研究開発基盤部会(第6回)議事録

1.日時

令和2年7月15日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 研究基盤政策に関する最近の動きについて
  2. 今後の取り組むべき施策について
  3. その他

4.出席者

委員

岸本部会長、藤井部会長代理、網塚委員、飯島委員、江端委員、江龍委員、金澤委員、木川委員、菊池委員、佐藤委員、杉沢委員、高橋委員、田沼委員、中村委員、西島委員、野村委員、波多野委員、原田委員、横山委員

文部科学省

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課長 渡邉淳、課長補佐 黒川典俊

5.議事録

【岸本部会長】 それでは、第6回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を始めさせていただきたいと思います。
前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症の防止の観点から、ウェブ会議とさせていただきました。
本日のメインの議題は、今後取り組むべき施策の方向性ということで、これを中心に議論させていただきたいと思います。
まず、事務局から、本日の出席者と資料の確認などをお願いいたします。

―――(事務局からの資料等説明)―――

【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
今、御説明いただきました採択結果等につきまして、それぞれの採択審査委員会の委員となられました委員の方々から御講評をいただくとともに、今後の期待等について御発言をいただければと思います。
全部で7人の先生が関係していらっしゃいますけれども、コアファシリティと補正予算、両方に関わった委員の方、まず、西島先生、野村先生の順番に御発言いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【西島委員】 分かりました。西島です。
二つに関わったんですけれども、最初のコアファシリティのほうですけれども、採択された五つの機関は、中央指令機能やマネジメント、それと、技術職員の職位とか育成体制がしっかりしているなというのがあって、この五つは特別良かったと思います。
結果的には、大きな大学と地方大学と私立大学ということで、今後への期待としては、採択された五つの大学のモデルというものを広く周知すれば、今回応募いただいたけれど不採択になった機関は、どういうところを強化すればより良いファシリティになるかというような良い参考事例になるのではないかなと思います。
2番目の遠隔化・自動化による環境整備、これによって、コロナ関係で困っている学生等を具体的にどの程度に救えるんだというアピールがあった大学が採択されて、結果としては、多くの大学に採択できて良かったと思います。
この遠隔化・自動化による環境整備に関わる申請資料を読んで感じたのは、多くの大学がコアファシリティ構築支援のほうにも手を挙げていて、その中で遠隔化・自動化も構築するということで、コアファシリティと遠隔化・自動化の推進というのは上手くリンクしていくことが望ましいと思いました。実際、コアファシリティの上位で採択された大学では、遠隔化・自動化のほうでも採択されています。良い相乗効果がこれからも期待できるのではないかと考えております。ぜひこれを来年以降も推進していただきたいと考えています。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、野村委員、お願いできますでしょうか。
【野村委員】 野村です。
まず、コアファシリティのほうですけれども、今、西島委員から御発言があったような感想を持っております。ですので、できれば今年の5件で終わりではなくて、もっと広げられるような機会があれば良いかなと思います。
あと、見ていて気になったのは、技術職員というものの位置づけをどう考えるかというところを、もう少し検討しないといけないかなと。例えば技術職員の先が研究者であったり、本来は、それぞれのスペシャリティを持って、対等に分業していくというようなものを考えなくてはいけないのかなという気がしました。
補正のほうで、ちょっとびっくりしたのは、生物飼育関係の自動化という提案が結構ありまして、こういうところを人海戦術でやっていて、本当に良いかどうかというのは考えなくてはいけないかなという気がしています。
あとは、自動化や遠隔化というものは、測定の部分は割とできるんですが、試料調製とか、いわゆる研究、実験という部分をどうやっていくか、その辺は今後、考えていかなくてはいけないかなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、コアファシリティの審査委員会の委員を担当されました杉沢委員、原田委員から、順番にお願いしたいと思います。
それでは、杉沢委員、お願いできますでしょうか。
【杉沢委員】 杉沢でございます。
私はコアファシリティの審査を担当させていただいたのですが、採択させていただいた5機関は大変すばらしく、本事業をリードする機関として期待は大きいです。しかし、惜しくも採択にいたらなかった機関もすばらしいと思いました。全体の印象といたしまして、これまで進めてきた共用システムの整備が、1段階、ぐっとレベルが上がったなと感じています。
これまでの共用事業は、どちらかというと、装置を効率的に運用して、より少ないお金でより大きく効果を出そうといった側面が強かったと思うのですが、今回のコアファシリティ事業では、大学・研究機関全体を統括して、一つのシステムを使って、中長期的な機器の更新計画を立てて、自分たちの特徴と強みを活かすために戦略的にどこを強化しようかといったところを提案されており、大変関心いたしました。今回選ばせていただいた5機関は当然、モデルとして先進的に進めていただきたいのですが、コアファシリティの構築は、日本の全ての大学、全ての研究機関が目指すべき姿だと思いますので、この制度は、上位の数機関を選ぶというのではなくて、ある基準を満たした研究機関を全てこういった制度に採択できるぐらいの予算規模を、ぜひ今後獲得していただきたいと思っております。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、原田委員、お願いできますでしょうか。
【原田委員】 今まで3名の方がおっしゃったとおりなのですけれども、今回採択されたところは、大学の執行部が本当に積極的に推進しようという感じがよく出ていて、あと、技術職員の人事制度というか、ステップアップするような制度を考えていたり、それぞれの大学が非常にユニークなアイデアを出していると思います。今回採択された機関が、成功事例というか、こういうふうにしたらうまくいくんだみたいなことを広くアナウンスして、他の大学にも全国的に展開して、広がっていったら良いなと思います。
そういう意味からも、皆さんがおっしゃっているように、今回限りではなくて、これを継続的に、今回不採択になった他の機関、あるいはまだ申請していないような大学にもどんどん広げていって、限られた予算をうまく回して、日本の研究が少しでも研究力アップにつながれば良いなと思っています。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、補正予算関係の審査を担当していただきました佐藤委員、田沼委員、中村委員の順番に、コメントをいただければと思います。
それでは、佐藤委員からお願いいたします。
【佐藤委員】 佐藤です。よろしくお願いします。
補正予算のほうの審査を、半分ぐらい打ち出して、主に見させていただいたのですけれども、全体としての印象は、皆さんからお話もありましたけれども、学生の支援をきちんとしようということで、90以上の機関が応募されたということで、タイムリーな提案、テーマであったのではないかなと思います。そういう意味では非常に良かったなという気はしています。
ただ、ちょっと辛口な評価をすると、全体的に、緊急対策としては仕方がないのですけれども、前から言っているように、各分析装置、計測装置は、今のSociety5.0という観点から見たら、あくまでもIoTのエッジデバイスの一つにしかすぎないのですね。だから、それを個々のリモート、自動化に終始しているのではなくて、例えば何台、何十台という連携をさせて、全体の効率化を図るということをやっていかないと、アフターコロナやこれからのクラウド社会に対してはなかなか対応できないのではないかと感じました。
一部、2機関ほど、3台か5台の装置を、自動化・遠隔化を連携してやらせるということに取り組んでいたので、それは今後の参考になるのではないかなと思います。
それから、今後に向けては、今言ったことは大体、全体なのですけれども、NMRの遠隔化・自動化という提案が非常に多かったのですね。だから、前からこれは話をしているのですけれども、NMRプラットフォームを全国展開して、一元的なプラットフォーム化で遠隔化・自動化連携を行って、日本全体の効率化を図る、あるいは研究の質の向上を図るということをやっていく必要があるなと。
その中で、コアファシリティは、あまり詳しく読み切れていないところもあるのですけれども、それを見ると、エコクラウドというか、クラウドプラットフォームというのがどこまで理解できていて、どこまで取り組んで、どういうふうに展開していけば良いのかということが、必ずしも十分ではないなという気が、ちょっと散見されるので、例えば京大はやっているのですけれども、エコクラウドの中心に業務コンピューターシステムを、エコクラウドに替えて、オンタイムにうまくつなげて、ダブルセキュリティを取るような形で、非常に効率の良いシステムをつくり上げてきているので、そういうものとの連携を図っていくなど何かをしないと、個々のものの効率化に終始しているだけでは世界の標準化にはついていけないだろうと思うので、そういうことを今後期待したいと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、続いて、田沼委員、お願いできますでしょうか。
【田沼委員】 田沼です。
補正予算に関しての印象は、第1番に思ったのは、即効性についての評価は非常に難しいと感じました。価格の問題もあり、納期は結構問題になると思いました。
あと、全体的な印象としては、各装置の自動化と遠隔操作のバランスがすごく大事なので、バランスの良いところ、なおかつ、あとは実際のオペレーションではどうしても支援スタッフの手が必要になるので、支援スタッフを含めたバランスの良いところが選ばれたと感じています。
特に即効性を意識しますと、どうしても遠隔操作よりも自動化のほうに重点があって、それを支えるスタッフのサポートが良いところの点数が上がったと考えています。それでもまだ支援スタッフの数は少なくて、本当にこれを即効的に回すのであれば、当面は支援スタッフが大事かなと感じました。
あと、佐藤先生がおっしゃったように、その先を考えるのであれば、もうちょっとクラウド、ネットワーク化を意識して、装置は普通につながっているというような体制をつくって、そこに対して、AIとか、それを駆使するような高度な支援スタッフをどうやって組み込んでいくかが将来の課題だと感じました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、中村委員、お願いいたします。
【中村委員】 中村でございます。
今回、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、いずれの研究機関、大学におきましても、研究活動再開のための環境整備というのは必要で、重要なものであったということは、応募数の多さから分かったわけですけれども、今回のポイントが、共用研究設備・機器が対象であったということで、この応募におきまして、共用体制自身がまずは課題、重要視されたところを上げたいと思っております。
その点で、これまで多角的に共用促進を図られてきた機関、それから、共用を支える技術職員の方々が主体的に活動されている機関が、共用をリードしているように感じております。今回の自動化・遠隔化の経験を、ぜひ次に、将来に向けて新しい形としてつなげていただければと思っております。以上でございます。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
それぞれ委員の皆様からコメントをいただきまして、いろいろなところが共通しているようなコメントではなかったかなと思います。私自身も、両方の審査を担当させていただいたのですけれども、まさに同じような感想を持っています。
少し重なるところがありますけれども、最初のコアファシリティについては、採択された大学については、これまでもいろいろな形で共用の取組をし、更にそれをステップアップするという形で、先ほど委員の方からもありましたけれども、次を狙った取組が、狙いとしてありましたので、そういう形で採択されたので、ぜひ他機関の見本になっていただきたいなと思いますし、残念ながら採択されなかった機関についても、それぞれ光る取組があったので、ぜひこれを広げていきたいと思いました。
ただ、この中には、予算が来てから、これから始めますというような申請もありましたので、もっとこの取組は広がっていかなければいけないのではないかなということで、ぜひ継続的に進めていければなと思います。
次の補正予算のことについては、緊急的にということで今回、予算措置がされて、90を超える機関に申請していただいたということは、どこもいろいろな形で困っていたと思うわけですけれども、一方では、こういうことがなくてもやっていなければいけなかったことも結構多かったと思います。
それは、これまでのいろいろな形の予算が足りないので、できていなかったという面もあるだろうし、そこのところがおろそかになっていたということもあるように思いますけれども、今回のことに限らず、これを大学として息を長く続けていかなければいけないことなので、大学だけでできるかどうか、あるいは、こういうことをもっと組織的にやる。
先ほど、佐藤委員も上げられましたように、情報ネットワークが整備されていない、そもそも基盤のところができていないというのが非常にネックになっていたと思いますので、こういうところで気づいたので、取組をもっと続けていく必要があるのかなと思いました。
以上が審査委員会の委員の皆様からのコメントですけれども、ここで、他の委員の皆様から、何か御意見等ありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。これからの取組のことについては、次の議題のところで皆さんにお伺いしたいと思いますので、特にコアファシリティ、補正予算関係で御意見、コメントがあれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ぜひ充実させた取組にしていただきたいということで、この議題はこれで終了させていただいて、次の議題に進みたいと思います。
それでは、議題の2番目ですけれども、今後取り組むべき施策の方向性についてに入ります。
今年の政策文書における研究基盤関係の記載と本日御議論いただきたい事項について、事務局より説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【黒川課長補佐】 お手元、資料17ページを御用意ください。資料2でございます。
今年の政策文書につきまして、研究基盤関係の記載が充実してきてございますので、御紹介をさせていただきます。こちらは、正式な閣議決定はおそらく今週か来週になっていくかと思いますけれども、素案ということで、現在公表されているものでございます。
まず、骨太の方針2020(素案)ということで、7月8日の経済財政諮問会議に提出されたものでございますけれども、「人」への投資の強化、「新たな日常」を支える生産性向上ということで、デジタル化等の課題への対応による社会変革の牽引、Society5.0を世界に先駆けて実現をするために、リーマンショック後の投資停滞を繰り返さないよう、新たな時代を切り拓き、真に社会と共にある科学技術・イノベーションを強力かつ戦略的に推進するということになってございまして、科学技術・イノベーションの加速というところの中で、最先端の基盤技術であるデジタル化・リモート化、それから、大型研究施設の戦略的推進、最大限の産学官共用、それから、民間投資の誘発効果の高い大型研究施設についての官民共同の仕組みでの推進、また、研究設備・機器等の計画的な共用の推進、研究のデジタル化・リモート化・スマート化の推進に向けた基盤の構築ということで、この部会で御議論いただいた内容のコアの部分というのがしっかりと盛り込まれているということでございます。
成長戦略フォローアップ(案)ですけれども、こちらは7月3日の未来投資会議に提出をされたものです。ここでは、新たに講ずべき具体的施策として、この部会でもお話しさせていただきました、研究設備・機器の共用化のガイドラインについて、2021年度までに策定をする。それによって各大学等による研究設備等の共用方針の策定・公表を促進する。それから、集約配置等による研究設備の整備・共用(コアファシリティの強化)等の促進ということで、コアファシリティということもしっかり文言として入ってございます。また、更に遠隔操作可能な実験装置の導入、共用研究設備のデジタル化・リモート化、先端的な大型研究施設・設備や研究機器の戦略的な活用ということも記載がございます。
さらに、科学技術政策全体につきましては、統合イノベーション戦略2020というものに、より詳細が書かれるわけなのですが、6月26日の統合イノベーション戦略推進会議というところで出されているようなものですけれども、そこの中には、まず、停滞する科学技術・イノベーション活動への支援、研究活動の維持ということで、先般の補正予算で取り組んだような内容とか、更にその先には、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進ということで、AI、ロボット技術を活用した実験の自動化などスマートラボの取組、それから、遠隔地からネットワークを介して研究インフラにアクセスし分析等を実施する取組の推進といったような形で、あとは、ネットワークとか計算資源の活用も含めた上で、研究開発環境と研究手法のデジタル転換を推進すると記載がございます。
また、各論でございますけれども、価値創造の源泉となる研究力の強化ということで、研究環境の充実の観点からも、技術職員等の功績を表彰するための文部科学大臣表彰を先般創設させていただきましたが、さらに、マネジメント人材、URAやエンジニアなどのキャリアパスの確立、それから、先ほど申しました、コアファシリティや共用プラットフォームに関する事項というのが、記載があるところでございます。
今日、御議論いただきたい事項としては、19ページの資料3になりますけれども、議題1でありましたこれまでの取組や、あるいは前回の部会で御議論いただきました、昨今顕在化した課題、今申し上げましたような政府全体の方針を踏まえまして、目指すべき方向性について更に議論を深めていただきつつ、特に、二つ目ですけれども、アフターコロナを見据えて、DXへの機運が高まる中、あるべき研究開発の姿、それから、その中で研究基盤の整備・共用の観点から取り組むべき事項について、御議論いただければと思ってございます。
前回の部会では、国内有数の研究設備・機器群(公共性が高い研究基盤)ということで、それをどう有効活用していくか、付加価値を上げていくか、研究効率の向上に向けてどうするかということで御意見をいただきましたけれども、さらに、マル1からマル3ということで、どのような研究設備・機器群を対象にして取組を進めていくべきか、プラットフォームとしてやっていく上で、求められる機能はどういうことがあるのか。また、本来的には研究開発法人とか大学共同利用機関、更には各大学で、自助努力で取り組んでいただく部分というのもあるかと思うのですけれども、そこでは難しい部分が、なぜアドオンとして、国として政策的・予算的な後押しが必要なものはどういうところがあるのか。ただ、予算も限られる中で、いろいろな資金の呼込みを図りながら、うまく研究と共用の良い循環を生んでいくには何をしていくのが良いのかということについて、更にアイデアをいただければと思ってございます。
下の図は、これまでの議論を模式化してきたものですけれども、今回は特に3Cの中の緑の部分について、更に御議論を深めていただくとともに、青の部分についても、1回目の採択を含めて、特に来年度以降を考えた上で、どういったことについて留意していく必要があるかということでも御意見をいただければと思います。
その際、オレンジの部分ですけれども、SHAREということで、2019年、2020年と2年間やってきましたけれども、これも本年度に事業の終わりが来ますので、ここにつきましては研究のデジタル化とトランスフォーメーションということで、緑の部分とか青の部分の来年度以降の予算ということに反映をしていければ良いのではないかと思っているところです。
20ページ、21ページは、前回の議論を簡単にまとめさせていただいたものになるのですけれども、前回の課題としましては、コロナの課題ということで、研究活動のストップ、3密・感染時のリスク、維持管理の継続はなかなか大変だ、利用料収入が途絶した場合の対応、遠隔化・自動化といっても機器の老朽化、設備投資が不足をしている、機器情報の把握はなかなかできていなかった、データのセキュリティ管理、ネットワークといったところに課題があるということで、この春には、その中でも、機関間連携によって、例えば運転を早期に再開したところに利用を移すといったバックアップを取るとか、測定者の来訪は受けない形で、サンプルを送ってもらう形で受託分析・測定代行をするとか、あるいは、学会、研究会、講習会といろいろな形でのオンライン化が進んできたということです。
改めて、コロナの状況下、いろいろな研究活動が一時的にストップした中で、共用設備というものはスタートアップやベンチャーの下支えにもなるし、1企業や1大学で持ちきれないものというのは、やはり安心して使えるような形にしていく必要があるのではないか。その際に、ローカルレベルで考えるのではなくて、国としての全体最適化も考えながら進めていく必要があるし、さらには、その運用が経済的に回るようなモデルというのをつくっていく必要があるのではないかという御意見をいただいていたかと思います。
そういったことで、一つの中長期的なアフターコロナを見据えた中長期的な対応ということで、遠隔化・自動化につきましては、左側にありますような有効活用・付加価値向上、研究効率の向上、世界を見据えた対応、情報側のプラットフォーム、研究データの共有、それから、効果についてしっかり見える化をして、世に訴えていく必要があるということをいただきまして、その際、DXをやっていくに当たっては、やはり情報基盤との関係というのが出てくるので、大容量のデータ転送・セキュリティの関係、あるいは、産学連携に当たっての情報管理のルール化、クラウドによるセキュリティ関係への対応、遠隔保守をする場合の装置情報の扱い、さらには、今までにないような技術開発・サービスというものも必要ではないかということがあったかと思いますので、まとめさせていただいております。
22ページ以降は参考ですけれども、今、走っている共用プラットフォームの事業で、特に23ページは、前回の議論の中でも、国全体の最適化を考える上で、全国にどういう研究設備があるのかということを並べられないかという御指摘をいただきまして、いろいろな設備をやるのはなかなか難しいので、とにかく一つのモデルの事例として、光・量子ビーム関連施設について、当課の量子研究推進室のほうで、各機関にヒアリング等も行いながらまとめた図でございます。
後ほど、NMRについては、木川先生の資料の中で出てくるような状況になってございます。私からの説明は以上でございます。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。それでは、議論に入っていきたいと思いますが、木川委員から資料の提出がございますので、そちらの説明をまずお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
【木川委員】 木川です。よろしくお願いします。
今回のいろいろな状況を見ていて、特にNMR共用プラットフォームについて、今後の方向性、今までとかなり世界が違ってきましたので、これは本当に私案ですけれど、ちょっと議論のたたき台、たたかれ台として、お話しさせていただきたいと思います。いろいろと聞きながら、また、これを基に議論を膨らませていただければと思います。
NMR共用プラットフォーム、ここでも何度かお話ししましたけれども、これまでの成果をごく簡単に、5項目についてお知らせいたします。
まず、連携体制の構築ということで、NMR-PFポータルサイトからアクセスすれば、そこに依頼や相談が来ると4機関で対応できるとして、つくりました。
リスク分散として、4機関は仲良く運営を始めていったところで、皆さん覚えておられると思いますけれど、2018年の北海道胆振東部地震、これは北海道全域の電源がブラックアウトして、北海道大学のNMR装置は全く駄目になってしまいました。このときに、教育、研究、更に共用、全て、ちょうどいろいろな課題をこなさなければいけないものがあるということで、特に横浜地区、横浜市大と理研がマシンタイムを提供することによって、何とか、全部ではないですけれども、継続する体制が整ったのが、ちょうどリスク分散が非常にうまくいったということがありました。これは、後の話題では、実は世の中、そううまくいかなかったという話もさせていただきます。
利用成果・分野ですけれども、利用の成果、論文も着実に出るようになっています。それから、利用料収入も、コンスタントに得られる体制ができました。
もともとこの4機関は、生物系の利用をベースに構築されてきたものが、共用で多分野に広がるという形になっていたわけですが、実際にこれを見ていただくと、生命科学だけではなくて、利用に関してはいろいろな分野からの利用が進んでいるということです。
機器を単に置いただけではなくて、機器や関連する技術開発との連携も進めました。企業と製品を出したり、JSTの未来社会創造事業とか先端計測などの機器開発のプログラムにも各機関が参加したりしています。それから、企業との連携研究組織というのも、理研と大阪大学では、日本電子さんとともに、いろいろな形態はありますけれども、つくってきたということもあります。そのような機器開発も同時にやる。
人材育成としては、産業界、アカデミアに人材を輩出し、産業界の人材をリカレントのような形で、受託研究や社会人大学院制度を使いながら再教育するということもやりました。北海道大学では電子配信教材を作って、それを配信するとともに、それとペアで、北海道大学の施設で実習をやるということで、非常に教育効果の高い、NMR分野の必要な技術を習うということを、教育プログラムとしてつくってきました。
昨今の遠隔利用に関しては、理研では今、一部テスト運用中で、特に内部の施設関係の人や我々ユーザーは、遠隔でも操作することが可能になってきています。横浜市立大学は既にシステムを導入して、製薬企業を中心に外部利用の実績もある。大阪大学も日本電子と連携して、ちょうどSHAREですかね、何かの形やそれ以外にもいろいろな形でテスト運用をしていることになっています。
これが今までの成果です。
さて、コロナ禍というか、少し前からの状況も含めて、最近、急激にいろいろな状況が変わってきたので、そこで顕在化した課題についてお話しさせていただきます。
まず、NMRの全国の施設はどこも財務状況が非常に悪化しています。これは、運営費交付金等の基盤的経費が目減りしていて、特に高磁場装置の維持が苦しくなってきたということもあるのですが、特に地政学的なリスクで、中東の情勢が不安定だとか、アメリカ側のいろいろなヘリウム油田の問題、特にシェールガスが発展したことによって、ヘリウムが取れなくなったということもありまして、冷媒の価格が非常に高騰しています。入手も困難な上に高騰しています。これは今、かなり苦しい状況です。
そこで、更にコロナが来て、活動自粛をして、研究もできないだけではなくて、施設を共用した利用収入というのが全く得られない。特に4、5、6月は得られない状況で、もともとそれを当てに運用しようとしていたところの収入減、非常にボディーブローのように効いています。これがまず状況です。
NMRプラットフォームに関しては、4拠点体制ということでやっていたわけですが、これもいろいろな分野に頑張って広げてきましたけれども、まだまだ対応できる課題には限界があります。それは、装置の仕様の問題もそうですし、蓄えている技術・ノウハウ、それから、支援スタッフの専門性もそうです。
それから、これは前からいろいろ言われていたことですけれど、行きにくいよね、アクセスしにくいよね、だからなかなか使えないんだよねということをよく言われます。
さらに、今回のコロナで言えば、皆さん見ていただくとおり、どの機関のある地域も緊急事態宣言の解除が非常に遅かった。さらに、関東地区はまた危ない状況になっていることで、そういう意味でのリスク分散、ないしは、いろいろな機能代替・補完というのが十分にできない体制であったということが分かってしまったということです。
人材教育に関しては、先ほどのハンズオン講習ですが、北大まで行かなければいけないというのが、ある意味で、一つの課題です。
もう一つ、特に働き方改革と言われていて、その中で、さらにコロナでいろいろな移動制限がかかる中で、特に人の働き方、これは利用者側もそうですし、施設側のスタッフもそうですけれど、そういうものに対して十分な制度、体制が整っていないという感じも出てきました。
これは少し話題が違いますが、実は遠隔利用とかにも関係するのですけれども、セキュリティポリシー、データポリシーへの対応というのは、もう一回見直さなければいけない。
そういう中で、先ほど佐藤先生から、全国のNMRをちゃんとつなぎなさいというようなお話まで出ていますが、そういう中で、例えば利用者もスタッフも、遠隔操作の場合のセキュリティポリシーというのはどうあるべきか。これは実は、ちゃんと個々の機関ないしは利用者側のしっかりとしたポリシーとの整合性を取った制度設計というのは、まだ十分できていないと認識しています。
もちろん、データ共有・オープン化の流れに対して、プラットフォームは何ができるのか。これは、データは誰のものかという議論がありまして、前々回の部会で、私がOECDのワーキンググループに参加した報告をさせていただいたのですが、ここでもやはり様々な意見があって、まだ公開されていませんけれども、いろいろな議論がある。こういう見方も、こういう見方もあるというまとめ方以上の方針は、あまり出ていないような感じがしています。
このような顕在化した課題で、もう一回、今後どういう方策で取り組むか。
共用体制の更なる強化というのは、これは当然のことです。今さら議論する必要もないのですが、本当にやらないと、コミュニティとしても、国の研究開発としても、非常に打撃を受けるだろう。これは本当に頑張らないと。その中で、我々プラットフォームとして、一つは、拠点をもっと全国的に強化していくということ。そこには当然、遠隔操作・自動化という技術を入れる。先ほど野村先生とかからも御指摘がありましたとおり、いろいろな、まだ操作だけができる。測定器を操作できる状態だけということですが、それをもっと進めなければいけない。もちろん、人材の育成の強化も引き続きやろう。セキュリティポリシー、データポリシーとの関係、そして利活用の促進もやらなければいけないところは、我々の取るべき方策だということを、私自身考えました。
では、次にどうすべきか。具体的に示させていただきます。
まず、拠点の全国展開ですが、先ほどもいろいろな話題に出てきましたが、我々の事業拠点というのをもう一回、日本地図上で見ていただくと、北海道に1拠点、関東、特に横浜地区に2拠点、関西、大阪に1拠点という4拠点体制になっています。協力機関としては日本電子、ブルカーに協力をいただいておりますが、実際の活動拠点は4拠点です。
それに対して、共用されている代表的な高磁場を入れます。高磁場はここで700MHz以上とさせていただいていますが、そうすると、意外と全国にこのように導入されています。この中では、先ほどの遠隔化に補正予算を入れたものや、あと、コアファシリティも入っているでしょうか。このようになりますので、こういった機関だけではないと思いますが、こういった機関を中心にうまく結びついていくことによって、全国の拠点強化ができるのではないかと考えています。
そのメリットですけれども、資料の左下を御覧ください。
スケールメリットはありますけれども、これだけではなくて、リスク分散を強化する。それから、利用者がアクセスしにくいということは、こういった拠点があることによって、プラットフォームへのアクセスがしやすくなります。それから、各機関いろいろと各拠点、我々とは違った得意分野、専門分野をお持ちですから、こういったところが入ることによって、プラットフォーム全体としての利用分野拡大、充実ということができます。さらに、技術・ノウハウを共有したり、交流したり、これを更に普及させるという活動も、コミュニティに対して普及させるというのは非常に強化できると思います。人材の交流や流通も、これによって活性化するし、先ほどいろいろと話に出ていました、いろいろな取組との接点も拡大できるということになると思います。
特に遠隔利用が入ると、右側に、ちょっと思いついたイメージを出しましたけれども、ある地方のお酒メーカーが、NMRで測るといろいろな成分が分かるらしいということを聞きつけてきて、地区のNMR拠点に相談に行った。そうすると、これは非常に高性能の装置で測ると分かるらしいですねということになったので、中核拠点の900、950MHzを使って測定をするということになる。
ただし、お酒の分析は、この地区拠点の人たちはしたことがないので、お酒の分析で非常に経験豊富な、ある地域の拠点のスタッフが遠隔でデータを見ながら、こういう測定をしましょうとかアドバイスをしながら実験をする。かつ、これらの人たちは中核拠点の900、950MHzを操作したことがないので、そういうのは中核拠点のスタッフが、これもまた、家から遠隔操作をしながらやる。
こうやって様々なノウハウ、それから、得意分野が一緒になって、一つの課題を最高性能の装置で解くというような利用イメージが、今まではなかなか難しかったですが、これからはできるようになるのではないかと考えます。
ほかに、遠隔操作とか、何をもっとしなければいけないか。
一つは、セキュリティポリシー、制度としっかり整合性を取らなければいけない。今まで遠隔操作というのは前提が、いろいろな制度、人事制度もそうです、セキュリティポリシーもそうです、そういうものを全部ちゃんとやらないと、きちんとした活動にはならないので、これはやらなければいけない。
それから、先ほど言った、多点から同時接続して操作するというのをちゃんと問題なくやれるようにしなければいけない。
それから、何度も言いますが、野村先生の御指摘のとおり、実験の自動化にはなっていなくて、ただ機器の操作の自動化だと思います。特に、僕の専門分野のような生命系の試料というのは、測る直前までちゃんと安定に保管をして、装置に入れて、その途端に実験をして、なるべく早くデータを取らなければいけないということで、今の遠隔操作の技術だけではこれはなかなか難しい。
そのような試料の状態に即して柔軟な対応をしながら、しかも遠隔でやるという技術をちゃんとつくり上げなければいけない。
そして、単に操作だけではなくて、実際に機器を管理している人は、機器が置かれている環境の状態なども監視しながら操作をしていますので、そういった全体の状態監視、障害予知の技術開発も必要。
人材育成は、先ほど言いましたとおり、ハンズオン講習を上手に遠隔でやると、例えば学生さん、若手の研究者が最高性能装置に触れて、実際に機会が提供できる、わざわざ施設に行かなくてもできる。あとは、日本で何人しかできないような非常に特殊な難しい測定というのも、直接その人が指導できるようになるということがあります。
それから、施設のスタッフのほうでは、遠隔利用を確保することによって、施設に、ある意味、縛られない。多様な働き方へ対応できる。Work from HomeとかWork from Anywhereという働き方へも対応できることによって、これは人材確保にとって非常に大事なツールになると思います。
というのは、我々に関わっているある人は、結婚とともに、パートナーの転職に従って、我々のNMR施設のない地域に移転して、我々のところを辞めてしまったということがあるのですけれど、これが遠隔であれば、その後も働き続けていられた。非常に貴重な人材を失ったというのを私はすごく後悔していまして、こういう仕組みがあれば何とかできるということです。
ほかにも、研究インターンシップ制度を使った博士課程人材の育成などもやるべきことです。
これはデータ保護強化と利活用ということで、遠隔操作にも対応した、ちゃんとデータ保護のポリシーをつくらないと、知らないところからデータが漏れてしまう。それから、利用者も安心して利用できない。これは大事な点です。
利活用に関しては、何から何までオープンというのは、利用者に直接インタビューすると非常に抵抗が強い。ただ、そうはいっても、データを使うと、今まで見えなかったところが見えてくることも確かです。特に情報科学の人たちに聞くと、いろいろなデータを使って、本当にいろいろと進むねということを言われます、材料科学などは特に。ですから、ある程度、利益を共有したコミュニティ、コンソーシアムといったところで、データを共有しながら利活用していくという仕組み、そこにプラットフォームが様々なデータを提供するという形が一つ、データ利活用がうまく進むので、まず取るべきやり方なのかなと思います。
最先端計測技術を標準化していくというのも、これは、特に国際競争上、非常に大事ですね。こういうことをやっています。
ちょっと雑多になりましたけれども、お時間をいただき、ありがとうございました。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、皆さんと議論を進めたいと思いますけれども、先ほど事務局のほうから、19ページのところにありました3点のポイントについて、皆様からいろいろな御意見をいただきたいということでございましたし、20ページ、21ページは、これまでの議論のサマリーがありました。
それで、ウェブで会議をしていますので、手を挙げた方から順番に当てていくというのはちょっと難しいかなと思いまして、委員の方々に名簿順に御意見をいただくようにしたいと思いますので、まず、順番にお願いしたいと思っています。
その前に、木川先生から今、話題提供がありましたので、この話題提供に限って御質問、御意見があれば、それについて、少し時間を取りたいと思いますが、いかがでしょうか。
お手が挙がりましたので、飯島先生、西島先生の順番でお願いいたします。
【飯島委員】 今、木川先生から御指摘があった、すごく大事な点があると思ったのですけれども、プラットフォーム技術で、前進させようとすると、データの共有、それから、標準化というのは非常に大きいと思うんですね。
標準化と、また、技術の先鋭化をすると、どうしてもノウハウとデータというのが全部ついてくると思うのですけれども、それをどういうふうにシェアするか、一言ではなかなか決められない、難しい権利の問題もあり、国としてどう考えるかという考え方もあるし、プラットフォームのグループとして、チームとして考えるという考え方もあると思うのですけれど、NMRの場合だとブルカーの協力も得ているわけで、そこはなかなか切り分けが難しいかなと思うんですけれども、何かシステムをお考えでしょうか。
【木川委員】 日本電子さんとも一緒にやらせていただいている部分もありまして、これまでですとNMR業界は、どちらかといえば、ある程度の、本当に製品化されるような新技術だと、それぞれが抱え込んでしまう部分があるのですが、例えば測定法の工夫なんかは、どちらかといえばオープンに、共有するような形で進んできました。
例えば、スタッフがある試料に関して、こういう測定法をしたらうまくいったといったときに、その試料に関する情報は共有できませんけれども、測定方法ないしはそれがうまくいったと、例も出せないかもしれないけれど、そういうノウハウ部分に関しては、コミュニティでシェアできる部分が大きいと思います。
ただ、ちょっと例外的な例というのは幾つかありまして、実際、特許を取って、さらに、あるメーカーと結びついてしまったがために、他のメーカーさんが、メーカーとしては提供できない測定法というのは存在することは確かで、その逆もあると思います。
ただ、それもコミュニティベースで、論文を読んで自分で実験する分には何の制約も受けませんので、そういう意味では、コミュニティの中で、ですから、プラットフォームがコミュニティとうまく共有して、いろいろな課題の中で、知恵をみんなが出し合うという仕組みをうまくつくり上げれば、いろいろなノウハウのエクスチェンジというのはできるのではないかと思います。
【飯島委員】 でも、これはきっと技術によって、いろいろ立ち位置が違うということになるのですかね。
【木川委員】 はい。
【岸本部会長】 どうもありがとうございます。それでは、西島先生、お願いいたします。
【西島委員】 木川先生の資料は大変よくまとまっていると思います。
私も少しNMRに関係しているので、これは希望ですけれども、先ほど佐藤先生から、今回の補正予算関係で、NMRに関わる遠隔化・自動化というのが結構多かったとの印象です。しかし、恐らく、実際に短期間で遠隔化・自動化に必要な機器を設置しても、実際に動かすときのノウハウということに関しては、理研、横浜市大、特に横浜市大では、秘密保持・セキュリティなどいろいろなことで要求が厳しい製薬企業が利用していることから、一定のクリアとかノウハウを持っていると思います。その実績と経験を上手く活かすという意味でも、ぜひ、全国展開でやっていくのは意味があるのではないかと思います。
特にたんぱく質の構造解析というのは、静的な解析では放射光とかクライオ電顕が随分貢献していますけれども、全く同じように、動的な解析に関してはNMRが注目されています。静的および動的に関わる先端施設群が全国展開して、ユーザーのニーズに応えていくということをこれから進めていったほうがいいのではないかなと考えています。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、佐藤先生、お願いします。
【佐藤委員】 木川先生、どうもありがとうございます。非常にまとまった、今までの効果がたくさん出ていて、良い取組をやっているのだなというのを改めて見させてもらいました。
ちょっと聞きたかったのは、結局、全国展開のNMRプラットフォームをつくるという、御三家の一つがNMRですから、それを使って、日本なりの企業のビジネス効果というのは、今まではどのぐらい出ていて、これから劇的にどのぐらい効果が出るのかということを打ち出さないと、共用をやったことによって、アフターコロナでどれだけの効果を出せるようになるのかということが示せないと、やはり難しいのですよ。
そこのところをやるのが必要だなと思ったのですけれども、今までやってきたことで、利用した企業のビジネス効果は、何か試算、統計を取っていますか。
【木川委員】 まだ取っていないです。
【佐藤委員】 取っていない。それはやはり、いろいろ利用していただいていることもあるので、企業側から、ある程度、予測で良いと思うのですが、出してもらったほうがいいなという気がしますね。
あと、AI化とかブロックチェーンみたいなもので、全国展開するのでしたら、セキュリティと、それから、AIで新しい産業だとか、いろいろなものに展開できるはずだから、それをどういうふうに展開していくかということは、やはりAI化を進めていかないと、人海戦術だけでは絶対無理なので、そこの戦略を考えているかどうか、それをぜひお願いしたいなと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。御意見はまだあると思いますが、今、お二人の委員から手が挙がっているので、この件については、あとお二人の委員からコメントをいただきたいと思います。
まず、藤井先生、その後、野村先生にお願いいたします。
【藤井部会長代理】 それでは、木川さんの話の件について、お伺いします。
ヘリウムの件が非常に気になっていまして、ヘリウムは本当にオール・ジャパンで、きちんと回収するということをやらないといけない。要するに、大気開放をどれだけ減らすかということを本気で考えないと、かなりまずい状況になると思います。
この辺りは、特に共用のファシリティであれば、上手にお互いに協力し合って、やれるような気がするのですけれども、何か共通でされていることはあるのでしょうか。
【木川委員】 今のところ、横浜市立大学と理研は、実は液化施設を共有していまして、そういう意味で、双方の液化を、それは施設の所属としては理研ですけれども、両方の施設のヘリウム液化を担う形で、近接した施設では共有をするようにしています。
それから、確かに液化は非常に大事でして、そういう意味では、高磁場装置とペアになる液化施設があるところというのは、これから強い効果を持つと思います。
【藤井部会長代理】 要は、回収をちゃんとして、逃がさないで、ちゃんと使い続けるというのは大事だと思うのですけれども、そういう意味では、NMRだけでなく、アカデミアだけでもなく、本来、国全体で気にしておかなければならない課題として、指摘させていただきました。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、野村先生、お願いします。
【野村委員】 野村です。
一つは、26ページの装置の仕様のところで、プローブとかアクセサリーというお話があって、いろいろな測定環境を整備していくと、ユーザーの方は増えてくるのですけれども、際限ないサポートはやりきれないというんですかね。我々も長いこと放射光の共同利用をしながら、基本的には、アタッチメントのあたりはユーザーの人ということで、これまでは来たわけです。
ただ、ヨーロッパなどはエンジニアがいて、そういうところも全部、設計、製作までやるようなこともやっていて、この辺を、ヒューマンリソースとか財源を含めて、ユーザーの責務の部分と施設側、共用側の責務の部分というのをどう切り分けていくかを考えなくてはいけないかなと思っています。
あと、ヨーロッパの放射光施設などを見ていると、ユーザーポリシーとかデータポリシーというのをかなりつくってオープンにしているので、我々もそういうものを見習っていかなくてはいけないかなと思っています。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。
今日の木川先生の資料の中で、28ページ「その他の方策」は、NMRだけにかかわらず、広く関係してくる共通的なことを御指摘いただいたのかなと思いますので、この辺りをもう少し共通化して、次のプラットフォーム事業だとか整備事業につなげていけると良いかなということで、これの一般化というのが一つあるかなと思いましたのと、先ほど御指摘があったヘリウムの件ですけれども、これがないとそもそも動かなくなる、大事な物質ですよね。
他の共通のいろいろなファシリティにとってみても、ヘリウムでなくても、そういうものもあるのではないかなと、直感的に思っているだけなので、調べてみないと分からないところでありますけれど、そういうことについても、プラットフォームとして共有化していくと、日本としてきちんと回るとかということで、その装置を動かすに当たって、なくてはならないものが何かということも見極めていくということで一般化すると、今日のお話がいろいろなところにつながるかなと私自身は感じましたので、本当に良い資料をありがとうございました。
まだ御意見はあるかと思いますけれども、できるだけいろいろな御意見をいただいて、次につなげていきたいということで、19ページのところを中心に御発言いただければと思いますが、先ほど申し上げましたように、順番に御発言いただければということで、まず最初、藤井先生から始めていただいて、その後、名簿順になっていますと、網塚先生、飯島先生という順番になりますので、まず一巡して、その上で、また御意見があったらお聞きするという形でいきたいと思います。
では、藤井先生からお願いいたします。
【藤井部会長代理】 先ほどの木川さんのお話も聞いた上で、今回の議論が、19ページのところもそうですが、DXへの機運が高まって、リモート化、あるいは自動化をやらなくてはというのは分かってきたわけです。ユーザー側がどうなっているかという、先ほど、どれぐらい企業はビジネス的に収益が上がったかという議論がありましたが、ユーザーの分布がどのような感じになっていて、データセキュリティの件も、恐らくファシリティを持っている側とユーザーの間、あるいはユーザー間で、どういうルールをつくっておくかということも結構大事になると思います。もちろんデータが外に漏れないというのは当然ですけれども、例えばノウハウについては、ユーザーが持ち込むノウハウもあり得るわけで、ユーザーにファシリティが協力することによって、本来であればファシリティがどんどんノウハウを蓄積していって、良いものになっていくというのが理想的な形だと思うわけですね。
そういうことまで含めて考えますと、ユーザーとの関係をどういうふうに、あるいはユーザー間の関係をどういうふうに決めていくかというのが、一つ大事なことなのかなと考えるわけです。
ですので、その辺りの例えばユーザーの組織構造を、多分、何段階かに分かれると思うのですけれども、いわゆるコンソーシアム的な組織にするとか、あるいはワンタイムだけ使いに来るというのはもちろんありましょうし、そういった形でユーザーの組織化を意識して考えていく必要があるのかなと思います。
逆に言うと、ユーザー側が比較的リピーターで、常に使うのであれば、今度は遠隔化・自動化するときに、ユーザー側にもある一定のファシリティというか、セットアップを置いておけば、より高度なことがリモートでできるようになる可能性もあるわけですね、ユーザー側のインターフェースを少し高度なものにすれば。ですから、そういうことまで含めた検討をすべきではないかと考えました。私からは以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、網塚先生、お願いできますでしょうか。
【網塚委員】 網塚です。
まず、先ほどちょっと話に出ておりましたヘリウムのことについて、一言コメントさせていただきたいと思います。私も低温物理の実験でヘリウムを使っているコミュニティにおります。確かにヘリウム危機でもいろいろ困っているのですが、コロナウイルス対策ということでも、ヘリウムの補充に技術職員がローテーションを組めないなどの問題が起きてしまっています。
それで、北大もそうですけれども、大型の液化装置を1台どんと入れると、つまり、更新すると15億や20億かかるのですけれども、今、NMRとか、個々の装置に小型の再凝縮装置をつけることもできて、それが現在の価格だと2,000万から4,000万ぐらいですね。つけた後はそれなりに電気代がかかる。ただ、人手はかからなくなるので、大型の液化施設を持ち続けるのが良いのか、それとも小型の再凝縮装置を個々の設備につけていくのが良いのか、その辺のバランスを考えていくのも大事なことではないかと思いました。
続きまして、今回の課題ですけれども、全てにお答えできるかどうか分からないのですが、まずは、どのような研究設備・機器群を対象にというところにつきましては、これまで全国的なネットワークとして強化してきた研究基盤につきましては、継続して強化して発展させるべきものもあると思うのですが、まだ出ていない、新規にプラットフォーム化するというものも、次の構想で出てくると思います。どれかというのはなかなか申し上げられませんが、そういった新規の企画提案が出しにくくならないような、すでにベースがあるもの以外は立てないという感じではなく、広く募集する形で進めるのが良いのではないかと思いました。
それから、2番の自助努力云々というところと、研究と共用の好循環を生むというところですけれども、ただいまの藤井先生の御発言にもありましたユーザー対応のことも含めて、アフターコロナの社会の対応、それから、DX等々で、プラットフォームとして行うことが複雑になってきているように思います。限られた予算を投資して効果を生む部分としては、やはり人、人材育成なのかなと思うところがあります。
特に、プラットフォーム全体の機能と、全体の運営状況とか課題を見据えて、プラットフォーム全体を見渡して、ユーザーの希望に応じたサービスを都度、差配するとか、あるいは新規ユーザーを開拓したり、新分野に切り込んだり、民間企業との連携をつくっていくというようなことを専門に行う有能な支援スタッフを育成したり、配置したりするということが重要なのかなと思いました。組織連携は非常に着実に進んでいて、成果も出ていると思うのですけれども、もう少しそこの部分が強化されると、更に良くなるのではないかと思った次第です。
要するにコンサルティングとかコーディネート機能ということになると思います。既に各プラットフォームで工夫されているとは思うのですが、例えば大学のマネジメントや、本来の研究業務で忙しい教員の方が担当していたり、あるいは現場の研究者や技術職員の方が、言い方は悪いですけど、片手間にされていることも多いのではないかと想像いたします。こういった方々は、現場にユーザーが割り振られたときに、きめ細やかな対応を行うことに専念して、専任のプラットフォーム全体のコンサルタントとかコーディネーターがあると良いのではないかと思う次第です。
ただ、プロジェクトでそういう方を雇用すると、終了後はどうするのかという問題があるので、基幹大学になったところは、後年度負担が発生しないようにと組織内の誰かを割り振るなどして運営しているのではないかと思います。それはある程度仕方ないことなのですが、理想を言えば、各機関の自助努力ということではなく、全国的な観点で、こういった人を育てるような仕組みができると良いのではないかと思います。理想を言えば、このような全国的な共用プロジェクトを渡り歩いていけるような専門的な研究支援の職種というのか、そういった人材をプログラム全体として育成できる方策があると良いと思う次第です。私からは以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。次は、飯島さん、よろしいでしょうか。
【飯島委員】 全部にはお答えできないですけれども、1番でいいますと、これは先ほど、イノベーションの推進というのが、前のページかその前のページにあったと思うのですけれども、やっぱり国として、我々は、どの技術か私には決められませんが、得意分野というのが必要だと思います。今、その得意分野として上げられているのが、プラットフォーム技術というところになっていると思うのですけれども、得意分野にはちょっと過大というか、多過ぎると思われるぐらいに投資していかないといけないのではないのかなと思います。
新しいものは順繰りに育てるとして、今あるプラットフォーム技術で、かなりな線もいけるのではないかと思うので、その中で、どれだけその技術を先鋭化できるかというところも大事だと思います。今までプラットフォームは、共用ということが非常に強調されていましたけれども、本当は技術の先鋭化と共用化というのは、ずっとそう思っているのですけれども、必ずしも同じ方向を向いていないと思うので、プラットフォームがせっかくあるので、ここで技術の先鋭化というところにももっと投資していただけたら良いなと思います。
ですから、プラットフォームが今後、国内の技術のリーダー的な存在になると思うので、そういう認識で育てるということを国にはやってほしいなと思います。できれば世界的な標準などが取れれば、3番のマル3のような資金の呼び込みというのは、その後に入ってくるものではないかと思います。
佐藤先生がおっしゃったように、実績としてこんなに役に立ったという何かが、今のプラットフォームには必要かもしれないと思っています。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、江端先生、江龍先生、金澤先生の順番でお願いしたいと思います。それでは、江端先生、お願いします。
【江端委員】 東京工業大学の江端です。
ここまでの議論で、先ほどの共用プラットフォームの件も含めて、具体的なアクションについては話が出ていたかと思います。これまであまり話に出てこなかった点について、簡単にコメントさせていただきます。
まず、1や2にも関わってきますが、これまでの政策では、ワンストップサービスや統括部局という表現で、様々な情報を一つに集約する、人を集約する、装置を集約する、といった形で全てのリソースをまとめていくという観点での政策が打たれていたかと思います。
その際に集まってくる情報というのは、経営などの観点から、非常に重要なものになるかと思いますが、その情報をうまく使えていない現状があります。EBPMという観点からも、なかなかそういったデータ、エビデンスをベースにした政策の企画立案につながっていないのではないかと思いますので、今回、このような形で政策を打っていく場合に、佐藤先生からありましたクラウドプラットフォームという視点も重要ですし、DX推進の話も加速しておりますので、集約したデータをいかに生かしていくのか、各機関として、国として、有効活用すべき点、それをいかに収集して政策に反映していくかというフローを、しっかりと作っていただきたいと思っています。
実際に予算的な後押しとしても、エビデンスベースでの議論が必要とされることがかなりあるかと思いますし、この共用プラットフォーム、コアファシリティ、SHAREの話にも共通する課題だと思っておりますので、例えば公募要領の中に記載してみる等、御検討いただければと思います。ただ一方で、そういったデータがせっかくあるにも関わらず有効活用されていないのは、非常にもったいないことなので、ぜひともその点も含めて、次の政策の検討をしていただきたいと思います。私からは以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、続いて、江龍先生、お願いいたします。
【江龍委員】 名古屋工業大学、江龍でございます。
かなり多くのお話が出ているわけですけれども、私のところの小さい地方の単科大学という観点で、どういうふうにこれから、特にファシリティという意味において、装置を共用化していく。そして、19ページの3の、特に自助努力では何が難しいか、あるいは、予算が限られる中という観点において、名工大としてのこれからの取組ということをお話しさせていただきたいと思います。
コロナ禍になって、一つ、良かったということはないですけれども、大学のネットワークのセキュリティを非常に高めて、学生に授業を展開できるようになりました。そのネットワークを使って、装置につながっているデータベースを、先生方が自分のカードでですね、ハードキーを使わないと名工大はアクセスできないのですけれども、そういったところに装置群をつなぐことで、自宅からでもデータ解析はできるようになった。しかもデータはダウンロードできないとか、そのような仕組みをうまくつくり込むことができました。
それを、共同研究先等々に御紹介させていただきますと、逆に、それではまだ足りないんだ、もっとここまでやってくれというような御意見もいただけるようなところまでやってきました。今までは、大学なんか何をやっても無駄だからというようなところが、今回のこういったことがあったおかげで、名工大がそこまでやっているんだったら、ここまでやってくれというので、集中投資ができるような情報をまず得ることが、地域産業界から得られるようになりました。
もう一つ、予算という点において、例えばS、SSという論文群をつくっていらっしゃるような先生方が、使っている装置を後押ししようという気色が過去あったわけですけれども、そうではなくて、本当にキーとなっている装置群とは何だろうね、そこを厚くしていかないといけないのではないのとなったときに出てきたのが、SEM、TEM、NMRなのですよ。そこをきっちりシステムとしてつくり込んでいく。
先ほど木川先生のお話にもありましたように、全国で上手につながっていくというときに、何をつなげたらいいのかというのを、各組織で絞り込んで、フォーカスしていただいて、それをまとめていくことで研究力の底上げというのはつながるのではないかなと今、考えているところでございます。
また、そういったところを後押しできるような人材ですね。学内において、5年たったから辞めてくださいのような、そうではなくて、ちゃんとした資本計画をつくって、人員を今回、獲得することに組織として動き始めました。そのようなことも、各組織、特に大学というようなところでは大切ではないかと思っている次第です。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。それでは、金澤先生、お願いできますでしょうか。
【金澤委員】 慶應の金澤でございます。
私は、研究のDX推進というところでお話しさせていただきたいと思います。大学の教員の立場では、これまでも申し上げているように、人材の育成が重要であり、皆様のお話を伺っても、やはりキーとなるのは人材だと思いました。
ちょうど新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、我々教員のITリテラシーが低いことが顕在化しましたけれども、一方で、このような時期に大学に入学した学生は、講義をはじめ、かなり高度な情報のやり取りを、様々なソフトを駆使して行っています。必要性・重要性も十分感じていると思いますので、ITリテラシーの高い人材を育成しやすいという、ちょうどこの機会を利用すべきと思います。
私の専門分野では、国際学会もオンラインで開催されるようなことがあり、日程とか移動の関係で参加できなかったような学会にも、オンラインで参加できるというような、メリットもありました。
すなわち、今は発想の転換が必要な時期であり、この機会をネガティブに捉えずに、将来に備えて、IT化が遅れていた研究設備や機器を更に使い勝手が良いように変えていくことが重要ということになると思います。
私、常々思っていることでございますけれども、日本の機器の技術は世界でもトップクラスですが、グローバルに展開していくためにはソフト面の使い勝手が重要で、できるだけユーザー目線で考えて、そして、皆さんがおっしゃるように、データとデジタル技術を更に活用して、臨んでいかなければならないと考えています。
発想の転換と申しましたけれども、例えばスマホで操作可能な分析装置ができても良いはずです。この部会では、これまでプラットフォーム事業を推進してきましたが、今後更に利用拡大を推進していかなくてはならないということであると思いますし、それがひいては日本の科学研究力を向上させることにつながると考えます。具体的に、どのように利用を拡大していくかということですが、これまで使っていなかった研究者にその装置の利用について検討してもらうということが結構難しいと思うのですが、それこそAIを使って、研究論文からその研究に相応しい装置をリコメンドするようなシステムの構築もできるのではないかと思います。
木川先生のお話を伺って、装置を利用する際、その装置をあまり得意でない方が使用する場合には、企業の方でも、我々研究者でも、やはり窓口が大切であると思いました。先ほどお話にもありましたように、拠点スタッフによる支援というものが必要だと思います。
それから、やはり遠隔を進めることによって、地域を越えた人材利用、先ほど、ベテランの方が退職されてしまったということでしたけれども、人材利用も可能であると考えます。
その際にポイントとなるのは、セキュリティであると思います。私自身も難しくて、苦労していますけれども、ウェブを介した大容量の情報のやり取りのセキュリティを強化することもますます重要になると考えます。さらに、サーバー内でのデータのセキュリティ、暗号化という技術がどうなっているのかということ、それから、必ずヒューマンエラーの問題があると思います。例えば単純なヒューマンエラーで、メールの誤送信などもありますけれども、単純なものから大きなものまでヒューマンエラーを防止するようなシステム、セキュリティ対策が益々重要になると考えます。
最近では、我々教員もクラウドを使うということに、慣れてきましたけれども、やはりクラウドシステムをうまく利用していくということが重要だと考えております。雑駁なお話になってしまいましたけれども、以上でございます。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。それでは、木川先生、先ほどの御紹介として、19ページのことに関してコメントをいただければ、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【木川委員】 19ページで言うと、やはりデジタルトランスフォーメーションというか、いかにデジタルで物事を進めていくか。特に我々で言えば、実際、生物系の実験はウエットの実験、ないしは、いろいろな物事を自分の目で確かめながら何か見つけていくということと、遠隔化・自動化、デジタルトランスフォーメーションみたいな、どうやって結びつけるかというのが、次の非常に大事なことだなというのが、今回、全く家の中から出られなくなって、すごく思いました。これは本当に大事ですね。
今すぐできるとは思いませんけれど、それをやってかないと、次にこういうことが来たときでも、研究開発、特に観察とか、物を見ながらやる、セレンディピティーを生むみたいなところまで含めてやれるものをどうやるかというのは、本当にやっていかないといけないなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。続いて、菊池さん、佐藤先生、杉沢さん、高橋先生の順番でお願いしたいと思います。
だんだん時間も心配になってきたのですけれど、よろしくお願いします。
【菊池委員】 豊田中央研究所の菊池です。
今回、コロナの影響で自分たちが一番困ったことは、3Cで示された緑の部分とピンクの部分の共用設備だったのですが、結局、移動ができないということで、外部の設備、計測機器に依存していた研究が、原則的にはほとんど全部止まってしまいまして、民間のユーザーからすると、移動できなかったということで、実は自分たちの職員を拠点に派遣することもできなければ、そこの拠点からまた戻ってくることもできないという状況になりまして、これは、こういう事態に備えて別のやり方を考えなければいけなかったかなと思っています。
もし、ピンクや緑のそれなりの大型の施設を持っているところで、私たち企業がある程度継続的に頼れる技術員、もしくは研究員、そこの施設にずっと雇用されている技術員や研究員と何がしか、ある期間を区切ってでも、そういう人たちの時間を確保して、契約関係で仕事をしてもらえるという形になれば、こういう事態でも、また、コロナのような事態でなくとも、企業としては、実はそういう設備をもっと活用できる。それも、そんなに企業にとっては高額な費用負担にならない形で対応できるのではないのかなと、今回、思い知りました。
また、こういうことをやっていく上において、必要な試料を作るときの前処理の部分まで全部、施設側に頼ることは、あまり良い方策ではないなということで、前処理の部分はこちら側で全部用意して、必要とされる機器類に即応した試料を作って、その試料を基に、施設側の技術員なり研究者によって、分析したり解析してもらう方法のほうが、もしかしたら、もっと効率的だったのかなという議論が、コロナの影響で生じました。以上です。
【岸本部会長】 今のお話のポイントとして、技術職員の方と、ある種の秘密保持協定みたいなものを含めた形の雇用関係というのでしょうか、そういうものができるともっとやりやすいのではないかというふうに理解しましたが、そういうことでしょうか。
【菊池委員】 はい。そして、それに対して民間側が、ある程度の応分の負担をするということは、コロナ危機の影響を考えますと、それほど高額な形にはならないということも我々理解しまして、もう少し違った形の連携の仕方が模索できる時代に入ったのかなと思いました。
【岸本部会長】 どうもありがとうございます。それでは、続きまして、佐藤先生、お願いします。
【佐藤委員】 簡単に言いたいのですけれども、たくさんあるのですけれども、1番目の昨今顕在化した課題というのは、私の感覚では、コロナも含めて災害、減災のレベルが、数段上げないと日本は大変なことになるということが分かったということ、もう一つは、それに伴って、日本の今の自給率を上げないと、とてもではないけれど、Society5.0は実現できないでしょうということで、そういうことに対応できる、即応できるかどうか分からないけれども、共用プラットフォームというものを、何をどういう処理で分析、継続したデータをどういうふうに利活用していくのかということのニーズと絡めて、そこを主張して、あるいはやっていかないといけないのではないかというのが1番目です。
2番目のアフターコロナ、DXに関しては、10年以上前から先端計測の事業でずっと、DXに関しては言ってきている話なので、それを進めなければいけない。
問題は、ITの専門家がいないのですよ。各大学においても、企業の研究機関、それから事業、いろいろな付き合いをしているのですけれども、全てを分かっている人はいないので、ITの専門家、計測者、あるいは研究者がチームをつくって、クラウドコンピューティングも含めて、世界標準になるようなプラットフォーム化をどう進めるのかということを追求していかないと、これは片手間ではできないので、ちゃんと資金手当てをして、事業化して、プラットフォーム化等に対して対応していくようなことを進めないと、多分できないでしょうということです。今回のいろいろな各機関からの提案を見ていても、結局、分かっていないよねというところが非常に多いのですよ。それが2点目。
3点目は、マル1の研究設備・機器群を対象というのは、今あるからこれを共用化したいとか、これを進めたいというのは多分無理だと。でも、これでなければ測れないというものは、数が少なくても、それは残さなければいけない。やっぱり共用事業としてプラットフォーム化して残さなければいけない。それをかなり絞り込まなくてはいけないかもしれないけれども、やるべきだと思います。
それと同時に、今言った、社会の抱えている問題をどう解決していくかということにソリューションを与えられるような共用化、プラットフォーム化というのを進めていくことが必要で、それは自助努力だけではできないので、国の予算をきちんと手当てしてもらう必要があるでしょう。こういうことを進めていくことが、これからの非常に重要な課題、進め方になるのではないかなと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。それでは、続いて、杉沢さん、お願いできますでしょうか。
【杉沢委員】 杉沢です。
皆さんいろいろとお話しされているので、2点ほどコメントさせてください。
一つは、上の黄色の1、2、3の課題を解決するための具体的な施策として、どういったものが良いのかという話ですが、今回、文科省さんのほうで提案されている、コアファシリティ構築支援プログラムこそ、キーになる施策ではないかと思いました。
結局、研究のDX化を進めるためには、研究基盤をDX化しないといけないのですが、研究基盤をDX化していくということは、研究基盤を管理している人や組織が、DXに対応したものになっていかないといけない。そこに財政的な支援や人材の支援を行うためには、組織として、しっかりとして運営する統括組織があって、それが研究基盤について責任を持って面倒を見るという体制が必要となりますので、全ての研究機関のコアファシリティ化ということこそ、重要な課題と思いました。
そうやって出来上がったコアファシリティの全国ネットワークをうまく活用すれば、全国的な最適化もしやすいし、5年、10年という長期間の政策決定も効果的にできるのではないかなと考えております。
共用プラットフォームに関してですが、これは特徴のある全国的規模の大型の研究基盤ととらえることができます。このような研究基盤を構成する大型の研究機器を大きく二つに分類すると、SPring-8とかSACLAのような孤立した大型研究機器と、NMRや電子顕微鏡のようなスケーラブルな研究機器とに分類できるのではと思います。
SPring-8のような大型の孤立した研究機器は、そこで独立した運営をするしかないですけれども、スケーラブルな機器の場合は、大型で国内で少数の機関しか保持できないものから小型でどこの研究機関も保持できるものまでスケーラブルにつながっていきます。そういったものに関しては、ぜひ次の課題としては、全体をスケーラブルに扱って、効率的に運営できるような組織体というのを考えるべきかと思っています。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、高橋先生、田沼先生、中村さん、西島先生の順番でお願いしたいと思います。
【高橋委員】 高橋でございます。
時間も少なくなってまいりましたので、簡単にと思いますが、今日、議論いただきたいという中で、いつも見させていただいている3Cの形を、今後どのように展開していくかという形でお聞きしてまいりました。
人材とか、アフターコロナという形での課題は、先生方からいろいろとお話があったので、それは本当にそういう形で、私も共感いたします。違う観点で申し上げると、一つは、Cの平面的な広がりというのは、やはりデジタルツインの中のデジタル側です。ですので、先ほど佐藤先生からもお話がありましたように、Society5.0の場合には、フィジカルなところとどうしてもつながっていく必要があります。デジタルの平面的に広がる、もしかしたらこの外にもう一つ、Cが出てくるのかもしれませんけれど、そういう広がる軸と、それから、もう一つ別の軸としては、フィジカルのほうとどうつながるのかということが、いつもの図の緑の共用プラットフォームだったり、それから、外側の新たな共用システムのところのプログラムだったりというところで出てくるのかなという気がいたしますので、新しくフィジカルとどういうふうにつながっていくのか、その間にはデータがあると思いますけれども、そういった軸を加えていただいて、一つ次元を上げるというような試みも必要なのではないかなという気がいたしましたのが1点。
もう一つは、以前からもお話ししているように、同じCの中の横のつながりか、あるいは異なるCのところの放射線状のつながりというものを、もう少し何らかの形で組織化をしていく、あるいは、積極的にテーマを探していくということが大事ではないか、新しい科学技術の発展に寄与していくのではないかと思いますので、そういった軸も考えていただければなと思います。
その2点でございます。そういった軸が人材育成の流れにもつながっていけば良いなと考えます。以上でございます。
【岸本部会長】 どうもありがとうございます。それでは、田沼さん、お願いできますでしょうか。
【田沼委員】 物材機構の田沼です。
ほとんど意見が出ているので、簡単に2点ほど、付け加えたいと思います。
一つは、装置の共用化は、ここにありますように着々と、今回の措置もあり、進行していると考えます。ところが、陰に隠れて出てこないのですけれども、これによって、取ったデータ、要するに結果ではなくて、その中間の結果、それから、測定データをどうやって共用化するかという、基本的なポリシーがないかなと思います。
特に、企業が絡むと難しいことがあるのは分かるのですけれども、少なくとも国のお金でやっているものは、当然ながらデータを共有すべきだというか、そのようなポリシーを決めて、共用するような体制が必要だと思います。
もう一つは、そのときのデータ構造です。結構、標準化は、測定の方法とか試料はあるのですけれど、結局、測定データの構造化をしっかり標準化しておかないと、異なった装置から出てきたデータが共通に処理できないということがありますので、そういうことは将来に向けて、大事な課題だと思います。
2点目は、大分話は飛びますけれども、私のナノテクノロジープラットフォームとか物材機構での経験でいいますと、結局、割と欠けているのが装置の数に対するイメージです。先程スケーラブルの話がありましたけれども、例えば、稼働率の割合から考えて、一台の装置が何人で共有できるかというのが欠けているように思います。
SPring-8や大きな装置はしょうがないですけれども、電子顕微鏡クラスだと、例えば10%ずつ割れば、研究者はたった10人です。10人といいながらも、年間にしてみれば、普通で言えば、20日程度しか使えないわけです。これが5%だったら、本当に10日程度しか使えない。
そういうことを考えると、ユーザーの数と装置の数は、もうちょっとうまく調査をした上で割り振っていかないと、本当の意味での共用設備の一番いいところは出てこないのではないかと考えます。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。続いて、中村さん、西島先生、野村先生の順番でお願いしたいと思います。
【中村委員】 中村でございます。
3番目につきましては、これまで、本日もいろいろ御議論されて、共用化が進みつつあるというのは非常に強く感じております。
2番に関してですけれども、ここの最後の「あるべき研究開発の姿」ということですけれども、これに関して、一番最初に飯島先生がおっしゃった、技術の先鋭化といったところ、このような要素が重要ではないかと私は思っています。
それは、そのようなことによりましてイノベーションが推進されるといったことで、これは基本的に、このために研究開発を進めている側面もございますし、木川先生が最後に、標準化などにつながればという話をされていましたけれども、そのようなところにもつながっていくものかと考えております。
いろいろ状況は異なると思いますが、プラットフォームごとにイノベーション推進策を設けるといったことも不可欠ではないでしょうか。以上でございます。
【西島委員】 西島です。簡単に、2点あります。
一つは、先ほど佐藤先生が言った、共用プラットフォーム、例えばNMRを使ったときのメリット、例えば製品化に貢献したとか、そういう成功事例を本当は提示できれば良いと思います。一方、製薬業界における新薬の創製には少なくとも10年から15年かかりますし、途中の段階で、共用プラットフォームの施設利用が役立った事実を具体的に示すことは、将来の知的財産化を含めた企業秘密の関係で極めて困難です。
ただ、これは言えるのですけれども、例えば自社保有の構造解析に関わる装置群をバージョンアップすることなく、また超高磁場NMR装置も購入することなく、必要時に共用プラットフォームを利用することができる状況であれば、会社としては大型の設備投資・維持費を回避して、その資金を研究開発の非臨床・臨床試験等に投資できるというような形でのメリット感は出せるかなと考えています。
2点目は、新型コロナ感染がもしなければというか、こういう突発的なことがなければ、恐らくリモートとか、遠隔化・自動化というのは、研究機器相互利用ネットワーク導入実証プログラム(SHARE)の成果をうまく展開するということも期待されたと思うのです。けれども、新型コロナ感染で困っている学生を救うというような形で今回の補正予算21億円によって短期間に遠隔化・自動化が進もうとしています。それなりに役立って、意味はあると思うのですけれども、今動いているSHAREでの成果、あるいはSHAREを拡大させて、我が国全体の将来を見据えた高度化、自動化というものをしっかり考えていく必要があるのではないかということで、SHAREのほうにも注目したいと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。野村先生、お願いします。
【野村委員】 野村です。
大体、皆さんと同じような意見かなと思いますが、幾つか重要な点や、ちょっと考えておいたほうがいいなと思う点をお話ししたいと思います。
一つは、コアファシリティというのは、この5機関に限らずいろいろなところで、こういう研究装置をどうマネージしていくか、共用を含めて、そういう中で、例えば資産管理と機器の更新や、あとは最近、リモートアクセスということになると、これは情報セキュリティと密接にカップルして、情報セキュリティというのはアクセス権を持っているかどうかという、人事の情報と密接にカップルするはずなので、そういうところまで含めた、それぞれの機関としてのシステムづくりというのを考えていく必要があるかなと思っています。
あと、3Cというところで、これまで割と真ん中のところにすごく重点が置かれていた。ここのところ新共用で、外側の青いところが重視されているわけですが、日本全体として発展させるためには、全体のバランスというのがすごく大事ではないかなと思っています。
そこをどう調整を取っていくかということと、あとは、先ほど木川先生から、コミュニティに対してそういうお話があったのですけれども、放射光をやっていると、そもそもコミュニティが定義できなくなってくるというか、時代の進歩とともに、コミュニティの定義が非常に難しくなってきて、そういう中で、施設側の責務とユーザー側の責務というのはどうバランスにしていくかや、機関のミッションとも、ユーザーの期待に応えるには、ユーザーファシリティになるのが良いのかもしれないのですけれども、機関のミッションは必ずしもそうできていないので、そういうところのバランスをどう取っていくかということが課題かなと思っています。
この間のコロナ対応でのリモートアクセスも、結局、そういうオペレーターというのはいないわけで、研究者がやるとかそういうことになりかねないので、必要なリソースがないと、そうサービスばかりはやっていられないだろう。とりわけ放射光の場合、法人化の頃に比べて、予算が半分以下になっているので、運転時間も限られてしまうというような厳しい状況にあって、その辺、非常に悩んでいるところです。
本当は、日本全体を見渡したときに、プラットフォーム間で、ここにこういう投資をする代わりに、こちらにはこういう投資をするみたいな調整ができれば一番良いのでしょうけれども、それは先立つものが絡んでいて、それが伴わないとほとんど空論で終わってしまうという悩みがあります。
あと、今回のコロナの対応ということで、割と全国一律に8割減とか、そのようなことが言われたのですけれども、もっと地方の特性に応じて、都会は通勤とか大変でしょうけれども、地方はほとんど問題がないので、がんがん動かすようなことを考えないと、国が掛け声をかけるとみんな一緒に倣ってしまうので、第2波、第3波のときは気をつけたほうが良いかなと思いました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございました。続いて、波多野先生、原田先生、横山先生です。随分お待たせしましたけれども、波多野先生、よろしくお願いいたします。
【波多野委員】 東工大の波多野でございます。
皆様から貴重な御意見が出ましたので、一つだけ、やっぱりコロナの影響は、衛生学的な影響だけではなくて、これから経済的、そして地政学的への影響が顕在化しています。その中で、グローバルな観点でもう一度、共用設備というものを見直す必要もあると思います。
国境がない国際的な共用設備は、先端研究を加速するためにももちろん必要だと思います。一方で地政学的なリスクから企業がものづくりを日本に戻すというような動きもございますので、短期的に、何か立ち上げるときに、特に新しい技術を立ち上げるときに国内の共用設備を活用したい使いたいというニーズももちろんあると思います。そのような状況を想定し、企業の方々がよりアクセスしやすい大型設備を、情報セキュリティのリテラシーもきちんとした上で、整えていく必要があると思います。
また、コアファシリティにつきましては、採択機関は非常にすばらしい提案であり、大変期待いたします。本事業終了の5年以降の運営に関しては、中長期の構想も必要と思いました。また、この事業の御提案はコロナの前と思いますので、アフターコロナに向けたファシリティを、採択された5機関もしっかり認識して進めていただくことが重要です。
コアファシリティでもデータ活用、DXが必須ですのでそちらに軸を置いた公募するなど、思い切った改革も一部必要ではないかと感じました。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。原田先生、お願いします。
【原田委員】 皆さんおっしゃっていたし、先ほど木川先生もおっしゃっていたのですけれども、共用化をきっちり、研究を進めていくためには、技術員だけではなくて、木川さんは高度専門研究員と書かれているのですけれども、ある程度、酒造メーカーの例の解析のときもそうなのですけれども、あと、他分野への展開でもそうですけれども、研究のことがきちんと分かっている方が共用設備の運営に当たらなくてはいけないので、今、博士課程に行く方も減ってきていますし、いかにそういう人材を確保して、共用の、ある意味サービス的なことをきちんとやってくださる方が確保できるかというのがすごく重要かなと思います。以上です。
【岸本部会長】 ありがとうございます。最後になりましたけれども、横山先生、お願いします。
【横山委員】 分子研の横山です。よろしくお願いします。
皆さんたくさん話されたとおりですけれども、私は、共用プラットフォームの新展開で、今後ということで少しお話ししたいと思います。
木川先生がおっしゃったとおりで、全国規模にしていくということは非常に重要で、特に今回の補正予算もありますし、NMRを全国規模に展開していくというのは一つの提案だと思います。それは積極的に賛成したいと思います。
例えば今の状況を見てみますと、光ビーム、放射光は既に全国規模に展開できていると思うのですけれども、それ以外は、NMRを含めて全国規模になっていないということで、そこを全国規模にしていく。あるいは、見方を変えて、例えばNMRと放射光はかなり大きいですけれども、それ以外の装置というのはそんなに大きくないかもしれないということであれば、例えば人材育成などを頭に置いたプラットフォームとか、データプラットフォームというのは既に、NIMS中心にあるかと思うのですけれども、そういう装置の名前ではなくて、ほかのプラットフォームで日本全体を動かしていくようなものが良いのかなと感じました。以上です。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
本日は、いろいろな観点から御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。
事務局の方で、これらの意見を整理していただいて、まとまった形に持っていければと思います。お伺いして、本当にいろいろな観点があるなと思いました。その中で、次の概算要求を考えたときに、こんなことができるのかなということもあったように思います。一つ目は、今あるプラットフォームの中で、いろいろな課題が共通して出てきていたように思います。情報のことや、人材のことなどです。このようなことを共通的な課題として、プラットフォームを超えた取組というのが次のプロジェクトとしてあると良いなということです。二つ目は、まだまだプラットフォーム化をしていかなければいけない設備があるので、それをどうしていくのかということです。このことは、先ほどどなたかがおっしゃっていましたけれども、競争させてどっちが良いのというのは、なかなかそぐわないのではないかと思うので、今までの文科省のプログラムは、競争的資金して、申請されたものの中から良いものを取り出すみたいなことをずっとやってきたわけですけれども、共用化と言ったときに、競争して勝ち抜いていくというのが良いのかなという疑問はあります。そういったあたりをどう進めるかというのは、予算というか、文科省の資金をどう使っていくかにも関わってくるので、そのための改革も要るのかなというふうにお聞きしました。御指摘していただいた問題を解決するために、どういう枠組みで国の予算を投入したらいいかという観点からも、文科省のほうでも考えていただけるとありがたいなと思います。皆さんの御意見は文科省の宿題にするというのが良いかなと思っているのですが、皆さんとも一緒に考えていきたいと思います。
今日は時間の関係で、これで部会としての議論は終わりにしたいと思いますけれども、次回、いつ頃に部会が開催されるかということもありますが、事務局の方で、こういった意見をもう少しお聞きしたいということについては、委員の皆様に直接お話を伺っていただくとか、まだ皆さんおっしゃられたいこと、御指摘したいことはたくさんあると思いますので、それらを含めてお伺いして、次の部会まで検討を進めていただくと、良い方向の取りまとめが出来るのではないかなと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
司会の不手際もあって時間が超過してしまいましたが、その他の議題について資料が用意されていますが、それも含めて、事務局のほうで閉めていただけるとありがたいのですが、よろしくお願いします。
【黒川課長補佐】 今日はたくさん御意見をいただきまして、ありがとうございました。事務局のほうで整理をして、消化をさせていただき、また必要な御相談をさせていただこうと思います。
事務的な御連絡は3点ですけれども、一つは御紹介ですが、複数の研究費制度による共用設備の、いわゆる合算使用ということで、これまで科研費間での共同購入、科研費とJST予算での共同購入、それから、AMED予算も含めた共同購入というのがありました。令和2年度からは更に他省庁にも拡大をするということで、内閣府のほうにも御協力をいただいて、農水省の農研機構、それから、経産省のNEDOが所管をする競争的資金との間でも、合算使用で共用設備の購入が可能になりました。下のほうに、資金配分機関と所管関係府省の申合せということで、リンクを貼らせていただいております。また御活用いただければと思っております。
最後、二つですけれども、次回の部会の日程につきましては、後日、メールにて調整をさせていただきます。また、議事録につきましては、後日公表させていただきますので、案が作成でき次第、委員の皆様に御確認をさせていただきます。以上です。
【渡邉課長】 渡邉です。
長い時間にわたって御議論いただき、ありがとうございました。
今日議論いただいたものを踏まえて、まずは来年度予算の要求に向けて、頂いた御意見を基に消化していきたいと思いますけれども、コロナの影響で、例えば遠隔化・自動化ということについては、大体、重要であろうということについては皆さんの御意見が一致していたと思うので、そういう方向で進めたいと思います。その上で、ユーザーとの関係の在り方であったり、人材の育成であったり、支援する体制であること、さらには、データや、つなぐという意味ではセキュリティなど、そういうことも非常に重要だということをいただいたので、それを踏まえて検討したいと思います。
DXに関していいますと、省内で情報分野の担当などもありますので、そういうところとの役割分担であったり、協力ということも踏まえて、今後の施策を考えていきたいと思います。
今日、時間がなくて御意見が言えなかったということであれば、ぜひまた御意見を、メールなどでいただければと思いますし、更に予算の先のことについての提案、もしくは問題提起もあったと思いますので、それは予算を検討した後に、またこういった部会でも、いろいろ検討する課題として捉えていければと思ってございます。
今日はどうもありがとうございました。
【岸本部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、本日の部会につきましては、これで閉会にしたいと思います。少し時間を超過いたしまして申し訳ございませんでした。また次回、ぜひよろしくお願いいたします。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 )