研究開発基盤部会(第7回)議事録

1.日時

令和2年10月21日(水曜日)14時00~16時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン(Webex)会議にて開催

3.議題

  1. 令和3年度概算要求について
  2. 今後取り組むべき施策の方向性について

4.出席者

委員

岸本部会長、藤井部会長代理、網塚委員、飯島委員、江端委員、江龍委員、金澤委員、木川委員、菊池委員、佐藤委員、杉沢委員、高橋委員、田沼委員、中村委員、西島委員、野村委員、波多野委員、原田委員、横山委員

文部科学省

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課長 仙波秀志、課長補佐 下須賀雅壽

5.議事録

【岸本部会長】 それでは、ただいまから第7回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催いたします。
前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、今回もオンラインで開催することとしております。
本日は、今後取り組むべき施策の方向性を中心に議論を行います。
それでは、まず事務局から本日の出席者と資料の確認などをお願いいたします。よろしくお願いします。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、その他も含めて3件になっております。それでは、第1番目の議題ということで、令和3年度概算要求についてです。資料1に関しまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【下須賀課長補佐】 議題1、令和3年度概算要求について御説明させていただきます。
資料の3ページになります。総論として申し上げると、今年の概算要求は、皆様の御支援もありまして、研究基盤のところについては非常に充実しています。まず、スライド3ページについては、共用法の対象の大型研究施設と、先端研究基盤共用促進事業、研究施設・設備のリモート化・スマート化についてまとめているものです。
共用法の4施設、来年から共用開始となる「富岳」も含めて充実していて、次世代放射光についてもしっかり整備を進めていくような予算を確保しています。先端研究基盤共用促進事業と、研究施設・設備のリモート化・スマート化については、後ほど御説明させていただきますが、それぞれ資料の真ん中に先端研究基盤共用促進事業と、一番下にリモート化・スマート化がありますけれども、それぞれ16億円と110億円という形で要求しています。
次ページが先端研究基盤共用促進事業になりますけれども、緑色の共用プラットフォーム形成と、青色の新たな共用システム導入支援を進めてきましたが、今回の要求については、来年度からということで、緑色のところについて、先端研究設備プラットフォームプログラムということで、新規の要求を出しています。
コアファシリティ構築支援プログラムについては、今年度、採択したところではありますけれども、引き続き各機関の取組を支援していけるように、新しく要求をしているところになっています。
左下になりますけれども、先端研究設備プラットフォームプログラムについては6拠点程度を要求しておりまして、コアファシリティ構築支援プログラムについては、今の既存の5機関に加えて、新しく10機関程度、採択できるような形で支援していきたいと思っています。ここについては、今日の後半の議題になっていまして、後ほど論点の説明や、外部有識者として公認会計士の植草先生からの御説明など御時間をいただく形にしたいと思っています。
5ページの先端研究設備整備補助事業については110億円の要求になっています。これは、前回のときにも少し御説明させていただきましたが、今回のコロナを受ける中で、第二次補正予算の中でリモート化・スマート化を支援している形になっています。その中で、各機関からリモート化・スマート化が必要という要望が多くあったことを踏まえて、今回、110億円の要求になっています。事業概要のところで、真ん中になりますけれども、既存設備に遠隔化・自動化機能を付加していくものとして70億円、新規設備への刷新として40億円という形で、足し合わせて110億円という要求を出させていただいております。
ここからは1枚目のポンチ絵からは少しずれまして、マテリアル、ライフサイエンス、それぞれの分野でやっている取組になります。マテリアルについては、今回、DXという言葉を一つのキーワードにして、データ創出基盤の整備・高度化、データ中核拠点の形成、データ創出・活用型プロジェクトということで、3つの大きな柱を作って要求している形になっています。こちらも来年度の要求については115億円と、かなり規模を大きくして要求しているところでございます。6ページの下のところにそれぞれあるように、データ創出基盤の整備・高度化については、ハブ&スポーク体制を新たに構築するとともに、データ中核拠点の形成については、データ構造を蓄積・管理する中核拠点を整備していきます。右側のところで、データ創出・活用型プロジェクトについては、これらの得られたデータを活用して、新しい研究開発をやっていくという内容の要求になっております。
ナノテクノロジープラットフォームについては、事業期間が来年度までになっていますので、これは引き続き継続してやっていくという形でございます。
ライフサイエンスについては、ナノテクノロジーとライフサイエンスでそれぞれ基盤の整備をやっていますけれども、こちらも今年度の予算に加えて、要望のところで大きく要求していまして、構造解析ユニット、ケミカルシーズ・リード探索ユニット、バイオロジカルシーズ探索ユニット、あと、インシリコユニットということで要求しております。
あとは、共同利用・共同研究体制の強化については、研究所・研究センター等の強化・充実、学術研究の大型プロジェクトの推進ということで、しっかり確保して、整備していくべく要求している形になっております。学術研究の大型プロジェクトの推進については、ハイパーカミオカンデ(HK)計画の推進と、新しいステージに向けた学術情報ネットワーク(SINET)整備で大きく要求を出しております。
簡単にはなりますが、事務局からの説明は以上になります。
【岸本部会長】 御説明、どうもありがとうございました。研究基盤関係の令和3年度の概算要求ということで御説明いただいたわけですけれども、かなり意欲的な概算要求になっているのではないかなと思います。ただいまの説明に関しまして、御質問やコメントはございますでしょうか。
よろしければ、議論する課題は後のほうにございますので、そのときに皆さんからいろいろな御意見いただきたいと思いますので、それでは、特になければ次に進めさせていただきます。よろしいでしょうか。
それでは、続いて、議題2ですけども、今後取り組むべき施策の方向性についてに入ります。まず資料2-1から2-5について、事務局より説明をお願いいたします。
【下須賀課長補佐】 資料2-1から2-5について御説明させていただきます。議題2、今後取り組むべき施策の方向性については、10ページ目以降になります。
まず、11ページになりますが、7月17日に今年の骨太の方針2020、成長戦略フォローアップ及び統合イノベーション戦略2020という政府文書が閣議決定されております。内容については、前回御紹介を差し上げたものから大きくは変わっておりませんが、左にありますように、大型研究施設の戦略的な推進、最大限の産学官共用、研究設備・機器等の計画的な共用の推進、研究のデジタル化・リモート化・スマート化の推進に向けた基盤の構築が、政府全体の大きな方針の中に反映されております。これらを踏まえて、前後しましたけれども、先ほどの今年の概算要求を出していまして、かなり研究基盤関係が充実されてきたというのが今の状況になっております。
13ページは、「科学技術・イノベーション基本計画の検討の方向性(案)(概要)」ということで、第5期の科学技術基本計画が、来年、改定のタイミングを迎えていて、次期計画に向けて、検討がCSTIのほうで進んでいる形になります。右側の下に赤枠で囲っているところがありますけれども、知のフロンティアを開拓しイノベーションの源泉となる研究力の強化において、新たな研究システムの構築(デジタル・トランスフォーメーション等)という項目が掲げられています。14ページが詳しい記載になりますが、骨太の方針2020とか成長戦略フォローアップに書いてある話と重なるところも多く、デジタル・トランスフォーメーションということを一つのキーワードに、時間や距離の制約を超えて研究を遂行でき、全ての研究者に開かれた研究設備・機器等の活用を実現していくということが「科学技術・イノベーション基本計画の検討の方向性」の中でうたわれる形になっています。具体的な取組としては、デジタル・トランスフォーメーション、世界最高水準の基盤整備と共用の促進が掲げられている形になっております。
15ページについては、「本日、御議論いただきたい事項(今後取り組むべき施策の方向性)」を書かせていただいております。詳しくはまた後ほど御説明させていただきますが、緑と青のところを中心に御議論いただきたいと思っていて、緑のところについては、前回も御議論いただきましたけれども、「大型・最先端の設備に誰でもアクセス可能に(組織を超えた環境整備)」ということで、来年度から新しく先端研究設備プラットフォームプログラムを立ち上げたいと考えておりまして、今まさに概算要求中でありますけれども、プラットフォーム事業にて各機関が取り組むべき要件や、どのような具体的な取組の推進が必要になるのかということを御議論いただきたいと思っています。この中では、これから御説明させていただきますが、イノベーションの推進、研究の質に貢献することを示す指標の設定としてはどういうものがあるのかという点も、もし可能であれば御議論いただきたいと思っています。
大きく2点目は、青色になっていまして、「どの組織でも高度な研究が可能な環境へ(組織としての環境整備)」ということで、今年度から新しくコアファシリティ構築支援プログラムが立ち上がり、来年度も要求したいと思っています。もう1点は、来年度までに、大学等における研究基盤の整備・共用に係るガイドライン/ガイドブックを作っていくことを考えておりますので、「来年度コアファシリティ事業にて、どのような取組を推進することが望ましいか?」、また、「ガイドライン/ガイドブックにどのような情報があることが望ましいか?」ということで書かせていただいております。
これらの議論に入る前に、この研究開発基盤部会の場でも何度か御議論があったところになりますけれども、OECD/GSF(グローバル・サイエンス・フォーラム)のほうで、「国内研究インフラの運用と利用の最適化」が公開されております。ここについては、先生方にも、まさに中に入っていただいて御議論いただいたところでありますけれども、レポートがまとまりまして、8月3日に公開されております。まとめのところで、ポートフォリオの管理と利用者の最適化というのが大きく報告書の中に書かれておりまして、ブレークダウンしたのがこの8項目になります。
17ページになりますが、8項目について、まず研究インフラのユーザー構造の最適化、新規ユーザーとリピーターとのバランス、研究開発課題として、ハイリスク課題と安定的成果創出の見込める課題との受入れのバランス。あとはロードマップの策定のところで、国レベルや拠点レベルで研究インフラをどうやっていくのかのロードマップが必要なのではないかという話。3点目で、研究インフラの運営コストモデルと利用料金設定をどういうふうにしていくのか。4つ目で、研究インフラ(装置)のポートフォリオマネジメント。5点目で、データインフラの在り方と連携、つまり、出てきたデータをどうやって取得・蓄積・活用していくのかという話。6点目で研究インフラの国際化。ここは大型のものが念頭にある部分になっていますけれども、国内研究インフラと外国研究インフラ間での連携や分担の方策。7点目のところで、研究インフラ運営のモニタリング・評価方法の設計。どういうふうに研究インフラの運営を評価していくのか。研究開発成果のみならず、研究インフラが存在したことによる効果であるとか、エコシステム形成の長期効果など、多様な観点からモニタリング・評価をおこなうことが必要なのではないかというのがこの中で言われている話になっています。8点目は、全体に関係しますけれども、持続成長・発展メカニズムの構築という話が言われているところになっております。簡単にはなりますが、OECD/GSFのレポートはこのような形でまとまっております。
こうした中で、18ページの一番下になりますけれども、「国内有数の先端的な研究施設・設備について、全ての研究者が使いたい施設・設備を気軽に活用でき、研究に打ち込める環境を実現するため、遠隔利用・自動化を図りつつ、ワンストップサービスによる利便性向上を図る。これにより、これら施設・設備の全国的な利活用を促進し、ウィズコロナ・アフターコロナでの研究生産性の向上とイノベーションの推進を実現」していくというのが大事なことではないかと考えております。
こうした話を踏まえながら、先端研究設備プラットフォームの基本的な考え方、19ページになりますけれども、少し細かい話にはなりますが、これまでの共用プラットフォーム形成支援プログラムというのは、3つ以上の研究機関が参画していること、参加する機関において研究施設・設備等に関し共用に必要な制度、体制等が整備されていること、利用に当たっての窓口が一元化されていること、この3点を要件としつつ、高度利用支援体制の構築、技術の高度化に向けた利用支援、人材育成機能の強化、コミュニティ形成、国際的ネットワーク構築、こういったところを求めてきた形になっています。これがこれまでの共用プラットフォーム形成支援プログラムになっていまして、これから新しく立ち上がる先端研究設備プラットフォームプログラムとして、基本的な考え方をどうしていくかというところにはなりますけれども、今まさに御説明した話ですが、今回のコロナ禍を受けた課題・方向性や、各プラットフォームにおける取組成果、5年目になって、それぞれのところで研究成果の活用の成果が出てきているところですので、こういうところを整理しつつ、特に以下のような観点から関連のステークホルダーを巻き込んで、一層取組を強化していく必要があるのではないかと考えております。
上述のように、これまでやってきたプログラムの中では、基本的には3つの点を要件として、それぞれの機関の中で、プラットフォームの中で新しい取組を進めてきたという形になっていまして、今後のところでは共通して求められる要件を更に明確化していく必要があるのではないかということを書かせていただいております。
要件については、次の20ページになりますが、前回も御議論いただいていますので、今まで頂いた話であるとか、先ほど申し上げたOECD/GSFの話、あとは、JST/CRDSのプレゼンも前々回ございましたので、そういった内容を踏まえながら、更にこれから精査していきたいと思っています。こういった新しい先端研究設備プラットフォームプログラムに求められる取組(案)として、こういうところが考えられるのではないかというのを事務局としてまとめている資料でございます。大きく3つの観点を左側に書いていまして、1点目は、ワンストップサービスの設置、各機関の施設・設備の相互利用の推進、2点目は、遠隔地からの利用・実験の自動化等に係るノウハウ・データの共有、技術の高度化。3点目は、人材の話になりますけれども、専門スタッフの配置・育成の観点があるかと思っています。これまでの取組で書いているのは、前回、木川委員からも御説明がありましたけれども、これまで各プラットフォームの中で取組が進んできた形として、ポータルサイトの構築(窓口の構築等)が進んできたというのはもちろん認識しています。他方、これまで機関が連携してきたのは、意識の高い一部の先進的な機関による連携が進んできた形だと思っています。あとはそれぞれのプラットフォームや機関の中での独自の取組として、企業との連携も進めてきていただいたという形だと思っています。2点目の遠隔地からの利用・実験の自動化については、独自の取組として遠隔利用の推進が進んできたところですし、専門スタッフの配置・育成についても、各機関やプラットフォームの中で考えていただいて、人材配置や育成を進めてきていただいたところだと認識しています。
そうしたところで、右側で新たなPFに求められる取組(案)として、課題に対するコンサルティング機能としてどうやって確立していくかというのが1点目。2点目は、利用全体のシステム化、集約した情報の活用、利用・成果の可視化、エビデンスに基づく取組の検討。情報を集めるというのはもちろんですが、それを活用して、どういうことができるのかというのが2点目の部分。3点目については、学会等と連携した全国的なプラットフォーム参画機関の拡大。左側で申し上げた一部の先進的な機関による連携というのが今までの取組ですので、もう少しここを広げていく必要があるのではないかというのが3点目の部分。4点目は、各大学等で保有する設備・機器との連携(コアファシリティ構築支援プログラム等との連携等)。コアファシリティ構築支援プログラムについても、新しい機関も入ってきて取組が進んでいるところですので、こういうところの連携も考えられるのではないかと考えています。あとは、民間企業等と連携した機器の共同開発・共同運営(技術の先鋭化・共用化)の部分。国内有数の研究施設・設備としての最適化の検討(ロードマップ作成等)。先程のOECDの話にもありましたけれども、国内有数の研究施設・設備として、どういうものがあったら良いのか、どういうものが必要なのかというのが少し考えられるのではないかというのがこの最後の部分になります。
2点目の遠隔化・自動化については、相互遠隔利用システムの構築であるとか、これは木川委員からも御説明がありましたけれども、データポリシーやセキュリティポリシーはそれぞれ機関で設けていますので、こういうところがどういうものが必要なのか。あと、データの共有・標準化(測定データの構造化・標準化、ユーザーの組織化、コンソーシアム等における利活用の仕組みの構築等)、データ解析等に基づく計測・解析技術の高度化が考えられるのではないかと思っています。
3点目の専門スタッフの配置・育成については、各機関やプラットフォーム全体(参画機関の連携)としての専門スタッフの配置・育成(専門的な職種やキャリアパスの確立、学会・コアファシリティ等と連携した仕組み等)。それぞれの部署、それぞれの先生方の御尽力で今、進んでいるのが現状ではないかと思っていて、ここは機関やプラットフォーム全体でどういう形で配置・育成していくのかが新しい観点なのかなと考えております。あとは遠隔利用などの新たな技術に対応する人材育成をどうやっていくのかというのが最後のところになっています。
先ほど申し上げたように、こういうものをどうやって測っていくのかというのも大事な観点だと思っていて、イノベーションの推進(質)に貢献することを示す指標の設定も、横断的なものとして一つ大きな課題なのかなと思っております。
事務局として、今まで頂いた話をまとめたものが20ページになっておりまして、こういったところをぜひ御議論いただけると、事務局としては有り難いなと思っています。
事務局としての説明は以上になります。
【岸本部会長】 御説明ありがとうございました。
資料2-1から2-5を御説明いただいたわけですけれども、15ページに戻っていただきまして、15ページに、本日議論する事項について掲げてあります。2つありまして、そのうちのマル1プラットフォーム事業にて、各機関にて取り組むべき要件やどのような具体的な取組の推進が必要になるか?、それと、「※イノベーションの推進(質)に貢献することを示す指標の設定」というのはどういうことがあり得るのかについて、これから御議論いただきたいと思います。
後ほど、残りの資料も説明していただいた上で、マル2について、皆様の御意見をいただくとともに、併せて、またマル1に戻ってきてということもしたいと思いますが、今の時点で、マル1について御意見いただきたいと思います。特に先ほどの説明の中で、20ページに、これまでのこの部会での議論ということで、事務局で取りまとめていただいておりますので、これに付け加えるところはどういうところがありそうかということ。あるいは、できればイノベーションの推進(質)に貢献を示す指標はどういうことがあり得るか。こちらのほうのコメントをいただけるとありがたいと思います。
では、西島委員からまずお願いいたします。
【西島委員】 西島です。まず、よく整理されているなと思いまして、良い形でまとめられたという御尽力ありがとうございます。確認ですけれども、この先端研究設備プラットフォームプログラムというのは、全く新しい形で公募するという形を考えているということでよろしいのでしょうか。
それから、それを前提とした場合に、19ページに書いてありますが、ワンストップサービスや実験自動化、ノウハウ、専門スタッフ、この3つ記載されていますが、このワンストップサービスは多分、窓口一本化というような単純なことではなくて、コンサルティング機能というものをどこまで考えているのか。そういう人材を育てているのか。そのような人材がいること、持つことが必要な条件なのか。さらに、そのコンサルティング機能をどこまで明示できるかということが大変重要と思います。
それから、専門スタッフの配置・育成ですけれども、以前にも指摘しましたが、これまでの5年間で育った人材がもしいるならば、その人材を雇用継続するときに、その人たちのポジショニングとか立ち位置、待遇等をどこまで考えているのかということも少し問う必要があるのではないかと思いました。
それから、これは後の議論になると思いますけれども、自動化ということで、今回、昨年以上の予算を取ったというのは大変良いことだと思います。前回の第二次補正予算の21億円を審査した経験を踏まえると、あのときは補正予算でしたし、それから、学生さんを救うという名の下に、自動化とかリモート化、とにかくできるところからやるということで良かったと思うのです。一方、今回のものについては、例えば70件とか、コロナ禍もそうですけれども、ばらばらに、我こそは自動化ができそうだと自分で思い上がっているのではなくて、なるほど、この自動化は他のものに比べても進んでいるなというような波及効果を意識すべきです。即ち、遠隔地からの利用とか実験の自動化というものをかなり絞られた良いものを採択して波及させるということが必要でしょう。なお、ワンストップサービスとか専門スタッフは別の次元でフィルターをかける必要があるのではないかなと私は思っています。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。御質問あった件については先に確認したほうが良いかなと思いますけれども、この概算要求については、新たなところを立ち上げるのかということですけれども、それはいかがでしょうか。
【下須賀課長補佐】 事務局でございます。実はこの点は前回の審議会の最後にも議論があったところですけれども、新しく要求するという過程上、新しい公募の形でやりたいと考えています。
あとは、おっしゃっていただいたように、専門スタッフの5年間であるとか、あとはワンストップサービスをどうしていくかというところについては、これは本当に大事な点だと思っていて、20ページにも書いていますけれども、これまでの取組、新たなプラットフォームに求められる取組としてそれぞれ書いていますが、実際、これまで使っていなかった方、もしくは専門家でない方から見たときに、どこのものが最適なのかというのはなかなか難しい部分だと思っています。ここは単純に窓口を一元化するだけではなくて、どういうところが最適なのか、コンサルティング機能のところもぜひと思っているところが事務局としての考えになります。
遠隔化・自動化については、第二次補正予算については、学生を救うという観点からで、特に早く導入して取組が進むというところを支援してきたのが現状にはなります。しかし、今回の要求については、5ページの左側の70億円と40億円のところでそれぞれ記載していますが、70億円のところは、おっしゃっていただいた観点と、他方で、今回はコロナ禍における学生という話では必ずしもないと思っています。もちろんそういう観点も出てくるのだと思っていますが、それだけではない、取組としてどう変わっていくのか。第二次補正予算の中でも、ビフォーとアフターの比較をというのがかなり議論してきたところではあるのですが、ここを分かるような形でしっかり審査していくという形になるのかなと考えております。
簡単ではございますが、事務局からは以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。
【西島委員】 そのリモート化とスマート化というのは、金額は多いけれども、例えば第二次補正予算のときは21億円でいわゆる配るというか、それでも良かったのかもしれませんが、今回はかなり金額が大きいので、なるほど、活かされているなというような内容が重要です。従って、必ずしも均等に割るのではなくて、本当に良いものだったら、そういうところには多くのお金をつぎ込んでもやるというような、量よりも質ではないかなと私は考えています。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、続いて杉沢委員からお願いいたします。
【杉沢委員】 杉沢でございます。20ページに、事務局がまとめていただいた、先端研究設備プラットフォームプログラムに求められる取組(案)がありますが、これはこれまでの議論を非常にうまく整理していただいており、出てきた課題ですとか取組の方向性がきれいにまとめられており、考えられるところは大体網羅されていると思っております。これは大変すばらしいと思います。
問題は予算規模です。これは、1件当たり約1億円でしたか。それで五、六件ぐらい採択する予算規模を想定されております。例えばこの予算の中で、専門スタッフを配置したり・育成したりする施策を盛り込んだときに、人材を育成しようとして、例えばそこに何人か専門家を雇ったりするとして、どれだけのことができるでしょうか。取組(案)の方向性としてはすばらしいですけれども、これを実現するための実動部隊に予算を投入しようとすると、限られた予算の中で、実行できることは限定的だと考えられます。したがって、考え方としては、この予算を使って人を雇うとか、もちろん最低限の人は必要なのでしょうが、何か設備を導入するというよりも、高度な仕組みを構築して、他の制度とリンクさせたり、あるいは民間活力を導入したり、様々な外部リソースとうまくリンクさせる中で、目標を実現していく。そういった仕組みを提案する機関をぜひ採択する制度設計にしたら良いのではないかと考えております。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、次は飯島委員からお願いいたします。
【飯島委員】 飯島です。今、杉沢委員がおっしゃったことに近いかもしれないですけれども、今までは現状の運用を変えて頑張ろうというところから一歩踏み出していただいた御提案になっているかと思って、大変喜ばしく思っております。そのことを考えて、今まではプラットフォームの中である特定の組織と組んでいるところがワンストップを計画したりという感じだったと思うのですけれど、もう少し組織を超えた、全体としてのワンストップサービスの作り方とか、人材をどうしていくかということを、設計のところをやっていただきたいなと思います。
イノベーションの質というところが非常に悩ましいと思うのですけれど、私は研究のクオリティというのは、結局は評価だと理解しているので、評価の仕方をもう少し考えていただいたらどうかなと思います。
論文の採択のような感じで、プラットフォームの技術をある程度、公募で決められたら、その分野でのピアレビューのような形で、どの程度ちゃんと評価できるかというところがイノベーションを本当に推進するのであれば、重要かなと。共用のほうはまた違った評価の仕方になるかと思いますけれども、そのようなことを考えました。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、続いて、江端委員からお願いいたします。
【江端委員】 ありがとうございます。東京工業大学の江端です。西島委員、杉沢委員、飯島委員からコメントいただきましたとおり、おまとめいただきました資料自体はこれまでの議論をかなり正確にきれいに整理していただいておりますので、ほぼ良いと思っています。
1点、20ページで、専門スタッフの配置・育成の点についてもう少し言及させていただきます。1つ目のポツで、各機関やプラットフォーム全体(参画機関の連携)としての専門スタッフの配置・育成(専門的な職種やキャリアパスの確立、学会・コアファシリティ等と連携した仕組み等)ということで記載があります。こちらの「参画機関の連携」や、「学会・コアファシリティ等と連携した仕組み等」が非常に重要で、各機関の人材リソースは限られていますから、同じような仕事に従事している方々をうまくつなぎ合わせて、仕事をシェアしながら、遠隔等のツールを使って、全国的な研究基盤の強化あるいは研究力の強化に結びつけるような仕組みをつくらないといけないのかなと思っております。
これまでの文科省事業の中では、それぞれの設備をつなぐようなシステムや、各種補正予算等で設置されたような個々の設備が大変充実してきているわけではありますが、人と人とのつながり、そういった人材ネットワークの形成については、なかなか予算が使えない部分もあったかと思いますので、今回のこのプラットフォームの存在意義という意味で、人財の連携を更に強化する、そういった点を強調していただければと思います。ぜひ御検討いただければと思います。
私からは以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。次は佐藤委員からお願いいたします。
【佐藤委員】 大阪大学の佐藤です。よくまとめられていて感謝します。やっとこういう方向でいろいろ検討がされてきたなと思っています。
共用プラットフォーム形成支援プログラムの成果、あるいはやってきたことを踏まえて、次にどういうステップに行くかというのは、20ページのところでかなり要約されてまとめられているのですけれども、イノベーションの質という意味では、やはり以前から私は言ってきているのですけれども、結局は、計測・分析して、ソリューションが出せないと、あまり意味がないわけですね。あるいはそれが非常に大きな研究成果につながるとか、あるいは新しい産業の育成につながったということにならないといけないわけで、理想的にはそういうソリューションというものがどれだけ出せたかということになるのだろうと思います。
先ほど来出ている、それを1億円の予算でどこまでやれるか。要するに、デジタル化とかAI化を進めないと、とてもではないけれど、新しい価値を創造することはできないと思うので、それを踏まえた理想論を少し議論しておく必要があります。例えばコンサルティング機能の確立と言っているのですけれども、これはいわゆるソリューションを出そうとすると、マルチフィジックスだとかマルチスケール、マルチモーダルということを踏まえて、問題に対する解を出さないといけないわけで、そういうことをやるためにはそれぞれの研究者だけでは難しくて、どういう装置、あるいはどういう方法が良いのかということを提案するような、そういうAI化みたいなことを進めていかないと多分できないでしょう。それによって新しい解を与えてくれるような、そういう仕組みをつくる必要があるのではないかなと思います。
それが一点と、もう一点は、データのセキュリティポリシーあるいは安全性、いわゆる共用化をすることによって、全国展開で共用化をぜひ進めてほしいけれども、そういうことをやろうとしたときに、各拠点、各施設で安全性だとかデータポリシーが違っていると困るわけですよね。それはこの新しくできる先端研究設備プラットフォームプログラムのプロジェクトの人たちのみではやれないので、法的に、あるいは何か標準化だとかそういうことを考えることを、一方で併せて進めないと、絵に描いた餅になる可能性がある。だから、その辺を加えて進めてほしい。
そういうことを考えると、5件か6件選んで良いとは思うのですけれども、何かプロトタイプ的にそういうことをやれるAI化だとか、全国展開のネットワーク化だとか、そういうことをやれるようなプロトタイプ的なものを1件でも強化して、挙げてもらうような、そういうことをやったほうがいいのではないかなと。そうでないと、今までとあまり変わらないような状況になりかねない気がするので、それをぜひ検討してほしいなと思います。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。続いて、菊池委員、お願いできますでしょうか。
【菊池委員】 今、佐藤委員からも御指摘あったように、遠隔からの利用とか、実験の自動化を図るときに、やはりどうしても共通のやり方でそれぞれ動かないとまずいのではないかなと。そして、そこで得られるデータも共通のところに保管されていくような仕組みでないと、これはなかなか使いづらいなと思いながら話を聞いておりました。
そのときに、せっかく日本にはSINETという仕組みがあるものですから、遠隔の相互利用システムはやはりどうしてもSINET経由とか、データを取得したときはSINETのどこかにちゃんと保管されて、人々が出し入れできるというふうに、SINETともう少し具体的に連携するという方向に持っていかないと、佐藤委員から出された懸念をなかなか払拭できないのではないかなと、お話を聞いて思っておりました。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。 それでは、木川委員、お願いいたします。
【木川委員】 理研の木川からお話しさせていただきます。まず、もう皆さん言われているとおり、非常に論点が整理されていて、いろいろとこれから大事な取組が挙げられていて、部会の委員としては非常によくまとまっているなということですし、翻って、プラットフォーム運営側の関係者からすると、なかなかいろいろとかなり厳しい。次のステージに対して厳しい要求を突きつけているというのが正直なところです。プラットフォームとしては、それを考えながら、次のステージに行くことが必要だということだと捉えております。
その意味で、皆さんからいろいろと先ほど言われていました、単なるポータルサイト、単なる窓口の一本化ではなくて、ソリューションをちゃんと提供するというところが一つ非常に大きな次の課題だと思っています。その意味では、使う人がどこにいようが、いろいろな課題について最適な解、ソリューションを提案し、かつ、実際にそれに従って我々が大事なデータを提供する。ないしはそのデータを解析した結果までを提供することをどうやって提供できるかということが、次のプラットフォームに対して求められているということだと思います。
その中で、遠隔化・自動化の技術を活用していく、人の交流というものをうまく使っていくと。そうすると、要するに、クラウドになっているような、プラットフォーム自体がクラウドで、どこからアクセスしても、どこにその装置があるか、実はよく分からないけれども、ちゃんとデータが得られてくるということをどうやって作るかということだと思います。
その意味で、今までプラットフォームを運営してきた身から考えますと、今のプラットフォームというのは、あくまで各機関の中にある先端的な装置をみんなで持ち寄って、手をつないで提供しているという形になっていますが、その結果として、必ず各機関のルールに従うことが求められる。そうすると、先ほど菊池委員からもお話がありましたとおり、いろいろな先生方から、佐藤委員からありましたが、そのルールが結局あちらこちらで違っていると、ユーザーとしては最適な組合せがAという機関とBという機関の装置なのにもかかわらず、AのルールとBのルールが違うから使いにくいとかそういったことが出てくることになりますと、ユーザーにとっては本当の一つの形。実態はいろいろあちらこちらにあるにしても、バーチャルには一つの形に見える、ないしはそういうふうに感じられる形の提供というのも大事ではないかと思います。
そうしないと、様々なルール、それは安全管理も含めて、これは深刻な問題だと思うのですけれども、安全管理からデータのセキュリティ、いろいろなことをどうやって提供するかという意味では、一つの機関に見えるようなバーチャルな組織というのも一つのソリューションではないかと今、考えましたということです。
あと、OECDの話について、実は私も関わりまして、その中の議論で、やはり国としてどうやって整備していくかというポリシーの作成というのは、これはプラットフォーム運営側ではなくて、国側でちゃんとやっていかないと、プラットフォームが勝手にこうしたいと言ってもしようがない部分ですので、やはり国のいろいろな動きともっと密接に関わっていかないといけないのではないかと、OECDに参加しても、この議論に参加しても思いました。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、野村委員、お願いいたします。
【野村委員】 野村です。今、最後の木川さんからのRIの話はまさにそうで、特に日本の場合、これまでの各研究機関とか大学がいろいろな機器を整備して、それをどう国全体としてするかということでこれまで来たわけですけれども、リソースが限られている中、国としてはどういうものを本当に整備する必要があるのか。それはやはりきちんと共用して、ユーザーが使いやすい形というか、成果を出しやすい形で使えるような仕組みをどう作っていくかというのが大事だろうと思います。日本ではそれが欠けていたかなと思います。これまでは、研究者が必要だという機器を整備して、その後、それを共用してくださいという形で流れてきた感じがあるかなと。
あと、これはオープンデータという話も随分これまで出ているわけですけれども、やはり何をどうオープンにするかというのは相当慎重に考えないと、ジャンクデータが山のように、何ペタバイトも出て使えないということになりかねないわけですね。前回も議論があったかと思うのですけれども、例えば放射光で何かデータを取った場合、その試料の素性をどう担保するのかというのはすごく大きな話で、試料Aがデータはこうですと言われても使い物にならない。そういうところを本当にどうしていくかというのは、全国レベルで議論しないといけないだろうと思います。
データの受皿については、田沼委員からお話あるかもしれないですけれど、NIMSさんで今、随分やられているので、そういうところに集中していくのが良いのかなと思っています。
あとは人材の問題で、やはり各機関に閉じこもってしまうと、ある程度のマスがないと、その人のキャリアパスは作りにくいので、全体に広がることを考えないといけないだろうなと思います。ヨーロッパなどの放射光施設もかなり苦労しているみたいですけれど、私は、どうやっているのかまだ分からないところもあって、もう少し勉強する必要があるかなと思います。ヨーロッパの放射光施設のESRFというところは、基本的に5年の任期なのです。一方で、自分たちのミッションは研究することではなくて、ユーザーに成果を出させることだと言っていて、それでは、そういうミッションと任期とで、どうキャリアパスを作って、人が循環しているのかというのはもっと勉強しないとなかなか分からないところです。
そういう調査研究みたいなことももう少しやっていったほうがいいかな。プラットフォームには、ある程度そういうものの協力をお願いしながらやっていくのも必要かなと思います。例えばデータポリシーみたいなことは、今、かなりヨーロッパでは進んで、作っているので、そういうものをひな形にしながら、日本に合うような形で活用していくのが良いかなと思います。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、高橋委員、お願いできますでしょうか。
【高橋委員】 高橋でございます。20ページの文科省からまとめていただいたことに関しましては、非常にまとまっていて、これからの方向性というものがよく分かると私も思いました。ただ、2点ほどお願いしたいなというところがございまして、1点は、やはり先端的な施設を集めさえすれば、先端的な結果が出てくるかというと、そうではないと思いますので、やはりこのプラットフォームからは意識して、先端的な、先ほど来、ソリューションという話が出ていましたけれども、先端的な成果を上げていただけるようなプラットフォームの構築ということを意識して出していただいたほうがよろしいのではないかなという印象を受けました。
ですので、そういった単語をこの中に入れていただくということが一つ必要なのではないかな。あるいは、これまでいろいろと成果を上げてきたプラットフォームもございますので、そこにプラスアルファ、こういうことを足していけば、更に先端的な、あるいはプラットフォームとしての充実性というのが上げられるということを明確に示していただくというのが今後やはり必要なのではないかなということが1点目でございます。
もう一つは、先生方からも御指摘がありましたけれど、データの共有とか標準化。これは2点目ですね。データの解析等というところで、分野においてもいろいろな取組が、これは今もすごい勢いでいろいろなところで予算がついて進められているわけですけれども、例えば、先ほど来、SINETの話も出てまいりましたけれど、9ページに次世代学術研究プラットフォームの設計というのが大きく打ち出されてきていると思いますので、例えば、そういうところのデータの標準化とか、あるいは解析のための共通の環境ということを開発していくということが強く打ち出されていますので、そういう部分とプラットフォームがどういう関係で進むことができるのかどうなのかということも、一つの公募の中の評価の課題として考えていくというのもあるのではないかという気がいたしました。
ぜひ、ほかの予算形態で進められているデータ、あるいは研究の環境というところとどのような関係があって、それを使えば、ここのプラットフォームでも更に発展が望める。そのようなストーリーがこの中に盛り込まれてくると、より幅が広まって、深さも深まるのではないかと思いますので、その2点をぜひ20ページの中のどこかに入れていただければなと思いました。
以上でございます。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、藤井部会長代理、お願いできますでしょうか。
【藤井部会長代理】 藤井でございます。一つはコメントというか、質問に近いところもあるのですけれども、前々からこの部会で発言させていただいているように、これはプラットフォーム全体として、あるいはそれぞれの拠点ごとかもしれないですけれども、できることなら全体として、いわゆる自律飛行に向かう仕組みと言うのですかね、やはりそれは考えていかなくてはいけない。こういう格好で補正予算なり、それから、コロナ対応ということで、一時的に設備が充実されるということはとても重要ですけれども、基盤的な部分を支えるところが、きちんとこれを充実した形で工面されないと、なかなか活動を維持していけないというところがありますので、そこをどういうふうに考えるか。
今日の資料の一番最後の参考資料にも出ていますけれども、国立大学そのものの財務会計の仕組みとしても、いわゆる目的積立がきちんとできるような形にしていくとか、それから、公的研究費や間接経費収入を中長期の財源として使えるようにするとか、こういったことを通して、投資を呼び込むことができれば、戦略的にまたその投資を使っていくことができますので、そうしたことまで含めて、プラットフォーム全体として、自律飛行ができるだけできて、研究者の独自の発想で、きちんと維持発展ができるような、何らかの仕組みをつくっておく、あるいはそちらの方向に行けるように考えておくというのは重要ではないかと思います。
2つ目は、SINETやデータのクラウドという話が出ましたけれども、そこでは結局、データの、いわゆるオープンクローズの戦略と言うのですかね。そこをやはりクリアに定めておかないと、クローズのところはできるだけ本来はエリアが狭いほうが良いわけですけれども、そこは時間的プライオリティーで、例えば1年、2年のプライオリティーを取るとか、そういう形で開いていけるような仕組みをつくるなどして、オープン、クローズをクリアに。そうしないと、全体的にクローズになってしまうと、データを蓄積しているという優位性を発揮できなくなってしまうということがあるので、そこが大事かなと思います。
3つ目は、イノベーション推進の話ですけれども、これも以前に発言させていただいたのですが、やはりスタートアップとかアーリーフェーズの取組の方々は、そんなに資金もないし、大きな設備も使えないということで、やはり共用のプラットフォームの一部を使って、測定や計測をして、そのことが、例えばビジネスに、将来的につながっていく、あるいは知財につながっていくといった形で、特にこれはライフというか、バイオ関係などはそういうことは、例えばクライオ電顕であれば、直近でも起こり得ることではないかなと思いますけれども、そういうことを意識して、データを取るというか、実例を拾い上げると言うのでしょうか。もしそういうことがあるのであれば、その実例を拾い上げて、イノベーションにつながっている事例としてカウントできるのではないかと思いました。
以上でございます。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、ここでの議題については、網塚委員で区切りにしたいと思います。網塚委員、よろしくお願いいたします。
【網塚委員】 北大の網塚です。短く一つだけ。イノベーションの指標ですけれども、今まで御意見がありましたように、単にプラットフォームが設備を使いやすく提供するだけではなくて、ソリューションまで提供するということには大賛成です。それはプラットフォームが提供する研究設備を使う研究から生まれるイノベーションだと思うのですけれども、もう一つの側面で、自明なことなのかもしれないのですが、プラットフォームの先端研究設備や技術自体の改良とか性能向上に関するイノベーションを、プラットフォームとして目指すという、そういう取組であるということもイノベーションの指標にある程度入れるべきだと思います。別な事業等でそれがあれば、そちらで良いのかもしれないのですが、この事業でも一応プラットフォームとして、世界最先端とか唯一の先端性を究めるといった要素を指標として入れるべきではないかと思いました。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。
様々な形で御意見いただきまして、ありがとうございます。お伺いしていて、一つは、これは競争的資金のような形でやったときに、個々のプロジェクトにそれぞれ考えてください。そういうところもあるとは思いますけれども、もっと共通的なところで、データのことだとか人材のことだとか考えていくというお話があったかと思いますので、そういったところをこのプログラムの中でどう実現していくかというのは、やり方として工夫が要るのかなと思いました。
もう一つ、イノベーションの推進(質)の貢献度については、これはというお答えはなかなか難しかったかもしれませんけれども、網塚委員がおっしゃられたように、具体的にイノベーションになりましたという説明をプラットフォーム側から説明するというのはなかなか難しいだろうなと。むしろ、これを使えばこういうことができるという、イノベーションにつながるポテンシャルみたいなものを示すことによって使ってもらうような形があると。どういうポテンシャルになるかについては、それぞれのところで発信ができるのではないかなということが考えられて、そういった中で具体的なものが出てくれば、結果として、指標になりますけれども、そこまでプラットフォームに最初から求めるのはちょっと厳しいかなということで、あまりそれについて御発言がなかったように思いました。ということで、イノベーションの推進(質)の貢献については、切り口も含めて考えていったら良いかなと私のほうでも思いました。
また、後半でもう一度議論していただきたいと思いますので、最初のディスカッションについてはここまでにしたいと思いますけれども、ここまでのところで事務局から何かコメントはございますでしょうか。後でまとめてでよろしければ、そのときにいたします。
【下須賀課長補佐】 後でまとめてお話しさせていただければと思います。
【岸本部会長】 はい。ありがとうございました。
それでは、もう1項目になりますけれども、15ページのマル2の議論に進みたいと思います。そのために、本日、外部有識者として、公認会計士の植草様に御出席いただいております。「国立大学法人の財務からみた研究基盤の現状と課題」と題してお話をいただきます。
まず、植草様の御説明の前に、本取組の共同研究者であります江端委員より、趣旨をお話しいただきたいと思います。それでは、江端委員、宜しくお願いいたします。
【江端委員】 ありがとうございます。それでは資料2-6に基づいてご説明いたします。これまで、本部会で私からも御報告させていただきましたとおり、様々なステークホルダーが集まるイベント等の場で、現場から出てくる課題、特に、人材、予算、システム等の具体的な課題をまとめてまいりました。
先ほど藤井部会長代理からもお話があったように、これまで行われてきた事業は、最終的には自立化せよというところまで含めて言及されている部分もあります。これにつきましては事務局からの御紹介にもありましたとおり、ガイドライン/ガイドブック等を通じて、各機関にその指針、グッドプラクティスを広げていくといった取組にもつながってきているかと思います。
最もこれまで言及されてこなかった点として、先ほど藤井部会長代理からもありました、財務的な視点における課題が挙げられます。これがどのような仕組みになっているのか、具体的な内容につきまして、財務の専門家であります公認会計士の植草先生と共同研究を行い、課題を抽出し、それに対する対応策をまとめさせていただいた論文がありますので、今回はそのご紹介ということで仰せつかったものであります。
1ページ目は、先ほど参考資料3にも御紹介がありましたとおり、国立大学法人の戦略的な経営実現に向けた検討会議でまとめられた資料になっております。こちらには、研究基盤に関わる事項について幅広く言及されておりまして、会計制度・会計基準、財源の確保等も非常に重要なポイントとして挙げられております。
2ページ目になりますが、これまでの本部会における議論で、機器の新規購入、更新について予算が減少傾向にあるといったところから、マネジメントをしっかり考えていく必要があるというところで、一番右側の赤字で書かれております財源・支出バランスを、経営志向で戦略的にマネジメントすることが極めて重要であることについて言及もされてきました。
そこで3ページ目になりますが、我々の問題意識として、やはり大学の研究基盤を支える「ヒト」・「モノ」・「カネ」であることを明確にした上で、これまで言及されてこなかった「カネ」の部分、財務的な視点というところで、国立大学法人の施設・設備の課題について、植草先生と分析を進めてまいりましたので、詳細について植草先生より御紹介いたします。それでは宜しくお願いします。
【植草様】 公認会計士の植草と申します。本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
簡単に自己紹介しますと、国立大学の法人化のときに、10大学程度、財務会計制度の法人化の支援のところの作業をさせていただいて、様々な国立大学の法人化当初の課題からこの15年ぐらい、関わらせていただいた者でございます。
その中で、今回御紹介するのは、財務の視点から施設・設備について、いろいろ今まで先生方で御議論いただいているものを、何かエビデンスとして見えるものを作れないかということで始まった研究の内容でございます。
4ページ目は、この研究設備について、減価償却という言葉を会計理論的に処理されているのが国立大学における今の会計の仕組みがなっていまして、もともと取得したものを毎年、減価償却という会計上の処理をして、最終的には除売却するという形が、今のこの国立大学における会計の仕組みの中で動いています。これは基本的には企業会計を導入し法人化からスタートしたというのがこの会計制度でございます。
5ページを見ると、上が国立大学法人の機械・工具器具備品全てのトータルの数字になっています。左側が機械装置で、右側が工具器具備品です。
参考までに下側が、これは私のほうで整理した私立大学の機器備品、左側が教育研究用機器備品、右側が管理用機器備品という形で整理されているものでございます。こちらを比較すると明らかに国立大学と私立大学では違うというところが見ていただけるのかなと思います。
先ほど御説明したように、赤いところが簿価となっておりますけれども、取得価額は右肩上がりでずっと増えているように見えますけれども、実際の多くは減価償却累計額も右肩あがりとなっており毎年、減価償却という会計上の処理をしたものがずっと法人化から増え続けており、機器の総量が増え続けてかつ老朽化しているところが見ていただけるかと思います。
これは全86大学ということで足し算したものでございますけれど、これはNISTEPさんがやられた調査で、実際、私のほうでも研究開発法人あるいは大学共同利用機関法人、こういったものも拝見しますと、やはり同様の傾向が見られるのではないかなと思っておりまして、全ての公的機関、研究開発法人も含めて、こういった傾向が見て取れるかなと思います。その中で、基本的に老朽化が進んでいるというふうに、従来から様々な形で御発表なり、意見がされているということが理解されますけれども、基本的には研究機器などの備品が物量的にすごく増えているということが財務上、見て取れます。
その中で、国立大学と私立大学で何が違うのかなということを最初いろいろと考えたわけですけれども、一つは財源の構造、それから、資産管理の仕組み、こういったところに違いがあるのではないかなと考えております。
6ページ目は、なぜ資産総額がずっと増え続けているのかというところですけれども、例えば先ほどの私立大学でいうと、私立大学は外部資金が多い大学であったとしても、学納金が8割程度を占めますので、外部資金の比率というのはそこまで多くないという形ですが、国立大学においては、特に研究をメインにされている国立大学においては、特に外部資金での固定資産の購入、研究基盤の整備の割合は非常に増えており、外部資金での購入が非常に増加傾向であって、大学運営費交付金をはじめとした購入については減少傾向にあるということでございます。
そうなってくると、御承知のとおり、競争的資金は年度が決まっていますので、例えばリースはなかなかやりにくいということが一つあります。
それから、先ほど藤井部会長代理からもお話がありましたけれども、維持管理についても後年度負担という1回買ったときに自立化していかないといけないということが求められますけれども、その自立する運営財源はどこで担保するのかがやはり一つの論点になるかなと思います。結局、外部資金はいつまでもないので、維持更新経費はどうしても運営費で補填せざるを得ず廃棄する経費も、外部資金でできるのかと言われるとなかなか難しいということになると、結局、大学運営費のほうで賄わないといけないという形になります。最初買うときは外部資金で購入するのですけれども、そこについての維持管理、あるいは廃棄をどのようにやっていくのかというところがまさに議論の一つになるかなと思います。
7ページ目は、それを整理しましたのがこちらの話でございます。左側が施設で、右側が設備となっておりますけれども、その中で、設備の廃棄、更新というところで、マルバツをつけさせていただいたのですが、これは制度上のマルバツではなくて、実質的にこれぐらいの財源しか使えるものがないということを示したものでございます。やはりよく言われますけれども、間接経費、寄付金ですとか目的積立金が重要となってきます。運営費交付金、授業料という財源が更新に使える財源が限られているということで、従来から間接経費や目的積立金の議論が恐らく研究基盤のところでも行われていたと承知しております。
8ページ目は、右側が研究基盤の話でございますが、平成27年度の「競争的研究費改革に関する検討会(第6回)配布資料(平成27年5月)」においても、競争的研究費改革の中で、間接経費の活用として、いわゆる設備・機器の共有に係る組織的な取組み(安定的な設備・機器の運用や技術支援員の配置等)が奨励されるべきなど、過去からずっとそういった指摘をされているのかなと思いますけれども、実質的に間接経費について、こういった研究基盤に本当に使えているのかどうか。あるいは共用化について伝えられているのかどうかというところも検証していかなければいけないのかなと思っております。
9ページ目は、これは文科省の国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議で、東北大学の大野総長がお話をされたところですけれども、例えば共同研究経費、こういった民間からの経費において、間接経費についてもう少し柔軟化してほしいと御提言だったわけですけれども、企業からいわゆる間接経費を毎年取るわけですけれども、その中の一部を積み立てていくことにより、間接経費をもう少しこういった中長期の財源に使っていくということが必要なのではないかなという問題意識から提言されているところでございます。これは民間研究費の話ですけれども、やはり公的研究費でも同じような議論が必要なのではないかなと思っております。
10ページ目からは、今まで財源に関して国立大学が考えていかないといけないところをお話したのですけれども、今後は、これからは資産管理の話をさせていただければと思います。実質、国立大学において研究基盤をやられている部署というのは、恐らく施設部であるかもしれませんし、財務部であるかもしれませんし、産学連携の部署がやられているケースもあるかと思いますけれども、あとは技術職員の方もいらっしゃると思いますが、いろいろな部署が恐らく研究基盤に関わっていらっしゃるのかなと思います。例えばA国立大学法人、B私立大学ということで単純に2大学をプロセスで比較したものですけども、例えば決定的に違いますのは、B私立大学におきまして予算査定という2つ目のところになりますけれども、この私立大学さんにおいては、外部資金について、設備の後年度の負担も含めて査定を行って、買う、買わないということを予算化するということをやられていました。
これは何が申し上げたいかというと、施設を買う、設備を買うということになりますと、当然、後年度でどれぐらいの維持管理、廃棄コストが必要なのかという設備のライフサイクルのコストを含めて、設備を買うという意思決定をすることをこのB私立大学がやられていることですけれども、実際、私立大学ではなぜこういうことをやるかというと、実は会計と連動する仕組みになっていまして、資産を買うと必ず、資産を買っただけではなくて、会計処理も別個でやらないといけないという手続がありまして、そういう関係から、予算の制度の実務として確立していると思います。まずは購入のプロセスの違いという点です。
11ページ目は、今度、不要決定と除却と廃棄という言葉が並んでいますけれども、これは国立大学3大学、A、B、Cという形でピックアップして御紹介しておりますけれども、例えば国立大学において研究設備については固定資産という扱いになりますけれども、固定資産については、例えば陳腐化するとか、不適用化すると、いわゆる除却というところを会計上はやらないといけない。要は、帳簿から除くという処理をしないといけないのですけれども、仮に使ってない資産でも大学においては会計処理までなかなか反映されなくて、帳簿上、残ってしまっているというような状況にあるのかなと思います。
企業では、税務上、損金に計上できるメリットがありますので、会計上、帳簿から除くという処理を、不要であれば当然やるわけですけれど、国立大学はそういった税制上の優遇的なものはありませんので、廃棄しなくて残っているという姿が、先ほどの資産が右肩上がりで増えているような状況につながっている面もあると思います。
もう一つ、12ページ目も、固定資産全般の管理責任者という方がA大学においてはおりますけれども、この大学は、現物の管理の適否ですとか、帳簿管理の正否を実地に確かめるというルールがありますけれども、こういったところをきっちりやられている大学がどこまであるのかなというところが正直な印象でございます。もちろん研究設備の存在があるかないかと言われれば、あるのだと思うのですけれども、実際あるかないかだけではなくて、それが本当に稼働しているのかとか、そういったところも含めて、本当は確認するということが必要なのではないかなと思います。こういったところを資産管理として本来はやる必要があります。
最後、まとめさせていただきます。まず財源の問題ですがとして、先ほど文科省さんの資料で、例えばこういった基盤の研究設備ですとか大型設備について、コメ印で、運営費交付金(特別経費)ですとか、先端研究施設整備補助金とか、いろいろ設備の財源というのも一応明示されているわけです。しかしこれは平成17年の資料で大分古いものを引っ張ってきて恐縮ですが、この文書でも、ここに設備マスタープランに基づく予算要求ということをやっていきましょうですとか、あるいは中・長期的な視野で研究設備の問題に取り組むことが期待されるとか、あるいは、大学は、どのようなスケジュールで、どの資金によって整備するかの戦略を構築することも重要な課題であるということを、平成17年度の時点で既に御提言されておりますけれども、実際これをしっかりやっていくということが改めて必要ではないかなと考えております。
最後の14ページ目になりますけれども、今後の課題と方向性ということで3つ挙げております。一つは、設備マスタープランというお話がありましたけれども、やはり研究基盤ということを考えたときに、財源も含めた研究基盤戦略ということを各大学なり、各法人なり、きちんと作っていくということが必要ではないでしょうか。先ほど自立というお話もありましたけれども、維持・更新経費というのを、強制的に、例えば財源を当初から確保するとか、積立をしていくとか、そういったことをやっていかないと、なかなか後年度にその財源があるかどうかも分からない状態で物を買っているというのを、未来永劫も続けられることは難しいのかなと思っています。
その意味では、2番目ですけれども、これは私のほうで参加させていただいています文部科学省の国立大学法人会計基準等検討会議において、この会計構造の制度を変えるということで、例えば減価償却に応じて財源確保できるような仕組みをつくるとか、そういったことも考えないといけないかなと思っていますし、実際にそれを実現するためには、3番目でございますけれども、やはり学内で、あるいは法人内で研究基盤マネジメントということをきちんと構築していって、全学的に資産管理をやっていく体制を改めて考える必要があるのではないかなと思っております。
以上、私からの研究の内容の御紹介でした。ありがとうございました。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
御質問、御意見があるかもしれませんけれども、全体の討議の中でお願いできればと思います。それでは、15ページに戻っていただきまして、マル2の「来年度コアファシリティ事業にて、どのような取組を推進することが望ましいか?」、また、「ガイドライン/ガイドブックにどのような情報があることが望ましいか?」ということで、まず、こちらのほうは今ちょうど概算要求をやっていて、それを実現するためにできるだけインプットしていただきたいと思いますので、こういうことを入れたら良いのではないかなということを御発言いただければと思います。それが終わった後に、残りの時間で総合的に御議論したいと思います。
先ほど、このプロジェクトについては、ばらまき型ではなくて、きちんと良い取組になるところ、そこが取り組むことによって、いろんな大学のグッドプラクティスになるところ。ただネットワーク化するだけではなくて、それによってどういうことができるようになるかということをもっと着目した形で選んでいくというような御指摘もありましたけれども、そのほかでこういうところに着目したら良いかというような御提案いただけるとありがたいですが、いかがでしょうか。
第二次補正予算のときよりもかなり大きな形でのプロジェクトにしていこうということですので、いかがでしょうか。
それでは、波多野委員、お願いいたします。
【波多野委員】 イノベーションの推進にも関係しまして皆様の御意見を伺い、少しだけ視点を変えて話題を提供したいと思います。先ほど佐藤委員は、最終的には新しいソリューションや価値あるイノベーションを生み出すための共通基盤であるべきで、そこでのデータ活用も必要とおっしゃっていました。また高橋委員は、共通基盤以外の他の研究予算も併せて統合的に考えていくべき、とおっしゃりました。とても重要な御意見と思いました。
もう一つの観点から、先進性をリードすることも重要と思います。前回、7月にこの部会がございましたが、その直後『Nature』に、研究室で実験を行うロボットというセンセーショナルな、皆さんも御存じだと思いますけれども、ビデオつきの論文が掲載されました。それを見て、やはり共用プラットフォームも先進性、独自性そのものがイノベーションということを示せないか、と私は思いました。共用ファシリティやそのリモート化が、新たなイノベーションやビジネスにつながる可能性があるということです。そういう観点から、先ほどの資料における、出口として環境の整備に加えて、イノベーションの推進として新たなプラットフォームをビジネスにするという視点がもう少しあっても良いかなと思っています。そういう申請も期待します。
具体的に私が関連する研究分野で申し上げますと、IBMとか、ベルギーのIMECなどは、これまで研究、特に共通基盤をビジネス、更にイノベーションにつなげています。例えば最近では、IBMの量子コンピューターIBMQは、クラウドでオープン化し、新しい使い方、アプリやビジネスをソリューションに生かしています。すなわち、使用者からイノベーションを提案させるというビジネスです。IMECは、これまで、半導体技術のファシリティを活用して材料、デバイス、装置、システム、アプリケーションに関して研究を進め、ビジネスを生み出させている、というエコシステムです。そこで次に取り組むべき施策というのは、先端プラットフォームそのもの、その方法をイノベーションやビジネスにつなげる、というような申請が含めてもよろしいかなと思いました。
以上です。
【岸本部会長】 波多野先生の御指摘、すごく良い御指摘だと思ったのですけれども、例えばコアファシリティで取り組むときに、多くの申請が既存のものを入れて、リモート化するということで、特に開発要素があまり多くなかったように思いますので、むしろ開発要素を入れた形、それもイノベーションに向かうような開発要素を入れたような申請もこの中で受けてというか、むしろそういうところにフォーカスして取り組んでもらうというのもあるのではないかなと理解したのですけれど、そういう御提案と聞いてよろしいでしょうか。
【波多野委員】 はいおっしゃるとおりです。『Nature』のロボットのような、共通基盤のリモート化における先端研究のような、新規で斬新的な、多少ぶっ飛んだものが含まれても良いかなと思いました。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。それでは、藤井部会長代理、お願いいたします。
【藤井部会長代理】 今の波多野委員のコメントに関係するのですけれど、今のようなことを実現するにはやはりそもそものファシリティが、圧倒的に先進的である必要があると思います。IBMQの場合、例えば商用で量子コンピューティングのファシリティとしては唯一なわけですよね。ですから、そういうふうな、やはりほかにない、IMECもかなりそういう意味では半導体のファウンドリとしては。あとはもうTSMCとかそういうところしかないので、普通の研究には使えないということもありますので、そういう意味での先進性をキープするというのは非常に重要です。やはりその意味でも、先ほど陳腐化とかそういう話が出てきましたけれども、そういうことにはならないように、常にカッティングエッジを維持できる環境を整えるというのが大事だと思います。
そのときに、やはり設備・機器のことを考えると、場所とか、要するに、施設そのものにもどうしてもタッチしないといけないということがありまして、それを年限が決まっている、いわゆる外部資金とかそういうものでカバーしていくというのはなかなか厳しいということが、皆さん、お悩みがあるのではないかなと思うのです。ですから、そこをいかにカバーしていくかということで、実は減価償却が、これは施設のほうも減価償却分を相殺してゼロにするというのが会計基準になってしまっているので、その分、実際はメンテナンスが必要になるわけですけれど、それは結局、運営費で出さないといけない、国立大学の会計の構造上、そういうふうになってしまっているのですね。
ですから、その辺りまで含めて、つまり、設備の面倒見だけではなくて、実はその周りの施設とかユーティリティーを含めて費用を捻出するということを考えないといけないので、その辺りはぜひ今後の議論というか、こういう資金を出す場合も、そこをどれぐらい考慮して出すかという議論になると良いのかなと思いました。
以上でございます。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、金澤委員、お願いいたします。その後、杉沢委員にお願いしたいと思います。
【金澤委員】 コアファシリティ事業のところですけれども、やはり「どの組織でも高度な研究が可能な環境へ(組織としての環境整備)」ということでございますので、そこで採択された機関は、ぜひ、先ほどお話にもありましたように、ネットワークを作って相互の機関で、情報交換できるように整備していく必要があると思います。それぞれの機関で構築したものには、とても良いものがあると思いますので、ぜひ、ネットワークをうまく構築して、それらの情報を吸い上げて、良いものを更に集約していくような仕組みも必要ではないかと考えます。例えば装置のセキュリティとかデータセキュリティとか、人材育成についても、相互に情報交換して集約していくような仕組を盛り込んでいただけると良いと思います。個々のプログラムが何か新しいものにつながるというのはもちろんなのですけれども、最終的には全体として、少しレベルアップしていくことが必要であり、もちろん個々のプログラムも上げるわけですけれども、更にレベルアップしていくような仕組み作りも必要ではないかと思います。
もう一つ、私は現在日本分析化学会の会長をしておりますが、分析化学会をはじめ関連する学会をプラットフォーム参画機関の拡大などの際にも是非利用していただきたいと思っています。これは先ほどもお話がありましたけれども、学会と連携しネットワークを広げる方にもお使いいただくというのは非常によろしいのではないかと思っております。コアファシリティ事業にも取り入れていただきたいと思いました。
以上でございます。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、杉沢委員、お願いいたします。
【杉沢委員】 杉沢でございます。今の金澤委員と同じアイデアとなりますが、今年採択された5件のコアファシリティ事業のチームにつきましては、先進事例として、ぜひ後輩のコアファシリティ事業の機関に経験を伝えるということを実施していただきたいし、来年度以降に採択されるチームは、それまで実施されたことをもう一度繰り返すのではなくて、まず先輩方のコアファシリティ事業の知見ですとか経験を生かしながら、更に発展させ、それから更に後輩のコアファシリティ事業に経験を伝えるという形で、累積的に経験や知見が蓄積されるような運営が必要と思います。
その場合、必ずしも毎年同じ予算額である必要もないのではないかと思っています。既に確立されたシステムを導入する場合は、最初にシステムを確立することに比べてコストは低く済むはずですので、この制度で生みだされた様々な知見や資産を有効活用することで、効率的にコアファシリティを増やしていただければと希望します。本制度全体を俯瞰的に見て、コアファシリティ構築のための経験や知見を累積的に蓄えそれを再利用することで、新たなコアファシリティを効率的に立ち上げるような制度設計を考えていただきたいと希望いたします。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。続いて、横山委員、お願いできますでしょうか。
【横山委員】 大体皆さんのお話と同じですけれども、このコアファシリティ事業でも、やはり研究のDX、デジタル・トランスフォーメーションをある程度考えたほうが良いかなというふうに、聞いていて思いました。特に遠隔化と自動化は、もうこれは自動的に入るような形になるのではないかなと思うわけですけれども、この中でデータの蓄積に関しても、コアファシリティの中でデータの蓄積をどのようにやっていくのかというのを考えていまして、それぞれのコアファシリティごとにデータを別々に持っていても意味がない気もしますので、その辺りをコアファシリティ間で連携するとか、あるいはもう少しほかの、例えば先端プラットフォームとの連携によって、DXの共有を考えたほうが良いと思います。それぞれ別々にやっているような気が少しするので、もう少し全体をまとめ上げるような何かそういう力が働いたほうが良いような気がします。
以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、西島委員、宜しくお願いします。
【西島委員】 昨年のコアファシリティ事業の採択のときにも少し迷いましたけれども、結果的には、大学の学部でばらばらにやっていたのを、大学としてまとまったコアファシリティ構築というのがまず第一弾で、他大学の波及効果とか地域支援ネットワークというのはあまり考慮しなかったですね。今回、皆さんの話を聞いていると、例えばデータの蓄積とか将来的なプラットフォームとの連携を考えると、前回と違って、今後、例えばコアファシリティ事業のときには、将来的なそういうことも見据えたコアファシリティの構築が望ましいみたいな形にして、例えば採択のときも、そういった大学の中で閉じるというのは、昨年を第1期として、第2期においては、その先まで考えたものを採択するというような、少し採択の基準みたいなのを変えておかないと明確に伝わらないのではないかなという気がしました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、菊池委員、お願いいたします。
【菊池委員】 皆様の御意見に補足するような形ですが、結局、コアファシリティにしても、これからはどんどん共用を前提にする、そして、遠隔も前提にするという方向に向くと、やはり分析・計測のところでは必ず試料の前処理というのが必要かと思っていまして、そこの前処理のところに、ビジネス的な可能性もあれば、その前処理のところをどれだけイノベーティブにできるか。
例えばハイスループットの実験をしようとすると、やはりロボット的なものを活用して、そういうもので試料を作って、そういう機械もつくるという、本当に機器類の単純な応用ではなくて、やはり前処理を相当しないといけないのではないかなと。そういうところをもう少し強調すれば、財源的なところももしかしたら何かプラスの部分が出てくるのではないかなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、江龍委員、お願いいたします。
【江龍委員】 ありがとうございます。各事業所において、なぜコアファシリティなのですかと。コアファシリティであるという定義づけをきちんとしていただいて、御提案をいただくべきだと私は思っています。
ガイドラインということですので、各事業所がやっている、先ほどもお話が出てまいりましたけれども、世界最先端の、要するに、世界のイノベーションを推進する研究をコアファシリティが実現できるのだと。コアファシリティの充実によって、それが実現できるのだと。もちろん1校でできなければ、複数校、複数事業所ということだと思うわけですけれども、それでは、何でこういう提案がなされたのですか。世界のトピッククラスターが伸びていると。その研究分野が例えば5年後にはこうなるだろうと。GDPに対してこれだけの影響力を持つだろう。
しかも、例えば提案事業所のトピッククラスターの順位が世界でも10位に入っている先生方が何人もいるというようなところのバックデータもつけて提案していただくと、恐らくそのコアファシリティは新しいデータも出すでしょうし、近郷近在の企業との連携も強くできるでしょうし、そういうようなものも併せて提案していただく。それがやはりソリューションということだと思いますし、そこまできちんと各事業所から御提案をいただくということではないのでしょうかと思った次第です。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、続いて、木川委員、宜しくお願いします。
【木川委員】 今、先端性とかいろいろな話もありますが、コアファシリティ事業の場合はやはり教育というのも非常に大事な側面だと思うのです。これは最先端のものを教えるのはもちろん大事ですけれど、科学の基礎、分析科学の基礎をきちんと教えるという意味でも非常にしっかりしたものがなければ基本になりませんし、その後の最先端のものを教えるにしても、基礎をしっかり教えるという意味で、やはりコアファシリティにはもう一度、最先端も非常に大事ですけれども、もう一つとして教育をしっかりやるという意味で、良い教育をするということの観点も大学という機関から、意味合いからすると大事ではないかと思っています。その点もきちんとと改めて位置づけるというのは大事なのではないかなと思います。
それに対して、プラットフォームのほうはもっと先端性ということもありますし、ここでないと本当にできない部分という位置づけがあって、そういう意味で、この3C構造が位置づけられているという認識をしております。
先ほどの110億円というか、設備整備のところで、どちらかといえば、単に機械を買うだけではなくて、次の方向性のような技術開発も含めてという話もありましたけれど、それは非常に良いお話だと思うのですが、逆に言えば、予算の構造で、それこそ先ほど第二次補正予算では、今、どこまでに何をしなきゃいけないからできなかったという提案もあったと思うのですね。特に開発要素のある部分では補正予算で入り切らないというところもあったと思うので、そういう意味で、単年度予算で、それこそ年内に全部、設備をそろえて、きちんとそろえないといけないとなると、どうしても開発要素という部分を失ってしまって、単に買物になってしまう可能性があるので、その点について、もし先端性を追求した開発要素まであるものというのであれば、予算運営に関してもきちんと配慮していただければと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。続いて、網塚委員、お願いいたします。
【網塚委員】 現在、コアファシリティ事業の第1期目を走らせております。今いろいろ御意見いただいておりますけれど、コアファシリティのもともとの眼目というのは、機器共用と、それから、それを支える技術支援人材を育成することを大学として統括して行っていく制度、体制を整備するということが大本にあり、それだけでもかなりハードルの高い仕事になっている状況です。
いろいろな御意見はあるわけですけれども、全てを盛り込もうとすると、一番重要な課題が見えづらくなってしまうことが懸念されます。遠隔化・自動化を推進するためのコアファシリティとならないようにしないといけないと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 今、皆さんの話を聞いていて、コアファシリティ事業に関しては、今、網塚委員が言われたような目的だったと思うので、そういう方向で良いのかなと思っていたのですけれども、次の展開をしようとすると、やはり皆さんが懸念しているように、自立化だとか、あるいは新しいイノベーションを起こしていくだとかいうことをやはり考えないと駄目なのだろうと思います。
Society5.0とか、いわゆる第四次産業革命とか言っていることは、根本的には何を言っているかというと、デジタルツインみたいなバーチャルな世界で、ほとんどのソリューションを出してしまって、それをあとは確認、あるいは検証するだけですよというぐらいの話に、そういう生産性の超高効率化をやるということがもともとにあるわけですね。そこにつながらないと、結局、誰も本当にこれを使いたいとか、使ってやればあそこにつながるだろうという話にならない。うまくいかないとならないから、そういうことを意識して、多分ロードマップみたいなものを描いて、本当にそういうことにつながっていくのかということを一つの指標にしないといけないのかなと今聞いていて思いました。
先ほど来、少し出たIMECの話。IMECに関しては、先端計測事業のときに、実際に向こうに行って調査してきたわけですけれども、何で彼らがうまくいっているかというと、半導体というロードマップがちゃんと明快になっていて、それに乗っかっていけば非常に大きなビジネスになるということは世界中の産業が分かっている。
それで、各企業なり、材料メーカーなりが、ロードマップが明快だから、そこにIMECに無料で最先端設備を提供してでも一緒にやりたいという仕組みが出来上がったから、IMECはそれをビジネスモデルとして、先端計測をビジネスモデルとしても実現できたという話なのですね。
しかしながら、今、日本の大学教育機関はそうは簡単にいかない。日本版IMECも何回かトライしていますけれども、ことごとく失敗している。ということは、結局、ロードマップの引き方が教育で何を教育していけばそれにつながっていくのかとか、あるいは新しいイノベーションを起こすための産業に対して、どういう産業に対するロードマップに対して貢献していくかということを描いて、今の先端計測事業をやらないと多分駄目なのだろうなと今思ったので、そういうことをもう少し、両方の事業に対して、これから盛り込んでいく必要があるかなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、野村委員、お願いします。
【野村委員】 いろいろな御意見があって参考になりました。一つは、こういう新旧もそうですけれども、いわゆる科研費的な競争的資金の場合は、良い提案を出していただいて、そこから選定するというのも大事なわけですけれども、こういう事業の場合、ある意味で、組織として、どうこれを広げていくかが大事なので、期間が短く難しいのですけれども、できればその先進事例を各大学なりのマネジメントレベルにも見てもらえるように、その上で提案を考えてもらうとかですね。
あと、例えば共用のためのシステム作りと言っても、どの機関も大体同じようなことをやっているので、そういうものは先進的にやったところのものを、2番手、3番手は、買って、手を入れるなどしてやらないと、みんなが毎回ゼロからやるのはもったいないのではないかなという気がしています。以上です。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。それでは、田沼委員、お願いします。
【田沼委員】 田沼です。もう皆さんの意見で大体出尽くしているので、少しだけコメントします。一つは、ナノテクノロジープラットフォームとか、先行しているプラットフォームから言うと、かなり難しいのは、やはり個々の組織の運用よりもそれをつなぐこと、すなわち組織関連携が大事だと思います。
あともう一つは、デジタル・トランスフォーメーションが出てきていますけれども、これが出てくると、今、NIMSでも取り組んでいますけれども、結局、ユーザーが2つに分かれるわけです。一つのユーザーというのは、デジタル・トランスフォーメーションというか、データを入れてくれる方と、あとはそれをDXで入ってきたデータを加工して、AIとかMIとして、そのデータを使うユーザー。その両方のユーザーがいるので、もしこういう組織を本当にデータの活用を考えるのであれば、両面のユーザーを考えたような計画というか、ロードマップを引かないと難しいかなと考えます。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、江端委員、最後になってしまいましたけれども、この議題に対するコメントと、資料3を御用意いただいていますので、併せてこちらの御紹介もお願いできればと思います。宜しくお願いします。
【江端委員】 ありがとうございます。東工大の江端です。まず、15ページについてですが、先ほど来、先生方からいろいろコメントいただきまして、特に野村委員から御指摘いただきました、組織として広げていくためにどうしていくかというのは非常に重要なポイントだと考えております。
それは、プラットフォームについての議論にもありましたし、そのプラットフォームとコアファシリティの違いは何だろうかということも併せて明確化していかなければいけないところではあるのですが、少なくとも木川委員から御指摘いただいた教育であったり、現在のコアファシリティのミッションということも含めて考えますと、やはり人材をどう育成していくかということにつきましては、かなり重視してやらないといけないところかなと考えています。
コアファシリティの公募要領でもキャリアパス等にも言及されていますし、その部分は残しつつという考え方で良いとは思いますが、杉沢委員から御指摘いただいたのもそのとおりかなと思っていまして、次の予算を仮に削るのだとすれば、教育についてのプラットフォームがある程度共通化できると予算も更に効率的に配分できるのかなと思います。個々の機関で教育プログラムをそれぞれ作るというのは大変無駄が多いですし、それが全国に応用できるかというと、なかなかすぐに応用できるようなものでもないので、例えばそういうものを一つ共通化するということも併せて、その中の御提案としていただければ良いのかなと思いました。ここまでが私のコメントとなります。
続きまして、資料3について簡単に御説明させていただきます。先ほどの15ページのガイドライン/ガイドブック等の話にも結びついていくところですが、これは研究基盤イノベーション分科会(IRIS)と文部科学省研究開発基盤課の皆さんとの連携企画ということで、研究基盤EXPO(仮称)というイベントを開催しようというものになります。なぜこのような企画を立てたかと言いますと、従来、年度末に、皆さんそれぞれのステークホルダーにおいて個別に開催されているイベントがありますが、一つ一つで完結しておりましたので、せっかく労力を割いて開催するのであれば、全部議論をまとめ、共通の課題や個別の課題を客観的に整理して、それらを適切に本部会の委員の先生方、あるいは文部科学省の皆さん、ステークホルダーの皆さんに知っていただく機会を作りたかったということがあります。また、これのような形でまとめ上げることによって、研究基盤に関する認知度を総合的に上げるという広報効果もあるかなと考えて企画させていただきました。
これまで、研究基盤に関わる議論をまとめ、アーカイブして発信していく研究基盤イノベーション分科会(IRIS)の活動について御紹介させていただきました。この分科会での議論具体的にまとめていく際に、研究基盤に関わるステークホルダーの皆さんとの意見交換の中で、学会員にならないと参加できないのでしょうかというようなコメントをいただき、特に学会員でないと参加できないということではないのですが、わかりやすく皆さんに御参加いただくために、新しく研究基盤協議会(仮称)というものを立ち上げることで、今、準備を進めております。
これは単に、これまでのように新たな団体を乱立させていくということではなく、これまで立ち上がっている組織を一つにまとめていくということで準備を進めておりまして、研究基盤EXPOの流れで参加していただいている方々に御協力していただきながらまとめていく予定です。
委員の先生方におかれましては、このようなイベントが開催されることについて、関係者の方々に御周知いただければと思いますので、ぜひ御協力のほど宜しくお願いいたします。 私からは以上です。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。1週間にわたって開催されるということで、素晴らしい取組だと思います。皆さんぜひ関心を持っていただければと思います。ありがとうございます。
皆様から貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。ガイドライン/ガイドブックについて、41ページにありますけれども、どういうことを加えたらいいかということもございましたけれども、それについて直接的な御意見はあまりなかったような気もしますけれども、強いて挙げるとすると、途中でいろいろ出ていたデータの取扱いについて、それぞれどういう工夫があるのか。なかなか難しいかもしれませんけれども、そのようなところが出ていたので、これを作られるときに、入るとすればそういうところも入れたら良いかなと思いました。
まだ様々な意見があると思いますけども、予定の時間になっていますので、この辺で終了させていただきたいと思います。
それでは、閉会ということになりますけれども、これまでのことに対して事務局からのコメントと、最後、連絡事項についてお願いします。宜しくお願いします。
【下須賀課長補佐】 事務局から失礼いたします。御発表された植草先生も含め、貴重な御意見いただきまして、本当にありがとうございました。何点か説明したい話はあるのですが、簡潔に3点だけ申し上げたいと思います。
1点目は、今御議論いただいたように、この基盤の取組は本当に大事だと思っていますので、今、概算要求の状況ですけれども、これから予算の編成に向けて、課長以下、頑張っていきたいと思っていますので、引き続きどうぞ宜しくお願いします、というのが1点目です。
2点目は、プラットフォームやコアファシリティの中での話になりますけれども、どこの事業の中でどういうことを求めて、かつ、その中でお互いにどういう連携を図っていくのかということだと思っています。これまで3つのCということで、緑と青のところでそれぞれプラットフォームとコアファシリティを立ち上げてきていて、それぞれの趣旨を最大限生かしながら、あとはそこから外縁のところでもう少し何かできることがないかということを考えていくことかなと、お伺いしていて感じています。そこは事務局として、どういうところを明確に求めていくのかというのはしっかり整理していきたいなと思っています。
3点目は、前半のところの議論でもありましたけれども、国として議論するべき話、あとは各機関で、各プラットフォームで、もしくは現場レベルでそれぞれ議論いただく話があると思っています。最後のところで、江端委員からも御紹介がありましたけれども、実際、現場レベルでも考えていただいているというような取組が進んできたというのがここ最近の大きな動きだと思っています。こういう現場レベルの話、あとは各機関の話、各プラットフォームの話、あとはそれを組み合わせる形の国の話というのがあると思っていますので、国だけとか機関だけとかではなくて、お互いに意思疎通を図りながら、どういう風により良くなっていくのかというのを考えながらできれば良いかなと思っています。
この基盤の取組は、ここ10年ぐらいで変わってきている部分だと思っていますので、引き続き皆様の御知見、御力をいただきながら、研究開発基盤課としてもしっかり対応していきたいと思っていますので、どうぞ宜しくお願いします。
最後に、連絡事項になりますけれども、本日の議事録については、部会の運営規則に基づいて後日公表することになっております。議事録案が出来次第、委員の皆様に御確認の依頼をさせていただきますので、どうぞ御確認を宜しくお願いします。
事務局からは以上になります。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、第7回研究開発基盤部会を閉会したいと思います。本日は、お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございます。これにて閉会といたします。ありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)