科学技術・学術審議会 大学研究力強化委員会(第7回)議事録

1.日時

令和4年8月3日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 大学研究力強化に向けた取組 (1. 世界に伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドの創設 2. 地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ 3. 大学の強みや特色を伸ばす取組の強化(大学研究力関係))
  2. その他

4.出席者

委員

  (主査)大野英男委員
  (委員)相原道子委員、伊藤公平委員、受田浩之委員、梶原ゆみ子委員、小長谷有紀委員、小林弘祐委員、新福洋子委員、高橋真木子委員、林隆之委員、福間剛士委員、藤井輝夫委員、山本佳世子委員、山本進一委員、吉田和弘委員

文部科学省

  (事務局)柳文部科学審議官、千原科学技術・学術政策局長、池田研究振興局長、森田大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当)、坂本大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、寺門科学技術・学術政策局総括官、笠原大臣官房文教施設企画・防災部長、平野国立大学法人支援課長、井上産業連携・地域振興課長、仙波振興企画課長、黒沼大学研究基盤整備課長、馬場大学研究力強化室長、季武大学研究基盤整備課学術研究調整官 他

科学技術・学術政策研究所

佐伯科学技術・学術政策研究所長

 

5.議事録

【大野主査】  それでは、ただいまより科学技術・学術審議会大学研究力強化委員会の第7回を開催いたします。
 お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、いつものようにオンライン開催ということでございまして、音声などに不都合がある場合には、事務局まで御連絡をいただければと思います。
 それではまず、事務局から、本日の委員の出欠、そして配付資料の確認をお願いいたします。

【季武調整官】  事務局でございます。本日の委員の出欠状況につきましては、片田江委員、柳原委員が御欠席となっております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載のとおり、資料1から3を配付させていただいておりますので、御確認いただければと思います。
 なお、本委員会は原則として公開で行うこととさせていただいております。本日も事前に登録いただいた方に動画を配信しておりますので、お含みおきいただければと思います。
 最後に、オンライン会議を円滑に行う観点から、今回も事務局よりお願いさせていただきます。御発言時以外はマイクをミュートにしていただく、御発言に当たっては手を挙げるボタンを押していただくか、もしくはカメラに映りやすいように手を挙げていただく。さらに、資料を参照いただく際には、資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所などを口頭で分かりやすくお示しいただくなどの御配慮をいただければと思います。
 それでは、以降の進行は、大野主査にお戻しさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【大野主査】  どうもありがとうございました。それでは議事に入ります。
 今日は、まず事務局から、強化委員会でのこれまでの議論をまとめていただいた後、前半は、総合振興パッケージについて議論させていただき、後半に大学ファンドという立てつけで進めさせていただきたいと思います。
 それではまず、事務局より説明をお願いいたします。

【馬場室長】  事務局でございます。それでは、資料1に基づきまして、多様な研究大学群の形成に向けた全体の方向性について説明させていただきます。
 2ページ目を御覧ください。日本全体の研究力発展を牽引する研究大学群の形成として、研究大学に対する組織支援策の全体像を作成しております。日本全体の大学の国際競争力を高めるためには、総合振興パッケージと大学ファンドとを連動させ、個々の大学の持つ強みを引き上げると同時に、複数組織や領域間の連携を促進し、人材の流動性が高いダイナミクスのある研究大学群をエコシステムとして構築することが必要であると考えております。
 そのためには、下の図にイメージとして記しておりますが、右側の国際卓越研究大学だけではなく、左側、地域中核・特色ある研究大学として、上向きの矢印で示しているとおり、個々の大学が持つ強みや特色を最大化するとともに、横向きの矢印で示されていますが、国際卓越研究大学のみならず、全国の大学を支える役割を担う大学共同利用機関などがハブとなり、組織間連携を促進していきたいと考えております。上向きの矢印につきましては、大学の特色化を目指した魅力ある拠点形成を支援するとともに、拠点が持つ強みをさらに伸ばすため、近接分野の拡充や全学的な国際水準の研究環境の構築に向け、専門人材配置や機器共用体制の構築等を支援していきたいと考えております。
 また、横向き青色の矢印につきましては、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点が有する全国的な研究者ネットワークのハブ機能を拡張させ、学際研究領域の開拓に資する複数大学の異分野の研究機関間の連携を支援していくことを考えております。
 この後、詳細については、別途御説明させていただきたいと考えております。
 次のページ以降は、これまでの強化委員会での主な御意見について、前回の御指摘も踏まえて随時更新しているものでございます。時間の関係上、説明は割愛させていただきますが、例えば2つ目の、URAや技術職員等の人材も含めた研究マネジメント体制や、4つ目の、大学の知的アセットを適切に価値化することの重要性、また最後の、全国の研究大学において研究活動を拡大し、公共財としての成長を可能とする環境を整える必要、そういったこれまでの御意見を踏まえて、今後の総合振興パッケージの方向性について、この後、現在の検討状況について御説明させていただければと思います。
 冒頭の事務局からの説明は以上でございます。

【大野主査】  ありがとうございます。以上がこれまでの強化委員会での議論をまとめたものでございます。
 続いて、総合振興パッケージの今後の方向性についても御説明いただいた後、皆様と意見交換をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 事務局からよろしくお願いします。

【寺門総括官】  振興パッケージにつきまして御説明いたします。資料2を御覧いただきます。
 まず、1ページでございます。これまで何度かにわたりまして、大野主査をはじめ賜りました御意見を踏まえまして、改めてその理念についてまとめておるのが1ページでございます。我が国の研究力の全体を底上げして、大学ファンドの大学とその他の大学とが相乗的・相補的な連携を行うことによって共に発展していくためには、地域の中核・特色ある研究大学が、特定の強い分野において魅力的な拠点を形成するとともに、それを核とし、大学の活動を拡張するモデルの横展開と発展が必要であって、地域の中核となる大学や特定の分野に強みを持つ大学に対する大胆な先行投資を行う必要がある、それが重要であるという認識に、恐らくこれは当委員会でも一致した御見解になろうと思ってございまして、具体的には、2ページ目を御覧いただきたいと思います。
 これは、研究力を底上げする施策の全体像として改めて整理してございますけれども、具体的には、中ほどの薄いピンクといいますか、オレンジの部分ですが、まず、これまで行われているWPI、また、共創の場形成支援プログラム、また、共同利用・共同研究拠点等の強化を通じまして、それぞれの大学の強みを生かした魅力的な拠点形成を図っていくこと、これを引き続き充実して進めていくことは、もとより重要でございますけれども、その上ででございますが、研究力の飛躍的な向上に向けまして、こうした個々の大学の拠点の強みを核とした経営戦略の構築を前提として、研究活動の国際展開ですとか、社会実装のさらなる加速・レベルアップを実現できる環境を整備することが今求められていると考えてございます。
 また、その下の青い部分の横軸でございますけれども、研究力の底上げのためには、横の連携の強化ももとより重要でございまして、全国の国・公・私立大学のポテンシャルをさらに引き出して、新たな学際研究領域の持続的な形成・開拓に向けまして、ネットワークハブ機能を強化することも重要でございます。
 さらに、こういった取組を支えるべく、左の縦の水色の部分ですが、意欲のある、強みも特色も多様な様々な大学が、その力をさらに十全に発揮できるように、文科省自体が大学に寄り添って、きめ細やかな伴走支援を行っていく、こういった4点の方向性が重要だろうという認識に立ちまして、御了解いただきますれば、今後、この方向性で、事務的に来年度の概算要求を見据えた検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 特に、この図で言いますとオレンジのタンクで表現した部分につきましては、国・公・私立を通じた大学としての研究活動の国際展開や社会実装の加速・レベルアップの実現を後押しする新たな施策を検討するとともに、図の中央の部分にあるハブ機能の強化についても具体策を検討してございまして、3ページ以降のこのハブ機能の部分については、振興局のほうから御説明をさせていただきます。

【黒沼課長】  それでは、3ページ以降につきましては、大学研究基盤整備課から御説明いたします。
 今御説明があった青の横軸の部分でございます。それぞれの大学に、特色や強みとなるような拠点がある大学ばかりでは必ずしもないということもあり、そういった大学に所属する研究者の皆様にどう参画の機会を広げていくのかというのがこの青枠でございまして、着目しているのは共同利用の仕組みでございます。
 この共同利用の仕組みは、御案内のとおり、特定の大学にしかないような研究資源、設備だったり資料だったり、いろいろなものがありますけども、そういったものを他大学の研究者も共同で使っていくという仕組みでございますけれども、それを何とかして拡大をしていきたいということでございます。
 ただ、現在のところ、共同利用機関、大学に置かれている共同利用・共同研究拠点は、合わせても大体100程度しかございません。御案内のとおり、学協会が2,000を超え、さらにテンポラリーな研究会とかを含めると無数にある学問分野ですけれども、その中で、100ぐらいしかそういう共同利用の仕組みができているところがないということでございまして、それをどう広げていくのかが、この新しい施策の工夫のしどころでございます。
 その新しい分野、新しい学際領域などに共同利用の仕組みを広げていきたいということなんですけども、御案内のとおり、そう簡単に新しいところに共同利用拠点ができるというわけではないと、そういう御指摘がすぐ来るかなと思うところでございます。そこで使おうと思っている仕組みは、次のページ、4ページを御覧いただいて、簡単に言ってしまいますと、拠点同士の連携に新たな連携先を加えていくことで、新しい学際領域での共同利用の仕組みをつくっていけないかということでございます。共同利用機関、共同利用拠点は、それぞれの研究分野のコミュニティーを支え、支えられているわけでございますけども、それ同士が手を結ぶ、さらにそのときに新たな連携先を加えていくことで、その融合領域に新しい拠点をつくっていくことを期待したいということでございます。
 その際に、そのページの上のほうに書いてある支援内容については、そういったコーディネートをする機能、あるいは中核となってそれを機能させていくそれなりの機能が必要になってきますので、コーディネーター人材あるいはURAなどの機能をその中核となる拠点に措置をしていくということと、併せてコミュニティーが広がりますので、その共同研究の費用についても支援をしていけるような、そういったことができないかと考えているところでございます。
このような形で、特色ある拠点を学内に持たない大学の研究者にも参画の機会を広げていきたいと考えているところでございます。
 簡単ございますが、以上でございます。

【大野主査】  どうもありがとうございました。丁寧に全体像の概要を御説明していただきました。今後の施策の具体化や制度改善などで、こういうことをやるべきだ、ここは注意すべきだなども含めて御発言、御質問をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、伊藤委員、お願いいたします。

【伊藤委員】  御丁寧な御説明ありがとうございました。2ページの、水道の蛇口から注がれている図をお願いしたいんですけども、見えますでしょうか。
 ここの部分は非常に新しい試みで、私としては大変うれしく思っています。様々な大学が組むときに、今ちょうど大学の設置基準の議論もいろいろされているところであり、その中で、基幹教員の議論もいろいろされているんですけども、その基幹教員というものが、逆にいろいろな大学でもしっかりと組みながら、研究の場においてもチームを組めるような前向きな組み方というのを文部科学省全体で考えていただけますと、要は高等局との連携とかを取りながら考えていただけると、さらにチームを組んで大学として研究活動の国際展開や社会実装の加速・レベルアップにつながるんじゃないかと私としては期待しているものであります。
 以上でございます。

【大野主査】  どうもありがとうございました。高等局との連携というのは極めて重要だと思います。
 いつものように、まずは皆様の御質問、御意見をいくつか受けてから、事務局からの御発言をいただきたいと思います。それでは、受田委員、お願いいたします。

【受田委員】  受田です。よろしくお願いいたします。
 まず、御説明資料1と2に関して、ありがとうございました。具体的なイメージを可視化していただいたので、非常にこの後、議論が展開しやすい状況になっているのではないかと、まず評価を申し上げたいと思います。
 その上で、今議論している内容が総合振興パッケージであるというところで、幾つか意見をしておきたいと思います。
 まず、資料2の、先ほど伊藤委員が御指摘になった2ページ目でございます。これは、水道の蛇口から水が出ている、これは支援が行き届いていくということになると思うんですけれども、上に行く矢印と右に行く矢印ということで、総合振興パッケージに関して言いますと、これまでは、資料2の1ページ、この前のページにございましたように、国際卓越研究大学と地域中核大学あるいは特色ある研究大学が手を結んで共に発展できる関係を構築する、こういう座組であったかと思います。その点で見ていったときに、この2ページ目の、上に行く矢印と右に行く矢印というのが、その1ページ目を反映しているかどうかという点で、若干ギャップがあるのではないかなというふうな印象を率直に持っております。実際に、この2つ、国際卓越研究大学と地域中核大学が手を結んでいくということになりますと、ここの部分を、実質的に相互発展のスキームを描けるように、総合振興パッケージの具体的な施策というのが講じられていく必要があるのではないか。その点で見たときに、この右側に行く矢印の部分を、もう少しその2つが連携をしていく、その表現として可視化していただけるといいのではないかなと思います。
 具体的に申し上げますと、例えば総合振興パッケージとして求められるのは、両方が手を組んでいく、具体的な支援のメニューとしてはお金ということになっていくんだろうと思うんですけれども、そのお金が出てくる前提として、例えば今、私ども御支援いただいておりますけれども、地方大学地域産業創生交付金というものがあります。ここに地域の先端的課題というのがまずあって、それに立ち向かっていく地域中核大学があり、そこに国際卓越研究大学の研究者の皆さんが手を携えてくれる、その財源として、今回のパッケージや10兆円ファンドが適切に水道の蛇口から注がれているというような、そんなイメージがもう少し可視化されるとありがたいなと思うところです。
 もう1点だけ、今回特に大学共同利用機関あるいは大学共同利用機関の法人の役割というのが示されております。地域中核大学の立場から見ると、もちろん、この大学共同利用機関は非常に重要ではございますけれども、より地域課題に根差したという点で見ると、国の中では産総研、それぞれの地域センター、あるいは農研機構等がより身近な存在になっているという現実もございます。「等」という言葉で表現をしていただいておりますけれども、ここの中には様々な国研を含めた研究機関が入るということと、そこでの人的交流が進められるような座組をより見える形にしていただければと思うところです。
 少し長くなりました。恐縮でございます。

【大野主査】  ありがとうございます。適切なタイミングで区切りたいと思いますが、まずは藤井委員、お願いいたします。

【藤井委員】  ありがとうございます。
 まずは共同利用・共同研究のシステムについて、今回こういう形でハブ機能を強化し、新しい取組を打ち出していくということですので、非常によいことではないかなと考えています。1点申し上げますと、この創成された新分野が大学の教育や人材育成に戻っていくということなので、この矢印の行き先がまた大学に向かっていくという方向もあっていいのかなと思います。いずれにしても、これは非常によいことだと考えます。
 それからもう1点は、1枚戻っていただいてタンクの図のところです。このタンクから出る支援が、先ほどの意見のところでも少し御説明ありましたけれども、例えば大学の知的アセットの適切な価値化や、コア・ファシリティーなどにおいて好循環をしっかりつくっていくといったようなこと、すなわち大学自体の組織能力を強化していくということにつながるべきだろうと思います。その上で1点質問なのですが、この一番右端にある「社会実装を担う官庁や自治体からの支援」というところ、これまで各府省からの補助事業などで、かなりの数のメニューが示されてきたと思いますが、このタンクからの支援とどのように関係していくのでしょうか。独立なものとして考えられているのか、あるいはある種の連動があるのか、そのことについて少しお伺いできればと思います。
 私からは以上です。

【大野主査】  それではここで一旦区切って事務局から発言をいただきたいと思います。お三方、高等教育との連携であったり、あるいは国際卓越と共に発展していくイメージ、共共拠点、あるいはタンクについての御質問があったと思います。事務局、お願いいたします。

【寺門総括官】  ありがとうございます。まず、科政局のほうから関連部分についてです。
 伊藤先生のほうの高等局との連携は、全くおっしゃるとおりだと思います。先生の御指摘に限らず、様々に行われている改革と連動した形で、相乗効果を持って施策を展開していくということは今おっしゃったとおりだと思いますし、それは、最後に藤井総長からありました組織力の強化というものにつながりますので、そういったものに連動した形で制度を設計し、運用していくということを改めて肝に銘じたいと存じます。
 それから、最後の御質問の部分の社会実装等の支援ということで、これは、言わば独立はしてございますけれども、これまでもパッケージの中で文科省以外の施策との連携ということをしていましたが、さらにそういった他省庁のより社会実装なり、地域の課題に連携する施策というものとの連動を大学がよりしやすくなるような後押しを言わばする、その部分について強力にプッシュしていくことでございます。連携しつつも独立した形で、引き続き進めて、その層を厚くしていきたいと考えてございます。
 また、受田先生のファンドとの関係については、ファンド自体のこともございますでしょうけども、フィロソフィーとしては、受田先生がおっしゃっていただいているような部分について、国際展開だけではなくて、地域の連携も含めて、この新しいタンクの施策というのを後押しをして、タンク、国際卓越との連携を有機的に図っていくという、そういった理念については、全く先生のおっしゃるとおりだと考えてございます。

【大野主査】  事務局からの発言はよろしいでしょうか。

【黒沼課長】  高等局との連携については、国立大学の関係は特にそうですけども、拠点同士の連携などをしていく上で、それぞれの国立大学の拠点をまず整備しなければいけない部分は当然ございますので、そういったところとの連携はもちろん考えながら、施策を展開していきたいと思います。
 それから、受田先生からの御指摘の、産総研ですとか、いわゆる国研的な研究機関との連携でございますけれども、資料2の4ページの連携の図にもしているように、独立行政法人などとの連携も視野に入っているところです。実際、現在の共同利用拠点の中にも、例えば触媒科学に関する拠点では、産総研が連携拠点として入っていたり、実例もございますので、そういったところは、きちんと、ネットワークを組むのであれば参加できるような開いた形にしていきたいと思っております。
 また、国際卓越との関係でございますけども、国際卓越に認定された大学が連携拠点になってきた場合については、その他の大学のうち国際卓越以外の大学がこれに参加するための仕組みづくりはこの蛇口のほうからかもしれませんけれども、同様に国際卓越が参加する部分にはファンドのほうから支援をするというように、それぞれがきちんと支援をしていく形でやっていくことにはなるんだろうと思っています。具体には、国際卓越研究大学の制度設計の中でまた整理をしていきたいと考えております。
 すみません、補足でございました。

【大野主査】  ありがとうございます。

【池田局長】  研究振興局長の池田です。私からも一言だけ。

【大野主査】  はい、どうぞ、池田局長。

【池田局長】  今、黒沼課長から、高等教育との連携のところでコメントがありました。前回も伊藤委員から基幹教員の設置基準の話などもお話しいただきましたけれども、ここは非常に大事だと思っています。今私どもがやっている創発事業でも、採択された研究者に対して、各大学が独自に研究以外の業務の負担軽減であるとか、バイアウト制度を使った取組とか、様々な工夫でアドオンの支援をしていただいていますけれども、そういう意味で、設置基準とか、財政支援以外のいろいろな運用面でも、大学を支援するために何かできないかということが非常に大事だと思っております。ここは重要な点だと受け止めておりますので、省内でもいろいろ議論をしていきたいと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。やはりこういう活動、取組は、最終的に人材育成につながって、さらに発展するというエコシステムが、皆さんの頭の中にはあるんだと思いますので、そこをどうさらにいい形で実体化させていくかということは、一つの大きな課題、やらなければいけないことだと私も思います。
 今手が挙がっている順番は、これを見ますと、吉田委員が先に挙がっていたかと思いますので、吉田委員、まずお願いいたします。

【吉田委員】  ありがとうございました。
 今回の説明、これまでの御説明を含めて大きな3つ、個々の強みを最大化させること、大学を越えた連携を拡大・促進すること、それから、国内外の人材流動を向上するというのは非常によく分かりまして、なおかつ、それを横串にするという、資料2の2ページですか、これはもう本当によく分かると思います。
 それを踏まえて各論的な質問を少しさせていただきますと、今回我々のトウサの実績であるとか背景を考えると、京都大学でのWPIが終わった時点で、もう人材のフォロー、支援が全然できなくなった。まあ、今回少し触れてはいただきましたが、今後そういうWPIが、あるいはミニWPIが共同利用・共同拠点になるに当たっても、やはりしっかりとした人的フォローアップを確実にしていただきたい、そういう観点で3つ挙げさせていただきます。
 1つは、URAの充実。地域では全くURAがぜいたくにないので、そのフォローアップをぜひお願いしたい。
 それから2番目としては、地域の中核大学だけでURAのネットワークをつくるのか、あるいは国際卓越とつくるのか。地域のネットワークだけであるとすると、例えば、これは自治体でやっているURAもいらっしゃる。それから国際卓越と連携する場合は、給与の差がある場合もある。そういうようなことを踏まえての今後の対策というのを、ぜひまた御教示いただければと思います。
 それから3つ目は人材の流用ということで、以前もちらっと申し上げたかも分かりませんけど、大学院生同士の国際卓越と地域中核での連携。例えば国内版のJDP、ジョイント・ディグリー・プログラムであるとか、そういうものをつくったりとか、そういう少しフレキシビリティーがあることを今後考えていただくと人材が流動するんじゃないかなと思います。
 それからもう一つは、ちょっと今日はここにはなかったんですが、追加ですが、私は病院のほうに関係しておりましたので、研究力強化という意味で、医学部卒業の医師というのが大学院博士課程に入る率が極めて低くなってくると。これは、地域医療であるとか、専門医制度であるとか、働き方改革であるとか、そういうことが相まって、極めて有能な人たちが研究力強化に貢献できない形、こういうことをぜひまた議論のポイントとしていただければと思います。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、梶原委員、お待たせしました。お願いします。

【梶原委員】  ありがとうございます。重複する部分はございますが、資料2のページ4のところ、大学共同利用機関や、共同利用・共同研究拠点を支援することで異分野連携を進めるという考え方だと思いますが、ここで重要になるのは、人材面の支援を充実させることだと思います。人材育成という視点もございますし、異分野連携のためにどことどこをどのように連携させていくのか、機関や拠点ごとの特徴もふまえて、丁寧に対応して実現させていただきたいと思います。
 それから、同じページ4の右下に図があります。先ほど産総研のお話が出ていましたけれども、産総研でも、赤い枠に位置するような、オープンイノベーションのハブとして機能するということを標榜していますので、ここで言っているハブと、あるいはほかの拠点でのハブ、そのハブ機能同士が、重複してしまい、結果的に分散されてしまうというようなことがないようにすべきと思います。これらが効果的に機能を発揮できるよう、政府として全体を俯瞰していく必要があるのではないでしょうか。
 最後に、前回、ジャーナルについての御発言があり、今回も資料1にコメントとして入っていますが、研究基盤あるいは情報基盤のアップグレードの一つとして、基本的な研究基盤を整えるという観点で言いますと、この問題はとても重要な課題だと思います。ジャーナルへのアクセス環境が十分でないということであれば、そこの整備について、誰が何をするのかを、主語を明確にして、戦略的に対策を加速するように取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは次は、相原委員に御発言いただいてから、そこで一度区切って、事務局からまた御回答いただきたいと思います。
 相原委員、お願いします。

【相原委員】  相原でございます。私からは、コメントというよりは、提案というかお願いに近いものなんですけれども、資料2の1ページですが、地域中核となる研究大学に国・公・私立大学を全て含むというような形で表現されておりますけれども、公立大学は、地方自治体の研究の重要性に対する認識が大きく影響します。少なくとも、地方自治体が公立大学という公共的な高等教育研究機関を持っているということをもっと大切にして、イノベーション・コモンズとして活用すべきということを、何らかの形で大学研究力強化委員会のメッセージに入れていただけると、大変研究に力が入れられると思います。特に財政状況が厳しくなっている地方自治体はとても多いと思いますので、本当に規模の小さい、その地域のことだけ研究でやっていればいいというような発想に陥りかねませんので、何らかのメッセージの形で入れていただければと思います。よろしくお願いします。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、ここまでを一区切りとして、事務局からまた御発言をお願いします。
【寺門総括官】  まず、吉田先生、学長からの御質問でございます。まさにおっしゃってくださいましたように、典型的にWPIのまさにこれからというときの、もう一押しの予算支援というのが必要だということはこの委員会でもございましたので、そういった発想の下に立って、新しいタンクの部分の予算等を充実してまいりたいと思います。
 その上で3点、URA、ネットワーク、人材流動でございました。国際卓越との連携ということで、言わば新しい予算の中があった暁にどう連携していくかという部分を含めての御指摘もございましたけれども、その点にも十分注意しながら、私どももタンクの予算というものについては考えていきたいと思ってございます。
 また、医師のドクターマネーについてございましたが、これも先日、大学分科会のほうでも博士課程についての御議論が一定まとまったと聞いていますけども、これは最初の伊藤先生の御指摘だと思いますが、高等局との連携とございますので、高等教育の大学院制度と、大学院生への支援等の仕組みについても連携しながら先生の問題についても取組を進めてまいりたいと思います。
 それから、相原先生の御質問でございます。もともとのCSTIがつくったこのパッケージについては、相当程度、かなり地方自治体との連携強化というのを既にうたってございますけども、直接的なメッセージとございましたが、引き続き、自治体の協力がなければ研究力の強化というのはそう簡単にできませんので、先生の御趣旨を踏まえまして、自治体との連携の強化については、いろいろ知恵を絞ってまいりたいと考えてございます。
 私のほうは以上でございます。

【黒沼課長】  引き続きまして、大学研究基盤整備課から、梶原委員の御質問にお答えしたいと思います。
 共同利用拠点同士の連携の際、それぞれの拠点はもちろんそれぞれの研究分野のコミュニティーを背景に抱えておりますので、その特徴が当然失われないように、その特色を生かしながらやっていけるようにすることは肝に銘じていきたいと思います。
 その上でですけれども、それぞれがハブ機能を持つことによって重複がないのかということについては、現在の共同利用拠点、共同利用機関自体も、それぞれの研究者コミュニティーの同じ分野でのハブ機能は持っているところでございます。今回は、それぞれの分野ごとのハブをさらにつなげていくということでございまして、産総研さんもオープンイノベのハブになるということで、産総研の抱えているコミュニティーのハブになられる御意欲を示されているということだと思いますけども、そういったそれぞれコミュニティーを抱えているハブ同士をさらにつなげていく、ノードをいっぱいつくっていくというようなイメージかなと思っているところでございます。
 すみません、ちょっと審議官から補足をさせていただきます。

【坂本審議官】  研究振興局審議官の坂本です。
 梶原委員の御指摘の点は、特に学際研究、これははっきりと新しい学問分野をつくっていく、そういった学際研究のハブ機能を強化すると申し上げてよろしいかと思います。そういったときに、連携のマネジメント、これは機関や分野で非常に特徴があるので、そこをしっかりと押さえた上で、この共同研究、連携というものの枠組みをつくっていくというのは非常に重要でございます。したがいまして、資料2の4ページにもございますけれども、支援内容としては、当然、新しい研究者の組合せをつくる共同研究費に加えて、共同研究マネジメント経費、ここに、先ほど御議論ありましたURAの方々を含めてマネジメント人材にもしっかりと投資をする。新しい学問分野をつくっていく、そういったハブ機能というのをつくっていくという、そういった設計思想であるということを付け加えさせいただきます。
 それから、ジャーナルのアクセスの問題についても、これはCSTIのほうでもオープンサイエンスの問題は御議論いただいていますけれども、そちらとしっかりと連携をして、プレプリントの問題とか、様々な論文の発表、流通に関わる新しい環境が生まれておりますので、そういったところをしっかり踏まえながら対応を進めていきたいと考えております。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。ジャーナルの件に関しては、私からもぜひよろしくお願いしたいと思います。基本的な研究力の基盤です。そこにアクセスできない方もおられ、あるいは論文を出すときに非常に高価だという実態もありますので、そこをシステムとして刷新していただければと思います。
 それではよろしゅうございますか。それでは、また戻りたいと思います。
 林委員、お願いいたします。

【林委員】  林です。ありがとうございます。
 資料にありましたように、地域の中核・特色ある研究大学が、特定の強い分野において魅力的な拠点を形成しということで、国際卓越に選ばれるような大学とはまた別の形で国際的に戦える拠点が形成されていくというのは非常に望まれることですし、また、ここの発想は、恐らく連携をさせる、していくということで、1大学だけだとなかなか国際的に勝っていけるような拠点にクリティカル・マスがならないと。例えば、なかなかその分野の人材を確保できないであるとか、単独では博士課程教育を十分に行えないであるとか、あるいは研究室を立ち上げるためのスタートアップの資金とかそういうものが学内で整備されないとか、そういう1大学の中ではなかなか整備されにくいものを、連携をさせて、ある種バーチャルな大きな組織としての拠点をつくっていくという、そういう発想を追求していくということは、私は進めるべき方向だと思っています。
 その上でお聞きしたいのが、この共同利用・共同研究拠点等を活用して、そういうものであるとか、あるいは新分野の設立をということなんですけれども、そこに焦点を置き過ぎると、ちょっとどうかなと思っているところがあります。共同利用拠点は、先生方御承知のように、昔は附置研とかそういうところが多くて、様々な、まさに共同利用するための大型の施設、研究設備とか、そういうものを抱えているところが多いわけですが、ただ一方で、先ほどあったように、1大学ではなかなか十分な拠点になり得ないけれども、もしかしたら連携すればしっかりとした国際的に戦える拠点になるようなところは、別に附置研じゃなくても、今、例えば地方の大学も、教育の組織とは別に研究機構みたいな形でいろいろと研究拠点をつくっていて、そこがそういうものになる芽になるような、そういうところは十分あるのではないかと思っています。
 そうなったときに、この資料の意味を私がまだ狭く取っているのかもしれませんけれども、既存の共同利用拠点を活用するということに少し限定して読んでしまうと、それは絞り過ぎではないかと思っていて、もう少し広く連携拠点みたいなものを促進していくような枠組みが考えられるのではないかと思っています。ほかの国でも、先生方御承知のように、ドイツとかも、エクセレント・ストラテジーの中でエクセレンス・クラスターという形でクラスター、大学間の特定分野の連携をして、そこにマックスプランクとか大学以外の研究所も組んでという形でその分野の拠点をつくっていくわけですけれども、必ずしも施設設備を共用するということがそこで求められているかというと、そういうわけではない形での拠点、連携拠点というのもあるわけですけども、そういうことを考えてもいいんじゃないかと思っています。
 さらに加えて、先ほどから地域のお話もありましたけれども、例えば競争の場みたいなことを考えても、それはどちらかというと、共同利用の施設設備を共用するという形の連携よりは、特定の地域の中で、大学であったり、あるいは国の研究機関であったり、もしかしたら企業も入るかもしれませんけど、そういう連携をつくっていって、それで、特定の地域の中で、地域課題であるけれども国際的にも共通されるような課題についての研究をしていくような、そういう拠点になるんだと思うんですけれども、そういうものの構築ということも、もう少し考えてもいいんじゃないかなと思います。それも、例えばフランスで地域の中の大学の連合みたいなものが、コミュという形であるんですが、そこに法人格を持たせることで、もしかしたら、先ほどのジャーナルの問題もありましたけど、契約主体が1個上の大学連合みたいな形の地域大学あるいは研究機関の連合みたいな形の法人になれば、もう少しうまくやるような手もあるかもしれないと思っています。
 まずそういうふうに、幾つか連携の形というのは、狭く考えなくてもいろいろとあるんじゃないかと思うのが1点と、それから、手短にですが、こういう枠組みをつくった中で、何らかの規制の緩和みたいな、さっきも、例えば教育プログラムを連携してやっていくときに、これまでの規制で問題になっているところがないかとか、あるいは学生定員も含めてですけれども、そういうような枠組みについての自由度をちゃんと併せて入れていくということも、ぜひ制度設計の中に一緒に考えて入れていっていただければと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、福間委員、お願いいたします。

【福間委員】  金沢大学の福間です。
 ほかの委員の先生方のコメントにもかぶる部分があるかと思うんですけれども、私も研究機関横断的な協力の枠組みをつくるという方向性は、非常に取り組むべき方向として同意できると考えています。
 その一方で、ちょうどこの今お示しいただいているページ、資料2の3ページですけれども、見て、具体的なイメージが湧かないというのが正直なところで、もっと具体的な例を、モデルケースのようなものを示すべきではないかと考えます。いろいろなパターンがあると思うんですけども、想定しているモデルケースがどういったものなのかがぴんとこない。特に、誰がイニシアチブを取って提案するものなのかということで、大分意味合いが違ってくると思うんです。特色ある研究大学が中心となってこういうものを組織していくパターンなのか、共同研究利用機関だったり大学共同利用機関法人などが中心となってやっていくのか、いろいろなパターンが想定できると思うんですけども、幾つかのモデルケースを提示していただくといいかなと思います。
 というのも、この資料2の3ページで見ると、従来、特定の強い分野、ある分野があって、それに関する研究内容で縦串を刺して、共同利用とか、それに必要な共同利用みたいなものを促進していくという話があって、そこから、これからというところは、一見すると、大学がまず仲よくなって、取りあえずお互いのことをよくよく知って、そういう枠組みをつくって、お互い十分仲よくなってから、じゃあこういうことをやってみましょうかという、いろいろな共同研究というか、そういう連携の可能性を模索するみたいなことがあってからの新分野創生というふうに前回の会議ではお聞きしたんですけれども、そうなると、その次のページに書いてある、共同研究機関とか拠点が連携して、申請の段階から、もうこういう新分野をつくりますというパターンの申請というのはよくある――まあ別に共同研究機関同士でやるのはそんなによくはないかもしれないんですけども、一般に申請の在り方として、融合領域をつくるとかいうのはよくあるんですけど、それってもうかなりお互いの強みを十分理解した上で、しっかり理解した上で相補的な関係が築ける提案内容になってしまった状態で、もうがちがちに役割分担できて申請するはずのものなんですね、新領域形成とかいう申請って。これは、そうすると全然意味合いが違ってきて、フェーズとしてもうお互い十分仲よくなっていて、お互いの強みも十分理解していて、凸凹をしっかり合わせて、相補的な何かを提案しましょうという段階まで来ているときに、そういうことができるんだと思うんです。これは何かそういう意味で、いろいろなパターンがあり得る中の、誰がイニシアチブを取って、どういう方向性で、どのフェーズのことをやろうとしているのかというものの具体的なイメージがやはり湧かないので、そこをもうちょっと具体化したらいいんじゃないかなと思います。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは続いて、小長谷委員、お願いいたします。

【小長谷委員】  ありがとうございます。
 本日のご発表では、共同利用機関と共共拠点の仕組みを生かして発展する点が強調されたように思われます。ただし、仕組みを活用するというのは既存の拠点を強化することではないと理解しました。いずれにせよ、こうした仕組みを扱ってきたのは、学術審議会のなかの研究環境基盤部会ですので、そことの橋渡しをしておいて欲しいと思います。その部会は評価の作業部会になってしまったために結果的に、拠点の数について総量規制をしたり、せっかくプラスの評価をしても予算に結びつかなかったり、学術の振興をはかりにくかったという経緯があります。

【大野主査】  ありがとうございました。
 ここで一旦切りましょうか。いかがでしょうか、事務局から発言をお願いします。

【黒沼課長】  それでは、何点か御質問について私から、それから残りを審議官からもお答えさせていただきます。
 まず1点目、林先生からの御指摘で、施設設備の共同利用のところに焦点を置き過ぎないようにということで御指摘いただきました。先ほど共同利用について、大きな設備のようなものを共同利用施設の典型だと申し上げてしまいましたけども、共同利用の仕組み自体は、共同利用・共同研究拠点という言い方もしていますけれども、人が中核となって、特に資料、設備とか大きなものを要しないような拠点というのももちろんございます。そういったものももちろん拾えるようにしていきたいと思っております。
 また、大学連合のようなところに法人格を持たせている諸外国の仕組みの御紹介もいただきました。我が国でも、大学等連携推進法人ですとか、共同利用機関の4機構のアライアンスのようなものが立ち上がりつつございますけども、そういったところをどのように活用していくべきかというのは、宿題として、さらなる検討課題として承りたいと思います。
 それから、小長谷先生の御指摘、いつもすみません、評価のお仕事大変ありがとうございます。本来、共同利用とかを御議論いただいている基盤部会でどのように扱っていただくかにつきましては、また、基盤部会の担当のほうとも相談をしつつ、検討していきたいと思います。
 ありがとうございます。

【坂本審議官】  振興局審議官の坂本です。
 先ほど福間委員のほうからお話がありました、モデルケースを示すべきという点でございますけれども、これはなかなか、新しい枠組みをつくるということなので、仮想的なものをお示しするのは難しいところがありますけれども、資料2の4ページですけれども、この支援対象のところの下の支援要件を見ていただくと、1つ目のポツに、全く新しい学際研究領域コミュニティーの形成に資する大学・研究機関間の連携ということになります。したがいまして、さらに、この4つ目のポツに、機関独自の未来ビジョン形成に基づく学際研究領域の開拓、ここも要件に掲げさせていただいております。これらを重ね合わせて考えると、新しい学際研究領域、学問領域の形成についてビジョンを持っている機関がまずイニシアチブを取っていただく。大学共同利用機関を見ますと、支援対象の上のほうで①、②と対象機関を書かせていただいていますけれども、大学共同利用機関については、これは林委員からも御指摘がございましたけど、確かに、大型の施設の共同利用を、もともと経営軸にしているというところがございます。したがいまして、我々が今回求めたいと思っておりますのは、同一法人内のみの連携は除くと。近接領域で新領域の開拓を目指すとされているところは、それは当然、どんどん進めていただければいいんですけども、例えば人文機構と自然機構の間で新しい共同研究の枠組みをつくっていただくとか、全く新しい分野同士の結合というものを目指していただくのが大学共同利用機関に求めさせていただくものであろうと。
 あと、共同利用・共同研究拠点については、大学独自の、これはもう本部も関わる未来ビジョン形成の中で新しい学問領域をつくっていくという活動を他の大学・研究機関と進めたいというところに中心になっていただきたいということで、決してハード面を中心としたところでその座組をつくるのを工夫していただくという、そこにはとどまらない設計にしていきたいと考えております。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。
 小長谷委員がおっしゃったように、仕組みを生かすということは、既存のものについてはどうなるのか。共共拠点はそれぞれのコミュニティーがついていて、そのコミュニティー同士が連携をして、新たな分野へ展開していくというイメージなのかなと受け取りました。いずれにしろ、具体的なイメージが幾つか例示ができると、準備する方といいますか、これこそやりたかったことなんだと思う人たちが出てくると思いますので、ぜひ御検討いただけたらと思います。ありがとうございました。
 それでは、小林委員、お願いします。

【小林委員】  ありがとうございます。小林でございます。
 資料1、2を見ると、かなりバラ色と言ったらおかしいのですけども、例えば資料2を見ると、蛇口からいろいろな、多分資金が入ってきて、それぞれの場所を潤すというところの一番下を見ると、私立大学だったら経常費補助金みたいなのも入っていて、いろいろなところに蛇口の水が行き渡るのかなとちょっと思っていたのですけども、一方で、資源には限りがあるので、重点化しなきゃいけないということは理解できるのですけども、後半の3ページ、4ページを見ていくと、ハブ機能の抜本的強化に重点が傾いていく、そういうイメージが強くて、つまり、共同利用研究施設とか共同利用については大学間だけじゃないかもしれませんけども、重点を置くというふうにかじ取りを切ったようにも見えるのですけど、それは私の誤解なのかどうか、ほかの部分についても水が流れていくのか、そこを確認したいと思います。

【大野主査】  よろしゅうございますか。それでは次に藤井委員からお願いいたします。

【藤井委員】  すみません、2度目で恐縮なのですが、先ほどの質問にも関わる点を一言追加させていただきたく思います。「社会実装を担う官庁や自治体からの支援」というのに矢印が出ているんですが、もともとこれは地域中核・特色ある研究大学の研究力強化なので、ここでタンクから水を入れることによって大学の組織力が強化されて、それによって地域の産業界や大企業も含めて、地域に向けての資金循環を起こすことにつながるということにならないと、継続的な発展の方向につながりません。つまり、官庁や自治体からの支援に応えて取り組んでいただくというのももちろんそうなんですけども、そこから地域にあるニーズや地域の産業界からのサポート、あるいは地域に限らず、大企業を含めた産業界からの資金が地域に回っていくという資金の流れをつくっていくということが、これをやることによる効果として重要なことだと思いますので、そこが見えるような形の図に工夫していただくのがよろしいのではないかと思います。
 私からは以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。それでは、前半最後の御発言を山本委員からお願いいたします。

【山本(佳)委員】  山本佳世子です。
 4ページのほうに出ました共同利用の仕組みについて、地域の中核大学との新領域開拓、異分野融合というのは、とても面白い形、今までにない形だなと関心を持っております。具体的に進める上での質問を少しお願いします。
 支援は、この中ほどにありますように、学際共同研究プロジェクトへの支援というような形でその提案に対してということになります。そのために、地域中核大学といっても、個別の大学を支援するというよりは、大学の研究者個人がそのプロジェクトに関わっていくという意味で、その個人の研究支援というのが強いのかというのが1つ。
 それから、新しい分野を開拓していくという意味では、テーマとして学術基礎研究的なものになるのかというのが2つ目。ですので、科研費のように、なかなか外からお金が取れない、企業からもお金が取れないけれども、新しい学術の1つ固まりをつくっていくんだというものなのかなと想像しています。
 それから、実際このハブとなるということで、今までだと、大学共同利用でも一対一に近いような形もあったと思うんですけれども、その形ではなくて、ハブとして多くの研究者、研究機関とつながっていくというイメージかという3点をお願いしたいと思います。

【大野主査】  どうもありがとうございました。それでは、事務局から御発言をお願いします。

【寺門総括官】  まず、パッケージの関係でございます。小林先生からお話がございました、この資料2の2ページの全体像の御理解ということですが、先生いみじくも御指摘賜りましたように、いわゆる重点化、資源に限りのある予算というものを貴重に使っていくのにどうすればいいかという視点、まさに共有したところでございまして、恐らく様々な、先生のような、北里大学のようなトップレベルの研究の場で行う研究もありますれば、いろいろな研究機関がございます。そういう意味において、基盤的経費が支える部分もございますし、また、青い部分での連携というものが相乗効果を発するものもございますけども、このタンクが主に念頭に置いてございましたのは、中ほどにございますとおり、WPIですとか共創の場支援といったものの実績のあるようなところが、さらにいわゆる相乗的に大学ファンドの大学と研究の好循環を起こしていけるような、そういう取組についての支援というものをまず念頭に置きながら、この制度設計、新しいこのタンクの部分の予算措置というのを考えていきたいと考えてございまして、また今日の御意見などを踏まえながら、さらに反映させてもらいたいと思います。
 それから、藤井先生の御指摘、まさにごもっともでございまして、今回このパッケージの部分の、特に、青い、オレンジで言えばタンクの部分を中心に置いていますが、もともとの発想は、まさに地域の資金循環をどうしていくのかという部分がもともとのパッケージに入ってございます。そういった先生が改めて御指摘も重要でございますので、そういった理念というものをさらに踏まえた上で、新しい制度設計というものをつくってまいりたい、それについて先生へのお答えにさせていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。

【黒沼課長】  引き続きまして、大学研究基盤整備課から、山本委員からの御質問につきまして、個人支援なのかというような雰囲気が強くなっているのではないかという御指摘でございましたけども、共同利用の仕組み自体は、どちらかというとそのコミュニティー全体に対するものでございまして、コミュニティーの中から研究計画を募集して、その中で選ばれた研究計画に共同研究費、共同利用の経費が支給されていくのが共同利用の仕組みでございます。そういう意味では、個人がアプライして個人がそれに対応した研究費を受けられるという側面もございますけれども、どちらかというと、コミュニティーみんなで研究の優先順位をつけていく仕組みと御理解をいただければと思っております。
 そういう意味で、一対一の共同研究というイメージかと言われると、そうですね、ある研究計画はA分野とB分野の学際領域のテーマが出てくるし、別の共同研究計画では、A分野とC分野の学際領域のとか、純粋な基礎研究の分野から、そうでないものまで含めて、いろいろなものが出てき得る可能性があるかなと思っているところでございます。
 お答えになっていればいいと思いますが、よろしくお願いします。

【山本(佳)委員】  理解いたしました。ありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、時間の都合もございますので、この議題に関しましては、本日いただいた御意見を踏まえて、制度設計に向けた検討を進めていただくようお願いして、次の議題に移りたいと思います。
 次の議題は、大学ファンドの基本方針の策定であります。まずは事務局より検討状況について御説明をお願いしたいと思います。お願いします。

【馬場室長】  それでは、資料3に基づきまして、国際卓越研究大学法に基づく基本方針の策定に向けて、これまでの委員会での御議論も踏まえた検討状況について報告させていただければと思います。
 2ページ目、これまでも繰り返し説明しております国際卓越研究大学の将来像のイメージです。大学ファンドによる支援を通じて、左側、世界最高水準の研究環境で、世界トップクラスの人材が結集する。英語と日本語を共通言語として、海外トップ大学と日常的に連携している世界標準の教育研究環境。授業料が免除され、生活費の支給も受け、思う存分研究しながら博士号を取得可能、こういった点を大学ファンドによる支援により実現することにより、右側にある、多様性・包括性のある環境の下、人材・知・資金の好循環を生み出し、新たな知識・イノベーションを創出する世界最高水準の研究大学を形成していきたいと考えております。
 3ページ目、国際卓越研究大学制度の全体像でございます。本日は、この右下にございます基本方針、国際卓越研究大学制度の意義及び目標、認定等に関する基本的な事項、JSTの助成の実施方針に関する基本的な事項、科学技術・イノベーション政策との連携に関する基本的な事項などを規定する基本方針の策定に向けた検討状況について、改めて御説明させていただければと思います。
 4ページ目を御覧ください。まず、上の箱、基本方針の位置づけです。国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律、いわゆる国際卓越研究大学法第3条の規定に基づきまして、文部科学大臣は、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化の推進に関する基本的な方針を定めることとされております。
 主な内容として、1-1、意義ですが、近年、諸外国の大学が豊富な資金を背景に研究力を高めているのに対し、我が国の大学は研究論文の質・量ともに長い低迷をしている中、若手研究者を獲得・活躍させるための大胆な資金配分、研究時間を確保するための研究者の負担軽減、先行投資財源の機動的な確保や活用等を一体的に進めることが必要という問題意識を踏まえ、国・公・私の設置形態にかかわらず、世界に伍する研究大学となるポテンシャルのある大学を国際卓越研究大学と認定し、我が国の大学における研究環境の充実、優秀な人材の獲得を促し、知的価値創造の好循環を構築することで、世界に伍する研究大学の実現を図ることとしております。
 1-2、目標につきましては、イノベーションの中核拠点として、世界トップクラスの研究者が集まり、相互に触発し合いながら活躍できる研究大学としての機能を強化し、優秀な博士人材を育成するとともに、研究時間の確保や若手研究者が独立した環境で存分に研究できる環境を通して、新しい学問領域を創出・育成し続けることで、世界から目に見える世界トップレベルの研究大学となること。また、強化委員会の議論も踏まえまして、当該大学が我が国の学術研究ネットワーク向上を牽引することも明記しております。
 さらに、国際卓越研究大学におきましては、カーボンニュートラルといったグローバルな課題解決への貢献など、次代の社会構造への転換に向けて大胆なビジョンを描き、社会の多様な主体と常に対話し、協調しながら活動を提案すること、こういったことを目標に掲げさせていただいております。
 続いて5ページ目、2ポツ、国際卓越研究大学の認定に関する基本的な事項です。大学の認定及び体制強化計画の認可に当たっては、これまでの実績や蓄積のみで判断するのではなく、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革への意思(ビジョン)とコミットメントの提示に基づき維持することとしたいと考えております。
 また、大学ファンドの運用状況等を勘案し、段階的に認定及び認可を行うとともに、審査においては、研究現場の状況把握や、大学側との丁寧な対話を実施する予定としております。
 なお、大学認定と計画認可の審査プロセスを一体的に実施することとしておりますが、認定におきましては、法律に基づき、研究実績など、記載されている①から⑦の7点の基準を定めることとしております。この点については、最後にも御説明させていただければと思います。
 続いて6ページ目でございます。3ポツ、体制強化計画の認可に関する基本的な事項です。
 (1)研究体制強化の目標については、制度の趣旨を踏まえ、各大学が計画を作成する際には、世界トップレベルの研究大学をベンチマークすることとし、世界の学術研究ネットワークを牽引し、新たな研究領域やイノベーションを常に創出し続けるマネジメント・システムの全体像を提示していただきたいと考えております。なお、この際、あくまでも大学の個の取組に対して、経営的な観点からベンチマークを行っていただくことを想定しており、それぞれの大学が掲げる目標については、一律なものではなく、多様性のあるものが望ましいと考えております。
 (2)事業の内容、実施方法及び実施時期です。大学ファンドによる支援は、国際卓越研究大学が自ら作成する体制強化計画に基づき助成することとしておりますが、人材・知・資金の好循環を形成するため、大学の総合知を活用した社会的価値創造や社会課題解決に資する研究基盤への投資だけではなく、大学の持続的成長に向けて、長期的視野に立った新たな学問分野や若手研究者への投資など、すぐには成果につながらない次世代の知の創出にも取り組んでいただきたいと考えております。具体的には、以前の委員会でも示したとおり、法律に基づき、「イ」から「ホ」の事業として、例えば、最先端の設備等の研究環境の整備や、安定した若手研究者のポジションのみならず、諸外国と比べて差が大きい研究マネジメント人材や専門職人材等の獲得・組織化、魅力あるキャリアパスの構築、また、スタートアップに対する環境整備にも取り組んでいただきたいと考えております。
 続いて7ページ目です。体制強化計画においては、大学ファンドの助成期間終了後も同規模の事業規模を維持できるよう、大学独自基金の造成に向けた目標と計画を記載することとし、大学独自基金の成長及び大学ファンドそのものの持続性を確保することが重要であることから、大学ファンドへ資金拠出を慫慂する(勧める)仕組みを設定することを検討しているところございます。
 さらに、計画期間、(4)につきましては、最長で25年間としておりますが、委員会での議論も踏まえまして、一律に何年と設定するのではなく、その範囲内で、大学自ら目標計画と併せて柔軟に設定することが可能としてはどうかと考えております。
 (5)体制強化計画の認可に関する具体的な基準です。まず、①、イとして、目指すべき姿の実現に向けて、世界の学術研究ネットワークを牽引し、新たな研究領域やイノベーションを常に創出し続けるマネジメント・システムの構築のため、既存の制度に縛られず、学内外の英知を結集して取組を進めていく計画であること。こちらは、今回、「既存の制度に縛られず」という部分にハイライトしておりますが、先ほどの議論、また、これまでの委員会での議論も踏まえまして、国際卓越研究大学においては、新たな取組や規制緩和に率先して取り組むことで、他大学にも好事例として展開されるということを期待していることから明記しておるところでございます。
 その他、ハとして、財務戦略につきましては、これまでの取組に応じた実効性あるものとなっており、事業規模が年平均3%、これは収入ではなく教育研究・社会貢献に係る支出が25年間で約2倍といったような機能拡張を求めることになりますが、その蓋然性が高いこと。また、持続的な成長のために必要な運用益を生み出せるだけの独自基金の造成の実現可能性が高いといったことを記載しているところでございます。
 続いて8ページ目を御覧ください。(6)体制強化計画の実施状況の評価です。これまでも繰り返し御指摘いただいているとおり、短期的な成果主義に流されず、長期的に大学の取組や活動を後押しすることができるよう、モニタリングに当たっては、コミットメントの達成状況を客観的な指標に基づいて確認することを主眼とし、委員会での御指摘も踏まえて、特段の問題がなければ、支援を安定的に実施することとしてはどうかと考えております。
 他方、厳格な結果責任を求める観点から、一定期間、これは支援期間とも連動しますが、マイルストーンの設定時期として、例えば6年から10年ごとに支援の継続の可否に係る評価を実施してはどうかと考えています。
 (7)体制強化計画に基づく大学への助成の考え方については、前回御説明したとおり、バッファーが上限に達するまでの配分上限額や、博士課程学生への別途の支援、また、各大学への助成額について、外部資金の獲得実績に応じて決定する予定ということを定めることを考えているところでございます。
 続いて9ページ目です。まず4ポツ、助成に関し、JST(科学技術振興機構)が遵守すべき基本的な事項です。JSTは、基本方針に即して実施方針を定め、体制を整備し、助成の適切な実施を図ることとしております。また、ハイライトしている部分、制度の趣旨を踏まえ、助成金の使途については、可能な限り、各大学の自由裁量の下、柔軟かつ適正に決定されること。また、国際卓越研究大学の財政基盤の自律化が果たされるまでの間、柔軟・継続的・安定的に支援を行いたいと考えております。
 5ポツ、その他の関連施策との連携に関する基本的な事項です。まず、先ほど申し上げたとおり、大学ファンドにより、国際卓越研究大学の支援と併せて、優秀な博士課程学生の活躍を促進する取組を行う全国の実力と意欲のある大学に対して支援をすることで、我が国全体の研究力を飛躍的に発展させていくこととしております。また、前半本日もお話がありましたが、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学の機能を強化し、成長の駆動力へと転換することで、我が国の産業力強化やグローバル課題解決にも貢献するための支援策などを「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」として同時に講じることとしていること。また、国際卓越研究大学への支援と総合振興パッケージによる地域中核・特色ある研究大学の支援、さらには、全国的な博士人材の育成強化が相まって、初めて我が国全体の研究力の向上が図られることに留意が必要であることを明記しております。
 加えて、国際卓越研究大学は、国際的な頭脳循環のハブとなるとともに、全国の大学等との連携を強化することで人材の流動性の向上や共同研究の促進を図るなど、学術研究ネットワークを牽引する責務を負うことも記載しているところでございます。
 6ポツ、その他の部分です。こちらについては、国際卓越研究大学が自律的かつ創造的に自らの将来像をデザインし、実行できるよう、大学の機能拡張の取組をさらに進めることを可能とするとともに、大学ファンドからの支援を有機的に組み合わせることで、世界から目に見える大学へと成長させていくことが必要であること。さらには、これまでも議論がありましたが、規制緩和、また、税制につきましても、関係者からのヒアリングや意見交換等を通じて、現場の具体的なニーズを把握しつつ、引き続き必要な検討を進めるとともに、大学から規制緩和等を提案する機会を設けるなど、双方向型の環境整備を行うということを明記しているところございます。
 続いて10ページ目です。こちらは冒頭にも申し上げましたが、国際卓越研究大学の認定に関する基準として、現在検討している内容でございます。繰り返し強調させていただきますが、1番上に書いてあるとおり、これまでの実績や蓄積のみで判断するのでなく、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革へのビジョンとコミットメントの提示に基づき選定することを予定しております。
 法律で求められている7つの認定基準につきましては、これまでもこの委員会で議論をしてまいりましたが、定量的指標につきましては、世界最高水準の研究大学を目指すに当たって、現状の値に加えて、将来的な目標値と併せて考慮する形にしていきたいと考えております。また、前回、NISTEP(科学技術・学術政策研究所)の説明にもあったとおり、研究計量に関するライデン声明等も踏まえ、定量的指標は、様々な定性的情報と併せて活用するとともに、分析の中立性・透明性、検証機会の確保に努めることとし、ポテンシャルのある大学を認定する観点から、一定の時点での数字だけではなく、過去の推移やこれまでの取組の把握にも努めることにしたいと考えております。
 例えば、①国際的に卓越した研究実績につきましては、総論文数、被引用数トップ10%論文数の総論文数に占める割合、いわゆるQ値の状況について、現状値と将来的な目標値を踏まえて判断することとしてはどうかと考えています。
 その他、③先端的、学際的または総合的な研究の実施に係る教員組織及び研究環境等の研究の体制につきましては、学術研究ネットワークの牽引の状況であったり、国際研究協力に係る体制、若手研究者・女性研究者の登用・活躍に係る体制、研究マネジメント人材の配置等が適切に整えられていることなどを定性的に確認することとしております。
 なお、定量的指標に関して、現状の数値に関してイメージをまとめたものを参考に表示させていただければと思います。11ページ目、こちらは論文数とトップ10%論文の割合(Q値)の比較について、国内外の主要大学をプロットしたものになります。オレンジが海外、青色が国内大学となっておりますが、論文数で見ると、世界と十分匹敵するだけの知を生み出しているところでございますが、Q値につきましては、日本の大学は、相対的に総じて低い位置にある状況です。近年、アジアの大学であっても、例えば中央付近にありますオレンジの清華大学、北京大学、また、シンガポール国立大学などは、近年、論文数のみならずQ値も向上しており、国際卓越研究大学が世界最高水準の研究大学を目指すに当たっては、このオレンジの集団に位置することも必要ではないかと考えているところでございます。
 一方、現状値につきましては、あくまでポテンシャルを見る観点から設定することとし、また、年度やバックデータによっても変動が大きいことから、機械的に線を引くのでなく、程度といったような表現でしたいと考えているところでございます。
 その他、13ページ目が、民間受託研究費の総額についても、英米の大学において、オレンジ色で示しているとおり、日本の大学、青色のところでございますが、海外は数百億円単位の外部資金を得ている状況であり、近年拡大傾向であるという状況についても踏まえて対応していく必要があると考えているところでございます。
 最後、14ページ目は、大学に関する収入から、運営費交付金や私学助成等の経常費補助や授業料等の学生納付金を除いた額の大学に関する収入に占める割合をプロットしたものになります。英米の大学を中心として、近年、X軸の収入を拡大しており、その過程で財源の多様化を実現している中、他方、日本の大学におきましては、授業料や交付金以外の外部資金の割合が、Y軸に示しているとおり二、三割になっている大学も多い中、文部科学省につきましては、大学ファンドの支援対象大学であっても、当然ながら、運営費交付金や私学助成等の基盤的経費をしっかりと確保する一方、対象大学においては、関係者の共感を得て、寄附金であったり、国内外の関係機関からの資金を獲得し、機能拡張していくことが重要ではないかということを考えているところでございます。
 15ページ目以降が、これまでの議論をまとめた参考資料になります。15ページ目が、体制強化計画の目標を達成するために行う事業ということで、先ほど説明した内容を、具体的な事例とともにイメージとして示しているものです。こちらについては、あくまでもイメージでございまして、実際には大学から提出された計画に基づいて助成するということに留意をしていただければと思っております。
 また、16ページ目、大学ファンドへの資金拠出の方法について、イメージ図で示したものになります。事業全体の支出ベースでの3%成長のフローの目標と、大学独自基金の造成というストックをどう両立していくか、引き続きシンプルな制度設計になるよう検討を重ねていきたいと考えております。
 17ページ目が、大学ファンドに関するスケジュールです。今回、これまでの議論や御指摘を踏まえ、基本方針の方向性を示しておりますが、今後、この方向性に基づき、基本方針の原案を策定後、パブリックコメントを経て、年内には大学の公募を開始していきたいと考えているところでございます。
 18ページ目が審査の流れのイメージ図、こちらは前回も御説明したところでございます。
 最後、19ページ目が、国際卓越研究大学法の概要ということで参考に添付しております。
 説明が長くなってしまって恐縮ではございますが、事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの御説明について、御質問あるいは御意見があったらお願いします。今後の大学ファンドの制度設計について、非常に重要な議論ですので、よろしくお願いいたします。
 それでは、伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】  いつもいつも一番で恐縮です。
 私としては、細かい点が1点。今回の件で、5ページ目に、要件のところなんですけども、この認定する基準で、世界トップレベルの研究大学が実現している社会課題の解決あるいは新たな経済的な価値の創造ということがあり、これは恐らく、いわゆる大学ランキングでいうところのレピュテーションにも相当するところだと思うのです。そのレピュテーションというのは、なかなか定量評価が難しいところ、つまり、いろいろな大学長のところにアンケートが、まあ大学長に限らず何らかのアンケートがあったときに、あなたの地域で注目している大学を10書いてくださいと。あなたの国で、または、その次はあなたの地域、アジアで注目している大学を10書いてください、そして、世界中で注目している大学を10書いてくださいという項目があるんですけれども、そのときは、定量的なものというよりか、レピュテーション、この大学がすばらしい、そういう意味合いで言うと定量性が難しいところでもあると思うんですけど、そうなってきたときに、最後のページのほうで、正確なページ数は、私の資料でいくと、そうですね、10ページ目ですね。10ページ目のところの②のところが、経済社会に変化をもたらす研究成果活用の実績というのは、ただ単に受入金額とか、幾らぐらいお金がその大学に入ってくるかということだけになっているので、そこら辺のところには、もう少し柔軟性を持たせた各大学のビジョンが出せるような形にしないと、なかなかランキングというものに直結しないんじゃないかなというのが私の考えであります。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
事務局、お願いできますか。

【馬場室長】  事務局でございます。
 伊藤委員、御質問ありがとうございました。御指摘のとおり、昨今、大学ランキング等では、レピュテーションというところも重視されていると我々も認識しており、特に日本の大学がそういった部分について各国から評価されている部分が大きいというところは我々も認識しているところでございます。
 今回、大学の認定に当たって、計画と一体的に見ていくというところ、また、これまでの取組についてもしっかり見ていきたいと考えている理由としましては、定量的なもので測れるものと定性的に見ないといけないもの、これまで、また今後のビジョンというところも照らし合わせてやっていかないといけないというところを考えているところでございます。
 その点、一律に、今回その7つの基準を示しておりますが、また、この部分だけではなくて、計画と一体的に見るというのは、まさにこれまでの実績も踏まえて、今後のビジョンをしっかり見ていきたいということではございますので、今の伊藤委員の御指摘も踏まえながら、今後、大学の選定に当たっては、そういった部分を、なかなか国際比較を定量的にやるのは難しいところではあるんですけど、対応を考えていきたいと思います。御指摘ありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、新福委員、お願いいたします。
【新福委員】  ありがとうございました。これまでの議論がきちんと含まれていて、非常によくまとめられていると思いました。
 諸外国でランキングが上がっている例として、シンガポールや中国の例があったかと思いますが、私は、グローバル・ヤング・アカデミーを通して様々にトップクラスの若手研究者と連絡を取ることが多いんですけれども、やはりシンガポールなどは、欧米のとても優秀な研究者を引き入れるというのに非常に力を入れているのをよく聞きます。外国人研究者が働きやすい環境を整えています。そういった中で、外国人研究者もしくは外国にいる日本人の研究者が国際卓越大学に戻ってきたいと思えるような、そういう魅力的な大学になることが最終的にはとても大事なんじゃないかと思います。
 先ほどレピュテーションというような話もありましたけれども、若手として最終的に、では本当にその大学に行くか、就職するかとなったときに、労働環境ですとか、多様な人材として働きやすそうかですとか、その辺りの働きやすさというのは非常に大事になってきますので、日本の大学を見ていると、客観的に見ても、女性研究者の少なさですとかですとか、外国人研究者の少なさ、諸外国から見た事務人材の少なさを見ても、行ったときに働きやすそうだなと思えるような要素というのがまだまだ少ないんじゃないかなと思います。ですので、既に内容に盛り込んであるところではあるんですが、さらに、国際的な人の流動性、これまでの議論で国内の人の流動性は非常に議論されたと思うんですけれども、外国から来ていただく、外国に行っている日本人に帰ってきていただく、そういったところも一緒に力を入れて、この中に含めていくべきなのではないかと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。

【馬場室長】  新福委員、ありがとうございました。我々も問題意識は共感しておりまして、今、画面表示しているものを何度も繰り返し説明しているのは、今回我々が目指す姿というもののイメージを共有していきたいと思っているからです。今の人材の好循環につきましては、右側の緑色の部分に書いてありますが、人材の好循環として世界トップクラスの研究者、学生が集まること、若いときからそこにいる学生が海外経験の機会が日本の方でもあること、また、そこで育った方々が、アカデミアの世界だけではなくて、産業界、起業する方、そういった方も多数輩出するということ、こういったところが本当に重要だと思っているところでございます。
 先ほど、伊藤委員のレピュテーションの話もありましたけど、やはり日本の大学がこれまで高く評価されてきた背景としては、そういった方々をこれまでも日本の大学が多数輩出してきた流れの中で、強く問題意識を持っているのは、現在の国際頭脳循環の流れの中で、ほかの国々が海外からも魅力的な場所をつくり始めている中で、日本においても、そういった海外の方々が活躍できるような場をつくっていかないといけないのではないかということを考えているところでございます。
 前回の際も、この資料の後ろに、数字的な比較ということで、例えば留学生の比率であったりとか、外国人教員の比率であったりとか、そういったものもお示ししたところでありますが、国内の大学であっても、海外の方が、ハードルがどれだけ高いか低いかという問題もあるとは思いますけど、今後のポスト・コロナを見据えながら、魅力的な研究環境をつくっていく、教育環境をつくっていくというところが、今後の好循環、レピュテーション、そういったものにもつながっていくのではないかなと考えております。御指摘を踏まえながら、しっかり考えていきたいと思います。ありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】  高橋でございます。ありがとうございます。
 先ほど、梶原委員がジャーナルについてお話しになっていましたが、その関連で、制度設計の細部ではありますが、重要だと思う点を一つコメントです。ご存知のように研究力の指標として、総論文数もさることながら、被引用数も大きな影響がありますが、引用されるためにはオープンアクセス化することがやはり重要だと思います。現実、現場レベルでの話ですけれども、オープンアクセス化するということは、現在多くの大学のプラクティスには、個々のジャーナルの著者がそのコストを負担しているのが現実で、実際、著名ジャーナルになると1本当たり数十万円になったりします。ここが実はボトルネックの一つではないかと、多くの研究者と話をする中で思っています。例えば、科研費基盤Cが採択されても、計画にもよりますが1年間に使える額はせいぜい200万円で、そのうち論文1本あたり数十万円を負担するのがどれほど大変か、そういうことです。なので、研究力強化という戦術レベルで考えるとすると、こういう費用負担をしっかりカバーしていくというのも現実の現場では大切なことではないかと思います。これを、コンペティティブな環境の中で誰が負担するのか、それともファンド全体でいわゆる国のインフラとしてこういうものを担保するのかというのは、少し考えてもいいのではないかと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。大学研究力全体の非常に重要なポイントかと思います。事務局から何かありますか。

【馬場室長】  ありがとうございます。ちょっと途中、お声が聞こえづらかったところがあるので、趣旨にかなっているかどうか分かりませんが、お答えしたいと思います。
 ジャーナルの話、あとオープンアクセス、そういった問題は我々も重要だと思っています。国際卓越は、先ほど申し上げたとおり、いろいろな規制緩和とか新しい取組をやることによって、ほかの大学へも横展開していきたいと考えているところでございますし、また、論文にアクセスできない、論文を発行できない、そういった問題もいろいろな複合的な課題もあると思いますが、今回、国際卓越のみならず、ナショナルな視点でどうしていくべきなのかというところは、こういったところが突破口になりながら、また、国としてもそれを最大限バックアップするような形で、国全体の方向性というのをしっかり考えていきたいと思います。
 オープンアクセスの問題についても、先ほど前半の部分で話したとおり、CSTIとも連携しながら対応していきたいと考えているところでございます。
 お答えになっていれば幸いでございます。

【大野主査】  ありがとうございます。
 それでは、藤井委員、お願いいたします。

【藤井委員】  ありがとうございます。
 この件については最初の頃から2つのことを申し上げてきていて、1つは、この国際卓越研究大学の仕組みが動くことによって、国の研究力全体を底上げする、ということにつながらなくてはいけないということです。先ほどの総合振興パッケージの議論とも相まって、形が見えてきたかなと思いますので、これについてはよい方向に向かっていると思います。
 もう1つは、まさに先ほど絵で見せていただいたような、よい大学をつくっていく上でのファイナンスの在り方のモデルを変えていくことにつながっていかなくてはいけないということです。現状、大学ファンドの運用益をもってこれを支援すると言われていて、その一方で7ページのところで、大学独自基金の造成とも言われているんですけども、大学がかなり継続的あるいは自律的に自由裁量の利く資金をつくり上げていくことができるようになるためには、ある程度の期間、大学自身が財務的にしっかり自分でやっていけるように鍛えていかなくてはいけません。独自基金を造成してください、いろいろな規制緩和をやっていって横展開していきましょう、というお話はあるんですけども、もう少しそこのプロセスが分かるような形で、例えばどういう手だてがあり得るのかといったようなことについても、示していけるとよいのかなと感じています。もうちょっと具体化していく段階でいろいろなことが見えてくるとは思いますけれども、大事なことは、大学が独自にそういうことをやっていけるようになっていくということなんだろうと思いますので、その辺りをまた今後の検討の過程で示していっていただけるとよいのかなと思います。
 私からは以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。事務局からいかがでしょうか。

【坂本審議官】  研究振興局審議官の坂本です。
 御指摘ありがとうございます。先ほどの財政構造のモデルをどう変えていくか、新しくつくっていくかというのは非常に重要なところでございまして、ここは、先ほど御説明いたしました主要国のトップレベル大学のベンチマーキングのポイントの一つだと考えてございます。そういったマネジメントシステムの全体像を示していただくということを我々は求めたい、これはこの資料でも表現させていただいておりますけれども、そういった中で、具体的にどういうマネジメントモデルというものを我が国の国際卓越研究大学では構築する必要があって、そのためにどういう人材が必要かというところもしっかりと検討していただくと。当然、我々も既にJSTで10兆円のファンドの運用が始まっておりますので、そういったJSTの運用モデルというものを提示していく。あるいは、国としても大学の基金造成を何らかの形で、例えば諸外国の造成・運用の事例を共有させていただくという形で支援をいたしますけれども、まず大学の中で、どういう財政構造あるいは基金運用のシステムをつくっていただくかというところをしっかりと御検討いただくということを申請段階からお願いしたいと考えております。
 以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。

【藤井委員】  すみません。その場合、先ほどの規制緩和の件も含めて、どの範囲までできるようになるかみたいなことは、示しておかないといけないんじゃないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
【坂本審議官】  ありがとうございます。ここで、この資料の中でも強調させていただいておりますけども、双方向、国とそれから申請大学あるいは認定された大学との双方向のコミュニケーションによって環境を改善するというのは、その部分が非常に大きいと思います。やはり財務構造を変えていくときに、どのような規制緩和が必要かということを、どんどんそのニーズを出していただいて、それは国側の制度に落とし込んでいくということもぜひやらせていただきたいと考えているところでございます。

【大野主査】  ありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、受田委員、お願いいたします。

【受田委員】  ありがとうございます。
 資料3の9ページをお願いします。ここに5ポツがあって、3つ丸がある真ん中のところに、先ほど議論がありました総合振興パッケージとの関わりが唯一出てまいります。この大学ファンドが単独ではなく、総合振興パッケージとシナジーを発揮して、そこに書いてあるように、我が国全体の研究力向上が図られると。ここが今回の大学研究力強化委員会における一つのポイントだと認識をしております。その上で、ここの表現として、総合振興パッケージとして同時に講じる、あるいは国際卓越研究大学への支援、総合振興パッケージの支援、博士人材の育成強化、この3つが相まってと書いてあるところの力強さの部分が若干不安に思います。大学ファンド自体が25年ということですけれども、振興パッケージもしっかりシンクロして伴走支援というか、連動していかないといけないという点を強調するために、例えば、この3つが相まってという表現を、さらに三位一体的にシナジーを発揮するというような、連動しているというところを何とか強調していただきたいというのが1点です。
 それからその上で、我が国全体の研究力の向上をこれらが三位一体となって発揮するとすると、大学ファンドとしての評価とともに、これらのシナジーをどのように評価していくか、PDCAサイクルを回していくかというのが、前提として設計されていなければいけないのではないかと思います。プログラム評価や行政レビュー等によって、短期的な視点で施策が打ち切られたり、あるいは、そのボリュームが急激に低下していくことによって、各大学の持続可能性が非常に脆弱になっているということがありますので、このPDCA、あるいはこのプログラム自体の評価の基準を、ちょっと難しい部分もあるのではないかと思いますけれども、特に我が国全体の研究力の向上、この部分でぜひお考えをいただきたいと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。

【馬場室長】  受田委員、御質問ありがとうございます。
 まず、1点目の部分、3つが三位一体相まってではなくてという部分、先ほど冒頭の前半の部分で御説明もありましたが、我々前回、受田委員の御指摘も踏まえて、もともと切磋琢磨できる関係というような表現だったものを国際卓越研究大学と地域の中核・特色ある研究大学が、相乗的・相補的な連携を行えば共に発展できる関係を築いていきたいというところを文科省全体としても考えているところでございます。表現については、これまで大学ファンドと総合振興パッケージの車の両輪みたいな言い方をしてきたところであるんですが、いずれにせよ、大学ファンドに限らず、地域に対する総合振興パッケージ、また博士人材、全て大事だと思っていますので、そのメッセージをどう強調するかということについては、表現ぶりを含めて考えていきたいと思っています。いずれにせよ、我々としては、全て連動したようなエコシステムをしっかりと築いていく機会に今回していきたいと考えております。
 2つ目のシナジーも、まさに全体像との関係になりますが、この辺りについては、国際卓越のみならず、総合振興パッケージ、また、日本全体の研究力の部分も踏まえてどうしていくべきなのかというところについては、ちょっと重たい宿題ではございますので、しっかりこれから考えていきたいと思っています。またこの強化委員会の場も使いながら、条件については随時御報告することによって、しっかり議論を積み重ねて、状況についてフォローしていくようなことも考えて、我々は強化委員会を今回お願いさせていただいた次第であるところでございます。
 お答えになってればと思います。以上です。

【大野主査】  どうもありがとうございました。

【受田委員】  ありがとうございました。

【大野主査】  それでは、相原委員、お願いします。

【相原委員】  国際卓越研究大学の活動というのは、学問及びイノベーションの世界最高水準での発展という観点から整理し評価されるべきだと思います。学問の系列化を助長するようなことがないような制度設計をお願いしたいと思います。学問の系列化ではなくて、多様性と包摂性の担保、これが学問の発展のためには不可欠だろうと思います。簡単に言えば、資金の流れを通じて主従関係が生まれてしまうようなことがないようにお願いしたいということです。
 それから、2点目ですけれども、大学の外部資金としての寄附の獲得についてなんですけれども、よく外国との寄附の文化の違いとは言われますけど、本当に単に文化だけなのだろうかという疑問がございます。スタンフォード大学などでは、大きな研究施設が幾つも企業の寄附で建っていますけれども、そういうことを促す社会的な仕組みとか、企業にとって有利となる法的な整備が何か我が国で足らないということはないのかなと、いつも疑問に思っていますので、そこについて、何かありましたら伺いたいと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。

【馬場室長】  ありがとうございます。
 まず1つ目の学問の多様性・包括性の話については、我々もそれをメッセージとして強くこれからも打ち出していきたいと思います。また、そういったある種硬直的なものがあると、さっきのレピュテーションの話にもつながりますが、海外の方、また、新しい方がこういったアカデミアに参画しないということにもなりかねないので、そこについてはメッセージとしても強調していきたいと思いますし、大学が計画を策定する際にも留意していただきたいというところを繰り返し説明していきたいと思っております。
 2つ目の外部資金の寄附の文化について、我々もこれは変えていく必要があると思っています。今後、先ほどの大学独自基金の造成に向けた部分ともつながるところでありますが、海外の事例も含めて調査検討していきたいと思いますし、実際、どういったことをやれば本当に増えるのかというグッドプラクティスみたいなものもしっかり集めていきたいと思っているところでございます。
 現状を申し上げれば、今おっしゃっていただいたスタンフォードの例に限らず、日本でも増えつつある、大きな変化のタイミングではあると思いますので、やはり重要なのは、日本の大学がそういった方から寄附の受皿としてきちんと考えられるというものに変えていくということが大事だと思っていますし、それは国内の寄附に限らず、海外の篤志家も含めて日本の大学に改めて投資していただくような資金循環の流れをこの機会につくり上げていきたいと思っています。いずれにせよ、税制の件も含めて、引き続き我々としても調査していきたいと思っていますし、グッドプラクティス、プロジェクトに対する支援、そういったことも含めて検討していきたいと思います。
 御指摘ありがとうございます。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、山本進一委員、お願いいたします。

【山本(進)委員】  山本進一です。
 前半のお話のところで幾つかコメントしようかと思っていたんですけども、それは特に、坂本審議官が非常に貴重な御意見を出していただいていたので、今回はいたしません。
 後半のところでちょっとお伺いしたいんですが、これは非常に判断基準となっているわけですが、応募する大学があったとしても、この判断基準に合わないということになって、全ての大学が駄目だということになったらどうするのかな。意地悪な質問なんですけれども、そのことが1点。
 それから、ビブリオ・メトリクスの立場から言うと、ブレイン・ストーミングで、11ページ、論文数とQ値の比較というところで、日本の大学は青丸ですよね。そうすると、この日本の大学のトップ大学と二番手の大学がもしも統合されたとするならば、それでもハーバードにはるか追いつかないと。それからQ値で見ると、何とか欧米の大学というか、そこには入ってこれるというブレインストーミングができるんですね、いろいろと。そういうことを考えると、さあどうなのかなという。もうこれはまさに仮想的なことを考えると、実態は現在そういうことであって、同様のデータ分析を20年前にやったことがありますけど、そこからもうかなり隔離してきたということが現実であります。
 お答えいただくのは大変ですが、採択されるところがなかった場合はどうされるのかなという、判断基準となっているから、そこがみそかなと思うんですけど、なかなかこれは厳しい項目だと、私は比較的最近そのように思い出しました。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。事務局いかがでしょうか。どこも通らなかったらどうしますか。

【馬場室長】  今回、大学ファンドを創設したところは、一刻も早く世界に伍する研究大学をつくっていきたいという問題意識から踏まえれば、実際、これから大学の提案申請がどのくらいあるのかというところにもよるかと思いますが、我々、この図でも今示しているとおり、大学側と丁寧なコミュニケーションを通じながら、国としてやりたいことは、やはり世界と勝負できるような大学を1つでも2つでもつくっていきたいというところでございますので、コミュニケーションを図りながら、何とか実現していきたいと思っているところでございます。
 続いて、池田のほうからも、コメントさせていただければと思います。お願いいたします。

【池田局長】  研究振興局長の池田でございます。
 まさに大事な点だと思います。各大学は、この強化委員会での議論も含め、アンテナを張って情報を集め準備を進めていただいているかと思いますが、この基本方針や認定の基準を踏まえて、非常に質の高い計画を出していただくことを期待しています。ただ、仮にこの基準に該当するところがなかった場合は、質を下げるということよりは、やはりポテンシャルをしっかり見て、世界に伍する大学を育てていくということですので、場合によっては、初回、認定を受けるというところがないということもあり得るかもしれませんので、それだけしっかりした計画を出していただきたいと期待しております。

【山本(進)委員】  ありがとうございます。かなりハイレベルな基準、判断基準とされておりますけれど、項目はかなりあって、これを全部クリアしようと思うと相当大変だなという感じがいたしましたので、そのような質問をさせていただきました。ありがとうございました。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、小林委員、お願いいたします。

【小林委員】  山本先生の発言にもちょっと関係するのですけども、この国際卓越研究大学の仕組みをつくって、認定して、それをまたフォローアップして見ていくわけなのですけども、場合によって、国際卓越研究大学の法律までつくって始めたんですけども、この政策そのものを修正する必要があるという可能性も当然出てくると思います。つまり、こういうやり方をやったのですけども、思ったとおりの成果は出なかった場合に、じゃあどうしたらいいのだというのをどこかでやはり振り返らなければいけないと思うのですけども、その政策のPDCAというのはやることは
考えられているのかどうかです。

【大野主査】  お答えいただけますか。

【池田局長】  ありがとうございます。今の御指摘もごもっともだと思います。これまでCSTIや文科省の有識者会議で、構想についてこの方向で議論をしていただいていますし、実際にもうJSTでの運用も始まっておりますので、まずは、これまでの議論の方向性をもって着実に、確実にスタートさせていくことが大事だと思いますけれども、運用の状況や大学の手の挙がり方、あるいは認定された大学の活動の状況などを踏まえて、今後所期の目的が達せられているかどうか、これはきちんとチェックをして議論をしていくことが必要だと思っております。
 この仕組みも、科学技術・学術審議会の下に、別途、認定をしたりする委員会を置いて、CSTIとも連携をしながら審査をしていったりしていくという仕組みでございますので、恐らくそういった場を通じて、この制度をきちんと運用できて、目的を達成しているかどうかというのは注視していくということになろうかと思います。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。
 それでは、林委員、お願いいたします。

【林委員】  ありがとうございます。
 25年最長期間でということが書いてあって、安定的な支援という点では全くいいことだと思うんですけども、ただ、25年後というと2050年ということですので、そのときの日本あるいは世界の状況がどうなっているかと。恐らく高等教育が、人口的にアジア中心になってくるとか、そういう予測は人口動態から分かるわけですけれども、ただそれにしても、高等教育というのが、あるいは大学というのが今と同じような形で25年後にあるのかということがなかなか悩ましい中で、ここで実際にどういうふうに計画を大学のほうが出してくるのかなというのが、なかなか難しいなと思って見ていました。最長で25年ということを計画として考えるのであれば、25年というかなり長期を見越した大きな社会変革、社会自体がどう変わるかをビジョンとして持ちながらの、そういう大学像を見ていくのかもしれませんが、ただ恐らく、その中で、先ほども6年から10年というのを一区切りとおっしゃっていましたけど、やはり直近でどういうふうに大学として世界に伍するような形になっていくのかという、そこをきっと書いていかなければいけないと思いますので、25年最長にしても、計画をどういうふうに書いていくのかということは、ぜひ具体的にしていただきたいと思いますし、またその中で、25年長期ですと、そういう状況が変わっていく中で、大学の中でどうやってボードであったり、あるいはもしかしたらアドバイザリー・ボードとかをつくる大学も多いかもしれませんけども、そういうところがどうやって方針を設定していくのかとか、そのやり方自体かなり重視してきっと見ていかなければいけないんだろうなと思いました。
 先ほど小林委員のほうから、この事業自体の妥当性みたいなこともありましたけれども、恐らく大学の中も、きっと幾つかの計画は、試してみてうまくいかなかったらそれは取りやめてと、今アジャイル型の政策形成とかそういう話もありますけども、そういうような、試行して、試してみてうまくいかなかったら取りやめてという、そういう機動的なダイナミックなやり方をやっていくことをぜひ奨励していただくような、そういう計画の立て方を促進していただければと思いました。
 その点で、先ほどからも議論があった、双方向型で規制緩和を提案する機会を設けるということが書いてあるんですが、これはもう計画書をつくっていく時点から、既に、こういう規制緩和があればこういうことをしていくということを積極的に大学が書いて提出するということを推奨する、そういうふうに理解してよろしいですかね。動いていく中で、採択された大学が後から提案をしていくというよりは、この計画書を提案していく時点で大学が様々なことを考えて提案をしていくという前提である、そういう理解で受け取ってよろしいでしょうか。
 以上になります。

【大野主査】  ありがとうございました。いかがでしょうか。

【馬場室長】  林委員、ありがとうございます。
 まず、後半の最後の部分については、御指摘のとおり、我々は、採択された大学に対して相談をするというより、まさに、公募を受け取って、計画段階からしっかりコミュニケーションを図って、こういったいろいろな提案をいただきながらつくり込みをしていきたいということを考えているところでございます。
 前半の部分については、おっしゃるとおり、25年後の世界の状況については、なかなかいろいろなケースがある中で、今回、中長期的な安定的な支援をしていかないといけないということで大学ファンドの制度設計をやってまいりました。当面何をやらなきゃいけないかについて、恐らく各大学が25年の精緻な計画をつくるのはなかなか難しいというところはありますが、将来的なビジョンというものは明確にしていっていただく必要はあるのかなと。それに向けて、当面例えばマイルストーンの6年、10年間で何をやるのかという部分については、例えば体制強化においては研究マネジメント人材であったりとか、若手研究者のポジションであったりとか、そういった部分がまずは大きく具体化していく部分なのかなと思っているところでございます。具体的には、研究成果がどういった形で出るのか、まさにそれは10年20年先を見越したような形になるかと考えております。
 審議官からもコメントを追加させていただきます。

【坂本審議官】  坂本です。
 林委員の、長期的な視野に立ってどう計画を策定するか、これは非常に重要なところだと思います。これは科学技術基本計画の第5期、第6期においても、Society5.0という社会像が示されているわけですけども、どういうふうに社会が変化していくのかというところ、そこについてのビジョン、そして、その中でどういう役割を果たすのかというコミットメントということを大学のほうに考えていただく必要があると考えております。
 先ほどの主要国のトップレベルの研究大学のベンチマークを受けて、6ページですけれども、新たな研究領域やイノベーションを常に創出している、そして、それを可能とするような財政運営の構造をつくるということ含めて、マネジメントシステムの全体像を提示するということは、今動いている、どんどん開拓されている分野を超えて何が起こるのか、それは、その想像を超えた変化についてどう対応するのかという、もう一段レイヤーが深いところでマネジメントを自ら変革していくようなシステムというもの、これは多分、世界のトップレベル大学がいろいろなところで構想していると思いますので、そういったものを日本の大学も築いていくと。その一つの指針はSociety5.0というところになるのではないかなと我々は考えております。そういったところをぜひしっかりと構想を練っていただくということを我々は求めたいと思っております。
 以上です。

【大野主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 今、坂本審議官がおっしゃったように、新たな社会に向けて、大学がその時代を先導して、変えていく駆動力となるということがとても重要だと思います。その重要な要素として、藤井委員から発言がありましたように、ファイナンスの在り方のモデルが変わる、新たなモデルがここで実現されるということが重要になるんだろうと思っています。そういう意味では、3%の成長というのはお題ですけれども、それは支出の構造として3%、支出がそれだけ大きくなってほしいということですが、加えて、独自基金の造成にも当たらなければいけないので、3%の成長だけをやっていては基金が造成できないということになると思うのです。ですので、そのあたりで最低限これを必須としたいという条件は、いろいろ議論の結果に出てくるんだとは思いますけれども、示しておく必要があると思っています。前回発言させていただいたことにも関わると思いますが、それを目標にして、それ以上の達成ができれば、国際卓越研究大学が自律的に活動し、世界が変わる、あるいは世界を変えるということが先頭に立ってできる、そういうイメージになるのかなと思っています。
 皆様から何か、全体を通していかがですか。よろしいですか。
 もう時間になってしまいましたので、非常に活発な議論をいただきましてありがとうございます。今後の大学ファンドの設計に今日の議論も反映していただいて、さらに前に進めていただければと思います。
 それでは、これで今日の大学研究力強化委員会は閉会とさせていただきますが、その前に、事務局から事務連絡をお願いいたします。

【季武調整官】  事務局でございます。
 本日、御発言し切れなかったこと、さらにまた今後追加で発言したいことなどがある方は、また事務局までメールなどで御連絡をいただければと思います。
 また、本日の議事録については、運営規則に基づき公表いたします。事務局にて、今回も議事録案を作成の上、委員の皆様に確認をさせていただきますので、御対応をどうぞよろしくお願いいたします。
 次回の大学研究力強化委員会は、8月31日水曜日の開催を予定しております。詳細については、追って御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【大野主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、改めて活発な意見交換ができて大変ありがとうございました。これで第7回の大学研究力強化委員会を終了いたします。お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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