研究開発基盤部会(第8回)議事録

1.日時

令和2年12月23日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン(Cisco Webex)会議にて開催

3.議題

  1. 共用プラットフォーム形成支援プログラムの取組について
  2. 令和3年度予算案及び令和2年度第三次補正予算案
  3. その他

4.出席者

委員

岸本部会長、藤井部会長代理、網塚委員、飯島委員、市川委員、江端委員、江龍委員、長我部委員、金澤委員、木川委員、菊池委員、佐藤委員、杉沢委員、高橋委員、田沼委員、中村委員、西島委員、野村委員、波多野委員、原田委員、横山委員

文部科学省

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課長 仙波秀志、課長補佐 下須賀雅壽

5.議事録

【岸本部会長】 ただいまより、第8回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催いたします。
前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインで会議を開催することといたしております。
本日は御手元の資料にありますとおり、議題はその他も含めて3件ございますけれども、主に(1)共用プラットフォーム形成支援プログラムの取組状況についてということで、実施機関の皆様から取組状況について御説明いただき、それをヒアリングいたしまして、取組についての議論を深めてまいりたいと考えております。
それでは、議題(1)共用プラットフォーム形成支援プログラムの取組状況について、に入ります。本日、5つのプラットフォームの皆様に御出席いただきまして、取組状況を御説明いただくということにしております。プラットフォームごとに10分でプレゼンいただきまして、その後、簡単な確認事項ということで、数分程度コメント等をいただく時間を取っておりますが、その後にまとめて全体的な議論をしてまいりたいと思いますので、各プラットフォームはどういう状況かということを、皆さんでシェアしたいと考えております。
それでは、順番に進めさせていただきたいと思います。まず資料1-1、NMR共用プラットフォームの取組状況について、木川委員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【NMR共用プラットフォーム代表者】 理化学研究所の木川です。NMR共用プラットフォームの代表として説明させていただきます。
それでは、我々はもともと、理化学研究所、横浜市立大学、大阪大学の3機関が前事業のときにプラットフォーム形成を開始し、本事業において、北海道大学を実施機関として加え、それから日本電子、ブルカー2社のメーカーが協力機関として参加した体制で事業を進めてまいりました。
次のスライドに、外部利用実績の進捗状況(1)を示しております。御覧いただければ分かるように、前事業H27年度のデータを出していますけれども、比べて利用が拡大しております。しかしながら、昨年度第4四半期以降、コロナの影響による活動抑制で利用が減少し、残念ながら現在も利用はその過去の水準までは戻っておりません。これについては、今後の課題です。
次の進捗状況(2)、旧事業から現事業においての利用成果指標も、御覧いただくとおり飛躍的に進んでおります。また、指摘事項に関して、安定した利用料収入を得るための更なる工夫が必要であるということで、我々は共同研究、受託研究を推進したり、会員制民間利用制度(横市大)を設定したり、大口利用契約(北大)を設定したり、さらには、補助無し利用制度(阪大)によって、利用者の技術向上を促進させることによって安価にマシンタイムを提供したり、トライアル利用(理研)で、今まで使ってない人たちが利用できるような様々な取組、利用形態を提供することで、この指摘事項に対応してきました。遠隔化・自動化に関しては後ほど説明します。ただ、まだまだ利用分野の拡大は必要だと認識しております。
次の共用体制(1)について、ポータルサイトをつくってありまして、ここで情報提供とワンストップサービスを提供しております。運営体制もしっかりしたものをつくっており、また、利用体制に関しても特に本事業では、メーカーが加わったことによってその資産・ノウハウ・人材を有効活用したセミナー・教育プログラム等と厚みのある利用体制をつくっております。
次の共用体制(2)について、利用枠に関しても、一般的な利用枠に加えて最先端利用開発枠ということで、技術領域に発展するもの、プラットフォームの全体に発展するものの支援を行いました。
また、新たな時代の利用形式への対応ということで、遠隔化・自動化技術の導入活用を進めております。これはそもそも働き方改革の時代にユーザーからリクエストがあったものですが、このポストコロナにおいても、この利用促進に役立っております。もともとは横浜市立大学が平成30年に始めましたけれども、その後、昨年度に理研と阪大が開始して、このような利用実施状況となっています。ただし、対応機器・機能が限られていることや高度なセキュリティの担保も考えないといけません。また、特に生命系の不安定な試料へ対応が不十分であるなど、まだまだ課題はあります。これについては今後頑張っていきたいと思います。
次の技術の高度化(1)について、我々の特徴として技術の高度化には非常に力を入れてきたということが挙げられます。例えば、理研が開始しました1.3 GHz NMRの開発、これはJST未来社会創造事業(H30~)で行っております。また、それに合わせた測定法の開発や検出器の開発もありますし、またDNP法による高度化、高感度装置の開発もあります。これら企業と一緒に進めてきましたが、特に、大阪大学のDNP装置に関しては製品化も実現しております。また、横浜市立大学と組むフロー型高磁場NMR装置の開発。また、利用技術になりますが、19Fスクリーニング用ライブラリの充実もあります。
次の技術の高度化(2)では、さらに、北海道大学では代謝物の解析技術も進め、これは特許出願準備中でありますが、また、地域のコホートプログラムに参加するなど様々な取組に活用しております。加えて、卓上NMRの開発も進めましたし、それから生命系NMRデータの解析プラットフォームを、阪大・理研で進めておりまして、特に深層学習の導入によって飛躍的に機能が向上しています。また理研では生命系試料の試料調製の部分の支援も行っておりますが、そこでも企業と共同研究で新技術を開発、製品化をしたり、特許を取得したりユーザーへの共用をやっています。このように様々な高度化を進めてきました。
次は人材育成です。これは我々の非常に特徴的な取組の1つであります。北大が行ったICT教育・実習プログラムがあります。北大のオープンエデュケーションセンター(OEC)の教育リソース(システム・人材)を使いまして、ICTの教材をつくるとともに、それと装置実習コースを合わせた、非常に教育効果の高い教育を進めております。ただし、コロナ禍でも、このICT教材は非常に活躍しましたが、装置実習コースに関しては今後、新しい方策が必要と考えております。
その他の取組でも、セミナーはハイブリッド・オンライン開催を開始しておりますし、また、スタッフのキャリア形成・スキル向上に係る取組なども進めております。
次は研究開発基盤の維持発展(1)ということで、持続可能性に関しては北大が入り、メーカーも入ったことによって充実しました。ただし、より広い利用分野、より広い地域への展開は、まだまだ課題です。特に、コロナ禍において移動制限が行われたことによって、今まで以上に地域との接点となる拠点整備が急務です。また、技術開発に関しては非常に自信を持って進めておりまして、先ほど示したように充実した対応ができていると思います。また、参画機関の被災等によって運用障害が発生した場合の相互利用支援体制というのは整えて機能しております。右側に示しますように平成30年に起きました北海道胆振東部地震で、北大施設は多大なる損害を受けましたが、ほかの機関がマシンタイムを融通することによって、北大の教育研究共用体制の持続を可能にしたということがあります。ただし、コロナ禍のように、全国レベルで発生した場合には、まだまだこの体制は不十分だということも痛感しました。これは課題です。また、自動化の話は、先ほど説明したとおりです。
次の研究開発基盤の維持発展(2)、利用の成果です。いろいろな成果が出ています。アカデミアや企業、それから自治体が絡んだ活動まで様々なものが出ています。後ろのほうにも追加資料があります。ぜひ御覧ください。
そして、次のその他(1)、分野融合・新興領域拡大ですけれども、もともと生命科学系の分野の利用が主体であったわけですけれども、本事業で特にポリマー・材料分野が進展しました。また、NMRと電子スピンの分野で合同の国内学会を開催したり、国際学会をこれから開催することで、分野融合も進んでおります。
政策連携としては、様々な国のプログラムに我々の機関が参加しました。国際的ネットワーク構築・コミュニティ形成も、示しているように非常に進んでおりますし、民間活力の導入ということでありますと、理研は既に、JEOLと連携センターを始めていましたが、今回の事業期間の中で大阪大学は日本電子YUKOGUSHI協働研究所を開始しました。
次のその他(2)、これが最後の指摘事項への対応状況ということですけれども、ここに挙げた事項に関しては、我々、多彩な装置・技術を展開して広い分野に対して共用しています。NMR基盤としてこのスケールがあるのは世界でも類を見ませんが、その特色を強化するために技術開発等を進めてきました。また、広範なセクターに対して共用を更に進めるということで、これは我々の特色ですけれども、OECDのワークショップにおいて、研究インフラの利用者構造の最適化というセクションでは、我々の取組はgood practiceとして話題提供を求められましたので、我々の取組は国際競争力も有していると認識しております。特に産業界利用の推進と利用分野拡大方策です。また、生体分子の動的構造解析研究に関しては、世界的に評価の高い嶋田先生が理研に着任されたことで、この分野の国際競争力が著しく強化されたと認識しております。
最後に、事業終了後の計画・展望です。我々は、さらに、今までの課題を解決するために拠点の全国展開・ネットワーク化を進めていきたいと思います。これによって多様な技術・装置を提供し、ユーザーアクセスを向上させ、利用分野を拡大させることができると思います。また、知恵・技術・職人芸の暗黙知を形式化して、更に機械化・自動化を進めることで、それは人材育成にもつながるということで、このような知のつながりによって、ユーザーが地理的な制約を受けず、必要な最適な支援を受けながら、最適な技術・装置を使って課題解決できる共用体制をつくりたいと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。ただいまのプレゼンに関しまして、御質問や御意見はございますでしょうか。
【藤井部会長代理】 やはり更にユーザーあるいは範囲、分野を広げたいということですけれども、現状のキャパシティーとしては、つまり稼働率としてはどのような状況なのでしょうか。
【NMR共用プラットフォーム代表者】 コロナ禍前はもうローデータとして9割程度、ほとんど埋まっているという状況です。ただコロナ禍になって、やはり落ちてきて、理研ですと7割ぐらいでしょうかね。ですから、そこは非常に厳しい状況にはなっています。
そのため、リモートアクセスとか、それから、やはり理研とかこの拠点に来にくいというのがあるので、その接点となるところをもう少し地域に展開することが重要だと考えております。
【藤井部会長代理】 なるほど。ありがとうございます。
【岸本部会長】 ありがとうございました。ほかにもあるかと思いますが、後ほどにさせていただきたいと思います。
【NMR共用プラットフォーム代表者】 どうもありがとうございました。
【岸本部会長】 それでは、続きまして2番目ですけれども、光ビームプラットフォームに関してでございまして、小杉先生から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【光ビームプラットフォーム代表者】 御報告いたします。事業は御存じのように、放射光施設6機関と大型レーザー施設2機関でやっております。
これらの施設は既に、共用や共同利用を大々的にやっている組織が多いので、本事業では、共用を加速するというところはありますが、基本的には各施設の連携を取って、高度化・標準化に取り組み、特に産業界の問題解決にできるだけ貢献しようというところでの仕組みを考えてきたわけです。
次に進捗状況。各施設は、既に共用、共同利用をやっていますので、ある程度安定した利用の成果が上がっているというところの数値のみです。
次に共用体制。この事業は各施設の取組に少し温度差があります。プラットフォームに載せている装置はビームラインと呼ばれているものですが、全ビームラインを提供している施設もあれば、例えばSPring-8のように60本程度のビームラインがある内の3本しか関わっていない施設もあり、それぞれ施設で事業に載せている装置数がいろいろ違っております。また、全スタッフが参加しているところとか、一部のスタッフしか参加していないところとかの違いはありますが、いずれにしても共通の問題解決のための手法に合わせて集まってはいます。
次はワンストップサービス。ここはこの事業でうまくいったところだと思います。例えば放射光学会に対して、自立化の文脈で施設情報の集約をお願いしようとしたのですが、リンクを貼るぐらいが限度でして、各施設の情報を、中身まで踏み込んで一覧表にして見せるとか、特に初心者が見た場合に、どこで何が行われてそれがどういう代行実験に対応しているとか自動化・遠隔化に対応しているのかしてないのかとか、それから特にコロナ禍では、今動いている施設がどこかとか、同じような装置があってもどこが違うのかとか、その辺の情報が一括してウェブで提供できるというのはこの事業でないとできなかったところかなとは思っております。
次に施設連携活用の推進。あいちの放射光施設が相談窓口にはなっていますけれども、そこに相談が殺到するというか、割とウェブで解決するというところがありますのでそれほど人手としては殺到する状況ではないわけですけれども、少しずつ相談件数も増えているのですが、その中で、ほかの施設を利用したり、問題解決がうまくいったとかの追跡調査はアンケートで取るしか手がなくて、隣のほかの施設を紹介しても、実際そこを使ったのか使ってないのかというのはアンケートをとるしかないとわかりませんので、何とか数値で出せるように今回は工夫しました。
次の技術の高度化・標準化。各施設、特に放射光施設の装置の特徴は、既製品ではなく、同じ手法であっても各施設、自作なわけです。ですから、少し測定データが違ったりするわけですけれども、結果はそれほど違うことはないのですが、やはり初心者からすると、測定データの違い、あるいはそれが解析結果として違ってくるのではないかなど、いろいろな不信感を与えるところがありますので、そこはこの事業で、ラウンドロビンという形で、同じ試料を各施設回って、しかもほかの施設の人が参加をして、施設間の違いをなるべく除くような試みをする。例えば、技術的に遅れている施設があった場合には、進んでいる施設で技術を学んでフィードバックして測定技術を上げていくというところもありますので、かなり標準化とともに高度化も進んできたかなと思っております。
次のラウンドロビン結果例。これは御紹介しているようにラウンドロビンという形でいろいろな手法で、装置はそれぞれ違うのですが、なるべく同じように測定結果の信頼性を上げるというところで工夫してきたというところです。
次の標準化の成果。すでに説明したとおり、人材育成にもつながっておりますし、今期は、こういう標準のデータ、ラウンドロビンで取ったデータをDVDに焼いて、配布するということをやりました。コロナ禍ですので、研究会等で配布するということまではできませんでしたけど、今のところ500部ぐらいを配布したというところで、みんなに信頼していただける、どこの施設でも同じような結果を得られるというところを、何とかこの事業で実現してきたかなと思っております。
次の人材育成。こちらはユーザー側の人材育成であるわけですけれど、阪大を拠点として、同じ光ですからレーザーと放射光で同じところと違うところを教育しながら、ユーザーを育てていくということをやりました。このような教育の成果を具体的な数字で上げるというのはなかなか時間もかかることでして、難しいですけれども、これまでこの事業で五、六百人の実習の実績がありますので、そういうところでは貢献できたかなと思っています。また、資料の一番下に書かれていますが、キャリアパスとしても、若手人材がこういう業界に入ってくるというところをしっかり行い、少しずつ増えてきているかなという状況です。
次の研究開発基盤の維持・発展。自立化に向けて産業利用を中心に利用料の収入が少し上がっていますので、それを還元して自立化というのも考えつつある、あるいは連携して外部資金を取るということもやっております。
次の中間評価指摘事項と対応一覧。中間評価ではいろいろ指摘事項を受けたわけですけれども、簡単にそれぞれの対応状況を御報告いたします。
まず、外部実績として本事業のみの効果を抽出できないかというところなのですけれども、先ほど申したようになかなか難しいわけですが、アンケートを取りながら、大体年間30件程度は確実に貢献しているかなというのがアンケートで上がっております。
具体的なアンケートの結果が次の統計/ユーザー調査です。これも研究会等がもっと開ければ精度が上がってくるわけですけれども、これは54社に対してのアンケート結果ですが、それなりに知られてそれなりに利用されて、ほかの施設も使うというところで、何とかこの事業の認知度が上がってきているかなというデータになっております。
次は、中間評価の際に戦略とかKPIの明確化というのを言われましたので、ここに書いているような取組をし、評価軸も立てて、委託業務の成果報告書でなるべく数値に示すように取り組んできました。
次に、民間との連携の強化というのも指摘されましたけれども、ワンストップサービスでかなり有効なことをやっておりますし、ラウンドロビンでも民間等も関心があって少し協力したいという話も出てきていますので、その辺りでも、今後、民間との協働がやれるのではないかというふうに、今、取組を強化しつつあるというところにあります。
次のデータの保存・活用に関しては、先ほど言いましたようにDVDを配布するということで、ある程度今までやってきたことを集約して、利用者等に提供するということをやりました。
それから次、ラウンドロビン以外にインセンティブ、メリット等、何があるかという御指摘を受けたわけですけれども、ここに挙げているのは、スタッフが、ラウンドロビンを通じて各施設を回って、標準化・高度化に貢献するというところでそれぞれのスタッフのモチベーションも上がって、関わったスタッフから論文発表や国際会議で発表するという数が増えていますので、確実に専門性を高めた事業になっているかと思っております。
次は、放射光とレーザーの分野融合が大きく進んでいるとは言えないという御指摘を受けておりますが、ここはいまだにwin-winの関係が難しい状況ですが、それなりに研究会を増やしたりしてやっております。win-winの関係はなかなか難しいという一例としては、レーザーから2施設入っておりますが、そのうち、東京理科大学のレーザー施設は今年度で大学の方針でシャットダウンと、もうやめるということになりまして、連携を進めている中で、各施設固有の存続問題もあり、なかなか難しい関係にはなっているという状況です。
最後に新たな展開・次期に向けた計画の中での自立化に向けた検討については、かなりの部分オンライン業務でやれるところはありますし、また、学会との連携を模索したのですけれども初心者にはやさしくできないようなので、ここはやはり自己収入を稼ぎながら我々のワンストップサービスを継続することは非常に有効です。そういうところを何とかしようとか、人材育成も連携でやっていくということを自立化の方向では考えております。
それから今後の展開ですけれども、放射光は既に共用、共同利用でエスタブリッシュしたエスタブリッシュしているということがありますし、今までの光ビームでの連携の経験がありますが、その一方、そういうところをまだ生かし切れていない、共用が拡大していない大学等の施設として、中性子とかミュオンとかいろいろあります。放射光を中心とした経験をほかのビームに生かすということが重要かと考えておりますし、我々の経験が非常に生きるかとは思っております。一つの問題を解決するのに、放射光だけでは済まなくて複数のビームを使って問題解決するというのは、産業界にも重要なことですので、その辺りの展開を考えております。以上です。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。御質問やコメントはございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、また御意見等は後ほどいただきたいと思います。小杉先生、ありがとうございました。それでは、続きまして3番目ですけれども、原子・分子の顕微イメージングプラットフォームの取組状況についてということで、御発表をお願いしたいと思います。
【原子・分子の顕微イメージングプラットフォーム代表者】 よろしくお願いします。阿部より、原子・分子の顕微イメージングプラットフォームの取組状況を報告いたします。
まず事業概要について、このプラットフォームは北海道大学と浜松医科大学、広島大学が実施機関となりまして、岡山大学、量子科学技術研究開発機構、日本原子力研究開発機構、そして民間企業の協力により実施しました。
次に、外部利用実績は上のグラフのとおりになりました。左から3つは旧事業の実績で、右から5つは本事業の実績です。旧事業と比べて減っているわけですけれども、これは、共用装置の台数が下の表のように減ったため、あとは無償トライアル利用を廃止したことが理由と考えられます。あと、利用を幅広く募集しており、新規利用分野の件数は、右上の表のように21件から34件と大きく増えました。中間評価では、更なる新規利用分野の開拓が望まれると御指摘をいただきました。この取組についてはこの後、7ページ目で報告いたします。
次の共用体制(1/2)、まずこのスライドでは、事業開始前の状況を灰色で、本事業の取組は青色で、そして中間評価での御指摘を踏まえた取組を赤字で示しております。それぞれの結果は緑色です。共用体制ですが、ワンストップ窓口を運営することにより効率化を進めました。また、ウェブサイトで利用成果報告書を、これまで320件程度を公開しております。また、利用者アンケートを実施しまして、実施3機関でその対応を検討しました。これについては、次のページで報告いたします。
中間評価では、利用支援人材が不足しているという御指摘をいただきました。これについては、大学の教員の協力を得たこと、あとは大学発ベンチャー企業(分析受託)との協力体制を構築したこととか、人材育成に向けた取組として、ビデオマニュアルの蓄積ですとか、あとは技術講習会、技術習得プログラムの実施を行ってきました。
次に、アンケートの内容について報告します。アンケートは、分析装置と人員の対応のそれぞれについて改善すると良い点を利用者に問いました。それぞれ、およそ1割ずつ要望が出ておりまして、これらについては、実施機関3機関で検討して対応を行いました。
次に、技術の高度化(1/3)の取組として、まずノウハウ・データの蓄積・共有を進めました。一つは試料調整ですとか、装置の操作方法をビデオマニュアル化するためのビデオ素材の蓄積です。これと、解析データの精度管理ですとか、測定の標準的プロトコルの作成、測定データ解析ソフトウェアの開発といった取組を進めました。
また、機器活用のための高度化とユーザーの利便性向上に向けた取組では、試料調整用装置や治具の導入ですとか、共用スペースの拡大、解析ツールの導入。あとは、新規に装置を4台導入するといった取組が行われました。また、利用者による技術の高度化や、技術開発を目的とした利用課題がありましたことも報告いたします。
次の技術の高度化(2/3)、先端計測機器開発などの他事業との連携として、本事業開始から3年で5件申請、その後の2年で11件の申請を行いました。中間評価で御指摘をいただきました3機関協力による積極的な高度化という点では、実施3機関による申請が1件、あとは実施1機関と協力2機関による申請が1件ありましたが、残念ながら採択には至っておりません。
次の技術の高度化(3/3)、また、実施3機関が協力して複合分析を開発し、それをソリューションとして利用者に提案するという取組を進めております。今進めているテーマは、参画機関の研究である、シロアリの代謝経路解析です。シロアリの王や女王と、働きアリの寿命は、アリは同じ遺伝子なのに寿命が大きく違うそうです。その要因を解明するために、餌がアリの体内のどこに代謝されるか、そして何が代謝されるかを、実施3機関のそれぞれの先端的イメージング測定装置を用いて複合的に分析しました。この成果を複合分析例、ソリューションとして今後、利用者に提案していきます。
次の人材育成につきましては、以前御報告しましたとおり、技術講習会を開催、あとは技術習得プログラムを開催しました。それぞれ開催回数は28、30件となりました。人材育成の成果としては、技術指導員などが、利用者等の論文の共著者になった例が真ん中のグラフにありますとおり、増えております。また、技術習得プログラムの受講者による論文も、このグラフの中の緑色の上の部分ですが、コンスタントに出ております。あとは、技術支援者、補助者たちに対して、学会や講習会、セミナー等への参加を支援しまして、その結果、直接はつながらないですけれども、ほかの大学・研究機関へのキャリアアップや民間企業の就職に繋がっています。
次の研究開発基盤の維持・発展については、中間評価で御指摘いただきました、一層の利用分野の拡大について取組を行いました。これは、既に報告しましたとおり、新規利用分野が34件に増えており、あとは3機関による複合分析ソリューションの開発を取組として進めております。民間との連携拡大については、新たに協力機関である民間企業と共同研究や共同開発を実施しております。また、先程報告しましたとおり、大学発ベンチャーとの協力体制を構築し、分析の分業を行っています。また、事業開始当初5社だった民間企業の協力機関は、今7社に拡大しています。次に、最後の、将来に向けたソリューションを参画機関が連携して具体的に検討するべきという御指摘については、まず、プラットフォーム間連絡協議会というものに参加して、ほかのプラットフォームの皆さんと意見交換をしました。そして、それを基に実施3機関で、現状の問題点と今後の方策を検討しました。その内容は、次のページにてこの後説明いたします。
次のその他については、異分野利用の拡大とプラットフォーム装置群が持つ機能の融合拡大をするよう御指摘をいただいていました。これは、まず、ソリューション開発を進めているということで、それによって異分野利用拡大を進めようとしています。また、異分野利用拡大については、これまでの実績としましては、異分野の学会にて技術講習会の場を設けまして、新規分野の利用拡大を狙ったこと、あとは、実施機関において量子分野とか臨床診断の分野との融合を進めております。
次の事業終了後の計画・展望について、まず、プラットフォームの自立に向けた取組としては、この事業では、利用料収入による事業費の拡充を目指しました。その結果は右グラフのとおりでして、目標額は全てクリアしていますが、5年目はコロナの影響もあり、少し厳しいながらも何とか目標を達成できそうな見込みです。
今後の展望としましては、実施3機関でスマートプラットフォーム化という計画の検討を行いました。今までの問題としましては、本プラットフォームでの分析というのは、先端的な分析でして、ルーチン化が難しい、試行錯誤の繰返しが避けられないという点があります。これらを解消するためには、利用者の施設訪問が必須となりますが、それが利用者たちへの負担となっていますし、この今のコロナ禍の状況では、それは大変難しくなってしまいました。利用者と施設のコミュニケーションが不足しているということです。さらに、施設にとって異分野な利用というのは施設の負担の増加につながっておりますし、支援員への負担が増えるということ以外にも、試行錯誤が増えますので、マシンタイムが圧迫されるという点も負担増となっております。
これらを解消するためには何をすれば良いかというのを考えたところ、スマートプラットフォーム化、右側にありますように、まず、プラットフォームのコミュニケーション不足への対策としまして、ICTを利用しまして人の移動をスマート化する。あるいは既にビデオ会議ですとかそういったものである程度進めてはいるところですが、今後は例えばVR化をするとか、いろいろな技術を使うことによって更に効率化が進められるのではないかと考えています。
また、Bの施設負担増加への対策としまして、分析装置のスマート化というのも計画しています。これは、装置の遠隔対応というものもありますけれども、自動化を進めること、装置を使いやすくすること、あとは安定化をすることによって、例えば夜間運転が可能になるということ、それによって、マシンタイムを稼げるといったことも考えております。これらによって、現状の問題点を解消することによって、今後の研究のスマート化を進めようと考えています。
これらは先ほどの、現在進めております複合分析ソリューションによって、更に異分野への展開を図ること。あとは、AIを用いた最適な分析法を提案すること。これらによって、日本の研究開発支援を推進していくことを目指します。以上です。
【岸本部会長】 阿部先生、ありがとうございました。それでは、御質問やコメントはございますでしょうか。
【網塚委員】 すみません。同一機関ですけれども、ちょっと興味があるので教えてほしいのですが、そのシロアリの複合分析は、どういう経緯でそのように発展したのでしょうか。かなりコーディネートされたのでしょうか。
【原子・分子の顕微イメージングプラットフォーム代表者】 これは、もともとこのような複合分析の利用をユーザー側から持ち込まれるのではないかと期待をしていました。ですけれども、それがなかなか来なかったという事情がありまして、それに対してなぜかと考えたときに、やはり前例がないものに対してお金を払う人はいないのではないかという一つの考え方がありまして、それだったら自分たちで前例をつくろうというつもりで、こういったものを始めました。これは今後、今はシロアリで1例目ですけれども、今後は2例目、3例目をつくって、前例をつくることによって、もっと展開を早めていこうと考えています。
【網塚委員】 ありがとうございます。プラットフォーム側からピックアップしたわけですね。
【原子・分子の顕微イメージングプラットフォーム代表者】 そのとおりです。
【佐藤委員】 大阪大学の佐藤です。1点質問で、いろいろな良い成果が出ていると思うわけですけども、やはり気になっているのは、最終的に論文がどのぐらい出たのかと、どのぐらいの利用者数に対して論文がどのぐらい出ましたかという成果がよく分からなくて、それを教えてください。
【原子・分子の顕微イメージングプラットフォーム代表者】 確か二十数本が提示できる内容としてあったと記憶しています。
【佐藤委員】 利用者は325件、利用報告書というのが出ているみたいですけれども、利用者数はそれでよろしいですか。
【原子・分子の顕微イメージングプラットフォーム代表者】 325件は、これまでの旧事業のものも含めて325件掲載しております。この事業の報告としては、およそ半分、200件程度になります。
【佐藤委員】 分かりました。どうもありがとうございました。
【岸本部会長】 まだ御質問あるかもしれませんけれども、後ほど、皆さんでディスカッションしたいと思います。それでは、阿部先生、ありがとうございました。
続いて4番目ですけれども、風と流れのプラットフォームの取組につきまして、坪井先生から御報告お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【風と流れのプラットフォーム代表者】 海洋研究開発機構の坪井です。風と流れのプラットフォームの取組状況について、御説明いたします。
風と流れのプラットフォームは、流体技術研究で相補的関係にあります風洞実験設備(アナログ風洞)と、スーパーコンピュータ(デジタル風洞)を共用して、その風と流れに関する様々なユーザーニーズに対応した高度利用支援を行うということでございます。これまでは基本的にやはり風洞施設やスパコンの利用経験者というのは、人的交流がある施設に利用を申込むということになっておりまして、何かその新しい利用者がこういう目的で使いたいというときに、それに見合った風洞というのをどうやって使うかというのはなかなか、プラットフォームみたいなものはないと分からなかったということがあります。
それから、例えば民間の利用者で、スパコンの数値計算を使うということはほとんどできない方が多くて、風洞施設を使って更にスパコンで数値計算をするというような場合にも、なかなかこのようなプラットフォームがないとできないというような状況があったということがあります。このプラットフォームを使いまして、アナログ風洞とデジタル風洞の両方を使うというふうなプラットフォームをつくったということになります。
次の進捗状況ですけれども、このプラットフォームをつくったことによりまして、広報活動の効果もあって、利用相談と利用件数は順調に増加しております。令和元年度で相談件数が113件で利用件数は46になっておりますが、残念ながら今年度の上半期につきましては、風洞実験の設備がやはり利用停止になったということもありまして、あまり利用は伸びなかったということがあります。利用件数は事業開始前と比べて4倍ぐらいの増加がありますし、業種が2倍の増加、この左側のグラフでいいますと、これまでは基本的に風洞というのは航空・宇宙の利用が多かったわけですけれども、最近は防災分野であったり、あるいは最近の傾向としてはドローンであったり、それから風力発電というような民間の利用者が、このプラットフォームを通して使うということが出てきております。
次の中間評価の指摘としましては、利用件数がもう少し多くなければいけないとか、そのリソースが限定的なのが残念であるというようなことがありまして、対応としましては、施設側のスケジュールのやりくりというのはなかなか難しいところもあるわけですけれども、実験までの準備期間を短縮するようなことになりまして、平均して1.5倍程度試験枠を増やすというようなことができております。
次の共用体制としましては、風洞設備を持っておりますJAXA、京都大学、東北大学と、スパコンを持っておりますJAMSTECが、この実施機関として体制を組んでおりまして、ここにワンストップのサービス、利用者からの申込みはこちらのほうに来ていただいて、それぞれの風洞を紹介するということになっております。それから協力機関としましては、鉄道総合技術研究所、防衛装備庁、日本大学などが入っておりまして、それぞれの機関に高度技術指導員という方を置きまして、その風洞の利用あるいはスパコンの利用というものを支援するということになっております。それで、相談に対する共同体制とか、目的と予算に合った試験の提案、実施スケジュールの要望に合わせたサポート体制というものがこの事業を始めることによって確立しております。
次の中間評価結果を踏まえた対応としましては、民間企業との連携も進めることが必要であるということでありまして、プラットフォームのユーザー試験でJAXAが開発しました先端計測(PIV)を運用している受託企業と連携して、ユーザーへの技術支援を行うということとか、利用者は基本的に多くの方が民間企業でありますけれども、実施機関あるいは協力機関の中に民間の風洞なども今後入れていきたいというふうに今考えているところでございます。
次の技術の高度化としましては、事業開始前と比較しまして、例えばスパコンの技術の標準化、パッケージ化を図る、それから操作マニュアルの作成、風洞の実験では磁力支持天秤装置というようなものを使うということのマニュアルというものを使っております。ノウハウ・データの蓄積・共有というところでは、プラットフォーム内でこのような情報共有を実施しております。
次の中間評価結果としましては、デジタルとアナログの更なる融合を促進することが必要であるとか、そのデータの公開をホームページなどで積極的に進めることを期待するということになっております。このような情報は基本的に、成果事例も含めてホームページで公開を始めておりますし、数値シミュレーションと風洞実験データの組合せということで、風洞実験の遠隔化を行うというような取組を始めております。これは後ほど少し御紹介したいと思っております。
次の人材育成としましては、それぞれの風洞では、基本的に技術者がそのオペレーションを行いまして、利用者に対する対応をしているわけですけれども、こういう技術者も、継承が断絶するとか技術が空白化するというような懸念がありますので、これはJAXAを中心としまして、風洞技術者認定制度というものをつくろうということで、この検討を始めております。近い将来に向けては、それぞれの技術系の職員などを風洞技術者として認定しまして、それで、実際のユーザーの対応に当たっていただくというようなことを今、検討しているところであります。
次の中間評価における指摘としましては、提案を5年かけて行う計画となっているが、検討の加速が望まれるというようなことになっております。この事業では、この取組としましては、認定のための教育訓練カリキュラムをつくるというところが一つの目標になっておりまして、今のところこれは達成しており、この後、JAXAさんがインターンシップの制度をお持ちになっておりますので、こういうものを使って風洞コミュニティのほうに、この成果として展開するということを今考えております。
次の研究開発基盤の維持・発展ということでは、プラットフォームを維持できるかということになるわけですけれども、ノウハウ・技術の習得であるとか情報共有を行うことによって、何とか持続をしたい。それから自立ができる仕組みというのもなかなか、自己収入を原資としてできるかというのは検討が必要かなというふうに思っておりまして、これは継続して検討しているというところになっております。
次の中間評価結果を踏まえた対応、実績としましては、持続的なプラットフォームの運営に当たって、このような、施設の補修や更新とか、外部利用の限界等について、更なる検討が必要であるということでありまして、これはどのようなニーズがあるかということも含め、また、技術動向も踏まえて、この1年で継続的に検討を行っているというような状況でありまして、まだまだこの辺は対応が必要かなと思っているところであります。
次の国際的なネットワークの構築というのもこの事業の中で一つ重要な成果だと思っておりますが、イギリスには、National Wind Tunnel Facility(NWTF)という、イギリス国内における風洞設備をネットワーク化した体制ができておりまして、このNWTFとの間で人的交流を開始しております。例えば昨年にはNWTFの方をお呼びして、シンポジウムで講演をお願いするというようなことを実際に行っているところであります。
次の中間評価の指摘事項としましては、この国際的なネットワークの人的交流は評価できるということと、そのスタートアップ支援を積極的に行うことというもので、プラットフォームの価値を広めてほしいということがありましたが、このスタートアップの支援というところでは、例えばその予算をそこに割り当てるようなことはまだ具体的にできておりませんので、どのように新規利用者に積極的にこのような利用を勧めるかということは、まだ少し検討の余地があると考えているところでございます。
次の事業終了後の展望ということで、今、1つ明らかになったこととしましては、やはり風洞実験というものはなかなか自動化ができておらず、今回も今年度前半にはなかなか実施ができなかったというようなことがありますので、自動最適化というものを何とか実現したいと考えるところであります。この際に、シミュレーションということをキーワードとして使って、特にデータ同化というのが、これは例えば気象の分野などでは、シミュレーションの結果を進めていきまして、それと観測を合わせることによって、そのパラメーターを最適化するというようなことは結構現実的に行われているわけですけれども、こういうふうな考えをこの風洞実験の最適化にも使えるのではないかということが現実的になっておりまして、非常に精巧なシミュレーションを行って、それでデータ同化をして、その計測のパラメーターも最適化を行って、できればこれで風洞の実験を最適化したいということが、この事業終了後に開発としてやっていかないといけないということを考えているところであります。
次のスライド、このようなデータ同化で自動化を行うという場合にも、結局その実験と数値シミュレーションをどのように融合していくかということがやはり非常に重要でありまして、このプラットフォームでは、ユーザーからワンストップの窓口に、こういうものをしたいというようなユーザーの利用の申込みがあるわけですけれども、そのときに、それがどういう風洞で行うべきかとか、あるいはその数値シミュレーション、CFDをどういうふうにそれに組み合わせるかというようなことに対して、そのプラットフォーム内でリエゾンチーム(専門家集団)をつくって、どのような風洞あるいはどのようなCFDを行うべきかということを、そのユーザーに対して提示するということで、それを提示した結果、それぞれの最適な風洞とか数値シミュレーションの具体的な手段を提供することによって、それがユーザーへのフィードバックとして使えるのではないかと。これが一つ、やはり今後やるべきことではないかと考えております。
次は最後ですけれども、データ同化の風洞実験の最適化ということで、これは風洞実験の効率化が図れますので、ユーザーに対する時間枠の増大にも使えることがあるのではないかと思っております。産業界と連携して、より高度な風洞実験と数値解析を組み合わせて利用できる体制を構築して自立化を模索する。そのときには、リエゾンチームというものが必要でしょうし、人材育成としては、先ほどの風洞技術者認定制度というようなものを今後展開していきたいというふうに思っております。以上であります。どうもありがとうございました。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
この後、もう1件お聞きしてから、共用プラットフォーム形成支援プログラムについての今後の課題等について皆様から御意見いただきたいところですけれども、藤井先生が御退席されるということで、もしここまでのところをお聞きになられて、今後の課題というようなことについてコメントを頂戴できるようでしたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【藤井部会長代理】 恐れ入ります。最初のNMR共用プラットフォームのところでも少しお話ししたのですけれども、皆さんどれを取っても、共用プラットフォームとしての仕組みについて、それぞれが意識をされて、かなり良い形で、ベースはできているのかなというのが感想です。
今後の課題としては、先程の余力がどれぐらいあるかという話もありましたけれども、このコロナの状況になってしまったということがあって、この状況を踏まえて、どういう次の展開を考えていくかというのが、少し戦略の練り直しというのが必要になってくる可能性があるかなというところです。ただ、逆に言うとこういうネットワークで持っていることが、むしろこの状況になったということもある意味追い風になるところがあって、例えば拠点間でいろいろな形で、今までは人が移動したり、サンプルは移動しないといけないわけですけれども、今までは本当に人が移動したりして何かをしなければいけなかったことが、例えば、拠点間をオンラインで結んで、いろいろなことを積極的に共用するというようなことができるようになってきている、あるいは、そうせざるを得なくなってきているということがあります。そういうものを踏まえて、特にメジャーな拠点と、それからその周りのそれぞれのローカルな拠点とか、そういうことでメジャーな拠点を中心にローカルなニーズをきちんと吸い上げた上で、国全体としてサポートするときに、このプラットフォーム全体をどういうサポートすべきかというような議論は、むしろこのオンラインとかリモートというのも踏まえた上で、何ができるかという議論がしやすくなっていると思いますので、その辺りをぜひ考えていただければ良いかなというのが1点です。
それから、今の最後の風洞の話もそうですけれども、文科省内で動いているほかのプロジェクト、例えば数値計算に関して言うと、情報のほうで、次世代のスパコンを見越して、常にソフトウェアの開発というのをやっていると思っていまして、それもかなりネットワーク化されて、産業界との連携というのもかなりやられていると思うのですよね。ですから、既存のそういうプロジェクトとも、どういうふうにシナジーを出していくかというのももう一つあるのかなというふうに感じましたので、それはむしろ、文科省の皆さんのほうでそこを考えていただくということなのかと思うわけですけれども、それぞれサイロに入った状態でやっているともったいなくて、これはせっかく全国のプラットフォームになっているので、そういう意味では、シナジー効果が出そうなプロジェクトの場合は、うまく連携できないかということを視野に入れて、予算要求なりというのに結びつけるということをやっても良いのかなと思いました。私からのコメントとしては、以上でございます。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、戻りまして、風と流れのプラットフォームについて御質問や御意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、坪井先生、ありがとうございました。
続いて、最後になりますけれども、5番目のアトミックスケール電磁場解析プラットフォームの取組状況ということで、品田様から御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【アトミックスケール電磁場解析プラットフォーム代表者】 それでは、資料に基づいてお話しいたします。
スタートしたときの事業概要の資料でございますが、我々は途中から参画させていただきまして、平成29年度から装置の共用というのを開始しております。メインのターゲットとして材料研究や量子物理分野の課題解決ということに貢献するということで、電子線ホログラフィーの技術を共用いたしております。
本共用事業開始(平成29年度)以前の状況を御説明します。実施機関である日立製作所、ファインセラミックスセンター、九州大学、東北大学の4機関では、共用プラットフォーム事業を開始する前は、中長期的な共同研究による外部利用というのはございましたけれども、広範なユーザーに向けて短期的・単発的な利用というのはもう非常に少なかったという状況です。繰り返しますが、平成29年度からの開始ということで、まだ3年半が経ったというところでございます。
次に、事業開始(H29年度)により実現できたことを総括しますと、事業開始によって全く新しいユーザーを開拓できたというところが大きな成果です。ここにある左側のグラフですが、年度ごとに、その新規利用者の累積数がどうなっていったかということを棒グラフで表しております。右の軸が利用件数累積でございまして、折れ線グラフのほうです。そうするとリピート利用も結構多いということでございまして、かつ新規利用者が年々増えている。あと、右側のほうには、本事業がなければ出会うこともなかったと思われる、異分野の研究者との連携とか、あとは予算とか、やはり大きな共同研究が難しいチャレンジングな基礎基盤研究の課題を持った先生の課題に取り組むことができたということです。特にこれに関しては、先週岡山大学と大阪府立大学からニュースリリースがございましたけれども、BKT転移が初めて固体材料で実験検証ができたという、大きな成果を生み出すことができました。
そのほかにも、下にある最新の開発技術をすぐに産業分野の外部ユーザーに適用できるとか、いろいろなニーズに対して我々が課題を探索できる、そういう効果がございました。
次の中間評価のときにいただいた総合評価コメントに関しては、まず、利用増加を努力しなさいというものでした。利用件数増加に向けてよく分析してそれを実施しなさいということで、課題は大きく4つ。技術自体の周知が不十分であるので、広報宣伝に力を入れる。あと、敷居が高い。何しろ、何か難しそうな装置、高価な装置を使うということで、利用の敷居が高いのではないかということで、そこら辺はワンストップサービスを充実させるなどで対応してまいりました。技術的なところでは、透過電子顕微鏡用の試料作製が難しい。さらに、ホログラフィーになりますと、更に難しくなる。これに対しては、我々、装置利用というだけではなくて、どういう試料を作ればどういうデータが取れるかという知見に基づきまして、いろいろなアドバイスを差し上げました。あと、計測データの解析も最終的に分かりやすい結果が得られるような結果を得るまでサービスいたしました。
2番目のその、プラットフォーム化することの効果が見えづらいというお話でございますけれども、4つの機関がそれぞれ連携して、JSTの戦略的創造研究推進事業CRESTなどに参画して、開発した技術をプラットフォーム内にすぐ展開するというようなことをやってまいりました。しかも4つの機関は、それぞれ得意分野が違っております。したがって、ワンストップサービスでユーザーのニーズを聞いた後、どこの機関でやるのが最適かというところを検討し振り分ける。これがまさにプラットフォームの効果だと認識しています。
次の外部利用実績、利用件数・収入について更に踏み込みますと、この4年間でここにある左の棒グラフのような形で、昨年度までは伸びてまいりました。今年度も、10月末の時点では半分ぐらい、その後コロナにより伸び悩みましたけれども、全体的には堅調に推移しております。一方で利用料収入のほうに関しては、件数自体の総数が少ないということもありまして、実は昨年度、大口利用者が急に抜けるという事態がございまして、伸びる予定だったのが伸びなかったのはありますが、今年度、いろいろな対策を積み上げまして、現在、昨年度も通年と同じぐらいの実績まではきております。
次の中間評価時のコメントですが、魅力的で効率の良い利用方法などを検討することということでございました。それぞれこの表に示してございますので、先ほども説明しましたけれども、試料の作製とデータ解析、ここをいかにきちんとサポートしてあげられるかというところが、魅力的なものになるかというふうに理解しております。今回コロナもございましたけれども、在宅勤務とかそういうところで、リモート化といってもまだ十分ではございませんけれども、ある程度現地に来なくてもできるような体制を徐々に取りつつあります。
もう一個、我々は基礎基盤研究にも貢献したいということで、学術上の懸案の解決という本質的な課題に取り組むことだと考えています。そのとき、基盤テーマの、なかなか予算が足りず大きな共同研究は難しい利用者でもこの共用プラットフォームというのはより使いやすく、しかもその利用料金に関しても柔軟な対応をするということが魅力になると考えています。魅力的で効率の良い利用方法という観点で以上のような分析をいたしております。
次は補足資料で、このようなきれいな画像までもってお出しするというような例です。
また、産業分野に関しても、このような結果を出しております。
次は広報活動です。広報活動も非常に活発に進めておりまして、折れ線グラフのように増加させました。今年度は残念ながら、商業展示や講演が中止になっているので件数自体は少ないですけれども、その他の広報活動に努めております。
次のワンストップサービスに関しては、一定の評価をいただいております。単にその窓口業務を一本化するというだけではなくて、先ほど申しました計測試料の調整・加工の出来栄え評価とかそういうところまできちんとサポートするということで、ワンストップサービスを実施しています。
次の共用体制については、説明は省略します。
次は技術スタッフとコスト削減に関してのグラフです。人員は微増で充実させておりますが、単に数ではなくて、育成した大学院生やポスドクの採用等で技術力・対応力が向上することによって、件数倍増しても対応できてございます。
次の経費のコスト削減に関しては、人件費は頭打ち状態ですけれども、その他の経費は極力節約する形で進めております。人件費が、人が増えても横並びというか特に増えてないというのは、メーカーとの協力体制、その人のスキルアップと、こちらとしてはリソースの増強というところでwin-winの体制で進めているという効果も上げております。
次の技術の高度化に関しては、中間評価後もこれだけのことをやってまいりました。また、プラットフォーム内での、プラットフォームとしての技術の高度化ということですが、この青字で書いたところはみんな共同でやったところでございまして、これはプラットフォームとしての技術の高度化と言って良いのではないかと考えております。
技術の高度化の例で一つコメントいただいているのは、AIや高度情報処理技術の利活用というところでございますが、その一例ですけれども、1万枚の視野のホログラフィーデータを無人で原子分解能のデータを取れるように、3日間にわたって自動で取れるようにしたとか、Sparse Codingのデノイズ処理など複数ございます。そういうのを反映させて、原子層一層での磁束分布という世界で初めてのデータを計測する技術も確立いたしました。
次の補足資料は、説明を省略します。
人材育成も引き続き進めて、ポスドクの採用、民間企業の若手技術者の育成などを進めてまいりました。
次の研究開発基盤の維持・発展に関しまして、例えば、大口ユーザーの開拓、民間受託分析会社との連携、そういうことに努力しております。大口ユーザーは例えば大学の大規模半導体研究拠点、具体的に申しますと東北大ですけれども、その他パワー半導体、化合物半導体メーカー、そういうところをもっと件数と利用料金もたくさん頂くような形で進めていくとともに、民間のCo-LABO MAKERという会社にコンテンツ登録しております。ただ、受託分析でビジネスが立ち上がるような状況にはまだなってございませんので、デジタル化を進めて効率を上げる。あと、いろいろな経験を積んでノウハウをためて、成熟を図って進めてまいります。
次の補足資料は、説明を省略させていただきます。
事業終了後の計画・展望ですね。自立化というのはやはり、いろいろな競争的資金、自己資金や利用料収入、それらで自立化していく努力を進めてまいります。
これで最後になります。数値目標もいろいろと掲げまして、まだまだ論文が利用件数の10分の1ぐらいしか論文を出されていないという実態もございます。TOP10の論文もないということで、件数もまだまだ少ないから倍増させていこうということで努力してまいります。以上でございます。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。御質問やコメント等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、品田様、どうもありがとうございました。
それでは、これまでのお話を踏まえまして、事務局にて共用プラットフォーム形成支援プログラムに関して、これまでの取組の成果、今後の課題等について、まとめておりますので、その説明をお願いいたします。
【下須賀課長補佐】 ありがとうございます。資料2に基づいて説明させていただきます。
まず共用プラットフォームの主な成果ですけれども、各プラットフォーム共通で言えることとして、新規ユーザーの獲得、あと新規分野からの利用拡大があると思っています。あとは各機関独自で取り組んできた業務をワンストップで一元化していただいていますので、それによってその運営の効率化も共通していることだと思っています。あとはそのノウハウ・技術や成果の共有による技術力の向上、ユーザー支援があると思っていまして、これもそれぞれでやってきた話をプラットフォーム化して、全体でやっている形になっていますので、共通化することによって、技術力の向上とかユーザーの支援があったと考えています。
他方で、今後の課題の方に移りまして、今お聞きいただいて、まさにと思うところがあると思いますけれども、それぞれの機関でプラットフォームを組んで取組を進めてきていただいたというのがある一方で、もともと最初の時もそうですけれども、こういうことを共通してやっていくというのが、必ずしも明確に説明し切れていたところではなかったと考えていまして、今後の課題にも関係しますが、今後重点的に取り組むべき事項を共通してまとめていく必要があるのかと事務局としては思っています。
今、各プラットフォームの方から、それぞれの取組は説明していただきました。今後は来年にかけて、今の後継であり、今回のコロナの話を踏まえてどうしていくかで、新しく公募してプラットフォームをやっていくというのが今の予算案ではついていますので、この中で、今後のプラットフォームとして共通して求めていかないといけない話が、このマル1からマル3のところにあると思っています。
マル1が、各機関の施設・設備の連携の更なる推進で、これは前回もお示しした話になりますけれども、コンサルティング機能の話や、利用全体のシステム化の話、あと参画機関の拡大の話。その他望まれる取組として書いているのは、それぞれ課題解決のために組んでいるのか、施設・設備と同じようなもので組んでいるのかで色々と違うところがあると思っていますが、そういう中で追加的に求められる設備・機器との連携や、民間企業との連携、あとはその最適化の検討、ロードマップの作成の話です。
マル2に書いているのは、遠隔地からの利用・実験の自動化等に係るノウハウ・データの共有について、これは先程プラットフォーム機関のほうからの御説明がありましたけれども、相互遠隔利用システムや、データ・セキュリティポリシー、あとデータの共有・標準化があると思っています。
マル3には、専門スタッフの配置・育成の強化ということを書いていますが、それぞれの機関ごともしくはプラットフォームの中で、専門スタッフを配置していただいていますけれども、こういう方々を実際どういうふうに配置して育成していくのか。あとは、新たな技術に対応する人材育成をどうしていくのかが、今後の課題では共通としてあるのかと思っていて、94ページをまとめています。
事務局からの説明は以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。
それでは、これから委員の皆様に、この資料のこのページで用意された、成果と課題ということについてまとめていただいたわけですが、特にこの共用プラットフォーム形成支援プログラムですけれども、どういうふうに進めていったら良いか、どういうところがこれから課題になるかということについて、委員の皆様からコメントを頂戴したいと思います。ここに書かれていること、あるいはこういう観点もあるのではないかということで、お願いいたします。
それで、数分程度でコメントいただけると有り難く存じます。皆様からいただいたものを事務局のほうでまとめて、次回でフィードバックするという形に持っていければと思っております。そういう形で進めさせていただければと思いますけれども、名簿の順番でお願いしたいと考えています。最初は網塚委員からお願いできますでしょうか。
【網塚委員】 各プラットフォームの発表をお聞かせいただいて、私も大変勉強になりました。皆様、中間評価の指摘事項に的確にしっかり対応されていて、それぞれの特徴を生かして限られた予算の中で、非常に高い成果をあげられているのではないかと思いました。今後の課題については、ここに挙げられたもので大体尽きているわけですけれども、ここにない視点としては、全国的にネットワーク化やリモート化、遠隔化、DX体制を構築していくとなったときに、事務作業、特に経理関係について機関ごとの共通化というのですかね、そういったものを進めていっていただけると、現場もやりやすいのではないか、そういう視点も今後必要なのではないかと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは続いて、飯島委員からお願いできますでしょうか。
【飯島委員】 これは以前にも何かお話ししたような気がしますけれども、すごく成果が上がったという印象が強かったのですが、まだプラットフォームの中でのデータの共有とか標準化は、ノウハウの共有も含めて、なかなか進まないのかなと思っています。そこのところがひとつ越えられると良いなと思うわけですけれども、ただ、研究者同士の競合もありますし、知財の問題もあるので、やはりなかなか簡単には進まないかなと心配しています。
もう一つは発表の中に、技術の認定、これはサポート側ですよね。それから、NMRのときには検定、これは使用者側だと思いますけれども、これは新しい発想で、なかなか良いのではないかと思うわけですが、どうやってオーソライズしていくかということを考えていただくと、もっと国内で広く使えるようになって、もっとやりやすくなるかなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、市川委員からお願いできますでしょうか。
【市川委員】 皆さんの今回の発表を聞きまして、大変大きな成果がこの短い間で、各研究機関から寄せられて大変驚きましたとともに、この取組に御努力された皆様方に敬意を表したいと思っております。
そこで前回、今ちょうど菅総理のほうもデジタル化ということをおっしゃっていますので、今回のコロナ禍がすぐに収束するような状況ではないものですから、やはりデジタル化、遠隔地からという操作性に関して、もう少し力強い方向性が出ても良いのではないかということを思いました。
ということと、これももう一つ、セキュリティーの問題について、皆さんいろいろとお気にされているかと思いますけれども、日本の研究分野に関心を寄せているところは世界的にもありますし、協力できるところはされていると思いますが、その情報の管理の面についてもぜひ皆様方が注力を払うことも大切ではないかと思いました。この2点を指摘したいと思います。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、江端委員、お願いできますでしょうか。

【江端委員】 東京工業大学、江端です。共用プラットフォーム事業の皆さんの御報告を初めて全てお聞きして、非常に大きな成果が上がっているというところにつきましては、ここまでの先生方のコメントと同じで非常にすばらしいですし、これを更に波及させていただきたいと考えています。
私からは2点ありまして、1点目は、既に網塚委員から言及していただいた、事務的なシステムです。規定の整理であったり、収入を上げるためのルール整理がどこまでできているのか、例えばそういった自己収入を繰越しできるような新たな制度の設計や、その制度をどのように活用できるかといった点は、インフラの維持管理を考えたときには大変重要な視点だと思いますので、ぜひそれらの点も併せて御検討いただければと思っています。
もう1点が、こちらのページのマル3番の、専門スタッフの配置・育成の強化というところに関してになります。例えば、先ほど北大の阿部さんのほうから御報告いただきました、資料の49ページ、原子・分子の顕微イメージングプラットフォームに事例として、北大の技術支援員の方が、国立大学の准教授へとキャリアアップされたような具体的な事例というのが多くありまして、私は大変驚きました。今、技術職員の方々の議論にフォーカスされており、私から技術職員について言及してきたところもありますが、実は共用施設に関わる教員の方々も、各機関における立ち位置というのは非常に不安定なところがあります。非常に優秀な方々が次のキャリアへどうつなげていくのかというのが、大変重要なポイントだと思っています。
そういった意味で、こちらの専門スタッフのところに関しましては、技術職員だけではなく、教員についても着目していただけると非常に有り難いなと考えております。私からは以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、続いて江龍委員、お願いいたします。
【江龍委員】 ありがとうございます。名古屋工業大学、江龍でございます。
もう既に幾つも上がっているわけですけれども、今回の共用プラットフォームとして、様々なノウハウ、様々な高度なデータを出していただきました。例えば、大学一つの中でおいても、各先生がどれだけのデータ、各装置がどれだけのデータ出して、どういうようなノウハウがあるというのに、アクセスするのに大変な状態になっています。せっかく国としての財産、研究者としての財産でございますので、ぜひそのプラットフォーム全体にわたるような、オフィスというかリエゾンをたてていただいて、セキュリティーを守る、それで、各機関からの問合せがあったときにどういうような答えができるかとか、もう一歩踏み込んだ、プラットフォーム全体を通した横串を刺したような組織が必要ではないのかなというようなものを感じた次第です。以上でございます。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、長我部委員、お願いできますでしょうか。
【長我部委員】 ありがとうございます。日立製作所の長我部でございます。
成果面では各先生からお話が出たように、各機関非常に努力されています。特に感銘を受けたのは、手法をますますブラッシュアップされて、その成果をすぐに共用として展開しているということで、ユーザーが最先端の結果が使えるようになっているという点が、すごく印象に残りました。
今後の課題ですけれども、既にこのペーパーに書かれていますが、いかに今の活動をインテグレートされたバーチャルな一つのラボのように機能させることができるかという大きな命題だと思っています。これはこのプラットフォーム事業の適用する範囲がすごく広いので、全体としてインテグレートするのか、あるいは少し分野みたいなものを考えて、そこでインテグレートしていくのか、方策を考えないといけないのだろうと思っています。特に材料分野ではDXプラットフォームの計画が国全体で動いていますので、そういった中で、ここにあるようないろいろなプラットフォーム、あるいはコンピューティング、解析手法あるいは数理モデルリング、これはどういうふうに各分野ごとにインテグレートしていくか、ますますインテグレーション全体の考察が必要だと思います。具体的な方策ではなくて申し訳ないですけれども、方向性としてはそのようなことだと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、金澤委員、お願いします。
【金澤委員】 ありがとうございます。慶應義塾大学の金澤でございます。各プラットフォームの取組は、中間評価から更に対応していただいておりまして、このコロナ禍の中でも、例えば新分野の利用拡大についても増加しているなど、順調に成果を上げられていると思います。こういう機会ですので、特に遠隔化や自動化のことにつきましても、もし更なる進展ということがございましたらば、ぜひ情報共有していただければなと思っております。
また、先日、私もJASISに参加いたしまして、木川委員にもお会いしましたけれども、その際に、お互いのプラットフォームで情報交換などの機会がございましたでしょうか。やはり非常に有用な情報を今回、お伺いいたしましたので、例えばワンストップサービスなどについて、情報交換し更に良いシステムにしていくことができると思います。それから、私が会長をしております日本分析化学会は9月に年会をWeb開催しまして、その展示会で原子・分子のプラットフォームの取組を御紹介いただきましたが、プラットフォームのホームページの利用報告など、大変興味深く拝見させていただきました。また、人材育成やデータの共有化の際のセキュリティー構築などでも、今後、それぞれのプラットフォームで有用な情報交換が必要と思います。先ほどインテグレートしたような知見が必要というお話もございましたけれども、せっかく良い成果が上げられているということですので、ぜひその仕組みをつくっていただきたいと思います。以上でございます。
【岸本部会長】 ありがとうございました。次は木川委員にお願いしたいと思いますけれども、実際に取り組まれた立場からでも結構ですし、もう少し広い観点から、両方でもコメントいただけると有り難いと思います。よろしくお願いします。
【木川委員】 先ほどまでの話でNMRに関するお話があったところに対して、まず少しお答えします。技術認定に関して、NMRに関しては、実は学会と話をし始めています。学会会長もなかなか良いのではないかという話で、次の事業が動いたときには学会と連携して認定制度を、学会レベルでオーソライズされた形をやれないかということを今、議論しています。
それから金澤委員、JASISのときにブースにお越しいただきありがとうございます。あのブースはプラットフォーム、みんながプラットフォームで共同出展していまして、そこでの議論もありますし、もちろん、現場の人たち、そこでいろいろな情報交換とか、様々なことをやっています。ただ今回、コロナ禍ということで、かなりその人数が限定されたので情報交換はなかなか苦しかったわけですけれども、それをやっております。
それから、いろいろその話があった中で、我々として次は点ではなくて面で支えるということで考えておりますが、ただやはり今、経理の共通化とかなると、これはその各機関の問題になってくるので、我々がボトムアップでかなりいろいろなことをやっている中で、ボトムアップだけでは十分解決できないので、やはり国としてそういう経理システムの共通化というのをかなり強く言っていただくということが大事なのではないかということ、ルールの整理というのもこれ、ボトムアップだけではなかなかしにくい、機関の問題になってくるので、ぜひ国側からもそこを強く働きかけていただきたいと思っております。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 佐藤です。1分で話すのは大変ですけれども、中間評価を行って、大変よく皆さん対応していただいて、大きな成果が得られたなと感じました。共用プラットフォームとしては、形は大体できつつあるなという印象を持ちました。ただ、皆さん優しくて、世界と比較するとやはりそのようなものでは駄目で、最先端の計測として事業をやっているわけです。だから、それに基づいて論文化だとか、自立化だとか、自立化というのは、企業が今、世界的に見て日本は停滞している状況なので、だからこそ、ビジネスソリューションという意味で、きちんと社会が立ち上がってこないと、この事業も恐らく自立化は難しいと思うわけですけれども、それを目指していかないといけないということで考えると、私から見ますと、このままでは厳しい。このままでやっていても、論文数は多分増えないでしょう、このままでいくとです。
だから、それを改善するためにどうするのかということも考えないといけない。例えば、課題にあるコンサルティング機能の確立だとかということも、言葉としては良いですけれども、それを具体的にどうするのか。みんなそれぞれまた負担を増やすという話になるとまずいので、例えばその5機関をプラットフォームの総合的なバーチャル化だとか、バーチャルプラットフォームだとかいうことをやって、いわゆる使う側も運営する側もwin-winの関係で機能できるようにしていかないと、多分大きく論文化というのはできない。自立化もそれをやっていけば効率は上がりますから、それに基づいて最先端の結果を実際のビジネスソリューションに結びつけられるはずなので、そうすると利用料収入はどんどん増えるということで自立化はできる。DXと言っている捉え方が、本当に分かっているのかなというのが気になりました。それを強力に推進して、効率化をしないと厳しい。だから、今後の展開は、それを意識してやる必要があると感じました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、菊池委員、お願いします。
【菊池委員】 皆さんのすばらしい成果をお聞きしまして、非常に嬉しく思いました。多分これから必要と思われるのは、もう少し戦略的な広報ではないのかなと思っております。これは、ほかの先生方からのコメントとも関連するのですが、せっかく出したものを、民間には少なくとも伝わっていないと思うのです。そうすると、せっかく上がった成果がもったいない形で、中に閉じ込められているような気がします。さらに、こういう活用ができますよということが分かると、民間からの利用は圧倒的に増えるのではないかなと、この5つの取組を聞かせていただいてそう思いましたので、全体的な広報をどうするか、そういう戦略的な広報をどうしていくかというところのフェーズにかかっているのかなと思っておりました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは続いて、杉沢委員、お願いいたします。
【杉沢委員】 杉沢でございます。この共用プラットフォームの取組につきましては、長い間しっかりと実行されていて、制度もしっかりと整ってきて成果もすばらしく出されていると思っています。
今後、何をするのかというところが課題かなと思っております。資料1の94ページにはこれらの研究プラットフォームをより使いやすくするための課題がまとめられておりますので、今後、この方向でいろいろと検討されていくと思います。ここでは、そのプラットフォームを使ってどんな成果を挙げるのかを考える際の視点をどこにおくべきかについて、考えてみました。やはりこういった研究プラットフォームでございますから、それが研究開発に対するどんな課題をどう解決できるのかという観点で、研究開発ワークフロー全体を俯瞰して考えることが大事であると思います。研究開発のワークフロー全体を考えて、その中の課題をどう解決していくか。それも全国組織としてどう解決していくかといった、そういった視点でもって、もう一度やるべきことを考え直すと、新しい視点が生まれるのではないかと考えております。そういった観点で具体的なテーマですとか、やり方を考えていったらどうかなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、高橋委員、お願いできますでしょうか。
【高橋委員】 高橋でございます。御発表ありがとうございました。成果が上げられているということで、大変心強く拝聴いたしました。発表を聞いた上で、印象ですけれども、今後の展開に関しましては、行く末というか道筋が、今の段階で立てられているプラットフォームと、もう一度もしかしたら組み方を考えたほうが、あるいは課題そのものを工夫したほうがよろしいというようなプラットフォームと、テーマが少し分かれてきたのかなというふうな印象を持ちました。
ですので、どのプラットフォームも基盤的な知見とか業績というのは、経験的にも含めて、積み上がってきていると思うので、もう一つバージョンアップするためにはどうしたらよろしいのかということを、ぜひフラットな御立場からもう一度考えていただいて、どこと組むのか、あるいは課題をどういうふうに工夫するのかというのを考えた上での展開というのを期待したいというふうに思った次第でございます。以上でございます。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは続いて、田沼委員、お願いできますでしょうか。
【田沼委員】 田沼です。全体としては申し分ないと思いました。そこで、ここでは1点ほど述べたいと思います。成果からいきます。特にワンストップサービスがうまくいっているというのが非常に印象に残りました。ただし、ここで気になったのは、そのワンストップサービスがうまくいっているというのが、あくまでも運営している側、すなわち事業者側から見たら運営が効率化されたと言っているだけだと思います。要するに、ユーザー側にしてみても、と書いてあるわけですけれども、結局はユーザーから見たときの満足度のエビデンスがないわけです。ですから、ぜひこれは、アンケートでも良いので、ユーザー側から見たときのエビデンスを取ったほうが良いのではないかということを感じました。結局、一方的に評価になっているのではないかということです。
また、まとめで利用料収入が多いという話があったと思います。ただし、この利用料収入と、そこにかけた費用の関係が、不明確で、多分全プラットフォームとも出てなかったと思います。ということで、利用料収入をどのようにして、何のためにどのくらいの額を得て、それをどうやって有効に生かしているかとか、将来生かしたいといったようなところがよく分からなかったような気がしました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは続いて、中村委員、お願いできますでしょうか。
【中村委員】 各プラットフォームのお話をお伺いしまして、事業としてすばらしい成果が上がったと思っております。今後の課題についてですけれども、やはり持続可能性を追求していくことということで、ここに挙げられた項目があるかと思います。中間評価では、自立化といったキーワードが相当出てきたかと思いますけれども、自立化できる部分と自立化できない部分というのはやはりあると思いますので、そこを丁寧に議論して、政策に反映していくといったことが必要であるかなと思っております。以上です。
【岸本部会長】 どうもありがとうございます。続いて、西島委員、お願いできますでしょうか。
【西島委員】 持田製薬の西島です。もう皆さん言っていますけれども、私もこのワンストップサービスというところです。ユーザーから見て本当にそのサービスという視点に満足できているか。初めからこの機会を使ってこういうふうにやりたいというふうに持っていくのでなくて、課題解決型に相談したときです。本当の意味でワンストップになっているのか。自分のところで抱え込まないでください。例えば、場合によってはほかのプラットフォームをまたいでまで行くという、そういう意味での、ユーザーの満足するワンストップサービスになっているのかなというのがちょっと1点気になりました。アンケートも必要ということです。
それからもう1点は、全部その中間評価のことを踏まえて進んできたわけですけれども、やはり最初の2つと後の3つは少し立ち位置がずれてきてしまったかなという印象を持ちました。最初の2つはNMRと光ビームのほうが、参加機関の拡大とか学会との連携ですけれども、後の3つのほうは、非常に限られたテーマで、さてこれが次のプラットフォームとして広がるときに、これまでの延長ではない形でどういうふうに持っていくかというのは、私自身には明確には見えなかった。頑張っていますけれども、厳しい言い方すると、想定内の成果だったなというのは、最後の3つについて、特に感じました。次の新しいプラットフォームのやり方に関しては、大丈夫かなと、最初の2つのNMRと光ビームは、参加機関拡大とか何かとか学会間とかの拡大でうまくいけると思ったのですが、ちょっとそういう印象を持ちました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、野村委員、お願いできますでしょうか。
【野村委員】 野村です。もう大体皆さんが発言されているように思うわけですけれども、ボトムアップでやることのやはり限界というのがある程度あるのではないかなと思っています。私は光ビームをやっていたわけですけれども、今これに加わってない機関が加わるとき、どういうインセンティブを彼らは持つのだろうということですよね。それはあまり今、ないかなと。全体的なコーディネーションという意味では、今のプラットフォームはある意味でメソドロジーをキーにしてできていて、そのマテリアルのほうから本当に何が必要なのかというのは、必ずしも強くないところがある。以前、ナノテクノロジープラットフォームの場合、ナノプラの拠点機関がそういう大型施設との橋渡しをするというような話があって、そういうような機能をもう少し強化していかないと、メソドロジーのほうからあらゆるものに目を配って何とかというのは、ほとんど不可能なのではないかなという感じがして、どうやれば本当に効率的にやれるか。一つは韓国のゼウスみたいなものも一つかもしれないですけれども、何か仕掛けを考えないと限界があるかなという感じがしています。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは続いて、波多野委員、お願いします。
通信の関係でしょうか、途絶えてしまっているかもしれません。それでは、先に原田委員からコメントいただいてもよろしいでしょうか。
【原田委員】 承知しました。江龍委員やほかの方もおっしゃっていましたけれども、今回、共用プラットフォームとして幾つかのチームがこれまでやってきて、いろいろなノウハウとかが蓄積してきて、それで、やはりもうボトムアップからの限界もあるので、ある程度、もっと大所高所から、例えばお金を取るシステムとか、ワンストップサービスとかそういう、いろいろなシステムを、一元化というか、何かそういうことができれば良いのかなと思いました。
それから、人材育成のことですけれども、専門スタッフ、これからどんどん、日本の場合、若者が少なくなってきて人材の確保というのも難しくなってきます。昔の国立大学では、例えば高校卒とか大学卒のような方が多分技術職員をされてきたと思いますけれども、現在はドクターを取ったような方たちが技術職員になっていらっしゃるような状況に変わってきているので、もっとその専門スタッフとか技術職員のステータスをきちんとした、こういう職種として位置づけるというようなことができたら良いのかなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、横山委員、お願いできますでしょうか。
【横山委員】 横山です。成果に関しては皆さんと同じで、特に中間評価以降、非常に優れた成果をどのプラットフォームも上げておられるかと思います。
今後なのですけれども、既に2番、3番等で出ているとおりですけれども、私としてもデータの共有・標準化それから高度化して、皆さんとデータを公開するというようなことを、具体的に取り組んでいただきたいかなというふうに思います。
それから人材育成ですけれども、これも原田委員がおっしゃるとおりで、特にこういう競争的資金で事業をやると、事業が終わった後、雇用が不安定になるという問題、常に付きまといますので、ここをとにかく改善しないと良い人材が育成できないので、その点を考慮しながら進めるべきだと思います。以上です。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。波多野委員はいかがでしょうか。
【波多野委員】 非常に御尽力に感銘受けました。申し上げたいことは、プラットフォームのエコシステムを持続的に構築するという重要性と、更にコロナ禍においてDXが進む中で、国際化が加速しますので、国際的なネットワークにも重要になると思いました。
本日、風と流れのプラットフォームで、英国の交流などを御紹介いただきまして、その人材育成、人材の流動、大きな国際的共同研究に発展する可能性があることがわかりました。プラットフォームを国際的ビジネスにつなげる、などという期待も持ちました。国の予算ではございますが、海外企業との共同も視野に入ってくるかと思います。特に最後に御紹介いただいた、アトミックスケール電磁場解析などは世界では断トツ技術ですので、量子物理などの先端の研究者など、まさに国際的な研究者のニーズも高いと思います。以上でございます。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。それでは、限られた時間で皆さんのほうから一言ずつという形で、いろいろな観点で御意見いただきましてありがとうございます。
ここに出ているこの3つのほかに、例えば4番目として、全体を統括するような形だとか、恐らくマネジメントシステムをどうするかとか、そういったところをもう一つの柱としてつくっていけると良いのかなというふうに思った次第です。あと、それぞれのプログラムは、すばらしい活動をされていますが、この共用プラットフォームは、この5つだけではなくて、もっとつくっていかないといけないとすると、つくってこられた方々の、どういうふうにつくってきたかとか、どういうふうに運営すれば良いかということを、今度はほかのプラットフォームをつくるときに使っていかないといけないわけですけれども、その辺りをどういうふうに展開していくかというのもありますので、そのようなところも含めて、次の事業ができると良いのではないかなと、私のほうは考えた次第です。皆様方、コメントどうもありがとうございました。
それでは、残り限られた時間になりますけども、残りの議題ということで、続いて2番目ですけども、令和3年度予算案及び令和2年度第三次補正予算案についてということでお願いいたします。
【下須賀課長補佐】 事務局のほうから簡単に説明させていただきます。
先ほどの議論については、本当に部会長にまとめていただいたとおりだと思いますので、いただいた御指摘を反映できるように、しっかりこれからも考えていきたいと思います。
予算案については、令和3年度の世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用と研究施設・設備のリモート化・スマート化の推進、この柱のところになっているものについては、96ページのとおりですけれども、予算が少し減っているように見えますが、下のほうに書いてありますように、第三次補正予算額(案)のところでついていまして、設備の整備を前倒してつけることができたので、今年と同じようなことができるよう、しっかりついているという形になります。
続いて先端研究基盤共用促進事業のところですけれども、今御議論いただいた先端研究設備プラットフォームプログラムと、どこかの場で議論していただければと思っていますけれども、コアファシリティ構築支援プログラムについて、それぞれ新規を取るための予算がついています。
先端研究設備プラットフォームプログラムについては、今御議論いただいた内容をしっかり反映して、あとは、今3つのことだけ出していますけれども、4つ目としてその全体の構想をどうしていくのかということも含めて考えていきたいと思っています。
コアファシリティ構築支援プログラムについては、今年から走っているところもありますが、来年もしっかり新規ができますので、そのところを公募して採択していきたいというのが97ページのところになります。
研究施設・設備・機器のリモート化・スマート化については、ここは補正予算で75億円ついていて、まさに先週から公募を開始していまして、1月18日が公募締切りになっています。施設・設備・機器のリモート化・スマート化のための予算になっていますので、御希望があるところについては、ぜひ御検討いただけると有り難いと思っています。
99ページ目は、今日の議論から少し外れてしまいますけれども、未来社会創造事業ということで、この中で赤枠をつけている共通基盤のところになりますけれども、先端計測分析機器等の開発のところもこの中でしっかり支援していくつもりですので、ここも引き続き議論していければと思っています。事務局からの説明は以上です。
【岸本部会長】 予算のことということで情報共有していただきまして、ありがとうございます。
それでは、最後に前回の当部会で御紹介いただきました研究基盤EXPO2021について詳細が固まってきたということですので、江端委員から御紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【江端委員】 御紹介いただき、ありがとうございます。前回の当部会で、案として御紹介させていただいた研究基盤EXPO2021の件ですが、1月22日から29日までの全てのプログラムが固まりましたので、簡単に御報告させていただきます。
研究基盤EXPO2021の2ページ目の表の中に、各プログラムのテーマが記載されております。各プログラムについての詳細は、この前の1ページ目にありましたQRコードから研究基盤EXPO2021の特設ページにアクセスできますので、ぜひ御覧いただければと思います。今回、文部科学省との共催で開催させていただくということで、EXPOのプログラムから3つほど具体的に御紹介したいと思います。
まず、文部科学省が主催、研究基盤イノベーション分科会が共催の、先端研究基盤共用促進事業シンポジウム2020ですが、共用プラットフォーム形成支援プログラムと、研究機器相互利用ネットワーク導入実証プログラム(SHARE)の成果報告をメインにプログラムを組んでおります。さらに、リモート化・スマート化の推進についてということで、文部科学省の下須賀補佐から御紹介いただける予定です。
次は、研究基盤イノベーション分科会の主催のプログラムです。こちらも文部科学省と共催ということで、「コアファシリティ構築支援プログラムと戦略的経営に資する研究基盤のあり方」というテーマで準備を進めております。本部会の委員の先生方からもよくお話がありました、「現場の意見ももちろん重要であるが、実際機関の経営陣が研究基盤に関する課題等について理解を進めていかないと、共用事業は進んでいかないのではないか」という御指摘を踏まえて、こちらのプログラムを組ませていただきました。本シンポジウムではコアファシリティ構築支援プログラムの報告として、事業採択校5校の理事・副学長の先生方に御登壇いただき、さらに、その方々にパネルディスカッションに参加していただいて、「戦略的経営に資する研究基盤のあり方」というテーマについて議論をさせていただきたいと考えております。
そして、招待講演としまして、本部会の部会長である岸本先生に、これまでの政策の流れであったり、研究開発基盤部会で議論されている内容等につきまして情報提供いただく予定です。
1月29日は、EXPOのに締めということで、今回、若手の方々、そして大学の技術職員・事務職員等ステークホルダー、そして文部科学省の方々と、対話で考える研究基盤というテーマで、研究基盤協議会設立のプレイベントを開催させていただきます。文部科学省入省1年目の若手の方々と若手の技術職員の方々の対話、これからの研究基盤運営のポイントをステークホルダーと議論するイベント、Science Talks TVというメディアを通じた新たな視点での議論等を、企画しております。
1週間以上にわたって、研究基盤に関わる諸問題を多角的な視点で議論するプログラムが連日開催されておりますので、委員の先生方や関係者の皆様方には、ぜひ積極的に御参加いただければと考えております。よろしくお願いいたします。私からは以上です。
【岸本部会長】 すばらしい企画を進めていただきまして、ありがとうございます。御質問やコメントございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。1週間という期間の中で、ぜひ皆さんものぞいていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。江端委員、ありがとうございました。
それでは、以上で本日の議題は全て終了いたしました。事務局から連絡事項等ございますでしょうか。
【下須賀課長補佐】 江端委員、岸本部会長、本当にありがとうございました。研究基盤ウィークについては、文科省としてもしっかりやっていきたいところですので、先生方、もし見ることができる御時間がありましたらぜひ御参加いただけると有り難いです。
次回の研究開発基盤部会の日程ですけれども、2月4日(木曜日)午後2時~4時を予定しております。今期の最後の部会になりますので、お忙しいかと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。
本日の議事録につきましては、部会の運営規則に基づいて後日公表することになっております。案ができ次第、委員の皆様に御確認させていただきます。
事務局からは以上です。
【岸本部会長】 それでは、以上をもちまして、第8回研究開発基盤部会を閉会したいと思います。お忙しい中、御参加いただきまして、また貴重なコメントもいただきまして、どうもありがとうございました。それではこれで終了したいと思います。ありがとうございました。

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科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)