると思います。そこで、自身の将来構想が重要視されるわけですけれども、高等教育は多様性の中から新たな価値を生み出すところですので、多様性が損なわれないよう適切なKPIの設定も含め、制度設計をお願いしたいと思います。また、大学の系列化にならないような申請条件の設定が重要だと思いますので、今後、計画を立てていくときにぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、お願いいたします。

【吉田委員】  私は、地域の中核の大学として、地域中核大学というおぼろげながらのイメージが、この研究力強化委員会で非常にクリアになったこと、非常に評価ができると思っております。来期におきましても、さらなる支援のモニタリングの在り方であるとか、研究者が研究に集中できる体制のさらなる改革、URAなどだけでなく、事務職員が地域の大学で非常に不足しております。事務職員の在り方、それから、地域中核大学でのそれぞれの持つ第2、第3のシーズ、こういうものの発展に向けた支援、さらには今回の地域中核大学支援に採択されなかった大学、これをどう支援していくかとか、そういうことも課題であると考えております。またよろしくお願いいたします。

【大野主査】  ありがとうございます。
 続きまして、新福委員、お願いいたします。

【新福委員】  このたびに研究力強化委員に入れていただきまして、ありがとうございました。こういった重要な議論に若手研究者ないし女性研究者として入れていただいたということは意味があったのではないかと思っておりますし、周りの同世代を見ていても、非常に忙しい。研究時間が削られたくないという事情はあるのですけれども、こういった重要な議論に参加をすることでやはり国の政策の全体像が見えたりですとか、私のほうから時間がなくて参加できない方々に、同世代の方にこういうことがあるんだということを伝えるということもできたと思います。ですので、今後もこういった重要な政策の議論においては、必ず若手研究者、女性研究者を入れていただくようにお願いしたいと思っております。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。
 片田江委員、お願いいたします。

【片田江委員】  私は、ベンチャーキャピタルという立場で大学から生まれたイノベーションを活用して産業応用を支援するということを行っています。産業応用という観点ですと、一見応用研究のほうがより実用化に近いと考えられがちなのですけれども、実際の現場では、質の高い基礎研究であればあるほど、それが応用できたときの産業への貢献度というのは圧倒的に大きいものが多いです。なので、ぜひとも、すぐに出口が見えやすい研究だけではなくて、真理の探求である基礎研究に重点を置いて制度として運用されることにとても期待をしたいと思っていますし、それが実現できたら地域の大学のパラダイムシフトを起こし得る制度なのではないかなと思っています。ありがとうございました。

【大野主査】  ありがとうございます。
 本日いただいた御意見を含め、次期委員会において、さらに議論を深めていただきたいと思います。
 それでは、閉会に当たり、まず研究振興局の森局長から御挨拶いただければと思います。

【森局長】  研究振興局長の森でございます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、この強化委員会の御議論に参加をいただきまして、熱心に御議論いただきまして誠にありがとうございます。
 大学の研究力の強化が非常に課題になる中で、この委員会では、特に大学の組織としても支援の在り方について御議論いただきまして、このような御提言をいただいたところでございます。御意見をいただきながら、国際卓越研究大学でありますとか、あるいは研究大学の強化促進事業のような新しい取組、そしてまたいろいろな文科省の支援策について、全体としてのパッケージとして提示をするというようなこと、こういったことに取り組んできたところでございます。
 ただ、これらの取組というのは、端緒についたばかりでございまして、これからもまた様々な御議論をいただきながらやっていく必要があろうかと思ってございます。委員の先生方におかれましては、引き続き様々な形で私どもに対して御意見等賜ればと思っているところでございます。大変お世話になり、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 私からも皆様、御参加いただきまして、大変密度の濃い御議論をいただきまして、ありがとうございます。また、大学研究力の強化に向けては、より大きな投資がなされるという現場に居合わせたわけですけれども、ぜひこれが研究の本来の研究力を大きく伸ばしていくきっかけになる。それらをこれからもぜひ議論してモニターしていっていただければと思います。ここまで来られたのも事務局、文科省の皆様の御尽力があったからでありますので、ここで委員を代表して御礼を申し上げます。
 最後ですけれども、委員のお一人でありました山本進一先生の御冥福をここでお祈り申し上げます。
 どうもありがとうございました。事務局から事務連絡をお願いいたします。

【滝沢課長補佐】  事務局でございます。本日、時間の関係で御発言できなかったことがございます方は、事務局までメールなどで御連絡をお願いいたします。また、本日の議事録につきましては、運営規則に基づき、公表いたします。事務局にて議事録案を作成の上、委員の皆様に確認させていただきますので、御承知おきください。
 事務局からは以上です。

【大野主査】  それでは、これで今期最後の大学研究力強化委員会を終了させていただきます。今後とも皆様におかれましては、大学の研究力強化のためにお力添えいただければと思います。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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研究振興局大学研究基盤整備課大学研究力強化室

電話番号:03-5253-4111(内線:3838)

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