第1章 文化資源の発掘・考証・評価 2 衛星情報による古代エジプト遺跡の探査

東海大学情報技術センター研究員 惠多谷 雅弘

2‐1 はじめに

遥か数百キロメートル上空の宇宙を人工衛星が周回している。地球観測衛星は私たちの住むこの地球をさまざまなセンサー(Sensor:衛星に搭載された検知器)で毎日観測している。この宇宙からの情報は、地球規模の自然災害の監視や環境変動などの調査・研究において、すでに欠かせないものとなっている。
「スペース・アーキオロジー(Space Archaeology)」という言葉がある。日本語では「宇宙考古学」と言う。これは人工衛星からの情報を考古学の領域に応用し、現在の地球環境を観測しながら、かつて文明があった地域の遺跡や古環境を調査・解明するためのリモートセンシング(Remote Sensing:衛星や航空機などからの調査)の新たな研究領域である。この宇宙考古学手法の活用により、近年、ナイル川流域の砂漠地帯において、日本の東海大学と早稲田大学の合同調査隊がエジプト学史上初めてとなる古代遺跡の発見に成功した。これは両大学が共同実施している”衛星情報によるピラミッド探査に関する研究”の予備調査においてなされた成果である。同時に、この発見は考古学領域における衛星情報の有用性を実証した好例であることから、ここでは文化資源の発掘・考証例として、この衛星情報による古代エジプト遺跡の探査について紹介する。

2‐2 エジプト考古学における衛星情報への期待

近年、エジプト考古学の分野では、考古学者の勘や経験に頼ってきた従来の調査手法に代わる科学的かつ効率的な遺跡探査手法の確立が望まれている。エジプト考古学において衛星情報に最も期待されていることは、砂に埋もれて所在がわからなくなってしまった古代遺跡の検知であり、この分野において、航空写真判読による遺跡調査はすでに基本的な技術のひとつとして確立されている。しかしながら、航空写真は一度に撮影できる範囲が狭く、エジプトの砂漠地帯のような広範囲の調査ではあまり適していない。さらに外国の調査隊にとっては、様々な理由で航空写真自体の入手が困難な場合も多く、それに代わる調査手法として衛星情報に対する期待は大きい。
衛星情報は、環境、災害、資源、海洋、気象などの分野において、地球規模から地域規模までの様々な調査・研究に利用され、これまで多くの成果を上げている。近年、衛星に搭載されるセンサーが高解像化し、赤外線やマイクロ波によって地表の状況がより明確に観測できるようになると、衛星情報によって密林や砂漠の下に埋もれた古代の都市や遺跡の検知や古環境の調査が可能となってきた。1982年にアメリカのNASA(ナサ)が実施した実験で、スペース・シャトルのレーダー画像がサハラ砂漠の下に古代の河川跡をとらえた結果は、その代表例としてよく知られている。

2‐3 未知のピラミッド

古代エジプト遺跡の象徴とされるピラミッドは、古王国時代から中王国時代にかけて、“ピラミッド・ゾーン”と呼ばれる古都メンフィスのネクロポリス(Necropolis:死者の都)を中心としたナイル川西岸の砂漠縁辺に沿った丘陵地帯に集中して建造された。1952年、エジプトの考古学者ザカリーア・ゴネイム(M.Z.Goneim)によって、ピラミッド・ゾーン内の砂漠地帯から砂に埋もれた一基のピラミッドが発見された。エジプト第3王朝のセケムケト王(Sekhemkeht)のものとみられるこのピラミッドは、基底部で約120メートルの一辺をもつ壮大な建造物であったが、何らかの理由によってピラミッドの上部構造が未完成なために、約4500年に及ぶ長い間砂に埋もれたまま発見に至らなかった。
エジプト考古学では、文献上、こうした未発見のピラミッドや古代遺跡がまだ幾つか存在しているものと考えられている。セケムケト王のピラミッドを含め、エジプトでこれまで建造されたことがわかっているピラミッドは王のものだけで四十数基に至るが、このうちメンカウホル王(Menkauhor[第5王朝])、ネフェルカーラ王(Neferkare[第7~8王朝])、イティ王(Ity[第9~10王朝])の3基のピラミッドに関してはその所在がいまだわかっていない。ピラミッドは王朝時代の遺跡形態の典型例と考えられるが、実はその建造目的すらわかっていないのが現状である。これらの未発見ピラミッドを探し出し、それによって得られる新たな知見によって、ピラミッドの建造目的をはじめとするエジプト王朝時代の遺跡形態のあり方や古環境を解明することがこの分野における最重要課題のひとつであろう。

2‐4 ピラミッド探査と衛星センサー

ピラミッドは、基本的にピラミッド本体、葬祭殿、そして参道によって連結された河岸神殿などで構成される複合体である。建造された時代によって規模や材質が異なり、古王国時代のもの多くは表面が石灰岩で内部には花崗岩などの石材が使用された。ピラミッド時代後期の中王国時代になると、王朝権力の弱体化などから内部材料は日乾煉瓦へと変遷し、表面だけに石灰岩が用いられるようになる。ピラミッドの残存状況を実際に調査すると、ギザの三大ピラミッドや、ダハシュールの赤ピラミッド、屈折ピラミッド等を除く大部分のピラミッドは、その後さまざまな理由で表面の石灰岩が剥がされ瓦礫の山のようになってしまったものや、建造途中で放棄されたもの、あるいは崩壊して上部構造が消失した状態にあることがわかった。したがって、もし新たなピラミッドの発見があるとするならば、こうした上部構造が未完成ないしは崩壊して砂に埋もれてしまったピラミッドである可能性が高い。
ピラミッド探査のための衛星情報であるが、本調査では可視から赤外波長領域を観測可能な光学センサーの衛星画像と、マイクロ波を利用したSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)画像を用いた。使用したセンサーは、光学センサーがLANDSAT-TM、SPOT--Pan、SPOT-Multispectral、KVR-1000、マイクロ波センサーはJERS-1、ERS-1、RADARSAT、スペースシャトル(SIR-C)のSARであり、対象地域はピラミッドや同時代の大型遺構が多数分布し、エジプト王朝時代の中心的墓域であるアブラワッシュからメイドゥームまでの地域とした(図1)。そして、これらの各センサーの画像からピラミッド探査に最適な衛星情報を選定するため、光学センサーの画像については特にピラミッドや太陽神殿などの大型遺構の分光波長的特徴やそれらの探査に必要とされる衛星画像の解像力に関して、またSAR画像については乾燥した砂漠領域内の岩盤や石材などに対する性能を現地調査によって検証した。以上の結果、光学センサーに関しては地上解像力約2メートルのKVR-1000画像が地表に残存する遺跡の形状的特徴を非常によくとらえており、一方マイクロ波センサーに関しては、乾燥した砂漠領域においてマイクロ波の地中透過性が期待できるLバンドHH偏波のJERS-1画像とSIR-C画像が光学センサーではとらえられない人工構造物や石材散布などの検知に有効なことが確認された。表1に各センサーの特徴をまとめた。

2‐5 ナイル川流域の古環境検討

古都メンフィスのネクロポリスには、4000年近い年代の歴史的遺構建造物が集中している。エジプトでは、アスワン・ダムの建設が始まる19世紀以前、ナイル川は毎年夏から秋にかけて定期的に氾濫し、河谷平地の大部分は冠水したが、その一方で、ナイル川の氾濫は、当時の都市や集落の形成にも大きく影響した。
古代エジプト遺跡の探査において、王朝時代の遺跡形態の典型例とされるピラミッドの立地条件を知ることはきわめて重要である。既存のピラミッドの立地条件と衛星画像によって特定される未発見遺跡の存在の可能性がある場所に共通点を見出せれば、発掘地点を絞り込む際の重要な手がかりが得られる。このような考えから、ピラミッドの立地とナイル川の水位変動の関係をDEM(Digital Elevation Model:標高情報)によって解析すると、ほとんどのピラミッドが建造時における石材運搬などが容易な氾濫汀線に面して分布し、さらに現在のナイル川の水位よりも20メートルほど高く、氾濫の影響を受けない海抜約40メートル以上の安息の地に築かれていることがわかる(図2)。古都テーベ(現在のルクソール)のナイル河畔に分布する王朝時代の神殿や宮殿施設の例を見ても、その大部分は洪水を避け、耕地に近い砂漠の縁辺や、小高い丘、あるいは堤防上に築かれており、このような遺跡を取り巻く地域一帯の古環境を勘案することで、エジプト王朝時代の都市や集落形成のあり方がナイルの氾濫による水位変動ときわめて密接に関わっていたことが推定できる。
以上の検討の結果、ピラミッド探査における発掘地点選定において、ナイル川の氾濫汀線に近く、氾濫の影響を受けない海抜40メートル以上の高さを有する砂漠丘陵地という立地条件を満たす必要があることがわかる。

2‐6 衛星情報による遺跡探査

本調査の予備調査において、高解像の光学センサーとLバンドのマイクロ波センサーの衛星画像解析により、これまでに3ヶ所に及ぶ未報告の古代エジプト遺跡を検出し、そのうち1ヶ所に関しては発掘にも成功した。これらの成果は今後のピラミッド探査における大きな手がかりとなるものと考えられる。
ここでは、これまでに衛星情報によって発見された古代エジプト遺跡を例として、衛星情報による遺跡探査の方法について簡単にまとめておく。

(1)光学センサーによる探査

本調査の予備調査で、首都カイロの南約25キロメートルの砂漠地帯において、光学センサーの画像解析によって発見された「ダハシュール北遺跡」は、衛星情報によって検出され、その発掘に成功したエジプト学史上初めてとなる古代遺跡である。
この遺跡の発見にはロシアの高解像光学衛星情報によるKVR-1000の画像(図3)が活用された。KVR-1000の2メートルの地上解像力は、パンクロマティック(panchromatic:白黒の単チャンネル情報)であるが、調査開始当時、入手可能な衛星情報の中で最も地上解像力に優れていた。この画像情報によって、探査対象として想定される未完成ないしは崩壊したピラミッドの地表特徴を調査すると、それらには正方形のピラミッド本体残存部の輪郭や、竪穴遺構などによく見られる円形構造などが地表に残存していることが明らかとなった(図4)。そこで、これと類似した構造的特徴をもつ地表の特異点を遺跡の空白地域から検出し、さらにSAR画像の情報や、立地条件、考古学的見地などを考慮しつつ発掘有望地点を絞り込んだ結果、38ヶ所の地点において遺跡の存在の可能性があることがわかった。このうち軍事領域や他国の調査隊の調査領域に重複する地点等を除外すると、遺物の地表散布などから王朝時代の遺跡の存在が明らかな地点が現地調査によって4ヶ所確認された。最終的に、私たちがサイトナンバー35と呼ぶスネフルの赤ピラミッドの北約2キロメートルに位置する砂漠の小丘陵が最も有望な発掘地点として選定された。選定理由は以下のとおりである。

  1. KVR-1000の衛星画像上で、未完成あるいは崩壊したピラミッドの中央に共通してみられ竪穴遺構と類似する円状の窪みが3ヵ所みられる。
  2. 円状の窪みの配置がギザなどピラミッドにみられるほぼ対角線上の位置関係にある。
  3. 周囲に撹乱を受けているものの15基の竪穴遺構がある。
  4. 石灰岩の切石やヒエログリフ(hyeroglyph:古代エジプトの神聖文字)が描かれたレリーフ(relief:浮き彫り細工)片、青色顔料が施された土器片、シャブティー(shabti:墓に副葬された小型の人形像)やファイアンス(faience:石英を主成分とする古代の焼物)製の指輪など多数の遺物の地表散布がある。
  5. ナイル川の氾濫汀線に面し、海抜約50メートルを超える標高はピラミッドの立地条件を満たしている。
  6. 19世紀にドイツの考古学者レプシウス(K.R.Lepsius)によって作製され、エジプト考古学において今も貴重な資料とされる遺跡分布地図において、遺跡の存在が言及されていない。
  7. 周囲に赤ピラミッドや屈折ピラミッドなど、多数のピラミッドが建ち並び、考古学的に重要な地域である。

エジプト考古最高会議の許可のもとに発掘調査が開始され、これまでに8期に至る調査が実施された。そして遺跡の中心とみられる小丘からは、幅約17メートル、奥行き約47メートルにおよぶ大型日干煉瓦遺構の壁体基礎部が発見された(図5)。上部構造は失われていたが、考古学的見地から、発見された遺構は建物の後方に小さなピラミッドが配置された新王国時代のトゥーム・チャペル(Tomb Chapel:神殿型の貴族墓)と推定され、その規模はサッカラにあるホルエムヘブ王(Horemheb[第18王朝])の同型遺構に匹敵し、類似遺構例の中でも最大級である。遺構の地下室などからは、花崗岩製の石棺(図6)をはじめ、ツタンカーメン王(Tutankhamun[第18王朝])やその王妃のアンケセンアメン(Ankhesenamun)、ラメセス2世(Rameses2[第19王朝])などと深く関わるエジプト新王国時代の遺物も多数出土している(図7)。

(2)マイクロ波センサーによる探査

近年、考古学領域において期待されているセンサーとして衛星搭載のSARがある。LバンドのSARのマイクロ波は、極めて乾燥した砂漠地帯では砂層への透過特性があることから、砂に埋もれた遺跡の検出における潜在的な期待が大きい。通常、LバンドのSAR画像では、何も存在しない砂漠においてはマイクロ波の後方散乱は非常に小さい。しかしながら、既知のピラミッドやその周辺遺構などでは強い後方散乱がみられ、このような王朝時代の遺構のシグネチャー(Signature:特徴)と類似する後方散乱パターンを遺跡の空白地帯から検出することで、光学センサーでは全く確認できない砂に埋もれた遺構の発見が可能となる。
本調査では、JERS-1とSIR-CのSAR画像(ともにLバンドHH偏波)の適用によって、王朝時代のものと推定される砂に埋もれた遺跡をこれまでに2例発見している。
図8はサッカラのグレート・エンクロージャー(Great Enclosure:大型周壁遺構)から西方約700メートルの地点で発見された遺跡をとらえたJERS-1のSAR画像である。光学センサーの画像情報では何もない小丘のようにみられるが、JERS-1のSAR画像では図のように広範囲の後方散乱が認められる。現地を踏査したところ、この地点は緩やかな起伏のある砂漠であり、薄く砂をかぶった日乾煉瓦遺構や約30~50センチメートル角の石灰岩片、約10~30センチメートル大の彩色土器や陶器などが地表一面に散乱していた。これらの遺物の特徴からエジプト新王国時代の遺跡と推定されている。
一方SIR-C画像では、そこから約2キロメートル南方のメルエンラー王(Merenre:第6王朝)のピラミッドと隣接する砂漠丘陵地において、考古学資料やレプシウスの遺跡地図にも言及されていない王朝時代の遺跡を検出した。図9は同地点のSIR-C(LバンドHH偏波のSAR)画像とKVR-1000画像を比較したものである。これらの画像情報において、KVR-1000の光学センサーでは何も検出できないメルエンラー王のピラミッド西方約200メートルの砂漠丘陵地に、メルエンラー王のピラミッドや隣接する王朝時代を代表する遺構群が示すシグネチャーと極めて類似した形状の強い後方散乱が見られる。周囲にピラミッドが集中し、海抜約48メートルの丘陵上という立地環境は、ピラミッドの立地条件を満たしており、この地点の砂漠下に考古学的に重要な遺構建造物の存在を予測させた。現地踏査の結果、同地点において王朝時代の遺構の一部と考えられる石灰岩片が僅かに地表に露出している様子が確認された。周辺には竪穴遺構と推定される直径2~3メートルの窪みや土器片なども散布しており、その特徴からそこが明らかに王朝時代の遺跡であることが確認された。
なお、以上の2例については発掘調査がまだ行われておらず、遺跡の性格やマイクロ波の後方散乱との因果関係などについてはここでは言及しないが、これらに関してはLバンドの衛星SAR情報がエジプトの砂漠地帯における砂に埋もれた未報告遺跡の検出に有効であることを実証した最初の例であり、その資料的価値は極めて高い。

2‐7 遺跡保護における衛星情報の役割

宇宙から地球を観測すると、地表の砂漠、川、植生や都市などに、古代の人々の歴史を垣間見ることができる。宇宙考古学の研究は、当初、古代における地球環境を推定するという視点で始まった。古代エジプト遺跡の探査はその一環であり、衛星情報を活用し、さらに王朝時代のナイル川流域の古環境を勘案しながら遺跡の立地環境を理解することで、予備調査という非常に短い期間で、これまで3000年以上もの間砂に埋もれて未発見であった古代遺跡の発見に成功したことに大きな意義がある。
実は、宇宙考古学の研究にはもうひとつの役割がある。近年、世界では地球の温暖化や人口の急増など、地球規模の環境問題が起こっているが、これらの環境問題は、今現在の環境破壊だけではなく、世界各地に分布する古代遺跡やそれらを取り巻く自然環境を破壊あるいは消失させつつある。なかでも気候変動に伴う砂漠化や土地開発などによる森林や水環境の破壊はそれらにとって深刻な問題であり、このような状況下において、今現在発生しているさまざまな環境問題から遺跡を保護し、さらに後世に残していくためには、そこを取り巻く地域一帯の環境変動の監視が重要である。こうした観点において、これからは地球規模での環境変動の解明や将来的な予測にもとづく新たな視点からの調査や研究が不可欠であり、地球規模の定常的な環境監視から地域規模の遺跡探査に至るまで、さまざまな情報を提供可能な衛星情報の役割はきわめて大きい。

参考文献

1)吉村 作治、近藤 二郎、長谷川 奏、坂田 俊文、惠多谷 雅弘、中川 武、西本 真一:人間科学研究エジプトダハシュール北地区予備調査報告, 早稲田大学人間科学部、10.1.1997
2)坂田 俊文、惠多谷 雅弘、吉村 作治、近藤 二郎、長谷川 奏、坪井 清足:衛星によるピラミッド探査と古代エジプトの遺跡発見について, 写真測量とリモートセンシング、36.6.1997
3)惠多谷 雅弘、須藤 昇、松前 義昭、坂田 俊文:衛星SARによるエジプト・南サッカラ地区の遺跡検出について,写真測量とリモートセンシング、37.2.1998
4)M.Etaya, T.Sakata, S.Yoshimura, S.Hasegawa:An Experiment on Detecting Remains in the Desert Area of Egypt Utilizing Space-borne SAR Data,日本沙漠学会誌沙漠研究、10.1.2000
5)M.Etaya, N.Sudo, T.Sakata:Detection of subsurface ancient Egyptian remains utilizing optical and microwave satellite data, IEEE2000 International Geoscience and Remote Sensing Symposium, Hawai,2000
6)早稲田大学エジプト学研究所編:ダハシュール北〔1〕-宇宙考古学からの出発-、Akht Press,2003
7)社団法人地球科学技術推進機構:地球科学技術分野のデータ利用可能性の調査検討、平成9年度宇宙開発事業団委託業務成果報告書、1998

調査対象地域のLANDSAT画像
図1 調査対象地域のLANDSAT画像
(白枠:アブラワッシュからメイドゥームを含む予備調査の対象地域)

表1 調査に使用した地球観測衛星センサーの諸元

a)光学センサー

衛星 LANDSAT(アメリカ) SPOT-XS(フランス) SPOT-Pan(フランス) COSMOS(ロシア)
センサー TM HRV HRV KVR-1000
観測幅 185km 60km 60km 40km
分解能 30m 20m 10m 2~3m
波長(μm) 0.45 ~ 0.52 0.50 ~ 0.59 0.51 ~ 0.73 0.49 ~ 0.59
0.52 ~ 0.60 0.61 ~ 0.68
0.63 ~ 0.69 0.79 ~ 0.89
0.76 ~ 0.90
1.55 ~ 1.75
10.4 ~ 12.5
2.08 ~ 2.35

b)マイクロ波センサー(合成開口レーダー)

衛星 Space Shuttle(アメリカ) EERS-1(ESA(イサ)) JERS-1(日本) RADARSAT(カナダ)
センサー SIR-C / X-SAR SAR SAR SAR
観測幅 15 ~ 60km 100km 75km 30 ~ 360km
分解能 25m 30m 18m 10~100m
バンド L / C / X C L C
周波数 1.25 / 5.3 / 9.6GHz 5.3GHz 1.275GHz 5.3GHz
偏波 HH / HV / HV / VH ( XはVV ) VV HH HH
オフナディア角 30 ~ 60度 20度 35度 20 ~ 59度

DEM情報によるナイル川の水位変動シミュレーションの図
図2 DEM情報によるナイル川の水位変動シミュレーション
(図中の赤丸:ピラミッド、水位は海抜)

ダハシュール北遺跡発見の決め手となったKVR-1000画像

図3 ダハシュール北遺跡発見の決め手となったKVR-1000画像
(円で囲まれた部分がサイトナンバー35の遺跡中央にある小丘)

画像提供:コピーライトTRIC/Sovinformsputnik

未完成(崩壊)ピラミッドの地表特徴(矢印で示した部分)の図
図4 未完成(崩壊)ピラミッドの地表特徴(矢印で示した部分)

画像提供:コピーライトTRIC/Sovinformsputnik

ダハシュール北遺跡の日乾煉瓦遺構の写真

ダハシュール北遺跡の平面図
図5 ダハシュール北遺跡の日乾煉瓦遺構とその平面図
写真・資料:早稲田大学エジプト学研究所

ダハシュール北遺跡における出土物例1の写真
図6 ダハシュール北遺跡における出土物例1
写真・資料:早稲田大学エジプト学研究所

ダハシュール北遺跡における出土物例2の写真
図7 ダハシュール北遺跡における出土物例2
写真・資料:早稲田大学エジプト学研究所

新王国時代の遺跡(サイト ナンバー29)が発見されたJERS-1のSAR画像と現地で確認された遺物の地表散布の写真
図8 新王国時代の遺跡(サイトナンバー29)が発見されたJERS-1のSAR画像と現地で確認された遺物の地表散布

王朝時代の遺跡の存在が確認されたSIR-C(LバンドHH偏波)と同地点のKVR-1000画像
図9 王朝時代の遺跡の存在が確認されたSIR-C(LバンドHH偏波)と同地点のKVR-1000画像(波線○印の地点の砂漠下に王朝時代の遺構建造物が埋もれていると見られる)

お問合せ先

科学技術・学術政策局政策課資源室

(科学技術・学術政策局政策課資源室)