第九期食品成分委員会(第16回) 議事録

1.日時

平成30年10月30日(木曜日)16時00分~17時5分

2.場所

文部科学省15階科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年(案)について
  2. 平成31年度食品分析候補(案)について
  3. 今後の課題と対応の進捗について
  4. その他

4.出席者

委員

安井主査、渡邊主査代理
上田委員、小竹委員、久保田委員、小林委員、齋藤委員、佐々木(啓)委員、佐々木(敏)委員、鈴木委員、高橋委員、滝本委員、竹林委員、中村委員、本田委員、門間委員、安井(健)委員

文部科学省

松本資源室長、伊藤室長補佐

5.議事録

【安井(明)主査】  それでは、これから第16回食品成分委員会を開催したいと思います。
 本委員会の議事については、全て公開となり、後日、議事録がホームページに掲載されますので、あらかじめ御了承ください。
 今年度においては、平成29年度における分析食品の成分値に係る公表についての検討や、2020年(平成32年)予定の次期改訂に向けた各種の課題についての検討など、委員の皆様にはこれまで大変お世話になりました。
 このような中で、特に平成29年度における分析食品の成分値に係る公表については、これまでも検討を積み重ねてまいりましたが、「追補2018年」として年内の12月に公表する予定にしているところです。
 本日、本委員会としてその取りまとめを行うこととしております。委員の皆様には、本日も忌憚(きたん)のない活発な御議論をよろしくお願いいたします。
 それでは、これより議事に入りますので、まず、事務局から、委員の出欠状況の報告と配付資料の確認をお願いいたします。
【伊藤補佐】  事務局でございます。
 本日は、内藤委員、それから関谷委員、村田委員から、所用のため御欠席という連絡を頂いております。
 したがいまして、本日は17名の委員の方に出席いただいております。御多忙中の御出席、どうもありがとうございます。
 では、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 配付資料につきましては、今回の委員会はペーパーレスで行います。委員の方には端末を配付させていただいております。紙での資料については配付を行いませんので、御了承ください。資料については、委員の方はタブレット、それから傍聴者の方につきましては、事前に御案内させていただきましたとおりとなります。
 では、配付資料の確認をさせていただきます。端末のリストの中でファイルの確認をさせていただきます。
 資料1-1に「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年 (案)の概要について」というものがございます。その後、続きまして資料1-2「追補2018年の構成(案)」、それから次の資料1-3、これが大きなファイルとなっておりますが、「追補2018年に収載予定の成分値(案)」、実際に成分表に載るものの抜粋となります。
 それから、資料2-1が「平成31年度分析食品リスト作成の考え方」、それから資料2-2が「平成31年度分析食品候補(案)」、それから資料3が「日本食品標準成分表の更なる充実に向けた今後の課題と対応方向について(案)」、資料4が「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル補遺(案)」、それから資料5につきましては、「収載値の根拠データの取扱い及び根拠データから収載値を計算する方法(たたき台)」となります。資料6が「成分表における食物繊維の分析法の変更について」という形で、議題に沿って資料を開いていただいて御説明させていただくことになります。よろしくお願いします。
【安井(明)主査】  それでは、これより議事に入りたいと思います。
 議題1の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年(案)について」、事務局より説明をお願いいたします。
【松本室長】  資源室の松本でございます。
 私から、先ほど安井主査から御案内のございました検討事項の前半部分、追補2018年(案)の体裁・概要について御説明さしあげたいと思います。資料は、タブレット上、資料1-1から1-3を使って説明します。実は資料1-3は成分表、これは組成成分を含めて表そのものになっておりますので、この細かい説明は、省かせていただきますが、開きながら、資料1-1と1-2を御覧いただければと思っております。
 では、まず資料1-1でございます。
 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」というタイトルにさせていただいております。その案をきょうお諮りしたいと思っております。
 その発行の概要でございます。昨年と同様、本体である成分表、それから三つの組成成分表及び資料ということで、第1部から第5部の5部建ての合本体裁で発刊したいと思っております。
 ここに書いてありますとおり、第1部が「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」ということで、その中に説明、それから成分表本体、それから資料編、具体的には食品群別留意点というものを盛り込みたいと思っております。
 以下、第2部として「アミノ酸成分表追補2018年」、それから第3部として「脂肪酸成分表追補2018年」、第4部として「炭水化物成分表追補2018年」、第5部「資料」として、資料の内訳はここに載せてありますとおり、収載食品の換算係数について参照表を付けさせていただく、それからナイアシン当量、各食品のデータ由来一覧を付けさせていただく、それから、従来ない取組といたしまして5 mL, 15 mL, 100 mL当たりの成分値を表記した成分表を第5部の資料編に入れさせていただく、と考えております。
 追補全体の説明のポイントといたしまして、今、現時点の案を基に考えておりますのは2ページ目になります。別添1を御覧ください。
 「追補2018年の概要」、この案を基に、対外説明を考えております。
 まず、追補2018年の背景でございますが、科学技術・学術審議会資源調査分科会において、食品成分表の更なる充実のための検討を行い、118食品の成分等の追加・変更を収載する追補2018年として公表するものでございます。
 中身のポイントとしまして、マル1からマル4の事項を考えております。
 まず、ポイントの1点目といたしまして、新規収載食品。先ほど118食品成分を追加・変更すると申し上げましたが、そのうち新規が59食品の収載となる見込みでございます。
 その中身といたしまして、ここにマルが四つ書いてありますようなものが主な視点になってくるかと思っております。
 まず1点目といたしまして、日常的に消費される食品の調理形態別を充実させていただいております。ここに書いてありますとおり、大麦、それからマカロニ・スパゲッティ類、それからジャガイモ、ミックスベジタブル、タイセイヨウサケ、鶏肉のささみといったようなものについて調理後食品の収載を充実させていただくことを考えております。
 それから2点目といたしまして、減塩の目安として追加する調味料類について、何点かの調味料類を追加させていただいております。
 3点目といたしまして、加工実態の変化に併せて細分化した食品といたしまして、大きく言えば二つ、一つは木綿豆腐、絹ごし豆腐につきまして、従来はにがりの種類、あるいは凝固剤の種類によって食品を分けておりませんでしたが、にがりの種類によってミネラルの含有量が変わってくるという御指摘もある中で、にがりの種類別の収載。具体的には塩化マグネシウム、硫酸カルシウムを使った木綿豆腐、絹ごし豆腐についての新たな収載を行っているということでございます。
 それから2点目といたしまして、うすくちしょうゆ、だし入りみそにつきまして、塩分を減らした製品が流通しておりますので、これを新たに収載させていただくということでございます。
 それから、三つ目のマルといたしまして、新規食品、地域食品ということで、チアシード、ずんだ、ちぢみゆきなといった食品を収載させていただいております。
 地域食品については、後ほど今後の方針の中でもまた言及させていただきますが、今年については、宮城県あるいは仙台市から御提供いただいた資料に基づきこの2品を載せているということでございます。
 それから2点目といたしまして、重要食品のうち微量成分等の成分値が欠画しているものについて補完させていただいております。具体的にはα・βカロテン等の欠損があるジャガイモ、落花生、生乳等の成分を補完させていただいた。それから、2点目といたしまして、ヨウ素、セレン等の微量元素について成分値の収載がなかったミカン、ブドウ、バター、マーガリン等について成分を補完させていただいたということでございます。
 3点目といたしまして、食物繊維の成分値を改訂いたしております。具体的には、ここに書いてある一定の食品の食物繊維につきまして、難消化性オリゴ糖等に対応した新たな分析法による成分値を収載させていただいています。
 それから4点目といたしまして、組成成分について追加を行っているということでございます。
 3点目の食物繊維の成分値につきましても、また別途、後段で資料を用意させていただいているということでございます。
 戻っていただきまして、収載食品につきまして同じく資料1の別添2といたしまして118食品及び名称のみ変更したものも載っておりますが、それのリストを別添2として付けさせていただいております。後刻、御参照いただければと思います。
 それから、説明関係といたしまして、先ほどのポイントとも関連しますが、1点目といたしまして、第1章、第4章、具体的には成分表本体、それから炭水化物成分表の説明において食物繊維の分析法に関する説明を入れ込んでおります。
 それから、2点目といたしまして、調理加工に係る係数変化の参考資料として「揚げ物における衣の割合及び脂質量の増減」、「炒めものにおける脂質量の増減」等を掲載させていただくということでございます。
 それから、成分表の体裁に係る事項といたしまして、次のマルに示させてあること4点を対応させていただこうかと考えております。
 1点目は、成分値の変更。従来は表中のフォントの違いで印刷物においては区別をしておりましたが、これについて変更のあった成分値について、別の同じフォーマットの表の中で、二重マル、マル、黒マルといった形での整理表を付けさせていただく方向に変更させていただくと考えております。
 それから、調理形態による収載順列を整理させていただいた。調理強度の観点から少し検討を加えさせていただき、順番を整合させていくという作業をさせていただいているということでございます。
 それから、これも後ほど資料で説明させていただきますが、本表の食物繊維関係の表の項目を変更しております。併せて、炭水化物成分表に新たに別表1という形で可食部100g当たりの食物繊維を新設しております。
 それから、一番下、資料関係でございます。先ほどの説明とも重複いたしますが、第5部の資料編の中で特に容量当たり5 mL, 15 mL, 100 mL当たりの成分グラム数を示す成分表を整理掲載予定としております。
 次に、資料1-2を御覧ください。
 現時点でまだ文章編の方が各先生方に御議論中ということでございまして、各説明資料が、まだ、今日お見せできていないのですが、具体的にはこういう各部の中について、説明、本表、資料という順列で製本合本をしていきたいと考えております。こういう形で目次が出来上がってくるイメージだということで御覧になっていただければよろしいかと思います。
 私から、以上でございます。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 御意見等ありましたら、お願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 容量成分表の「ml」の「l」が、この資料では小文字になっているのですが、成分表本体は大文字の「L」を使っているので、多分、そのようになると思いますが、ちょっと御注意ください。
【松本室長】  はい、失礼いたしました。こちらのタイプミスでございます。
【安井(明)主査】  皆さんの方から、いかがでしょうか。
【佐々木(啓)委員】  済みません、すごく細かいところですけれども、別添1のポイントのマル1の書きぶりで、「とりささ身」の「身」は平仮名にしていると思うので。
【松本室長】  はい、整合をとりたいと思います。本表を確定させながらということでございますが、もともとの名前ですね、これは。済みません。
【安井(明)主査】  ほかはよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、この案で資源調査分科会に、修正の上、報告したいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題2に移りたいと思います。
 平成31年度に予定している食品成分分析について、事務局から説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】  資料については、資料2-1、2-2となります。
 まず、2-1についてですけれども、今回、平成31年、来年度分析をする食品のリストを作るに当たっての考え方についてお示ししております。
 現状につきましては、来年3月に食事摂取基準2020年度版が公表される予定であることを念頭に置きまして、2020年度以降は新たな食事摂取基準をベースの一つとした分析、それから収載食品の検討を行っていくことを想定しております。
 このために、分析要望が強い食品とともに、平成31年、来年の分析では、従前からの課題であった微量5成分の充実、それから組成の充実について重視して食品について選定させていただきました。
 具体的には、以下のものとなります。
 まず、マル1番ですが、一つ目が平成30年度、今年分析予定であったもので最終調整により分析から外したもので、特にほかとの食品の関係から、31年度に分析を行う必要があると考えられる食品が43食品入れてございます。これについては、まさに微量5成分の問題等を含んでいるものとなっております。
 そのほかに、現在、こちらのデータとして使っているのが平成26年の国民健康栄養調査でございますけれども、それをベースにKey foodsを設定しております。Key foodsは、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取の寄与度が75%tile以上の食品ということで、主要な食品としてKey foodsを設定しておりますが、そのうち微量5成分(ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、ビオチン)が未分析のものについては、今回、全部分析してしまうということで追加しております。
 これ以外に現在、一般要望、それから委員からの要望、それから各種の課題でリストアップされた食品について、以下の条件を考慮して食品を選定しております。
 まず一つ目ですけれども、新規に分析する食品については、成分表2015年版、それから追補の2016年、追補の2017年度版に未収載の食品のうち、国民が日常的に摂取しているものとなります。
 それから次に、減塩等の食品成分の変化が顕著に見られる食品や、健康管理等の理由で再分析あるいは収載値の変更が必要とされているもの、これは関連団体あるいは委員からの指摘のあった食品となります。
 その次に、既収載食品のうち、摂取量の多いもので成分値に疑義があるもの、あるいは成分値が古くて現状に合致していないと考えられるもの、あるいは計算値、推計値を用いていて、実際の使用にそごが生じているもの、これについても考慮させていただきました。
 それから次が、分析方法の変更により成分値が変わると考えられている食品で、これについては実際的には、食物繊維、それから魚介類等の脂質等で分析法によって成分値が今後変わる食品についても考慮しております。
 これらを考慮しまして、次の表の2-2にリストアップさせていただきました。
 今回リストアップさせていただいた食品は105食品になります。そのうち、新規の食品、食品番号のところに「新規」と書いてあるものが68食品ございます。新規については、調理による新規、それから、全く新しい食品を入れることによる新規、それから、同じ食品でも加工度合いが変わるものによって新規として入れているものがございます。
 これらの食品については、現在、素案として示させていただきまして、今後、幾つかまた個別に品目担当の先生、それから業界団体等からのヒアリングで中身を検討していくものもございます。
 具体的には、1ページ目の真ん中のカップ麺については、どういう種類のものを入れていくか、種類についてはA、B、Cという表記をしておりますけれども、これについては具体的なところは今後、業界ヒアリング、それから担当の先生と御相談の上で決めていきたいと考えております。
 それから、次のページになりますが、2ページ目の真ん中辺に漬物関係が出てきております。これは塩分値の見直しの要望があるものを入れておりますが、これについても優先度を付けて、もしかしたら絞り込むかもしれない、なるべく採りたいところですが、絞り込むかもしれないという状況になっております。
 それからもう一つ、その下の方にあります地方食品としても、今回、7食品を挙げておりますけれども、これについても需要動向、それから入手の可否などを現地と相談しながら、また分析に載せるかどうかを最終決定していきたいと考えております。
 これらの分析リストにつきましては、最終的には来年度の予算が決定しました後に、予算額と相談しながら最終的に絞り込みを行うというものになっておりますので、これが第1案という形になります。
 同様に、実際に分析する分析成分についても、現在、左側にマル印で示しておりますけれども、予算案、それから幾つか担当の先生と詰めなければいけないところが残っておりますので、そこで分析すべき成分について再度精査させていただいた上で決定させていただきたいと思いますが、限られた予算の中で効率的に、なるべく幅広く食品の分析を行っていくように努めていきたいと思います。
 最後に付け足しですけれども、この31年度の食品の分析結果は、31年度の年度末に委託の成果物として文科省に上がってまいりますので、実際に従来の形で食品成分委員会に掛けられるのは32年度になってしまいますので、成分表の2020年版には反映されずに、それ以降の公表となる予定として考えております。
 以上です。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 ただいまの資料の御説明について、御意見等ありましたら、お願いいたします。
【安井(健)委員】  ちょっとよろしいですか。
 地方食品が幾つか載っています。従来からゴボウとか、トウガラシとか、ナスとか、ニンジンとか、ネギが収載されていますけれども、それとは違う成分値が出てくる可能性があるから載せてあると思うのですけれども、その背景となるデータはお持ちでしょうか。
【伊藤補佐】  ないです。これから多分、自治体等に問い合わせることになるかと思います。
【安井(明)主査】  ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 最終的に、予算との関係もありますので絞り込まれることになりますけれども、第1案ということでよろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、次の「今後の課題と対応について」ということで、議題3の説明をお願いいたします。
【松本室長】  そういたしましたら、議題3は資料3で対応させていただきます。資料3をお開きください。
 「更なる充実に向けた今後の課題と対応方向について(案)」となっておりますが、これはずっと案のままでございますが、従来、ここに書いてありますとおり、七訂の策定直後、平成28年の2月以降、成分委員会としての課題、問題意識について、逐次整理させていただいている資料でございます。
 前回は30年3月1日、前回の食品成分委員会の中で進捗について御確認させていただいたということでございますが、今回、10月末時点で若干の進捗があった事項として、下線を引いた場所について変更させていただいております。
 それぞれの進捗について、委員の先生方に御確認いただくとともに、今後、どのようにこの課題について対応していこうかということについて、また御示唆を頂ければと思っております。
 まず、1の「短期的課題」、28年度から計画的に着手している事項。
 上三つに分析法の見直しが載ってございます。1)の食物繊維の分析法、先ほど追補2018年の説明の中でも触れさせていただきましたが、追補2018年より成分表の表頭項目を見直して、低分子量水溶性成分、難消化性でん粉を含む食物繊維成分値の収載を開始する予定とさせていただいております。その前段として、実際に適用する新たな分析法の検証事業等も行った上での対応ということでございます。
 今回、新たな分析法に基づく成分値の収載を始めるということでございますが、それにつれて、今後、更に対応しなければいけない課題として挙げさせていただいておりますのが、炭水化物を含む植物性食品について計画的に収載値を変更していくこと、それから、食物繊維成分の利用者の理解、従来の食物繊維と一部画分の異なる総量が表記されてくるということで、そこの利用者の理解の醸成が課題かと考えております。
 それから2点目といたしまして、アミノ酸組成分析法に関する変更ということでございますが、これについても、一定の加水分解条件における遊離アミノ酸の定量値について、実際のたんぱく質構成アミノ酸としての量に近付けるための補正係数を策定しております。この補正係数はアミノ酸ごとに出そろっておりますので、実際の成分表の成分値への適用について、今後、検討していくということで、先ほどの作業部会でも議論させていただいているところでございます。
 それから、脂質抽出におけるクロロホルム―メタノール法の代替法の検討ということで、本年度の実証調査事業の中におきまして、脂質の量に関わらず、有機溶媒クロロホルムを用いない分析法の導入を検討させていただいているということでございます。
 それから、4)につきましては、毎年度の追補の中でも逐次対応させていただいているような新規食品、調理後食品への対応、それから炭水化物組成、アミノ酸組成、脂肪酸組成の増大、既収載食品の再分析というようなこと、それから既収載食品のうち成分の欠損しております微量5成分、あるいは推計値を収載しているものについての追加分析というようなことに対応させていただいておるということでございます。
 それから、5)は先ほど追補の中で一部「ずんだ」「ちぢみゆきな」という言葉が出てきたかと思いますが、地方食品及びアイヌ民族食品への対応ということで、これも従来から委員会の中で御議論いただいている、一部の分析資源をこういった地方特有の食材にも適用していこうという考え方の中で、現在、平成30年度の分析の中で、ここに書かれているような食品に対応しているということでございます。
 ここの地方食品の中の欄の下に注書きで書かせていただいております。実は、平成30年度検討食品として、この検討の台となりました各地域からの収載要望の中で、ちぢみゆきな、ずんだにつきましては、計画分析の中ではなくて、実際に仙台市あるいは宮城県からデータ若しくは標準レシピを提供いただいたことにより、今年の追補の中で収載値を確定できるタイミングになったということでございまして、この地方食品については、他の食品に比べて作業が先行した、という理解を頂きたいと思います。
 それから、「その他」の欄で若干の進捗がございましたのは、これも追補2018の御説明とかぶりますが、液体・粉体調味料等に関する容量当たりの成分表につきまして、追補2018の資料として掲載させていただく方向で今、調整をさせていただいているということでございます。短期的な課題について、若干、個別の論点を申し上げれば、そういうことになっているということでございます。
 次に、中期的課題といたしまして挙げさせていただいておりますのが、調査食品・成分の優先順位付けにつきまして、先ほど補佐の説明の中にもありましたとおり、現在、我々もUSDAのやり方をならいまして、主要成分の上位75%TILEの摂取源となっている食品を特に重点的に調査しようとしています。
 現在、PFC、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取頻度上位の75%TILEについて整理をさせていただいて、優先順位付けの参考とさせていただいているということでございます。
 今後、2020年までの到達度を検証の上、更にその調査の優先順位付けの考え方の中でこういったものをどう扱っていくかということを考えたいと思っております。
 それから次に、エネルギーの再計算につきましてでございます。エネルギー換算係数の承知のとおり、成分表の中では旧科学技術庁の調査値、あるいはFAOの食品ごとの推奨値、それ以外についてはAtwaterの係数を適用しているということでございますが、今後の改訂の中で、こういったエネルギー換算係数の今の掛け方について、特にその下に書いてあります下線部、追補2018年より食物繊維の分析法を見直したことに伴うエネルギー換算係数の扱いの検討というようなことも、若干、視野に入ってくるのかと思いますが、妥当な係数の掛け方につきましても御議論いただくべきなのかなと考えております。
 ただ、エネルギー換算係数、成分表の実用面での使われ方を考慮いたしますと、急に換算係数を変更すると、キロカロリーの表示が内容の変更もなく現場で変わってくることにつながりかねないということでございますので、そういった、いつのタイミングで変えるか、栄養指導の継続性などにも考慮して進める必要があるのではないかと考えております。
 続きまして、新規の成分項目につきましての対応状況でございます。
 七訂以降の対応品目といたしまして、追補2016年よりナイアシンにつきましてナイアシン当量を導入しております。具体的にはトリプトファンにも一定のナイアシンとしての力価があるということで、それを足して当量とするということでございます。
 それから2点目といたしまして、下線を引かせていただきました難消化性オリゴ糖等の低分子量食物繊維の捕捉ということで、これは追補2018年から、先ほど来御説明させていただいているとおり、導入を検討しているところでございます。
 それから、「その他の検討項目」の中でいろいろ挙がっているのですが、その中で少し論点として強調させていただいているのが調理済み食品、それから従来の成分表七訂で入れました18類、ここら辺に調理済みの食品群がセットされているわけですが、各個別の素材の食品群の中にも調理済み素材あるいは食品が載っているということで、こういったものの考え方を中長期的に整理していく必要があるのではないかと考えております。
 それからもう一点、前段で分析法の見直しを縷々御説明してきましたが、(6)として未着手の領域といたしまして、サンプリング法の標準化について、来年度以降、調査研究課題としていってはどうかと考えております。
 以上、今後の課題と対応方向につきましての改訂の御説明でございます。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。
【斉藤委員】  短期的課題の3番の「脂質抽出におけるクロロホルム―メタノール法の代替法の検討」なのですが、これは前回も、その前もずっと挙がってきていると思うのですが、私は、具体的に何を導入して何を検討するのかよく分かりません。
 それで、度々私からクロロホルムに関しては話題を出しているので、継続して委員をされている方は既に御存じだとは思うのですが、クロロホルムを用いるフォルチ(Folch)法は、1957年のJBC(Journal of Biological Chemistry)に掲載されてから既に60年以上にわたって脂質の研究者や学者が一般的に利用してきた、普遍的な方法です。
 類似の方法としてライダイヤー(Bligh-Dyer)法があって、大体、両手法が多くの論文で用いられてきた事実があります。一方で、ヘキサン・イソプロパノール法が新たにこの委員会で平成27年度以降に提案されましたが、現時点で私は本手法(ヘキサン法)による抽出を脂質関係の論文で見たことがありません。もしもあるとすれば、むしろ教えていただきたいと考えています。
 前から申し上げていますように、私の意見としては、ヘキサン・イソプロパノール法の使用を今後も進める、ここに書かれてあるようにクロロホルムを用いない分析法をどんどんやっていきたいというのであれば、まずこの手法の問題点を改善して、同時に「リピーズ( Lipids)」とか「JAOCS(Journal of American Oil Chemists’ Society)」などの脂質に関するしっかりした国際誌に発表し、世界の脂質の研究者や学者が認知し、たくさんの専門家が使うようになってからでも私は遅くない、成分表での使用はそれからでも遅くないと考えています。
 成分表は国が国民に示すデータですし、今後外国にも本情報は広がっていく可能性もありますから、正確さが最も重視するものと考えます。
 前に私は反対意見を述べましたが、ヘキサン・イソプロパノール法が委員会では既に多数決で採択されたという事実はあります。ただし、平成27年度に行った妥当性検証では、軟体動物においてフォルチ法と乖離(かいり)があって、適用できないという欠陥が明らかになっています。また、同様に、平成28年度の分析でも、エビカニ類ではフォルチ(Folch)法と有意な差が出たため、甲殻類には適用できませんでした。
 また同年、数種の魚種ではソックスレイ(Soxhlet)法よりも小さい値が出たりするなど、今までの結果を見た限り、ヘキサン・イソプロパノール法が妥当性を欠く結果がしばしば表れている事実があります。私は、今でもその原因をまず明らかにして改善しなくては、賛成できる手法とは言えないと考えています。
 また、クロロホルムの危険性を指摘していますが、本日も資料に書いてありましたように、「2015年度の分析マニュアル・解説」が資源室監修で出版されています。本書によれば、同様の劇物に分類される物質は、ほかの成分の分析に多数用いられています。幾つか物質名を例示しますと、トリクロロ酢酸、トルエン、アセトニトリル、メタノール、金属ナトリウムなどが劇物です。
 特に毒物に指定されている無機青酸化合物がシアノコバラミンの同定に用いられています。本書では、「シアン化カリウムは毒物なので、管理には十分な注意を要する」との一文があるのみで、また、他の毒物であるフッ化ホウ素に関しては、取り扱いの注意記載もありません。
 一方、毒物に関しては、法的には劇物より管理が厳しく、出庫・入庫の数量管理は当然ですが、専用の施錠のできる保管庫に貯蔵・陳列しなければならないことが規定されています。
 むしろ私が考えるには、最も危険なこの毒物の使用を避ける手法を開発する方が先で、一部の劇物、クロロホルムなのですが、危険性それのみあげつらうのは、ダブルスタンダードではないかと考えています。
 ちなみに、私の研究室ではクロロホルムをしばしば抽出などに用いていますが、手袋を着用したり、いろいろな防具を付けてドラフト内で慎重に扱い、廃棄は専門の業者に委託し、適切に管理・処理しています。
 クロロホルムも他の劇物と同様、規定を順守して注意深く管理を行えばよろしいものだと考えています。
 以上が私のコメントです。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 ほかに御意見はありますか。
【安井(健)委員】  短期的課題の中なのですけれども、「その他」の(1)に「収載値の根拠となるデータの体系的整理」とあります。この中に、質の高いデータを集めて、それを収載するという部分がありましたけれども、一部の外国の成分表には例えばconfidence codeとか、quality indexとか、収載値がどの程度信頼がおけるかの指標が載っている成分表があります。
 このデータの体系的整理の中でも、そのような指標、収載値がどの程度信頼がおけるかの指標を入れた方がいいと考えていますけれども、いかがなものでしょうか。
【松本室長】  では、事務局からお答えいたします。
 まずはデータの体系的整理で考えておりますのは、過去にその検討で用いた、主に分析値ということになるかと思いますが、それらのうち何を使って何を捨てていったのかという経緯をまず掘り起こしていく、データ化していかないといけないかなというところから始まっております。
 その過程で、実はその中にどれぐらいの頻度で借用値なり類推値が入ってきているかというのは、まだ量的な比率が手元でデータ化されていないものですから、まずはそこを整理してみて、その後、もしevaluationができるのであれば、そういうインデックスは付けられるのかと思っておりますが、まだそこまで見通しが事務局の中で立っていないという段階でございます。まずはそのデータ化、全体をまず過去に検討で使った資料を一体的に整理、データ化をするところから始めないといけないと思っております。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 脂質につきましては、今年度検討しております。それの委員会は、この後また開かれますので、その結果については皆様に御報告したいと思いますけれども、何のためにやるかという目的適合性の点からも、環境、それからヒトに 有毒なクロロホルムの使用については避けるべきという方向があり、それに対応して検証事業を始めているわけでございますので、それの結果を待ちたいと思います。
 ほかにないようでしたら、次の課題に移りたいと思います。
 「その他」の事項になりますけれども、企画作業部会での検討事項等で全員周知すべき事項がありましたら、事務局から御説明をお願いいたします。
【松本室長】  そういたしましたら、議事次第の「その他」の中に4点ほど項目を挙げさせていただいております。これに従って御説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、「その他」の1番目、七訂分析マニュアルの補遺につきましてでございます。先ほど斉藤委員からも言及がありましたけれども、実は2015年版七訂を作成したときに、その成分値を分析に用いた分析法について、冊子及びホームページ掲載をしております。
 今回、七訂以降、縷々分析法の見直しを掛けてきたものにつきましては、八訂2020年時点でもう一回改めて整理させていただきたいと思っているのですが、資料4の中で挙げさせていただいておりますのは、その2015年時点で整理いたしました分析マニュアルにつきまして若干のデータの異動なり技術的な修正がございましたので、補遺としてこの場で御承認いただければ、私どもの食品成分表のホームページの掲載データとしたいということでございます。
 中身といたしましては、この資料4の1ページ目に書いてある4点でございます。
 1点目は、炭水化物及び有機酸の分析法の中で、でん粉、単糖、二糖類の液クロ法につきましての変更でございます。別紙1に差し替えをしたいということでございまして、その中身につきましては、下の括弧に書いてあるような異動があったということでございます。
 それから、2点目といたしましては、アルコールに係るガスクロ法につきまして、別紙2のとおりに変更したいということでございまして、これにつきましても、若干、そのタイトルに誤字があったということでございます。
 それから3点目といたしまして、アルコールの振動式密度計法につきまして、タイトルを「振動式密度計法」ということで変更させていただきたいと。
 それから4点目といたしまして、ポリフェノールのフォーリン・チオカルト法につきましてタイトルを変更した上で、別紙3を追加したいということでございます。
 この場で御承認いただければ、私どものホームページで補遺として上げさせていただきたいと思っております。
【安井(明)主査】  よろしいでしょうか。
【松本室長】  はい。
【安井(明)主査】  では、これはホームページへの掲載をお願いします。
 それから、正誤表が幾つかありますよね。それについてもお願いいたします。
【松本室長】  はい、対応させていただきます。
【安井(明)主査】  そうしたら、次は資料5について御説明をお願いいたします。
【松本室長】  これも春以降の作業部会の中でいろいろ御議論させていただいたものにつきまして、成分委員会の資料として出させていただいているものでございます。具体的には、この資料5の1ページ目に、この紙をまとめた趣旨を書かせていただいております。
 この紙の中身といたしましては、収載値の根拠データの取扱いと、根拠データから具体的な収載値を計算すること、その方法につきまして文章化をさせていただいたものでございます。
 この「趣旨」に書いてありますとおり、日本食品標準成分表の収載値の作り方につきましては、実際にはその設定された母集団に対するある成分の代表的な数値を求めたいという観点で検討が進められるわけですが、ここの中段のマル1からマル4に書かれている成分表特有の事情によりまして、一般的な実験計画法あるいは統計理論の適用以外の推定方法を多用しているという実態がございます。
 そういった観点から、実際に我々成分表委員会の中で使用している科学的推定の方法論につきまして、今回、改めてドキュメンテーションをさせていただいたということ、併せまして、ローマ数字2といたしまして、この文章の後段では、根拠データに基づき収載値を作成するために適用している計算方法といたしまして、例えば調理前の食品の分散を調理後の食品に展開、反映する方法、基準窒素量からアミノ酸の組成成分値を計算する方法といったような、成分表特有の、成分間の相互関係があることを前提に用いている推定の方法論について、改めて記述をさせていただいたということでございます。
 この文章の意図でございますが、まず一つ目は、成分委員会の中でその数字の取り扱いについてなるべく密接な合意関係を維持していくということでございまして、そこがずれていきますと、数字の扱い自体が粗雑なものになりかねないということでございますので、ここは成分委員会の申し合わせ事項とさせていただきたいことと、もう一つは、食品成分表特有の数字の扱い方につきまして、対外的にも参照できるようにさせていただくことにより、また、統計の専門家、あるいは各食品の専門家の方々から見ていろいろとコメントなり御意見を頂けるような状態にしておく、我々としても補正が利くような状態にさせていただければということでございます。
 具体的な内容につきましては、作業部会でいろいろ御議論いただいていることでございますので、割愛させていただきます。そういった意図でこの資料を提出させていただいております。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 皆様からも、これはたたき台ですので、コメント等ありましたら、随時お送りいただければと思います。
 特に今の場でコメントはありますか。ないようでしたら、次に進めさせていただきますけれども、よろしいですか。
 では、資料6「成分表における食物繊維の分析法の変更について」。
【松本室長】  済みません、資料6をお開けください。
 冒頭、追補2018年の御説明の中で若干触れさせていただきましたが、ここで、その変更点の一つであります食物繊維の分析法について、それからその収載方針について言及させていただきたいと思っております。
 冒頭御案内のとおり、成分表における食物繊維の分析法、追補2018年の新規食品より変更させていただいております。その経緯が、この資料の1ページ目の「1 経緯」の中に書かれているということでございます。
 成分表における食物繊維につきましては、従来から「ヒトの消化酵素で消化されない食品の難消化性成分の総体」という定義を用いており、具体的な分析法といたしましては、AOAC985.29法をベースとするプロスキー変法ということで、不溶性の食物繊維、水溶性食物繊維、この二つの画分を定量した総量を「食物繊維」と表記しているということでございます。
 他方、この分析法に基づく食物繊維は、国際的な議論におきます食物繊維の定義の広がりに対応できていない部分があるという御指摘が外部からあります。具体的には難消化性でん粉等の一部、あるいはイヌリンの分解物、大豆オリゴ糖などの低分子量の水溶性炭水化物というようなものが入ってこないということが外部から指摘されているということでございます。
 また、国内的に見ましても、食品表示法で採用している酵素 HPLC法による食物繊維とも若干の差異が出るということでございます。
 そういうことを踏まえまして、成分表における食物繊維の分析・定量法につきまして、28年度から検討を行ってきたということでございます。
 具体的には、水溶性の食物繊維、難消化性のオリゴ糖の類いといったようなものを確実に捕捉できる方法として「AOAC2011.25法」を採用することが妥当であるという判断に至っているということでございます。
 更に言えば、2ページ目の(2)におきまして言及しておりますとおり、従来の低分子量の水溶性食物繊維を含まない食物繊維との差についてはどういうふうに考えたらいいかということでございますが、これも28年度の調査検証事業の中において、マル1、マル2のような方針を整理させていただいているということでございます。
 1点目といたしましては、既存の分析法でやりました食物繊維量の書換えにつきまして新しい分析法でやる必要性が低いものとして、難消化性でん粉、難消化性オリゴ糖を含まない食品を挙げさせていただいているということでございます。今回の分析法の変更が、こうした画分を確実に捕捉するための方法ということで整理されておりますので、逆に言えば、それを含まないことが既知の食品については再分析の必要性は比較的低いのではないかということ、それから、2点目といたしまして難消化性でん粉の影響が少ない食品については、従来の方法の不溶性、水溶性のデータは使用可能。プラスアルファといたしまして、2011.25法、新たな方法に準じた酵素反応条件における低分子量水溶性食物繊維──「低分子」の後に「量」を補ってください。「(LDF)」と書いてありますが、「(SDFS)」に変更してください──を再分析することも可能であります。いわゆる低分子量水溶性画分だけ追加分析することで総量に反映することで足りるのではないかという判断に至っております。
 そういったことを踏まえまして、2018年の収載に向けた分析を進めさせていただき、また、将来的には、植物性食品のうち総でん粉量1%以上のものについて、順次、必要なものから再分析を行っていくという方針を立てさせていただいたということでございます。
 そのようなことで、追補2018年からこの食物繊維の新たな分析法を適用するという方向になるわけですが、具体的な成分表への反映につきまして、「3 今後の対応及び課題」に具体的に図示させていただいております。
 「(1)追補2018年での対応」でございます。成分表本表に従来から食物繊維を収載してございますが、成分表本表における表頭項目につきまして、図1のような変更をさせていただきたいと思っております。
 図1のような変更をすることによって、従来の方法による不溶性食物繊維及び、水溶性食物繊維、新しい言葉で言うと「高分子量水溶性食物繊維」に近い概念かと思いますが、これらの成分値については、それぞれ「不溶性」、「高分子量水溶性」の欄に表記されるとともに、「低分子量水溶性」の成分欄については捕捉していないことから、「未分析」を意味する「-」が入るという体裁になるかと思っております。
 一方、新たな方法で分析したものについては、この4象限に全て数字が入っているという状態になるということでございます。
 更に言えば、従来から藻類につきましては、多糖類の分画が困難なものとして、分析法もプロスキー変法ではなくて、プロスキー法を用いておったわけですが、新たな方法においても、この不溶性画分、高分子量水溶性画分については、合一して定量値が出てくることになりますので、このセルを結合した形での表記になると考えております。
 次に、図2に炭水化物成分表の別表の整理の方法が書いてございます。これにつきましては、従来法と新たな分析法で低分子量水溶性画分の捕捉がある・なしによって総量のグラム数のずれが生じます。そういったこともありますので、従来法の分析値と新法の分析値があるものは、この炭水化物成分表の別表1、新たに作りました別表1の中に両方を並列して表記させていただくと考えております。
 これによりまして、従来の値と新しい分析法で出した値との比較検証が可能となってくるということでございます。そういった説明につきましては、表中のみならず説明編の中にでも対応させていただきたいと思っております。
 (2)以降は、今後の検討課題でございまして、これはまだ結論は出ていない事項でございますが、八訂以降、炭水化物成分表の中で「利用可能炭水化物」という概念を用いておりますが、新たに低分子量の食物繊維を取り扱うことになってきたときに、消化性の観点からの境界領域の画分について、どういうふうに扱っていくかということ、いわゆる成分名の面と、それから、エネルギー換算係数の面での議論が必要になってくるかと考えております。
 こういったことで、しばらくの間、追補2018年で大体60食品について新たな成分を掲載させていただいておりますが、大まかに言って、植物性食品であってでん粉質を含むものは400から500食品、今、収載があるということでございますが、当面の間、古い方法と新しい方法の併記が続くということでございますので、利用者の方々に対しましては、こういった違いについても丁寧に我々から説明していく必要があると考えております。
 以上でございます。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 意見がありましたら。
 よろしいでしょうか。
 それでは、最後に事務局から、連絡事項についてお願いいたします。
【伊藤補佐】  今後の予定についてお知らせいたします。
 本日御承認いただきました追補2018年版につきましては、資源調査分科会で承認の上、公表となります。資源調査分科会につきましては、11月29日の14時からを予定しております。公表の時期につきましては、12月の中・下旬を予定しております。
 今後、公表に向けまして各成分表の部分の食品群別留意点の記述、あるいは第1章の方法論についての記述についての最終的な校正を行ってまいります。また、それと並行しまして、平成31年の食品の分析リストに係る対象食品の調整についても行ってまいる予定です。個別の調整を含めまして、委員の先生方におかれましては、引き続き御理解・御協力をお願いいたします。
【安井(明)主査】  ありがとうございます。
 皆さんの方から何か、議事は終わりましたけれども、御意見等ありましたら、お受けしますけれども、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、議事も終了しましたので、これで閉会としたいと思います。長時間、お疲れさまでした。ありがとうございました。

── 了 ──

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