第11期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第2回)議事録

1.日時

令和3年4月23日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15階会議室1

3.議題

  1. 国際関係事業の全体像について
  2. 国際戦略策定に係る論点整理
  3. その他

4.出席者

委員

岸本委員(主査)、相田委員、飯塚委員、石原委員、磯田委員、小川委員、狩野委員(主査代理)、須藤委員、武田委員、林委員、松本委員

文部科学省

松尾文部科学審議官、板倉科学技術・学術政策局長、梶原大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、有賀文部科学戦略官(国際科学技術担当)久永参事官(国際戦略担当)付企画官、生方参事官補佐、津久井参事官(国際戦略担当)付戦略第一係長

5.議事録

第11期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第2回)

令和3年4月23日


【岸本主査】 それでは、皆様、こんにちは。定刻になりましたので、第11期科学技術・学術審議会国際戦略委員会、第2回になりますけれども、開催いたします。
第11期科学技術・学術審議会国際戦略委員会の主査を務めております岸本でございます。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、私以外の委員の皆様におかれましては、本日はオンラインにて御参加いただいております。本日は、前回御欠席の石原委員も含めて、全員の委員の皆様に御出席いただいております。御多忙中のところ御出席いただきまして感謝申し上げます。
まず初めに、開催に当たっての留意事項を事務局から御説明、お願いいたします。よろしくお願いいたします。

【生方補佐】 では、事務局より、会議開催に当たっての留意事項を御説明いたします。
まず、本委員会はペーパーレス会議になります。配付資料につきましては、事前に事務局から送付しましたファイルを御覧ください。座席表、議事次第、資料1から資料5、及び参考資料1から参考資料3の2つのファイルとなっております。資料はそれぞれ1つのファイルにまとめており、しおり機能で各資料をすぐ開けるようにしておりますので、御活用ください。ファイルの不備に関してのお尋ねなどがございましたら、事前に送付しておりますWebex events注意事項に記載の事務局連絡先まで御連絡ください。
次に、御発言いただく際の留意事項です。御発言がある場合は、オンラインで御出席の委員におかれては、Webexの挙手ボタンを押していただき、会場に御出席の事務局では挙手のほうをお願いいたします。オンラインで御出席の皆様のマイク設定は、事務局で操作いたします。御発言されないときは、マイクの設定はミュートにしております。座長から指名があった際はミュートを解除いたしますので、御発言をいただくようお願いいたします。御発言の際は、各参加者にも分かりやすいよう、最初に御自身のお名前から御発言いただきますようお願いいたします。また、本日の委員会は公開で開催させていただいております。
事務局からの留意事項は以上でございます。

【岸本主査】 御説明ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、お手元の資料にありますように、その他を含めて3件になります。
まず、議題1の国際関係事業の全体像に入ります。最初に事務局から、前回の議論の整理について御説明をお願いいたします。

【久永企画官】 久永です。よろしくお願いいたします。
それでは、資料1ページめくっていただいて、2ページ目の資料1を御覧ください。
前回第1回の国際戦略委員会で委員の皆様からいただきました主な御意見をまとめて御紹介いたします。前回の国際戦略委員会では、主に2つの論点について、委員の方々から御意見をいただきました。1つ目の論点は、STIにおける国際交流・協力を行う意義、2つ目の論点は、国際交流・協力を推進するに当たって考慮すべき観点、この2点について主に御意見をいただきました。
次の3ページ目を御覧ください。その1つ目の論点といたしましては、上から1ポツ、2ポツにございますように、国際交流・協力におきましては、国が持つ理念、ビジョンを打ち出して、相手国と共有すべきといった御意見がありました。また、上から3つ目、事業成果の測定指標は国際交流・協力の目的に照らして適切かといったように、国際交流・協力の目的、成果指標というのを明確にすべきであるといった御意見。また、上から4ポツ、5ポツ、6ポツ、7ポツ、8ポツ目にありますように、グローバルな多様性を海外から取り込んで研究力、国際競争力を強化し、国際交渉の中で主導権を確保する、また、緊急事態等においても対処できるような研究力の厚みを我が国は確保すべきあるといった御意見がありました。同時に、学生、若手研究者の人材育成の重要性についても御意見ございました。
さらに下のほうに行きまして、9点目、10点目、11点目のポツのように、研究成果をグローバルに展開し、地球規模課題や相手国と共通する課題の解決を行い、研究成果を社会実装することといった御意見がございました。一番最後の12ポツ目のところにございますように、我が国が国際的なネットワークの中でプレゼンスを発揮することといった御意見もございました。
論点1は以上で、次、4ページ目を御覧ください。続きまして、2つ目の国際交流・協力を推進するに当たって考慮すべき観点につきまして、御意見を御紹介いたします。上から1つ目、2つ目にありますように、国際交流・協力におきましては、我が国と相手国双方に裨益する価値を創出すること、そのためには相手国の考え方や社会について理解を深めることができているという観点について意見がございました。また、3点目にございますように、我が国と相手国それぞれの独自性が相補的な関係となっているかといった観点について御意見がございました。さらに、上から4つ目、5つ目にございますように、国際協力が研究者間、組織間、研究機関間で長期的に継続・発展することができるかといった観点や、上から6つ目のポツにありますように、我が国にとって先端重要分野である技術なのか、また、その戦略的意義に照らして適切な連携相手であるかといった観点が必要であるといった御意見がございました。最後に、7ポツ、8ポツ、9ポツにございますように、社会実装を目指すためのビジネスモデルの構築、企業への橋渡し、その際に想定される知財、標準化、データ管理等の方向性について相手国と共有できているのかといった観点が必要との御意見もございました。
一番下の(2)のウイズ/ポストコロナにおける国際交流・協力の在り方についても御意見がございまして、リモートで実験可能な装置・設備の普及等によりオンライン化を一層促進すべきであるといったことや、新たな関係構築や研究フィールドの現地体験等、渡航は必要に応じて活用すべきといったような御意見がございました。
資料1の説明は以上でございます。

【岸本主査】 ありがとうございました。議論については後ほどお願いしたいと思いまして、続けて、委員の方々で事前に資料を提出いただいた方がいらっしゃいますので、まずその資料についての御説明をお願いしたいと思います。
まず狩野主査代理、続いて武田委員よりお願いしたいと思います。それぞれ5分程度でお願います。それでは、狩野主査代理より、御説明をよろしくお願いいたします。

【狩野主査代理】 ありがとうございます。これを説明する前に1つ話がありまして、前回、科学技術というと何か文系は関係ないのではないかという御意見がございました。そんなことはなくて、新しいことを理由つきで言う活動はすべて科学だと私は思っております。その意味で聞いていただければと存じます。
まず資料一枚目です。前回申し上げた、既存の政策がどこにあって、そうでない残りはどこなのかということをマッピングしてはどうかという話を申し上げました。それの具体的な可能性の例をお示ししたものです。ですから空欄に政策が埋まっていくという目的で使っていただきたいと思っております。そのときに、まず横軸は目的の項目として、経済を回すということについての政策、あるいは安全を保つということについての政策、独自の魅力を高めるということについての政策、あるいは人間のつながりをつくるということについての政策ということが、列挙できる可能性があると思っております。次に縦軸は、相手は誰かという内容です。科学者が主体だとしたとき、同業である科学者に対するもの。それから学生に対するもの、産業の皆さんに対するもの、機密保持が必要な相手に対するもの、一般社会を相手にするもの。こうしたマッピングの可能性があるかなという御提案です。なお、前回、短期的視野、それから中長期的な視野ということも話がございましたので、その文言も入れてみております。例えば、後から出てきますSICORP等はどこに当てはまるのか、あるいは人材交流事業はどこに当てはまるのかというふうに見ていただくと、集中しているところも、空いているところもあるなということが分かってくるのかと存じます。
次のページをお願いします。いま申し上げた1枚目の追加の説明でございます。まず魅力を高めるというのはどういう意味合いかということなんですが、それは、自分の国ではできないけれども、他の国が上手にやっていることというのはお互いまねしたくなると思います。そういうことが実現していくような工夫が要るのではないかということが書いてあります。ちなみに、どうしても競争的資金になると思いますので、「競争的」の勝ち組をどういうふうに決めるかの指標も、「魅力を高める」という目的に沿って考案が必要ではないかということを書いてあります。先方が欲しいものは何かということも酌み取っていく必要があるということも書いてあります。
次のページをお願いいたします。留意点、もう一つです。相手方というのを先ほど申し上げたように幾つかに分類しました。これらのうちのどれかは実施主体にもなり得る、今日は科学者を主体とした書き方にしてお出ししましたけれども、これは後に別の主体が、先ほど申し上げたような相手に向かってやることも可能ではあると思います。ただ文部科学省の所掌範囲がある程度あると思いますので、その中で、どういった主体が誰に対してということをマッピングするのもよかろうかということで書いてあります。
次のページをお願いいたします。今後の進め方の御提案として申し上げたことをもう1回まとめたのがこちらです。先ほどのような表組みで既存取組を把握してはどうかということ。それから、財団や産業界など政府以外の取組というのも当然たくさんありますので、それらがさっきのマッピングでどこに入っているのかを見てみてはどうかということ。その上で、不足分野があるのであればそこを加えていくのはどうか。こういう御提案を申し上げました。もちろんそれを実施するときに、文部科学省だけでは難しいときもあろうかと思いますので、省庁間の分担あるいは政府以外の組織への働きかけということも大事ではないかということを申し上げました。
それから、「伝える」ことについて。どのように伝えるのかというと、「自分たちがうまくいっている」という伝え方ももちろんいいのですけれども、「あなたたちが必要としているこういうことについて、私たちがこういうことができる」というような伝え方というのもあるのではないかということを申し上げてみたところです。あとは、先ほど論点でまとめていただいたとおりで、伝えることと伝えないことの弁別というのも国際間では必要なときがあろうということで書いてございます。
私からはこれだけです。以上です。

【岸本主査】 御説明ありがとうございました。議論は後ほどさせていただくということで、それでは、続いて武田委員より、御説明をよろしくお願いいたします。

【武田委員】 武田です。日立の国際論文数が過去結構変化しまして、その結果から、科学技術政策の国際論文強化に関する一提案を申し上げたいと思います。
前回の私の発言は、この回は日本の国際共著論文が随分減っているというのが主論点でしたので、この問題は日本の学術論文全体が減っているところからではなくて、文科省幹部も言われていたように科学が今日明日の国力に直結する時代に今突入しているわけですから、そのような分野でそのような分野を引っ張っている国と日本の共著論文が減ってしまっているのがまず問題だというところから出発すべきではないかと申し上げました。ではどうやってそのKPIの値を上げていくかという私の案を話させていただきます。それは今日明日の日本の国力を左右する分野で日本がリードしたい分野を決めて、産官学協働で集中して国際論文をどんどん創ることだと思います。そうすれば、インパクトある論文も、被引用も、国際共著論文も加速度的に増えるというのが、かつての我が社の半導体分野の経験から申し上げたいです。私、来週、結構大きな経済の国際会合で基調的な講演をこの関係でさせていただく予定でして、その予告もかねて以下お話させて頂きます。
次、お願いします。これはその補足なんですが、2000年代の初頭に、弊社の国際論文数、国際共著論文数、特に、インパクトのある、インパクトファクターの高い論文が激減したという御指摘を、実は十数年前に文科省殿からいただきました。さらに日本の産業界の研究力が落ちているのではないかという、そういうレポートまで頂きました。私がそれに対してお答えしたのは、これは日立の場合で言えば半導体事業から撤退したからということです。それ以前には半導体が日立のインパクトのある論文の多くを占めていましたから、そこから撤退したことに尽きるということを当時お答えしました。国際論文数をKPIに、もしこれが最重要なKPIであれば、そのとき半導体の有力研究者は日立に残りましたから、そのような研究者が半導体論文執筆の量産を復活すれば、KPIは上がりますとまで申し上げました。でもそういう発想は、民間企業ではできないということをご理解いただきたいと思います。
次、お願いします。では新分野は何かということですが、2週間前に、御承知だと思いますが、世界経済フォーラムで菅総理がこういう話をされています。世界ではデータを囲い込む保護主義が見られますが、各国が等しくデジタル経済の恩恵を受けるためには、日本が提唱したDFFT、Data Free Flow with Trustを具体化するルールをつくるときであると考えておりますと、言われました。この部分がメディアでもヘッドラインになりました。
次、お願いします。私経産省の国際標準化の総会の委員もやらせて頂いてます。半年ほど前の総会では、重点化すべき個別の分野は環境・エネルギーですか、デジタル、データですかのような議論があったのですが、私はDFFTだと申し上げました。首相がG20のサミットやダボス会議で最重要なメッセージとして世界に発信している国際標準化案件が、国際標準化総会資料で言及あるべきの発言をさせていただきました。
次、お願いします。先ほど結構重要な経済の国際会合で講演と申したのはこれでして、私、DFFTの講演をTPPの貿易会合の中で、西村大臣の後にさせて頂いたものであります。
次、お願いします。そこでの私の講演タイトルはDFFTとAIと日立であります。
次、お願いします。これは自己紹介で、特にやらせて頂いているアドバイザリーボードメンバーの中で、今回のこの話に関係ある話として、内閣府のAIのストラテジーと経産省のスタンダーダイゼーションのストラテジーと、まさにこの場である文科省のインターナショナルコラボレーションのストラテジーと、内閣官房のDFFTのアドバイザをやっているということで、この4つの話をするとはじめました。
次、お願いします。これは日立の紹介です。40か国に500の子会社を持っていて、1つのビジネスユニットは27か国に140の工場を持っていて、それから、別のユニットは150か国で30万台のマシンをモニターしているという話。3番目が、そういうことに使っているグローバルオペレーションのためのAIを、ほかの製造業とシェアしているということです。だから、4段目ですが「Restriction in cross-border data flow is a serious concern for Hitachi and its partners and its customers」で、ビジネスストラテジーもこれ次第で変わってしまう可能性があるということを申しました。
次、お願いします。だから日立にとってDFFTのストラテジーが大変大事で、R&D Strategy for DFFTという論文を私書きまして、それが先月出版されましたと。これは通信ソフトの分野なんですけれど、かつての半導体の有力研究者なんかも総動員しまして、こういう論文を書いたということをお話しました。
次、お願いします。今日は詳細の説明を割愛させて頂きますが、DFFTのモデルというのを提唱しています。それから、トラスト、トラストというのですが、その定義があまり語られていないので、その定義とレプリゼンテーションと、AIの時代であるからこそ、ということをお話しました。
次、お願いします。それで、ここが今日の、この場に直接関係ある話ですが、TPPのような国際交渉に関してアカデミックのコントリビューションというのがあり得るのではないかということを提言しました。さらにTPP11か国の会合の中にアカデミックのタスクフォースをつくろうよということをまず提唱しました。その中で、そこはもちろん法律家の文言が主体の会合になるわけですけれども、そういう中で、両輪としてサイエンティフィックモデルをきちんとみんなでつくれば、サイエンスであれば真理は1つですから、これが全員で合意できるような議論のベースになるんじゃないかということが2番目に書いてあります。そこで、とにかくTPPでベストプラクティスをつくって、WTOに持っていこうよということを提唱しまた。こんな提案は今までなかったということで、しかも科学技術がまだ強いとされる日本からこういうものを打ち出しているというのが非常にいいのではないかということで、これは他省庁にも大いに賛同いただきました。
次、お願いします。これが最後のスライドです。East Asia Joint Research Programというのを10年ほど続けていまして、TPPの11か国中の6か国ぐらいがこれとダブっていることを紹介しました。まずせっかくコミュニティーがありますから、この場がこの議論のよいstarting pointになるのではと申し上げました。なおこれは10年前にASEANサミットで日本の首相がお話してできたもので、プログラムディレクターは岸先生で、Chief Science Advisor to the Foreign Minister of Japanも務められた先生が、狩野さんも同僚だったのではないかなと思うんですが、長く務められています。その下の7人のプログラムオフィサーのうちの1人が私であるから、ここから私が動きますよということをその場で申し上げて終わりました。結構インパクトがあったと聞いています。
次、お願いします。これはさきほどのスライドの再掲なんですが、最も言いたいことは黄色いところでして、AI掛けるポスト6G、DFFTというところは日本がリードすべき分野の1つではないかなと私は思っています。これは1つの例ですが、この具体レベルで注力する分野を決めて、そこに産官学協働で集中して国際論文をどんどんつくっていけば、そこに半導体のときのように集まって頂けますから、インパクトファクターが高い論文も、被引用も国際共同論文も、加速度的にふえる、それが本筋ではないかなというのが、一民間企業からの視点で、国の政策で取るべきものではないかという思いです。
以上でございます。

【岸本主査】 どうもありがとうございました。この後、少し時間を取ってディスカッションをしたいと思います。まず、前回御欠席だった石原委員から御発言があると伺っておりますので、次に石原委員から御発言をお願いしたいと思います。

【石原委員】 ありがとうございます。前回はちょっと欠席となってしまって、ノートを見せていただきまして、皆様の御発言を読ませていただきました。様々な分野の方が参加されているということで、いろいろな意見が、非常に腑に落ちるところがありました。私のほうは基礎科学の研究者ということで、ほかにあまりいなかったということもあって、ちょっと分野を広げるという観点からも、一言お話しさせていただければなと考えています。
私のほうは、500人とか300人とかという国際実験をこれまでやってきまして、その中では、500人の実験だと日本人は5人ぐらいで、今やっている300人の実験だと日本人が15人ぐらいなんですけれども、そういった中で、今、基礎科学の実験というのは、第1世代の初めの、検出原理の確立というところから、第2、第3世代となっていて、最終的には、やはり宇宙の真理とか、真理を目指そうと思うと、地球に1個というような規模になっていっている流れです。中国とはもちろん1国で1つというのをまだ作ってはいるんですが、最終的には、それ以上の感度を目指そうと思えば、どうしても地球で1個という、重要な財産を築くというところを目指している途中だと思います。我々日本とかアメリカ、ヨーロッパとかというのは、ほぼ1つの、地球で1つ、例えば望遠鏡であれば南天に1つ、北天に1つと、そういう方向性になっているかなと思います。その中では、もう国際協力というのはマストであって、それをやらなければ、研究の成果の低減はもとより、研究力ももちろん低下しますし、それは周辺技術の競争力やネットワーク、人や物のネットワーク、次世代の研究者が育たないということで、もはや国際研究をしないということは、我々の分野からはちょっと考えられないという状況になっています。
ただ、こうやって二、三十年、国際研究をやっている立場から言いますと、じゃあただ参加すればいいのかとなれば、それはやっぱり違っていると。実際参加してみますと、やはり独自性を持っているグループが非常に重要なわけですね。特に重要なのは、日本の比較的均一性が求められる文化の中で、どのように独自性のある研究グループを維持していって、これが国際研究の中で切磋琢磨して認められるという、そこのところに考慮した施策が重要になってくるかなと思います。日本におきましては、やはり日本がフラッグシップを掲げて、ホスト国として行っている実験ももちろん重要でして、さらに日本の研究グループだけで100名を超すような海外実験もありまして、その辺はサポート体制が比較的整っているかと思うんですね。日本は、もちろん人数が集まりますと、一度動き出しますとそれを止めづらくなるというところはこの分野にもありまして、それがあるということは、もはやそこにはある程度のサポートがあるというふうに感じています。
基礎科学なので、研究結果の効率化は求めないほうがいいと思っているんですけれども、戦略の面で考えると、例えば100億の実験が、フラッグシップ実験は置いておいて、10個あると。50億の予算があるとしますと、それを、1つの実験に50億を出すのか、10個の実験のうちの1つに半分出すのか、それとも10億を5個の実験にばらまくのか。ばらまくと言うとあれなんですけれども、どっちのほうがアウトプットが出てくるのかということを考えますと、例えば50%以上の寄与をして、100%の1個の実験を、そこのクレジットを得られるかというと、そういうことは難しい。効率がいいのは、やはり5から10%程度の予算的な寄与をそういった大型実験に行って、そこできちんと独自性のあるグループが10%、20%のクレジットを持ち帰ってくる、日本のビジビリティーをそこでちゃんと出す、そういったところが今後の日本のビジビリティーを、ただお客様科学者みたいなグループがお金を持っていくというふうには取られないようにするために重要かなというふうに考えているところです。
そこがたまたま小さいグループであっても、そういったビジビリティーが出ていれば、シードですので、第2世代でそういう立場にあれば、第3世代の実験で十分大きなグループを結成することは比較的簡単と。問題となっているのは、アメリカとかヨーロッパは比較的そういう独自性にウエートを置く文化があるので、そういった評価が定まっていて、ピアレビューとかでもそういう評価を基に行われて、確固たる独自性のあるグループが育っているように、育ちやすい環境があると思うんですが、日本ではそこのところにちょっと外から手を入れるような施策があってもいいのかなというふうに考えています。大きなグループがだんだん均一化していってしまって、若い人たちが独自のあることを言ったり発想を出したときに、それが本当に育てられるのかという、そこのところが、きちんと精査していかないと、大きいグループがただ育ったからいいということにはならないというふうに考えています。特に若手がそういった次の世代の実験を担うようにするためには、非常に独自性というものを持った研究室を大事にして、それが海外の国際実験でビジビリティーを出すというところのサポートは重要かというふうに感じました。
それが1つ言いたかったことなんですけれども、もう一つは、やはり国際協力の実験の中で、どうしても予算の規模が大きくなっていて、100億円、1,000億という規模になっていますので、そこに参加できない国というのがどうしても出てきてしまっています。やっぱりアメリカ、ヨーロッパ、中国、インドとか、ブラジルはぎりぎりというぐらいで、予算によって、基礎科学にどれぐらい予算を割くかというのが分かれてきてしまっているところがありまして、それは、こういった大きな国際実験のもう一つのやり方で、そういった予算に加われない国に対してもう一つ参加できるような道筋を与えるということも、1つできることかなと思っています。現在、大きな望遠鏡とかというのは、何年かたったらデータ公開をするというのが国際的なルールとなってきていますので、日本も大規模なフラッグシップ実験が幾つかありますので、そこのところの、何年かたったらデータを公開して、特にそういった予算のない国の学生とか研究者が、どうその研究結果を解析していくとか、そういうサポートをしていくということは1つできる部分かなと考えています。
私の言いたかったものはこんなところなんですけれども、あとは、細かいところを言うと、まだやはり日本は、ちょっと独自のシステムがありまして、例えば、前回は私は欠席させていただいたんですけれども、やはり年度末ということで、大きな実験の準備をしていますと、予算のまとめとかというのがどうしても3月末に起こると。そういったものは、海外の実験と一緒にやっていますと、知ったことないよと言われるところなんですね。特に、例えば3月に、急ぎのものをフェデックスで送ってくれといって、4月に請求書が来るから送れないとこっちが言うようなことが起きたりもしたりして、それは非常に、ちょっと恥ずかしい部分であります。そう考えると、ほかにも幾つかそういったシステムが、ちょっと不具合があるかなと思っていて、そういうところをまずは徹底的に排除していっていただきたいというのが私の希望です。
これが私の今回の意見ということで、以上になります。

【岸本主査】 どうもありがとうございました。御用意していただいた御意見を伺ったところですけれども、次の資料の説明をいただいてから、少し時間を取って皆さんから御意見いただければということで、続いてですけれども、国際関係事業の俯瞰、主な国際関係事業についての説明を事務局からお願いできますでしょうか。

【久永企画官】 よろしくお願いします。久永です。それでは、25ページの資料3を御覧ください。科学技術に関する国際関係事業について御説明いたします。
次の26ページを御覧ください。前回の国際戦略委員会では、委員の先生方から、現在実施している国際交流・協力の全体を俯瞰する必要がありますという御意見をいただきました。この資料には、文部科学省が実施する科学技術に関する国際関係事業の一覧を示しております。左側から、国際共同研究の推進、真ん中は、グローバルに活躍する若手研究者等の人材育成・確保、国際ネットワーク強化、一番右側が大学・研究機関等の国際化、拠点形成、大きく3つに分けて分類しております。例えば左側の、1の国際共同研究の推進では、代表的な例としてはSICORPですとかSATREPSといった事業があります。また、戦略的創造研究推進事業(CREST)では、一部フランスとの国際共同研究を行っているという例がございます。
真ん中の、2つ目のグローバルに活躍する若手研究者等の人材育成・確保、国際ネットワーク強化の欄におきましては、海外特別研究員事業、若手研究者海外挑戦プログラム、外国人研究者招へい・ネットワーク強化などを実施しております。一番右側の、3つ目の大学・研究機関等の国際化、拠点形成では、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)や、スーパーグローバル大学創成支援事業を実施しております。これらの詳しい事業の説明につきましては、それぞれ参考資料3に記載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
このように多くのプログラムがございますが、以降の資料では、代表的な国際共同研究のプログラムである、左上のSICORPとSATREPSを取り上げまして、現状の取組を御説明いたします。また、数ある人材交流事業をマッピングして、整理してお見せしたいと思います。
次、27ページを御覧ください。まず、SICORPになります。このSICORPの現在の取組の状況を俯瞰しております。SICORPの目的・目標は、イノベーション創出のための多様な研究内容・体制に対応し、課題解決型イノベーションの実現に貢献するということにあります。このようにSICORPでは、その目的・目標ごとに、二国間協力、多国間協力、国際共同研究拠点といった協力体制によって、米国、EU等の先進国ほか新興国、開発途上国などと、様々な研究分野で国際共同研究を展開しております。このようなSICORPの現状や今後の方向性については、委員の先生方から幅広く御意見をいただきたいと存じます。
次の28ページ目を御覧ください。これは2つ目のSATREPSについての現在の取組状況を俯瞰しております。SATREPSの目的・概要は、そこにございますように、我が国の優れた科学技術とODAとの連携によって、開発途上国のニーズに基づき、地球規模課題の解決と将来の社会実装につながる国際共同研究を推進するとあります。また、その出口のステークホルダーとの連携・協働を促すスキームを活用する、研究成果の社会実装を加速させるということにあります。これは、JSTにおけるSATREPSについて言いますと、2020年6月時点で協力相手国として、アジア、アフリカ、中南米、その他、合計52か国、支援プロジェクトの実績は157となります。
次の29ページ目を御覧ください。29から33ページ目までは、SATREPSで実施しているプロジェクトを研究分野別に、一覧として示しております。まず、この29ページは環境・エネルギー(環境)分野におけるJSTのプロジェクトの一覧となります。2015年採択のものは、コロナ感染症の影響で、特別に1年延長、研究期間が6年となっておりますが、その他は基本的に5年間の研究期間となっております。
次の30ページを御覧ください。これは環境・エネルギー(低炭素)分野におけるJSTのプロジェクト一覧、次の31ページを御覧いただきまして、これは生物資源分野におけるJSTのプロジェクト一覧、32ページは防災分野におけるJSTのプロジェクト一覧で、最後の33ページ、これは感染症分野におけるAMEDのプロジェクトの一覧を示しております。いずれも2021年4月時点におけるプロジェクトの一覧を示しております。
次、34ページ目を御覧ください。34ページと次の35ページでは、JSTが実施したSATREPS終了プロジェクト4件を例として取り上げまして、研究概要、研究成果及びプロジェクト終了後の展開を説明しています。34ページを御覧いただきますと、まず1つ目の1番、アフリカ・サヘル地域の持続可能な水・衛生システム開発のプロジェクトについてです。概要及び研究の成果としては、サヘル地域の都市地域に適合した水・衛生システムのうち、雑排水関連モデル、新たな水・衛生システムを導入するための社会システムを提案しました。また、コンポスト化技術ですとか尿利用技術、雑排水再利用、回収資源の農業利用の技術を開発したというプロジェクトです。その後のプロジェクト終了後の展開といたしましては、民間・地域レベルでのサニテーションの価値を広めるための活動を継続し、また、世界銀行の支援を受けながら人材育成を行うといった展開が見られました。その一方で、地方自治体の財政的・人的支援が不足していたということや、また、関連する製造業者が見つからなかったといった課題というのも指摘されております。
同じページの下半分ですけれども、次に、2つ目の氷河減少に対する水資源管理適応策モデル開発のプロジェクトになります。概要及び研究成果としては、ボリビアにおける気候変動に対する水資源管理適応策の立案のため水資源管理のモデルを開発し、氷河縮退・消失とそれに伴う水資源の調整を行いまして、それを政府機関に提示したというものになります。プロジェクト終了後の展開におきましては、科研費などで研究が継続されているという点は見られているんですけれども、大学と環境・水資源省との連携が十分でなかったと、実装化に向けて十分でなかったといった課題も見られたとのことです。
次の35ページを御覧ください。3つ目の例ですけれども、短期気候変動励起起源地域における陸域観測網最適化と高精度降雨予測のプロジェクトになります。赤道熱帯域の気候・気象予測指針を確立しまして、インドネシア政府に提言したという内容です。この成果を世界に発信することで、全世界の気候変動影響の適応・緩和に大きく貢献したとされております。プロジェクト終了後の展開においては、相手国に設立された研究拠点、これがより充実した形で活動が継続して行われ、相手国に供与した機材の多くはインドネシア側の独自予算で更新して、継続的な観測が行われていると。研究代表者が現地に長期滞在し、マネジメントに取り組んでいるというような高い評価が得られております。
最後の4つ目の例ですけれども、インドにおける低炭素技術の適用促進に関する研究のプロジェクトになります。このプロジェクトはインドの中小企業を主な対象として、我が国から移転・普及すべき技術、その移転・普及のために必要な技術改良点、施策等を提言するというプロジェクトです。具体的には、電気ヒートポンプやガスヒートポンプなどの設備を工場に提供して、省エネ効果を実証したという内容になります。プロジェクト終了後の展開としては、本プロジェクトの成果によって実効性の高い交流につながったといったところがあるんですが、一方では、日印の大学などのアカデミアの参画が非常に不十分であったという課題が指摘されております。
以上、4つの例を紹介いたしましたが、SATREPSでは、研究期間中に研究成果を上げて、プロジェクト終了後も社会実装に向けた成果・展開の取組が継続されています。また、プロジェクトによっては、相手国の政府機関ですとか企業など、そういった関連するステークホルダーとの連携、そういったところにおいて課題が見られるというのも幾つか事例としてはございます。この後の議論におきましては、SATREPSのこういった現状ですとか、あと今後の方向性について、委員の方々から広く御意見をいただければというふうに考えております。
最後に36ページを御覧ください。この資料は文部科学省が実施する、グローバルに活躍する研究者の育成につながる人材交流事業につきまして、横軸を個人支援または組織支援、縦軸を学部学生、大学院生、またはポスドク研究者というふうに分類して、マッピングした資料になります。組織支援で、かつポスドク研究者、右下の象限を除いては、人材派遣・受入れを行う各種事業を実施しているということが見てとれます。このようにマッピングして整理いたしましたが、このような人材交流事業の現状について、今後の方向性、あるべき姿につきましても、委員の先生方には幅広く御意見をいただきたいというふうに存じます。
資料3の説明は以上です。
【岸本主査】 どうもありがとうございました。この後、4時40分ぐらいまで、50分から55分ぐらい時間がございますので、皆様からいろいろな御意見をいただきたいというふうに思います。
それで、前半のほうでは、これまでの議論の中で、論点1、論点2という形で、国際戦略をつくるに当たってのいろいろな御意見をいただいたところであります。それについて、さらにこれを御覧になっていただいた上での御意見と、あと2つ目は、今、文科省が取り組んでいる国際事業について、幾つかの具体例を御紹介いただきましたけれども、それに対しての改善ということで、これら2つのテーマがあります。委員の皆さんからはそれぞれについて御意見いただきたいと思いますが、まず最初の全体的な論点について、さらに加えての御意見があればお伺いしたいと思います。
先ほど狩野委員からは、全体を俯瞰するようなマッピングをしたらどうでしょうかという話ですとか、武田委員からは、具体的に日本がリードしたい分野を定めながら国際展開をしていくというのが非常に大切だという話も伺いました。また石原委員からは、国際的な大規模研究の中で日本の存在感を出していくには、ファンディングのやり方だとかテーマの選び方だとか、そういうところの工夫が非常に大切であって、それへの支援というのが大切だというようなこともお伺いしたように思います。
これらの他にもいろいろな観点があるかと思いますので、御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。まずは、前半のほうの一般的なお話というところでありましたらお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
それでは、まず相田委員、お願いしたいと思います。

【相田委員】 広島大学の相田です。先ほどの狩野先生の、5ページ目のマッピング、こういう考え方は大事だと思うんです。それで、前回の話と、それから今日のこれまでの話を伺っていて、やはり視点が多過ぎて、人それぞれ関心のある場所が違うものだから、どうしても意見のポイントが発散してしまいがちだなと思うんです。例えばこの5ページ目の、狩野先生のまとめてくださった、経済を回すとか安全を保つとか、独自の魅力を高める、人間のつながりをつくる、これは、この国際戦略、研究に関する国際戦略という意味では、目的としては恐らくこれが正しいんだろうなというふうに私も感じます。これは、だからかなり大きな目的ですよね。この目的を達成するために、もう少しかみ砕いていくと、いろいろな必要な手段があって、その手段、手段がどのぐらい達成しているかを見ていくのがいわゆるKPIで、その手段も何通りかあると思うんです。
なので、例えば武田先生のおっしゃられたものは、多分幾つかの目的のための手段になっているのかなと思うんですけど、それから先ほど石原先生がおっしゃられたことは、多分、独自の魅力を高めるもののうちの手段の1つなのかなというふうに思うんです。ちょっとまだ整理し切れていないんですけど、そういうような視点のマッピングをもう少し詳細につくって、どういう側面の、今の文科省の、この国際戦略委員会としては、どこの視点が重要だからこういう戦略を立てるという提言をするみたいな形の方向に持っていかないと、いろんな考え方が交ざり込んできてしまって、ちょっと大変じゃないかなというふうに思います。
まずは以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは、次は狩野先生、お願いできますでしょうか。

【狩野主査代理】 私はさっき発言の機会をいただいたので、後回しで結構です。先に、飯塚先生。

【岸本主査】 それでは、飯塚先生お願いします。

【狩野主査代理】 分かりました。ありがとうございます。武田先生からの御意見と私のの間で、中長期的なことで皆さんで力を合わせるとしたらどういう分野があり得るかということを1つだけインプットさせていただきます。それは、「将来に社会が出会い得るような危機に備える」ということではないかなと、1つは思います。もちろん普通に流行していくものは企業の皆様よく御存じだと思います。それはぜひ取り組んでいただけたらと思います。他方、今回のパンデミックみたいなものとか、あるいはほかの災害であるとか、いろいろ人間社会が立ち向かわないといけない危機というのは、すでに経験したものだけでなく、将来にも幾つか想像がつく可能性があります。それに対して科学技術は何ができるのかというのを今後仕込んでいくことによって、今回のパンデミックみたいなことが起きたときに、もっと早く日本の存在感を示せるのではないかという発言を申し上げます。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは続いて、飯塚先生、お願いできますでしょうか。

【飯塚委員】 ありがとうございます。政策研究大学院大学の飯塚と申します。私も相田先生と同様に、ああいうマッピングというのはすごく重要じゃないかと思います。やはり視点がすごく多くなってしまいますので、どういうところが欠けていて、どういうところがもう十分あるのかというところをああいう形で明らかにしていくというのは有益ですし、あともう一つ有益な点というのは、例えば文科省内でないものであって、ほかの機関であるもの、ほかの機関がそこで補完できるものとか、またはほかの政府と一緒にできるものというものを、より戦略的にマッピングできるのではないかと思います。
先ほど狩野先生もおっしゃっていたんですが、危機に備える、幾つかのシナリオを何個か準備しておくというのがこれから必要になってくるのではないかと、科学技術の進展度、それから重層的に変わっていく、変わり方の加速度というのは、今までとは比較にならないと言われていて、そのために、今のような直線的な感じで物事が考えられるという時代ではもうなくなったという認識がかなりあるので、そういったことも踏まえた上で、じゃあどういうふうにするのかというのは、すごく重要な、これは政府の役割だと思います。そこはすごく難しいことなんですが、ではその辺をどういうふうにしていくのかということは重要なんじゃないかなと思いました。
私、実は、いただきました資料の、取りまとめイメージのところをちょっと拝見させていただいていたんですが、このA、B、C、それからその後の今後の方向性で、その下にいろいろ書いてあることというのは、先ほど相田先生がおっしゃったように、要するに目的と手段のような形を砕いて書いてあるんじゃないかなというふうに思いました。1つ申し上げるとすれば、このAのところにございます、下線が引いてある我が国の研究力の強化、これはすごく重要だと思うんですが、研究力の強化もそうなんですが、先ほど武田委員の御発言にもあったように、影響力というのも多分重要で、いわゆる、どこに何を。研究力が強化されるというよりは、研究力、それも十分なんですが、研究力プラスアルファのインパクトをどれぐらいつくることができるか。そこに、先ほどSATREPSのほうでの発表にもございましたように、じゃあつなぎの部分をどうやっていくのかと、そこにどういう形でほかの、今まであまり表立って出ていないアクターが入れるのかというところを併せて考えていくといいのではないかと思いました。
以上です。ありがとうございました。

【岸本主査】 どうもありがとうございます。ほかいかがでしょうか、前半のところですけれども。
特に、今、最後のまとめのところのコメントもいただいたわけですけれども、戦略をつくるに当たって、できるだけ多様な視点、まだ議論を発散させておきたいなというところがありまして、例えば、この論点1、論点2とあって、これで大体出尽くしているのかどうか、もっとこういう観点があるんじゃないかというのを少し、まとめる前にそういったところを御意見いただけると、まとめの作業のほうはまた事務局のほうで、頭を絞ってやってくださるので、できるだけ、こんなことがあるぞと言っていただけるとありがたいなと思っています。
私からは、この論点1とか論点2を見ていた段階で、その前段階になるかもしれないんですけれども、この戦略というのは国費を投入してやるべき国際交流・協力というふうなことの戦略ではないかなと思ったときに、何で日本のお金を海外で使うのか、それの答えというのが、この論点1、論点2、科学技術・学術といったときに、尽くされているかどうか。例えば、私、人文社会科学系の先生の方にお聞きしたいんですけれども、その上で、ここに書いてあることで、そういった分野の先生方がされている今の学術活動というのが尽くされているのであればいいんですけれども、もっとこういうところがあるぞというのをおっしゃっていただけると、ここが膨らむのかなというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

【林委員】 よろしいでしょうか。

【岸本主査】 林先生、お願いいたします。

【林委員】 この論点1、論点2を見せていただいて、すり合わせたらこんな感じかなというふうには思いました。ただやはり、何というんですか、相手方にとって役に立つということは、結局、平たく言うと人類のために役に立つ、幸福の役に立つということが必要で、ある種の高邁な高い目標をまず掲げる、それに向かって日本国としてどうやっていくか、日本国の持っている国費が投入されてそこにつながっていくという大きなビジョンみたいなものを最初に掲げることが大事かなというふうに感じました。
以上です。よろしくお願いします。

【岸本主査】 ありがとうございます。
では、続いて小川先生、お願いいたします。

【小川委員】 ありがとうございます。今、国費を投入して行うという御発言がありましたので、それに関連して、産業界の立場から申し上げたいと思います。科学技術の分野で国費を投入するという話で必ず付きまといますのが、ここまでは国費である、ここからは民間であるというお話でございます。もちろん大切な血税でございますので、その使い道は、厳格に考えていく必要があるということは私どもも重々承知しておりますけれども、大切なのは、ここまでが国費、ここからが民間というところのつなぎの部分ではないかと思っております。先日の議論でも申し上げましたけれども、研究開発のところから実装まで切れ目なく行って、初めて本当に社会課題の解決につながると思っておりますが、この国費と民間の部分が切れてしまいますと、せっかくの成果が最後まで、実装までつながらないということになろうかと思います。ですので、お金の出どころは分かれるかもしれませんけど、そのつなぎ目のところをしっかりするということをお願いしたいと思います。
そういう意味では、国費というと、必ずと言っていいほど省庁の予算というものに分かれてくるということで、またここの切れ目というのも結構、いつも問題になるところではないかと思います。文科省さんの国際関係の予算のほかにも、他省庁さんのいろいろな国際関係の枠組みがあろうかと思います。例えば研究の段階が移るにつれて、他省庁さんのほかの枠組みにつないでいくということもできるかもしれないと思っております。そういうところで省庁間の壁というものも取り払って、ぜひ有効に支援して、最後まで、実装までつなげていけるような、そういう絵を全体的に描いていただきたいと思います。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。
須藤委員、お願いいたします。

【須藤委員】 ありがとうございます。今いろいろな意見が出ていて、私も大部分が賛成なんですけど、少しネガティブな点をこの辺で解決しておいたほうがいいのかなと思って発言したいんですけれども、前回も話に出たエマージングテクノロジーとか重要な技術に関して、どこまで情報を出す必要があるのかという問題が出てくると思います。例えば論文として、Top10に入るような論文をどんどん出すと、その中は当然レフェリーというのがいて、そのレフェリーの半分近くがあまり日本と親しくないような人たちがレフェリーをやっていて、情報がどんどん筒抜けになっているという話も最近よく聞く話ですし、また留学生の問題も、いろいろな問題が出ているということもあると思います。
最近いろいろな、サプライチェーンが分断されるような話というのも出てきていますので、こういったネガティブな、国際連携する上でネガティブな面というのは当然出てくるので、それで終わってしまうとこの委員会も意味がなくなってしまうので、そういったものを一つ一つはっきりと出していって、どうやってそれを克服して国際協調をするんだろうかというところまで話を発展させて、きちんとした、日本の国、日本の国力を上げるための戦略をしっかりつくって、堂々と世界に打って出るようなやり方をしないとまずいのかなという気がしています。もちろん今のまとめてくださった中にも、よく読むと入っているんですけど、もう少し具体的にネガティブな面を書いて、それを一つ一つ、どう克服して、どうやって国際協調するかということを議論すべきではないかなというふうに感じました。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは、続いて松本先生、その後が礒田先生ですね。よろしくお願いいたします。

【松本委員】 松本です。1点、付け加えるとすると、また違う視点ですが若手の育成、特に学生の話です。基礎研究の連携という立場で、後半のスーパーグローバルの事業の話題にも関係するのですが、海外の大学とジョイントディグリー制度を設置する際、法人支援課が求める作業がすごく多い。先方の大学が嫌になってしまうぐらいの資料をつくらなければいけないという状況があるんですね。つまり、先ほど省庁間の連携というお話がありましたけれども、文科省内の中の別部署の考え方がまだまだ国際化されていない部分もたくさんあると思います。WPI拠点として研究から教育にまたがる案件をやっていく中でそのことを強く感じるので、ぜひそこは省内でも調整いただければと感じています。
それから国際のネットワークを構築する人材の話で、とくに基礎科学の関係の状況で言えば、最初の石原先生は基礎科学ですが宇宙関係の研究はやや特別で、国際ネットワークが絶対必須な研究です。しかし、大学にたくさんいる基礎科学の研究者、主に理学部中心かもしれませんが、これらのひとたちは、国際連携は必ずしも必要ではないが、必要があれば作っていく、そういう分野がかなりの部分を占めていると自分は認識しているのですけれども、そのときに、国際ネットワークの下地は必要に応じて研究者がつくりますが、それを本格的に実施するときに、これは前回も言いましたが、やはり国際連携を担当する人材、そういうことをやれる人材が必要になる。
それを担うのは、大学だと今はURAというシステムになっていると思うんですが、実はURAの活用というのがまだうまくできていない状況があり、社会的な地位とか大学の中での地位がよく分からないというか、ちゃんと確立されていないように思うんですね。これを作っていく必要があると思っていて、社会的な地位、例えば大学で理事という立場であれば、すごいねと思われるけど、URAですと言うと、研究者から若干ドロップアウトしたようなイメージみたいなものを持たれてしまう。しかし研究者は、URAに転身したらすごく活躍できる人ってたくさんいると思うんです。そういう人に関して、十分そういう人材を活用できるようにできるとよい。研究者は、研究者を一度始めてしまうと、もう無理だなと思っても、やめようがない状況がありますので、そういうキャリアパスの道筋を作ることも必要だと常日頃から思っているところです。
ちょっと雑駁な話ですみませんが、以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは、続いて礒田先生、お願いいたします。

【礒田委員】 ありがとうございます。狩野先生が整理してくださったアイデア、非常に今後の議論がしやすくなると思いました。また、先ほどのご意見にありましたネガティブな部分も含めて、このような整理は非常に重要だと思いました。それと、武田先生の御提案で、日本が今後重点化する分野を決めていくというのも非常に戦略的には重要だとは思います。ただ、長期的に見たときに、あのとき少しおろそかになっていたかな、ということが起きるのは困るかなとも思ったり、いろいろ本当に難しいところと思いました。
あとは、国際協調ありきで議論すると、そうなっていくところもあると思うんですが、実は日本人のグループだけでも、すごい先端的な、世界をリードするような研究というのもたくさんあると思いますので、そのときに指標として国際協調ありきであるのがいいのかどうかというところも少し気になりました。あとは、意外と知られていないかもしれないんですけれども、例えば化学と生物の融合とか、材料科学とライフサイエンスの融合とか、あるいは文理融合とか、そういう融合研究の足し算あるいは掛け算の成果というのも日本は非常に得意なところではないかと私自身は思っておりまして、それは恐らく文化的な背景もあると思うんですが、割と自分の専門だけを競争していくようなところが海外にはある一方で、日本の中では非常に融合的な研究というのが、すごく協調性がある中で育まれているようなところもあると思いますので、そういった観点も、ぜひ評価のポイントや指標になっていけばいいのかなと思いました。
あとは、やはり国際共同研究でも、実験研究ですね。実験を実施しなければいけないような、例えばライフサイエンスとか材料科学とか、いろいろ分野があると思いますが、実験研究の場合は、やはり先進国同士は非常にもう準備が整っていますけれども、途上国と底上げをしながら、また、ある程度のところでさらに上を目指して共同研究するという部分については、やはりSATREPSという枠組みは非常に重要だと思います。後半の話になるとは思うんですけれども、技術移転の在り方というのも、日本の本当にきれいな科学技術外交政策の中で育まれてきているのではないかと思いますので、その辺りもぜひ評価の対象にできればと思いました。
以上です。

【岸本主査】 どうもありがとうございました。前半のほうの議論について最後に武田委員に御発言をお願いしたいと思います。それで次の課題のほうに行きたいと思います。よろしくお願いします。

【武田委員】 ありがとうございます。まず狩野先生へのフィードバックなんですが、1点、マトリックスで整理するという論はよいと思います。横軸は大変よくできていると思うんですが、縦軸が目的と書いてあるんですが、目的が研究者だとか産業界だとかそういうことが私少しよくわかりませんでした。目的関数はスカラー量でないと最適な戦略というのを生むのは難しいと思うので、やはりここは国がいかに強くなるかというような1次元になるような軸にしてはどうかと思います。
それから、同じく狩野先生から、短期は産業界で、中長期をアカデミアでという、そういうようなニュアンスのこともおっしゃったんですけれども、研究開発が今日明日の国力にダイレクトにつながってしまっているということを考えると、小川委員も言われたみたいに、アカデミアがここまでやって、バトンタッチして産業界でという、そういう時代ではどうもなくなってしまっている分野もあって、もうそんなこと言っていられる時代じゃないんだという、その危機感をやっぱりばねにしていかなくてはいけないのかなというふうに思います。
例えば日立のような会社が利益1兆円で、税金を5,000億納めているとすれば、これが研究開発によって利益が2兆、倍増になったり、すぐに半減したり0になったり、世界ではそういう状況になっていると思いますが、そうすると税金が5,000億増えたり減ったりするわけです。5,000億という額は、日本の国研全部の予算を合わせたより大きい額ではないかと思います。だったら、もし国研が総出で、日本の企業を強くするような、納税を倍増するような貢献をして、その貢献が証明できれば、これを全部国研に再投資しましょうと、文科省が堂々と言えると思います。そのようにして研究費をどんどん増やしさえすれば、基礎研究も含めて以前のように潤沢にどんどんできるようになるのではないかという、そのポジティブサイクルをつくっていくというのが国としてつくるべき戦略の1つの柱ではないかなというふうに私、思いまして、以上、狩野先生のプレゼンからのフィードバックになります。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは後半に行きたいと思いますが、その前に、この論点2のところで「科学技術力の持つ戦略的意義が変わりつつある中で」というのをどう捉えるかという、その捉えるところの人たちというか、専門家、それによってどういうふうにそれぞれのところを展開するかという、そこのところをもうちょっと強くしないと、今後、国際戦略、結局いろいろな国際交流事業は、私たちが自分で研究したいからとやっているところなんですけれども、それがどういう位置づけにあるかというところを、こういう委員会だけでやるのか、ちゃんと持続的にそういうところの戦略の状況、海外がどういう手を打っているのかとか、その中で日本はどういうことをやったらいいのかというようなところをきちんとやれるグループを持つということも大切かなと、今日のお話を伺っていてそう思いましたので、そういったところの戦略をつくるに当たっても、戦略をつくるための組織をどうするかというところの検討も要るかなというふうに思いました。
それでは次に、幾つか具体的なプロジェクトについて御紹介いただいたところで、現行あるプロジェクト、国際関係事業ということで文科省が取り組んでいるものを俯瞰的にまとめていただいたわけですけれども、特にその中でSATREPSのお話がハイライトされているわけですが、実際にこれに関わっていらっしゃる委員の方もおられるとお聞きしていますので、そういった実際に取り組まれた観点から、例えばこのプログラムの課題だとか、もっとよくするにはどんなところがあるのかというようなところをまず御発言いただいて、あとその上で、文科省全体で今取り組まれている国際関係事業について、よくしていくというか、いろんな課題があれば、そういうことを御指摘いただいて、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
今手が挙がったのが、狩野委員が挙げていただいたんですか。

【狩野主査代理】 挙げたんですが、私は直接担当者ではないので、先に担当者の方、お願いします。

【岸本主査】 実際に御担当された委員の方はいらっしゃいますか。
礒田先生がされていらっしゃるので、よろしいでしょうか。では、礒田先生、お願いいたします。

【礒田委員】 ありがとうございます。私は5年のSATREPSを2期やりまして、2期目が今、コロナウイルスの関係で1年延長ということで、今年度までの予定でございます。対象国はモロッコ、チュニジアの2か国で、マグレブ地域での多国間の案件になります。
私の専門は食薬資源の研究で、生物資源領域で行っておりますけれども、前回もお話ししたように、最初の5年間は共著論文を積み重ねていくというような、学術的な共同研究を蓄積していくということで、機材、先端機器の投入もODAの枠組みで、JICAのお世話になりまして投入し、また、かなりの数の学生、または若手の研究者を日本に招聘し、技術移転にも取り組みました。またその次の、フェーズ2といいましょうか、2回目のSATREPSでは、地域を広げて、対象とする生物資源も増やし、1回目のときよりは非常に技術移転もスムースにいったと思います。ただその中で、非常に産学連携、また社会実装、産業化というところ、将来的には雇用創出につながるような研究成果をというニーズが非常に大きかったということで、実際に現地の企業と現地の研究機関でMOUを締結する、また日本側も日本の企業、10社以上、このSATREPSの事業に参画いただいて、共同研究契約を結ぶということで、その中で、現地の企業と日本側の企業がまたマッチングできたという例も出てきました。
ですので、やはり学術的な基礎的な研究から始まって産学連携、さらにその経済効果という、地域経済開発ということになりますと、そういう専門のメンバーのバックグラウンドが必要で、例えば、研究者としては開発経済の先生や、人文系の人類学の先生もいれば、我々理系のライフサイエンスの研究者だけではなくて、文系の先生方、社会学の先生方にも深く入っていただくということも必要ですし、また、産業界のほうですね。様々な企業の方に、どういうシーズに興味を持たれて事業化を考えたいかという視点で、SATREPSの事業に参画いただくということもありました。ですのでやはり、社会実装と一言で言っても、それをどうやって実現して途上国の雇用創出までつなげる、科学技術外交の枠での研究事業ということですので、このSATREPSというのは、大きな予算もとてもありがたいものなんですが、やはり戦略的にかなり進めなければいけないという難しさもあると思います。
それと、前回のときも申し上げましたが、マグレブ地域は日本から非常に遠い地域ではありますけど、欧州から非常に近いものですから、旧宗主国のフランスとか、あるいはイギリスのオックスフォードの先生方など、意外なことに日本の研究者が現地に行ってSATREPSのような研究をしているということに非常に関心を持っていただけたということも大きかったと思います。ですので、期せずしてトライアングルの研究などがどんどん始まっていっているという、そういう波及効果というものもあったと思います。
私の事業の例で恐縮ですけれども、以上になります。

【岸本主査】 ありがとうございます。それで、先生のこの研究期間、あと1年ということで、ファンディングとしては終わってしまうんですけれども、こういった研究を持続させるということについては、そのまま持続できる状況なんでしょうか。それとも非常に大きな課題をお持ちでいらっしゃるんでしょうか。

【礒田委員】 非常に重要な点だと思います。ぜひまた続けて申請なども、SATREPS以外のものを含めて研究費の申請は努力したいと思うんですが、一方で最近、アントレプレナーシップのプログラムを、やはりJSTのSCORE事業とかSTART事業という文科省系の事業もありまして、そういう中で私自身もそのSCORE事業で、最近大学ベンチャーの立ち上げ、創薬支援ベンチャーなんですが、立ち上げをいたしました。研究者自身がやはり現地に長く行っていろんな研究をしてきたものについて、現地にも裨益できるような産業化ということを自分自身のベンチャー創出などでも実現できればという夢も持っておりまして、もちろん国費で、競争的資金で継続して努力する部分と、産業界の方と一緒に共同研究していく部分と、あと自分でも努力するという部分、その辺りで継続していきたいと思っております。
というのは、いろいろ考えましても、やはり人と人とのつながりというのが非常に長く続けられるということが一番財産なのではないかと思っておりまして、前回そういった発言をされた先生もいらっしゃいましたが、本当にそこは現場でやってきた立場としても非常に大きく感じるところでございます。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは続けて、狩野先生、お願いします。

【狩野主査代理】 恐縮です。私は別の役割で、このSATREPSとかSICORPの成果について国外に訴えるような役割をしていたことがありました。そのときに思ったんですけれども、これを外に向けて日本の取組と言えるほどの割合の大勢の人がやっているかという視点も必要かなと、ちょっと思ったことがありました。統計によりますと、研究者人口が日本全国で85万人といっており、その中で公的機関に関係している人が4万人弱といっており、その中で、例えばSATREPSですと、今日の資料に基づきますとおよそ150件が採択というように見えるわけですけど、それはつまり85万人を分母にすれば5000分の1、4万人を分母にすれば、それでも250分の1ということになります。これを一体どこまでその関係する科学者の割合を増やしていこうとするのかということも、政策的な面でバランスどうするかということに関係することであろうと思います。
どうしてもトップダウン型にする場合、複数の事例が並ぶと、それだけで我々聞いていると頭がいっぱいになって、ああ、たくさんあってよかったですねと言いがちです。けれども、全体数の分母と比べたときに、割合の問題ということを考えると、日本の国力がどのぐらいかという問題は先ほど武田先生からも縷々いただいたところで、何とも言い難いんですが、その中でどのぐらいの国費を、こういう外に向けた印象形成、あるいは実際の人の縁のつながりということに向けていく、あるいはそこにどれぐらいの研究者の人が関わっていくのがいいかということは、政策で考えるべきことの1つかなと思って、発言申し上げました。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは、飯塚先生、お願いします。

【飯塚委員】 ありがとうございます。先ほどの狩野先生の御発言と、ちょっとフォローアップするという感じなんですが、発表の際にスライドで見せていただいたプログラム、プロジェクト、見させていただいたんですが、要するに横の連携というのはあるのかと。見てみると、何か似たようなテーマがあって、それが違う地域でやられていて、もしかしたらそこに普遍性があるのかもしれなくて、その普遍性をほかの地域で生かせるとか、それからあと、先ほどの発表ではモロッコとチュニジアということで、あとマグレブ地域をカバーしていらっしゃるということなんですが、例えば、それが地域性を持って広げられるのか。
1つ、たしかボリビアの氷河の話があったと思うんですが、その研究成果を、例えばアルゼンチンとか、それからチリ、そこもやはり氷河をシェアしていますから、ボーダーで。そういうところで反映、汎用というか、していくことができると、先ほどの案件が増えなくても、1つのコンテンツを何らかの形で広げていくと、応用していく、転用していく、そういうことができると、それでもって転用できると、より企業の方も興味が持てるのではないかと、これは、こことこことここに使えるような技術なのでと。
だから多分すごく、SATREPSの場合は地域の方が入っていますので、地域性の高い研究をされて、それはそれですごく重要なんですが、そこから普遍性のものを取り出して、転換していくことができるのかと。そういったことをもう多分、もしかしたらやられているのかもしれないですが、そういう可能性というのはいかがなものなんでしょうか。ちょっと私の場合はもともとのバックグラウンドがサイエンスでないので、もしかしたら単純し過ぎて考えているのかもしれません。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。それでは、次は武田委員からお願いしたします。

【武田委員】 SATREPSについては、前回も申し上げたんですが、日本のODAの中に占める、アカデミアがそれに参加している部分のプロジェクトの割合というのは、先進諸国の中で、10分の1ぐらいだという話もあるんです。しかも、さっき文科省からお示しいただいたリストがあるんですが、これらがすぐに大きな事業になったかのKPIでそれを評価していると、役に立っていないんじゃないかという言われ方をしてしまわれかねないと思います。でも、このODAの目的ってそういうことだけではなくて、先ほど先生も言われたように、特にアカデミアが一緒になっていると、物を納めてしまった後もずっと長く人的な交流がつながる傾向にあるというのは特に日本は明らかです。この長期の価値を何とか視える化して、諸外国も、先進国もそれを使っているわけですから、産業界や国力の維持に。だからそれでこのSATREP予算の10倍化を目指していくというのが戦略ではないかと私は思います。
ODA全体のお金が変わらないとすれば、産業界に来るお金が減ってしまうんですが、産業界はODAで利益を上げるというよりも、さっき申し上げたような意味で、もっと主戦場で戦うので、それをアカデミアに応援していただくということで、それはまた全然別の目的になるんじゃないかなと、全然別の議論で、分けて考えたらどうかというのが私の意見です。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは続いて、相田先生、お願いいたします。

【相田委員】 この資料の26ページ目を見ながら発言させていただきたいんですけれども、これだけの事業が今現在動いているということですよね。それで、額としては、ほかの先進国と比べたらとても少ないのかもしれないけれども、これだけのことを随分長い間やっていて、どういう成果が上がっているのかというのが、もうちょっと明確に示せるようになっていてもいいんじゃないかと思うんです。前回の委員会のときにいろんな資料を事務の方が準備していただいて、御説明していただいた中で、研究力をはかるものとして論文数だとか国際共著論文数とかトップ10%とか、そういうものしかないので、数値としては。なのでそういうものばかり示してくださったのだと思います。それは分かるんですけど、でも、これだけのことをやってきていたら、もっとどういう指標を示せば、何も論文数だけではない、これだけのことをやったんだということを、もうちょっとちゃんと相対的に評価ができる指標化というのをやらないと、頑張ってやったとか、いろいろなところに役に立ったという、そういう定性的な言葉だけだと、やはりちょっと説得感がないんじゃないのかなと思うんです。
なので、先ほどの狩野先生の話のところにちょっと戻ってしまうんですけれども、大きな目的はもちろん目的でいいんですけれども、それをはかるための、もうちょっとかみ砕いた指標化という、適切な指標化、それが、これだけの事業をやっているので、もうちょっと何か出せるべきではないかなというふうに思いました。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。
SATREPSの話で大分御意見いただいたのと、それと今、相田先生からは、全体を見たときに成果というのをどう捉えるのかという、そういうお話もいただいたと思いますが、次は、もう一度、武田先生ですか。

【武田委員】 すみません、今の御発言で、だからSATREPSのKPIは人的交流をつくったというようなのが主に来るべきではないかというのが私の主張です。でも、それは今、このリストにあるような直近のものだけでは評価できないから、もっと10年、20年前にやったものが本当に産業的にも役に立ったみたいな事例をとにかく集めて、ビジュアライズしたらどうだということがもう一つの御提案になります。
それからもう一つ言いますと、今、私、JSTのSDGs支援事業の主査をやっているんですが、それがここに入って、これだと一番上のSICORPの中に入るのでしょうか。そこでは私、先生方に御案内して、スタートアップに資金的な供与をするための集まりというのがあって、そこへ入って、そこでの産業界との出会いというのを積極的につくろうとしています。産業界というと、製造業の研究所が一番アカデミアに近いと思われがちですけれども、そこと、このSICORP、あるいはSATREPSなどは、企業としてはあんまり親和性がよくないかもしれません。産業界としては、むしろ金融界との結びつきみたいなのも1つ、もう少しつくっていったらどうかなというのが、私のもう一つのアクティビティーになっています。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。ほかの御意見いかがでしょうか。
今の御意見も伺いながら、この26ページのところで、それぞれが何を実現しようとしてやっていたプロジェクトで、それに対してどういう状況にあるのかとか、もしこのプロジェクトが思ったような成果を上げていなければ何を直していくのか、それ全体を考えながら予算をつけていったりプロジェクトをつくるというのが、なかなか私としては捉えにくかったかなと。ということで、これは、俯瞰的なものをつくってくださいとお願いしつつ、これから戦略をつくる中で、それをこれからもう一度整理して、ある種国際関連事業が一個一個個別にあるのではなくて、文科省としてはこういう状況になっているし、他の省庁と考えるとこうだしということで、そういったところをやっていくためと、戦略をつくることが、多分キャッチボールしながら進んでいかないと、戦略をつくったら、そっちのファンディングとかというのではないので、つくったら全てがそれで動くというよりは、お聞きしていると、そういうような、つくってみて、実際のプロジェクトがどうで、そのプロジェクトを改良したらどうなってというような、継続的に戦略も見直しながら進んでいく必要があるのかなというふうに思った次第です。
あともう一つは、SATREPSにしても、本当に先生方が御努力されているんですけど、それと一緒に、例えば産学連携をやろうとすれば、伴走してくださる人とか、直接のこの事業推進だけではなくて、もうちょっと幅広に伴走してくださる方。例えば現地に行って非常に大変でというときも、つながりがなかなか、いろんなプロジェクトが縦割りに入っていくと、組織的に入っていけないと、本当に1つの国に1つのプロジェクトで、その先生だけがやっているみたいになってしまわないような、もう少し幅広いプロジェクトのつくり方とか、プロジェクト全体をマネジメントしていくとかというやり方がこれから必要なのかなというふうに、これを見ていて私は感じた次第です。
そういう意味でも、狩野先生がおっしゃられたような、どういう表にするかというのは、今日武田委員のほうからも御指摘があったので、それについてはぜひ事務局とか皆さんで考えて、分類分けとかそういうことによって、もっとよいやり方というのを探っていけるのかなというふうに思いました。
一当たり御意見いただいたところでありますけれども、もし、これはということがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、相田先生、お願いします。

【相田委員】 すみません。この26ページの表を見ていて、それから先ほどのお話を伺っていて、こんな事業はないのかなと思って、あれば教えていただきたいんですけれども、以前、私、ポストドクターのキャリアスタート支援のプロジェクトをやっていたことがあって、そのときには研究者養成のものだったんですけど、そのときにURAを養成するプロジェクトもあったと思うんです。その後継事業、URAを育成するプロジェクトというのは、最近そういえば聞いたことないなと思います。文科省の事務の方も二、三年で結構異動なさるし、大学の教員も、もちろん一生懸命、御本人はやる気は十分あるんだけれども、やはり、教員だけでは大変で、例えば大学のURAの人にこういうのを頼みたいと思っても、URAの多くの方は国際的なことに、経験がなくて、対応していただける人が少ないのが現状です。一緒にやってもらえればもうちょっと何とかなるのにって思うときが多々あるわけです。
なので、ある、この1つの事業だけではなく、いろいろな目配りをし、将来的なことも考えつつ支援できるような学術支援員なのかURAなのか、ちょっと名前は分かりませんけれども、そういう方を育成するプログラムがあってもいいんじゃないかと思うんですけれども、今もう既にそういうのはあるんでしょうかというのが質問です。

【岸本主査】 いかがでしょうか。36ページのところに個別支援と組織支援と書いてあるような整理があるんですけれども、まとめていただいた意味で言うと、この組織支援のところでURAの人たちがどれだけ育成されるかというのですけれども、これを見る限り、ないんじゃないかなと思います。そういう理解でよろしいでしょうか。では有賀さんから、お願いします。

【有賀戦略官】 お答えいたします。文部科学戦略官の有賀でございます。今日はありがとうございます。今御質問いただいた点につきましては、実は先ほどの26ページの表というのは国際関連事業ということだけに限定して書いておりまして、URAについては、すみません、担当外なものですから、ちょっと今把握しておりませんので、その点は確認をさせていただきたいと思います。

【岸本主査】 よろしいでしょうか。

【相田委員】 URAの有用さは、本当に今、どこの大学でも皆さん感じていると思うんです。URAの方で国際的な活動をなさっている方ももちろんいらっしゃることも分かるんですけれども、ただ、組織的に本当にこういうことをやるためには人が必要だと、本当に今強く感じました。ぜひよろしくお願いします。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは続いて、松本先生、お願いいたします。

【松本委員】 今の件に関係して、現在URAを雇用している財源は研究大学強化促進事業になっていると思うんですけれども、その中でURAのキャリアパスを考えるとか、能力の標準化をしようみたいな検討はされていますけれども、やはり広報的なことであったりアウトリーチ的なことであったり、産学連携も多少入っているかもしれませんが、そういったところに視点が置かれていて、国際連携を担う、という観点が足りていないように思います。それを教育するというプログラムも、サイエンスコミュニケーションみたいなことに関してはいろいろありますけれども、誰が教えるかというと、結局国際連携をやったことのある人を集めて、それで教育をするプログラムをつくるぐらいしかないと思うので、そこをつくっていく作業を進めることになるだろうと思います。なおWPI拠点では自分のところに必要な人を自分たちでなんとか見つけて、身分としては教員とか、URAという身分を使っているところもあるとは思いますけれども、そんな形でなんとかやっている状況だと思います。
だから、これは最初のほうにも言いましたけど、やっぱり人材育成の仕組みを、国際的な連携の人材育成の仕組みがやはり必要だと思います。

【岸本主査】 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。
石原先生、最初に御発言されたところでありますけれども、またお聞きになっていて何か御発言があればと思いますが、いかがでしょうか。

【石原委員】 今のお話の国際研究に対する支援、協力体制というのは、非常に私も感じているところです。前回第3の論点であったポストコロナ、コロナ後の在り方ということについては、今回まだちょっと議論されていないと思うんですが、若者、今回もう既にネットワークがある方たちは、このリスクを低減、海外とやり取りをするということで、例えば自国がロックダウンしている間に、サポート的にほかの国がその部分を進めて、途切れることなく実験を進められたという状況がありまして、今まで以上に、そういう意味では協力し合うという体制ができたんですね。それは1つのメリットであったと思うんですが、その反面、やはり若手の方に聞きますと、成果を出したところ、成果を出すまでももちろんハードルが高くなっているんですけど、出して、それを国際発表して、そこで例えば偉い先生に見てもらう、声をかけてもらって、人脈をつくって新しい場所に羽ばたくという、もうそこのところが本当に途絶えてしまって、それは非常に危機感を覚えています。
ですので、ポストコロナについてもう一つ加えていただきたいのは、やはり国際発表する場所を、若手、特に今後強化すると。例えば日本で行う支援で、例えば若手を必ず一定数、プレナリートーク的なものに採用するとか、そういうちょっとサポートが必要になってくるかなというのを、ちょっと今思い出したところです。

【岸本主査】 ありがとうございます。まだ議論尽きないかもしれませんけれども、残りの時間も大分少なくなってまいりましたので、次のところに移りたいと思います。
それでは、2の国際戦略策定に係る論点整理ということに移ります。事務局より、取りまとめのイメージについて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【有賀戦略官】 文部科学戦略官の有賀です。37ページ、資料4に基づきまして御説明します。少々気が早いかもしれませんけれども、第1回の議論を踏まえまして、現時点で考えられる本委員会の取りまとめのイメージをドラフトしたものでございます。
まず1ポツとして、第1回でも御紹介したような、第6期基本計画に示された国際に関する現状認識を整理して、記載することが考えられると思います。大きな点としましては、例えば科学技術・イノベーション分野における国家間の覇権争いといった観点の状況変化が挙げられておりました。
こうした現状認識を踏まえまして、2ポツでは、前回、それから今回も相当ありました、議論していただいた論点1、すなわち科学技術・イノベーションにおける国際交流・協力の目的について、本日の最初の資料でも御紹介した御意見を、大きく3つにグルーピングしております。この点は、狩野委員からありましたマッピングの上の部分に、ある意味対応するのかなと、さらにここを細分してはどうかという御意見もありましたけれども、さらに細分化されたものがあるかと思います。
A1は、我が国の研究力の強化、これも研究力の強化だけではないのではないかというお話もありましたが、例えば要素としては、戦略的な技術の確保、良質な研究成果の創出、国際研究ネットワークへの参画、多様性、あと人材育成も重要ですが、こういったものが挙げられると思います。それからB1では、社会課題の解決ということで、地球規模課題やSDGs課題の解決であるとか、研究成果の社会実装といったものが挙げられると思います。それから、もう一つ大きな固まりとしては、科学技術外交の推進ということで、価値を共有する国、それからほかの国との友好関係の維持・強化、こういったところがこの前の議論でも挙げられておりました。ここには、今日の議論でも追加されたものについて、追記をするということを考えたいと思います。
こういった科学技術・イノベーションにおける国際交流・協力に関する施策を実行する場合には、研究分野や相手国、手段も勘案して、適切な目的を明らかにしておくことが必要というふうに考えております。このときにちょっと難しいのが、施策をそれぞれ実施するときに、目的は1つではなくて、重層的に目的がありますので、その点をちょっと図示するのが比較的難しいかなというのが、1つ、ちょっと感想としてあるところでございます。
次に、3ポツの(1)では、方向性となっておりますけれども、前回、今回と議論していただいた論点2、すなわち国際交流・協力を推進するに当たって考慮すべき観点について、本日の最初の資料でも御紹介した意見を整理したものでございます。これも大きく3つに分けてございまして、1つは研究力強化の観点ということで、その研究の中身が我が国にとって重要な先端技術分野であるか、また協力する相手国が戦略的意義に照らして適切な連携相手であるか、我が国と相手国、両方とも裨益するのかとか、あと、それぞれの相補関係、こういったところも重要な点だと思っております。
それから、B2のほうには、社会課題解決の観点ということで、社会実装への道のりが得られているか、それから現地のことをよく理解しているか、リスクを把握しているか、知財管理等ができているかというところがあろうかと思います。それから、C2というところは外交の観点でございまして、相手国の社会への十分な理解があるか、それから、お互いにその価値を出せるのかといった、こういった点が挙げられるのではないかというふうに思っております。
今日の議論でもいろいろいただきましたので、その点はさらに追記をしたいと思っております。今後、国際交流・協力施策を推進するに当たっては、上の2ポツの目的に照らしながら、研究段階及び分野ごとに、また相手国の特性に応じて、このA2、B2、C2という観点からも必要なものを見極めて取り組むということが必要と考えております。
3ポツの(2)では、ウイズ/ポストコロナにおける国際交流・協力の在り方について記載しています。施策ごとにリモートの利点、一方、対面の利点もございます。こういった点をよく理解して、両者を適切に組み合わせるということが必要かと考えております。
その下は今空欄となっておりますけれども、本日の個別事業の御説明の際にいただいた御意見も踏まえまして、文科省の個別事業の今後の方向性について整理をして記載するということを考えております。この点、今日も議論の中で、目的をはっきりしてということ、それからいろいろな観点があるだろうというところもございましたので、今日お話しいただいたSICORP、SATREPS、それから頭脳循環関係の事業以外についても、このところで我々としても記載していきたいというふうに考えてございます。
以上、粗々なイメージですので、足りない点、それから改善すべき点などございましたら、広い視点で御意見いただければと思います。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。それでは、残された時間僅かですけれども、個別のところにどういうものを入れていくかというのは、また議論ができる機会もあるかと思いますが、全体の取りまとめのイメージに対して、こういう方向性でよろしいでしょうか。観点で抜けているのがあれば、こういう取りまとめのイメージの中に入れたらいいではないかとかというのがあれば御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、狩野先生、お願いします。

【狩野主査代理】 ありがとうございます。先ほどから、公共的投資によるものと、それから産業界の投資によるものの分担といいますか、つなぎといいますか、そういう議論がありました。これについては今あまりここに入っていないような気もするので、少しその観点として加えていただいてはどうかと思います。もちろん議論が収束するかどうかは分からなくて、収束すれば入れていただければと思います。
もう1点が、使われている用語についてです。研究力という用語はもちろんあちこちで使われてはいるんですけれども、先ほど来議論がありましたとおり、その定義は実はそこまで明確ではないといいますか、いろいろな定義があり得ると思います。ですので、この辺りを少し明確にしながらということになるのかなと存じました。すみません、若干内容に入ったかもしれません。そんな意見を持ちました。
ちなみに、内容で一言だけ加えさせていただくと、(2)のところについては、OECDなどではこのポストコロナに関して、より人間社会がレジリエントになるような方向を考えましょうという議論が昨今あります。そのために、それを意図して今日の発言を一部したところがございます。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
武田委員、お願いいたします。

【武田委員】 この3つに分けるのは大賛成で、それごとにKPIをきちんと決めて、それで戦略を決めていくというのは、より具体化する(聴取不能)ですが、この序文、なぜこの3つなんだというか、だからやはりこの3つが肝であるみたいな序文で始まると格調が高くなるのでは……。

【岸本主査】 武田委員、ちょっと通信の状況が悪いようですけれども、最後の御発言のところが。

【武田委員】 聞こえますか。

【岸本主査】 はい。今、大丈夫です。

【武田委員】 すみません、途中で駄目になったということですか。

【岸本主査】 KPIのところまでは聞こえたんですけれども。

【武田委員】 この3つに分けるのは非常によくて、特にこういう形で戦略にブレークダウンして、それでKPIをしっかり決めてというのは大変いいんじゃないかなと思います。
聞こえますか。

【岸本主査】 はい、聞こえます。KPIをしっかりつくってというところまでは分かりました。

【武田委員】 KPIをしっかりつくって、それに対する戦略に落とし込んではいいんですが、なぜこの3つかという話について、序文のところ、この3つが科学技術でいかに本質的であるかというのを、きちんと書いて始めると、格調が高くなるんじゃないかなと思います。
すみません、通信回線があまりよくないみたいなので、これでやめます。聞こえなくてもそれで結構ですので。

【岸本主査】 分かりました。どうもありがとうございます。
続いて相田先生、その後、須藤委員ということでお願いしたいと思います。

【相田委員】 この3つの項目と、先ほど狩野先生がまとめていた4つの項目との関係が、ちょっと今、見比べていて、どうやってまとまるのかなと思いながら見ていたんですけど、なので、3つがいいのか、4つがいいのか、これは統合されるものなのかよく分からないんですけど、武田先生がおっしゃられたように、とにかくもうちょっと、何というか、必然性がちゃんと全体にあって、その結果3つなり4つなりという項目にちゃんとやって、それぞれについてきちんと、もっとかみ砕いていけるように、論理的に説明できればいいかなと思います。
以上です。

【岸本主査】 ありがとうございます。
それでは続いて、須藤委員、お願いします。

【須藤委員】 この3つに分けたのにちょっと関係するんですけれども、社会課題の解決というのは非常にいいと思うんですけど、第6期の科学技術基本計画を見ても、新たな価値の創造というのがもう一つの柱にあったような気がするんですよね。それなので、社会課題の解決はもちろん重要ですけど、その課題だけではなくて、新しい価値をつくるというようなことも含めたほうがいいのではないかなという気がしています。

【岸本主査】 ありがとうございます。私も同じようなことを考えていまして、もっと、価値を創造していくとか、相手国と一緒になって新しい価値をつくっていくというのが入ると……。

【須藤委員】 そうですね、はい。

【岸本主査】 そういうことでポジティブに進められるような形になっていくといいのかなと思います。ありがとうございます。

【須藤委員】 ぜひお願いします。

【岸本主査】 はい。あと、ほかいかがでしょうか。
あともう一つ、この方向性の中で先ほど出ていた中では、こういったプロジェクトが組織的、継続的に対象国と続けるような仕組みを、今まではあまりつくってこなかった。それはURA、先ほど御指摘もありましたけれども、そういった人材も含めて考えていただけるといいのかなと思いました。
まだまだ観点あるかもしれませんけれども、それで、先ほどURAのお話が出てきたところで、久永さんのほうから御説明、補足あればお願いいたします。

【久永企画官】 ありがとうございます。先ほど委員の先生からURAを育成したりするような事業というのは今とか、かつてなかったのかという話で、今やっている事業はちょっと今見つかっていないんですが、過去に、平成23年と平成24年の公募で、リサーチアドミニストレーター、URAを育成・確保するシステムの整備ということで、研究機関相手に公募したというような実績がございます。ちょっと今はそれ以上、URAのところは見つかっていません。

【岸本主査】 私の現役のときにそのプロジェクトが始まっていて、どちらかというと国内の産学連携で、例えばその方と一緒に国際展開のことをやろうというようなところの、やはり大学の支援をして一緒にやるという人があまりいないというのが今日の御指摘で、国際的なプロジェクトでもそこのところはまだ文科省としてできていないのかなという確認だったと思います。ありがとうございます。

【久永企画官】 どうもありがとうございます。

【岸本主査】 それでは、終了の時間が近づいていますので、今日の意見交換というか、議論についてはここまでとさせていただいて、また追加の御意見とかありましたら、事務局のほうにメールでもお寄せいただければありがたいと思います。取りまとめのイメージについては、今日御意見いただいた中で、事務局のほうでもこれをブラッシュアップしていただいて、中身を充実させるということの作業になるかと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
それでは最後に、事務局より、今後のスケジュール等について御説明をお願いいたします。

【生方補佐】 それでは、資料5にございますとおり、次回第3回につきましては、国際戦略(案)についての議論を予定してございます。第3回委員会の日程につきましては、令和3年5月下旬から6月上旬頃をめどとしておりますけれども、具体の日程につきましては追って御連絡を差し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【岸本主査】 それでは、本日、本当に委員の皆様から様々な御意見いただきましたので、これを事務局で整理いただきまして、次回は、国際戦略の策定に向けてさらに議論を深めてまいりたいと思います。
それでは、本日の委員会はこれで散会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。これで終了したいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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