科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会(第9回)議事録

1.日時

令和4年11月2日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 大学研究力強化に向けた取組
  2. その他

4.出席者

委員

  (主査)大野英男委員
  (委員)相原道子委員、受田浩之委員、片田江舞子委員、小長谷有紀委員、小林弘祐委員、新福洋子委員、高橋真木子委員、林隆之委員、柳原直人委員、山本佳世子委員、吉田和弘委員

文部科学省

  (事務局) 井出文部科学副大臣、増子文部科学審議官、池田高等教育局長、森研究振興局長、西條大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術学術政策連携担当)、木村大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、北山科学技術・学術政策局総括官、笠原大臣官房文教施設企画・防災部長、平野国立大学法人支援課長、井上産業連携・地域振興課長、仙波振興企画課長、梅原産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長、黒沼大学研究基盤整備課長、馬場大学研究力強化室長、季武大学研究基盤整備課学術研究調整官 他

科学技術・学術政策研究所

佐伯科学技術・学術政策研究所長

 

5.議事録

【大野主査】  それでは、ただいまより、第9回科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会を開催させていただきます。お忙しい中、本日もお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 いつものようにオンラインで開催させていただきます。不都合がありましたらば、事務局にお伝えいただければと思います。
 それでは、事務局から、まず本日の委員の出欠、そして配付資料の確認をお願いいたします。

【季武調整官】  事務局でございます。本日の委員の出欠状況につきましては、伊藤委員、梶原委員、藤井委員、福間委員が欠席です。
 続きまして、配付資料の確認です。本日は議事次第に記載のとおり、資料1から資料6、また参考資料1から3を配付しておりますので、御確認をお願いいたします。もしファイル開けない等ございましたら、事務局のほうにチャット等で御連絡いただければと思います。
 また、本委員会は原則として公開で行うこととしております。本日も事前に登録いただいた方に動画を配信しておりますので、お含みおきいただければと思います。
 最後に、オンライン会議を円滑に行う観点から、事務局よりお願いがございます。いつものとおりではございますが、発言時以外はマイクをミュートにしていただければと思います。また、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただくか、もしくはカメラに映りやすいように手を挙げていただければと思います。また、資料を御参照いただく際は、その資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただければと思います。
 以上、御配慮をよろしくお願いいたします。
 すみません。では、報道で入っていただいている方におかれましては、頭撮りはここまでとさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に先立ちまして、先に9月に本委員会の委員でいらした山本進一委員が急逝されましたので、ここで黙禱をささげたいと思います。
 皆様、どうぞ御協力よろしくお願いします。

( 黙禱 )

【季武調整官】  どうもありがとうございました。以上で黙禱を終了させていただきます。 それでは、以降の進行は大野主査にお願いさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【大野主査】  皆様、どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。本日は、まず前半に国際卓越研究大学の選定・支援開始に向けた検討状況、それに続いて、大学研究力強化に関する主な施策の状況を事務局より説明いただき、その後、高橋委員より話題提供いただくこととしております。それぞれの説明の後で、皆様の質疑あるいは御意見を頂戴する時間を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず事務局より、大学ファンドの基本方針の策定に向けた検討状況について、説明をお願いいたします。

【馬場室長】  事務局でございます。それでは、資料1に基づきまして、国際卓越研究大学の選定・支援開始に向けた検討状況について御説明いたします。
 2ページ目を御覧ください。この委員会でも、5月の法案成立以降、複数回にわたり御意見をお伺いしておりました。本日は、ハイライトをしておりますこの基本方針について、まずパブリック・コメントの御意見等について御紹介した後、下側にございますJSTが策定する助成の実施方針について、こちらはJSTが作成し、文部科学大臣が認可をするものとなりますが、文部科学省の助成の考え方等も含めて御説明させていただきます。さらに、年内に予定している公募開始に向け、審査体制であったり、今後の流れについても、現時点の検討状況について御紹介したいと思います。
 3ページ目、それでは基本方針について説明します。
 4ページ目に基本方針に関する意見募集の結果について、まず御紹介したいと思います。前回、8月末の強化委員会での御意見も踏まえ作成した基本方針の素案について、9月13日から10月13日にかけて1か月間、e-GOV(電子政府)の総合窓口を通じて意見募集を行いました。提出意見は134件の御意見が寄せられました。1人で数十件の御意見を提出された方もいたため、提出人数とはずれがございます。
 2番目に主な意見の概要を記載しております。1つ目、投機で得る利益を大学の運営に充てるという方式は持続性の観点から好ましくないといった、大学ファンドの仕組み自体に批判的な意見がある一方、研究現場の方からは、こちら大学教授の秘書をやっている方でしたが、海外で同程度の成長率で大学への資金投入を増やさないと、海外に置いていかれかねないといった声も寄せられるところでございます。また、選択と集中の弊害をさらに加速しかねないといった懸念であったりとか、基礎研究に幅広く投資するというサイクルを形成することの重要性を指摘する御意見もございました。
 その他、研究を支える事務が少な過ぎるため、研究支援スタッフの拡充が行われることは大変いいことであるというような好意的なものであったりとか、大学ファンドを投入する大学にはあまり手かせ足かせをはめるようなことはせず、もっと大学を信じて資金を投入してほしいといった御意見。また、全国の大学等との連携を強化するためには、支援規模の格差を埋めるための方策が必要といった今後の運用面での御指摘もあったところでございます。主な意見の詳細については、資料の2番目に文部科学省の考え方とともに記載しておりますので、後ほど御参考いただければと思います。
 今回いただいた御意見を踏まえた修正は、現時点では予定はしておりませんが、最後に御説明いたしますシンポジウムなどを通じて、引き続き大学ファンドの趣旨を丁寧に説明していくとともに、総合振興パッケージも含めた関連施策との連携・連動を促進することにより、共に発展的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。前回8月の委員会を含め、これまでもこの委員会でも累次御説明しているところでございますので、簡単に改めて御紹介させていただきます。
 まず、意義と目標については、多様な分野の世界トップクラスの研究者が集まり、次世代の研究者を育成できる機能を強化すること。国内外の若手研究者を引きつける多様性と包括性が担保された魅力的な研究環境を実現し、学術研究ネットワークを牽引すること。社会の多様な主体と常に対話し、協調しながらイノベーションやエコシステムの中核的役割を果たすことなどを掲げております。
 また2、認定に関する基本的な事項としては、繰り返し述べているとおり、これまでの実績や蓄積のみで判断するのではなく、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革への意思とコミットメントの提示に基づき実施することを明記しております。
 続いて6ページ目、パブリック・コメントでも基礎研究に幅広く投資するサイクルを形成することの重要性を指摘する御意見もございましたが、下半分の事業の内容につきまして、人材・知・資金の好循環や研究基盤への投資だけではなく、大学の持続的成長に向けて、自然科学のみならず人文社会科学を含め、長期的視野に立った新たな学問分野や若手研究者への投資など、次世代の知・人材の創出にも取り組むことを改めて強調しております。
 また、安定した若手ポストの確保や博士課程学生の経済的支援、こちら下のロの部分ですが、経済的支援のみならず、先ほどのパブリック・コメントの意見、また後半の高橋委員の話題提供に関係しますが、URA等の研究マネジメント人材や技術職員等の専門職人材のポストの確保等についても記載しているところでございます。
 7ページ目、体制強化計画の認可に当たっては、既存の制度に縛られず、学内外の英知を結集して取組を進めていく計画であることや、外部資金の獲得状況等を基に継続的な事業成長を果たすことの蓋然性が高いこと。また、大学独自基金の造成の実現可能性か高いことや、自立と責任のあるガバナンス体制についても、大学には求めてまいりたいと考えております。さらに、計画期間については、最長で25年としつつも、一定期間ごとに支援の継続の可否に係る評価を実施することをしたいと考えています。
 8ページ目、4、体制強化助成に関し、科学技術振興機構(JST)が遵守すべき基本的な事項です。大学ファンドからの助成、この後詳細に説明したいと思いますが、外部資金獲得実績等を踏まえて算定することや、5番目、関連する施策との連携に関する基本的な事項として、後半御説明する総合振興パッケージや博士人材の重要性について。また6番、その他重要事項として、この強化委員会でも繰り返し御指摘いただきましたが、大学から規制緩和等を提案する機会を設けるなど、双方向型のコミュニケーションを行う環境を整備する旨を記載しているところでございます。
 9ページ目、認定に関する基準についてです。こちらについては、パブリック・コメントにおいても、一番上の論文数のみが注目されがちではございましたが、例えば③番目、教員組織及び研究環境等の研究の体制については、大学の研究体制が新たな学問分野や融合領域に迅速に対応しているかを確認することとしており、繰り返しこの場でも御紹介させていただいているハーバード大学のスクール別の財源構成ではございませんが、国際卓越研究大学の認定に当たっては、多様な分野の学術研究ネットワークの牽引の状況に加え、国際研究協力に係る体制、若手・女性・外国人研究者の登用・活躍に係る体制、事務職員や研究マネジメント人材、専門職人材の配置、研究施設、設備、研究インテグリティの確保体制等について、国際競争力強化の観点から適切に整備されていることなどを確認したいと考えているところでございます。
 続いて10ページ目、国際卓越研究大学法に基づく助成の考え方についてです。
 11ページ目、まずこの助成の実施に関する方針の位置づけでございます。国際卓越研究大学法第8条に基づきまして、JSTは基本方針に即して体制強化助成の実施方法及び実施条件、その他の必要な事項に関する方針、これを助成の実施方針と申し上げますが、この助成の実施方針を定め、文部科学大臣の認可を受けなければならないこと。
 また、文部科学大臣は、認可をしようとするときは、内閣総理大臣及び財務大臣に協議するとともに、総合科学技術イノベーション会議(CSTI)の意見を聴かなければならないこととされているところでございます。
 また下半分、基本方針においては、先ほども御紹介いたしましたが、大学ファンドからの毎年の助成総額は、外部資金の獲得実績や大学ファンドへの資金拠出などに応じて、個々の大学への助成額を決定することや、大学ファンドからの助成については、大学の経営の自律性とその責任の下で柔軟かつ適切に使用される一方、国際卓越研究大学においては事後的な透明性の確保を図ることとしております。
 12ページ目、大学ファンドへの資金拠出についてです。こちら、この委員会でも御説明いたしました2月1日のCSTI決定に基づいて、卒業後も含めた大学の成長及び大学ファンドそのものを持続的なものとするため、国際卓越研究大学からJSTへ資金拠出を慫慂する(勧める)仕組みを設けることとしております。
 その観点は、真ん中に書いておりますが、助成期間終了後の払戻しを通じた将来的な自律的財務運営の実現に向けた大学独自基金の成長、また大学ファンドの原資、すなわち運用元本の増強への大学による協力の観点から、大学ファンドからの助成に当たってはそのような仕組みができ得ないか、政府部内でも検討してまいりました。
 13ページ目に、大学ファンドから各国際卓越研究大学助成への考え方のイメージを記載しております。今回、真ん中にございますが、継続的な事業成長を果たすことの蓋然性が高いものとなっていること、また持続的な成長のために必要な運用益を生み出せるだけの規模の大学独自基金の造成の実現可能性の2つの観点から、真ん中に記載しております助成額の算定に当たっては、2つの項目、フローとストックに対する二本立てで支援ができ得ないかということを考えております。
 1つ目が、研究等体制強化促進部分として、各大学の外部資金獲得額に応じた助成です。2つ目が、大学成長基盤強化促進分として、大学独自基金に積み上げた額に応じた助成を考えております。イメージを下の図に記載しておりますが、寄附金であったり、共同研究等の外部資金獲得額が例えば100として、そのフローに応じた支援として、100掛けるαに加えまして、仮に各大学がこの外部資金を獲得した中から将来世代のために大学独自基金に積み上げていただいた場合、その額に応じて追加的にストックに対するインセンティブとして、大学成長基盤強化促進分の追加的な助成を実施することを考えております。
 これらの助成の算定であったり、α、β、そういった係数の設定に当たっては、将来、20年後、25年後に大学ファンドからの助成が終わるタイミングで、十分な運用益を生み出すことができる大学独自基金が造成できるか。今、国公私立大学の大学団体の協力も得ながら、実現可能性について確認をしているところでございます。こちらについても、公募に向けて詳細を最終的には検討してまいりたいと考えているものでございます。
 14ページ目が、助成の実施方針の主なポイントでございます。科学技術振興機構(JST)においては、助成を実施するために必要な機能・体制を整備することや、大学ファンドの助成は、大学の自律性とその責任の下、柔軟かつ適切に決定されること。また、先ほど示した文部科学省における助成の考え方に基づき、外部資金獲得額や大学独自基金の積み上げた額等に応じて、助成を行うことを記載しております。
 その他、大学において、内部監査システムの整備や助成金の使途について説明責任を果たすことや、3番目、助成金の執行の停止、返還に関する手続についても、今後のことを考えて、念のため規定することを予定しているところでございます。
 続いて、15ページ目を御覧ください。国際卓越研究大学の公募・選定についてです。
 16ページ目に今後の公募・選定の流れを示したもの、こちらについてはこれまでも御説明したものが基になっています。基本方針の策定後、年内に公募を開始。公募期間は申請大学の準備期間を考慮し、数か月間程度確保する予定ということを繰り返し御説明してきたところでございます。
 ここの段階的審査について、審査体制、並びに審査の流れについて、17ページ目以降で御紹介したいと思います。17ページ目、審査体制のイメージになります。こちら国際卓越研究大学認定に当たっては、法律、基本方針に基づき、文部科学大臣が認定するに当たっては、CSTI、審議会の意見を聴くことが規定されているところでございます。今回この審査については、文部科学省と内閣府が連携し、CSTI有識者議員や国内外の有識者、また文部科学省の審議会から委員の方にも加わっていただいたアドバイザリーボードというものを設置し、研究現場の視察や大学側との丁寧な対応を通じて審査を実施することを考えております。
 このアドバイザリーボードの構成に当たっては、多様性や利益相反の観点に留意するとともに、下にも書いてございますが、基本方針に基づき、国際的な視野から高度かつ専門的な見識を踏まえることができるよう、外国人有識者も加えた適切な体制を構築したいと考えているところでございます。またこのアドバイザリーボードに加えて、研究力、事業財務戦略、ガバナンス体制の適合性確認に当たっては、国内外のレビュアーの協力も得たいと考えております。
 こちら参考にさせていただいたのは、例えばドイツのエクセレンス・ストラテジーにおいては、現在11のユニバーシティ・オブ・エクセレンスとして、2019年に11の大学を選定しておりますが、ドイツの選定においても200名近い海外の有識者の協力も得てレビューを実施したというようなことも踏まえながら、今回、国際的な水準で選定することはもちろん、今後国際卓越研究大学が海外と連携する際、また海外から優秀な研究者・留学生を招く際にも、有意義な提言が得られることを我々としても期待しているところでございます。
 18ページ目に公募審査に関する今後のスケジュール案を記載しております。今後この基本方針につきましては、CSTIの意見聴取を経て、11月中旬には文部科学大臣として決定したいと考えております。その上で、年内には公募を開始。今年度末には意向表明書や体制強化計画の第一次案の提出の締切りを設けたいと考えております。
 令和5年度からは段階的審査を実施することとしており、書面審査、面接審査、現地視察、また体制強化計画の磨き上げ、そして最終的には各大学における合議体の設置等のガバナンス体制の変更を経て、文部科学大臣として大学の認定、計画の認可を行い、令和6年度以降、大学ファンドからの助成を開始するという流れになっております。また、第2期以降の応募に関しても、大学ファンドの運用状況等を勘案し、段階的に行っていきたいと考えております。
 最後に、大学ファンドに関するシンポジウムについても御紹介させていただきます。20ページ目でございます。こちら、JST主催、内閣府・文部科学省の共催で、大学ファンドに関するシンポジウムを11月29日に開催する予定でございます。
 このシンポジウムは、公募開始を前に、大学関係者だけでなく幅広い関係者の理解と、関連施策との連携促進を目的としております。当日は、CSTIの上山議員から、国際卓越研究大学構想の意義や背景等に関して講演いただいた後、文部科学省の検討会議の議長・座長を務めていた金丸先生、また金沢大学の前学長でいらっしゃいます山崎先生、また自然科学研究機構の川合機構長なども参加するパネルディスカッションを予定しているところです。このようなシンポジウムを通じながら、引き続き我々としても国際卓越研究大学制度の意義、趣旨というものの説明を尽くしていきたいと考えております。
 私からの説明は以上になります。引き続き、世界最高水準の研究大学実現に向けて、委員会の先生方の御指導もいただきながら作業を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明に関して、御質問や御意見がありましたらお願いいたします。今後の公募や選定、あるいは制度設計が議論の対象となるかと思います。
 それでは、山本委員、お願いいたします。

【山本(佳)委員】  山本です。審査体制についてのページで、質問を2件お願いします。
 1つは、審査に外国人が入って英語で行うというのが、すごいハードルだなと思いまして、それは国際卓越ならこれぐらいのレベルが当然だよということで理解できるかと思います。こういった形は、外国の方が入って英語で全部審査をするというのはまだ一般的ではないと思うんですが、文科省や内閣府でのほかの事業でも進んでいるのか、今回が初めてではないと思うんですけれども、そのことをお伺いしたいです。
 2つ目は、もう少しブレークダウンしたレビュアー200人の件です。でも、200人も用意するというのは、さすが力を入れているんだなということは国民としては実感する形だと思いますが、ちょっと多過ぎるなという印象を持ちました。海外でもこれぐらいでされているということなんですけれども、実質的に本当に力を入れてしっかり見てくださる方であれば、30人とかでもいいんじゃないかなと感じました。
 評価のエネルギーを抑えるという切り口は、通常の国立大学の評価などでも削減しよう、ちょっとあまりに手がかかり過ぎるのはということで進められてきているところです。今回はこの200人とやり取りをするのは、事務方のエネルギーになるわけですけれども、そういった流れからすると、逆行するような気持ちを持ちました。お願いいたします。

【大野主査】  ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。

【馬場室長】  山本委員、御質問ありがとうございます。このアドバイザリーボードに海外の方が入るということに関しましては、山本委員も加わっていただきました文部科学省の検討会議においても、いろいろと議論を重ねてきたところでございます。
 まず、今の御質問の海外の方が入ることについて、ほかの審議会等については、現在例えば国立大学法人評価委員会においても海外の方が参画できるような仕組みとなっていて、指定国の選定に当たっては、そういった取組がやられたというふうに認識しているところでございます。
 また今回、国際卓越研究大学法の成立におきましては、この科学技術・学術審議会についても法改正をしておりまして、この審議会の中に海外の方も入れることができるということも法律上規定をしているところでございます。また、具体的な事業の事例としては、また最後にも話が出ますが、WPIのプログラム委員会についても、検討会議で、当時、濵口プログラム委員長のほうからも御紹介があったかと思います。
 そういった実績等も踏まえながら、我々としても当然ながら大学側の負担も考慮しながら、また事務方のフィージビリティも確認しながら、こういった体制を都度構築していきたいと思っています。
 なお、国内外のレビュアーについては、先ほど私から申し上げたあくまでもドイツの事例で、ドイツの場合は19の大学の申請があった中で11を選ぶときに、そういった人数を本当に1年、2年かけてやってきたときの事例を参考にさせていただき、紹介させていただいたところでございますので、今後何名でというところは、まさに今後の体制を構築する上で検討していきたいと思います。
 いずれにせよ、文部科学省のみならず政府全体で取り組むという観点からは、海外の大使館であったりとか、独立行政法人の海外事務所であったりとか、いろいろな連携等も活用しながら、こういった体制を構築していきたいと思っております。
 回答は以上でございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして吉田委員、お願いいたします。

【吉田委員】  ありがとうございました。大変よく分かる説明でしたんですが、各論的に大きくガバナンスで2つ、それから成長の測り方ということで、1点お伺いしたいと思います。
 まずガバナンスにつきましては、資料の5ページだったと思います。「国際卓越研究大学の認定に関する基本的な事項」というところで、自律と責任あるガバナンス体制、これはもう以前から明示されているんですけれども、一方で準備のプロセスとして、16ページには申請した後、いろいろ変更していくというようなことも以前おっしゃっておりましたけれども、こういう中で、そのガバナンス体制というのが、申請の審査における重み、あるいは評価上どの程度こういうものが重要視されるのか。プラス評価になるのか、あるいは最低限のレベルということになるのか、ここをお伺いしたいです。特に各大学がいろいろなコミットメントの下に提案されたときに、ある一定の価値基準というのが矛盾する場合もあるいは出てくるやも分かりませんので、そういうところの少し御意見をお伺いできればと思います。
 ガバナンスの2点目は9ページになりますか。「国際卓越研究大学の認定に関する具体的な判断基準」の⑤のところになります。「大学の運営に関する重要事項を決定する権限を有する合議制の機関」、これは以前から議論になっていると思うんですけれども、重要事項の中身というのはどういうことを実際にお考えか。これも先ほどの大学ごとで変わってくるのかどうか。そうなった場合に、大学間で違った場合にそごが出てこないかということが、ガバナンスに対しての質問になります。
 それから、13ページになりますか。これが今回新たに出たことにはなるんですけれども、これは収入によっていろいろ変わるんですけれども、成長率というのについてちょっとお伺いしたいんです。これは以前からも支出ベースということで理解はしていますけれども、これが例えば大学債なんか発行した場合には、割と早い時期にはたくさん支出が出るというふうに考えますけれども、ここの大学債を発行した場合の考え方というのはどういうふうになるのか。
 これら大きく2点、細かく3点についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

【大野主査】  それでは、事務局、お願いします。

【馬場室長】  吉田委員、御質問ありがとうございます。
 まず、1点目の自律と責任あるガバナンス体制に関してになります。こちらについての重みづけですが、繰り返し申し上げているとおり、研究力の部分、また事業財務戦略、ガバナンス体制、大きくその3点で今回大学のコミットメントをしっかりと出していただくというところを重視しているところでございます。その意味では何か一つだけを重視してやるということではなくて、全て実現していただくというところが重要とは思っているところです。
 ただその一方、ガバナンス体制については、例えば法律の立てつけであったりとか、今後の見通しであったりとか、そういったものについて、計画申請段階においてはまだ具体的なものにはなり得ないというところは我々も認識はしているところございます。まさに海外大学のベンチマークなどを通じながら、具体的な案というものの構想というものを、各大学の状況に応じて提案いただけるとありがたいと考えているところでございます。
 2番目のその会議体、いわゆる合議体の重要事項をどういったものにするのかということについても、今回、国際卓越研究大学制度自体は国公私に開かれた制度ということになりますし、また各大学に応じてそれぞれの建学の精神であったりとか、アンブレラ法人の岐阜大であったりとか、それぞれの経緯・背景があるかと思います。まさにその辺りについては、今後世界最高水準の研究大学になるに当たってどのようなガバナンス体制が望ましいのかということについて、海外の事例を踏まえて設定をしていただくというところが一つ重要な観点かなというふうに考えております。
 文部科学省の検討会議、並びにCSTIの検討においても、我々も当然ながらアメリカ、イギリスだけではなくて、ドイツ・フランス・アジアの大学、いろいろを見てはまいりました。それについては本当に多様な経緯を経て、多様なガバナンスを構築しているというような状況で、どういう形で牽制機能を果たしていくのか、大学基金をしっかりと未来永劫きちんと管理・運営できるようなボードをつくられるのかというところについては、大学からの提案を踏まえながら、この計画審査機関においてコミュニケーションを図りながら、最終的にはできればいいと考えているところでございます。
 最後の成長率、いわゆる支出の部分に関してですが、13ページ目だったと思います。今吉田委員から御指摘いただいたとおり、事業成長については支出成長率を見るということにしております。
 この大学債の考え方については、自分の理解を申し上げますれば、大学債自体は、現役世代に対して未来世代からある意味お金をお借りするというような位置づけであるのに対して、我々が今回つくり上げていきたい大学独自金というのは、現役世代から将来世代に対しての贈物ではないですが、若干位置づけというか、時間軸が逆になっている部分もあるのかなと思っています。
 今回、その外部資金獲得額から、大学独自金に積み上げていただいた額に関して、追加的にインセンティブをしようというのはまさにそういった発想で考えておりまして、これまでであれば外部資金獲得して、その年度並びに中期目標期間に使用するということが多かった中で、何とか海外のように日本の大学においても独自基金を積み上げていっていただきたいという観点から、こういった算定式を今考えてはいるところです。
 その意味で、大学債を発行すればするほど支出が増えるというところは、どういう考え方にすればいいのかというところについては、その公募要領やQ&Aのようなものもきちんと設定して、ルールにずれがないようにしていきたいというふうに考えております。御指摘も踏まえながら、最終的には公募要領において、何を基準にどのような助成をするのかというところを明確化していければと思います。
 以上でございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして柳原委員、お願いいたします。

【柳原委員】  私はコメントだけなんですけれども、これを実践していく上で、企業の立場から見た、あるいは企業の経験から見てちょっとコメントしたいと思います。
 パブコメにあったところで、大学のスタッフが少ないというところに対して、まさにそうなんだろうなと思っていまして、企業の場合は、技術系として採用した方々を、研究職であったり、あるいは事業であったり、あるいはスタッフであるというふうに、キャリアパスにおいてそれぞれ多様性があるということで、そういう意味では、その研究現場を知り尽くした人がその支援スタッフとして入るということは、常日頃やっております。これは一般的な企業全てにおいて共通の話だと思います。
 そのときに、秘書(セクレタリー)であったり、調査、実験サポート、あるいは予算管理、物品調達、リーガル、そういった諸々のスタッフ業務があるんですけれども、それを本社のコーポレート機能、あるいはシェアードと言って全社的にシェアサービス化するというか、個人で持たないと。そういう形も使ってかなり組織的にやっておりまして、URAもそれに近い活動かと思うんですけれども、企業においてはそういうことをかなりやっております。
 ですので、大学においてもそういう仕組みをうまく取り入れていくことが大事ではないかと思っております。要するに、ロジスティックスが勝負を分けるということを改めて強調しておきたいと思います。
 以上です。

【大野主査】  コメントをどうもありがとうございました。
 それでは林委員の発言に参りたいと思います。

【林委員】  林でございます。質問なんですが、13ページでございます。α、βに関しては今後検討ということで書いてございます。ただ、10兆円のその運用益ということを考えると、α、βはあまり小さくない係数に設定することも可能なんじゃないかと見ているんですが、一方でαが1に近い、あるいはβも1に近いと、特にβが1に近いと、例えば企業から100資金を得た上で、企業と相談して形式上、この100得たうちのほとんどを大学独自基金積立てのほうに回すと、この式だと100掛けるα足すβ分返ってくるので、その分を企業からもらったものに、企業が期待していた活動に使うよと言えば、何か収入だけ増えるという形になるようにも見えるわけですけれども、まずちょっとこのα、βが、今後検討なんですけれども、どのくらいの係数を想定しているのかと、この30でβで、これが単年で戻ってくるのがいいのか、30出したものは単年じゃなくて、何か積み上げた上で何年か後とか、そういうところで戻ってくるような形に、要はストックにしておいたほうがいいのかとか、その辺りの議論はあるのかというのが1点と、それからそもそもですが、これ、外部資金に準じてということのみを算定根拠にしているわけですけれども、その外部資金獲得額以外のものを算定の根拠に入れるという議論については、そういうことを検討する余地というのはあまりないというふうに文科省の内部では議論をされているということでしょうか。
 以上になります。

【大野主査】  お願いします、事務局。

【馬場室長】  林委員、ありがとうございます。今のα、βについては、まさに今我々のほうでも検討しているところでございます。最終的には、公募要領のときにはこのα、βについても基準の数字というところも設定、例えば1だったり2だったりとか、そういったところを今検討はしています。
 ただ、林委員から今おっしゃっていただいたこの外部資金に入れるべきものについて、先ほど申し上げたかと思うんですけれども、国公私の大学団体といったところの協力を得ながら、いくつかの大学にどういったものが大学現場において受け入れられるのかというところを確認はしている中でも、その外部資金としてこういったものも入れるべきじゃないか、入れないべきなんじゃないか、そういった御意見もいただいているところでございます。
 今回重要視したいところとしては、この外部資金についてきちんと財務諸表、そういったもので透明性、公開性があるようなもので算定していかないと、いろいろ問題も起こり得るだろうというところを考える中で、どういった形で設定すると透明性を持って準備できるかというところを、今、まさに検討を深めているところでございます。
 このβの部分については、先ほど林委員がおっしゃっていただいたとおり、例えば企業から100いただいて、そのまま100独自基金に積み上げることができるんであれば、大学としても我々としても一番ベストかなというふうには思っています。
 というのも、これまでの企業の共同研究であれば、どちらかというと目的が決まっていて、将来のため残すというような形ができ得なかったというような理解でおりますし、また同じように寄附金についても、ある程度目的が限定されていたというのがこれまでの日本の大学の状況かなというふうに思っています。
 その中で、今後、国際卓越研究大学に選べるような大学においては、共感を得て、企業に対しても寄附者に対しても、今使うのではなくて、将来世代のためにも使えるようにエンダウメントとして、ある意味目的限定、目的非限定、いろいろあると思うんですけれども、そういった形で積み上げていただくというところが重要かと思っています。
 その上で、今、林委員が言っていただいたとおり、この30掛けるβの部分については、例の資金拠出、そういったものも考えて、最終的に大学へ渡せるような形ができ得ないか。JSTのほうに積み立てるような形で、20年後、25年度、お渡しするような形ができ得ないというふうに考えています。
 いずれにしろ、今回、助成した金額をそのまま全て使ってしまうというところは、なかなかもったいないというか現実的ではないと思っておりまして、外部資金獲得した額のうち、何割かはきちんとエンダウメントして積み上げていただきつつ、そのエンダウメントを積み上げた金額に応じて、JSTのほうにもしっかり積み立てておきながら、20年後、25年後にお渡しするというようなスキームをすることによって、最終的に十分な運用益を生み出せるだけの大学投資を積み上げるような仕組みをつくっていきたいと考えています。
 いずれにせよ、この辺りの制度設計については、最終的な公募要領までには制度を固めていきたいと思っているところでございます。
 説明は以上になります。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして受田委員、お願いいたします。

【受田委員】  ありがとうございます。受田でございます。資料の中で、8ページと9ページについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず8ページに、これまで議論をしてまいりました国際卓越研究大学への支援と、総合振興パッケージによる地域中核・特色ある研究大学への支援、そして博士人材の育成強化、これが相まっていくということについて強調していただいております。この点が、今回のファンドを活用する大きなポイントになっていく一つではないかと考えているところでございます。
 その点において、ここで幅広い産学官の関係者により理解が共有されることが重要と改めて記述をしていただいているんですけれども、今後審査の過程において、この点が具体的にどのように盛り込まれているかという点は、審査採択に向けての基準の一つになっていくと期待をしているんですけれども、その点のお考えを伺いたいと思います。
 もう一つ、それに関して補足をすると、今回の国際卓越研究大学というのは、変革への意思があるということ、これが一番重要な観点でありますので、この総合振興パッケージ等による地域中核・特色ある研究大学との連携に関して、変革という文脈でその具体的な内容・中身を審査していく、そういう点についてお考えになられているかどうか、お答えいただければ幸いでございます。
 以上です。

【大野主査】  それでは、事務局、お願いします。

【馬場室長】  受田委員、ありがとうございます。今の御質問、産学官の関係者の理解が共有されることが重要というところについては、最後に説明いたしましたシンポジウムなども行いながら、我々としてもこういった理解が得られるように、引き続き努力していきたいと思っております。先日の強化委員会の後も、我々事務局のほうで、例えば経団連のほうにも御説明させていただいて、経団連に所属するような企業の方々にも御説明するような機会も設けさせていただいたところでございます。
 いずれにせよ、国際卓越研究大学に限らず、こういった大学の取組について、産学の関係者に理解を得ながらやっていきたいと思いますし、文部科学省としてもちょうど昨日、寄附を募集するホームページというもの、各大学、各研究機関がどういったものをやっているのかというところを皆さんに分かっていただくようなポータルサイトを昨日立ち上げたところでございます。そういった取組を通じながら、こういった理解が得られるように努めてまいりたいと思いますし、また認定の審査に当たっては、少なくとも産学連携ガイドラインの適用状況、そういったものは見る予定にはしていますが、それに限らず、各大学においてどのような取組をしているのかというところはしっかり確認していきたいと思っておりますし、これまでの取組、また今後の計画においても、そういった部分は確実に重要なステークホルダーにはなっていくんだろうと思っています。
 また、変革の部分について、今回の国際卓越研究大学、日本の大学、学術研究ネットワークを牽引する責務を負うというところではありますが、多分一番分かりやすい変革の例は6番目の規制緩和、こういった部分について、例えば大学独自基金であったりとか、寄附の獲得であったりとか、企業との関係であったりとか、間接経費の獲得であったりとか、そういった部分について、他大学にも参考になるような取組ができるんであれば、やはりほかの大学にとっても変革というか、取組としては参考になるのではないかなとは思っています。
 その意味で、先ほどコメントできなかったんですが、柳原委員の御意見でございましたバックオフィスという言い方は失礼かもしれないんですけれども、研究を支える体制の重要性については、海外との比較でもやはり日本においては少ないというところが指摘されている中、6ページ目にも今回改めて記載しておりますが、6ページ目、事業の内容について、若手研究者だけじゃなくて、例えばハの部分での研究マネジメント人材に加えて、一番左下のニの部分、必要な専門的な人材、専門職人材であったりとか研究マネジメント人材、そういった方々のキャリアパスの構築、また国内外における研さん機関の拡大、そういったものも通じながら、他大学との連携ということもでき得るようにやっていくのではないかなと思っています。
 今回、国際卓越研究大学法の策定に当たっては、繰り返しになりますが、もともとイとロの業務が認められていたところ、ハとニとホについても今回追加したというのは、柳原委員等の問題意識を踏まえながら検討してきたことになってございます。回答になっていればと思います。
 以上でございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、相原委員、お願いいたします。

【相原委員】  7ページ目ですが、そこの一番下にあります「一定期間(6年から10年)の目安ごとに」と書いてある評価期間についてです。
 6年なら分かるのですけれども、これだけ世の中が変わっていく時代に、10年はちょっと長いという気がしまして、二段階の評価というのはあり得ないのかと考えました。もし10年ごとに評価するのでしたら、その途中の5年とか中間的な時期に、例えばサジェスチョンを与えるような機会というのを設けるのも一つの手かなと思いましたので、提案させていただきました。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。

【馬場室長】  ありがとうございます。この一定期間の考え方については、例えば認証評価であったりとか、国立大学法人評価であったりとか、そういった各種評価との連動も見据えながら、どういった期間を設定すればいいのかというのは、国際卓越研究大学、大学がそれぞれ申請する際に設定いただくということも、我々としては考えていたところでございます。
 というのも、今回、各大学が提案するに当たっての計画期間は最長で25年とは書いておりますが、恐らく大学によっては20年だったり15年だったりとか、そういったことも考えられるので、それに応じた期間というところをそれぞれ設定していただくというところ、どうマイルストーンを設定するのかというところは、大学とコミュニケーションを図りながら浮かしておくというか、決めていただくということもあるのかなというふうに思ってはいたところです。
 冒頭の最初の質問でございました山本委員の御質問にもありました評価疲れ、そういったところを我々は避けていきたいという中で、適切な期間がどの程度なのかというところについて、まさに大学の計画を見ながら、最終的にはアドバイザリーボードでも判断するような形もあり得るのかなと思います。
 いずれにせよ、この最長25年という期間は長いというところは我々も認識している中で、本当に将来を見据えた計画をつくれるのかというところについては、御意見もパブリック・コメントもいただいたところでございます。まずはこの最初の5年、6年、10年で何をしていくのかというところ、恐らく最初はこのバックオフィス的な研究環境であったりとか、支える人材であったりとか、若手のポスト、そういったところが重視されるのではないかと思いますが、いずれにせよ各大学が計画をつくる際の粒度というところを見ながら、マイルストーンをどう設定すべきなのかというところについて、公募に向けて考えていきたいと思います。御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。ありがとうございます。

【大野主査】  それでは、どなたも手が挙がっていないので、私から1点だけ、これは繰り返しになりますけれども、山本委員が最初に触れられた点ですが、この選考に関するエフォートというのを適切に設定するのは極めて重要かと思います。ロジスティックスの話も出ましたけれども、大学全体を大きく変える提案になると思いますので、手を挙げた大学が全学、教員も含めた大きな変革を成そうとしたときには事務だけでは済みません。そうすると、その日本のリーディングユニバーシティの教育や研究が停滞するという可能性すらありますので、そこのエフォートに関しては、選考において非常に重要なポイントになろうかと思います。以上、私からのコメントでございました。
 それでは、時間も過ぎておりますので、この部分に関しては以上とさせていただきます。事務局におかれましては、今日いただいた御意見を踏まえて、今後の公募、選定の進め方に反映をしていっていただきたいと思います。
 大学ファンドの状況につきましては、引き続き本委員会でも随時御報告をいただき、我々としても意見も言うという形になっていくと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは事務局より、続きまして、大学研究力強化に関する主な施策の状況について、説明をお願いいたします。

【馬場室長】  ありがとうございます。続いて、資料5に基づきまして、大学研究力強化に関する主な施策の状況について御説明させていただければと思います。
 まず2ページ目です。こちらは前回も御説明いたしましたが、受田委員からの指摘もありましたが、日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成に向けて、日本全体の大学の国際競争力を高めるためには、総合振興パッケージと大学ファンドとを連動させ、個々の大学の持つ強みを引き上げると同時に、複数組織(領域)間の連携を促進し、人材の流動性が高いダイナミクスのある研究大学群をシステムとして構築することが必要だということを強調しております。
 3ページ目、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの改定の方向性です。こちら内閣府が作成したものになりますが、予算の量的拡大はもちろん、質的拡充にも努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次のページが、こちらも内閣府が取りまとめております総合振興パッケージの来年度概算要求の全体像となります。本日はこの中で、①大学自身の取組の強化の中から、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)、また共創の場形成支援に加えまして、地域活性化人材育成事業、また、内閣府の地域の中核大学イノベーション創出環境強化事業の進捗状況について御紹介したいと思います。
 6ページ目を御覧ください。こちらは世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)、こちらの令和4年度の採択拠点一覧になります。こちらについては、先月、10月13日に公表したものになります。今年度は新規に3拠点が選ばれておりますが、大阪大学が2件目の拠点に選ばれているのに加え、今回新たに広島大学、また私立大学として初めて慶應義塾大学の拠点がWPIとして採択されたところございます。
 7ページ目に、共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)の令和4年度新規採択プロジェクトを掲載しています。こちらも先週、10月25日に採択結果が公表されているものでございます。こちらの共創分野、本格型・育成型に加えまして、8ページ目に地域共創分野として、弘前大学をはじめ地域の中核となる大学が数多く採択されているところが見てとれるところかと思います。
 10ページ目に地域活性化人材育成事業(SPARC)の令和4年度の選定結果。また、こちらは御参考にはなりますが、内閣府で行っております地域中核大学イノベーション創出環境強化事業の令和4年度採択大学の状況についても記載しております。我々としては、こういった取組についても期すべき横の連携・連動を深めながら、大野主査が今おっしゃったような評価の負担であったり、審査の負担、そういったところも考慮に入れながら、相乗効果を発揮できるような取組というのを今後も引き続き進めていきたいということを考えているところでございます。
 最後、11ページ目を御覧いただければと思います。こちらは物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策ということで、報道等でも御案内かと思います。先週、10月28日に閣議決定されているところでございます。
 こちらハイライトしている部分、ちょっと字が小さくて見づらいかと思いますが、成長分野における大胆な投資の促進として、科学技術イノベーションというところが項目立っているところでございます。この総合経済対策の本文自体は参考資料3にはございますので、後ほど御参考いただければと思いますが、この総合経済対策においても、この強化委員会の議論も踏まえてこのような記載がございます。「地域の中核大学や特定の研究分野に強みを持つ大学の強化や、若手研究者の育成に向けた支援強化に取り組む」ということが明記されているところでございます。引き続き文部科学省としても、補正予算はもちろん本予算の獲得に努めるとともに、本委員会の議論も踏まえながら、多様な研究大学群の形成に向けて、施策の連携等に努めてまいりたいと考えているところでございます。現時点で説明できるところは以上になります。
 事務局からは以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。大学ファンドと、総合振興パッケージ、そしてその連動性が今後の我々の日本の科学技術イノベーションの将来を決めると言って過言ではないと思いますので、ぜひ皆様から活発な御意見を頂戴したいと思います。
 それでは、まず林委員、お願いいたします。

【林委員】  ありがとうございます。まさに今委員長が言われた、国際卓越研究大学とそれ以外のところの総合振興パッケージとの関係のところなんですが、私は先ほど卓越研究大学のところで、外部資金獲得額に応じた配分だけでいいんですかという質問をしたんですが、恐らくそれだと、国際卓越研究大学に選ばれたところが、それ以外の大学と連携をしていくことに対するインセンティブもないし、連携をすることにかかるコストを、どこかからお金を取ってくる、それに充てるお金もないですね。
 やはりその目指しているものが国際卓越研究大学だけがということじゃなくて、日本の大学全体がということであれば、それをちゃんとエンカレッジするような要素も、配分のところで少し考えるべきではないかと思っています。
 今、連携のことだけ言いましたけれども、例えば若手をもっと育成して活力をというのであれば、例えばそういうものに応じた配分とかそういうこともあるかもしれないですけれども、それは先ほどの国際卓越研究大学のほうの議論なのであまり深入りしませんが、ちょっとこの連携をどうやって促していくのかというところについては、ぜひまたお考えをいただければなというふうに思っております。
 以上になります。

【大野主査】  事務局、いかがでしょうか。

【馬場室長】  林委員、御指摘ありがとうございます。おっしゃっていただいたとおり、この国際卓越研究大学に対して、地域中核研究大学においては多様な手法に基づいて判断されるべきものだと思ってはいるところでございます。また、若手研究者の部分についても、今の御指摘も踏まえながらしっかりとフォローしていくことが重要なのかなと思ってはいます。
 今回の総合経済対策においては、例えば若手の関係で申し上げれば、創発的研究支援事業の強化というところが本文にも具体的に書かれていたりだとか、地域中核に対しても、基金による継続的な支援といったような今文章が書かれているところになっています。
 我々としても、今の林委員の問題提起、また強化委員会のこれまでの議論も踏まえながら、各大学の連携を促進するような取組というものをどう促していけばいいのかというところ、その制度設計に当たってしっかり留意していきたいと思っておるところでございます。御意見ありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、新福委員、お願いいたします。

【新福委員】  広島大学の新福です。今回WPIに採択されたということで、広島大学として、非常に今後の研究事業の発展に期待を寄せているところでございます。
 外国人の研究者を受け入れていくということになりますので、この東広島、もしくは広島市の環境も外国人研究者とその御家族も受け入れていくとなると、インターナショナルスクールや近隣学校における受け入れ等の準備ですとか、そういったところも影響を受けて変わっていくというプロセスを、この採択に当たって私も拝見しております。こういった外国人研究者受入れによる研究環境の改善は、国内の多様な研究者の受入れに際してもよい環境になっていくのではないかと実感しているところです。
 もう一点、私は広報の担当もありますので、広島大学のWPIがこれから始まるということで、学長定例会見等で一般市民向けに広報をすると、メディアが取り上げて、テレビ等で流れたりですとか、地域のほうで盛り上がってきていることも実感しています。今後もやはり地域行政、またメディアとのコミュニケーションを大事にしていきたいと思いますし、こういった事業の国際的な発信というところも強めていきたいと思っております。
 様々な事業を通して、大学の基盤や環境がこの後整っていくように思いますので、今議論しているような国際研究卓越大学との連携というところは、林委員の指摘しているとおりだなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上、コメントになります。

【大野主査】  事務局、よろしいでしょうか。

【馬場室長】  ありがとうございます。新福先生の今のWPIのお話、福間委員からも以前この強化委員会でも御報告あったかと思います。大事な観点として、先ほどの受田委員の産学連携だけではなくて、やはり自治体との協力というところも国際化を進める上では不可欠かなと思ってはいるところです。ぜひ、我々文部科学省だけではなくて、自治体、総務省といったところとも連携しながら取組を進めていきたいと思っていますし、先ほどの林委員の御指摘ともつながりますが、今回の経済対策においても、例えば国際頭脳循環の促進、若手研究者の国際的な研究ネットワーク構築の支援であったりとか、国際展開する大学発スタートアップの創出といった部分についても、今、経済対策の本文には盛り込まれているところでございますので、そういった取組をうまく連動することによって、大学のキャンパスの国際化のみならず、研究環境の国際化にも取り組める機会にしていきたいと思っています。御指摘を踏まえながら、制度をいろいろ考えていきたいと思います。ありがとうございます。

【大野主査】  新福委員、非常に重要な点を御指摘いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、続きまして片田江委員、お願いいたします。

【片田江委員】  UTECの片田江です。御説明ありがとうございました。総合振興パッケージと大学ファンドとの連動が大変重要だということで、個々の大学の強みを引き上げるというところは非常によい目的だと思います。
 一方でほかの委員の先生も御指摘されているように、具体的に連携を促す仕組みであったり、ある大学から他大学への提案を出すような仕組み、システム化というのは、枠組みが必要だと思います。加えてWPIやCOI-NEXTなど、私もCOI-NEXTの委員もさせていただいていますけれども、非常によい支援の枠組みだと思います。
 一方で、このCOI-NEXTを拝見していますと、先ほどの国際卓越研究大学の要件に合った中で、ちょっと欠けているなと思う点が2つありまして、ひとつめは、大学教員の組織及びその研究等の体制を構築するという要件、ふたつめは、効率的な資源の確保及びその分配を行える運営体制のところの視点です。やはり地方大学にこのような仕組みを一気に求めるのは難しいという現状があるのも理解する一方で、国際卓越との連携を促すという方法を考えると、地方大学に対してもその効率的な資源分配であったり、教員以外の組織の体制構築というところが強化されることが、早期に必要になってくるのではないかなと思いました。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。事務局、よろしいでしょうか。

【馬場室長】  ありがとうございます。今の片田江委員の御指摘、我々も重要だと思っておりまして、冒頭、山本進一先生への黙禱もありましたが、我々今回、この強化委員会の議論を踏まえて、共同利用・共同研究拠点の形成事業というところの一つの意義、狙いとしては、今おっしゃっていただいたような地方大学であったりとか、そういった部分をしっかり日本全国的に支えるような体制も併せてつくっていかないといけないだろうというような問題意識で、設計をさせていただいたところでございます。
 今後、国際卓越研究大学はもちろん、特色ある研究大学、COIで選ばれるような地域の中核大学、日本全国の大学はそれだけではないということは認識している中で、例えばこういった大学共同利用機関であったりとか、そういった今日本にあるような枠組みをうまく活用しながら、例えば研究者を支える体制であったりとか、また研究者の流動性の向上にも資するような取組というものも、こういった事業を通じながら実現していきたいというふうには考えているところございます。
 いずれにせよ、国際卓越研究大学と総合支援パッケージ等をどのように連動していくかというところについては多くの宿題、指摘をいただいたと認識しておりますので、今後適切に設定していきたいと思いますし、この場でも御報告したいと思います。ありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございます。柳原委員が御指摘されたように、そのロジスティックス、あるいはその支援全体の仕組みは、全ての研究をする大学に重要ですので、そこをきちんと踏まえた形の施策になるというのが極めて重要なことだと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして小林委員、お願いいたします。

【小林委員】  2点ほどありまして、連携について今までいろいろなお話が出ていたのですけれども、その大学間の連携の中で、大学等連携推進法人の役割をもう少し活用できないかとも考えています。
 今まで国際卓越研究大学になるために、わざわざ大学を統合したり、そういう動きがだんだん出てきたりしたのですけれども、それはそれでいいとしても、やはり連携法人という枠組みでも可能になるかもしれませんし、やはり地域のこの研究についても、連携法人という枠組みの中で使えるというのも一つの方針としてはあるかと思います。
 それからもう一つは、エンダウメントですけれども、実際私たちもいろいろ寄附金を集めるに当たって、企業やPTAとか同窓会からもらえるときには大抵何かイベントがあったときなのですね。例えば周年事業とか、建物を建てるとか、新しい学部をつくるとか、そういう目的のためにはお金出してくれるのですけれども、何だか分からない基金のためにお金出すというのは、あまり皆さん喜んで出していただけないので、それを出しやすい仕組みをもう少し考えていただければと思います。2点です。

【大野主査】  ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。

【馬場室長】  御意見ありがとうございます。我々としても、この連携法人としての正当化された仕組みというものもうまく最大限活用しながら、そういった連携が進むというところは重視していきたいと思っております。
 御指摘いただいたとおり、北里も社団法人北里研究所とも統合したと思いますが、すぐにほかの大学ができるかといってもそう簡単ではないと我々も認識している中で、今ある連携法人という枠組みを最大限活用するというのは、おっしゃっていただいたとおりかと思います。
 また、小林委員から前も御指摘ありましたが、基幹教員、そういったものについても今後制度化される中で、先ほどの人材の不足、専門人材が不足する中で、クロスアポイントメントだったりとか、地域の方にも大学に例えば月に何度か来ていただくとか、そういった取組、またほかの大学との基幹教員の関係でのやり取りというところも、今後さらに拡大する可能性が高いかと思ってはいるところでございます。
 いろいろな取組というものをより柔軟にすることによって、公共財としての大学にいろいろな人が集まりやすい環境というものをつくり上げることができるかというところは、今ある仕組みはもちろん、今後必要な仕組みがあれば取り組んでいきたいと思っております。

【小林委員】  1つよろしいですか。基幹教員の件ですけれども、10月1日から始まったのですけれども、これは教育だけですよね。大学院では基幹教員はないというふうに説明を受けていますので、研究についても、基幹教員の枠組みというのをちょっと考えていただければと思います。

【馬場室長】  ありがとうございます。この後高橋委員からもお話があると思います。またURAについても、今、全国で共有しようみたいな話もいろいろとあったりはするところなので、そういったところもちょっと今の制度も踏まえながら考えたいと思います。
 2つ目の御質問のエンダウメント、企業やPTAのお話があったと思います。私もこの前経団連と話してお願いしたのは、やはりその企業から大学に対して寄附をしてくれと言われても、恐らくそう簡単ではないと思ってはいるところであるので、まずは本当に母校に対してきちんと恩返しをするというような文化を、日本でもつくっていくということが重要なのかなと思っています。税制であったり、いろいろな取組についても、政府全体でも取り組むべき課題だと思っています。
 いずれにせよ、このエンダウメントというものを日本全体、どの大学であってもきちんと積み上げていくことができるというところについては、今後の大学の発展、研究大学に限らず重要なところかと思いますので、先ほど申し上げた文部科学省のポータルサイトというものも昨日立ち上げたところでございますし、そういった取組を通じながら、何とか具体化していければとは思っているところでございます。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして吉田委員、お願いいたします。

【吉田委員】  ありがとうございます。私からも3つほど、お願いと質問ということでお話しさせていただきます。
 まず第1番目は、もう既に林委員を中心に様々な方が言われていたんですけれども、地域中核大学と、それから国際卓越研究大学の有機的な連携、相乗的・相加的な相補的な連携が極めて重要と言われながら、具体的にはインセンティブがここまであまり議論されてこなかったということがございます。もう先ほども取り入れていただけるということでは理解しておりますけれども、ぜひともこの点を十分御配慮いただければというのが、まずは1番目になります。
 2番目は16ページ、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業という、これも一つの地域中核のポイントだと思うんですけれども、これも今、予算につきましてもいろいろ頑張っていただいているとは思うんですけれども、今7校程度ということでありますけれども、ぜひこれを増やしていただくようお願いしたいというのが2点目になります。
 それに絡めまして、11ページの補正予算案のところにも科学技術イノベーションのところで地域中核についての記載というのが小さな字で書いてありますけれども、これは具体的な金額であるとか、その要求期間、あるいはその他のスケジュール感というのがもし分かれば、ここをちょっと教えていただければなと思います。
 それから、3つ目は18ページになりますでしょうか。今回WPIということで、幾つかのステップで以前つくっていただいたんですけれども、もともと第二、第三の矢ということで育成していただいてはおるんですけれども、これでもやはりかなり地方の大学にとってはハードルが高くて、結局は今までの順序に従ったような大学しかアプライできないんじゃないかなという、ちょっと懸念がございます。今後これらについても、やはり基準の変更であるとか、そういうことが考慮していただけるかどうか、その3つについてお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。

【大野主査】  それでは、事務局、お願いいたします。

【馬場室長】  吉田委員、ありがとうございます。幾つか御質問あったと思います。順に答えていきたいと思います。
 まず、1つ目の連携に対するインセンティブについては、皆様からも御指摘あったところでございますので、国際卓越のみならず、総合振興パッケージほかの事業においても、そういった取組について大学がばらばらならないような取組というものをうまく促していければいいなと思っています。
 先ほどちょっと御紹介が漏れておりましたが、12ページ目に総合振興パッケージに関するシンポジウム、これは大学ファンドに関するシンポジウムを別途行うということを考えています。
 こちらの狙いとしては、文部科学省・経済産業省で合同でやることを考えておりますが、まさにこの総合振興パッケージで言われた、また、今吉田委員が問題提起された組織を越えた連携、相互理解をどのように深めていけばいいのかというところについて、こういった機会を設けていきたいと思っています。
 こちらについては、11月15日にオンライン開催を予定しておりますが、パネルディスカッションにおいては、強化委員の任も務めていただいている受田委員にも御参画いただいて、大学の連携のみならず、組織を越えた連携、自治体との連携、そういった取組というところも促していきたいと考えているところでございます。
 また、総合振興パッケージの中の地域中核の部分については、後ほど科学技術・学術政策局のほうから補足いただければと思います。総合経済対策においても、今御指摘いただいたとおり、地域中核・特色ある研究大学また、本文の中にはこういった地域中核・特色ある研究大学の強化促進に向けた基金による事業というようなことも記載があるところでございます。
 また最後、WPIについては18ページ目、おっしゃっていただいている今の仕組み自体はハードルが地方の大学では高いということで、来年度予算に向けてはWPI COREということで、伴走成長方式というような形で、これまでのものよりも規模的にはより提案しやすい、地方大学でも提案しやすいような仕組みというところを今設けるべく、来年度の概算要求に向けて編成の調整をしているところでございます。またこの辺りについても、地域の実情・大学の状況に応じた柔軟な支援ができるように考えていきたいと思います。
 地域中核について、もし科学技術・学術政策局のほうから補足があればと思いますが、いかがでしょうか。

【井上課長】  失礼いたします。産業連携・地域振興課長の井上です。
 吉田先生の御質問につきまして、今具体的にお答えできるところは馬場室長のほうから申し上げたとおりということになりますけれども、いずれにしましても経済対策にも盛り込まれているところですし、この臨時国会で御議論いただくということを前提にして我々政府の中でも最終的に詰めているところでございますので、しっかり御期待に沿えるように努力してまいりたいと思います。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして受田委員、お願いします。

【受田委員】  受田です。よろしくお願いします。今回、総合振興パッケージに関しては、予算的に、またメニュー的に拡充をしていただいていることは、大変すばらしいことだと思っております。
 一方で、この総合振興パッケージでの「総合」というニュアンスが、それぞれの施策との、言ったらバランスといいますか、大局的な見方・評価というところでは、求められていく段階ではないかと考えております。
 今後2ページのスキームでお示しをしていただいた中核大学や特色ある研究大学間、あるいはそれぞれの振興や発展とともに、この国際卓越研究大学との連携も含めて全体を俯瞰して見たときに、総合振興パッケージが機能しているのかどうか。あるいはその重点的配分等が効果的であるのかどうか。プログラム評価、あるいはもっと大きなマクロなPDCAを回していく仕組みが一方で求められると思うんですけれども、いかがでしょうか。

【大野主査】  それでは、事務局、お願いいたします。

【馬場室長】  御指摘ありがとうございます。受田委員がおっしゃっていただいたとおり、全体のマクロとしてどういったものを目指していくのか。そして、それをどうPDCAを回していくのかというところについて、我々も留意したいと思います。
 この場でも大野主査からも繰り返し御指摘ありましたが、プログラムごと、それぞれの事業ごとに評価が繰り返され、各大学のエフォートが低減されてしまうという、また評価疲れ、研究時間の低減、そういったところへもつながりかねないところもありますので、当然施策の充実、様々なプログラムの創設というところはあり得べき姿であるものの、全体像としてどのように設計するのかというところについては、経済対策のみならず、既存の事業も含めて引き続き検討していきたいと思います。こちらも重たい宿題だと我々は認識しておりますので、またどこかの機会で御報告できればと思います。御指摘ありがとうございます。

【大野主査】  大変重要な御指摘だと思います。総合振興パッケージの「総合」の意味を、きちんと共通のものとして全体の施策として前に進めることができればと思います。
 それでは、相原委員、お願いいたします。

【相原委員】  私は1点だけコメントですけれども、研究大学を育てていこうという大変な努力をしていただいて、ありがたいと思いますが、いきなり育つわけではないので、やはり階段を上っていくように育っていけるような制度設計をしていただければと思います。
 段階を追ってそれぞれの大学が育っていけるようにつくっていただければと思います。
 以上です。

【大野主査】  いかがでしょうか、事務局。

【馬場室長】  ありがとうございます。重要なメッセージだと思います。先ほどの受田委員の御指摘もありました。これまで我々も反省すべきところとしては、各種事業のハードルだけが高くて、手を挙げづらかったという部分について、しっかり各大学がそれぞれ研究大学を目指すに当たって、必要な階段というものを準備していくというところが大事かと思っています。
 その意味で、吉田委員の御質問にも応えたWPIであれば、来年度予算が認められれば、WPI COREという形でこれまでよりもチャレンジしやすいようなスキーム、また、既に競争の場においても育成型という形で、地方大学がまずトライをするような取組ということで、育成型から本格型に移せるというようなものもつくってはいるところでございます。
 いずれにせよ、今後事業を我々が設計する際にも、各大学目線でどのような取組が必要なのかというところについて、しっかり対話を重ねながら伴走支援できるような取組というものを充実していきたいと考えているところでございます。ありがとうございます。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか。この議題について、ほかに御発言がなければ次に移りたいと思います。
 それでは、どうもありがとうございました。今後の予算編成に向けて、御尽力いただきたいということと、本日の議論を踏まえて制度設計を進めていただきたいということをお願い申し上げます。
 では続きまして、高橋委員から、日本におけるURA(リサーチ・アドミニストレーター)について、御発表をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋委員】  ありがとうございます。それでは、15分ほどということで、お話をさせていただきます。タイトルはURAについてということですが、今までにもこのお話を聞いていただいた先生方は多いかと思うんですけれども、やはりまだまだ全体像の理解・把握がしにくいということを伺います。
 URAの分かり難さの理由は、大きく3つぐらいあると思っています。まず、現在やっている実務者の人材像が多様であること。それから、仕事の内容も多様であること。加えて、個々の大学のURA組織の多様性。この3つぐらいの多様性が、なかなか全体像の把握が難しいということの要因なのではないかと、今までの会話を通じて思っております。今日は、今見ていただいております大きく2つのコンポーネントで御紹介いたします。
 Aのほうは、先ほどの3つの理解のしにくさの多様性を簡単なエビデンスで御紹介し、分かったと言っていただくのは難しいかと思うんですが、この理由でこういう多様性が生まれているんだな、そこが難しさの原因かもというところまでの共通点を持っていただくことを目的に、Aの部分の概況把握です。
 そして、今日の中心はBのほうで、今日の2つの大きなアジェンダでも今まで御議論があったと思いますが、政策の変遷の中でその果実をしっかり都度収穫した上で、今の持っているものを最大限に生かすという観点で、政策の振返りとともに、今動いている2つの事業について、現状の御報告をさせていただきたい。
 具体的には、スキルの認定のための質保証とコミュニティーの形成です。それ以外にも、URAを取り巻く状況ですとか、今日カバーし切れないトピックというのを、下側の補足の資料と参考資料のほうにまとめました。とりわけ補足の資料のほうは、先進国でURA類似の人材がどうなっているのかとか、非常に重要なキャリアパス、さらに踏み込んで報酬とか職位とかという辺りも、私が分かる範囲できちんとしたリソースに基づく資料をまとめました。全体は75ページですけれども、前半A、Bについてお話しさせていただきます。
 また、研究力強化ということですと、もう国際動向は外せないわけですが、私の肩書のところに書いてあります、OECD諸国のほとんどに加えてインド、中国、マレーシア等でもこのコミュニティーが現在立ち上がっておりまして、そのインターナショナルな機構のチェアをさせていただいております。そういう観点で、補足の資料のほうにはそういう情報も入れてありますので、ぜひ御覧いただければと思います。
 資料は、全く同じものを既にPDFでお配りしておりますが、ぱっと見ていただきたいと思うのは、画面共有のほうを見ていただくとより少しだけ分かりやすいかと思います。例えば今日のブルーの部分ですけれども、この部分というのは、我々この業界ですと大学の教員なのか事務方なのかというのが2大ポピュレーションですが、私はマスターを終わった後、4つの組織、大野先生の東北大を含めて、先ほどの言葉で言うといわゆるロジスティックを担う第三の職種として、現在で言うところのURAの仕事をしてまいりました。なので、そういう観点でここからのお話をさせていただきます。
 まず、これは皆様御存じのとおりの、URAの文部科学省における調査です。1つ目の把握の難しさの多様性、実務者の人材像ですが、前職どんなことをやっていたのかというところが一つ分かりやすい数字かと思います。教員、研究者、それ以外にも企業等からの研究開発経歴を持った方、また知財の方。昨今は大学の事務系職員の方が、その後、その経験を通じてURAに入っているということで、直近の調査では1,512人の人間が現在日本で活躍していると。政策的な課題としては、期間の定めがある雇用、相対的には不安定な雇用というのがまだまだマジョリティですねというところは、現在の課題の1つ目です。
 2つ目の多様性ということで、仕事の多様性です。これは、図左下を起点に見ていただき、いわゆる研究のスタートがいろいろな種類のお金を研究活動に入れ、大きな問題としては、研究をするために、研究活動以外の研究者の教育に割く時間、行政への時間のトレードオフが生まれてしまっていることが政策的な課題ですが、いずれにしても研究をする、そのための資源として人、物、金があります。研究活動をやることによって出てきたアウトプット、そしてアウトカム、これらが次の資源獲得につながるという大きなダイナミクスの中で、URAの業務、それから類似の職種が日本だけでも多分職名で30種類ぐらいありますけれども、例えば代表的なものとしてコーディネーターの業務が、御覧いただくようにその全てのダイナミクスのポジション、ポジションで、一部分はURAがメジャーでやっていたり、一部分は技術移転などはコーディネーターやライセンシング・アソシエイトが中核になったりという形で、現在の科学のダイナミクスを回していく上で、いわゆる伝統的な事務職と研究者以外にも、こういう第三の職種の人間が非常に重要になっているというのがお分かりいただけるかと思います。
 プレ・アワードでお金を取るところ、ポストでマネジメントするところ、それ以外にもコンプライアンス、広報、技術移転。加えて研究戦略のIRと、URAの業務の多様性が、このダイナミクスの中でマッピングできるかと思います。
 現在の日本の、類似職種と合わせた全体感についてごく簡単にまとめたのが次の1枚です。1995年の科学技術基本法以来、いろいろな施策で類似業務を担う多様な職名の方たちが大学回りで動いています。例えばファンディング・エージェンシー側ではプログラムマネジャーとかプロジェクトダイレクターなど。それからコーディネーターや技術移転のライセンシング・アソシエイト、加えてURAというような、少なくとも4つぐらいのカテゴリーの人種が、URA以外はきちんとしたデータベースがないのでなかなか私見でえいやと書いたところもあるんですが、ざっくりこのぐらいの人数がいろいろな業務をしているというのが現状かと思います。バックグラウンドとしてアカデミアの研究者が多いとか、企業系側の方が多いとか、所属組織としてコーディネーターは地方の公設試に御所属の方が多かったりします。またTLOの方だとかVCの方も含めいろいろな人材が各所で活動しているというのがこの全体像かと思います。この業務及び所属組織の人材の多様性というのが、理解しにくいという2つ目です。
 さらにURAの組織構造の多様性です。URAコミュニティーの皆さんの声を集め、あえて2つぐらいに分かりやすくカテゴライズしてみると、現在の日本の大学のURAの組織というのは、AかBかのパターンに分かれるかと思います。まずは本部のURAをばんとまとめておいて、都度必要な学部やプロジェクトにチームで派遣するという形がAタイプで、あえてここもえいやで描いてみました。
 代表的なペルソナは、この色が違っておりますけれども、例えば広報の専門家、知財の専門家等の専門知識を主に持っていて、それに対して、そのサイエンスの特性とプロジェクトの特性でチームを組んでサポートするという形。比較的アカデミア以外の業界から、企業様とかからこの仕事に入ってきているという方たちも多いかと思います。組織体制としては多くは本部に所属なさるので、研究担当理事の下で何か1つ、先ほどのマップの中での仕事を中核に持ちつつ、という形が多いかと思います。
 一方でBタイプは、むしろ学部に軸足を置いた方たち。本部にも取りまとめがいらっしゃったり、全ての学部の方たちが兼務で本部のURA組織にもいたりしますが、簡単に言うと、部局での業務が主。A型が集中だとすると、B型はネットワーク型です。Bタイプで、個々の学部に所属しているということは、部局長の下で部局の事務の方と連携して部局の性格にフォーカスした、理学部なら理学部で国際連携を中心にやるとか、そんな形の業務形態が多く、代表的なペルソナとしては、その所属学部のphDを持ってその学術知識の専門性を比較的生かすということや、個々の関連業界との経験値が必要だったり、また卒業生が人脈も含めて活躍というのはこちらのタイプが多いかと思います。また本部の方たち、これは人数的にはあまり多くないかもしれませんけれども、法律の専門家だったりコンプラの専門家だったり、企業出身で大学組織をマネジメントするというところにフォーカスなさった方なんていうのもいたりします。
 少なくともこの組織が2タイプあり、最終的には大学の規模とか、キャンパスが地理的に散在しているのか一つの箇所にまとまっているのかによって、この組織構造が多様であるということが、3つ目の多様性としてポイントになるのではないかと思います。
 御参考に、細かくは申し上げませんが、日本のスタート時点の10年前に、アメリカでもいろいろな組織形態なんですということで、アメリカの団体で20年来の事務局長が当時のアメリカの大学に置けるURA組織のパターン化をしてくださったものです。
 ということで前半の駆け足になりましたけれども、全体像把握を難しくしているURAの3つの多様性について現状把握をしていただいた上で、今日の中心のBのトピックに移ってまいります。
 まず、これ、10年前の概算要求ですけれども、今日の前半のお話を聞いていて本当に思ったんですけれども、やはり政策においてグラウンドデザインを書くことの大切さというのを、このURAを事例に実感していただければと思います。
 URAの政策に関して言うと、大きくこの10年、最初の第一段階トライアルでは、いくつかの大学に時限の人件費と、オールジャパン用の2つの政策、スキル標準をつくって、みんなの仕事の物差しをつくるというところと、みんなのための研究教育プログラムをオールジャパンでつくるという、そのオールジャパン2本のメニューと、最初のトライアルの大学でのURAシステムの整備が始まったのが第1弾です。
 第2弾として研究力強化事業という形で、そのコミュニティーを増やしていくというのが大きな政策の流れ。そして当時のグラウンドデザインの中で時間が遅れて発足したのが、今日2つ、ここからお話しするトピックです。
 1つ目、実務者自身がどういうスキルを持っていてどこが得意なんだということを明確に示す、スキルを認定する質保証の事業。もう一つは、全国の個々の大学、個々の学部で頑張る人たちのネットワーキングという意味でのコミュニティーの形成です。これが現在、この10年の大きな政策の果実を収穫するために動いているもので、ここをしっかり最も効率よく活性化していくことが、オールURAの10年来の政策的投資に対する、今、一番私たちができることなのではないかと思います。なので、ここからAとBについて、現状と、とはいえまだ課題があるので、その課題の御紹介をしたいと思います。
 まずAの令和元年から始まった質保証の事業です。この質保証というのは、研修と認定という2つの面に分かれます。研修は3段階、認定は2段階です。この図にあるとおり、研修はまずファンダメンタルといって、入り口の最初の知識をころっとまとめて理解するという意味で、初心者も受講可能な入り口にあたります。
 次により応用になって、コアとアドバンスト、これは熟度が上がっていくわけですが、このコアレベルの研修を受けると初めて、その後理解度チェック試験を合格すると、認定URAの審査に応募し、書面で受かれば、認定が取れます。さらに経験値を上げてアドバンスの研修を受け、チェックを受け、面接も受けると、最終的に認定専門というURAの認定資格が得られます。なので、認定は2段階、研修は3段階です。
 このように申し上げますと、これで全てで、認定専門URAがもう極め尽くした達人なのかということになりますが、いやいや、そうではなくて、やはりこういう全国の大学の研究力強化のために人口、一定の人数が必要です。ということで、我々が認定と質保証をカバーする範囲はこの点線の範囲で、さらにその上、スタークラスというふうに今仮に置いておりますけれども、この分野・専門領域であればあの人だよね、と誰もが認める全国レベルで名前が通ったそういう人たちの話というのは、またこの認定の外の話です。あくまでもある程度の一定数の人口に対して、通行手形のような、運転免許のようなものを認定の2段階でセットしていこうというのが、マクロで見たこの質保証制度です。
 これはそれをもう少し図示したものですけれども、文言で規定しております。後ほどもし必要であれば御覧ください。
 もう少し具体的に認定と認定専門の人材像等について。認定の期間は5年です。更新はありです。申請要件等を書いてあります。認定のほうが入り口ですので、ある一定の基準に適合していればオーケー。それに対して、認定専門はより専門性を求めるので、卓越性を審査に入れ、さらに書面だけではなくて面接という形で丁寧なチェックを行うという立てつけになっております。
 では、どういう範囲がいわゆる研修の範囲かというと、先ほどのぐるっと回るダイナミクスのすごく多様な仕事があるわけですが、それをあえて15科目ぐらいにまとめて、これの一定の知識があれば、まず研修が完了というふうになっております。研修は10科目群で、具体的には15科目、それぞれが60分から90分の講座と簡単なチェックテストで理解度をチェックしますので、全部受けると18時間ぐらいです。これが2つの階層、ファンダメンタル・コアレベルの研修を受けて理解ができると、認定に進めるというような立てつけです。
 さらにこれは政策的な観点で言うと、第一次の2011年からの東大が受け持ってくださいました全国のためのスキル標準のその科目群を反映した形で、現在10年後にそれを決定したという形になっています。
 マネジメントですので、企業の方はよくお分かりのように、形式知だけでは全然その能力の本質は測れません。この問題意識の下、スキル認定の構造設計では、同様の構造課題がある知的財産権の実務者の検定制度から取り込んできておりまして、スキルというのは業務の遂行能力と業績の足し算で評価するものであると。最初の認定のURAは経験、認定専門のほうはその実績という形で卓越性を見るという立てつけになっております。
 現在の状況ですけれども、現在、2022年は2年目ですけれども、1年目はトライアルという形ですので、実際の人口から見た注目度というのは22年からスタートすると見ていただければいいと思います。
 まず研修だけのファンダメンタルに関して言うと、非常に多くの御希望をいただきまして、オンラインということもあって全国から、また現在の実務者のURA以外にも、事務系職員の方だとか企業からの御参加、また省庁からの受検をいただきました。受講生が160人くらいで、チェックテストで一定以上正解し、研修を修了したと認められるのは152人です。次にCoreレベルの研修を受けていただいて、それがきちんと終了すると初めて最初の認定のステップ、認定審査をアプライすることができますが、現在最終的な合格者が45名出ている。1年間に2回このサイクルを回すというふうになっており、現在後期の募集中というステージになります。
 この認定制度というのは、今どういう形で動いていますかということですけれども、人材政策課の下で3年間の補助事業が動いております。これはやはりナショナルなシステムとして、一般社団の一つの組織が何かマネジメントするというよりも、とりわけアカデミックですので、オールジャパンできちんとパブリックセクターで動かすことが必要であるということで、まずこの認定制度を動かすための一般社団のリサーチ・アドミニストレータースキル認定機構というのを独立に立ち上げております。この補助事業の3年間に関して、私が所属するリサーチ・アドミニストレーター協議会というのが事務局を受けているという立てつけです。冒頭、黙禱させていただきました山本進一先生は、この趣旨に鑑み御理解いただいた上で、認定機構の初代の機構長をしてくださいました。改めて感謝申し上げます。現在、このURAを取り巻くRUイレブンやRUC等、JSTも含めて、協議会のこの認定機構を回すための3年間の制度設計を行っているということになります。これが最初の質保証の話。
 2つ目のコミュニティーの話は、皆様の土地勘で言うと学会活動と比較的似ております。それを念頭に、ごく簡単に御紹介いたします。2011年の事業のスタートの少し前から、点在する大学での実務者が自分たちの勉強会を始めたのと同時に、文科省の事業、この図中の紺のものと黄色のものが大きく動いたことに伴って、コミュニティーの形成という意味では、私、発足からの副会長をさせていただいておりますけれども、2015年3月にリサーチ・アドミニストレーター協議会が発足いたしました。一番直近ですと今年の8月末に、ありがたくも涼しい仙台で、主幹校は東北大学で、大野先生にも開会の御祝辞をいただきまして、大変活発に行われた次第です。
 こういうコミュニティーとともに、政策的にはこの2つの大きなステップとともに、人口が広がってきたことで、この質保証事業というのが1,500人をベースにしつつ、より広がりを持ってオールジャパンのURAの定着のために、今スキル認定制度が始まったというのがこの10年間の政策であり、きちんきちんとステップを踏まえて人口が増えてきて、そのために業務はある程度かっちり定義ができるようになってきた。10年間を振り返った活動の蓄積をまず認めていいことなのではないかと思います。
 RA協議会は、そういう意味ではステークホルダー、実務者と大学の執行部、また、今後こういう業界の仕事をしたいという意味では企業様も重要なステークホルダーです。先ほど会員のところを申し上げますと、ClarivateやELSEVIERというふうに、IR等でこの仕事に直接コミットする企業様以外にも、中期的に御所属の組織の従業員をURA等に転換していく可能性がある企業様も趣旨に賛同いただいております。ぜひ今後とも、そこのパイを増やしていかれればと思っております。
 ということで、ごく簡単に協議会のほうはこれで終わりにさせていただきまして、政策のまとめを個人的なものですけれども、2012年に当時のご担当部署の産地課がなさっていた産学官連携推進委員会で、当時のURAの整備の目的、3つぐらいありました。研究者の環境整備、時間の確保ですね。それから、組織としての研究力強化。そして、博士人材のキャリアパス。大きな3つの目的に対して、このURAの事業というのが何で貢献できますかというのがここに整理されておりました。
 さらに、この効果というのをどうやって把握するのか、もしくは欧米等の先進国は何をやっているのかというのを整理したのがこのピンクの部分です。研究力強化という意味では、URA組織の機能向上を図る何らかのこのピアレビューのようなものですとか、研究者の環境整備ということですと、例えば科研費のプロポーザルの質的・量的な向上を図るとか、いわゆるアンケートで研究者の満足度等調査などを欧米はしたりしています。また、キャリアパスの多様化という意味では、やはりコミュニティーが何といっても外せないということで、これに関しては現在日本においてはRA協議会が担っているところかと思います。
 10年たって今どうなんだという話なんですけれども、日本の現状はさておき、国際的な認識に関して言うと、やはり研究者の環境整備というのはなかなか定量的な指標が難しいねというのは議論があるところ。ただし、コミュニティーの大会で、例えばNASAの宇宙飛行士が、君たちがいなければこういう仕事ができなかったというような形で、Thank you forというようなところは非常に活発に行われています。
 それから、研究力強化というのは、やはりEU委員会等がかなり強いところであるかと思いますけれども、類似の人材、先ほど30種類ぐらいあるという形でPM・PDと申し上げましたが、そういう人材との、マクロで見た上での流動性を上げることによって、大学側でそれをやる人間と、ファンディング側でそれをやる人間が回っていくことによって、お互いの理解と質の向上を図るというのがヨーロッパ等でかなり活発になされています。アメリカは、もともと政権が代わるとドアを開けて向こう側に行くというような国ですので、EUがそこをトライアルしているというのは興味深いところです。
 ということで、現在の22年の姿を、私見ですけれども、まとめました。先ほど2件の前段の話題にもなるかと思うんですが、URAの話というのは、現在、学校基本調査によると事務職員23万人いるとすると、1,520人は人口比で0.6%です。欧米諸国においてもクラッシックな大学事務の方たちと、このURAという新参者のマイノリティーがどのようにやってコラボするのか。そのすみ分けというのは何なのかというのが永遠のアジェンダです。
 いずれの職に関しても機能向上は必須だと思いますけれども、あえて申し上げると、大学の事務系の職員というのは組織で動くという観点から、やはりQuantitativeなテクニカルなスキルと、レジリエントでフレキシビリティが必要であるものの、組織における各部署の構造にのっとった能力の発揮というのは今後も制度設計上外せないという観点において、URAはもしかしてよりレジリエントでありつつ、マネジメントスキルというのが問われるのではないかというのが、先ほどの国際機構や各国の団体のトップとのある程度の共通の見解です。
 しかし、日本においてはたったの0.6%。これで研究力強化が担えるとはとても思えないので、既に話題に上っていますが、例えば企業の方の御経験をもって知財や研究開発、新事業開発の方たちが、最近ではリカレントですとかリスキリングなんていうキーワードも出てきておりますけれども、その知見をある一定期間、地元地域だったり出身大学だったりの縁でアカデミア側に移動し、仕事をやるというのもあり得るのではないか。また、大学の事務とひとからげに言っても、実は研究と人事・施設等では全然世界が違うので、特に研究協力系の方たちとか、事務系の中でも研究畑の方たちは、一緒になって研究力を担うということがより可能ではないか。そのために、この2本の柱、質保証の話とコミュニティーの形成というのは、いい政策を徐々に頑張ってやってきているところだと思っています。
 しかし、この2つの政策をより果実効率的に動かすためにはということで、これが最後のスライドですが、認定制度とコミュニティーの活用というこの政策の大きな目標、それから現状の認識と課題というのを、私見ですが、まとめてみました。
 大きな目標は人口の増加、中期の目標としては、そのために魅力ある職にすること。さらに小さな目標としては、入り口をきちんとつくってあげるという意味でして、スキル認定のための質保証制度の展開。現状認識としては、ある程度はつくれたとか、雇用の安定に関しても、2つの大きなこの10年の施策で蓄積されたものがある。でも最大限活用できているのかというと、幾つかの課題が存在するというふうに考えております。
 大きな課題としては、事業終了後の雇用枠ですとか、安定的な雇用がどのくらいあるのかとか、スキルの認定の質保証に関して言うと、3年間の事業の終了後に、持続的な運営はどういうふうにやってパブリックセクターを巻き込みながらやっていくのかというような問題があります。
 さらに本当の私見ですけれども、レベルを分けて、政策レベル、大学レベル、コミュニティー、個人とすると、やればできることと、やはりボトルネックが存在することというのが幾つかあるのかなと思っております。特に、地方の、例えば相原先生ですとか、広島の越智先生なんかもおっしゃっておりましたが、三大首都圏以外ですと、なかなかまだまだURA的な仕事の認知度が低かったりするので、もう少し広くいろいろな方たちを巻込みながら進めていかれればと思っております。
 以上で、御紹介と現状の課題ということを御説明いたしました。

【大野主査】  どうもありがとうございました。大変幅広い多様な現状、そして歴史的な経緯も含めて御紹介いただきました。
 ただいまの高橋委員の御説明についての御質問、あるいは御発言がありましたらば、ぜひよろしくお願いします。
 林委員、お願いいたします。

【林委員】  ありがとうございました。高橋さん、非常に勉強になりました。URAの現状と歴史は大変よく分かりました。
 この会、あるいは今日の前半の議論とかとの関係で言うと、大学という組織が大きく改革・変革していく中で、その変革を教員がやっていたら死んでしまうので、そういう大きな変革をどうやってURAが専門的知識を持って引っ張っていけるかって、そういうところがきっと期待されているところだと思うんですけれども、ちょっと御説明にはなかったんですけれども、大分後ろの69ページに、高橋委員がまさにいろいろな論点をまとめた「日本における研究力強化とRA協議会の役割」というタイトルがついています。69ページだから、きっとその前後にあると思います。
 まさにそこの「研究環境の急激な変化」というところで、前半の議論もやはり競争的資金をどう拡充するかという話ですし、この今日とかの議論にはそうは出てこないですけれども、オープンサイエンスを日本でもどうやって進めていくかというのはもう大学の喫緊の課題ですし、それから経済安全保障の話ですね。やはりこれも今後大きくなっていく課題で、こういうものに大学がどう対処していくかということを考えると、URAがこうこういう領域に専門知識を持って大学の中で情報を共有して、そして制度設計とかをある程度引っ張ってくれると、大変きっと助かる状態になるんだろうなと思うんですけれども、現状このURAの議論の中で、例えばこういう新しい動きに対しての知識であったり、スキルを身につけるようなことを共同でやられるようなことって、そういう取組というのはどの程度行われているのかというのをぜひ質問させていただければと思います。
 以上です。

【大野主査】  高橋先生、お願いします。

【高橋委員】  芽出しはあります。URAと言っても1,500人しかいなくて、直近の中央値だと一大学当たり3人です。なので、もうとても手が足りていないですね。なんですけれども、やはり意識があったり、余儀なくその仕事をやらねばならぬという現状に置かれた方たちを中心に、やはり1人だと駄目なので、コミュニティーの中で呼びかけて、勉強会などが発足したりしています。それを、例えば年次大会だとかで広げていくか、グッド・バッド・プラクティスの蓄積ということをやっていくしかないんだろうなと思っています。
 インテグリティ等も、例えばハーバードのメディカルとたまたま共同研究をやらざるを得なかった某大学の理学部に所属するURAさんが、やはり物すごい知見と課題を認識するわけですね。それを契機として、例えばそれが経済安全保障とか、大きなイシューになったときが、政策的なファンディングだったり、ファンディング・エージェンシー側との対話だったりを通じて蓄積し、全体の知識を上げていく必要があるのかなと思っています。

【林委員】  ぜひ期待しております。よろしくお願いいたします。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、片田江委員、お願いいたします。

【片田江委員】  非常に勉強になりました。ありがとうございました。
 24ページのところでグラフで、どういう素質のそのマネジメント力があるとかリーダーシップ力、コミュニケーション力が高い方が必要だということ、すごくここは理解できます。こういう方々というのは、恐らくどちらかというとアカデミアというより民間企業でプロジェクトマネジメントとか開発マネジメントとか、あと利益率をちゃんと考えるとかやってこられた方がヒットするのかなと思うのですが、2点教えてください。ひとつめは、海外のURAの方々においては、民間でのバックグラウンド、経験を持たれている方々が実際にどのぐらいの比率で流入されているのかということと、ふたつめは、日本においても、一部、パナソニックさんとか旭化成さんとか協賛企業で入られているのはいい傾向が見受けられますが、民間企業でマネジメント、マネジメントやコミュニケーションを鍛えた経験のある方をこちらに呼び込む施策として、今、どういうことが考えられてまたは行われているかという2点を教えていただけますでしょうか。

【高橋委員】  ありがとうございます。これ、アメリカとヨーロッパで全然トレンドが違います。
 アメリカはもう70年の歴史があり、各大学の部局にいてその仕事をやっているという意味では、7万人くらいミニマムいるんですけれども、恐らくそこは現在の日本の大学の事務系の方がやっていることのまんまだと思うんですね。一方、例えばCaltechとかMITのバイスプレジデント・オブ・リサーチなんていう方が、博士号を持っているんだけれども、一回インダストリーに出て15年やったけれども、大学に戻ってきてその職についている等という方はぽつぽついらっしゃいます。とはいえ、全体として総数はあまりいないというのがアメリカ。
 ヨーロッパのほうはもっといます。とりわけ、大型研究施設だったりすると、博士号博士号を取った後、アカデミックキャリアは一回断念して、その後、十数年で帰ってきて、もう10年この大学でやっているんだという方が、さらにA大学、B大学で偉くなっていくと。そういうキャリアがあるのがヨーロッパです。ヨーロッパのほうがマネジメントという意味では、軸足が大きいと思います。
 2個目は何でしたっけ。

【片田江委員】  民間人の流入を促すために、日本でどういう策が考えれるか。

【高橋委員】  ありがとうございます。恐らく質保証の最初のファンダメンタル研修は、普通運転免許のように、最初に仕事を始めるための基礎知識パッケージを最も効率よく獲得するためのものとして有効に活用できると思います。これまでも、特に知財系などで企業の経験豊富な方が、法人化以降に大学にぽんと入ったら、あまりにカルチャーが違って生じたという過去があることは御存じかと思います。
 そのあつれきをなるべく下げるための最初のパッケージだと思っています。十分ではないとは思いますが、15年前のレッスンを踏まえて、作ったものですので、ワークするでしょうし、きちんと活用していただきたいと思います。

【片田江委員】  ありがとうございます。非常によく分かりました。

【大野主査】  それでは、吉田委員、お願いいたします。

【吉田委員】  ありがとうございます。高橋委員、URAのキャリアパスについて、大変よく分かりました。そして、協議会を通じて、ぜひ新しい設計をつくっていただければと思います。
 私たちの東海国立大学機構というのは、2つの大学、すなわち指定国立大学と地域の大学が一緒になって、驚いたことは、URAの数がもう圧倒的に違うと。もうもう本当、もう悔しいぐらい、情けないぐらいだったんですが、我々は10名以内数名、向こうは50名近い数。この図でも明らかなように、真ん中が少なくて両極端になっているということなんですが、それで、我々岐阜大学としてはもうやむを得ず、そのURAの皆さんを教員として、教授、特定教授、特任教授、准教授という形で雇うことで引き止めるという施策を取っていたんですね。ところが機構となって、今度名古屋大学さんのシステムにのっとるということで一本化して、キャリアパスを考えて、首席、主幹、主任という今回の大きなシステムをつくることで、安定的なシステムになって安心できました。
 そこで、質問は2つなんですけれども、結局地域の大学というのは、やはり大きな大学のお金があるところに結局URAさんが行ってしまって、地域の大学になかなか行かないと。なかなか解決は難しいと思うんですけれども、そこの課題をどう解決していくのかというのが1点と、もう一つは、やはり新しいURAのポジションをつくるということであれば、今あるそういう教育職という人を、そうでない新たな立場としてのURAのそういうポジションを明確に今後していくほうがいいのか。この2つについてお願いします。

【高橋委員】  大命題で、特に2個目は重い話題です。
 1つ目の人材がなかなかというところと、どういう組織、特に地域連携に関して言うと、URAのこの世界の話ではなくて、横に助けを借りられる人材群はいるんだと思っています。特に地域に関して言うと、先ほどちょっと申し上げました公設試に所属する方だとか、地域の三セクなんていうのもあったり、私自身そういうキャリアを実は持っております。そういうところの外の専門的知見がある人を都度取り込んで、ただしハブは学内に置いていくという形が、あまり人数がいない大学において、ひとつやる方策なんじゃないかと思っています。
 ただ、それって実は物すごくマネジメントコストがかかるので、中にきちんとした人がいないともう霧散しちゃう話だと思って、そうそう簡単ではないんですけれども、でもやはりそれは一つ考えていいことじゃないか。そのためには、中にハブになって、この大学にはずっとあの人が頑張っていくんだよね、しかもそれが本人にも希望があるキャリアに見せる必要があって、そこがとても大切な点かと思っています。
 人件費も含む組織のトップの御責任がある方たちとして、どうするのかというのは軽々には答えられません。今日いらっしゃる方達はみなさまそうだと。先ほどおっしゃった研究者雇用の人件費とのカニバリズムが実際起こるというのは現実だと思います。本当にそこはすごく難しいと思うんですが、アメリカでこれだけきちんと浸透したことの一つには、しっかりシステムに入れるということです。
 例えば、科研費の間接経費の流用率を過去5年をきちんと回した大学は、その流用の幅が3割から4割増える。これは研究者にとってとってもありがたいことですね。それにURAがコミットするような形で、大学本来のシステムに埋め込んでいくことで存在価値を分からせる。それが大切なんじゃないかと思っています。これが継続の政策議論であると思いますし、そのためにある一定のミニマム・リクワイアメントの人口というのは必須だと思います。

【吉田委員】  ありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、柳原委員、お願いいたします。

【柳原委員】  まずURAのことがよく分かりました。ありがとうございます。
 それで、ある部分は企業でも共通の悩みを持っているところがあるなと思いながら聞いておりました。
 質問が14ページのところで2点あるんですけれども、14ページのそのスキル標準というのを定めるに当たって、これを定めてKPIなりをつくっていくということは非常に大事だと思います。それで、そのときに研究者のボトルネックというか、例えばタイムマネジメントにおけるそういった物理的なボトルネック、あるいは時間のその絶対値ではなく、ストレスといった精神的なボトルネック、そういったことを分析した上で、このようなスキル標準を決められたのかどうかというのが1つ目の質問です。
 2つ目は、実際実行していくに当たっては、大学によっては1人しかいないようなところもたくさんあるという中で、やはりある程度そのシェアリング、シェアード・サービスみたいなことをやっていく必要があるなと。そうしたときに、実践をやっていく上でシェアできるようなスキルがあるのか。あるとしたら、複数大学間でそれはできるのかどうかというところに関心があります。
 よろしくお願いします。

【高橋委員】  ありがとうございます。これはこのAからJまでのものというのは、先ほど見ていたダイナミクスを最低限回すための一通りの知識というふうに思っていただければよくて、当時ももちろんこういう機能が別の人間で担われると、研究者の研究時間がより多くなるだろうという発想はありましたが、研究者のいわゆるプレッシャー等も含めてというところまではなかなかまだ至っていないです。むしろこの仕事をやるための、本当に運転免許のための審査、共通知識というのが当時の設計です。
 それから、シェアリングに関して言うと、やはり組織構造というのがすごく重要かと思います。やはり研究戦略に関わる話ですので、企業の経営企画部と同じで、なかなか考え方は汎用できても、その知識自体は輸出できないというのはあるかと思います。
 一方で、広報とか知財とかIRというのは、組織を越えた専門性を比較的使いやすいですし、言葉を選ばずに言うと、ある種の季節労働的なところがあると思います。また、先ほど林委員が御指摘くださったようなこれから新しく対応せねばならぬアジェンダ、経済安全保障ですとかというのは、一つの大学だけにいるより、むしろ共通のほうがいいこともあるかと思います。その切り分けというのをしないと、いわゆる流動性を持って兼務してやっていくという仕事の種類と、もうどっぷりその大学に入ってその戦略を練るというものと、両方あるんだろうと思っています。

【柳原委員】  分かりました。ありがとうございます。最初の質問に関しては、もう一つちょっとすごくシニカルなことを言って恐縮なんですけれども、研究者に時間が仮にできたとしたときに、その研究企画力とか研究戦略を立てていくというのは、やはり研究者自らがある程度リーディングしていかないといけないんですよね。そうしたときに、そのサポートレベルはだんだん上がってきたんだけれども、肝腎要のその企画力というかプロデューサー力というか、それを両方セットでレベルを上げていかないといけないんだろうなと思いました。それは今のURAのミッションではないと思うんですけれども、やはりこの研究力強化の全体のプロジェクトに共通する話だなと思いながら理解しました。どうもありがとうございます。

【大野主査】  どうもありがとうございます。
 時間が参りましたので、次の小長谷委員の御質問までを受け付けたいと思います。ほかにも御質問されたい方もいらっしゃるかと思いますけれども、恐縮です。よろしくお願いいたします。
 それでは、小長谷委員、お願いいたします。

【小長谷委員】  時間のないところ、ありがとうございます。高橋委員におかれましては、長年御尽力なさったことに対して、大いに敬意を表したいと思います。
 ただ、今日のお話では第三の職種といっても、どうしても事務寄りに感じられた次第です。この職種というのは、研究環境やあるいは研究者のサーバントではないので、やはり一番大事なのは学術の最前線をキャッチアップすることです。ご自分は論文は書かないけれども、それ以外の点においては研究チームの一員であるというような、そういう精神的なプライドを確保するということは、やはり本当に質の高い方を得る一番大事なことだと思うんですね。
 だから、そういう学術の最前線をキャッチアップするセンスだとか、そういうための時間だとか、そういうものを確保してあげられるような協議会の活動をしていただきたいというふうに思いました。

【高橋委員】  ありがとうございます。一言お返事すれば、研究者が作家なら、私、URAは編集者だと思っております。ありがとうございます。

【大野主査】  どうもありがとうございます。非常に重要なポイントをたくさんお話しいただきました。今後とも、これはURAの重要性、そしてそれをどうインプリメントとしていくのかということも併せて、大学研究力強化委員会でも議論していきたいと思います。
 時間が参りましたので、本日の大学研究力強化委員会はここで閉会をさせていただきます。御意見がある場合には、ぜひメール等でもお寄せいただければと思います。
 最後に、井出副大臣に御出席をいただいていますので、井出副大臣、御挨拶をお願いできますでしょうか。

【井出副大臣】  副大臣の井出でございます。本日は先生方、お忙しいところ大学研究力強化委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。閉会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 事務方から説明あったかと思いますが、10月28日に総合経済対策を閣議決定しております。その中で関係するところとしまして、人への投資の強化ですとか、成長分野における投資の促進ということで、地域の中核大学や特定の研究分野に強みを持つ大学の強化、若手研究者の育成に向けた支援強化に取り組むということも、この対策の中に明記をいたしました。
 今日、国際卓越研究大学の選定支援開始に向けた検討ですとか、大学研究力強化に関するいろいろな活発な御意見をいただきまして、大変感謝をしております。この10兆円ファンドと言われる今回の取組、それから、それと併せて行うその地域の大学に対する取組というものは、非常に注目をされていると思いますし、いろいろな地域、状況、大学、様々多様でございますが、大学全体にとっても大変重要な節目ではないかなと私自身感じております。
 まだ就任して本当に2か月、3か月というような状況でございますが、少し大学ですとか研究機関を回りまして、特に印象的なのは、外国人の教員の数の話ですとか、女性の研究者、ジェンダーの関係ですとか、あと、私が政治の世界と一緒だと思ったのは、研究者というのは弟子や丁稚じゃないんだと、一研究者として博士課程の若い人たちがいるというところは、国会も本当に同じような状況だなと思うんですが、特に大学というものはその風通しのよさ、自由闊達さということも必要になってくるのではないかなというふうに思います。
 最後にURAのお話ございましたが、私も研究というものはチームプレーだと思っておりますし、大学、研究をめぐる雇用の問題というのも昨今いろいろ議論がございますので、そうしたところもまた皆様に御指導いただきながら、文科省としても取り組んでまいりたいと思います。
 本日は本当にありがとうございました。

【大野主査】  井出副大臣、どうもありがとうございました。
 それでは最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。

【季武調整官】  事務局でございます。本日、時間の関係で御発言できなかったことなどがありましたら、先ほど大野主査からも言っていただきましたように、事務局までメールなどで御連絡をいただければと思います。
 また、今回も議事録については公表させていただく予定ですので、事務局にて議事録案を作成しましたら、また委員の皆様には確認をお願いいたしますので、御協力いただければと思います。
 また、次回の強化委員会の日程については、また改めて調整の御連絡をさせていただきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【大野主査】  それでは、大変活発な議論をしていただきまして誠にありがとうございました。これで、第9回の大学研究強化委員会を終了させていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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電話番号:03-5253-4111(内線:3838)

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