研究開発基盤部会(第4回)議事録

1.日時

令和2年2月27日(木曜日)10時00~12時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局 会議室1

3.議題

  1. 研究基盤政策に関する最近の動きについて
  2. 令和2年度予算案及び令和元年度補正予算について
  3. 今後取り組むべき施策の方向性について
  4. その他

4.出席者

委員

   岸本部会長、藤井部会長代理、網塚委員、飯島委員、市川委員、江龍委員、金澤委員、木川委員、佐藤委員、杉沢委員、中村委員、西島委員、野村委員、原田委員、横山委員

文部科学省

   科学技術・学術政策局長 菱山豊、科学技術・学術総括官 角田喜彦、研究開発基盤課 課長補佐 黒川典俊、研究開発基盤課 係長 水田剛

 5. 議事録

 【岸本部会長】 皆様おそろいになりましたので、第4回になりますけども、科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催したいと思います。
 本日ですが、議題が3つありまして、「研究基盤政策に関する最近の動き」、「令和2年度予算案及び令和元年度補正予算」、それと「今後取り組むべき施策の方向性」の議題となっております。
 それではまず、事務局から本日の出席者と資料の確認をお願いいたします。

 ――― 事務局から資料の説明 ―――

 【岸本部会長】 議事に入りたいと思います。
 1番目の議事が「研究基盤政策に関する最近の動きについて」、それと2番目「令和2年度予算案及び令和元年度補正予算について」ということで、この2つの議題を併せて、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。

 【黒川課長補佐】 それでは、まず御手元の資料1を御用意ください。「研究基盤政策に関する最近の動き」でございます。
 1ページおめくりいただきまして、この1年の動きでございますけれども、研究基盤政策に関する内容が政府全体の施策の中でも位置付けられてきたということの御紹介でございます。
 まず、昨年1月に、この部会の前身の研究基盤整備・高度化委員会におきまして、新共用事業の全国連絡協議会の方々あるいは技術職員有志の会の方々に御提言をいただきまして、その内容を基に、昨年4月の研究力向上改革2019の中に、人材の改革、資金の改革と併せて、環境の改革の3本柱の1つとして位置付けられました。そこから更に、昨年6月、この部会でも「「研究力向上」の原動力である「研究基盤」の充実に向けて」といった御提言を取りまとめていただきました。
 それを更に私どもの方で、省全体の総合政策特別委員会、更には内閣府の方にもということで、今年の1月23日に安倍総理の下で開かれております政府全体の会議政策の司令塔でございます総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の中で、研究力強化・若手研究者支援総合パッケージがまとめられました。ここの中にも、研究基盤に関する事項を多数盛り込んでございます。
 2ページでございますけれども、その概要でございます。左側の方から、全体の取組につきまして、博士前期課程、修士課程の学生さんからのキャリアパスを見た中で、どういうことをやっていくべきかということで、整理したものでございます。まず、博士後期課程、若手研究者、中堅・シニア研究者とステップアップしていく上で、多様かつ継続的な挑戦を支援していくというところの中で、右下ですけれども、最適な研究設備・機器の整備とアクセスの確保ということが魅力ある環境の実現に重要であるということ、それから、研究者へのキャリアパス、それ以外にも多様なキャリアパスということで、マネジメント人材、URA、エンジニア等のキャリアパスを明確化ということが盛り込まれてございます。
 3ページに行っていただきまして、施策の方向性として、人材、資金、環境の三位一体とともに、大学改革を実現し、イノベーション創出を加速するということでも、赤枠で囲ったところに研究開発基盤部会に関係する事項が大きく盛り込まれてございます。
 1つ目が、多様な財源による博士人材のキャリアパスの拡大。そのキャリアパスの中には、教員、マネジメント人材、URA、エンジニア、産業界等が入ってきてございます。それから下の環境の部分で、マネジメント人材やURA、エンジニア等のキャリアパスの確立、それから研究機器・設備の整備・共用化促進(コアファシリティ化)ということで、この部会で御提言いただきました内容がしっかり文字として入っておりまして、今後、具体的な施策を、令和3年度から始まる第6期科学技術基本計画あるいは令和4年度から始まる第4期国立大学中期目標等に盛り込んでいこうというのが、大きな流れとして決定したところでございます。
 4ページを見ていただきまして、そのパッケージの中に、「研究力強化に求められる主な取り組み」ということで、研究環境の充実に向けましては、右下ですけれども、まず、達成目標ということで、2025年度までに大学研究機関等における研究設備の共用体制をしっかり確立していただくこと。それに向けまして、国の方でも共用化のためのガイドラインあるいはガイドブックの策定を2020年度から2021年度にかけて行いまして、大学等における研究設備の組織内外への共用方針の策定・公表ということに取り組んでいただいて、この達成目標につなげてということが決まったところでございます。
 5ページを御覧ください。研究力強化・若手研究者支援総合パッケージを御議論いただく中で、研究基盤について、私ども文部科学省からCSTI有識者議員会合で説明した資料でございます。左側の課題につきましては、この部会で御議論いただいた内容でございますけれども、その対応として、右側の部分ですが、まず、3Cの青の部分のところについては、大学・研究機関の戦略的な研究設備・機器の整備・共用化(コアファシリティ化)を進めていくということで、共用ガイドライン/ガイドブックを政府の方で作っていく、あるいはそういった取組を後押ししていくための予算の措置も並行して財政当局と折衝したところでございます。
 また、一番下のチーム型研究体制による研究力強化というところで、前回も御紹介差し上げましたけれども、科学技術分野の文部科学大臣表彰において研究支援賞を創設するということで、初回の表彰が今年の4月に、科学技術週間中でございますけれども、受賞者を公表して、表彰をさせていただくというところまで進んできたところでございます。
 6ページを御覧ください。予算でございますけれども、この部会で主に御指導いただいております先端研究基盤共用促進事業につきましては、3Cの緑の部分と青の部分に特化して支援しているわけでございますけれども、青の部分の新たな共用システム導入支援プログラムの後継として、コアファシリティ構築支援プログラムを来年度から5年間、新規で認められる形になりました。
 7ページを御覧ください。その概要でございますけれども、何度もこの部会で御議論いただいた内容をそのままの形になっております。予算規模としましては、右下ですが、6,000万円掛ける4拠点程度ということで、概算要求のときには10拠点ということで打ち出していたのですけれども、財政当局の折衝の中では、方向性は首肯するのだけれども、まずは4拠点程度で始めてみて、更に次を議論していこうという形になったものでございます。
 8ページですけれども、ガイドライン/ガイドブックにつきましては、この部会でも昨年10月に一度御議論いただきましたが、その後、新共用事業の全国連絡協議会の中でも、100名以上の方にお集まりいただきまして、全国の共用に携わっていただいている方々、事務職員の方々あるいはトップの方も含めて御議論いただきました。今、材料の詳細を集めて整理を進めているところでございますので、ある程度進みましたら、また御相談差し上げたいと思います。
 最後、スケジュールですけれども、今後の施策の検討としましては、左側、文部科学省の総合政策特別委員会では、間もなく3月4日にも最終取りまとめに向けた議論を行って、取りまとめを行う見込みでございます。
 それも踏まえて、CSTIの方で、2020年6月頃を目途に中間取りまとめ、また、2020年度中に答申案を取りまとめまして、2021年4月から第6期科学技術基本計画を開始という流れになってございます。
 10ページ以降が、研究力強化・若手研究者支援総合パッケージの全体を付けさせていただいておりまして、私どもから紹介させていただいた研究環境部分が赤で囲っておりますので、また後ほど御覧いただければと思います。
 1点だけ申し上げますと、23ページですけれども、このパッケージの中では、政府での取組以外に、アカデミアや産業界への期待ということも書かせていただきまして、特にアカデミアのところの中でも、人材の育成、キャリアパスの構築に向けた取組、あるいは大学研究機関、コミュニティの中での機器の共用に関する機運の醸成というのも是非お願いしたいということが書かれているところでございます。
 次に、予算につきましては、御手元の資料2を御用意いただければと思います。政府全体の科学技術予算ですけれども、昨年より11億円増の9,762億円ということになってございます。その中で、研究基盤に関係するところが、赤枠で囲っております環境部分と、それから左下の世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用のところでございます。
 2ページですけれども、研究力向上改革2019の人材、資金、環境の環境部分を抜き出したものでございます。前年予算額から比べますと、全体で952億円から949億円ということで3億円減ってしまっているのですけれども、別途、補正予算額としては295億円を確保して、補正と当初と一体で更に研究費の充実ということで、全体の額を整理しております。
 3ページですけれども、まず3Cのところ、ピンクの部分、共用法の対象施設になるようなものについて、SPring-8、SACLA、J-PARC、HPCIについての予算、それからポスト京としての富岳、次世代放射光の予算については、お示ししたとおりでございます。
 4ページを御覧いただきまして、先端研究基盤共用促進事業、コアファシリティの部分は御紹介させていただきましたけれども、全体としては、13.6億円から12.1億円ということで、少し減ってしまっております。共用プラットフォーム、この緑の部分が2020年末で事業終了を迎えること、新共用も同様に終わりを迎えること、また、オレンジ色で、去年からFS的にやっておりますSHAREにつきましても、2年間ということで一旦事業の区切りがまいりますので、来年度以降の概算要求に向けた今後の施策の検討ということを是非この部会で御議論いただければと思ってございます。
 5ページ目以降が、各分野での関係する予算を取りまとめてございまして、5ページ目がナノテクノロジープラットフォーム事業、ほぼ前年と同額でございます。
 それから6ページが、AMEDでやっておりますBINDS、ライフサイエンス関係の研究基盤の整備・共用に関する事業です。
 それから7ページが、学術機関課でやっております共同利用・共同研究拠点あるいは学術研究の大型プロジェクトの予算に関するものでございます。
 それから8ページが、先端計測分析機器の開発の領域を立てております未来社会創造事業でございますけど、こちらも、共通基盤について、来年度、新規1テーマ分の公募ができるような予算額を確保してございます。
 9ページですけれども、少し新しい取組といたしまして、特にナノテク・材料分野でございますけれども、下の赤囲みにありますが、研究環境のスマートラボラトリ化を促進するということで、装置の自動化とかAIを取り入れたスマート化による材料の創出といったところも、新たな取組として始まってございます。
 10ページ及び11ページが、補正関係のトピックでございますけれども、今年の1つ大きな取組としまして、創発的研究の場の形成ということで、創発的研究支援事業というものが補正予算にて500億円認められてございます。こちらは、既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的・融合的な研究を、研究者が研究に専念できる環境を確保しつつ支援するということになっております。右側にあります事業スキームにおいて、JSTの方では、研究者の多様な提案を応募して採択するというものでございますけれども、この中では、研究環境改善のための追加的な支援をやっていこうということが決まってございまして、また、追ってその公募等が進んでいくものと思っております。
 11ページですけれども、この部会でもかなり問題提起を頂きました機器の老朽化に関しまして、創発の場の形成の一環として、先端共用研究設備の整備ということで、50億円の補正予算を、私どもと、それから各分野担当課の協力の下に確保できました。こちらは、特にAI、バイオテクノロジー、量子分野、それから、これらを支え、我が国の強みを有する材料・物質科学分野における共用設備を幅広く整備して、共用していくことにより、研究力の向上を図ろうということで、物質・材料科学、量子技術、生命科学、情報科学に関する設備の補正予算でございます。
 12ページを見ていただきまして、昨日までに採択の審査の結果が出まして、各分野について、ご覧のような設備を機関に整備していくことが決まりましたので、今後、整備を進めていただき、幅広い研究者の方々に共用していただこうということで期待しているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。

 【岸本部会長】 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問やコメント等ございましたら、お願いしたいと思います。

 【佐藤委員】 昨日もらったから、よく精査できていないんだけど、言いたいことを言わせてもらうと、全体的に見て、やっぱり美辞麗句というか、今までのものと余り変わらないなと。これで本当に何を生み出せるんだろうというのが非常に大きくは気になった点で、それはなぜかというと、一方で、参考資料にもあると思うんですけども、研究力向上で、論文化だとか、Top10の論文数のレベルだとか、いろいろなことが出されているんですが、そのぐらいが出されている程度で、科学技術として何を目指して、いろいろなロードマップがあると思うんですけども、そのロードマップに基づいて何を目指すから、こういう研究人材と、予算と、それから環境、そういうものをこういうふうに投入していくんだという、ロードマップとの対応がよく見えないんですよ。その辺をちゃんとやらないと、次の第6期科学技術基本計画を作っても、また同じようなことが起こってしまうんじゃないかなというのが、非常に懸念した事項です。
 そういう点では、どうですか。ロードマップという観点で整理されている。

 【菱山局長】 科学技術・学術政策局長の菱山でございます。ここで今御説明したのは、研究力強化・若手研究者支援総合パッケージとかなり焦点が絞られているところであります。一方で、全体像については、先生がおっしゃったように、第6期基本計画をどうするのかということでありまして、それについて、文部科学省の中では総合政策特別委員会など特別な委員会を設けて議論していて、それはまた機会があれば御紹介したいと思いますが、その中では、Society5.0をどう実現していくのか、そして、そういう社会というのは、知識集約型社会だろうと。今までのような資本集約とか、その前の労働集約ではなくて、知識集約型社会だろうということであります。その知識を生み出すのは何か、どこかというと、文部科学省サイドから見た場合の科学技術イノベーションになりますので、それは大学であり、あるいは研究開発を行う独立行政法人だろうということで、それらが中心となって、新しい有用な知識をどんどん生み出していただく。そのためのエコシステムをどう作っていくのかということです。
 その際に、これは東京大学総長の五神先生がよくおっしゃっていて、日本の中で政府が一番貧乏であると。そういう状況の中でどうしたらいいのかというときに、やはり民間企業、産業界にも当然ながらイノベーションを起こしてもらうというのが大事でありますので、産業界と一緒になって知識集約型社会を作っていくことです。その際の文部科学省サイドから見た場合の中心は、繰り返しますが、大学や研発開発独法になります。
 そういう中で、特に日本で今問題なのは、論文や特許も、一時はトップだったのが、落ちてきています。どうしたらいいのかということですが、よくよく見ていると、人口減少、子供が減っています。そういった中で、若手研究者の元気がないし、元気を出してもらって、優秀な若者にしっかり博士課程に入ってもらって、かつ、そこで研究、その後も研究をしっかりやってもらって、アカデミアだけではなくて、当然イノベーションを起こすためには産業界にも入ってもらう。あるいは、研究者だけではなくて、URAとか、知財の専門家とか、そういった方になってもらうといったキャリアパスもちゃんと描いていかないと、若い人たちが入ってこられないだろうということで、今回のパッケージがまとめられたということです。そういう全体像の中の一部分が今回のパッケージだというふうに御理解いただければと思います。

 【佐藤委員】 ちょっとだけ反論を言わせてもらうと、失われた20年か失われた30年か分からないけども、日本は今現状、科学技術的にはかなり停滞していると。我々の昔のことを言ってもしようがないかもしれないんだけど、高度経済成長のときは、何も言わなくても、若い人たちが意欲を持って、我々も含めて、いろいろなことにチャレンジしていったわけですよ。
 そういうことが今の、これをどこまでどういうふうに追求していくかというのは、やっていかなくちゃいけないんだけども、それは間違いないと思うんですが、このやり方だけでは多分さらに飛躍的に行くということが、例えば私もドクターの人間を何人も育ててきましたけども、社会が求めていないんですよ。求めているということがびんびんと感じられないわけです。
 そういう社会の中で、じゃあ、ドクターを意欲を持って育てたとしても、それは個人の差にもよるけども、絶対数としてどんどん増えていかないわけです。数が、行っても 1,000人とか千何百人の話でしょう。アメリカなどに比べたら圧倒的に少ないわけで、そういうことが求められる、自然に、本来必要なのに、求められていく社会にどうしていくのかということを、もうちょっと科学技術的な観点で見て、描いていかないと、やっぱりだめなんじゃないかなという気がするので、僕は言ったんです。

 【菱山局長】 ありがとうございます。おそらく高度経済成長の時代に比べてこうなったというのは、ここにいる私も含めて、こういう年ぐらいの人たちの責任も大きいのではないかなと私は思っております。ただ、経済成長の時のことを考えれば、それは特に今の先進国はどこも、トマ・ピケティを引くまでもなく、非常に厳しい状況だと思っております。
 その中で、どういうふうに産業力あるいはイノベーション力を維持し、発展の余力はないのではないかという話もありますが、どうやってサステナブルな社会を作っていくかというのは大変大事だと思っています。今の博士課程ところも、そうしてみれば、1960、70年代あるいは80年、90年の最初の頃はそういう社会でしたけれど、今の社会、どうしたらいいのかというのが課題だと思っております。だからこそ、知識集約型とか、あるいはSociety5.0という概念を出し、それに向けてどうしたらいいのかというのを考えていかないといけないだろうと思っています。
 その中で、博士課程の問題については、人材を受ける側と出す側のギャップが大きいのではないか、認識ギャップが大きいのではないかと思っております。昔のような博士の学生が少なかった頃は、おそらく自分の弟子を作って、その場の学問を承継すればよかったかもしれませんが、今はむしろどういう人材が求められているのかというのを考えていただいて、専門だけではなくて、いろいろな場で活躍できるような人材を作っていただくことが必要ではないかということで、これは人材に関するいろいろな検討の場でも言われているところでございます。
 まさに必要ではないかと先生がおっしゃったように、高度な知識人材が必要だということになりますが、それが必ずしも、産業界で欲しい人材になれるかというところは課題でございます。昔ながらの博士課程の人材の育て方ではなくて、現代にマッチした人材、例えば量子が出てきたら量子分野も分かるような、今、速成ではなくて、そういった考え方が分かるような人材を育てていただくことが大変重要ではないかと考えています。
 ここは研究開発基盤部会なので、あまり人材、博士課程の問題、いろいろ申し上げるのも何ですけれども、そういった中で、我々政府側としてもいろいろ知恵を絞ったというところでございます。ここで全部終わったわけではなくて、いろいろなことが積み残されていますので、是非先生方からも、こういったことをやるべきではないかといったいろいろなアイデアを出していただくのが大変大事ではないかなと思っております。

 【岸本部会長】 ありがとうございます。この議論、もう少しやりたいところではありますけども、今のような背景の中で、次の議論になると思いますが、研究開発基盤、そちらの方からどういうふうにしていったらいいかという具体的なアイデアが出てくると、動くのではないかなと思います。
 それで後ほど議論していただきたいと思いますが、ほかにも御意見ある方がいらっしゃると思うので、是非。

 【西島委員】 今の議論、僕も参加したいんですけど、ちょっと置いておいて、資料2の採択機関、創発的研究の場の形成、ここで例えば購入されたクライオ電顕とかシーケンサーとか、そういったものが、4ページの緑とか青の方に組み込まれていくんだという認識でよろしいんでしょうか。
 私、この後、多分緑のことが中心になると思うんですけども、ピンクのことについては、これは国で維持管理して、利用し易い状況であり利用実績も高い。それから青の部分は大学なので、ここもコアファシリティで動いていくので理解し易い。多分緑の部分が一番課題が多く今後の設計が分かりづらいのは、この部分の装置1個を買えばそれで済むものなのかという、維持管理の規模感が不透明と思うんです。
 SPring-8が、例えば建設時に1,100億、その後の年間維持費が110億であることは周知のことであるが、利用者側の私達がその維持費用の全てを払うことはできないし、実際にごく一部の経費を負担することで利用できる。これは分かりやすい。一方、大学の先生が研究費で購入した機器について、ある程度大学が補助しながら、研究スタッフが手伝いながら、新しい人材も雇って、数百万円で運用する。これも分かりやすい。
 一方、クライオ電顕とか次世代シーケンサー、それから最高感度の高磁場NMRを購入したとき、たとえば、2億や3億で機器を購入した際、その後の5年間でどのぐらいの維持費がかかったか、それを測定をするスペシャリストがどの程度に必要なのか、あるいはAI導入によって企業からの依頼サンプルがいつ頃から自動化されると予想されるのか。つまり、高額機器を購入し設置した後、5年間でどのぐらいの経費・人件費等の予算化が必要なのかを示して、議論しておくべきと思います。既に、文科省として資料をお持ちだと思うんですけども、その議論というのは重要なのかなと。
 機器に伴う維持費・更新費等の規模感が、私たちが10年前に思ったよりも多分違ってくると思うんです。思ったよりも高い、思ったよりも安い。そういったものが少しどこかで、次の緑の協議については持っていなきゃいけないかなと思いました。

 【黒川課長補佐】 ありがとうございます。後ほど木川先生から御紹介いただけるような中身も関係するかと思いますので、後ほどと思いますけれども、補正予算の公募要領を私ども、各分野の担当課と議論する際にも、まず、こういう機器を買う際には、ライフであればAMEDのBINDS事業ですとか、ナノテクであればナノテクノロジープラットフォーム事業とかとしっかり連携をしていくこととしています。また、これはワンショットの補正になってしまっていますが、提案側が今後のランニングコストも踏まえてどう運用するのかというのを提案書に記載し、それをよく見ていただいて審査いただくということをやっておりましたので、いただいたことをしっかり踏まえて、今後やっていきたいと思っております。

 【岸本部会長】 ありがとうございます。御意見、まだあるかもしれませんが、(3)の議題のところで少し時間をかけたいと思いますので、これまでの議題については、一度ここで締めさせていただきたいと思います。
 それでは、3番目になりますが、「今後取り組むべき施策の方向性について」ということになりますけども、前回の部会の中でもいろいろ議論したわけですが、今回もこの件について、少し時間をとって、先ほどの御質問あるいは議論の中で出てきたことも踏まえて、議論したいと思います。
 それではまず、事務局から説明をよろしくお願いします。

 【黒川課長補佐】 御手元の資料3を御用意ください。
 1ページ目は、昨年6月の部会において取りまとめていただいた第6期科学技術基本計画に向けて目指すべき方向性、取り組むべき事項のまとめです。こちらはそのままでございますけれども、今日は特に緑の部分、国内有数の先端的な研究設備を、中長期的な計画に基づき、どう整備・更新、それから共用を図っていくかということについて、更に議論を深めていただければと思ってございます。
 2ページ目をおめくりいただきまして、緑の部分につきましては、これまで過去5年の取組としましては、各機関が既に所有する国内有数の大型研究設備をネットワーク化して外部共用を図っていくといったところにかなり注力を絞ってきました。
 そのための施策として、私どもの課でやっております共用プラットフォーム形成支援プログラムですとか、各分野課で担当しておりますナノプラですとかBINDSですとか、情報でいうとHPCIというものがこれまで走ってきたということでございます。
 本日、特に御意見をいただきたいと思ってございますのは、共用プラットフォーム形成支援プログラムについて、来年度末で事業の見直し時期を迎えるということでございます。それに関して、まず①のところですけども、この事業は、産学官が共用可能な研究施設・設備等について、ネットワーク構築、それからプラットフォーム化を図ることによって、基盤の持続的な維持発展に貢献をするということで、具体的にはワンストップサービスの設置ですとか、ノウハウ、データを関係するネットワークでしっかり蓄積する。 そのための専門スタッフの配置、研修の充実、それからコミュニティの構築などといったことについて取り組んでいただいているわけですけれども、事業の目標の達成に向けて、どのように進んできているか。
 それから②としまして、他方、4年間で世界はどのように変わってきていて、今後どのような方向性に向かっていくべきか。
 それから3つ目で、各機関の取組を更に推進していく上で、国としてどのような政策的後押しが必要かということで、プラットフォームの取組自体は、利用料収入の拡大等によって、できるだけ自立化を図っていけないかということがこれまで議論されてきました。各機関で取り組んでいくこと、それから更に国として後押ししていくべきこととしてどういうものがあるかということについて、御議論いただけるとありがたいと思ってございます。
 関連する話題提供としまして、本日、後ほどOECDのグローバルサイエンスフォーラムにおいて、「Optimising the operation and use of national research infrastructures」というテーマで、議論されている内容ですとか、あるいは共用プラットフォーム事業を実施されている方から、現状と課題について御紹介いただきまして、御議論を深めていただければと思ってございます。
 それから3ページから5ページにかけましては、5か月ほど前でございますけれども、前回の部会において、3Cの各部分、技術職員の活躍促進、それから共通基盤技術の開発について、各先生からいただいた御意見を事務局としてまとめさせていただいたものでございます。
 今回は緑の部分を中心に御議論いただきたいと思ってございますけれども、時間の最後の方では、ほかの部分も含めて、更に御意見をいただけるとありがたいと思ってございます。以上です。

 【岸本部会長】 それでは続きまして、資料4になりますけれども、OECDの会議に御参加されました木川先生から、その内容について、お願いしたいと思います。

 【木川委員】 理化学研究所の木川です。OECDのグローバルサイエンスフォーラムとサイエンスヨーロッパが開催したWorkshop on Optimising the operation and use of national research infrastructuresというのに参加してきましたので、そこでの報告をさせていただきたいと思います。これは読めば分かるとおり、国内研究基盤についての議論をするということです。
 まず、OECDのグローバルサイエンスフォーラムとは何かということですけれども、これはJST・CRDS永野フェローにいただいた資料ですOECDの加盟国や関係国の間で、巨大な研究基盤の運営や国際協力を議論するメガサイエンスフォーラムというのを設けたと。それがOECDの科学技術政策委員会(CSTP)の下に1992年に設けられて、ここでは研究インフラだけではなくて、幅広い科学技術政策を議論していたと。
 これを1999年にグローバルサイエンスフォーラムと改称して、更に科学教育や研究不正というのもテーマに議論をしているというところです。
 現在の状況は、OECD加盟国28か国とEUがメンバーとなり、さらにグローバルサイエンスフォーラムに対しては、加盟国以外の7か国(中国、南アフリカ等)も参加して、議論をしているということです。
 定期的な会合は春秋2回やっていて、そこで個別の議論テーマを設けて、1年の議論をした後に、報告書を作成するという中で、国内研究インフラストラクチャーが選ばれたということです。
 次のページに行っていただくと、3ページ目ですが、これはOECDのホームページのキャプチャーですが、ここにグローバルサイエンスフォーラムが今議論している課題が5つ載っていますが、その1番目が今回の課題ということです。
 これはナショナルなので、国内の研究基盤ですが、左側に報告書の表紙をキャプチャしたものを置いてありますけれども、2017年12月に彼らは国際的な研究基盤についての報告書、提言書をまとめていて、これを受けて、次の国内の議論が始まったという流れであります。
 4ページ目を御覧ください。実際に、どういう内容の議論をしたかというところについて御紹介させていただきます。
 まず、国内の研究基盤、national research infrastructures、これはNRIと略しますけれども、このNRIの利用効率を向上させ、運営を改善・最適化するための政策と手段を特定すると。
 そもそもOECDはもっと国際的大規模なRI、例えば加速器、リニアコライダーとか宇宙ステーションとか、そういうものについて焦点、議論していたんですが、実はいろいろ調べてみると、多くの研究基盤というのは、国レベルで資金を拠出され、運営管理され、主に国内向けに利用提供されているということで、ここをもう1回議論すべきだろうと。
 しかも、OECD加盟国の資金制約の中で、投資、更新など複雑化するポートフォリオをいかに管理するかが大事だということに気が付いたと。
 調査対象項目としては、利用者、彼らはuser baseという言葉を使っていますけれども、これの最適化ということで、利用者を維持・開拓したり、利用促進をしたり、次世代を育成したりということが1つ。
 もう1つは、設備のポートフォリオ。これは先ほど西島先生が言われたことですけれども、まさに長期計画のツールや資金投資計画、ライフサイクルですね。これは閉鎖も含めてというところがポイントです。それから、NRI間や情報基盤間とのシナジーや資金調達等々についての調査をして、調査方法としては、ベストプラクティスを特定し、事例を調査し、最後に政策提言や勧告をして、加盟国各国の基本戦略に反映することを期待するということです。
 今回、参加者は、まず政府関係者、それから資金提供機関、そしてNRIの運営者ということで、実際にはイギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、アメリカ、カナダ、日本、韓国、そしてカンボジアから参加者があったということです。
 具体的なスケジュールが5ページに書いてありますけれども、2018年11月から3回の専門家会合(事務局会合)。専門家会合を受けて、昨年6月にロンドンで第1回目の国際ワークショップ。その次に、専門家会合の後に、11月に韓国ソウルで2回目の国際ワークショップ。そして今年の1月の専門家会合を経て、4月から5月頃に提言が公表される予定ということになっています。
 この中で日本からの参加者ですけれども、JST・CRDS永野フェローが専門家会合のメンバーとしてずっと関わっていて、ほかに、第1回、2回国際ワークショップにはNIMSから藤田先生、2回目のワークショップにはKEKから野崎先生と、こちらにいらっしゃる野村先生、それから東大のナノテクノロジープラットフォームに関わっている三田先生。私は1回目、2回目のワークショップに参加することになりました。それから、これは偶然だと思いますいますが、研究開発基盤課の元課長補佐の田村さんが、OECDのグローバルサイエンスフォーラムに出向していまして、2回目のワークショップと専門家会合の事務局として活躍されていました。
 報告書の内容については、私も詳しくはよく分からないし、未公表なのですが、ワークショップで聞いていていろいろと感じた課題、そこでおもしろいことをやっているなという部分、それから、それを受けて、今日のお題について私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、顕在化した課題、利用者の拡大や最適化。これは、施設によって最適化と拡大というのは事情が違いまして、キャパシティいっぱいのところは、今さら増やさないでいいというところもあるし、もっと増やしたいというところもある。
 それは性質によっていろいろ違うんですが、少なくとも利用者のトラッキング、追跡ですね、どういう利用をしたか、その後どういう論文が出たとか特許が出たとか、いろいろなトラッキングというのが非常に重要で、それを反映した支援や運営の質の向上とか、将来、どういう分野がコアのユーザーになるかということまで含めて、トラッキングシステムが非常に大事だと感じました。
 それから、特に拡大していく上では、設備の強化とか向上、それから人材の育成も大事なんですが、そのためにはやっぱりお金が必要であるというところ。これは非常に困っているところは困っていました。
 それから、多様・柔軟な利用形態が望ましいということで、いろいろな利用形態に対応できるメニューがあることが大事だと。例えば、その機関独自の研究開発と、それから外部の利用のバランスとか、学術利用と産業利用のバランスとか、そういうのはそれぞれの機関ごとに事情は異なるものの、そのバランスがやっぱり課題になっていると。
 それから、国際的な基盤では、旅費の支給や宿舎の提供というのは基本的に普通なっているんですが、小規模になってくると、それも非常に重要なんだけれども、なかなかできなくて、多くのあれで困っている。ユーザーからリクエストがあるけど対応できないということがありました。
 それから、ここで、やっぱりデータの利用、基盤でとったデータの利用をどうしていくかというのは、これは非常に課題が多くて、理想論と現実とのはざまが大きくて、それぞれ非常にみんな困っていると。いろいろな方針をやって、うまくやっているところもあるけれども、例えば方針をちゃんと定めるとか、コストの負担を明確にすることが大事だということが分かりました。
 それからもう1つ、ポートフォリオ管理です。これは、まず国レベルでの非常に中長期的な戦略というのが非常に大事であると。
 だから、そういう司令塔だったり、その国の基本計画への反映というのも大事ですし、それから、ステークホルダーと彼らは定義していますが、下にその定義の文章を書きましたけども、政策を作る人、お金を出す人、実際に施設を運営する人、一次的な利用者、それから例えばデータであれば二次利用者というのも出てくるので、それまで含めた、そういう人たちの関与が大事であるということが分かります。それから、アメリカなどでは特に、コミュニティと、それからファンディングエージェンシーが十分に議論することは非常に大事であるということを言っていました。
 それから、透明性の高い評価・意思決定の仕組みによって、例えば各基盤の運営はちゃんとやっていくべきと。
 それから、やはりライフサイクルを考慮した予算システム。先ほど買ったけども運営資金がないとかいうのはだめだと。それから、場合によっては、ちゃんと停止するときに必要なコスト、それから停止するときに、じゃあ、停止した後、そのユーザーをどうしていくのかということを含めた、ライフサイクルを考えた予算システム、それからプランニングが非常に大事であるということが分かりました。
 次に、聞いた話の中で、ちょうど共用プラットフォームに関わるところでグッドプラクティスかなと思うことを挙げました。
 まず、アメリカはNSFが基盤の戦略ロードマップ、それから予算を作っていますけれども、基本的に彼らはボトムアップで、それから各サイエンスの分野ドリブン、それからコミュニティのインプットによって作っていくんだということで、いろいろ調べていって話を聞いてみると、中規模のRIですね、だから、20ミリオンドル以下と70ミリオンドル以上のものは手厚くサポートしていたんだけど、ちょうどこの真ん中のゾーンについて投資が不十分であることが分かったので、これを強化する予算プロジェクト、Mid-scale RI programというのをローンチして、既にどういうものが選ばれたかというのは、このURLに出ていますけれども、そういうものをローンチしたということがあったと。
 それからイギリスは、リサーチカウンシル、MRCとか、いろいろあったんですけど、これを7つのカウンシルとInnovate UK、Research Englandを統合したUK Research Innovationという大きな組織を組織して、調査報告自体は既に出ていますけど、この中で研究基盤のロードマップをただいま作っていると。
 それからカナダは、Canada foundation for Innovation(CFI)という組織を作っています。なぜこういうものを作って研究基盤に投資をするかというのは、彼らは非常に明確で、頭脳流出対策と。ブレインドレインと書いてあります。つまり、よく考えてみれば、カナダは隣にアメリカという超強大国がいて、放っておくとみんなそっちに吸い寄せられちゃうので、魅力的な研究基盤を置いて、頭脳が行かないようにというのが非常に大事だということです。
 ただ、そのスキームがちょっとおもしろくて、CFIが4割のお金を出して地方政府と研究機関と、それから民間が合わせて6の出資をするということ。
 出資というのがポイントでして、今、17の研究基盤に投資をしています。投資をするということは、投資先のいろいろなオペレーションが気になるわけなので、そこに利害関係者として関与することで、どうしても運営がうまくいかなくなっていくような研究基盤に対して、よりよい管理運営を促していくことによって、最終的にはブレインドレインに対応するし、それから投資効果も最大化するということです。この考え方はちょっとおもしろいなと。
 それから、出資なので、そういう意味では年単位の予算ではないというところも、5年間なり何年間ということで予算を与えられるので、柔軟な運営ができるというのも、これは非常に頭いいなと思いました。
 それから韓国です。これは私、全然知らなかったんですけど、話を聞いてびっくりしたのが、彼らは実は研究基盤というものに対して非常に力を入れていまして、大規模の研究基盤はロードマップがありますし、それからそういった研究基盤を最適化することによって、科学技術予算に対する投資効果の最大化を目指していると。そのために、省庁横断組織としてNational Research Facility Equipment Promotion Centerというのを設けて、ここがこういった研究機器の一元的な管理運営を担うということになっているということです。実際、このNFECの方が昔、理研にいろいろと話を聞きたいと来たことがありまして、議論したことがありますし、韓国でもまた会っていろいろ議論しました。
 彼ら、ZEUSというシステムを設けていて、ここに機械を全て、コリアンウォンで30ミリオン、日本円で約270万円ぐらい以上の機器は全部そこに入れろとなっていて、そういう機器は原則共用で、なるべくそれを見ながら重複の投資や、新しい機械を買いたいというと、いや、それは隣にあるからやめなさいというようなことまで含めたことをやっているし、状況把握も、利用の状況、どういう成果が出ているか、それから評価指標に対してどういうインデックスになっているか、全部把握しているということです。
 さらに、今、再配置やワンストップサービスの提供ということで、機器の再配置もやろうとしているし、ワンストップサービスを提供していまして、電話すると何かいろいろ教えてくれるヘルプデスクがあると言っていました。
 ただし、これは韓国語でしか出ていないので、正直、内容が今訳すと僕よく分からないんですけど、そういうシステムです。
 という中で、僕も関わっている共用PFについて、私の個人的な意見ですけど、まとめさせていただきました。
 現在の共用プラットフォーム事業について、先端研究基盤共用促進事業の中で、今日の話の真ん中のレイヤーというのは、プラットフォームの中での施設のネットワーク構築というのはかなりできてきたんだと思います。それはこの後、話があります、こういう話が、実際運営している人たちでこういう資料をまとめて、いろいろな議論ができるようになってきたというのは、まさにいろいろとプラットフォームの中での基本的な構築ができたし、それからイノベーション創出のためのプラットフォームの形成の基本骨格がかなりできてきたのかなと思います。
 あと、世界の状況、OECDのワークショップに参加して分かった状況や方向性ですけど、イノベーション創出や科学技術研究開発促進に研究基盤の活用が重要というのは、これは古今東西、どこでも共通の認識です。そのために各国が戦略ロードマップを策定していると。ただし、従来はどうしても国際的なもの、巨大規模というものに重点が置かれていました。
 ところが、OECD国、経済状況がだんだん悪くなってきて、科学技術予算も限られてくると、やっぱりもっと中規模のもちゃんと有効に活用して、効率よく運営していかないと、少ないお金で最大限の効果は得られないよねというのは、認識した国もあるし、改めて認識した国もあると。それは、例えばOECDが調査項目として選んだこと、それからアメリカのNSFがMid-scale RIに対して投資をしたことからも裏付けられると思います。
 そういう観点でいうと、日本の3Cスキームというのは、実は非常に先見の明がありまして、機能ごと、ないしは規模ごとにそれぞれ適切な施策を持っていけるという点とか、それを明確化したと。ほかの国はどうしても、例えば韓国はそれがある程度ぐちゃぐちゃになっている部分がありまして、それは先見の明があったと思いました。
 ただ、OECDは逆に、国内の研究基盤の課題というか弱点もちゃんと見抜いて、こういう議論項目を持ってきたということも分かりました。つまり、利用をちゃんと最大化していく、最適化していくということはまだ不十分であるということで、日本はその部分では、実は他国に先行して、特に例えば共用プラットフォームであれば、自分たちの専門分野外にもどんどん出ていこうとしていますが、まだまだそこは実は不十分で、後でお話があると思いますが、強化する必要があります。
 それから、先ほどまさに西島先生御指摘のポートフォリオ管理という観点です。単に設備を買うだけじゃなくて、それをオペレーションしていく人はどうするんだ、それから特に海外では、それをやめるなり、新しいのに移していくスキームまで含めたポートフォリオ管理というのは、日本はすごく弱いなと。買ったけどやっぱり運営資金がないというのは、正直なところ、我々みんな共通の課題ですよね。ここは非常に強化する。
 そうする意味では、これは、我々、例えば研究基盤だけが頑張ってもしようがない話で、国としてもちゃんとそれなりの機能を果たしてもらわないといけないということです。それはまさに、利害関係者、政策を立てる人、資金を出す人、運営する人、利用する人、それから場合によっては地域コミュニティですね、地域協調的な整備というのがこの資料にはちゃんと書いてありますけど、そういったものがみんなちゃんと関与していくことが、研究基盤全てにおいて大事ですから、共用プラットフォームについても、今後もこれが非常に大事になるということを感じました。

 【岸本部会長】 御説明ありがとうございました。
 野村委員も、韓国での会合に出席されたということですので、何か補足的なコメントがございましたら、お願いいたします。

 【野村委員】 よくまとめていただいたと思うんですけど、皆さんの印象として、インターナショナルというのは、ここで言っているのは、複数の国が出資して動いているものであって、ナショナルというのが別に国内だけで閉じているというわけではないです。国内予算として運営・管理されるけども、もちろん海外にも開いているということです。
 全体の感じとして、これまで我々、研究用の機器というのは、研究プロジェクトの予算の中で機器を調達し、だから研究プロジェクトが終わると何もなくなるというのがあったけれども、一般の社会のインフラストラクチャと同様に、研究を進めるためには、きちんとリサーチインフラストラクチャを計画的に整備して、それをサステナブルなものにしていかないといけないという考えで進められているように感じました。
 ですので、国全体として、投資したものをいかにうまく使って最大の成果にするか。そのストラテジーの中で、ロードマップとか、そういうのが出てきているのではないかなと感じました。
 先ほど木川さんの話からもあったんですけれども、フランスで研究用原子炉をシャットダウンするという話があって、その場合も、予算が厳しいので何かは削らざるを得ないと。日本だとみんな1割カットとか、そういうことになるんですけど、そうじゃなくて、やはりそこはメリハリを付けて、全体のロードマップの中で、ここはシャットダウンするけれども、そのユーザーとか職員はどこへどう持っていくというようなプランニングをやっているというのは感心しましたし、韓国のZEUSも、私も数年前に彼らが調査に来たときに、まさか300万円なんていう機器、管理できないだろうと思っていたら、本当に100万点、今やっているんですね。ただし、ミリタリーの部分は除くということですけれども、省庁横断でやっているというのと、あとは、やはり韓国の場合、国内機器が弱いというのがあって、そこのプロモーションとか、あとは、研究機関を通して研究機器の認証みたいなのをやって、海外にも出していこうというような、そういう政策にカップルしているように感じています。本体はハングルの世界なんですけど、マニュアルは英語の立派なものがありまして、それを見ていると、年間稼働率がおそらく10%切ると、リロケーションの対象になるようなこともあるみたいです。
 その辺のコントロールをやっているというのと、あと日本ですと、どうしても共用のシステムというと共用だけになるんですが、どうも感覚的には、資産管理からカップルしてきちんと管理されているのかなと。メンテナンスログなんかもそのシステムの中に入っていくというんですかね。なかなかよくできているかなと感じました。

 【岸本部会長】 どうもありがとうございます。
 先ほど事務局から、資料3の2ページについての議論ということでしたけれども、その議論に進む前に、今、御紹介がありましたOECDの活動について、御質問あるいは御意見がありましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 【杉沢委員】 木川さんのまとめていただいた資料、非常に参考になると思いますので、これは活用できると思っています。
 その中で1つ質問なんですが、データ利用の課題が多いと漠然と書かれているんですが、これが実は非常に重要な課題提起じゃないかなと思いましたので、よろしければ具体的に課題をちょっとだけ説明していただけるとありがたいなと思います。

 【木川委員】 要するに、基盤でとったデータは誰のものか、それから誰がどういうふうに使うか、それからどういうふうに活用されているか、ここについてですね。例えば誰のものかというのは、これは施設設備、それから分野ごとによってかなり違っていまして、かなりオープンにするところとクローズにするところがあります。
 それで、たまたまカナダの人とラウンドディスカッションのときに隣に座ったときにずっと話し込んだんですけど、そこでは、かなりオープンサイエンスを意識して、オープンデータしろと言っていると。彼女自身はデータ分析の専門家で、オープンデータをすればもっといろいろ分かると思っているんだけれども、実際に例えば生物系の研究者とかは、自分たちのデータは出したくないと言うと。それは俺の試料で取られたデータ だというので、そこはちゃんと定義したとしても、感情として嫌だということがあるということです。
 それから、例えばスバルは、1年半はとったデータはとった人が占有権を持って解析する、1年半以上は公開にするとか、そういうスキームを設けていると。
 それから、南アフリカの、あれは何の施設でしたか、そこは、データの公開は全公開なんだけれども、お金を払わないとデータ転送量に制限を受けると。お金を払うとデータ転送量が増えて、いっぱい手に入るとか、ですから、コストは誰が払うべきなのか、それから、どういうポリシーでオープンにする、しないを決めるのかというのが、それぞれ分野ごと、施設ごと、それから誰がそこにお金を出したかごとにいろいろ違っていると。

 【杉沢委員】 じゃあ、まだ整理はされていないんですね。

 【木川委員】 整理はなくて、だから方針策定とコスト負担の明確化が大事ぐらいにしかならない。それはかなり違っている。
 ただ、やはりみんな自分のデータは自分のものだということも、データを出したときの効用みたいなものですね、出した人が、その人に利益が来るんじゃなくて、コミュニティ全体に利益が来る、その人自身には利益は来ないときに、じゃあ、それは誰のものなのかというのが難しいんじゃないかと特に思いました。

 【岸本部会長】 データの問題だと、これからデータリポジトリをどうしようかといったときに、論文を投稿した先になるのか、プライオリティを機器を持っている方にするのかどちらにする方が日本にとっていいのかとか、そういう議論が必要になりますね。

 【野村委員】 データの性格によると思うんですね。天文データみたいなのは、割とデジタルデータできちんとそろっていて、測定条件等も全部そこに入っているので、専門家がそれなりに見る。
 ただし、例えば我々の放射光の施設で、ユーザーの方がサンプルAというものを測ったときに、そのサンプルAの素性が分からないと、このデータはほとんど意味がない。しかも、画像データというのは膨大なデータになるので、データのマネジメントをやる人材がものすごく必要で、コストもかかる。そういうコスト管理をどうしていくかということです。
 ただ、ヨーロッパの放射光施設を見ていると、やはりデータポリシーをかなり定めてきていますし、最近のその辺の人材募集を見ると、データエンジニアオンパレードですね。だから、その辺、日本は遅れている。

 【佐藤委員】 これは目的が、OECDだから、世界にいかに貢献するかという、世界の開発あるいは発展途上国含めて、いかに貢献していくかということだと思うんだけども、それぞれの国においては、それぞれの国の利益を優先しなければいかんと。国益を優先すると。でも、それをどういう形で世界共用として形を作ればいいかということを議論するということなの。
 最終的に何を目指しているということがちょっとよく分からなかった。単なる情報交換という意味ではないでしょう。

 【木川委員】 多分4ページ目の政策提言と勧告ということで、例えばよりよいイノベーションのためには、こういうような政策を作りなさいとか、こういうような方針でやりなさいとか、こういうような方針でやると非常にうまくいっている国がありますよということを明確にするというあたりです。
 1つは、だから、各国がよりイノベーションに早く結び付くようにプッシュする。それから、いろいろな事例を提案することによって、我々、いろいろなうまくいったことを知らないですよね。知ることによって、よりよい、OECDですから特にイノベーションだと思うんですけど、そういうものにつながるようにということだと理解しています。

 【佐藤委員】 なるほど、分かりました。

 【岸本部会長】 今のところで、どのグループが政府にといったときに、提言する方は、サイエンスをやっている人たちのコミュニティが勧告する形になるんでしょうか。

 【木川委員】 OECDはOECDとして、勧告なり提言。

 【岸本部会長】 そのときに、例えば教育だったら、教育関係者が集まって、いい教育をするには、各国こういうことをしてくださいと政府に提言していくスタイルですよね。

 【木川委員】 これは、どっちかといえば、僕よりは行政側の方に。

 【岸本部会長】 だから、日本の立場とほかの国が入っている立場が少し違うかもしれませんけども、日本としてはどういう取り扱いになるのか、もし分かれば教えていただければと思います。

 【黒川課長補佐】 政策提言ということでは、OECDのグローバルサイエンスフォーラム、ここには私の前任の田村が出向しているということもあって、主に政策的にどういうふうに扱っていくのかということで、親会にかけて提言というのが出てくるので、それを各国それぞれまず国で受け取ってから、どういうふうに政策に反映していくか、あるいはコミュニティにお伝えして、コミュニティで議論を深めていただくとか、そういう扱いだと思います。スケジュールも、4月から5月にかけてセットされて、公表されるということですので、公表されましたら、またこの部会でも是非御紹介をさせていただいて、議論を深めていただけるとありがたいと思っております。

 【藤井部会長代理】 1つ質問なんですけど、先ほどのカナダの話とか、韓国もそうですけど、要するに、インベストメントだということなので、だとすると、リターンはどこから何を期待していて、どういう仕組みでリターンが得られるようになっているのかという議論はありましたでしょうか。

 【木川委員】 それぞれKPIを定めて、それについて評価しているということが1つ。例えばエコノミーへの効果はどうなのかとか、例えばサイエンティフィックなインパクトですね、エクセレンスに対してどういう効果があったか。それから地域エコノミーに対してどういうことがあったかというような幾つかのKPIを設けて、それで何か評価しているという感じでした。

 【藤井部会長代理】 ファイナンシャルなインパクトだけではなく、エコノミーへのインパクトはもちろんあると思いますけども。

 【木川委員】 はい、エコノミーへのイパクト、そうですね。

 【野村委員】 ソシオエコノミックとかいう。

 【木川委員】 はい、ソシオエコノミック。

 【藤井部会長代理】 という一応インデックスで。

 【木川委員】 はい、インデックスで。

 【藤井部会長代理】 見ているということですね。政策的な投資、ある意味、政府からの投資としてということですね。

 【木川委員】 韓国はまさにそういうインデックスで評価している。

 【藤井部会長代理】 ありがとうございます。
 もうちょっと言いますと、つまり、そのことによって、それが、ある種、資金循環を生み出すような仕組みが、国として、例えばカナダの場合はそういうものがある、用意されているのかどうか。

 【木川委員】 ということだと理解しました。

 【藤井部会長代理】 分かりました。

 【岸本部会長】 ありがとうございます。まだ御意見あるかもしれませんけども、次の御説明をいただいてから、全体的な議論に移っていきたいと思います。
 それでは、資料5になりますけども、共用プラットフォーム関係者の方々が独自に関係者の間で取組の共用などを行っているということで、共用プラットフォーム連絡協議会というのがございますが、そこから3名の皆様にお越しいただいていますので、この資料についての御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 ありがとうございます。では、共用プラットフォーム連絡協議会から、「共用プラットフォーム形成支援プログラムの現状と課題について」ということで、簡単に説明させていただきたいと思います。
 まず、共用プラットフォーム連絡協議会というものは何だということなんですけれども、5プラットフォームのそれぞれ幹事機関が集まりまして、KEK、JAMSTEC、日立、北大、理研ということで、何ヵ月かに1回、意見交換をしながら、それぞれの共通の課題や問題点、固有の問題などについて議論してきました。
 そういった問題点の議論を積み重ねた中で、プラットフォームが5年目を迎えるということで、改めてここでお話しさせていただくことになりました。今日はNMRプラットフォームの小野田と、光ビームの伴さんと、顕微の阿部さんの3人が代表してお話しさせていただきます。
 次の3ページは、プラットフォーム事業の振返りです。そもそもプラットフォーム事業というのは何だったのかということを一言で簡単に申し上げますと、見える化の促進、ビジブルになったということです。これはどういうことかと言いますと、それまでプラットフォームを形成する各機関は、それぞれ自分の独自研究、もちろん外部共用しているKEKみたいなところもあるんですけれども、もともと独自研究をしていたところがあって、それなりに装置を使っていただくということはずっとやっていたんですね。
 プラットフォームで何が起きたかというと、今まで使っていただいている自分たちの研究開発のピアはもちろんなんですけれども、プラットフォーム化することで、社会的に存在感が見えるようになったということが多分一番の特徴なのだと思います。
 ここに書かれているようなホームページだとかワンストップサービスというのは、プラットフォームのファンクションとして機能しているのですけれど、それは誰のためだったのかということを改めて考えると、今まで使ってくれていた人はもちろんなのですが、今まで使ったことのない人たちにも存在が知れ渡るようになったというのが、まず1つのプラットフォーム事業のメリットだと思っています。
 続きまして次のページですが、メリットとしましては、見える化が促進されたということです。真ん中の赤字のところは実績ですが、始める前はプラットフォーム全部で2,423件で、ある程度の収入も得ていました。それが、着実に見える化が促進されたということで、右の方に示したとおり、インダストリー、もともとアカデミアの施設なので、アカデミアの利用と、一部のインダストリーのピアの利用が中心ですが、それ以外の分野に対して幅広く広がっていったというのが、やってきた4年目、5年目の特徴です。
 機関、規模の拡大でユーザーからの、ユーザーというのは2種類いまして、今まで使っていたユーザーと、新しい、ビジブルになったことで初めて分かった、広がったユーザーのことも含まれている、ここが結構重要なことになっています。
 次のページです。プラットフォームを利用して輩出された成果ということで、プラットフォームごとに規模も違いますし、参画機関、目指しているところもそれぞれ違うのですけれども、ここは簡単に話させていただきます。光ビームに関しては、質と量ともに継続して着実な成果を上げている。NMRプラットフォームに関しては、一般的なTop10論文の割合が8.4%のところに対して、15.3%です。つまり、最先端の装置を使うということで、成果が一般よりも高い基準を維持していると。高い、とんがった成果に関しても、7ページにあるように、光ビームで出ています。
 電磁場解析に関しても、プラットフォーム開始前よりも、外部との共著が増加しています。独自で、自分たちの力だけでピアと連携するよりも、外部共用、プラットフォーム事業によって初めて出てきた研究仲間とのリサーチコラボレーションが発展していくようになった。
 続きまして、顕微に関しても、外部との共著が増加しています。要するに、今まで自分たちだけで考えているよりも、リサーチコラボレーションの幅が広がったと。
 ここで、9ページ目なんですけれども、5プラットフォームの全体を通してどうだったのか。簡単に申し上げますと、プラットフォームの形成によって、既存分野への支援のみならず、他分野や複合施設の支援に活動が拡大していったと言えます。
 例えばNMRでさせていただきますと、そもそも高磁場のNMRというのは、構造生物学ですね、たんぱくの構造解析をするという施設がプラットフォームを形成しているのですけれども、それだけにとどまらず、ポリマーの解析ですとか触媒の解析ですとか電池の材料解析ですとか、そういったほかの分野に対する利用が広がりました。
 風と流れに関しても、ゼネコンと車メーカーの利用がメインだったのメインですけれども、スポーツですとか防災だとか、新規の人たちに利用されるようになりました。
 光ビームに関しては、もともと共用施設ということで位置付けられていたところが中心になっていたのですけれども、装置自体の相互利用が、このプラットフォーム形成でビジブルになったことで、促進されるようになったという特徴があります。
 アトミックスケール電磁場解析に関しては、これは基礎研究ですね、サービスするというよりも、サービスで測定して返すだけではなくて、研究開発の支援、側面というのが、新規のものが非常に増えている。
 顕微イメージングに関しては、新規利用と、様々な、もともと隕石を測る装置なのですけれども、それ以外の、病院、骨を測るだとか、そういったことに発展していっています。
 利用分野の裾野が広がったというのが、この5年の成果だと。
 続きまして、10ページ目は、具体的な事例を載せています。こういった研究開発をきっかけとして、共同研究や施設の高度化の事例につながっているというものがこの成果だということです。
 改めて、11ページなのですけれども、今申し上げたところを含めて、どんな問題があったかというところなのですが、先ほどビジブルになって新規の領域が開拓されてよかったですねというような言い方をさせていただいたんですけれども、もともと、施設の性質にも依存するのですが、基本は自分の分野を研究するための装置、施設ということで設置された経緯がありますので、新規のお客さん、専門外に対する支援ですとか新規開拓というのは、よほどのモチベーションがないと、モチベーションというか、能力として、違う分野に乗り込んでいくというインセンティブというのがなかなか厳しいと。
 もちろん皆さんのために使っていただく施設ではあるのですけれども、やはりどっちのお客さん、どちらのユーザーさんと話をしますかと言われたら、やっぱり話が通じる方という話になりがちだと。なりがちということで、しないということではないと思うんですけれども、あともう1つ、新しい分野を開拓するという共用ですね、それを含めて共用と呼びたいんですけれども、それを評価する仕組みが十分に整備されていない。
 これは言っても難しいところはあると思うんですけれども、要するに担当者の意識に任せているんだとすると、やっぱり低い方に、楽な方に行きがちだというのが、新規分野開拓の際の問題点です。
 あともう1つ、成果よりも利用件数で本当にいいのかと。サービスと研究コラボレーションどちらを優先するのかと。これは先ほどの成果の資料を作っているときにも、いろいろとうちのみんなで悩んだところなんですが、たくさん論文はあるんだけれども、とんがったものがないというので、とんがった施設で本当にそれでいいのかと。もう1つ言うと、とんがった成果が1個だけあれば、お客さんはいなくてもいいのかと。両方を御世話しなければいけないと。
 一番いいのは、たくさんの人にサービスをしながらも、その中で研究コラボレーションにつながっていくような仕組みを作っていくことなのですけれども、今現在のプラットフォームの中では、そのあたりの議論が十分に詰められていないというので、問題になっている。
 あと、それに付随して、実験結果の解析・解釈に要する人的リソースの確保。つまり、測定して返すだけでおしまいということになると、要するに研究コラボレーションになかなかつながらない。特に電磁場解析のプラットフォームも、もちろんみんなそうなんですけれども、研究して論文を書いていくということをしていかないと続かないんですね。そうするために、やっぱり測定するだけじゃなくて、解釈をして一緒に論文を書く、何かを作るというところまで考えていくことをしなきゃいけない。
 あともう1つ、複数測定、相互利用が大事だと言いましたけれども、大きな装置で、先端的なものであればあるほど、3ヵ月前、半年前に申請しなきゃいけないとか、そういった課題もあって、一緒に出して、一緒に使えるかというのは、これは地味な話なんですけれども、なかなか進まない理由の1つになっている。
 プラットフォーム間の連携に関しても、国内は我々幹事機関で集まって、国外のところにどのように見せていくのかと。国際連携って、言うのは簡単ですけど、やるのは結構大変で、ただ、最先端の施設を持っている我々のようなところが率先してやる必要があるんじゃないかということです。
 あとはもう1つ、共用事業の自立への道筋ということで、先ほど事務局の方から自立に対して考えてくださいというお話がありましたけど、これは非常にセンシティブな話で、でも、あえてこれを入れていこうということで、自立というのは、もちろん利用料含めて、行政のサポートなしで独自で運営できるのが完璧には理想なんですけれども、利用料だけかというと、施設というのは、研究開発をして、高度化をしていって、世界にとんがった成果を出し続けていく、それとともに、幅広く裾野を広げていって、イノベーションに使っていただけるような新規の領域を作っていかなきゃいけない。それをするということを含めて、自立ということを考えていかなきゃいけないんじゃないかというのが、我々プラットフォームの中の1つの結論として、ここでお話しさせていただければと思っています。
 続きまして、こういった問題点に関して、どのような方法が望まれるのかということで、議論をまとめたものがこちらになっております。
 まず、支援と連携が十分でなかった新規分野、他分野に切り込むことができる施策、コーディネート機能の強化とか人事評価の整備等、要するに、もともと施設の人的な整備というのは重要だとは言うのですけど、どういう人材が必要なのかと。
 先ほど御議論の中で、ドクターは出たけれどもなかなか社会的には、とありましたが、こういったユーザードリブンでサイエンスを作る、施設を基盤にしたお客さん、ユーザーが持ってきたサンプルを使って、どうやって研究開発を進めていくのか、それが施設全体の新しい可能性を広げていくようなことをするためにはという観点から、コーディネート機能と人事評価というのをどうやってまとめていったらいいのか。
 あともう1つは、施設担当者がサービスというのをタスクとしてやらなきゃいけないからやるんだじゃなくて、これをやっていると、あなた、次の共同研究につながるんだというようなことをエンハンスするような仕組みが必要なんじゃないか。
 あともう1つ、相互利用を促進すると言いましたけれども、先ほどの何ヵ月前に申し込まなきゃいけないというのは、全部ユーザーさんが自分で申し込まなければ使えないんですね。そうではなくて、もっと施設側が中心になっていって、お客さん、ユーザーさんに声を掛けながら、一緒にやって、相互利用を進めていくような、普通の共同利用枠に申し込むというような枠とは別のマシンタイムとか、そういったものを、施設が中心になっていって、相互利用を積極的に促進するような施策が必要なんじゃないかというようなことを考えています。それが、プラットフォーム主導で複合解析を推進する仕組みということを考えています。それに付随して、相互利用のスキルも向上していかなきゃいけないよねという話になっている。
 あともう1つ、ビッグデータ化への対応なんですけれども、これも先端的な施設が、その存在が魅力的なものであるということの1つにつながっていると思っているんですけれども、データが集まって、もちろん制限公開で表に出せないようなものもあるかもしれませんが、例えばNMRのデータに関して言うと、積算されたデータを蓄積して、そのデータ自身を匿名化することで、新規の構造解析の時間の短縮化だとか、そういったような試みとかも見られているんです。そういったものがまた新しい先端的な施設の特徴みたいになればと考えている。
 あと、資金が必ずしも潤沢でない若手研究者への配慮ということで、トライアルユースというのは前々からやっていたんですけども、若手向け、あと、新規の、今まで装置を使った、異分野の人たちに積極的に使ってもらえるようなものを作らなきゃいけないんじゃないかと。
 あと、連携する仕組みももちろん強くしていかなきゃいけないし、新共用とも連携して、我々自身、プラットフォームを、新しい分野だとか、インダストリーだとか、あとアカデミアの中でも使ったことのない方々に売り込んでいくような施策をして、その努力というのは、学内だけの利用を推進している事業のところだけでは、なかなかそこだけでは、連携するということで、プラットフォームを活用してもらうことで、新共用の方も高まっていただきたいと。
 あと、ほかのBINDSだとか、ナノテクプラットフォームも同様の問題を抱えているので、連携していく可能性があるんじゃないかと考えています。
 最後なんですけれども、どのような方向性、今言ったことの繰り返しになってしまうんですけれども、赤字で示したところにありますように、複合解析や新規領域開拓を推進するということで、今までの分野以外の新しい分野に切り込んでいって、より利用を高めていく、利用の裾野を高め、かつ、施設の高度化も、今までの独自の分野の高度化だけでは見えないような、新しいユーザーが施設の可能性を引っ張るような共同利用、外部共用ということを仕組みとして作れればということで、分かりやすく示した図というのが、この3つの丸のぐるぐるなんですけれども、外部共用を活性化するということで、それでサービスして利用料収入が入るのみならず、高度化の要望とか共同研究の相談が、リサーチコラボレーションが活発になっていくという仕組みがまず重要なんじゃないかと。
 その仕組みは、施設自体の研究活動にも、外部共用サービスと研究コラボレーションは別のものではなくて同じものなんだという考え方に基づくと、施設自身がそこで発展していくと。
 施設が発展して、いろいろな測定ができてくるようになってくると、外部共用利用か、今まで使ったことのない人たちに使ってもらえるようになるということで、より発展していくと。それをずっとぐるぐる回していくということで、その先に自立化というものが見えてくるということを考えていかなきゃいけないんじゃないかということで、最後、キャッチフレーズとして、国内外における最高水準としてのResearch Infrastructure as a Serviceということで、RIaaSの実現というものを、ちょっとこれ、はやりに乗っかった節もあるんですけれども、こういうことで打ち出していければと考えさせていただいているということで、すいません、長くなりましたが、以上です。

 【岸本部会長】 ありがとうございました。
今日のメインメインのディスカッションなんですけども、先ほどの3つのポイントなんですが、それに関して議論していきたいと思いますけども、今御説明いただいたこともそうなんですが、関係者の方々から3本柱に対して何か御要望みたいなことはございますか。今、プラットフォームをちゃんと作っていこうというのがありましたけれども。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 先ほど申し上げたところと重なるんですけれども、既存施設の当初の目的どおりやっている支援というのは、もちろん着実にやるんですけれども、そこからもう一歩出た、幅広い異分野の人たちにもっと使ってもらうためのサポートというものが、今、既存のプラットフォーム事業の中では圧倒的にできていないところ。ただプラットフォーム化したことによって、その可能性が見えていると。その可能性をもっともっと、今、5来ているお客さんのうち、例えば4を失っていて、1だけしかサポートしていないという部分もなくはないので、そこを5来ているお客さんを100にしていきたいと。というようなことをするためには、やはりこういった場で御議論いただくことが必要なのかなと。我々現場自身でやれる限界というかですね。というところだと思っています。

 【岸本部会長】 どうもありがとうございます。
 それでは、委員の皆様から御意見あるいは御提言いただければと思いますけども、今日は、特にまとめるというよりは、インプットをたくさんしていただくということにしたいと思いますので、それぞれ皆さん、一言ずつでも、時間が足りるかどうか、不安なところもありますけども、是非これまで御発言されていない方から、まず御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 【横山委員】 意見というか、半分質問なんですけれども、さっき、異分野の方が来られたときの対応が、今のところ十分とれていなかったところがあるということだったと思うんですけれども、そこは改善は、次は多分異分野を取り組んでいく、新たな分野を広げていくというのがやはり非常に重要なことで、そこは抜かせないと思うんですけど、そこは例えば具体的にどういう。
 今回はまだ不十分だったとおっしゃったんですよね。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 今までよりももっとうまくやりたいというのが。

 【横山委員】 そこは何か施策は。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 施策ですね。施策と言ってしまうと。こういうものがあったらいいなというものに関しては、まずサービスから研究コラボレーションに関するスキーム、サービスオンリーみたいなところが今の仕組みではありまして、研究コラボレーションの仕組み、だめとは言われていないんですけど、もっとそこを。

 【横山委員】 共同研究に持っていって。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 共同研究というもの、はい、そうです。

 【横山委員】 両方が。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 ウイン・ウインになる。
 もう1つ言うと、共同研究を違う分野に対する、異分野、新規開拓したものに関して認められるようなコーディネーション機能を付けるというようなことが、今は全部やりなさいというような、全部やりますというような流れになっているんですが、そこに特化したような形になってくると、多分プラットフォームの運営の仕方は随分と変わってくるんだと思っています。

 【横山委員】 多分そこは質と量と両方見ていくということなんだと思いますけれども。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 はい、そこはプラットフォームごとで、考え方や特徴も違いますし、目指しているところも全然違うので、プラットフォームごとで提案していくことになるんだと。

 【横山委員】 もう1つ、これは分からなかったのは、自立化の対応をもう1回。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 自立というのは、利用料で動いて、電気代と保守代で動いていくということを自立ということではなく、組織自体が発展していくということを含めて、自立というふうに。

 【横山委員】 要するに、やはり収入がないとできないということ。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 いろいろなところからサポートいただきつつも、新しい分野に切り込んでいくということも、研究コーディネーションの側面も自立の中に入れていただけると、もっと頑張れるというような意味合い。

 【横山委員】 やはり委託費が必要であるという。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 サポートがあった方がもっとうまくやれますという。
 
 【飯島委員】 先ほど投資という言葉があって、私、同じ質問だったのであれなんですけども、どういう仕組みで投資をしているのかなと。先ほどから運営のための長期的なポートフォリオが必要だということは、更新も含めて非常に明らかだと思うので、複数年度で何か予算を確保できる方法論といいますか、今、単年度でやるから非常に苦しい部分があると思うので、ちゃんと複数年度で計画が立てられるような仕組みが、それを何と呼ぶかは別として、是非必要なんじゃないかと思うんですね。

 【岸本部会長】 基金にするとか、共用プラットフォームだけ別の資金繰りを国としてやれるようにするとか。

 【飯島委員】 そうですね。

 【岸本部会長】 やっぱりシステムを変えていかないと。

 【飯島委員】 うまく回らない。

 【岸本部会長】 回らないということを、きちんと訴えていかなきゃいけないかなと思います。

 【飯島委員】 あと、これは前から、今日御報告にあったのですごく共感したんですけど、やっぱり自分の研究、それから他分野に入るための共同研究、サービスとしての研究というのは、本来的にはかなりカラーの違うもので、それをどうやってうまく回すかということが非常に大事だと思うんですけども、やっぱりサービスのところが一番モチベーションが難しいところで、そこをどう評価するかという考え方が必要かなと思います。
 3つ目のコメントとしては、もともと矛盾があったんじゃないかなと思うんですけども、この4年間の間に自立を求めるという項目が重くて、皆さんかなり苦労されていると思うんですが、簡単に言うと、皆さん、ベンチャーを作ればいいのかなという話になっちゃうんですけど、本来的にはベンチャーを作ることを目指している考え方じゃないと思うので、先ほど技術とかコラボレーションとか、いろいろな意味での還元を含めて評価してほしいということで、自立という言葉は余りふさわしくないんじゃないかなと思うんですけど、そこをもうちょっと全体としてどういうふうに評価するかということと、さっきの複数年の計画、ポートフォリオも含めて、俯瞰的にマネージできる組織をどのレベルで作るか。研究機関に作るか、国の方に作るのか、どこかにそういう組織を作らないと、長期的に、なおかつ評価もしながら発展させるということは、かなり難しいかなと思います。

 【金澤委員】 私も、せっかく高度な装置を共用して使っていこうということなのに、そこに自立を強く求めてしまうと、厳しいのではと思います。大型装置は、ランニングコストがもともと掛かる上に、メンテナンスや更新にもお金が掛るのは承知しています。
 一方で、そのまま幾らでも国のお金を使ってやってくださいというのは、もちろんできないということだと思いますので、そういう意味では、利用を広げていただくというのは、重要なことであると思います。先ほどお示しいただいたように外部利用の促進というのは増えてきたと思うのですが、まだその装置を知らない人、新しいニーズがあるかもしれないので、新しいユーザーにも使っていただくためには、重要なことは、こういうことができますよというような、少しユーザー側に寄ったデータを示すことが必要です。
 装置が高度化すればするほど、高いスキルを持った技術系の方が必要となりますし、私自身は薬学でございますので、ユーザー側に近いですけれども、装置が難しくなればなるほど使いにくくなってしまいます。しかし、医療の分野でもっと使えれば、そこにも新しい資金や需要が発生してくると思いますので、やはり新しいニーズを少し広げていただきたいと思います。
 共用施設を更に使いやすくするという工夫は必要であり、大学という立場から、やはりそのための人材育成が重要であると考えます。装置の進歩とともに益々膨大なデータ量となりますので、データをどのようにやりとりするのかということと、データを解析する人材については、いろいろな仕組みの中で人材育成していくことが必要であると思います。そのような面で大学とももう少しコラボレーションできれば、そういう仕組みづくりができれば良いと考えています。高度な技術ももちろん重要ですし、これまでも人材育成に取り組んでいらっしゃいますけれども、最終的には、私は人材がポイントであると思っています。人材育成による外部共用の活性化というところが、やはり重要になってくると思っております。

 【中村委員】 先ほどの御説明、ありがとうございました。感心しましたところは、プラットフォーム事業の振返りのところで、他分野とか複合利用の支援に活動が拡大されたと。この点、非常にすばらしいと感じました。
 もちろん新しいニーズが増えるということで、資金的な供給源が増えたという非常に短絡的な見方もございますけれども、それ以上に、新しいニーズで新しい価値、ある意味、分野融合、共研から分野融合が進んで、新しい価値ができる。そこまで行くと、これは産業界にとりましても非常に意義あることで、是非そこにつなげていくような全体の仕組みが構築されたらと思っています。
 そのためには、もちろん新しい分野を開拓していくところの努力も必要ですけれども、それとともに、とんがった成果とのバランスをうまく調整することが必要だと思っております。

 【市川委員】 どの先生方、委員の方とも意見が重複するところがあると思いますけれども、自立ということが求められるのは、なかなか成果が見えにくい、伝わりにくいというような視点もあるのではないかと思っております。
 それを、じゃあ、どうして見えにくいのか、伝わりにくいのかということを1つずつ解きほぐしていくことが大切だと思っておりまして、施設の運営に関しても、当初から設備を装備する段階で、アカデミアだけでなく、早期の段階から、企業の方など、どういった方向性のデータが欲しい、どういった活用ができればいいというような意見を設計の段階から取り入れるような工夫、取り入れられるような取り込み方をしていただくとか、また、データの使い方がどのような国際機関、各国とも頭を悩ませていると言っていますが、やはり日本の現場でも、データサイエンス、データ解析をする人たちの重要性、人材確保というところがかなり鍵を握っているということも聞かれますので、今度の設備に関しては、これも十分予算の配置をお願いしたい。
 あと、やはり装備の使える時間ですとか、メンテナンスとか、大学がどこの部分が管理をするのかということによって、使い勝手もかなり変わってくると思いますので、大学にそのままに置くのかどうするのか、共用ということですので、多くの方が使い勝手のいいような仕組みを、一から考えるということも重要だと思っております。
 あと、情報公開ということも、何をもって、何が情報かということもあると思うんですけれども、その視点も欠かさず置いていただけるとありがたいと思っております。

 【岸本部会長】 ありがとうございます。
 1つは、この事業が来年度で終了になると。その次、どうするかというときに、同じようなプラットフォームを次の予算で作っていくのか。同じことが続けられないとすると、現在あるものについては予算がなくなって、新しいものを作っていくのか。それとも、今あるものを強化するために何かするのか。いろいろな分野で欲しいものはたくさんあると思うんですね。限られた予算の中で何をすれば一番効果的に次のプロジェクトにつながるのかと。
 多分財政当局は、同じことを続けますといったら、今の仕組みだと、だめです、何か新しいことないですか。どういうふうにしていったらいいかということかと思いますけれども、補足ください。

 【黒川課長補佐】 そういう意味で、悩み相談といいますか、財政当局と折衝する上での武器といいますか、こういう視点で是非お願いしたいということを申し上げさせていただきますと、まず、予算という意味では、共用プラットフォーム事業でできている設備の基本的な運営の部分については、各機関の運営費交付金なり、ほかのもので、不十分かもしれないけれども、あるはずです。
 その上で、共用していくということについては、財政当局も非常に大事だと認識しています。それは私たちも一緒ですけれども、思いが違っているのは、共用するための追加予算が要るのかどうかということについて、財政当局からすると、それは本来業務なのだから、今あるお金の中でやってほしいということをずっと言っています。私どもからすると、自分たちの研究で、自分たちの中だけでやっていくというところで、今あるお金では精いっぱいであるので、それを開いていくためのワンストップサービスですとか新たな人材の配置というのは今までにない新しい仕事なので、追加的な措置が必要だということで、5年前に折衝して予算を獲得してきたと思っています。
 それは、5年というふうに時限が付いているのは、本来的には各機関の中で取り組むべき話なのであるから、それでは、5年間やってみたときに、予算的に見て、どういうポートフォリオで運営がなされてきていて、5年前に狙ったことがどういうものであったのか。そこを振り返ってみたときに、次にどういう予算で、あるいはどういう方向性に進んでいくべきなのかというのをセッティングしていかないと、予算という意味で、私どもから通常の法人予算とは別に取っていくというのは、武器が必要な部分になってきます。
 共用プラットフォームの中間評価を1年前にやっていただきまして、この部会の半分ぐらいの先生方にも御協力いただき、そのときに公費の投入性がかなり議論になりました。各機関に任せればできるものだとか、独立しても同じ成果が上がるものというのはそのままで、各機関で本来的には取り組んでいただくべきであって、重要なプラットフォームで、利用料収入ですとかほかの収入の中で運営に至らない場合には、公的資金の持続的な導入は必要ですけれども、その際にはどういう目標を置いて、今どういう状況になっていて、そこに投入するとこんなに新たな展開があるよということをしっかり説得していかないと、なかなか戦っていくのは大変だねということでした。そこについての材料を、本日の議論、それからまた次回以降もお願いしていきたいと思いますけれども、インプットとしていただけると、私どもはその武器を持って戦いにいきたいなと思っているところでございます。

 【岸本部会長】 私から先に意見を言っては良くないかもしれませんけども、OECDでのお話や本日のこれまでのお話を伺うと、やっぱりマネジメントをそれぞれに任せていたらだめで、日本全体で、いい仕組みを作れていないから、1つ1つがもがいているんじゃないかと。強力なマネジャーを養成していかないと、ほかの国に遅れていっちゃうんじゃないかなと。
 カナダの例を見ても、韓国の例を見ても、彼らの方がマネジメントとしては数段上を行っているんじゃないかなと。日本はばらばらにやっていればよかったんですけども、そこら辺をどう変えていくか。どんな形で予算を投入するかというのを考えていく必要があるのかなと私は思ったんですが、ほかの先生方。

 【原田委員】 先ほど説明していただいた、西島先生からも質問があった、創発的研究の場の形成(先端共用研究設備の整備)というので、幾つか採択機関があって、幾つかの装置を買うことになったと。
 これと同じように、私、一番NMRのことが分かるので、NMRを例にとると、例えば今、NMRプラットフォームというのができて、幾つかの研究機関がそこに関わって、NMRの運用をやっていると。だけど、NMRというのは、もっとたくさん、いろいろな大学にいっぱいあるわけですよね。個人的に持っている方もいらっしゃるし。NMRといっても、すごく小さな簡易的な装置から、非常に大きな装置までいろいろあるところで、しかも、今後、もっとマグネットも大きくなって、例えば1ギガを超えたた1.2ギガのようなものも今度、多分日本としても国で買っていかなくてはいけないと思うんですけれども、先ほどのライフサイクルですか、資産をどういうふうに、今、日本の国内にあるNMRをどういうふうに今後したらいいかとかというような、シンクタンクというか、考えるというようなことをマネジメントしていくような、そういう組織を整備していくとかがあると思います。それを今、NMRプラットフォームをやっていらっしゃる方を中心として、そういうことをもっと全国的に大きくして、日本の将来を、5年とかじゃなくて、もうちょっと長いスパンで、全国的にどこに配置していったらユーザーがすごく使いやすくて、日本国の研究の推進にうまくいくかみたいなことをしていくような組織を作るとかということができないのかなと思っているんです。

 【野村委員】 先程もちょっと言ったんですけれど、日本の場合、研究予算とRI整備の予算が全く区別されていないんじゃないかと思います。本当に区別しちゃうのがいいのかどうか、それは検討する必要があるのと、放射光の経験でいうと、私が若い頃は、世界的にみんな、ある意味、研究所的な性格を目指していたんですけども、多分今世紀に入る頃から、明らかにユーザーファシリティというミッション定義をしているんです。
 例えば、ESRFのディレクターノブリサーチと数年前に話したところ、私たちのミッションは研究することではないと。でも、来たユーザーに成果を出させるのが我々のミッションであると。
 だから、今の議論でも、二足、三足、研究者としての道、ファシリティスタッフとしての道、そういうところのキャリアパスというんですか、単に研究者の補助ではなくて、研究者と、ある意味、水平分業した重要なパートをやっているというのを、文化として作っていかなくちゃいけないかなと感じています。
 あと、放射光関係で、ファシリティスタッフが論文の中に入っている割合を分野別に見たんですけども、物理系は結構高いんですが、生物系はめちゃくちゃ低いです。だから、これは分野によって、やっぱりサンプルにウエートがある研究分野では、なかなか共同研究というのは難しいんだろうなと思います。
 だから、その辺のところも区別しながら考えないと、ちょっとまずいかなという気はします。

 【藤井部会長代理】 質問とコメントがあるんですけど、1つは質問で、先ほどプラットフォーム事業の振返りでお話しいただいたもので、利用件数のところで、産学連携というオレンジ色のところがあるんですけど、これはどういう形での収入になっているんでしょうか。つまり、自立化の議論との関係で、どういう収入が得られているということ。どういう形で課金なり収入を得られているかということなんですが。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 御説明します。利用件数のところは、これは実験課題の申請者というか、採択された方が、どういう分野の方かということで、実験課題の責任者が、インダストリーの方がこの青のところで、大学などのアカデミアの方が灰色で、産学連携というのは、課題申請した方が、大学と産業界と連名で出していると。そういうような実験課題のところを挙げています。
 共同研究は、基本的にこの集計のところ以外で、研究の分野として、本務としてカウントしているので、この表には出ていないはずです。

 【藤井部会長代理】 ありがとうございます。
 そうすると、利用料収入も、かなりというか、ほとんどが研究費として入ってきているという。
 つまり、知りたいのは民間の資金はどれぐらいここに入っているかということです。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 これは1時間幾らという料金設定をさせていただいて。

 【藤井部会長代理】 それは民間にも一応開いている。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 はい。

 【岸本部会長】 値段は同じ。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 成果を公開すれば安くなります。成果を公開しなくて、エクスクルーシブにすると、その原価をいただくということになっています。

 【木川委員】 それの、これが多分、そういう形で利用されたものが全て入っているので。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 一切合切。

 【藤井部会長代理】 どのぐらいの割合なのかは結構大事じゃないかなと思うんですね。
 それが、今、大学だと雑収入で入れていると、ストックできないですよね。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 この利用料収入の考え方というのは、使った電気代、測定に掛かったものに全部補償される、コンペンセーションされるという考え方なので、研究費、それを使って研究するというふうにはしちゃだめという。

 【藤井部会長代理】 なるほど、今の仕組みはですね。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 はい。そこが問題なんですよね。

 【藤井部会長代理】 そこが一番大きな問題で。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 その利用料、要するにここで言っているのは、データの解釈を含まないで測定するだけなので、測定料なんです。ただ、ここに例えば共同研究というものを認めていただけるようになると、それは共同研究として使えるようになるわけです。そこが大きな違いだと思います。

 【藤井部会長代理】 分かりました。
 それが必ずしも、共同研究をしなくてはいけないかということなんですね。つまり、自立しなさいということは、ある種、民間からの資金を導入しなきゃいけないということなので、先ほどおっしゃったように、複合的な用途に使うということであれば、ある種のコンサル的な機能で、つまり、測ってあげるというふうなことが起きないと、なかなか難しい。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 おっしゃることにお答えするのであれば、ここというのは、あくまでも利用料収入というのは、測定に対するただの。

 【藤井部会長代理】 それは分かりました。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 大きな考え方を認めていただけるようになると、本当に自立できるようになるということに。

 【藤井部会長代理】 まさにおっしゃるとおりなんですけれど、ここからはコメントなんですが、つまり、先ほど菱山局長がおっしゃったように、知識集約型社会ということなので、基本的にはハードの整備はもちろん重要なんですけども、ハードの整備をどこまで国が、国と、誰がどうコスト負担をするかということなんですけども、ただ、価値は、そこで生み出されるデータとか、そこで生み出される知というのが価値なわけですよね。
 なので、そこを生み出していることについて、ある程度価値を認めて、実際の電気代とかで全部なくなってしまうという話ではなく、本来はストックが得られるようにするようなモデルにしないと、結局、これを拡大していっても、自立という話になってこないというのが1点です。
 1つのやり方、もう1つは、例えば今は、国を挙げてイノベーションあるいはベンチャーエコシステムということを言っているわけで、これはまさに、非常に大規模な設備だとすれば、スタートアップが自力で持つことができないようなファシリティがたくさんあるわけですよね。しかも彼らは、例えば町工場的にというんですか、家内制手工業的に始めたベンチャーだとすると、高額の分析もできないとか測定もできないという場合もあるかもしれないので、そうすると、例えばエクイティで払ってもらうとかいう形で持っておいて、それが当たるか当たらないかはその後のベンチャーの成長によるんだと思いますけども、例えばそういう形で、つまり、カッティングエッジの測定のファシリティは国のお金で整備されているんだけども、それをちゃんと国の全体のイノベーションのエコシステムの中に資するような形で、利用を開くと。
 しかも、その利用した対価は、ある程度そこで生み出される価値において対価は設定するんだけども、直接キャッシュで払えない場合もあるだろうから、例えばそれはエクイティでもっと共用にするとか、何かそういうお金が回るようなことを制度的に考える必要があるのかなと。
 これはコメントですけども、以上でございます。

 【岸本部会長】 まさにおっしゃるとおりだと思います。海外の研究所は、頼むとこんなお金じゃないですよね。相当な金額を取って、それにコンサルタント料が入って、それで機械をよくしていくということなので、多分その仕組みを、日本の中で、誰がコストを払うのかということも含めて考えないと、現場サイドではなかなか難しいかなと思いますけども、どうでしょう。

 【共用プラットフォーム連絡協議会】 まず、利用料は、機関によって、あるいは大学とか、そういうところによって考え方が違っているところがあって、学内利用はお安くとか、大学関係者はお安くとか、企業は正規料金とか、いろいろなメニューを各機関、持っているということで、そういう意味では、利用料の枠組みというのでしょうか、それは割と機関ごとに多様な対応をしているところがあります。
 ただ、利用料の考え方、基本的な値付けのところは、減価償却費とか、基本的に必要な電力代とか、そういうところであって、そこに利益を乗せられないと。ですから、非常にミニマムベースでやっています。
 もう1つは、外部との動きから、それ以上高くできないというような、相対的な値ごろ感というんでしょうか、そういうことも見ながら利用料が設定されているというのが多くの実情だと思います。
 正確な、経営的な視点とか、そういう面から、このぐらいの価格が実はいいんじゃないのかというのは、分析とかガイドラインは多分無くて、各機関がそれぞれのところで状況を見ながら考えているというところが、利用料の値付けのベースになっていると思います。

 【佐藤委員】 ちょっといいですか。中間評価をやってきた人間としてコメントさせてもらうと、よくまとめてくれたなと思ったんですけど、それで、今の考え方は、例えば設備として何百億も投資して入れてきたものを、共用にして、ワンストップサービスでみんなに広く使ってもらおうということの、そういうプロジェクトだから、設備まで含めてどうのこうの考えているわけじゃないんだよね。
 だから、利用料というのは電気代とか何とかというだけに絞って、それでそれをちゃんと自立的に全部回収してくださいよと。だから、それはそんなにハードルが高い話ではないんですよ、もともとは。
 そういうスキームで行くのか。でも、これってもともとは何百億もかけて投資した設備なんだから、世界に冠たるデータしか、これでなきゃできないというのはたくさんあるんだから、それによって新しいイノベーションとか新しい価値が創造できるということを、新しいスキームとして取り入れて、それも含めた評価を、いわゆる利用料収入のビジネスモデルの評価と、それからイノベーションがこれで起きたよねという、それを価値換算した評価と、両方合わせてこのぐらいの効果が社会的な貢献としてできているんですよということを出してやると。
 そうしないと、財務省は絶対にうんとは言わないですよ、それは。そういうスキームで多分出さなきゃいけないという話なんだけども、日本の場合は、さっきのあれじゃないけども、結局、評価がほとんどできない。それによってどれぐらいの価値を生みましたかという評価をちゃんとまともにやってきていないわけですよ。ヨーロッパとか、そういうところがどうやっているかは分からないんだけども、そういうのを取り入れて、ちゃんと価値を生み出していますよということを出してやらないといけない。そこを入れていかないと、今の説得力は多分出ないだろうなという話。
 それともう1つ、サービスじゃなくてね。サービスと言ってはいけないんですよ、やっぱり。ここはイノベーションなんですよ、やっぱり。Research Infrastructures as Innovationなんですよ。サービスと言っちゃったら、サービスしてくれるだろうっていう、すごく後ろに引いた感じなんですよ。

 【岸本部会長】 そろそろ時間なんですけども、今日の議論も踏まえて、今取り組んでおられる方々にこれをしてくださいというよりは、むしろそれを踏まえて、次に何をすればいいのかということを、次回、議論できればと思いますし、それまでにもしお考えがあれば、事務局にインプットしていただいて、プラットフォームをされた方々も、こんなのがあるよということを事務局に伝えていただけると、次に発展すると思いますので、是非そんな形で進めていければなと思います。
 ちょっと不手際で、なかなか時間がとれなくて申し訳ありませんでした。
 最後に、資料6について、事務局から簡単に御説明いただけますでしょうか。

 【黒川課長補佐】 資料6を御用意ください。江端先生からの御提出資料ですけども、今朝、急遽御欠席になりましたので、事務局から御紹介させていただきます。
 前回の部会の時にも、研究基盤の取組について、他協会との連携も必要であるというコメントを幾つかいただきました。1つの取組として、1枚おめくりいただきまして、研究・イノベーション学会の中で、研究基盤イノベーション分科会が江端先生の御尽力により立ち上がったという御報告でございます。まず、去年の10月26、27日に行われました学会の中で、ホットイシュー、「研究基盤改革の最先端」というテーマで、講演18件ということで、いろいろな方々からの講演がありました。
 それから2ページ目ですけれども、更にそれを発展させた形で、分科会として、昨年の12月に新設ということで、研究者、技術職員、経営者、事務職員、URAの方々が集まって議論する場ができてきました。3ページですけれども、1月30日に宮崎で第1回目の分科会がありまして、私も参加させていただきましたが、全国からおよそ150名の方がお集まりになりまして、政策の御紹介に加えて、現場ということで、大学経営の方、研究者、技術職員、事務職員、URAの方、色々な研究基盤にまつわる方々が集まりました。機器分析センターですとか、それから技術職員有志の会ですとか、分子研の方々、あるいは、発表の10番は、国立大学法人の財務から見て施設・設備をどう見ていくかということも含めて、御議論が活発にされていたということで、かなり熱気を帯びた集まりでございました。
 江龍先生も当日御参加いただいておりまして、少し補足をいただけるとありがたいと思います。

 【江龍委員】 名古屋工業大学、江龍です。ありがとうございます。
 この会は、江端先生ととあるところでお話をしていて、今日の一番外側の共用の部分、3Cの外側の部分だと思うんですけれども、そういったものが脱私物化ということで進んできた大学があったよねと。そういった大学のノウハウをいろいろなところに使っていただきたいよねというところから始まっていって、経営サイドからすると、どうやったら一番コストオリエンテッドでできてきたかというところに話が集約していった。でも、実際に持っていきたいのは、先ほどの議論にもありましたように、装置群が生み出すバリューって一体何なんだろうねと。そのバリューを生み出す若手が育っていかないと、結局、研究者はシュリンクしていくよねと。
 そこを、じゃあ、どういう場で議論していこうかというところで、こうやったらいいんじゃないか、ああやったらいいんじゃないかといったら、じゃあ、あなた、やってよねと言われて、いつの間にか入っていたというのが現実なんですけれども、出だしとして、非常に驚くべきことに、従来、国立大学、国公が多かったんですが、私立の大学のメンバーの皆さんも相当加わってきていた。
 そういった意味では、いろいろな意識が高まっている。それは、国がドクター、ドクターと言っていることもあるんでしょうけれども、ドクターのクオリティーというところに一歩踏み込んだときに、装置は一体何を生み出すのかと。
 先ほどの共用プラットフォームにしても、若手と言うんですけど、じゃあ、若手って一体何歳なんだとか、マスターの子を育てないとドクターに行かないし、そういったところも含めていって、大学経営、国がどうなる、GDPがどうなるというところもまで含めて、研究基盤というところをもう1回、学のレベルで、企業のレベルで、そこに現場のレベルで、それぞれ、学会ですから意見をどんどん言えるわけなので、そういった場を作ろうというところを立ち上げさせていただきましたというのが、僕からの補足になります。
 ありがとうございます。

 【岸本部会長】 ありがとうございます。今日は少し時間が足りなくなりましたけれども、今度、内容についてもいつの機会か御紹介いただけるとありがたいと思います。
 それでは、まだ議論が尽きないところですけども、時間になりましたので、本日はこれで終了したいと思いますが、事務局から御連絡がありましたら、お願いいたします。

 【黒川課長補佐】 次回以降、今後の施策について御議論いただきたいと思いますけれども、日程につきましては後日メールにて調整させていただきます。
 また、議事録につきましては、運営規則に基づいて後日公表することになっておりますので、案が作成でき次第、委員の皆様に御確認させていただきます。
 以上でございます。

 【岸本部会長】 本日はこれで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

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   科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

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